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  • 特許-ファントム交通渋滞検出および回避 図1A
  • 特許-ファントム交通渋滞検出および回避 図1B
  • 特許-ファントム交通渋滞検出および回避 図2
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  • 特許-ファントム交通渋滞検出および回避 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ファントム交通渋滞検出および回避
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240112BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G08G1/09 S
G08G1/01 E
G08G1/09 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021555833
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 US2019038664
(87)【国際公開番号】W WO2020263214
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニール・ディロン
(72)【発明者】
【氏名】タンメイ・ワドワ
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190315(JP,A)
【文献】特開平10-074296(JP,A)
【文献】特開2006-300771(JP,A)
【文献】特表2013-537331(JP,A)
【文献】特開2003-272089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の速度を制御することにおいて使用するための方法であって、
1つまたは複数のプロセッサにおいて、しきい値渋滞量よりも多くを有する、地理的エリア内の道路区間を識別するステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記道路区間の交通密度に基づいて、前記道路区間のためのしきい値後続距離を決定するステップであって、前記交通密度が増すにつれて、前記しきい値後続距離が減少する、ステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記道路区間における渋滞量を低減するために、前記しきい値後続距離に基づいて、前記道路区間に接近する車両が進行するための目標速度を決定するステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記道路区間に接近する前記車両に関連付けられたコンピューティングデバイスに、前記車両が前記目標速度で走行するための前記目標速度の指示を提供するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記渋滞が、車両が前記道路区間上でしきい値後続距離を維持することができないことによって引き起こされ、前記しきい値渋滞量よりも多くを有する、地理的エリア内の道路区間を識別するステップが、
1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記道路区間上で進行する車両のためのセンサデータを受信するステップであって、前記センサデータが、前記車両がしきい値速度を下回る速度で進行中であるか、またはしきい値減速度よりも多く減速中であることを示す、ステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記センサデータに基づいて、前記道路区間において渋滞を識別するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記しきい値渋滞量よりも多くを有する、地理的エリア内の道路区間を識別するステップが、
1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記道路区間に位置するインフラストラクチャ構成要素から、前記道路区間上で進行する車両のためのセンサデータを受信するステップであって、前記センサデータが、前記車両がしきい値速度を下回る速度で進行中であるか、またはしきい値減速度よりも多く減速中であることを示し、前記センサデータが、前記道路区間上の前記車両を示す画像データを含む、ステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記センサデータに基づいて、前記道路区間において渋滞を識別するステップであって、前記渋滞が、事故、車線閉鎖、工事、または交通信号によって引き起こされていない、ステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記車両のための目標速度の指示を提供するステップが、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記車両内のユーザのクライアントデバイス、または車両ヘッドユニット上に表示するために、前記目標速度の前記指示を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記車両のための目標速度の指示を提供するステップが、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、車両の速度を調整するための自律走行動作機能を有する前記車両において動作するコンピューティングデバイスに、前記目標速度の前記指示を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記しきい値渋滞量よりも多くを有する、地理的エリア内の道路区間を識別するステップが、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記道路区間内に位置する車両からの信号を受信するステップであって、前記信号が、前記渋滞が事故、車線閉鎖、工事、または交通信号によって引き起こされていないことを示す、ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
車両の速度を制御することにおいて使用するためのサーバデバイスであって、前記サーバデバイスが、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記1つまたは複数のプロセッサに結合され、その上に命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読メモリと
を備え、前記命令が、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、前記サーバデバイスに、
しきい値渋滞量よりも多くを有する、地理的エリア内の道路区間を識別すること、
前記道路区間の交通密度に基づいて、前記道路区間のためのしきい値後続距離を決定することであって、前記交通密度が増すにつれて、前記しきい値後続距離が減少する、決定することと、
前記道路区間における渋滞量を低減するために、前記しきい値後続距離に基づいて、前記道路区間に接近する車両が進行するための目標速度を決定すること、および
前記道路区間に接近する前記車両に関連付けられたコンピューティングデバイスに、前記車両が前記目標速度で走行するための前記目標速度の指示を提供すること
を行わせる、サーバデバイス。
【請求項8】
前記しきい値渋滞量よりも多くを有する、地理的エリア内の道路区間を識別するために、前記命令が、前記サーバデバイスに、
前記道路区間上で進行する車両のためのセンサデータを受信することであって、前記センサデータが、前記車両がしきい値速度を下回る速度で進行中であるか、またはしきい値減速度よりも多く減速中であることを示す、受信すること、および
前記センサデータに基づいて、前記道路区間において渋滞を識別すること
を行わせる、請求項7に記載のサーバデバイス。
【請求項9】
前記しきい値渋滞量よりも多くを有する、地理的エリア内の道路区間を識別するために、前記命令が、前記サーバデバイスに、
前記道路区間に位置するインフラストラクチャ構成要素から、前記道路区間上で進行する車両のためのセンサデータを受信することであって、前記センサデータが、前記車両がしきい値速度を下回る速度で進行中であるか、またはしきい値減速度よりも多く減速中であることを示し、前記センサデータが、前記道路区間上の前記車両を示す画像データを含む、受信すること、および
前記センサデータに基づいて、前記道路区間において渋滞を識別することであって、前記渋滞が、事故、車線閉鎖、工事、または交通信号によって引き起こされていない、識別すること
を行わせる、請求項7に記載のサーバデバイス。
【請求項10】
前記車両のための目標速度の指示を提供するために、前記命令が、前記サーバデバイスに、
前記車両内のユーザのクライアントデバイス、または車両ヘッドユニット上に表示するために、前記目標速度の前記指示を提供すること
を行わせる、請求項7に記載のサーバデバイス。
【請求項11】
前記クライアントデバイス上に表示するために、前記目標速度の前記指示を提供するために、前記命令が、前記サーバデバイスに、前記ユーザの前記クライアントデバイス上に表示するために、背景色の指示を提供することであって、前記背景色が、進行する速度の異なる変化を各々示す、複数の背景色から選択される、提供することを行わせる、請求項10に記載のサーバデバイス。
【請求項12】
前記車両のための目標速度の指示を提供するために、前記命令が、前記サーバデバイスに、
車両の速度を調整するための自律走行動作機能を有する前記車両において動作するコンピューティングデバイスに、前記目標速度の前記指示を提供すること
を行わせる、請求項7に記載のサーバデバイス。
【請求項13】
車両の速度を制御することにおいて使用するための方法であって、
