(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】端子付き電線
(51)【国際特許分類】
H01R 4/02 20060101AFI20240112BHJP
H01R 43/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H01R4/02 C
H01R43/02 B
(21)【出願番号】P 2022021923
(22)【出願日】2022-02-16
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】弓立 隆博
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-34300(JP,A)
【文献】特開2021-34287(JP,A)
【文献】特開2019-106316(JP,A)
【文献】特開2020-68141(JP,A)
【文献】国際公開第2021/020032(WO,A1)
【文献】独国実用新案第29924056(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/02
H01R 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素線束から成る芯線及び前記芯線を周方向に亘って覆う被覆を備え、前記芯線の一部が周方向に亘って剥き出しになった芯線露出部を有する電線と、
前記芯線露出部を載せ置く平面が設けられた芯線接続部を有し、前記芯線露出部の接合部が前記芯線接続部における被接合部の前記平面に超音波接合された端子金具と、
を備え、
前記芯線露出部は、前記接合部と前記被覆の端面との間に、前記芯線接続部の前記平面に向けて圧縮させ、前記接合部における前記芯線接続部の前記平面からの高さよりも低い位置まで凹ませた圧縮凹部を有することを特徴とした端子付き電線。
【請求項2】
前記圧縮凹部は、前記接合部における前記被覆側の端部に連接させることを特徴とした請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項3】
前記接合部は、前記芯線接続部の前記平面から起算した前記芯線の芯線径分の高さよりも低い位置まで圧縮させることを特徴とした請求項1又は2に記載の端子付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子付き電線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子付き電線の製造方法においては、電線と端子金具とを物理的且つ電気的に接続させるための技術として、その電線の芯線露出部と端子金具の芯線接続部とに加圧しながら超音波振動を与える超音波接合が知られている。この超音波接合においては、芯線露出部と芯線接続部とを2つの金型で挟み込んで加圧しながら、その芯線露出部の軸線方向に沿う振動方向の超音波振動を一方の金型(加振金型)から芯線露出部に加える。電線と端子金具は、その加圧と超音波振動によって、芯線露出部の素線間が超音波接合され、かつ、芯線露出部の素線と芯線接続部との間が超音波接合されて、端子付き電線として形成される。この種の端子付き電線については、例えば、下記の特許文献1から5に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-172927号公報
【文献】特開2014-107104号公報
【文献】特開2014-211952号公報
【文献】特開2019-040778号公報
【文献】特開2019-145263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電線の芯線露出部は、加圧と共に加振金型によって芯線接続部側に押し潰されるので、これにつられて、被覆の端面から加振金型で押し潰されている部分までの間で芯線接続部からの高さが徐々に低くなっていく。このため、この芯線露出部においては、加振方向に往復動している加振金型が高さの変化している傾斜部にぶつかると、この傾斜部の素線が素線切れを引き起こす虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、素線切れの発生を抑えた端子付き電線を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、素線束から成る芯線及び前記芯線を周方向に亘って覆う被覆を備え、前記芯線の一部が周方向に亘って剥き出しになった芯線露出部を有する電線と、前記芯線露出部を載せ置く平面が設けられた芯線接続部を有し、前記芯線露出部の接合部が前記芯線接続部における被接合部の前記平面に超音波接合された端子金具と、を備え、前記芯線露出部は、前記接合部と前記被覆の端面との間に、前記芯線接続部の前記平面に向けて圧縮させ、前記接合部における前記芯線接続部の前記平面からの高さよりも低い位置まで凹ませた圧縮凹部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る端子付き電線は、芯線露出部における接合部と被覆の端面との間に、その接合部における芯線接続部の平面からの高さよりも低い位置まで凹ませた圧縮凹部を有している。このため、超音波接合に用いる一方の金型は、接合部に圧を加えながら超音波振動が印加されて芯線露出部の軸線方向に往復動しているときに、その芯線露出部における接合部と被覆の端面との間にぶつかることなく、芯線接続部における被接合部の平面に芯線露出部の接合部を超音波接合して、端子付き電線を造り出すことができる。従って、本発明に係る端子付き電線は、芯線露出部での素線切れの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の端子付き電線を示す説明図である。
