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特許7418425透光性材料から作成されたハウジング素子を備える内視鏡先端部および内視鏡
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  • 特許-透光性材料から作成されたハウジング素子を備える内視鏡先端部および内視鏡 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】透光性材料から作成されたハウジング素子を備える内視鏡先端部および内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20240112BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61B1/06 531
G02B23/24 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021522999
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 IB2019001083
(87)【国際公開番号】W WO2020084340
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】102018126794.0
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,アン ミン
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/181724(WO,A1)
【文献】特開2005-124776(JP,A)
【文献】特開2002-051971(JP,A)
【文献】特開2002-143083(JP,A)
【文献】国際公開第2012/137737(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0286475(US,A1)
【文献】特開2009-207578(JP,A)
【文献】特開2015-077400(JP,A)
【文献】国際公開第2012/170401(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2019/0246027(US,A1)
【文献】特開2012-090723(JP,A)
【文献】特開昭60-069619(JP,A)
【文献】特開2002-233494(JP,A)
【文献】特開昭60-066223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ(2)と、
カメラ(2)を少なくとも横方向に、少なくとも部分的に囲い、内視鏡先端部(100)の遠位端に延在する、透光性材料から作成されたハウジング素子(1)と、
前記内視鏡先端部(100)の遠位側からみて前記カメラ(2)の真後ろに配置された少なくとも一つの照明部(4)と
前記ハウジング素子(1)内または前記ハウジング素子(1)の近位端に、前記照明部(4)からの光を遠位方向に反射するように、前記照明部(4)よりも近位側に配置された光反射板(19)とを備えることを特徴とする
内視鏡先端部(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの照明部(4)は、遠位側から見たときに前記カメラ(2)の真後ろに配置されていることを特徴とする
請求項1に記載の内視鏡先端部(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの照明部(4)は、前記ハウジング素子の外周から間隔を置いて配置されていることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の内視鏡先端部(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの照明部(4)は、遠位方向に光を出射するように配置されていることを特徴とする
請求項1~のいずれか1つに記載の内視鏡先端部(100)。
【請求項5】
前記カメラ(2)はスリーブ本体により囲まれており、横方向から見た場合に、前記スリーブ本体は、前記カメラ(2)と前記ハウジング素子(1)との間に配置されており、前記スリーブ本体(3)は前記カメラ(2)を遮蔽および保持し、前記カメラ(2)は遠位方向に配置されていることを特徴とする
請求項1~のいずれか1つに記載の内視鏡先端部(100)。
【請求項6】
前記ハウジング素子(1)は、透明なプラスチック材料又はガラスから作成されることを特徴とする