車両における1つまたは複数のプロセッサによって、サーバデバイスに、前記車両のロケーションの指示を提供するステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記サーバデバイスから、前記車両がしきい値渋滞量よりも多くを有する道路区間に接近中であるとき、しきい値後続距離に基づく前記車両が進行するための目標速度の指示を受信するステップであって、前記しきい値後続距離は、前記道路区間の交通密度に基づき、前記交通密度が増すにつれて、前記しきい値後続距離が減少する、ステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記車両の現在の速度を決定するステップと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記現在の速度と、前記車両が前記目標速度で走行するための前記目標速度との間の差を示すフィードバック信号を出力するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記車両のスロットル制御装置に、前記フィードバック信号を提供するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フィードバック信号を出力するステップが、ユーザインターフェース上で視覚フィードバックを表示するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
視覚フィードバックを表示するステップが、前記ユーザインターフェース上で前記目標速度の指示を表示するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ユーザインターフェース上で前記目標速度の指示を表示するステップが、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記目標速度の数字指示を提示するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ユーザインターフェース上で前記目標速度の指示を表示するステップが、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、速度の異なる変化を各々示す背景色のセットからの背景色を提示するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
車両のロケーションの指示を提供するステップが、前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記車両が前記道路区間のしきい値距離内であり、前記道路区間に向かって進行中であることを示す、前記車両の速度および進行方向を示す測位データを提供するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記しきい値後続距離は、前記車両と前記車両の前の第2の車両との間、および前記車両と前記車両の後ろの第3の車両との間での双方向の後続距離である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタルマッピングデータに関し、より詳細には、道路区間上の渋滞を緩和するために、その道路区間に入るユーザおよび車両に命令を与えることによって、交通渋滞の影響を検出および低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で提供する背景技術の説明は、本開示のコンテキストを全体的に提示するためのものである。この背景技術セクションにおいて説明する範囲内で、今回挙げた発明者の作業、ならびに、場合によっては出願の時点において従来技術として適格ではないことがある説明の態様は、本開示に対する従来技術として明確にも暗示的にも認められない。
【0003】
今日、多くのユーザが、様々な地理的ロケーションのためのマップおよびナビゲーションデータを求めている。ソフトウェアアプリケーションは、典型的には、開始地点および目的地を指定する、ユーザからの入力の受信に応答して、ナビゲーションデータを生成する。さらに、多くのユーザが、特に密集度の高いエリアでは、毎日、激しい渋滞を経験している。これらの期間中に、車両は、停止するようになる前にほんの一瞬だけ加速し、次いで、車両のそれぞれの目的地に到着するまで、このプロセスを数回繰り返す。広いハイウェイおよび高速道路は、交差点がないので、渋滞を低減することができるが、激しい渋滞は、事故、車線閉鎖、工事など、異なる理由のために、ハイウェイおよび高速道路上でも発生する。
【0004】
いくつかのシナリオでは、交通渋滞は、事故または車線閉鎖なしに発生することがある。運転者は、加速し、それ以上の遅延なしに自分の目的地まで進み続けることができるようになるまで、事故、車線閉鎖、工事エリアなどに接近することを予想しながら、長い期間の間、渋滞の中で動けないことが多い。しかしながら、これらの運転者は、交通渋滞の原因を決定することができず、代わりに、ある時点において、渋滞が軽減し、運転者は、いかなる明らかな理由もなしに、加速し始める。そのような交通渋滞の1つの原因は、明らかな原因なしに、車両が減速または停止する、「ファントム交通渋滞(phantom traffic jam)」として知られる現象である。これらの「ファントム交通渋滞」は、1台の車両が密集度の高い車道上で減速することによって引き起こされる、連鎖反応に起因する。このことは、その後ろの車両がなお一層減速することを引き起こし、進行波のように作用する、車が減速する連鎖反応を引き起こす。車道上の各車両が速度を低減し、前の車両が加速することを待機するようになるまでに、このプロセスが繰り返して現れることがある。このようにして、密集度の高い車道上であまりに急に減速する1台の車両が、30分、1時間、ことによると数時間もの渋滞を生じ得る。2009年に、アルバータ大学およびマサチューセッツ工科大学の科学者が、この現象を表す式を提案しており、この式は、一時的な乱れ(突然の交通の流入(influx of traffic)、または車線を変更する車両など)が、数時間の間に道路に徐々に伝わり得る急ブレーキの連鎖反応を、どのように引き起こし得るかについて説明している(M. R. Flynn、A. R. Kasimov、J.-C. Nave、R. R. Rosales、およびB. Seibold、「Self-sustained nonlinear waves in traffic flow」、Physical Review E、2009年、79(5))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】M. R. Flynn、A. R. Kasimov、J.-C. Nave、R. R. Rosales、およびB. Seibold、「Self-sustained nonlinear waves in traffic flow」、Physical Review E、2009年、79(5)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
交通渋滞の影響を低減するために、渋滞低減システム(traffic reduction system)は、最初に、ファントム交通渋滞であり得る、道路区間上の交通渋滞を識別する。渋滞低減システムは、いくつかの車両が減速中であることを示す、道路区間上の車両、または道路区間上のインフラストラクチャ構成要素からのセンサデータを受信することによって、道路区間上の交通渋滞を識別し得る。さらに、渋滞低減システムは、道路区間上の事故、工事、交通信号、または車線閉鎖を含まない、画像またはビデオデータなど、道路区間上のインフラストラクチャ構成要素からのセンサデータを受信し得る。渋滞低減システムはまた、渋滞サーバから、渋滞の原因に関する追加の情報を受信し得る。
【0007】
いずれにしても、渋滞低減システムが交通渋滞を識別するとき、渋滞低減システムは、道路区間上の渋滞量を低減するために、道路区間に接近する車両が進行するための目標速度または速度範囲を決定する。より詳細には、道路区間上の各車両が、その車両とその車両の前の車両との間、およびその車両とその車両の後ろの車両との間で、同じ距離を維持する場合、それらの車両は、減速する必要がなくなる。したがって、渋滞低減システムは、車両の各々が各それぞれの車両の前および後ろの車両との間で維持するための、後続距離を決定し、後続距離に対応する目標速度を計算する。
【0008】
渋滞低減システムは、道路区間に接近する各車両、またはその車両内のコンピューティングデバイスに、目標速度の指示を提供する。いくつかの実装形態では、指示は、ユーザのクライアントデバイス上、または車両ヘッドユニット上に表示するために提供される、数字指示である。指示はまた、ユーザが適切な後続距離を維持するために加速する必要があることを示す、緑色の背景色、ユーザが減速する必要があることを示す、黄色の背景色、ユーザが同じ速度にとどまる必要があることを示す、青色の背景色、ユーザがすばやく減速する必要があることを示す、オレンジ色の背景色などの背景色を含み得る。このようにして、ユーザ/運転者は、道路区間上の渋滞を低減するために、目標速度で進行し得る。他の実装形態では、目標速度の指示は、自律走行車両、半自律走行車両、または自律走行動作機能を有する任意の他の車両におけるコンピューティングデバイスなど、車両の何らかの動作を制御する、車両内のコンピューティングデバイスに提供される。このようにして、コンピューティングデバイスは、速度を調整し、目標速度で進行するように、車両を制御し得る。
【0009】
詳細には、本開示の技法の例示的な一実施形態は、車両の速度を制御することにおいて使用するための方法である。本方法は、しきい値渋滞量よりも多くを有する、地理的エリア内の道路区間を識別するステップと、道路区間における渋滞量を低減するために、道路区間に接近する車両が進行するための目標速度を決定するステップと、道路区間に接近する車両に関連付けられたコンピューティングデバイスに、車両のための目標速度の指示を提供するステップとを含む。
【0010】
