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特許7418490リチウム複合酸化物およびこれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】リチウム複合酸化物およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20240112BHJP
   C01G 53/04 20060101ALI20240112BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240112BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240112BHJP
【FI】
H01M4/525
C01G53/04
H01M4/36 C
H01M4/505
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022069301
(22)【出願日】2022-04-20
(62)【分割の表示】P 2020171235の分割
【原出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2022106805
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0125099
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517113750
【氏名又は名称】エコプロ ビーエム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECOPRO BM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】チェ ムン ホ
(72)【発明者】
【氏名】スー ジュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ジン キョン
(72)【発明者】
【氏名】リー ジュン ハン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ミ ヒエ
(72)【発明者】
【氏名】チェ スン ウー
(72)【発明者】
【氏名】チェ ワン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ベ ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジン オ
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-063004(JP,A)
【文献】特開2018-014326(JP,A)
【文献】特開2008-016236(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043190(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/171125(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 53/04
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムの吸蔵および放出が可能で少なくともニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)を含む一次粒子、および、前記一次粒子が凝集した二次粒子、および、
前記一次粒子間の界面または/および前記二次粒子の表面の少なくとも一部をカバーするコーティング層を含み、
リチウムを除く金属元素中のニッケルのモル分率が0.60以上であるリチウム複合酸化物であって、
前記コーティング層は、少なくとも1つの、前記二次粒子の表面部から前記二次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示す酸化物を含み、
前記酸化物は、ボロン含有酸化物、または、ボロン含有酸化物と下記化学式2で表される酸化物とからなり、
LiaM3bOc [化学式2]
(ここで、
M3は、Ni、Mn、Co、Fe、Cu、Nb、Mo、Ti、Al、Cr、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、P、Eu、Sm、W、Ce、V、Ba、Ta、Sn、Hf、Ce、GdおよびNdから選ばれる少なくとも1つであり、
0≦a≦6、0≦b≦8、2≦c≦13であり、
ただし、aおよびbがいずれも0である場合は除かれる。)
R-3m空間群を有する六方格子により定義されるXRDピークにおける(104)ピークの半値幅(FWHM;deg.,2θ)の範囲が下記数式1で表される、リチウム複合酸化物。
-0.025≦FWHM(104)-{0.04+(q-0.6)×0.25}≦0.025 [数式1]
前記数式1で、qは、前記一次粒子内のリチウムを除いた金属元素の総モル数に対するニッケルの比率(molar ratio)であり、前記FWHM(104)は、下記の数式2で表され、
FWHM(104)=FWHMLi(104)-FWHMSi(220) [数式2]
前記数式2で、
前記FWHMLi(104)は、リチウム複合酸化物のXRD測定値で44.5±1.0°(2θ)で観測される(104)ピーク(peak)の半値幅を意味し、
前記FWHMSi(220)は、Si粉末のXRD測定値で47.3±1.0°(2θ)付近で観測される(220)ピーク(peak)の半値幅を意味する。
【請求項2】
前記一次粒子は、下記の化学式1で表される、請求項1に記載のリチウム複合酸化物。
LiNi1-(x+y+z)CoM1M2 [化学式1]
(ここで、
M1は、Mnであり、
M2は、B、Ba、Ce、Hf、Ta、Cr、F、Mg、Al、Cr、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr、Ge、Nd、GdおよびCuから選ばれる少なくとも1つであり、
M1とM2は、互いに異なる元素であり、
M2は前記一次粒子にドーパントとして含まれ、
0.5≦w≦1.5、0x≦0.40、0y≦0.20、0≦z≦0.20、x+y+z≦0.40である。)
【請求項3】
下記の数式3で表される前記一次粒子内の金属元素のモル分率(molar ratio)が0.93~0.95であるとき、前記FWHM(104)は、0.098°(2θ)~0.152°(2θ)である、請求項2に記載のリチウム複合酸化物。
モル分率(molar ratio)=Ni(mol)/(Ni(mol)+Co(mol)+M1(mol)) [数式3]
【請求項4】
下記の数式3で表される前記一次粒子内の金属元素のモル分率(molar ratio)が0.87~0.89であるとき、前記FWHM(104)は、0.083°(2θ)~0.137°(2θ)である、請求項2に記載のリチウム複合酸化物。
モル分率(molar ratio)=Ni(mol)/(Ni(mol)+Co(mol)+M1(mol)) [数式3]
【請求項5】
下記の数式3で表される前記一次粒子内の金属元素のモル分率(molar ratio)が0.79~0.81であるとき、前記FWHM(104)は、0.063°(2θ)~0.117°(2θ)である、請求項2に記載のリチウム複合酸化物。
モル分率(molar ratio)=Ni(mol)/(Ni(mol)+Co(mol)+M1(mol)) [数式3]
【請求項6】
前記リチウム複合酸化物のXRD測定値で44.5±1.0°(2θ)で観測される(104)ピーク(peak)の半値幅(FWHMLi(104))の範囲が下記の数式4で表される、請求項1に記載のリチウム複合酸化物。
