(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】光学センサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 7/00 20160101AFI20240112BHJP
G07D 7/12 20160101ALI20240112BHJP
【FI】
G07D7/00 K
G07D7/12
(21)【出願番号】P 2022501970
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2021006122
(87)【国際公開番号】W WO2021167004
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2020025346
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】上山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】竹原 大貴
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-053783(JP,A)
【文献】特開2009-005111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 7/00 - 7/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される紙葉類を反射及び/又は透過した光を検出するとともに、前記紙葉類から発せられた光を検出する光学センサであって、
紙葉類に対して、励起光及び検出用光を照射する光源と、
前記検出用光を複数の点灯期間で照射するとともに前記励起光を少なくとも一回照射し、かつ前記励起光の照射後に複数の消灯期間で消灯するように、前記光源を制御する光源制御部と、
前記検出用光が紙葉類で反射及び/又は透過した光を前記複数の点灯期間の各々で受光するとともに前記紙葉類から発せられた燐光を前記複数の消灯期間の各々で受光する受光部と、
前記複数の消灯期間で前記受光部によって受光された複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータを生成する演算部と、を備える
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項2】
前記光源制御部は、1サイクル中に、前記検出用光を前記複数の点灯期間で照射するとともに前記励起光を少なくとも一回照射し、かつ前記励起光の照射後に前記複数の消灯期間で消灯するように、前記光源を制御し、
前記受光部は、1サイクル中に、前記検出用光が前記紙葉類で反射及び/又は透過した光を前記複数の点灯期間の各々で受光するとともに前記紙葉類から発せられた燐光を前記複数の消灯期間の各々で受光し、
前記演算部は、1サイクル中の前記複数の消灯期間で前記受光部によって受光された複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学センサ。
【請求項3】
前記光源制御部は、連続する2つの点灯期間にそれぞれ挟まれた複数の期間にて前記励起光を照射するように、前記光源を制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学センサ。
【請求項4】
前記光源制御部は、1サイクル中に、前記複数の期間にて前記励起光を照射するように、前記光源を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の光学センサ。
【請求項5】
前記受光部は、前記光源が前記励起光を照射する間、前記紙葉類から発せられた蛍光を受光する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の光学センサ。
【請求項6】
前記光源制御部は、前記受光部が前記紙葉類から発せられた蛍光を受光する前に、前記励起光を少なくとも一回照射するように、前記光源を制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の光学センサ。
【請求項7】
前記受光部は、前記紙葉類から発せられた蛍光を受光する前に、前記複数の消灯期間の少なくとも一つの期間で前記紙葉類から発せられた燐光を受光する
ことを特徴とする請求項6に記載の光学センサ。
【請求項8】
前記光源制御部は、前記複数の期間での前記励起光の照射後に前記複数の消灯期間で消灯するように、前記光源を制御し、
前記受光部は、前記光源が前記励起光を照射する前記複数の期間のうちの2番目以降の期間にて前記紙葉類から発せられた蛍光を受光するとともに、前記複数の期間の経過後に前記紙葉類から発せられた燐光を前記複数の消灯期間の各々で受光する
ことを特徴とする請求項
3又は4に記載の光学センサ。
【請求項9】
前記受光部は、受光素子と、前記受光素子からの電荷が蓄積されるコンデンサと、前記受光素子と前記コンデンサとの電気的接続の切り替えを行うホールドスイッチと、を備え、
1サイクル中に、前記受光素子からの電荷を前記コンデンサに蓄積する第一の蓄積期間と、前記コンデンサに蓄積された電荷を転送する転送期間と、前記コンデンサの放電を行う放電期間と、前記受光素子からの電荷を蓄積する第二の蓄積期間と、を順に含むように制御され、
前記転送期間中及び/又は前記放電期間中には、前記光源から紙葉類に前記励起光が照射され、かつ、前記転送期間中には、前記ホールドスイッチがオフ状態となり、前記受光素子と前記コンデンサとの電気的接続が遮断される
ことを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の光学センサ。
【請求項10】
搬送される紙葉類を反射及び/又は透過した光を検出するとともに、前記紙葉類から発せられた光を検出する光学センサであって、
紙葉類に対して、励起光及び検出用光を照射する光源と、
前記検出用光を複数の点灯期間で照射するとともに、前記励起光を連続する2つの点灯期間にそれぞれ挟まれた複数の期間にて照射し、かつ前記励起光の照射後に消灯期間で消灯するように、前記光源を制御する光源制御部と、
前記検出用光が紙葉類で反射及び/又は透過した光を前記複数の点灯期間の各々で受光するとともに前記紙葉類から発せられた燐光を前記消灯期間で受光する受光部と、を備える
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項11】
前記光源制御部は、1サイクル中に、前記検出用光を前記複数の点灯期間で照射するとともに、前記励起光を前記連続する2つの点灯期間にそれぞれ挟まれた前記複数の期間にて照射し、かつ前記励起光の照射後に前記消灯期間で消灯するように、前記光源を制御し、
前記受光部は、1サイクル中に、前記検出用光が前記紙葉類で反射及び/又は透過した光を前記複数の点灯期間の各々で受光するとともに前記紙葉類から発せられた燐光を前記消灯期間で受光する
ことを特徴とする請求項10に記載の光学センサ。
【請求項12】
前記受光部は、前記光源が前記励起光を照射する間、前記紙葉類から発せられた蛍光を受光する
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の光学センサ。
【請求項13】
前記光源制御部は、前記受光部が前記紙葉類から発せられた蛍光を受光する前に、前記励起光を少なくとも一回照射するように、前記光源を制御する
ことを特徴とする請求項12に記載の光学センサ。
【請求項14】
前記光源制御部は、前記複数の期間での前記励起光の照射後に前記消灯期間で消灯するように、前記光源を制御し、
前記受光部は、前記光源が前記励起光を照射する前記複数の期間のうちの2番目以降の期間にて前記紙葉類から発せられた蛍光を受光するとともに、前記複数の期間の経過後に前記紙葉類から発せられた燐光を前記消灯期間で受光する
ことを特徴とする請求項10~13のいずれかに記載の光学センサ。
【請求項15】
前記受光部は、受光素子と、前記受光素子からの電荷が蓄積されるコンデンサと、前記受光素子と前記コンデンサとの電気的接続の切り替えを行うホールドスイッチと、を備え、
1サイクル中に、前記受光素子からの電荷を前記コンデンサに蓄積する第一の蓄積期間と、前記コンデンサに蓄積された電荷を転送する転送期間と、前記コンデンサの放電を行う放電期間と、前記受光素子からの電荷を蓄積する第二の蓄積期間と、を順に含むように制御され、
前記転送期間中及び/又は前記放電期間中には、前記光源から紙葉類に前記励起光が照射され、かつ、前記転送期間中には、前記ホールドスイッチがオフ状態となり、前記受光素子と前記コンデンサとの電気的接続が遮断される
ことを特徴とする請求項12~14のいずれかに記載の光学センサ。
【請求項16】
搬送される紙葉類から到達する光を検出する光学センサであって、
紙葉類に対して少なくとも一種の光を照射する光源と、
前記少なくとも一種の光を複数の点灯期間で照射するように、前記光源を制御する光源制御部と、
紙葉類に同じ側から照射された同じ種類の光に起因して前記紙葉類から到達する光を複数の期間の各々で受光する受光部と、
前記複数の期間で前記受光部によって受光された複数の光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータを生成する演算部と、を備える
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項17】
前記光源制御部は、1サイクル中に、前記少なくとも一種の光を前記複数の点灯期間で照射するように、前記光源を制御し、
前記受光部は、1サイクル中に、前記紙葉類に同じ側から照射された前記同じ種類の光に起因して前記紙葉類から到達する光を前記複数の期間の各々で受光し、
前記演算部は、1サイクル中の前記複数の期間で前記受光部によって受光された複数の光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータを生成する
ことを特徴とする請求項16に記載の光学センサ。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかに記載の光学センサを備える
ことを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項19】
請求項18に記載の紙葉類識別装置を備える
ことを特徴とする紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学センサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置に関する。より詳しくは、光学センサに設けられた受光部に受光される光の光量が小さい場合にも好適な光学センサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣の入出金処理等を行う紙葉類処理装置には、紙葉類の搬送過程において、紙葉類の種類の識別や、正損判定、真偽判定等を行う紙葉類識別装置が設けられている。紙葉類識別装置は、例えば、異なる波長帯域の光を紙幣に照射し、紙幣で反射した反射光の光量及び/又は紙幣を透過した透過光の光量に基づいて、異なる波長帯域毎の反射画像及び/又は透過画像を形成する光学センサを搭載し、これらの画像に基づいて識別処理等を行っている。本明細書では、搬送される紙葉類からの反射光及び/又は透過光を検出するために当該紙葉類に照射される光を検出用光ともいう。
【0003】
更に、近年は、偽造防止のセキュリティ要素として紙幣に印刷された燐光インクから燐光を検出する光学センサが開発されている。具体的には、搬送される紙葉類に対して励起光を照射した後、励起光を消灯して紙葉類から発せられる燐光を検出する光学センサ等が知られている。ここで、燐光は、一般的に、寿命(発光時間)は長いが強度が小さいため、検出し難いという課題がある。
【0004】
そのような燐光を検出するための装置として、例えば、特許文献1に記載の励起光検知装置が挙げられる。特許文献1の励起光検知装置では、光源に電流を供給して紙葉類に光を照射させた状態で紙葉類から発せられた蛍光を検知部に検知させ、光源に供給する電流の量又は供給時間を増加させて紙葉類に光を照射させ、光源による光の照射を停止させた後に、紙葉類から発せられた燐光を検知部に検知させることにより、燐光の強度が小さい場合であっても燐光を検知することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、
図20を用いて、本発明者らが検討を行った比較形態1の光学センサについて説明する。比較形態1の光学センサは、搬送される紙葉類の反射光及び/又は透過光を検出して当該紙葉類の画像を取得する従来の光学センサに対して、蛍光及び燐光の検出機能が追加された光学センサである。比較形態1の光学センサは、搬送される紙葉類に対して光を照射する光源と、紙葉類から到達する光を受光する受光部と、を備える。この光源には、搬送される紙葉類に対して受光部と同じ側に配置された反射用の光源と、搬送される紙葉類に対して受光部と反対側に配置された透過用の光源と、が含まれる。
【0007】
比較形態1の光学センサは、
図20に示す12フェーズを1サイクルとして光源の点灯及び受光部による受光を行い、該サイクルを繰り返すことによって紙葉類の全面に対応するデータを取得する。
