IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンジンホ エフェクト インクの特許一覧

特許7418437アディポネクチン由来ペプチドを含む発毛促進用組成物
<>
  • 特許-アディポネクチン由来ペプチドを含む発毛促進用組成物 図1
  • 特許-アディポネクチン由来ペプチドを含む発毛促進用組成物 図2
  • 特許-アディポネクチン由来ペプチドを含む発毛促進用組成物 図3
  • 特許-アディポネクチン由来ペプチドを含む発毛促進用組成物 図4
  • 特許-アディポネクチン由来ペプチドを含む発毛促進用組成物 図5
  • 特許-アディポネクチン由来ペプチドを含む発毛促進用組成物 図6
  • 特許-アディポネクチン由来ペプチドを含む発毛促進用組成物 図7
  • 特許-アディポネクチン由来ペプチドを含む発毛促進用組成物 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】アディポネクチン由来ペプチドを含む発毛促進用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20240112BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20240112BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20240112BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20240112BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240112BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240112BHJP
   C07K 5/10 20060101ALI20240112BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20240112BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20240112BHJP
【FI】
A61K8/64
A61P17/14
A61K38/07
A61K38/08
A61K38/10
A61Q7/00
A61Q5/02
A61Q5/12
C07K5/10
C07K7/06 ZNA
C07K14/47
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021535476
(86)(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2018010236
(87)【国際公開番号】W WO2020050428
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-08-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521089199
【氏名又は名称】ジョンジンホ エフェクト インク
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジンホ
(72)【発明者】
【氏名】クォン オサン
(72)【発明者】
【氏名】キム ウンジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジンヨン
(72)【発明者】
【氏名】リ ドンフン
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0222077(US,A1)
【文献】WON ,C. H.,et al.,Hair growth-promoting effects of adiponectin in vitro. , J Invest Dermatol.(2012 Dec),Vol.132,No.12,p.2849-2851
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C07K
A61K38/00
REGISTRY/CAPLUS/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号16のアミノ酸配列のアディポネクチン由来ペプチドを有効成分として含有する、発毛促進用化粧料組成物。
【請求項2】
配列番号16のアミノ酸配列のアディポネクチン由来ペプチド及び配列番号21のアミノ酸配列のアディポネクチン由来ペプチドを有効成分として含有する、発毛促進用化粧料組成物。
【請求項3】
前記アディポネクチン由来ペプチドを0.001から20mMの濃度で含有する、請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記化粧料組成物は、頭皮トリートメント剤、せっけん、ヘアトニック、シャンプー、リンス、ヘアパック、ヘアジェル、ローション、コンディショナー、ヘアオイル、ムース、クリーム、固形剤、溶液剤、乳剤、分散剤、ミセル、リポソーム、軟膏剤、化粧水、エッセンス、パッチ及び噴霧剤の剤形からなる群より選択されるいずれか一つの剤形を有する、請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
配列番号16のアミノ酸配列のアディポネクチン由来ペプチドを有効成分として含有する、発毛促進用薬学的組成物。
【請求項6】
配列番号16のアミノ酸配列のアディポネクチン由来ペプチド及び配列番号21のアミノ酸配列のアディポネクチン由来ペプチドを有効成分として含有する、発毛促進用薬学的組成物
