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特許7418394身体部位に物質を送達するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】身体部位に物質を送達するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20240112BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20240112BHJP
   A61M 5/48 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61M5/168
A61M5/168 516
A61M5/172
A61M5/48 510
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021500425
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 IB2019055817
(87)【国際公開番号】W WO2020012341
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】62/696,983
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】プーリア シャリフ カシャーニ
(72)【発明者】
【氏名】オミード ペイダー
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-101744(JP,A)
【文献】特表2006-500087(JP,A)
【文献】特表2004-507319(JP,A)
【文献】特表2015-502785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
A61M 5/172
A61M 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術システムであって、
注射器に接続されたカニューレを通して身体部位に送達するための物質を含む前記注射器に接続することが可能な流体出力装置と、
目標流量での前記身体部位への前記物質の制御された送達を可能にするように前記流体出力装置の圧力を調整するように構成されたコントローラと
を備え、
圧力は、受信された時間と、前記手術システムに保存されている前記物質の物理的特性の経時変化の関数に基づいて決定される、手術システム。
【請求項2】
記コントローラ
可変流量を送達開始要素から受信し、
る時間での前記物質の特性の状態に基づいて前記目標流量に対応する圧力を特定し、
前記目標流量を達成するために前記対応する圧力を印加する
ように構成され、請求項1に記載の手術システム。
【請求項3】
前記コントローラが、前記物質の粘度に基づいて前記流体出力装置の前記圧力を調整するように構成される、請求項1に記載の手術システム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記物質の前記粘度の経時変化に対応する関数に基づいて前記圧力を経時的に調整するように構成される、請求項3に記載の手術システム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記身体部位への前記物質の前記制御された送達中に前記目標流量を一定に保つように構成される、請求項1に記載の手術システム。
【請求項6】
前記コントローラがさらに、ある時間閾値の少なくとも1つに達するか、前記物質の粘度に対応する粘度閾値に達するか、又は前記圧力がある圧力閾値に達したときに前記送達を終了するように構成される、請求項1に記載の手術システム。
【請求項7】
前記コントローラがさらに、前記物質の送達時間に基づくリアルタイム解析を使用してある体積の前記物質がいつ送達されたかを判断するように構成され、且つ前記コントローラがさらに、前記ある体積の物質が送達されたときに前記送達を終了するように構成される、請求項1に記載の手術システム。
【請求項8】
前記コントローラが、前記注射器に結合された流量センサから受信したリアルタイム情報に基づいて前記圧力を調整するように構成される、請求項1に記載の手術システム。
【請求項9】
前記コントローラが、前記制御された送達を終了するときに前記圧力を負圧になるまで低下させるように構成される、請求項1に記載の手術システム。
【請求項10】
前記コントローラがさらに、混合物の生成、空気への物質の暴露、温度変化を含む事象が発生したときから前記物質の前記送達を開始するための指示が送達開始要素から受信されたときまでの遅延時間に基づいて前記圧力を調整するように構成される、請求項1に記載の手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、概して、身体部位に物質を送達するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
