(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】固体・液体電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20240112BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20240112BHJP
H01M 10/0567 20100101ALI20240112BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240112BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20240112BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20240112BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240112BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240112BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240112BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/0562
H01M10/0567
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M4/134
H01M4/505
H01M4/525
H01M10/052
(21)【出願番号】P 2021555870
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2020123624
(87)【国際公開番号】W WO2021083074
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】201911035198.6
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521394059
【氏名又は名称】浙江鋒▲り▼新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG FUNLITHIUM NEW ENERGY TECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 211, Xingguang Road, High-tech Zone Ningbo, Zhejiang 315040, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】許 暁雄
(72)【発明者】
【氏名】崔 言明
(72)【発明者】
【氏名】張 秩華
(72)【発明者】
【氏名】黄 園橋
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-516218(JP,A)
【文献】特開2013-232284(JP,A)
【文献】特開2015-109235(JP,A)
【文献】特開2013-037905(JP,A)
【文献】特表2017-527955(JP,A)
【文献】特表2016-512380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/05-10/0587
H01M10/36-10/39
H01M 4/00- 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び金属リチウムで製作される負極を含む固体・液体電池であって、
前記正極と前記負極との間には固体電解質が設置されていると共に、前記固体電解質と前記正極との間にはエステル系電解質が充填されており、前記固体電解質と前記負極との間にはエーテル系電解質が充填されており、
前記負極の金属リチウムは、表面に窒化リチウムを有しており、
前記エステル系電解質は、カーボネート、リチウム塩及び第一添加剤を含み、三者の質量比が(4~7):(2~5):1であり、
前記第一添加剤は、シクロヘキシルベンゼン及び(β-クロロメチル)ホスフェート混合物であって、両者のモル比が1:1であり、
前記エーテル系電解質は、フルオロ系エーテル、リチウム塩及び第二添加剤を含み、三者の質量比が(3~6):(3~6):1であり、
前記第二添加剤は、フルオロ炭酸エチレンを含む、
ことを特徴とする固体・液体電池。
【請求項2】
前記正極は、ニッケルリッチ三元系或いはリチウムリッチマンガン系正極材料のうちの一つを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の固体・液体電池。
【請求項3】
前記カーボネートは、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート及び炭酸エチレンのうちの一つである、ことを特徴とする請求項
1に記載の固体・液体電池。
【請求項4】
前記リチウム塩は、LiBOB、LiODFB、LiFSI及びLiTFSIのうちの一つである、ことを特徴とする請求項
1に記載の固体・液体電池。
【請求項5】
