IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コヴィディエン リミテッド パートナーシップの特許一覧

<>
  • 特許-カニューレアセンブリ 図1
  • 特許-カニューレアセンブリ 図2
  • 特許-カニューレアセンブリ 図3
  • 特許-カニューレアセンブリ 図4
  • 特許-カニューレアセンブリ 図5
  • 特許-カニューレアセンブリ 図6
  • 特許-カニューレアセンブリ 図7
  • 特許-カニューレアセンブリ 図8
  • 特許-カニューレアセンブリ 図9
  • 特許-カニューレアセンブリ 図10
  • 特許-カニューレアセンブリ 図11
  • 特許-カニューレアセンブリ 図12
  • 特許-カニューレアセンブリ 図13
  • 特許-カニューレアセンブリ 図14
  • 特許-カニューレアセンブリ 図15
  • 特許-カニューレアセンブリ 図16
  • 特許-カニューレアセンブリ 図17
  • 特許-カニューレアセンブリ 図18
  • 特許-カニューレアセンブリ 図19
  • 特許-カニューレアセンブリ 図20
  • 特許-カニューレアセンブリ 図21
  • 特許-カニューレアセンブリ 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】カニューレアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240112BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20240112BHJP
【FI】
A61B17/34
A61M25/10 510
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022136754
(22)【出願日】2022-08-30
(62)【分割の表示】P 2018052473の分割
【原出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2022172235
(43)【公開日】2022-11-15
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】62/474,653
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/516,162
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/568,497
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/919,324
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】オクサナ バイダ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー トカーズ
(72)【発明者】
【氏名】アマンダ アディノルフィ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-238888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0073223(US,A1)
【文献】特表2011-514202(JP,A)
【文献】特表2011-512232(JP,A)
【文献】特開平06-014997(JP,A)
【文献】特開2010-194326(JP,A)
【文献】国際公開第2006/031934(WO,A2)
【文献】米国特許第10327809(US,B2)
【文献】米国特許第07449011(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0150107(US,A1)
【文献】中国実用新案第204972597(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用カニューレアセンブリであって
長手方向軸と外科用物体の通過を可能にするように構成された長手方向内腔とを画定するカニューレ部材であって、前記カニューレ部材は、その外面に単一の長手方向溝を有する、カニューレ部材と、
前記カニューレ部材上に支持された固定カラーアセンブリであって、前記固定カラーアセンブリは、円錐形の下端部及び上端部を有する柔軟または弾力性のあるプラグと、ロック部材とを備え、前記ロック部材は、横方向に移動可能であり、かつ、前記上端部を比較的非圧縮状態から圧縮状態に移行させるために形成された内部容積を有し、前記固定カラーアセンブリの位置は、前記上端部が前記圧縮状態にあるときに前記カニューレ部材の前記長手方向軸に対して固定され、前記固定カラーアセンブリの前記位置は、前記上端部が前記比較的非圧縮状態にあるときに前記カニューレ部材の前記長手方向軸に対して固定されない、固定カラーアセンブリと、
導管と、
前記導管と流体連通し、膨張流体の源に結合するように構成された流体ポートと、
前記カニューレ部材の周りに同軸に取り付けられ、前記長手方向溝内前記導管を圧縮するように位置付けされた外側スリーブであって、前記外側スリーブは、前記導管と流体連通している拡張可能なバルーンセグメントを有し、前記拡張可能なバルーンセグメントは、膨張流体が前記流体ポートから前記導管を通って前記拡張可能なバルーングメントの内部容積内へ通過するときに初期未拡張状態から少なくとも部分的に拡張された状態に移行するように構成されている、外側スリーブと
を備え、前記固定カラーアセンブリは、前記拡張可能なバルーンセグメントよりも近位で前記カニューレ部材上に配置され、前記カニューレ部材の前記外面と摺動可能に係合する、外科用カニューレアセンブリ。
【請求項2】
前記外側スリーブが、前記カニューレ部材の長手方向長さ沿って延びるように構成されている、請求項1に記載の外科用カニューレアセンブリ。
【請求項3】
前記外側スリーブが、前記拡張可能なバルーンセグメントの近位端部及び遠位バルーン端部に隣接して前記カニューレ部材に固定される、請求項1に記載の外科用カニューレアセンブリ。
【請求項4】
前記外側スリーブが、エラストマー材料を含む、請求項1に記載の外科用カニューレアセンブリ。
【請求項5】
前記拡張可能なバルーンセグメントが、その前記初期未拡張状態にあるときに、近位方向に延びるように構成されている、請求項1に記載の外科用カニューレアセンブリ。
【請求項6】