【請求項7】
前記アディポネクチン由来ペプチドを0.001から20mMの濃度で含有する、請求項5又は6に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アディポネクチン(adiponectin)から由来されるペプチド断片(peptide fragmentまたはsmall peptide)を含む発毛促進用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の毛髪は約130万個以上、頭髪は10万~15万個であり、それぞれの毛髪は互いに異なる周期を有し、成長期(anagen、the active growth phase)、退行期(catagen、the apoptotic regression phase)、休止期(telogen、the resting phase)の3段階の周期を経て成長、維持及び脱落する。このような周期は3~6年にかけて繰り返されるところ、その結果、正常には一日平均50~100個の毛髪が脱落することになる。一般に「脱毛」とは、毛髪や毛がある原因によって正常より少ないかない状態を意味する。
【0003】
現代の脱毛の原因には、男性ホルモンの作用などの内的要因、または日常生活での精神的なストレス、頭皮での過酸化脂質の蓄積などの外的要因があり、このような要因が複雑に関与して脱毛症状を現すものと知られている。最近は、男性型脱毛だけでなく、食生活の変化、社会環境などによるストレスの増加によって女性脱毛の人口も増加している傾向であり、前記のような頭皮及び毛髪の異常症状で悩む人口が漸次増加しており、その年齢も低くなっている。
【0004】
前記幾多の要因中、男性ホルモンが脱毛に及ぼす影響を検討すれば、テストステロンが体内の5アルファ-レダクターゼ(5α-reductase)酵素と結合してジヒドロキシテストステロン(dihydroxytestosterone:以下「DHT」と記す)を生成するようになり、このDHTは、毛根のアンドロゲン受容体と結合して毛根の毛嚢の生成を阻害するのに支配的な影響を与えるようになる。よって、5α-レダクターゼ酵素の抑制剤を用いて脱毛防止効果物質を開発しようとする研究が現在活発に進められている。脱毛は、酵素作用の他にも、栄養不足、頭皮乾燥、ストレスなどによっても発生し得るので、このような原因による脱毛の場合、十分な栄養の供給、頭皮の管理、及び抗酸化物質の摂取または投与で脱毛を防止し、発毛を促進することができる(韓国公開特許第10-2016-0070508号公報)。
【0005】
現在市販中の発毛剤には、米国のアップジョン社製のミノキシジル(minoxidil)、イタリアのクリノス(Crinos,Co.)社製のトリコサッカライド(trichosaccharide)などを主成分とする製剤が用いられているが、明らかな効果の不在及び副作用の問題が頭をもたげている。さらに、メルク(Merck)社によって前立腺肥大症の治療剤として開発されてから脱毛症の治療に導入されたプロペシア(Propecia、成分名:フィナステリド(finasteride))は、毛嚢で男性ホルモンテストステロン代謝に作用する酵素である5α-レダクターゼの活性を抑制させる物質として知られているが、継続的に服用しなければならず、性機能の減少やアレルギー、うつ病などの副作用を誘発するという問題点がある。
【0006】
また、女性脱毛は、頭皮の発達が頭蓋骨より早く停止するため、老化の進行に伴って頭皮に血流障害が発生するのが原因中の一つと知られているなど、複合的な原因によって発生するものと知られている。よって、前記のようなホルモン抑制などの狭小な治療は、近視眼的な処方に過ぎないという問題点があった。
【0007】
このような問題点を考慮し、天然物由来の抽出物を有効成分に含有することにより、毒性がないうえに、長期の使用にも副作用が発生しない脱毛防止または毛髪成長促進用組成物に関する研究が進められているが、天然物由来の抽出物を含有する関連製品の場合、期待水準の脱毛防止、発毛促進及び毛髪改善の効果を奏するに足りない場合が多かった(韓国公開特許第10-2016-0021086号公報)。
【0008】
一方、アディポネクチンは、脂肪細胞から特異的に分泌されるタンパク質ホルモンであるアディポカインの一種であって、インスリンの機能を増進させてインスリン抵抗性を誘導することにより、高血糖、高インスリン症、肥満、動脈硬化のような心血管疾患などの調節に重要な役割を担う。さらに、アディポネクチンには癌細胞の転移と炎症反応を抑制する機能がある。アディポネクチンは、角質細胞の増殖だけでなく、皮膚でフィラグリン(filaggrin)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)と細胞外マトリックスの発現を促進することにより、創傷の治癒、繊維化の抑制、肌しわの改善、保湿などの機能を行う(韓国公開特許第10-2015-0032401号公報)。併せて、アディポネクチンは、試験管内で毛髪成長促進の効果があることが公開されている。
【0009】
アディポネクチンは、244個のアミノ酸で構成され、信号配列(signal sequence)、N-末端(N-terminal)に位置したコラーゲン様ドメイン、及びC-末端に位置したC1q様球状ドメイン(globular domain)からなっている。六量体(hexamer)と400kDaの高分子複合体(HMW complex)が主なオリゴマー(oligomer)であって、前記高分子複合体は、低分子複合体(LMW complex)より活性がさらに高いものと知られている。
【0010】
