(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ユーザ端末及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 48/10 20090101AFI20240112BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20240112BHJP
【FI】
H04W48/10
H04W48/16 131
(21)【出願番号】P 2022541388
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2020029896
(87)【国際公開番号】W WO2022029902
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】秋元 陽介
【審査官】米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-14173(JP,A)
【文献】特開2018-26643(JP,A)
【文献】国際公開第2011/096062(WO,A1)
【文献】特開2017-146713(JP,A)
【文献】CMCC, SoftBank, Ericsson, Huawei, ZTE, CATT, vivo, OPPO, Samsung,Introduce of alternative cell reselection priority for EN-DC,3GPP TSG RAN WG2 #110 R2-2006194,2020年06月15日
【文献】LG Electronics Inc.,Considerations on alternative priorities for EN-DC cell reselection,3GPP TSG RAN WG2 #110 R2-2005538,2020年05月22日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上のキャリア周波数の優先度を示す優先度情報と、特定の周波数バンドにおける特定のユーザ端末のアクセス制限に関する情報と、を受信する受信部と、
前記優先度情報と、前記アクセス制限に関する情報に基づいて、前記特定の周波数バンド内のキャリア周波数の優先度を決定する決定部と、
前記決定された優先度に基づいて、キャンプオンするセルの選択又は再選択を制御する制御部と、
を備えるユーザ端末。
【請求項2】
前記決定部は、前記ユーザ端末が前記アクセス制限の対象である場合、前記特定の周波数バンド内の前記キャリア周波数の優先度を、前記優先度情報が示す他の周波数バンドのキャリア周波数の優先度よりも低く決定する、
請求項1に記載のユーザ端末。
【請求項3】
前記決定部は、前記ユーザ端末が前記アクセス制限の対象ではない場合、前記特定の周波数バンド内の前記キャリア周波数の優先度を、前記優先度情報が示す該キャリア周波数の優先度に決定する、
請求項1又は請求項2に記載のユーザ端末。
【請求項4】
前記特定のユーザ端末は、前記特定の周波数バンドについて定められた能力よりも低い能力のユーザ端末である、
請求項1から請求項3のいずれかに記載のユーザ端末。
【請求項5】
前記優先度情報が前記優先度を示す前記一以上のキャリア周波数は、前記セルのキャリア周波数、該セルのキャリア周波数とは異なるキャリア周波数、及び、該セルとは異なる無線アクセス技術(RAT)のキャリア周波数の少なくとも一つを含む、
請求項1から請求項4のいずれかに記載のユーザ端末。
【請求項6】
前記アクセス制限に関する情報及び/又は優先度情報は、システム情報又はRRC解放メッセージに含まれる、
請求項1から請求項5のいずれかに記載のユーザ端末。
【請求項7】
前記ユーザ端末は、アイドル状態又は非アクティブ状態である、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のユーザ端末。
【請求項8】
一以上のキャリア周波数の優先度を示す優先度情報と、特定の周波数バンドにおける特定のユーザ端末のアクセス制限に関する情報と、を受信する工程と、
前記優先度情報と、前記アクセス制限に関する情報に基づいて、前記特定の周波数バンド内のキャリア周波数の優先度を決定する工程と、
前記決定された優先度に基づいて、キャンプオンするセルの選択又は再選択を制御する工程と、
を有する無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際標準化団体である3GPP(Third Generation Partnership Project)では、第3.9世代の無線アクセス技術(Radio Access Technology:RAT)であるLTE(Long Term Evolution)、第4世代のRATであるLTE-Advancedの後継として、第5世代(Fifth Generation:5G)のRATであるNR(New Radio)のリリース15が仕様化されている(例えば、非特許文献1)。3GPPでは、NRのリリース16以降の検討も進められている。
【0003】
NRは、複数の周波数範囲(frequency range:FR)で動作可能とすることが検討されている。例えば、NRが動作するFRとしては、410MHz~7125MHzに対応するFR1と、24250MHz~52600MHzに対応するFR2が検討されている。また、各FRには、複数の周波数バンド(frequency band)が含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】3GPP TS 38.300 V15.9.0 (2020-03)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
