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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】速乾性インクジェットインク組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/322 20140101AFI20240112BHJP
   C09D 11/40 20140101ALI20240112BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20240112BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240112BHJP
   C09D 11/36 20140101ALI20240112BHJP
   C09D 11/38 20140101ALI20240112BHJP
【FI】
C09D11/322
C09D11/40
B41M5/00 120
B41M5/00 100
B41J2/01 501
C09D11/36
C09D11/38
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021561808
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 US2020023503
(87)【国際公開番号】W WO2020214323
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】62/835,157
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514100751
【氏名又は名称】エイブリィ・デニソン・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベック,チャールズ・エル
(72)【発明者】
【氏名】ホー,ルンヂー
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-022972(JP,A)
【文献】特開2009-227812(JP,A)
【文献】特開2002-226571(JP,A)
【文献】特開2016-155909(JP,A)
【文献】特開2017-031272(JP,A)
【文献】特開2015-071681(JP,A)
【文献】特開2017-056616(JP,A)
【文献】特開平07-157704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク組成物の0.5~5重量%の量で存在する顔料と、
インク組成物の0.1~5重量%の量で存在する塩化ビニル共重合体と、
インク組成物の0.1~10重量%の量で存在するメタクリレート共重合体と、
インク組成物の50~80重量%の量で存在するジエチレングリコールエチルメチルエーテルと、
インク組成物の0.1~10重量%の量で存在するγ-ブチロラクトンと、
インク組成物の1~20重量%の量で存在するジプロピレングリコールメチルエーテルと、
インク組成物の0.1~1重量%の量で存在するn-メチルピロリドンと、
インク組成物の0.05~1重量%の3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートと、を含む、インク組成物であって、
前記インク組成物は、遅乾溶剤を含まず、
前記インク組成物は、前記塩化ビニル共重合体と前記メタクリレート共重合体以外のバインダーを含まず、
前記インク組成物中の前記ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、前記γ-ブチロラクトン、前記ジプロピレングリコールメチルエーテルおよび前記n-メチルピロリドンの合計量の上限が前記インク組成物の99重量%である、インク組成物。
【請求項2】
前記インク組成物は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク組成物、ライトマゼンタインク組成物、ホワイトインク組成物、又はライトシアンインク組成物である、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記顔料は、ピグメントブルー1、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー17‐1、ピグメントブルー22、ピグメントブルー22、ピグメントブルー27、ピグメントブルー28、ピグメントブルー29、ピグメントブルー36、及びピグメントブルー60の少なくとも1つである、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記顔料は、ピグメントレッド3、ピグメントレッド5、ピグメントレッド8、ピグメントレッド9、ピグメントレッド9:8、ピグメントレッド19、ピグメントレッド22、ピグメントレッド31、ピグメントレッド38、ピグメントレッド43、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド48:5、ピグメントレッド49:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド57:2、ピグメントレッド58:4、ピグメントレッド63:1、ピグメントレッド81、ピグメントレッド81:1、ピグメトレッド81:2、ピグメントレッド81:3、ピグメントレッド81:4、ピグメントレッド88、ピグメントレッド104、ピグメントレッド108、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド144、ピグメントレッド146、ピグメントレッド149、ピグメントレッド166、ピグメントレッド168、ピグメントレッド169、ピグメントレッド170、ピグメントレッド177、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド207、ピグメントレッド208、ピグメントレッド216、ピグメントレッド224、ピグメントレッド226、ピグメントレッド257、ピグメントバイオレット3、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット29、ピグメントバイオレット30、ピグメントバイオレット37、ピグメントバイオレット50、ピグメントバイオレット88、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ20、又はピグメントオレンジ36の少なくとも1つである、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項5】
前記顔料は、ピグメントイエロー55、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー79、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138C、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー156、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー185及びピグメントイエロー213の少なくとも1つである、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項6】
前記顔料は、ピグメントブラック6、ピグメントブラック7、ピグメントブラック9、ランプブラック又はベジタブルブラック、ボーンブラック又はアイボリーブラック、及びファーネスブラック又はチャンネルブラックの少なくとも1つである、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項7】
少なくともイエローインク組成物と、マゼンタインク組成物と、シアンインク組成物と、ブラックインク組成物と、を含むインクセットであって、
前記インク組成物の少なくとも1つは、請求項1に記載のインク組成物を含む、インクセット。
【請求項8】
前記インク組成物の少なくとも2つは、請求項1~6のいずれか一項に記載のインク組成物を含む、請求項7に記載のインクセット。
【請求項9】
前記インク組成物の少なくとも3つは、請求項1~6のいずれか一項に記載のインク組成物を含む、請求項7に記載のインクセット。
【請求項10】
イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、及びブラックインク組成物のそれぞれは、請求項1~6のいずれか一項に記載のインク組成物を含む、請求項7に記載のインクセット。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載のインク組成物の製造方法であって、
顔料を粉砕してサブミクロン粒径を有する粉砕顔料を形成するステップと、
前記粉砕顔料を少なくとも1つの分散樹脂と組み合わせて分散組成物を形成するステップと、
分散組成物のサイズをサブミクロンに縮小するステップと、
前記分散組成物を溶剤システム及びバインダーシステムと組み合わせるステップと、を含む、インク組成物の製造方法。
【請求項12】
インクジェットプリンタからインクジェットインク組成物を印刷する方法であって、
請求項1~6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのインク組成物をインクジェットプリンタに提供するステップと、
前記インク組成物を基材上に印刷するステップと、を含み、
前記インク組成物は、印刷された基材上で8時間未満で乾燥される、インクジェットプリンタからインクジェットインク組成物を印刷する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年4月17日付で出願された米国出願番号62/835,157の利益を主張し、その全体の開示は、本願に参照として組み込む。