従来に多様な生理的活性を有するものと知られているアディポネクチン由来のペプチドの開発は、その間国内外の多くの研究者と製薬会社の標的となってきたが、体内重合体の形成の困難さで最終成功の可能性が相対的に低かった。よって、皮膚に塗布でき、かつ優れた生理的活性を有するアディポネクチン由来の短いペプチドの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、アディポネクチン由来ペプチドを含有する発毛促進用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は、配列番号1から配列番号21のアミノ酸配列からなる群より選択されるアディポネクチン由来ペプチド中の一つ以上を有効成分として含有する発毛促進用化粧料組成物または薬学的組成物を提供する。
【0013】
本発明の一具現例によれば、本発明の組成物は、配列番号16及び配列番号21からなる群より選択されるアディポネクチン由来ペプチド中の一つ以上を有効成分として含有するのが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0014】
本発明の一具現例によれば、前記アディポネクチン由来ペプチドは、化粧料組成物または薬学的組成物に0.001から20mMの濃度で含有されてよいが、これに限定されるものではない。
【0015】
本発明の他の具現例によれば、前記化粧料組成物は、頭皮トリートメント剤、せっけん、ヘアトニック、シャンプー、リンス、ヘアパック、ヘアジェル、ローション、コンディショナー、ヘアオイル、ムース、クリーム、固形剤、溶液剤、乳剤、分散剤、ミセル、リポソーム、軟膏剤、化粧水、エッセンス、パッチまたは噴霧剤の剤形から選択されてよいが、これに限定されるものではない。
【0016】
さらに、本発明は、薬学的または化粧品学的に有効な量の配列番号1から配列番号21のアミノ酸配列からなる群より選択されるアディポネクチン由来ペプチド中の一つ以上を個体に処理または投与するステップを含む発毛促進方法を提供する。
【0017】
本発明の一具現例によれば、前記個体は人間であってよいが、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、発毛促進の効果があるアディポネクチン由来ペプチドを含む組成物に関し、前記アディポネクチン由来ペプチドは、毛嚢の毛乳頭細胞及び外毛根鞘細胞の細胞分裂を活性化させ、毛嚢における毛髪の成長を促進し、さらに毛乳頭細胞で毛髪成長因子の発現を増加させるので、前記アディポネクチン由来ペプチドを含む組成物は、発毛の促進及び脱毛の抑制に効果的に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のアディポネクチン由来ペプチドの皮膚透過度テストの結果を示す写真である。
図2】本発明のアディポネクチン由来ペプチドがヒト毛嚢由来の毛乳頭細胞及び外毛根鞘細胞において細胞分裂及び活性化に及ぼす影響を示すグラフであって、Conは陰性対照群、Mnxは陽性対照群として用いられたミノキシジル、P1-2はアディポネクチンペプチド陽性対照群、P3からP10は、本発明で製造されたアディポネクチン由来ペプチドを表す。
図3】本発明のアディポネクチン由来ペプチドがヒト毛嚢の成長に及ぼす影響を示すグラフ及び写真である。
図4】本発明のアディポネクチン由来ペプチドを処理した毛嚢の周辺に発現しているKi-67陽性細胞に対する蛍光染色写真である。
図5】本発明のアディポネクチン由来ペプチドがヒト毛嚢の毛乳頭細胞において毛髪成長因子の発現に及ぼす影響を示すグラフである。
図6】本発明のアディポネクチン由来ペプチドがヒト外毛根鞘細胞においてアディポネクチン受容体の下位信号伝達タンパク質のリン酸化に及ぼす影響を示す電気泳動写真である。
図7】本発明のアディポネクチン由来ペプチドが毛髪の生長期誘導に及ぼす影響を示す写真である。
図8】本発明のアディポネクチンペプチドがアディポネクチンタンパク質内に存在する構造的な位置に対する結晶構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前記目的を達成するために、本発明は、配列番号1から配列番号21のアミノ酸配列からなる群より選択されるアディポネクチン由来ペプチド中の一つ以上を有効成分として含有する発毛促進用化粧料組成物または薬学的組成物を提供する。
【0021】
本発明のアディポネクチン由来ペプチドは、アディポネクチンから由来される4個のアミノ酸(4-mer)または5個のアミノ酸(5-mer)の長さを有するペプチド断片であって、下記表1に記載されているアミノ酸配列を有する。
【0022】
【表1】
【0023】
本発明の一具現例によれば、前記アディポネクチン由来ペプチドは、化粧料組成物内に0.001から20mMの濃度で含有されるのが好ましく、0.01から10mMの濃度で含有されるのがさらに好ましいが、これに限定されない。前記ペプチドの濃度が0.001mM未満であれば、発毛促進または脱毛抑制の効果を得難く、20mMを超過すれば、含有量の増加による明らかな効果の増加が現われないため、生産経済性が落ちるという問題点がある。
本発明のペプチドは、一般的な化学合成、例えば、固相ペプチド合成技術(solid-phase peptide synthesis)によって製造されてよく、前記ペプチドをコーディングする核酸を含有する組換えベクターに形質転換された微生物を培養して前記ペプチドを発現させた後、通常の方法で精製して製造してもよいが、これに限定されない。
【0024】
本発明に係る化粧料組成物は、前記ペプチドの他に、本発明が目的とする効果を損傷させない範囲内で、好ましくは、前記ペプチドの効果に相乗効果を与えることができる他の成分をさらに含有することができる。例えば、本発明の化粧料組成物は、発毛促進の効果が知られている任意の他の物質だけでなく、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料などの通常の補助剤、または担体を含むことができる。
