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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】位置検出装置及びセンサパネル
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240112BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/044 120
G06F3/041 522
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022145120
(22)【出願日】2022-09-13
(62)【分割の表示】P 2021138642の分割
【原出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023033249
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】110004277
【氏名又は名称】弁理士法人そらおと
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】門脇 淳
(72)【発明者】
【氏名】二藤部 隆太郎
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-123395(JP,A)
【文献】特開2019-029041(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050202(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0326990(US,A1)
【文献】特開2019-121205(JP,A)
【文献】特開2011-227793(JP,A)
【文献】特開2015-026343(JP,A)
【文献】特開2014-170334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ第1の方向に沿って略長方形のセンサパネル内に延設された第1及び第2のセンサ電極と、
それぞれ前記第1及び第2のセンサ電極に接続される第1及び第2の接続配線と、
前記第1及び第2の接続配線に接続されるセンサコントローラと、
を含む位置検出装置であって、
前記第1の接続配線は、前記センサパネルの前記第1の方向の一端に沿って設けられた第1の領域内に延設され、
前記第2の接続配線は、前記センサパネルの前記第1の方向の他端に沿って設けられた第2の領域内に延設され、
前記第2の領域内に前記第2の接続配線との間に結合容量が発生するように延設され、前記第1のセンサ電極と電気的に接続される第1の延長線と、
前記第1の領域内に前記第1の接続配線との間に結合容量が発生するように延設され、前記第2のセンサ電極と電気的に接続される第2の延長線と、
をさらに含む位置検出装置。
【請求項2】
それぞれ前記第1の方向に沿って前記センサパネル内に延設された第3及び第4のセンサ電極と、
前記第2の領域内に前記第1の延長線との間に結合容量が発生するように延設され、前記第3のセンサ電極と電気的に接続される第3の延長線と、
前記第1の領域内に前記第2の延長線との間に結合容量が発生するように延設され、前記第4のセンサ電極と電気的に接続される第4の延長線と、
をさらに含む請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記第1の接続配線は、前記第1のセンサ電極の前記第1の方向の一端に接続され、
前記第2の接続配線は、前記第2のセンサ電極の前記第1の方向の他端に接続され、
前記第3のセンサ電極の前記第1の方向の一端に接続される第3の接続配線と、
前記第4のセンサ電極の前記第1の方向の他端に接続される第4の接続配線と、をさらに含み、
前記第1の延長線は、前記第1のセンサ電極の前記第1の方向の他端に接続され、
前記第2の延長線は、前記第2のセンサ電極の前記第1の方向の一端に接続され、
前記第3の延長線は、前記第3のセンサ電極の前記第1の方向の他端に接続され、
前記第4の延長線は、前記第4のセンサ電極の前記第1の方向の一端に接続される、
請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第1の接続配線は、第1のフレキシブルプリント基板内に延設され、
前記第2の接続配線は、前記第1のフレキシブルプリント基板とは異なる第2のフレキシブルプリント基板内に延設され
請求項1又は2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
それぞれ第1の方向に沿って略長方形のセンサパネル内に延設された第1及び第2のセンサ電極と、
それぞれ前記第1及び第2のセンサ電極に接続される第1及び第2のルーティング線と、
を含むセンサパネルであって、
前記第1のルーティング線は、前記センサパネルの前記第1の方向の一端に沿って設けられた第1の領域内に延設され、
前記第2のルーティング線は、前記センサパネルの前記第1の方向の他端に沿って設けられた第2の領域内に延設され、
前記第2の領域内に前記第2のルーティング線との間に結合容量が発生するように延設され、前記第1のセンサ電極と電気的に接続される第1の延長線と、
前記第1の領域内に前記第1のルーティング線との間に結合容量が発生するように延設され、前記第2のセンサ電極と電気的に接続される第2の延長線と、
をさらに含むセンサパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置及びセンサパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量方式の位置検出装置は、タッチ面(兼ディスプレイの表示面)と重ねて配置されるセンサパネルと、センサコントローラと、センサパネルにセンサコントローラを接続するための配線を有するフレキシブルプリント基板とを含む装置である。センサパネル内には、それぞれY方向に延設され、X方向に等間隔で並置される複数のX電極と、それぞれX方向に延設され、Y方向に等間隔で並置される複数のY電極とが配置される。以下では、X電極及びY電極を「センサ電極」と総称する場合がある。
【0003】
センサパネル内にはさらに、それぞれフレキシブルプリント基板内の配線(以下「FPC配線」と称する)に圧着される複数のFPC接続端子と、複数のセンサ電極のそれぞれを対応するFPC接続端子に接続するための複数のルーティング線とが配置される。以下では、FPC配線及びルーティング線を「接続配線」と総称する。
【0004】
特許文献1には、以上のような構成を有する位置検出装置の例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-119356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、センサコントローラは、ペンが送信した信号(以下「ダウンリンク信号」と称する)の各センサ電極における受信強度を取得することによって受信強度の分布曲線を導出し、その頂点を導出することによって、ペンの位置を導出するよう構成される。このような位置導出の過程において、ダウンリンク信号の受信強度はセンサ電極ごとに独立して取得可能であることが好ましいが、実際には、隣接するセンサ電極間や隣接する接続配線間に結合容量が発生することから、各センサ電極を電気的に完全に独立させることは不可能である。そこで次善の策として、従来、各センサ電極の接続配線を等間隔で並走させることにより、各センサ電極を中心とする結合容量の分布が概ね一定になるようにしている。こうすることで、上記結合容量が位置導出に与える影響を最小限に抑えることが可能になる。