図20に示されるWは、反射用の光源が照射する白色光を表し、A~Dは、それぞれ、反射用の光源が照射する第1の赤外光(IR1)、反射用の光源が照射する第2の赤外光(IR2)、透過用の光源が照射する第1の赤外光(TIR1)、及び透過用の光源が照射する緑色光(TG)のいずれかを表し、UVは、反射用の光源が照射する紫外光を表す。
【0008】
従来の光学センサに対して蛍光及び燐光の検出機能を追加するために、比較形態1の光学センサでは、
図20に示すように、1サイクルを構成する12フェーズのうち第6フェーズ(数10μs)で紫外光を照射して蛍光検出を行うとともに、第8フェーズ(数10μs)で消灯して燐光検出を行う。しかしながら、紫外光の照射時間及び燐光の受光時間がともに短く、燐光に係る出力信号(以下、燐光信号ともいう)において実用的なS/N比が得られない場合がある。
【0009】
上記特許文献1の励起光検知装置は、検出用光を検出して反射画像や透過画像を取得する従来の光学センサの機能を有してはいないが、搬送される紙葉類から発せられる燐光を検出する。特許文献1の励起光検出装置は、燐光信号の値を高くするために励起光の照射時間を長くするが、この場合、1サイクルに要する時間が増加してしまう。また、特許文献1の励起光検知装置は、燐光信号の値を高くするために励起光を照射する際の光源の電流量を増加させるが、この場合、光源からの放熱量が増加するため、増加した熱を放熱するための機構が新たに必要になり、コストが増大する可能性がある。また、燐光信号の値を高くするために、光源を大きくすることも考えられるが、この場合も光源からの放熱量が増加するためコストが増大する可能性がある。このように、特許文献1の励起光検知装置では、燐光信号の値を高くすることは可能であるが、1サイクルに要する時間が増加したり、光源に起因する課題が発生したりする。
【0010】
本開示は、上記現状に鑑みてなされたものであり、1サイクルに要する時間の増加及び光源に係る課題の発生を抑えつつ、出力信号のS/N比を向上させることができる光学センサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、(1)本開示の第1の態様に係る光学センサは、搬送される紙葉類を反射及び/又は透過した光を検出するとともに、前記紙葉類から発せられた光を検出する光学センサであって、紙葉類に対して、励起光及び検出用光を照射する光源と、前記検出用光を複数の点灯期間で照射するとともに前記励起光を少なくとも一回照射し、かつ前記励起光の照射後に複数の消灯期間で消灯するように、前記光源を制御する光源制御部と、前記検出用光が紙葉類で反射及び/又は透過した光を前記複数の点灯期間の各々で受光するとともに前記紙葉類から発せられた燐光を前記複数の消灯期間の各々で受光する受光部と、前記複数の消灯期間で前記受光部によって受光された複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータを生成する演算部と、を備える。
【0012】
(2)上記(1)に記載の光学センサにおいて、前記光源制御部は、1サイクル中に、前記検出用光を前記複数の点灯期間で照射するとともに前記励起光を少なくとも一回照射し、かつ前記励起光の照射後に前記複数の消灯期間で消灯するように、前記光源を制御してもよく、前記受光部は、1サイクル中に、前記検出用光が前記紙葉類で反射及び/又は透過した光を前記複数の点灯期間の各々で受光するとともに前記紙葉類から発せられた燐光を前記複数の消灯期間の各々で受光してもよく、前記演算部は、1サイクル中の前記複数の消灯期間で前記受光部によって受光された複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータを生成してもよい。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)に記載の光学センサにおいて、前記光源制御部は、連続する2つの点灯期間にそれぞれ挟まれた複数の期間にて前記励起光を照射するように、前記光源を制御してもよい。
【0014】
(4)上記(3)に記載の光学センサにおいて、前記光源制御部は、1サイクル中に、前記複数の期間にて前記励起光を照射するように、前記光源を制御してもよい。
【0015】
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載の光学センサにおいて、前記受光部は、前記光源が前記励起光を照射する間、前記紙葉類から発せられた蛍光を受光してもよい。
【0016】
(6)上記(5)に記載の光学センサにおいて、前記光源制御部は、前記受光部が前記紙葉類から発せられた蛍光を受光する前に、前記励起光を少なくとも一回照射するように、前記光源を制御してもよい。
【0017】
(7)上記(6)に記載の光学センサにおいて、前記受光部は、前記紙葉類から発せられた蛍光を受光する前に、前記複数の消灯期間の少なくとも一つの期間で前記紙葉類から発せられた燐光を受光してもよい。
【0018】
(8)上記(1)~(6)のいずれかに記載の光学センサにおいて、前記光源制御部は、前記複数の期間での前記励起光の照射後に前記複数の消灯期間で消灯するように、前記光源を制御してもよく、前記受光部は、前記光源が前記励起光を照射する前記複数の期間のうちの2番目以降の期間にて前記紙葉類から発せられた蛍光を受光するとともに、前記複数の期間の経過後に前記紙葉類から発せられた燐光を前記複数の消灯期間の各々で受光してもよい。
【0019】
(9)上記(5)~(8)のいずれかに記載の光学センサにおいて、前記受光部は、受光素子と、前記受光素子からの電荷が蓄積されるコンデンサと、前記受光素子と前記コンデンサとの電気的接続の切り替えを行うホールドスイッチと、を備えてもよく、1サイクル中に、前記受光素子からの電荷を前記コンデンサに蓄積する第一の蓄積期間と、前記コンデンサに蓄積された電荷を転送する転送期間と、前記コンデンサの放電を行う放電期間と、前記受光素子からの電荷を蓄積する第二の蓄積期間と、を順に含むように制御されてもよく、前記転送期間中及び/又は前記放電期間中には、前記光源から紙葉類に前記励起光が照射されてもよく、かつ、前記転送期間中には、前記ホールドスイッチがオフ状態となり、前記受光素子と前記コンデンサとの電気的接続が遮断されてもよい。
【0020】
(10)上記(1)~(9)のいずれかに記載の光学センサにおいて、前記受光部は、主走査方向に一列に配列された複数の画素を備えていてもよい。
【0021】
(11)上記(10)に記載の光学センサにおいて、前記演算部は、同じ画素が出力した同じサイクルに属する燐光に係る複数の出力値を合算してもよい。
【0022】
(12)本開示の第2の態様に係る光学センサは、搬送される紙葉類を反射及び/又は透過した光を検出するとともに、前記紙葉類から発せられた光を検出する光学センサであって、紙葉類に対して、励起光及び検出用光を照射する光源と、前記検出用光を複数の点灯期間で照射するとともに、前記励起光を連続する2つの点灯期間にそれぞれ挟まれた複数の期間にて照射し、かつ前記励起光の照射後に消灯期間で消灯するように、前記光源を制御する光源制御部と、前記検出用光が紙葉類で反射及び/又は透過した光を前記複数の点灯期間の各々で受光するとともに前記紙葉類から発せられた燐光を前記消灯期間で受光する受光部と、を備える。
【0023】
(13)上記(12)に記載の光学センサにおいて、前記光源制御部は、1サイクル中に、前記検出用光を前記複数の点灯期間で照射するとともに、前記励起光を前記連続する2つの点灯期間にそれぞれ挟まれた前記複数の期間にて照射し、かつ前記励起光の照射後に前記消灯期間で消灯するように、前記光源を制御してもよく、前記受光部は、1サイクル中に、前記検出用光が前記紙葉類で反射及び/又は透過した光を前記複数の点灯期間の各々で受光するとともに前記紙葉類から発せられた燐光を前記消灯期間で受光してもよい。
【0024】
(14)上記(12)又は(13)に記載の光学センサにおいて、前記受光部は、前記光源が前記励起光を照射する間、前記紙葉類から発せられた蛍光を受光してもよい。
【0025】
(15)上記(14)に記載の光学センサにおいて、前記光源制御部は、前記受光部が前記紙葉類から発せられた蛍光を受光する前に、前記励起光を少なくとも一回照射するように、前記光源を制御してもよい。
【0026】
(16)上記(12)~(15)のいずれかに記載の光学センサにおいて、前記光源制御部は、前記複数の期間での前記励起光の照射後に前記消灯期間で消灯するように、前記光源を制御してもよく、前記受光部は、前記光源が前記励起光を照射する前記複数の期間のうちの2番目以降の期間にて前記紙葉類から発せられた蛍光を受光するとともに、前記複数の期間の経過後に前記紙葉類から発せられた燐光を前記消灯期間で受光してもよい。
【0027】
(17)上記(14)~(16)のいずれかに記載の光学センサにおいて、前記受光部は、受光素子と、前記受光素子からの電荷が蓄積されるコンデンサと、前記受光素子と前記コンデンサとの電気的接続の切り替えを行うホールドスイッチと、を備えてもよく、1サイクル中に、前記受光素子からの電荷を前記コンデンサに蓄積する第一の蓄積期間と、前記コンデンサに蓄積された電荷を転送する転送期間と、前記コンデンサの放電を行う放電期間と、前記受光素子からの電荷を蓄積する第二の蓄積期間と、を順に含むように制御されてもよく、前記転送期間中及び/又は前記放電期間中には、前記光源から紙葉類に前記励起光が照射されてもよく、かつ、前記転送期間中には、前記ホールドスイッチがオフ状態となり、前記受光素子と前記コンデンサとの電気的接続が遮断されてもよい。
【0028】
(18)また、本開示の第3の態様に係る光学センサは、搬送される紙葉類から到達する光を検出する光学センサであって、紙葉類に対して少なくとも一種の光を照射する光源と、前記少なくとも一種の光を複数の点灯期間で照射するように、前記光源を制御する光源制御部と、紙葉類に同じ側から照射された同じ種類の光に起因して前記紙葉類から到達する光を複数の期間の各々で受光する受光部と、前記複数の期間で前記受光部によって受光された複数の光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータを生成する演算部と、を備える。
【0029】
(19)上記(18)に記載の光学センサにおいて、前記光源制御部は、1サイクル中に、前記少なくとも一種の光を前記複数の点灯期間で照射するように、前記光源を制御してもよく、前記受光部は、1サイクル中に、前記紙葉類に同じ側から照射された前記同じ種類の光に起因して前記紙葉類から到達する光を前記複数の期間の各々で受光してもよく、前記演算部は、1サイクル中の前記複数の期間で前記受光部によって受光された複数の光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータを生成してもよい。
【0030】
(20)上記(18)又は(19)に記載の光学センサにおいて、前記受光部は、主走査方向に一列に配列された複数の画素を備えていてもよい。
【0031】
(21)上記(20)に記載の光学センサにおいて、前記演算部は、同じ画素が出力した同じサイクルに属する前記複数の光成分に係る複数の出力値を合算してもよい。
【0032】
(22)上記(18)~(21)のいずれかに記載の光学センサにおいて、前記紙葉類に同じ側から照射された前記同じ種類の光は、前記紙葉類の一方の主面側から照射された同じ波長帯域の光であってもよい。
【0033】
(23)上記(18)~(22)のいずれかに記載の光学センサにおいて、前記同じ種類の光に起因して前記紙葉類から到達する光は、前記紙葉類の一方の主面側から照射された特定の波長帯域の光が前記紙葉類で反射した光であってもよい。
【0034】
(24)上記(18)~(22)のいずれかに記載の光学センサにおいて、前記同じ種類の光に起因して前記紙葉類から到達する光は、前記紙葉類の一方の主面側から照射された特定の波長帯域の光が前記紙葉類を透過した光であってもよい。
【0035】
(25)また、本開示の第4の態様に係る紙葉類識別装置は、上記(1)~(24)のいずれかに記載の光学センサを備える。
【0036】
(26)また、本開示の第5の態様に係る紙葉類処理装置は、上記(25)に記載の紙葉類識別装置を備える。
【発明の効果】
【0037】
本開示によれば、1サイクルに要する時間の増加及び光源に係る課題の発生を抑えつつ、出力信号のS/N比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】実施形態1に係る光学センサの概要を説明するための図である。
【
図2】実施形態1に係る光学センサの構成を説明する斜視模式図である。
【
図3】実施形態1に係る光学センサの別の構成を説明する斜視模式図である。
【
図4】実施形態2に係る光学センサの概要を説明するための図である。
【
図5】実施形態2に係る光学センサの構成を説明する斜視模式図である。
【
図6】実施形態2に係る光学センサの別の構成を説明する斜視模式図である。
【
図7】実施形態3に係る紙幣処理装置が備える光学センサの概要を説明するための図である。
【
図8】実施形態3に係る紙幣処理装置の外観を示した斜視模式図である。
【
図9】実施形態3に係る紙幣処理装置が備える撮像部の構成を説明する断面模式図である。
【
図10】実施形態3に係る紙幣処理装置が備える受光部の受光素子の配置を示した平面模式図である。
【
図11】実施形態3に係る紙幣処理装置の構成を説明するブロック図である。