-0.025≦FWHMLi(104)-{0.12+(q-0.6)×0.25}≦0.025 [数式4]
【請求項7】
前記ボロン含有酸化物が、下記化学式2-1で表される、請求項1に記載のリチウム複合酸化物。
LiM4b’ [化学式2-1]
(ここで、
M4は、Ni、Mn、Co、Fe、Cu、Nb、Mo、Ti、Al、Cr、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、P、Eu、Sm、W、Ce、V、Ba、Ta、Sn、Hf、Ce、GdおよびNdから選ばれる少なくとも1つであり、
0≦a≦6、0b≦8、0≦b’≦8、2≦c≦13である。
【請求項8】
前記コーティング層は、
前記化学式2で表される酸化物(前記化学式2-1で表されるボロン含有酸化物を除く)の少なくとも1つが存在する第1酸化物層、および
前記化学式2-1で表される前記ボロン含有酸化物が存在する第2酸化物層を含み、
前記第1酸化物層は前記一次粒子間の界面または/および前記二次粒子の表面の少なくとも一部をカバーし、
前記第2酸化物層は少なくとも前記第1酸化物層の表面の一部および/または前記第1酸化物層によりカバーされない一部をカバーする、
請求項7に記載のリチウム複合酸化物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のリチウム複合酸化物を含む正極が使用されたリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボロン含有酸化物が存在するコーティング層を含むリチウム複合酸化物およびこれを含むリチウム二次電池に関する。より具体的に、本発明は、ボロン含有酸化物が存在するコーティング層を含むリチウム複合酸化物のうちニッケルのモル分率(molar ratio)とR-3m空間群を有する六方格子により定義されるXRDピークにおける(104)ピークの半値幅(FWHM;deg.,2θ)が所定の相関関係を形成することによって、寿命および容量特性が向上したことを特徴とするリチウム複合酸化物およびこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、正極と負極に電気化学反応が可能な物質を使用することによって、電力を貯蔵するものである。このような電池のうち代表的な例としては、正極および負極でリチウムイオンがインターカレーション/デインターカレーションされるときの化学電位(chemical potential)の差異によって電気エネルギーを貯蔵するリチウム二次電池がある。
【0003】
前記リチウム二次電池は、リチウムイオンの可逆的なインターカレーション/デインターカレーションが可能な物質を正極と負極活物質として使用し、前記正極と負極との間に有機電解液またはポリマー電解液を充填させて製造する。
【0004】
リチウム二次電池の正極活物質としては、リチウム複合酸化物が使用されており、その例として、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiMnO等の複合酸化物が研究されている。
【0005】
前記正極活物質のうちLiCoOは、寿命特性および充放電効率に優れていて、最も多く使用されているが、原料として使用されるコバルトの資源的限界によって高価なので、価格競争力に限界があるという短所を有している。
【0006】
LiMnO、LiMn等のリチウムマンガン酸化物は、熱的安全性に優れ、価格が安いという長所があるが、容量が小さくて、高温特性が悪いという問題点がある。また、LiNiO系正極活物質は、高い放電容量の電池特性を示しているが、Liと遷移金属との間のカチオンミキシング(cation mixing)問題に起因して合成が難しく、これにより、レート(rate)特性に大きな問題点がある。
【0007】
また、このようなカチオンミキシングの深化程度に応じて多量のLi副産物が発生することとなり、これらのLi副産物の大部分は、LiOHおよびLiCOの化合物からなるので、正極ペーストの製造時にゲル(gel)化する問題点と電極の製造後に充放電の進行によるガス発生の原因となる。残留のLiCOは、セルのスウェリング現象を増加させて、サイクルを減少させると共に、バッテリーが膨らむ原因となる。
【0008】
このような短所を補完するために、二次電池の正極活物質としてNi含量が60%以上であるNi-rich正極活物質の需要が増加し始めた。しかしながら、このようなNi-rich正極活物質は、高容量特性を示す反面、正極活物質のうちNi含量が増加するにしたがってLi/Niカチオンミキシングによる構造的不安定性がもたらされる問題点がある。このような構造的不安定性は、マイクロクラック(micro-crack)による内部粒子の物理的断絶を引き起こしたり、電解質枯渇の問題を引き起こしたりすることがある。この場合、高温だけでなく、常温でもリチウム二次電池が急激に劣化することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0069334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
リチウム二次電池の市場では、電気自動車用リチウム二次電池の成長が市場の牽引役としての役割をしている中で、リチウム二次電池に使用される正極活物質の需要もやはり持続的に変化している。
【0011】
例えば、従来には、安全性の確保等の観点からLFPを使用したリチウム二次電池が主に使用されてきたが、最近になってLFPに比べて重量当たりエネルギー容量が大きいニッケル系リチウム複合酸化物の使用が拡大する傾向にある。
【0012】
一方、ニッケル系リチウム複合酸化物のうちNi rich正極活物質の寿命劣化の原因と知られたマイクロクラックの発生は、正極活物質の一次粒子のサイズに関連したものと知られている。具体的に、一次粒子のサイズが小さいほど粒子の収縮/膨張の繰り返しによるマイクロクラックの発生が抑制され得る。しかしながら、一次粒子のサイズが減少すると、放電容量も一緒に減少し得る。また、正極活物質内ニッケルの含量が増加する場合、一次粒子のサイズが小さくなって寿命特性が低下する問題点が発生することがある。
【0013】
このような問題点に対する分析を通じて、本発明は、ボロン含有酸化物が存在するコーティング層を含むリチウム複合酸化物のうちニッケルのモル分率(molar ratio)とR-3m空間群を有する六方格子により定義されるXRDピークにおける(104)ピークの半値幅(FWHM;deg.,2θ)が所定の相関関係を形成するように誘導することによって、寿命および容量特性が向上した正極活物質用リチウム複合酸化物を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、本願で定義されたリチウム複合酸化物を含む正極が使用されたリチウム二次電池を提供することにある。
【0015】
本発明の目的は、以上で言及した目的(例えば、電気自動車用)に制限されず、言及されていない本発明の他の目的および長所は、下記の説明により理解され得、本発明の実施例によりさらに明確に理解されるだろう。また、本発明の目的および長所は、特許請求範囲に示す手段およびその組合せにより実現され得ることを容易に知ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様によれば、リチウムの吸蔵および放出が可能な一次粒子および前記一次粒子が凝集した二次粒子を含むリチウム複合酸化物が提供され得る。
【0017】
ここで、前記リチウム複合酸化物は、前記一次粒子間の界面および前記二次粒子の表面から選ばれる領域のうち少なくとも一部をカバーするボロン(B)含有酸化物が存在するコーティング層を含むことができる。
