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特許7418453貯蔵タンクを断熱するための断熱ブロック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】貯蔵タンクを断熱するための断熱ブロック
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20240112BHJP
   B65D 90/06 20060101ALI20240112BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F17C3/04 E
B65D90/06 A
B63B25/16 F
B63B25/16 103
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021547358
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 FR2020050246
(87)【国際公開番号】W WO2020165537
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】1901516
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】モンフォール ピエール
(72)【発明者】
【氏名】シャルパンティエ ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】フライ ホルガー
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503121(JP,A)
【文献】特開2006-137422(JP,A)
【文献】米国特許第01981568(US,A)
【文献】特開昭50-021360(JP,A)
【文献】特開2000-240706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 3/04
B65D 90/06
B65D 90/02
B63B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体貯蔵タンクの断熱用の断熱ブロック(3,7)であって、
互いに平行に前記断熱ブロック(3,7)の厚さ方向に離隔して配置された第1の板(11)及び第2の板(10)と、
前記第1の板(11)と前記第2の板(10)の間に、前記断熱ブロック(3,7)の前記厚さ方向に挿入された支柱(12)と、
前記支柱(12)間に配置された断熱ライニング(17)と、を備え、
前記第1の板(11)は繊維強化ポリマーマトリックスを含む複合材料に成形され、かつ前記支柱(12)が当たる補強支持ゾーン(13)を備え、
前記補強支持ゾーン(13)は、より薄いゾーン(14)によって互いに隔てられており、かつ前記より薄いゾーン(14)の厚さよりも大きい厚さを有し、
前記補強支持ゾーン(13)は、前記第1の板(11)に形成されるリブのネットワーク(16)によって互いに連結されている、断熱ブロック(3,7)。
【請求項2】
長手方向(x)に平行な行(r1,r2)に沿って整列された補強支持ゾーン(13)を備え、
前記リブのネットワーク(16)は、前記行(r1,r2)のうちの1つの隣接する前記補強支持ゾーン(13)のうちの2つの間に各々延在するリブ(26,36,38,46,50)を備える、請求項1に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項3】
横方向(y)に平行な列(c1,c2)に沿って整列された補強支持ゾーン(13)を備え、
前記リブのネットワーク(16)は、前記列(c1,c2)のうちの1つの隣接する前記補強支持ゾーン(13)のうちの2つの間に各々延在するリブ(29,35,39,49)を備える、請求項1又は2に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項4】
長手方向(x)に平行な行(r1,r2)に沿って整列された補強支持ゾーン(13)と、
横方向(y)に平行な列(c1,c2)に沿って整列された補強支持ゾーン(13)と、
を備え、
前記リブのネットワーク(16)は、前記長手方向(x)と前記横方向(y)とに交差する方向に整列した2つの補強支持ゾーン(13)の間に各々延在するリブ(32,41,42,44,47,51,52)を備える、請求項1に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項5】
各前記リブは、直線状、曲線状及びオメガ字状の中から選択される形状である、請求項2~4の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項6】
前記リブのネットワーク(16)は、2つの補強支持ゾーン(13)の間に各々延在する2つのリブ同士を各々連結する連結リブ(37,40,55)を備える、請求項2~5の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項7】
前記リブのネットワーク(16)は、前記第1の板(11)の縁の1つに沿って各々延在する境界リブ(27,30)を備え、
前記境界リブ(27,30)は、各々、リブ(28,31,34)によって、前記補強支持ゾーン(13)の1つ又は複数に連結されている、請求項1~6の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項8】
前記断熱ライニング(17)は、前記第1の板(11)及び前記第2の板(10)に接着される断熱ポリマーフォームである、請求項1~7の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項9】
前記断熱ポリマーフォームは、前記支柱(12)にも接着される、請求項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項10】
前記断熱ライニング(17)は、前記第1の板(11)と前記第2の板(10)の間で断熱ポリマーフォームを成形することで得られる。請求項8又は9に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項11】
