(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】超音波センサのためのダイアフラムの製造方法および超音波変換器のためのダイアフラム
(51)【国際特許分類】
H04R 7/00 20060101AFI20240112BHJP
H04R 31/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H04R7/00 330
H04R31/00 330
(21)【出願番号】P 2022535456
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2020082457
(87)【国際公開番号】W WO2021115740
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】102019219391.9
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ノイゲバウアー,エーファ-マリア
(72)【発明者】
【氏名】リーベルト,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ベッティヒャー,シュテファニー
(72)【発明者】
【氏名】ユンカー,マルクス
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0225856(US,A1)
【文献】特表2016-505707(JP,A)
【文献】特開2019-090109(JP,A)
【文献】国際公開第2013/065093(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 7/00
H04R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの車両コンポーネントの製造方法であって、前記方法が、
- 金属材料から成る外表面
領域(106、203)を有する前記車両コンポーネントを提供するステップ(10)と、
- 前記車両コンポーネントの前記外表面領域
(106、203)を脱脂するステップ(20)と、
- 前記車両コンポーネントの前記外表面領域
(106、203)を酸洗いするステップ(30)と、
- 前記車両コンポーネントの前記外表面領域(106、203)上に第2の層として第2の不動態化層(110、215)を施すステップ(50)とを有し、
- 後に続いて施される前記第2の不動態化層(110、215)の予備活性化のため、前記外表面領域(106、203)上に第1の層として第1の不動態化層(105、210)が
、ヘキサフルオロチタン酸を使って堆積される(40)ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記車両コンポーネントとして超音波センサのためのダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)が製
造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両コンポーネントとして超音波センサのためのダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)がコーティングされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ダイアフラム本体(100、201)の、前記外表面領域(106、203)の前記酸洗い(30)および前記外表面領域(106、203)上への第1の層としての前記第1の不動態化層(105、210)
の堆積(40)が同時であって
、酸洗い不動態化ステップで行われることを特徴とする請求項1
から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の不動態化層(110、215)上に、前記金属材料の腐食防止のために第3の層としてプライマー層(120、220)が施される(60)ことを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記脱脂された外表面領域(106、203)が、前記酸洗い(30)の際に
、フッ化水素および/または硫酸二水素塩および/またはリン酸三水素塩をベースとするクロムフリーの酸洗い剤で
、浸漬プロセスにおいてまたはスプレープロセスにおいて処理されることを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記プライマー層(120、220)上に第4の層とし
てポリウレタンベースの液状塗料(135)が施される(70)ことを特徴とする請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
