(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】電子膨張弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20240112BHJP
F25B 41/35 20210101ALI20240112BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F25B41/35
(21)【出願番号】P 2022524920
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2020109831
(87)【国際公開番号】W WO2021098303
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】201911137317.9
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】曽 慶軍
(72)【発明者】
【氏名】王 冠軍
(72)【発明者】
【氏名】賀 宇辰
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3195271(JP,U)
【文献】特表2012-533717(JP,A)
【文献】特表2013-539849(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0136260(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106763989(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00 - 27/12
F16K 31/00 - 31/05
F16K 39/00 - 51/02
F25B 41/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室を有する弁座アセンブリ(10)と、
前記弁室内に設けられて前記弁座アセンブリ(10)に接続されるガイドスリーブ(20)と、
前記弁室内に設けられて前記弁室を第1のチャンバ(11)と第2のチャンバ(12)に分けるナット(30)であって、前記ナット(30)の外壁と前記弁室の内壁との間には前記第1のチャンバ(11)と前記第2のチャンバ(12)とを連通する第1のチャネル(40)が形成されており、前記ナット(30)の少なくとも一部が前記ガイドスリーブ(20)の外側に嵌合されており、前記ナット(30)の内壁と前記ガイドスリーブ(20)の外壁には前記第1のチャンバ(11)と前記第2のチャンバ(12)とを連通する第2のチャネル(50)が形成されているナット(30)と、
電子膨張弁のオンオフ状態を制御するための弁芯アセンブリ(60)であって、前記ナット(30)と前記ガイドスリーブ(20)に可動的に穿設され、且つ前記ナット(30)に係合されている弁芯アセンブリ(60)と、
前記弁座アセンブリ(10)に対して回転可能に設けられているロータアセンブリ(70)であって、前記弁芯アセンブリ(60)に接続され、前記電子膨張弁のオンオフ状態を変換させるように、前記弁芯アセンブリ(60)を連動して同期回転させることができるロータアセンブリ(70)と、を含
み、
前記ガイドスリーブ(20)の側面に位置決め溝(21)が開設されており、且つ前記位置決め溝(21)と前記ガイドスリーブ(20)の端面とが連通し、前記ナット(30)の内側には位置決めリブ(31)を有し、前記位置決めリブ(31)が延伸して前記位置決め溝(21)内に進入し、且つ前記位置決めリブ(31)と前記位置決め溝(21)との間に第1の隙間(51)が形成されており、前記第1の隙間(51)は前記第2のチャネル(50)の少なくとも一部とされる、電子膨張弁。
【請求項2】
前記ガイドスリーブ(20)は、順に接続された大径セグメント(22)と小径セグメント(23)とを含み、且つ前記大径セグメント(22)の前記小径セグメント(23)から離れた一端が前記弁座アセンブリ(10)に接続され、前記ナット(30)は、順に接続された縮径セグメント(33)、第1の拡径セグメント(32)及び第2の拡径セグメント(34)を有し、且つ前記第2の拡径セグメント(34)が前記大径セグメント(22)の外側に嵌合されており、前記第1の拡径セグメント(32)が前記小径セグメント(23)の外側に嵌合されており、前記位置決め溝(21)は前記ガイドスリーブ(20)の軸方向に沿って前記大径セグメント(22)と前記小径セグメント(23)に穿設されており、前記位置決めリブ(31)が前記第1の拡径セグメント(32)の端面に位置する、請求項