手術処置の間に、外科医は、術中のある身体部位に様々な種類の物質を送達又は注入する場合がある。異なる手術に使用される、異なる物質は、異なる特性を有し得る。これらの一部の物質の特性は経時的に変化し得る。例として、一部の物質は、粘性又は粘弾性である可能性があり、物質が固体様挙動及び/又は流体様挙動の両方を呈することを意味する。場合により、そのような物質の粘度は、例えば、空気への物質の暴露、温度変化、又は物質と別の物質との混合などの、ある事象に起因して経時的に増加し得る。例えば、外科医は、容器から粘性物質を取り出し、この物質を別の物質と混合し、混合物質を身体部位への送達のために注射器に充填する場合がある。混合物質が注射器に充填された後に、混合物質の粘度は、経時的に増加し得る。混合物質の粘度が増加して混合物質が凝固し始めるにつれて、外科医は、混合物質を送達するために注射器のプランジャに手でより強い圧力を印加する必要がある。
【0003】
しかしながら、物質の粘度が経時的に変化しているときに、ある目標流量で混合物質を送達するためにどの程度のさらなる圧力をプランジャに加える必要があるかを外科医が決定することは困難である場合がある。加えて、混合物が調製されてからある時間が経過した後に、混合物質は、外科医が手でさらなる圧力を印加して物質の送達を継続することが極めて困難且つ面倒になる程度まで凝固する。結果として、外科医は、注射器内にある物質であって身体部位に送達する必要がある物質の全用量を送達できない場合がある。注射器のプランジャへの圧力を調整し(例えば、増加させ)ながら、制御されない様式で物質を手作業で送達することによって、身体部位に不正確な量の物質が送達される可能性がある。
【0004】
粘性物質に加えて、経時的に変化する特性を有する他の物質が無数にある。そのような物質の制御されない手作業による送達は、上で説明したように、同様の問題をもたらす可能性がある。手術システムを使用して患者の身体部位に物質を自動的に送達する既存の解決策は、送達される物質の特性とそのような特性の経時変化とを考慮に入れていない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、身体部位に物質を送達するための方法及びシステムに関する。ある実施形態は、注射器に接続されたカニューレを通して身体部位に送達するための物質を含む注射器に接続することが可能な流体出力装置を備える手術システムを提供する。ある実施形態では、手術システムは、目標流量での身体部位への物質の制御された送達を可能にするように流体出力の圧力を調整するように構成されたコントローラをさらに備える。
【0006】
ある実施形態は、注射器を通して身体部位に物質を送達する方法を提供する。方法は、物質の送達を開始するための指示を受信することを含む。方法は、身体部位に物質を送達するために注射器のプランジャに圧力を加えることをさらに含む。方法はまた、目標流量での物質の制御された送達を可能にするようにプランジャへの圧力を調整することを含む。
【0007】
以下の説明及び関連する図面は、1つ又は複数の実施形態のある例示的特徴を詳述する。
【0008】
添付の図は、1つ又は複数の実施形態のある態様を描いており、それゆえ、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ある実施形態による、身体部位への物質の送達のための例示的な手術システムを図示する。
図2図2は、ある実施形態による、図1の手術システムの例示的な構成要素を図示する。
図3図3は、ある実施形態による、少なくともバレルとカニューレとを備える例示的な注射器を図示する。
図4図4は、ある実施形態による、注射器を通して身体部位に物質を送達するための例示の動作を図示する。
図5図5は、ある実施形態による、粘性物質に対応する例示のグラフを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にする目的で、図面に共通する同一の要素を示すために、可能な限り、同一の参照符号が使用されている。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが考慮される。
【0011】
本開示の態様は、概して、身体部位に物質を送達するための方法及びシステムに関する。既存の解決策に関する欠陥を解消するために、本明細書のある実施形態は、制御された方式で且つ目標体積流量(「目標流量」)で身体部位に物質を送達するように構成される手術システムを説明する。
【0012】
図1は、人間又は動物の身体部位(例えば、体腔)への注射器130内の物質(以下、「物質A」と称される)の制御された送達を可能にするための注射器130の動作を容易にする例示的な手術システム100を図示する。手術システム100は、ユーザインターフェース105と、出力装置110と、足踏みペダル120と、制御モジュール101(例えば、コントローラ)とを備える。ユーザインターフェース105は、手術システム100に入力を提供するか又は手術システム100の機能を選択するために、使用者(例えば、外科医)によって使用される。足踏みペダル120は、物質Aの送達などの、機能を開始し且つ制御モジュール101に入力(例えば、目標流量)を提供するために使用される開始要素である。図示のように、手術システム100は、物質Aを送達するために外科医によって使用される注射器130に接続される。手術システム100及び注射器130は、コネクタ140を介して互いに接続される。一方の端部では、コネクタ140が手術システム100の出力装置110に接続され、その一方で、他方の端部では、コネクタ140が注射器130に接続する。
【0013】