前記断熱ライニング(17)は、密度が20kg/m3から40kg/m3であり、繊維含有率が3重量%から5重量%である繊維強化ポリウレタンフォームである、請求項1~10の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項12】
前記補強支持ゾーン(13)の少なくとも1つが、複数の前記支柱(12)のうちの1つの前記支柱(12)の一端と形状同士を結びつけることで協働するフィッティング素子(15)を有する、請求項1~11の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項13】
前記支柱(12)は、繊維強化ポリマーマトリックスを含む複合材料で製造され、
前記支柱(12)の長手方向は、前記断熱ブロック(3,7)の前記厚さ方向に沿っており、
前記支柱(12)の繊維の50%超が、前記支柱(12)の前記長手方向に平行に配向されているか、又は前記支柱(12)の前記長手方向に対して45°未満の角度で傾斜している、請求項1~12の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項14】
前記第1の板(11)は、マット、パイル及び織物から選択される繊維強化材によって強化された熱可塑性マトリックスを熱成形することで製造されたものである、請求項1~13の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項15】
前記第2の板(10)は繊維強化ポリマーマトリックスを含む複合材料に成形され、かつ前記支柱が当たる補強支持ゾーン(13)を備え、
前記補強支持ゾーン(13)は、より薄いゾーン(14)によって互いに隔てられており、かつ前記より薄いゾーン(14)の厚さよりも大きい厚さを有し、
前記補強支持ゾーン(13)は、リブのネットワーク(16)によって互いに連結されている、請求項1~14の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項16】
前記支柱(12)は引抜成形によって製造されたものである、請求項1~15の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項17】
前記支柱(12)は、中空であり、断熱ライニング(24)によって裏打ちされている、請求項1~16の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項18】
前記第1の板(11)はカバー板(11)である、請求項1~17の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)。
【請求項19】
請求項1~18の何れか一項に記載の断熱ブロック(3,7)を複数、並列配置で含む断熱バリア(2,6)と、
前記断熱バリア(2,6)に当接する密閉メンブレン(5,9)と、を備える、密閉断熱流体貯蔵タンク。
【請求項20】
二重船体(72)と、前記二重船体内に配置される請求項19に記載のタンク(71)と、を備える、流体を輸送するための船(70)。
【請求項21】
請求項20に記載の船(70)と、
前記船の前記船体内に設置された前記タンク(71)を浮体又は陸上貯蔵設備(77)に接続するよう配された断熱パイプライン(73,79,76,81)と、
前記浮体若しくは陸上貯蔵設備から前記船の前記タンクへ又は前記船の前記タンクから前記浮体若しくは陸上貯蔵設備への前記断熱パイプラインを介する流体の流れを生じさせるためのポンプと、を備える、流体輸送システム。
【請求項22】
請求項20に記載の船(70)に対して積み降ろしを行うための方法であって、
浮体若しくは陸上貯蔵設備(77)から前記船(71)の前記タンクに又は前記船(71)の前記タンクから浮体若しくは陸上貯蔵設備(77)に、断熱パイプライン(73,79,76,81)を介して流体を送る、ことを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温流体などの流体を貯蔵及び/又は輸送するための、メンブレンを有する密閉断熱タンクの分野に関する。
【0002】
メンブレンを有する密閉断熱タンクは、液化天然ガス(LNG)を大気圧で約-162℃で貯蔵するのに特に採用される。これらのタンクは陸上又は浮体構造物に設置することができる。浮体構造物の場合、タンクは、液化天然ガスの輸送、又は浮体構造物を推進するための燃料として用いられる液化天然ガスの収容を意図したものであってもよい。
【背景技術】
【0003】
文献WO2016097578は、船の二重船体などの支持構造に固定されるタンク壁を含む、液化天然ガスを貯蔵するための密閉断熱タンクを開示している。各タンク壁は、タンクの外側から内側に、厚さ方向に、連続して、支持構造に固定される二次断熱バリアと、二次断熱バリアに当接する二次密閉メンブレンと、二次密閉メンブレンに当接する一次断熱バリアと、二次断熱バリアに当接し、タンクに貯蔵されている液化天然ガスと接触するよう構成された一次密閉メンブレンと、を備える。
【0004】
二次断熱バリア及び一次断熱バリアは、互いの横に並列配置された断熱ブロックを含む。断熱ブロックは、互いに平行な底板及びカバー板と、底板とカバー板との間において断熱ブロックの厚さ方向に延在する支柱とを備える。断熱ブロックは、支持要素間に配置される断熱ライニングをさらに含む。
【0005】
上記文献WO2016097578の図11図13に示す実施形態では、断熱ブロックは、荷重分散構造を備える。支柱は流体静力学的及び流体力学的荷重を受けてこれを断熱ブロックのカバー板から支持構造に伝達することを意図したものであることから、このような荷重分散構造により、圧縮応力が過度に集中する場合に存在し得るパンチング現象を回避することができる。荷重分散構造は、一方では支柱とカバー板の間に挿入され、他方では支柱と底板の間に挿入される。
【0006】
カバーパネル及び底パネルは、特にこれらが温度勾配にさらされたときにその曲げを制限するのに十分な断熱ブロックの曲げ剛性を確保するために、かなりの厚さを有する。しかしながら、機械的剛性効果の見返りとして、カバー板及び底板がかなりの厚さを有することによって断熱ブロックの断熱性能が低下し、これらの重量が増大するという影響がある。
【0007】
したがって、上記の断熱ブロックは完全に満足のいくものではない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の基礎にある概念は、流体貯蔵タンクの断熱を目的とした上記のタイプの断熱ブロックであって、一方で高い剛性と他方で効果的な断熱との間の優れたトレードオフを提供するというものである。