【0025】
本発明の化粧料組成物は、その剤形において特に限定されず、本技術分野で通常製造される如何なる剤形にも製造されてよく、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、せっけん、界面活性剤-含有クレンジング、オイル、粉末ファウンデーション、乳濁液ファウンデーション、ワックスファウンデーション及びスプレーなどに剤形化されてよい。他の一方、頭皮トリートメント剤、せっけん、ヘアトニック、シャンプー、リンス、ヘアパック、ヘアジェル、ローション、コンディショナー、ヘアオイル、ムース、クリーム、固形剤、溶液剤、乳剤、分散剤、ミセル、リポソーム、軟膏剤、化粧水、エッセンス、パッチまたは噴霧剤の剤形に製造されてもよい。
【0026】
前記化粧料組成物の剤形がペースト、クリームまたはゲルの場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが利用されてよく、パウダーまたはスプレーの場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーが利用されてよく、特にスプレーの場合は、追加的にクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルなどの推進体を含むことができる。
【0027】
本発明の剤形が溶液または乳濁液の場合は、担体成分として溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が利用されてよく、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0028】
本発明の剤形が懸濁液の場合は、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールなどの液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルなどの懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーまたはトラガカントなどが利用されてよく、界面活性剤含有クレンジングの場合は、担体成分として脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが利用されてよい。
【0029】
本発明の具体的な具現例によれば、本発明のアディポネクチン由来ペプチドは、皮膚に対する透過度に著しく優れ(図1参照)、毛乳頭細胞及び外毛根鞘細胞の細胞分裂を促進させ(図2参照)、毛嚢の成長を促進させることができる(図3参照)。
【0030】
また、本発明の他の具体的な具現例によれば、本発明のアディポネクチン由来ペプチドは、ヒト毛嚢の毛乳頭細胞でFGF7、FGF10、HGF、IGFなどのような毛髪成長因子の発現を増加させ(図4参照)、ヒト外毛根鞘細胞でアディポネクチン受容体の下位信号伝達タンパク質のリン酸化を増加させ(図5参照)、さらに毛髪の生長期を著しく誘導することができる(図6参照)。
【0031】
したがって、本発明のアディポネクチン由来ペプチドは、毛嚢の毛乳頭細胞及び外毛根鞘細胞の細胞分裂を活性化させ、毛嚢での毛髪の成長を促進し、さらに毛乳頭細胞で毛髪成長因子の発現を増加させるので、前記アディポネクチン由来ペプチドを含む組成物は、発毛促進及び脱毛抑制のための化粧料組成物の有効成分として有用に用いられてよい。
【0032】
一方、本発明に係る発毛促進用薬学的組成物の投与経路は、皮膚、口腔、静脈内、筋肉内、動脈内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下または直腸が含まれ、経口または非経口投与が好ましいが、これに限定されない。前記「非経口」は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、病巣内注射または注入の技術を含む。
【0033】
本発明の薬学的組成物は、本発明に係るアディポネクチン由来ペプチドに追加して同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上含有することができる。前記組成物は、それぞれ通常の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して用いられてよい。
【0034】
経口投与のための固形製剤には、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、軟質カプセル剤、丸薬などが含まれる。経口のための液状製剤には、懸濁剤、経口液剤、乳剤、シロップ剤などが該当され、一般に用いられる単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に多様な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてよい。非経口投与のための製剤には、それぞれ通常の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、滅菌された水溶液、液剤、非水性溶剤、懸濁剤、エマルジョン、シロップ、坐剤、エアロゾルなどの外用剤、及び滅菌注射製剤の形態に剤形化して用いられてよく、好ましくは、クリーム、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはパップ剤の皮膚外用薬学的組成物を製造して用いてよいが、これらに限定するものではない。非水性溶剤、懸濁剤には、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物性油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが用いられてよい。坐剤の基剤には、ウイテプゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイーン(tween)61、カカオバター、ラウリン脂肪、グリセロゼラチンなどが用いられてよい。