NRでは、特定のユーザ端末(User Equipment:UE)でサポートされる周波数バンドであっても、当該特定のユーザ端末のアクセスを制限することが検討されている。この場合、当該特定のユーザ端末がサポートする周波数バンド内のキャリア周波数のセルであっても、当該セルに対する当該特定のユーザ端末のアクセスが拒否されるため、当該特定のユーザ端末は適切に通信を行うことができない恐れがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、特定の周波数バンドにおいて特定のユーザ端末のアクセスが制限される場合でも適切に通信を行うことが可能なユーザ端末及び無線通信方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の側面に係るユーザ端末は、一以上のキャリア周波数の優先度を示す優先度情報と、特定の周波数バンドにおける特定のユーザ端末のアクセス制限に関する情報と、を受信する受信部と、前記優先度情報と、前記アクセス制限に関する情報に基づいて、前記特定の周波数バンド内のキャリア周波数の優先度を決定する決定部と、前記決定された優先度に基づいて、キャンプオンするセルの選択又は再選択を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本発明の他の側面に係る無線通信方法は、一以上のキャリア周波数の優先度を示す優先度情報と、特定の周波数バンドにおける特定のユーザ端末のアクセス制限に関する情報と、を受信する工程と、前記優先度情報と、前記アクセス制限に関する情報に基づいて、前記特定の周波数バンド内のキャリア周波数の優先度を決定する工程と、前記決定された優先度に基づいて、キャンプオンするセルの選択又は再選択を制御する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定の周波数バンドにおいて特定のユーザ端末のアクセスが制限される場合でも適切に通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る無線通信システムの概要の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る周波数バンドの一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る無線通信システム内の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るユーザ端末の機能ブロック構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5A~Cは、本実施形態に係るキャリア周波数の優先度の決定の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るセル選択/再選択の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有してもよい。
【0012】
(無線通信システムの概要)
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの概要の一例を示す図である。
図1に示すように、無線通信システム1は、ユーザ端末10と、基地局20A~20Bと、コアネットワーク30と、を含んでもよい。なお、基地局20A~20B、セルC1~C2を区別しない場合、それぞれ、基地局20、セルCと総称する。また、
図1に示すユーザ端末10、基地局20の数は例示にすぎず、図示する数に限られない。
【0013】
無線通信システム1は、一つ又は複数の無線アクセス技術(RAT)で動作する。例えば、無線通信システム1は、LTE、LTE-Advanced又はNRのいずれかで動作してもよいし、LTE及び/又はLTE-AdvancedとNRとを含む複数のRAT(multi-RAT)で動作してもよい。LTE及び/又はLTE-Advancedは、Evolved Universal Terrestrial Radio Access(EUTRA)とも呼ばれる。
【0014】
図1に示すように、ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンや、パーソナルコンピュータ、車載端末、車載装置、静止装置等、所定の端末又は装置である。ユーザ端末10は、User Equipment(UE)等と呼ばれてもよい。ユーザ端末10は、移動型であってもよいし、固定型であってもよい。ユーザ端末10は、例えば、EUTRA及びNRの少なくとも一つのRATで通信可能に構成される。
【0015】
基地局20は、一以上のセルCを形成する。セルCは、サービングセル、キャリア、コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)、プライマリセル(Primary Cell:PCell)、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)、スペシャルセル(Special Cell)等と言い換えられてもよい。なお、
図1では、基地局20A及び20BはそれぞれセルC1及びC2を形成するが、これに限られず、各基地局は、一以上のセルCを形成してもよい。また、複数の基地局20は、所定のインタフェース(例えば、X2又はXnインタフェース)で互いに接続されてもよい。
【0016】
基地局20は、EUTRA又はNRのいずれかの通信方式でユーザ端末10と通信する。基地局20は、eNodeB(eNB)、ng-eNB、gNodeB(gNB)、en-gNB、Next Generation‐Radio Access Network(NG-RAN)ノード、Donor eNodeB(DeNB)、Donor eNodeB(DeNB)、Donor node、又は、Central Unit、低電力ノード(low-power node)、pico eNB、Home eNB(HeNB)、Distributed Unit(DU)、gNB-DU、Remote Radio Head(RRH)、又は、Integrated Access and Backhaul/Backhauling(IAB)ノード等と呼ばれてもよい。
【0017】
コアネットワーク30は、例えば、EUTRAに対応したコアネットワーク(Evolved Packet Core:EPC)、又は、NRに対応したコアネットワーク(5G Core Network:5GC)である。コアネットワーク30上の装置(以下、「コアネットワーク装置」ともいう)は、ユーザ端末10のページング、位置登録等の移動(mobility)管理を行う。コアネットワーク装置は、所定のインタフェース(例えば、S1又はNGインタフェース)を介して基地局20に接続されてもよい。
【0018】
コアネットワーク装置は、例えば、ユーザ端末10の移動管理を行うMobility Management Entity(MME)、Cプレーンの情報(例えば、アクセス及び移動管理等に関する情報)を管理するAccess and Mobility Management Function(AMF)、Uプレーンの情報(例えば、ユーザデータ)の伝送制御を行うUser Plane Function(UPF)の少なくとも一つ等を含んでもよい。