【0002】
本開示は、一般にインクジェットインク組成物、特に速乾性エコソルベントインクジェットインク組成物に関する。さらに、本開示は、その上に印刷されたインク組成物を有する基材に関する。
【背景技術】
【0003】
インクジェット記録は、インク組成物の液滴を噴出して紙等の記録媒体上に付着して印刷を行う印刷方法である。この方法により、比較的安価な機械を使用して高解像度及び高品質を有する画像を高速で印刷することができる。
【0004】
インクジェット印刷システムは、様々な基材上に印刷された画像を生成するために様々な分野で広く使用されている。従来のカラーインクジェットプリンタは、通常、4~8個のプロセスカラーで構成される基本プロセスインクカラーセットを活用して、所望の画像を印刷するために必要なカラーバリエーションを形成する。周知のプロセスインクカラーセットのうちの1つは、シアン、イエロー、マゼンタ及びブラックの4つの基本カラーを含み、CMYKカラーセット、又はCMYKプロセスカラー法という。一般に、プロセスカラーセットのプロセスカラーは、通常、様々な量の各プロセスカラーを組み合わせることによって、様々な印刷カラーを生成するために使用される。通常、インクジェットプリンタでは、CMYKカラーは実際に混ぜ合わせて所望のカラーを形成するのではなく、異なるカラーの非常に小さなインクの滴がページ上に互いに隣接して付着される。少し離れた距離から、人の目は、個々のインクの滴を 混ぜ合わせて「混合」カラーの領域を形成する傾向がある。
【0005】
一般に、インクジェット記録に使用される従来のインク組成物は、目詰まり防止及び他の目的のために、主成分としての水、着色剤成分、及びグリセリン等の湿潤剤を含む。多くの水溶性染料が、着色剤の高い彩度、活用可能な着色剤の豊富な種類、水への可溶性及び他の理由から、これらの応用分野で着色剤として使われてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、典型的な染料は、耐光性、耐水性及び他の様々な特性が良くない場合がある。従って、これらの染料のインク組成物を用いて得られた印刷物は、耐光性及び耐水性が良くない。インクジェット記録用のインク吸収層を有する特殊記録紙の使用により、耐水性を改善させる試みがなされてきた。しかし、一般の紙の場合、耐水性の改善は依然として満足できるものではない。
【0007】
顔料は、染料に比べて耐光性及び耐水性に優れる。最近、これは、印刷された画像の耐光性及び耐水性を改善するために、インクジェット記録用インク組成物における着色剤としての顔料の活用に関する研究につながった。顔料は、一般に水に対して不溶性である。そして、顔料が水系インク組成物に使用される場合、通常、顔料を分散剤に分散させた後、分散した顔料を用いてインク組成物を製造する。
【0008】
インクジェット印刷が有するさらなる問題は、インク組成物に必要とされる乾燥時間によるインク組成物のしみ又は滲みである。この問題は、透明保護フィルムでラミネートされる印刷されたインクジェットグラフィックの場合、特に関連する。そのため、インク組成物の浸透性を向上させ、乾燥時間を短縮し、そして、少量のインクを使用して大きなピクセル(例えば、ドット)を形成することが好ましい。しかし、顔料系インク組成物において、通常の乾燥時間は、例えば、8時間を超過して満足できるものではない。
【0009】
耐光性及び耐水性が改善され、かつ乾燥時間の速いインク組成物に対する必要性が、依然として存在している。本開示は、顔料、バインダーシステム、溶剤システム、及びエポキシ樹脂を含むインクジェット印刷用の改善されたインク組成物を含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態において、本開示は、a)インク組成物の0.5~5重量%の量で存在する顔料と、b)インク組成物の0.2~15重量%の量で存在するバインダーシステムと、c)インク組成物の1~99重量%の量で存在する溶剤システムと、d)任意選択で、インク組成物の0.05~1重量%の量で存在する酸スカベンジャーと、を含むインク組成物に関する。酸スカベンジャーは、エポキシ樹脂であり得る。インク組成物は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク組成物、ライトマゼンタインク組成物、ホワイトインク組成物、又はライトシアンインク組成物であり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントブルー1、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー17‐1、ピグメントブルー22、ピグメントブルー22、ピグメントブルー27、ピグメントブルー28、ピグメントブルー29、ピグメントブルー36、及びピグメントブルー60の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントレッド3、ピグメントレッド5、ピグメントレッド8、ピグメントレッド9、ピグメントレッド9:8、ピグメントレッド19、ピグメントレッド22、ピグメントレッド31、ピグメントレッド38、ピグメントレッド43、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド48:5、ピグメントレッド49:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド57:2、ピグメントレッド58:4、ピグメントレッド63:1、ピグメントレッド81、ピグメントレッド81:1、ピグメントレッド81:2、ピグメントレッド81:3、ピグメントレッド81:4、ピグメントレッド88、ピグメントレッド104、ピグメントレッド108、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、メングレッド144、ピグメントレッド146、ピグメントレッド149、ピグメントレッド166、ピグメントレッド168、ピグメントレッド169、ピグメントレッド170、ピグメントレッド177、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド207、ピグメントレッド208、ピグメントレッド216、ピグメントレッド224、ピグメントレッド226、ピグメントレッド257、 ピグメントバイオレット3、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット29、ピグメントバイオレット30、ピグメントバイオレット37、ピグメントバイオレット50、ピグメントバイオレット88、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ20、又はピグメントオレンジ36の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントイエロー55、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー79、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138C、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー156、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー185及びピグメントイエロー213の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントブラック6、ピグメントブラック7、ピグメントブラック9、ランプブラック又はベジタブルブラック、ボーンブラック又はアイボリーブラック、及びファーネスブラック又はチャンネルブラックの少なくとも1つであり得る。バインダーシステムは、少なくとも2つのバインダーを含み得る。バインダーシステムは、少なくとも1つの共重合体を含み得る。バインダーシステムは、酢酸ビニル共重合体及び/又はメタクリレート共重合体を含み得る。溶剤システムは、少なくとも2つの溶剤、少なくとも3つの溶剤、又は少なくとも4つの溶剤を含み得る。溶剤システムは、ジエチレングリコールを含み得る。エポキシ樹脂は、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを含み得る。
【0011】
少なくとも、イエローインク組成物と、マゼンタインク組成物と、シアンインク組成物と、ブラックインク組成物と、を含むインクセットであって、インク組成物の少なくとも1つは、a)インク組成物の0.5~5重量%の量で存在する顔料と、b)インク組成物の0.2~15重量%の量で存在するバインダーシステムと、c)インク組成物の1~99重量%の量で存在する溶剤システムと、d)任意選択で、インク組成物の0.05~1重量%の量で存在する酸スカベンジャーと、を含むインク組成物を含む。酸スカベンジャーは、エポキシ樹脂であり得る。