図1の例では、手術システム100は、出力装置110によって吐出された流体を使用して注射器130内の物質の制御された送達を可能にする。出力装置110は、エラストマー製の流体導管又は空気管である、コネクタ140内に、液体(例えば、水)、空気、又はガスなどの、流体を出力する流体出力装置である。出力装置110によって吐出された時点で、流体は、コネクタ140の他方の端部へ移動し、この他方の端部は、注射器130に取り付けられるアダプタに結合される。アダプタは、流体の圧力を注射器130のプランジャに伝え、物質Aが送達されるようにする。
【0014】
上で説明したように、物質Aは、経時的に変化するある物理的特性を有し得る。例として、物質Aは、物質Aが注射器に充填された後に粘度が経時的に増加する高粘性物質であってもよい。別の例として、物質Aは、圧力が印加されるにつれて又は物質Aが(例えば、流動中に)剪断し始めるにつれて減少する粘度を有し得る。目標流量又は所望の流量での物質Aの制御された送達を可能にするために、制御モジュール101は、制御モジュール101に提供された物質Aの特性及び/又はセンサからの情報に基づいて流体が出力装置110から吐出される圧力を調整するように構成される。流体圧力の調整によって、注射器130のプランジャにかかる圧力の調整が生じ、それによって、物質Aの制御された送達を可能にする。流量は、単位時間当たりに通過する物質の体積を指す。
【0015】
いくつかの実施形態では、制御モジュール101は、物質の物理的特性に関する又は基づく情報を含む物質Aのプロファイルを記憶するか、又はそのプロファイルを有するように予め構成される。代替的に、物質の特性に関する情報は、ユーザインターフェース105を通じて制御モジュール101に入力として提供されてもよい。いくつかの実施形態では、情報は、物質Aの1つ又は複数の特性の経時変化を示す特性関数(例えば、粘度関数)を含み得る。そのような機能は、任意の時点で物質Aを目標流量で送達するためにプランジャに印加しなければならない圧力の量を決定するために、制御モジュール101が使用することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、目標流量は、物質Aの送達中に変更又は調整されてもよい。例えば、使用者は、足踏みペダル120を使用して送達中に流量を制御及び調整することを望んでもよい。そのような例では、外科医が足踏みペダル120に加える圧力の量は、目標流量の変化に線形に且つ比例的に対応してもよい。例えば、制御モジュール101は、0cc/分~Xcc/分の流量範囲を有するように構成されてもよい。その例では、足踏みペダル120を半分踏み込むことで、使用者がX/2の流量を必要とするという指示を制御モジュール101に送信する。同様に、足踏みペダル120を完全に踏み込むことで、使用者がXの流量を必要とするという指示を制御モジュール101に送信する。制御モジュール101によって目標流量又は所要流量の指示が受信された時点で、制御モジュール101は、物質Aの特性(例えば、物質Aの特性関数)に関する情報を使用して、その時点で目標流量を達成するためにプランジャに印加する必要がある対応する圧力を決定する。ペダルを踏み込むことで所定の期間にわたって0からXまでの一定の傾斜を生じさせ得る別の実施形態を検討する。
【0017】
いくつかの他の実施形態では、使用者は、物質Aの送達全体を通して流量を一定に保つように望んでもよい。ある態様では、一定の目標流量は、物質Aのプロファイルに含まれてもよい。ある態様では、使用者は、(例えば、ユーザインターフェース105又は足踏みペダル120を通じて)一定の目標流量を入力として制御モジュール101に提供して、流量が目標速度で一定のままでなければならないことを制御モジュール101に示してもよい。一定の流量に基づいて、制御モジュール101は、物質Aのプロファイルに含まれるか又はユーザインターフェース105を通じて提供される情報を使用して、物質Aの圧力関数を決定又は算出するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、物質Aのプロファイルは、物質Aの圧力関数を含む。
【0018】
圧力関数は、任意の時点で物質Aを一定の目標流量で送達するためにプランジャに印加しなければならない圧力の量を決定するために、制御モジュール101が使用することができる。よって、物質Aを送達するときに、制御モジュール101は、目標速度で流量を一定に維持するように、物質Aの決定された圧力関数に基づいてプランジャに加えられる圧力を動的に調整する。
【0019】
例として、物質Aのプロファイルは、物質Aの粘度に関する情報を含み得る。情報は、より具体的には、物質Aの粘度の経時変化を示す粘度関数(例えば、μ(t))を含み得る。外科医が手術全体を通して流量を変化させる実施形態では、制御モジュール101は、目標流量及び物質Aの粘度関数に基づいて圧力を動的に調整する。例えば、物質Aの流量は、時間に対する物質Aの圧力関数に正比例し、且つ時間(μ(t))に対する物質Aの粘度関数に反比例する。換言すれば、体積流量(Q)=C*P/μ(t)であり、ここで、Cは係数定数であり、Pはプランジャに印加された圧力である。よって、目標流量及び物質Aの粘度関数を使用して、制御モジュール101は、目標流量を達成するために使用しなければならない圧力の量を決定することができる。
【0020】
