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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】鮮度保持装置及び冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240112BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20240112BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F25D23/00 302Z
F25D17/08 303
F25D25/00 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022545437
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 CN2020138705
(87)【国際公開番号】W WO2021190005
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】202010211906.3
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517215032
【氏名又は名称】合肥美的電冰箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI MIDEA REFRIGERATOR CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.669,West Changjiang Road,Hefei,Anhui 230601,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】517215043
【氏名又は名称】合肥華凌股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】任相華
(72)【発明者】
【氏名】周新
(72)【発明者】
【氏名】唐学強
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206131588(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106918191(CN,A)
【文献】中国実用新案第206755719(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106091519(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫用の鮮度保持装置であって、
収納空間が設置され、且つ前記収納空間に連通する開口部と吸気口とが設置された下層フレームと、前記収納空間を冷却するための冷却ダクトが設置された上層フレームとを有する鮮度保持ケースと、
前記開口部を通して前記収納空間に入りかつ前記収納空間に収容されて、前記鮮度保持ケースと嵌合して密閉された収容空間を形成することができる引き出しと、
前記鮮度保持ケースの前記吸気口が設けられた側に接続され、生成された窒素ガスを前記吸気口を介して前記収容空間に充填できる窒素ガス発生装置と、を含
前記窒素ガス発生装置は、前記吸気口に接続するための排気口が設けられるハウジングを含み、
前記吸気口には内孔円柱が形成され、前記排気口には前記内孔円柱と嵌合する溝が形成され、前記溝と前記内孔円柱との間にはシールリングが設けられる、
鮮度保持装置。
【請求項2】
前記下層フレームまたは前記引き出しに設けられ、前記収容空間内のガスを前記鮮度保持装置の外に排出させる逆止弁を更に含む、
請求項1に記載の鮮度保持装置。
【請求項3】
前記窒素ガス発生装置は、
ンプ吸気管とポンプ排気管を有する真空ポンプと、
内部に酸素吸着剤が設けられた吸着筒であって、筒吸気管と筒排気管を有し、前記筒吸気管が同時に前記ポンプ吸気管と前記ポンプ排気管に接続され、前記筒吸気管と前記ポンプ吸気管との間に第1三方弁が接続され、前記筒吸気管と前記ポンプ排気管との間に第2三方弁が接続される、吸着筒と、
前記筒排気管に連通するタンク吸気管と、前記排気口に連通するタンク排気管とを有する窒素ガス貯蔵タンクと、をさらに含む、