請求項1~のいずれか1つに記載の内視鏡先端部(100)。
【請求項7】
前記内視鏡先端部(100)は、前記カメラ(2)の側方部分に配置されるチャンネル部品を含むことを特徴とする
請求項1~のいずれか1つに記載の内視鏡先端部(100)。
【請求項8】
前記ハウジング素子(1)は、前記スリーブ本体(3)と前記内視鏡先端部の外周との間のスペースを埋めていることを特徴とする
請求項5に記載の内視鏡先端部(100)。
【請求項9】
複数のチャンネル要素は、前記スリーブ本体(3)に組み込まれていることを特徴とする
請求項8に記載の内視鏡先端部(100)。
【請求項10】
前記ハウジング素子(1)は、前記カメラ(2)の遠位側を覆う部分を有することを特徴とする
請求項1~のいずれか1つに記載の内視鏡先端部(100)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の内視鏡先端部(100)を備えた内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ及び照明部を収容するハウジング素子を備える内視鏡先端部および内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の内視鏡では、内視鏡によって観察される領域を照明し、その領域の画像を取り込むための照明部及びカメラが、内視鏡先端部の遠位端に設置される。
【0003】
内視鏡先端部のサイズは小さいため、内視鏡先端部では必要な要素を有利に小さいスペースに収容するためにスペースを節約する必要性が常にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、カメラ及び照明部が有利に取り付けられ、照明部からの光の好適な透過が可能である内視鏡先端部を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する内視鏡先端部によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
有利な展開例が従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明は、カメラと、カメラを少なくとも横方向に、少なくとも部分的に囲い、内視鏡先端部の遠位端に延在する透光性材料から作成されたハウジング素子と、カメラの横方向及び/又はカメラに近接して配置される少なくとも一つの照明部とを備えることを特徴とする内視鏡先端部に関する。
【0008】
照明部は、透光性のハウジング素子の材料中を伝播した光を照射する。このようにして、ハウジング素子は光導波路としての役割を果たす。照明部の光は、ハウジング素子を通って内視鏡先端部の外側の領域へと出射される。これによって、照明部の光は、カメラを通り過ぎてハウジング素子を通って外部へ出射され得る。内視鏡先端部の外側で照明された景色は、カメラによって記録される。
【0009】
本発明に従って、内視鏡先端部の要素の省スペースな配置に関して、および、照明部から外部までハウジング素子の内部を伝搬してガイドされる光に関して、幅広い可能性がある。具体的な例を実施形態において以下に示す。
【0010】
内視鏡先端部において、少なくとも1つの照明部は、遠位側から見たときに前記カメラの真後ろに配置されてもよい。内視鏡先端部の長手方向に見たときに、カメラから横方向に形成された空間は光導波路として又は内視鏡先端部のその他の要素のために使用され得る。これは、細長い内視鏡先端部を具現するのにとりわけ役立つ。照明部から出射された光は、透光性のハウジング素子を通って、カメラを通り過ぎ遠位方向に、および横方向に出射され得る。
【0011】
少なくとも1つの照明部は、カメラの側方にラジアル方向向きに配置され得る。そのため、光は透光性のハウジング素子の材料を通って遠位方向にガイドされ得る。光の伝播は遮断されない。
【0012】
少なくとも1つの照明部は、前記ハウジング素子の外周から間隔を置いて配置され得る。照明部は、ハウジング素子の内部、又は、ハウジング素子の遠位端に配置され得る。このため、照明部は光を透光性のハウジング素子の材料を通してラジアル(横)方向でさえも確実に照射する。
【0013】
少なくとも1つの照明部は、遠位方向に光を照射するように配置されてもよい。代わりに、少なくとも1つの照明部は、ラジアル方向に光を照射するように配置されてもよい。別の代替例では、両方の可能性、すなわち、遠位方向に配置された(遠位方向を向いている)照明部と、ラジアル(横)方向に配置された(ラジアル方向を向いている)照明部とが組み合わされてもよい。
【0014】