【0018】
また、前記リチウム複合酸化物は、R-3m空間群を有する六方格子により定義されるXRDピークにおける(104)ピークの半値幅(FWHM;deg.,2θ)の範囲が下記の数式1で表される。
【0019】
-0.025≦FWHM(104)-{0.04+(q-0.6)×0.25}≦0.025 [数式1]
【0020】
前記数式1で、qは、前記一次粒子内リチウムを除いた金属元素の総モル数に対するニッケルの比率(molar ratio)であり、前記FWHM(104)は、下記の数式2で表され、
【0021】
FWHM(104)=FWHMLi(104)-FWHMSi(220) [数式2]
【0022】
前記数式2で、前記FWHMLi(104)は、前記リチウム複合酸化物のXRD測定値で44.5±1.0°(2θ)で観測される(104)ピーク(peak)の半値幅を意味し、前記FWHMSi(220)は、Si粉末のXRD測定値で47.3±1.0°(2θ)付近で観測される(220)ピーク(peak)の半値幅を意味する。
【0023】
一実施例において、前記一次粒子は、下記の化学式1で表される。
【0024】
LiNi1-(x+y+z)CoM1M2 [化学式1]
【0025】
ここで、M1は、MnおよびAlから選ばれる少なくとも1つであり、M2は、Mn、B、Ba、Ce、Hf、Ta、Cr、F、Mg、Al、Cr、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr、Ge、Nd、GdおよびCuから選ばれる少なくとも1つであり、M1とM2は、互いに異なる元素であり、0.5≦w≦1.5、0≦x≦0.50、0≦y≦0.20、0≦z≦0.20である。
【0026】
他の実施例において、前記コーティング層は、下記の化学式2で表される少なくとも1つの酸化物をさらに含むことができる。
【0027】
LiM3 [化学式2]
【0028】
ここで、M3は、Ni、Mn、Co、Fe、Cu、Nb、Mo、Ti、Al、Cr、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、B、P、Eu、Sm、W、Ce、V、Ba、Ta、Sn、Hf、Ce、GdおよびNdから選ばれる少なくとも1つであり、0≦a≦6、0≦b≦8、2≦c≦13である。
【0029】
また、本発明の他の態様によれば、本願で定義されたリチウム複合酸化物を含む正極が使用されたリチウム二次電池が提供され得る。
【発明の効果】
【0030】
上述したように、ニッケル系リチウム複合酸化物のうちNi rich正極活物質の場合、一次粒子のサイズが小さくなるほど一次粒子内マイクロクラックの発生可能性が減少し得るが、これと共に放電容量も減少する問題がある。
【0031】
しかしながら、本発明によれば、ボロン含有酸化物が存在するコーティング層を含むリチウム複合酸化物のうちモル分率(molar ratio)とR-3m空間群を有する六方格子により定義されるXRDピークにおける(104)ピークの半値幅(FWHM;deg.,2θ)が所定の相関関係を形成するように誘導することによって、一次粒子内マイクロクラックの発生可能性を減らすと同時に、容量特性もやはり向上させることができるという利点がある。
【0032】
上述した効果と共に、本発明の具体的な効果は、以下に発明を実施するための具体的な事項を説明しつつ、一緒に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、実施例1-1~1-4並びに比較例1-1および1-2で製造されたリチウム複合酸化物に対するXRD分析結果を示すものである。
図2図2は、実施例1-1および比較例1-1で製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析結果を示すものである。
図3図3は、実施例2-1および比較例2-1で製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析結果を示すものである。
図4図4は、実施例3-1および比較例3-1で製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析結果を示すものである。
図5図5は、実施例3-1および比較例3-1で製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析結果を示すものである。
図6図6は、実施例4-1および比較例4-1で製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析結果を示すものである。
図7図7は、実施例4-1および比較例4-1で製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析結果を示すものである。
図8図8は、実施例1-1~1-4並びに比較例1-1および1-2で製造されたリチウム複合酸化物に対する容量の測定結果を示すものである。
図9図9は、実施例1-1~1-4並びに比較例1-1および1-2で製造されたリチウム複合酸化物に対する寿命特性の測定結果を示すものである。
図10図10は、実施例2-1~2-4並びに比較例2-1および2-2で製造されたリチウム複合酸化物に対する容量の測定結果を示すものである。
図11図11は、実施例2-1~2-4並びに比較例2-1および2-2で製造されたリチウム複合酸化物に対する寿命特性の測定結果を示すものである。
図12図12は、実施例3-1~3-4並びに比較例3-1および3-2で製造されたリチウム複合酸化物に対する容量の測定結果を示すものである。
図13図13は、実施例3-1~3-4並びに比較例3-1および3-2で製造されたリチウム複合酸化物に対する寿命特性の測定結果を示すものである。
図14図14は、実施例4-1~4-4並びに比較例4-1および4-2で製造されたリチウム複合酸化物に対する容量の測定結果を示すものである。
図15図15は、実施例4-1~4-4並びに比較例4-1および4-2で製造されたリチウム複合酸化物に対する寿命特性の測定結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明をさらに容易に理解するために、便宜上、特定の用語を本願に定義する。本願で別途定義しない限り、本発明に使用された科学用語および技術用語は、当該技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解される意味を有する。また、文脈上、特に指定しない限り、単数形態の用語は、それの複数形態も含むものであり、複数形態の用語は、それの単数形態をも含むものと理解されなければならない。
【0035】
以下、本発明によるリチウム複合酸化物および前記リチウム複合酸化物を含む正極が使用されたリチウム二次電池についてさらに詳細に説明することとする。
【0036】
リチウム複合酸化物
本発明の一態様によれば、リチウムの吸蔵および放出が可能な一次粒子および前記一次粒子が凝集した二次粒子を含むリチウム複合酸化物が提供される。前記リチウム複合酸化物は、リチウム二次電池の正極活物質としての役割をすることができる。
【0037】
ここで、前記一次粒子は、1つの結晶粒(grain or crystallite)を意味し、二次粒子は、複数の一次粒子が凝集して形成された凝集体を意味する。前記一次粒子は、棒形状、楕円形状および/または不定形形状を有し得る。前記二次粒子を構成する前記一次粒子の間には、空隙および/または結晶粒界(grain boundary)が存在し得る。
【0038】