【0007】
しかしながら近年、接続配線の一部又は全部を複数の領域に分散して配置せざるを得ない場合が生じている。一例を挙げると、近年のディスプレイの狭ベゼル化に伴い、複数のY電極に接続される複数のルーティング線を、タッチ面の右側の領域と左側の領域とに分散して延設しなければならない場合がある。また、近年の大画面化に伴ってセンサ電極の本数が増加しており、その結果として、複数のX電極に対応する複数のFPC配線を2つ以上のフレキシブルプリント基板に分散して配置しなければならない場合が生じている。これらの場合、領域の境目に対応する2つのセンサ電極のそれぞれを中心とする結合容量の分布が、その他のセンサ電極を中心とする結合容量の分布と大きく異なることとなり、結果として、導出される位置の精度が低下してしまうので、改善が必要とされている。
【0008】
また、ダウンリンク信号には外来ノイズが重畳する場合がある。そこで従来のセンサコントローラは、各センサ電極における受信強度そのものではなく、隣接するセンサ電極間における受信強度の差分を導出し、導出した差分に基づいて上述した分布曲線を導出するよう構成される。以下、このような分布曲線の導出方式を差分方式と称する。差分方式によれば、差分の導出の際に外来ノイズが打ち消されるので、外来ノイズによる影響を最小化することが可能になる。
【0009】
ここで、差分方式によって外来ノイズによる影響を最小化するためには、ダウンリンク信号に重畳する外来ノイズの大きさが隣接するセンサ電極間で等しいことが必要である。しかしながら、上記のように接続配線の一部又は全部を複数の領域に分散して配置する場合、この前提が成立しなくなる場合がある。すなわち、ダウンリンク信号に重畳する外来ノイズには接続配線で受信される成分も含まれるが、上記のように接続配線の一部又は全部を複数の領域に分散して配置する場合、隣接する2本のセンサ電極に接続される接続配線が離れて延設されることがある。そうすると、受信される外来ノイズの大きさがこれらの接続配線間で等しくなるとは必ずしも言えなくなり、結果として、導出される位置の精度が低下してしまうので、改善が必要とされている。
【0010】
したがって、本発明の目的の一つは、接続配線の一部又は全部を複数の領域に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止できる位置検出装置及びセンサパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の側面による位置検出装置は、互いに隣接する第1及び第2のセンサ電極を含む複数のセンサ電極と、それぞれ前記複数のセンサ電極に接続される複数の接続配線と、前記複数の接続配線に接続されるセンサコントローラと、を含む位置検出装置であって、前記複数の接続配線のうち前記第1のセンサ電極に接続される前記接続配線である第1の接続配線を含む一部は、第1の領域内に等間隔で延設され、前記複数の接続配線のうち前記第2のセンサ電極に接続される前記接続配線である第2の接続配線を含む残部は、前記第1の領域とは異なる第2の領域内に等間隔で延設され、前記第2の接続配線に沿って前記第2の領域内に延設され、前記第1のセンサ電極と電気的に接続される第1の延長線と、前記第1の接続配線に沿って前記第1の領域内に延設され、前記第2のセンサ電極と電気的に接続される第2の延長線と、をさらに含む位置検出装置である。
【0012】
本発明の第1の側面によるセンサパネルは、互いに隣接する第1及び第2のセンサ電極を含む複数のセンサ電極と、それぞれ前記複数のセンサ電極に接続される複数のルーティング線と、を含むセンサパネルであって、前記複数のルーティング線のうち前記第1のセンサ電極に接続される前記ルーティング線である第1のルーティング線を含む一部は、第1の領域内に等間隔で延設され、前記複数のルーティング線のうち前記第2のセンサ電極に接続される前記ルーティング線である第2のルーティング線を含む残部は、前記第1の領域とは異なる第2の領域内に等間隔で延設され、前記第2のルーティング線に沿って前記第2の領域内に延設され、前記第1のセンサ電極と電気的に接続される第1の延長線と、前記第1のルーティング線に沿って前記第1の領域内に延設され、前記第2のセンサ電極と電気的に接続される第2の延長線と、をさらに含むセンサパネルである。
【0013】
本発明の第2の側面による位置検出装置は、互いに隣接する第1及び第2のセンサ電極を含む複数のセンサ電極と、それぞれ前記複数のセンサ電極に接続される複数の接続配線と、前記複数の接続配線に接続されるセンサコントローラと、を含む位置検出装置であって、前記複数の接続配線のうち前記第1のセンサ電極に接続される前記接続配線である第1の接続配線を含む一部は、第1の領域内に等間隔で延設され、前記複数の接続配線のうち前記第2のセンサ電極に接続される前記接続配線である第2の接続配線を含む残部は、前記第1の領域とは異なる第2の領域内に等間隔で延設され、前記第1の接続配線に沿って前記第1の領域内に延設され、前記複数のセンサ電極のいずれとも接続されない一方、前記センサコントローラに接続される第1のダミー線と、前記第2の接続配線に沿って前記第2の領域内に延設され、前記複数のセンサ電極のいずれとも接続されない一方、前記センサコントローラに接続される第2のダミー線と、をさらに含み、前記センサコントローラは、前記第1の接続配線より供給される信号から前記第1のダミー線より供給される信号を減じてなる第1の差分信号と、前記第2の接続配線より供給される信号から前記第2のダミー線より供給される信号を減じてなる第2の差分信号との差分に基づいてペンの位置を導出する、位置検出装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の側面によれば、各センサ電極を中心とする結合容量の分布を概ね一定の範囲に収めることができるので、接続配線の一部又は全部を複数の領域に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になる。
【0015】
本発明の第2の側面によれば、差分を導出する際に外来ノイズを打ち消すことができるので、接続配線の一部又は全部を複数の領域に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態による位置検出システム1のシステム構成を示す図である。
図2図1に示した位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。
図3】(a)~(c)はそれぞれ、図2に示したセンサパネル30から延長線EX1~EX4を除去してなる比較例における、Y電極30y4,30y5,30y6を中心とする結合容量の分布を模式的に示す図であり、(d)~(f)はそれぞれ、本発明の第1の実施の形態におけるY電極30y4,30y5,30y6を中心とする結合容量の分布を模式的に示す図である。
図4】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例による位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。
図5】本発明の第1の実施の形態の第2の変形例による位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。
図6】本発明の第2の実施の形態による位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。
図7】(a)~(c)はそれぞれ、背景技術によるセンサコントローラ31内に設けられる回路を示す図である。
図8】本発明の第2の実施の形態によるセンサコントローラ31内に設けられる回路を示す図である。