【0009】
この目的のために、本発明は、一実施形態において、流体貯蔵タンクの断熱用の断熱ブロックであって、
-互いに平行に断熱ブロックの厚さ方向に離隔して配置された第1の板及び第2の板と、
-第1の板と第2の板の間に断熱ブロックの厚さ方向に挿入された支柱と、
-支柱間に配置された断熱ライニングと、
を備える断熱ブロックを提供し、第1の板は繊維強化ポリマーマトリックスを含む複合材料に成形され、かつ支柱が当たる補強支持ゾーンを備え、補強支持ゾーンは、より薄いゾーンによって互いに隔てられており、かつ前記より薄いゾーンの厚さよりも大きい厚さを有し、そして、補強支持ゾーンは、リブのネットワークによって互いに連結されている。
【0010】
したがって、リブによって、支柱が当たるより厚い支持ゾーン間の第1の板の曲げ剛性を強化することが可能になる。これにより、支持ゾーン間の第1の板の厚さを減少させることができる。その結果、断熱ブロックが軽量化され、断熱ブロックの断熱性能が向上し、同時に断熱ブロックの十分な剛性が得られる。
【0011】
実施形態では、そのような断熱ブロックは以下の特徴のうちの1つ又は複数を有することができる。
【0012】
一実施形態では、断熱ブロックは、長手方向に平行な行に沿って整列された補強支持ゾーンを備え、
リブのネットワークは、前記行のうちの1つの隣接する補強支持ゾーンのうちの2つの間に各々延在するリブを備える。
【0013】
一実施形態では、断熱ブロックは、横方向に平行な列に沿って整列された補強支持ゾーンを備え、
リブのネットワークは、前記列のうちの1つの隣接する補強支持ゾーンのうちの2つの間に各々延在するリブを備える。
【0014】
一実施形態では、リブのネットワークは、互いに直角の2つの対称軸を有する。
【0015】
一実施形態では、前記横方向は前記長手方向に直交する。
【0016】
一実施形態では、リブのネットワークは、長手方向と横方向とに交差する方向に整列した2つの補強支持ゾーンの間に各々延在するリブを備える。
【0017】
一実施形態では、各リブは、直線状、曲線状及びオメガ字状の中から選択される形状である。
【0018】
一実施形態では、リブのネットワークは、2つの補強支持ゾーンの間に各々延在する2つのリブ同士を各々連結する連結リブを備える。
【0019】
一実施形態では、リブのネットワークは、第1の板の縁の1つに沿って各々延在する境界リブを備え、
境界リブは、各々、リブによって、補強支持ゾーンの1つ又は複数に連結されている。
【0020】
一実施形態では、断熱ライニングは、第1の板及び第2の板に接着される断熱ポリマーフォームである。これにより、断熱ブロックの第1の板と第2の板との間に及ぼされる剪断力に対する断熱ブロックの耐性が増大し、支柱の反りに抗うことができる。
【0021】
一実施形態では、断熱ポリマーフォームは支柱にも接着される。これにより、機械的な力に対する断熱ブロックの耐性がより一層増大する。
【0022】
一実施形態では、断熱ライニングは、第1の板と第2の板の間で断熱ポリマーフォームを成形することで得られる。このようにして得られるフォームは、特に第1の板がリブのネットワークを有する場合に、断熱ライニングの形状を第1の板の複雑な形状に簡単に適合させることが可能となるという点で特に有利である。
【0023】
別の変形例では、断熱ポリマーフォームは、リブのネットワークを補完する切り欠き及び支柱を収容するためのオリフィスを備える1つ又は複数のプレカットブロックの形で事前に製造される。
【0024】
一実施形態では、断熱ライニングはポリウレタンフォームであり、オプションで繊維強化ポリウレタンフォームである。特定の実施形態では、繊維強化ポリウレタンフォームは密度が20kg/mから40kg/mである。一実施形態では、強化ポリウレタンフォームは繊維含有率が3重量%から5重量%である。
【0025】
一実施形態では、断熱ライニングの繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維及びこれらの混合物の中から選択される。
【0026】
一実施形態では、補強支持ゾーンの少なくとも1つが、複数の支柱のうちの1つの支柱の一端と形状同士を結びつけることで協働するフィッティング素子を有する。一実施形態では、フィッティング素子は、支柱の端部が嵌合されるスリーブなどの雌型の素子である。一実施形態では、フィッティング素子は、支柱の中空端の中に挿入される雄型の素子である。
【0027】
一実施形態では、第1の板は、マット、一定方向若しくは非一定方向のパイル、及び織物の中から選択される繊維強化材によって強化された熱可塑性マトリックスを熱成形することで製造されたものである。繊維強化材は例えばガラス繊維から作製される。
【0028】
一実施形態では、熱可塑性マトリックスは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリエーテルイミド、ポリアクリレート及びこれらのコポリマーの中から選択される。
【0029】
一実施形態では、繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、リネン繊維、玄武岩繊維及びこれらの混合物の中から選択される。
【0030】
一実施形態では、支柱は、繊維強化ポリマーマトリックスを含む複合材料で製造され、支柱の長手方向は、断熱ブロックの厚さ方向に沿っており、支柱の繊維の50%超が、支柱の長手方向に平行に配向されているか、又は支柱の長手方向に対して45°未満の角度で傾斜している。これは、支柱に十分な圧縮強度を与えるのに特に有利である。
【0031】
支柱の繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、玄武岩繊維、及びこれらの副産物、及びこれらの混合物の中から選択される。
【0032】
一実施形態では、支柱は引抜成形によって製造されたものであり、このことは、繊維及び中空フォームの引き抜きの方向に、繊維を優先的に配向させるのに有利である。
【0033】
一実施形態では、支柱は中空であり、かつ断熱ライニングで裏打ちされている。
【0034】
一実施形態では、第2の板は繊維強化ポリマーマトリックスを含む複合材料に成形され、かつ支柱が当たる補強支持ゾーンを備え、補強支持ゾーンは、より薄いゾーンによって互いに隔てられており、かつ当該より薄いゾーンの厚さよりも大きい厚さを有し、補強支持ゾーンは、リブのネットワークによって互いに連結されている。
