(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】異方性組織のせん断波キャラクタリゼーションのための超音波システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/08 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A61B8/08
(21)【出願番号】P 2021539450
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(86)【国際出願番号】 EP2019087135
(87)【国際公開番号】W WO2020144077
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-12-27
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アマドール カラスカル カロリナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニョン フランソワ ガイ ジェラルド マリエ
(72)【発明者】
【氏名】キム スンス
(72)【発明者】
【氏名】シエ フア
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213474(JP,A)
【文献】特表2017-504435(JP,A)
【文献】国際公開第2017/197404(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブと、プロセッサとを備え、異方性組織のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得する
超音波システムの作動方法であって、前記
作動方法は、
前記
プロセッサが、前記プローブに、前記異方性組織の向きに対して複数の異なる角度で超音波ビームを前記異方性組織に向けて送
らせることにより、前記異方性組織から初期音響測定結果を取得
させるステップと、
前記プロセッサが、前記初期音響測定結果の最大値または最小値に関連付けられた角度において第1の撮像平面を決定するステップであって、前記最大値は前記異方性組織の構造に対する第1の向きを示し、前記最小値は前記異方性組織の前記構造に対する第2の向きを示す、ステップと、
前記プロセッサが、第2の撮像平面を決定するステップと、
前記プロセッサが、前記プローブに、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との交差部において第1のせん断波を生成
させるステップと、
前記プロセッサが、前記プローブに、前記第1の撮像平面に沿った前記第1のせん断波の伝播を追跡
させることによって第1のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記プローブに、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部において第2のせん断波を生成
させるステップと、
前記プロセッサが、前記プローブに、前記第2の撮像平面に沿った前記第2のせん断波の伝播を追跡
させることによって第2のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記第1および第2のせん断波エラストグラフィー測定結果に基づいて、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部における前記異方性組織の複合せん断波エラストグラフィー測定結果を生成するステップとを含む、
超音波システムの作動方法。
【請求項2】
前記第2の撮像平面を決定するステップは、
前記プロセッサが、前記初期音響測定結果の前記最大値または前記最小値のうちの他方に関連付けられた角度を決定することを含む、請求項1に記載の
超音波システムの作動方法。
【請求項3】
前記第2の撮像平面を決定するステップは、
前記プロセッサが、前記第1の撮像平面に直交する撮像平面を決定することを含む、請求項1に記載の
超音波システムの作動方法。
【請求項4】
前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部は第1の関心位置であり、前記
作動方法はさらに、
前記プロセッサが、前記第1の撮像平面と、前記第2の撮像平面から離れた追加の撮像平面との交差部における第2の関心位置において追加の複合せん断波エラストグラフィー測定結果を取得するステップを含み、前記追加の複合せん断波エラストグラフィー測定結果を取得するステップは、
前記プロセッサが、前記プローブに、前記第1の撮像平面と前記追加の撮像平面との前記交差部において第3のせん断波を生成
させるステップと、
前記プロセッサが、前記プローブに、前記第1の撮像平面に沿った前記第3のせん断波の伝播を追跡
させることによって第3のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記プローブに、前記第1の撮像平面と前記追加の撮像平面との前記交差部において第4のせん断波を生成
させるステップと、
前記プロセッサが、前記プロセッサに、前記追加の撮像平面に沿った前記第4のせん断波の伝播を追跡
させることによって第4のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記第3および第4のせん断波エラストグラフィー測定結果に基づいて前記追加の複合せん断波エラストグラフィー測定結果を生成するステップとを含む、
請求項1に記載の
超音波システムの作動方法。
【請求項5】
前記異方性組織は心臓組織であり、前記第1の撮像平面は、前記心臓組織の傍胸骨長軸像に対応し、前記第2の撮像平面および前記追加の撮像平面は、傍胸骨短軸大動脈像、傍胸骨短軸僧帽弁像、および傍胸骨短軸心尖像から選択される2つの傍胸骨短軸像に対応する、請求項4に記載の
超音波システムの作動方法。
【請求項6】
前記方法はさらに、
前記プロセッサが、前記心臓組織の前記せん断波エラストグラフィー測定結果のレポートを生成するステップを含み、前記レポートは、前記第1の関心位置および前記第2の関心位置のそれぞれについて2つ以上の異なる複合せん断波エラストグラフィー測定結果を含む、請求項5に記載の
超音波システムの作動方法。
【請求項7】
前記初期音響測定結果を取得するステップは、
前記プロセッサが、前記複数の異なる角度のそれぞれにおいて前記異方性組織からの後方散乱係数を記録するステップを含む、請求項1に記載の
超音波システムの作動方法。
【請求項8】
前記複合せん断波エラストグラフィー測定結果を生成するステップは、
前記プロセッサが、前記第1および第2のせん断波エラストグラフィー測定結果を組み合わせるステップを含む、請求項1に記載の
超音波システムの作動方法。
【請求項9】
前記組み合わせるステップは、
前記プロセッサが、前記第1および第2のせん断波エラストグラフィー測定結果の比、和、または差を計算するステップを含む、請求項8に記載の
超音波システムの作動方法。
【請求項10】
前記超音波システムは、ディスプレイをさらに備え、
前記第1のせん断波エラストグラフィー測定結果の取得前にプローブの撮像平面が前記第1の撮像平面と合わせられるように前記プローブを配置するために、および、前記第2のせん断波エラストグラフィー測定結果の取得前に前記プローブの前記撮像平面が前記第2の撮像平面と合わせられるように前記プローブを再配置するために、
前記ディスプレイが、ガイドを提供するグラフィカルユーザインターフェースを表示するステップをさらに含む、請求項1に記載の
超音波システムの作動方法。
【請求項11】
前記プローブは3Dプローブであり、
前記初期音響測定結果を取得するステップは、
前記プロセッサが、3Dプローブ
に、前記異方性組織を含む立体領域をスキャン
させることで後方散乱測定結果の3Dデータセットを取得するステップを含み、前記第1および第2のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得するステップは、
前記プロセッサが、前記第1の撮像平面を決定した後、前記3Dプローブによって送信されるビームを自動的に操作して前記第1および第2のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得するステップを含む、請求項1に記載の
超音波システムの作動方法。
【請求項12】
超音波信号を送信し、前記超音波信号に応じたエコーを取得することで撮像平面から測定結果を取得するプローブと、
プロセッサとを備える、超音波システムであって、
前記プロセッサは、
前記プローブに、異方性組織の向きに対して複数の角度において前記異方性組織から初期測定結果を取得させ、
前記初期測定結果の最大値または最小値に関連付けられた角度において第1の撮像平面を決定し、ここで、前記最大値は前記異方性組織の構造に対する第1の向きを示し、前記最小値は前記異方性組織の前記構造に対する第2の向きを示し、
第2の撮像平面を決定し、
前記プローブに、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との交差部において第1のせん断波を生成させ、
前記プローブに前記第1の撮像平面に沿った前記第1のせん断波の伝播を追跡させることにより、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部における第1のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得し、
前記プローブに、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部において第2のせん断波を生成させ、
前記プローブに前記第2の撮像平面に沿った前記第2のせん断波の伝播を追跡させることにより、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部における第2のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得し、
前記第1および第2のせん断波エラストグラフィー測定結果に基づいて、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部における前記異方性組織の複合せん断波エラストグラフィー測定結果を生成する、
超音波システム。
【請求項13】
前記プロセッサはさらに、前記異方性組織の周りの複数の異なる関心位置に前記プローブを配置するための位置命令を生成する、請求項12に記載の超音波システム。
【請求項14】
生成された前記位置命令に基づく前記複数の異なる関心位置への前記プローブの配置をガイドするためのフィードバックを表示するディスプレイをさらに備える、請求項13に記載の超音波システム。
【請求項15】
前記プロセッサはさらに、前記異方性組織の前記向きに対して前記複数の角度で撮像平面を配置するための向き命令を生成し、前記ディスプレイはさらに、生成された前記向き命令に基づく前記複数の角度での前記撮像平面の配置をガイドするための向きフィードバック表示を表示する、請求項14に記載の超音波システム。
【請求項16】
前記プロセッサは、撮像平面が前記第1または第2の撮像