前記内視鏡先端部の内部で照明部の近傍に、照明部から出射された光を遠位方向に反射するように、光反射板が配置されてもよい。これにより、内視鏡先端部の遠位方向に当初は伝播し、次いで光反射板によって遠位側の側方に反射された照明部からの光でさえも、透光性のハウジング素子の材料を通ってガイドされ得る。
【0015】
スリーブ本体が、横方向に見たときにカメラとハウジング素子との間に配置されるように前記カメラをスリーブ本体によって取り囲み、スリーブ本体は前記カメラを遮蔽し、保持し、カメラは遠位方向に揃えられてもよい。これにより、カメラは、スリーブ本体によって保護され、遮蔽される。
【0016】
ハウジング素子は、透明なプラスチック材料又はガラスから作成され得る。このため、透明なハウジング素子内で光の有意な伝播が確保される。理想的には、透明なハウジング素子の材料はいかなる曇りもないことが望ましい。透明なハウジング素子の材料は、好ましくは乳白色でも不透明でもない。
【0017】
内視鏡先端部は、カメラの側方部分に配置されるチャンネル部品を含んでもよい。チャンネル部品及びカメラ(それを取り囲むスリーブ本体の有無に関わらず)が互いにできる限り密接に配置されるコンパクトな構造が実現可能である。このようにして、光をガイドすることができない内視鏡先端部に設けられた要素(チャンネル部品及びカメラ等)を集中させて、残りのスペースに光の伝搬のための透明なハウジング素子の材料を配置可能である。
【0018】
ハウジング素子が、スリーブ本体と内視鏡先端部の外周との間のスペースを埋めてもよい。その場合、スリーブ本体と内視鏡先端部の外周との間のスペースは透明であるため、光の伝搬に利用され得る。
【0019】
複数のチャンネル要素がスリーブ本体に内蔵されてもよい。このようにして、光をガイドすることができない要素(チャンネル要素等)をいずれにしろ光をガイドすることができないスリーブ本体内に移すので、光の伝搬のための透明なハウジング素子の材料のためにより広いスペースを確保可能である。
【0020】
ハウジング素子内に、少なくとも1つの光整形素子が所定部位に一体的に形成されてもよい。代わりに、ハウジング素子内に、少なくとも1つの光整形素子が所定の部位に単独の素子として埋設されてもよい。そのため、ハウジング素子内の一部位が、照明部によって出射された光を具体的に整形するために利用され得る。従って、光の整形手段は限定されない。好適な如何なる光整形素子が、ハウジング素子内で適宜の数、適宜の位置に利用されてもよい。このようにして、光をガイドできない要素のような光の透過に利用できない領域の近くを光は具体的には通り過ぎることができ、及び/又は内視鏡先端部の内側又は外側の所望の位置にガイドされることができる。
【0021】
ハウジング素子の光整形素子は、ハウジング素子の一部分がレンズ形に形成されるように構成されてもよい。光整形素子はさらに別の形もとり得る。光整形素子の形はハウジング素子内でハウジング素子の材料を圧縮することによって、形成されてもよい。
【0022】
ハウジング素子の光整形素子が少なくとも1つの照明部に隣接して配置されてもよい。照明部から光整形素子の距離は適宜選択されてもよい。
【0023】
ハウジング素子は遠位側にカメラを覆う部分を有してもよい。従って、透明な部材がカメラ用のポートに備えられる。カメラは、透光性の採光カバーを有してもよい。前記採光カバーは、残りのハウジング素子と一体的に形成される。
【0024】
内視鏡は、上記態様の何れか一つに従う内視鏡先端部を備えてもよい。そのような内視鏡は、剛性又は弾性の内視鏡であり得る。本発明は何れの種類の内視鏡にも適用可能である。
【0025】
本発明の上述した態様は適宜に組み合わせられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態の内視鏡先端部の斜視略図である。
図2図1の内視鏡先端部の側面略図である。
図3図1の内視鏡先端部の側面略図である。
図4】第2実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。
図5】第3実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。
図6】第4実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。
図7】第5実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。
図8】第6実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。
図9】第7実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。
