(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
D06M 11/00 20060101AFI20240112BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
D06M11/00 130
D06M11/00 120
B29B17/02 ZAB
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022079272
(22)【出願日】2022-05-13
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2021-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲テ▼超
(72)【発明者】
【氏名】莊 榮仁
(72)【発明者】
【氏名】▲ホアン▼ 章鑑
(72)【発明者】
【氏名】蘇 崇智
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/081291(WO,A1)
【文献】特開2017-002426(JP,A)
【文献】特表2005-506466(JP,A)
【文献】国際公開第2020/127453(WO,A1)
【文献】米国特許第05236959(US,A)
【文献】中国特許出願公開第109322161(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0338466(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M
B29B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル綿混紡織物中の綿を綿粉末に分解して、染料を除去するために脱色を同時に実行するため、前記染料を含む前記ポリエステル綿混紡織物を加熱及び浸漬のために酸化剤を含む酸性水溶液に入れることと、
二重濾過によりポリエステル織物と綿粉末とを得ることと
を含む、
ポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項2】
前記染料が物理的な染料又は化学染料を含む、
請求項1に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項3】
前記浸漬がポリエステルのガラス転移温度よりも高い温度で実行される、
請求項1に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項4】
前記浸漬が90℃~180℃の温度で前記酸性水溶液において実行される、
請求項1に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項5】
前記酸性水溶液が有機酸を含み、前記有機酸が炭素数1~18の一塩基酸、二塩基酸、又は酸無水物であり、前記有機酸が、ギ酸、酢酸
、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、グルタル酸、カプロン酸、アジピン酸、イソオクタン酸
、マレイン酸
、安息香酸、又はシクロヘキサンカルボン酸を含む、
請求項1に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項6】
前記酸性水溶液中の前記有機酸の濃度が0.5重量%~10重量%である、
請求項5に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項7】
前記酸性水溶液中の前記酸化剤の濃度が0.05重量%~1.0重量%である、
請求項1に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項8】
前記ポリエステル綿混紡織物と前記酸性水溶液との間の重量比が1:8~1:30である、
請求項1に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項9】
前記浸漬が0.5時間~3時間実行される、
請求項1に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項10】
前記酸化剤が、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、硝酸塩、塩素酸ナトリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸塩、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム塩、二クロム酸ナトリウム、重クロム塩酸、又はそれらの組合せを含む、
請求項1に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項11】
前記二重濾過が第1濾過と第2濾過とを含み、前記第1濾過が1mm~30mmのメッシュサイズを有するフィルタを用い、前記第2濾過が10μm~100μmのメッシュサイズのフィルタを用いる、
請求項1に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【請求項12】
得られた前記ポリエステル織物が、L値が80%以上、a値が-3~3、b値が-6~6を有する、