平面と一致するとき、それぞれ、前記第1または第2のせん断波エラストグラフィー測定結果を記録するようにユーザに促す、請求項12に記載の超音波システム。
【請求項17】
前記超音波システムは前記プローブおよび前記プロセッサに結合されたセンサをさらに備え、前記センサは、前記プローブの現在の位置および/または向きを決定する、請求項12に記載の超音波システム。
【請求項18】
前記プロセッサはさらに、決定された前記現在の向きに少なくとも部分的に基づいて向き命令を生成する、請求項17に記載の超音波システム。
【請求項19】
前記センサは加速度センサを含む、請求項17に記載の超音波システム。
【請求項20】
前記プロセッサはさらに、記録された前記測定結果に基づいて前記異方性組織の厚さを決定し、決定された前記厚さおよび前記せん断波エラストグラフィー測定結果に少なくとも部分的に基づいて前記異方性組織の硬度を計算する、請求項12に記載の超音波システム。
【請求項21】
前記プローブは2Dマトリックス・アレイ・トランスデューサを含み、前記プロセッサは、決定された前記第1の撮像平面および直交する前記第2の撮像平面に基づいて、前記第1および第2の撮像平面に対する撮像平面の角度を自動的に更新する、請求項12に記載の超音波システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本開示は、心臓組織などの異方性組織を撮像するための超音波システムおよび方法に関し、特に、せん断波エラストグラフィー(SWE)を実行するように構成されたシステムのスキャンプロトコルおよびユーザインターフェースを改善するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[002]カート型の超音波撮像システムなどの超音波撮像システムは、通常、プローブおよびディスプレイと連動して患者などの対象から画像を取得および表示するユーザインターフェースを含む。超音波撮像システムは、組織の機械的特性を決定するためにせん断波エラストグラフィーを使用する可能性がある。せん断波エラストグラフィーは、一般に、生体組織の所与の領域に力を(音響的または機械的に)加え、組織内のせん断波の伝播をモニタリングすることで組織の特性(例えば、組織の硬度(stiffness))を決定するプロセスを伴う。したがって、せん断波エラストグラフィーは、例えば腫瘍の存在を示す可能性のある組織内の異常に硬直した領域を特定するなどのスクリーニングおよび診断目的に使用され得る。
【0003】
[003]組織の種類に応じて特性も異なる。肝臓組織などの特定の種類の組織は一般に等方性であり、つまり、組織の特性は全方向で同じである。他の種類の組織、例えば、筋骨格、血管壁、および心筋組織は異方性であり、組織の特性(例えば、硬度)は、その特性が測定される方向に基づいて変化し得る。組織の異方性は、組織内の繊維の向きに依存し得る。心臓組織などの複雑な異方性組織は、組織の中で配向が変化する繊維を有し、結果として異方性特性が複雑になる可能性がある。したがって、無作為に選択された画像平面での単一の測定結果に基づいて組織硬度の決定を行い得る従来のせん断波エラストグラフィー技術は、心臓組織などの複雑な異方性組織のキャラクタリゼーションには不適切であるおそれがある。したがって、超音波撮像システムの設計者および製造業者は、異方性組織の撮像およびキャラクタリゼーションに使用されるせん断波エラストグラフィーシステムの改善を求め続けている。
【発明の概要】
【0004】
[004]本明細書に記載のシステムおよび方法は、一部の用途では、異方性組織におけるSWE測定の一貫性および/または信頼性を改善することができる。一部の実施形態では、システムおよび方法は組織の異方性をキャラクタリゼーションする方法を提供し得る。
【0005】
[005]本明細書に記載されるように、組織に対して異なる向きを有する様々な撮像平面において初期測定結果セットが取得され得る。初期測定結果を使用して、組織内の構造(例えば、繊維)の向きが決定され得る。初期測定結果を使用して、組織の構造に対して所望の向き(例えば、整列している、直交している)を有する撮像平面が選択され得る。せん断波は選択された撮像平面の交差部において引き起こされ得る。SWE測定結果を取得するために、選択された撮像平面に沿ってせん断波が追跡され得る。選択された撮像平面のそれぞれに沿ったSWE測定結果が提供され、かつ/または複合SWE測定結果を生成するために使用される。初期測定結果を使用してせん断波を追跡するための平面を選択することにより、より一貫性があり、かつ/または信頼性の高いSWE測定結果が取得され得る。複数の異なる選択された撮像平面に沿ったSWE測定結果を互いに組み合わせたり、かつ/または比較することにより、組織の異方性をキャラクタリゼーションする方法が提供され得る。
【0006】
[006]本開示の実施形態によれば、異方性組織のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得する方法は、前記異方性組織の向きに対して複数の異なる角度で超音波ビームを前記異方性組織に向けて送ることにより、前記異方性組織から初期測定結果を取得するステップと、前記初期音響測定結果の最大値または最小値に関連付けられた角度において第1の撮像平面を決定するステップであって、前記最大値は前記異方性組織の構造に対する第1の向きを示し、前記最小値は前記異方性組織の前記構造に対する第2の向きを示す、ステップと、第2の撮像平面を決定するステップと、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との交差部において第1のせん断波を生成するステップと、前記第1の撮像平面に沿った前記第1のせん断波の伝播を追跡することによって第1のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得するステップと、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部において第2のせん断波を生成するステップと、前記第2の撮像平面に沿った前記第2のせん断波の伝播を追跡することによって第2のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得するステップと、前記第1および第2のせん断波エラストグラフィー測定結果に基づいて、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部における前記異方性組織の複合せん断波エラストグラフィー測定結果を生成するステップとを含む。
【0007】
[007]本開示の実施形態によれば、超音波システムは、超音波信号を送信し、前記超音波信号に応じたエコーを取得することで撮像平面から測定結果を取得するプローブと、プロセッサとを含み得る。前記プロセッサは、前記プローブに、異方性組織の向きに対して複数の角度において前記異方性組織から初期測定結果を取得させ、前記初期測定結果の最大値または最小値に関連付けられた角度において第1の撮像平面を決定し、ここで、前記最大値は前記異方性組織の構造に対する第1の向きを示し、前記最小値は前記異方性組織の前記構造に対する第2の向きを示し、第2の撮像平面を決定し、前記プローブに、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との交差部において第1のせん断波を生成させ、前記プローブに前記第1の撮像平面に沿った前記第1のせん断波の伝播を追跡させることにより、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部における第1のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得し、前記プローブに、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部において第2のせん断波を生成させ、前記プローブに前記第2の撮像平面に沿った前記第2のせん断波の伝播を追跡させることにより、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部における第2のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得し、前記第1および第2のせん断波エラストグラフィー測定結果に基づいて、前記第1の撮像平面と前記第2の撮像平面との前記交差部における前記異方性組織の複合せん断波エラストグラフィー測定結果を生成するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[008]
図1は、本開示の一部の例に係る超音波システムの動作環境のブロック図である。
【
図2】[009]
図2は、本開示の一部の例に係る超音波システムのブロック図である。
【
図3】[010]
図3は、本開示の一部の例に係る、複雑な異方性組織からせん断波エラストグラフィー測定結果を収集する方法のブロック図を示す。
【
図4】[011]
図4は、本開示の一部の例に係る超音波システムのディスプレイの例のブロック図である。
【
図5】[012]
図5は、本開示の一部の例に係る超音波システムによって生成されるレポートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[013]特定の実施形態に関する以下の説明は、単なる例示に過ぎず、本発明または本発明の適用もしくは用途を限定するものではない。本発明に係るシステムおよび方法の実施形態に関する以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面が参照され、添付図面には、説明されるシステムおよび方法が実施され得る具体的実施形態が例示されている。これらの実施形態は、当業者が本開示のシステムおよび方法を実施することを可能にするのに十分に詳細に記載されており、他の実施形態も利用可能であること、および本発明に係るシステムの趣旨および範囲を逸脱することなく構造的および論理的変更がなされ得ることを理解されたい。さらに、明瞭さを目的として、当業者には明らかであると考えられる場合、本発明に係るシステムの説明を不明瞭にしないために、特定の特徴の詳細な説明は省かれる。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明に係るシステムの範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0010】
[014]本技術はまた、本実施形態に係る方法、装置(システム)、および/またはコンピュータプログラム製品のブロック図および/またはフローチャート図を参照して以下に説明される。ブロック図および/またはフローチャート図のブロック、並びにブロック図および/またはフローチャート図内のブロックの組み合わせは、コンピュータ実行可能命令によって実装され得ることを理解されたい。これらのコンピュータ実行可能命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、および/または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサ、コントローラ、または制御ユニットに提供されて、マシンを生成し得る。コンピュータのプロセッサおよび/または他のプログラム可能データ処理装置を介して実行される命令は、ブロック図および/またはフローチャートの1つまたは複数のブロックにおいて特定される機能/動作を実装するための手段を作成する。