これらの技法の別の実施形態は、車両の速度を制御することにおいて使用するためのサーバデバイスである。本サーバデバイスは、1つまたは複数のプロセッサと、命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体とを含む。1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、命令は、本サーバデバイスに、しきい値渋滞量よりも多くを有する、地理的エリア内の道路区間を識別すること、道路区間における渋滞量を低減するために、道路区間に接近する車両が進行するための目標速度を決定すること、および、道路区間に接近する車両に関連付けられたコンピューティングデバイスに、車両のための目標速度の指示を提供することを行わせる。
【0011】
これらの技法のまた別の実施形態は、車両の速度を制御することにおいて使用するための方法である。本方法は、サーバデバイスに、車両のロケーションの指示を提供するステップと、サーバデバイスから、車両がしきい値渋滞量よりも多くを有する道路区間に接近中であるとき、車両が進行するための目標速度の指示を受信するステップと、車両の現在の速度を決定するステップと、現在の速度と目標速度との間の差を示すフィードバック信号を出力するステップとを含む。
【0012】
これらの技法のさらなる一実施形態は、車両の速度を制御することにおいて使用するためのデバイスを含む。本デバイスは、1つまたは複数のプロセッサと、命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体とを含む。1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、命令は、本デバイスに、サーバデバイスに車両のロケーションの指示を提供すること、サーバデバイスから、車両がしきい値渋滞量よりも多くを有する道路区間に接近中であるとき、車両が進行するための目標速度の指示を受信すること、車両の現在の速度を決定すること、および、現在の速度と目標速度との間の差を示すフィードバック信号を出力することを行わせる。
【0013】
本開示はまた、コンピューティングデバイスによって実行されたとき、コンピューティングデバイスに、本明細書で開示する方法のいずれかを実施させる命令を備える、コンピュータ可読媒体を提供する。本開示はまた、コンピューティングデバイスによって実行されたとき、コンピューティングデバイスに、本明細書で開示する方法のいずれかを実施させる命令を備える、コンピュータプログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】一緒に非常に近接して後続することによって、渋滞を生じる、車道上の車両を含む、一例示的なシナリオを示す図である。
図1B】適切な後続距離を維持することによって、渋滞を生じない、車道上の車両を含む、別の例示的なシナリオを示す図である。
図2】本開示の技法が、交通渋滞を低減するための速度表示を生成するために使用され得る、一例示的な車両を示す図である。
図3】交通渋滞の影響を低減するための技法が実装され得る、一例示的な通信システムのブロック図である。
図4A】道路区間上の渋滞量を低減するために、渋滞がある道路区間に接近する車両のための目標速度を示す、一例示的な速度表示の図である。
図4B】道路区間上の渋滞量を低減するために、渋滞がある道路区間に接近する車両のための目標速度を示す、一例示的な速度表示の図である。
図5】サーバデバイスにおいて実装され得る、交通渋滞の影響を低減するための一例示的な方法のフロー図である。
図6】クライアントデバイスにおいて実装され得る、交通渋滞の影響を低減するために、速度表示を提示するための一例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概要
本開示は、交通渋滞の影響を低減するために、車両の速度を制御することにおいて使用するための方法を提供する。いくつかの実施形態によれば、交通渋滞に接近する複数の車両の各々のためのそれぞれの目標速度が決定され、目標速度の指示が、各車両に提供される。目標速度の指示を受信すると、各車両は、その現在の速度と目標速度との間の差を最小にするために、その現在の速度を調整する。目標速度で運転することによって、各車両間の距離を広げさせ、かつ/または、車両が、ファントム交通渋滞であり得る、交通渋滞に接近する速度を最適化する。このことは、次に、ファントム交通渋滞を永続させ得る急ブレーキの見込みを低減する。このようにして、車両の速度を制御することによって、ファントム交通渋滞が解消することが可能である。
【0016】
上記で説明したように、ファントム交通渋滞は、1台の車両が密集度の高い車道上で減速することによって引き起こされる、連鎖反応に起因して発生し得る。このことは、その後ろの車両がなお一層減速することを引き起こし、進行波のように作用する、車両が減速する連鎖反応を引き起こす。最小交通密度、または、交通渋滞が道路上で発生し得る単位距離当たりの車両の数は、以下の式を使用して決定され得る。
【0017】
【数1】
【0018】
ただし、
ρLは、最小交通密度、または、交通渋滞が道路上で発生し得る単位距離当たりの車両の数であり、
ρMは、特定の道路(たとえば、道路上の車両間にスペースがないところ)のための最大交通密度であり、
βは、道路の曲率および/または天候状態に従って減少する、道路状態の測度であり、
uは、速度制限、または速度制限をわずかに上回るなど、渋滞がないとき、車両が道路上で進行する速度である。
【0019】
このようにして、渋滞なしに道路上で進行する車両のための平均速度が増すにつれて、交通渋滞が発生し得る最小交通密度が減少する。したがって、ファントム交通渋滞は、ハイウェイ、有料道路、および高速道路など、より高い速度制限がある車道上で発生する可能性があり得る。
【0020】
この現象が、図1Aに示されており、図1Aは、車両102~110が車道上で進行している、一例示的な車道100を示す。車道100は、交差点、交通信号、事故、工事、車線閉鎖などを含まない。しかしながら、第2の車両104が第1の車両102に非常に近接して後続するために、交通渋滞が車道に沿って生じる。第1の車両102が減速するとき、第2の車両104は、第1の車両102に衝突することを回避するために、第1の車両102よりも速く減速する。第3の車両106は、第2の車両104よりも速く減速し、第4の車両108は、第3の車両106よりもさらに速く減速する。次いで、第4の車両108は、第4の車両108がもう一度加速することができるようになるまで、第2の車両104および第3の車両106が加速することを待機しなければならない。したがって、交通流は、減速する第1の車両から車両が遠ざかるほど、大きさにおいて増幅する進行波のように挙動する。第5の車両110が車道100に接近するとき、第5の車両110もまた、最初の4台の車両のパターンに後続する可能性がある。第5の車両110は、第4の車両108の後ろで近接して後続し、第4の車両108と同様にして、加速および減速し得る。
【0021】
一方、各車両が、その車両とその車両の前の車両との間、およびその車両とその車両の後ろの車両との間で、等しい距離を維持するとき、これらのファントム交通渋滞は発生しない。このことが、図1Bに示されており、図1Bは、車両152~158が道路上で進行している、一例示的な車道150を示す。車道150上の第2の車両154は、第2の車両154と第3の車両156との間の距離(d2)と同じ、第2の車両154と第1の車両152との間の距離(d1)を維持する。第4の車両158が第3の車両156に接近するとき、第3の車両156および第4の車両158は、第3の車両156と第2の車両154との間の距離(d2)と同じ距離を維持する。
【0022】
したがって、その車両とその車両の前の車両との間、およびその車両とその車両の後ろの車両との間で、等しい距離を維持する(本明細書では「双方向制御」とも呼ぶ)ために、渋滞低減システムは、特定の時点における道路区間上の、または道路区間に接近する車両の目標加速度を、その車両、その車両の前の車両、およびその車両の後ろの車両の速度および位置に基づいて決定する。より詳細には、渋滞低減システムは、車両の目標加速度(a)を、次のように決定し得る。
a=kd(xn+1-2xn+xn-1)+kv(vn+1-2vn+vn-1)
ただし、
xnは、車両nの位置であり、
xn+1は、車両nの前の車両n+1の位置であり、
xn-1は、車両nの後ろの車両n-1の位置であり、
vnは、車両nの速度であり、
vn+1は、車両nの前の車両n+1の速度であり、
vn-1は、車両nの後ろの車両n-1の速度であり、
kdは、位置フィードバックの利得であり、
kvは、速度フィードバックの利得である。
【0023】
次いで、渋滞低減システムは、車両の現在の速度、目標加速度、およびしきい値時間期間に基づいて、車両がしきい値時間期間(たとえば、10秒、30秒など)内に加速または減速するための目標速度を決定し得る。目標速度は、ユーザのクライアントデバイス10上に数値的に、またはユーザが加速するか、減速するか、もしくは一定速度を維持する必要があることを示す背景色として、提示され得る。
【0024】
例示的なハードウェアおよびソフトウェア構成要素
図2を参照すると、上記で概説した技法が実装され得る一例示的な環境1は、クライアントデバイス10と、ヘッドユニット14がある車両12とを含む。クライアントデバイス10は、たとえば、スマートフォンまたはタブレットコンピュータであり得る。クライアントデバイス10は、ワイヤード(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、またはワイヤレス(たとえば、Bluetooth、Wi-Fiダイレクト)であり得る、通信リンク16を介して、車両12のヘッドユニット14と通信する。クライアントデバイス10はまた、第4世代または第3世代セルラーネットワーク(それぞれ、4Gまたは3G)など、ワイヤレス通信ネットワークを介して、様々なコンテンツプロバイダ、サーバなどと通信することができる。
【0025】
ヘッドユニット14は、デジタルマップなどのディスプレイ18を含み得る。いくつかの実装形態におけるディスプレイ18は、タッチスクリーンであり、目的地、起点などの名前または住所を含み得る、テキスト入力を入力するためのソフトウェアキーボードを含む。それぞれ、ヘッドユニット14およびステアリングホイール上のハードウェア入力制御装置20および22は、英数字を入力するために、またはナビゲーション案内を要求するための他の機能を実施するために使用され得る。ヘッドユニット14はまた、たとえば、マイクロフォン24およびスピーカー26など、オーディオ入力および出力構成要素を含み得る。