図10】第8実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。
図11】第9実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。
【0027】
本発明を、図面を参照して実施形態によって以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
第1実施形態
本発明の第1実施形態を図1図3を参照して以下に説明する。
【0029】
図1は、第1実施形態の内視鏡先端部100の斜視略図である。とりわけ、内視鏡先端部100の遠位端を斜視図で示す。
【0030】
本発明に関わる内視鏡は、内視鏡先端部100を遠位端側に備える。本発明に関わる内視鏡先端部100は円筒形を有する。内視鏡先端部100は、透光性材料から作成されたハウジング素子1を備える。ハウジング素子1は、透明体である。ハウジング素子1内に、カメラスリーブ3によって囲まれたカメラ2が設置される。第1LED4及び第2LED4は、カメラに隣接するプリント回路基板5に配置される。また、処置具挿通チャンネル11及び送水チャンネル12は、内視鏡先端部の軸方向にハウジング素子1を通って延在する。
【0031】
カメラスリーブ3がカメラ2を取り囲むように、カメラ2は既知の方法でカメラスリーブ3内に配置される。カメラは内視鏡先端部の遠位側を向いている。カメラスリーブ3の遠位側端部は、カメラ2から遠位方向に突出する。このようにして、横方向の光がカメラ2に入射するのをカメラスリーブ3の遠位側端部によって遮蔽する。カメラスリーブ3は、好ましくは、内視鏡先端部の長手方向に延在する正方形の環状部位である。カメラ2はカメラスリーブ3に埋設されている。
【0032】
ハウジング素子1はカメラスリーブ3を囲う。より厳密には、カメラスリーブ3は、その側方側と近位側とでハウジング素子1によって囲われている。遠位側でだけ、カメラスリーブ3はハウジング素子1によって覆われない。プリント回路基板5はカメラスリーブ3の近位端の近位側に設置される。プリント回路基板5には、2つのLED4がカメラスリーブ3の側方に、カメラスリーブ3に近接して配置される。プリント回路基板5はカメラスリーブ3の近位端から間隔を置いて配置されてもよい。代替例では、プリント回路基板5は、カメラスリーブ3の近位端に当接又は接触してもよい。
【0033】
また、処置具挿通チャンネル11及び送水チャンネル12は、カメラスリーブ3の延在方向に平行に伸びるように、ハウジング素子1内に軸方向に配置される。本発明に関わる内視鏡先端部100は、内視鏡先端部100の長手方向沿って、互いに平行に延在する処置具挿通チャンネル11及び送水チャンネル12を備える。
【0034】
ハウジング素子1は透明のプラスチック材料又はガラスから作成されている。ハウジング素子1は固体である。例えば、ハウジング素子1は、特別に設計された鋳型を用いて何れかの鋳込成形(射出成形等)によって製造されてもよい。
【0035】
図1に示すように、ハウジング素子1は、内視鏡先端部の長手方向に延在する円筒体を形成する。ハウジング素子1内には、カメラスリーブ3、LED4を含むプリント回路基板5、処置具挿通チャンネル11及び送水チャンネル12が、円筒形のハウジング素子の外周から間隔を置いて配置される。
【0036】
ハウジング素子1内では、LED4はハウジング素子1を構成する材料の少なくとも遠位側の面に当接するように配置される。
【0037】
処置具挿通チャンネル11及び送水チャンネル12の夫々は、処置具挿通チャンネル11の内周壁と、送水チャンネル12の内周壁とがハウジング素子1によって形成されるようにハウジング素子1内に構成される。
【0038】
図2は、図1の内視鏡先端部の側面略図である。とりわけ、図2図1を左側から見た内視鏡先端部の側面略図である。
【0039】
図2に示すように、内視鏡先端部100は挿入管120の遠位端に位置する。処置具挿通チャンネル11と、送水チャンネル12(図2では不図示)と、LED4(図2では不図示)を含むプリント回路基板5用の電気接続とは近位側から延びる。カメラスリーブ3はハウジング素子1の材料で囲われている。
【0040】
図3図1の内視鏡先端部の側面略図である。とりわけ、図3図1を上方から見た内視鏡先端部の側面略図である。
【0041】
図3に示されるように、2つのLED4は遠位方向を向くように、プリント回路基板5に配置される。このため、2つのLED4は主に遠位方向に光を出射する。LED4によって出射された光は、透明のハウジング素子1を通り抜ける。ハウジング素子1の材料と設計は、光がハウジング素子1内を好ましくは遮断されずに伝播するように選択される。好ましくは、ハウジング素子1の材料は乳白色でも不透明でもない。従って、LED4によって出射された光は、LED4から遠位側及び横方向であるハウジング素子1の外側の領域を照射する。