インク組成物は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク組成物、ライトマゼンタインク組成物、ホワイトインク組成物、又はライトシアンインク組成物であり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントブルー1、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー17‐1、ピグメントブルー22、ピグメントブルー22、ピグメントブルー27、ピグメントブルー28、ピグメントブルー29、ピグメントブルー36、及びピグメントブルー60の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントレッド3、ピグメントレッド5、ピグメントレッド8、ピグメントレッド9、ピグメントレッド9:8、ピグメントレッド19、ピグメントレッド22、ピグメントレッド31、ピグメントレッド38、ピグメントレッド43、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド48:5、ピグメントレッド49:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド57:2、ピグメントレッド58:4、ピグメントレッド63:1、ピグメントレッド81、ピグメントレッド81:1、ピグメントレッド81:2、ピグメントレッド81:3、ピグメントレッド81:4、ピグメントレッド88、ピグメントレッド104、ピグメントレッド108、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメングレッド144、ピグメントレッド146、ピグメントレッド149、ピグメントレッド166、ピグメントレッド168、ピグメントレッド169、ピグメントレッド170、ピグメントレッド177、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド207、ピグメントレッド208、ピグメントレッド216、ピグメントレッド224、ピグメントレッド226、ピグメントレッド257、ピグメントバイオレット3、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット29、ピグメントバイオレット30、ピグメントバイオレット37、ピグメントバイオレット50、ピグメントバイオレット88、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ20、又はピグメントオレンジ36の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントイエロー55、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー79、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138C、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー156、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー185及びピグメントイエロー213の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントブラック6、ピグメントブラック7、ピグメントブラック9、ランプブラック又はベジタブルブラック、ボーンブラック又はアイボリーブラック、及びファーネスブラック又はチャンネルブラックの少なくとも1つであり得る。バインダーシステムは、少なくとも2つのバインダーを含み得る。バインダーシステムは、少なくとも1つの共重合体を含み得る。バインダーシステムは、酢酸ビニル共重合体及び/又はメタクリレート共重合体を含み得る。溶剤システムは、少なくとも2つの溶剤、少なくとも3つの溶剤、又は少なくとも4つの溶剤を含み得る。溶剤システムは、ジエチレングリコールを含み得る。エポキシ樹脂は、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを含み得る。一部の態様において、インク組成物の少なくとも2つ又は少なくとも3つは、前記のインク組成物を含む。一部の態様において、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、及びブラックインク組成物のそれぞれは、前記のインク組成物を含む。
【0012】
他の実施形態において、本開示は、a)顔料を粉砕してサブミクロンの粒径を有する粉砕顔料を形成するステップと、b)前記粉砕顔料を少なくとも1つの分散樹脂と組み合わせて分散組成物を形成するステップと、c)前記分散組成物のサイズをサブミクロンに縮小するステップと、d)前記分散組成物を溶剤システム及びバインダーシステムと組み合わせるステップと、を含むインク組成物の製造方法に関する。インク組成物は、a)インク組成物の0.5~5重量%の量で存在する顔料と、b)インク組成物の0.2~15重量%の量で存在するバインダーシステムと、c)インク組成物の1~99重量%の量で存在する溶剤システムと、d)任意選択で、インク組成物の0.05~1重量%の量で存在する酸スカベンジャーと、を含み得る。酸スカベンジャーは、エポキシ樹脂であり得る。インク組成物は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク組成物、ライトマゼンタインク組成物、ホワイトインク組成物、又はライトシアンインク組成物であり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントブルー1、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー17‐1、ピグメントブルー22、ピグメントブルー22、ピグメントブルー27、ピグメントブルー28、ピグメントブルー29、ピグメントブルー36、及びピグメントブルー60の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントレッド3、ピグメントレッド5、ピグメントレッド8、ピグメントレッド9、ピグメントレッド9:8、ピグメントレッド19、ピグメントレッド22、ピグメントレッド31、ピグメントレッド38、ピグメントレッド43、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド48:5、ピグメントレッド49:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド57:2、ピグメントレッド58:4、ピグメントレッド63:1、ピグメントレッド81、ピグメントレッド81:1、ピグメントレッド81:2、ピグメントレッド81:3、ピグメントレッド81:4、ピグメントレッド88、ピグメントレッド104、ピグメントレッド108、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、メングレッド144、ピグメントレッド146、ピグメントレッド149、ピグメントレッド166、ピグメントレッド168、ピグメントレッド169、ピグメントレッド170、ピグメントレッド177、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド207、ピグメントレッド208、ピグメントレッド216、ピグメントレッド224、ピグメントレッド226、ピグメントレッド257、ピグメントバイオレット3、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット29、ピグメントバイオレット30、ピグメントバイオレット37、ピグメントバイオレット50、ピグメントバイオレット88、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ20、又はピグメントオレンジ36の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントイエロー55、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー79、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138C、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー156、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー185及びピグメントイエロー213の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントブラック6、ピグメントブラック7、ピグメントブラック9、ランプブラック又はベジタブルブラック、ボーンブラック又はアイボリーブラック、及びファーネスブラック又はチャンネルブラックの少なくとも1つであり得る。バインダーシステムは、少なくとも2つのバインダーを含み得る。バインダーシステムは、少なくとも1つの共重合体を含み得る。バインダーシステムは、酢酸ビニル共重合体及び/又はメタクリレート共重合体を含み得る。溶剤システムは、少なくとも2つの溶剤、少なくとも3つの溶剤、又は少なくとも4つの溶剤を含み得る。溶剤システムは、ジエチレングリコールを含み得る。エポキシ樹脂は、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを含み得る。
【0013】