【0026】
図3を参照すると、渋滞低減システムが実装され得る、一例示的な通信システム100は、クライアントデバイス10と、「ナビゲーションアプリケーション84」と呼ばれることもある、地理的アプリケーション84を実行するように構成されたコンピューティングデバイスなど、いくつかの他のクライアントデバイス82a~nとを含む。実装形態に応じて、アプリケーション84は、対話型デジタルマップを表示し、運転、歩行、または他のナビゲーション案内を提供するために、ルーティングデータを要求および受信し、様々なジオロケーションコンテンツを提供することなどができる。クライアントデバイス82a~nの各々は、様々なロケーションにナビゲートしながら、デジタルマップを表示するユーザによって操作され得る。
【0027】
さらに、例示的な通信システム100は、道路区間上またはその周囲に配設され、道路区間に関するセンサデータを収集する、交通信号灯などのインフラストラクチャ構成要素306を含む。インフラストラクチャ構成要素306は、交通信号、カメラ、街灯、または任意の他の好適な路側機器を含み得る。さらに、インフラストラクチャ構成要素306は、カメラ、測位センサなど、1つまたは複数のセンサ(図示せず)と、処理構成要素308と、インフラストラクチャ構成要素306の通信範囲内の車両と通信し、かつ/またはサーバデバイスと通信するための、ビークルツーインフラストラクチャ(V2I:vehicle-to-infrastructure)通信インターフェースとを含み得る。
【0028】
クライアントデバイス10、他のクライアントデバイス82a~n、およびインフラストラクチャ構成要素306に加えて、通信システム100は、クライアントデバイス10に目標速度を提供するように構成された、サーバデバイス60を含む。サーバデバイス60は、一例示的な実装形態では、交通渋滞が特定の道路区間にあるか否かを決定するために、他のクライアントデバイス82a~nおよびインフラストラクチャ構成要素306から受信されたセンサデータを記憶する、データベース80に通信可能に結合され得る。
【0029】
より一般的には、サーバデバイス60は、任意のタイプの好適な地球空間的情報、または地理的コンテキストにリンクされ得る情報を記憶する、1つまたはいくつかのデータベースと通信することができる。通信システム100はまた、たとえば、運転、歩行、自転車運転、または公共輸送案内を提供する、ナビゲーションデータサーバ34を含み得る。さらに、通信システム100は、マップ表示を生成するために、サーバデバイス60にマップデータを提供する、マップデータサーバ50を含み得る。またさらに、通信システム100は、サーバデバイス60に渋滞データを提供する、渋滞サーバ(図示せず)を含み得る。通信システム100において動作するデバイスは、通信ネットワーク30を介して相互接続され得る。
【0030】
クライアントデバイス10は、メモリ320と、1つまたは複数のプロセッサ(CPU)316と、グラフィックス処理ユニット(GPU)312と、I/Oモジュール314と、ユーザインターフェース(UI)332と、全地球測位システム(GPS)モジュール、加速度計、ジャイロスコープ、コンパスなどの磁力計など、1つまたはいくつかのセンサ(図示せず)とを含み得る。メモリ320は、非一時的メモリであり得、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、他のタイプの永続的メモリなど、1つまたはいくつかの好適なメモリモジュールを含み得る。I/Oモジュール314は、たとえば、タッチスクリーンであり得る。様々な実装形態では、クライアントデバイス10は、図3に示されたものよりも少ない構成要素、または逆に、追加の構成要素を含み得る。クライアントデバイス10について、スマートフォンまたはタブレットコンピュータとして、図1を参照しながら上記で説明しているが、クライアントデバイス10は、任意の好適なポータブルまたは非ポータブルコンピューティングデバイスであり得る。たとえば、クライアントデバイス10は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートウォッチまたはスマートグラスなどのウェアラブルデバイスなどであり得る。
【0031】
メモリ320は、任意のタイプの好適なモバイルまたは汎用オペレーティングシステムであり得る、オペレーティングシステム(OS)326を記憶する。OS326は、アプリケーションがセンサの読みを取り出すことを可能にする、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)機能を含み得る。たとえば、クライアントデバイス10上で実行するように構成されたソフトウェアアプリケーションは、その瞬間にクライアントデバイス10の現在のロケーションを取り出すために、OS326のAPIを呼び出す命令を含み得る。APIはまた、APIが推定値をどのくらい確信しているかの定量的指示を(たとえば、パーセンテージとして)返すことができる。
【0032】
メモリ320はまた、ナビゲーションアプリケーションなどの地理的アプリケーション内の機能として含まれ得る、速度表示322を記憶する。ナビゲーションアプリケーションは、対話型デジタルマップを表示し、運転、歩行、または他のナビゲーション案内を提供するために、ルーティングデータを要求および受信し、様々なジオロケーションコンテンツを提供することなどができる。いくつかの実装形態では、クライアントデバイス10の現在のロケーションが、サーバデバイス60に提供される。クライアントデバイス10が、渋滞、特に、事故、車線閉鎖、工事、交通信号などによって引き起こされていないが、車両が互いに非常に接近して後続することによって引き起こされている、渋滞がある道路区間に接近中(たとえば、500ft、半マイル、1マイルなど、道路区間のしきい値距離内、および/または車両12が、車両12の進行方向によって、道路区間に向かって進行中であるとき)であると、サーバデバイス60が決定する場合、サーバデバイス60は、道路区間上の渋滞量を低減するために、クライアントデバイス10に関連付けられた車両12が進行するための目標速度の指示を提供する。速度表示322は、目標速度の指示を、たとえば、数字指示(たとえば、33mph)として、方向矢印として(たとえば、その場合、上向きの矢印は、ユーザが加速するべきであることを示し、下向きの矢印は、ユーザが減速するべきであることを示す)、および/または、異なる速度変更を各々表す背景色のセットから選択された背景色として、提示するように構成される。たとえば、緑色の背景色は、クライアントデバイス10のユーザが加速する必要があることを示すことがあり、青色の背景色は、クライアントデバイス10のユーザが同じ速度にとどまる必要があることを示すことがあり、黄色の背景色は、クライアントデバイス10のユーザが減速する必要があることを示すことがあり、オレンジ色の背景色は、クライアントデバイス10のユーザがすばやく減速する必要があることを示すことがある。
【0033】
速度表示322は、ナビゲーションアプリケーション内で通知として提示されることがあり、対話型デジタルマップに定期的にオーバーレイするように、またはクライアントデバイス10が、渋滞がある道路区間に接近中であるか、もしくはその道路区間上にある時間期間の間、継続的に提示され得る。サーバデバイス60は、車両12の前の、車両12の後ろの、および/または道路区間上の他の車両の速度に基づいて、車両12が進行するための目標速度のリアルタイム更新を提供し得る。
【0034】
上述のように、各クライアントデバイス82a~nは、マップデータを表示するユーザによって操作され得る。クライアントデバイス82a~nの各々は、スマートフォンまたはタブレットコンピュータであり得、1つまたはいくつかのセンサを有し得る。追加として、各クライアントデバイス82a~nは、上記のように、オペレーティングシステム(OS)と、対話型デジタルマップを生成すること、および/または他の地理的機能を実施することを行うように構成される、ナビゲーションアプリケーション84とを記憶する、メモリを含み得る。ナビゲーションアプリケーション84は、マップデータサーバ50から、ラスタ(たとえば、ビットマップ)または非ラスタ(たとえば、ベクターグラフィックス)フォーマットにおけるマップデータを受信し、マップ表示86を介して、マップデータを提示することができる。場合によっては、マップデータは、道路、街路、自然形成物などを示す基本レイヤ、現在の交通状態を示す交通レイヤ、現在の天候状態を示す天候レイヤ、目的地に到着するための経路を示すナビゲーションレイヤなど、レイヤに編成され得る。ナビゲーションアプリケーション84はまた、運転、歩行、または輸送案内を表示し、一般に、マップ表示86を介して、地理、ジオロケーション、ナビゲーションなどに関する機能を提供することができる。
【0035】
クライアントデバイス82a~nは、様々な道路区間上で渋滞を識別するために、サーバデバイス60にマップデータおよび/またはセンサデータを提供し得る。より詳細には、クライアントデバイス82a~nのユーザが、ロケーションおよび他のセンサデータを共有することに同意するとき、クライアントデバイス82a~nは、サーバデバイス60に対してクライアントデバイス82a~nの現在のロケーションを示す測位データ、ならびに、クライアントデバイス82a~nのための加速度データおよび/または速度データを提供する。サーバデバイス60が、同じ地理的エリア内のクライアントデバイス82a~nからのいくつかの減速の事例、またはしきい値速度を下回る速度を取得するとき、サーバデバイス60は、クライアントデバイス82a~nの現在のロケーションに対応する車道上で、渋滞を識別し得る。他の実装形態では、サーバデバイス60は、道路区間上で渋滞を識別するために、渋滞サーバ(図示せず)と通信し得る。
【0036】