【
図12】実施形態3及び4に係る紙幣処理装置が備える光源の点灯のタイミングと受光部の受光のタイミングとについて説明するタイミングチャートである。
【
図13】実施形態4に係る紙幣処理装置が備える光源の点灯のタイミングと受光部の受光のタイミングとについて説明するタイミングチャートである。
【
図14】実施形態5に係る紙幣処理装置が備える光源の点灯のタイミングと受光部の受光のタイミングとについて説明するタイミングチャートである。
【
図15】実施形態6に係る紙幣処理装置が備える光源の点灯のタイミングと受光部の受光のタイミングとについて説明するタイミングチャートである。
【
図16】実施形態7に係る紙幣処理装置が備える受光部を示す回路図である。
【
図17】実施形態7に係る紙幣処理装置が備える光源の点灯のタイミング、受光部が有する各スイッチの接続状態、及び、蓄積される電荷量について説明するタイミングチャートである。
【
図18】比較形態2の紙幣処理装置が備える受光部を示す回路図である。
【
図19】比較形態2の紙幣処理装置が備える光源の点灯のタイミング、受光部が有する各スイッチの接続状態、及び、蓄積される電荷量について説明するタイミングチャートである。
【
図20】比較形態1に係る光学センサが備える光源の点灯のタイミングと受光部の受光のタイミングとについて説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る光学センサ、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置の好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。本発明の対象となる紙葉類としては、紙幣、小切手、商品券、手形、帳票、有価証券、カード状媒体等の様々な紙葉類が適用可能であるが、以下においては、紙幣を対象とする装置を例として、本発明を説明する。また、以下では、本発明に係る光学センサが、複数の受光素子からなる画素が主走査方向に複数配列された光学ラインセンサの機能を有する場合について説明する。なお、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して適宜用い、その繰り返しの説明は適宜省略する。また、構造を説明する図面には、互いに直交するXYZ座標系を適宜示している。
【0040】
本明細書において、反射画像とは、対象物に光を照射して当該対象物で反射された光の強度分布に基づく画像を意味する。また、透過画像とは、対象物に光を照射して当該対象物を透過した光の強度分布に基づく画像を意味する。
【0041】
(実施形態1)
<本実施形態の概要>
まず、
図1を用いて、本実施形態の概要について説明する。本実施形態の光学センサは、搬送される紙幣の反射画像及び/又は透過画像を取得しながら、紙幣に対して励起光を照射して蛍光及び燐光を検出する比較形態1に対して、主に、各サイクルで(1)燐光検出を複数回に分けて行う、(2)上記(1)で検出した燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算して、そのサイクルの燐光の出力値(そのサイクルの一画素分のデータ)とする、という点で相違する。
【0042】
より具体的には、
図1に示したように、検出用光Lを複数の期間(以下、検出用点灯期間ともいう)で点灯しつつ当該検出用点灯期間で検出用光Lを受光する。また、励起光、例えば紫外光(UV)をある期間(以下、励起用点灯期間ともいう)で点灯する。更に、励起用点灯期間の後に複数の消灯期間を設けて、当該複数の消灯期間で燐光を受光するとともに、当該消灯期間で受光した複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値(画素値)を演算部により合算して、一画素分のデータとして、1サイクル当たりの燐光の出力値(画素値)を算出する。
【0043】
本実施形態では、複数の消灯期間で燐光を受光し、それらによる出力値を合算する。このような態様とすることにより、1回の受光で充分な燐光に係る出力値が得られなくとも、全受光を通して大きな燐光に係る出力値を得られ、燐光に係る出力信号のS/N比を向上させることができる。また、S/N比を向上させることができるため、励起用点灯期間において光源の電流量を抑制することができる。更に、複数の消灯期間で燐光を受光し、それらによる出力値を合算するため、消灯期間、すなわち燐光受光期間の1回当たりの時間を長くする必要がなく、各消灯期間を電荷読み出し期間等に割り当てることができる。そのため、1サイクルに要する時間が増加することを抑えることができる。
【0044】
以上より、本実施形態の光学センサは、1サイクルに要する時間の増加及び光源に係る課題の発生を抑えつつ、出力信号のS/N比を向上させることができる。すなわち、搬送される紙幣について所望の反射画像及び/又は透過画像を撮影しつつ、燐光を効果的に検出することが可能である。1サイクルに要する時間を比較形態1と同じか、それ以下にすることも可能である。
【0045】
本実施形態では、複数の励起用点灯期間で励起光を点灯しつつ、当該複数の励起用点灯期間のいずれかの期間(少なくとも1回の励起用点灯期間、例えば、少なくとも1サイクルでの最後の励起用点灯期間)で蛍光を受光してもよい。
【0046】
その場合、複数の消灯期間は、少なくとも1回の励起用点灯期間よりも後であればよく、例えば、全ての励起用点灯期間の終了後に全ての消灯期間を設けてもよい。
【0047】
複数の励起用点灯期間の間隔は、特に限定されないが、2番目以降の期間は、燐光強度が0になる前、すなわち燐光発光が消失してしまう前に開始してもよい。また、各間隔は、一定でも一定でなくてもよい。
【0048】
なお、本明細書にて、1サイクルとは、各波長帯域の発光素子の点灯及び消灯、信号読出を行うタイミング等が設定された撮像パターンのことを言う。1サイクルの撮像を1周期として、これを連続して繰り返し実行することにより、紙幣全体の画像を取得する。1サイクルは、検出用光(複数の波長帯域の検出用光でもよい)の点灯、消灯及び受光に係る周期的な制御パターンを示すものであってもよい。
【0049】
<光学センサの構成>
次に、
図2及び
図3を用いて、本実施形態に係る光学センサの構成について説明する。
図2及び
図3に示すように、本実施形態に係る光学センサ2aは、搬送される紙幣BNを反射及び/又は透過した光を検出するとともに、紙幣BNから発せられた光を検出するものであり、光源101a、受光部102a、光源制御部11a及び演算部16aを備えている。
【0050】
ここで、紙幣BNは、XY平面内をX方向に搬送される。Y方向が光学センサ2aの主走査方向に対応し、X方向が光学センサ2aの副走査方向に対応している。紙幣BNの少なくとも一部には、燐光体が含まれるインクが印刷されている。紙幣BNの少なくとも一部には、蛍光体が含まれるインクが印刷されていてもよい。燐光体は、励起光が照射されると、当該励起光の消灯後に燐光を、例えば可視光領域で発する。蛍光体は、励起光が照射されると、当該励起光の照射中に蛍光を、例えば可視光領域で発する。
【0051】
光源101aは、紙幣BNに対して、励起光及び検出用光を照射する。光学センサ2aは、
図2に示したように、紙幣BNに対して受光部102aと同じ側に設けられてもよいし、
図3に示したように、紙幣BNに対して受光部102aと同じ側と、その反対側とにそれぞれ設けられてもよい。紙幣BNに対して受光部102aと同じ側に設けられた光源101aが、紙幣BNに対して、励起光を照射してもよい。光源101aは、紙幣BNに対して、Y方向(主走査方向)に延びる直線状に励起光及び検出用光をそれぞれ照射してもよい。
【0052】
検出用光及び励起光の種類はそれぞれ特に限定されないが、検出用光として、白色光、赤色光、緑色光、青色光及び赤外光の少なくとも一種が用いられてもよいし、励起光として可視光及び/又は紫外光(UV)が用いられてもよい。白色光は、赤色光、緑色光及び青色光を含んでもよい。赤外光は、波長帯域が互いに異なる複数種の赤外光を含んでいてもよい。
【0053】
光源制御部11aは、光源101aの点灯及び消灯を制御する。具体的には、光源制御部11aによる制御の下、光源101aは、1サイクル中に、検出用光を複数の検出用点灯期間で照射するとともに励起光を少なくとも1回の励起用点灯期間で照射し、かつ励起光の照射後に複数の消灯期間で消灯する。
【0054】
複数の検出用点灯期間で照射される検出用光の種類は、互いに異なっていてもよいし、同種の光を含んでいてもよい。
【0055】
励起光を複数の励起用点灯期間で照射する場合、複数の励起用点灯期間で照射される検出用光の種類は、互いに異なっていてもよいが、通常では同じ種類である。
【0056】
光源制御部11aは、1サイクル中に、連続する2つの検出用点灯期間にそれぞれ挟まれた複数の励起用点灯期間にて励起光を照射するように、光源101aを制御してもよい。ここで、「複数の励起用点灯期間」は、同一サイクルに属するものであるが、各励起用点灯期間を挟む連続する2つの検出用点灯期間の少なくとも一つは、当該サイクルの一つ前のサイクルに属するものであってもよいし、当該サイクルの一つ後のサイクルに属するものであってもよい。
【0057】
受光部102aは、1サイクル中に、検出用光が紙幣BNで反射及び/又は透過した光を複数の検出用点灯期間の各々で受光する。すなわち、受光部102aは、紙幣BNに対して受光部102aと同じ側に設けられた光源101aから照射された検出用光が紙幣BNで反射した反射光と、紙幣BNに対して受光部102aの反対側に設けられた光源101aから照射された検出用光が紙幣BNを透過した透過光と、の少なくとも一方を受光する。反射光と透過光を受光する場合は、受光部102aは、異なる検出用点灯期間で反射光と透過光とをそれぞれ受光してもよい。なお、受光部102aは、光源101aが検出用光を照射する間、その検出用光が紙幣BNで反射及び/又は透過した光を受光する。そして、受光部102aは、入射光量に応じた電気信号(デジタル信号でもよい)を出力する。
【0058】
また、受光部102aは、紙幣BNから発せられた燐光を、励起光の照射後の複数の消灯期間の各々で受光する。燐光体は、励起光の消灯後であっても、照射された励起光の光量に応じた期間の間、発光し続けることから、受光部102aは、励起光の照射後であっても、複数の消灯期間で紙幣BNから発せられた燐光を受光することが可能である。
【0059】
受光部102aは、光源101aが励起光を照射する間、紙幣BNから発せられた蛍光を受光してもよい。蛍光は、励起光の照射中に発光し続けることから、受光部102aは、励起用点灯期間で紙幣BNから発せられた蛍光を受光することが可能である。
【0060】
光源制御部11aは、1サイクル中において、受光部102aが紙幣BNから発せられた蛍光を受光する前に、励起光を少なくとも一回照射するように、光源101aを制御してもよい。
【0061】
受光部102aは、1サイクル中に、紙幣BNから発せられた蛍光を受光する前に、複数の消灯期間の少なくとも一つの期間で紙幣BNから発せられた燐光を受光してもよい。
【0062】
光源制御部11aは、1サイクル中に、複数の励起用点灯期間での励起光の照射後に複数の消灯期間で消灯するように、光源101aを制御してもよく、受光部102aは、1サイクル中に、光源101aが励起光を照射する複数の励起用点灯期間のうちの2番目以降の期間にて紙幣BNから発せられた蛍光を受光するとともに、複数の励起用点灯期間の経過後に紙幣BNから発せられた燐光を複数の消灯期間の各々で受光してもよい。
【0063】
受光部102aは、Y方向(主走査方向)に一列に配列された複数の画素を備えていてもよい。すなわち、受光部102aは、入射光量に応じた電気信号(デジタル信号)を、複数の画素(Y方向(主走査方向)の位置)に対応する複数のチャンネルにて出力してもよい。各画素は、互いに異なる波長帯域の光を選択的に受光する複数の受光素子(撮像素子)を備えていてもよい。
【0064】
光学センサ2aは、受光部102aに入射した光信号を無効とする(有効なものとしない)機能を有していてもよい。具体的には、例えば、受光部102aは、受光素子と、受光素子からの電荷が蓄積されるコンデンサと、受光素子とコンデンサとの電気的接続の切り替えを行うホールドスイッチと、を備えていてもよい。また、受光部102aは、1サイクル中に、受光素子からの電荷をコンデンサに蓄積する第一の蓄積期間と、コンデンサに蓄積された電荷を転送する転送期間と、コンデンサの放電を行う放電期間と、受光素子からの電荷を蓄積する第二の蓄積期間と、を順に含むように制御されてもよい。そして、転送期間中及び/又は前記放電期間中には、光源101aから紙幣BNに励起光が照射され、かつ、前記転送期間中には、ホールドスイッチがオフ状態となり、受光素子とコンデンサとの電気的接続が遮断されてもよい。これにより、励起光に起因して紙幣BNから発せられた蛍光成分に起因する電荷が転送期間中に混入することを防ぎ、第一の蓄積期間で照射された検出用光に起因する電荷量をより正確に検出することができる。なお、この第一の蓄積期間、転送期間、放電期間及び第二の蓄積期間の組み合わせは、1サイクル中に少なくとも一つ設けられればよく、励起光を照射するタイミングに合わせて適宜設けることが可能である。
【0065】