【0011】
[015]従来、超音波せん断波エラストグラフィー(SWE)は、せん断波が等方性の物質内で伝播する、すなわち、物質の機械的特性は全方向で同じであると想定する。このため、複雑な心筋構造における複雑なせん断波伝播を原因として、SWEを心筋などの異方性媒体に転用することは困難である。横等方性物質(2つの軸では機械的特性が同じで、1つの軸では機械的特性が変化する)として近似され得る筋骨格組織と比較して、心筋構造は複雑であることが知られており、繊維配向は心臓壁全体にわたって連続的に変化する。心臓エラストグラフィーの予備研究において、短軸像ではより速いせん断波速度が観測され、長軸像ではより遅いせん断波速度が観測されたことが報告されている。心臓エラストグラフィーは医療撮像分野で関心を集めているが、複雑な心筋構造内でのせん断波伝播の理解の不足や、繊維およびプローブの向きによるバイアスを受けない、ロバストで再現性のある測定を保証するための均質スキャンプロトコルが存在しないことから、これまでの臨床的な受け入れは限られている。
【0012】
[016]本開示に係るシステムおよび方法は、SWE分野における1つまたは複数の問題、特に心筋組織などの複雑な異方性組織に適用される場合の1つまたは複数の問題に対処し得る。例えば、本開示の原理によれば、超音波撮像システムは、心臓組織のせん断波エラストグラフィーデータの取得を改善する(例えば、ユーザガイダンスを提供し、かつ/またはスキャンプロトコルにおける工程を少なくとも部分的に自動化する)心臓せん断波撮像モードを備え得る。後に詳述されるように、異方性組織についてせん断波エラストグラフィーを実行する場合、組織のよりロバストなキャラクタリゼーションのためには複数の異なる直交交差平面(例えば、一対の直交平面)においてSWE測定を行うことが望ましい可能性があり、場合によっては複数の直交平面セットにおいて行われることが望ましい可能性がある。しかし、オペレータ(特に経験の浅いオペレータ)にとって、適切なスキャンシーケンスを実行すること、および/または、適切な測定値を得るために組織に対するプローブの撮像平面の配置または向きを正確に制御することは困難である。
【0013】
[017]本開示の実施形態に係る装置、システム、および方法は、特定の臨床目的(例えば、疾患進行のモニタリングまたは診断)を援助するために、異方性組織(特に、心筋などの複雑な異方性組織)の適切なせん断波エラストグラフィー測定結果をより容易に得るための技術的ソリューションを提供し得る。一部の例では、組織の周りの様々な位置における、直交する測定結果の取得をガイドするための走査プロトコルおよびユーザインターフェースが提供され得る。初期測定結果(例えば、組織の初期超音波走査による)を使用して、組織構造(例えば、筋線維)と整列する走査方向(例えば、撮像平面)、および組織構造に対して直交する走査方向が決定され得る。組織構造と整列する走査方向および組織構造に対して直交する走査方向は、組織に関するプローブの所与の位置における第1および第2の走査方向として使用され得る。一部の例では、第1および第2の走査方向でのせん断波エラストグラフィー測定結果の取得をガイドするために、フィードバックがユーザに提供され得る(例えば、ディスプレイ上のユーザインターフェースを用いて)。一部の実施形態では、第1の走査方向は現在位置における異方性組織の繊維の短軸と整列し、第2の走査方向は長軸と整列し得る。
【0014】
[018]第1および第2の走査方向の決定およびSWE測定結果の取得は、例えば複雑な異方性組織に対してプローブを異なる位置に移動させることにより、組織の周囲の複数の関心位置にて繰り返し行われ得る。一部の例では3D撮像プローブが使用され、場合によっては、組織の周りの異なる位置で測定結果を取得するために、組織に対してプローブを動かす必要がない可能性がある。なぜなら、プローブは(例えば、電子スキャンによって)あるボリューム内の複数の異なる撮像平面にてスキャン可能であり得るからである。
【0015】
[019]本開示の一部の例では、システムはまた、本明細書に記載のスキャンプロトコルに従って得られたせん断エラストグラフィー測定結果に基づいて測定レポートを生成し得る。一部の例では、SWE測定結果(例えば、せん断波速度、壁の厚さ、壁の角度(向き)、測定方向、および/または硬度)は表にされ、一部の場合では、レポートされるSWE測定結果(例えば、レポートに含まれる、および/またはユーザに表示されるSWE測定結果)は、複数の別個のSWE測定結果に基づいて生成された複合SWE測定結果であり、例えば、関心位置のうちの1つにおいて第1のスキャン方向および第2スキャン方向で取得されたSWE測定結果のペアであり得る(例えば、
図5のレポートに示されるように)。本明細書では複雑な異方性組織に関連して例が述べられているが、本開示の原理は任意の種類の異方性組織(例えば、実質的に一方向に伸びている筋組織/繊維)に適用され得ることが理解されよう。
【0016】
[020]
図1は、本開示の一部の実施形態に係る超音波システム102に関連する動作環境100を示す。動作環境100の構成要素は、少なくとも部分的に、本開示の実施形態を実施するために使用され得る。
図1には、超音波システム102と、超音波システム102に(例えば、有線または無線接続を介して)通信可能に結合されたプローブ106とが示されている。プローブ106は、異方性組織104の繊維105を含む領域からデータを取得するように配置され得る撮像平面108からデータを収集し得る。超音波システム102は、ディスプレイ110、コントローラ114、プロセッサ116、および命令120を含むメモリ118を含み得る。ディスプレイ110は、位置フィードバック表示122、方向/向きフィードバック表示124、および/または画像表示126などの1つまたは複数のグラフィックスを生成し得る。
【0017】
[021]プローブ106は超音波システム102に結合されたハンドヘルドユニットであり得る。プローブは超音波トランスデューサ素子アレイを含む。トランスデューサ素子アレイは超音波信号を選択的に生成および送信し(例えば、生体組織に向けて)、送信された超音波信号からのエコーを検出し得る。プローブ106は、所与の画像平面108において2次元画像を生成するために複数のA-lineからエコーを取得するように構成される。撮像平面108の位置はプローブ106の向きに基づいて定められ得る。一部のプローブは、単一の撮像平面に沿って組織を撮像するように構成され、または、複数の異なる撮像平面108において撮像するように超音波信号の送信および取得が制御可能である(例えば、プローブ内のアレイの機械的走査によって、または2Dアレイによって生成されるビームを電子操縦することによって)。システムの動作中、プローブは、異方性組織104の所与の領域付近の音響窓(例えば、音響カップリングゲルで覆われている可能性がある対象者の皮膚)に押し当てられ得る。説明のために、異方性組織104はプローブ106の非常に近くに図示されている。しかし、実際には、プローブ106と撮像される異方性組織104との間には1つまたは複数の追加の組織層または種類の組織(例えば、骨、皮膚、脂肪、筋肉など)が存在し得る。プローブ106が音響窓に対して配置されているとき、プローブ106は、関心生体組織(例えば、異方性組織104)と交差する生体組織を通って延びる撮像平面108内の画像データを取得するように動作し得る。
【0018】
[022]プローブ106、具体的には、超音波を送受信するためのアレイの要素の作動は、(例えば、測定結果の取得および/または2D画像などの超音波画像の生成のために)撮像平面108における異方性組織104の画像データを取得するために超音波システム102によって制御され得る。
図1では長方形として示されているが、撮像平面108は、例えば、使用されるプローブおよび/または画像データの多断面再構成に依存して、例えば、曲線、台形、扇形、および/または放射状などの異なる構成を有し得る。一部の実施形態では、プローブ106は、異なる角度で組織104と交差し得る複数の撮像平面からの測定結果を記録することができる。複数の撮像平面は、プローブ106に対して固定であってもよいし、または複数の撮像平面が関心組織を「スイープ」できるように(例えば、ビームステアリングによって)操縦可能であり得る。超音波システム104は複数の撮像平面に基づいて2Dまたは3D画像を生成し得る。一部の実施形態では、プローブ106は、トランスデューサの2Dアレイを含み、プローブ106に対して複数の向きで1つ以上の撮像平面108を選択的に生成可能でき得る(例えば、複数の平面は2Dアレイの面に対して異なる角度を有してもよく、2Dアレイの面の法線に対して異なる角度を有してもよい)。
【0019】
[023]プローブ106は、異方性組織104のせん断波エラストグラフィー測定結果を取得するために使用され得る。そのために、プローブ106は、異方性組織104に向かって「プッシュパルス」を送信し、これにより、異方性組織104を通って伝播するせん断波を生成するように動作可能なトランスデューサを含むことができる。あるいは、組織内のせん断波は、音響放射力を用いずに、組織に外部から加えられる機械的な力によって、例えば、組織を圧縮するように構成された機械的振動子などによって生成され得る。プローブ106はさらに、トラッキングパルスを発するように動作可能であり得る。これは、せん断波の伝播速度を測定(または追跡)するために使用され得る。せん断波の測定された速度は、異方性組織104の硬度を決定するために(プロセッサ116などによって)解析され得る。一部の実施形態では、ラム波モデルを使用して、せん断波の速度から硬度が決定され得る。せん断波エラストグラフィーデータはせん断波エラストグラフィー画像を生成するために使用され得る。
【0020】
[024]異方性組織104は、組織104内の繊維105の配向に基づいて変化する異方性特性(例えば、硬度)を有し得る。心筋組織などの複雑な組織では、繊維105はその長さに沿って配向を複数回変化させることがあり、組織104の所与の箇所において異なる配向の複数の繊維105の層が存在し得る。異方性組織104の繊維105は複雑な変化を有するため、2つの異なる位置において方向撮像平面で取得された測定結果は、両撮像平面が組織104に対して同じ方向を有する場合であっても、異なる硬度値を記録する可能性がある。したがって、組織104の異方性特性を決定するには、複数の方向および位置で複数の測定を行う必要がある場合がある。
【0021】
[025]動作環境100において、プローブ106は、プローブが撮像平面108に関連付けられた第1のポジションから、プローブが撮像平面108’に関連付けられた第2のポジション(プローブ106’は破線で示されている)に移動するものとして描かれている。矢印で示すように、撮像平面108’での撮像は、プローブを組織に対して異なるポジションに移動させること、または、組織を通る異なる平面に超音波ビームを操作することを含み得る。プローブのポジション変更は、異なる地点へのプローブの再配置(例えば、プローブが対象者の皮膚の異なる部分と接触するようにプローブを平行移動させること)、異なる向きへのプルローブの再配置(例えば、プローブを皮膚の同じ地点に維持しつつ、プローブを傾けること(tilting/toe-heeling))、または2つの組み合わせを含み得る。