前記外側スリーブが、前記カニューレ部材に取り付け領域で固定され、前記拡張可能なバルーンセグメントが、少なくとも部分的に拡張された状態にあるときに、前記取り付け領域を越えて遠位に延びるように構成されている、請求項1に記載の外科用カニューレアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年10月5日に出願された米国仮特許出願第62/568,497号、及び2017年6月7日に出願された米国仮特許出願第62/516,162号、及び2017年3月22日に出願された米国特許出願第62/474,653号の利益及び優先権を主張するものであり、これらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
背景
【0002】
1.技術分野
本開示は、概して、内視鏡的または腹腔鏡的外科的処置において使用するための外科用カニューレアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術
内視鏡的及び腹腔鏡的処置の両方を含む低侵襲性外科処置は、組織内の開口部から取り出される遠く離れた臓器、組織及び血管に対して遂行される手術を可能にする。腹腔鏡処置では、腹腔に通気ガス、例えば、CO、を吹き込んで気腹を作り、それによって下にある臓器へのアクセスを提供する。腹腔鏡器具は、1つ以上の外科手術を遂行するために腹腔にアクセスするカニューレを通して導入される。カニューレは、気腹の完全性を保つために器具の周りに実質的に流体密封シールを確立するためにシールを組み込むことができる。
【0004】
低侵襲性外科的処置は、手術において効果的であることが実証されているが、いくつかの限界が残っている。例えば、加圧環境、すなわち気腹、に供されるカニューレは、特に、カニューレ内の器具の操作中に、腹壁の切開部から後退する傾向を示し得る。従来のカニューレは、カニューレの組織部位からの引き抜きに抵抗するように、カニューレの端部に膨張可能なバルーンを組み込むことができる。これらのカニューレは、典型的には、膨張可能なバルーンにCO2、生理食塩水または空気などの膨張流体を運ぶための単一の流体経路または二重管設計を含む。しかし、単一の流体経路を有するカニューレは、流体経路が詰まったり崩壊したりする場合には有効ではない。二重管設計は複雑で製造が難しく、またカニューレの全体的な外形を増加させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本開示は、従来技術に関連する欠点を克服する外科用カニューレアセンブリを対象とする。一実施形態によれば、外科用カニューレアセンブリは、その間に長手方向チャネルを画定する隣接する長手方向リブと長手方向軸に沿って延びる複数の長手方向リブを有する細長いカニューレ部材と、カニューレ部材の近位端に隣接して取り付けられ、膨張流体源に結合するように構成された流体ポートと、カニューレ部材の少なくとも1つの長手方向チャネル内に位置付けされ、流体ポートと流体連通する導管と、カニューレ部材の遠位端に隣接して取り付けられ、導管と流体連通する拡張可能なバルーンとを含む。拡張可能なバルーンは、流体ポートから導管を通って拡張可能なバルーンの内部容積内への膨張流体の通過及び進入時、初期未拡張状態から少なくとも部分的な拡張状態に移行するように構成される。
【0006】
実施形態では、外側スリーブが、カニューレ部材の周りに同軸に取り付けられ、拡張可能なバルーンに結合される。いくつかの実施形態では、外側スリーブ及び拡張可能なバルーンは、例えばエラストマー材料からモノリシックに形成される。
【0007】
他の実施形態では、複数の導管が設けられる。各々の導管は、隣接する長手方向リブによって画定されるそれぞれの長手方向チャネル内に位置付けされる。各々の導管は、流体ポート及び拡張可能なバルーンの内部容積と流体連通している。
【0008】
ある実施形態では、カニューレハウジングは、カニューレ部材の近位端に隣接して取り付けられる。カニューレハウジングは、カニューレ部材内に画定された長手方向内腔と流体連通する膨張コネクタを含む。
【0009】
別の実施形態では、外科用カニューレアセンブリは、カニューレハウジングと、長手方向軸を画定するカニューレ部材と、外科用物体の通過を可能にするように構成された長手方向内腔と、を含む。カニューレ部材は、その外面に複数の長手方向リブを有し、隣接する長手方向リブが、それらの間に長手方向チャネルを画定する。導管は、カニューレ部材の1つの長手方向チャネル内に少なくとも部分的に位置付けされる。流体ポートは、導管と流体連通し、膨張流体源に結合するために構成される。外側スリーブは、カニューレ部材の周りに同軸に取り付けられる。外側スリーブは、導管と流体連通する拡張可能なバルーンを含む。拡張可能なバルーンは、流体ポートから導管を通って拡張可能なバルーンの内部容積内への膨張流体の通過時、初期未拡張状態から少なくとも部分的な拡張状態に移行するように構成される。
【0010】
ある実施形態では、第2の導管は、カニューレ部材の第2の長手方向チャネル内に少なくとも部分的に位置付けされ、流体ポート及び拡張可能なバルーンの内部容積と流体連通している。
【0011】
いくつかの実施形態では、カニューレ部材は、隣接する長手方向リブの間に画定された第2の長手方向チャネルを含む。第2の長手方向チャネルは、拡張可能なバルーンの内部容積に膨張流体を運ぶために、流体ポートと流体連通している。
【0012】
別の実施形態では、外科用カニューレアセンブリは、カニューレハウジングと、長手方向軸を画定するカニューレ部材と、外科用物体の通過を可能にするように構成された長手方向内腔と、を含む。カニューレ部材は、その外面に複数の長手方向リブを含み、隣接する長手方向リブが、それらの間に長手方向チャネルを画定する。流体ポートは、膨張流体源に結合するように構成され、カニューレ部材の長手方向のチャネルと流体連通している。外側スリーブは、カニューレ部材の周りに同軸に取り付けられ、カニューレ部材の長手方向チャネルと流体連通する拡張可能なバルーンを有する。拡張可能なバルーンは、流体ポートから長手方向チャネルを通って拡張可能なバルーンの内部容積内への膨張流体の通過時、初期未拡張状態から少なくとも部分的な拡張状態に移行するように構成される。
【0013】