受光部102aは、受光素子と、コンデンサとの間に接続されたリセットスイッチを備えていてもよい。また、受光部102aは、コンデンサの一方の端子であって、ホールドスイッチが接続された方の端子に接続されたリードスイッチを備えていてもよい。受光素子で発生した電荷は、ホールドスイッチがオン状態となり、リセットスイッチ及びリードスイッチがオフ状態となることによりコンデンサに蓄積されてもよい。コンデンサに蓄積された電荷は、リードスイッチがオン状態、リセットスイッチ及びホールドスイッチがオフ状態となることにより転送されてもよく、リセットスイッチ及びホールドスイッチがオン状態、リードスイッチがオフ状態となることにより放電されてもよい。
【0066】
演算部16aは、1サイクル中の複数の消灯期間で受光部102aによって受光された複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータを生成する。この結果、1サイクルでの燐光成分に基づく出力値の合計が一画素のデータとして算出される。これにより、上述のように、1サイクルに要する時間の増加及び光源に係る課題の発生を抑えつつ、出力信号のS/N比を向上させることができる。
【0067】
演算部16aは、同じサイクルに属する燐光に係る複数の出力値(画素値)を、受光素子が受光した光の波長帯域毎に、異なる画素間ではなく同じ画素同士(同じチャンネル同士)で合算してもよい。また、演算部16aは、チャンネル毎に、同じサイクルに属する燐光に係る複数の出力値(画素値)を合算してもよい。なお、本実施形態の演算部16aが合算する複数の出力値はデジタルデータであるが、アナログデータであってもよい。
【0068】
光源制御部11a及び演算部16aは、後述する制御部10によってそれぞれ対応するプログラムを実行することによって機能してもよい。
【0069】
(実施形態2)
<本実施形態の概要>
まず、
図4を用いて、本実施形態の概要について説明する。本実施形態の光学センサは、搬送される紙幣の反射画像及び/又は透過画像を取得しながら、紙幣に対して励起光を照射して蛍光及び燐光を検出する比較形態1に対して、主に、各サイクルで(1)励起光照射を複数回に分けて行う、という点で相違する。
【0070】
より具体的には、
図4に示したように、検出用光Lを複数の期間(検出用点灯期間)で点灯しつつ当該検出用点灯期間で検出用光Lを受光する。また、励起光、例えば紫外光(UV)を複数の期間(励起用点灯期間)で点灯する。更に、複数の励起用点灯期間の後に消灯期間を設けて、当該消灯期間で燐光を受光する。当該消灯期間で受光した燐光成分に基づく出力値(画素値)、すなわち1サイクル当たりの燐光の出力値(画素値)が、そのまま一画素分のデータとなる。
【0071】
本実施形態では、検出用点灯期間の合間の複数の励起用点灯期間で励起光を複数回照射する。このような態様とすることにより、1回の励起用点灯期間で充分な燐光強度が得られなくとも、全励起用点灯期間を通して(複数回繰り返すことによって)大きな燐光強度を得られ、燐光に係る出力信号のS/N比を向上させることができる。また、S/N比を向上させることができるため、励起用点灯期間において光源の電流量を抑制することができる。更に、複数の励起用点灯期間で励起光を複数回照射するため、励起用点灯期間の1回当たりの時間を長くする必要がない。したがって、受光部のフォトダイオード等の受光素子が検出用点灯期間に蓄積した電荷を転送したり、放電(リセット)したりする期間(電荷読み出し期間)に各励起用点灯期間を割り当てることができる。
【0072】
以上より、本実施形態の光学センサは、1サイクルに要する時間の増加及び光源に係る課題の発生を抑えつつ、出力信号のS/N比を向上させることができる。すなわち、搬送される紙幣について所望の反射画像及び/又は透過画像を撮影しつつ、燐光を効果的に検出することが可能である。1サイクルに要する時間を比較形態1と同じか、それ以下にすることも可能である。
【0073】
燐光を受光する消灯期間は、少なくとも2回の励起用点灯期間よりも後であればいいが、全ての励起用点灯期間の終了後に当該消灯期間を設けてもよい。
【0074】
複数の励起用点灯期間の間隔は、特に限定されないが、2番目以降の期間は、
図4に示すように、燐光強度が0になる前、すなわち燐光発光が消失してしまう前に開始してもよい。また、各間隔は、一定でも一定でなくてもよい。
【0075】
本実施形態では、複数の励起用点灯期間で励起光を点灯しつつ、当該複数の励起用点灯期間のいずれかの期間(少なくとも1回の励起用点灯期間、例えば、少なくとも1サイクルでの最後の励起用点灯期間)で蛍光を受光してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、
図4に示したように、1サイクル中において、紙幣から発せられた蛍光を受光する前に、励起光を少なくとも一回照射(このときは蛍光を受光しない)してもよい。
【0077】
また、本実施形態では、蛍光検知のための励起光の照射時間より短い時間で、燐光強度を向上するための励起光照射(このときは蛍光を受光しない)を一回以上行ってもよい。ここで、燐光強度を向上するための励起光照射を複数回行う場合は、燐光強度を向上するための励起光照射の各々の時間が、蛍光検知のための励起光の照射時間より短くてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、燐光強度を向上するための励起光を照射しているときは(ただし、蛍光を受光しない期間)、紙幣から到達する光は検知しないか、無効(不要又は放電)としてもよい。
【0079】
<光学センサの構成>
次に、
図5及び
図6を用いて、本実施形態に係る光学センサの構成について説明する。
図5及び
図6に示すように、本実施形態に係る光学センサ2bは、搬送される紙幣BNを反射及び/又は透過した光を検出するとともに、紙幣BNから発せられた光を検出するものであり、光源101b、受光部102b及び光源制御部11bを備えている。
【0080】
ここで、紙幣BNは、XY平面内をX方向に搬送される。Y方向が光学センサ2bの主走査方向に対応し、X方向が光学センサ2bの副走査方向に対応している。紙幣BNの少なくとも一部には、燐光体が含まれるインクが印刷されている。紙幣BNの少なくとも一部には、蛍光体が含まれるインクが印刷されていてもよい。燐光体は、励起光が照射されると、当該励起光の消灯後に燐光を、例えば可視光領域で発する。蛍光体は、励起光が照射されると、当該励起光の照射中に蛍光を、例えば可視光領域で発する。
【0081】
光源101bは、紙幣BNに対して、励起光及び検出用光を照射する。光学センサ2bは、
図5に示したように、紙幣BNに対して受光部102bと同じ側に設けられてもよいし、
図6に示したように、紙幣BNに対して受光部102bと同じ側と、その反対側とにそれぞれ設けられてもよい。紙幣BNに対して受光部102bと同じ側に設けられた光源101bが、紙幣BNに対して、励起光を照射してもよい。光源101bは、紙幣BNに対して、Y方向(主走査方向)に延びる直線状に励起光及び検出用光をそれぞれ照射してもよい。
【0082】
検出用光及び励起光の種類はそれぞれ特に限定されないが、検出用光として、白色光、赤色光、緑色光、青色光及び赤外光の少なくとも一種が用いられてもよいし、励起光として可視光及び/又は紫外光(UV)が用いられてもよい。白色光は、赤色光、緑色光及び青色光を含んでもよい。赤外光は、波長帯域が互いに異なる複数種の赤外光を含んでいてもよい。
【0083】
光源制御部11bは、光源101bの点灯及び消灯を制御する。具体的には、光源制御部11bによる制御の下、光源101bは、1サイクル中に、検出用光を複数の検出用点灯期間で照射するとともに、励起光を連続する2つの検出用点灯期間にそれぞれ挟まれた複数の励起用点灯期間で照射し、かつ励起光の照射後に消灯期間で消灯する。ここで、「複数の励起用点灯期間」は、同一サイクルに属するものであるが、各励起用点灯期間を挟む連続する2つの検出用点灯期間の少なくとも一つは、当該サイクルの一つ前のサイクルに属するものであってもよいし、当該サイクルの一つ後のサイクルに属するものであってもよい。
【0084】
複数の検出用点灯期間で照射される検出用光の種類は、互いに異なっていてもよいし、同種の光を含んでいてもよい。
【0085】
複数の励起用点灯期間で照射される検出用光の種類は、互いに異なっていてもよいが、通常では同じ種類である。
【0086】
受光部102bは、1サイクル中に、検出用光が紙幣BNで反射及び/又は透過した光を複数の検出用点灯期間の各々で受光する。すなわち、受光部102bは、紙幣BNに対して受光部102bと同じ側に設けられた光源101bから照射された検出用光が紙幣BNで反射した反射光と、紙幣BNに対して受光部102bの反対側に設けられた光源101bから照射された検出用光が紙幣BNを透過した透過光と、の少なくとも一方を受光する。反射光と透過光を受光する場合は、受光部102bは、異なる検出用点灯期間で反射光と透過光とをそれぞれ受光してもよい。なお、受光部102bは、光源101bが検出用光を照射する間、その検出用光が紙幣BNで反射及び/又は透過した光を受光する。そして、受光部102bは、入射光量に応じた電気信号(デジタル信号でもよい)を出力する。
【0087】
また、受光部102bは、紙幣BNから発せられた燐光を、励起光の照射後の消灯期間で受光する。本実施形態では、励起光は、複数の励起用点灯期間にて紙幣BNに照射されることから、大きな燐光強度を得られる。したがって、上述のように、1サイクルに要する時間の増加及び光源に係る課題の発生を抑えつつ、出力信号のS/N比を向上させることができる。また、燐光体は、励起光の消灯後であっても、照射された励起光の光量に応じた期間の間、発光し続けることから、受光部102bは、励起光の照射後であっても、消灯期間で紙幣BNから発せられた燐光を受光することが可能である。
【0088】
受光部102bは、光源101bが励起光を照射する間、紙幣BNから発せられた蛍光を受光してもよい。蛍光は、励起光の照射中に発光し続けることから、受光部102bは、励起用点灯期間で紙幣BNから発せられた蛍光を受光することが可能である。
【0089】
光源制御部11bは、1サイクル中において、受光部102bが紙幣BNから発せられた蛍光を受光する前に、励起光を少なくとも一回照射するように、光源101bを制御してもよい。
【0090】
光源制御部11bは、1サイクル中に、複数の励起用点灯期間での励起光の照射後に消灯期間で消灯するように、光源101bを制御してもよく、受光部102bは、1サイクル中に、光源101bが励起光を照射する複数の励起用点灯期間のうちの2番目以降の期間にて紙幣BNから発せられた蛍光を受光するとともに、複数の励起用点灯期間の経過後に紙幣BNから発せられた燐光を消灯期間で受光してもよい。
【0091】
受光部102bは、Y方向(主走査方向)に一列に配列された複数の画素を備えていてもよい。すなわち、受光部102aは、入射光量に応じた電気信号(デジタル信号)を、複数の画素(Y方向(主走査方向)の位置)に対応する複数のチャンネルにて出力してもよい。各画素は、互いに異なる波長帯域の光を選択的に受光する複数の受光素子(撮像素子)を備えていてもよい。
【0092】
光学センサ2bは、受光部102bに入射した光信号を無効とする(有効なものとしない)機能を有していてもよい。具体的には、例えば、受光部102bは、受光素子と、受光素子からの電荷が蓄積されるコンデンサと、受光素子とコンデンサとの電気的接続の切り替えを行うホールドスイッチと、を備えていてもよい。また、受光部102bは、1サイクル中に、受光素子からの電荷をコンデンサに蓄積する第一の蓄積期間と、コンデンサに蓄積された電荷を転送する転送期間と、コンデンサの放電を行う放電期間と、受光素子からの電荷を蓄積する第二の蓄積期間と、を順に含むように制御されてもよい。そして、転送期間中及び/又は前記放電期間中には、光源101bから紙幣BNに励起光が照射され、かつ、前記転送期間中には、ホールドスイッチがオフ状態となり、受光素子とコンデンサとの電気的接続が遮断されてもよい。これにより、励起光に起因して紙幣BNから発せられた蛍光成分に起因する電荷が転送期間中に混入することを防ぎ、第一の蓄積期間で照射された検出用光に起因する電荷量をより正確に検出することができる。なお、この第一の蓄積期間、転送期間、放電期間及び第二の蓄積期間の組み合わせは、1サイクル中に少なくとも一つ設けられればよく、励起光を照射するタイミングに合わせて適宜設けることが可能である。
【0093】
受光部102bは、受光素子と、コンデンサとの間に接続されたリセットスイッチを備えていてもよい。また、受光部102bは、コンデンサの一方の端子であって、ホールドスイッチが接続された方の端子に接続されたリードスイッチを備えていてもよい。受光素子で発生した電荷は、ホールドスイッチがオン状態となり、リセットスイッチ及びリードスイッチがオフ状態となることによりコンデンサに蓄積されてもよい。コンデンサに蓄積された電荷は、リードスイッチがオン状態、リセットスイッチ及びホールドスイッチがオフ状態となることにより転送されてもよく、リセットスイッチ及びホールドスイッチがオン状態、リードスイッチがオフ状態となることにより放電されてもよい。
【0094】
光源制御部11bは、後述する制御部10によって対応するプログラムを実行することによって機能してもよい。
【0095】
(実施形態3)
<本実施形態の概要>
まず、