図1に示されるように、異なる撮像平面108で画像データを取得するために、プローブ106を物理的に移動および/または回転させることが必要な場合がある。他の例では、プローブ106を動かさずに(例えば、ビームステアリングを用いて)異なる平面での撮像を達成することができる。回転変化は、組織104の表面に対して垂直な軸を中心とした撮像平面108の回転として示されているが、方向の変化は、任意の軸を中心とした回転を含むこと、さらに複数の軸を中心とした回転を含み得ることを理解されたい。一部の実施形態では、撮像平面108の向きを変えるためにプローブ106が傾けられている。
【0022】
[026]超音波システム102は、異方性組織104の周りの複数の異なる地点にプローブ106を配置するように指示し得る。超音波システム102は、異なる地点のそれぞれにおける組織特性の初期測定を指示し得る。システム102は初期測定結果を収集するようにユーザに指示してもよいし、または初期測定結果を自動的に収集してもよい。初期測定結果は、撮像平面108に対する繊維105の配向を決定するために使用され得る組織104の音響的および/または機械的特性であり得る。初期測定結果はせん断波エラストグラフィー撮像であってもよく、または異なる形式の超音波撮像(例えば、後方散乱の測定またはBモード撮像)であってもよい。一部の実施形態では、初期測定結果は、音響減衰、音速、組織の動き、せん断波速度、相対的硬度および/または他の測定モダリティであり得る。初期測定結果は、組織104に関する初期測定結果が収集された撮像平面106の角度に依存し得る。一例として、初期測定結果が後方散乱測定値である場合、プローブ106は、繊維105の長軸に対して垂直な角度で初期測定結果が収集されたときに最大後方散乱値を記録し、撮像平面108が繊維105の配向と平行な角度であるときに最小値を記録し得る。
【0023】
[027]初期測定結果に基づいて、システム102は第1の撮像方向および第2の撮像方向を決定し、そして、第1および第2の撮像方向でのせん断波エラストグラフィー測定を指示し得る。せん断波エラストグラフィー測定結果を収集するようにユーザが促されてもよいし、またはシステムが自動的に収集してもよい。第1の方向および第2の方向は互いに直交する。一部の実施形態では、第1の方向は、プローブ106の現在位置における繊維105の軸と整列させられ(例えば、繊維105の長軸に沿う)、一方、第2の方向は繊維105の軸に対して垂直である(例えば、繊維105の短軸に沿う)。せん断波測定結果が収集された後、超音波システム102は、組織上の異なる位置にプローブ106を配置するように指示し得る。その後、初期測定結果の収集、画像方向の決定、およびせん断波測定結果の収集というプロセスが異なる位置で繰り返され得る。組織104の複数の異なる位置にプローブ106を配置させ、各位置で複数の(例えば、直交する)せん断波測定結果を収集させることにより、超音波システム102は、組織104の異方性特性を決定することができる。
【0024】
[028]超音波システム102は、プローブ106からデータを受信して処理するために、およびプローブ106の動作を指示するためにプローブに結合される。超音波システム102はプローブ106に(例えば、ケーブルを用いて)直接結合されてもよいし、または無線接続(例えば、Wi‐Fi、Bluetooth)を介して結合されてもよい。超音波システム102は、プローブ106の動作を指示するためのコントローラ114を含むことができる。超音波システム102は、命令120を保持し得るメモリ118を含み得る。命令120は、システムのプロセッサ(例えば、プロセッサ116)によって実行されると、コントローラ114に、プローブ106に特定の動作を実行するように指示させるプロセッサ実行可能命令を含み得る。命令120はまた、プロセッサ116に、プローブからのデータを読み取らせかつ/または解析させ、さらに/または超音波システム102のユーザに対するフィードバック(例えば、オペレータガイダンス)および/またはレポート(臨床目的(例えば、診断)に使用され得る)を生成させるように構成された実行可能な命令を含むことができる。
【0025】
[029]超音波システム102は、データ(例えば、所望のフォーマットの超音波画像として表示される画像データ)および/またはフィードバック(例えば、オペレータガイダンス)を超音波システム102のユーザに提供するように構成されたディスプレイ110を含み得る。ディスプレイ110は、システムのプロセッサに応答して1つまたは複数の図表を表示するように構成され得る。図表は、超音波システム102のオペレータにガイダンスを提供するように構成されてもよいし、または撮像セッションの結果を提供してもよい。例えば、ディスプレイ110は、組織104に対して1つまたは複数の異なる位置にプローブ106を配置するようにユーザに指示し得る位置フィードバック表示122などのグラフィカルユーザインターフェースを提供することができる。一部の例では、ディスプレイ110は、組織104に対して異なる向きでのプローブ106の配置を指示するための方向表示などのグラフィカルユーザインターフェースを含むことができる。ディスプレイ110は1つまたは複数の画像126を表示し得る。画像126は、撮像平面108からのリアルタイム画像であってもよいし、および/またはメモリ118に保存された画像であってもよい。ディスプレイはまた、超音波システム102によって収集された測定結果、およびメモリ118に格納された測定結果をまとめたものであり得る1つまたは複数のレポートを示し得る。例えば、レポートには、所与の関心位置の複数の撮像平面におけるSWE測定結果から生成された複合SWE測定結果(例えば、
図5を参照されたい)が含まれ得る。一部の例では、複合SWE測定結果は、複数の関心位置でのSWE測定結果から生成される。
【0026】
[030]組織内での撮像平面108のポジショニングを指示するために、位置フィードバック表示122および/または方向フィードバック表示124が使用され得る。一部の実施形態では、ユーザは、位置フィードバック表示122によって指示される所望の撮像平面でデータを取得するために、位置フィードバック表示122および方向フィードバック表示124に基づいて、プローブ106の位置および/または方向を手動で調整し得る。
【0027】
[031]一部の実施形態では、撮像平面108の位置および/または向きは超音波システム102によって自動的に調整され得る。例えば、上記したように、プローブ106は、トランスデューサ素子の2Dアレイを含み、したがって、ビームの電子ステアリングが可能であり得る。超音波システム120は、組織104の予備測定結果を取得し、予備測定結果から組織内のターゲット器官(例えば、心臓)の姿勢または向きを決定するように構成され得る。例えば、システムは、組織の初期3Dスキャンを実行し、例えばエコー強度情報(または後方散乱データ)を含み得る第1の3Dデータセットを取得するように構成され得る。超音波システム102は、3Dデータセットを処理して3Dデータセットが表す器官の姿勢および向きを決定し、例えば、取得されたデータを、画像である器官の解剖学的モデルにフィッティングさせることで、または別の画像処理技術を介してこれを実現し得る。
【0028】
[032]引き続き心臓撮像の例に関して、超音波システム102はその後、第1および第2の目標撮像平面を特定し得る。第1および第2の目標撮像平面は標準的な心臓の像、例えば傍胸骨長軸像、傍胸骨短軸像、心尖部二、三、もしくは四腔像、または心窩部像(subcostal view)などに対応し得る。そして、超音波システムは、決定された姿勢およびコントローラ114に基づいて、第1および第2の撮像平面においてせん断波測定結果を選択的に取得するようにプローブ106の動作を調整する(例えば、適切な方向にビームを操作することによって)ためのコマンドを生成し得る。一部の例では、第1および第2の目標撮像平面は、1つまたは複数の第1の撮像平面が傍胸骨長軸像に対応し、1つまたは複数の第2の撮像平面が、傍胸骨短軸大動脈像、傍胸骨短軸僧帽弁像、および/または傍胸骨短軸心尖像のうちの1つまたは複数に対応するように、関心角度および関心位置にて選択され得る。一部の実施形態では、これらの撮像平面の交差部に対応する関心位置は、超音波システム102によって自動的に選択され得る。一部の実施形態では、例えば解剖学的知識に基づいて、関心位置が手動で選択される。
【0029】
[033]
図2は、本開示の一部の実施形態に係る超音波撮像システム200のブロック図である。超音波撮像システム200は、
図1の超音波システム102を少なくとも部分的に実装するために使用され得る。
図2はハンドヘルドユニット256を含む超音波撮像システム200を示し、ハンドヘルドユニットは、超音波プローブ206、トランスデューサアレイ250、マイクロビームフォーマ248、および1つまたは複数のセンサ240を含み得る。超音波システム200はまた、送信/受信(T/R)スイッチ230、ビームフォーマ232、送信コントローラ214、信号プロセッサ234、Bモードプロセッサ242、スキャンコンバータ243、多断面リフォーマッタ246、ボリュームレンダラー244、画像プロセッサ238、グラフィックプロセッサ236、ユーザインターフェース254、入力装置252、および出力装置210を含み得る。
図2に示される構成要素は単なる例示であり、構成要素の除去、構成要素の結合、構成要素の配置変更、および構成要素の置換を含む他のバリエーションが全て考慮される。
【0030】
[034]超音波撮像システム200はプローブ206を含み、プローブ206は、一部の実施形態では
図1のプローブ106を実装するために使用され得る。プローブ206は被検者の周りに配置され、被検者の組織に関するデータを取得するために使用される。
図2の超音波診断撮像システム200では、超音波プローブ206は、超音波を送信し、エコー情報を受信するトランスデューサアレイ250を含む。様々なトランスデューサアレイ、例えばリニアアレイ、コンベックスアレイ、またはフェーズドアレイが当該技術分野においてよく知られている。トランスデューサアレイ250は、例えば、2Dおよび/または3Dイメージングのために仰角次元および方位角次元の両方で走査可能な複数のトランスデューサ素子からなる2次元アレイを含むことができる。トランスデューサアレイ250は、アレイ内のトランスデューサ素子による信号の送受信を制御するマイクロビームフォーマ248に結合される。マイクロビームフォーマは典型的には超音波プローブ206内に設けられる。この例では、マイクロビームフォーマ248は、例えばプローブケーブルによってまたはワイヤレスで、送信と受信を切り替える送信/受信T/Rスイッチ230に結合される。したがって、T/Rスイッチ230は、ビームフォーマ232を高エネルギー送信信号から保護することができる。一部の実施形態では、T/Rスイッチ230およびシステムの他の要素は、別個の超音波システムベース内ではなく、トランスデューサプローブ206内に含まれ得る(例えば、
図1の超音波システム102)。
【0031】