【0019】
無線通信システム1において、ユーザ端末10は、一つ又は複数の基地局20と通信を行うことができる。例えば、
図1において、ユーザ端末10は、一以上のセルCをそれぞれ含む2つのセルグループに接続するデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity:DC)により、通信を行うことができる。2つのセルグループが異なるRATを用いる場合、当該DCは、マルチRAT DCと呼ばれてもよい。また、ユーザ端末10は、複数のセルCを統合するキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)を用いて、通信を行うこともできる。
【0020】
<チャネル/信号>
次に、無線通信システム1で用いられるチャネル及び/又は信号(以下、「チャネル/信号」ともいう)について説明する。基地局20からユーザ端末10に対して送信される下り(Downlink)のチャネル/信号は、例えば、以下の少なくとも一つを含む。
・報知情報の伝送に用いられる報知チャネル(例えば、物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel:PBCH))
・同期信号(例えば、プライマリ同期信号(Primary Synchronization Signal:PSS)及び/又はセカンダリ同期信号(Secondary Synchronization Signal:PSS))
・下りデータの伝送に用いられる下り共有チャネル(例えば、物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH))
・下り制御情報(Downlink Control Information:DCI)の伝送に用いられる下り制御チャネル(例えば、物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH))
・下り参照信号(例えば、PDCCH及び/又はPDSCHの復調参照信号(Demodulation Reference Signal:DMRS)、チャネル状態情報参照信号(Channel State Information Reference Signal:CSI-RS)等)。
【0021】
また、ユーザ端末10から基地局20に対して送信される上り(Uplink)のチャネル/信号は、以下の少なくとも一つを含む。
・ランダムアクセスプリアンブルの送信に用いられるランダムアクセスチャネル(例えば、物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)
・上り制御情報(Uplink Control Information:UCI)の伝送に用いられる上り制御チャネル(例えば、物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH))
・上りデータの伝送に用いられる上り共有チャネル(例えば、物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH))
・上り参照信号(例えば、PUCCH及び/又はPUSCHのDMRS、サウンディング参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)等)
【0022】
以下では、下りのチャネル/信号に含まれる報知チャネル、下り共有チャネル及び下り制御チャネルを、それぞれPBCH、PDSCH及びPDCCHと呼ぶが、名称はこれらに限られないことは勿論である。また、上りのチャネル/信号に含まれるランダムアクセスチャネル、上り制御チャネル、上り共有チャネルを、それぞれ、PRACH、PUCCH、PUSCHと呼ぶが、名称がこれらに限られないことは勿論である。
【0023】
PBCHで伝送される報知情報には、システム情報が含まれる。また、上記PDSCHで伝送される下りデータには、例えば、システム情報、下りユーザデータ、RRC(Radio Resource Control)レイヤの情報(例えば、RRCメッセージ、RRC情報要素(RRC Information Element:RRC IE))、MAC(Medium Access Control)レイヤの情報(例えば、MAC制御要素(MAC Control Element:MAC CE))の少なくとも一つが含まれてもよい。
【0024】
システム情報は、上記の通り、PBCH及び/又はPDSCHで伝送される。また、システム情報は、マスター情報ブロック(Master Information Block:MIB)と一以上のシステム情報ブロック(System Information Block:SIB)(例えば、SIB1~9)とを含む。ユーザ端末10は、PBCHを介してMIBを受信する。ユーザ端末10は、MIB内の情報に基づいてDCIを検出し、当該DCIに基づいてPDSCHを介してSIB1を受信してもよい。ユーザ端末10は、SIB1に含まれる情報に基づいてDCIを検出し、当該DCIに基づいてPDSCHを介してその他のシステム情報(例えば、SIB2~9の少なくとも一つ)を受信してもよい。
【0025】
上記PDCCHで伝送されるDCIは、PDSCH及び/又はPUSCHのスケジューリングに用いられ、DCIフォーマット、スケジューリング情報等とも呼ばれる。ユーザ端末10は、サーチスペース内のPDCCH候補(PDCCH candidate)を監視(monitor)して、DCIを検出し、検出したDCIに基づいて、PDSCHを介した下りデータの受信又はPUSCHを介した上りデータの送信を行う。
【0026】
<周波数バンド>
次に、無線通信システム1で用いられる周波数バンドについて説明する。無線通信システム1は、一つ又は複数の周波数範囲(FR)で動作する。例えば、無線通信システム1は、410MHz~7125MHzに対応するFR1及び/又は24250MHz~52600MHzに対応するFR2で動作してもよい。各FRには、一以上の周波数バンドが含まれる。当該周波数バンドは、オペレーティングバンド(operating band)、バンド(band)、NRオペレーティングバンド、NRバンド等とも呼ばれる。
【0027】
図2は、本実施形態に係る周波数バンドの一例を示す図である。例えば、