図7を用いて、本実施形態の概要について説明する。本実施形態の光学センサは、搬送される紙幣の反射画像及び/又は透過画像を取得しながら、紙幣に対して励起光を照射して蛍光及び燐光を検出する比較形態1に対して、主に、各サイクルで(1)励起光照射を複数回に分けて行う、(2)燐光検出を複数回に分けて行う、(3)上記(2)で検出した燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算して、そのサイクルの燐光の出力値(そのサイクルの一画素分のデータ)とする、という点で相違する。
【0096】
より具体的には、
図7に示したように、検出用光Lを複数の期間(検出用点灯期間)で点灯しつつ当該検出用点灯期間で検出用光Lを受光する。また、励起光、例えば紫外光(UV)を複数の期間(励起用点灯期間)で点灯しつつ、当該複数の励起用点灯期間のいずれかの期間(少なくとも1回の励起用点灯期間、例えば、少なくとも1サイクルでの最後の励起用点灯期間)で蛍光を受光する。更に、複数の励起用点灯期間の後に複数の消灯期間を設けて、当該複数の消灯期間で燐光を受光するとともに、当該消灯期間で受光した複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値(画素値)を演算部により合算して、一画素分のデータとして、1サイクル当たりの燐光の出力値(画素値)を算出する。
【0097】
本実施形態では、検出用点灯期間の合間の複数の励起用点灯期間で励起光を複数回照射する。このような態様とすることにより、1回の励起用点灯期間で充分な燐光強度が得られなくとも、全励起用点灯期間を通して(複数回繰り返すことによって)大きな燐光強度を得られ、燐光に係る出力信号のS/N比を向上させることができる。また、S/N比を向上させることができるため、励起用点灯期間において光源の電流量を抑制することができる。更に、複数の励起用点灯期間で励起光を複数回照射するため、励起用点灯期間の1回当たりの時間を長くする必要がない。したがって、受光部のフォトダイオード等の受光素子が検出用点灯期間に蓄積した電荷を転送したり、放電(リセット)したりする期間(電荷読み出し期間)に各励起用点灯期間を割り当てることができる。
【0098】
また、本実施形態では、複数の消灯期間で燐光を受光し、それらによる出力値を合算する。このような態様とすることによっても、同様の効果が得られる。すなわち、1回の受光で充分な燐光に係る出力値が得られなくとも、全受光を通して大きな燐光に係る出力値を得られ、燐光に係る出力信号のS/N比を向上させることができる。また、S/N比を向上させることができるため、励起用点灯期間において光源の電流量を抑制することができる。更に、複数の消灯期間で燐光を受光し、それらによる出力値を合算するため、消灯期間、すなわち燐光受光期間の1回当たりの時間を長くする必要がなく、各消灯期間を電荷読み出し期間等に割り当てることができる。そのため、1サイクルに要する時間が増加することを抑えることができる。
【0099】
以上より、本実施形態の光学センサは、1サイクルに要する時間の増加及び光源に係る課題の発生を抑えつつ、出力信号のS/N比を向上させることができる。すなわち、搬送される紙幣について所望の反射画像及び/又は透過画像を撮影しつつ、燐光を効果的に検出することが可能である。1サイクルに要する時間を比較形態1と同じか、それ以下にすることも可能である。
【0100】
また、本実施形態では、
図7に示したように、1サイクル中において、紙幣から発せられた蛍光を受光する前に、励起光を少なくとも一回照射(このときは蛍光を受光しない)する。
【0101】
また、本実施形態では、蛍光検知のための励起光の照射時間より短い時間で、燐光強度を向上するための励起光照射(このときは蛍光を受光しない)を一回以上行ってもよい。ここで、燐光強度を向上するための励起光照射を複数回行う場合は、燐光強度を向上するための励起光照射の各々の時間が、蛍光検知のための励起光の照射時間より短くてもよい。
【0102】
また、本実施形態では、燐光強度を向上するための励起光を照射しているときは(ただし、蛍光を受光しない期間)、紙幣から到達する光は検知しないか、無効(不要又は放電)としてもよい。
【0103】
複数の消灯期間は、少なくとも1回の励起用点灯期間よりも後であればいいが、本実施形態では、全ての励起用点灯期間の終了後に全ての消灯期間を設ける場合について説明する。すなわち、本実施形態では、
図7に示したように、複数の励起用点灯期間での励起光の照射後に複数の消灯期間で消灯し、励起光を照射する複数の励起用点灯期間のうちの2番目以降の期間にて紙幣から発せられた蛍光を受光するとともに、複数の励起用点灯期間の経過後に紙幣から発せられた燐光を複数の消灯期間の各々で受光する。
【0104】
複数の励起用点灯期間の間隔は、特に限定されないが、2番目以降の期間は、
図7に示すように、燐光強度が0になる前、すなわち燐光発光が消失してしまう前に開始してもよい。また、各間隔は、一定でも一定でなくてもよい。
【0105】
<紙幣処理装置の構成>
次に、
図8を用いて、上記光学センサを備える本実施形態に係る紙幣処理装置の構成について説明する。本実施形態に係る紙幣処理装置は、例えば、
図8に示す構成を有するものであってもよい。
図8に示す紙幣処理装置300は、上述の光学センサ(
図8では図示せず)を備え、紙幣の識別処理を行う紙幣識別装置(
図8では図示せず)と、処理対象の複数の紙幣が積層状態で載置されるホッパ301と、リジェクト紙幣が排出される2つのリジェクト部302と、オペレータからの指示を入力するための操作部303と、筐体310内で金種、真偽及び正損が識別された紙幣を分類して集積するための4つの集積部306a~306dと、紙幣の識別計数結果や各集積部306a~306dの集積状況等の情報を表示するための表示部305とを備える。
【0106】
<撮像部の構成>
次に、
図9を用いて、本実施形態に係る紙幣識別装置の主要部である撮像部の構成について説明する。
図9に示すように、撮像部21は、互いに対向配置された上部ユニット110及び下部ユニット120を備えている。Z方向において離間した上部ユニット110及び下部ユニット120の間には、紙幣BNがXY平面内をX方向に搬送される隙間が形成されており、この隙間は本実施形態に係る紙幣処理装置の搬送路311の一部を構成する。上部ユニット110及び下部ユニット120は、それぞれ、搬送路311の上側(+Z方向)及び下側(-Z方向)に位置している。Y方向が撮像部21の主走査方向に対応し、X方向が撮像部21副走査方向に対応している。
【0107】
図9に示すように、上部ユニット110は、2つの反射用の光源111、集光レンズ112及び受光部113を備えている。反射用の光源111は、波長帯域が互いに異なる光を照射する複数の発光素子を備え、紙幣BNの受光部113側の主面(以下、A面)に、波長帯域が互いに異なる光を順次照射する。集光レンズ112は、反射用の光源111から出射され、紙幣BNのA面で反射された光と、下部ユニット120に設けられた透過用の光源124から出射され、紙幣BNを透過した光と、紙幣BNのA面で発光した蛍光及び燐光とを集光する。受光部113は、集光レンズ112によって集光された光を受光して、入射光量に応じた電気信号に変換する。そして、その電気信号を増幅処理した後、デジタルデータにA/D変換した上で画像信号として出力する。
【0108】
下部ユニット120は、2つの反射用の光源121及び1つの透過用の光源124、集光レンズ122並びに受光部123を備えている。反射用の光源121は、反射用光源111と同様の構成を有する。集光レンズ122は、反射用の光源121から出射され、紙幣BNのB面で反射された光と、紙幣BNのB面で発光した蛍光及び燐光とを集光する。受光部123は、集光レンズ122によって集光された光を受光し、受光部113と同様に画像信号を出力する。
【0109】
透過用の光源124は、上部ユニット110の集光レンズ112の光軸上に配置されており、透過用の光源124から出射された光の一部は、紙幣BNを透過し、上部ユニット110の集光レンズ112に集光されて受光部113で検出される。
【0110】
なお、波長帯域が互いに異なる光とは、例えば、可視光については色が互いに異なる光であり、赤外光及び紫外光については、波長帯域の一部のみが互いに重なる光又は波長帯域が互いに重ならない光である。
【0111】
各光源111、121、124は、検出用光を照射する。各光源111、121、124から照射される検出用光の種類は特に限定されない。各光源111、121、124は、検出用光として、波長帯域が互いに異なる光を照射してもよい。各光源111、121、124から照射される検出用光としては、例えば、可視光や赤外光等が挙げられる。可視光としては、例えば、赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)、これら3色の光を含む白色光(W)等が挙げあれる。赤外光としては、例えば、波長帯域が互いに異なる複数種の赤外光を用いてもよい。波長帯域が互いに異なる複数種の赤外光は、ピーク波長が互いに異なっていてもよい。また、各光源111、121は、励起光を照射する。各光源111、121から照射される励起光の種類は特に限定されず、例えば、可視光、紫外光(UV)等が挙げられる。
【0112】
なお、検出用光は、搬送される紙幣からの反射光及び/又は透過光を検出するために照射される光である。また、励起光は、蛍光体及び燐光体を励起する光であり、励起光により励起された蛍光体は蛍光を発し、励起光により励起された燐光体は燐光を発する。すなわち、搬送される紙幣のインクに蛍光体が含まれる場合、励起光を照射することにより紙幣から蛍光が発せられ、紙幣のインクに燐光体が含まれる場合、励起光を照射することにより紙幣から燐光が発せられる。ここでは、紙幣のA面及びB面ともに、可視光領域で発光する蛍光と、可視光領域で発光する燐光とを受光する。
【0113】
図10に示すように、各受光部113、123は、主走査方向D1(Y方向)に一列に配列された複数の画素130を備えている。すなわち、各受光部113、123は、入射光量に応じた画像信号を、複数の画素(主走査方向D1(Y方向)の位置)に対応する複数のチャンネルにて出力する。各画素130は、主走査方向D1に一列に配置された3つの受光素子(撮像素子)、すなわち、青色光を受光する受光素子(以下、青色の受光素子ともいう。)133Bと、赤色光を受光する受光素子(以下、赤色の受光素子ともいう。)133Rと、緑色光を受光する受光素子(以下、緑色の受光素子ともいう。)133Gと、を備えていてもよい。各受光素子133B、133R、133Gは、入射光量に応じた電気信号を出力する。受光素子133B、133R及び133Gのいずれかは、当該色の光に加えて赤外光を受光してもよい。
【0114】
<紙幣識別装置の構成>
次に、
図11を用いて、本実施形態に係る紙幣識別装置の構成について説明する。
図11に示すように、本実施形態に係る紙幣識別装置1は、制御部10、検出部20及び記憶部30を備えている。
【0115】
制御部10は、記憶部30に記憶された各種の処理を実現するためのプログラムと、当該プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、当該CPUによって制御される各種ハードウェア(例えばFPGA(Field Programmable Gate Array))等によって構成されている。制御部10は、記憶部30に記憶されたプログラムに従って、紙幣識別装置1の各部を制御する。また、制御部10は、記憶部30に記憶されたプログラムにより、光源制御部11、センサ制御部12、画像生成部13、識別部15及び演算部16の機能を有している。
【0116】
検出部20は、搬送される紙幣の各種特性を検出するものであり、紙幣の搬送路に沿って、上述の撮像部21に加え、磁気検出部22及び厚み検出部23を備えていてもよい。撮像部21は、上述のように紙幣を撮像して画像信号(画像データ)を出力する。本実施形態では、制御部10が備える光源制御部11及び演算部16と、検出部20が備える撮像部21とによって本実施形態に係る光学センサ2が構成されている。
【0117】
記憶部30は、半導体メモリやハードディスク等の不揮発性の記憶装置から構成されており、紙幣識別装置1を制御するための各種プログラムと各種データとを記憶している。また、記憶部30には、撮像部21による1サイクル分の撮像の間に各光源111、121、124から照射する光の波長帯域、各光源111、121、124の点灯及び消灯を行うタイミング、各光源111、121、124のLED素子に流す順電流の値、上部ユニット110及び下部ユニット120の各々から信号を読み出すタイミング等が撮像用パラメータとして保存されている。
【0118】
光源制御部11は、各光源111、121、124による個別の紙幣の画像を撮像するために、各光源111、121、124の動的点灯制御を行うものである。詳細には、光源制御部11は、撮像用パラメータに設定されたタイミングに基づいて、各光源111、121、124の点灯及び消灯を制御する。この制御は、紙幣の搬送速度に応じて変化するメカクロックと、紙幣の搬送速度によらず常に一定の周波数で出力されるシステムクロックとを利用して行われる。
【0119】
センサ制御部12は、撮像用パラメータに設定されたタイミングに基づいて、上部ユニット110及び下部ユニット120の各々から画像信号を読み出すタイミングを制御し、各光源111、121、124の点灯及び消灯のタイミングに同期して上部ユニット110及び下部ユニット120の各々から画像信号を読み出す。この制御は、メカクロックとシステムクロックとを利用して行われる。