[035]マイクロビームフォーマ248によって制御されるトランスデューサアレイ250からの超音波ビームの送信は、T/Rスイッチ230およびビームフォーマ232に結合される送信コントローラ214によって管理される。送信コントローラ214は、ユーザによるユーザインターフェース254の入力装置252の操作から入力を受け取る。送信コントローラ214は超音波システムベースの構成要素であってもよいし、または、超音波システムの汎用コントローラ(例えば、
図1のコントローラ114)であってもよい。ユーザインターフェース254は、後に詳述されるように、コントロールパネル等の1つまたは複数の入力装置(ソフトおよび/またはハードコントローラを含み得る)および1つまたは複数のディスプレイ(例えば、
図1のディスプレイ110)等の出力装置を使用して実装され得る。送信コントローラ214によって制御される機能の1つは、ビームがステアリングされる方向である。ビームは、トランスデューサアレイから直進する(アレイに対して直交する)よう方向づけられてもよいし、又は、より大きな視野のために異なる角度に方向づけられてもよい。マイクロビームフォーマ248によって生成された部分的にビーム成形された信号は、ビームフォーマ232に送られ、各トランスデューサ素子パッチからの部分的にビーム成形された信号が結合され、完全にビーム成形された信号が生成される。送信コントローラ214は、プローブ206に対するビームの位置を記録し得る。本明細書で述べられるように、ビームおよびプローブ206の位置は、撮像平面(例えば、
図1の撮像平面108)の位置を決定するために使用され得る。
【0032】
[036]ビーム成形された信号は信号プロセッサ234に結合され得る。信号プロセッサ234は、受信されたエコー信号を、バンドパスフィルタリング、デシメーション、IおよびQ成分分離、および高調波信号分離などの様々なやり方で処理することができる。信号プロセッサ234はまた、スペックル低減、信号合成(signal compounding)、およびノイズ除去などの追加の信号エンハンスメントを実行する。処理された信号はBモードプロセッサ242に結合され、体内の構造のイメージングのために振幅検出が使用され得る。Bモードプロセッサによって生成された信号は、スキャンコンバータ243および多断面リフォーマッタ246に結合され得る。スキャンコンバータ243は、所望の画像フォーマットで、エコー信号が受信された空間的関係にエコー信号を配置する。例えば、スキャンコンバータ243は、エコー信号を2次元(2D)扇形フォーマット又はピラミッド3次元(3D)画像に配置し得る。多断面リフォーマッタ246は、米国特許第6,443,896号(Detmer)に記載されているように、人体の立体領域内の共通平面内の複数の点から受信されたエコーを、その平面の超音波画像に変換し得る。ボリュームレンダラー244は、例えば、米国特許第6,530,885号(Entrekinら)に記載されているようにして、3Dデータセットのエコー信号を、所与の基準点から見た投影3D画像に変換する。2Dまたは3D画像は、スキャンコンバータ243、多断面リフォーマッタ246、およびボリュームレンダラー244から画像プロセッサ238に結合され、出力装置210上に表示するために、さらなるエンハンスメント、バッファリング、および一時的保存が行われ得る。出力装置210は、LCD、LED、OLED、またはプラズマディスプレイ技術などの様々な既知のディスプレイ技術を使用して実装された表示デバイスを含み得る。一部の実施形態では、出力装置210は
図1のディスプレイ110を実装し得る。
【0033】
[037]グラフィックプロセッサ236は、超音波画像と共に表示されるグラフィックオーバーレイを生成し得る。グラフィックオーバーレイは、例えば、患者の名前、画像の日時、イメージングパラメータなどの標準的な識別情報を含み得る。グラフィックプロセッサ236は、入力装置252から、入力された患者の名前などの入力を受け取り得る。グラフィックプロセッサは、プローブ206からのデータに基づいて1つまたは複数の表示、例えば
図1の位置フィードバック表示122、方向フィードバック表示124、および画像表示126などを生成し得る。入力装置252は1つまたは複数の機械的制御装置、例えばボタン、ダイヤル、トラックボールや物理的キーボード等を含み、これらは本明細書ではハードコントローラとも呼ばれ得る。代わりにまたは追加で、入力装置252は1つまたは複数のソフトコントローラ、例えばボタン、メニュー、ソフトキーボード、および他のユーザインターフェース制御要素、例えばタッチセンシティブ技術を使用して実装されるもの(例えば、抵抗性、容量性、または光学タッチスクリーン)を含み得る。そのために、超音波撮像システム200は、ソフトコントローラに関連する機能などのユーザインターフェースの動作を制御し得るユーザインターフェースプロセッサ(すなわち、プロセッサ216)を含み得る。1つまたは複数のユーザ制御装置はコントロールパネル上に合わせて配置され得る。例えば、1つまたは複数の機械的コントローラはコンソール上に設けられてもよく、かつ/または1つまたは複数のソフトコントローラは、コンソールに取り付けられたまたはコンソールと一体的であるタッチスクリーン上に合わせて配置され得る。例えば、一部の実施形態では入力装置252は
図1のディスプレイ110の一部であり得る。
【0034】
[038]超音波画像および関連するグラフィックオーバーレイは、例えばオフライン分析のためにメモリ218に保存される。さらに、メモリ218は、ユーザインターフェース254に関連する機能を実行するための命令を含むプロセッサ実行可能命令を記憶し得る。一部の実施形態では、ユーザインターフェース254はグラフィカルユーザインターフェースを含み得る。グラフィカルユーザインターフェースは、システム200のプロセッサに応答して、本明細書に記載の例のいずれかに従って異方性組織のせん断波エラストグラフィーを実行する際に超音波検査士にガイダンスを提供するためのグラフィカルユーザインターフェース要素を表示するように構成され得る。メモリ218は超音波ベースユニットの一部であってもよいし、または、超音波ベースユニットに結合されたコンピュータシステムの一部である汎用メモリであってもよい(例えば、メモリ218は、
図1の超音波システム102のメモリ118であり得る)。ユーザインターフェース254はまた、複数のMPR(multiplanar reformatted)画像の表示の選択および制御のために多断面リフォーマッタ246に結合され得る。一部の例では、複数の処理コンポーネント(例えば、ビームフォーマ232、信号プロセッサ234、Bモードプロセッサ242、スキャンコンバータ243、多断面リフォーマッタ246、ボリュームレンダラー244、画像プロセッサ238、グラフィックプロセッサ236、プロセッサ216など)のうちの2つ以上が単一の処理ユニットに結合され、例えば
図1のプロセッサ116に結合される。
【0035】
[039]プローブ206、センサ240、マイクロビームフォーマ248、およびトランスデューサ250がハンドヘルドユニット256に結合される。ハンドヘルドユニット256はユーザが手で保持するのに適した形状を有し得る。ハンドヘルドユニット256は、被検者の表面上に配置される(例えば、皮膚に押し当てられる)のに適した形状を有し、かつトランスデューサ250を備えた「ヘッド」または「フェイス」を有し得る。センサ208はプローブ206のプロパティ、例えば回転向きまたは空間位置などを記録する。一部の実施形態では、プローブ206は、プローブ206の動きを決定するために使用されるデータを生成し得る加速度計であり得る。
図2には単一のセンサ240のみが示されているが、センサ240は、プローブ240の周りに配置された複数のセンサを表し得ることを理解されたい。センサ240は一体型、例えばプローブ206のハウジング内に含まれるタイプであってもよいし、プローブ206のハウジングの外側に取り付けられた別個のコンポーネントであってもよいし、または一体型と結合型の組み合わせであってもよい。センサ240はプローブ206に対して固定の位置に配置され得る。これにより、センサ240の位置を知ることでプローブ206および撮像平面の位置も知ることができる。
【0036】
[040]
図3は、本開示の一部の例に係る、複雑な異方性組織からせん断波エラストグラフィー測定結果を収集する方法を示す。一部の実施形態では、方法300は、
図1の超音波システム102または
図2の超音波システム200によって実施され得る。方法300は、初期組織測定結果を取得することを含むブロック359と、せん断波撮像平面を決定することを含むブロック360と、せん断波測定結果を収集することを含むブロック363とを含む。
図3のブロックおよびブロックの配置は単なる例示であり、方法300はより多くのまたは少ないステップを含み、また、ステップが繰り返されたり、かつ/または異なる順序で実行されてもよいことを理解されたい。例えば、本開示に係る方法は、プローブを組織304の周りの新たな関心位置に移動させた後、
図3に示されるシーケンス全体を繰り返すことを含み得る。
【0037】
[041]方法は、組織304から初期測定結果を収集することを含むステップ359を含む。初期測定結果は、様々な測定角度における異方性組織304の特性を決定するために使用され得る。プローブ306は、組織304の向きに対して複数の異なる角度で配置され得る撮像平面から初期測定データを取得する。例えば、撮像平面は、組織304に関していくつかの異なる軸(例えば、繊維の長軸に対して垂直な軸、プローブのフェイスに対して平行な軸など)を中心として回転されられる。
図3は、4つの異なる撮像平面ポジション308a~dを有するプローブ306を示す。一部の実施形態では、各撮像平面方向308a~dから測定結果を収集するためにプローブ306を物理的に回転させることが必要であり得る。
図3に示されるように、回転は、被検者の表面との接触を維持しつつプローブを傾け、プローブのフェイスを横切る軸を中心として撮像平面を回転させるという形で実行され得る。一部の実施形態では、プローブが静止した状態で、撮像平面ポジション308a~dを調整するためにビームステアリングが使用され得る。一部の実施形態では、プローブ306は2Dトランスデューサアレイを含み、アレイのトランスデューサを選択的に作動させることにより、撮像平面の向きが変えられる。一部の実施形態では、プローブ306は、複数の撮像平面から同時にデータを取得し、撮像平面方向308a~dのそれぞれからのデータを記録し得る。
【0038】
[042]超音波システム(例えば、
図1のシステム102または
図2の200)は、2つの方向間でのプローブ調整のための命令を生成し得る。命令は(例えば、
図1のフィードバック表示124を介して)ユーザに表示されてもよいし、または、システムのプロセッサおよび/またはコントローラによって作動されて、撮像平面方向308a~d間での調整が自動的に行われてもよい。一部の実施形態では、撮像平面308a~dは順次、撮像され、現在の撮像平面が目標平面(例えば、シーケンス内の次の撮像平面)の向きと一致するまで、調整を行うようにシステムのユーザが促される。システムは、撮像平面方向308a~dのそれぞれからの測定結果を記録する。
【0039】
[043]システムは、初期測定結果を取得すべき複数の目標方向を生成し得る。一部の実施形態では、目標方向は規則的な角度間隔によって隔てられ得る(例えば、各目標方向は別の目標方向から5°離れている)。他の実施形態では、方向間の間隔は不規則であり得る。システムは、(例えば、