請求項1に記載の鮮度保持装置。
【請求項4】
前記真空ポンプ、前記吸着筒及び前記窒素ガス貯蔵タンクは、前記ハウジング内の同一平面上に設けられる、
請求項3に記載の鮮度保持装置。
【請求項5】
前記筒排気管と前記タンク吸気管との間に第1逆止弁が設けられ、前記排気口と前記タンク排気管との間に第2逆止弁が設けられる、
請求項3に記載の鮮度保持装置。
【請求項6】
前記開口部と前記引き出しとの間に、前記開口部と前記引き出しとの間のシール性を保証するシールストリップが設けられる、
請求項1に記載の鮮度保持装置。
【請求項7】
前記上層フレームの片側の側壁に冷風入口が設置され、反対側の側壁に冷風出口が設置され、前記冷風入口と前記冷風出口はいずれも前記冷却ダクトに連通する、
請求項1に記載の鮮度保持装置。
【請求項8】
前記引き出しはエンドカバーを含み、前記上層フレームが前記下層フレームから突出するように設けられることにより、前記鮮度保持ケースは前記開口部の片側に凹部を形成し、前記エンドカバーの少なくとも一部は前記凹部内に置かれる、
請求項1に記載の鮮度保持装置。
【請求項9】
冷蔵室と、
冷蔵室に連通し、吹出口を有する冷蔵ダクトと、
前記冷蔵室内に置かれる、請求項1~のいずれか一項に記載の鮮度保持装置と、を含み、前記冷却ダクトが前記吹出口に連通する、
冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年3月24日に提出された、出願番号が202010211906.3で、名称が「鮮度保持装置及び冷蔵庫」の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は冷却貯蔵設備の分野に属し、より具体的には、鮮度保持装置及びその冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0003】
果物や野菜の鮮度を保持するために、低温または酸素濃度を低下させる方式を採用することが多く、これにより、果物や野菜の呼吸作用を減少させ、有機物の消費速度を緩和する。
【0004】
一方、酸素濃度を低下させるために、窒素ガス含有量を増加させ、酸素含有量を比較的に減少させる方式で実現されることが多く、例えば窒素ガス発生装置を採用するが、従来の窒素ガス発生装置は単独または冷蔵庫内で使用されることが多く、酸素低減速度が遅いという欠点があるため、果物と野菜の鮮度保持効果が悪い。
【0005】
以上の内容は、本発明の技術的解決策の理解を助けるためのものに過ぎず、上記の内容が先行技術であることを容認することを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。そのため、本発明は冷蔵庫に用いることができる酸素低減速度の高い鮮度保持装置を提供する。
【0007】
また、上述した鮮度保持装置を含む冷蔵庫も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持装置は、収納空間が設置され、且つ前記収納空間に連通する開口部と吸気口が設置された下層フレームと、前記収納空間を冷却するための冷却ダクトが設置された上層フレームとを有する鮮度保持ケースと、前記開口部を通して前記収納空間に入りかつ前記収納空間に収容されて、前記鮮度保持ケースと嵌合して密閉された収容空間を形成することができる引き出しと、前記鮮度保持ケースの前記吸気口が設けられた側に接続され、生成された窒素ガスを前記吸気口を介して前記収容空間に充填できる窒素ガス発生装置とを含む。
【0009】
本発明の実施例の鮮度保持装置によれば、少なくとも以下の有益な効果を有する。引き出し式の構造を採用し、且つ前記引き出しは前記ケースと嵌合して密閉された収容空間を形成し、これにより窒素ガスが収容空間に充填された後、酸素濃度を迅速に低下させることができる。前記収容ケースに冷却ダクトを設置し、これにより収容空間の冷却効果を向上させることができ、かつ良好な酸素低減効果と冷却能力が果物や野菜の鮮度保持効果を向上させることができる。
【0010】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記鮮度保持装置は、前記収容空間内のガスが前記鮮度保持装置の外に排出され、同時に外部の酸素富化ガスが収容空間内に入らないように、前記下層フレームまたは前記引き出しに設けられた第1逆止弁を更に含む。