【0035】
前記組成物は、防腐剤、安定化剤、水和剤または乳化促進剤、浸透圧調節のための塩及び/または緩衝剤などの補助剤、及びその他治療的に有用な物質をさらに含有してよく、通常の方法である混合、顆粒化またはコーティングの方法によって剤形化することができる。
【0036】
本発明の薬学的組成物は、個体の年齢、体重、一般的な健康、性別、投与時間、投与経路、排出率、薬物配合及び特定疾患の重症度を含んだ幾多の要因によって多様に変わり得る。
【0037】
本発明の前記アディポネクチン由来ペプチドを有効成分として含有する薬学的組成物を単位容量の形態に剤形化する場合、有効成分として前記アディポネクチン由来ペプチドが約0.01から1,500mgの単位容量で含有されるのが好ましく、成人の治療に必要な投与量は、投与の頻度と強度に従って一日に約1から500mgの範囲が普通であるが、これに限定されない。成人に筋肉内または静脈内投与する際、一回の投与量には一日に普通約5から300mgの全体投与量であれば十分なはずであるが、一部患者の場合はさらに高い一日投与量が好ましいことがある。本発明の組成物は、単独で、または手術、放射線治療、ホルモン治療、化学治療及び生物学的反応調節剤を用いる方法と併用して用いることができる。
【0038】
さらに、本発明は、薬学的または化粧品学的に有効な量の配列番号1から配列番号21のアミノ酸配列からなる群より選択されるアディポネクチン由来ペプチド中の一つ以上を個体に処理または投与するステップを含む発毛促進方法を提供する。
【0039】
前記薬学的または化粧品学的に有効な量とは、0.0001から100mg/kgであり、好ましくは0.001から10mg/kgであり、これに制限されるものではない。処理または投与の量は、特定患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与期間、投与方法、消失率、疾患の重症度などにより調節されてよい。処理または投与は一日に一回投与してもよく、数回に分けて実施してもよい。
【0040】
前記個体は脊椎動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくは人間または鼠、兎、モルモット、ハムスター、犬、猫などの実験動物であり、最も好ましくは人間であってよいが、これらに限定されるものではない。
【0041】
前記処理または投与の方法は、塗布、経口または非経口投与してよく、非経口投与の際は腹腔内注射、直腸内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射、子宮内硬膜注射、脳血管内注射または胸部内注射によって投与されてよい。
【0042】
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。
【0043】
しかし、下記実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例によって限定されるものではない。
【0044】
実施例1.アディポネクチン由来ペプチドの製造
【0045】
本発明のペプチドを合成するためにメリフィールド(Merrifield)のSPPS(Solid PhasePeptide Synthesis)法(J.Am.Chem.Soc.、85(14)、2149-2154)を利用した。先ず、本発明のペプチド合成のために2-クロロトリチルクロリド(CTC)樹脂を利用して合成を開始し、初ステップのFmoc(9-fluorenylmethoxy carbonyl)アミノ酸は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(N,N-diisopropylethylamine、DIEA)を用いてジクロロメタン(dichloromethane、DCM)溶媒下でカップリングした。その次のステップのFmocアミノ酸からは、HATU(N-[(ジメチルアミノ-)-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-1-イル-メチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド)と1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、あるいはHBTU(N-[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)(ジメチルアミノ)メチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド)とヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)にDIEA(N,N-diisopropylethylamine)を共に用いてカップリングをして行く方法でペプチドの鎖を延長させた。このとき、C-末端からN-末端の方向に合成して行き、アミノ末端にFmoc-アミノ酸をカップリングさせた後、20%のピペリジン溶液でFmoc基を除去(Solid-Phase Synthesis:A Practical Guide(1 ed.).CRC Press.848)し、DMF(Dimethylforamide)で複数回洗浄してからカップリングして行く方法で進めた。