例として、t1では、外科医は、足踏みペダル120を半分踏み込んでもよく、これによって、外科医がX/2の流量を要求している(例えば、0cc/分~Xcc/分の流量範囲を前提とする)ことを制御モジュール101に示す。次いで、目標流量及び物質Aの粘度関数を使用して、制御モジュール101は、t1でプランジャに印加すべき圧力を決定する。t2では、外科医は、足踏みペダル120を完全に踏み込んでもよく、これによって、外科医がXの流量を要求している(例えば、0cc/分~Xcc/分の流量範囲を前提とする)ことを制御モジュール101に示す。次いで、目標流量及び物質Aの粘度関数を使用して、制御モジュール101は、t2でプランジャに印加すべき圧力を決定する。
【0021】
流量が手術全体を通して一定である必要がある実施形態では、制御モジュールは、粘度関数及び一定の目標流量を使用してプランジャに印加すべき適切な圧力の量を自動的且つ周期的に決定する。別の例では、制御モジュール101は、一定の目標流量を達成する目的で任意の時点で印加すべき適切な圧力の量を決定するために使用できる物質Aの圧力関数を決定する。
【0022】
いくつかの実施形態では、物質Aのプロファイルは、送達時間閾値を含む。時間閾値は、物質Aの送達をいつ終了すべきかを制御モジュール101に示し得る。例えば、時間閾値はt分であってもよく、その場合、制御モジュール101は、注射器130のプランジャに加えられる圧力をゼロ(例えば、以下に説明するようにゼロ以下)になるまで低下させることによってt分後に物質Aの送達を終了してもよい。物質Aのプロファイルが粘度情報を含む実施形態では、時間閾値は、物質Aの粘度に基づいてもよい。例えば、t分後に、物質Aの粘度は、身体部位に物質Aを送達することが実用的又は有益でなくなる程の粘度に達し得る。それ程の粘度では、例えば、物質Aは、身体部位内で物質が意図したように機能し得ないか又は精密な送達が損なわれ得る程度まで凝固しているかもしれない。
【0023】
いくつかの実施形態では、物質Aのプロファイルは、圧力閾値を含み得る。圧力閾値は、物質Aの送達をいつ(すなわち、どのくらいの圧力で)終了すべきかを制御モジュール101に示す。例として、物質Aのプロファイルは、PThPSI(圧力毎平方インチ)の圧力閾値を示し得る。送達中にPThPSIに達したときに、制御モジュール101は、流体圧力をゼロ以下になるまで即座に低下させることによって圧力閾値に基づいて送達を終了するようにプログラムされてもよい。
【0024】
物質Aのプロファイルが粘度情報を含む実施形態では、圧力閾値は、物質Aの粘度に基づいてもよい。例えば、物質Aの圧力関数に基づくある圧力値は、物質Aの粘度関数に基づくある粘度値に対応し得る。上で説明したように、物質Aの粘度がある粘度閾値に達した後では、物質を送達することが有益でない場合がある。そのような例では、圧力閾値は、粘度閾値に対応し得る。
【0025】
物質Aのプロファイルが粘度情報を含む実施形態では、制御モジュール101は、物質Aの粘度がある閾値に達した時点で物質Aの送達を終了するように構成されてもよい。例えば、物質Aのプロファイルに含まれる粘度関数(μ(t))に基づいて、制御モジュール101は、送達中の任意の時点(t)での物質Aの粘度の状態を決定してもよく、(t)は、物質Aの送達の開始から経過した時間(例えば、送達時間)を指す。いくつかの実施形態では、粘度閾値もまた、ユーザインターフェース105を通じて制御モジュール101に入力として提供されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、手術システム100は、物質Aの送達時間及び一定の流量のリアルタイム解析に基づいてある体積の物質Aがいつ送達されたかを決定するように構成される。例えば、制御モジュール101は、時間(Tx)で物質Aの送達を開始するときにタイマを起動してもよい。タイマが示す時間は、物質Aの送達時間を示す。流量が送達全体を通して一定である実施形態では、送達時間に一定の流量を乗じることによって、Tx以降に身体部位に送達された体積が得られる。流量が送達全体を通して変化する実施形態では、任意の時点で送達された総体積は、その時点の流量関数の数学的積分に等しくてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、制御モジュール101は、ある体積の物質Aが送達されたときに物質Aの送達を終了するように構成される。結果として、制御モジュール101は、送達された総体積を周期的に算出して、閾値送達に達した時点で送達を終了してもよい。いくつかの実施形態では、体積閾値は、ユーザインターフェース105を通じて制御モジュール101に入力として提供されてもよい。いくつかの実施形態では、体積閾値入力は、対応する物質のプロファイルに含まれてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、制御モジュール101が送達を終了したか、又は送達が一時的に停止された(例えば、足踏みペダルに圧力が印加されていない)ときに、制御モジュール101は、圧力を小さな負圧(例えば、-1又は-2又は-5水銀柱ミリメートル)になるまで瞬時に低下させてもよい。これによって、カニューレの先端が清潔なままであるように、且つ外科医がカニューレを身体部位の内外に移動させるときに、身体部位に物質が適用される場所の周囲の他の領域を残留物質が汚染しないように、カニューレの先端の周囲の残留物質がカニューレ内に引き戻されることを確実にする。
【0029】