金属材料から成るダイアフラム本体(100、201)を備えた超音波変換器のためのダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)であって、前記ダイアフラム本体(100、201)の酸洗いされた外表面領域(106、203)上に、第2の層として第2の不動態化層(110、215)が配置されているダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)であって、
前記酸洗いされた外表面領域(106、203)上に、第1の層として第1の不動態化層(105、210)が、前記第2の不動態化層(110、215)の予備活性化のために配置されていることを特徴とするダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)。
【請求項9】
前記第2の不動態化層(110、215)上に、前記金属材料の腐食防止のために第3の層としてプライマー層(120、220)が配置されていることを特徴とする請求項
8に記載のダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)。
【請求項10】
前記プライマー層(120、220)が、エポキシベースまたはポリウレタンベースで合成されていることを特徴とする請求項
9に記載のダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)。
【請求項11】
前記ダイアフラム本体(100、201)が外側面(109b、202)および内側面(109a)を有しており、かつ前記第1の不動態化層(105、210)および前記第2の不動態化層(110、215)が、前記ダイアフラム本体(100、201)の前記外側面(109b、202)および前記内側面(109a)の前記外表面領域(106、203)上に配置されていることを特徴とする請求項
8から
10のいずれか一項に記載のダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)。
【請求項12】
前記第2の不動態化層(110、215)が、ジルコニア-シラン化合物または有機金属化合物として形成されていることを特徴とする請求項
8から1
1のいずれか一項に記載のダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)。
【請求項13】
前記第1の不動態化層(105、210)および前記第2の不動態化層(110、215)が、併せて30nm~100nmの範囲内の層厚(111、112)を有することを特徴とする請求項
8から1
2のいずれか一項に記載のダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)。
【請求項14】
前記プライマー層(120、220)が、30μm~40μmの範囲内の層厚(113)を有することを特徴とする請求項
9または10に記載のダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)。
【請求項15】
前記プライマー層(120、220)上に、第4の層として液状塗料層(135)が配置されていることを特徴とする請求項
9、10、および1
4のいずれか一項に記載のダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)。
【請求項16】
前記ダイアフラム本体(100、201)が
、超音波センサのダイアフラムカップとして形成されており、前記ダイアフラムカップが、振動可能なダイアフラム面(204)を有することを特徴とする請求項
8から1
5のいずれか一項に記載のダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)。
【請求項17】
請求項
8から1
6のいずれか一項に記載のダイアフラム(101a、101b、101c、101d、200)を備えた超音波センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両コンポーネントの製造、とりわけコーティングのための方法および超音波センサのためのダイアフラムに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102009034418号明細書から、超音波センサのためのダイアフラムの製造方法が知られており、この方法では、透明に形成されたアクリル粉末層の付着を改善させるため、ダイアフラムの外表面領域上に不動態化層が施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これを出発点として、本発明の基礎になっている課題は、後続層のより多くの選択肢をダイアフラム上に配置できる、車両コンポーネントの製造、とりわけコーティングのための方法および超音波センサのためのダイアフラムを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、車両コンポーネントの製造、とりわけコーティングのための方法が説明される。とりわけ、車両コンポーネントとは、車両の外環境に対して露出した状態で配置されている車両のコンポーネントのことである。これに関する例は、車両の装飾カバーまたは車両外面に配置されたセンサである。