請求項1に記載のポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は織物のリサイクル方法に関するものであり、特にポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル綿混合布のリサイクル及びリユ-スの技術において、混紡織物中のポリエステル及び綿がリサイクル及びリユ-スされる前に、綿の分離及び脱色を行わなければならない。分離手順において、従来では、分離を達成するため、有機酸水溶液が綿を分解するために一般的に用いられている。しかし、分離の後にも染料がポリエステル織物又は綿に残留する可能性がある。従って、ポリエステル及び綿が再利用のためリサイクルされるためには、染料を脱色のために取り除く必要がある。結果として、コストが増加し、手順が複雑となる。また、ポリエステル綿混紡織物中の綿繊維を分解するために濃縮リン酸が高温で使用される場合、ポリエステル織物には如何なる影響も生じない。次いで、ポリエステル織物を取得するため濾過及び分離が実行される。しかし、染料はまだ残留しており、更なる脱色を必要とする。ポリエステル綿混紡織物中の綿繊維を綿粉末に分解するために塩酸が触媒として用いられる場合、ポリエステル織物に影響することなく分離を達成することができる。しかし、染料はやはり残留しており、更なる脱色が必要である。
【0003】
上記を鑑み、コスト及び手順の複雑さを低減させるため、分離及び脱色を同時に実行可能なポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法が開発されている。これは現在、注目される研究課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、浸漬のため酸化剤を含む酸性水溶液が用いられて、分離及び脱色を同時に実行可能であることからコスト及び手順の複雑さを低減させるポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法は次を含む。ポリエステル綿混紡織物の綿を粉末に分解して、染料を除去するために脱色を同時に実行するため、染料を含むポリエステル綿混紡織物を加熱及び浸漬のために酸化剤を含む酸性水溶液に入れる。その後、ポリエステル織物及び綿粉末が二重濾過により取得される。
【0006】
いくつかの実施形態において、染料は物理的な染料又は化学染料を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、浸漬はポリエステルのガラス転移温度よりも高い温度で実行される。
【0008】
いくつかの実施形態において、浸漬は90℃~180℃の温度の酸性水溶液において実行される。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、酸性水溶液は有機酸を含む。有機酸は、炭素数1~18の一塩基酸、二塩基酸、又は酸無水物であり、その例には、ギ酸、酢酸、無水酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、グルタル酸、カプロン酸、アジピン酸、イソオクタン酸、クエン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、安息香酸、又はシクロヘキサンカルボン酸を含む。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、酸性水溶液中の有機酸の濃度は0.5重量%~10重量%である。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、酸性水溶液中の酸化剤の濃度は0.05重量%~1.0重量%である。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、ポリエステル綿混紡織物と酸性水溶液との間の重量比は1:8~1:30である。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、浸漬は0.5時間~3時間実行される。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、酸化剤は、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、硝酸塩、塩素酸ナトリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸塩、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム塩、二クロム酸ナトリウム、重クロム塩酸、又はそれらの組合せを含む。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、二重濾過は第1濾過と第2濾過とを含む。第1濾過は1mm~30mmのメッシュサイズを有するフィルタを用い、第2濾過は10μm~100μmのメッシュサイズのフィルタを用いる。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、得られたポリエステル織物は、L値が80%以上、a値が-3~3、b値が-6~6を有する。
【発明の効果】
【0017】
上記に基づき、本発明は、綿を粉末に分解して同時にポリエステル織物から染料を取り除くため、浸漬のために酸化剤を含む酸性水溶液が用いられるポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法を提供する。ポリエステル及び綿が分離されて脱色されたポリエステル織物及び綿粉末が単一の処理で取得可能であることから、コストが低減されて手順が簡略化される。リサイクル済みポリエステル織物の品質が向上し、その応用分野が拡大され、これは後続のポリエステル織物の機械的又は化学的リサイクルにとって有利である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これら実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されない。
【0019】
本明細書において、「ある数値~もう1つの数値」で表される範囲は、本明細書において該範囲内の全ての数値を列記することを避けるための概略表現である。このため、特定の数値範囲の記述は、明細書における任意の数値及びより狭い数値範囲の場合といった、該数値範囲内の任意の数値、及び該数値範囲内の任意の数値により定義されるより狭い数値範囲をカバ-する。
【0020】