例えば、前記一次粒子は、前記二次粒子の内部で隣り合った一次粒子から離隔して内部空隙を形成することができる。また、前記一次粒子は、隣り合った一次粒子と互いに接して結晶粒界を形成せず、内部空隙と接することによって、前記二次粒子の内部に存在する表面を形成することができる。一方、前記二次粒子の最表面に存在する前記一次粒子が外気に露出した面は、前記二次粒子の表面を形成することとなる。
【0039】
ここで、前記一次粒子の平均長軸長は、0.1μm~5μm、好ましくは0.1μm~2μmの範囲内に存在することによって、本発明の多様な実施例による正極活物質を使用して製造された正極の最適密度を具現することができる。また、二次粒子の平均粒径は、凝集した一次粒子の数によって変わることができるが、1μm~30μmであり得る。
【0040】
一実施例において、前記一次粒子は、下記の化学式1で表される。
【0041】
LiNi1-(x+y+z)CoM1M2 [化学式1]
【0042】
ここで、M1は、MnおよびAlから選ばれる少なくとも1つであり、M2は、Mn、B、Ba、Ce、Hf、Ta、Cr、F、Mg、Al、Cr、V、Ti、Fe、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、P、Sr、Ge、Nd、GdおよびCuから選ばれる少なくとも1つであり、M1とM2は、互いに異なる元素であり、0.5≦w≦1.5、0≦x≦0.50、0≦y≦0.20、0≦z≦0.20である。
【0043】
前記リチウム複合酸化物は、前記一次粒子(例えば、前記一次粒子間の界面)および/または前記一次粒子が凝集して形成された二次粒子の表面のうち少なくとも一部をカバーするコーティング層を含むことができる。
【0044】
例えば、前記コーティング層は、前記一次粒子の露出した表面のうち少なくとも一部をカバーするように存在し得る。特に、前記コーティング層は、前記二次粒子の最外郭に存在する前記一次粒子の露出した表面のうち少なくとも一部をカバーするように存在し得る。
【0045】
これに伴い、前記コーティング層は、前記一次粒子および/または前記一次粒子が凝集して形成された前記二次粒子の表面を連続的または不連続的にコーティングする層として存在し得る。前記コーティング層が不連続的に存在する場合、アイランド(island)形態で存在し得る。
【0046】
また、場合によって、前記酸化物は、前記一次粒子間の界面および前記二次粒子の表面のうち少なくとも一部だけでなく、前記二次粒子の内部に形成された内部空隙にも存在し得る。
【0047】
このように存在するコーティング層は、正極活物質の物理的および電気化学的特性の向上に寄与することができる。
【0048】
この際、前記コーティング層は、前記一次粒子および/または前記一次粒子が凝集して形成された前記二次粒子と境界を形成しない固溶体の形態で存在することもできるが、必ずそのようなわけではない。
【0049】
前記コーティング層には、ボロン(B)含有酸化物が存在し得る。すなわち、前記コーティング層は、ボロン含有酸化物が存在する領域として定義され得る。
【0050】
また、他の実施例において、前記コーティング層には、下記の化学式2で表される少なくとも1つの酸化物がさらに存在することもできる。
【0051】
LiM3 [化学式2]
【0052】
ここで、M3は、Ni、Mn、Co、Fe、Cu、Nb、Mo、Ti、Al、Cr、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、B、P、Eu、Sm、W、Ce、V、Ba、Ta、Sn、Hf、Ce、GdおよびNdから選ばれる少なくとも1つであり、0≦a≦6、0≦b≦8、2≦c≦13である。
【0053】
前記コーティング層に化学式2で表される少なくとも1つの酸化物がさらに存在する場合、前記酸化物は、ボロン含有酸化物とは異なる酸化物であり得る。
【0054】
前記化学式2で表される酸化物は、リチウムとM3で表される元素が複合化した酸化物であるか、M3の酸化物であって、前記酸化物は、例えば、Li、LiZr、LiTi、LiNi、LiCo、LiAl、Co、Al、W、ZrまたはTi等であり得るが、上述した例は、理解を助けるために便宜上記載したものに過ぎず、本願で定義された前記酸化物は、上述した例に制限されない。
【0055】
他の実施例において、前記化学式2で表される酸化物は、リチウムとM3で表される少なくとも2種の元素が複合化した酸化物であるか、リチウムとM#で表される少なくとも2種の元素が複合化した酸化物をさらに含むことができる。リチウムとM3で表される少なくとも2種の元素が複合化した酸化物は、例えば、Li(W/Ti)、Li(W/Zr)、Li(W/Ti/Zr)、Li(W/Ti/B)等であり得るが、必ずこれに制限されるものではない。
【0056】
この際、前記ボロン含有酸化物は、下記の化学式2-1で表される。
【0057】
LiM4b’ [化学式2-1]
【0058】
ここで、M4は、Ni、Mn、Co、Fe、Cu、Nb、Mo、Ti、Al、Cr、Zr、Zn、Na、K、Ca、Mg、Pt、Au、P、Eu、Sm、W、Ce、V、Ba、Ta、Sn、Hf、Ce、GdおよびNdから選ばれる少なくとも1つであり、0≦a≦6、0≦b≦8、0≦b’≦8、2≦c≦13である。
【0059】
前記ボロン含有酸化物の非制限的な例としては、B、LiO-B、LiBO、Li、Li、Li13等がある。
【0060】
また、前記コーティング層は、1つの層内ボロンを含む酸化物と化学式2で表される酸化物が同時に存在したり、ボロンを含む酸化物と化学式2で表される酸化物がそれぞれ別個の層に存在したりする形態であり得る。
【0061】
例えば、前記コーティング層は、前記化学式2で表される少なくとも1つの酸化物を含む第1酸化物層と、ボロン含有酸化物を含む第2酸化物層とを含むことができる。
【0062】
この際、前記第1酸化物層は、前記二次粒子の最外郭に存在する前記一次粒子の露出した表面(すなわち、前記二次粒子の表面)のうち少なくとも一部をカバーするように存在し得る。また、前記第2酸化物層は、前記第1酸化物層によりカバーされない前記一次粒子の露出した表面および前記第1酸化物層の表面のうち少なくとも一部をカバーするように存在し得る。
【0063】
特に、前記第2酸化物層は、前記第1酸化物層によりカバーされない前記一次粒子の露出した表面および前記第1酸化物層の表面を全体的にカバーしないように存在することによって、リチウムイオン伝導の効率を向上させることができる。
【0064】
上述したように、本実施例によるリチウム複合酸化物は、前記一次粒子(例えば、前記一次粒子間の界面)および/または前記一次粒子が凝集して形成された二次粒子の表面のうち少なくとも一部をカバーするコーティング層を含むことによって、構造的な安定性が高くなりえる。また、このようなリチウム複合酸化物をリチウム二次電池用正極活物質として使用することによって、寿命および容量特性を向上させることができる。
【0065】
また、前記コーティング層は、前記リチウム複合酸化物内残留リチウムを低減させると同時に、リチウムイオンの移動経路(diffusion path)として作用することによって、リチウム二次電池の効率特性を向上させるのに影響を与えることができる。
【0066】
追加的に、前記酸化物は、前記二次粒子の表面部から前記二次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示すことができる。これに伴い、前記酸化物の濃度は、前記二次粒子の最表面から前記二次粒子の中心部に向かって減少し得る。
【0067】
上述したように、前記酸化物が前記二次粒子の表面部から前記二次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示すことによって、前記正極活物質の表面に存在する残留リチウムを効果的に減少させて、未反応の残留リチウムによる副反応を未然に防止することができる。また、前記酸化物により前記正極活物質の表面内側領域での結晶性が低くなるのを防止することができる。また、電気化学反応中に前記酸化物により正極活物質の全体的な構造が崩壊されるのを防止することができる。