【0011】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記窒素ガス発生装置は、前記吸気口に接続するための排気口が設けられるハウジングと、ポンプ吸気管とポンプ排気管を有する真空ポンプと、内部に酸素吸着剤が設けられた吸着筒であって、筒吸気管と筒排気管を有し、前記筒吸気管が同時に前記ポンプ吸気管と前記ポンプ排気管に接続され、前記筒吸気管と前記ポンプ吸気管との間に第1三方弁が接続され、前記筒吸気管と前記ポンプ排気管との間に第2三方弁が接続される、吸着筒と、前記筒排気管に連通するタンク吸気管と、前記排気口に連通するタンク排気管とを有する窒素ガス貯蔵タンクとを含む。
【0012】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記真空ポンプ、前記吸着筒及び前記窒素ガス貯蔵タンクは、前記ハウジング内の同一平面上に設けられる。
【0013】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記筒排気管と前記タンク吸気管との間に第1逆止弁が設けられ、前記排気口と前記タンク排気管との間に第2逆止弁が設けられる。
【0014】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記吸気口には内孔円柱が形成され、前記排気口には前記内孔円柱と嵌合する溝が形成され、前記溝と前記内孔円柱との間にはシールリングが設けられる。
【0015】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記開口部と前記引き出しとの間に、前記開口部と前記引き出しとの間のシール性を保証するシールストリップが設けられる。
【0016】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記上層フレームの片側の側壁に冷風入口が設置され、反対側の側壁に冷風出口が設置され、前記冷風入口と前記冷風出口はいずれも前記冷却ダクトに連通する。
【0017】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記引き出しはエンドカバーを含み、前記上層フレームが前記下層フレームから突出するように設けられることにより、前記鮮度保持ケースは前記開口部の片側に凹部を形成し、前記エンドカバーの少なくとも一部は前記凹部内に置かれる。
【0018】
本発明の第2態様の実施例による冷蔵庫は、冷蔵室と、冷蔵室に連通し、吹出口を有する冷蔵ダクトと、前記冷蔵室内に置かれる、請求項1~9のいずれか一項に記載の鮮度保持装置とを含み、前記冷却ダクトが前記吹出口に連通する。
【0019】
本発明の実施例の冷蔵庫によれば、前記鮮度保持装置が有する技術的効果に加えて、前記冷蔵庫の冷蔵室内に独立した鮮度保持装置を設置し、冷蔵庫の用途を増加させ、かつ冷蔵庫扉を動かすことによって収容空間の鮮度保持環境に影響を与えないという有益な効果を少なくとも有する。
【0020】
本発明の追加的態様および利点は、以下の説明に部分的に記載され、以下の説明から部分的に明らかになるか、または本発明の実践によって理解されるであろう。
本発明の上記および/または追加の態様および利点は、以下の図面と合わせて実施例の説明から明らかになり、理解しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例に係る鮮度保持装置の立体分解模式図である。
図2】本発明の実施例に係る鮮度保持装置の左側面図である。
図3図2に示す本発明の実施例に係る鮮度保持装置のA―A断面図である。
図4】本発明の実施例に係る鮮度保持装置の窒素ガス発生装置の内部構造の原理図である。
図5】本発明の実施例に係る鮮度保持装置の窒素ガス発生装置の平面図である。
図6】本発明の実施例に係る鮮度保持装置の窒素ガス発生装置のB部構造の拡大図である。
図7】本発明の実施例による鮮度保持装置の窒素ガス発生装置の窒素ガス製造過程の原理図である。
図8】本発明の実施例に係る鮮度保持装置の窒素ガス発生装置の脱着過程の原理図である。