最後に、Fmoc-アミノ酸をカップリングさせた後、20%のピペリジン溶液でFmoc基を除去し、カルボン酸とN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)を共に用いてアシル基をカップリングした後、DMFで複数回洗浄して乾燥させた。ここにTFA(Trifuloroacetic acid)-HO-トリイソプロピルシラン(95:2.5:2.5、vol./vol.)溶液を加え、2から3時間反応させて保護基(Protecting group)を除去し、かつ樹脂からペプチドを分離させた後、ジエチルエーテル(diethylether)にペプチドを浸漬させることで、前記表1に記載されたアミノ酸配列を有するそれぞれのペプチドを合成した。
【0046】
前記方法で得た粗(crude)ペプチドは、0.1%のTFAが含まれているアセトニトリル(acetonitrile)と水の勾配溶媒の組成でRP-HPLC(2996 Detector、515 Pump、Waters)を利用して純度を確認し、純度を確認した結果、95%以下のペプチドはPrep-LCで分離精製して97%以上のペプチドを得た。前記ペプチドの正確な成分を確認するために元素分析機(EA1112、CE Instrument、Italy)で元素分析を行った結果、ペプチドの元素別含有量がアミノ酸配列から計算して得た元素別含有量と一致するので、正確なアミノ酸配列を有することを確認した。
【0047】
実施例2.アディポネクチン由来ペプチドの皮膚透過度の測定
【0048】
アディポネクチンは、球形ドメイン(globular domain)を含むさらに小さな単位に分解されることもあり、全長を有するアディポネクチンより球形ドメインを有する小単位の活性が一層高く、このようなアディポネクチンに対する受容体は、アディポネクチン受容体1(AdipoR1)とアディポネクチン受容体2(AdipoR2)と知られている(Crystal structures of the human adiponectin receptors.Nature.2015 Apr 16;520(7547):312-6.doi:10.1038/nature14301)。よって、実施例1で製造された本発明のアディポネクチン由来ペプチドの皮膚透過度を、人肌と最も類似するため一般的に透過度テストに用いられる豚肌を利用して検証した。豚肌の大きさを横、縦2cmに切った後、FITC蛍光付着された当該ペプチドストック(陽性対照群8-mer長さの2番ペプチド、4-mer4番ペプチド)とDMSOを濃度別に準備し、豚肌の上に十分な量で塗布した。光を遮断して37℃のインキュベーターで2時間置いた。LN2を利用して急速冷凍した後に凍結切断(Cryosection)を施行した。DAPI(核染色)で5分間処理した後洗浄し、共焦点顕微鏡で観察した。
【0049】
その結果、本発明のアディポネクチン由来ペプチドは、対照群として用いられた8個アミノ酸の長さのペプチドに比べて皮膚に対する透過度に著しく優れることを確認した(図1)。
【0050】
実施例3.アディポネクチン由来ペプチドがヒト毛嚢由来の毛乳頭細胞及び外毛根鞘細胞において細胞分裂及び活性化に及ぼす影響
【0051】
一次培養したヒト毛嚢由来の毛乳頭細胞及び外毛根鞘細胞をパッセージ2~3まで継代培養した後、従来に脱毛防止及び毛髪成長の治療剤として用いられているミノキシジルを陽性対照群として1mM濃度で処理し、これとは別に、前記実施例1で製造した本発明のアディポネクチン由来ペプチドを0.5及び5μg/mlの濃度で処理した。48時間後に活性化された生きている細胞をMTT溶液で染色し、陰性対照群と比べて細胞の分裂及び活性化度を確認した。
【0052】
その結果、本発明のアディポネクチン由来ペプチドは、毛乳頭細胞及び外毛根鞘細胞の細胞分裂を促進し、特に、アディポネクチン由来ペプチドのうちP5とP10ペプチドと二つのペプチドを組み合わせたものは、陽性対照群として用いられたミノキシジルよりも優れた効果を有していることを確認した(図2)。
【0053】
実施例4.アディポネクチン由来ペプチドがヒト毛嚢の成長に及ぼす影響
【0054】
ボランティアから得たヒト毛嚢を利用して試験管内で毛嚢器官培養試験を行った。従来に脱毛防止及び毛髪成長の治療剤として用いられているミノキシジルを陽性対照群として1mM濃度で処理し、これとは別に、前記実施例1で製造したアディポネクチン由来ペプチドを5μg/mlの濃度で処理し、ヒト毛嚢の成長に及ぼす影響を確認した。ヒト毛嚢培養実験以後3日目、6日目に育つ毛髪の長さを測定し、これを陰性対照群と比べてヒト毛嚢の毛髪成長促進の効果を確認した。
【0055】
その結果、本発明のアディポネクチン由来ペプチドは毛嚢の成長を促進し、特に、アディポネクチン由来ペプチドのうちP5及びP10を組み合わせたアディポネクチンペプチドは、陽性対照群として用いられたミノキシジルよりも有意に毛髪の成長を促進した(図3)。さらに、前記毛嚢を急速冷凍処理した後に組織切片にセクションし、細胞分裂及び活性化のマーカーであるKi-67抗体を利用して組織内の細胞を標識し、Ki-67抗体を検出することができる蛍光二次抗体を利用して蛍光に標識した後、暗室で蛍光顕微鏡を利用して毛嚢の周辺に発現しているKi-67陽性細胞の個数を確認した結果、陰性対照群に比べてP5及びP10を組み合わせたアディポネクチンペプチド群で有意に増加することを確認した(図4)。
【0056】
実施例5.アディポネクチン由来ペプチドがヒト毛嚢の毛乳頭細胞において毛髪成長因子の発現に及ぼす影響
【0057】