図9】本発明の第2の実施の形態の第1の変形例によるセンサコントローラ31内に設けられる回路を示す図である。
図10】本発明の第2の実施の形態の第2の変形例による位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。
図11】本発明の第2の実施の形態の第3の変形例による位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。
図12】(a)(b)はそれぞれ、本発明の第2の実施の形態の第3の変形例によるセンサコントローラ31内に設けられる回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態による位置検出システム1のシステム構成を示す図である。同図に示すように、位置検出システム1は、ペン2と、タッチ面3aを有する電子機器3とを有して構成される。ペン2は、アクティブ静電結合方式に対応するアクティブペンである。電子機器3は例えばタブレット型のコンピュータであり、同図に示すように、センサパネル30、センサコントローラ31、ディスプレイ32、ホストプロセッサ33を有して構成される。
【0019】
ペン2は、センサコントローラ31がセンサパネル30を介して送信したアップリンク信号USを受信し、受信したアップリンク信号USに応じてダウンリンク信号DSを送信するよう構成される。アップリンク信号USはセンサコントローラ31が周期的に送信する信号であり、ペン2に対してダウンリンク信号DSの送信タイミング及び次のアップリンク信号USの受信タイミングを通知するとともに、ペン2に対するコマンドを送信する役割を有している。アップリンク信号USを受信したペン2は、アップリンク信号USの受信タイミングに基づいてダウンリンク信号DS及び次のアップリンク信号USの送受信スケジュールを決定し、決定した送受信スケジュールに従って、ダウンリンク信号DSの送信及び次のアップリンク信号USの受信を行う。また、ペン2は、アップリンク信号US内に含まれていたコマンドに従って、ダウンリンク信号DSの生成を行う。
【0020】
ダウンリンク信号DSは、無変調の搬送波信号である位置信号と、データに基づいて変調された搬送波信号であるデータ信号とを含む信号である。このうち位置信号は、センサコントローラ31がペン2の位置を導出するために用いられる。また、データ信号は、ペン2からセンサコントローラ31に対して所定のデータを送信するために用いられる。データ信号により送信されるデータには、ペン2に予め割り当てられたペンID、ペン2のペン先に加わる圧力の大きさを示す筆圧値、ペン2の表面に設けられるスイッチのオンオフ状態を示す情報などが含まれる。
【0021】
センサパネル30及びセンサコントローラ31は、タッチ面3a内におけるペン2の位置を検出する位置検出装置34を構成している。具体的に説明すると、まずセンサパネル30は、平坦な表面であるタッチ面3aの直下に配置される長方形の部材であり、複数のセンサ電極を有して構成される。センサコントローラ31は、フレキシブルプリント基板内に設けられる各複数のFPC配線FLx,FLyを介して、センサパネル30内の各センサ電極と個別に接続される集積回路である。センサコントローラ31は、センサパネル30内の一部又は全部のセンサ電極を用いて周期的にアップリンク信号USを送信するとともに、該アップリンク信号USに応じてペン2が送信したダウンリンク信号DSを、センサパネル30を介して受信する処理を行う。
【0022】
未検出のペン2から位置信号を受信する場合、センサコントローラ31は、すべてのセンサ電極のそれぞれにおける位置信号の受信強度を取得し、その結果から受信強度の分布曲線を導出することによって、タッチ面3a内におけるペン2の位置を導出する(グローバルスキャン)。一方、検出済みのペン2から位置信号を受信する場合、センサコントローラ31は、前回導出した位置の近傍に位置する所定数本のセンサ電極のそれぞれにおける位置信号の受信強度を取得し、その結果から受信強度の分布曲線を導出することによって、タッチ面3a内におけるペン2の位置を更新する(ローカルスキャン)。ペン2からデータ信号を受信する場合のセンサコントローラ31は、前回導出した位置の近傍に位置する1本又は所定数本のセンサ電極においてデータ信号を受信し復調することによって、ペン2が送信したデータを取得する。センサコントローラ31は、以上のようにして導出した位置及び取得したデータを、その都度、ホストプロセッサ33に供給するよう構成される。
【0023】
ホストプロセッサ33は電子機器3の中央処理装置であり、図示しないメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、電子機器3のオペレーティングシステムや各種のアプリケーションを実行する役割を果たす。ホストプロセッサ33により実行されるアプリケーションには、描画アプリケーションが含まれる。
【0024】
描画アプリケーションは、センサコントローラ31から逐次供給される位置及びデータに基づいてストロークデータを生成する処理をホストプロセッサ33に実行させるプログラムである。描画アプリケーションがホストプロセッサ33に実行させる処理には、他にも、生成したストロークデータをメモリに格納する処理、生成したストロークデータをレンダリングすることによって映像信号を生成する処理、生成した映像信号をディスプレイ32に供給することによって、生成したストロークデータをディスプレイ32に表示する処理などが含まれる。
【0025】
ディスプレイ32は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する表示パネルと、この表示パネルを駆動することにより任意の表示を行う駆動回路とを有する表示装置である。具体的な例では、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどによって構成され得る。駆動回路は、ホストプロセッサ33から供給される映像信号に従い、表示パネルの各画素を駆動するように構成される。
【0026】
図2は、位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。同図に示すように、センサパネル30は、上述した複数のセンサ電極として、それぞれY方向に延設され、Y方向に直交するX方向に等間隔で並置される複数のX電極30xと、それぞれX方向に延設され、Y方向に等間隔で並置される複数のY電極30yとを有して構成される。なお、図2及び後掲の各図には、図面の見やすさのためX電極30x及びY電極30yをそれぞれ8本ずつのみ示している(X電極30x1~30x8、Y電極30y1~30y8)が、実際には、より多くのX電極30x及びY電極30yが設けられる。
【0027】
センサパネル30は、3つのフレキシブルプリント基板Fx,Fy1,Fy2によってセンサコントローラ31に接続される。フレキシブルプリント基板Fx内には、それぞれ複数のX電極30xに対応する複数のFPC配線FLxが延設される。同様に、フレキシブルプリント基板Fy1内には、それぞれ複数のY電極30yの一部(具体的には、Y電極30y1~30y4)に対応する複数のFPC配線FLyが延設され、フレキシブルプリント基板Fy2内には、それぞれ複数のY電極30yの残部(具体的には、Y電極30y5~30y8)に対応する複数のFPC配線FLyが延設される。
【0028】