図9】本発明の実施例に係る冷蔵庫の立体構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明し、実施形態の例は図面に示されるが、そのうちの同一または類似する符号は、常に、同一または類似の部品、あるいは、同一または類似の機能を有する部品を表す。以下、図面を参照しながら説明する実施形態は例示的なものであり、本発明を説明することを目的とし、本発明を制限するものとして理解すべきではない。
【0023】
更に、「第一」、「第二」などの用語は説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示または暗示するものや、これらにより示される技術の特徴の数を示唆するものではない。そこで、「第1」、「第2」で限定された特徴は、一つ以上の当該特徴を明確的や暗示的に含むことができる。
【0024】
本発明において、他に明示的に規定及び限定されない限り、「接続」という用語は広義的に理解されるべきであり、例えば、固定接続や可動接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、着脱不可能な接続であってもよいし、一体的に接続されていてもよい。また、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよいし、互いに通信してもよい。更に、直接的に接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよいし、2つの素子内部の連通、間接的な連通、または2つの素子の相互作用関係であってもよい。
【0025】
なお、本発明の説明において、本発明の冷蔵庫900及び鮮度保持装置100における各要素の技術名は、当業者にとって広義で理解されるべきであり、技術思想の適用範囲を制限するものではない。
【0026】
以下の開示は、本発明の異なる技術案を実現するために、多くの異なる実施形態または例を提供する。
【0027】
図1から図5を参照すると、本発明の第1態様に係る鮮度保持装置100は、冷蔵庫900に使用されるものであり、冷蔵庫900は、電気冷蔵庫、冷凍ストッカー、冷蔵ケースなどの広義的な冷却貯蔵設備を指してもよい。
【0028】
いくつかの実施例では、図1に示すように、鮮度保持装置100は、上層フレーム102と下層フレーム103を有する鮮度保持ケース101であって、下層フレーム103に収納空間が設置され、下層フレーム103の片側に収納空間に連通する開口部111が設置され、開口部111に対向する他方側には収納空間に連通する吸気口601が設けられ、上層フレーム102には収納空間を冷却するための冷却ダクト301が設けられる鮮度保持ケース101と、開口部111を介して収納空間に入りかつ収納空間に収容することができて、鮮度保持ケース101と嵌合して密閉された収容空間308を形成する引き出し104と、鮮度保持ケース101における吸気口601が設けられた側、すなわち鮮度保持ケース101の後側に接続され、生成された窒素ガスを吸気口601を介して収容空間308に充填することができる窒素ガス発生装置105とを含む。なお、吸気口601は他の側に設けられてもよく、冷蔵庫900の冷蔵室901の構成に応じて具体的に決定する必要がある。
【0029】
上記実施例では、引き出し104が鮮度保持ケース101と嵌合して密閉された収容空間308を形成することを保証するために、下層フレーム103自体は、開口部111及び吸気口601を除いて密閉された構造とすべきであり、上層フレーム102の冷却ダクト301は、下層フレーム103の収納空間から分離されるべきであることを理解されたい。
【0030】
なお、図3を参照すると、冷気が冷風入口201から冷却ダクト301に入り、続いて冷風出口306から排出されて、冷気流304が形成され、これにより、冷却ダクト301と収納空間とが熱交換して収納空間の温度を低下させる。窒素ガス発生装置105で生成された窒素ガスは、吸気口601(図6参照)によって収容空間308に入り、これにより、窒素ガス流305を形成する。この分野では、冷却ダクト301の低温を速やかに収納空間に伝達するために、上層フレーム102と下層フレーム103との間のスペーサが熱効率の良い材料、例えば金属等を選択することが知られる。
【0031】