図2では、FR1における各周波数バンドの一例が示される。
図2に示すように、上り(UL)の周波数バンドと下り(DL)の周波数バンドとは、所定の識別子(例えば、n1、n2、…等)によって識別されてもよい。また、周波数バンド毎に複信モード(Duplex mode)が定めれてもよい。複信モードは、周波数分割複信(FDD)、時間分割複信(TDD)、又は、Supplementary uplink(SUL)のいずれかであってもよい。
【0028】
各周波数バンドには、複数のARFCN(Absolute Radio Frequency Channel Number)が関連付けられている。各周波数バンドには、上り用のARFCN及び/又は下り用のARFCNが関連付けられる。ARFCNは、周波数バンド内でキャリアが配置される周波数(以下、「キャリア周波数」という)を識別してもよい。キャリア周波数は、RF参照周波数、NR周波数、EUTRA周波数、中心周波数、チャネルラスタ、単に、周波数等とも呼ばれる。このように、ARFCNとキャリア周波数は一意に関連付けられる。なお、E-UTRAのARFCNは、E-UTRAN ARFCN(EARFCN)と呼ばれてもよい。また、一つのキャリア周波数は、一つ又は複数のセルCで用いられてもよい。
【0029】
各通信事業者には、一以上の周波数バンドが割り当てられる。また、各通信事業者には、各周波数バンド内の一以上のキャリア周波数が割り当てられる。また、ユーザ端末10には、ユーザ端末10の能力に基づいて、サポートする周波数バンドが予め定められてもよい。当該能力は、例えば、ユーザ端末10が備える受信アンテナの数、最大データ速度及び最大帯域幅等の少なくとも一つである。なお、受信アンテナは、受信アンテナポート、受信ポート等と言い換えることができる。
【0030】
<ユーザ端末の状態>
次に、ユーザ端末10の状態(state)について説明する。ユーザ端末10の状態は、アイドル状態、非アクティブ状態、コネクティッド状態を含む。アイドル状態は、ユーザ端末10が基地局20との間のRRCコネクションを確立(establish)していない状態であり、RRC_IDLE状態、アイドルモード等とも呼ばれる。
【0031】
アイドル状態のユーザ端末10は、セル選択及び/又はセル再選択(以下、「セル選択/再選択」という)により選択されたセルCにキャンプオン(camp on)し、当該セルCのシステム情報を受信する。「セルCにキャンプオンする」は、「セルCに在圏する」と言い換えられてもよい。ユーザ端末10は、EUTRAのセルCにキャンプオンする場合はEUTRA RRC_IDLE状態であり、NRのセルCにキャンプオンする場合はNR RRC_IDLE状態であってもよい。アイドル状態のユーザ端末10は、RRCコネクションを確立すると、コネクティッド状態に遷移する。
【0032】
非アクティブ状態は、ユーザ端末10のRRCコネクションが一時停止(suspend)された状態であり、RRC_INACTIVE状態、非アクティブモード等とも呼ばれる。非アクティブ状態のユーザ端末10は、セル選択/再選択により選択されたセルCにキャンプオンし、当該セルCのシステム情報を受信する。ユーザ端末10は、EUTRAのセルCにキャンプオンする場合はEUTRA RRC_INACTIVE状態であり、NRのセルCにキャンプオンする場合はNR RRC_INACTIVE状態であってもよい。非アクティブ状態のユーザ端末10は、RRCコネクションを再開(resume)すると、コネクティッド状態に遷移する。
【0033】
コネクティッド状態は、ユーザ端末10がRRCコネクションを確立している状態であり、RRC_CONNECTED状態、コネクティッドモード等とも呼ばれる。コネクティッド状態のユーザ端末10は、RRC解放メッセージによりRRCコネクションを解放するとアイドル状態に遷移し、RRCコネクションを一時停止すると非アクティブ状態に遷移する。
【0034】
<セル選択/再選択>
次に、アイドル状態又は非アクティブ状態のユーザ端末10が行うセル選択及びセル再選択について説明する。
【0035】
セル選択とは、所定の基準を満たすセルC(「suitable cell」ともいう)を選択することである。セルCでは、基地局20から、所定周期で、PBCH及び/又は同期信号を含む同期信号ブロック(Synchronization Signal Block:SSB)(SS/PBCHブロックとも呼ばれる)が送信される。ユーザ端末10は、当該SSBの測定結果に基づいて、当該所定の基準を満たすセルCを選択してもよい。ユーザ端末10は、選択されたセルCにキャンプオンしてもよい。
【0036】
セル再選択では、ユーザ端末10は、所定の基準(例えば、cell reselection criteria)にしたがって、キャンプオンするセルCを再選択する。セル再選択は、キャンプオンするセルCと同一のキャリア周波数のセルCの再選択(同周波数セル選択(intra-frequency cell reselection))、キャンプオンするセルCと異なるキャリア周波数のセルCの再選択(異周波数セル選択(inter-frequency cell reselection))、キャンプオンするセルCと異なるRATのキャリア周波数のセルCの再選択(RAT間周波数セル選択(inter-RAT frequency cell reselection))を含んでもよい。
【0037】
具体的には、ユーザ端末10は、一以上のキャリア周波数の優先度を示す情報(以下、「優先度情報」という)に基づいて、一以上のキャリア周波数の優先度を決定し、決定した優先度に基づいてセルCの再選択を制御してもよい。当該優先度情報は、システム情報又はRRC解放メッセージに含まれてもよいし、又は、他のRATから引き継がれてもよい。当該優先度情報は、例えば、RRC IE「CellReselectionPriority」及び/又は「CellReselectionSubPriority」であってもよい。
【0038】
例えば、SIB2は、現在のキャリア周波数(「サービング周波数」ともいう)についての優先度情報を含んでもよい。また、SIB4は、現在のキャリア周波数とは異なるキャリア周波数(周辺のキャリア周波数(neighbouring carrier frequencies))のリスト(例えば、「interFreqCarrierFreqList」)を含み、当該キャリア周波数毎に優先度情報を含んでもよい。また、SIB5は、他のRAT(例えば、EUTRA)のキャリア周波数のリスト(例えば、「carrierFreqListEUTRA」)を含み、当該他のRATのキャリア周波数毎に優先度情報を含んでもよい。
