(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】高周波電源
(51)【国際特許分類】
H02M 9/00 20060101AFI20240112BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H02M9/00 Z
H05H1/46 R
(21)【出願番号】P 2021214353
(22)【出願日】2021-12-28
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 雲榜
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/056509(WO,A1)
【文献】特開2007-066778(JP,A)
【文献】特開2009-290678(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061617(WO,A1)
【文献】特開2016-051542(JP,A)
【文献】特開2003-257699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 9/00
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF信号をパルス化してRFパルス信号を生成するRFパルス信号生成部と、
前記RFパルス信号生成部を制御する設定データを出力する制御部と、
を備え、
前記設定データは、前記RF信号の周波数を設定する周波数設定データ、及び前記RFパルス信号の周期及びデューティ比、並びに前記RFパルス信号の出力レベルを設定する制御設定データであり、
前記RFパルス信号生成部は、
前記周波数設定データに基づいて、前記周波数設定データに設定された周波数のRF信号を生成するRF信号生成部と、
前記制御設定データに基づいて、前記制御設定データに設定された周期及びデューティ比による前記RF信号のパルス化制御、及び前記制御設定データに設定された出力レベルによる前記RF信号のレベル制御を行う制御信号を生成するパルス化/利得制御信号生成部と、
前記制御信号に基づいて、RF信号からRFパルス信号を生成するパルス化/可変利得増幅部と、
前記パルス化/利得制御信号生成部と前記パルス化/可変利得増幅部との間を接続して前記制御信号を送信する1本の制御ラインと、
を備え、
前記パルス化/可変利得増幅部は、前記制御信号に基づいて、前記RF信号を設定された前記周期及びデューティ比でパルス化するパルス化制御を行い、前記RF信号の増幅利得を可変制御し、前記RF信号のレベルを設定された前記出力レベルに制御するレベル制御を行う、
高周波電源。
【請求項2】
前記制御信号は、立ち上がり時及び立ち下がり時に傾斜波形を備え、
前記パルス化/可変利得増幅部は、立ち上がり時及び立ち下がり時に、それぞれ立ち上がり時間及び立ち下がり時間を有するRFパルス信号を生成する、
請求項1に記載の高周波電源。
【請求項3】
パルス化/可変利得増幅部は、前記制御信号により前記RF信号の減衰量を可変とする可変減衰器アンプであり、
前記制御信号は電圧信号であり、
前記可変減衰器アンプは、可変アッテネータを備え、前記電圧信号により前記可変アッテネータを通過するRF信号の減衰量を変化させ、前記増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する、
請求項1又は2に記載の高周波電源。
【請求項4】
前記可変アッテネータは、半導体素子を備え、前記電圧信号による前記半導体素子の抵抗成分変化によりRF信号の減衰量を変化させ、前記増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する、
請求項3に記載の高周波電源。
【請求項5】
前記可変アッテネータは、前記半導体素子及び抵抗素子によりアッテネータネットワークを構成する、
請求項4に記載の高周波電源。
【請求項6】
前記パルス化/可変利得増幅部は、前記制御信号により前記RF信号の減衰量を可変とする可変減衰器アンプであり、
前記制御信号は制御コードであり、
前記可変減衰器アンプは、抵抗値を異にする複数の抵抗器からなる可変アッテネータを備え、前記制御コードによる前記抵抗器の切り替えにより増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する、
請求項1又は2に記載の高周波電源。
【請求項7】
前記パルス化/可変利得増幅部は、前記制御信号により相互コンダクタンスを可変とするコンダクタンス増幅器であり、
前記制御信号は電圧信号であり、
前記コンダクタンス増幅器は、半導体素子を備え、前記電圧信号による前記半導体素子の相互コンダクタンス変化により増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する、
請求項1又は2に記載の高周波電源。
【請求項8】
前記パルス化/可変利得増幅部は、前記制御信号により相互コンダクタンスを可変とするコンダクタンス増幅器であり、
前記制御信号は制御コードであり、
前記コンダクタンス増幅器は、前記制御コードによる相互コンダクタンス変化により増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する、
請求項1又は2に記載の高周波電源。
【請求項9】
前記コンダクタンス増幅器は、キャパシタンス値を異にする複数のコンデンサを備え、
前記パルス化/可変利得増幅部は、前記制御コードによる前記コンデンサの切り替えにより相互コンダクタンスを可変とし、増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する、