複数のX電極30xのそれぞれとセンサコントローラ31とは、複数の接続配線CLxによって相互に接続される。各接続配線CLxは、センサパネル30内に延設されるルーティング線RLxと、上述したFPC配線FLxとを含んで構成される。センサパネル30のY方向の一端の中央には、フレキシブルプリント基板Fxをセンサパネル30に接続するためのFPC端子Txが設けられており、各接続配線CLxを構成するルーティング線RLx及びFPC配線FLxは、このFPC端子Tx内で相互に接続される。また、各接続配線CLxを構成するルーティング線RLxは、対応するX電極30xのY方向の一端(端子Tx側の端部)に接続される。以下では、X電極30x1~30x8に接続される接続配線CLyをそれぞれ接続配線CLx1~CLx8と称する場合がある。
【0029】
また、複数のY電極30yのそれぞれとセンサコントローラ31とは、複数の接続配線CLyによって相互に接続される。各接続配線CLyは、センサパネル30内に延設されるルーティング線RLyと、上述したFPC配線FLyとを含んで構成される。センサパネル30のY方向の一端の両端(FPC端子Txの両側)には、フレキシブルプリント基板Fy1,Fy2のそれぞれをセンサパネル30に接続するためのFPC端子Ty1,Ty2が設けられており、各接続配線CLyを構成するルーティング線RLy及びFPC配線FLyは、FPC端子Ty1又はFPC端子Ty2にて相互に接続される。以下では、Y電極30y1~30y8に接続される接続配線CLyをそれぞれ接続配線CLy1~CLy8と称する場合がある。
【0030】
複数の接続配線CLyのうちの一部(具体的には、接続配線CLy1~CLy4)は、センサパネル30のX方向の一端からフレキシブルプリント基板Fy1にかけて設けられた領域A1(第1の領域)内に等間隔で延設され、残部(具体的には、接続配線CLy5~CLy8)は、センサパネル30のX方向の他端からフレキシブルプリント基板Fy2にかけて設けられた領域A2(第2の領域)内に等間隔で延設される。領域A1内に延設される複数の接続配線CLyはそれぞれ、対応するY電極30yのX方向の一端(領域A1側の端部)に接続される。一方、領域A2内に延設される複数の接続配線CLyはそれぞれ、対応するY電極30yのX方向の他端(領域A2側の端部)に接続される。
【0031】
領域A2には、複数の接続配線CLyの上記残部の他に、2本の延長線EX1,EX3が延設される。同様に、領域A1には、複数の接続配線CLyの上記一部の他に、2本の延長線EX2,EX4が延設される。延長線EX1(第1の延長線)は、Y電極30y4(第1のセンサ電極)のX方向の他端(領域A2側の端部)に接続された配線であり、接続配線CLy5(第2の接続配線)に沿って延設される。延長線EX2(第2の延長線)は、Y電極30y5(第2のセンサ電極)のX方向の一端(領域A1側の端部)に接続された配線であり、接続配線CLy4(第1の接続配線)に沿って延設される。延長線EX3(第3の延長線)は、Y電極30y4を挟んでY電極30y5と隣接するY電極30y3(第3のセンサ電極)のX方向の他端(領域A2側の端部)に接続された配線であり、延長線EX1に沿って延設される。延長線EX4(第4の延長線)は、Y電極30y5を挟んでY電極30y4と隣接するY電極30y6(第4のセンサ電極)のX方向の一端(領域A1側の端部)に接続された配線であり、延長線EX2に沿って延設される。
【0032】
これら延長線EX1~EX4を設けたことにより、本実施の形態によるセンサパネル30及び位置検出装置34によれば、複数の接続配線CLyを領域A1,A2に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になる。以下、この点について詳しく説明する。
【0033】
図3(a)~図3(c)はそれぞれ、図2に示したセンサパネル30から延長線EX1~EX4を除去してなる比較例における、Y電極30y4,30y5,30y6を中心とする結合容量の分布を模式的に示す図である。各Y電極30yは他のY電極30yとの間に結合容量を有しているが、この結合容量には、他のY電極30yと直接隣接していることによって生ずる成分(センサ電極分)と、当該Y電極30yに接続される接続配線CLyが他の接続配線CLyと隣接していることによって生ずる成分(接続配線分)とが含まれる。
【0034】
まず図3(a)に着目すると、Y電極30y4は、Y電極30y2,30y3との間では接続配線分の結合容量を有する一方、Y電極30y5,30y6との間では接続配線分の結合容量を有していない。これは、接続配線CLy2~CLy4が領域A1に延設されている一方、接続配線CLy5,CLy6が領域A2に延設されていることによるものである。
【0035】
次に図3(b)に着目すると、Y電極30y5は、Y電極30y6,30y7との間では接続配線分の結合容量を有する一方、Y電極30y3,30y4との間では接続配線分の結合容量を有していない。これは、接続配線CLy5~CLy7が領域A2に延設されている一方、接続配線CLy3,CLy4が領域A1に延設されていることによるものである。
【0036】
次に図3(c)に着目すると、Y電極30y6は、Y電極30y5~30y8との間では接続配線分の結合容量を有する一方、Y電極30y4との間では接続配線分の結合容量を有していない。これは、接続配線CLy5~CLy8が領域A2に延設されている一方、接続配線CLy4が領域A1に延設されていることによるものである。
【0037】
図3(a)~図3(c)を相互に比較すると理解されるように、接続配線分の結合容量の違いに起因して、Y電極30y4,30y5,30y6のそれぞれを中心とする結合容量の分布は、互いに大きく異なるものとなっている。このようにY電極30y間で結合容量の分布が異なっていると、上述した分布曲線(位置信号の受信強度の分布曲線)に歪みが生ずるため、センサコントローラ31による位置導出の精度が低下する。
【0038】
図3(d)~図3(f)はそれぞれ、本実施の形態におけるY電極30y4,30y5,30y6を中心とする結合容量の分布を模式的に示す図である。本実施の形態においては、上述したように延長線EX1~EX4を設けているので、これらによってもY電極30y間の結合容量が発生する。そこで図3(d)~図3(f)には、図3(a)~図3(c)にも示したセンサ電極分及び接続配線分に加え、領域A1内の延長線EX2,EX4による追加発生分の結合容量(領域A1内延長線による追加分)と、領域A2内の延長線EX1,EX3による追加発生分の結合容量(領域A2内延長線による追加分)とを図示している。
【0039】
まず図3(d)に着目すると、Y電極30y4に接続される接続配線CLy4は、図2に示したように、領域A1内で延長線EX2,EX4に隣接している。その結果として、Y電極30y5,30y6との間の結合容量には、領域A1内延長線による追加分が加算される。また、Y電極30y4に接続される延長線EX1は、領域A2内で延長線EX3及び接続配線CLy5,CLy6に隣接している。その結果として、Y電極30y3,30y5,30y6との間の結合容量には、領域A2内延長線による追加分が加算される。
【0040】
次に図3(e)に着目すると、Y電極30y5に接続される接続配線CLy5は、領域A2内で延長線EX1,EX3に隣接している。その結果として、Y電極30y3,30y4との間の結合容量には、領域A2内延長線による追加分が加算される。また、Y電極30y5に接続される延長線EX2は、領域A1内で接続配線CLy3,CLy4及び延長線EX4に隣接している。その結果として、Y電極30y3,30y4,30y6との間の結合容量には、領域A1内延長線による追加分が加算される。
【0041】
次に図3(f)に着目すると、Y電極30y6に接続される接続配線CLy6は、領域A2内で延長線EX1に隣接している。その結果として、Y電極30y4との間の結合容量には、領域A2内延長線による追加分が加算される。また、Y電極30y6に接続される延長線EX4は、領域A1内で接続配線CLy4及び延長線EX2に隣接している。その結果として、Y電極30y4,30y5との間の結合容量には、領域A1内延長線による追加分が加算される。