他の実施形態において、本発明は、インクジェットプリンタからインクジェットインク組成物を印刷する方法であって、a)少なくとも1つのインク組成物をインクジェットプリンタに提供するステップと、b)前記インク組成物を基材上に印刷するステップと、を含み、前記インク組成物は、印刷された基材上で8時間未満で乾燥されるインクジェットプリンタからインクジェットインク組成物を印刷する方法に関する。インク組成物は、a)インク組成物の0.5~5重量%の量で存在する顔料と、b)インク組成物の0.2~15重量%の量で存在するバインダーシステムと、c)インク組成物の1~99重量%の量で存在する溶剤システムと、d)任意選択で、インク組成物の0.05~1重量%の量で存在する酸スカベンジャーと、を含み得る。酸スカベンジャーはエポキシ樹脂であり得る。インク組成物は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク組成物、ライトマゼンタインク組成物、ホワイトインク組成物、又はライトシアンインク組成物であり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントブルー1、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー17‐1、ピグメントブルー22、ピグメントブルー22、ピグメントブルー27、ピグメントブルー28、ピグメントブルー29、ピグメントブルー36、及びピグメントブルー60の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントレッド3、ピグメントレッド5、ピグメントレッド8、ピグメントレッド9、ピグメントレッド9:8、ピグメントレッド19、ピグメントレッド22、ピグメントレッド31、ピグメントレッド38、ピグメントレッド43、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド48:5、ピグメントレッド49:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド57:2、ピグメントレッド58:4、ピグメントレッド63:1、ピグメントレッド81、ピグメントレッド81:1、ピグメントレッド81:2、ピグメントレッド81:3、ピグメントレッド81:4、ピグメントレッド88、ピグメントレッド104、ピグメントレッド108、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド144、ピグメントレッド146、ピグメントレッド149、ピグメントレッド166、ピグメントレッド168、ピグメントレッド169、ピグメントレッド170、ピグメントレッド177、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド207、ピグメントレッド208、ピグメントレッド216、ピグメントレッド224、ピグメントレッド226、ピグメントレッド257、ピグメントバイオレット3、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット29、ピグメントバイオレット30、ピグメントバイオレット37、ピグメントバイオレット50、ピグメントバイオレット88、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ20、又はピグメントオレンジ36の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントイエロー55、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー79、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138C、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー156、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー185及びピグメントイエロー213の少なくとも1つであり得る。一部の態様において、顔料は、ピグメントブラック6、ピグメントブラック7、ピグメントブラック9、ランプブラック又はベジタブルブラック、ボーンブラック又はアイボリーブラック、及びファーネスブラック又はチャンネルブラックの少なくとも1つであり得る。バインダーシステムは、少なくとも2つのバインダーを含み得る。バインダーシステムは、少なくとも1つの共重合体を含み得る。バインダーシステムは、酢酸ビニル共重合体及び/又はメタクリレート共重合体を含み得る。溶剤システムは、少なくとも2つの溶剤、少なくとも3つの溶剤、又は少なくとも4つの溶剤を含み得る。溶剤システムは、ジエチレングリコールを含み得る。エポキシ樹脂は、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0014】
現在ここで開示されている組成物、セット、方法、及び他の特徴は、全てではないが一部の実施形態を示す添付の図面を参照して、以下でより詳細に説明する。実際、これらの組成物、セット、方法、及び他の特徴は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書で説明される実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本発明が適用可能な法的要件を満たすように提供される。明細書及び添付の請求範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈で特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0015】
一部の実施形態において、本開示は、顔料、バインダーシステム、溶剤システム、及びエポキシ樹脂を含むインクジェットインク組成物を含む。インクジェットインク組成物は、例えば、インクジェットプリンタに使用し得、そのようなプリンタで印刷する場合、印刷された画像の高速ラミネーションを、例えば、8時間以内に提供する。インクジェットインク組成物は、シアン、マゼンタ、イエロー、又はブラック等のプロセスカラーインク組成物であり得る。一部の態様において、インクジェットインク組成物は、ライトシアン又はライトマゼンタカラーインク組成物であり得る。
【0016】
驚くべきことに、そして予想外に、特定の顔料、バインダーシステム、溶剤システム、及び(任意選択で特定量の)エポキシ樹脂を含有する上述のインク組成物は、他の顔料系インク組成物を含む他のインク組成物に比べて乾燥時間を改善することが見出された。従来のインクは、「触ると乾いている」ようにみえるが、画像が現れるフィルムの残留溶剤の含有量は、透明フィルムを画像上にラミネートしたときに満足な性能を有する程、十分に乾燥していない。例えば、残留溶剤が複合フィルム‐画像‐オーバーラミネートにトラップされたままだと、画像化されたフィルムとラミネートとの間に気泡が生じ得る。さらに、最終製品の接着機能の接着力又は耐久性が低下及び/又は変わり得る。さらなる機能上の問題が生じ得る。
【0017】
理論にとらわれることなく、本発明のインク組成物は遅乾溶剤を含まないため、そして、選択された溶剤と、バインダーと、添加剤との相乗的関係によって、印刷された出力物は8時間以内に確実にラミネートされ、インストールされ得ると想定される。さらに、理論にとらわれることなく、ノズルの開放時間、機械の信頼性、機械のメンテナンス要件、及び最終製品の耐候性は、成分間のこれらの相乗的関係により現在の商業用製品と同等、又はより優れていると想定される。
【0018】
インク組成物
本明細書で説明するように、本開示はインク組成物、例えば、インクジェットインク組成物に関する。インク組成物は、一般に顔料、バインダーシステム、溶剤システム、及びエポキシ樹脂を含む。一部の態様において、インク組成物は、0.5~5重量%の顔料、0.2~15重量%のバインダーシステム、1~99重量%の溶剤システム、及び0.05~1重量%のエポキシ樹脂を含み得る。各成分と、その成分のさらなる濃度範囲及び限界は、本明細書でさらに説明される。
【0019】
顔料
本明細書に記載されるように、インク組成物は顔料を含む。顔料は分散形態で提供され得るが、非分散形態でも提供され得る。
【0020】
顔料は、最終的なインク組成物の所望のカラーに応じて選択し得る。一部の態様において、特にインク組成物がインクセットの一部として供給又は使用される場合、インクセットの個別のインク組成物に使用される他の顔料を補完するように顔料を選択し得る。顔料の組み合わせは、本明細書に記載されるように、バインダーシステム、溶剤システム、及びエポキシ樹脂と共に採用される場合、例えば、素早い乾燥時間等の予想外の特別な利益を提供する。好ましい実施形態において、インク組成物中の顔料の特定の濃度は、さらなる予想外の利益を提供する。
【0021】
一部の態様において、インク組成物はシアンインク組成物である。例示的な顔料は、ピグメントブルー1、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー17‐1、ピグメントブルー22、ピグメントブルー22、ピグメントブルー27、ピグメントブルー28、ピグメントブルー29、ピグメントブルー36、ピグメントブルー60を含む。「ピグメントブルー」は、フタロシアニンブルーとも言われる。好ましい実施形態において、顔料は、フタロシアニンブルー15:4又は15:3の顔料を含む。
【0022】
下限の観点から、シアンインク組成物は、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも0.75重量%、少なくとも1重量%、少なくとも1.25重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも1.75重量%、少なくとも2重量%、少なくとも2.25重量%、少なくとも2.5重量%、少なくとも2.75重量%、又は少なくとも3重量%の顔料を含み得る。上限の観点から、シアンインク組成物は、5重量%未満、例えば、4.75重量%未満、4.5重量%未満、4.25重量%未満、4重量%未満、3.75重量%未満、3.5重量%未満、又は3.25重量%%未満の顔料を含み得る。範囲の観点から、シアンインク組成物は、0.5~5重量%、例えば、0.75~4.75重量%、1~4.5重量%、1.25~4.25重量%、1.5~4重量%、1.75~3.75重量%、2~3.5重量%、2.25~3.5重量%、2.5~3.5重量%、2.75~3.5重量%、3~3.25重量%の顔料を含み得る。 前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。言及した重量パーセントは、インク組成物の総重量パーセントに基づく。
【0023】