請求項8に記載の高周波電源。
【請求項10】
前記パルス化/可変利得増幅部は、相互コンダクタンス値を異にする複数のコンダクタンス増幅器を備え、前記制御コードによる前記コンダクタンス増幅器の切り替えにより相互コンダクタンスを可変とし、増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する、
請求項8に記載の高周波電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFパルス信号を出力する高周波電源に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置等において、高周波電源から出力されるRFパルス信号が用いられることが知られている。RFパルス信号はRF信号(高周波信号)がパルス状に出力される信号であり、RFパルス信号の出力レベルの変化態様としてON/OFFパルスとマルチレベルパルスが知られている。
【0003】
ON/OFFパルスは、出力レベルが零レベルのLowレベルと所定レベルのHighレベルの2レベルを繰り返して変化するRFパルス信号であり、出力レベルは一定の周期あるいはデューティ比で変化する。また、マルチレベルパルスは、LowレベルとHighレベルを繰り返しにおいて、Lowレベルが零レベルとならないRFパルス信号である。マルチレベルパルスの出力レベルは、Highレベルの2段パルスの他、3レベル以上の多段パルスで繰り返して変化する構成とすることもできる。
【0004】
高周波電源が備える電力増幅器として、A級、B級、AB級、C級等のトランジスタをアナログ的に用いるリニアアンプと、E級、F級等のトランジスタをスイッチング的に用いるスイッチングアンプが知られている。
【0005】
RF信号をパルス変調信号に変調する変調部と、パルス変調信号の出力レベルをリニアアンプ電力増幅器よりレベル変調してRFパルス信号を生成するレベル変調部とを備えた高周波電源が知られている(特許文献1)。
【0006】
図14は高周波電源の例を示している。高周波電源100は、発振部120a、変調部120b、レベル調整部120cを備えたRFパルス信号生成部120を用いてRFパルス信号を生成する。変調部120bは、制御部130から出力されたパルス状の変調信号により、発振部120aから出力されたRF信号(高周波信号)を変調し、ON状態とOFF状態とを繰り返すRFパルス信号を出力する。レベル調整部120cは、D/A回路120c2及びレベル変調回路120c1を備える。D/A回路120c2は、制御部130から出力されたレベル制御信号をアナログ信号のレベル調整信号に変換する。レベル変調回路120c1は、リニアアンプ電力増幅器によって、変調部120bでパルス化されたパルス変調信号のレベルをレベル変調信号に従って出力レベルを制御し、RFパルス信号を出力する。
【0007】
レベル調整部120cから出力されたRFパルス信号は電力増幅部140で電力増幅された後、負荷160に供給される。出力電力検出部150は、電力増幅部140と負荷160との間に設けられ、出力電力を進行波電力と反射波電力とに分離して各電力を検出する。制御部130は、検出した出力電力を制御部130にフィードバックして変調信号及びレベル制御信号を出力する。
【0008】
このように、高周波電源100は、変調部120bによるRF信号のパルス化と、レベル調整部120cによる出力レベル制御とにより、RF信号(高周波信号)がパルス状に出力されるRFパルス信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のリニアアンプでは、初段アンプの直流バイアス回路を高速でスイッチングする際、RF信号(高周波信号)の立ち上がりや立ち下がりのタイミングにおいて半導体素子のベースやゲートの寄生容量により過渡現象が生じる。これによりRFパルス信号にジッタやオーバーシュート・アンダーシュートが発生し波形に乱れが発生するという問題がある。
【0011】
また、変調部とレベル調整部とによりRFパルス信号を出力する高周波電源では、制御部から変調部にパルス化のための変調信号を送る制御ラインと、制御部からレベル調整部に出力レベル制御のためのレベル制御信号を送る制御ラインの2本の制御ラインが必要である。
【0012】
パルス化と出力レベル制御を個別に行うことから、レベル調整部に加えて変調部の回路構成が必要となり、また、変調部とレベル調整部に制御信号を送る複数の制御ラインが必要であることから、変調部や制御ラインを構成する部材が増加するという問題がある他、パルス化と出力レベル制御の各制御間のタイミングにずれが生じる恐れがあるという問題がある。
【0013】
さらに、変調部においてスプリアス(不要輻射)が発生すると、リニアアンプと同様に、パルス化したRFパルス信号にジッタやオーバーシュート・アンダーシュートが発生するという問題がある。
図15は、RFパルス信号のジッタ、及びオーバーシュート・アンダーシュートを説明するための波形図である。
図15(a)はパルス化のための変調信号を示し、
図15(b)はパルス化及び出力レベル制御されたRFパルス信号を示している。
【0014】
変調信号がOFF状態からON状態に変化するとRFパルス信号は遅延時間ΔTの後に立ち上がり、変調信号がON状態からOFF状態に変化するとRFパルス信号は遅延時間ΔTの後に立ち下がる。RFパルス信号の立ち上がり時において、ジッタ(A1)の発生と共に、オーバーシュート(B1)、アンダーシュート(C1)が発生し、立ち下がり時において、オーバーシュート(B2)、アンダーシュート(C2)、及びジッタ(A2)が発生する。なお、ここでは、RFパルス信号において、プラス側に過剰に突出する電圧をオーバーシュートとし、マイナス側に過剰に突出する電圧をアンダーシュートとしている。