【0042】
図3(d)~図3(f)と図3(a)~図3(c)とを比較すると理解されるように、本実施の形態による位置検出装置34においては、比較例に比べてY電極30y4,30y5,30y6の間における、それぞれを中心とする結合容量の分布の違いが緩和されている。したがって、上述した分布曲線(位置信号の受信強度の分布曲線)に生ずる歪みが比較例に比べて小さくなるので、本実施の形態によるセンサパネル30及び位置検出装置34によれば、複数の接続配線CLyを領域A1,A2に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になると言える。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態によるセンサパネル30及び位置検出装置34によれば、各Y電極30yを中心とする結合容量の分布を概ね一定の範囲に収めることができるので、接続配線CLyを領域A1,A2に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になる。
【0044】
なお、本実施の形態では、センサパネル30内に4本の延長線EX1~EX4を設ける例を説明したが、延長線EX3,EX4を省略し、延長線EX1,EX2のみを設けることとしてもよい。また、4本を超える本数の延長線を設けることとしてもよい。また、各延長線の長さは、各Y電極30yを中心とする結合容量の分布を概ね一定の範囲に収めることができるように決定されるべきものであり、図2に示した長さに限られない。これらの点は、以下で説明する第1及び第2の変形例においても同様である。
【0045】
図4は、本実施の形態の第1の変形例による位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。本変形例による位置検出装置34は、複数の接続配線CLxに関する構成の点で本実施の形態による位置検出装置34と異なり、他の点では本実施の形態による位置検出装置34と同様である。なお、図4においては複数の接続配線CLyに関する構成の一部の図示を省略しているが、省略した部分の構成は図2に示したとおりである。以下、本実施の形態による位置検出装置34との相違点に着目して説明する。
【0046】
本変形例は、X電極30xの本数が多いなどの理由により、FPC端子Txを2つのFPC端子Tx1,Tx2に分けなければならない場合の例である。本変形例によるセンサパネル30は、センサパネル30側で枝分かれしているフレキシブルプリント基板Fxによって、センサコントローラ31に接続される。以下では、枝分かれしたフレキシブルプリント基板Fxの2つの部分のうちFPC端子Tx1に接続される一方をフレキシブルプリント基板Fx1(第1のフレキシブルプリント基板)と称し、FPC端子Tx2に接続される他方をフレキシブルプリント基板Fx2(第2のフレキシブルプリント基板)と称する。
【0047】
複数の接続配線CLxのうちの一部(具体的には、接続配線CLx1~CLx4)は、FPC端子Tx1からフレキシブルプリント基板Fx1にかけて設けられた領域A3(第1の領域)内に等間隔で延設され、残部(具体的には、接続配線CLx5~CLx8)は、FPC端子Tx2からフレキシブルプリント基板Fx2にかけて設けられた領域A4(第2の領域)内に等間隔で延設される。
【0048】
領域A4には、複数の接続配線CLxの上記残部の他に、2本の延長線EX5,EX7が延設される。同様に、領域A3には、複数の接続配線CLxの上記一部の他に、2本の延長線EX6,EX8が延設される。ここで、フレキシブルプリント基板Fxは多層基板であり、延長線EX5~EX8は、接続配線CLx1~CLx8とは異なる層に延設される。これは、後述するビアホール導体VCによる接触を除き、延長線EX5~EX8と接続配線CLx1~CLx8とが接触しないようにするための構成である。また、延長線EX5,EX7と延長線EX6,EX8とについても、相互に接触しないよう、互いに異なる層に延設される。
【0049】
延長線EX5(第1の延長線)は、層間を貫通するように設けられたビアホール導体VCを介して接続配線CLx4に接続された配線であり、接続配線CLy5(第2の接続配線)に沿って延設される。延長線EX6(第2の延長線)は、ビアホール導体VCを介して接続配線CLx5に接続された配線であり、接続配線CLx4(第1の接続配線)に沿って延設される。延長線EX7(第3の延長線)は、ビアホール導体VCを介して接続配線CLx3に接続された配線であり、延長線EX5に沿って延設される。延長線EX8(第4の延長線)は、ビアホール導体VCを介して接続配線CLx6に接続された配線であり、延長線EX6に沿って延設される。
【0050】
以上の構成を採用したことにより、本変形例によるセンサパネル30及び位置検出装置によれば、本実施の形態と同様の理由により、各X電極30xを中心とする結合容量の分布を概ね一定の範囲に収めることができる。したがって、接続配線CLxを領域A1,A2に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になる。
【0051】
図5は、本実施の形態の第2の変形例による位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。本変形例による位置検出装置34も、複数の接続配線CLxに関する構成の点で本実施の形態による位置検出装置34と異なり、他の点では本実施の形態による位置検出装置34と同様である。なお、図5においても複数の接続配線CLyに関する構成の一部の図示を省略しているが、省略した部分の構成は図2に示したとおりである。以下、本実施の形態による位置検出装置34との相違点に着目して説明する。
【0052】
本変形例は、X電極30xの本数が多いなどの理由により、センサコントローラ31に接続するフレキシブルプリント基板を2枚に分けなければならない場合の例である。本変形例によるセンサパネル30は、センサコントローラ31側で枝分かれしているフレキシブルプリント基板Fxによって、センサコントローラ31に接続される。以下では、枝分かれしたフレキシブルプリント基板Fxの2つの部分のうちの一方をフレキシブルプリント基板Fx3(第1のフレキシブルプリント基板)と称し、他方をフレキシブルプリント基板Fx4(第2のフレキシブルプリント基板)と称する。
【0053】
複数の接続配線CLxのうちの一部(具体的には、接続配線CLx1~CLx4)は、フレキシブルプリント基板Fx3内に設けられた領域A5(第1の領域)内に等間隔で延設され、残部(具体的には、接続配線CLx5~CLx8)は、フレキシブルプリント基板Fx4内に設けられた領域A6(第2の領域)内に等間隔で延設される。
【0054】
領域A5には、複数の接続配線CLxの上記残部の他に、2本の延長線EX9,EX11が延設される。同様に、領域A6には、複数の接続配線CLxの上記一部の他に、2本の延長線EX10,EX12が延設される。本変形例においてもフレキシブルプリント基板Fxは多層基板であり、延長線EX9~EX12は、接続配線CLx1~CLx8とは異なる層に延設される。また、延長線EX9,EX11と延長線EX10,EX12とについても、相互に接触しないよう、互いに異なる層に延設される。
【0055】
延長線EX9(第1の延長線)は、ビアホール導体VCを介して接続配線CLx4に接続された配線であり、接続配線CLy5(第2の接続配線)に沿って延設される。延長線EX10(第2の延長線)は、ビアホール導体VCを介して接続配線CLx5に接続された配線であり、接続配線CLx4(第1の接続配線)に沿って延設される。延長線EX11(第3の延長線)は、ビアホール導体VCを介して接続配線CLx3に接続された配線であり、延長線EX9に沿って延設される。延長線EX12(第4の延長線)は、ビアホール導体VCを介して接続配線CLx6に接続された配線であり、延長線EX10に沿って延設される。