別の実施形態では、外科用カニューレアセンブリは、カニューレハウジングと、長手方向軸を画定するカニューレ部材と、外科用物体の通過を可能にするように構成された長手方向内腔と、を含む。カニューレ部材は、その外面に単一の長手方向溝を有する。導管は、カニューレ部材の単一の長手方向溝内に少なくとも部分的に位置付けされる。流体ポートは、導管と流体連通し、膨張流体源に結合するように構成される。外側スリーブは、カニューレ部材の周りに同軸に取り付けられる。外側スリーブは、導管と流体連通する拡張可能なバルーンセグメントを含む。拡張可能なバルーンセグメントは、流体ポートから導管を通って拡張可能なバルーンセグメントの内部容積内への膨張流体の通過時、初期未拡張状態から少なくとも部分的な拡張状態に移行するように構成される。
【0014】
実施形態では、外側スリーブは、カニューレ部材の長手方向長さの大部分に沿って延びる。いくつかの実施形態では、外側スリーブは、バルーンセグメントの近位及び遠位端に隣接するカニューレ部材に固定される。他の実施形態では、外側スリーブは、エラストマー材料を含む。特定の実施形態では、カニューレ部材の長手方向溝は、その中に単一の導管を含む。実施形態では、カニューレ部材の単一の長手方向溝は、カニューレ部材の長手方向の軸と平行な関係にある。
【0015】
本開示のカニューレアセンブリは、拡張可能なバルーンを均一に拡張するのに非常に有効である。カニューレ部材の複数の長手方向チャネルを組み込む実施形態では、導管の有無にかかわらず、複数の長手方向チャネルが、1つ以上のチャネル及び/または導管の詰まりまたは崩壊の場合でも、拡張可能な部材の膨張を保証する。カニューレ部材を取り囲む外側スリーブは、構造的安定性を提供し、長手方向チャネル及び膨張流体を拡張可能バルーンに通過させるための密封経路を提供する導管を封入する。単一の導管がその中に配置された単一の長手方向溝を組み込んだ実施形態では、単一の導管は、制御された均一な方法でバルーンセグメントをそれぞれ膨張及び収縮させるための吹き込み及び収縮の所定の流速を提供する。
【0016】
本開示の他の特徴は、以下の説明から理解されるであろう。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
外科用カニューレアセンブリであって、
長手方向軸を画定し、近位端及び遠位端を有する細長いカニューレ部材であって、前記長手方向軸に沿って延びる複数の長手方向リブを含み、隣接する長手方向リブが、その間に長手方向チャネルを画定する、カニューレ部材と、
前記カニューレ部材の前記近位端に隣接して取り付けられた流体ポートであって、膨張流体源に結合するように構成される、流体ポートと、
前記カニューレ部材の少なくとも1つの長手方向チャネル内に位置付けされた導管であって、前記流体ポートと流体連通する、導管と、
前記カニューレ部材の前記遠位端に隣接して取り付けられ、前記導管と流体連通する拡張可能なバルーンであって、前記拡張可能なバルーンの前記導管を介して及び内部容積内への膨張流体の通過及び進入時に初期未拡張状態から少なくとも部分的な拡張状態に移行するように構成される、拡張可能なバルーンと、を備える、外科用カニューレアセンブリ。
(項目2)
前記カニューレ部材の周りに同軸に取り付けられた外側スリーブを含み、前記外側スリーブが、前記拡張可能なバルーンに結合されている、上記項目に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目3)
前記外側スリーブ及び前記拡張可能なバルーンが、モノリシックに形成される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目4)
前記外側スリーブ及び前記拡張可能なバルーンが、エラストマー材料を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目5)
複数の導管を含み、各々の導管が、隣接する長手方向リブによって画定されるそれぞれの長手方向チャネル内に位置付けされ、各々の導管が、前記流体ポート及び前記拡張可能なバルーンの内部容積と流体連通する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目6)
前記細長い部材の前記近位端に隣接して取り付けられたカニューレハウジングを含み、前記カニューレハウジングが、膨張コネクタを含み、前記膨張コネクタが、前記カニューレ部材内に画定された長手方向内腔と流体連通する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目7)
外科用カニューレアセンブリであって、
カニューレハウジングと、
長手方向軸と、外科用物体の通過を可能にするように構成された長手方向内腔と、を画定するカニューレ部材であって、その外面上に複数の長手方向リブを有し、隣接する長手方向リブが、それらの間に長手方向チャネルを画定する、カニューレ部材と、
前記カニューレ部材の1つの長手方向チャネル内に少なくとも部分的に位置付けされた導管と、
前記導管と流体連通し、膨張流体源に結合するように構成された流体ポートと、
前記カニューレ部材の周りに同軸に取り付けられた外側スリーブであって、前記導管と流体連通する拡張可能なバルーンを有し、前記流体ポートから、前記導管を通り、前記拡張可能なバルーンの内部容積内への膨張流体の通過時に初期未拡張状態から少なくとも部分的な拡張状態に移行するように構成される、外側スリーブとを備える、外科用カニューレアセンブリ。
(項目8)
前記カニューレ部材の第2の長手方向チャネル内に少なくとも部分的に位置付けされた第2の導管を含み、前記第2の導管が、前記流体ポート及び前記拡張可能なバルーンの内部容積と流体連通する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目9)
前記カニューレ部材が、隣接する長手方向リブの間に画定された第2の長手方向チャネルを含み、前記第2の長手方向チャネルが、前記流体ポート及び前記拡張可能なバルーンの内部容積と流体連通する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目10)
外科用カニューレアセンブリであって、
カニューレハウジングと、
長手方向軸及び外科用物体の通過を可能にするように構成された長手方向内腔を画定するカニューレ部材であって、その外面に単一の長手方向溝を有する、カニューレ部材と、
前記カニューレ部材の単一の長手方向溝内に少なくとも部分的に位置付けされた導管と、
前記導管と流体連通し、膨張流体源に結合するように構成された流体ポートと、
前記カニューレ部材の周りに同軸に取り付けられ、前記導管と流体連通する拡張可能なバルーンセグメントを有する外側スリーブであって、前記流体ポートから、前記導管を通り、前記拡張可能なバルーンのセグメントの内部容積内への膨張流体の通過時に初期未拡張状態から少なくとも部分的な拡張状態に移行するように構成される、外側スリーブとを備える、外科用カニューレアセンブリ。