図3は、ナビゲーションアプリケーション84をスタンドアロンアプリケーションとして示しているが、ナビゲーションアプリケーション84の機能はまた、クライアントデバイス82a~n上で実行する別のソフトウェアアプリケーションのためのプラグインまたは拡張などとして、クライアントデバイス82a~n上で実行するウェブブラウザを介してアクセス可能なオンラインサービスの形態で提供され得ることに留意されたい。ナビゲーションアプリケーション84は、一般に、異なるそれぞれのオペレーティングシステムのための異なるバージョンにおいて提供され得る。たとえば、クライアントデバイス82a~nのメーカーは、Android(商標)プラットフォームのためのナビゲーションアプリケーション84を含むソフトウェア開発キット(SDK)、iOS(商標)プラットフォームのための別のSDKなどを提供することができる。
【0037】
いくつかの実装形態では、サーバデバイス60は、1つまたは複数のプロセッサ62と、メモリ64とを含む。メモリ64は、有形の非一時的メモリであり得、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、他のタイプの永続的メモリなどを含む、任意のタイプの好適なメモリモジュールを含み得る。メモリ64は、道路区間など、車道または車道の部分上で交通渋滞を識別することができる、渋滞低減エンジン68を構成する、プロセッサ62上で実行可能な命令を記憶する。渋滞低減エンジン68はまた、車道に接近しているクライアントデバイス10の現在のロケーションを受信し、車道上の渋滞量を低減するために、クライアントデバイス10に関連付けられた車両12が進行するための目標速度を決定し得る。目標速度の指示は、クライアントデバイス10の速度表示322によって表示される。
【0038】
渋滞低減エンジン68、および速度表示322は、渋滞低減システムの構成要素として動作することができる。代替的に、渋滞低減システムは、サーバ側構成要素のみを含み、単に、目標速度の指示を表示するための命令を、速度表示322に提供することができる。言い換えれば、これらの実施形態における渋滞低減技法は、速度表示322に対して透過的に実装され得る。別の代替として、渋滞低減エンジン68の機能全体が、速度表示322において実装され得る。速度表示322は、図3において、クライアントデバイス10において動作するように示されているが、速度表示322はまた、車両ヘッドユニット14内、または車両12において動作する任意の他のコンピューティングデバイスにおいて動作し得る。たとえば、速度表示322は、車両12の動作を制御するコンピューティングデバイスにおいて動作し得る。このようにして、サーバデバイス60は、速度表示322に対して、車両12が進行するための目標速度の指示を提供することができ、コンピューティングデバイスは、所望の速度を達成するために、加速または減速するように、車両12の動作を制御し得る。
【0039】
簡単のために、図3は、サーバデバイス60を、サーバのただ1つのインスタンスとして示す。しかしながら、いくつかの実装形態によるサーバデバイス60は、各々が1つまたは複数のプロセッサを備え、他のサーバデバイスとは無関係に動作することが可能な、1つまたは複数のサーバデバイスのグループを含む。そのようなグループにおいて動作するサーバデバイスは、分散的な方法で、(たとえば、可用性に基づいて)個々にクライアントデバイス10からの要求を処理することができ、その場合、要求を処理することに関連付けられたある動作が、あるサーバデバイス上で実施されると同時に、同じ要求を処理することに関連付けられた別の動作が、別のサーバデバイス上で、または任意の他の好適な技法に従って実施される。この説明のために、「サーバデバイス」という用語は、個々のサーバデバイス、または2つ以上のサーバデバイスのグループを指すことがある。
【0040】
動作時、クライアントデバイス10において動作する速度表示322は、データを受信し、サーバデバイス60に送信する。したがって、1つの例では、クライアントデバイス10は、クライアントデバイス10の現在のロケーションを示す通信を、(サーバデバイス60において実装された)渋滞低減エンジン68に送信し得る。それに応じて、渋滞低減エンジン68は、クライアントデバイスの現在のロケーションに基づいて、車両12が、しきい値渋滞量よりも多くを有する道路区間に接近中であるか否かを決定し得る。しきい値渋滞量は、1マイル当たり100台の車両、1マイル当たり200台の車両など、道路区間のための交通密度であり得る。他の実装形態では、しきい値渋滞量は、道路区間のための速度制限に対する、道路区間上の車両のためのしきい値速度に基づき得る。また他の実装形態では、しきい値渋滞量は、道路区間上の車両のためのしきい値減速度に基づき得る。たとえば、渋滞低減エンジン68は、車両のための速度および加速度/減速度値を示す、道路区間上で進行するクライアントデバイス82a~nからのセンサデータを受信し得る。渋滞低減エンジン68はまた、道路区間上のインフラストラクチャ構成要素306からのセンサデータを受信し得る。他の実装形態では、渋滞低減エンジン68は、道路区間上の渋滞量を示す、渋滞サーバからの渋滞データを受信し得る。渋滞サーバは、道路区間のための交通密度、軽い、中間、もしくは激しいなど、渋滞量のカテゴリー表現、または、渋滞に起因する、道路区間を通過するための予想される追加時間量の指示を提供し得る。したがって、この例では、しきい値渋滞量は、しきい値交通密度(たとえば、1マイル当たり100台の車両)、しきい値渋滞カテゴリー(たとえば、中間以上)、または、渋滞に起因する、道路区間を通過するためのしきい値追加時間量(たとえば、5分)であり得る。
【0041】
渋滞低減エンジン68は、道路区間がしきい値渋滞量を有するか否かを決定するために、平均速度および/または加速度/減速度値を、しきい値速度または減速度と比較し得る。しきい値速度は、道路区間のための速度制限に基づき得るので、たとえば、55mphの速度制限を有する道路区間のためのしきい値速度が、35mphの速度制限を有する道路区間のためのしきい値速度よりも高くなる。いくつかの実装形態では、インフラストラクチャ構成要素306からのセンサデータは、道路区間上のカメラからの画像またはビデオデータを含み得る。渋滞低減エンジン68は、画像またはビデオデータを解析して、道路区間上に事故、車線閉鎖、交通信号、工事などがないことを決定し得る。このことは、渋滞が、車両が道路区間上のしきい値後続距離を維持することができないことに起因することを示し得る。渋滞低減エンジン68はまた、渋滞サーバから、渋滞の原因に関する追加の情報を受信し得る。
【0042】
またさらに、渋滞低減エンジン68は、渋滞が事故、車線閉鎖、工事、または交通信号によって引き起こされていないことを示す、道路区間内に位置する車両からの信号を受信し得る。たとえば、渋滞低減エンジン68は、渋滞が事故、車線閉鎖、工事、または交通信号によって引き起こされていないことを示す、車両内のクライアントデバイス82a~nにおいて動作するナビゲーションアプリケーション84からの情報を受信することがあり、ここで、この情報は、ユーザによって自己報告される。別の例では、クライアントデバイス82a~nは、渋滞が事故、車線閉鎖、工事、または交通信号によって引き起こされていないことを示す、道路区間上のインフラストラクチャ構成要素306と通信することがあり、サーバデバイス60にその通信を転送することがある。
【0043】
いずれにしても、次いで、渋滞低減エンジン68は、車両12がしきい値渋滞量よりも多くがある道路区間に接近中であるとき、車両12のための目標速度を決定する。目標速度は、道路区間の交通密度、および/または道路区間のためのしきい値後続距離に基づいて決定され得る。たとえば、渋滞低減エンジン68は、道路区間の交通密度に基づいて、道路区間のためのしきい値後続距離を決定することがあり、ここで、交通密度が増すにつれて、しきい値後続距離が減少する。さらに、しきい値後続距離は、道路区間上の交通の流れに基づき得るので、車両が道路区間上で高速に進行するにつれて、一層後続距離が高くなり得るようになる。たとえば、後続距離は、車両が道路区間上で約30mphで進行するときよりも、車両が道路区間上で約50mphで進行するとき、より高くなり得る。次いで、渋滞低減エンジン68は、道路区間上の車両の後続距離および速度に基づいて、目標速度を決定し得る。
【0044】
いくつかの実装形態では、渋滞低減エンジン68は、双方向制御方法を使用して、車両12のための目標速度を決定し、ここで、目標速度が、車両12と車両12の前および後ろの車両との間のしきい値距離を維持するために決定される。渋滞低減エンジン68は、上記で説明した式を使用して、車両12のための目標加速度を決定し、ただし、
a=kd(xn+1-2xn+xn-1)+kv(vn+1-2vn+vn-1)
【0045】
渋滞低減エンジン68は、位置フィードバックの利得kd、および速度フィードバックの利得kvのためのあらかじめ記憶された値を含み得る。渋滞低減エンジン68はまた、クライアントデバイス82a~nからのセンサデータに基づいて、車両12の前および後ろの車両の位置および速度を決定し得る。いくつかの実装形態では、渋滞低減エンジン68は、道路区間上のクライアントデバイス82a~nからのセンサデータに従って、平均速度および車両間の距離に基づいて、車両12の前および後ろの車両の位置および速度を推定する。いずれにしても、渋滞低減エンジン68は、車両の現在の速度、目標加速度、およびしきい値時間期間に基づいて、車両がしきい値時間期間(たとえば、10秒、30秒など)内に加速または減速するための目標速度を決定する。
【0046】
より詳細には、いくつかの実装形態では、渋滞低減エンジン68は、クライアントデバイス82a~nからのロケーションデータに基づいて、車両12の前の車両と、車両12の後ろの車両とを識別し得る。たとえば、渋滞低減エンジン68は、クライアントデバイス82a~nからのロケーションデータに従って、車両12に最も近い2台の車両を、車両12の前および後ろの車両として識別し得る。次いで、渋滞低減エンジン68は、目標加速度を決定するために、識別された車両の位置および速度と、車両12の位置および速度とを決定し得る。
【0047】