【0035】
第2の板は、第1の板に関して上記に示した特徴のうちの1つ又は複数を有することができる。
【0036】
一実施形態では、第1の板及び第2の板は同じである。
【0037】
一実施形態では、第1の板はカバー板であり、第2の板は底板である。
【0038】
一実施形態では、本発明は、上記で記載した断熱ブロックを複数、並列配置で含む断熱バリアと、断熱バリアに当接する密閉メンブレンと、を備える密閉断熱流体貯蔵タンクをさらに提供する。このようなタンクは、1つの密閉メンブレン、又は2つの断熱バリアと交互に配置された2つの密閉メンブレンで製造することができる。
【0039】
このようなタンクは、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備の一部を形成することができ、あるいは、特にメタンタンカー船、LNGを燃料とする船、浮体式貯蔵再ガス化ユニット(FSRU)、浮体式生産貯蔵沖合ユニット(FPSO)などの浮体、沿岸又は海中構造に設置することができる。
【0040】
一実施形態では、流体を輸送するための船は、二重船体と、二重船体内に配置される上記のタンクとを備える。
【0041】
一実施形態では、本発明は、上記の船に対して積み降ろしを行うための方法も提供し、流体は、断熱パイプラインを介して、浮体又は陸上貯蔵設備から船のタンクに、あるいは船のタンクから浮体又は陸上貯蔵設備に運ばれる。
【0042】
一実施形態では、本発明は、流体のための移送システムも提供し、このシステムは、上記の船と、船の船体内に設置されるタンクを浮体又は陸上貯蔵設備に接続するように配置された断熱パイプラインと、流体を船のタンクから浮体又は陸上貯蔵設備に、あるいは浮体又は陸上貯蔵設備から船のタンクに断熱パイプラインを介して流すポンプと、を備える。
【0043】
本発明は、添付の図面を参照する純粋に説明のための非限定的な例として与えられる本発明の複数の特定の実施形態の以下の説明によって、よりよく理解され、その他の目的、詳細、特徴及び利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】一実施形態によるタンク壁の切り取り斜視図である。
図2】断熱ブロックの断面の略図である。
図3】断熱ブロックのカバー板と底板の間にポリマーフォームを射出することによるその場成形方法を示す。
図4】底板に向けられた断熱ブロックのカバー板の正面図である。
図5図4のカバー板の詳細図である。
図6】メタンタンカータンクとこのタンクからの積み降ろし用のターミナルの略図である。
図7】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図8】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図9】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図10】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図11】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図12】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図13】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図14】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図15】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図16】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図17】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図18】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図19】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
図20】変形例によるリブのネットワークを示すカバー板の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1に、密閉断熱タンクの壁を示す。このようなタンクの一般的な構造はよく知られており、多面体の形をしている。したがって、以下の記載はタンク壁領域を説明するだけであり、タンクのすべての壁が同様の一般的な構造を有することができることは理解される。タンクの壁は、タンクの外側から内側に、支持壁1と、支持構造1上に並列配置され、二次保持部材4によって支持構造1に固定された自立型断熱ブロック3によって形成される二次断熱バリア2と、断熱ブロック3によって支持される二次密閉メンブレン5と、二次密閉メンブレン5上に並列配置され一次保持部材8によってその上に固定された自立型断熱ブロック7によって形成される一次断熱バリア6と、断熱ブロック7によって支持され、タンク内に収容される低温流体と接触するよう構成された一次密閉メンブレン9と、を備える。
【0046】
支持構造は、タンクの全体的な形を画定する複数の支持壁1を備える。支持構造は、特に船の船体又は二重船体によって形成することができる。支持壁1は、特に、自立型金属シート、又はより一般的には、適切な機械的特性を示す任意の種類の剛性パーティションとすることができる。
【0047】
一次密閉メンブレン9及び二次密閉メンブレン5は、例えば、隆起した縁を有する金属ストレーキの連続的な広がりから構成され、前記ストレーキは、それらの隆起した縁によって、断熱ブロック3,7に固定された平行溶接支持体に溶接される。金属ストレーキは、例えば、Invar(登録商標)からできており、つまり、膨張係数が通常1.2×10-6~2×10-6-1の鉄とニッケルの合金、又は膨張係数が通常7×10-6~9×10-6-1のオーダーの高マンガン含有鉄合金からできている。船のタンクの場合、前記ストレーキは、好ましくは、船の長手方向10に平行な向きである。
【0048】
二次断熱ブロック3及び一次断熱ブロック7は、同一又は異なる構造を有することができる。
【0049】
二次断熱ブロック3及び一次断熱ブロック7は、2つの大きい面、つまり主面と、4つの小さい面、つまり側面と、によって画定される直方体の形状を有する。一実施形態では、二次断熱ブロック3と一次断熱ブロック7は同じ長さ及び同じ幅を有するが、二次断熱ブロック3は一次断熱ブロック7よりも厚い。