(項目11)
前記外側スリーブが、前記カニューレ部材の長手方向長さの大部分に沿って延びるように構成される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目12)
前記外側スリーブが、前記バルーンセグメントの近位及び遠位バルーン端部に隣接する前記カニューレ部材に固定される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目13)
前記外側スリーブが、エラストマー材料を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目14)
前記カニューレ部材の前記単一の長手方向溝が、内部に単一の導管を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目15)
前記単一の長手方向溝が、前記カニューレ部材の前記長手方向軸に対して平行な関係にある、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目16)
前記バルーンセグメントが、内部で前記未拡張状態にあるときに、少なくとも部分的に反転した状態を呈するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目17)
前記外側スリーブが、前記カニューレ部材に取り付け領域で固定され、前記バルーンセグメントが、前記少なくとも部分的な拡張状態にあるときに、前記取り付け領域を越えて遠位に延びるように構成される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(項目18)
前記拡張可能な部材の近位にある前記カニューレ部材上に配置され、前記カニューレ部材の外面と摺動可能に係合する固定カラーアセンブリを、さらに備え、前記固定カラーアセンブリが、円錐形の下端部及び上端部を有する柔軟または弾力性のあるプラグを有し、前記固定カラーアセンブリが、横方向に移動可能なロック部材を有し、前記上端部を比較的非圧縮状態から圧縮状態に移行させるために形成された内部容積を有する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用カニューレアセンブリ。
(摘要)
外科用カニューレアセンブリは、その間に長手方向チャネルを画定する隣接する長手方向リブと長手方向軸に沿って延びる複数の長手方向リブを有する細長いカニューレ部材と、カニューレ部材の近位端に隣接して取り付けられ、膨張流体源に結合するように構成された流体ポートと、カニューレ部材の少なくとも1つの長手方向チャネル内に位置付けされ、流体ポートと流体連通する導管と、カニューレ部材の遠位端に隣接して取り付けられ、導管と流体連通する拡張可能なバルーンとを含む。拡張可能なバルーンは、流体ポートから導管を通って拡張可能なバルーンの内部容積内への膨張流体の通過時、初期未拡張状態から少なくとも部分的な拡張状態に移行するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の様々な態様及び特徴は、図面を参照して以下に記載される。
図1】カニューレハウジング、カニューレハウジングから延びるカニューレ部材、カニューレ部材及び拡張可能なバルーンの周りに同軸に位置付けられた外側スリーブを示す、本開示の外科用カニューレアセンブリの斜視図である。
図2】カニューレ部材の長手方向のリブを示すために外側スリーブと拡張可能なバルーンを取り外した外科用カニューレアセンブリの斜視図である。
図3】隣接する長手方向リブの間に画定された長手方向チャネル内に位置付けされた導管を示す図2に示す詳細領域の拡大図である。
図4】カニューレ部材の遠位端に隣接して終端する導管を示す図2に示した詳細領域の拡大図である。
図5】長手方向のリブをさらに示し、長手方向のチャネル内に位置付けされた導管及び外側スリーブをさらに示す図1の線5-5に沿って切り取られた断面図である。
図6】拡張可能なバルーンを未拡張状態で示すカニューレアセンブリの側断面図である。
図7】拡張可能なバルーン内で終端する導管を示す図6に示された分離領域の拡大図である。
図8】拡張可能なバルーンを膨張させた状態での腔内でのカニューレアセンブリの位置付けを示す図である。
図9】導管が長手方向のチャネルから取り出されるカニューレアセンブリの別の例示的な実施形態の斜視図である。
図10図9に示された詳細領域の拡大図である。
図11図9の線11-11に沿って切り取られた断面図である。
図12図9に示された詳細領域の拡大図である。
図13】バルーンセグメントに通じる単一の導管を有する単一の長手方向の溝を示す、カニューレアセンブリの別の例示的な実施形態の斜視図である。
図14図13のカニューレアセンブリの側面断面図である。
図15図14の15-15線に沿って切り取られた断面図である
図16】カニューレアセンブリの未拡張状態にあるときの反転バルーンセグメントを示すカニューレアセンブリの別の例示的な実施形態の側断面図である。そして
図17】拡張状態のバルーンセグメントを有する図15のカニューレアセンブリの側面断面図である。
図18】本開示による別の実施例におけるカニューレアセンブリの斜視図である。
図19】固定カラーアセンブリの斜視図である。
図20】固定カラーアセンブリを示す図18の詳細領域である。
図21図18~20に示す固定カラーアセンブリの平面図である。そして
図22図18~21に示す固定カラーアセンブリの別の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の特定の実施形態は、添付の図面を参照して以下に記載される。しかしながら、開示された実施形態は、開示の単なる例であり、様々な形態で具体化され得ることが理解されるべきである。周知の機能または構造は、本開示を不必要な詳細で不明瞭にすることを避けるために詳細には説明されていない。したがって、本明細書に開示された特定の構造的及び機能的詳細は、限定として解釈されるのではなく、特許請求の範囲の基礎として、及び当業者に事実上任意の適切な詳細構造で本開示を用いることを教示するための代表的基礎として解釈される。
【0019】