【0039】
また、上記優先度情報は、RRCメッセージ(例えば、RRC解放(RRCRelease)メッセージ)含まれてもよい。RRC解放メッセージは、RRCコネクションの解放(release)又はRRCコネクションの一時中止(suspension)を要求するメッセージである。RRC解放メッセージは、一以上のキャリア周波数の上記優先度情報のリスト(例えば、「freqPriorityListEUTRA」及び/又は「freqPriorityListNR」)を含んでもよい。当該リストでは、現在のキャリア周波数、周辺のキャリア周波数、他のRATのキャリア周波数の少なくとも一つについての優先度情報が含まれてもよい。
【0040】
<アクセス制限>
ところで、NRのリリース15及び16では、周波数バンド毎にサポートするユーザ端末10の能力を定めることができる。例えば、
図2の周波数バンドn7、n38、n41、n77、n78及びn79では、ユーザ端末10は、4以上の受信アンテナを備えることが要求される。また、
図2の周波数バンドn7、n38、n41、n77、n78及びn79以外の周波数バンドでは、ユーザ端末10は、2以上の受信アンテナを備えることが要求される。
【0041】
NRリリース17以降では、ユーザ端末10のコストを削減する観点から、特定の周波数バンドでは、当初要求していた能力よりも低い能力のユーザ端末10(以下、「低能力端末」という)もサポートすることが検討されている。例えば、上記周波数バンドn7、n38、n41、n77、n78及びn79の少なくとも一つでは、4よりも少ない受信アンテナ数(例えば、2受信アンテナ)のユーザ端末10をサポートすることが検討されている。
【0042】
一方、上記特定の周波数バンドにおける低能力端末のアクセスを許容すべきか否かは、通信事業者によって要望が異なる。例えば、低能力端末のアクセスを許容しない場合、ユーザ端末10に低能力端末よりも多くの受信アンテナが実装されるので、下りのカバレッジが拡張され、ネットワークキャシティが増加する。一方、低能力端末のアクセスを許容する場合、ユーザ端末10が上記多くの受信アンテナを実装する必要がないので、ユーザ端末10のコストを低減できる。なお、アクセスは、接続(connect)等と言い換えられてもよい。
【0043】
このため、当該特定の周波数バンドを利用する基地局20の設定により、通信事業者が当該特定の周波数バンドにおける低能力端末のアクセスを制限可能とすることも検討されている。しかしながら、特定の周波数バンドにおける低能力端末のアクセスを制限する場合、当該アクセス制限の対象となるユーザ端末10がサポートする周波数バンド内のキャリア周波数であるにも関わらず、当該周波数バンドのセルCに対する当該ユーザ端末10のアクセスが拒否される恐れがある。同様の問題は、低能力端末に限られず、特定のユーザ端末のアクセスを制限する場合に起こり得る。
【0044】
そこで、ユーザ端末10は、特定の周波数バンドにおける特定のユーザ端末10(例えば、低能力端末)のアクセス制限に関する情報を受信し、当該アクセス制限に関する情報に基づいて当該特定の周波数バンド内のキャリア周波数の優先度を決定し、決定された優先度に基づいて、キャンプオンするセルCの選択又は再選択を制御する。これにより、キャンプオンするセルCが適切に選択又は再選択されるので、特定の周波数バンドで特定のユーザ端末10のアクセスが制限される場合でも、ユーザ端末10が適切に通信を行うことができる。
【0045】
(無線通信システムの詳細構成)
次に、以上のような無線通信システム1の各装置の詳細構成について説明する。なお、以下の構成は、本実施形態の説明において必要な構成を示すためのものであり、各装置が図示以外の機能ブロックを備えることを排除するものではない。
【0046】
<ハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係る無線通信システム内の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。無線通信システム1内の各装置(例えば、ユーザ端末10及び基地局20の各々)は、プロセッサ10a、メモリ10b、記憶装置10c、有線又は無線通信を行う通信装置10d、入力操作を受け付ける入力装置10e、情報の出力を行う出力装置10f及び一以上のアンテナAを少なくとも有する。
【0047】
プロセッサ10aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、無線通信システム1内の各装置を制御する。プロセッサ10aは、各装置を制御する制御部を構成してもよい。
【0048】
メモリ10bは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及び/又はRAM(Random Access Memory)等から構成される。
【0049】
記憶装置10cは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージから構成される。
【0050】
通信装置10dは、有線及び/又は無線ネットワークを介して通信を行う装置であり、例えば、ネットワークカード、通信モジュールなどである。また、通信装置10dには、アンプ、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)装置と、ベースバンド信号処理を行うBB(BaseBand)装置とを含んでいてもよい。
【0051】
RF装置は、例えば、BB装置から受信したデジタルベースバンド信号に対して、D/A変換、変調、周波数変換、電力増幅等を行うことで、アンテナAから送信する無線信号を生成する。また、RF装置は、アンテナAから受信した無線信号に対して、周波数変換、復調、A/D変換等を行うことでデジタルベースバンド信号を生成してBB装置に送信する。BB装置は、デジタルベースバンド信号をIPパケットに変換する処理、及び、IPパケットをデジタルベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0052】
入力装置10eは、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力装置10fは、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