【0068】
このように、リチウムの吸蔵および放出が可能な一次粒子および前記一次粒子が凝集した二次粒子を含み、前記一次粒子間の界面および前記二次粒子の表面から選ばれる領域のうち少なくとも一部をカバーするボロン(B)含有酸化物が存在するコーティング層を含むリチウム複合酸化物は、下記の数式1で表される半値幅(FWHM;full width at half maximum)の範囲を有し得る。
【0069】
この際、前記半値幅は、R-3m空間群を有する六方格子により定義されるXRDピークにおける(104)ピークの半値幅(FWHM;deg.,2θ)を示す。
【0070】
-0.025≦FWHM(104)-{0.04+(q-0.6)×0.25}≦0.025 [数式1]
【0071】
前記数式1で、qは、前記一次粒子内リチウムを除いた金属元素の総モル数に対するニッケルの比率(molar ratio)であり、前記FWHM(104)は、下記の数式2で表され、
【0072】
FWHM(104)=FWHMLi(104)-FWHMSi(220) [数式2]
【0073】
前記数式2で、前記FWHMLi(104)は、前記リチウム複合酸化物のXRD測定値で44.5±1.0°(2θ)で観測される(104)ピーク(peak)の半値幅を意味し、前記FWHMSi(220)は、Si粉末のXRD測定値で47.3±1.0°(2θ)付近で観測される(220)ピーク(peak)の半値幅を意味する。
【0074】
前記の数式1を参考にすると、本発明によるリチウム複合酸化物は、R-3m空間群を有する六方格子により定義されるXRDピークにおける(104)ピークの半値幅(FWHM)の範囲が、前記一次粒子内Niのモル分率(molar ratio)と一定の相関関係を維持することを特徴とする。
【0075】
特に、前記の数式1および数式2を参考にすると、本発明によるリチウム複合酸化物の半値幅(FWHM)は、XRD分析時に半値幅(FWHM)に対する測定値が分析装備のコンディション、X-rayソース、測定条件等多様な変数によって偏差が発生するので、標準試料としてSi powderの半値幅(FWHM)で補正されたことを特徴とする。
【0076】
一実施例において、前記リチウム複合酸化物は、下記の数式3で表される前記一次粒子内の金属元素のモル分率(molar ratio)が0.93~0.95であるとき、前記FWHM(104)は、0.098°(2θ)~0.152°(2θ)であり得る。
【0077】
モル分率(molar ratio)=Ni(mol)/(Ni(mol)+Co(mol)+M1(mol)) [数式3]
【0078】
ここで、数式3で計算される前記一次粒子内の金属元素のモル分率(molar ratio)は、数式1のqに対応する値であり得る。
【0079】
下記の表1は、本発明の多様な実施例によるリチウム複合酸化物のうち一次粒子内数式3で計算されたモル分率の範囲によって変わるFWHM(104)の範囲を示した。
【0080】
【表1】
【0081】
また、この際、前記リチウム複合酸化物のXRD測定値で44.5±1.0°(2θ)で観測される(104)ピーク(peak)の半値幅(FWHMLi(104))の範囲が下記の数式4で表される。
【0082】
-0.025≦FWHMLi(104)-{0.12+(q-0.6)×0.25}≦0.025 [数式4]
【0083】
上述したように、本発明によれば、ボロン含有酸化物が存在するコーティング層を含むリチウム複合酸化物のうちモル分率(molar ratio)とR-3m空間群を有する六方格子により定義されるXRDピークにおける(104)ピークの半値幅(FWHM)が前記の表1に記載された相関関係を形成することによって、一次粒子内マイクロクラックの発生可能性を減らすと同時に、容量特性もやはり向上させることができる。
【0084】
リチウム二次電池
本発明の他の態様によれば、正極集電体と、前記正極集電体上に形成された正極活物質層とを含む正極が提供され得る。ここで、前記正極活物質層は、正極活物質として、上述した本発明の多様な実施例によるリチウム複合酸化物を含むことができる。
【0085】
したがって、リチウム複合酸化物に対する具体的な説明を省略し、以下では、残りの前述しない構成のみについて説明することとする。また、以下では、便宜上、上述したリチウム複合酸化物を正極活物質と称することとする。
【0086】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えばステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀等で表面処理したもの等が使用され得る。また、前記正極集電体は、通常、3~500μmの厚みを有し得、前記集電体の表面上に微細な凹凸を形成して、正極活物質の接着力を高めることもできる。例えばフィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体等多様な形態で使用され得る。
【0087】
前記正極活物質層は、前記正極活物質と共に、導電材および必要に応じて選択的にバインダーを含む正極スラリー組成物を前記正極集電体に塗布して製造され得る。
【0088】
この際、前記正極活物質は、正極活物質層の総重量に対して80~99wt%、より具体的には、85~98.5wt%の含量で含まれ得る。上記した含量範囲で含まれるとき、優れた容量特性を示すことができるが、必ずこれに制限されるものではない。
【0089】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず、電子伝導性を有するものであれば、特別な制限なしに使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛等の黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維等の炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体等の導電性高分子等が挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が使用され得る。前記導電材は、正極活物質層の総重量に対して0.1~15wt%で含まれ得る。
【0090】
前記バインダーは、正極活物質粒子間の付着および正極活物質と集電体との接着力を向上させる役割をする。具体的な例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体等が挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が使用され得る。前記バインダーは、正極活物質層の総重量に対して0.1~15wt%で含まれ得る。
【0091】
前記正極は、上記した正極活物質を利用することを除いて、通常の正極の製造方法により製造され得る。具体的に、上記した正極活物質および選択的に、バインダーおよび導電材を溶媒中に溶解または分散させて製造した正極スラリー組成物を正極集電体上に塗布した後、乾燥および圧延することによって製造することができる。
【0092】
前記溶媒としては、当該技術分野において一般的に使用される溶媒であってもよく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)または水等が挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が使用され得る。前記溶媒の使用量は、スラリーの塗布厚み、製造収率を考慮して前記正極活物質、導電材およびバインダーを溶解または分散させ、以後、正極の製造のための塗布時に優れた厚み均一度を示すことができる粘度を有するようにする程度であれば十分である。