1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記縮径セグメント(33)と前記第1の拡径セグメント(32)の間の段差面と前記小径セグメント(23)の端面との間に第2の隙間(52)が形成されており、前記第2の隙間(52)と前記第1の隙間(51)とが連通して前記第2のチャネル(50)が形成される、請求項
2に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記位置決めリブ(31)は前記第2の拡径セグメント(34)内に位置し、前記第2の拡径セグメント(34)の外壁には切欠き部(41)を有し、前記切欠き部(41)は前記ナット(30)の軸方向に沿って前記第2の拡径セグメント(34)を貫通し、前記切欠き部(41)は前記第1のチャネル(40)の少なくとも一部とされる、請求項
2に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記ナット(30)は、外部パイプラインを回避するための逃げ切欠き(35)を更に有し、前記ガイドスリーブ(20)の側面には前記外部パイプラインと連通する貫通孔(24)を有し、前記位置決めリブ(31)が前記位置決め溝(21)内に位置する場合、前記外部パイプラインの一部が前記逃げ切欠き(35)内に位置する、請求項
1に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記ナット(30)の外壁には切欠き部(41)を有し、前記電子膨張弁は、押板(80)を更に含み、前記押板(80)は前記弁室の内壁に接続されて前記ナット(30)を前記弁座アセンブリ(10)に押し付け、前記押板(80)の外縁には前記切欠き部(41)と連通するスルーホール(42)が開設されており、前記切欠き部(41)と前記スルーホール(42)により前記第1のチャネル(40)が形成される、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記スルーホール(42)は1つ又は複数であり、前記スルーホール(42)が複数設けられる場合、各々の前記スルーホール(42)は前記押板(80)の周方向に沿って設けられる、請求項
6に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記ナット(30)の外壁には凸状リブ(36)を有し、前記押板(80)は前記ナット(30)の外側に嵌合されており、且つ前記押板(80)の内壁に凹溝(81)を有し、前記凸状リブ(36)が前記凹溝(81)内に収納されて、前記押板(80)を前記ナット(30)に対して回転できないようにする、請求項
6に記載の電子膨張弁。
【請求項9】
前記凸状リブ(36)と前記凹溝(81)は、いずれも複数設けられて、前記押板(80)の周方向に沿って設けられ、且つ前記凸状リブ(36)と前記凹溝(81)とは一対一に対応して設けられる、請求項
8に記載の電子膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は弁の技術分野に関し、具体的には、電子膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、電子膨張弁は、その内部に2つのチャンバが形成されており、この2つのチャンバ内の圧力が均衡化されなければ電子膨張弁の正常な作動を確保できない。現在の電子膨張弁は、通常、ナットと外側弁座との間に隙間が形成されるか、又は1つのチャネルが開設されており、この設計は確実に2つのチャンバを均衡化する作用を有するが、隙間又はチャネル、あるいは開孔は一般に比較的小さいので、均衡効果が比較的悪く、且つ正確に合わせなければ均衡作用を発揮できないので、組み立てに対する要求が高く、組み立てるのにある程度の難度がある。
【発明の概要】
【0003】
本出願は、従来の技術における電子膨張弁内の2つのチャンバの均衡効果が悪い問題を解決するために、電子膨張弁を提供することを主な目的とする。
【0004】