前記フルオロ系エーテルは、メチルノナフルオロブチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル及びオクタフルオロペンチル-テトラフルオロエチルエーテルの一つである、ことを特徴とする請求項1に記載の固体・液体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池の分野に関し、特に新型固体・液体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電池に用いられる電解質は、エーテル系電解質、エステル系電解質及び固体電解質という三つのタイプが存在しており、ただし、リチウム負極は、エーテル系電解質のリサイクル性能がエステル系電解質のほうよりも遥かに優れ、エーテル系電解質のリチウム金属は、クーロン効率が99.9%以上と高いことから、リチウム金属を負極とすると、リサイクル寿命に極めて役立つ。高いエネルギー密度を取得するためには、正極を4.2Vひいては5V以上まで充電するようにすることが必要となる。しかしながら、エーテル系電解質は、耐電圧という性能が比較的悪く、一般的に、4.0V(vsLi+/Li)程度にのみ安定しており、電圧が比較的高い場合に、分解が深刻に発生し始め、電池の膨らみなどにより、電池全体としてリサイクル性能に影響を与えてしまうことになる。
【0003】
エステル系電解質を用いると耐電圧が比較的高いが、リチウム金属に対するクーロン効率が概ね60%以下となり、リチウム金属のリサイクル寿命が非常に限られてしまう。全体として固体電解質を用いると、固体電解質の高強度により、リチウム金属負極に生じたデンドライトが短路となるのを効果的に防ぎ、電池の安全性を高めることができる。しかしながら、固体電解質は、その密度が比較的高く、電池のエネルギー密度を低下させると共に、固体電解質と負極又は正極とは、固相と固相との界面に相溶性が悪く、電池のプロセスが複雑となる。
【0004】
従って、本分野では、固体電解質を用いた電池を改良することが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、本分野に存在している上記の問題に対して、リチウム金属を負極として正極が高電圧であり、比較的高いクーロン効率を有すると共に、良いリサイクル性能を有する新型固体・液体電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の発明目的が以下の技術的手段により実現されるものである。
固体・液体電池は、正極及び金属リチウムで製作される負極を含み、前記正極と前記負極との間に固体電解質が設置されており、前記固体電解質と前記正極との間にエステル系電解質が充填されており、前記固体電解質と前記負極との間にエーテル系電解質が充填されている。
【0007】
上記の技術的手段を用いると、リチウム金属と固体電解質との間にエーテル系電解質を充填することにより、リチウム金属のリサイクル寿命を延ばすことに役立つと共に、正極と固体電解質との間にエステル系電解質を充填することにより、比較的高い耐電圧という性能を有しており、そして、正極の選択肢が広がり、特に、高電位電圧を有する材料を正極として用いることが可能であり、電池のエネルギー密度を高めるに役立つ。
【0008】
また、電解質を充填することにより、固体電解質の使用量が少なくなり、電池の品質が高まり、固体電解質を用いて安全性を高めるように保証することを基に、相溶性が一層に良い固相・液相の界面をさらに用いて固相・固相の界面に代わり、電池界面のインピーダンスを低くすることができる。なお、固体電解質の存在は、ニッケルリッチ三元系或いはリチウムリッチマンガン系正極材料の電解質溶出の金属イオン(ニッケルイオン或いはマンガンイオン)が金属リチウムの表面に移動することにより負極の性能に与えられた影響を完全に阻むことが可能であり、最終的に、電池に比較的高いリサイクル寿命とエネルギー密度を有させることができる。
【0009】
幾つかの実施形態では、前記正極は、ニッケルリッチ三元系或いはリチウムリッチマンガン系の正極材料のうちの一つを含む。
【0010】
上記の技術的手段を用いると、ニッケルリッチ三元系とリチウムリッチマンガン系は、比較的高い電圧を有しており、リチウム金属材料と一緒に、比較的高い電位差を形成できることから、電池のエネルギー密度を高めることに役立つ。
【0011】
幾つかの実施形態では、前記エステル系電解質は、質量比が(4~7):(2~5):1であるカーボネート、リチウム塩及び第一添加剤を含む。他の幾つかの実施形態では、前記カーボネートがエチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート及び炭酸エチレンのうちの一つである。
【0012】
上記の技術的手段を用いると、電池に係る各性能が長期間に渡って良く稼働するように保証することができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、前記リチウム塩がLiBOB(リチウムビスオキサレートボレート)、LiODFB(リチウムジフルオロ(オキサレート)ボレート)、LiFSI(リチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド)及びLiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)のうちの一つである。他の幾つかの実施形態では、前記第一添加剤は、モル比が1:1であるシクロヘキシルベンゼンと(β-クロロメチル)ホスフェートとの混合物である。
【0014】