【0093】
また、他の実施例において、前記正極は、前記正極スラリー組成物を別の支持体上にキャストした後、該支持体から剥離して得られたフィルムを正極集電体上にラミネーションすることによって製造されることもできる。
【0094】
また、本発明のさらに他の態様によれば、上述した正極を含む電気化学素子が提供され得る。前記電気化学素子は、具体的に電池、キャパシタ等であってもよく、より具体的には、リチウム二次電池であってもよい。
【0095】
前記リチウム二次電池は、具体的に、正極と、前記正極と対向して位置する負極と、前記正極と前記負極との間に介在される分離膜および電解質とを含むことができる。ここで、前記正極は、上記で説明したことと同一なので、便宜上、具体的な説明を省略し、以下では、前述しない残りの構成のみについて具体的に説明する。
【0096】
前記リチウム二次電池は、前記正極、前記負極および前記分離膜の電極組立体を収容する電池容器および前記電池容器を密封する密封部材を選択的にさらに含むことができる。
【0097】
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に位置する負極活物質層とを含むことができる。
【0098】
前記負極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく、高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀等で表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金等が使用され得る。また、前記負極集電体は、通常、3μm~500μmの厚みを有し得、正極集電体と同様に、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して、負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体等多様な形態で使用され得る。
【0099】
前記負極活物質層は、前記負極活物質と共に、導電材および必要に応じて選択的にバインダーを含む負極スラリー組成物を前記負極集電体に塗布して製造され得る。
【0100】
前記負極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物が使用され得る。具体的な例としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素等の炭素質材料;Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金またはAl合金等リチウムと合金化が可能な金属質化合物;SiOβ(0<β<2)、SnO、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物のようにリチウムをドープおよび脱ドープし得る金属酸化物;またはSi-C複合体またはSn-C複合体のように、前記金属質化合物と炭素質材料を含む複合物等が挙げられ、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用され得る。また、前記負極活物質として金属リチウム薄膜が使用されることもできる。また、炭素材料は、低結晶性炭素および高結晶性炭素等がすべて使用され得る。低結晶性炭素としては、軟化炭素(soft carbon)および硬化炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては、無定形、板状、鱗片状、球形状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、炭素微小球体(meso-carbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)および石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)等の高温焼成炭素が代表的である。
【0101】
前記負極活物質は、負極活物質層の全体重量を基準として80~99wt%で含まれ得る。
【0102】
前記バインダーは、導電材、活物質および集電体間の結合に助力する成分であって、通常、負極活物質層の全体重量を基準として0.1~10wt%で添加され得る。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの多様な共重合体等が挙げられる。
【0103】
前記導電材は、負極活物質の導電性をさらに向上させるための成分であって、負極活物質層の全体重量を基準として10wt%以下、好ましくは5wt%以下で添加され得る。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛等の黒鉛;アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維等の導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末等の金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体等の導電性素材等が使用され得る。
【0104】
一実施例において、前記負極活物質層は、負極集電体上に負極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材を溶媒中に溶解または分散させて製造した負極スラリー組成物を塗布し乾燥することによって製造されたり、または前記負極スラリー組成物を別の支持体上にキャストした後、該支持体から剥離して得られたフィルムを負極集電体上にラミネーションされたりすることによって製造され得る。
【0105】
また、他の実施例において、前記負極活物質層は、負極集電体上に負極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材を溶媒中に溶解または分散させて製造した負極スラリー組成物を塗布し乾燥したり、または前記負極スラリー組成物を別の支持体上にキャストした後、該支持体から剥離して得られたフィルムを負極集電体上にラミネーションしたりすることによって製造されることもできる。
【0106】
一方、前記リチウム二次電池において、分離膜は、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常、リチウム二次電池において分離膜として使用されるものであれば、特別な制限なしに使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗でありかつ電解液含浸能力に優れていることが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体等のようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が使用され得る。また、通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等からなる不織布が使用されることもできる。また、耐熱性または機械的強度の確保のためにセラミック成分または高分子物質が含まれたコートされた分離膜が使用されることもでき、選択的に単層または多層構造で使用され得る。
【0107】