上記の目的を達成するために、本出願は、電子膨張弁を提供し、電子膨張弁は、弁室を有する弁座アセンブリと、弁室内に設けられて弁座アセンブリに接続されるガイドスリーブと、弁室内に設けられて弁室を第1のチャンバと第2のチャンバに分けるナットであって、ナットの外壁と弁室の内壁との間には第1のチャンバと第2のチャンバとを連通する第1のチャネルが形成されており、ナットの少なくとも一部がガイドスリーブの外側に嵌合されており、ナットの内壁とガイドスリーブの外壁には第1のチャンバと第2のチャンバとを連通する第2のチャネルが形成されているナットと、電子膨張弁のオンオフ状態を制御するための弁芯アセンブリであって、ナットとガイドスリーブに可動的に穿設され、且つナットに係合される弁芯アセンブリと、弁座アセンブリに対して回転可能に設けられ、且つ弁芯アセンブリに接続され、電子膨張弁のオンオフ状態を変換させるように、弁芯アセンブリを連動して同期回転させることができるロータアセンブリと、を含む。
【0005】
選択可能な一実施形態において、ガイドスリーブの側面に位置決め溝が開設されており、且つ位置決め溝とガイドスリーブの端面とが連通し、ナットの内側には位置決めリブを有し、位置決めリブが延伸して位置決め溝内に進入し、且つ位置決めリブと位置決め溝との間に第1の隙間が形成されており、第1の隙間は第2のチャネルの少なくとも一部とされる。
【0006】
選択可能な一実施形態において、ガイドスリーブは、順に接続された大径セグメントと小径セグメントとを含み、且つ大径セグメントの小径セグメントから離れた一端が弁座アセンブリに接続され、ナットは、順に接続された縮径セグメント、第1の拡径セグメント及び第2の拡径セグメントを有し、且つ第2の拡径セグメントが大径セグメントの外側に嵌合されており、第1の拡径セグメントが小径セグメントの外側に嵌合されており、位置決め溝はガイドスリーブの軸方向に沿って大径セグメントと小径セグメントに穿設されており、位置決めリブが第1の拡径セグメントの端面に位置する。
【0007】
選択可能な一実施形態において、縮径セグメントと第1の拡径セグメントの間の段差面と小径セグメントの端面との間に第2の隙間が形成されており、第2の隙間と第1の隙間とが連通して第2のチャネルが形成される。
【0008】
選択可能な一実施形態において、位置決めリブは第2の拡径セグメント内に位置し、第2の拡径セグメントの外壁には切欠き部を有し、切欠き部はナットの軸方向に沿って第2の拡径セグメントを貫通し、切欠き部は第1のチャネルの少なくとも一部とされる。
【0009】
選択可能な一実施形態において、ナットは、外部パイプラインを回避するための逃げ切欠きを更に有し、ガイドスリーブの側面に外部パイプラインと連通する貫通孔を有し、位置決めリブが位置決め溝内に位置する場合、外部パイプラインの一部が逃げ切欠き内に位置する。
【0010】
選択可能な一実施形態において、ナットの外壁には切欠き部を有し、電子膨張弁は、押板を更に含み、押板は弁室の内壁に接続されてナットを弁座アセンブリに押し付け、押板の外縁には切欠き部と連通するスルーホールが開設されており、切欠き部とスルーホールにより第1のチャネルが形成される。
【0011】
選択可能な一実施形態において、スルーホールは1つ又は複数であり、スルーホールが複数設けられている場合、各々のスルーホールは押板の周方向に沿って設けられる。
【0012】
選択可能な一実施形態において、ナットの外壁には凸状リブを有し、押板はナットの外側に嵌合されており、且つ押板の内壁に凹溝を有し、凸状リブが凹溝内に収納されて、押板をナットに対して回転できないようにする。
【0013】
選択可能な一実施形態において、凸状リブと凹溝は、いずれも複数設けられて、押板の周方向に沿って設けられ、且つ凸状リブと凹溝とは一対一に対応して設けられる。
【0014】
本出願の技術態様を適用し、ナットと弁座アセンブリとの間に第1のチャネルが形成されており、同時にガイドスリーブとナットとの間に第2のチャネルが形成されており、第1のチャネルと第2のチャネルは、いずれも第1のチャンバと第2のチャンバとを連通するようにして、2つのチャネルの設置は、第1のチャンバと第2のチャンバを均衡化するバランス能力を向上させ、均衡効果がより良好であり、且つ第1のチャネルと第2のチャネルは、いずれもナットとガイドスリーブの縁部に位置して、バランスホールの設計を回避し、コア引き動作が不要になり金型設計が簡易化され、効率を向上させて、コストダウンする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本出願の一部を構成する明細書の図面は、本出願に対する更なる理解を提供するためのものであり、本出願の模式的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するために用いられ、本出願に対する不当な限定を構成するものではない。