【0015】
したがって、RFパルス信号を出力するリニアアンプ電力増幅器を備える高周波電源では、
a)RF信号のパルス化においてRFパルス信号にジッタやオーバーシュート・アンダーシュートが発生する
b)制御ラインの本数が増加する
c)変調部の回路構成が増加する
d)変調部において、ジッタやオーバーシュート・アンダーシュートの要因となるスプリアス(不要輻射)が発生する
との各問題が存在する。
【0016】
本発明は、前記した従来の課題を解決して、RFパルス信号に発生するジッタやオーバーシュート・アンダーシュートを抑制することを目的とする。また、RF信号のパルス化と出力レベル制御とを1本の制御ラインにより同時に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の高周波電源は、RF信号のパルス化と出力レベル制御の2つの処理を一つのパルス化/可変利得増幅部で行うと共に、パルス化/可変利得増幅部によるパルス化と出力レベル制御を一つの制御信号で行うことにより、ジッタやオーバーシュート・アンダーシュートの発生の要因となっている変調部を不要とし、制御信号を送る制御ラインの本数を1本に低減する。これにより、RFパルス信号に発生するジッタやオーバーシュート・アンダーシュートを抑制することができると共に、RF信号のパルス化と出力レベル制御とを1本の制御ラインにより同時に行うことができる。
【0018】
本発明の高周波電源は、RF信号をパルス化してRFパルス信号を生成するRFパルス信号生成部と、RFパルス信号生成部を制御する設定データを出力する制御部とを備える。
【0019】
[設定データ]
RFパルス信号の生成に用いる設定データは、
(a)RF信号の周波数を設定する周波数設定データ
(b)RFパルス信号の周期及びデューティ比、並びにRFパルス信号の出力レベルを設定し、RFパルス信号のパルス波形を定める制御設定データ
である。
【0020】
[RFパルス信号生成部の構成]
RFパルス信号生成部は、RF信号を生成するための構成(A)としてRF信号生成部を備え、RF信号からRFパルス信号を生成するためのするための構成(B)としてパルス化/レベル制御信号生成部、及びパルス化/可変利得増幅部を備え、制御信号を送信する構成(C)として1本の制御ラインを備える。
【0021】
(A)RF信号を生成するための構成
RF信号生成部は、周波数設定データに設定された周波数のRF信号を生成する。
【0022】
(B)RFパルス信号を生成するための構成
(B1)パルス化/レベル制御信号生成部は、制御設定データに設定された周期及びデューティ比によるパルス化制御、および制御設定データに設定された出力レベルに制御するレベル制御を行わせる制御信号を生成する。
(B2)パルス化/可変利得増幅部は、制御信号に基づいて、制御設定データに設定された周期及びデューティ比によりパルス化制御することでRF信号をパルス化し、制御信号に基づいて、RF信号の増幅利得を可変制御し、RF信号のレベルを設定された出力レベルに制御してレベル制御することで、RF信号からRFパルス信号を生成する。
【0023】
(C)制御ライン
パルス化/制御信号生成部とパルス化/可変利得増幅部との間を接続する制御ラインを備え、1本の制御ラインにより制御信号を送信する。制御信号は一つの信号内にパルス化制御とレベル制御の2つの制御を含み、1本の制御ラインにより制御信号を送信することにより、パルス化制御とレベル制御とを同時に行わせることができる。
【0024】
[制御信号]
本発明の高周波電源のパルス化/レベル制御信号生成部における制御信号の生成において、制御信号に立ち上がり時及び立ち下がり時に傾斜波形を持たせる。これにより、パルス化/可変利得増幅部のRFパルス信号の生成において、立ち上がり時及び立ち下がり時に、それぞれ立ち上がり時間及び立ち下がり時間を持たせることにより、ジッタやオーバーシュート・アンダーシュートの発生を抑制する。
【0025】
本発明の高周波電源は、制御信号の形態、及びパルス化/可変利得増幅部の形態による複数の構成を備える。制御信号の形態として、電圧信号の形態、あるいは制御コードの形態を備える。パルス化/可変利得増幅部の形態として、減衰量を可変とする形態、抵抗やコンダクタンスを可変とする形態とし、これらの形態を組み合わせることで複数の構成例が形成される。
【0026】
(第1の構成例)
第1の構成例は、制御信号の形態として電圧信号を用い、パルス化/可変利得増幅部の形態として可変減衰器アンプを備える。第1の構成例において、パルス化/可変利得増幅部は、電圧信号の制御信号により減衰量を可変とする可変減衰器アンプで構成される。可変減衰器アンプは可変アッテネータを備え、この可変アッテネータの減衰量を電圧信号の制御信号により可変として増幅利得を可変制御し、RFパルス信号をレベル制御する。
【0027】
可変アッテネータは半導体素子を備え、電圧信号による半導体素子の抵抗成分変化によりRF信号の減衰量を変化させ、増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する。可変アッテネータが備える半導体素子として、FETあるいはPINダイオードを用いることができる。また、可変アッテネータは半導体素子及び抵抗素子によりT型回路やπ型回路等のネットワークで構成することができる。
【0028】
制御信号の電圧信号は、電圧の時間変化によりRFパルス信号の周期及びデューティ比を設定し、電圧の振幅によりRFパルス信号の出力レベルを設定するため、パルス化と出力レベルとを同時に制御することができ、1本の制御ラインで送信することができる。
【0029】
(第2の構成例)