上記実施例では、窒素ガス発生装置105は、PSA窒素ガス製造方法により、空気(本実施例では冷蔵庫900内の冷気でもよい)内の酸素を除去して純粋な窒素ガスを発生させ、更に収容空間308の内部に窒素ガスを注入して果物や野菜等の食品を鮮度保持する目的を達成している。圧力スイング吸着PSA(Pressure Swing Adsorption)は現在ガスを生成する一つの主流技術であり、圧力スイング吸着は具体的に温度が一定である場合、混合ガスを加圧し、かつ吸着剤で余分な不純物ガスを吸着して比較的純粋な単一ガスを得て、続いて減圧または常圧の方法で吸着剤内の不純物ガスを脱着し、吸着剤を二次利用する。酸素吸着剤は現在酸素窒素分離を実現し、空気から窒素ガスを抽出する常用吸着剤であり、吸着圧力が同じ時、酸素吸着剤の酸素吸着量は窒素の吸着量より格段に高い。PSA窒素ガス製造方法はこの原理を利用し、空気を原料とし、圧力スイング吸着技術を運用し、酸素吸着剤を利用して酸素と窒素の選択的吸着を行い、空気中の窒素と酸素の分離を実現し、それによって純窒素ガスを生成する。
【0032】
上記実施例において、鮮度保持装置100は必要に応じて全体としてある低温環境に置かれてもよいし、鮮度保持装置100の冷却ダクト301を直接、既存の冷却設備の風路に接続して収納空間の急速冷却を実現するようにしてもよい。
【0033】
上述した実施例では、引き出し104が収納空間に容易に入ることができるように、そして収納空間を正確に閉鎖して密閉された収容空間308を形成することができるようにするために、下層フレーム103の内部にガイドレール110が設けられる。引き出し104の底部にもガイドレール110が係合するガイド機構(図示せず)が設けられることは、当業者にとって周知である。
【0034】
また、鮮度保持装置100に電力を供給するために、鮮度保持装置100は、使用時に電源と電気的に接続されている必要があり、鮮度保持装置100を制御するために、鮮度保持装置100自体がコントローラを有しているか、または外部のコントローラと接続される必要があることは、当業者にとって周知である。
【0035】
本発明の実施例の鮮度保持装置100によれば、少なくとも以下の有益な効果を有する。引き出し104式構造を採用し、開閉することが容易である。引き出し104と鮮度保持ケース101とが嵌合して密閉された収容空間308を形成した後、窒素ガス発生装置105で発生した窒素ガスが迅速に収容空間308に充填されることを保証することができる。圧力の増大に伴って収容空間308の酸素富化ガスは収容空間308から押し出され、ガス拡散原理により、ガスが高濃度の場所から低濃度の場所へ自然拡散し、引き出し104内の窒素ガス濃度を設定値まで素早く上昇させることができ(すなわち、相対的に酸素濃度を設定値まで低下させることができる)、濃度を均一に保つことができる。一方、鮮度保持ケース101に冷却ダクト301が設けられ、これにより収容空間308の冷却効果を向上させることができ、良好な酸素低減効果及び冷却能力によって、食品(すなわち野菜、果物等)の鮮度保持効果を向上させることができる。また、鮮度保持ケース101と窒素ガス発生装置105を一体型構造にすることにより、鮮度保持装置100の体積を大幅に縮小することができ、モジュール化構造として冷蔵庫900に入れて使用することができ、鮮度保持装置100の応用を更に柔軟にすることができる。
【0036】
いくつかの実施例では、鮮度保持装置100は、収容空間308内のガスを鮮度保持装置100の外に排出することができるように、下層フレーム103または引き出し104上に設けられた逆止弁(図示せず)を更に含む。
【0037】
逆止弁を設けることにより、窒素ガス発生装置105で生成された窒素ガスが収容空間308に入った後、圧力の増加に伴って収容空間308のガスを逆止弁を介して収容空間308の外に排出するとともに、外部の空気が逆止弁を介して収容空間308内に入ることを防止して、収容空間308の窒素ガス濃度を上昇させ、酸素濃度を低下させて低酸素環境を提供することを目的とする。なお、逆止弁を引き出し104に設ける場合には、収容空間308のガスが収容空間308の外に排出されるように引き出し104の外側、すなわちエンドカバー109に設けることができ、逆止弁を下層フレーム103に設ける場合には、下層フレーム103の側壁に設けることができ、同様に収容空間308のガスが収容空間308の外に排出されることができる。
【0038】