他の実装形態では、渋滞低減エンジン68は、クライアントデバイス82a~nからのロケーションデータに基づいて、車両12の前の車両の第1のセットと、車両12の後ろの車両の第2のセットとを識別し得る。たとえば、渋滞低減エンジン68は、クライアントデバイス82a~nからのロケーションデータに従って、車両12の前のしきい値距離(たとえば、100ft、200ft、500ft、1000ftなど)内の車両を、車両12の前の車両として識別し得、クライアントデバイス82a~nからのロケーションデータに従って、車両12の後ろのしきい値距離(たとえば、100ft、200ft、500ft、1000ftなど)内の車両を、車両12の後ろの車両として識別し得る。次いで、渋滞低減エンジン68は、車両12の前の識別された車両の位置および速度に基づいて、車両12の前の車両の位置および速度を推定し得る。たとえば、渋滞低減エンジン68は、車両12の前の車両の位置および速度を、車両12の前の識別された車両の位置および速度の平均として推定し得る。さらに、渋滞低減エンジン68は、車両12の後ろの識別された車両の位置および速度に基づいて、車両12の後ろの車両の位置および速度を推定し得る。たとえば、渋滞低減エンジン68は、車両12の後ろの車両の位置および速度を、車両12の後ろの識別された車両の位置および速度の平均として推定し得る。
【0048】
また他の実装形態では、渋滞低減エンジン68は、道路区間上のインフラストラクチャ構成要素306からの画像またはビデオデータに基づいて、車両12の前の車両と、車両12の後ろの車両とを識別し得る。より詳細には、渋滞低減エンジン68は、光学式文字認識(OCR)、オブジェクト認識、または他のコンピュータビジョン技法を使用して、画像またはビデオデータを解析することによって、車両12の前の車両のナンバープレート番号、ならびに/またはメーカーおよびモデルと、車両12の後ろの車両のナンバープレート番号、ならびに/またはメーカーおよびモデルとを決定し得る。インフラストラクチャ構成要素306はまた、識別された車両の位置および速度を含む、識別された車両のためのセンサデータを提供し得、渋滞低減エンジン68は、識別された車両の位置および速度に基づいて、目標加速度を決定し得る。さらに、センサデータの提供に加えて、クライアントデバイス82a~nは、車両のためのメーカー、モデル、および/またはナンバープレート番号など、それにおいて進行中である車両の指示を提供し得る。いくつかの実装形態では、クライアントデバイス82a~nのユーザは、たとえば、ユーザのそれぞれの車両のメーカー、モデル、および/またはナンバープレート番号を入力することによって、ナビゲーションアプリケーション84を介して、車両の指示を提供し得る。次いで、渋滞低減エンジン68は、画像またはビデオデータから識別された車両に一致する車両の指示を提供する、クライアントデバイス82a~nからのセンサデータに基づいて、車両12の前および後ろの車両の位置および速度を決定し得る。
【0049】
また他の実装形態では、車両ヘッドユニット14は、車両12とその車両の前の車両との間の距離と、車両12とその車両の後ろの車両との間の距離とを示す、車両12におけるセンサからのセンサデータを受信し得る。たとえば、車両12は、光検出および測距(LiDAR)センサ、無線検出および測距(RADAR)センサなど、前向きおよび後ろ向きの深度センサを含み得る。前向きおよび後ろ向きの深度センサによって検出された深度データは、車両ヘッドユニット14に提供され得、車両ヘッドユニット14は、通信リンク16を介して、クライアントデバイス10に深度データを提供し得る。
【0050】
次いで、クライアントデバイス10は、深度データ、およびGPSモジュールからのクライアントデバイス10の位置に基づいて、車両12の前の車両の位置を決定し得る。同様に、次いで、クライアントデバイス10は、深度データ、およびGPSモジュールからのクライアントデバイス10の位置に基づいて、車両12の後ろの車両の位置を決定し得る。クライアントデバイス10はまた、深度データにおける変化に基づいて、車両12の前の車両の速度を決定し得る。たとえば、深度データは、継続的に、または定期的(たとえば、1秒ごと、5秒ごと、10秒ごとなど)に、クライアントデバイス10に提供され得、クライアントデバイス10は、特定の時間期間にわたる深度データにおける変化と、GPSモジュールおよび/または加速度計からのその時間期間中の車両12の速度とに基づいて、車両12の前の車両の速度を決定し得る。クライアントデバイス10はまた、同様の方法で、車両12の後ろの車両の速度を決定し得る。次いで、クライアントデバイス10は、車両12の前および後ろの車両の位置および速度と、車両12の位置および速度とに基づいて、目標加速度を決定し得る。
【0051】
他の実装形態では、クライアントデバイス10は、車両12の前および後ろの車両の位置および速度と、車両12の位置および速度とを、サーバデバイス60に提供し得、サーバデバイス60は、次に、目標加速度を決定し、クライアントデバイス10に、目標速度の指示を提供する。また他の実装形態では、クライアントデバイス10は、サーバデバイス60に深度データを提供し、サーバデバイス60は、車両12の前および後ろの車両の位置および速度を決定する。次いで、サーバデバイス60は、車両12の前および後ろの車両の位置および速度と、車両12の位置および速度とに基づいて、目標加速度を決定する。
【0052】
いずれにしても、次いで、渋滞低減エンジン68は、速度表示322に、目標速度の指示を提供する。いくつかの実装形態では、目標速度の指示は、数字指示、または背景色のセットからの背景色である。他の実装形態では、目標速度の指示は、目標速度と現在の速度との間の差を示すフィードバック信号であり得る。フィードバック信号は、自律走行車両、半自律走行車両、または自律走行動作機能を有する任意の他の車両におけるコンピューティングデバイスなど、車両12の何らかの動作を制御する、車両12内のコンピューティングデバイス(たとえば、スロットル制御装置)に提供され得る。このようにして、コンピューティングデバイスは、速度を調整し、目標速度で進行するように、車両12を制御し得る。
【0053】
図4Aおよび図4Bは、渋滞がある道路区間に接近する車両12のための目標速度を示す、例示的な速度表示400、450を含む。速度表示400は、クライアントデバイス10のユーザインターフェース332上、または車両ヘッドユニット14上に提示され得る。各例示的な速度表示400、450は、車両12のための目標速度の数字指示402、452、車両12が加速すること、減速すること、同じ速度にとどまること、すばやく減速することなどを行うべきであることを示す、背景色またはシェーディング404、454を含む。速度表示400、450は、車両12が加速するべきであることを示す第1の背景色またはシェーディング、車両12が減速するべきであることを示す第2の背景色またはシェーディング、車両12が同じ速度のままでいるべきであることを示す第3の背景色またはシェーディング、車両12がすばやく減速するべきであることを示す第4の背景色またはシェーディングなどを用いて提示され得る。各例示的な速度表示400、450はまた、方向矢印など、車両が加速すること、減速すること、同じ速度にとどまることなどを行うべきであるか否かに関する、別のインジケータ406、456を含む。
【0054】
図5は、たとえば、ネットワークサーバ(サーバデバイス60など)において実装され得る、車両の速度を制御することにおいて使用するための一例示的な方法500を示す。この方法は、コンピュータ可読メモリ上に記憶された、サーバデバイス60の1つまたは複数のプロセッサにおいて実行可能な、命令のセットにおいて実施され得る。たとえば、この方法は、渋滞低減エンジン68によって実施され得る。
【0055】
ブロック502において、センサデータが、道路区間上の車両において動作するクライアントデバイス82a~nから受信される。センサデータはまた、交通信号灯など、道路区間上のインフラストラクチャ構成要素306から受信され得る。サーバデバイス60は、センサデータを解析して、道路区間上にしきい値渋滞量があるか否かを決定し得る(ブロック504)。いくつかの実装形態では、サーバデバイス60はまた、センサデータを解析して、渋滞が交差点、交通信号、事故、工事、車線閉鎖などによって引き起こされているか、車両が道路区間上でしきい値後続距離を維持することができないために引き起こされているかを決定し得る。しきい値渋滞量は、1マイル当たり100台の車両、1マイル当たり200台の車両など、道路区間のための交通密度であり得る。他の実装形態では、しきい値渋滞量は、道路区間のための速度制限に対する、道路区間上の車両のためのしきい値速度に基づき得る。また他の実装形態では、しきい値渋滞量は、道路区間上の車両のためのしきい値減速度に基づき得る。他の実装形態では、サーバデバイス60は、道路区間上の渋滞量を示す、渋滞サーバからの渋滞データを受信し得る。渋滞サーバは、道路区間のための交通密度、軽い、中間、もしくは激しいなど、渋滞量のカテゴリー表現、または、渋滞に起因する、道路区間を通過するための予想される追加時間量の指示を提供し得る。したがって、この例では、しきい値渋滞量は、しきい値交通密度(たとえば、1マイル当たり100台の車両)、しきい値渋滞カテゴリー(たとえば、中間以上)、または、渋滞に起因する、道路区間を通過するためのしきい値追加時間量(たとえば、5分)であり得る。
【0056】
道路区間上にしきい値渋滞量があるか否かを決定するために、サーバデバイス60は、道路区間上の車両のための平均速度および/または加速度/減速度値を、しきい値速度または減速度と比較して、道路区間がしきい値渋滞量を有するか否かを決定し得る。しきい値速度は、道路区間のための速度制限に基づき得るので、たとえば、55mphの速度制限を有する道路区間のためのしきい値速度が、35mphの速度制限を有する道路区間のためのしきい値速度よりも高くなる。いくつかの実装形態では、インフラストラクチャ構成要素306からのセンサデータは、道路区間上のカメラからの画像またはビデオデータを含み得る。サーバデバイス60は、画像またはビデオデータを解析して、道路区間上に事故、車線閉鎖、交通信号、工事などがないことを決定し得る。
【0057】
サーバデバイス60が、特定の時間に道路区間上にしきい値渋滞量よりも多くがあると決定するとき、サーバデバイス60は、道路区間にフラグを付け、特定の時間にしきい値渋滞量よりも多くを有する道路区間の指示を記憶し得る。サーバデバイス60が、道路区間がしきい値渋滞量を有していないと決定すると、サーバデバイス60は、リストから道路区間を除去し得る。
【0058】