第2の構成例は、制御信号は制御コードであり、パルス化/可変利得増幅部は可変減衰器アンプで構成される。第2の構成例において、パルス化/可変利得増幅部は、制御信号によりRF信号の減衰量を可変とする可変減衰器アンプであり、抵抗値を異にする複数の抵抗器を備える。可変減衰器アンプは、制御コードにより抵抗器を切り替えることにより増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する。
【0030】
制御信号の制御コードは、コードによりRFパルス信号の周期及びデューティ比とRFパルス信号の出力レベルを設定するため、パルス化と出力レベルとを同時に制御することができ、1本の制御ラインで送信することができる。
【0031】
(第3の構成例)
第3の構成例は、制御信号は電圧信号であり、パルス化/可変利得増幅部はコンダクタンス増幅器で構成される。第3の構成例において、パルス化/可変利得増幅部は、制御信号により相互コンダクタンスを可変とする半導体素子を備えるコンダクタンス増幅器であり、制御信号は電圧信号である。コンダクタンス増幅器は、電圧信号による半導体素子の相互コンダクタンス変化により増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する。
【0032】
制御信号の電圧信号は、電圧の時間変化によりRFパルス信号の周期及びデューティ比を設定し、電圧の振幅によりRFパルス信号の出力レベルを設定するため、パルス化と出力レベルとを同時に制御することができ、1本の制御ラインで送信することができる。
【0033】
(第4の構成例)
第4の構成例は、制御信号は制御コードであり、パルス化/可変利得増幅部は制御信号により相互コンダクタンスを可変とするコンダクタンス増幅器で構成される。コンダクタンス増幅器は、制御コードによる相互コンダクタンス変化により増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する。
【0034】
制御コードによる相互コンダクタンス変化は、キャパシタンスの切り替え、又はコンダクタンス増幅器の切り替えにより行うことできる。
【0035】
第4の構成例の一形態において、コンダクタンス増幅器はキャパシタンス値を異にする複数のコンデンサを備える。パルス化/可変利得増幅部は、制御コードによるコンデンサの切り替えにより相互コンダクタンスを可変とし、増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する。
【0036】
第4の構成例の他の形態において、パルス化/可変利得増幅部は、相互コンダクタンス値を異にする複数のコンダクタンス増幅器を備え、制御コードによるコンダクタンス増幅器の切り替えにより相互コンダクタンスを可変とし、増幅利得を可変制御しRFパルス信号をレベル制御する。
【0037】
制御信号の制御コードは、コードによりRFパルス信号の周期及びデューティ比とRFパルス信号の出力レベルを設定するため、パルス化と出力レベルとを同時に制御することができ、1本の制御ラインで送信することができる。
【0038】
制御信号の制御コードは、コードによりRFパルス信号の周期及びデューティ比とRFパルス信号の出力レベルを設定するため、パルス化と出力レベルとを同時に制御することができ、1本の制御ラインで送信することができる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、RFパルス信号に発生するジッタやオーバーシュート・アンダーシュートを抑制することができる。また、RF信号のパルス化と出力レベル制御とを1本の制御ラインにより同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の高周波電源の概略構成を説明するための図である。
【
図3】制御信号及びRFパルス信号の概略例を示す図である。
【
図5】本発明の高周波電源の第1構成例を示す図である。
【
図7】本発明の高周波電源の第2構成例を示す図である。
【
図8】本発明の高周波電源の第3構成例を示す図である。
【
図9】本発明の高周波電源の第4構成例を示す図である。
【
図10】可変減衰器アンプ及びコンダクタンス増幅器の構成例を示す図である。
【
図11】本発明の高周波電源の制御信号及びON/OFFパルスの信号例を示す図である。
【
図12】本発明の高周波電源のON/OFFパルスの信号例の拡大図を示す図である。
【
図13】本発明の高周波電源の制御信号及びマルチパルスの信号例を示す図である。
【
図14】リニアアンプ電力増幅器を備える高周波電源の例を示す図である。
【
図15】RFパルス信号のジッタ、及びオーバーシュート・アンダーシュートを説明するための波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は本発明の高周波電源の概略構成を説明するための図であり、
図2はRFパルス信号例を示し、
図3は制御信号及びRFパルス信号の概略例を示し、
図4は制御信号の例を示している。また、
図5は高周波電源の第1構成例を示し、
図6は、可変減衰器アンプの構成例を示している。
図7は高周波電源の第2構成例を示し、
図8は高周波電源の第3構成例を示し、
図9は高周波電源の第4構成例を示している。
図10は、コンダクタンス増幅器の構成例を示している。
図11は制御信号及びON/OFFパルスの信号例を示し、
図12はON/OFFパルスの信号例の拡大図を示し、
図13は制御信号及びマルチパルスの信号例を示している。
【0042】
[本発明の高周波電源の概略構成]
以下、
図1を用いて本発明の高周波電源の概略構成を説明する。
高周波電源10は、RF信号をパルス化してRFパルス信号を生成するRFパルス信号生成部20と、RFパルス信号生成部20を制御するための設定データを出力する制御部30とを備える。RFパルス信号生成部20で生成されたRFパルス信号は、電力増幅部40で電力増幅された後に出力端から出力される。