【0056】
以上の構成を採用したことにより、本変形例によるセンサパネル30及び位置検出装置によっても、本実施の形態及び第1の変形例と同様、各X電極30xを中心とする結合容量の分布を概ね一定の範囲に収めることができる。したがって、接続配線CLxを領域A1,A2に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態による位置検出システム1について説明する。本実施の形態による位置検出システム1は、センサ電極に接続される延長線に代えて、センサ電極に接続されないダミー線を有する点、及び、センサコントローラ31が行う処理の点で第1の実施の形態による位置検出システム1と相違し、図1に示したシステム構成を含むその他の点では、第1の実施の形態による位置検出システム1と同様である。以下では、第1の実施の形態による位置検出システム1との相違点に着目して説明を行う。
【0058】
図6は、本実施の形態による位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。同図と図2を比較すると、本実施の形態による位置検出装置34は、延長線EX1~EX4を有さず、ダミー線DM1,DM2を有する点で、第1の実施の形態による位置検出装置34と相違する。
【0059】
ダミー線DM1(第1のダミー線)は、領域A1内に、接続配線CLy4(第1の接続配線)に沿って延設される配線であり、センサパネル30内に形成されるルーティング線と、フレキシブルプリント基板Fy1内に形成されるFPC配線とを含んで構成される。ダミー線DM1を構成するルーティング線及びFPC配線は、FPC端子Ty1内で相互に接続される。
【0060】
ダミー線DM2(第2のダミー線)は、領域A2内に、接続配線CLy5(第2の接続配線)に沿って延設される配線であり、センサパネル30内に形成されるルーティング線と、フレキシブルプリント基板Fy2内に形成されるFPC配線とを含んで構成される。ダミー線DM2を構成するルーティング線及びFPC配線は、FPC端子Ty2内で相互に接続される。
【0061】
ダミー線DM1,DM2はそれぞれ、複数のX電極30x及び複数のY電極30yのいずれにも接続されていない一方で、センサコントローラ31に接続されている。本実施の形態によるセンサコントローラ31は上述した差分方式により受信強度の分布曲線を導出するように構成されており、Y電極30y4における受信強度とY電極30y5における受信強度との差分を導出する際に、ダミー線DM1,DM2を利用する。以下、センサコントローラ31が行う処理について、詳しく説明する。以下では、初めに図7を参照して背景技術によるセンサコントローラ31が行う処理とその課題について説明し、その後、図8を参照して本実施の形態によるセンサコントローラ31が行う処理を説明する。
【0062】
図7は、背景技術によるセンサコントローラ31内に設けられる回路を示す図である。図7(a)は、Y電極30y3における受信強度とY電極30y4における受信強度との差分を導出する回路、図7(b)は、Y電極30y4における受信強度とY電極30y5における受信強度との差分を導出する回路、図7(c)は、Y電極30y5における受信強度とY電極30y6における受信強度との差分を導出する回路をそれぞれ示している。図示していないが、他のセンサ電極間における受信強度の差分を導出する回路も同様である。
【0063】
例えば図7(a)に着目して説明すると、センサコントローラ31は、接続配線CLy3に接続された反転入力端子と、接続配線CLy4に接続された非反転入力端子とを有する2入力の減算回路D0を有して構成される。接続配線CLy3からセンサコントローラ31に供給される信号には、Y電極30y3で受信される信号成分S30y3及びノイズ成分N30y3と、Y電極30y3に接続される接続配線CLy3で受信されるノイズ成分NCLy3とが含まれる。同様に、接続配線CLy4からセンサコントローラ31に供給される信号には、Y電極30y4で受信される信号成分S30y4及びノイズ成分N30y4と、Y電極30y4に接続される接続配線CLy4で受信されるノイズ成分NCLy4とが含まれる。
【0064】
ここで、Y電極30y3とY電極30y4とは隣接しているので、ノイズ成分N30y3とノイズ成分N30y4とは、互いに同じ値であるとみなすことができる。同様に、接続配線CLy3と接続配線CLy4とは隣接しているので、ノイズ成分NCLy3とノイズ成分NCLy4とについても、互いに同じ値であるとみなすことができる。したがって、Y電極30y4からセンサコントローラ31に供給される信号と、Y電極30y3からセンサコントローラ31に供給される信号との差分を導出すると、図7(a)に示すように4つのノイズ成分N30y3,NCLy3,N30y4,NCLy4がいずれも消え、信号成分の差分S30y4-S30y3のみが残ることになる。
【0065】
以上の点は、他のセンサ電極間における受信強度の差分についても基本的には同じであるが、図7(b)に示すように、Y電極30y4における受信強度とY電極30y5における受信強度との差分に限っては、ノイズ成分NCLy5-NCLy4が残ったものとなる。これは、複数の接続配線CLyを領域A1,A2に分散して配置した結果、接続配線CLy4と接続配線CLy5とが隣接していないことによるものである。このように受信強度の差分にノイズ成分が残ると、導出される分布曲線に歪みが生じ、センサコントローラ31による位置導出の精度が低下する。
【0066】
図8は、本実施の形態によるセンサコントローラ31内に設けられる回路を示す図である。同図には、Y電極30y4における受信強度とY電極30y5における受信強度との差分を導出する回路のみを示しているが、他のセンサ電極間における受信強度の差分を導出する回路は、図7に示したものと同様である。
【0067】
図8に示すように、センサコントローラ31は、減算回路D0の前段に、それぞれ2入力である2つの減算回路D1a,D1bを有して構成される。減算回路D1aの反転入力端子はダミー線DM1に接続され、非反転入力端子は接続配線CLy4に接続され、出力端子は減算回路D0の反転入力端子に接続される。また、減算回路D1bの反転入力端子はダミー線DM2に接続され、非反転入力端子は接続配線CLy5に接続され、出力端子は減算回路D0の非反転入力端子に接続される。
【0068】
ダミー線DM1からセンサコントローラ31に供給される信号には、ダミー線DM1で受信されるノイズ成分NDM1が含まれる。ここで、図6に示したようにダミー線DM1は接続配線CLy4に沿って延設されているので、ノイズ成分NCLy4とノイズ成分NDM1とは、互いに同じ値であるとみなすことができる。したがって、減算回路D1aの出力信号はS30y4+N30y4(第1の差分信号)となる。同様に、ダミー線DM2からセンサコントローラ31に供給される信号には、ダミー線DM2で受信されるノイズ成分NDM2が含まれる。そして、ダミー線DM2は接続配線CLy5に沿って延設されているので、ノイズ成分NCLy5とノイズ成分NDM2とは、互いに同じ値であるとみなすことができる。したがって、減算回路D1bの出力信号はS30y5+N30y5(第2の差分信号)となる。
【0069】