一部の態様において、インク組成物はマゼンタインク組成物である。例示的な顔料は、ピグメントレッド3、ピグメントレッド5、ピグメントレッド8、ピグメントレッド9、ピグメントレッド9:8、ピグメントレッド19、ピグメントレッド22、ピグメントレッド31、ピグメントレッド38、ピグメントレッド43、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド48:5、ピグメントレッド49:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド57:2、ピグメントレッド58:4、ピグメントレッド63:1、ピグメントレッド81、ピグメントレッド81:1、ピグメントレッド81:2、ピグメントレッド81:3、ピグメントレッド81:4、ピグメントレッド88、ピグメントレッド104、ピグメントレッド108、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメント144、ピグメントレッド146、ピグメントレッド149、ピグメントレッド166、ピグメントレッド168、ピグメントレッド169、ピグメントレッド170、ピグメントレッド177、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド207、ピグメントレッド208、ピグメントレッド216、ピグメントレッド224、ピグメントレッド226、ピグメントレッド257、ピグメントバイオレット3、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット29、ピグメントバイオレット30、ピグメントバイオレット37、ピグメントバイオレット50、ピグメントバイオレット88、又はピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ20又はピグメントオレンジ36を含む。好ましい実施形態において、顔料は、ピグメントレッド122又はピグメントレッド224を含む。
【0024】
下限の観点から、マゼンタインク組成物は、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも0.75重量%、少なくとも1重量%、少なくとも1.25重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも1.75重量%、少なくとも2重量%、少なくとも2.25重量%、少なくとも2.5重量%、少なくとも2.75重量%、又は少なくとも3重量%の顔料を含み得る。上限の観点から、マゼンタインク組成物は、5重量%未満、例えば、4.75重量%未満、4.5重量%未満、4.25重量%未満、4重量%未満、3.75重量%未満、3.5重量%未満、又は3.25重量%未満の顔料を含み得る。範囲の観点から、マゼンタインク組成物は0.5~5重量%、例えば、0.75~4.75重量%、1~4.5重量%、1.25~4.25重量%、1.5~4重量%、1.75~3.75重量%、2~3.5重量%、2.25~3.5重量%、2.5~3.5重量%、2.75~3.5重量%、又は3~3.25重量%の顔料を含み得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。言及した重量パーセントは、インク組成物の総重量パーセントに基づく。
【0025】
一部の態様において、インク組成物はイエローインク組成物である。例示的な顔料は、ピグメントイエロー55、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー79、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138C、ピグメントイエロー139、メントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー156、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー185及びピグメントイエロー213を含む。好ましい実施形態において、顔料は、ピグメントイエロー151を含む。
【0026】
下限の観点から、イエローインク組成物は、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも0.75重量%、少なくとも1重量%、少なくとも1.25重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも1.75重量%、少なくとも2重量%、少なくとも2.25重量%、少なくとも2.5重量%、少なくとも2.75重量%、又は少なくとも3重量%の顔料を含み得る。上限の観点から、イエローインク組成物は、5重量%未満、例えば、4.75重量%未満、4.5重量%未満、4.25重量%未満、4重量%未満、3.75重量%未満、3.5重量%未満、又は3.25重量%未満の顔料を含み得る。範囲の観点から、イエローインク組成物は、0.5~5重量%、例えば、0.75~4.75重量%、1~4.5重量%、1.25~4.25重量%、1.5~4重量%、1.75~3.75重量%、2~3.5重量%、2.25~3.5重量%、2.5~3.5重量%、2.75~3.5重量%、又は3~3.25重量%の顔料を含み得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。言及した重量パーセントは、インク組成物の総重量パーセントに基づく。
【0027】
一部の態様において、インク組成物はブラックインク組成物である。例示的な顔料は、ピグメントブラック6、ピグメントブラック7、ピグメントブラック9、ランプブラック又はベジタブルブラック、ボーンブラック又はアイボリーブラック、及びファーネスブラック又はチャンネルブラックを含む。一部の態様において、ブラックインク組成物には1つの顔料のみが含まれる。好ましい実施形態において、顔料は、ピグメントブラック7を含む。
【0028】
下限の観点から、ブラックインク組成物は、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも0.6重量%、少なくとも7重量%、少なくとも0.8重量%、少なくとも0.9重量%、又は少なくとも1重量%の顔料を含み得る。上限の観点から、ブラックインク組成物は、5重量%未満、例えば、4.75重量%未満、4.5重量%未満、4.25重量%未満、4重量%未満、3.75重量%未満、3.5重量%未満、又は3.25重量%未満%の顔料を含み得る。範囲の観点から、ブラックインク組成物は、0.5~5重量%、例えば、0.5~4.75重量%、0.5~4.5重量%、0.5~4.25重量%、0.5~4重量%、0.5~3.75重量%、0.6~3.5重量%、0.7~3.5重量%、0.8~3.5重量%、0.9~3.5重量%、又は1~3.25重量%の顔料を含み得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。言及した重量パーセントは、インク組成物の総重量パーセントに基づく。
【0029】
一部の態様において、インク組成物はライトシアンインク組成物である。例示的な顔料が含まれる。下限の観点から、ライトシアンインク組成物は、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも0.75重量%、少なくとも1重量%、少なくとも1.25重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも1.75重量%、少なくとも2重量%、少なくとも2.25重量%、少なくとも2.5重量%、少なくとも2.75重量%、又は少なくとも3重量%の顔料を含み得る。上限の観点から、ライトシアンインク組成物は、5重量%未満、例えば、4.75重量%未満、4.5重量%未満、4.25重量%未満、4重量%未満、3.75重量%未満、3.5重量%未満、又は3.25重量%未満の顔料を含み得る。範囲の観点から、ライトシアンインク組成物は、0.5~5重量%、例えば、0.75~4.75重量%、1~4.5重量%、1.25~4.25重量%、1.5~4重量%、1.75~3.75重量%、2~3.5重量%、2.25~3.5重量%、2.5~3.5重量%、2.75~3.5重量%、又は3~3.25重量%の顔料を含み得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。言及した重量パーセントは、インク組成物の総重量パーセントに基づく。
【0030】
一部の態様において、インク組成物はライトマゼンタインク組成物である。例示的な顔料が含まれる。下限の観点から、ライトマゼンタインク組成物は、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも0.75重量%、少なくとも1重量%、少なくとも1.25重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも1.75重量%、少なくとも2重量%、少なくとも2.25重量%、少なくとも2.5重量%、少なくとも2.75重量%、又は少なくとも3重量%の顔料を含み得る。上限の観点から、ライトマゼンタインク組成物は、5重量%未満、例えば、4.75重量%未満、4.5重量%未満、4.25重量%未満、4重量%未満、3.75重量%未満、3.5重量%未満、又は3.25重量%未満の顔料を含み得る。範囲の観点から、ライトマゼンタインク組成物は、0.5~5重量%、例えば、0.75~4.75重量%、1~4.5重量%、1.25~4.25重量%、1.5~4重量%、1.75~3.75重量%、2~3.5重量%、2.25~3.5重量%、2.5~3.5重量%、2.75~3.5重量%、又は3~3.25重量%の顔料を含み得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。言及した重量パーセントは、インク組成物の総重量パーセントに基づく。
【0031】
ダークグレー、ライトグレー、グリーン、オレンジ、レッド、ホワイト、及びブルー等のさらなる有色インク組成物は、以下に記載されるインクセットに含まれるように配合し得る。一部の態様において、かかる組成物は、異なる顔料を除いて前記組成物と同様の構成をもち得る。他の態様において、組成物は前記のものとは異なり得る。特定の態様において、ホワイトインク組成物は、考慮されるインクセットに含まれない。
【0032】