【0120】
演算部16は、センサ制御部12によって読み出された画像信号のうち、同じサイクルに属する燐光に係る画像信号をチャンネル毎に合算する。すなわち、演算部16は、1サイクル中の複数の消灯期間で受光部113によって受光された複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値をチャンネル毎に合算し、一画素分のデータを生成する。また、受光部123によって受光された複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値についても同様にチャンネル毎に合算し、一画素分のデータを生成する。より詳細には、演算部16は、同じサイクルに属する燐光に係る画像信号の画素値を、チャンネル毎、かつ、受光素子が受光した光の波長帯域毎に、異なる画素間ではなく同じ画素同士(同じチャンネル同士)で合算する。なお、本実施形態の演算部16が合算する複数の出力値はデジタルデータであるが、アナログデータであってもよい。
【0121】
また、センサ制御部12は、読み出した画像信号(演算部16によって合算された燐光に係る画像信号を含む)、すなわちラインデータを順次、記憶部30のリングバッファ(ラインメモリ)に保存する。
【0122】
なお、ここで、ラインデータとは、上部ユニット110及び下部ユニット120の各々による1回以上の撮像によって得られた画像信号に基づくデータを意味し、取得される画像の横方向(紙幣の搬送方向に直交する方向)の一列分のデータに対応する。燐光を除く通常の光(検出用光及び蛍光)に係るラインデータは、1回の撮像によって得られた画像信号がそのままラインデータとして利用されるが、燐光に係るラインデータに関しては、複数回の撮像によって得られた画像信号に係る出力値(画素値)の合算がラインデータとして利用される。
【0123】
画像生成部13は、検出部20から取得した紙幣に係る各種信号に基づいて画像を生成する機能を有する。詳細には、画像生成部13は、まず、リングバッファに保存されたデータ(画像信号)を光の照射及び受光の条件毎のデータに分解する。
【0124】
そして、画像生成部13は、分解されたデータ毎の特性に応じて、暗出力カット、ゲイン調整、明出力レベルの補正等の補正処理を行い、紙幣の各種の画像データを生成して記憶部30へ保存する。
【0125】
なお、演算部16による燐光に係る画像信号の合算のタイミングは上記の例(センサ制御部12によるリングバッファ保存前)に限定されず、例えば、センサ制御部12によるリングバッファ保存後、かつ画像生成部13によるデータ分解前であってもよいし、画像生成部13によるデータ分解後、かつ補正処理前であってもよいし、画像生成部13による補正処理後であってもよい。
【0126】
識別部15は、検出部20から取得した紙幣に係る各種信号を利用して識別処理を行う。識別部15は、紙幣の少なくとも金種及び真偽を識別する。識別部15は、紙幣の正損を判定する機能を有してもよい。その場合、識別部15は、紙幣の汚れ、折れ、破れ等を検出するとともに、紙幣の厚みから紙幣に貼り付けられたテープ等を検出することにより、紙幣を、市場で再利用できる正券及び市場流通に適さない損券のいずれとして処理するかを判定する機能を有する。
【0127】
また、識別部15は、金種、真偽、正損等を識別するために撮像部21が撮影した紙幣の画像を用いる場合、画像生成部13によって生成された画像データを利用してもよい。
【0128】
識別部15は、演算部16によって合算された複数の出力値の合算値に基づいて、燐光の有無を判定してもよい。例えば、演算部16による合算値を所定の閾値と比較し、合算値が所定の閾値を超える場合は、燐光反応があると判定し、合算値が所定の閾値を超えない場合は、燐光反応がないと判定してもよい。また、識別部15は、燐光の有無の判定結果に基づいて、紙幣の真偽を識別してもよい。例えば、判定対象エリアにて燐光反応があると判定した場合(例えば、判定対象エリアにて燐光反応があると判定した画素が所定数を超える場合)は、当該紙幣は真券であると判定し、判定対象エリアにて燐光反応がないと判定した場合(例えば、判定対象エリアにて燐光反応があると判定した画素が上記所定数を超えない場合)は、当該紙幣は偽造券であると判定してもよい。ここで、判定対象エリアは、紙幣の金種に応じて予め設定された領域であってもよく、紙幣の一部に対応していてもよい。
【0129】
<光源の制御方法及び受光部のデータ採取タイミング>
次に、
図12を用いて、光源制御部11による各光源111、121、124の制御(点灯タイミング)と、受光部113、123による受光のタイミングとについて説明する。なお、
図12は、光源点灯及び受光の内容及びタイミングを示している。
図12中、Wは白色光、UVは紫外光を表し、A~Dは、第1の赤外光(IR1)、第2の赤外光(IR2)、紙幣を透過する第1の赤外光(TIR1)及び紙幣を透過する緑色光(TG)を表す。
【0130】
下部ユニット120については、透過光(紙幣を透過する第1の赤外光及び紙幣を透過する緑色光)を検出しないこと以外、上部ユニット110と同様に制御されることから、以下ではその説明を省略する。
【0131】
図12に示すように、上部ユニット110は、24フェーズを1サイクルとして、該サイクルを繰り返すことによって、紙幣の全面に対応する画像データを取得する。なお、各フェーズの長さは、互いに同じであるが、本実施形態における1フェーズの長さは、
図20の比較形態1における1フェーズの長さの半分に相当する。
【0132】
図12に示すように、上部ユニット110の撮像位置では、1サイクルの第1フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第2フェーズの後半において、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第3フェーズにおいて、光源111又は124から光Aを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Aを受光部113で受光する。続いて、第4フェーズの後半において、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第5フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第6フェーズの後半において、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第7フェーズにおいて、光源111又は124から光Bを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Bを受光部113で受光する。続いて、第8フェーズの後半において、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第9フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第10フェーズの後半において、光源111から紫外光UVを照射する。本実施形態では、第2、第4、第6、第8及び第10フェーズにおける紫外光UVの照射が各フェーズの後半で行われるが、紫外光UVの照射は各フェーズの前半で行われてもよい。燐光の検出が、1サイクルの後半のフェーズで行われる場合は、光の蓄積度合いを考慮して、紫外線UV照射は各フェーズの後半で行われてもよい。
【0133】
続いて、第11フェーズ~第12フェーズにおいて、光源111から紫外光UVを照射するとともに、紙幣からの蛍光を受光部113で受光する。続いて、第13フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第14フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第15フェーズ~第16フェーズにおいても、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第17フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第18フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第19フェーズにおいて、光源111又は124から光Cを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Cを受光部113で受光する。続いて、第20フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第21フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第22フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第23フェーズにおいて、光源111又は124から光Dを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Dを受光部113で受光する。続いて、第24フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。なお、第11~第12フェーズにおけるUV照射は、第10フェーズにおけるUV照射とは別に行われてもよいし、第10フェーズにおけるUV照射と連続して行われてもよく、いずれを採用するかは制御のし易さに応じて決定可能である。また、第15~第16フェーズにおける燐光検出は、第14フェーズにおける燐光検出とは別に行われてもよいし、第14フェーズにおける燐光検出と連続して行われてもよく、いずれを採用するかは制御のし易さに応じて決定可能である。
【0134】
本実施形態では、光A、光B、光C及び光Dに基づく画像がそれぞれ1つのフェーズで取得される一方、白色光Wに基づく反射画像は6つのフェーズで取得されており、白色光Wに基づく反射画像は、光A、光B、光C及び光Dのそれぞれに基づく画像に対して副走査方向において6倍の解像度を有している。
【0135】
図12に示すように、光源111、124は、1サイクル中に、検出用光を複数の検出用点灯期間(第1、第3、第5、第7、第9、第13、第17、第19、第21及び第23フェーズ)で照射するとともに、紫外光UVを複数の励起用点灯期間(第2、第4、第6、第8、第10及び第11~第12フェーズ)で照射する。また、受光部113、123は、複数の検出用点灯期間(第1、第3、第5、第7、第9、第13、第17、第19、第21及び第23フェーズ)で紙幣からの反射光及び/又は透過光を受光し、かつ複数の消灯期間(第14、第15~第16、第18、第20、第22及び第24フェーズ)で紙幣から発せられた燐光を受光する。
【0136】
演算部16は、複数の消灯期間(第14、第15~第16、第18、第20、第22及び第24フェーズ)で受光部113によって受光された複数の燐光成分のそれぞれに基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータとして、1サイクルでの燐光成分に基づく出力値が算出される。このような態様とすることにより、上述のように、燐光成分に基づく画像信号のS/N比を向上させることができる。また、励起用点灯期間において光源の電流量を抑制することができる。更に、1サイクルに要する時間の増加を抑えることができる。同様に、演算部16は、複数の消灯期間(第14、第15~第16、第18、第20、第22及び第24フェーズ)で受光部123によって受光された複数の燐光成分のそれぞれに基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータとして、1サイクルでの燐光成分に基づく出力値が算出される。
【0137】
本実施形態では、1サイクルにおいて、複数の励起用点灯期間(第2、第4、第6、第8、第10及び第11~第12フェーズ)が全て終了した後に、複数の消灯期間(第14、第15~第16、第18、第20、第22及び第24フェーズ)が設けられている。
【0138】
光源制御部11は、連続する2つの検出用点灯期間である第1及び第3フェーズ、第3及び第5フェーズ、第5及び第7フェーズ、第7及び第9フェーズ、第9及び第13フェーズにそれぞれ挟まれた複数の励起用点灯期間(第2、第4、第6、第8、第10及び第11~第12フェーズ)にて紫外光UVを照射するように光源111を制御する。このような態様によっても、上述のように、燐光成分に基づく画像信号のS/N比を向上させることができる。また、励起用点灯期間において光源の電流量を抑制することができる。更に、1サイクルに要する時間の増加を抑えることができる。
【0139】
本実施形態では、各励起用点灯期間を挟む連続する2つの検出用点灯期間は、同一サイクルに属しているが、これらの検出用点灯期間は、連続する2つのサイクルに別々に属する検出用点灯期間であってもよい。例えば、第1フェーズを励起用点灯期間とし、第2~第24フェーズに
図12に示した第1~第23フェーズを当てはめたものを1サイクルとした場合、あるサイクルの第1フェーズの励起用点灯期間は、当該サイクルの第2フェーズの検出用点灯期間と、当該サイクルの1つ前のサイクルにおける第24フェーズの検出用点灯期間の間に挟まれた励起用点灯期間に相当する。