【0042】
実施形態の効果
本発明に関わる内視鏡先端部100では、LED4は、内視鏡先端部100の外側の観察すべき景色を照明するために光を出射する。LED4によって出射された光は、透明のハウジング素子1を通過し、ハウジング素子1から出てくる。ハウジング素子1は透明なので、ハウジング素子1は光導波路としての役割を果たす。ハウジング素子1内での光の伝播は、ハウジング素子1自身によって遮られることはない。このため、効率的な光の放射が確保される。同様の効果が以下に記載されるさらに別の実施形態からももたらされる。
【0043】
第2実施形態
本発明の第2実施形態を、図4を参照して以下に説明する。
【0044】
図4は第2実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。第2実施形態は、LED4の配置が第1実施形態と異なる。その他の構造は第1実施形態の構造と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0045】
第2実施形態では、プリント回路基板5は、LED4が配置されるラジアル端側で近位方向に折り曲げられている。LED4は、横方向を向くようにプリント回路基板5に配置される。このため、2つのLED4は、基本的に横方向に光を出射する。つまり、内視鏡先端部のラジアル方向の領域が主に照射される。LED4の光は、LED4とハウジング素子1の外周との間で遮断されずに出てきてもよい。
【0046】
LED4によって出射された光は、透明なハウジング素子1を遮断されずに通過する。従って、LED4によって出射された光は、LED4の遠位側及び近位側に位置するハウジング素子1の外側の領域を照射する。
【0047】
第3実施形態
本発明の第3実施形態を、図5を参照して以下に説明する。
【0048】
図5は、第3実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。第3実施形態は、プリント回路基板の構造とLED4の配置が第2実施形態と異なる。その他の構造は第1実施形態及び第2実施形態の構造と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0049】
第3実施形態では、プリント回路基板5は、LED4が配置されるラジアル端側で遠位方向に折り曲げられている。この例でも、LED4は横方向を向くようにプリント回路基板5に配置される。このため、2つのLED4は、基本的に横方向に光を出射する。従って、内視鏡先端部のラジアル方向の領域が主に照射される。
【0050】
LED4によって出射された光は、透明なハウジング素子1を通過する。従って、LED4によって出射された光は、LED4の遠位側及び近位側に位置するハウジング素子1の外側の領域を照射する。
【0051】
第4実施形態
本発明の第4実施形態を、図6を参照して以下に説明する。
【0052】
図6は、第4実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。第4実施形態はLEDの配置が第1実施形態と異なる。その他の構造は第1実施形態の構造と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0053】
第4実施形態では、LED4は内視鏡先端部の遠位側から見たときに、カメラスリーブ3の真後ろに単一の又は複数個のLED4群として配列される。LED4はカメラスリーブ3に当接、接触、又はカメラスリーブ3から幾分間隔を置いて配置されてもよい。
【0054】
LED4がカメラスリーブ3から幾分間隔を置いて配置されるとき、LED4は、基本的に遠位方向に光を出射するように配置される。その際、光が透明なハウジング素子1を透過する。光は、透明なハウジング素子1内を伝播し、内視鏡先端部から遠位方向及び輻射方向(すなわち、横方向)の領域を照射する。
【0055】
あるいは、LED4は、主に横方向に光を出射するように配置されてもよい。このため、内視鏡先端部のラジアル方向の領域が主に照射される。
【0056】
第4実施形態の別の代替例として、1又は複数個のLED4が遠位方向及び横方向に光を出射する。
【0057】
第5実施形態
本発明の第5実施形態を、図7を参照して以下に説明する。
【0058】
図7は、第5実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。LED4の配置に関して、第5実施形態は第1実施形態及び第2実施形態の組み合わせである。その他の構造は第1実施形態の構造と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0059】