【0050】
図2は、二次断熱ブロック又は一次断熱ブロックを形成するための断熱ブロック3,7の構造の断面の略図である。断熱ブロック3,7は、断熱ブロック3,7の厚さ方向に離隔して配置された平行な底板10及びカバー板11を備える。底板10及びカバー板11は、断熱ブロック3,7の主面を画定する。
【0051】
カバー板11は、二次密閉メンブレン5又は一次密閉メンブレン9を受けることを可能にする支持外面を有する。カバー板11はまた、非図示の溝を有し、この溝は、二次密閉メンブレン5又は一次密閉メンブレン9の金属ストレーキ同士を互いに溶接することを可能にする溶接支持体を受けるためのものである。溝はL字状であり、例えば、断熱ブロック3,7ごとに2つある。慣例により、断熱ブロック3,7の長手方向はこの断熱ブロック3,7の長さに対応する。
【0052】
断熱ブロック3,7は、断熱ブロック3,7の厚さ方向に延在する支柱12を備える。支柱12は、一方では底板10上に支持され、他方ではカバー板上に支持される。支柱12は、カバー板11に加えられた法線力を底板10に伝達することを可能にする。
【0053】
図4及び図5に示すように、カバー板11は、支柱12が当たるよう構成された補強支持ゾーン13を備える。補強支持ゾーン13は、カバー板11における他のゾーンの厚さよりも大きい厚さを有し、この他のゾーンは、以下、「より薄いゾーン」14との用語で適切に表現される。本明細書における「より薄い」という用語は、相対的な意味を有し、より薄いゾーン14の厚さが補強支持ゾーン13の厚さよりも小さいことを表す。補強支持ゾーン13は、支柱12との接触ゾーンにおいて応力が過度に集中する現象を回避することを可能にする。例えば、カバー板11の補強支持ゾーン13の厚さは15から35mmの間であり、例えば25mmのオーダーであり、一方、より薄いゾーン14の厚さは1から10mmの間であり、例えば、2~4mmのオーダーである。
【0054】
さらに、一実施形態では、支柱12の両端は、カバー板11に形成されたフィッティング素子15と底板10に形成されたフィッティング素子とにそれぞれ取り付けられる。フィッティング素子15は雌型であってもよく、例えば、支柱12の端部がフォームの接合によって係合するスリーブなどとすることができる。あるいは、フィッティング素子は雄型であって、支柱12の中空端の中に嵌合される。
【0055】
図4及び図5に示す実施形態では、カバー板11のフィッティング素子15は、それぞれ、カバー板11の補強支持ゾーン13の1つに形成された環状リムによって形成される。一実施形態では、支柱12はまた、例えば接着によりカバー板11に固定される。一実施形態では、カバー板11のフィッティング素子15と底板10のフィッティング素子15は異なる構造を有する。
【0056】
さらに、カバー板11は、特に図4及び図5に示すリブのネットワーク16を含み、リブ16は補強支持ゾーン13を互いに連結してカバー板の曲げ剛性を強化することを意図している。したがって、リブのネットワーク16は、支柱12を受ける補強支持ゾーン13の外側のカバー板11の厚さを制限して、断熱ブロック3,7の重量を減らし、カバー板11の十分な剛性を維持し、同時に断熱ブロック3,7の断熱性能を向上させることができる。
【0057】
断熱ブロック3,7はまた、特に図2に示される断熱ライニング17を備え、断熱ライニング17は支柱12によって占められていない空間においてカバー板11と底板10との間に配置される。
【0058】
有利には、断熱ライニング17は、低密度繊維強化ポリウレタンフォームなどの断熱ポリマーフォームである。断熱ポリマーフォームは、密度が例えば20kg/mから40kg/mの間であり、例えば35kg/mのオーダーであるポリウレタンフォームである。繊維含有率は有利には3重量%から5重量%の間である。繊維は、例えばガラス繊維であるが、炭素繊維、アラミド繊維及びこれらの混合物であってもよい。
【0059】
一実施形態では、断熱ポリマーフォームは、カバー板11と底板10との間の支柱12によって占められていない空間内にその場成形される。したがって、断熱ポリマーフォームは、底板10と、カバー板11と、支柱12とに付着する。これにより、断熱ポリマーフォームによって、断熱ブロック3,7の底板10とカバー板11との間に及ぼされる剪断力に対する断熱ブロック3,7の耐性が増大され、支柱12の反りに抗うことができる。さらに、上記のような複雑な形状のカバー板11を有する断熱ブロック3,7の断熱フォームのその場射出成形は、断熱ライニング17の形状をカバー板11の複雑な形状に簡単に適合させることが可能となるという点で特に有利である。
【0060】
これを行うために、図3に示すように、カバー板11、底板10及び支柱12から構成される予め組み立てられた構造が型18内に配置される。型18は、カバー19及び底部20を含み、これらはそれぞれ、断熱ブロック3,7のカバー板11及び底板10と、4つの周壁21,22とに当たるように構成され、この4つの周壁は、そのうちの2つが図3に示されており、底板10の縁及びカバー板11の縁に沿って型18のカバー19と底部20との間に延在する。
【0061】
さらに、型18は1つ又は複数の注入オリフィス23を有し、これにより断熱ライニング17を形成する断熱フォームがカバー板11と底板10との間を流れることができる。図3に示すように、注入オリフィス23が型18のカバー19に形成される場合には、断熱ブロック3,7のカバー板11は対応するオリフィスを含む。非図示の別の有利な実施形態では、注入オリフィスは断熱ブロック3,7の底板10に形成され、これにより、メンブレンを支持するためのカバー板11の平坦面を傷つけることを回避できる。
【0062】
非図示の別の実施形態では、型18はカバーを含まず、型内に配置される予め組み立てられた構造は、関連する支柱12を有する底板10又はカバー板11のうちの一方のみを含む。予め組み立てられた構造は、前記底板10又はカバー板11が型18の底部20に当接して配置されるように型内に配置される。底板10又はカバー板11のうちの他方は、底板10又はカバー板11にフォームの膨脹が到達する前に支柱12に当接しているように組み立てられる。
【0063】