物質Aに加えて、いくつかの実施形態では、手術システム100は、他の物質のプロファイルを有するように構成される。例えば、手術システム100は、手術中に物質A、B、及びCの3種類の物質を送達するために常に利用されてもよい。そのような例では、外科医は、ユーザインターフェース105を使用して進行中の手術中に送達する必要がある物質A、B、又はCのうちの1つを選択してもよい。物質A、B、及びCの各々は、異なる圧力関数及び閾値(例えば、圧力、体積、及び時間閾値)などをもたらす異なる特性を含む異なるプロファイルを有し得る。
【0030】
図1は、注射器の動作を容易にする手術システムの一実施形態を示す。しかしながら、手術システムの他の実施形態も使用され得る。
【0031】
例えば、図1に示す手術システム100は出力装置(例えば、出力装置110)と制御モジュール(例えば、制御モジュール101)の両方を含むが、いくつかの他の実施形態では、手術システム100は、出力装置と制御モジュールを備える別個の装置とを含む、多数の別個であるが接続された構成要素を備え得る。そのような実施形態では、出力装置は、コネクタ140を介して注射器130に接続し、物質の送達に使用すべき圧力を示す命令を制御モジュール装置から受信する。
【0032】
加えて、図1の出力装置110は流体装置であるが、いくつかの実施形態では、出力装置110は、プランジャを物理的に移動させるための電気機械装置に電気信号を提供する電気信号出力装置であってもよい。出力装置110は、プランジャへの圧力を調整するための電気機械装置に電力及び電気信号を提供してもよい。そのような実施形態では、信号は、プランジャに加える必要がある圧力又は力の量を示す。また、そのような実施形態では、コネクタ140は、出力装置110から電気機械装置に電気信号を搬送するための電気コードであってもよい。いくつかの実施形態では、電気機械装置は、プランジャの移動を直接制御するアクチュエータ又はステップモータであってもよい。
【0033】
加えて、いくつかの実施形態では、送達される物質のプロファイルに基づいて圧力調整を実施するように手術システム100を構成する代わりに又は構成することに加えて、注射器130に結合された流量センサは、手術システム100に送達される物質のリアルタイム流量を周期的に送信するように構成される。リアルタイム流量に基づいて、手術システム100は、目標流量を達成するように圧力を調整する。例えば、外科医は、一定の目標流量を入力として手術システム100に提供してもよい。次いで、手術システム100は、ある開始圧力を使用して物質の送達を開始する。物質が送達されるときに、手術システム100は、流量センサから物質のリアルタイム流量を周期的(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎など)に受信し、このリアルタイム流量に基づいて、手術システム100は、次いで、所望の流量を達成し維持するようにプランジャへの圧力を調整し続ける。いくつかの実施形態では、流量センサは、ある期間(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎など)にわたるプランジャの変位又は移動を決定することによって流量を算出する。プランジャの変位は、吐出された物質の体積又は量に対応する。
【0034】
いくつかの実施形態では、流量センサの代わりに、変位センサが使用される。変位センサは、プランジャの変位を算出して、手術システム100に変位情報を周期的に送信する。その情報を使用して、いくつかの実施形態では、手術システム100は、ある期間にわたって吐出された物質の体積に基づいて流量を算出する。そのような実施形態では、手術システム100は、物質の送達が開始された後に時間を開始することによって時間を記録する。周期的に算出された流量を使用して、手術システムは、プランジャへの圧力を調整して所望の流量を維持することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、センサ(例えば、流量センサ、変位センサなど)を注射器130に結合することに加えて又は結合する代わりに、センサは、手術システム100の一部として使用されてもよい。例えば、流量センサは、ある期間にわたって吐出された流体の体積を決定することによって出力装置110から吐出された流体(例えば、水)の流量を算出するために使用されてもよい。そのような例では、出力装置110から吐出された流体の流量は、同じ期間にわたって送達される物質の流量と同じであってもよい。別の例では、変位センサは、出力装置110によって吐出された流体の変位を決定することによってプランジャの変位を算出するために、手術システム100の一部として使用されてもよい。
【0036】
図2は、図1の手術システム100の様々な構成要素がどのように通信して一緒に動作するかを示す例示的な図を図示する。図示のように、手術システム100は、非限定的に、制御モジュール101と、ユーザインターフェースディスプレイ105と、配線206と、出力装置110と、手術システム100への様々なI/O装置(例えば、キーボード、ディスプレイ、マウス装置、ペン入力など)の接続を可能にし得る、少なくとも1つのI/O(入力/出力)装置インターフェース209とを含む。
【0037】