【0043】
電力増幅部40と高周波電源10の出力端との間には出力電力検出部50が設けられる。電力増幅部40は、RFパルス信号28を電力増幅し、負荷に求められる電力を供給する。出力電力検出部50は、電力増幅部40で電力増幅されたRFパルス信号28の電力を検出する。出力電力検出部50は、図示していない方向性検出器により進行波電力と反射波電力に分岐し、分岐した進行波電力と反射波電力の各電力を図示しない検出器により進行波検出信号及び反射波検出信号に変換し、制御部30にフィードバックする。
【0044】
制御部30は、出力電力の設定値と、フィードバックされた進行波検出信号及び反射波検出信号とに基づいてフィードバック制御を行い、出力電力が設定値となるように設定データを生成する。なお、出力電力の設定値は、制御部30の内部に記憶させておき、逐次読み出して設定する他、図示しない入力装置から入力させて設定してもよい。
【0045】
設定データは、周波数設定データ24及び制御設定データ25を含む。周波数設定データ24は、パルス化されたRFパルス信号28に含まれるRF信号の周波数を設定する。制御設定データ25は、RFパルス信号28の周期及びデューティ比、並びにRFパルス信号の出力レベルを設定する。RFパルス信号28の周期及びデューティ比は出力電力の電力量を定め、RFパルス信号28の出力レベルは出力電力の電圧波高値を定める。
【0046】
RFパルス信号生成部20は、RF信号生成部21、パルス化/利得制御信号生成部22、パルス化/可変利得増幅部23、及び制御ライン29を備える。RF信号生成部21は、制御部30から周波数設定データ24を入力し、周波数設定データ24に設定された周波数のRF信号を生成する。
【0047】
パルス化/利得制御信号生成部22は、パルス化/可変利得増幅部23を制御する制御信号27を生成する。制御信号27は、RF信号生成部21で生成されたRF信号26に対してパルス化制御及びレベル制御を行い、RFパルス信号28を生成する。
【0048】
パルス化制御は、RF信号26の波形がパルス波形となるように波形変形する制御であり、制御設定データ25に設定された周期及びデューティ比に基づいてパルス波形を生成する。
【0049】
レベル制御は、RF信号26のレベルを振幅増幅する制御であり、制御設定データ25に設定された出力レベルに基づいてRFパルス信号28のレベルを定める。
【0050】
パルス化/利得制御信号生成部22は、特定用途向けインターフェース回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SOC)等のプログラム可能なデバイスを用いて構成することができ、周期及びデューティ比を設定するパルス化制御、及び制御設定データに基づいて出力レベルを設定するレベル制御をプログラム化しておき、制御設定データ25に基づいてパルス化制御及びレベル制御を行う。
【0051】
パルス化/可変利得増幅部23は、RF信号26に対して、パルス化/利得制御信号生成部22で生成した制御信号27に基づいてパルス化制御及びレベル制御を行い、RFパルス信号28を生成する。
【0052】
制御信号27は、アナログ信号及びデジタル信号の何れの信号形態を用いることができる。アナログ信号の信号形態では、例えば、パルス化/可変利得増幅部23が備える半導体素子に印加するバイアス電圧の電圧信号を制御信号として用いることができ、電圧信号の波形の周期及びデューティ比によりパルス化制御を行い、電圧信号の振幅によりレベル制御を行う。
【0053】
デジタル信号の信号形態では、減衰量やコンダクタンスを選択するコード信号を制御信号として用いることができ、コード信号によりパルス信号の周期及びデューティ比を指定してパルス化制御を行い、同じくコード信号によりパルス化/可変利得増幅部23が備える複数の抵抗器、コンデンサ、あるいはコンダクタンス増幅器を選択して切り替えて増幅利得を変化させレベル制御を行う。
【0054】
制御信号27は、パルス化/利得制御信号生成部22とパルス化/可変利得増幅部23との間に設けられた1本の制御ライン29を通してパルス化/可変利得増幅部23に送信される。
【0055】
図2は、高周波電源10から出力される電力増幅されたRFパルス信号の一例であり、HighパルスとLowパルスのマルチパルスの例を示している。Highパルス及びLowパルスは、周波数設定データで設定された周波数のRF信号からなり、各パルスの周期及びデューティ比、並びに振幅はそれぞれ制御設定データで設定された値である。
【0056】
図3(a)は制御信号の一例を示し、
図3(b)は制御信号及びRFパルス信号の一例を示している。
図3(a)に示す制御信号例は、ON/OFFパルスの生成に設定される信号例であり、OFF状態を定める信号部分S1、ON状態を定める信号部分S2、立ち上がり状態を定める信号部分S3、及び立ち下がり状態を定める信号部分S4から構成される。なお、ここでは、制御信号はアナログ信号の例を示している。
【0057】
信号部分S3は信号部分S1から信号部分S2に向かって上昇する傾斜波形を備え、信号部分S4は信号部分S2から信号部分S1に向かって下降する傾斜波形を備える。信号部分S3の傾斜波形の時間幅ΔT1はRFパルス信号が立ち上がる際の時定数を定め、信号部分S4の傾斜波形の時間幅ΔT2はRFパルス信号が立ち下がる際の時定数を定める。この時間幅ΔT1、ΔT2の時定数を、パルス化/可変利得増幅部23が備える浮遊容量に依存して変化する周波数応答に合わせて設定することにより、立ち上がり時及び立ち下がり時に発生するジッタやオーバーシュートやアンダーシュートを抑制する。
【0058】