非図示の別の実施形態では、断熱ポリマーフォームは1つ又は複数のプレカットブロックのかたちで予め製造され、プレカットブロックは、支柱12を収容するためのオリフィスと、カバー板11に形成されたリブのネットワーク16を補完する切り欠きと、を有する。断熱ポリマーフォームのブロックは有利にはカバー板11及び底板10に接着され、機械的な力、特に断熱ブロック3,7の底板10とカバー板11の間に及ぼされる剪断力に対する断熱ブロック3,7の耐性を高め、したがって支柱12の反りに抗うように構成されている。
【0064】
補強支持ゾーン13及びリブのネットワーク16を有するカバー板11を製造するために、カバー板11は、有利には繊維強化ポリマーマトリックスを有する複合材料を成形することで得られる。
【0065】
一実施形態では、カバー板11は複合材料のシートを熱成形する方法によって製造され、即ち、カバー板11は、温度、圧力及びオプションで真空条件下での複合材料のシートのクリープによって、複合材料のシートから形成される。
【0066】
カバー板11は、例えば、「ガラス繊維マット強化熱可塑性プラスチック」の頭文字GMTで一般に呼ばれる複合材料で製造される。このタイプの材料は、マット、一定方向(UD)若しくは非一定方向の層、及び織物の中から選択される繊維強化材によって強化された熱可塑性マトリックスを含む。繊維強化材は、例えば、ガラス繊維でできている。このような材料は、熱い状態でプレスされるよう構成されている。このような材料は優れた機械的耐性を有し、例えば20°Cで400mW/(m・K)のオーダーの熱伝導率を示す。
【0067】
熱可塑性マトリックスは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリエーテルイミド、ポリアクリレート及びこれらのコポリマーの中から選択される。
【0068】
繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、リネン繊維、玄武岩繊維及びこれらの混合物の中から選択される。
【0069】
別の実施形態では、カバー板11は、繊維と熱硬化性マトリックスとを含む複合材料を成形する方法によって製造される。成形方法は、例えば、「シート成形コンパウンド」の頭文字SMCで呼ばれるシートに成形される混合タイプの複合材料、又は「バルク成形コンパウンド」の頭文字BMCで呼ばれるバルクに成形される混合タイプの複合材料を圧縮成形するというものである。
【0070】
熱硬化性マトリックスは、例えば、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ及びポリウレタンの中から選択される。
【0071】
さらに、熱硬化性マトリックスに関連する繊維は、熱可塑性マトリックスに関して上述したものと同じ性質のものであり、即ち、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、リネン繊維、玄武岩繊維及びこれらの混合物の中から選択される。
【0072】
変形例では、補強支持ゾーン13及びリブのネットワーク16は、複合材料の平らなシート上に複合材料をオーバーモールドすることによって得られる。
【0073】
一実施形態では、支柱12は、引抜成形法によって、繊維と熱可塑性又は熱硬化性マトリックスとを含む複合材料で製造される。したがって、支柱12は筒状の形態を有する。引抜成形法の使用は、支柱12の長手方向に平行な方向に繊維を優先的に配向させることができるという点で特に有利である。また、有利には、支柱12の繊維の50%超が、支柱12の長手方向に平行に配向されているか、又は前記長手方向に対して45°未満の角度で傾斜している。これにより、支柱12の熱伝導性部分を増大させることなく、十分な圧縮強度を得ることが可能になる。支柱12の繊維は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、リネン繊維、玄武岩繊維及びこれらの混合物の中から選択される。
【0074】
図2及び図3に示すように、支柱12は中空の形態を有し、支柱12の内部は、有利には、断熱ライニング24で裏打ちされる。支柱12は、有利には、支柱12がカバー板11及び底板10に接合される前に、断熱ライニングで充填され、これにより、支柱12を脆くする可能性のあるピアシングの存在を回避することが可能である。さらに、一実施形態では、支柱12はエンドフィッティング25を備え、エンドフィッティング25は支柱12の両端を塞ぎ、したがって、支柱12の内部に位置する断熱ライニング24が支柱12から分離するのを防止する。エンドフィッティング25は、特に、支柱12の端部に接着されてもよく、あるいは支柱12の中に圧入されてもよい。
【0075】
支柱12の内部に収容された断熱ライニング24は、例えば、支柱12の内部にその場成形されるポリウレタンフォームなどの断熱ポリマーフォームである。断熱ポリマーフォームは、特に、支柱12の引抜成形中に支柱12内に注ぐことができ、あるいは、支柱12の引抜成形の後において、カバー板11及び底板10の間に断熱ポリマーフォームを注ぐのと同時に又は注いだ後に、支柱12内に注ぐことができる。
【0076】
別の変形例では、断熱ライニング24は、各支柱12に取り付けられる断熱ポリマーフォームのプレカットブロックからなる。
【0077】
補強支持ゾーン13及びリブのネットワーク16は、多くの異なる形態とすることができる。有利には、リブのネットワーク16は、2つの対称軸、即ち、カバー板11の長手方向軸xに平行な対称軸と、カバー板11の横方向軸yに平行な対称軸とを有する。
【0078】
図4及び図5に示す実施形態では、支柱12と、したがって補強支持ゾーン13は、断熱ブロック3,7の長手方向xに平行に延在する複数の行(ここでは2行)r1,r2に沿って整列する。さらに、この実施形態では、補強支持ゾーン13は、断熱ブロック3,7の横方向yに平行に延在する複数の列c1,c2などに沿っても整列する。別の実施形態では、支柱12及び補強支持ゾーン13は千鳥状に配置されている。さらに、有利な実施形態では、支柱12及び補強支持ゾーン13は等間隔で配置されている。
【0079】
図4及び図5に示す実施形態では、カバー板11は複数の直線状リブ26を備え、複数の直線状リブ26は、カバー板11の長手方向xに平行に延在するとともに、1つの同じ行r1,r2の隣接する補強支持ゾーン13同士をペアで連結する。カバー板11は直線状リブ27及び直線状リブ28も備えており、直線状リブ27はカバー板11の長手方向縁に沿って延在し、直線状リブ28は、各行r1,r2の端部に位置する補強支持ゾーン13と、カバー板11の隣接する横方向縁とを連結する。