【0005】
この方法では、最初に、金属材料から成る外表面を有する車両コンポーネントが提供される。その次に車両コンポーネントの外表面領域が脱脂される。続いて車両コンポーネントの外表面領域が酸洗い(ピックリング)される。その後、車両コンポーネントの外表面領域上に、第2の層として第2の不動態化層が施される。後から施されるこの第2の不動態化層の予備活性化のため、外表面領域上に第1の層として第1の不動態化層が、とりわけヘキサフルオロチタン酸を使って堆積される。この場合、第1の不動態化層は、酸洗いされた外表面への改質作用を有しており、続いて堆積される第2の不動態化層の成長を促進する。これにより第2の不動態化層は、第1の不動態化層上で明らかに早く成長し、全体として、第1および第2の不動態化層から構成された不動態化層が生じる。この複合的な不動態化層は、表面エネルギーの狙い通りの調整を有している。とりわけ、この複合的な不動態化層は70mN/m超の表面エネルギーを有している。この場合、表面エネルギーの分散成分および極性成分は、不動態化層のすぐ上に施される後続層のより多くの選択肢の安定した付着、したがって優れた腐食防止が達成され得るように調整されている。この関連ではとりわけ分散成分が極性成分より大きな値の表面エネルギーを有する。この関連ではとりわけ極性成分が少なくとも25mN/mの表面エネルギーを、および分散成分が少なくとも45mN/mの表面エネルギーを有する。好ましいのは、車両コンポーネントとして超音波センサのためのダイアフラムが製造、とりわけコーティングされることである。この場合は最初に例えばアルミニウムのような金属材料から成るダイアフラム本体が提供される。その次にダイアフラム本体の外表面領域が脱脂され、続いてダイアフラム本体の脱脂された外表面領域が酸洗いされる。その次に、後に続いて施される第2の不動態化層の予備活性化のため、第1の層として第1の不動態化層が外表面領域上に堆積される。この第1の層の堆積は、とりわけヘキサフルオロチタン酸を使って行われる。
【0006】
とりわけダイアフラム本体の、外表面領域の酸洗いおよび外表面領域上への第1の層としての第1の不動態化層の堆積が同時に、とりわけ酸洗い不動態化の際に行われることが好ましい。
【0007】
第2の不動態化層上に、金属材料の腐食防止のために第3の層としてプライマー層が施されることが好ましい。このようなプライマー層は、後から施される層のための下塗りとして働き、しかしこの関連ではダイアフラム本体の金属材料の腐食に対する防止作用も有する。
【0008】
脱脂された表面領域が、酸洗いプロセスの際に、とりわけフッ化水素および/または硫酸二水素塩および/またはリン酸三水素塩をベースとして合成されたクロムフリーの酸洗い剤で処理されることが好ましい。この処理は、浸漬プロセスにおいてまたはその代わりにスプレープロセスにおいて行われ得る。このようなクロムフリーの酸洗い剤は、健康への害が比較的少ない。
【0009】
さらに、プライマー層上に第4の層としてとりわけポリウレタンベースで合成された液状塗料が施されることが好ましい。このような液状塗料は、機能的特性(例えば耐薬品性および防キズ性)ならびに美的特性(例えば色調および光沢)を有する。液状塗料は、とりわけ表面仕上げとしての単層トップコートである。その代わりに液状塗料は、ベース塗料とその上に施された透明塗料系でもあり得る。
【0010】
第2の不動態化層上に第5の層として粉末塗料が施されることがさらに好ましい。このような粉末塗料も、機能的特性(例えば耐薬品性および防キズ性)ならびに美的特性(例えば色調および光沢)を有する。さらにその代わりに、第2の不動態化層上に第6の層として2成分系ハイドロ塗料が施される。
【0011】
本発明のさらなる対象は、金属材料から成るダイアフラム本体を備えた超音波変換器のためのダイアフラムである。このダイアフラムは、とりわけ、超音波センサのためのダイアフラムの製造、とりわけコーティングのための前述の方法を使って製造されている。この場合、ダイアフラム本体の、前もって酸洗いされ、とりわけ脱脂もされた外表面領域のすぐ上に、第1の層として第1の不動態化層が、第2の不動態化層の予備活性化のために配置されている。これに加え、第1の不動態化層のすぐ上に第2の不動態化層が配置されている。第1の不動態化層および第2の不動態化層から構成されたこのような不動態化層は、この複合的な不動態化層のすぐ上に、層のより多くの選択肢が配置され得るという利点を提供する。
【0012】
不動態化層上に、金属材料の腐食防止のために第3の層としてプライマー層が配置されていることが好ましい。このようなプライマー層は、後から施される層のための下塗りとして働くだけでなく、この関連では、ダイアフラム本体の金属材料の腐食に対する防止作用も有する。プライマー層は、この関連では、エポキシベースまたはポリウレタンベースで合成されることが好ましい。とりわけこれはハイドロベースの2成分系である。プライマー層が、30μm~40μmの範囲内の層厚を有することがさらに好ましい。プライマー層上に、第4の層として液状塗料層が配置されていることが好ましい。
【0013】