図2のセンサ240を用いて)プローブ306の現在の向きを追跡し、そして、プローブ306の現在の向きが目標向きと一致したか否かを決定し得る。システムは、撮像平面が目標向きと一致したときの初期測定結果を記録するようにユーザに促すか、または撮像平面が目標向きと一致するときに初期測定結果を自動的に記録し得る。一部の実施形態では、システムは許容誤差を有し、撮像平面の現在向きが目標向きの許容誤差内にあるときに測定が行われることを指示し得る。測定結果が収集されると、システムは、次の目標向きに合わせるためにプローブ306の配置をガイドするための命令を生成し得る。
【0040】
[044]方法300はさらに、せん断波撮像平面を決定するステップ360を含む。超音波システム(例えば、
図1のシステム102、
図2のシステム200)は、ステップ359からの初期測定結果を記録し得る。測定結果は、せん断波エラストグラフィー撮像の目標向きを決定するために使用され得る。一部の実施形態では、初期測定結果は音響測定結果であり得る。音響測定結果は、超音波信号の送信に応答して生成された受信エコーから導出され得る。
図3に示されるように、ステップ359で収集された初期測定結果は後方散乱測定結果であり、これは、測定結果が取得された撮像平面と、組織内の繊維の配向との間の角度を表している可能性がある。後方散乱測定結果は、組織に対する、ある基準角度に対する取得時の角度に関してプロットされ得る。例えば、一部の実施形態では、初期測定結果の角度は、第1の初期測定結果に関して測定される。他の例では、初期測定結果の角度は、被検者のある解剖学的特徴に関して測定され得る。一部の実施形態では、測定結果の角度はシステムのユーザによって記録される。一部の実施形態では、初期測定結果が記録された際の角度はシステムによって測定される(例えば、
図2のセンサ240に基づいて)。プロットされた測定結果はシステムのユーザに表示されてもよいし(例えば、
図1のディスプレイ110または
図2の210上に表示されてもよい)、またはシステムのプロセッサによって内部的に使用されてもよい。プロットされた測定結果は、散布図および/または近似曲線であり得る。
【0041】
[045]第1の撮像方向361および第2の撮像方向362(例えば、第1の撮像平面および第2の撮像平面)は、初期測定結果を測定角度に対してプロットしたグラフに基づいて決定され得る。第1および第2の撮像方向361、362の角度は、初期測定結果をプロットするために使用された基準角度に対する組織の繊維の角度を表し得る。第1および第2の撮像方向は、プロット図における後方散乱(または他の種類の測定結果)の最大値および最小値にそれぞれ対応する角度として定められ得る。最大値および最小値は、組織の繊維と整列する方向および繊維に対して直交する方向に対応し得る。最大値および最小値は全域的な最大値および最小値であってもよいし、または特定の領域内の局所的な最大値および最小値であってもよい。第1および第2の撮像方向361、362はシステムのユーザに表示され、かつ/または、プローブ306の撮像平面を第1の撮像平面361および第2の撮像平面362と合わせるための命令を生成するために使用され得る。
【0042】
[046]一部の実施形態では、ステップ360は、初期測定結果から第1および第2の撮像方向361、362の両方を決定することを含み得る。一部の実施形態では、ステップ360は、初期測定結果から第1および第2の撮像方向361、362のうちの一方のみを決定すること、および決定された方向に基づいて他方の撮像方向を決定することを含み得る。例えば、第1の撮像方向361は、初期測定結果の最小値を特定することによって決定され、第2の撮像方向362は、第1の撮像方向361に直交する平面を取得することによって決定される。
【0043】
[047]方法300はせん断波測定結果を収集するステップ363を含む。せん断波測定結果は、ステップ360で決定された第1の撮像平面361および第2の撮像平面362で収集される。
図3に示されるように、収集されたせん断波測定結果は画像表示326および326’によって表される。これらの画像表示はそれぞれ、第1および第2の撮像平面361、362で収集された画像364および364’を示す。画像表示326および326’は、一部の実施形態では
図1の画像表示126を実装し得る。画像表示326および326’が図示されているが、システムは必ずしもせん断波画像を生成することなくせん断波測定結果を記録できることを理解されたい。
【0044】
[048]システムは、決定された第1および第2の撮像平面361、362に基づいてせん断波測定結果を収集するための命令を生成し得る。せん断波測定結果を収集するための命令は、ステップ359に関して説明した初期測定結果を収集するための命令と同様の命令であり得る。システムは、第1の撮像平面361および第2の撮像平面362を目標平面として設定し得る。システムは、第1および第2の撮像平面361、362と合うように撮像平面を調整するために、(例えば、
図1の方向フィードバック表示124を介して)ユーザにフィードバックを提供し得る。システムは、プローブの現在向きを決定し得る(例えば、
図2のセンサ240を用いて)。システムは、プローブ306の現在向きと、第1および第2の撮像平面361、362の向きとの間の差を求め得る。一部の実施形態では、システムは、プローブ306の現在向きが第1または第2の撮像平面361、362と一致するとき、せん断波エラストグラフィー測定結果を記録するようにユーザに促すことができる。一部の実施形態では、システムは、撮像平面が第1または第2の撮像平面361、362と一致するときにせん断波エラストグラフィー測定結果を自動的に記録し得る。せん断波弾性測定結果は、組織内にせん断波を誘導し(例えば、音響プッシュパルス、機械的振動)、その後、所望の平面に対して直交するトラッキングパルスを間隔を空けて送信することで所望の平面に沿ったせん断波の伝播を追跡することによって記録され得る。トラッキングパルスに応答して生成された受信エコーを解析することによって、組織変位の大きさおよび/またはせん断波の伝播速度を決定することができる。組織変位の大きさおよび/またはせん断波の伝播速度はせん断波エラストグラフィー測定結果として使用されてもよく、または、組織硬度などの追加のせん断波エラストグラフィー測定結果を生成するために使用される。前述のように、せん断波は異方性組織内で方向ごとに異なる速度で伝播する可能性がある。例えば、せん断波は、組織の構造(例えば、繊維)と整列した方向においては第1の速度で伝播し、組織の構造を横切る方向においては第2の速度で伝播し得る。したがって、複数の異なる方向においてせん断波の伝播を追跡することにより、同じ地点で複数の異なるエラストグラフィー測定結果が取得され得る。
【0045】
[049]画像表示326および326’はそれぞれ画像364、364’および測定方向インジケータ366、366’を示す。画像表示326、326’はシステムのユーザに(例えば、
図1のディスプレイ110を介して)提示され、かつ/またはシステムのメモリ(例えば、
図1のメモリ118)に記録され得る。画像364、364’は、第1および第2の撮像方向361、362で記録されたせん断波エラストグラフィー画像であり得る。測定方向インジケータ366、366’は、画像表示326、326’内に表される測定中のプローブの配置の図的表現であり得る。
【0046】
[050]方法300は、プローブ306が配置される組織304上の位置ごとに繰り返され得る。ステップ363においてせん断波エラストグラフィー測定結果が収集された後、システムは、プローブ306を組織304の周りの新しい位置に再配置するようにユーザに促し得る。次に、システムは、新しい位置で初期測定結果を収集するステップ359の命令を生成するために更新を行い得る。システムは組織の周りの複数の位置についてこのプロセスを繰り返す。
【0047】
[051]
図4は、本開示の一部の例に係る超音波システムのディスプレイの例のブロック図である。一部の実施形態では、ディスプレイ410は
図1のディスプレイ110によって実装され得る。ディスプレイは位置フィードバック表示422、画像表示426a~c、および方向フィードバック表示424を示す。特定の表示がディスプレイ410の特定の位置に図示されているが、当業者は、本開示から逸脱することなく、より多くのまたはより少ないグラフィックが画面に表示され、または画面上のグラフィックの配置が変更され得ることを理解するであろう。同様に、表示422、424、および426a~cの例示的なレイアウトが示されているが、本開示から逸脱することなく、表示はより多くのまたはより少ない情報を含み、または、異なる要素や異なる表示特性(例えば、異なる形状、色など)を含み得る。ディスプレイ410はリアルタイムで更新されてもよく、かつ/またはシステムのメモリ(例えば、
図1のメモリ118)に保存されたデータを示してもよい。
【0048】
[052]ディスプレイ410は、組織の周りの様々な関心位置における撮像平面の配置を表示する位置フィードバック表示422を含む。位置フィードバック表示422は、組織インジケータ470、1つまたは複数の撮像平面インジケータ472、並びに、目標位置インジケータ474、現在位置インジケータ476、および過去位置インジケータ478を含む複数の位置インジケータを含み得る。各位置インジケータ474~478は組織インジケータ470上の関心地点の位置を表し得る。組織インジケータ470は、撮像されるべき異方性組織(例えば、
図1の組織104)のグラフィック表現であり得る。組織インジケータ470は異方性組織の現実的または代理的な描写であってもよく、一部の実施形態では組織を簡略的に示すものである(例えば、長方形)。
図4の例では組織は心臓組織であり、組織インジケータ470は心臓の図である。
【0049】
[053]位置フィードバック表示422はさらに、組織インジケータ470上に表示される1つまたは複数の位置インジケータ474~478を含み得る。位置インジケータ474~478は、組織の周りの複数の異なる関心位置におけるプローブ配置の図的表現であり得る。位置インジケータはプローブのフットプリントのスタイル化された表現であり得る(例えば、ワイヤーフレーム)。位置インジケータは、プローブの配置を表す単純な形状(例えば、立方体、正方形、円、xなど)であってもよい。(後述される)異なる位置インジケータ474~478は、異なる色、テクスチャ、シェーディング、線境界など、互いを区別するために異なる外観を有し得る。
【0050】
[054]現在位置インジケータ476はプローブの現在位置を表す。現在位置インジケータ476は、プローブの現在の位置を表す組織インジケータ470上の位置を有する。一部の実施形態では、組織インジケータ470上の現在位置インジケータ476の位置を使用して、例えば組織の解剖学的構造に基づきプローブ配置がガイドされる。一部の実施形態では、現在位置インジケータ476はプローブの測定された現在位置に基づき得る。これは、例えばプローブのセンサ(例えば、
図2のセンサ240)に基づいて決定され得る。一部の実施形態では、現在位置インジケータ476はリアルタイムで更新され得る。
【0051】