【0080】
カバー板11は直線状リブ29をさらに備え、直線状リブ29は、横方向に、即ち、カバー板11の長手方向xに対して直角に延在するとともに、1つの同じ列c1,c2などの2つの隣接する補強支持ゾーン13同士を連結する。カバー板11は直線状リブ30及び直線状リブ31をさらに備え、直線状リブ30は横方向yに平行で、カバー板11の横方向縁に沿って延在し、直線状リブ31は、各列c1,c2などの端部に位置する補強支持ゾーン13と、カバー板11の隣接する長手方向縁とを連結する。
【0081】
さらに、カバー板11は斜めリブ32を備え、斜めリブ32は、各補強支持ゾーン13を、隣接する列c1,c2などと隣接する行r1,r2とに属する補強支持ゾーン13に連結する。図示の実施形態では、斜めリブ32同士は、カバー板11の長手方向xに平行に延在する交差ゾーン33で交差する。カバー板11は斜めリブ34をさらに備え、斜めリブ34は、斜めリブ32に平行に延在するとともに、行r1,r2のうちの1つの端部に位置する補強支持ゾーン13のいずれか1つを隣接する横方向縁に連結するか、あるいは、列c1,c2などのうちの1つの端部に位置する補強支持ゾーン13のいずれか1つを隣接する長手方向縁に連結する。
【0082】
図7は、リブ26,29,32及び補強支持ゾーン13の別の配置を概略的に示している。この実施形態は、斜めリブ32が全体的に直線状であり、2つの交差する斜めリブ32の間の交差ゾーン33はカバー板11の長手方向xに平行に延在する部分を有さないという点で、図4及び図5に関して記載した実施形態とは異なる。また、図示の実施形態では、2つの隣接する行r1,r2の間の間隔は、2つの隣接する列c1,c2などの間の距離に等しく、斜めリブ32が互いに直角であることに留意されたい。
【0083】
図8は、リブ26,29,32及び補強支持ゾーン13の別の配置を概略的に示している。この実施形態は、1つの同じ行r1,r2の補強支持ゾーン13が互いに等距離に配置されていない点で図7に関して記載した実施形態とは異なる。また、斜めリブ32は、必ずしも互いに直角である必要はない。
【0084】
図9に示す実施形態は、図9において符号c2で示す中央の列に属する補強支持ゾーン13がリブによって連結されていないという点で、図7に関して記載した実施形態とは異なる。
【0085】
図10に示す実施形態は、特に、カバー板11が、各補強支持ゾーン13を隣接する行r1,r2及び隣接する列c1,c2などに属する隣接する補強支持ゾーン13に連結する斜めリブ32を有さないという点で、図7に関して記載した実施形態とは異なる。さらに、この実施形態では、カバー板11の端部に位置する列c1の隣接する補強支持ゾーン13同士が曲線状リブ35によって互いに連結されている。
【0086】
図11に示す実施形態では、1つの同じ行r1の隣接する補強支持ゾーン13同士をペアで連結するリブ36は曲線状である。カバー板11はリブ29(ここでは直線状)をさらに含み、リブ29は、1つの同じ列c1,c2の隣接する補強支持ゾーン13同士をペアで連結している。さらに、この実施形態では、カバー板11は連結リブ37を備え、連結リブ37は2つの隣接する行r1,r2間でカバー板11の長手方向xに延在し、したがってリブ29同士を連結する。
【0087】
図12において、カバー板11は、1つの同じ行r1,r2の隣接する補強支持ゾーン13同士をペアで連結するリブ26と、1つの同じ列c1,c2などの隣接する補強支持ゾーン13同士をペアで連結するリブ29とを備える。さらに、1つの同じ行r1,r2の隣接する補強支持ゾーン13同士は、ここでは、オメガ字状リブ38によってペアで連結されている。1つの同じ行r1,r2の隣接する補強支持ゾーン13同士を連結するオメガ字状リブ38は、隣接する行r1,r2の補強支持ゾーン13のオメガ字状リブ38に連結されていてもされていなくてもよい。
【0088】
図13において、カバー板11は曲線状リブ39を備え、曲線状リブ39はそれぞれが、1つの同じ列c1,c2の2つの補強支持ゾーン13同士を連結するとともに、隣接する列c1,c2などの2つの補強支持ゾーン13同士を連結する曲線状リブ39に接続される。さらに、カバー板11は、図13において符号c2で示す中央の列の2つの補強支持ゾーン13同士を連結するオプションのリブ29も備える。
【0089】
図14は、変形例によるカバー板11を示す。この図では、カバー板11は4つの補強支持ゾーン13のみを含む。しかしながら、想定し得る他の変形例では、カバー板11はより多くの数の補強支持ゾーン13を含み、図14に示すパターンが数回繰り返される。この実施形態では、カバー板11は、各行r1,r2の隣接する補強支持ゾーン13同士を連結する直線状リブ26を備える。カバー板11は、各列c1,c2などの隣接する補強支持ゾーン13同士を連結する直線状リブ29をさらに備える。最後に、この実施形態のカバー板11は、長手方向に配向した2つのリブ26間を横方向に延在する連結リブ40を備える。
【0090】
図15において、カバー板11は、各行r1の隣接する補強支持ゾーン13同士を連結するリブ26と、カバー板11の端部に位置する列の隣接する補強支持ゾーン13同士を連結する横リブとを備える。さらに、カバー板11は斜めリブ41(ここでは直線状)をさらに備え、各斜めリブ41は、カバー板11の第1の端部の近くに位置する第1の行r1,r2の補強支持ゾーン13を、カバー板11の反対側の第2の端部の近くに位置する第2の列の補強支持ゾーン13に連結する。さらに、図15では、カバー板11は他のオプションの斜めリブ42を備え、各オプションのリブ42は、カバー板11の端部のうちの1つの近くに位置する行r1,r2の補強支持ゾーン13を、隣接する列c1,c2など及び隣接する行r1,r2の補強支持ゾーンに連結する。
【0091】
図16から図20に関し、他の変形例について説明する。この変形例では、支柱12の配置、したがって補強支持ゾーン13の配置が上記で説明した配置と異なっており、特に、補強支持ゾーン13のすべてが列と行の形で配置されていない点で異なっている。
【0092】