制御モジュール101(例えば、コントローラ)は、中央処理装置(CPU)212と、メモリ202と、ストレージ204とを含み得る。CPU212は、メモリ202に記憶されたプログラミング命令を読み出して実行してもよい。同様に、CPU212は、メモリ202に存在するアプリケーションデータを読み出して記憶してもよい。配線206は、CPU212、I/O装置インターフェース209、ユーザインターフェース105、メモリ202、ストレージ204、出力装置110などの間で、プログラミング命令及びアプリケーションデータを伝送する。CPU212は、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPU、及びその他を表すことができる。追加的に、メモリ202はランダムアクセスメモリを表す。さらに、ストレージ204はディスクドライブであってもよい。単一のユニットとして示されているが、ストレージ204は、固定ディスクドライブ、着脱式メモリカード若しくは光学ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、又はストレージエリアネットワーク(SAN)などの、固定又は着脱式記憶装置の組み合わせであってもよい。
【0038】
図示のように、ストレージ204は、手術システム100を使用する外科医によって送達され得る様々な物質の物質プロファイル220(物質プロファイルA、B、Cなど)を含む。メモリ202は、本明細書の実施形態で説明したように、物質の送達中に注射器のプランジャへの圧力を調整するための圧力調整モジュール230を含む。加えて、メモリは、動作中に送達される物質(例えば、物質A)の物質プロファイル222を含む。例えば、物質が送達のために選択された時点で、物質のプロファイル222がストレージ204から読み出されてメモリ202において実行される。そのような例では、圧力調整モジュール230は、本明細書で説明する実施形態に従って、物質の物質プロファイル222と目標流量とに基づいてプランジャへの圧力を調整するための実行可能命令を含む。別の例では、圧力調整モジュール230は、本明細書で説明する実施形態に従って、センサから受信した情報と目標流量とに基づいてプランジャへの圧力を調整するための実行可能命令を含む。
【0039】
図示のように、手術システム100はまた、出力装置110を含む。上で説明したように、いくつかの実施形態では、手術システム100は、出力装置110から流体を吐出することによって注射器のプランジャに力を加える。一例では、出力装置110は、空気又はガスを吐出する空気圧出力装置であってもよい。別の例では、出力装置110は、水などの、液体を吐出する液圧出力装置であってもよい。いくつかの他の実施形態では、手術システム100は、出力装置110を使用して注射器の電気機械装置に電気及び信号を提供する。そのような実施形態では、出力装置110によって提供される電力を使用して、電気機械装置によってプランジャに圧力が加えられる。
【0040】
図3は、少なくともバレル331とカニューレ334とを備える例示的な注射器330を図示する。バレル331は、物質333を送達のためにカニューレ334から押し出すプランジャ332を含む。アダプタ335は、上で説明したように、コネクタ140からの入力を受信してその入力をプランジャ332への一定量の圧力に変換することが可能である。いくつかの実施形態では、上で説明したような、コネクタ140によって提供された入力は、手術システムにおける出力装置から吐出される流体に関連する圧力であってもよい。いくつかの他の実施形態では、アダプタ335への入力は、ある所望の圧力を示す電気信号を含み得る。そのような実施形態では、(例えば、アダプタ335の一部としての)注射器330は、コネクタ140からの電力を使用してプランジャ332に力を加える電気機械装置を備え得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、上で説明したように、流量センサ又は変位センサは、注射器330に結合されるか又は注射器330の一部として形成される。いくつかの実施形態では、センサは、手術システムと無線で通信してもよい。例えば、センサ及び手術システムは、Bluetooth(登録商標)又は近距離無線通信技術を使用して通信してもよい。いくつかの他の実施形態では、センサ及び手術システムは、まとめて配線され、センサと手術システムとを接続するコードを使用して通信してもよい。
【0042】
図4は、注射器を通して身体部位に物質を送達するための例示の方法400を図示する。いくつかの実施形態では、方法400は、手術システム(例えば、手術システム100)によって実施されてもよい。
【0043】
410では、物質の送達を開始するために手術システムによって指示が受信される。例えば、外科医は、注射器(例えば、注射器330)に物質Aを充填して、注射器を身体部位に差し込む。次いで、外科医は、手術システムの送達開始要素を使用して送達を開始する。送達開始要素は、いくつかの実施形態では、手術システムの足踏みペダル(例えば、足踏みペダル120)である。そのような実施形態では、手術システムによって指示が足踏みペダルから受信される。これに応答して、手術システムが送達を開始する。いくつかの他の実施形態では、送達開始要素は、ユーザインターフェース(例えば、ユーザインターフェース105)又は手術システムのいくつかの他の入力機構であってもよい。そのような実施形態では、外科医は、物質の送達を開始する手術システムにおけるボタン(例えば、ユーザインターフェース要素)をクリックしてもよい。いくつかの実施形態では、異なる物質の送達を開始するために、多数の異なるボタンが使用されてもよい。例えば、物質Aの送達を開始するために1つのボタンがクリックされてもよく、物質Bの送達を開始するために別のボタンがクリックされてもよい。