【
図2】
図2は、芯線加工工程について説明する説明図である。
【
図3】
図3は、接合工程について説明する説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態の製造装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る端子付き電線の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
本発明に係る端子付き電線の実施形態の1つを
図1から
図4に基づいて説明する。
【0011】
図1の符号1は、本実施形態における端子付き電線を示す。
【0012】
端子付き電線1は、互いに物理的且つ電気的に接続された電線10と端子金具20とを備える(
図1)。
【0013】
電線10は、芯線11と被覆12とを備えており、その芯線11が外周面側から筒状の被覆12で周方向に亘って覆われている(
図1から
図3)。芯線11は、導電性の金属の線材から成る複数本の素線13が束ねられた素線束として構成されている。被覆12は、芯線11を外周面側から覆う絶縁性の合成樹脂材料で成形されている。
【0014】
この電線10は、芯線11の一部が周方向に亘って剥き出しになった芯線露出部11aを有している(
図1から
図3)。例えば、電線10においては、その端末(以下、「電線端末」という。)10aで被覆12の末端を周方向に剥ぎ取るなど、その被覆12に加工を施すことによって、この電線端末10aに1周に亘って剥き出しになった芯線露出部11aが設けられる。この電線端末10aの芯線露出部11aは、被覆12の環状の端面から突出しており、この被覆12の端面から自由端側に離れた場所を端子金具20に超音波接合させる。また、例えば、電線10においては、その軸線の途中で被覆12を周方向に剥ぎ取るなどして、この軸線の途中で被覆12の2箇所の環状の端面の間に1周に亘って剥き出しになった芯線露出部11aが設けられる。この電線10の途中の芯線露出部11aは、その被覆12の2箇所の端面の間でそれぞれの端面から離れた場所を端子金具20に超音波接合させる。
【0015】
この端子付き電線1においては、その電線10の端末又は途中の芯線露出部11aに対して端子金具20が取り付けられる。ここで示す電線10は、電線端末10aに芯線露出部11aを有している。このため、この端子付き電線1においては、その電線端末10aの芯線露出部11aに対して端子金具20が取り付けられる。
【0016】
その端子金具20は、金属等の導電性材料で成形される。この端子金具20は、例えば、母材となる金属板に対する折曲げ加工や切断加工等のプレス成形によって所定形状に成形される。
【0017】
この端子金具20は、相手方(図示略)に対して物理的且つ電気的に接続させる端子接続部21を有する(
図1及び
図3)。この端子接続部21は、相手方に対して如何様な形態で物理的且つ電気的に接続させるものであってもよい。例えば、この端子接続部21は、貫通孔(図示略)を有する平板状に形成され、この貫通孔と相手方端子金具における端子接続部(図示略)の貫通孔とに挿通させた雄螺子部材に雌螺子部材を螺合させることによって、その相手方端子金具の端子接続部に螺子止め固定させるものであってもよい。また、例えば、端子金具20の端子接続部21と相手方端子金具の端子接続部は、その内の一方が雌端子形状に形成され、かつ、その内の他方が雄端子形状に形成されて、互いを挿入嵌合させるものであってもよい。
【0018】
また、この端子金具20は、電線10の芯線露出部11aを載せ置く平面22aが設けられており、その平面22aに対して芯線露出部11aを物理的且つ電気的に接続させる芯線接続部22を有する(
図1及び
図3)。この芯線接続部22においては、被接合部22bの平面22aに芯線露出部11aの接合部11bが超音波接合される。ここで示す芯線接続部22は、平板状に形成されている。
【0019】
また、この端子金具20は、電線端末10aの被覆12を保持する被覆保持部23を有する(
図1及び
図3)。この被覆保持部23は、例えば、一対のバレル片23aを電線端末10aの被覆12に加締め圧着させることによって、その被覆12を保持する。
【0020】
ここで示す端子金具20は、端子接続部21と芯線接続部22と被覆保持部23の底部23bとから成る1枚の平板状の片体と、その被覆保持部23の底部23bから突出させた一対のバレル片23aと、を有するものとして成形されている。但し、この端子金具20は、例えば、端子接続部21側と芯線接続部22及び被覆保持部23側とに折り曲げた交差形状に成形するなど、如何様な形状に成形されたものであってもよい。
【0021】
このような端子付き電線1は、以下の製造装置101(
図4)とこれを用いた製造方法で作り出される。
【0022】