図16に示す実施形態では、補強支持ゾーン13は、断熱ブロック3,7の長手方向xに平行に延在する2行r1,r2に沿って整列している。さらに、補強支持ゾーン13は、断熱ブロック3,7の横方向yに平行に延在する複数列(ここでは4列)c1,c2などにも沿って整列している。さらに、カバー板11は、カバー板11の中央に位置する中央補強支持ゾーン43を備える。カバー板11はリブ26(ここでは直線状)を備え、リブ26は、カバー板11の長手方向xに平行に延在するとともに、1つの同じ行c1,c2の補強支持ゾーン13同士をペアで連結する。カバー板11は2つのリブ29をさらに備え、リブ29は、横方向yに平行に延在するとともに、カバー板11の端部に位置する2列の補強支持ゾーン13をペアで連結する。最後に、カバー板11は、中央補強支持ゾーン43を他の補強支持ゾーン13のそれぞれに連結するリブ44を備える。
【0093】
図17に示す実施形態では、カバー板11は、カバー板11の長手方向及び横方向yにおいてペアで整列された4つの外側補強支持ゾーン13を備える。カバー板11は、カバー板11の長手方向xに平行な中心軸に沿って整列し均等に分布している2つの中央補強支持ゾーン45をさらに備える。カバー板11は、4つの外側補強支持ゾーン13をペアで連結するよう構成された、長手方向に配向されたリブ26と、横方向に沿うリブ29とを備える。さらに、2つの中央補強支持ゾーン45は、長手方向に沿うリブ46(ここでは直線状)によって互いに連結されている。最後に、2つの中央補強支持ゾーン45のそれぞれは、リブ47によって2つの隣接する外側補強支持ゾーン13に連結されている。
【0094】
図18に示す実施形態では、カバー板11は、図17に関して記載したような4つの外側補強支持ゾーン13を備える。さらにカバー板11は5つの中央補強支持ゾーン48,56を備え、このうちの4つは、長方形を画定するよう長手方向xに平行かつ横方向yに平行にペアで整列されており、5つ目の中央補強支持ゾーン48は、他の4つの中央補強支持ゾーン13の対角線の交点に配置される。カバー板11は、横方向yに平行なリブ29と長手方向xに平行なリブ26とを備え、これらは4つの外側補強支持ゾーン13をペアで連結する。さらに、カバー板11は、横方向yに平行なリブ49と長手方向xに平行なリブ50とを備え、これらは長方形を画定する4つの中央補強支持ゾーン13をペアで連結する。さらに、長方形を画定する4つの中央補強支持ゾーン13のそれぞれは、斜めリブ51によって5つ目の中央補強支持ゾーン48に連結されている。最後に、4つの外側補強支持ゾーン13のそれぞれは、近接する中央補強支持ゾーン56にリブ52によって連結されている。
【0095】
図19に示す実施形態では、カバー板11は、図17に関して記載したような4つの外側補強支持ゾーン13を備える。カバー板11は、4つの外側補強支持ゾーン13をペアで連結するリブ26,29を備える。さらにカバー板11は4つの中央補強支持ゾーン53を備え、これらは対角線がそれぞれ長手方向xに平行かつ横方向yに平行である菱形を画定する。さらにカバー板11はリブ54を備え、これらは、各々が前記4つの中央補強支持ゾーン53によって画定される菱形の辺の1つに沿って配置されることで4つの中央補強支持ゾーン53同士を連結する。最後に、4つの外側補強支持ゾーン13のそれぞれは、隣接する中央補強支持ゾーン53にリブ55によって連結されている。
【0096】
図20に示す実施形態は、4つの外側補強支持ゾーン13が中央補強支持ゾーン53の1つに連結されていないという点で、図19に関して上記で説明した実施形態とは異なる。但し、カバー板11の2つの長手方向端部に最も近い2つの中央補強支持ゾーン53は、それぞれ、隣接するリブ29に連結リブによって連結されている。
【0097】
本発明について、いくつかの特定の実施形態に関して記載したが、本発明はこれらに限定されず、記載された手段のすべての技術的同等物及びこれらの組み合わせを包含し、これらは本発明の範囲内である。
【0098】
特に、上記で説明したリブの異なる形状及び補強支持ゾーンの配置は、互いに組み合わせることができる。
【0099】
また、リブ及び補強支持ゾーンの配置及び形状をカバー板11に関して上記で説明したが、同様の配置及び形状を底板10にも使用できることに留意されたい。
【0100】
図6を参照すると、メタンタンカー船70の切り取り図は、船の二重船体72に搭載された略プリズム状の密閉断熱タンク71を示す。タンク71の壁は、タンク内に収容されるLNGと接触するように構成された一次密閉バリアと、一次密閉バリアと船の二重船体72との間に配置される二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアとの間及び二次密閉バリアと二重船体72との間にそれぞれ配置された二つの断熱バリアと、を含む。
【0101】
船の上甲板上に配置される積み降ろしパイプ73を、それ自体知られている方法で適切なコネクタによって海上又は港湾ターミナルに接続して、タンク71から又はタンク71にLNG貨物を移送することができる。
【0102】
図6は、積み降ろしステーション75と、水中ライン76と、陸上設備77とを備える海上ターミナルの一例を示す。積み降ろしステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するライザ78とを備える固定沖合設備である。可動アーム74は、積み降ろしパイプライン73に接続することができる断熱フレキシブルパイプの束79を保持する。旋回可動アーム74は全テンプレートのメタンタンカーに適合する。連結ライン(非図示)がライザ78の内部に延在する。積み降ろしステーション75は、陸上設備77からメタンタンカー70に又はメタンタンカー70から陸上設備77に積み降ろしできるようにする。この陸上設備は、液化ガス貯蔵タンク80と、水中ライン76を介して積み降ろしステーション75に接続される連結ライン81と、を備える。水中パイプライン76は、積み降ろしステーション75と陸上設備77との間の液化ガスの長距離、例えば5kmにわたる移送を可能にし、これにより、積み降ろし作業の間、メタンタンカー船70を沿岸から遠く離れた距離に保つことが可能となる。
【0103】
液化ガスの輸送に必要な圧力を生成するために、船70に搭載されたポンプ及び/又は陸上設備77に備わるポンプ及び/又は積み降ろしステーション75に備わるポンプが使用される。
【0104】
「含む」又は「備える」との動詞及びそれらの活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されているもの以外の要素又は工程の存在を除くものではない。
【0105】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。
図1
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