上記の技術的手段を用いると、リチウムイオン電池のシステムが過充電となる場合には、シクロヘキシルベンゼンと(β-クロロメチル)ホスフェートによる相乗効果により、正極の活性物質の構造が不可逆反応を発生したり電解質が酸化分解反応を発生したりすることを効果的に抑制することができ、ひいては、負極にリチウムが多すぎて堆積してしまうことを抑えることができる。また、負極材料の構造が破壊することにより、短時間で電池の内部に大量の気体を発生して大量の熱を放出し、電池の内圧や温度が急速で上昇し、そして、電解質が燃料したり電池が爆発したりするなどの安全上のリスクが存在しているということを避けることができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、前記エーテル系電解質が、質量比が(3~6):(3~6):1であるフルオロ系エーテル、リチウム塩及び第二添加剤を含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、前記フルオロ系エーテルがメチルノナフルオロブチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル及びオクタフルオロペンチル-テトラフルオロエチルエーテルの一つである。
【0017】
上記の技術的手段を用いると、メチルノナフルオロブチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル及びオクタフルオロペンチル-テトラフルオロエチルエーテルは、それぞれ、良い耐酸化性を有すると共に、4.4v程度という高電圧で良い安定性を有しており、しかも、電解質の粘度を低くすることができ、電解質の浸み込みと電池容量の向上に役立ち、さらに電解質の難燃性に役立つ。
【0018】
幾つかの実施形態では、前記第二添加剤がフルオロ炭酸エチレン、トリフルオロエチレンカーボネート及びトリフルオロエチルアクリレートのうちの一つである。
【0019】
上記の技術的手段を用いると、フルオロ系エーテルとフルオロ系エステルを混合して使うことは、溶液の黏度を増やすことなく、安定性が良く、電気化学上で抗酸化性が強く、誘電率が高いことから、有機物を十分に溶解すると共に適用温度の範囲が広く、さらに、高い発火点と高い安全性を有する。これらの化合物は、電池に、優れた耐電圧性及び充放電のリサイクル性能を有させることができる。
【0020】
また、フルオロ炭酸エチレン、トリフルオロエチレンカーボネート及びトリフルオロエチルアクリレートであるフッ素で置換された環状カーボネートを選ぶことにより、低温の条件で、フッ素系カーボネートの還元電位が少々ECの還元電位よりも高いと、添加剤が溶剤と一緒に還元し易く、SEI膜にC-Fを含有する基を引き込み、SEI膜の表面能を低下させ、Li+をSEI膜に拡散することに役立つ。
【0021】
幾つかの実施形態では、前記負極の金属リチウムの表面に窒化リチウムを有している。
【0022】
上記の技術的手段を用いると、窒化リチウムを保護層とすることにより、金属リチウムと電解質との直接接触を効果的に遮ることができ、両者間に、電池が充放電する際に反応を発生してSEI膜を生成することにより、固体電池を正常に用いることに影響を与えてしまう。
【発明の効果】
【0023】
以上より、本発明による有益な技術効果が以下の通りである。
1、負極リチウム金属と固体電解質との間にエーテル系電解質を充填し、正極と固体電解質との間にエステル系電解質を充填することにより、リチウム金属のリサイクル寿命を延ばすと共に、電池のエネルギー密度を高めることに役立つ。
2、シクロヘキシルベンゼン及び(β-クロロメチル)ホスフェートを第一添加剤として選ぶことにより、リチウムイオン電池システムが過充電となる場合に、保護という役割が図れており、リチウム電池が燃焼したり爆発したりする確率を減らすことができる。
3、フルオロカーボネートとフルオロ系エーテルとを一緒に使うように選ぶことにより、電池に、優れた耐電圧性及び充放電リサイクル性能を有させると共に、SEI膜の表面能を減らして、Li+をSEI膜に拡散させることに役立つ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
第一実施例
リチウム金属負極高電圧正極の固体・液体電池を製作する方法は、以下のステップを含む。
第一ステップは、リチウム金属を銅箔に塗布してから、リチウム金属を付けた銅箔を窒素ガス雰囲気に7時間だけ置いて、リチウム金属表面に窒化リチウム形成し、最終に負極板を取得する。ただし、窒素ガスは、温度が45℃であり、流速が4m/sである。
第二ステップは、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2材料、導電性カーボンブラック及びポリエチレンオキシド-ポリフッ化ビニリデンを、90:4:6という質量比に従って、テトラヒドロフランに加入して、十分に混合してから、固体含有量が0.5g/Lの正極スラリーを製作する。
第三ステップは、正極スラリーを、塗布の厚さが25μmとなるように均一にアルミニウム箔に塗布すると共に、水含有量が100ppmよりも小さくなるまで、110℃~150℃という温度で乾燥を行い、ローラプレスと切断を経て、正極板を製作する。
第四ステップは、リチウムランタンジルコニウムオキシド、ポリフッ化ビニリデン及びビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンを、90:5:5という質量比に従って熔融して、均一に混合してから、両側の塗布厚さが共に2.5μmであるように、PP膜の両側に塗布し、冷却させてから、固化と切断を経て、固体電解質を取得する。
第五ステップは、正極板及び負極板をそれぞれ、固体電解質の両側に重ねて置いてから、正極板と固体電解質との間にエーテル系電解質を充填し、負極板と固体電解質との間にエステル系電解質を充填することにより、電池セルを取得する。
第六ステップは、電池セルを包装して、完成品となる固体・液体電池を取得する。
【0025】
ただし、エーテル系電解質は、エチルメチルカーボネート、LiBOB及び第一添加剤を4:2:1という質量比に従って混合してなるものであり、また、第一添加剤は、モル比が1:1であるシクロヘキシルベンゼンと(β-クロロメチル)ホスフェートとを混合してなるものである。エステル系電解質は、メチルノナフルオロブチルエーテル、LiDFOB及びフルオロ炭酸エチレンを3:3:1という質量比に従って混合してなるものである。