そして、Y電極30y4とY電極30y5とが隣接していることから、ノイズ成分N30y4とノイズ成分N30y5とは互いに同じ値であるとみなすことができるので、減算回路D0の出力端子からは、ノイズ成分N30y4,N30y5が除去された信号S30y5-S30y4が出力されることになる。つまり、本実施の形態による位置検出装置34によれば、Y電極30y4における受信強度とY電極30y5における受信強度との差分からもノイズ成分が除去されるので、複数の接続配線CLyを領域A1,A2に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になると言える。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態による位置検出装置34によれば、隣接しているにもかかわらず、それぞれに接続される接続配線CLyが領域A1,A2に分散して配置されるY電極30y4,30y5の間でも、外来ノイズを打ち消すことができる。したがって、差分方式により受信強度の差分を導出する際に外来ノイズを打ち消すことができるので、接続配線CLyを領域A1,A2に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になる。
【0071】
なお、本実施の形態では、センサコントローラ31内に減算回路を設ける例を説明したが、物理的な減算回路ではなく、デジタル処理によって信号の減算を行うこととしてもよいのは勿論である。
【0072】
図9は、本実施の形態の第1の変形例によるセンサコントローラ31内に設けられる回路を示す図である。同図に示す回路は、図8に示した回路の変形例となっている。その他のセンサ電極間における受信強度の差分を導出する回路は、図7に示したものと同様ある。
【0073】
本変形例によるセンサコントローラ31は、減算回路D0,D1a,D1bに代えて4入力の減算回路D2を1つだけ用いる点で、本実施の形態によるセンサコントローラ31と相違する。減算回路D2は2つの反転入力端子と2つの非反転入力端子とを有しており、2つの非反転入力端子はそれぞれダミー線DM1,DM2に接続され、2つの反転入力端子はそれぞれ接続配線CLy4,CLy5に接続される。減算回路D2から出力される信号はS30y4+N30y4+NCLy4+S30y5+N30y5+NCLy5-NDM1-NDM2となるが、上述したように、ノイズ成分NCLy4とノイズ成分NDM1、ノイズ成分NCLy5とノイズ成分NDM2、ノイズ成分N30y4とノイズ成分N30y5をそれぞれ互いに同じ値であるとみなすことができるので、すべてのノイズ成分が除去され、実際に出力される信号はS30y5-S30y4となる。この結果は、図8に示した例と同一である。したがって、本変形例による位置検出装置34によっても、本実施の形態による位置検出装置34と同様、接続配線CLyを領域A1,A2に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になる。
【0074】
図10は、本実施の形態の第2の変形例による位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。本変形例による位置検出装置34は、複数の接続配線CLyが1つの領域内に集約して延設される一方、複数の接続配線CLxが2つの領域に分散して延設される点、及び、ダミー線DM1,DM2に代えてダミー線DM3,DM4が設けられる点で本実施の形態による位置検出装置34と異なり、他の点では本実施の形態による位置検出装置34と同様である。以下、本実施の形態による位置検出装置34との相違点に着目して説明する。
【0075】
本実施の形態によるセンサパネル30は、3つのフレキシブルプリント基板Fx1,Fx2,Fyによってセンサコントローラ31に接続される。フレキシブルプリント基板Fy内には、それぞれ複数のY電極30yに対応する複数のFPC配線FLyが延設される。一方、フレキシブルプリント基板Fx1(第1のフレキシブルプリント基板)内には、それぞれ複数のX電極30xの一部(具体的には、X電極30x1~30x4)に対応する複数のFPC配線FLxが延設され、フレキシブルプリント基板Fx2(第2のフレキシブルプリント基板)内には、それぞれ複数のX電極30xの残部(具体的には、X電極30x5~30x8)に対応する複数のFPC配線FLxが延設される。
【0076】
フレキシブルプリント基板Fx1,Fx2,Fyはそれぞれ、センサパネル30のFPC端子Tx1,Tx2,Tyに接続される。FPC端子Tx1,Tx2,Tyは、センサパネル30のY方向の一端を構成する辺の近傍に、X方向の一端側からこの順に並置される。
【0077】
各接続配線CLyを構成するルーティング線RLy及びFPC配線FLyは、FPC端子Ty内で相互に接続される。また、各接続配線CLyを構成するルーティング線RLyは、対応するY電極30yのX方向の他端に接続される。
【0078】
複数の接続配線CLxのうちの上記一部は、FPC端子Tx1の近傍からフレキシブルプリント基板Fx1にかけて設けられた領域A3(第1の領域)内に等間隔で延設され、上記残部は、FPC端子Tx2の近傍からフレキシブルプリント基板Fx2にかけて設けられた領域A4(第2の領域)内に等間隔で延設される。
【0079】
ダミー線DM3(第1のダミー線)は、領域A3内に、接続配線CLx4(第1の接続配線)に沿って延設される配線であり、センサパネル30内に形成されるルーティング線と、フレキシブルプリント基板Fx1内に形成されるFPC配線とを含んで構成される。ダミー線DM3を構成するルーティング線及びFPC配線は、FPC端子Tx1内で相互に接続される。
【0080】
ダミー線DM4(第2のダミー線)は、領域A4内に、接続配線CLx5(第2の接続配線)に沿って延設される配線であり、センサパネル30内に形成されるルーティング線と、フレキシブルプリント基板Fx2内に形成されるFPC配線とを含んで構成される。ダミー線DM4を構成するルーティング線及びFPC配線は、FPC端子Tx2内で相互に接続される。
【0081】
ダミー線DM3,DM4はそれぞれ、本実施の形態によるダミー線DM1,DM2と同様、複数のX電極30x及び複数のY電極30yのいずれにも接続されていない一方で、センサコントローラ31に接続されている。センサコントローラ31は、X電極30x4における受信強度とX電極30x5における受信強度との差分を導出する際に、ダミー線DM3,DM4を利用する。具体的には、図8又は図9で説明した回路と同様の回路を用いて、X電極30x4における受信強度とX電極30x5における受信強度との差分を導出する。こうすることで、X電極30x4における受信強度とX電極30x5における受信強度との差分からノイズ成分が除去されるので、本変形例による位置検出装置34によれば、複数の接続配線CLxを領域A3,A4に分散して延設することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になる。
【0082】
なお、本変形例では、複数の接続配線CLyが1つの領域内に集約して延設される例を説明したが、複数の接続配線CLyの構成は図6に示した本実施の形態によるものと同じであることとしてもよい。また、本変形例では、フレキシブルプリント基板Fx1とフレキシブルプリント基板Fx2とが完全に分かれている例を説明したが、例えば図4に示した例のように、それぞれ1枚のフレキシブルプリント基板Fxの枝分かれした部分であることとしてもよい。
【0083】
図11は、本実施の形態の第3の変形例による位置検出装置34の構成を詳細に示す図である。本変形例による位置検出装置34は、ダミー線DM5,DM6が追加される点、及び、センサコントローラ31が行う処理の点で第2の変形例による位置検出装置34と異なり、その他の点では第2の変形例による位置検出装置34と同様である。以下、第2の変形例による位置検出装置34との相違点に着目して説明する。
【0084】