次いで、車両12における、または車両12に関連付けられた、クライアントデバイス10の現在のロケーションの受信(ブロック506)に応答して、サーバデバイス60は、現在のロケーションを、しきい値渋滞量よりも多くを有する道路区間の指示と比較して、車両12が、しきい値渋滞量よりも多くを有する道路区間上にあるか、または道路区間に接近中であるか否かを決定し得る。車両12が、道路区間のしきい値距離(たとえば、500ft、半マイル、1マイルなど)内にあるとき、および/または、車両12が、車両の進行方向によって、道路区間に向かって進行中であるとき、サーバデバイス60は、車両12が道路区間に接近中であると決定し得る。
【0059】
サーバデバイス60が、車両12がしきい値渋滞量よりも多くを有する道路区間に接近中であると決定するとき、車両12のための目標速度が、渋滞を低減するために、車両12と車両12の前および後ろの車両との間の双方向の後続距離を維持するために決定される(ブロック508)。いくつかの実装形態では、サーバデバイス60は、特定の時間期間の間の目標加速度と、車両12の現在の速度とを決定することによって、特定の時間期間(たとえば、10秒、30秒など)のための目標速度を決定する。次いで、サーバデバイス60は、目標速度を、現在の速度と、目標加速度および特定の時間期間の積との和として、識別する。上記で説明したように、サーバデバイス60は、クライアントデバイス10からのセンサデータによる、車両12の位置および速度と、他のクライアントデバイス82a~nからのセンサデータによる、車両12の前および後ろの1台または複数の車両の位置および速度とに基づいて、目標加速度を決定する。車両12のすぐ前の車両の位置および速度は、車両12の前のしきい値距離内のいくつかの車両の位置および速度の組合せに基づいて推定され得る。さらに、車両12のすぐ後ろの車両の位置および速度は、車両12の後ろのしきい値距離内のいくつかの車両の位置および速度の組合せに基づいて推定され得る。
【0060】
次いで、ブロック510において、サーバデバイス60は、たとえば、クライアントデバイス10に、または車両ヘッドユニット14に、目標速度の指示を提供する。いくつかの実装形態では、目標速度の指示は、数字指示、または背景色のセットからの背景色である。他の実装形態では、目標速度の指示は、目標速度と現在の速度との間の差を示すフィードバック信号であり得る。フィードバック信号は、速度を調整し、目標速度で進行するように、車両12を制御するために、自律走行車両、半自律走行車両、または自律走行動作機能を有する任意の他の車両におけるコンピューティングデバイスなど、車両12の何らかの動作を制御する、車両12内のコンピューティングデバイス(たとえば、スロットル制御装置)に提供され得る。
【0061】
いくつかの実装形態では、クライアントデバイス10は、サーバデバイス60に、車両12の現在のロケーションおよび/または速度を示すセンサデータを、継続的にまたは定期的に提供する。次いで、サーバデバイス60は、道路区間上にあるか、または道路区間に接近中である、車両12の直近のロケーションおよび速度と、車両12の前および後ろの車両の直近のロケーションおよび速度とに基づいて、定期的(たとえば、30秒ごと、1分ごと、2分ごと、5分ごとなど)に、または継続的に、更新された目標速度を生成し得る。次いで、サーバデバイス60は、たとえば、クライアントデバイス10に、または車両ヘッドユニット14に、更新された目標速度の指示を提供する。このようにして、ユーザは、それに応じて、車両12の速度を調整し得る。
【0062】
図6は、たとえば、クライアントデバイス(クライアントデバイス10など)において実装され得る、車両の速度を制御することにおいて使用するための一例示的な方法600を示す。この方法は、コンピュータ可読メモリ上に記憶された、クライアントデバイス10の1つまたは複数のプロセッサにおいて実行可能な、命令のセットにおいて実施され得る。たとえば、この方法は、速度表示322によって実施され得る。
【0063】
ブロック602において、車両12において動作しているクライアントデバイス10は、サーバデバイス60にその現在のロケーションの指示を提供する。クライアントデバイス10は、定期的に、所定の時間間隔において、または任意の他の好適な方法で、サーバデバイス60に継続的にその現在のロケーションの指示を提供し得る。次いで、ブロック604において、クライアントデバイス10は、車両12がしきい値渋滞量よりも多くがある道路区間に接近するとき、進行するための目標速度の、サーバデバイス60からの指示を受信する。ブロック606において、クライアントデバイス10は、たとえば、GPSモジュールおよび/または加速度計からのセンサデータに基づいて、車両12の現在の速度を決定する。
【0064】
次いで、ブロック608において、クライアントデバイス10は、現在の速度と目標速度との間の差を示すフィードバック信号を生成する。フィードバック信号は、図4Aおよび図4Bに示された速度表示400、450など、ユーザインターフェース332上に表示された目標速度の指示であり得る。より詳細には、ユーザインターフェース332は、車両12のための目標速度の数字指示、車両12の現在の速度に基づいて、車両12が加速すること、減速すること、同じ速度にとどまること、すばやく減速することなどを行うべきであることを示す、背景色またはシェーディング、車両12の現在の速度に基づいて、車両12が加速すること、減速すること、同じ速度にとどまること、すばやく減速することなどを行うべきであることを示す、方向矢印、あるいは任意の他の好適なインジケータを提示し得る。
【0065】
追加として、いくつかの実装形態では、フィードバック信号は、車両12のスロットル制御装置に提供される、目標速度の指示であり得る。たとえば、クライアントデバイス10は、車両ヘッドユニット14など、車両12の何らかの動作を制御する、車両12内のコンピューティングデバイスに、目標速度の指示を提供し得る。次いで、コンピューティングデバイスは、目標速度で進行するように、車両12を制御し得る。
【0066】
追加の考慮事項
以下の追加の考慮事項が、上記の説明に適用される。本明細書の全体にわたって、複数のインスタンスは、単一のインスタンスとして表された構成要素、動作、または構造を実装し得る。1つまたは複数の方法の個々の動作について、別個の動作として示し、説明しているが、個々の動作のうちの1つまたは複数は、同時に実施されることがあり、何物も、それらの動作が図示された順序において実施されることを必要としない。例示的な構成において別個の構成要素として提示された構造および機能は、組み合わせられた構造または構成要素として実装され得る。同様に、単一の構成要素として提示された構造および機能は、別個の構成要素として実装され得る。これらおよび他の変形、変更、追加、および改良は、本開示の主題の範囲内に入る。
【0067】
追加として、いくつかの実施形態について、論理、またはいくつかの構成要素、モジュール、もしくは機構を含むものとして、本明細書で説明している。モジュールは、ソフトウェアモジュール(たとえば、機械可読媒体上に記憶されたコード)、またはハードウェアモジュールのいずれかを構成し得る。ハードウェアモジュールは、いくつかの動作を実施することが可能な有形のユニットであり、ある方法において構成または配置され得る。例示的な実施形態では、1つまたは複数のコンピュータシステム(たとえば、スタンドアロン、クライアント、またはサーバコンピュータシステム)、あるいはコンピュータシステムの1つまたは複数のハードウェアモジュール(たとえば、プロセッサ、またはプロセッサのグループ)は、本明細書で説明するようないくつかの動作を実施するように動作するハードウェアモジュールとして、ソフトウェア(たとえば、アプリケーション、またはアプリケーション部分)によって構成され得る。
【0068】
様々な実施形態では、ハードウェアモジュールは、機械的または電子的に実装され得る。たとえば、ハードウェアモジュールは、いくつかの動作を実施するように(たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定用途向け集積回路(ASIC)など、専用プロセッサとして)永続的に構成される、専用回路または論理を備え得る。ハードウェアモジュールはまた、いくつかの動作を実施するように、ソフトウェアによって一時的に構成される、(たとえば、汎用プロセッサ、または他のプログラマブルプロセッサ内に包含されるような)プログラマブル論理または回路を備え得る。ハードウェアモジュールを機械的に、専用の永続的に構成された回路において、または(たとえば、ソフトウェアによって構成された)一時的に構成された回路において実装するための判断は、コストおよび時間の考慮事項によって動かされ得る。
【0069】
したがって、ハードウェアという用語は、ある方法で動作するように、または本明細書で説明するいくつかの動作を実施するように、物理的に構成されるか、永続的に構成される(たとえば、ハードワイヤード)か、または一時的に構成される(たとえば、プログラムされる)エンティティである、有形のエンティティを包含するように理解されるべきである。ハードウェアモジュールが一時的に構成される(たとえば、プログラムされる)実施形態を検討すると、ハードウェアモジュールの各々は、時間内にいずれか1つのインスタンスにおいて構成またはインスタンス化される必要はない。たとえば、ハードウェアモジュールが、ソフトウェアを使用して構成された汎用プロセッサを備える場合、汎用プロセッサは、異なる時間にそれぞれの異なるハードウェアモジュールとして構成され得る。それに応じて、ソフトウェアは、たとえば、ある時間のインスタンスにおいて特定のハードウェアモジュールを構成するように、および、異なる時間のインスタンスにおいて異なるハードウェアモジュールを構成するように、プロセッサを構成し得る。
【0070】