【0026】
第二実施例
リチウム金属を負極として正極が高電圧である固体・液体電池を製造する方法は、第一実施例との相違点が、第二ステップに係る正極スラリーが、LiNi0.5Mn1.5O4、導電性カーボンブラック及びポリエチレンオキシド-ポリフッ化ビニリデンを45:2:3という質量比に従って加入して混合してなるものであり、その固体含有量が0.5g/Lであるということにある。
【0027】
第三実施例
リチウム金属を負極として正極が高電圧である固体・液体電池を製造する方法は、第一実施例との相違点が、エーテル系電解質がジメチルカーボネート、LiFSI及び第一添加剤を7:5:1という質量比に従って混合してなるものであり、エステル系電解質が1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、LiTFSI及びトリフルオロエチレンカーボネートを6:6:1という質量比に従って混合してなるものであるということにある。
【0028】
第四実施例
リチウム金属を負極として正極が高電圧である固体・液体電池を製造する新型方法は、第一実施例との相違点が、エーテル系電解質が炭酸エチレン、LiODFB及び第一添加剤を5:3:1という質量比に従って混合してなるものであり、エステル系電解質がオクタフルオロペンチル-テトラフルオロエチルエーテル、LiBOB及びトリフルオロエチルアクリレートを4:4:1という質量比に従って混合してなるものであるということにある。
【0029】
第五実施例
リチウム金属を負極として正極が高電圧である固体・液体電池を製造する方法は、第一実施例との相違点が、エーテル系電解質がジメチルカーボネート、LiTFSI及び第一添加剤を4:5:1という質量比に従って混合してなるものであり、エステル系電解質が1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、LiFSI及びフルオロ炭酸エチレンを4:4:1という質量比に従って混合してなるものであるということにある。
【0030】
第六実施例
リチウム金属を負極として正極が高電圧である固体・液体電池を製造する方法は、第一実施例との相違点が、固体電解質は化学式がLi6.4La3Zr1.4Ta0.6O12の純無機セラミック板であるということにある。
【0031】
第一対比例
第一実施例との相違点が、リチウム金属表面を窒素ガス雰囲気に処理しなかったということにある。
【0032】
第二対比例
第一実施例との相違点が、第一添加剤にシクロヘキシルベンゼンしか含まないということにある。
【0033】
第三対比例
第一実施例との相違点が、第一添加剤に(β-クロロメチル)ホスフェートしか含まないということにある。
【0034】
第四対比例
第一実施例との相違点が、エステル系電解質にフルオロ炭酸エチレン(第二添加剤)を添加しなかったということにある。
【0035】
第五対比例
第二実施例との相違点が、エステル系電解質がないということにある。
【0036】
第六対比例
第二実施例との相違点が、エーテル系電解質がないということにある。
【0037】
<使用測定>
LiNi0.5Mn1.5O4又はLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2三元系材料を正極整合組立て品として組み立て、金属リチウムを負極として、次に、正負極にステンレス鋼集流体を配置すると共に集流体にリード線を付加する。最後に、絶縁スリーブを用いて、絶縁外筒の内部と外部気体の雰囲気とを密封するように遮ることにより、測定用電池を製作する。測定用電池を試験的に運転させる。
【0038】
<インピーダンス及びリサイクル性能の測定>
電池を25℃の定温条件で置き、電池の理論容量が0.05C(20h、正極について計算すると1C=1mA)の電流値に従って定電流で充電を行い、電圧が4.3V(正極がLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2)又は5V(正極がLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2)となると充電が済む。次に、同様に0.05Cという倍率の電流で放電を行い、電圧が3.0Vとなると放電が済む。このことにより、電池におけるクーロン効率及び放電容量を取得し、また、測定電池EISによりインピーダンスを示す。
【0039】
第二リサイクルから、0.2Cで200回だけ充放電リサイクルを行い、計算した容量維持率が高いほど、リサイクル性能が良くなると分かる。
【0040】
【0041】
上記した電池測定の結果から分かるように、対比例に比べると、リチウム金属と固体電解質との間に特定のエーテル系電解質を充填することにより、リチウム金属のリサイクル寿命を延ばすことができる。また、正極と固体電解質との間に特定のエステル系電解質を充填することにより、比較的高い耐電圧という性能を有しており、正極の選択肢の広がりに役立つ。特に、高電位電圧を有する材料を正極として用いることにより、電池のエネルギー密度を高めることに役立つ。また、耐高温の電解質を添加剤として充填することにより、固体電解質を用いて安全性を高めるように保証できることを基に、相溶性が一層に良い固相・液相の界面を用いて固相・固相の界面に代わり、電池界面インピーダンスを減らして、最終的に、電池に、比較的高いリサイクル寿命、エネルギー密度及び耐過充電の性能を有させることができる。
【0042】
この具体的な実施形態における実施例は、いずれも、本発明における好ましい実施例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。故に、本発明の構成、形状や原理に基づいてなされる均等置換はいずれも本発明の保護範囲に含まれる。