本発明は、次のステップを含むポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法を提供する。ポリエステル綿混紡織物の綿を粉末に分解するため、染料を含むポリエステル綿混紡織物が加熱及び浸漬のため酸化剤を含む酸性水溶液に入れられ、染料を除去するために脱色が同時に実行される。その後、ポリエステル織物及び綿粉末が二重濾過により取得される。
【0021】
本実施形態において、染料は物理的な染料又は化学染料を含んでよい。酸性水溶液は有機酸を含む。有機酸は、炭素数1~18の一塩基酸、二塩基酸、又は酸無水物であり、その例には、ギ酸、酢酸、無水酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、グルタル酸、カプロン酸、アジピン酸、イソオクタン酸、クエン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、安息香酸、又はシクロヘキサンカルボン酸を含む。酸性水溶液中の有機酸の濃度は0.5重量%~10重量%であり、1.0重量%~8.0重量%であることが好ましい。酸性水溶液中の酸化剤は、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、硝酸塩、塩素酸ナトリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸塩、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム塩、二クロム酸ナトリウム、重クロム塩酸、又はそれらの組合せを含んでよい。酸化剤の濃度は、例えば、0.05重量%~1.0重量%であり、0.1重量%~0.8重量%であることが好ましく、コストが低減される。
【0022】
本実施形態において、ポリエステル綿混紡織物と酸性水溶液との間の重量比は、例えば、1:8~1:30であり、1:10~1:15であることが好ましい。染料を含むポリエステル綿混紡織物は、加熱及び浸漬のため酸化剤を含む酸性水溶液に入れられる。加熱及び浸漬は、染料が酸性水溶液中に放出されて同時に除去されることができるよう、ポリエステルのガラス転移温度よりも高い温度で実行されることが好ましい。例えば、浸漬は酸性水溶液において90℃~180℃、好ましくは100℃~160℃の温度で実行される。浸漬は、例えば、0.5時間~3時間、好ましくは1時間~2時間実行される。
【0023】
ポリエステル綿混紡織物は、染料及び表面処理剤といった不純物を含む。ポリエステル織物がその構造を維持するのに対し、綿は粉末に分解され、染料といった不純物は酸化剤及び酸性環境において除去される。染料が除去又は脱色された後、白色ポリエステル織物及び白色綿粉末を得るために二重濾過が実行される。ポリエステル織物のL値は20%から80%以上へと増加し、a値は-3~3であり、b値は-6~6である。L、a、bは、人間の目により可視である全ての色を説明するために一般的に用いられる色空間の3つの基本色座標である。L値は明度を示す(L=0%は黒色を示し、L=100%は白色を示す)。a値は赤色と緑色との間の位置を示す(負のa値は緑色を示し、正のa値は赤色を示す)。b値は黄色と青色との間の位置を示す(負のb値は青色を示し、正のb値は黄色を示す)。リサイクル済み織物のL値が高いほど織物は明るく見え、これは下流の織物(衣服)の染色及び仕上げの品質に比較的有利である。二重濾過において、第1濾過は1mm~30mmのメッシュサイズを有するフィルタを用いる。ポリエステル織物と綿粉末水溶液スラリ-とを互いに分離するため、例えば金属製のフィルタが用いられることが好ましい。その後、綿粉末水溶液スラリ-が10μm~100μmのメッシュサイズのフィルタを用いる第2濾過の対象となる。綿粉末を得るために綿粉末と水とを分離するため、例えばプラスチック製のフィルタが用いられることが好ましい。本発明によるポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法により、水溶液の場合において、ポリエステルのIV(分子量)の減少は10%以内である。
【0024】
本発明によるポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法を、実験例により以下に詳細に説明する。ただし、以下の実験例は本発明を限定することを意図していない。
【0025】
[実験例]
本発明によるポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法が分離と脱色の両方を達成すること、及び単一の処理でポリエステルと綿とが分離されて脱色されたポリエステル繊維が得られることを検証するため、実験例を以下に提供する。
【0026】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレ-ト(PET)ポリエステル綿混紡織物(L値20%を有し、PETポリエステルが重量の76%を占め、綿が重量の24%を占める)25gを取得して1リットルの耐圧反応槽に入れ、そこに水500ml、マレイン酸25g、次亜塩素酸ナトリウム1.5gを入れ、続いて綿を綿粉末に分解するために135℃で2時間攪拌した。
【0027】
その後、得られたものを80℃まで冷やし、PETポリエステルと綿粉末スラリ-を3mmの篩網により分離し、PETポリエステル織物を水100mlで洗浄した。次いで、綿粉末と水溶液とを互いに分離するため、綿粉末スラリ-をメッシュサイズ20μmのフィルタを通過させた。
【0028】
PETポリエステル織物を105℃で2時間乾燥させ、純度重量比が99.5%であり、L値82%、a値0.9、b値5.2のPET織物を得た。
【0029】