【0140】
受光部113は、複数の励起用点灯期間(第2、第4、第6、第8、第10及び第11~第12フェーズ)の少なくとも1つ(第11~第12フェーズ)で紙幣から発せられた蛍光を受光する。このように、本実施形態の光学センサ2は燐光だけでなく、紙葉類から発せられた蛍光を更に検出することができる。
【0141】
また、光源制御部11は、1サイクル中において、受光部113が紙幣BNから発せられた蛍光を受光する前に(第11~第12フェーズの前に)、紫外光UVを少なくとも一回照射するように(第2、第4、第6、第8及び第10フェーズ)、光源111を制御している。
【0142】
更に、光源制御部11は、複数の励起用点灯期間(第2、第4、第6、第8、第10及び第11~第12フェーズ)での紫外光UVの照射後に複数の消灯期間(第14、第15~第16、第18、第20、第22及び第24フェーズ)で消灯するように、光源111を制御し、受光部113は、光源111が紫外光UVを照射する複数の励起用点灯期間(第2、第4、第6、第8、第10及び第11~第12フェーズ)のうちの2番目以降の期間(ここでは第11~第12フェーズ)にて紙幣BNから発せられた蛍光を受光するとともに、複数の励起用点灯期間(第2、第4、第6、第8、第10及び第11~第12フェーズ)の経過後に紙幣BNから発せられた燐光を複数の消灯期間(第14、第15~第16、第18、第20、第22及び第24フェーズ)の各々で受光している。
【0143】
そして、光源制御部11は、蛍光検知のための紫外光UVの照射時間(第11~第12フェーズのおける紫外光UVの照射時間)より短い時間で、燐光強度を向上するための励起光照射(第2、第4、第6、第8及び第10の各フェーズ。このときは蛍光を受光しない)を一回以上(ここでは5回)行っている。
【0144】
(実施形態4)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態と重複する内容についての詳細な説明は省略する。本実施形態の紙幣処理装置は、光源点灯及び受光の内容及びタイミングが
図13に示すものであること以外は、実施形態3と同様の構成を有する。
【0145】
図13に示すように、本実施形態の上部ユニット110の撮像位置では、1サイクルの第1フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第2フェーズでは光源からの光の照射も受光部での光の受光も行わない。続いて、第3フェーズにおいて、光源111又は124から光Aを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Aを受光部113で受光する。続いて、第4フェーズでは光源からの光の照射も受光部での光の受光も行わない。続いて、第5フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第6フェーズでは光源からの光の照射も受光部での光の受光も行わない。続いて、第7フェーズにおいて、光源111又は124から光Bを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Bを受光部113で受光する。続いて、第8フェーズにおいて、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第9フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第10フェーズにおいて、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第11フェーズ~第12フェーズにおいて、光源111から紫外光UVを照射するとともに、紙幣からの蛍光を受光部113で受光する。続いて、第13フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。
【0146】
続いて、第14フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第15フェーズ~第16フェーズにおいても、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第17フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第18フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第19フェーズにおいて、光源111又は124から光Cを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Cを受光部113で受光する。続いて、第20フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第21フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第22フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第23フェーズにおいて、光源111又は124から光Dを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Dを受光部113で受光する。続いて、第24フェーズでは光源からの光の照射も受光部での光の受光も行わない。
【0147】
上記実施形態3では、第2フェーズの後半、第4フェーズの後半、第6フェーズの後半、第8フェーズの後半、第10フェーズの後半及び第11~第12フェーズにおいて紫外光照射が行われ、本実施形態では、第8フェーズ、第10フェーズ及び第11~第12フェーズにおいて紫外光照射が行われ、上記実施形態3及び本実施形態ではいずれも、燐光検出を介さずに励起用点灯期間がまとまって配置されており、紫外光照射が連続して行われる。ここで、上記実施形態3では、第2、第4、第6及び第8フェーズにおいて、それぞれ半フェーズ分の時間、紫外光照射が行われる一方で、本実施形態では、第8及び第10フェーズにおいて、それぞれ1フェーズ分の時間、紫外光照射が行われる。すなわち、本実施形態では、上記実施形態3よりも1回あたりの紫外光照射時間が長い。このように、上記実施形態3では連続して紫外光照射が行われ、本実施形態では連続かつ集中して紫外光照射が行われる。本実施形態のように、連続かつ集中して紫外光照射が行われる方が、燐光検知前に紫外光を強く当てることが可能となる。
【0148】
また、光源制御部11は、1サイクル中において、受光部113が紙幣BNから発せられた蛍光を受光する前に(第11~第12フェーズの前に)、紫外光UVを少なくとも一回照射するように(第8及び第10フェーズ)、光源111を制御している。
【0149】
更に、光源制御部11は、複数の励起用点灯期間(第8、第10及び第11~第12フェーズ)での紫外光UVの照射後に複数の消灯期間(第14、第15~第16、第18、第20、第22及び第24フェーズ)で消灯するように、光源111を制御し、受光部113は、光源111が紫外光UVを照射する複数の励起用点灯期間(第8、第10及び第11~第12フェーズ)のうちの2番目以降の期間(ここでは第11~第12フェーズ)にて紙幣BNから発せられた蛍光を受光するとともに、複数の励起用点灯期間(第8、第10及び第11~第12フェーズ)の経過後に紙幣BNから発せられた燐光を複数の消灯期間(第14、第15~第16、第18、第20及び第22フェーズ)の各々で受光している。
【0150】
(実施形態5)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態と重複する内容についての詳細な説明は省略する。本実施形態の紙幣処理装置は、光源点灯及び受光の内容及びタイミングが
図14に示すものであること以外は、実施形態3と同様の構成を有する。
【0151】
図14に示すように、本実施形態の上部ユニット110の撮像位置では、1サイクルの第1フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第2フェーズの後半において、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第3フェーズにおいて、光源111又は124から光Aを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Aを受光部113で受光する。続いて、第4フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第5フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第6フェーズの後半において、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第7フェーズにおいて、光源111又は124から光Bを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Bを受光部113で受光する。続いて、第8フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第9フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第10フェーズの後半において、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第11フェーズにおいて、光源111又は124から光Cを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Cを受光部113で受光する。続いて、第12フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第13フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第14フェーズの後半において、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第15フェーズにおいて、光源111又は124から光Dを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Dを受光部113で受光する。続いて、第16フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。
【0152】
続いて、第17フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第18フェーズの後半において、光源111から紫外光UVを照射する。続いて、第19フェーズ~第20フェーズにおいて、光源111から紫外光UVを照射するとともに、紙幣からの蛍光を受光部113で受光する。続いて、第21フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第22フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第23~第24フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。
【0153】
上記実施形態3及び4では、連続してUVを照射した後、連続して燐光を検出している、すなわち、燐光検出後に紫外光照射は行われないが、本実施形態では、紫外光照射、燐光検出、紫外光照射、燐光検出…というように、紫外光照射と燐光検出とが交互に繰り返される。実施形態5のように、紫外光照射と燐光検出とを交互に行う期間を含んでもよい。このような態様とすることにより、燐光の減衰が少ない段階で当該燐光を検知することができる。
【0154】
また、光源制御部11は、1サイクル中において、受光部113が紙幣BNから発せられた蛍光を受光する前に(第19~第20フェーズの前に)、紫外光UVを少なくとも一回照射するように(第2、第6、第10、第14及び第18フェーズ)、光源111を制御している。
【0155】
更に、光源制御部11は、蛍光検知のための紫外光UVの照射時間(第19~第20フェーズのおける紫外光UVの照射時間)より短い時間で、燐光強度を向上するための励起光照射(第2、第6、第10、第14及び第18の各フェーズ。このときは蛍光を受光しない)を一回以上(ここでは5回)行っている。
【0156】
また、受光部113は、1サイクル中に、紙幣BNから発せられた蛍光を受光する前に(第19~第20フェーズの前に)、複数の消灯期間(第4、第8、第12及び第16フェーズ)の少なくとも一つの期間(ここでは、第4、第8、第12及び第16フェーズ)で紙幣BNから発せられた燐光を受光している。
【0157】
(実施形態6)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態と重複する内容についての詳細な説明は省略する。本実施形態の紙幣処理装置は、光源点灯及び受光の内容及びタイミングが
図15に示すものであること以外は、実施形態3と同様の構成を有する。
【0158】