バインダーシステム
前記のインク組成物のそれぞれは、バインダーシステムをさらに含み得る。下限の観点から、インク組成物は、少なくとも0.2重量%、例えば、少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.75重量%、少なくとも1重量%、少なくとも3重量%、又は少なくとも5重量%のバインダーシステムを含み得る。上限の観点から、インク組成物は、15重量%未満、例えば、14重量%未満、13重量%未満、12重量%未満、11重量%未満、又は10重量%未満のバインダーシステムを含み得る。範囲の観点から、インク組成物は0.2~15重量%、例えば、0.4~14重量%、0.5~13重量%、0.75~12重量%、1~11重量%、3~10重量%、又は5~10重量%のバインダーシステムを含み得る。バインダーシステムは、少なくとも共重合体を含み得、一部の態様において、少なくとも2つの共重合体を含み得る。例示的な共重合体は、塩化ビニル共重合体、(メタ)アクリレート共重合体、酢酸ビニル、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、ポリウレタン等を含む。一部の態様において、バインダーシステムは、塩化ビニル共重合体及びメタクリレート共重合体を含む。下限の観点から、塩化ビニル共重合体は、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%の塩化ビニルを含み得る。上限の観点から、塩化ビニル共重合体は、99.9重量%未満、例えば、99.5重量%未満、99重量%未満、98重量%未満、97重量%未満、96重量%未満、95重量%未満、又は92.5重量%未満の塩化ビニルを含み得る。範囲の観点から、塩化ビニル共重合体は、50~99.9重量%、例えば、55~99.5重量%、60~99重量%、65~98重量%、70~97重量%、75~96重量%、80~95重量%、又は85~92.5重量%の塩化ビニル及び1~50重量%の酢酸ビニルを含み得る。さらに、塩化ビニル共重合体は酢酸ビニルを含み得る。下限の観点から、塩化ビニル共重合体は、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも7.5重量%の酢酸ビニルを含み得る。上限の観点から、塩化ビニル共重合体は、50重量%未満、例えば、45重量%未満、40重量%未満、35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、又は15重量%未満の酢酸ビニルを含み得る。範囲の観点から、塩化ビニル共重合体は0.1~50重量%、例えば、0.5~45重量%、1~40重量%、2~35重量%、3~30重量%、4~25重量%、5~20重量%、又は7.5~15重量%の酢酸ビニルを含み得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。
【0033】
塩化ビニル共重合体及びメタクリレート共重合体が含まれる態様において、メタクリレート共重合体に対する塩化ビニル共重合体の比は、100:1~1:100、例えば、75:1~1:75、50:1~1:50、25:1~1:25、10:1~1:10、5:1~1:5、3:1~1:3、2:1~1:2、又は約1:1の範囲であり得る。下限の観点から、インク組成物は、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.75重量%、又は少なくとも1重量%の塩化ビニル共重合体を含み得る。上限の観点から、インク組成物は、5重量%未満、例えば、4.75重量%未満、4.5重量%未満、4.25重量%未満、4重量%未満、3.75重量%未満、又は3.5重量%未満の塩化ビニル共重合体を含み得る。範囲の観点から、インク組成物は0.1~5重量%、例えば、0.2~4.75重量%、0.3~4.5重量%、0.4~4.25重量%、0.5~4重量%、0.75~3.75重量%、又は1~3.5重量%の塩化ビニル共重合体を含み得る。下限の観点から、インク組成物は、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.75重量%、又は少なくとも1重量%のメタクリレート共重合体を含み得る。上限の観点から、インク組成物は、10重量%未満、例えば、9.75重量%未満、9.5重量%未満、9.25重量%未満、9重量%未満、8.75重量%未満、又は8.5重量%未満のメタクリレート共重合体を含み得る。範囲の観点から、インク組成物は、0.1~10重量%、例えば、0.2~9.75重量%、0.3~9.5重量%、0.4~9.25重量%、0.5~9重量%、0.75~8.75重量%、又は1~8.5重量%のメタクリレート共重合体を含み得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。言及した重量パーセントは、インク組成物の総重量パーセントに基づく。
【0034】
適切な商業用バインダー製品には、Wackerから販売されているVINNOL(登録商標)、及びSolbinのC‐Type、A‐Type、M‐Typeが含まれる。一部の態様において、Wacker H14/36は、使用し得るVCl/VAc(塩化ビニル/酢酸ビニル)クラスの共重合体である。さらなる態様において、 Solbin CLは、使用し得るVCl/VAcクラスの共重合体である。アクリルポリマーも使用し得る。
【0035】
任意選択で、特定濃度のバインダーが顔料と相互作用し、製品の透明度及び有用な貯蔵寿命を可能にすると考えられる。一部の態様において、顔料に対するバインダーの比は、少なくとも1:1、例えば、少なくとも1.5:1、少なくとも1.75:1、少なくとも2:1、少なくとも2.25:1、少なくとも2.5:1、少なくとも2.75:1、又は少なくとも3:1である。範囲の観点から、顔料に対するバインダーの比は、1:1~3:1、例えば、1:1~2.75:1、1:1~2.5:1、1:1~2.25:1、1:1~2.25:1、1:1~2:1、及びその間の全ての範囲である。
【0036】
溶剤システム
前記のインク組成物のそれぞれは、溶剤システムをさらに含み得る。下限の観点から、インク組成物は、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも3重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%の溶剤システムを含み得る。上限の観点から、インク組成物は、99重量%未満、例えば、97.5重量%未満、95重量%未満、90重量%未満、85重量%未満、80重量%未満、75重量%未満、70重量%未満、65重量%未満、又は60重量%未満の溶剤システムを含み得る。範囲の観点から、インク組成物は、1~99重量%、例えば、3~97.5重量%、5~95重量%、10~90重量%、15~85重量%、20~80重量%、25~75重量%、30~70重量%、40~65重量%、又は50~60重量%の溶剤システムを含み得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。言及した重量パーセントは、インク組成物の総重量パーセントに基づく。
【0037】
一部の態様において、溶剤システムは、少なくとも1つの溶剤、例えば、少なくとも2つの溶剤、少なくとも3つの溶剤、又は少なくとも4つの溶剤を含む。1つの溶剤は、溶剤システムの主容量として存在し得るのに対し、残りの溶剤は、より少量で存在し得る。例えば、第1の溶剤は、溶剤システムの総重量に基づいて、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも55重量%、少なくとも57.5重量%、又は少なくとも60重量%の量で存在し得る。上限の観点から、第1の溶剤は、溶剤システムの総重量に基づいて、80重量%未満、例えば、77.5重量%未満、75重量%未満、72.5重量%未満、又は70重量%未満の量で存在し得る。範囲の観点から、溶剤システムは、50~80重量%、例えば、55~77.5重量%、57.5~75重量%、又は60~72.5重量%の第1の溶剤を含み得る。第1の溶剤は、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコールであり得る。第1の溶剤(又は本明細書に記載の任意の溶剤)として使用し得るさらなる溶剤は、グリム、特にジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチルジグリム、及びテトラグリム;γ‐ブチロラクトン;エチレングリコールブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル;及びプロピレンカーボネートを含む。このような溶剤は、Clarient及びNovolyteによって製造されている。他の溶剤は、γ‐ブチロラクトン(GBL)、グリコールエーテルEBA(エチレングリコールブチルエーテルアセテート)等のグリコールエーテルアセテート、Arcosolv(R)DPM(ジプロピレングリコールメチルエーテル)、プロピレンカーボネート、及びγ‐バレロラクトン(GVL)、ε‐カプロラクトン(PCL)、N‐エチル‐2‐ピロリドン(NEP)、3,3,5‐トリメチルシクロヘキサノン、及び3‐メチル‐2‐オキサゾリジノンを含む。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。
【0038】
存在する場合、第2の溶剤は、溶剤システムの総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.75重量%、又は少なくとも1重量%の量で存在し得る。上限の観点から、第2の溶剤は、溶剤システムの総重量に基づいて、10重量%未満、例えば、9.75重量%未満、9.5重量%未満、9.25重量%未満、又は9重量%未満の量で存在し得る。範囲の観点から、溶剤システムは、0.1~10重量%、例えば、0.5~9.75重量%、0.75~9.5重量%、1~9.25重量%、又は1~9.5重量%の第2の溶剤を含み得る。第2の溶剤は、γ‐ブチロラクトン等のラクトンであり得る。前記のように、ラクトンの代わりに他の溶剤を使用し得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。