一般に、本開示のカニューレアセンブリは、カニューレ部材の遠位端に配置された拡張可能なバルーンの迅速かつ均一な拡張を容易にする関連構造を有するカニューレ部材を含む。カニューレアセンブリは、カニューレ部材の構造的安定性を向上させる一方で、膨張流体が拡張可能なバルーンの内部容積に流れることができる複数の長手方向チャネルを画定する長手方向リブを備える。長手方向チャネルは、拡張可能なバルーンの均一な拡張を提供するために、カニューレ部材の外面の周りに半径方向に離間されている。導管は、拡張可能なバルーンに膨張流体を送達するために、長手方向チャネル内に位置付けされてもよい。カニューレアセンブリは、カニューレ部材の周りに同軸に取り付けられた外側スリーブをさらに含む。外側スリーブは、エラストマー材料から形成されてもよく、長手方向チャネルを封入し、場合によってはシールする。いくつかの実施形態では、エラストマー外側スリーブは、拡張可能なバルーンを組み込み、すなわち、拡張可能なバルーンは、外側スリーブの一部として予め形成される。
【0020】
最初に図1を参照すると、本開示の外科用カニューレアセンブリが示されている。カニューレアセンブリ10は、腹腔鏡処置中に腹腔内へのアクセスを可能にして、腔内の内部臓器に対して様々な外科的作業を遂行するための外科用物体の導入を可能にすることを意図している。外科用物体は、腹腔鏡または内視鏡クリップアプライヤ、把持器、リセプタ、リトラクタ、ステープラ、レーザプローブ、写真装置、管、内視鏡及び腹腔鏡、電気外科装置などの外科器具であってもよい。代替的に、物体は外科医の腕または手であってもよく、手が腹腔内に導入される腹腔鏡手術中に使用される場合、外科手術を遂行する際に直接的に補助する。図1では、カニューレアセンブリ10は、腹腔へのアクセスを容易にするために、その内部に(幻影のように)位置付けされたオブチュレータ100と共に示されている。オブチュレータ100は、組織を貫通するように構成された貫通先端102を有する任意の従来のオブチュレータ100であってもよい。
【0021】
図1を続けて参照すると、カニューレアセンブリ10は、カニューレハウジング12と、カニューレハウジング12から延びるカニューレ部材14と、カニューレ部材14の上に同軸に取り付けられた外側スリーブ16と、を含む。カニューレハウジング12は、臨床医による係合のために寸法決めされ、そこを通って導入される外科用物体の周囲にシールを確立するように適合された1つ以上の内部シール(図示せず)を含み得る。カニューレハウジング12はまた、例えば腹腔内に送達するための吹き込み流体源(図示せず)に接続するための吹き込みコネクタ18(例えば、ルアーコネクタ)を含むことができる。拡張可能なバルーン20(初期未拡張状態で示される)が、外側スリーブ16に結合される。
【0022】
次に、図2~4を参照すると、説明のため取り外された外側スリーブ16及び拡張可能なバルーン20が示され、カニューレ部材14は、近位端22と遠位端24と、を有し、カニューレ部材14が沿って延びる長手方向軸「k」を画定する。カニューレ部材14は、外科用物体の通過を可能にするための長手方向内腔26(図5)及び外面14oを画定する内面14iを有する。長手方向内向26はまた、吹き込みコネクタ18と流体連通して、腹腔内に吹き込まれた流体を運んで、気腹を確立及び/または維持する。
【0023】
図2~4に関連して図5の断面図を参照すると、カニューレ部材14は、その外面14oの長さの大部分に沿って延びる複数の長手方向リブ28を含む。ある実施形態では、長手方向リブ28は、長手方向軸「k」に対して平行な関係にある。長手方向リブ28は、カニューレ部材14の構造的安定性を高めるように構成することができる。半径方向に隣接する長手方向リブ28は、その間にカニューレ部材14の長さの大部分に沿い、長手方向軸「k」に平行に延びる長手方向チャネル30を画定する。代替では、長手方向リブ28及び長手方向チャネル30は、長手方向軸「k」に対して斜めに配列されてもよく、または1つ以上の曲率を有してもよい。長手方向チャネル30は、長手方向軸「k」の周りに等距離の半径方向に離間した関係で配列されてもよく、または代替的に、異なる間隔で、またはランダムに離間されてもよい。
【0024】
カニューレ部材14はさらに、遠位端24に隣接して環状凹部32(図2及び4)を画定し、ここで、長手方向リブ28及び長手方向チャネル30は終結する。カニューレ部材14のカニューレ先端34は、環状凹部32の遠位に配置され、組織を通過するのを容易にするように構成される。
【0025】
導管36は、カニューレ部材14の少なくとも1つの長手方向チャネル30内に位置付けされる。導管36は、膨張流体を運ぶための通路36pを画定する管状構造であってもよい。いくつかの実施形態では、導管36は、1つ以上の長手方向チャネル30内に配置され、いくつかの実施形態では、導管36は、各々の長手方向チャネル30内に位置付けされる。導管36は、カニューレ部材14の環状凹部32内に延びている。図5によく示すように、導管36の各々は、それぞれの長手方向チャネル30の深さよりも大きくない直径を画定する。この構成では、導管36は、カニューレ部材14の長手方向のリブ28または外面14oを越えて半径方向に延びていないので、それによって、カニューレ部材14の全体的な外形が減少し、カニューレ部材14を前進させるのに必要な貫通力が最小限になる。代替的に、導管36は、カニューレ部材14の外面14oを越えて半径方向に延びることができる。この実施形態では、導管36は比較的柔らかい材料、例えばポリウレタンから製作され、カニューレ部材14にわたって外側スリーブ16を組み立てると圧縮されて楕円形を呈する。外側スリーブ16によるこの圧縮によって、導管36は、長手方向リブ28またはカニューレ部材14の外面を越えて延びない。さらに別の代替では、導管36は、金属材料またはポリマー材料を含む比較的剛性の材料から製作することができる。
【0026】
再び図3を参照すると、カニューレ部材14は、カニューレハウジング12に隣接して位置付けされた流体ポート38をさらに含む。流体ポート38は、シリンジ、配管などを介して、膨張流体源「f」に結合するように構成される。流体ポート38は、流体ポート38内に導入された膨張流体が導管36によってカニューレ部材14の環状凹部32に向かって運ばれるように導管36の近位端を取り囲み、導管36と流体連通する。
【0027】