ハードウェアおよびソフトウェアモジュールは、他のハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュールに情報を提供し、他のハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュールから情報を受信することができる。したがって、説明するハードウェアモジュールは、通信可能に結合されているように見なされ得る。そのようなハードウェアまたはソフトウェアモジュールのうちの複数が、同時に存在する場合、通信は、それらのハードウェアまたはソフトウェアモジュールを接続する(たとえば、適切な回路およびバスを介した)信号送信を通して達成され得る。複数のハードウェアモジュールまたはソフトウェアが、異なる時間に構成またはインスタンス化される実施形態では、そのようなハードウェアまたはソフトウェアモジュール間の通信は、たとえば、それらの複数のハードウェアまたはソフトウェアモジュールがそれへのアクセスを有する、メモリ構造における情報の記憶および取出しを通して達成され得る。たとえば、あるハードウェアまたはソフトウェアモジュールは、動作を実施し、それが通信可能に結合されるメモリデバイスにおいて、その動作の出力を記憶し得る。次いで、さらなるハードウェアまたはソフトウェアモジュールは、後で、メモリデバイスにアクセスして、記憶された出力を取り出し、処理し得る。ハードウェアおよびソフトウェアモジュールはまた、入力または出力デバイスとの通信を開始することがあり、リソース(たとえば、情報の集合)において動作することができる。
【0071】
本明細書で説明する例示的な方法の様々な動作は、関連する動作を実施するように、(たとえば、ソフトウェアによって)一時的に構成されるか、または永続的に構成される、1つまたは複数のプロセッサによって、少なくとも部分的に実施され得る。一時的に構成されるか、永続的に構成されるかにかかわらず、そのようなプロセッサは、1つもしくは複数の動作または機能を実施するように動作する、プロセッサ実装モジュールを構成し得る。本明細書で言及するモジュールは、いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサ実装モジュールを備え得る。
【0072】
同様に、本明細書で説明する方法またはルーチンは、少なくとも部分的にプロセッサ実装であり得る。たとえば、方法の動作のうちの少なくともいくつかは、1つもしくは複数のプロセッサ、またはプロセッサ実装ハードウェアモジュールによって実施され得る。動作のうちのいくつかの実施は、単一のマシン内に存在するのみでなく、いくつかのマシンにわたって展開された、1つまたは複数のプロセッサの間で分散され得る。いくつかの例示的な実施形態では、1つまたは複数のプロセッサは、単一のロケーションに(たとえば、ホーム環境、オフィス環境内に、またはサーバファームとして)位置し得るが、他の実施形態では、プロセッサは、いくつかのロケーションにわたって分散され得る。
【0073】
1つまたは複数のプロセッサはまた、「クラウドコンピューティング」環境において、またはSaaSとして、関連する動作の実施をサポートするように動作し得る。たとえば、上記のように、動作のうちの少なくともいくつかは、(プロセッサを含むマシンの例としての)コンピュータのグループによって実施されることがあり、これらの動作は、ネットワーク(たとえば、インターネット)を介して、および1つまたは複数の適切なインターフェース(たとえば、API)を介してアクセス可能である。
【0074】
動作のうちのいくつかの実施は、単一のマシン内に存在するのみでなく、いくつかのマシンにわたって展開された、1つまたは複数のプロセッサの間で分散され得る。いくつかの例示的な実施形態では、1つもしくは複数のプロセッサ、またはプロセッサ実装モジュールは、単一の地理的ロケーションに(たとえば、ホーム環境、オフィス環境内に、またはサーバファームとして)位置し得る。他の例示的な実施形態では、1つもしくは複数のプロセッサ、またはプロセッサ実装モジュールは、いくつかの地理的ロケーションにわたって分散され得る。
【0075】
本明細書のいくつかの部分は、マシンメモリ(たとえば、コンピュータメモリ)内にビットもしくは2値デジタル信号として記憶されたデータにおける動作のアルゴリズム、または記号表現に関して提示される。これらのアルゴリズムまたは記号表現は、データ処理分野における当業者によって、自分の作業の内容を他の当業者に伝えるために使用される技法の例である。本明細書で使用するように、「アルゴリズム」または「ルーチン」は、自己矛盾のない動作のシーケンス、または所望の結果につながる同様の処理である。このコンテキストにおいて、アルゴリズム、ルーチン、および動作は、物理量の物理的操作を伴う。典型的には、必ずしもそうではないが、そのような量は、マシンによって記憶、アクセス、転送、結合、比較、またはそれ以外で操作されることが可能な、電気信号、磁気信号、または光信号の形態をとり得る。主に一般的な用法という理由で、「データ」、「コンテンツ」、「ビット」、「値」、「要素」、「シンボル」、「文字」、「用語」、「数」、または「数字」などの語を使用して、そのような信号に言及することは、時々好都合である。ただし、これらの語は、好都合なラベルにすぎず、適切な物理量に関連付けられるべきである。
【0076】
別段に明記されていない限り、「処理すること」、「計算すること」、「算出すること」、「決定すること」、「提示すること」、または「表示すること」などの語を使用する本明細書での説明は、1つもしくは複数のメモリ(たとえば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、もしくはそれらの組合せ)、レジスタ、または、情報を受信、記憶、送信、もしくは表示する他のマシン構成要素内で、物理(たとえば、電子的、磁気的、もしくは光学的)量として表されたデータを操作または変換する、マシン(たとえば、コンピュータ)のアクションまたはプロセスを指すことがある。
【0077】
本明細書で使用するように、「1つの実施形態」または「一実施形態」への任意の言及は、その実施形態に関連して説明される特定の要素、特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態中に含まれることを意味する。本明細書における様々な箇所における「1つの実施形態では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているとは限らない。
【0078】
いくつかの実施形態について、「結合された」および「接続された」という表現を、それらの派生語とともに使用して説明することがある。たとえば、いくつかの実施形態について、2つ以上の要素が直接、物理的または電気的に接触していることを示すために、「結合された」という用語を使用して説明することがある。ただし、「結合された」という用語はまた、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでもなお、互いに協働または相互作用することを意味することがある。実施形態は、このコンテキストにおいて限定されない。
【0079】
本明細書で使用するように、「備える」、「備えること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を対象とするように意図される。たとえば、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるとは限らず、明確にリストされていないか、あるいはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有ではない、他の要素を含み得る。さらに、それと反対に明記されていない限り、「または」は、排他的「または」ではなく、包含的「または」を指す。たとえば、条件AまたはBは、以下のこと、すなわち、Aが真であり(または、存在し)、Bが偽である(または、存在しない)こと、Aが偽であり(または、存在せず)、Bが真である(または、存在する)こと、および、AとBの両方が真である(または、存在する)ことのうちのいずれか1つによって満たされる。
【0080】
加えて、「a」または「an」の使用は、本明細書における実施形態の要素および構成要素を記載するために採用される。これは、便宜上、および記載の一般的な意味を与えるために行われるにすぎない。この記載は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形もまた、そうでないように意味されることが明白ではない限り、複数形を含む。
【0081】
本開示を読めば、本明細書で開示する原理を通して、車両の速度を制御するためのさらに追加の代替的な構造的および機能的設計を、当業者は諒解されよう。したがって、特定の実施形態および適用例について示し、説明したが、開示する実施形態が、本明細書で開示する厳密な構造および構成要素に限定されないことを理解されたい。当業者に明らかになる、様々な変更、変化、および変形が、添付の特許請求の範囲において定義された趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で開示する方法および装置の配置、動作、および詳細において行われ得る。
【符号の説明】
【0082】
1 一例示的な環境
10 クライアントデバイス
12 車両
14 ヘッドユニット、車両ヘッドユニット
16 通信リンク
18 ディスプレイ
20、22 ハードウェア入力制御装置
24 マイクロフォン
26 スピーカー
30 通信ネットワーク
34 ナビゲーションデータサーバ
50 マップデータサーバ
60 サーバデバイス
62 プロセッサ
64、320 メモリ
68 渋滞低減エンジン
80 データベース
82a~n 他のクライアントデバイス、クライアントデバイス
84 ナビゲーションアプリケーション、地理的アプリケーション、アプリケーション
86 マップ表示
100 車道、通信システム
150 車道
102、152 車両、第1の車両
104、154 車両、第2の車両
106、156 車両、第3の車両
108、158 車両、第4の車両
110 車両、第5の車両
306 インフラストラクチャ構成要素
308 処理構成要素
312 グラフィックス処理ユニット(GPU)
314 I/Oモジュール
316 プロセッサ(CPU)
322、400、450 速度表示
326 オペレーティングシステム(OS)、OS
332 ユーザインターフェース(UI)、ユーザインターフェース
402、452 目標速度の数字指示
404、454 背景色またはシェーディング
406、456 別のインジケータ
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6