【0016】
【
図5】
図1における電子膨張弁のガイドスリーブの構造模式図を示す。
【
図6】
図1における電子膨張弁のナットの構造模式図を示す。
【
図7】
図6におけるナットの他の視角の構造模式図を示す。
【
図8】
図1における電子膨張弁の上スリーブ、ロータアセンブリ及び弁芯アセンブリを除いた場合の構造模式図を示す。
【0017】
ここで、上記の図面には以下の符号が含まれる。
10 弁座アセンブリ、11 第1のチャンバ、12 第2のチャンバ、20 ガイドスリーブ、21 位置決め溝、22 大径セグメント、23 小径セグメント、24 貫通孔、30 ナット、31 位置決めリブ、32 第1の拡径セグメント、33 縮径セグメント、34 第2の拡径セグメント、35 逃げ切欠き、36 凸状リブ、40 第1のチャネル、41 切欠き部、42 スルーホール、50 第2のチャネル、51 第1の隙間、52 第2の隙間、60 弁芯アセンブリ、70 ロータアセンブリ、80 押板、81 凹溝、91 第1の接続管、92 第2の接続管。
【発明を実施するための形態】
【0018】
留意すべきこととして、矛盾がない限り、本出願における実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わされてもよい。以下、図面を参照し、実施例と併せて本出願を詳細に説明する。
【0019】
本出願は、従来の技術における電子膨張弁内の2つのチャンバの均衡効果が悪い問題を解決するために、電子膨張弁を提供する。
【0020】
図1から
図8に示す電子膨張弁は、弁座アセンブリ10と、ガイドスリーブ20と、ナット30と、電子膨張弁のオンオフ状態を制御するための弁芯アセンブリ60と、ロータアセンブリ70とを含み、弁座アセンブリ10は弁室を有し、ガイドスリーブ20は弁室内に設けられて弁座アセンブリ10に接続され、ナット30は弁室内に設けられて、弁室を第1のチャンバ11と第2のチャンバ12に分け、ナット30の外壁と弁室の内壁との間には第1のチャンバ11と第2のチャンバ12とを連通する第1のチャネル40が形成されており、ナット30の少なくとも一部がガイドスリーブ20の外側に嵌合されており、ナット30の内壁とガイドスリーブ20の外壁には第1のチャンバ11と第2のチャンバ12とを連通する第2のチャネル50が形成されており、弁芯アセンブリ60はナット30とガイドスリーブ20に可動的に穿設され、且つナット30に係合され、ロータアセンブリ70は弁座アセンブリ10に対して回転可能に設けられ、且つ弁芯アセンブリ60に接続され、ロータアセンブリ70は弁芯アセンブリ60を連動して同期回転させることで、電子膨張弁のオンオフ状態を変換できる。
【0021】
本実施例は、
図1から
図4に示すように、ナット30と弁座アセンブリ10との間に第1のチャネル40が形成されており、同時にガイドスリーブ20とナット30との間に第2のチャネル50が形成されており、第1のチャネル40と第2のチャネル50は、いずれも第1のチャンバ11と第2のチャンバ12とを連通するようにして、2つのチャネルの設置は、第1のチャンバ11と第2のチャンバ12を均衡化するバランス能力を向上させ、均衡効果がより良好であり、且つ第1のチャネル40と第2のチャネル50は、いずれもナット30とガイドスリーブ20の縁部に位置して、バランスホールの設計を回避し、コア引き動作が不要になり、金型設計が簡易化され、効率を向上させて、コストダウンする。
【0022】
図5及び
図7に示すように、ガイドスリーブ20の側面に位置決め溝21が開設されており、且つ位置決め溝21とガイドスリーブ20の端面とが連通し、ナット30の内側には位置決めリブ31を有し、位置決めリブ31が延伸して位置決め溝21内に進入し、且つ位置決めリブ31と位置決め溝21との間に第1の隙間51が形成されており、第1の隙間51は第2のチャネル50の少なくとも一部とされる。位置決め溝21とガイドスリーブ20の端面とを連通させる理由は、部材を組み立てるとき、ナット30をガイドスリーブ20の軸方向に沿ってガイドスリーブ20の外側に嵌合させるようにして、位置決めリブ31が位置決め溝21にスムーズに進入できることを考慮したためである。位置決め溝21と位置決めリブ31の設置は、一方では、第2のチャネル50が形成される構造基盤とし、位置決め溝21と位置決めリブ31との間には異なる大きさの構造の係合により自然に第1の隙間51が形成されるので、別途の設置が不要であり、他方では、ガイドスリーブ20とナット30を組み立てる際に便利で速やかであり、取り付けの正確性と信頼性が確保される。