次に、図5~7を参照して、外側スリーブ16について説明する。外側スリーブ16は、カニューレ部材14の周りに同軸に取り付けられ、流体ポート38内の位置からカニューレ部材14の遠位端24に隣接する位置まで延びる。外側スリーブ16は、カニューレ部材14の長手方向の長さの大部分に沿って延びることができる。外側スリーブ16は、導管36を長手方向チャネル30内に包囲し、それによって、組み立てられた構成要素に構造的支持を提供する。外側スリーブ16は、摩擦嵌合または締り嵌めによって、または接着剤、セメント、溶接などを用いて、流体ポート38内及びカニューレ部材14内に固定することができる。一実施形態では、外側スリーブ16は、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリエステルなどのエラストマー材料から製作される。この実施形態では、外側スリーブ16は、カニューレ部材14の直径に近似する直径を画定して、長手方向チャネル30及び導管36を摩擦シール関係で包囲する。代替的に、外側スリーブ16は、カニューレ部材14の直径よりも小さい直径を有し、カニューレ部材14の周りに位置付けされるように引き伸ばされる。カニューレ部材14上に位置付けされると、外側スリーブ16は、長手方向の動きから固定され、カニューレ部材14、長手方向リブ28及び長手方向チャネル30を包囲し、場合によってはシールする包囲体として機能する。実施形態では、外側スリーブ16は、流体ポート38内に、流体ポート38の周りに、または流体ポート38に対して、シールされた関係で固定される。
【0028】
拡張可能なバルーン20は、外側スリーブ16に結合され、カニューレ部材14の遠位端24の周りに同軸に取り付けられる。拡張可能なバルーン20は、従来の方式によって結合された外側スリーブ16とは別個の構成要素であってもよい。一実施形態では、拡張可能なバルーン20は、例えば好適なエラストマー材料から外側スリーブ16とモノリシックに形成される。例えば、拡張可能なバルーン20は、未拡張状態と少なくとも部分的な拡張状態との間で移行することができる成形または熱成形プロセスを受ける、外側スリーブ16のバルーンセグメントであってもよい。拡張可能なバルーン20は、流体ポート38、導管36を通って拡張可能なバルーン20の内部容積20v内への膨張流体の通過時、半径方向外側に拡張する。
【0029】
拡張可能なバルーン20は、カニューレ部材14の環状凹部32の周りに取り付けられている。実施形態では、環状凹部32は、導管36を通って分配された膨張流体を受け入れるための空隙または空間を作り出し、それによって、拡張可能なバルーン20の内部容積20v内への膨張流体の進入を容易にする。さらに、拡張可能なバルーン20は、未拡張状態にあるとき、組織に対してカニューレ部材14を挿入する間に環状凹部32内に少なくとも部分的に受け入れられ、それによって、カニューレ部材14の全体的な外形が減少する。拡張可能なバルーン20の近位端は、環状凹部32の近位のカニューレ部材14のセグメントに固定されてもよく、拡張可能なバルーン20の遠位端は、カニューレ先端34に固定されてもよい。拡張可能なバルーン20の中間部分は取り付けられていない。拡張可能なバルーン20の固定は、外側スリーブ16に関連して上述した方式のうちの任意のものによって行うことができる。他の実施形態では、拡張可能なバルーン20は、締り嵌めまたは摩擦嵌めによってカニューレ部材14に対して固定されてもよい。
【0030】
図8は、下にある腔、例えば、腹腔「c」にアクセスするカニューレアセンブリ10を示す。1つの方式では、腹腔「c」を吹き込んで気腹を確立する。オブチュレータ100は、カニューレアセンブリ10の中に位置付けされ、組み立てられたユニットは、腹壁「w」を貫通するように前進される。膨張流体は、流体ポート38を介して導入され、導管36を通って拡張可能なバルーン20の内部容積20vに連通している。図8に示す拡張状態または少なくとも部分的な拡張状態では、拡張可能なバルーン20は、腹腔「c」からのカニューレアセンブリ10の引き抜きに抵抗する一方で、腹腔「c」からの膨張流体を含む流体の通過を最小にする腹壁「w」の内部表面内にシールも提供する。固定ロックカラー(図示せず)のカフをカニューレアセンブリ10の近位端22の周りに位置付けし、腹壁「w」の外面に係合するように前進させることができる。拡張可能なバルーン20と組み合わされたカフは、引き抜き及び挿入方向の両方においてカニューレ部材14の動きを最小にし、また、腹壁「w」における通路の周りのシールを維持するのを助ける。
【0031】
図9~12は、膨張流体を拡張可能なバルーン20に連通させる経路として、カニューレ部材14内に長手方向チャネル30を残して導管36を除去する一実施形態を示す。この実施形態によれば、長手方向チャネル30は、エラストマー材料から製作され、カニューレ部材14の周りにシールを確立する外側スリーブ16によってそれぞれの長さに沿って囲まれている。この配置は、導管36の断面積と比較して、長手方向チャネル30のより大きい容積または断面積に起因して、拡張可能なバルーン20への膨張流体のより大きな流速を可能にすることができる。長手方向リブ28は、1つ以上の長手方向のチャネル30内での外側スリーブ16の崩壊の可能性を最小にするように離間されている。複数の長手方向チャネル30は、1つ以上の長手方向チャネル30が閉塞された場合でも、膨張流体の通過を確実にする。
【0032】
別の実施形態では、カニューレ部材14は、長手方向チャネル30内に1つ以上の導管36及び導管36を欠く1つ以上の長手方向チャネル30を含むことができる。この実施形態では、導管36及び非占有の長手方向チャネル30は、膨張流体が拡張可能なバルーン20の内部容積20vに対してそれに沿って流れる流路を画定する。
【0033】
次に、図13~15を参照すると、本開示のカニューレアセンブリの別の例示的な実施形態が示されている。カニューレアセンブリ200は、カニューレハウジング202と、カニューレハウジング202から延び、長手方向軸「b」を画定するカニューレ部材204と、カニューレ部材202の周りに同軸に取り付けられる外側スリーブ206とを含む。カニューレハウジング202は、図1~8の実施形態のカニューレハウジング12と実質的に同様である。カニューレ部材204は、長手方向内腔207と、近位端208及び遠位端210とを画定する。カニューレ部材204は、その外面204oに画定され、カニューレ部材204の長さの大部分にわたって長手方向軸「b」に沿って延びる単一の長手方向溝212を有する。実施形態では、単一の長手方向溝212は、直線的であり、長手方向軸「b」に対して平行であり、カニューレ部材204の近位端208を通って延びることができる。代替では、単一の長手方向溝212は、1つ以上の湾曲部を有してもよく、または長手方向軸「b」に対してオフセットされたセグメントを保持してもよい。単一の長手方向溝212は、図示のようにU字形または丸みを帯びた断面を有することができる。カニューレ部材204は、その遠位端210に隣接するカニューレ先端214を有する。カニューレ先端214は、以下に説明するように、外側スリーブ206の固定を容易にする段付き領域または棚部216を画定する。