ダイアフラム本体が外側面および内側面を有することが好ましい。この場合、外側面は、とりわけ超音波センサの超音波信号の送信方向に配置されている。この関連ではダイアフラムの内側面は、とりわけ超音波センサのダイアフラムカップの内部空間の方向に配置されている。この場合、ダイアフラムの外側面の外表面領域上にも内側面の外表面領域上にも、第1および第2の不動態化層を有する複合的な不動態化層がある。したがってこの複合的な不動態化層の比較的強い付着作用により、ダイアフラム本体の外側面は様々な防止層および有色層を備え得る。複合的な不動態化層の比較的強い付着作用により、ダイアフラム本体の内側面には例えば圧電セラミクスがより簡単に固定され得る。
【0014】
第2の不動態化層が、ジルコニア-シラン(Zirkonsilan)化合物または有機金属化合物として形成されていることが好ましい。これらの化合物は、強い腐食防止と、後続の塗料層に対するおよび/または上に接着すべき圧電素子の接着剤に対する十分な付着媒介とを提供する。
【0015】
第1および第2の不動態化層が、併せて30nm~100nmの範囲内の層厚、とりわけ45nm~55nmの範囲内の層厚を有することが好ましい。これにより、第1の不動態化層上での第2の不動態化層のより早い成長によって複合的な不動態化層が生じ、この複合的な不動態化層には、後続層のより多くの選択肢が付着する。とりわけ、例えば腐食防止塗料層のような有機被膜への結合が増強される。これに加え、第1および第2の不動態化層から構成された層が腐食防止を改善させている。
【0016】
第1および第2および/または第3および/または第4の層が併せて最大で120μmの全層厚を有することがさらに好ましい。これにより超音波センサの機能が保証される。
【0017】
第5の層としての粉末塗料が、第2の不動態化層上に、とりわけすぐ上に配置されていることがさらに好ましい。その代わりに第6の層としての2成分系ハイドロ塗料が、第2の不動態化層上に、とりわけすぐ上に配置されていることが好ましい。
【0018】
ダイアフラム本体が、とりわけ超音波センサのダイアフラムカップとして形成されていることがさらに好ましい。このダイアフラムカップは、とりわけダイアフラムカップの底を形成している振動可能なダイアフラム面を有する。
【0019】
本発明のさらなる対象は、前述のダイアフラムを備えた超音波センサである。この超音波センサは、超音波信号を送信および/または受信するために形成されており、とりわけ車両の駐車補助において使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】車両コンポーネントとしての超音波センサのためのダイアフラムの製造方法の第1の実施形態を示す図である。
【
図2a】金属材料から成るダイアフラム本体を備えた超音波変換器のためのダイアフラムの第1の実施形態を示す図である。
【
図2b】金属材料から成るダイアフラム本体を備えた超音波変換器のためのダイアフラムの第2の実施形態を示す図である。
【
図2c】金属材料から成るダイアフラム本体を備えた超音波変換器のためのダイアフラムの第3の実施形態を示す図である。
【
図2d】金属材料から成るダイアフラム本体を備えた超音波変換器のためのダイアフラムの第4の実施形態を示す図である。
【
図3】ダイアフラムを備えた超音波センサのダイアフラムカップの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、車両コンポーネントの製造、とりわけコーティングのための方法の一実施形態をフローチャートの形態で示している。より良い説明のため、ここでは超音波センサのためのダイアフラムの製造が示される。この場合、第1のステップ10では、金属材料から成る、例えばアルミニウムから成るダイアフラム本体が提供される。次のステップ20では、金属ダイアフラム本体の外表面領域が脱脂される。この脱脂は、例えばアルカリ浸漬脱脂を用いた処理によって実施される。しかしその代わりに、脱脂は酸脱脂またはスプレー脱脂によっても実施され得る。表面の脱脂に続いて、付着している浴溶液を洗い落とすためにダイアフラム本体が洗浄される。次のステップ30では、ダイアフラム本体の外表面領域が酸洗いされ、これによりダイアフラム本体の外表面領域の一部が除去される。脱脂された表面領域の酸洗いでは、例えばフッ化水素および/または硫酸二水素塩および/またはリン酸三水素塩をベースとするとりわけクロムフリーの酸洗い剤が使用される。酸洗いプロセスは、とりわけ浸漬プロセスにおいてまたはスプレープロセスにおいて実施される。これに加え、脱脂された表面領域は酸洗いの際に表面酸化物が除去される。この表面酸化物除去では、酸洗い剤が、脱脂プロセスに従ってアルカリ性の脱脂された表面領域が酸洗いの際に中和されるように調整される。次のステップ40では、外表面領域上に第1の層として第1の不動態化層が堆積される。この場合、第1の不動態化層はとりわけヘキサフルオロチタン酸を使って堆積される。それに続いてダイアフラム本体が再び洗浄される。第1の不動態化層は、次のステップ50で第1の不動態化層上に施される第2の不動態化層の形成の予備活性化に役立つ。これにより、第1および第2の不動態化層から構成された不動態化層が生じる。それに続いてダイアフラム本体が再び洗浄され、続いて乾燥される。その後、この方法が終了される。