【0053】
<機能ブロック構成>
≪ユーザ端末≫
図4は、本実施形態に係るユーザ端末の機能ブロック構成の一例を示す図である。
図4に示すように、ユーザ端末10は、受信部11と、記憶部12、決定部13と、制御部14と、測定部15と、送信部16と、を備える。
【0054】
受信部11は、下りのチャネル/信号を受信する。また、受信部11は、当該下りのチャネル/信号を介して伝送された情報及び/又はデータに関する処理(例えば、デマッピング、復調、復号等)を行う。
【0055】
具体的には、受信部11は、一以上のキャリア周波数の優先度を示す優先度情報と、特定の周波数バンドにおける特定のユーザ端末のアクセス制限に関する情報(以下、「アクセス制限情報」という)と、を受信する。
【0056】
当該優先度情報は、現在のキャリア周波数と同一の周波数バンド及び/又は異なる周波数バンド内の一以上のキャリア周波数の優先度を示してもよい。また、当該優先度情報は、現在のキャリア周波数と同一のRAT及び/又は異なるRATの一以上のキャリア周波数の優先度を示してもよい。なお、現在のキャリア周波数とは、キャンプオンするセルC又はsuitable cellのキャリア周波数であってもよい。
【0057】
当該優先度情報は、システム情報(例えば、MIB、SIB1~9の少なくとも一つ)、及び/又は、RRC解放メッセージに含まれてもよい。また、優先度情報は、例えば、RRC IE「CellReselectionPriority」及び/又は「CellReselectionSubPriority」であり、キャリア周波数を示す情報(例えば、ARFCN)と対応付けられてもよい。また、当該優先度情報は、所定値(例えば、0~7)で優先度を示し、値が低いほど優先度が低いことを示してもよい。
【0058】
また、アクセス制限情報は、特定の周波数バンドにおいて特定のユーザ端末10のアクセスを制限するか否かを示してもよい。例えば、アクセス制限情報は、1ビットであり、アクセス制限を行う場合に当該ビット値が「1」にセットされてもよい。当該アクセス制限情報は、システム情報(例えば、MIB、SIB1~9の少なくとも一つ)、及び/又は、RRC解放メッセージに含まれてもよい。
【0059】
また、アクセス制限の対象となる特定のユーザ端末10は、所定数(例えば、2)以下又は未満の受信アンテナを備えるユーザ端末10、サポートする最大帯域幅が所定値以下又は未満であるユーザ端末10、サポートする最大データ速度が所定値又は未満であるユーザ端末10等であってもよい。また、当該特定の周波数バンドは、例えば、周波数バンドn7、n38、n41、n77、n78及びn79であってもよい。アクセス制限情報は、周波数バンド毎もしくは周波数バンドのグループ毎に異なるアクセス制限を適用させるため、複数ビットにより構成されても良い。
【0060】
記憶部12は、受信部11で受信された優先度情報及びアクセス制限情報を記憶する。
【0061】
決定部13は、上記優先度情報とアクセス制限情報とに基づいて、特定の周波数バンド内のキャリア周波数の優先度を決定する。
【0062】
具体的には、決定部13は、ユーザ端末10が上記アクセス制限情報によって示されるアクセス制限の対象である場合、当該特定の周波数バンド内のキャリア周波数の優先度を、上記優先度情報が示す他の周波数バンドのキャリア周波数の優先度よりも低く決定してもよい。一方、決定部13は、ユーザ端末10が上記アクセス制限情報によって示されるアクセス制限の対象ではない場合、当該特定の周波数バンド内のキャリア周波数の優先度を、上記優先度情報が示す当該キャリア周波数の優先度に決定してもよい。
【0063】
図5A~5Cは、本実施形態に係るキャリア周波数の優先度の決定の一例を示す図である。例えば、
図5A~5Cでは、ユーザ端末10は、周波数バンド#XのARFCN#X1に対応するキャリア周波数F
X1の優先度と、周波数バンド#YのARFCN#Y1に対応するキャリア周波数F
Y1の優先度と、を示す優先度情報を受信するものとする。また、当該優先度情報では、キャリア周波数F
X1の優先度「5」がキャリア周波数F
Y1の優先度「3」よりも高いものとする。また、セルC1及びC2では、それぞれ、キャリア周波数F
X1及びF
Y1が用いられるものとする。また、ユーザ端末10は、アイドル状態又は非アクティブ状態であり、セルC1にキャンプオンしているものとする。
【0064】
例えば、
図5Aでは、周波数バンド#Xにおいて低能力端末のアクセスが制限されるが、周波数バンド#Yにおいては低能力端末のアクセスは制限されない。ユーザ端末10は、セルC1において低能力端末のアクセスが制限されることを示すアクセス制限情報を受信し、自身が周波数バンド#Xに対して低能力であり、周波数バンド#Xにおけるアクセス制限の対象となることを認識する。
【0065】
図5Aでは、決定部13は、ユーザ端末10が周波数バンド#Xのアクセス制限の対象であるので、キャリア周波数F
X1の優先度を、優先度情報が示す他の周波数バンド#Yのキャリア周波数F
Y1の優先度「3」よりも低い優先度に決定する。例えば、
図5Aでは、決定部13は、キャリア周波数F
X1の優先度を、優先度情報が示すキャリア周波数F
X1の優先度「5」ではなく、最低の優先度「0」とみなす。これにより、周波数バンド#Yのキャリア周波数F
Y1の優先度「3」が、周波数バンド#Xのキャリア周波数F
X1の優先度「0」よりも高くなる。
【0066】
このように、決定部13は、周波数バンド#Xに対して当該ユーザ端末10が当該アクセス制限の対象である場合、当該周波数バンド#X内のキャリア周波数FX1の優先度を、優先度情報が示す優先度「5」に関わらず、最低の優先度「0」に決定してもよい。
【0067】
図5Bでは、周波数バンド#Xに加えて周波数バンド#Yでも低能力端末のアクセスが制限される点で、
図5Aと異なる。ユーザ端末10は、周波数バンド#X及び#Yにおいて低能力端末のアクセスが制限されることを示すアクセス制限情報を受信し、自身が周波数バンド#X及び#Yに対して低能力であり、周波数バンド#X及び#Yにおけるアクセス制限の対象となることを認識する。
【0068】
図5Bでは、優先度情報は、ユーザ端末10がアクセス制限の対象とならない他の周波数バンド(すなわち、周波数バンド#X及び#Y以外の周波数バンド)のキャリア周波数の優先度を含まない。このため、決定部13は、優先度情報が示すキャリア周波数F
X1及びF
Y1の優先度「5」及び「3」に従って、キャリア周波数F