【0034】
外側スリーブ206は、カニューレ部材204に沿って延び、その近位端において、カニューレハウジング202の流体ポート218に流体的に結合される。外部スリーブ206は、前述のいずれかの方式を通じて流体ポート218に対して固定されてもよい。外側スリーブ206の遠位端220は、段付き領域または棚部216に隣接するカニューレ部材204に固定される。実施形態では、棚部216は、カニューレ先端214と外側スリーブ206との間の滑らかな移行を提供するために、外側スリーブ206の外側寸法と実質的に等しい最大外側寸法を画定する。
【0035】
実施形態では、外側スリーブ206は、その遠位端220に隣接するバルーンセグメント222を組み込んでモノリシックに形成される。バルーンセグメント222は、未拡張状態と拡張状態との間で移行することができる(図13)。未拡張状態では、バルーンセグメント222は、カニューレ部材204の外面204oと実質的に同一平面上にあってもよい。バルーンセグメント222は、近位端224及び遠位端226を画定することができる。近位端224は、カニューレ部材204に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。バルーンセグメント222の遠位端226は、外側スリーブ206の遠位端220と一致してもよく、上述したように、棚部216に隣接して固定されてもよい。
【0036】
単一の導管または管228が、カニューレ部材204の単一の長手方向溝212内に配置され、一端で流体ポート218内から延び、他端でバルーンセグメント222内で終端する。導管228は、ポリウレタンまたは他の比較的柔らかいエラストマー材料から製作されてもよい。導管228は、応力のない状態にあるとき、実質的に円形の断面寸法を画定することができる。実施形態では、導管228の外側寸法は、単一の長手方向溝212の半径方向深さよりも大きい。したがって、外側スリーブ206をカニューレ部材204の周りに組み立てる際に、導管228は、外側スリーブ206によって圧縮され、図15に示されるように単一の長手方向溝212内に閉じ込められ、場合によって固定される楕円形状を呈することができる。代替では、単一の長手方向溝212は、少なくとも部分的にその中に配置された複数の導管228を含むことができる。
【0037】
カニューレアセンブリ200は、カニューレ部材204の周りに取り付けられたカラー230をさらに含むことができる。カラー230は、発泡体などから製作されてもよく、カニューレ部材204の腹壁に対する固定を容易にするために、腹壁に対向して位置決めするために、「z」の方向矢印の方向にカニューレ部材204に沿って往復する長手方向の動きを適合する。
【0038】
カニューレアセンブリ200は、図1~12の実施形態と同様の方法で外科処置において利用される。単一の長手方向溝212及び関連する単一の導管228は、バルーンセグメント222の均一な拡張及び収縮を容易にする所定の流量を提供するような寸法にすることができる。単一の導管228はまた、バルーンセグメント222の収縮速度を減少させて、収縮中のこれらの構成要素の崩壊を回避するために、バルーンセグメント222及び/または単一の導管228内に形成される真空力の可能性を最小にすることもできる。
【0039】
次に、図16~17を参照すると、本開示のカニューレアセンブリの別の例示的な実施形態が示されている。このカニューレアセンブリ300は、図13~15の実施形態のカニューレアセンブリ200と同様である。しかしながら、この実施形態によれば、外側スリーブ300は、バルーンセグメント302の未拡張状態の反転バルーンセグメント302を画定する。外側スリーブ302は、製造中に熱成形または成形されて、反転の形状を有するバルーンセグメント302を生成することができる。実施形態では、外側スリーブ302の遠位端306は、カニューレ308の遠位端310の小さな領域または長さに沿ってのみカニューレ308に取り付けられる。例えば、カニューレ308の遠位端310に対する外側スリーブ302の遠位端306の取り付け領域312は、先の実施形態と比較して、少なくとも50%の長さの短縮が可能である(例えば、図14参照)。これにより、未拡張バルーンセグメント302に余計な弛緩が生じ、外側スリーブ300の弾性に関連して、未拡張のときにバルーンセグメント302が反転状態を呈することが可能になる。これに加えて、または代替的に、外側スリーブ302の遠位端306の取り付け領域312は、先の実施形態に対してより近位にあり得、それにより、外側スリーブ300にさらにさらなる弛緩を生成する。バルーンセグメント302の近位端に隣接する外側スリーブ300は、先の実施形態と同様に、カニューレ308に固定されてもよい。
【0040】
図17は、拡張状態のバルーンセグメント302を示す。バルーンセグメント302の反転配置に少なくとも部分的に起因して、拡張状態への拡張時に、バルーンセグメント302は、外側スリーブ300の遠位端306が、バルーンセグメント302内に少なくとも部分的に閉じ込められるように外側スリーブ300の遠位端306の取り付け領域312を少なくとも部分的に越えてカニューレ308まで延びる。より重要なことには、バルーンセグメント302は、カニューレ306の貫通先端314に対して(例えば、外側スリーブ302の取り付け領域312を越えて)または、沿ってさらに延び、その結果、貫通先端314の小さな部分のみが、バルーンセグメント302を越えて露出される。したがって、腹腔内に位置付けされたとき、及びバルーンセグメント302が拡張状態にあるとき、比較的小さい部分または貫通先端314の長さのみが腹腔内に延びる。腹腔内に貫通先端314が少ないので、例えば、カニューレ306を介して腹腔内に導入された内視鏡または腹腔鏡による視覚化が増強される。
【0041】
他の点では、カニューレアセンブリ300は、図13~15の実施形態のカニューレアセンブリ200と同様の構成及び使用である。外側スリーブ300の近位端316は、カニューレ306の近位端に取り付けられても取り付けられなくてもよい。カニューレ306の傾斜した貫通先端314は、バルーンセグメント302の未拡張状態にあるときに腹壁を通る通過を容易にするために利用される。
【0042】