第5実施形態では、プリント回路基板5は、ラジアル端側で近位方向に折り曲げられている。近位方向に折り曲げられたプリント回路基板5の端部では、LED4が第2実施形態と同様に配置される。内視鏡先端部(すなわち、カメラスリーブ3)の中心線から見て、その端部の折り目より前方に位置するプリント回路基板5の領域には、さらに別のLED4が第1実施形態と同様に遠位方向を向くようにプリント回路基板5に配置されている。
【0060】
そのため、第5実施形態では、2つのLED4が基本的には横方向に光を出射し、さらに別の2つのLED4が基本的に遠位方向に光を出射する。
【0061】
従って、LED4によって出射された光は、LED4から遠位方向に及び近位横方向に位置するハウジング素子1の外側の領域を照射する。
【0062】
第6実施形態
本発明の第6実施形態を、図8を参照して以下に説明する。
【0063】
図8は第6実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。第6実施形態は、カメラ2及びカメラスリーブ3の構造ならびに送水チャンネル12の配置が第1実施形態と異なる。その他の構造は第1実施形態及び第2実施形態の構造と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0064】
第6の実施形態では、カメラ2は少なくとも1辺でカメラスリーブ3から間隔を置いて配置されるように、カメラスリーブ3内に配置される。従って、カメラ2はカメラスリーブ3内で単体の要素として配置されてもよい。あるいは、カメラスリーブ本体(不図示)がカメラスリーブ3に平行に延在するように、カメラ2はカメラスリーブ3内のカメラスリーブ本体(不図示)に埋設して配置されてもよい。この場合、カメラスリーブ3はカメラ2が内蔵されたカメラスリーブ本体を取り囲む。
【0065】
カメラスリーブ3内には、カメラスリーブ3の内壁とカメラ2との間のチャンネル部品として、送水チャンネル12が配置される。送水チャンネル12はカメラスリーブ3に平行に延在する。
【0066】
第6実施形態では、送水チャンネル12がカメラスリーブ3内に配置される。このため、LED4が横方向及び遠位方向に光を出射する領域においては、ハウジング素子1に送水チャンネル12が設けられていない。その結果、第6実施形態では、ハウジング素子1内で光の伝播を阻害し得る要素がハウジング素子1内にほとんど配置されていない。
【0067】
第7実施形態
本発明の第7実施形態を、図9を参照して以下に説明する。
【0068】
図9は第7実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。第7実施形態は、光学レンズ18がハウジング素子1に配置されている点で第1実施形態と異なる。その他の構造は第1実施形態及び第2実施形態の構造と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0069】
光学レンズ18は光整形素子としての役割を果たす。光学レンズ18はLED4の発光領域に近接して配置される。そのため、光学レンズ18は、LED4によって出射された光を拡散させることが可能である。このようにして、光学レンズ18が割り当てられたLED4の発光角度が拡がり得る。
【0070】
光学レンズ18は、ハウジング素子1の製造中に、前もって作成されたレンズとしてハウジング素子1材料に埋設されてもよい。
【0071】
別の変形例において、光学レンズ18は、ハウジング素子1自身の材料から所定の部位にハウジング素子1の材料に一体的に形成される。このため、遠位側に開口を有する鋳型が使用される。開口の中には、外部から開口の中に挿入され得る可動式のパンチが設置され、その内面には、形成されるレンズに対応する部分を含む。鋳型は、ハウジング素子1を形成する材料で充填される。前記材料を冷却する前に、パンチを、注入されたハウジング素子1の材料を圧縮するために進入させる。このようにして、ハウジング素子1の材料を圧縮してレンズを形成する。次いで、ハウジング素子1の材料を硬化してもよい。レンズを作成する役割を果たした結果としてハウジング素子1の遠位側に生じる開口は、そのまま残されてもよい。あるいは、硬化する前にハウジング素子1の材料によって補充されてもよい。
【0072】
第7実施形態では、光学レンズ18が所定部位にLED4と関連づけて配置されているので、LED4の光はハウジング素子1へ、ハウジング素子1から、充分によく発せられる。
【0073】