X1の優先度を、キャリア周波数F
Y1の優先度よりも高く決定してもよい。
【0069】
このように、決定部13は、周波数バンド#X及び#Yに対して当該ユーザ端末10が当該アクセス制限の対象であり、優先度情報がアクセス制限の対象とならない他の周波数バンドのキャリア周波数の優先度を示さない場合、キャリア周波数FX1及びFY1の優先度を、優先度情報が示す優先度「5」「3」に従って決定してもよい。
【0070】
なお、図示しないが、
図5Bにおいて、低能力端末のアクセスを制限しない周波数バンド#Zのキャリア周波数の優先度が優先度情報によって示される場合、周波数バンド#X及び#Yのキャリア周波数F
X1及びF
Y1の優先度「5」及び「3」を、当該優先度情報が示す周波数バンド#Zのキャリア周波数の優先度よりも低く決定してもよい。
【0071】
図5Cでは、周波数バンド#Yでは、低能力端末のアクセスが制限される一方で、ユーザ端末10は当該アクセス制限の対象とならない点で、
図5Bと異なる。ユーザ端末10は、周波数バンド#X及び#Yにおいて低能力端末のアクセスが制限されることを示すアクセス制限情報を受信し、当該アクセス制限情報に基づいて、周波数バンド#Xにおけるアクセス制限の対象となるが、周波数バンド#Yにおけるアクセス制限の対象とはならないことを認識する。
【0072】
図5Cでは、決定部13は、ユーザ端末10が周波数バンド#Yのアクセス制限の対象外であるので、キャリア周波数F
X1の優先度を、優先度情報が示す周波数バンド#Yのキャリア周波数F
Y1の優先度「3」よりも低い優先度に決定する。例えば、
図5Cでは、決定部13は、優先度情報が示すキャリア周波数F
X1の優先度「5」を最低の優先度「0」とみなす。これにより、ユーザ端末10がアクセス制限の対象とならない周波数バンド#Yのキャリア周波数F
Y1の優先度「3」が、当該アクセス制限の対象となる周波数バンド#Xのキャリア周波数F
X1の優先度「0」よりも高くなる。
【0073】
このように、決定部13は、周波数バンドが低能力端末のアクセスを制限するか否か、及び/又は、当該周波数バンドに対して自端末がアクセス制限の対象となるか否かと、に基づいて、優先度情報が示すキャリア周波数の優先度を更新してもよい。
【0074】
なお、
図5A~5CにおいてセルC1及びC2は、同一のRAT(例えば、EUTRA又はNR)であってもよいし、異なるRAT(例えば、EUTRA及びNR)であってもよい。
【0075】
制御部14は、決定部13によって決定された優先度に基づいて、キャンプオンするセルCの選択又は再選択を制御する。具体的には、制御部14は、決定部13によって決定された優先度及び/又は測定部15による測定結果に基づいて、所定のキャリア周波数のセルCの選択又は再選択を行い、選択又は再選択されたセルCにキャンプオンしてもよい。
【0076】
制御部14は、所定のトリガを検出すると、キャンプオンするセルCに対するアクセス処理(例えば、ランダムアクセス手順)を行い、RRCコネクションを確立する。具体的には、制御部14は、受信部11によって受信されたアクセス制限情報に基づいて、当該セルCに対するユーザ端末10のアクセスが拒否されるか否かを判断してもよい。これにより、特定のユーザ端末(例えば、低能力端末)のアクセス制限により、ユーザ端末10がサポートする周波数バンド内のキャリア周波数のセルCに対するアクセスが失敗するのを防止できる。
【0077】
測定部15は、決定部13によって決定された優先度に基づいて、一つ又は複数のキャリア周波数Fの測定を行う。具体的には、測定部15は、各キャリア周波数Fの一以上のセルCで送信される下りの信号/チャネルの受信電力及び/又は受信品質を測定してもよい。当該受信電力は、例えば、Reference Signal Received Power(RSRP)又はSynchronization Signal based Reference Signal Received Power(SS-RSRP)であってもよい。当該受信品質は、例えば、Reference Signal Received Quality(RSRQ)、Synchronization Signal based Reference Signal Received Quality(SS-RSRQ)及び/又はSynchronization Signal based Signal to Noise and Interference Ratio(SS-SINR)であってもよい。
【0078】
送信部16は、上りのチャネル/信号を送信する。また、送信部16は、当該上りのチャネル/信号を介して伝送される情報及び/又はデータに関する処理(例えば、符号化、変調、リソースへのマッピング等)を行う。
【0079】
なお、記憶部12は、例えば記憶装置10cにより実現されてもよい。受信部11、測定部15及び送信部16は、例えば通信装置10dにより実現されてもよいし、通信装置10dに加えてプロセッサ10aが記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。制御部14は、プロセッサ10aが、記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はCD-ROM(Compact Disc ROM)等の記憶媒体であってもよい。
【0080】
≪基地局≫
図6は、本実施形態に係る基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。
図6に示すように、基地局20は、送信部21と、受信部22と、制御部23と、を備える。
【0081】
送信部21は、下りのチャネル/信号を送信する。また、送信部21は、当該下りのチャネル/信号を介して伝送された情報及び/又はデータに関する処理(例えば、符号化、復号、リソースへのマッピング等)を行う。具体的には、送信部21は、上記優先度情報とアクセス制限情報と、を受信する。
【0082】
受信部22は、上りのチャネル/信号を受信する。また、受信部22は、当該上りのチャネル/信号を介して伝送される情報及び/又はデータに関する処理(例えば、デマッピング、復調、復号等)を行う。
【0083】
制御部23は、送信部21による下りのチャネル/信号の送信、及び/又は、受信部22による上りのチャネル/信号の受信を制御する。また、制御部23は、PDSCH及び/又はPUSCHのスケジューリング等を制御してもよい。
【0084】