【0039】
存在する場合、第3の溶剤は、溶剤システムの総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.75重量%、少なくとも1重量%、又は少なくとも5重量%の量で存在し得る。上限の観点から、第3の溶剤は、溶剤システムの総重量に基づいて、20重量%未満、例えば、17.5重量%未満、15重量%未満、12.5重量%未満、又は10重量%未満の量で存在し得る。範囲の観点から、溶剤システムは、0.1~20重量%、例えば、0.5~17.5重量%、0.75~15重量%、1~12.5重量%、又は1~10重量%の第3の溶剤を含み得る。第3の溶剤は、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル等のジプロピレングリコールであり得る。前記のように、ジプロピレングリコールの代わりに他の溶剤を使用し得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。
【0040】
存在する場合、第4の溶剤は、溶剤システムの総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.15重量%、少なくとも0.2重量%、又は少なくとも0.25重量%の量で存在し得る。上限の観点から、第の溶剤は、溶剤システムの総重量に基づいて、1重量%未満、例えば、0.75重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、又は0.4重量%未満の量で存在し得る。範囲の観点から、溶剤システムは、0.1~1重量%、例えば、0.15~0.75重量%、0.2~0.6重量%、0.25~0.5重量%、又は0.25~0.4重量%の第4の溶剤を含み得る。第4の溶剤は、n‐メチルピロリドン等のピロリドンであり得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。
【0041】
酸スカベンジャー
前記のインク組成物のそれぞれは、インク組成物に使用される溶剤と相溶性のある酸スカベンジャーをさらに含み得る。一部の態様において、酸スカベンジャーはエポキシ樹脂である。下限の観点から、インク組成物は、少なくとも0.05重量%、例えば、少なくとも0.075重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.15重量%、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.25重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.35重量%、少なくとも0.4重量%、又は少なくとも0.5重量%の酸スカベンジャーを含み得る。上限の観点から、インク組成物は、1重量%未満、例えば、0.95重量%未満、0.9重量%未満、0.85重量%未満、0.8重量%未満、0.75重量%未満、0.7重量%未満、0.65重量%未満、0.6重量%未満、又は0.55重量%未満の酸スカベンジャーを含み得る。範囲の観点から、インク組成物は、0.01~1重量%、例えば、0.05~0.95重量%、0.075~0.9重量%、0.1~0.85重量%、0.15~0.8重量%、0.2~0.75重量%、0.25~0.7重量%、0.3~0.65重量%、0.4~0.6重量%、又は0.5~0.55重量%の酸スカベンジャーを含み得る。前述の値の範囲内にある全ての下位値及び範囲も考慮される。言及した重量パーセントは、インク組成物の総重量パーセントに基づく。
【0042】
エポキシ樹脂は非常に多様であり、多くのエポキシ樹脂が知られている。例示的なエポキシ樹脂は、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。本明細書に記載の溶剤の混合物、例えば、グリムとグリコールエーテルの混合物において、それらが可溶性である限り、他の脂環式エポキシドも使用し得る。
【0043】
適切な商業用のエポキシ樹脂製品は、Daicelから販売されているCelloxide2021P、IGMから販売されているOmnilane OC1005、及びPhibro Chemから販売されているTTA21が含まれる。
【0044】
インクセット
一部の態様において、インク組成物は、インクセットの一部として提供される。インクセットの非限定的な例は、3インクセット、4インクセット、又は6インクセットを含む。一部の態様において、8インクセット又は12インクセットを考慮し得る。
【0045】
一部の態様において、3インクセットは、ブラックインク組成物、シアンインク組成物、及びマゼンタインク組成物を含む。さらなる態様において、3インクセットは、ブラックインク組成物、シアンインク組成物、及びイエローインク組成物を含む。他のさらなる態様において、3インクセットは、ブラックインク組成物、マゼンタインク組成物、及びイエローインク組成物を含む。また別のさらなる態様において、3インクセットは、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、及びイエローインク組成物を含む。
【0046】
一部の態様において、4インクセットは、ブラックインク組成物、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、及びイエローインク組成物を含む。
【0047】
一部の態様において、8インクセットは、ブラックインク組成物、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、イエローインク組成物、及びレッドインク組成物、ブルーインク組成物、グリーンインク組成物、ライトマゼンタインク組成物、ライトシアンインク組成物、オレンジインク組成物、ライトグレーインク組成物、及びダークグレーインク組成物から選択される4つのさらなるインク組成物を含む。
【0048】
一部の態様において、12インクセットは、ブラックインク組成物、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、イエローインク組成物、レッドインク組成物、ブルーインク組成物、グリーンインク組成物、ライトマゼンタインク組成物、ライトシアンインク組成物、オレンジインク組成物、ライトグレーインク組成物、及びダークグレーインク組成物を含む。
【0049】
一部の態様において、前記3インクセット及び4インクセットは、前記のシアンインク組成物の代わりにライトシアンインク組成物を含む。さらなる態様において、3インクセットは、前記マゼンタインク組成物の代わりにライトマゼンタインク組成物を含む。
【0050】
本明細書に記載のように、成分の相乗的な組み合わせは、従来のインクに比べて乾燥時間が改善されているが、例えば、画像が印刷された時から8時間以内の乾燥が可能となる。さらに、このような乾燥時間の短縮は、画像上で使用されるインクの量の増加、カラー及び明るさの増加、並びにドットグレイン、色域の改善、及び製造可能なカラー範囲といった、他の好ましい画像品質等のさらなる利益をもたらし得る。
【0051】
インク組成物の製造方法
インク組成物は、まず、顔料をサブミクロンの粒径に粉砕することによって製造し得る。粒径は1000nm未満、例えば、750nm未満又は500nm未満であり得る。一部の態様において、最大サイズD100又は粒子の少なくとも95%は1000nm未満、例えば、750nm未満又は500nm未満である。一部の態様において、ブラック顔料の場合、粒径はより小さくてもよく、例えば、粒子の95%は100~250nmを超えてはならない。一部の態様において、シアン顔料の場合、粒子の95%は200~300nm以下であり得る。一部の態様において、マゼンタ顔料の場合、粒子の95%は300nm以下であり得る。一部の態様において、白色顔料の場合、粒子の95%は500nm以下であり得る。
【0052】
次に、顔料は分散樹脂、例えば、特定の顔料の表面に対する親和性を有する機能性分散剤と組み合わせ得る。そして、顔料は、メディアミル、高剪断分散ブレード、超音波ミリング装置、又は分散装置を含む任意の多様な剪断誘導装置を使用してサイズを縮小し、十分且つ適切な分散剤が付着し、粒子の表面を取り囲んで好ましい粒径を満たし、好ましい単峰性の粒径分布を有し得る。最後に、分散しサイズが縮小した顔料は、その後、樹脂、バインダー、溶剤、及びインク配合物の他の材料と組み合わせ得る。
【0053】
インク組成物の印刷方法
インク組成物は、インクジェット印刷用のインクジェットプリンタに使用し得る。インク組成物は、インクジェットプリンタに供給し得る。インクジェットプリンタは、テキスト及びグラフィックを含む様々な種類の印刷表示を印刷し得る。インクジェットプリンタは、Mutoh、Mimaki及びRolanから販売されているような商業用のワイドフォーマットインクジェットプリンタであり得る。このような商業用プリンタは、グラフィックビニルフィルム等のグラフィックフィルム上に印刷するために使用し得る。インクは、基材上に印刷し得る。有利なことに、本明細書に開示されるインク組成物は、既存のインクジェットインク組成物に比べて乾燥時間が改善される。このような改善された乾燥時間により、印刷された基材のラミネーションは8時間以内に行うことができる。例示的な基材は、紙、合成織物、PVA水転写フィルム及び壁紙を含む。
【0054】
以下の実施形態が考慮される。特徴及び実施形態の全ての組み合わせが考慮される。
【0055】
実施形態1:a)インク組成物の0.5~5重量%の量で存在する顔料と、b)インク組成物の0.2~15重量%の量で存在するバインダーシステムと、c)インク組成物の1~99重量%の量で存在する溶剤システムと、d)任意選択で、インク組成物の0.05~1重量%の量で存在する酸スカベンジャーと、を含む、インク組成物。