図15に示すように、本実施形態の上部ユニット110の撮像位置では、1サイクルの第1フェーズにおいて、光源111又は124から光Aを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Aを受光部113で受光する。続いて、第2フェーズにおいて、光源111又は124から光Bを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Bを受光部113で受光する。続いて、第3フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第4フェーズにおいて、光源111又は124から光Cを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Cを受光部113で受光する。続いて、第5フェーズにおいて、光源111から紫外光UVを照射するとともに、紙幣からの蛍光を受光部113で受光する。続いて、第6フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第7フェーズにおいて、光源111又は124から光Dを照射するとともに、紙幣で反射又は透過した光Dを受光部113で受光する。続いて、第8フェーズにおいて、光源111から紫外光UVを照射するとともに、紙幣からの蛍光を受光部113で受光する。続いて、第9フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。
【0159】
続いて、第10及び第11フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第12フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第13フェーズ~第14フェーズにおいて、光源111から紫外光UVを照射するとともに、紙幣からの蛍光を受光部113で受光する。続いて、第15フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。続いて、第16フェーズ~第17フェーズにおいて、光源を消灯し、紙幣からの燐光を受光部113で受光する。続いて、第18フェーズにおいて、光源111から白色光Wを照射するとともに、紙幣で反射した白色光Wを受光部113で受光する。
【0160】
上記実施形態3~5では、白色光Wの照射及び受光を行う複数のフェーズ(以下、白色光用フェーズともいう)は周期的に配置され、他の光(A~D)の照射及び受光を行う複数のフェーズ(以下、他のフェーズともいう)は、白色光用フェーズの間に分散して配置されている。すなわち、連続する白色光用フェーズの間には、他のフェーズが一つのみ配置されている。それに対して、本実施形態では、2以上の他のフェーズが、連続する白色光用フェーズの間に設けられている。このように、白色光用フェーズの周期性を乱さない限り、他のフェーズをどのように配置してもよい。
【0161】
また、受光部113は、1サイクル中に、紙幣BNから発せられた蛍光を受光する前に(第13~第14フェーズの前に)、複数の消灯期間(第10~第11、及び第16~第17フェーズ)の少なくとも一つの期間(ここでは、第10~第11フェーズ)で紙幣BNから発せられた燐光を受光している。
【0162】
(実施形態7)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態と重複する内容についての詳細な説明は省略する。本実施形態の紙幣処理装置は、受光部113、123の構成が異なること以外は、上記実施形態5と同様である。本実施形態では受光部113について説明を行うが、受光部123についても受光部113と同様の構成を有する。本実施形態は、受光部113に入射した光信号を無効とする(有効なものとしない)機能を有している。
【0163】
本実施形態の紙幣処理装置の光源点灯及び受光の内容及びタイミングは、実施形態5と同様に
図14に示すものである。また、本実施形態の紙幣処理装置が備える受光部113は、
図16に示すように、受光素子としてのフォトダイオード210、アンプ221、222、コンデンサ230、リセットスイッチ240、ホールドスイッチ250及びリードスイッチ260を備える。フォトダイオード210とコンデンサ230とは、フォトダイオード210側から順にアンプ221及びホールドスイッチ250を介して接続されている。フォトダイオード210とアンプ221とを接続する配線から分岐した配線にはリセットスイッチ240が接続されている。また、コンデンサ230は、アンプ222を介してリードスイッチ260に接続されている。フォトダイオード210で発生した電荷は、ホールドスイッチ250がオン状態となり、リセットスイッチ240及びリードスイッチ260がオフ状態となることによりコンデンサ230に蓄積される。コンデンサ230に蓄積された電荷は、リードスイッチ260がオン状態、リセットスイッチ240及びホールドスイッチ250がオフ状態となることによりセンサ制御部12へ転送され、リセットスイッチ240及びホールドスイッチ250がオン状態、リードスイッチ260がオフ状態となることにより放電される。
【0164】
図17に示すように、第一の蓄積期間1Cでは、検出用光が照射され、励起光は消灯される。このとき、リセットスイッチ240及びリードスイッチ260はオフ状態となり、ホールドスイッチ250はオン状態となる。第一の蓄積期間1Cでは、検出用光が照射され、検出用光に基づいて紙幣から発せられた光の入射光量に応じてフォトダイオード210で発生した電荷が、アンプ221で増幅されてコンデンサ230に蓄積される。
【0165】
続いて、第一の蓄積期間1Cと第二の蓄積期間2Cとの間の期間1Eでは、検出用光が消灯され、第一の蓄積期間1Cで蓄積された検出用光に基づく電荷の転送、A/D変換及び放電が行われる。この期間1Eは、転送期間と放電期間とを順に備える。転送期間では、コンデンサ230に蓄積された電荷が転送される際に励起光の照射も行われる。放電期間では、コンデンサ230に蓄積された電荷が放電される。A/D変換は、期間1Eの適当なタイミングにて行われる。
【0166】
転送期間における本実施形態の特徴を、比較形態2の紙幣処理装置と比較して説明する。
図18及び
図19を用いて比較形態2の紙幣処理装置について説明する。
図18に示すように、比較形態2の紙幣処理装置は、受光部113Rがホールドスイッチ250を備えないこと以外は、実施形態7の紙幣処理装置と同様の構成を有する。比較形態2の紙幣処理装置が備える受光部113Rでは、フォトダイオード210とコンデンサ230とがアンプ221を介して常に接続された状態にあるため、転送期間においてリードスイッチ260がオン状態、リセットスイッチ240がオフ状態になると共に励起光が照射されると、
図19に示すように、当該励起光に起因して紙幣から発せられた蛍光成分に起因する電荷が転送期間中に混入してしまい、第一の蓄積期間1Cで蓄積された電荷を正確に転送することができない。一方、本実施形態では、フォトダイオード210とコンデンサ230との間に、両者の接続状態を切り替えることができるホールドスイッチ250が配置されている。そのため、転送期間においてリードスイッチ260がオン状態、リセットスイッチ240がオフ状態になると共に励起光が照射される際、ホールドスイッチ250をオフ状態とすることによりフォトダイオード210とコンデンサ230との接続を切断し、励起光に起因して紙幣から発せられた蛍光成分に起因する電荷が転送期間中に混入することを防ぎ、第一の蓄積期間1Cで照射された検出用光に起因する電荷量をより正確に検出することができ、かつ、燐光強度を向上することができる。
【0167】
本実施形態における放電期間では、検出用光及び励起光が消灯され、リードスイッチ260はオフ状態、リセットスイッチ240及びホールドスイッチ250はオン状態となる。これにより、コンデンサ230に蓄積された電荷が放電される。以上のようにして、電荷の転送、A/D変換及び電荷の放電(リセット)が行われ、続いて第二の蓄積期間2Cが開始される。1サイクル中で、当該電荷の蓄積、転送、A/D変換及びリセットが繰り返される。
【0168】
なお、この第一の蓄積期間1C、転送期間、放電期間及び第二の蓄積期間2Cの組み合わせは、1サイクル中に少なくとも一つ設けられればよく、励起光を照射するタイミングに合わせて適宜設けることが可能である。
【0169】
また、本実施形態では、燐光強度をより向上するため、転送期間に加えて放電期間に励起光を照射してもよい。すなわち、燐光強度を向上するための励起光照射は、転送期間中及び放電期間中であってもよく、また、転送期間及び放電期間に重なってもよい。更に、燐光強度を向上するための励起光は、転送期間ではなく、放電期間に照射してもよい。放電期間では、フォトダイオード210で発生した電荷はコンデンサ230に蓄積されずにそのまま放電されることから、放電期間に励起光を照射したとしても、当該励起光に起因して紙幣から発せられた蛍光成分に起因する電荷がコンデンサ230に蓄積するのを防止することができる。すなわち、余計な電荷の混入を防止しつつ、燐光強度を向上することができる。
【0170】
(変形例1)
上記実施形態3~7において、演算部16は、1サイクル中の複数の消灯期間で受光部113、123によって受光された複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、かつ、光源制御部11は、1サイクル中に、複数の励起用点灯期間にて励起光を照射するが、複数の燐光成分にそれぞれ基づく出力値の合算、及び複数の励起用点灯期間での励起光の照射は、いずれか一方のみ行われてもよい。例えば、励起用点灯期間を1回のみ設け、かつ演算部16は、1サイクル中の複数の消灯期間で受光部113、123によって受光された複数の燐光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、1サイクルでの出力値としてもよいし、励起用点灯期間を複数回設け、かつ1サイクル中の1つの消灯期間で受光部113、123によって受光された1つの燐光成分に基づく出力値を1サイクルでの出力値としてもよい。
【0171】
(変形例2)
上記実施形態1~7では、励起光が照射される際、他の種類の光は照射されないが、励起光照射による反射光、蛍光及び燐光が他の特徴量検出に対して影響を及ぼさなければ、他の特徴量を検出するために照射する光、すなわち検出用光と同時に、励起光を照射してもよい。
【0172】
(変形例3)
上記実施形態3~7において励起光照射及び燐光受光のフェーズの配置と時間を具体的に示したが、他の特徴量検出による紙幣識別(真偽、汚損)結果に影響がなければ、紫外光照射及び燐光受光のフェーズの配置と時間は適宜変更してもよい。
【0173】
(変形例4)
上記実施形態1~7では、燐光検出において出力値を合算したが、蛍光検出又は他の特徴量検出においても、複数のフェーズで得られた出力値を合算し、1サイクルの出力値としてもよい。具体的には、本変形例の光学センサが備える光源制御部は、1サイクル中に、少なくとも一種の光を複数の点灯期間で照射するように、光源を制御し、受光部は、1サイクル中に、紙幣に同じ側から照射された同じ種類の光に起因して紙幣から到達する光を複数の期間(上記複数の点灯期間でもよい)の各々で受光し、演算部は、1サイクル中の上記複数の期間で受光部によって受光された複数の光成分にそれぞれ基づく複数の出力値を合算し、一画素分のデータを生成してもよい。このような態様とすることにより、燐光成分に基づく出力値を合算した場合と同様に、紙幣から到達する光成分に基づく画像信号のS/N比を向上させることができる。また、光源の電流量を抑制することができる。更に、1サイクルに要する時間の増加を抑えることができる。
【0174】
なお、紙幣に同じ側から照射された同じ種類の光とは、紙幣のA面側及びB面側のいずれか一方から照射された同じ波長帯域の光であり、紙幣に同じ側から照射された同じ種類の光に起因して紙葉類から到達する光とは、例えば、紙幣のA面側から照射された特定の波長帯域の光が紙幣で反射した光、紙幣のB面側から照射された特定の波長帯域の光が紙幣で反射した光、及び紙幣のB面側から照射された特定の波長帯域の光が紙幣を透過した光である。
【0175】
(変形例5)
上記実施形態3~7では、白色光を照射して、青色光、緑色光及び赤色光を、それぞれ受光素子133B、緑色の受光素子133G及び赤色の受光素子133Rの3種類の受光素子で同時に受光するが、上記実施形態1~7では、青色光、緑色光及び赤色光を交互に点灯させ、紙幣から到達する光を1種類の受光素子で受光してもよい。
【0176】
(変形例6)
上記実施形態1~7では、紙幣に対して励起光として紫外光を照射し、可視光領域で発光する蛍光及び燐光を受光する場合について説明したが、紙幣に対して励起光として紫外光以外の光(例えば、可視光や赤外光)を照射し、可視光領域以外の波長帯域(例えば、赤外光領域)で発光する蛍光及び燐光を受光してもよい。
【0177】
(変形例7)
上記実施形態1、3~7では、1サイクル中の複数の消灯期間で受光した複数の燐光成分に基づく複数の出力値を合算する場合について説明したが、合算される複数の出力値に係る複数の燐光成分は、複数のサイクルにわたって受光されたものであってもよい。ここで、複数のサイクルは、連続する複数(例えば2つ)のサイクルであってもよい。また、複数のサイクルの各々で燐光成分を受光する回数は、適宜設定可能であり、1回であってもよいし、複数回であってもよい。
【0178】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0179】
以上のように、本発明は、搬送される紙葉類から到達する光を検出するのに有用な技術である。