【0044】
上で説明したように、いくつかの実施形態では、手術システムは、目標流量で物質を送達するために物質Aのプロファイルを有するように構成される。例えば、物質Aの送達を開始するために手術システムによって指示が受信されたときに、手術システムは、物質Aのプロファイル(例えば、特性関数)の情報を動的に使用して、目標流量で物質を送達するために使用される正確な圧力の量を決定する。上で説明したように、いくつかの態様では、手術システムは、目標速度で流量を一定に維持することを目的としてもよい。そのような態様では、手術システムは、物質Aのプロファイルの情報を使用して一定の流量を達成するように圧力を調整する。他のいくつかの態様では、目標流量は、送達全体を通して変化してもよい。そのような態様では、手術システムは、送達開始要素(例えば、足踏みペダル)を通じて入力として受信される可変流量に基づいて、圧力を動的に調整する。
【0045】
いくつかの実施形態では、手術システムは、送達する予定である物質のプロファイルを有するように予め構成されていない。そのような実施形態では、使用者は、物質又はその特性に関する情報を手術システム100に入力する。そして、手術システムは、入力された情報に基づいて目標流量で物質を送達するように圧力を調整するように構成される。
【0046】
上で説明した一例では、物質Aのプロファイルは粘度関数を示し、この粘度関数に基づいて、手術システムが、目標流量での物質Aの送達のための圧力を任意の時点で調整することができる。そのような例では、手術システムは、物質Aを送達するための指示を受信すると、そのある時点(T1)で物質Aの粘度がμ0であると決定又は仮定し得る。しかしながら、T1は、例えば、物質Aが事象(例えば、物質Aを生成するための他の物質の混合、空気への物質Aの暴露など)に反応して凝固し始めた時間ではなく、物質Aを送達する指示が手術システムによって受信された時間に相当し得る。
【0047】
より具体的には、一例では、外科医は、他の2つの物質を混ぜ合わせることによってT0で物質Aを生成してもよい。次に、外科医は、注射器に物質Aを充填して、物質Aを送達するために身体部位に注射器を差し込む。その後、外科医は、手術システムの送達開始要素を使用してT1で送達を開始する。T1~T0は、外科医が、例えば、混合物として物質Aを生成する時間と、外科医が送達開始要素を使用して送達を開始する時間との間の期間に相当する。この間に、物質は、粘性が高くなり始めている可能性がある。例えば、T1では、物質Aは、μ0ではなくμ1の粘度を有し得る。手術システムは、この遅延時間を考慮に入れるように構成されていない場合、物質を送達するために誤った量の圧力を使用する可能性がある。結果として、いくつかの実施形態では、手術システムは、手術システムが物質Aの特性関数(例えば、粘度関数)を使用して物質Aの正確な状態(例えば、正確な粘度(例えば、μ1))を決定できるようにするために、事象(例えば、物質Aを生成するための物質の混合、空気への物質Aの暴露など)から経過した時間(T1~T0)を受信する。これによって、手術システムが目標流量を達成するために送達全体を通して圧力を正確に決定することが可能となる。いくつかの実施形態では、遅延時間を入力として受信する代わりに、手術システムは、ある一定の遅延時間を有するように構成又は校正されてもよい。
【0048】
420では、身体部位に物質を送達するために、注射器のプランジャに圧力が加えられる。上で説明したように、注射器のプランジャに圧力を加えるために、多くの機構が使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、手術システムは、出力装置(例えば、出力装置110)から、注射器に結合されたアダプタ(例えば、アダプタ335)に接続するコネクタ(例えば、コネクタ140)内に流体(例えば、空気)を吐出してもよい。そのような実施形態では、手術システムから吐出される流体の圧力は、注射器のプランジャに力を加える。いくつかの他の実施形態では、手術システムは、装置(例えば、電気機械装置、機械装置など)にプランジャを移動させるために、コネクタ、例えば電気コードを通してアダプタに電力及び信号を提供してもよい。
【0049】
430では、目標速度での物質の制御された送達を可能にするように、プランジャへの圧力が調整される。上で説明したように、いくつかの実施形態では、手術システムは、送達される物質のプロファイルに基づいてプランジャへの圧力を調整するように構成される。いくつかの他の実施形態では、手術システムは、注射器に結合された流量センサから受信した情報(例えば、リアルタイム流量、注射器のプランジャの変位に関するリアルタイム情報)に基づいて圧力を調整するように構成される。図1との関連で説明したように、手術システムは、ある事象が発生したと決定すると物質の送達を自動的に終了する(すなわち、プランジャに圧力を加えることを終了する)ように構成されてもよい。例えば、手術システムは、プランジャへの圧力がある閾値に達した場合に送達を自動的に終了してもよい。別の例では、送達時間がある時間閾値に達したときに、送達を終了してもよい。さらに別の例では、手術システムは、ある体積の物質が送達された場合に送達を終了してもよい。
【0050】