この端子付き電線1の製造方法は、芯線接続部22の平面22aと被覆保持部23の底部23bに電線端末10aを載せ置く電線設置工程と、被覆保持部23の一対のバレル片23aを電線端末10aの被覆12に加締め圧着させる電線保持工程と、芯線露出部11aの接合部11bと芯線接続部22の平面22aにおける被接合部22bを超音波接合させる接合工程と、を有する。そして、端子付き電線1の製造装置101は、その電線設置工程及び電線保持工程を実施するための圧着機110と、接合工程を実施するための超音波接合機120と、を備える(
図4)。
【0023】
圧着機110は、被覆保持部23における底部23bと一対のバレル片23aを挟み込んで加圧しながら、この被覆保持部23を電線端末10aの被覆12に加締め圧着させる一対の金型(図示略)を備える。
【0024】
端子金具20は、一方の金型に載せ置かれる。電線端末10aは、この一方の金型に載せ置かれた端子金具20の上に載せ置かれる。他方の金型は、その一方の金型に近づけたり一方の金型から離したりする往復移動が可能な金型であり、その往復移動を実施させる駆動部(図示略)に取り付けられている。この他方の金型は、一方の金型に近づけることで被覆保持部23を電線端末10aの被覆12に加締め圧着させる。
【0025】
電線設置工程では、一方の金型に端子金具20が載せ置かれ、この端子金具20における芯線接続部22の平面22aと被覆保持部23の底部23bに電線端末10aが載せ置かれる。電線保持工程では、他方の金型を一方の金型に近づけながら、この他方の金型で被覆保持部23の一対のバレル片23aを例えば電線端末10aの被覆12に巻き付けながら加締め圧着させる。ここで示す電線設置工程においては、芯線接続部22における被接合部22bの平面22aに芯線露出部11aの接合部11bを載せ置く。そして、電線保持工程においては、芯線露出部11aの接合部11bが芯線接続部22の被接合部22bに載せ置かれた状態で、被覆保持部23を電線端末10aの被覆12に加締め圧着させる。
【0026】
ここでは、その被覆保持部23で電線10を保持している端子金具20に対して芯線露出部11aを超音波接合させる。超音波接合機120は、芯線露出部11aの接合部11bと芯線接続部22の被接合部22bを挟み込んで加圧しながら接合部11bと被接合部22bに超音波振動を加える第1金型121と第2金型122とを備える(
図3)。
【0027】
芯線接続部22の被接合部22bは、第1金型121に載せ置かれる。ここで示す第1金型121は、複数の凹凸から成る接触部121aを有しており、この接触部121aの上に被接合部22bが載せ置かれる(
図3)。その接触部121aは、例えば、第1金型121に施されたローレット加工により成る複数の凹凸である。
【0028】
第2金型122は、第1金型121に近づけたり第1金型121から離したりする往復移動が可能な金型であり、その往復移動を実施させる駆動部(図示略)に取り付けられている。この第2金型122は、第1金型121に近づけることで芯線接続部22の被接合部22bの上の芯線露出部11aの接合部11bに接触し、第1金型121との間で接合部11bと被接合部22bを挟み込んで加圧する。ここで示す第2金型122は、第1金型121の接触部121aと同様の接触部122aを有しており、この接触部122aを芯線露出部11aの接合部11bに接触させる(
図3)。
【0029】
接合工程では、芯線接続部22における被接合部22bの他方の平面が第1金型121に載せ置かれる。この状態で、芯線露出部11aの接合部11bは、芯線接続部22における被接合部22bの平面22aの上に載せ置かれている。よって、この接合工程では、その被接合部22bの他方の平面に接触させた第1金型121と芯線露出部11aの接合部11bに接触させた第2金型122とで被接合部22b及び接合部11bを挟み込んで加圧しながら、第2金型122に印加した超音波振動で被接合部22bと接合部11bを超音波接合させる。超音波接合機120は、超音波発振器(図示略)を備えており、この超音波発振器からの超音波振動を第2金型122に印加させる。
【0030】
ここで、第2金型122には、芯線露出部11aの軸線方向に沿う超音波振動を印加させる。そして、接合工程においては、第1金型121と第2金型122との間で接合部11bに加えられた圧力によって、芯線接続部22の平面22aから起算した芯線11の芯線径分の高さよりも低い位置まで接合部11bを圧縮させる。このため、芯線露出部11aは、接合工程において、電線端末10aの被覆12の端面から接合部11bまでの間で芯線接続部22の平面22aからの高さが徐々に低くなっていく。つまり、接合工程においては、第2金型122が超音波振動の加振方向に往復動しながら接合部11bを押し潰して、芯線露出部11aに被覆12の端面から接合部11bまでの間の傾斜部を作り出す。このため、この接合工程においては、その傾斜部に芯線露出部11aの軸線方向に往復動している第2金型122がぶつかる可能性があり、この傾斜部に第2金型122がぶつかると、この傾斜部の表面の素線13が切断されてしまう虞がある。
【0031】
そこで、芯線露出部11aにおける接合部11bと被覆12の端面との間には、接合工程で第2金型122側に配置させる凹みであり、超音波接合時の接合部11bの圧縮方向と同じ圧縮方向で超音波接合後の接合部11bよりも圧縮させた圧縮凹部14を接合工程に入る前に予め設けておく(