なお、送信部21及び受信部22は、例えば通信装置10dにより実現されてもよいし、通信装置10dに加えてプロセッサ10aが記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。制御部23は、プロセッサ10aが、記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0085】
(無線通信システムの動作)
次に、以上のように構成される無線通信システム1の動作について説明する。
【0086】
図7は、本実施形態に係るセル選択/再選択の動作の一例を示す図である。なお、
図7では、ユーザ端末10は、アイドル状態又は非アクティブ状態であるものとし、周波数バンド#Xのキャリア周波数F
X1のセルC1にキャンプオンしているものとする。また、
図7では、
図5A、5Cで説明したように、周波数バンド#Yでは、ユーザ端末10のアクセスが制限されないものとする。なお、
図7は、例示にすぎず、図示するものに限られず、ステップの順序等は適宜変更可能である。
【0087】
図7に示すように、ステップS101において、ユーザ端末10は、キャンプオンするセルC1において、基地局20Aからのシステム情報を受信する。当該システム情報は、上記優先度情報及び/又はアクセス制限情報を含んでもよい。
【0088】
ユーザ端末10は、ステップS101で受信されたアクセス制限情報に基づいて、セルC1のキャリア周波数FX1を含む周波数バンド#Xにおいて、特定のユーザ端末(例えば、低能力端末)のアクセスが制限されることを認識する。この場合、ユーザ端末10は、所定のトリガが検出された場合でも、当該セルC1に対するアクセス処理(例えば、ランダムアクセス処理)の実施しなくともよい。これにより、ユーザ端末10が、サポートする周波数バンド#XのセルC1に対するアクセスが拒否されるのを防止できる。
【0089】
ステップS102において、ユーザ端末10は、ステップS101において受信された優先度情報及びアクセス制限情報に基づいて、周波数バンド#X内のキャリア周波数F
X1の優先度を決定する。例えば、ユーザ端末10は、
図5A、5Cで説明したように、周波数バンド#Xに対して当該ユーザ端末10が当該アクセス制限の対象である場合、当該周波数バンド#X内のキャリア周波数F
X1の優先度を、優先度情報が示す優先度「5」に関わらず、最低の優先度「0」に決定してもよい。
【0090】
ステップS103において、ユーザ端末10は、ステップS102で決定された優先度に基づいて、キャンプオンするセルCの選択又は再選択を制御する。例えば、
図5A、5Cの場合、特定のユーザ端末10(例えば、低能力端末)のアクセス制限のない周波数バンド#Yのキャリア周波数F
Y1のセルC2を選択又は再選択してもよい。ここでは、ユーザ端末10は、キャンプオンするセルCを、セルC1からセルC2に変更する。
【0091】
ステップS104において、ユーザ端末10は、新たにキャンプオンするセルC2において、基地局20Bからのシステム情報を受信する。当該システム情報は、上記優先度情報及び/又はアクセス制限情報を含んでもよい。
【0092】
ユーザ端末10は、ステップS104で受信されたアクセス制限情報に基づいて、セルC2のキャリア周波数FY1を含む周波数バンド#Yにおいて、特定のユーザ端末(例えば、低能力端末)のアクセスが制限されない又は自身が対象外であることを認識する。ステップS105において、ユーザ端末10は、所定のトリガが検出された場合、当該セルC1に対するアクセス処理を実施してもよい。セルC2に対するユーザ端末10のアクセスは拒否されないためである。
【0093】
具体的には、ステップS105において、ユーザ端末10は、所定のトリガを検出する場合、セルC2に対するランダムアクセス手順を開始する。ユーザ端末10は、ランダムアクセス手順の完了により、RRCコネクションを確立又は再開してもよい。RRCコネクションの確立又は再開により、ユーザ端末10は、アイドル状態又は非アクティブ状態から、コネクティッド状態に遷移する。
【0094】
なお、ステップS101、S104では、優先度情報及びアクセス制限情報は、同一のタイミングで受信されるものとするが、異なる複数のタイミングで受信されてもよい。また、ステップS101で受信されるシステム情報内の優先度情報及び/又はアクセス制限情報の代わりに、RRC解放メッセージに含まれる優先度情報及び/又はアクセス制限情報が用いられてもよい。システム情報は、セルC1固有(セルC1内のユーザ端末10間で共通)であるのに対して、RRC解放メッセージは、ユーザ端末10固有であるので、RRC解放メッセージ内の優先度情報及び/又はアクセス制限情報を優先させてもよい。
【0095】
以上のように、本実施形態に係る無線通信システム1によれば、ユーザ端末10は、自端末がアクセス制限の対象となる特定の周波数バンドのキャリア周波数の優先度が、アクセス制限の対象とならない他の周波数バンドのキャリア周波数の優先度よりも低く設定されるので、当該特定の周波数バンドのセルCが選択又は再選択され難くなる。この結果、特定の周波数バンドで特定のユーザ端末10のアクセスが制限される場合でも、ユーザ端末10が適切に通信を行うことができる。
【0096】
また、ユーザ端末10は、セルCで送信されるアクセス制限情報に基づいて、キャンプオンするセルCに対するアクセス処理を実施するか否かを決定するので、自身がサポートする周波数バンド内のキャリア周波数のセルCに対するアクセスが拒否されるのを防止できる。
【0097】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、アクセス制限情報は、特定の周波数バンドに対するアクセス制限に関するものとしたが、アクセス制限の対象は、特定の周波数バンドに限られず、特定のキャリア周波数又は特定のセルCであってもよい。また、アクセス制限情報は、周波数バンド毎に通知されてもよいし、当該周波数バンド内のキャリア周波数毎に通知されてもよいし、当該キャリア周波数のセルC毎に通知されてもよい。
【0098】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…無線通信システム、10…ユーザ端末、20…基地局、30…コアネットワーク、11…受信部、12…記憶部、13…決定部、14…制御部、15…測定部、16…送信部、21…送信部、22…受信部、23…制御部、A…アンテナ、10a…プロセッサ、10b…メモリ、10c…記憶装置、10d…通信装置、10e…入力装置、10f…出力装置