また、本発明において使用される電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル状高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質等が挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0108】
具体的に、前記電解質は、有機溶媒およびリチウム塩を含むことができる。
【0109】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をすることができるものであれば、特別な制限なしに使用され得る。具体的に、前記有機溶媒としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、ε-カプロラクトン(ε-caprolactone)等のエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)等のエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)等のケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)等の芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate、MEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)等のカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;R-CN(Rは、炭素数2~20の直鎖状、分岐状または環状構造の炭化水素基であり、二重結合の芳香環またはエーテル結合を含むことができる)等のニトリル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;1,3-ジオキソラン等のジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類等が使用され得る。これらの中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度および高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネート等)と、低粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネート等)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、約1:1~約1:9の体積比で混合して使用することが、電解液の性能が優秀に現れることができる。
【0110】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池において使用されるリチウムイオンを提供できる化合物であれば、特別な制限なしに使用され得る。具体的に前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAl0、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiI、またはLiB(C等が使用され得る。前記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0Mの範囲内で使用することが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれる場合、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0111】
前記電解質には、前記電解質構成成分の他にも、電池の寿命特性の向上、電池容量減少の抑制、電池の放電容量の向上等を目的として例えば、ジフルオロエチレンカーボネート等のようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウム等の添加剤が1種以上さらに含まれることもできる。この際、前記添加剤は、電解質の総重量に対して0.1~5wt%で含まれ得る。
【0112】
上記のように、本発明による正極活物質を含むリチウム二次電池は、優れた放電容量、出力特性および寿命特性を安定的に示すので、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ等の携帯用機器、およびハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)等の電気自動車分野等に有用である。
【0113】
本発明によるリチウム二次電池の外形は、特別な制限がないが、缶を使用した円筒形、角形、パウチ(pouch)形またはコイン(coin)形等になり得る。また、リチウム二次電池は、小型デバイスの電源として使用される電池セルに使用され得ると共に、多数の電池セルを含む中大型電池モジュールに単位電池としても好ましく使用され得る。
【0114】
本発明のさらに他の態様によれば、前記リチウム二次電池を単位セルとして含む電池モジュールおよび/またはこれを含む電池パックが提供され得る。
【0115】
前記電池モジュールまたは前記電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車、およびプラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)を含む電気車;または電力貯蔵用システムのうちいずれか1つ以上の中大型デバイス電源として用いられる。
【0116】
以下では、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、ただ本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇がこれらの実施例により制限されるものと解されないと言える。
【0117】
実験例1.リチウム複合酸化物の製造
(1)製造例1
まず、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、および硫酸マンガンを準備し、共沈反応を行って前駆体を合成し、合成された前駆体にLiOHを添加した後、焼成して、リチウム複合酸化物を製造した。具体的に、前駆体にLiOHを混合した後、焼成炉でO雰囲気を維持しつつ、分当たり1℃で昇温して、10時間熱処理した後、自然冷却して、リチウム複合酸化物を得た。
【0118】
次に、前記リチウム複合酸化物に蒸留水を投入した後、1時間の間水洗し、水洗したリチウム複合酸化物を濾過した後、乾燥した。
【0119】
次に、ミキサーを使用して前記リチウム複合酸化物とB含有原料物質(HBO)と共に混合した。B含有原料物質(HBO)は、前記リチウム複合酸化物の総重量に対して0.2重量%になるように混合した。同じ焼成炉でO雰囲気を維持しつつ、分当たり2℃で昇温して、5時間熱処理した後、自然冷却して、リチウム複合酸化物を得た。
【0120】
下記の表2には、各実施例および比較例で行われた熱処理温度および各実施例および比較例に記載された方法により製造されたリチウム複合酸化物の組成を示した。前記リチウム複合酸化物の組成は、ICP分析を通じて導き出された。
【0121】
【表2】
【0122】
(2)製造例2
最終生成されたリチウム複合酸化物のうちAlの含量が1,600ppmおよびZrの含量が1,000ppmになるように製造例1の前駆体にLiOHを混合した後、熱処理する前にAlおよびZrOをさらに混合した後、熱処理したことを除いて、製造例1と同一にリチウム複合酸化物を製造した。
【0123】
下記の表3には、各実施例および比較例で行われた熱処理温度および各実施例および比較例に記載された方法により製造されたリチウム複合酸化物の組成を示した。前記リチウム複合酸化物の組成は、ICP分析を通じて導き出された。