[055]過去位置インジケータ478はせん断波エラストグラフィー測定が行われた以前の位置を示し得る。位置フィードバック表示422は複数の過去位置インジケータ478を表示する。システムはまた、選択された数の過去位置インジケータ478を提示するように構成される(例えば、最も新しい過去位置)。一部の実施形態では、ユーザが表示すべき過去位置インジケータ478の数を(例えば、
図2のユーザインターフェース254を介して)選択することができる。
【0052】
[056]目標位置インジケータ474はせん断波エラストグラフィー測定の次の位置を表し得る。システム(例えば、
図1の超音波システム102)は、次のせん断波エラストグラフィー測定結果セットが収集されるべき位置を決定し得る。目標位置インジケータ474はこの位置の図的表現であり得る。一部の実施形態では、目標位置インジケータ474は、せん断エラストグラフィー測定結果セットが収集された後にのみ現れる(例えば、
図3の方法300に従うことによって)。目標位置インジケータ474は、プローブの現在位置が目標位置と合致したことを(例えば、色の変化によって)示し、次のせん断波測定結果セットの収集を開始するようシステムのユーザに促してもよい。
【0053】
[057]位置フィードバック表示422はさらに、複数の撮像平面インジケータ472を含み得る。撮像平面インジケータ472は、組織インジケータ470上に表示されるせん断波エラストグラフィー撮像平面(例えば、第1の撮像平面361および第2の撮像平面362)の図的表現である。撮像平面インジケータ472は位置インジケータ474~478ごとに第1および第2の撮像平面を表し得る。(位置インジケータ474~478によって表される)関心位置は、平面インジケータ472の直交するペアの交差部に存在し得る。
図4の例では、各関心位置の第1の撮像方向が共通の軸に沿うように各関心位置が選択されている。具体的には、
図4の例では、各関心位置が組織の繊維の長軸沿いに位置する。撮像平面インジケータ472は、過去撮像位置(例えば、過去位置インジケータ478)、現在撮像位置(例えば、現在位置インジケータ476)、および/または予測される将来撮像位置(例えば、目標位置インジケータ474)について表示され得る。撮像平面が組織構造とどのように整列するかを表すために、撮像平面インジケータ472は組織インジケータ470と整列するように表示される。
【0054】
[058]方向フィードバック表示424は位置フィードバック表示422と同様であり得るが、方向フィードバック表示424は、(例えば、プローブを異なる位置に配置することによる)撮像平面の位置ではなく撮像平面の向き(例えば、プローブの回転)をガイドし得るという点で異なる。方向フィードバック表示424は、プローブインジケータ480、組織インジケータ471、並びに、現在方向インジケータ484、過去方向インジケータ482、および/または目標方向インジケータ486を含み得る1つまたは複数の方向インジケータを含む。組織インジケータ471は撮像されている異方性組織のグラフィック表現であり得る。一部の実施形態では、組織インジケータ471は、位置フィードバック表示422の組織インジケータ470とは異なる種類のグラフィック表現である。例えば、組織インジケータ471は組織の奥行きまたは断面を示し、一方、組織インジケータ470は組織の表面および/または解剖学的構造を示し得る。
【0055】
[059]プローブインジケータ480は組織に対するプローブの位置を示し得る。プローブインジケータ480は、プローブの現在位置を示すためにリアルタイムで更新し得る。プローブインジケータ480はプローブの現実的な描写であってもよいし、簡略化されたまたは概略的な表現であってもよい。プローブインジケータ480は、プローブの調整を表すための1つまたは複数の命令(例えば、矢印)を含み得る。
【0056】
[060]方向フィードバック表示は方向インジケータ482~486を含む。方向インジケータ482~486は、プローブの撮像平面(例えば、
図1の撮像平面108)の方向(例えば、角度)の表現であり得る。方向インジケータ482~486は組織インジケータ471上に表示され、互いに対する撮像平面の相対的向きや、組織に対する撮像平面の相対的向きを表し得る。方向インジケータ482~486は撮像平面の現実的な形状を表してもよいし、または簡略化された図であってもよい(例えば、三角形の方向インジケータが台形の撮像平面を表してもよい)。方向インジケータ482~486は異なる色またはテクスチャ(例えば、点線の境界線)を有し、方向フィードバック表示424は、方向インジケータ482~486を区別するのを助けるために凡例を含み得る。
【0057】
[061]現在方向インジケータ484は、プローブの撮像平面(例えば、
図1の撮像平面108)の現在の向きのグラフィック表示である。現在方向インジケータ484は撮像平面が(例えば、プローブを回転させることにより)動かされるとリアルタイムで更新し得る。一部の実施形態では、現在方向インジケータはプローブの測定された(例えば、
図2のセンサ240を用いて測定された)向きを反映し得る。
【0058】
[062]過去方向インジケータ482は撮像平面の以前の撮像向きのグラフィック表現である。1つまたは複数の過去方向インジケータが組織インジケータ471上に表示され得る。一部の実施形態では、選択された過去撮像方向のみが示される(例えば、最新の過去方向のみ)。
【0059】
[063]目標方向インジケータ486は次の撮像向きのグラフィック表現である。目標方向インジケータは、(例えば、
図3のステップ359のように)初期測定結果を収集するための次の向きであってもよく、または(例えば、
図3のステップ363のように)せん断波エラストグラフィー測定結果を収集するための第1または第2の撮像平面である。一部の実施形態では、どの種類の測定が実行されるかの指標が存在し得る(例えば、目標方向インジケータ486の色が異なる、音、テキスト表示など)。
【0060】
[064]システムは、現在方向インジケータ484が目標方向インジケータ486と整列するように撮像平面の向きを調整するようにユーザに促すことができる。システムは、(例えば、
図3のステップ359のように)後方散乱測定結果などの初期測定結果を記録するように、または(例えば、
図3のステップ363のように)決定された第1または第2の撮像平面においてせん断波エラストグラフィー測定結果を記録するようにユーザに促し得る。システムは、例えば、インジケータ482~486のうちの1つまたは複数の色を変更することによって、アラートまたは音を鳴らすことによって、および/またはディスプレイ410上にメッセージを表示することによってユーザを促し得る。一部の実施形態では、システムは、撮像平面の現在向きが目標向きと一致することを検出すると、測定結果を自動的に記録し得る。測定結果が(例えば、メモリ118に)記録された後、方向フィードバック表示424は、例えば、目標方向インジケータ486が過去方向インジケータ482として示され、かつ次の方向における新しい目標方向インジケータが表示されるように更新し得る。
【0061】
[065]ユーザによる制御を要さずに撮像平面方向の調整が可能な実施形態(例えば、プローブがトランスデューサの2Dアレイを含む、プローブが複数の撮像平面を生成するなど)の一部では、ディスプレイ410は方向フィードバック表示424を含まない可能性がある。一部の実施形態では、たとえユーザが撮像平面を調整する必要がない場合でも、方向フィードバック表示424が参照のために表示され得る。
【0062】
[066]一部の実施形態では、ディスプレイ410は位置フィードバック表示422と方向フィードバック表示424を交替で表示し得る。例えば、システムが新しい位置へのプローブの配置を指示しているときには位置フィードバック表示422が表示され、システムが初期測定結果またはせん断波測定結果を収集しているときには方向フィードバック表示424が表示される(例えば、
図3の方法300のように)。
【0063】
[067]このようにして、位置フィードバック表示422は、組織の周りの複数の位置へのプローブの配置をガイドし、方向フィードバック表示424は様々な撮像平面方向へのプローブの回転をガイドし得る。システムは、プローブの所与の位置への配置、複数の角度での初期測定結果の収集、決定された第1および第2の撮像平面でのせん断波測定結果の収集、および新たな位置へのプローブ配置をガイドするためにフィードバック表示422、424を動作させ、選択的に表示し得る。
【0064】
[068]ディスプレイ410はさらに撮像表示426a~cを含み得る。撮像表示426a~cは、異なる位置および/または方向で撮影された代表的画像464a~cを示し得る。画像はせん断波エラストグラフィー画像であってもよく、または異なる形式の画像、例えばBモード画像であってもよい。撮像表示426a~cは画像464a~cおよび測定位置インジケータ466a~cを含み得る。
図4に示される表示インジケータ464a~cはそれぞれ、組織の異なる位置で取得された代表的画像464a~cを含む。測定位置インジケータ466a~cは、各画像が記録された地点のグラフィック表示である。撮像表示426a~cは
図3の撮像表示326、326’と同様であり得るが、
図4では、測定位置インジケータ466a~cが測定方向インジケータ366a~cではなく測定位置インジケータ466a~cである点で異なる。
【0065】
[069]画像表示426a~cは互いに同様なので、簡潔さのために、そのうちの1つの画像表示426aのみを詳細に説明する。ただし、各画像表示426a~cには同様の特徴が含まれ得ることを理解されたい。また、画像表示426a~cは互いにわずかに異なる場合があり、各表示には異なるオプションまたは特徴が存在する場合もあることを理解されたい。例えば、ある表示はその表示が取得された位置のインジケータを有する一方、別の表示は画像の向きのインジケータを有する。システムは、ユーザが異なる画像表示を選択すること、および/または表示の特徴を構成することを可能にする(例えば、
図2のユーザインターフェース254を介して)。
【0066】
[070]画像表示426aは画像464aおよび測定位置インジケータ466aを含む。画像464aは所与の位置で取得された代表的画像であり得る。
図4の例では、画像464aは画像464aの境界に沿った方向ガイドを含む。画像の一方の辺は組織の繊維の長軸(例えば、LAX:long axis)に対応するものとして示され、一方、画像464aの他方の辺は繊維の短軸(例えば、SAX:short axis)に対応するものとして示されている。方向ガイドは組織の初期測定結果に基づいて決定されてもよい(例えば、
図3のステップ359および360)。測定位置インジケータ466aは、位置フィードバック表示422のグラフィック表現と一致する測定位置のグラフィック表現であり得る。一部の実施形態では、位置インジケータ466aは目標平面インジケータ(例えば、位置フィードバック表示422の目標平面インジケータ472と同様のもの)を含み得る。
【0067】
[071]
図5は、本開示の一部の例に係る超音波システムのレポートの例である。レポート500は、(例えば、
図3の方法300において)システムによって収集された初期測定結果および/またはせん断波測定結果に応答してシステムによって生成され得る。レポート500はディスプレイ(例えば、
図1のディスプレイ110)上に提示される。レポートはまた、システムによって(例えば、
図1のメモリ118に)保存され、印刷され、かつ/または超音波システムとは別個の閲覧ステーションに送信されてもよい(例えば、