一次培養したヒト毛嚢由来の毛乳頭細胞をパッセージ2~3まで継代培養した後、従来に脱毛防止及び毛髪成長の治療剤として用いられているミノキシジルを陽性対照群として1mM濃度で処理し、これとは別に、前記実施例1で製造したアディポネクチン由来ペプチドを0.5及び5μg/mlの濃度で処理した。3時間後、毛乳頭細胞からmRNAを抽出してこれを再びcDNAに合成し、実時間定量的PCR法を利用して陰性対照群と比べ、毛髪成長因子として知られているFGF7、FGF10、HGF及びIGFの発現に及ぼす影響を確認した。
【0058】
その結果、本発明のアディポネクチン由来ペプチドは、FGF7、FGF10、HGF及びIGFの発現を増加させ、特に、最も重要な毛髪成長因子として知られているFGF7及びFGF10の発現を、陽性対照群として用いられたミノキシジルよりも著しく増加させたことを確認した(図5)。
【0059】
実施例6.アディポネクチン由来ペプチドがヒト外毛根鞘細胞においてアディポネクチン受容体の下位信号伝達タンパク質のリン酸化に及ぼす影響
【0060】
アディポネクチンペプチドが実際にアディポネクチン受容体を通じて作用するのか調べるために、一次培養したヒト毛嚢由来の外毛根鞘細胞にアディポネクチン受容体阻害剤を処理した群と処理していない群に分離し、それぞれに前記実施例1で製造したアディポネクチン由来ペプチドを、P5とP10を組み合わせて0、0.05、0.1、0.5、1、5、10μg/mlの濃度で処理し、陽性対照群にはAdipoR1、AdipoR2などのアディポネクチン受容体の選択的作用剤であるアディポロン(adiporon)(AdipoR agonis)を処理した。10分後、前記細胞からタンパク質のみを抽出し、これを精製した後にタンパク質の量を全て一定に定量した。その後、ウェスタンブロット法を利用してそれぞれのタンパク質を大きさ別に分離し、標的タンパク質に特異的な抗体を利用して検出した後、これをペルオキシダーゼ(peroxidase)法を利用して発色した。これを介し、AdipoR1、AdipoR2などのアディポネクチン受容体の下位信号伝達タンパク質であるアセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)及びAMP-活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)のリン酸化に及ぼす影響を確認した。
【0061】
その結果、本発明のアディポネクチン由来ペプチドは、アディポネクチン受容体の下位信号伝達タンパク質であるACC及びAMPKのリン酸化を、陽性対照群として用いられたアディポロンと同じ水準に著しく増加させたことを確認した(図6)。
【0062】
実施例7.アディポネクチン由来ペプチドが毛髪の生長期の誘導に及ぼす影響
【0063】
マウスは、生後7から8週齢に全ての毛が休止期に進入してから、その後、毛は再度生長期に転換される過程を経るものと知られている。よって、C57BL/6マウスを利用して、本発明のアディポネクチン由来ペプチドが前記生長期誘導の過程に及ぼす影響を確認した。マウスの下側背中の皮膚に、従来に脱毛防止及び毛髪成長の治療剤として用いられていたミノキシジル3%と、前記実施例1で製造したアディポネクチン由来ペプチドP5とP10を組み合わせたものとを0.1mMの濃度で毎日1回ずつ塗布した後、毛髪の生長を確認した。
【0064】
その結果、約3週後、最初に毛を除去した部位のうち生長期毛髪が育った部位の割合が、本発明のアディポネクチン由来ペプチドを処理した群で有意に増加し、その後、当該部位の組織検査を施行して生長期毛嚢の形成可否を評価したとき、アディポネクチン由来ペプチドを塗布した群でも、陽性対照群として用いられたミノキシジルを処理した群と類似な程度に毛嚢の形成が促進されたことを確認した(図7)。
【0065】
実施例8.アディポネクチンタンパク質内のアディポネクチンペプチドの構造及び生体内重合体の形成による作用可能性の確認
【0066】
人間に存在するアディポネクチンタンパク質の3次元的構造を分析し、本発明で製造したアディポネクチンペプチドの構造的な位置と生体内アディポネクチン受容体の作用可能性を分析した。
【0067】
その結果、アディポネクチンペプチドの場合、アディポネクチンタンパク質の作用部位として知られている球形ドメインに計3回繰り返してトリマー(trimer)の形態で存在していることが分かり、特に、作用部位の球形ドメインの球形構造の最外側に分布しているため、実際にアディポネクチン受容体に作用し得る可能性が高かった。特に、P5ペプチドの場合は、アディポネクチンタンパク質で3回繰り返すペプチド配列が、3次元タンパク質構造を検討してみたとき、重合体を形成していることを確認することができ、重合体の内部に親油性アミノ酸、重合体の外部に親水性アミノ酸の構成を有するので、実際に親水性物質が多い人体内に透過された場合に再度重合体を形成する様相となり、アディポネクチン受容体に作用する可能性を確認することができた(図8)。
【0068】
実施例9.アディポネクチンペプチド配列の他のタンパク質との重複有無の検索
【0069】
本発明で製造したアディポネクチンペプチドの場合、5-merで構成された短いアミノ酸配列であるため、実際的に人体内に存在する他のタンパク質に含まれているアミノ酸配列と重複される可能性がある。このような場合にアディポネクチンにだけ特異的に存在する配列と見がたく、よって、アディポネクチン受容体に特異的に作用する可能性が低下するという問題がある。そのため、米NCBIで提供するUniProtデータベースを利用して、人体内に存在する全てのタンパク質配列の中でアディポネクチンペプチド配列と重複される配列を検索した。
【0070】