図2)。これにより、端子付き電線1は、芯線露出部11aにおける接合部11bと被覆12の端面との間に、芯線接続部22の平面22aに向けて圧縮させ、接合部11bにおける芯線接続部22の平面22aからの高さよりも低い位置まで凹ませた圧縮凹部14を有することになる(
図1及び
図3)。
【0032】
その圧縮凹部14は、超音波振動の加振方向に往復動している第2金型122を芯線露出部11aにおける接合部11bよりも被覆12側に接触させないよう、芯線露出部11aにおける接合部11bと被覆12の端面との間に、その往復動中の第2金型122を避けることが可能な位置と形状の凹みとして形成される。また、この圧縮凹部14は、1つだけで往復動中の第2金型122を避けることができなければ、複数設ければよい。ここで示す圧縮凹部14は、底面が弧状の1つの溝形状の凹みであり、接合部11bにおける被覆12側の端部に連接させている。
【0033】
この端子付き電線1の製造方法は、その圧縮凹部14を芯線露出部11aに形成する芯線加工工程を有する。そして、端子付き電線1の製造装置101は、その芯線加工工程を実施するための芯線成形機130を備える(
図4)。例えば、芯線加工工程は、電線設置工程を行う前に電線単体のままで実施してもよく、電線保持工程を終えてから接合工程を行う前に端子金具20に保持された状態の電線10に対して実施してもよい。ここでは、電線単体のままで行う芯線加工工程を説明する。
【0034】
芯線成形機130は、芯線露出部11aを挟み込んで加圧しながら当該芯線露出部11aに圧縮凹部14を形成する第1加圧金型131と第2加圧金型132とを備える(
図2)。この芯線成形機130においては、芯線露出部11aを第1加圧金型131に載せ置き、第1加圧金型131と第2加圧金型132を互いに近づけながら、その第2加圧金型132に設けた凸部132aで芯線露出部11aに圧縮凹部14を形成する。その凸部132aは、圧縮凹部14の数に応じて少なくとも1つ設ける。
【0035】
例えば、第1加圧金型131は、芯線露出部11aの外周面に沿う半円弧状の壁面を有しており、この壁面に芯線露出部11aを載せ置く。また、第2加圧金型132は、芯線露出部11aの外周面に接触させる壁面を有しており、この壁面の一部から凸部132aを突出させている。第2加圧金型132は、例えば、その壁面を半円弧状に形成し、凸部132aで芯線露出部11aに圧縮凹部14のみを形成するものであってもよい。また、第2加圧金型132は、凸部132aで芯線露出部11aに圧縮凹部14を形成するだけでなく、例えば、その壁面を平面状に形成し、この壁面で接合部11bを所定位置まで押し潰すものであってもよい。ここで示す第2加圧金型132は、後者の平面状の壁面を有している。また、ここで示す第2加圧金型132は、第1加圧金型131に近づけたり第1加圧金型131から離したりする往復移動が可能な金型であり、その往復移動を実施させる駆動部(図示略)に取り付けられている。
【0036】
芯線加工工程では、第1加圧金型131の半円弧状の壁面に芯線露出部11aを載せ置き、この芯線露出部11aに第2加圧金型132を近づけていく。芯線加工工程では、これに伴い、第1加圧金型131の上の芯線露出部11aに凸部132aから先に第2加圧金型132が接触し、その凸部132aと第1加圧金型131との間で芯線露出部11aを挟み込んで加圧しながら、この凸部132aで芯線露出部11aを押し潰して圧縮凹部14を形成する。
【0037】
従って、本実施形態の電線設置工程では、一方の金型に載せ置かれた端子金具20における芯線接続部22の平面22aに対して、圧縮凹部14を上にして芯線露出部11aを載せ置く。そして、電線保持工程においては、圧縮凹部14を上にしたままで、電線端末10aの被覆12に被覆保持部23を加締め圧着させる。
【0038】
続いて、本実施形態の接合工程では、芯線接続部22の被接合部22bが第1金型121に載せ置かれると、芯線露出部11aの圧縮凹部14が上を向いて第2金型122側に配置される。よって、この接合工程においては、第1金型121と第2金型122で芯線接続部22の被接合部22bと芯線露出部11aの接合部11bを挟み込んで加圧しながら、第2金型122に印加した超音波振動で被接合部22bと接合部11bを超音波接合させる。その際、この接合工程においては、超音波振動の加振方向に往復動している第2金型122が芯線露出部11aにおける接合部11bと被覆12の端面との間にぶつからないので、芯線露出部11aにおける素線13の素線切れの発生を抑止することができる。従って、この接合工程においては、第1金型121と第2金型122とによる被接合部22bと接合部11bに対する加圧力を従来よりも高めることができるので、被接合部22bと接合部11bの間及び接合部11bの素線13の間をより密着させた超音波接合が可能になる。これ故、この接合工程においては、超音波接合に要する時間を従来よりも短くできる。このように、本実施形態の端子付き電線1は、素線切れの発生が抑えられたものとして、この接合工程を経て従来よりも短時間で作り出される。
【符号の説明】
【0039】
1 端子付き電線
10 電線
11 芯線
11a 芯線露出部
11b 接合部
12 被覆
13 素線
14 圧縮凹部
20 端子金具
22 芯線接続部
22a 平面
22b 被接合部