【0023】
図6及び
図7に示すように、ガイドスリーブ20は、順に接続された大径セグメント22と小径セグメント23とを含み、且つ大径セグメント22の小径セグメント23から離れた一端が弁座アセンブリ10に接続され、ナット30は、順に接続された縮径セグメント33、第1の拡径セグメント32及び第2の拡径セグメント34を有し、且つ第1の拡径セグメント32が小径セグメント23の外側に嵌合されており、第2の拡径セグメント34は大径セグメント22の一部のセグメントのみを覆い、位置決め溝21はガイドスリーブ20の軸方向に沿って大径セグメント22と小径セグメント23に穿設されており、位置決めリブ31が第1の拡径セグメント32の端面に位置する。このようにして、ナット30の第2の拡径セグメント34がガイドスリーブ20の大径セグメント22に嵌合される場合、同時に位置決めリブ31が延伸して位置決め溝21内に進入することで、ナット30をガイドスリーブ20に対して回転できないようにする。
【0024】
上記の設置形態によれば、縮径セグメント33と第1の拡径セグメント32との間には段差面が自然に形成され、この段差面と小径セグメント23の端面とが緊密に当接すると、第1のチャンバ11と第2のチャンバ12の間は、第2のチャネル50を介して効率的に連通することができないので、縮径セグメント33と第1の拡径セグメント32の間の段差面と小径セグメント23の端面との間に隙間が設けられ、両者の間に第2の隙間52が形成され、且つ第2の隙間52と第1の隙間51とが連通するようにして、第1のチャンバ11と第2のチャンバ12との間は第1の隙間51と第2の隙間52を介して連通を実現し、自然に第2の隙間52と第1の隙間51とが係合され、即ち第2のチャネル50とされる。
【0025】
本実施例において、位置決めリブ31は第2の拡径セグメント34内に位置し、第2の拡径セグメント34の外壁には切欠き部41を有し、切欠き部41、即ち弁座アセンブリ10の内壁との間に隙間が形成され、切欠き部41は第1のチャネル40の少なくとも一部とされ、且つ切欠き部41はナット30の軸方向に沿って第2の拡径セグメント34を貫通することで、第1のチャンバ11と第2のチャンバ12との間が切欠き部41を介して連通するようにする。
【0026】
好ましくは、ナット30とガイドスリーブ20は、いずれも樹脂の射出成形品である。
【0027】
図1に示すように、弁座アセンブリ10は外部パイプラインに接続され、ここで、外部パイプラインは、弁座アセンブリ10の側面に接続された第1の接続管91及び弁座アセンブリ10の底面に接続された第2の接続管92を含み、第1の接続管91が弁座アセンブリ10の側面に位置するので、第1の接続管91とナット30との間は干渉する可能性があり、このような状況を回避するために、ナット30の側面には第1の接続管91を回避するための逃げ切欠き35を更に有し、第1の接続管91は、通常円形の管であるので、逃げ切欠き35は半円形を呈し、
図7に示すように、第1の接続管91の外側に嵌合されており、これに応じて、ガイドスリーブ20の側面に貫通孔24を有し、貫通孔24とガイドスリーブ20の軸線における中心孔とが連通し、且つ貫通孔24は更に第1の接続管91に位置合わせされ、ただし、第1の接続管91、逃げ切欠き35及び貫通孔24の三者の位置が上記の方向に沿って設けられなければ、電子膨張弁の弁作用を実現することができないので、ガイドスリーブ20を弁座アセンブリ10に取り付ける際に、ガイドスリーブ20の周方向位置を調整して、貫通孔24と第1の接続管91とを位置合わせすることを必要とし、逃げ切欠き35と第1の接続管91の位置は、位置決め溝21と位置決めリブ31との間の係合により実現されるものであり、即ち位置決めリブ31が位置決め溝21内に位置する場合、逃げ切欠き35と第1の接続管91とを位置合わせして、第1の接続管91の一部が逃げ切欠き35内に位置することで、第1の接続管91、逃げ切欠き35及び貫通孔24の三者の位置を方向付けして正確な組み立てを実現する。
【0028】
本実施例において、電子膨張弁は、押板80を更に含み、押板80は弁室の内壁に接続されてナット30を弁座アセンブリ10に押し付けることで、ナット30が押板80のみにより弁座アセンブリ10に固定されることができ、押板80の外縁には切欠き部41と位置合わせして連通するスルーホール42が開設されており、切欠き部41とスルーホール42とが共に第1のチャネル40を形成するようにして、第1のチャンバ11と第2のチャンバ12が切欠き部41と押板80におけるスルーホール42を介して連通を実現する。