【0056】
実施形態2:前記酸スカベンジャーはエポキシ樹脂である、実施形態1に記載のインク組成物。
【0057】
実施形態3:前記インク組成物は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク組成物、ライトマゼンタインク組成物、ホワイトインク組成物、又はライトシアンインク組成物である、実施形態1に記載のインク組成物。
【0058】
実施形態4:前記顔料は、ピグメントブルー1、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー17‐1、ピグメントブルー22、ピグメントブルー22、ピグメントブルー27、ピグメントブルー28、ピグメントブルー29、ピグメントブルー36、及びピグメントブルー60の少なくとも1つの、実施形態1に記載のインク組成物。
【0059】
実施形態5:前記顔料は、ピグメントレッド3、ピグメントレッド5、ピグメントレッド8、ピグメントレッド9、ピグメントレッド9:8、ピグメントレッド19、ピグメントレッド22、ピグメントレッド31、ピグメントレッド38、ピグメントレッド43、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド48:5、ピグメントレッド49:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド57:2、ピグメントレッド58:4、ピグメントレッド63:1、ピグメントレッド81、ピグメントレッド81:1、ピグメントレッド81:2、ピグメントレッド81:3、ピグメントレッド81:4、ピグメントレッド88、ピグメントレッド104、ピグメントレッド108、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド144、ピグメントレッド146、ピグメントレッド149、ピグメントレッド166、ピグメントレッド168、ピグメントレッド169、ピグメントレッド170、ピグメントレッド177、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド207、ピグメントレッド208、ピグメントレッド216、ピグメントレッド224、ピグメントレッド226、ピグメントレッド257、ピグメントバイオレット3、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット29、ピグメントバイオレット30、ピグメントバイオレット37、ピグメントバイオレット50、ピグメントバイオレット88、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ20、又はピグメントオレンジ36の少なくとも1つである、実施形態1に記載のインク組成物。
【0060】
実施形態6:前記顔料は、ピグメントイエロー55、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー79、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138C、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー156、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー185及びピグメントイエロー213の少なくとも1つである、実施形態1に記載のインク組成物。
【0061】
実施形態7:前記顔料は、ピグメントブラック6、ピグメントブラック7、ピグメントブラック9、ランプブラック又はベジタブルブラック、ボーンブラック又はアイボリーブラック、及びファーネスブラック又はチャンネルブラックの少なくとも1つである、実施形態1に記載のインク組成物。
【0062】
実施形態8:前記バインダーシステムは、少なくとも2つのバインダーを含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載のインク組成物。
【0063】
実施形態9:前記バインダーシステムは、少なくとも1つの共重合体を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載のインク組成物。
【0064】
実施形態10:前記バインダーシステムは、酢酸ビニル共重合体及び/又はメタクリレート共重合体を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のインク組成物。
【0065】
実施形態11:前記溶剤システムは、少なくとも2つの溶剤を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載のインク組成物。
【0066】
実施形態12:前記溶剤システムは、少なくとも3つの溶剤を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載のインク組成物。
【0067】
実施形態13:前記溶剤システムは、少なくとも4つの溶剤を含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載のインク組成物。
【0068】
実施形態14:前記溶剤システムは、ジエチレングリコールを含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載のインク組成物。
【0069】
実施形態15:前記エポキシ樹脂は、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを含む、実施形態2~14のいずれか1つに記載のインク組成物。
【0070】
実施形態16:少なくともイエローインク組成物と、マゼンタインク組成物と、シアンインク組成物と、ブラックインク組成物と、を含むインクセットであって、前記インク組成物の少なくとも1つは、実施形態1~15のいずれか1つに記載のインク組成物を含む、インクセット。
【0071】
実施形態17:前記インク組成物の少なくとも2つは、実施形態1~15のいずれか1つに記載のインク組成物を含む、実施形態16に記載のインクセット。
【0072】
実施形態18:前記インク組成物の少なくとも3つは、実施形態1~15のいずれか1つに記載のインク組成物を含む、実施形態16に記載のインクセット。
【0073】
実施形態19:イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、及びブラックインク組成物のそれぞれは、実施形態1~15のいずれか1つに記載のインク組成物を含む、実施形態16に記載のインクセット。
【0074】
実施形態20:実施形態1~15のいずれか1つに記載のインク組成物の製造方法であって、a)顔料を粉砕してサブミクロン粒径を有する粉砕顔料を形成するステップと、b)前記粉砕顔料を少なくとも1つの分散樹脂と組み合わせて分散組成物を形成するステップと、c)前記分散組成物のサイズをサブミクロンに縮小するステップと、d)前記分散組成物を溶剤システム及びバインダーシステムと組み合わせるステップと、を含む、インク組成物の製造方法。
【0075】
実施形態21:インクジェットプリンタからインクジェットインク組成物を印刷する方法であって、a)実施形態1~15のいずれか1つに記載の少なくとも1つのインクジェットインク組成物をインクジェットプリンタに提供するステップと、b)前記インク組成物を基材上に印刷するステップと、を含み、前記インク組成物は、印刷された基材上で8時間未満で乾燥される、インクジェットプリンタからインクジェットインク組成物を印刷する方法。
【0076】
本開示は、下記の非限定的な実施例を考慮して、より十分に理解されるであろう。
[実施例]
【0077】
実施例1
表1に示す成分及び濃度を有するシアンインクジェットインク組成物を製造した。
【表1】
【0078】
インクジェットインク組成物を基材上に印刷した。
【0079】
実施例2
表2に示す成分及び濃度を有するマゼンタインクジェットインク組成物を製造した。
【表2】
【0080】
インクジェットインク組成物を基材上に印刷した。
【0081】
実施例3
表3に示す成分及び濃度を有するイエローインクジェットインク組成物を製造した。
【表3】
【0082】
インクジェットインク組成物を基材上に印刷した。
【0083】
実施例4
表4に示す成分及び濃度を有するブラックインクジェットインク組成物を製造した。
【表4】
【0084】
インクジェットインク組成物を基材上に印刷した。
【0085】
実施例5
実施例1~4のインク組成物を含有するインクジェットインクセットをインクジェットプリンタに装填し、基材上に印刷した。次に、ミスなくラミネーションする時間、持続的な噴射、保管からのノズル待ち時間/作動、及び他のパラメータについてインクを試験した。インクセットの乾燥時間は、8時間未満であった。
【0086】
比較例A
以下の表5に示す成分を含む遅乾性インク組成物を製造した。
【表5】
【0087】
次に、ミスなくラミネーションする時間、持続的な噴射、保管からのノズル待ち時間/作動、及び他のパラメータについてインク組成物を試験した。インクセットの乾燥時間は、8時間を超過した。
【0088】
本開示に対するこれら及び他の修正及び変更は、添付の請求範囲でより具体的に説明される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって実施され得る。また、様々な実施形態の態様は、全体的又は部分的に相互交換し得ることが理解されるべきである。さらに、当業者は、上述の説明が単なる例示であり、かかる添付の請求範囲にさらに記載されているように、本開示を限定することを意図していないことを理解するであろう。従って、添付の請求範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれるバージョンの例示的な説明に限定されてはならない。