レンズ以外の光整形素子もまた適用可能である。光束化、光分散、光の屈折等のいずれのタイプの光整形も、ハウジング素子1に一体的に設けられた特定の素子又は別々に埋設された素子によって提供され得る。
【0074】
第8実施形態
本発明の第8実施形態を、図10を参照して以下に説明する。
【0075】
図10は第8実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。第8実施形態は、反射板19がハウジング素子1内又はハウジング素子1の近位端に配置されている点で、第4実施形態と異なる。その他の構造は第4実施形態の構造と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0076】
反射板19は、反射層としてハウジング素子1の縁部に適用されてもよい。あるいは、反射板19は、ハウジング素子1内で、反射体として埋設されてもよい。
【0077】
反射板19はLED4に対して好ましくは近位側に配置される。
【0078】
第8実施形態では、LED4は、近位側に光を出射するように配置され得る。
【0079】
従って、光は、LED4から近位側に反射板19に向かって出射され、反射板19によって遠位側に反射され得る。ハウジング素子1の材料を介した光照射は反射板19によって向上され得る。
【0080】
第9実施形態
本発明の第9実施形態を、図11を参照して以下に説明する。
【0081】
図11は第9実施形態の内視鏡先端部の側面略図である。第9実施形態は、カメラスリーブ3及びカメラ2の遠位側がハウジング素子1の一部分で覆われている点で第4実施形態と異なる。その他の構造は第4実施形態の構造と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0082】
カメラスリーブ3及びカメラ2の遠位側は、ハウジング素子1の材料によって覆われている。ハウジング素子1の材料は透明である。カメラ2から遠位側の部分は透明なカメラカバーとして機能する。前記透明なカメラカバーは残りのハウジング素子1と一体的に形成されている。そのため、記録すべき観察された景色の画像情報は、外部からハウジング素子1の材料を通ってカメラ2へと進入し得る。
【0083】
代替例
説明された実施形態はあらゆる技術的矛盾が生じない限り、適切に組み合わせられ得る。一例を挙げると、各実施形態において1つ又は複数の反射板19を使用してもよい。複数の反射板19がハウジング素子1内又はハウジング素子1の異なる適切な位置に配置されてもよい。
【0084】
LED4の数は限定されない。1つ又は複数個のLED4が使用されてもよい。
【0085】
プリント回路基板5は省略してもよい。この場合、LED4は別々に制御され得る。
【0086】
本実施形態のLED4は照明部の単なる一例に過ぎない。LED4の代わりに、光ファイバーも照明部として使用され得る。
【0087】
例えば第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態といったいくつかの実施形態では、2つの夫々のLED4が内視鏡先端部の断面図で示されている。各々の実施形態の夫々の断面図は図1を考慮した上面図に相当する。本発明はこれらに限定されない。LED4は、ハウジング素子1内の適宜な位置でカメラスリーブ3を囲むように配置されてもよく、ハウジング素子1から近位側に配置されてもよい。
【0088】
第6実施形態では、送水チャンネル12はカメラスリーブ3内に配置されてもよい。あるいは、送水チャンネル12の代わりに、又は送水チャンネル12に加えて、処置具挿通チャンネル11をカメラスリーブ3内に配置してもよい。このようにして、ハウジング素子1内に伝搬する光を阻害し得る要素がハウジング素子1にはほとんどなくなる。
【0089】
第7実施形態の光整形素子はその他の実施形態にも適用されてもよい。とりわけ、第4実施形態における光の伝播に関して、光整形素子は、遠位側から見たときに、カメラスリーブ3の後ろに配置されたLED4からの光が遠位側に到達するように有意に使用され得る。
【0090】
当業者にとって既知である様々な手段(反射板、光整形素子等)によって、光はハウジング素子1内で、進路を変えたり、集中させたり、反射させたり、散乱されたり、増強されたりできる。
【符号の説明】
【0091】
1 ハウジング素子
2 カメラ
3 カメラスリーブ(スリーブ本体)
4 LED(照明部)
5 プリント回路基板
11 処置具挿通チャンネル
12 送水チャンネル
18 光学レンズ(光整形素子)
19 反射板(光反射板)
100 内視鏡先端部
120 挿入管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11