【0124】
【表3】
【0125】
(3)製造例3
製造例1においてリチウム複合酸化物とB含有原料物質(HBO)を混合した後、熱処理する前にAl含有原料物質(Al)と混合した後、熱処理したことを除いて、製造例1と同一にリチウム複合酸化物を製造した。
【0126】
下記の表4には、各実施例および比較例で行われた熱処理温度および各実施例および比較例に記載された方法により製造されたリチウム複合酸化物の組成を示した。前記リチウム複合酸化物の組成は、ICP分析を通じて導き出された。
【0127】
【表4】
【0128】
(4)製造例4
製造例1においてリチウム複合酸化物とB含有原料物質(HBO)を混合した後、熱処理する前にTi含有原料物質(TiO)と混合した後、熱処理したことを除いて、製造例1と同一にリチウム複合酸化物を製造した。
【0129】
下記の表5には、各実施例および比較例で行われた熱処理温度および各実施例および比較例に記載された方法により製造されたリチウム複合酸化物の組成を示した。前記リチウム複合酸化物の組成は、ICP分析を通じて導き出された。
【0130】
【表5】
【0131】
実験例2.リチウム複合酸化物のXRD分析結果
上述した製造例1~製造例4によって製造されたリチウム複合酸化物に対してXRD分析を行った。
【0132】
XRD分析時にX-rayソースは、Cu-Kα α1 radiationソースを使用し、θ-2θ scan(Bragg-Brentano parafocusing geometry)方法で10~70°(2θ)の範囲で0.02°ステップ間隔で測定した。
【0133】
製造例1によって製造されたリチウム複合酸化物に対するXRD分析結果を示す図1を参照すると、実施例1-1~実施例1-4および比較例1-1~比較例1-2によるリチウム複合酸化物がいずれもR-3m空間群を有する六方格子構造(hexagonalα-NaFeO)を有していることを確認することができる。また、別途図示していないが、製造例2~製造例4によって製造されたリチウム複合酸化物がいずれもR-3m空間群を有する六方格子構造を有していることを確認することができた。
【0134】
また、同一装備および同一条件の下でSi粉末(Sigma-Aldrich社、製品番号215619)に対するXRDを測定した。Si粉末の場合、47.3±1.0°(2θ)付近で観測される(220)ピークの半値幅FWHMSi(220)が0.0827°(2θ)として測定された。
【0135】
下記の表6には、上述した製造例1~製造例4によって製造されたリチウム複合酸化物に対して測定された半値幅FWHMLi(104)およびSi粉末に対して測定されたFWHMSi(220)を用いて補正されたFWHM(104)を示した。
【0136】
【表6】
【0137】
実験例3.リチウム複合酸化物のXPS分析結果
製造例1~製造例3によって製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析を行ってリチウム複合酸化物の表面にコーティング層が存在するか否かを確認した。XPS分析は、Quantum 2000(Physical Electronics.Inc.)(加速電圧:0.5~15keV、300W、エネルギー分解能:約1.0eV、最小分析領域:10micro、Sputter rate:0.1nm/min)を使用して行われた。
【0138】
図2は、製造例1(実施例1-1および比較例1-1)によって製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析結果を示すグラフであり、図3は、製造例2(実施例2-1および比較例2-1)によって製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析結果を示すグラフであり、図4および図5は、製造例3(実施例3-1および比較例3-1)によって製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析結果を示すグラフであり、図6および図7は、製造例4(実施例4-1および比較例4-1)によって製造されたリチウム複合酸化物に対するXPS分析結果を示すグラフである。
【0139】
図2図4および図6を参照すると、製造例1~製造例4によって製造されたリチウム複合酸化物がいずれもB 1s peakを示すところ、製造例1~製造例4によって製造されたリチウム複合酸化物の表面にB含有酸化物コーティング層が形成されたことを確認することができる。
【0140】
一方、図5を参照すると、製造例3によって製造されたリチウム複合酸化物は、Al 2p peakを追加的に示すところ、製造例3によって製造されたリチウム複合酸化物は、Al含有酸化物コーティング層を追加的に含むことを確認することができる。また、図7を参照すると、製造例4によって製造されたリチウム複合酸化物は、Ti 2p peakを追加的に示すところ、製造例4によって製造されたリチウム複合酸化物は、Ti含有酸化物コーティング層を追加的に含むことを確認することができる。
【0141】
実験例4.リチウム二次電池の特性評価結果
(1)リチウム二次電池の製造
上述した製造例1~製造例4によって製造されたリチウム複合酸化物、導電材として人造黒鉛、結合材としてポリビニリデンフルオライド(PVdF)を92:4:4の重量比で混合してスラリーを製造した。前記スラリーを厚み15μmのアルミニウム箔に均一に塗布し、135℃で真空乾燥して、リチウム二次電池用正極を製造した。
【0142】
前記正極とリチウムホイルをカウンター電極とし、多孔性ポリエチレン膜(Celgard 2300、厚み:25μm)をセパレーターとし、エチレンカーボネートおよびエチルメチルカーボネートが3:7の体積比で混合された溶媒にLiPFが1.15Mの濃度で溶けている液体電解液を使用して通常的に知られている製造工程によってコイン電池を製造した。
【0143】
(2)リチウム二次電池の容量および寿命特性の測定
上述した方法で製造されたリチウム二次電池を電気化学分析装置(Toyo,Toscat-3100)を用いて25℃、電圧範囲3.0V~4.3V、0.1Cの放電率を適用して充放電実験を実施して、放電容量を測定した。
【0144】
また、上述した方法で製造されたリチウム二次電池を25℃の温度で3.0V~4.3Vの駆動電圧の範囲内で1C/1Cの条件で50回充/放電を実施した後、初期容量に対して50サイクル目の放電容量の比率(サイクル容量維持率;capacity retention)を測定した。
【0145】
測定された電池容量および寿命特性の結果は、下記の表7および図8図15に示した。
【0146】
【表7】
【0147】
前記表7および図8図15の結果を参考にすると、ボロン含有酸化物が存在するコーティング層を含むリチウム複合酸化物のうちニッケルのモル分率(molar ratio)とR-3m空間群を有する六方格子により定義されるXRDピークにおける(104)ピークの半値幅(FWHM;deg.,2θ)が所定の相関関係を形成する場合、リチウム二次電池の寿命および容量特性を同時に向上させることができることを確認することができる。
【0148】
以上、本発明の実施例について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者なら、特許請求範囲に記載された本発明の思想を逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加等により本発明を多様に修正および変更させることができ、これも、本発明の権利範囲内に含まれると言える。
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