バルーンセグメント302の反転配置に少なくとも部分的に起因して、拡張状態への拡張時に、バルーンセグメント302は、外側スリーブ300の遠位端306が、バルーンセグメント302内に少なくとも部分的に閉じ込められるように外側スリーブ300の遠位端306の取り付け領域312を少なくとも部分的に越えてカニューレ308まで延びる。より重要なことには、バルーンセグメント302は、カニューレ306の貫通先端314に対して(例えば、外側スリーブ302の取り付け領域312を越えて)または、沿ってさらに延び、その結果、貫通先端314の小さな部分のみが、バルーンセグメント302を越えて露出される。したがって、腹腔内に位置付けされたとき、及びバルーンセグメント302が拡張状態にあるとき、比較的小さい部分または貫通先端314の長さのみが腹腔内に延びる。腹腔内に貫通先端314が少ないので、例えば、カニューレ306を介して腹腔内に導入された内視鏡または腹腔鏡による視覚化が増強される。
【0043】
他の点では、カニューレアセンブリ300は、図13~15の実施形態のカニューレアセンブリ200と同様の構成及び使用である。外側スリーブ300の近位端316は、カニューレ306の近位端に取り付けられても取り付けられなくてもよい。カニューレ306の傾斜した貫通先端314は、バルーンセグメント302の未拡張状態にあるときに腹壁を通る通過を容易にするために利用される。
【0044】
アクセスアセンブリのさらなる例では、任意の刃状、刃なし及び/または光学式のオブチュレータと共に使用することができるカニューレアセンブリ400が図18に示されている。カニューレアセンブリは、1つ以上のシール(器具シール、ゼロ閉鎖シール、ダックビルシールなど)を収容するためのカニューレハウジング402と、遠位先端414と、吹き込みポート418と、上記で開示されたものと同様の拡張可能な部材422と、を有する。この例では、固定部材は固定カラーアセンブリ430に置き換えられている。固定カラーアセンブリは、カニューレ部材404に沿って移動可能であり、ロック部材403を有する。
【0045】
固定カラーアセンブリ430は、円錐形状のプラグ401に加えて、前述のロック部材403を有する。ロック部材は、固定カラーアセンブリ430の位置をロック及びロック解除するための大きなタブ405及び小さなタブ406を有する。アセンブリは、プラグ401及びロック部材403を支持するためのプラグ支持部422を有する。プラグ支持部422は、バンプとして形成され得る1つ以上の縫合糸固定部材423を画定する。示されている例では、縫合固定用バンプは、プラグ支持部422上の正反対の場所に円形の形体である。プラグ401は、プラグ401の材料の上方延長部であり、円筒状の形状のプラグネック444を有する。プラグネック444は、その内面446に、カニューレ部材の外面との摩擦係合を助けるための形体447を有してもよい。例えば、リッジまたはバンプ447が内面446上に画定される。
【0046】
ロック部材403は、プラグネック444を包囲するプラグ401に支持され、固定カラーアセンブリの位置をロックするための大きなタブ405と、固定カラーアセンブリの位置をロック解除するための小さなタブ406とを有する。大きなタブ及び小さなタブは、ネック444を取り囲むロック部材403の正反対の場所に位置付けされる。(図19参照)。
【0047】
大きなタブ405が押されると、プラグ401のネック444は圧縮され、ネック444は、カニューレ部材404の表面に対するプラグ401のネック444を圧縮することによってカニューレ部材の外面との緩やかな締りから強制的な締りに移行する。図22は、ロック部材403が、プラグ401の首部444をカニューレ部材に対して圧縮することを示している。ロック部材の第1の端部は、ロック部材の第2の端部とは異なる寸法を有する(差は「h」で示される)。プラグ401の下端は、腹部の切開部との穏やかな係合のための円錐形を画定する。プラグ401は、ポリウレタン発泡体、Krayton、Santopreneまたはシリコーンのような成形エラストマー材料から形成することができる。
【0048】
図21及び22は、ロック部材403の上面図を示す。ロック部材は、形状が長方形であり、内面を画定する。小さなタブ406に隣接するロック部材の端部403aは、プラグ401のネック444の大きさに比較して相対的に大きい内部容積を有するが、大きなタブ405に隣接するロック部材の端部403bは、ネック444のサイズに比較して比較的小さい内部容積を有する。したがって、ロック部材403をネック444に対して横方向に摺動させることにより、より小さい容積を有するロック部材403の端部を、ネック部材に係合させてカニューレ部材に対して圧縮することができる。
【0049】
ロック部材は他の構成を有することができると考えられる。これは、1つ以上の可動部分を有する別の配置のクリップであってもよい。それはラッチとして構成することができる。
【0050】
ヤング率が低いプラグ401の柔軟なまたは弾力性のある材料は、圧縮力の変動を低減し、ロック部材の大きさ及び形状を変化させて、異なるプラグ401のための材料で作業することができる。
【0051】
固定カラーアセンブリ430には多くの利点がある。それは、意図しない套管針の変位を最小限に抑えることによって、腹部の臓器への損傷を防止する。それは、筋膜の欠損を最小限に抑えながら、カニューレの固定及び関節運動を提供する。気腹は、維持され、便利な片手操作が提供される。アクセスアセンブリが使いやすく、套管針の引き込みを防止するので、手順時間が短縮される。作業の長さは、固定カラーアセンブリの高さを最小にすることによって最小化される。それは、柔軟な材料で作られた広い円錐状のプラグと、コンパクトで小外形のロック部材の組み合わせを有し、患者の皮膚への潜在的な外傷を最小にする。信頼性が向上する。
【0052】
本発明は、好ましい実施形態を参照して具体的に示され説明されたが、当業者であれば、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく、形態及び詳細の様々な修正及び変更がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定するものではなく、単に好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。したがって、上記で提案されたもののような修正は、本発明の範囲内であると見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22