ダミー線DM5(第3のダミー線)は、接続配線CLx1に沿って領域A3内に延設される配線であり、センサパネル30内に形成されるルーティング線と、フレキシブルプリント基板Fx1内に形成されるFPC配線とを含んで構成される。ダミー線DM5を構成するルーティング線及びFPC配線は、FPC端子Tx1内で相互に接続される。
【0085】
ダミー線DM6(第4のダミー線)は、接続配線CLx8に沿って領域A4内に延設される配線であり、センサパネル30内に形成されるルーティング線と、フレキシブルプリント基板Fx2内に形成されるFPC配線とを含んで構成される。ダミー線DM6を構成するルーティング線及びFPC配線は、FPC端子Tx2内で相互に接続される。
【0086】
ダミー線DM5,DM6は、ダミー線DM3,DM4と同様、複数のX電極30x及び複数のY電極30yのいずれにも接続されていない一方で、それぞれセンサコントローラ31に接続されている。センサコントローラ31は、複数のX電極30xの一方の端部に位置するX電極30x1(第3のセンサ電極)における受信強度と、X電極30x1に隣接するX電極30x2(第4のセンサ電極)における受信強度との差分を導出する際にダミー線DM5を利用し、複数のX電極30xの他方の端部に位置するX電極30x8(第5のセンサ電極)における受信強度と、X電極30x8に隣接するX電極30x7(第6のセンサ電極)における受信強度との差分を導出する際にダミー線DM6を利用する。以下、この点について具体的に説明する。
【0087】
図12は、本変形例によるセンサコントローラ31内に設けられる回路を示す図である。図12(a)は、X電極30x1における受信強度とX電極30x2における受信強度との差分を導出する回路を示し、図12(b)には、X電極30x7における受信強度とX電極30x8における受信強度との差分を導出する回路を示している。他のセンサ電極間における受信強度の差分を導出する回路は、本実施の形態で説明したものと同様である。
【0088】
初めに図12(a)を参照すると、センサコントローラ31は、図7(a)などにも示した減算回路D0の前段に、2入力の減算回路D3を有して構成される。減算回路D3の反転入力端子はダミー線DM5に接続され、非反転入力端子は接続配線CLy1(第3の接続配線)に接続され、出力端子は減算回路D0の反転入力端子に接続される。減算回路D0の非反転入力端子には、接続配線CLy2(第4の接続配線)が接続される。これにより、減算回路D3の反転入力端子には、ダミー線DM5で受信されるノイズ成分NDM5が供給され、非反転入力端子には、X電極30x1で受信される信号成分S30x1及びノイズ成分N30x1と、接続配線CLx1で受信されるノイズ成分NCLx1とが供給される。したがって、減算回路D3の出力端子から出力され、減算回路D0の反転入力端子に供給される信号(第3の差分信号)は、S30x1+N30x1+(NCLx1-NDM5)となる。また、減算回路D0の非反転入力端子には、X電極30x2で受信される信号成分S30x2及びノイズ成分N30x2と、接続配線CLx2で受信されるノイズ成分NCLx2とが供給される。
【0089】
ここで、センサパネル30やフレキシブルプリント基板Fx1,Fx2の端部近傍では、中央部分とは異なるノイズが発生する場合がある。中央部分で発生するノイズをNC、端部近傍で発生するノイズをNEと表すことにすると、NCLx2=NC、NDM5=NEとなるような場合である。この場合、端部と中央の境目に位置する接続配線CLx1で受信されるノイズ成分NCLx1はNC+NEに等しくなる。
【0090】
このようなノイズが発生した場合、減算回路D3がノイズNEを除去する役割を果たし、減算回路D3の出力信号、すなわち減算回路D0の反転入力端子の入力信号はS30x1+N30x1+NCとなる。また、減算回路D0の非反転入力端子の入力信号はS30x2+N30x2+NCとなる。したがって、減算回路D0の出力信号はS30x2+N30x2+NC-(S30x1+N30x1+NC)=S30x2-S30x1となるので、ノイズNC,NE、及び、X電極30x1,30x2のそれぞれで受信される外来ノイズがいずれも除去されることになる。
【0091】
次に図12(b)を参照すると、センサコントローラ31は、この場合にも、減算回路D0の前段に2入力の減算回路D3を有して構成される。減算回路D3の反転入力端子はダミー線DM6に接続され、非反転入力端子は接続配線CLy8(第5の接続配線)に接続され、出力端子は減算回路D0の非反転入力端子に接続される。減算回路D0の反転入力端子には、接続配線CLy7(第6の接続配線)が接続される。これにより、減算回路D3の反転入力端子には、ダミー線DM6で受信されるノイズ成分NDM6が供給され、非反転入力端子には、X電極30x8で受信される信号成分S30x8及びノイズ成分N30x8と、接続配線CLx8で受信されるノイズ成分NCLx8とが供給される。したがって、減算回路D3の出力端子から出力され、減算回路D0の非反転入力端子に供給される信号(第4の差分信号)は、S30x8+N30x8+(NCLx8-NDM6)となる。また、減算回路D0の反転入力端子には、X電極30x7で受信される信号成分S30x7及びノイズ成分N30x7と、接続配線CLx7で受信されるノイズ成分NCLx7とが供給される。以上の構成によれば、図12(a)の場合と同様、減算回路D0の出力信号からノイズNC,NE、及び、X電極30x7,30x8のそれぞれで受信される外来ノイズを除去することが可能になる。
【0092】
以上説明したように、本変形例による位置検出装置34によれば、センサパネル30やフレキシブルプリント基板Fx1,Fx2の端部近傍で中央部分とは異なるノイズが発生したとしても、減算回路D0の出力信号から、そのノイズを除去することができる。したがって、本変形例による位置検出装置34によれば、センサパネル30やフレキシブルプリント基板Fx1,Fx2の端部近傍で中央部分とは異なるノイズが発生することによる位置導出精度の低下を抑止することが可能になる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0094】
例えば、第1の実施の形態においても、センサコントローラ31において差分方式による分布曲線の導出を行うこととしてもよい。また、第1の実施の形態又はその変形例による延長線と、第2の実施の形態又はその変形例によるダミー線との両方を有し、センサコントローラ31において第2の実施の形態又はその変形例で説明した処理を行うように位置検出装置34を構成することとしてもよい。
【0095】
また、上記各実施の形態においては各ルーティング線RLx,RLyを直線状に形成する例を取り上げたが、各ルーティング線RLx,RLyの一部又は全部、特に、図2に示した領域A2内におけるルーティング線RLyを階段状に形成することとしてもよい。こうすることで、延長線EX1,EX3を形成するために領域A2の面積が拡大してしまうことを防止することが可能になる。
【符号の説明】
【0096】
1 位置検出システム
2 ペン
3 電子機器
3a タッチ面
30 センサパネル
30x X電極
30y Y電極
31 センサコントローラ
32 ディスプレイ
33 ホストプロセッサ
34 位置検出装置
A1~A6 領域
CLx,CLy 接続配線
D0,D1a,D1b,D2,D3 減算回路
DM1~DM6 ダミー線
DS ダウンリンク信号
EX1~EX12 延長線
FLx,FLy FPC配線
Fx,Fx1,Fx2,Fx3,Fx4,Fy,Fy1,Fy2 フレキシブルプリント基板
RLx,RLy ルーティング線
Tx,Tx1,Tx2,Ty,Ty1,Ty2 FPC端子
US アップリンク信号
VC ビアホール導体
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図12