方法400が任意の身体部位の任意の種類の手術に適用可能であり得ることに留意されたい。例えば、本明細書で説明する実施形態は、患者の眼内への粘弾性及び相変化物質の眼内注射を含む眼に関連する手術に適用できる。
【0051】
図5は、粘弾性及び相変化物質に対応する多数の例示的なグラフを図示する。グラフ500は、ある事象(例えば、混合物の生成、空気への物質の暴露、温度変化など)後の時間との関連で物質の粘度変化を図示する。グラフ500は、事象がT0で発生したときの物質の粘度に相当する、μ0を示す。この例に示すように、物質Aの粘度は、期間T0~T1の間にμ0からμ1に増加する。時間入力を考慮して、手術装置は、目標送達流量を達成するために、粘度関数を使用して対応する圧力を決定することができる。例えば、送達全体を通して比較的一定の流量を達成するために、手術装置は、グラフ530に図示する圧力関数を決定してもよい。圧力関数を使用して、手術装置は、グラフ540に示すように、目標流量を一定に保つために送達中にプランジャへの圧力を増加させる。しかしながら、物質Aを送達するときに圧力が一定に保たれる場合、対応する流量は、経時的に指数関数的に減少する。グラフ510は、グラフ520に示す指数関数的に減少する流量をもたらす、物質を送達するときに印加される一定の圧力を図示する。
【0052】
別の例として、粘度は、圧力が印加されるか又は物質が流れ始めるにつれて(剪断応力のため)、低下し得る。この例では、手術装置は、目標流量を一定に保つために、送達中にプランジャへの圧力を減少させてもよい。この例では、物質を送達するときに圧力が一定に保たれる場合、対応する流量は、経時的に指数関数的に増加し得る。他の粘度挙動も考慮される。
【0053】
本明細書に開示する方法は、方法を達成するための1つ若しくは複数のステップ又は作用を含む。方法ステップ及び/又は作用は、特許請求の範囲から逸脱することなく、互いに入れ替えられ得る。換言すれば、ステップ又は作用の具体的な順序の指定がない限り、具体的なステップ及び/又は作用の順序及び/又は使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、項目のリスト「の少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b、又はcの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに複数の同じ要素の任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、並びにc-c-c又はa、b、及びcの他の任意の順序)を網羅することが意図される。
【0055】
本明細書で使用される場合、「決定する(determining)」という用語は、多種多様な作用を包含する。例えば、「決定する」は、算出する、計算する、処理する、導出する、調査する、検索する(例えば、テーブル、データベース、又は別のデータ構造で検索する)、確認する、及びその他を含み得る。また、「決定する」は、受信する(例えば、情報を受信する)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスする)、及びその他を含み得る。また、「決定する」は、解明する、選択する、選ぶ、定める、及びその他を含み得る。
【0056】
前述の説明は、本明細書で説明した様々な実施形態を当業者が実施できるようにするために提供される。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者に容易に明らかになり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用されることがある。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す態様に限定されることが意図されるものではなく、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。
【0057】
特許請求の範囲において、単数形での要素への言及は、具体的にそのような定めがない限り、「1つ及び1つのみ(one and only one)」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1つ又は複数(one or more)」を意味するものである。具体的に別段の定めがない限り、「いくつかの(some)」という用語は、1つ又は複数を指す。当業者に知られている又は後に知られることになる、本開示全体を通して説明した様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的等価物は、本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。その上、本明細書に開示したものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず公衆に献呈されることが意図されるものではない。特許請求の範囲のいかなる要素も、「するための手段(means for)」という語句を使用して明示的に列挙されない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではなく、又は方法請求項の場合には、要素は「ためのステップ(step for)」という語句を使用して列挙される。
図1
図2
図3
図4
図5