いくつかの実施例では、窒素ガス発生装置105は、吸気口601に接続するための排気口106が設けられたハウジング107と、ポンプ吸気管402とポンプ排気管406を有する真空ポンプ401と、吸着筒302であって、内部に酸素吸着剤が設けられ、吸着筒302が筒吸気管405と筒排気管409を有し、筒吸気管405が同時にポンプ吸気管402とポンプ排気管406に接続され、筒吸気管405とポンプ吸気管402との間に第1三方弁403が接続され、筒吸気管405とポンプ排気管406との間に第2三方弁404が接続される吸着筒302と、タンク吸気管407とタンク排気管408を有する窒素ガス貯蔵タンク303であって、タンク吸気管407が筒排気管409に連通し、タンク排気管408が排気口106に連通する窒素ガス貯蔵タンク303とを含む。なお、酸素吸着剤としては、炭素分子篩、ゼオライト等を選択することができる。
【0039】
吸着過程において、真空ポンプ401は、吸着筒302に一定の正圧の空気を注入するように制御され、酸素吸着剤は、注入された空気中の酸素を吸着する。製造された窒素ガスは吸着筒302の排気口106から窒素ガス貯蔵タンク303に入り、窒素ガス貯蔵タンク303のタンク排気管408は収容空間308に連通してそれに窒素ガスを供給する。脱着過程において、真空ポンプ401は、酸素の酸素吸着剤からの脱着を容易にし、かつ脱着排気管を介して酸素を排出するように、一定の負圧で吸着筒302から排気するように制御される。
【0040】
従来のPSA窒素ガス製造装置は大規模窒素ガス製造に用いられることが多く、かつ空気タンクと油水分離装置を含み、空気圧縮機は作動圧力が大きく、体積が大きく、構造が複雑であり、冷蔵庫900の窒素ガス製造のための要件を満たすことができない。本発明の実施例の鮮度保持装置100は、負圧脱着を採用するため、真空ポンプ401に対する圧力要求を低下させ、真空ポンプ401の体積を減少させることができ、コストを低減させ、騒音を低減させ、それによって冷蔵庫900の内部に一層容易に埋め込め、冷蔵庫900の鮮度保持性能を向上させる。なお、負圧脱着と同時に不純物ガス(水蒸気等)をより脱着排出しやすくし、空気清浄度への要求を低減する。また、真空ポンプ401が発生した圧力は、0.5bar~1bar程度であり、この圧力は、収容空間308内の空気に圧力をかけ、引き出し104のシール部材または逆止弁を通って排出するのに十分である。また、第1三方弁403と第2三方弁404を設置することで、同じ真空ポンプ401が吸着のために空気圧作用を提供するとともに、脱着のために空気圧作用も提供でき、更に鮮度保持装置100の全体構造体積を減少させ、鮮度保持装置100を冷蔵庫900の内部に埋め込むことを容易にする。当業者に理解されるように、以下のプロセスを実現するために、コントローラ(図示せず)によって実現される必要があり、コントローラは、空気調和発生装置105に設けられてもよく、または分離して他の装置、例えば冷蔵庫900に設置されてもよい。
【0041】
窒素ガス発生装置105の作動過程をより明確に説明するために、図7図8を参照して説明する。
【0042】
図7は窒素ガス発生装置105の吸着過程を示し、矢印方向はガス流れ方向を示す。吸着過程を開始する命令を受けると、真空ポンプ401が作動し、空気は第1三方弁403の左ポートから入り、下ポートから出て、右ポートは閉鎖し、空気は順にポンプ吸気管402、ポンプ排気管406を通り、その後第2三方弁404の下ポートから入り、右ポートから出て、左ポートは閉鎖し、かつ一定の圧力で筒吸気管405を通って吸着筒302に入り、酸素吸着過程を完成する。
【0043】
図8は窒素ガス発生装置105の脱着過程を示し、矢印方向はガス流れ方向を示す。脱着過程を開始する命令を受けると、真空ポンプ401が作動し、空気は吸着筒302から引き出され、第1三方弁403の右ポートから入り、下ポートから出て、左ポートは閉鎖し、その後順にポンプ吸気管402、ポンプ排気管406を通り、更に第2三方弁404の下ポートから入り、左ポートから出て、右ポートは閉鎖し、酸素脱着過程を完成する。
【0044】
なお、吸着筒302は、窒素ガス発生装置105の重量を軽減し、窒素ガス発生装置105の製造コストを削減するために、低コストのモールドプラスチックを用いて製造することができる。第1三方弁403の右ポートと第2三方弁404の右ポートの両方を吸着筒302の筒吸気管405に接続するために、第1三方弁403の右ポートと第2三方弁404の右ポートと筒吸気管405との間に三方弁を設けることができる。