図3(b)において、RFパルス信号は、制御信号が立ち上がった後、遅延時間ΔT3が経過した時点で立ち上がり、制御信号が立ち下がった後、遅延時間ΔT4が経過した時点で立ち下がる。RFパルス信号の立ち上がり及び立ち下がりは、制御信号の傾斜波形によりジッタやオーバーシュートやアンダーシュートが抑制される。
図3で示す制御信号では、傾斜波形として直線状の波形を示しているが、直線状の波形に限らず、傾斜が徐々に変化する曲線状の波形としてもよい。
【0059】
図4は制御信号の例を示している。
図4(a)はON/OFFパルスを生成するための制御信号例であり、
図4(b)はマルチパルスを生成するための制御信号例である。また、
図4(c)と
図4(d)は周期、デューティ比を異にする制御信号例を示している。
【0060】
なお、ON/OFFパルスとマルチパルス、及び周期、デューティ比は時間の経過と共に変化させてもよい。また、
図2~
図4に示した各信号例は説明上から模式的に示しており、実際の信号を示すものではない。
【0061】
[本発明の高周波電源の構成例]
以下、本発明の高周波電源の構成例について説明する。以下では、パルス化/可変利得増幅器において、可変利得の態様、及び可変利得の制御信号の態様を組み合わせて構成される構成例について示す。
【0062】
(可変利得の態様)
可変利得の態様において、本発明の高周波電源は、減衰量を変化させることにより利得を可変とする形態、及びコンダクタンス増幅器の相互コンダクタンスを変化させることにより利得を可変とする形態を備える。減衰量を変化させる形態として、アッテネータを構成する半導体素子の抵抗変化や、抵抗器の切り替えによる抵抗変化により利得を可変とする形態、及びコンダクタンス増幅器の相互コンダクタンスを変化させることにより利得を可変とする形態を備える。
【0063】
(制御信号の態様)
可変利得の制御信号の態様において、本発明の高周波電源は、電圧信号によるアナログ信号の信号形態、及びコード信号によるデジタル信号の信号形態を備える。
【0064】
第1及び第2の構成例は、減衰量を変化させることによりパルス化及び可変利得を行う構成例であり、第1の構成例は制御信号として電圧信号を用い、第2の構成例は制御信号としてコード信号を用いる。第3及び第4の構成例は、相互コンダクタンスを変化させることによりパルス化及び可変利得を行う構成例であり、第3の構成例は制御信号として電圧信号を用い、第4の構成例は制御信号としてコード信号を用いる。
【0065】
(第1の構成例)
図5は第1の構成例を示している。第1の構成例の高周波電源10Aは、
図1に示した高周波電源10と同様に、RFパルス信号生成部20A、制御部30A,電力増幅部40A,及び出力電力検出部50Aを備え、アナログ信号の電圧信号を制御信号とし、半導体素子の抵抗変化により減衰量を変化させることでパルス化及び可変利得を行う。
【0066】
RFパルス信号生成部20Aは、RF信号生成部21A,パルス化/利得制御信号生成部22A,及び可変減衰器アンプ23Aを備える。可変減衰器アンプ23Aはパルス化/可変利得増幅部23に対応する構成部である。
【0067】
パルス化/利得制御信号生成部22Aは、プログラマブル制御部22Aa、アナログ/デジタル変換部(D/A)22Ab、及びオペアンプ(OPAMP)22Acを備える。プログラマブル制御部22Aaは、制御設定データに基づいて周期及びデューティ比を設定するパルス化制御、及び制御設定データに基づいて出力レベルを設定するレベル制御をプログラムし、これによりパルス化及び利得制御を行う制御部であり、特定用途向けインターフェース回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SOC)等のプログラム可能なデバイスを用いて構成することができる。
【0068】
可変減衰器アンプ23Aは、ゲイン制御インターフェース23Aa、アンプ23Ab、及びアンプ23Abの入力端側に接続された可変アッテネータ23Acを備える。ゲイン制御インターフェース23Aaは、入力した制御信号に基づいて可変アッテネータ23Acの減衰量を制御する電圧信号を生成する。可変アッテネータ23Acの減衰量は電圧信号により可変となる。可変アッテネータ23Acの減衰量を可変とすることにより、RF信号生成部21Aで生成されたRF信号をパルス化すると共にレベル制御を行ってRFパルス信号を出力する。可変アッテネータ23Acの出力は、アンプ23Abで信号増幅された後、RFパルス信号28として電力増幅部40Aに出力される。
【0069】
アナログ/デジタル変換部(D/A)22Abは、プログラマブル制御部22Aaで生成したコード信号をアナログ化して電圧信号に変換する。可変アッテネータ23Acは、アナログ/デジタル変換部(D/A)22Abからの電圧信号を制御信号として、半導体素子(
図5には図示していない)の抵抗を変化させることでRF信号26の減衰量を可変とする。
図5では可変アッテネータ23Acとして抵抗素子によるアッテネータネットワークを例示している。
【0070】
図6は可変アッテネータ23Acの構成例を簡易的に示している。
図6(a)に示す可変アッテネータ23Ac(a)は、半導体素子としてPINダイオードを用いたT型ブリッジ回路によりアッテネータネットワークを構成する例を示している。可変アッテネータ23Ac(a)では、制御信号である電圧信号によりPINダイオードに流れる電流を変化させることで減衰量を可変とし、負荷に流れる電流量を増減させる。アッテネータネットワークはT型回路に限らずπ型回路の構成とすることもできる。
【0071】
図6(b)に示す可変アッテネータ23Ac(b)は、半導体素子としてFETを用い、オペアンプと共に構成される例を示している。ここで、FETはゲートに電圧信号の制御信号が入力されることにより抵抗が変化する。オペアンプのゲインはFETの抵抗変化により可変となる。オペアンプのゲインを可変とすることにより、RF信号生成部21Aで生成されたRF信号をパルス化すると共にレベル制御を行ってRFパルス信号を出力する。なお、