【0022】
任意選択で、ステップ30およびステップ40が同時に、とりわけ共通の浸漬浴内で、酸洗い不動態化ステップにおいて行われる。
【0023】
ステップ50の次にくる任意選択のステップ60では、第2の不動態化層上にさらに、ダイアフラム本体の金属材料の腐食防止のために第3の層としてプライマー層が施される。さらなる任意選択のステップ70では、プライマー層上に第4の層としてとりわけポリウレタンベースの液状塗料が施される。液状塗料は、とりわけ表面仕上げとしての単層トップコートである。その代わりに液状塗料は、ベース塗料とその上に施された透明塗料系でもあり得る。
【0024】
図2aは、金属材料から成るダイアフラム本体100を備えた超音波変換器のためのダイアフラム101aを概略的に示している。このダイアフラム本体100は、金属材料から成る、とりわけアルミニウムから成る振動可能なダイアフラム面として形成されている。このダイアフラム本体100を使って送信される超音波信号150aおよび受信される超音波信号150bが概略的に図示されている。ダイアフラム本体100の酸洗いされた外表面領域106上には第1の不動態化層105が配置されている。この第1の不動態化層105は、第1の不動態化層105のすぐ上に配置される第2の不動態化層110の結晶形成の予備活性化に役立つ。これにより、第1の不動態化層105および第2の不動態化層110から構成された不動態化層107が生じる。この場合、第2の不動態化層110はジルコニア-シラン化合物として形成されている。その代わりに、第2の不動態化層110が有機金属化合物として形成されていてもよい。この実施形態では、第1の不動態化層105および第2の不動態化層110から構成された不動態化層107が、実質的に40nmの層厚111を有している。
【0025】
ダイアフラム本体100を備えた超音波変換器のためのダイアフラムのこの第1の実施形態101aでは、第2の不動態化層110上に、ダイアフラム本体100の金属材料の腐食防止のために第3の層としてプライマー層120が配置されている。このプライマー層は、この場合はエポキシベースで合成されている。しかしその代わりに、プライマー層がポリウレタンベースで合成されていてもよい。プライマー層120は、この実施形態では30μm~40μmの範囲内の層厚112を有している。
【0026】
さらに、この第1の実施形態ではプライマー層120上に液状塗料層135が施されており、液状塗料層135はベース塗料層130および透明塗料層140から構成されている。ベース塗料層130は、この場合は10~25μmの範囲内の層厚113を有している。透明塗料層140は、この場合は25~35μmの範囲内の層厚114を有している。
【0027】
図2bは、金属材料から成るダイアフラム本体100を備えた超音波変換器のためのダイアフラムの第2の実施形態101bを示している。このダイアフラム本体100の内側面109aには、第1の実施形態と同じ層が配置されている。この場合、第1の実施形態とは異なりダイアフラム本体100の外側面109bにさらなる第1の不動態化層151が配置されている。そのうえこの場合はさらなる第1の不動態化層151上にさらなる第2の不動態化層152が配置されており、これにより第1の不動態化層151および第2の不動態化層152から構成されたさらなる不動態化層108に圧電セラミクス125がより良好に付着している。
【0028】
図2cは、金属材料から成るダイアフラム本体100を備えた超音波変換器のためのダイアフラムの第3の実施形態101cを示している。この場合、前出の実施形態とは異なり、第2の不動態化層110のすぐ上には粉末塗料層160が配置されている。
【0029】
図2dは、金属材料から成るダイアフラム本体100を備えた超音波変換器のためのダイアフラムの第4の実施形態101dを示している。この場合、前出の実施形態とは異なり、第2の不動態化層110のすぐ上には2成分系ハイドロ塗料層170が配置されている。
【0030】
図3は、超音波センサのダイアフラム200のダイアフラム本体としてのダイアフラムカップ201を示している。このダイアフラムカップ201の底204が、振動可能なダイアフラム面を有している。この振動可能なダイアフラム面は、車両の外装に取り付けた状態では車両の外面に空間をあけて配置されている。
【0031】
ダイアフラムカップ201は、金属材料、とりわけアルミニウムから形成されている。このダイアフラムカップ201の外側面202の酸洗いされた外表面領域203は、第1の層としての第1の不動態化層210で直接的に覆われている。この第1の不動態化層210は、第2の層としての第2の不動態化層215の予備活性化に役立ち、第2の不動態化層215はここでもまた第1の不動態化層210のすぐ上に堆積されている。第2の不動態化層215のすぐ上にはここでもまた、ダイアフラムカップ201の金属材料の腐食防止のために第3の層としてプライマー層220が堆積されている。