【0045】
いくつかの実施例では、図4図5を参照すると、真空ポンプ401、吸着筒302、及び窒素ガス貯蔵タンク303は、ハウジング107内の同一平面上に設けられて、窒素ガス発生装置105の全体の厚さを更に減少させ、鮮度保持ケース101の後側に配置することを容易にし、それによって、鮮度保持装置100全体の体積を減少させる。配管構造及び弁類構造については、占有空間が相対的に少なく、上記レイアウトを基に、当業者は省スペースの原則に基づいて、最適化設計を行うことができる。
【0046】
いくつかの実施例では、図4に示すように、筒排気管409とタンク吸気管407との間に第1逆止弁410が設けられ、排気口106とタンク排気管408との間に第2逆止弁411が設けられる。第1逆止弁410を設けることにより、窒素ガス貯蔵タンク303の窒素ガスが吸着筒302に還流するのを防止することができ、特に脱着過程において、真空ポンプ401は吸着筒302に負圧を与え、第1逆止弁410は窒素ガス貯蔵タンク303の窒素ガスの還流を阻止する役割を果たすことができる。第2逆止弁411を設けることにより、同様に収容空間308中のガスが窒素ガス貯蔵タンク303に還流するのを防止する効果を奏することができるとともに、収容空間308の相対的な密閉設計は、収容空間308の低酸素環境を維持することを目的とし、第2逆止弁411はその目的にも寄与する。
【0047】
いくつかの実施例では、密閉ケースの吸気口601には、内孔円柱が形成され、窒素ガス発生装置105の排気口106には、内孔円柱と嵌合する溝603が形成され、内孔円柱と内孔円柱との間には、シールリング602が設けられる。このように設置することにより、鮮度保持装置100の取り付け過程において、窒素ガス発生装置105が鮮度保持ケース101に取り付けられた後、窒素ガス発生装置105の排気口106と密閉ケースの吸気口601とがシールリング602によって自動的に密閉され、これにより、ホースジョイントで接続する手間が減り、鮮度保持装置100の一体性が更に向上する。
【0048】
なお、窒素ガス発生装置105の排気口106は、取り外し可能な構成としてもよい。すなわち、窒素ガス発生装置105に排気口106が取り付けられる位置が残されており、組み立て時には、排気口106の構成を、残されておいた位置に嵌め込むだけでよい。このとき、排気口106の構造を残されておいた位置に埋め込むのを容易にするために、排気口106の構造の右端を内孔円柱の構造とするとともに、内孔円柱の最も右端にガイド部604を設ける。また、排気口106の構造が、残されておいた位置から外れるのを防止するために、排気口106の構造が制限部605を更に含む。
【0049】
いくつかの実施例では、図1に示すように、鮮度保持ケース101の開口部111と引き出し104との間には、開口部111と引き出し104との間の密閉性を確保するためのシールストリップ108が設けられる。なお、鮮度保持ケース101の全体構成に応じて、シールストリップ108は下層フレーム103に設けられ、引き出し104のエンドカバー109の内側の輪郭形状はシールストリップ108の形状に適合する。シールストリップ108は変性ポリ塩化ビニル(PVC)、加硫エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)及び熱可塑性エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM/PP)ゴムストリップを採用することができる。シールストリップ108は、鮮度保持ケース101の開口部111と引き出し104との間のシールを容易にするために、引き出し104のエンドカバー109の内側に設けられてもよい。下層フレーム103または引き出し104に逆止弁が設けられていない場合、窒素ガス発生装置105で発生した窒素ガスが収容空間308に充填された後、圧力値が一定値まで増加すると、収容空間308のガスをシールストリップ108から押し出すことができることを理解されたい。上記圧力値は0.5bar~1bar程度である。
【0050】
いくつかの実施例では、図3に示すように、上層フレーム102の片側の側壁には冷風入口201が鮮度保持ケース101の吸気口601と同じ側に設置され、反対側の側壁(及び鮮度保持ケース101の開口部111側)には冷風出口306が設置される。冷風入口201と冷風出口306とを引き出し104の移動方向に沿って設けることにより、冷却ダクト301と収納空間とが最大範囲で重なるようにし、冷却ダクト301の収納空間に対する冷却効果を向上させる。