【0029】
選択的に、切欠き部41とスルーホール42は、いずれも1つであってよく、それぞれ複数設けられてもよく、本実施例において、切欠き部41とスルーホール42は、いずれも複数設けられて、且つ一対一に対応して設けられることが好ましく、切欠き部41とスルーホール42は押板80の周方向に沿って設けられるようにして、複数の第1のチャネル40が形成されるので、第1のチャンバ11と第2のチャンバ12との間の連通効果を向上させる。
【0030】
図6及び
図8に示すように、ナット30の外側に嵌合された押板80がナット30に対して回転することで切欠き部41とスルーホール42とがずれてしまうことを回避するために、本実施例は、ナット30の外壁には凸状リブ36が設けられており、且つ押板80の内壁に凹溝81が開設されており、凸状リブ36が凹溝81内に収納されて、凸状リブ36と凹溝81との係合により押板80がナット30対して回転できないようになり、押板80がナット30に取り付けられたときにスルーホール42と切欠き部41とが常に位置合わせされていることが確保され、即ち第1のチャネル40の均衡効果が確保された。
【0031】
選択的に、凸状リブ36と凹溝81は、いずれも複数設けられて、押板80の周方向に沿って均一に設けられ、且つ凸状リブ36と凹溝81とは一対一に対応して設けられて、押板80とナット30との間の応力を均衡化する。
【0032】
本実施例において、弁座アセンブリ10は、下弁座、上スリーブ及び弁座コアを含み、ここで、下弁座と上スリーブが互いに接続されて共に弁室を形成し、他の各部材はいずれも弁室内に収納されて、下弁座の側面と底面に貫通孔24が開設されて第1の接続管91及び第2の接続管92との連通に用いられ、底面における連通口に弁芯座が取り付けられ、弁芯座はソケット状を呈し、第2の接続管92から進入した流体は弁芯座、ガイドスリーブ20を順に通過して弁室に進入し、弁室から第1の接続管91を経由して流れ出し、電子膨張弁のオン及びオフは弁芯アセンブリ60と弁芯座との間の係合により実現し、具体的には、弁芯アセンブリ60の一端が延伸して弁芯座に進入又は弁芯座から退出することで、弁芯座における弁口の開度を変更して、流量の調節を実現する。
【0033】
本実施例の弁芯アセンブリ60は、スクリュ、スピンドル及びスプリングを含み、ここで、スクリュは、ナット30に螺合されてロータアセンブリ70に接続され、ロータアセンブリ70は、外部磁力の連動により回転し、スクリュとナット30との螺合により弁芯アセンブリ60の軸方向への移動を実現させることで、弁芯アセンブリ60と弁芯座との間の距離を変更して調節を実現し、スピンドルはスクリュ内に穿設されており、且つスピンドルの一端と弁芯座との間は係合により調節され、スプリングはスクリュ内に位置し、且つスピンドルの外側に嵌合されており、スプリングの両端は、それぞれスクリュとスピンドルに当接することで、スクリュとスピンドルとの同期運動が確保される。
【0034】
留意すべきこととして、上記実施例における複数とは、少なくとも2つである。
【0035】
以上の説明から、本出願の上記の実施例は以下の技術効果を実現したことが分かる。
1、従来の技術における電子膨張弁内の2つのチャンバの均衡効果が悪い問題を解決する。
2、第1のチャネルと第2のチャネルは、第1のチャンバと第2のチャンバを均衡化するバランス能力を向上させ、均衡効果がより良好である。
3、第1のチャネルと第2のチャネルは、いずれもナットとガイドスリーブの縁部に位置して、バランスホールの設計を回避し、コア引き動作が不要になり、金型設計が簡易化され、効率を向上させて、コストダウンする。
4、位置決めリブと位置決め溝は、第2のチャネルを実現するとともに、ナットとガイドスリーブとの組み立てに対する方向付け作用も果たして、取り付けの正確性と信頼性が確保される。
【0036】
以上で説明した実施例は本出願の実施例の一部にすぎず、実施例の全部ではないことは明らかである。当業者が、本出願における実施例に基づいて、創造的な作業なしに得られた全ての他の実施例はいずれも本出願の保護範囲に属する。
【0037】
以上の説明は本出願の好ましい実施例にすぎず、本出願を限定するためのものではない。当業者は、本出願に対して各種の修正及び変更を行ってもよい。本出願の精神と原則内でなされるいずれの修正、同等の置換、改善等はいずれも本出願の保護範囲に包含されるべきである。