図6(a),(b)の回路構成は可変アッテネータの既知の構成を簡略化して示している。
【0072】
(第2の構成例)
図7は第2の構成例を示している。第2の構成例の高周波電源10Bは、
図1に示した高周波電源10と同様に、RFパルス信号生成部20B、制御部30B,電力増幅部40B,及び出力電力検出部50Bを備え、コード信号により抵抗値を変化させることでパルス化及び可変利得を行う。
【0073】
RFパルス信号生成部20Bは、RF信号生成部21B,パルス化/利得制御信号生成部22B,及び可変減衰器アンプ23Bを備える。可変減衰器アンプ23Bはパルス化/可変利得増幅部23に対応する構成部である。
【0074】
パルス化/利得制御信号生成部22Bは、プログラマブル制御部22Baを備える。プログラマブル制御部22Baは、制御設定データ25に基づいて周期及びデューティ比を設定するパルス化制御、及び制御設定データ25に基づいて出力レベルを設定するレベル制御をプログラムし、このプログラムに従って制御を行う制御部であり、特定用途向けインターフェース回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SOC)等のプログラム可能なデバイスを用いて構成することができる。プログラマブル制御部22Baは制御信号27をコード信号の信号形態で出力する。
【0075】
可変減衰器アンプ23Bは、ゲイン制御インターフェース23Ba、オペアンプ23Bb、及びオペアンプ23Bbの出力端側と入力端側との間に接続された複数の抵抗器からなる帰還抵抗23Bcを備える。
【0076】
帰還抵抗23Bcは、並列接続された複数の抵抗器を切り替え信号により切り替え可能である。ゲイン制御インターフェース23Baは、入力した制御信号27のコード信号に基づいて帰還抵抗23Bcの何れかの抵抗器を選択する選択信号を生成する。オペアンプ23Bbのゲインは、選択された帰還抵抗23Bcの抵抗器により可変となる。オペアンプ23Bbは、RF信号生成部21Bで生成されたRF信号26をパルス化すると共にレベル制御を行ってRFパルス信号28を出力する。
【0077】
(第3の構成例)
図8は第3の構成例を示している。第3の構成例の高周波電源10Cは、
図1に示した高周波電源10と同様に、RFパルス信号生成部20C,制御部30C,電力増幅部40C,及び出力電力検出部50Cを備え、アナログ信号の制御信号により相互コンダクタンスを変化させることでパルス化及び可変利得を行う。
【0078】
RFパルス信号生成部20Cは、RF信号生成部21C,パルス化/利得制御信号生成部22C,及びコンダクタンス増幅器23Cを備える。コンダクタンス増幅器23Cはパルス化/可変利得増幅部23に対応する構成部である。
【0079】
パルス化/利得制御信号生成部22Cは、プログラマブル制御部22Ca、アナログ/デジタル変換部(D/A)22Cb、及びオペアンプ22Cc(OPAMP)を備える。プログラマブル制御部22Caは、制御設定データ25に基づいて周期及びデューティ比を設定するパルス化制御、及び制御設定データ25に基づいて出力レベルを設定するレベル制御をプログラムする制御部であり、特定用途向けインターフェース回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SOC)等のプログラム可能なデバイスを用いて構成することができる。
【0080】
アナログ/デジタル変換部(D/A)22Cbは、プログラマブル制御部22Caで生成したコード信号をアナログ化して電圧信号に変換する。オペアンプ22Cc(OPAMP)は、アナログ/デジタル変換部(D/A)22Cbからの電圧信号を信号増幅して制御信号27として出力する。
【0081】
コンダクタンス増幅器23Cは、ゲイン制御インターフェース23Ca、コンダクタンス増幅回路23Cbを備える。ゲイン制御インターフェース23Caは、入力した制御信号27に基づいてコンダクタンス増幅回路23Cbのゲインを制御する電圧信号を生成する。コンダクタンス増幅回路23Cbの相互コンダクタンスは電圧信号により変化する。コンダクタンス増幅回路23Cbのゲインは相互コンダクタンスにより可変となる。コンダクタンス増幅回路23Cbは、RF信号生成部21Cで生成されたRF信号26をパルス化すると共にレベル制御を行ってRFパルス信号28を出力する。
【0082】
図10(a)はコンダクタンス増幅回路23Cbの一構成例を示している。コンダクタンス増幅回路23Cb(a)は、トランジスタQ1、Q2、エミッタ抵抗R
E、及び電流源から構成された相互コンダクタンス(Gm)段、抵抗負荷R
Lが接続されたトランジスタQ3~Q6で構成された電流ステアリング段から構成される。入力信号VinはGm段を介して出力電流I1,I2を発生させる、利得制御電圧V
Gを設定することによって、負荷抵抗Rに加えられる電流が変化し、出力電圧V
Oが得られる。
【0083】
(第4の構成例)
図9は第4の構成例を示している。第4の構成例の高周波電源10Dは、
図1に示した高周波電源10と同様に、RFパルス信号生成部20D、制御部30D,電力増幅部40D,及び出力電力検出部50Dを備え、コード信号により相互コンダクタンスを変化させることでパルス化及び可変利得を行う。
【0084】
RFパルス信号生成部20Dは、RF信号生成部21D,パルス化/利得制御信号生成部22D,及びコンダクタンス増幅器23Dを備える。コンダクタンス増幅器23Dはパルス化/可変利得増幅部23に対応する構成部である。
【0085】