純度重量比は次の方法で測定した。濃度75重量%の硫酸水溶液600ccを1000ccの三角フラスコに注ぎ、分離後のPET織物サンプル3gを取得しフラスコ内に入れた。フラスコを50℃±5℃まで加熱して1時間維持し、その間、10分毎にフラスコを振とうした。完了したところで、得られたものを3mmの篩網を備えた漏斗を用いて圧送して排水した。織物を洗浄するため濃度75重量%の硫酸水溶液200ccを漏斗内に注ぎ、得られたものを圧送して排水した。次いで、二回織物を洗浄するため浄水200ccを漏斗内に注ぎ、それぞれの回で得られたものを圧送して排水した。PET織物を105℃で2時間乾燥させると、重量2.986g、純度重量比99.5%と判明した。上記方法は、以下の他の実施例及び比較例にも採用され、その説明は繰り返さない。
【0030】
[実施例2]
マレイン酸の代わりにシュウ酸を用いる以外は実施例1と同一の手順に従い、純度重量比が99.8%であり、L値85%、a値0.1、b値4.4のPET織物を得た。
【0031】
[実施例3]
次亜塩素酸ナトリウムの代わりに次亜塩素酸カルシウムを用いる以外は実施例1と同一の手順に従い、純度重量比が99.4%であり、L値88%、a値0.4、b値2.6のPET織物を得た。
【0032】
[実施例4]
PETポリエステル綿混紡織物(L値20%を有し、PETポリエステルが重量の48%を占め、綿が重量の52%を占める)25gを取得して1リットルの耐圧反応槽に入れ、そこに水500ml、ギ酸30g、次亜塩素酸ナトリウム1.5gを入れ、続いて綿を綿粉末に分解するために150℃で2時間攪拌した。
【0033】
その後、得られたものを80℃まで冷やし、PETポリエステルと綿粉末スラリ-を3mmの篩網により分離し、PETポリエステル織物を水100mlで洗浄した。次いで、綿粉末と水溶液とを互いに分離するため、綿粉末スラリ-をメッシュサイズ20μmのフィルタを通過させた。
【0034】
PETポリエステル織物を105℃で2時間乾燥させ、純度重量比が99.2%であり、L値85%、a値1.9、b値4.2のPET織物を得た。
【0035】
[実施例5]
ギ酸の代わりにシュウ酸を用いる以外は実施例4と同一の手順に従い、純度重量比が99.9%であり、L値85%、a値1.8、b値4.9のPET織物を得た。
【0036】
[実施例6]
次亜塩素酸ナトリウム1.5gの代わりに次亜塩素酸ナトリウム2.5gを用いる以外は実施例4と同一の手順に従い、純度重量比が99.9%であり、L値89%、a値-0.1、b値3.3のPET織物を得た。
【0037】
[比較例1]
PETポリエステル綿混紡織物(L値20%を有し、PETポリエステルが重量の76%を占め、綿が重量の24%を占める)25gを取得して1リットルの耐圧反応槽に入れ、そこに水500ml、マレイン酸25gを入れ、続いて綿を綿粉末に分解するために135℃で2時間攪拌した。
【0038】
その後、得られたものを80℃まで冷やし、PETポリエステルと綿粉末スラリ-を3mmの篩網により分離し、PETポリエステル織物を水100mlで洗浄した。次いで、綿粉末と水溶液とを互いに分離するため、綿粉末スラリ-をメッシュサイズ20μmのフィルタを通過させた。
【0039】
PETポリエステル織物を105℃で2時間乾燥させ、純度重量比が99.2%であり、L値54%、a値3.8、b値6.4のPET織物を得た。
【0040】
[比較例2]
PETポリエステル綿混紡織物(L値20%を有し、PETポリエステルが重量の48%を占め、綿が重量の52%を占める)25gを取得して1リットルの耐圧反応槽に入れ、そこに水500ml、ギ酸30gを入れ、続いて綿を綿粉末に分解するために150℃で2時間攪拌した。
【0041】
その後、得られたものを80℃まで冷やし、PETポリエステルと綿粉末スラリ-を3mmの篩網により分離し、PETポリエステル織物を水100mlで洗浄した。次いで、綿粉末と水溶液とを互いに分離するため、綿粉末スラリ-をメッシュサイズ20μmのフィルタを通過させた。
【0042】
PETポリエステル織物を105℃で2時間乾燥させ、純度重量比が99.2%であり、L値63%、a値4.9、b値8.2のPET織物を得た。
【0043】
上記実験結果により、本発明によるポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法を採用した実施例1~6において、酸化剤を含む酸性水溶液を浸漬のために用いた。これにより、L値80%以上を有するポリエステル織物を得ることができる。一方、酸化剤を用いない比較例1と2において、L値80%以上を有するポリエステル織物は得られなかった。リサイクル済み織物のL値が高いほど、織物は明るく見え、これは下流の織物(衣服)の染色及び仕上げの品質に比較的有利である。濃度0.3重量%を有する酸化剤を処理に加えることにより、酸性条件において、染料といった色素をPET織物から効果的に除去することが可能であり、これにより織物は白く見え(L値80%以上を有する)、a値-3~3及びb値-6~6を有する。酸化剤の濃度が1.0重量%増加すると、a値及びb値は0に接近する。酸化剤の濃度が0.05重量%減少すると、aの絶対値が3に接近し、bの絶対値が6に接近する。
【0044】
まとめると、本発明は、分離と脱色の両方を達成するポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法を提供する。該リサイクル方法において、綿を粉末に分解して同時にポリエステル織物から染料を除去するため、酸化剤を含む酸性水溶液が浸漬のために用いられる。単一の処理で、ポリエステルと綿を分離して脱色されたポリエステル繊維を取得可能である。ポリエステル織物を得るため綿が先ず分解されなければならず、次いでポリエステル織物の染料が脱色のための溶媒抽出により除去される従来の技術と比較し、コストが低減されて手順が簡略化される。更に、得られたポリエステル織物は高品質、高安全性、低コストを有する。このようにして、リサイクル済みポリエステル織物の品質が向上され、その応用分野が拡大され、これは後続のポリエステル織物の機械的又は化学的リサイクルにとって有利である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によるポリエステル綿混紡織物のリサイクル方法は、ポリエステル織物のリサイクル及びリユ-スの分野において適用することができる。