【0051】
いくつかの実施例では、図3に示すように、上層フレーム102は、下層フレーム103から突出するように設けられ、これにより、鮮度保持ケース101は、開口部111の片側に凹部307が形成され、引き出し104のエンドカバー109の少なくとも一部は前記凹部307内に置かれる。このようにすれば、冷却ダクト301の冷却範囲を大きくすることができる一方、引き出し104のエンドカバー109が鮮度保持ケース101に突設され、全体の見栄えを損なうことを避けることができる。
【0052】
なお、冷風出口306は、上層フレーム102において、引き出し104のエンドカバー109に隣接する位置にあり、引き出し104が閉じられた後、引き出し104のエンドカバー109と上層フレーム102との間に隙間があり、これにより引き出し104のエンドカバー109が冷却ダクト301の冷風出口306を遮蔽して冷却ダクト301の冷気の流動性に影響を与えることを防止する。
【0053】
いくつかの実施例では、収容空間308の酸素濃度を検出するために、下層フレーム103上または引き出し104の内側に酸素濃度検出装置(図示せず)を更に含む。酸素濃度検出装置の検出値を取得することで、窒素ガス発生装置105の窒素ガス製造開始時間及び窒素ガス製造時間を制御し、これにより酸素濃度をよりインテリジェントに制御し、制御精度を向上させ、果物野菜類食品の鮮度保持時間を延長する。
【0054】
図9を参照して、本発明の第2態様に係る冷蔵庫900は、冷蔵室901及び冷蔵ダクト(図示せず)を有し、冷蔵ダクトは冷蔵室901に連通し、冷蔵ダクトは吹出口(図示せず)を有する。冷蔵庫900は、上述した本発明の実施例に係る鮮度保持装置100を更に含み、鮮度保持装置100は冷蔵室901に置かれ、その冷却ダクト301は吹出口に連通する。したがって、冷蔵ダクトを直接利用して収納空間を冷却する。
【0055】
なお、冷蔵庫900の冷蔵室901の温度は、果物野菜類食品の鮮度保持に最も適しており、一般的に、確保された空間が大きいと、鮮度保持装置の配置に適する。また、鮮度保持装置100に電力を供給するために、鮮度保持装置100は必然的に冷蔵庫900の電源と電気的に接続され、鮮度保持装置100を制御するために、鮮度保持装置100は必然的に自身がコントローラを有するかまたは冷蔵庫900のコントローラと接続されることは、当業者にとって周知である。
【0056】
窒素ガス発生装置105に必要な空気は冷蔵室901の冷気であり、これにより収容空間308の温度が大きく変動しないことを保証でき、果物や野菜の鮮度保持に有利である。
【0057】
本発明の実施形態を示し説明したが、当業者であれば理解できるように、以上は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の突出した技術的効果及び利点を具現化することを意図したものであり、本発明の技術的解決手段を限定するものではない。当業者であれば理解できるように、本発明の技術的内容に基づいてなされたすべての修正、変更、または代替的な技術的特徴が、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
100 鮮度保持装置
101 鮮度保持ケース
102 上層フレーム
103 下層フレーム
104 引き出し
105 窒素ガス発生装置
106 排気口
107 ハウジング
108 シールストリップ
109 エンドカバー
110 ガイドレール
111 開口部
201 冷風入口
301 冷却ダクト
302 吸着筒
303 窒素ガス貯蔵タンク
304 冷気流
305 窒素ガス流
306 冷風出口
307 凹部
308 収容空間
401 真空ポンプ
402 ポンプ吸気管
403 第1三方弁
404 第2三方弁
405 筒吸気管
406 ポンプ排気管
407 タンク吸気管
408 タンク排気管
409 筒排気管
410 第1逆止弁
411 第2逆止弁
601 吸気口
602 シールリング
603 溝
604 ガイド部
605 制限部
900 冷蔵庫
901 冷蔵室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9