図1の超音波システム102に結合されたコンピュータによって取り出される)。レポート500はシステムによって直接測定された特性、および測定された特性から計算された特性を含み得る。
【0068】
[072]一部の実施形態では、レポート500は
図5の例のような表であり得る。また、レポートはリスト、グラフ、または当該技術分野で知られている他の形式のデータ編成である。レポート例500では、表中のデータは、1列目で分類されているセット590a~bに編成されている。各セット590a~bは、SWE測定のためにプローブが配置された関心位置に対応し得る。レポート500は第1の撮像平面592a~bおよび第2の撮像平面594a~bに沿って測定または計算された1つまたは複数の特性598a~dを含み得る。レポート500はまた、複合せん断波測定結果596a~bについて計算された1つまたは複数の特性598a~dを含み得る。
図5のレポート例500では、関心位置590a~bのそれぞれについて、第1および第2の撮像平面592a~bでの測定値から複合測定結果596a~bが決定され得る。
図5に示されるように、レポート500は、せん断波エラストグラフィー画像が撮影された平面の指標などのラベルを含み得る。例えば、関心位置590a~bは、各々が対応する心臓の像でラベル付けされる。
【0069】
[073]
図5の例では、セット590aは傍胸骨短/長軸僧帽弁像に対応し、セット590bは傍胸骨短/長軸心尖像に対応する。したがって、第1の撮像平面592aは傍胸骨長軸僧帽弁像に対応し、第2の撮像平面594aは傍胸骨短軸僧帽弁像に対応し得る。同様に、第1および第2の撮像平面592b、594bはそれぞれ傍胸骨長/短軸心尖像に対応し得る。
【0070】
[074]レポート500は組織の厚さ598aの測定値を含み得る。厚さ598aは組織の1つまたは複数の画像に基づいて決定され得る。一部の実施形態では、厚さ598aは組織のBモード画像などの初期測定結果から決定され得る。厚さ598aは、画像処理技術(例えば、セグメンテーション、機械学習)を画像に適用して組織のエッジを識別することによって決定される。厚さ598aは、各関心位置590a~bにおける第1および第2の撮像平面592~594ごとに計算されてもよいし、または関心位置590a~bごとに単一の値であってもよい。
【0071】
[075]レポート500は各測定が行われた角度598bを含むことができる。角度598bは、基準角度に対する第1および第2の撮像平面592~594のそれぞれの測定角度であり得る。角度598bは、測定中に測定された撮像平面方向に基づいて決定され得る。一部の実施形態では、角度598bはプローブ内のセンサ(例えば、
図2のセンサ240)によって測定され得る。レポートはまた、所与の位置および向きでの組織の測定されたせん断波速度598cを含み得る。せん断波速度598cは、その位置および向きでのせん断波エラストグラフィー測定結果に基づいて決定され得る。
【0072】
[076]レポートはまた、1つまたは複数の他の特性598a~cに基づいて計算され得る特性(例えば、硬度598d)を含み得る。硬度598dは各関心位置590における撮像平面592~594ごとに計算される。一部の実施形態では、硬度598dはラム波モデルによって決定され得る。ラム波モデルは組織の硬度を計算するために厚さ、角度、および/またはせん断波速度などの1つまたは複数の測定された特性を使用することができる。
【0073】
[077]セット内の各測定方向(例えば、傍胸骨短軸PSAXおよび傍胸骨長軸PLAX)に関連するデータを提示することに加えて、レポート500は、複数の個別の測定結果を互いに比較することに基づいて計算され得る複合せん断波測定結果または特性596a~bを含む。一部の例では、レポート500は異なる方向間のせん断波速度の平均、差、および/または比を含み得る。レポート500は、特性598a~dのうちの特定のものについて計算された複合せん断波測定結果596を含み得る。例えば、レポート500は、所与の関心位置590における第1および第2の撮像平面592、594で計算された硬度598d間の比を含み得る。各関心位置590における第1および第2の撮像平面592~594間の比較のみが示されているが、複合せん断波測定結果596a~bは、異なる関心位置590a~bでの測定結果間の比較に基づいて計算された特性も含み得る。例えば、各関心位置における第1の撮像平面(例えば、傍胸骨長軸)について平均硬度が計算される。
【0074】
[078]本明細書に記載されるように、異方性組織においてSWE測定結果を取得するためのプロトコルは、初期測定結果(例えば、後方散乱測定結果)を取得するために、組織に対して様々な向きで組織をスキャンすることを含み得る。初期測定結果の最小値は、組織内の構造に対する第1の向きを示し得る(例えば、組織内の繊維と整列する向き)。初期測定結果の最大値は、組織内の構造に対する第2の向きを示し得る(例えば、組織内の繊維に対して垂直な向き)。第1の向きまたは第2の向きは、第1の撮像平面を決定するために使用され得る。一部の実施形態では、第1の向きまたは第2の向きの他方が第2の撮像平面を決定するために使用され得る。他の実施形態では、第2の撮像平面は、第1の撮像平面に直交する平面を計算することによって選択されてもよい。
【0075】
[079]第1の撮像平面と第2の撮像平面との交差部でSWE測定結果を取得され得る。第1のSWE測定結果は第1の撮像平面に沿った交差部で取得され得る。第1のSWE測定結果を取得するために、交差部において組織内にせん断波が(例えば、プッシュパルスによって)誘導され、第1の撮像平面に沿ったせん断波の伝播が測定され得る。第2のSWE測定結果は第2の撮像平面に沿った交差部で取得され得る。第2のSWE測定結果を取得するために、交差部において組織内にせん断波が(例えば、プッシュパルスによって)誘導され、第2の撮像平面に沿ったせん断波の伝播が測定され得る。
【0076】
[080]第1および第2のSWE測定結果の両方が(例えば、レポートにおいて)提供される。一部の実施形態では、第1および第2のSWE測定結果を使用して複合SWE測定結果が生成される。
【0077】
[081]一部の実施形態では、上記プロトコルは組織内の異なる位置で繰り返される。
【0078】
[082]一部の適用例では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、異方性組織のSWE測定結果の一貫性および/または信頼性を向上させ得る。一部の実施形態では、システムおよび方法は組織の異方性をキャラクタリゼーションする方法を提供し得る。
【0079】
[083]コンピュータベースシステムまたはプログラマブルロジックなどのプログラム可能なデバイスを使用して、構成要素、システム、および/または方法が実装される様々な実施形態において、上記システムおよび方法は、様々な既知のまたは後に開発されるプログラム言語、例えば“C”、“C++”、“FORTRAN”、“Pascal”、および“VHDL”などのうちの任意のものを使用して実装され得る。したがって、コンピュータなどのデバイスに上記システムおよび/または方法を実施するよう指示することができる情報を含む様々な記憶媒体、例えば磁気コンピュータディスク、光学ディスク、および電子メモリなどを準備することが可能である。適切なデバイスが記憶媒体に含まれる情報およびプログラムにアクセスすると、記憶媒体は情報およびプログラムを該デバイスに提供し、デバイスが本明細書に記載のシステムおよび/または方法の機能を実行することを可能にする。例えば、ソースファイル、オブジェクトファイル、または実行可能ファイルなどの適切な素材を含むコンピュータディスクがコンピュータに提供された場合、コンピュータは情報を受け取り、適切に自身を構成し、上記図面およびフローチャートに概説されている様々なシステムおよび方法の機能を実行することで、様々な機能を実現することができる。すなわち、コンピュータは、上記システムおよび/または方法の各種の要素に関するディスクから情報の様々な部分を受信し、個々のシステムおよび/または方法を実施し、個々の上記システムおよび/または方法の機能を調整することができる。
【0080】
[084]この開示に関連して、本明細書に記載されている様々な方法およびデバイスは、ハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェアとして実装され得ることに留意されたい。さらに、様々な方法およびパラメータは、単なる例示であって、限定的な意味は有さない。この開示に関連して、当業者は、本発明の範囲内において、技術に影響を及ぼすような各自の技術及び必要な機器を決定しつつ、本教示を実施することができる。本明細書に記載のプロセッサのうちの1つまたは複数のプロセッサの機能は、より少ない数の、または単一の処理ユニット(例えば、CPU)に組み込まれてもよく、実行可能命令に応じて本明細書に記載の機能を実行するようにプログラムされた特定用途向け集積回路(ASIC)または汎用処理回路を使用して実装され得る。
【0081】
[085]超音波イメージングシステムを具体的に参照して本発明に係るシステムを説明してきたが、本発明に係るシステムは、1つまたは複数の画像がシステマチックに取得される他の医療イメージングシステムにも拡張され得ることが想定される。本発明に係るシステムは、腎臓、精巣、乳房、卵巣、子宮、甲状腺、肝臓、肺、筋骨格、脾臓、心臓、動脈、および血管系に関連する画像情報を取得および/または記録するために、並びに超音波誘導インターベンションに関連する他のイメージング用途に適用され得る。さらに、本発明に係るシステムは、従来のイメージングシステムとともに使用され、本発明に係るシステムの特徴および利点を提供することを可能にする1つまたは複数のプログラムを含み得る。本開示の追加の利点および特徴が、本開示を研究した当業者に明らかとなり、または本開示の新規システムおよび方法を利用する者によって経験される可能性がある。本発明に係るシステムおよび方法の他の利点は、従来の医療画像システムを容易にアップグレードして、本発明に係るシステム、装置、および方法の特徴および利点を組み込むことができることである。
【0082】
[086]当然のことながら、本明細書に記載される例、実施形態、またはプロセスのいずれか1つが、1つまたは複数の他の例、実施形態、および/またはプロセスと組み合わせられてもよく、または、本発明に係るシステム、装置、および方法にしたがって別の装置または装置の部分の間で分離および/または実行されてもよい。
【0083】
[087]最後に、上記の議論は、本発明に係るシステムの単なる例示であり、添付の特許請求の範囲をいずれかの特定の実施形態または実施形態のグループに限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態を参照して特に詳細に本発明に係るシステムを説明したが、以下の特許請求の範囲に示される本発明に係るシステムの意図される広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、多様な変更および代替的実施形態が当業者によって考案され得ることも理解されたい。したがって、明細書および図面は例示的であると解釈されるべきであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。