パルス化/利得制御信号生成部22Dは、プログラマブル制御部22Daを備える。プログラマブル制御部22Daは、制御設定データ25に基づいて周期及びデューティ比を設定するパルス化制御、及び制御設定データ25に基づいて出力レベルを設定するレベル制御をプログラムし、このプログラムに従って制御を行う制御部であり、特定用途向けインターフェース回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SOC)等のプログラム可能なデバイスを用いて構成することができる。プログラマブル制御部22Daは制御信号27をコード信号の信号形態で出力する。
【0086】
コンダクタンス増幅器23Dは、ゲイン制御インターフェース23Da、コンダクタンス増幅回路23Dbを備える。ゲイン制御インターフェース23Daは、入力した制御信号27に基づいてコンダクタンス増幅回路23Dbのゲインを制御する切り替え信号を生成する。切り替え信号はコンダクタンス増幅回路23Dbの相互コンダクタンスを変化させる。コンダクタンス増幅回路23Dbのゲインは相互コンダクタンス変化により可変となる。コンダクタンス増幅回路23Dbは、RF信号生成部21Dで生成されたRF信号26をパルス化すると共にレベル制御を行ってRFパルス信号28を出力する。
【0087】
図10(b),(c)はコンダクタンス増幅回路23Dbの一構成例を示している。
図10(b)のコンダクタンス増幅回路23Db(b)は、オペアンプの入力端と出力端との間に容量が異なるコンデンサを接続し、これらのコンデンサを切り替え信号で選択する構成である。切り替え信号によりコンダクタンス増幅回路(Gm)あるいはコンデンサを選択することによりコンダクタンス増幅回路23Dbの相互コンダクタンスを変え、パルス化及び可変利得を行う。
【0088】
図10(c)のコンダクタンス増幅回路23Db(c)は、相互コンダクタンスを異にする複数のコンダクタンス増幅回路(Gm)を並列接続して構成され、切り替え信号によって使用するコンダクタンス増幅回路(Gm)を選択する構成である。
【0089】
(信号例)
以下、本発明の高周波電源による信号例を
図11~
図13を用いて説明する。
図11,12は、出力されるRFパルス信号がON/OFFパルスの例である。
【0090】
図11(a),(c),(e)は、パルス化/利得制御信号生成部が出力する制御信号を示し,
図11(b),(d),(f)は可変利得増幅器から出力されるRFパルス信号の一例を示している。なお、ここでは、制御信号が電圧信号である例を示している。
【0091】
図11(c),(d)は信号が立ち上がる際の状態を、時間軸を拡大して示している。また、
図11(e),(f)は信号が立ち下がる際の状態を、時間軸を拡大して示している。
【0092】
図12(a),(b)は、パルス化/利得制御信号生成部が出力する制御信号、及び可変利得増幅器から出力されるRFパルス信号の一例について、信号が立ち上がる際の状態を、時間軸を拡大して示している。また、
図12(c),(d)は、パルス化/利得制御信号生成部が出力する制御信号、及び可変利得増幅器から出力されるRFパルス信号の一例について、信号が立ち下がる際の状態を、時間軸を拡大して示している。なお、図示した信号例では、ジッタ、オーバーシュート及びアンダーシュートの発生は見られない。
【0093】
図13は、出力されるRFパルス信号がマルチパルスの例である。
図13(a),(c),(e)は、パルス化/利得制御信号生成部が出力する制御信号を示し,
図13(b),(d),(f)は可変利得増幅器から出力されるRFパルス信号の一例を示している。なお、ここでは、制御信号が電圧信号である例を示している。
【0094】
図13(c),(d)は信号が立ち上がる際の状態を、時間軸を拡大して示し、
図13(e),(f)は信号が立ち下がる際の状態を、時間軸を拡大して示している。なお、図示した信号例では、マルチパルスの場合であっても、ON/OFFパルスと同様に、ジッタ、オーバーシュート及びアンダーシュートの発生は見られない。
【0095】
ここで、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る高周波電源の一例であり、本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の高周波電源は、半導体製造装置や液晶パネル製造装置等に用いられる高周波電源(RFジェネレータ)に適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
10,10A,10B,10C,10D 高周波電源
20 RFパルス信号生成部
20A,20B,20C,20D RFパルス信号生成部
21,21A,21B,21C,21D RF信号生成部
22,22A,22B,22C,22D パルス化/利得制御信号生成部
22Aa,22Ba,22Ca,22Da プログラマブル制御部
22Ab,22Cb アナログ/デジタル変換部(D/A)
22Ac,22Cc オペアンプ
23 パルス化/可変利得増幅部
23A,23B 可変減衰器アンプ
23Aa,23Ba,23Ca,23Da ゲイン制御インターフェース
23Ab アンプ
23Ac 可変アッテネータ
23Bb オペアンプ
23Bc 帰還抵抗
23C,23D コンダクタンス増幅器
23Cb,23Db コンダクタンス増幅回路
24 周波数設定データ
25 制御設定データ
26 RF信号
27 制御信号
28 RFパルス信号
29 制御ライン
30,30A,30B,30C,30D 制御部
40,40A,40B,40C,40D 電力増幅部
50,50A,50B,50C,50D 出力電力検出部
100 高周波電源
120 RFパルス信号生成部
120a 発振部
120b 変調部
120c レベル調整部
120c1 レベル変調回路
120c2 D/A回路
130 制御部
140 電力増幅部
150 出力電力検出部
160 負荷