その結果、特に、本発明のP5ペプチドの場合、アディポネクチンタンパク質が属しているC1q補体タンパク質スーパーファミリーにだけ存在することが確認され、アディポネクチンタンパク質に非常に特異的なペプチド配列と確認された。
【0071】
製造例1.化粧料の製造
【0072】
<1-1> 柔軟化粧水の製造
【0073】
本発明のアディポネクチン由来ペプチドを有効成分として含有する柔軟化粧水は、下記表2のように製造した。
【0074】
【表2】
【0075】
<1-2> 栄養クリームの製造
本発明のアディポネクチン由来ペプチドを有効成分として含有する栄養クリームは、下記表3の組成のように製造した。
【0076】
【表3】
【0077】
<1-3> ローションの製造
本発明のアディポネクチン由来ペプチドを有効成分として含有するローションは、下記表4の組成のように製造した。
【0078】
【表4】
【0079】
<1-4> ヘアトニックの製造
下記表5のような組成のヘアトニックを、一般的なヘアトニックの製造方法と同一の方法を用いて製造した。
【0080】
【表5】
【0081】
<1-5> ヘアシャンプーの製造
下記表6のような組成のヘアシャンプーを、一般的なヘアシャンプーの製造方法と同一の方法を用いて製造した。
【0082】
【表6】
【0083】
<1-6> ヘアコンディショナーの製造
下記表7のような組成のヘアコンディショナーを、一般的なヘアコンディショナーの製造方法と同一の方法を用いて製造した。
【0084】
【表7】
【0085】
製造例2.薬学的製剤の製造
【0086】
<2-1> 散剤の製造
本発明のアディポネクチン由来ペプチド・・・・・・・・・2g
【0087】
乳糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1g
【0088】
前記成分を混合して気密袋に充填して散剤を製造した。
【0089】
<2-2> 錠剤の製造
【0090】
本発明のアディポネクチン由来ペプチド・・・・・・・・・100mg
【0091】
とうもろこし澱粉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・100mg
【0092】
乳糖 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100mg
【0093】
ステアリン酸マグネシウム ・・・・・・・・・・・・・・・・2mg
【0094】
前記成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法に従って打錠して錠剤を製造した。
【0095】
<2-3> カプセル剤の製造
【0096】
本発明のアディポネクチン由来ペプチド・・・・・・・・・100mg
【0097】
とうもろこし澱粉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・100mg
【0098】
乳糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100mg
【0099】
ステアリン酸マグネシウム ・・・・・・・・・・・・・・・・2mg
【0100】
前記成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法に従ってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0101】
<2-4> 丸薬の製造
【0102】
本発明のアディポネクチン由来ペプチド・・・・・・・・・・1g
【0103】
乳糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5g
【0104】
グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1g
【0105】
キシリトール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5g
【0106】
前記成分を混合した後、通常の方法によって1丸薬当り4gとなるように製造した。
【0107】
<2-5> 顆粒の製造
【0108】
本発明のアディポネクチン由来ペプチド・・・・・・・・150mg
【0109】
大豆抽出物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50mg
【0110】
葡萄糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・200mg
【0111】
澱粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・600mg
【0112】
前記成分を混合した後、30%のエタノール100mgを添加し、攝氏60℃で乾燥して顆粒を形成した後、袋に充填した。
【0113】
<2-6> 注射液剤の製造
【0114】
本発明のアディポネクチン由来ペプチド ・・・・・・・10μg/ml
【0115】
薄い塩酸BP ・・・・・・・・・・・・・・・・・・pH3.5になるまで
【0116】
注射用塩化ナトリウムBP ・・・・・・・・・・・・・最大1ml
【0117】
適当な容積の注射用塩化ナトリウムBPの中に本発明のTRPV1抑制ペプチドを溶解させ、生成された溶液のpHを薄い塩酸BPを使ってpH3.5に調節した後、注射用塩化ナトリウムBPを使って容積を調節し十分混合した。溶液を透明硝子でなる5mlタイプのIアンプルの中に充填させ、硝子を溶解させることで空気の上部格子の下に封入させ、120℃で15分以上オートクレーブさせて殺菌することで注射液剤を製造した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
0007418437000001.app