(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】再使用防止安全カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/06 512
(21)【出願番号】P 2023014721
(22)【出願日】2023-02-02
(62)【分割の表示】P 2020563771の分割
【原出願日】2019-09-30
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0085075
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516253499
【氏名又は名称】メディファースト カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】コ クォンチョル
(72)【発明者】
【氏名】アン チジョン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/026731(WO,A1)
【文献】特開平09-108346(JP,A)
【文献】特開2007-143876(JP,A)
【文献】特開2016-083275(JP,A)
【文献】特表2017-509455(JP,A)
【文献】米国特許第05403284(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外針が設けられたカテーテルハブと、
前記カテーテルハブに挿通される内針が設けられて前記外針を血管内に留置し、前記カテーテルハブから取り外されるカニューレプラグと、
前記内針が貫通される中空部が形成され、貫通された前記内針の引き出しの際に前記中空部の位置が変更されて前記内針が再び貫通されることをブロックするロッキングガイド部とを含み、
前記ロッキングガイド部は、第1のロッキングガイドと第2のロッキングガイドとを含み、
前記第1のロッキングガイドと前記第2のロッキングガイドとは重心が偏心された構造で設けられ、前記内針が前記中空部から引き出されると、重力によって0°超え90°未満の角度で傾きが生じることによって前記中空部の経路が崩れ、
前記第1のロッキングガイドと前記第2のロッキングガイドとは、それぞれ全断面図(Full-section)において、外面の形状が徐々に直径が減少するテーパ状の台形状であり、端部側が互いに対向するように対称配置され、前記内針が前記ロッキングガイド部から引き出されると、前記第1のロッキングガイドと前記第2のロッキングガイドが傾いて、前記第1のロッキングガイドと前記第2のロッキングガイドが行き違いになり、前記第1のロッキングガイドの前記中空部と前記第2のロッキングガイドの前記中空部の中心線がずれることにより前記内針の再刺入が不可能になることを特徴とする、再使用防止安全カテーテル。
【請求項2】
前記第1のロッキングガイドと前記第2のロッキングガイドは、それぞれ外周に大口径部と小口径部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の再使用防止安全カテーテル。
【請求項3】
前記カニューレプラグから引き出されて前記内針を覆うスライドケースをさらに含み、
前記ロッキングガイド部は、前記スライドケースの前端部に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の再使用防止安全カテーテル。
【請求項4】
前記スライドケースは、使用者が前記カテーテルハブから前記カニューレプラグを取り外せるように指の引っかかりが生じるホルダーを含み、
前記ロッキングガイド部は、前記ホルダーの内部に設けられたことを特徴とする、請求項3に記載の再使用防止安全カテーテル。
【請求項5】
前記カニューレプラグを前記カテーテルハブから押し出す弾性力を与えるバネをさらに含み、
前記バネは、前記内針が前記ロッキングガイド部から完全に引き出されるように前記カニューレプラグを前記カテーテルハブから押し出すことを特徴とする、請求項1に記載の再使用防止安全カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルの使用後に再使用が構造的に不可能であり、しかも、安全に廃棄することのできるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、被施術者に薬を注液するための効率よいツールであって、主として病院において多用されている。カテーテルは、患者など頻繁に薬物の注入を必要とする被施術者に対して、前端にチューブ素材の外針が形成されたハブを留置ための構成要素であり、以降に注射などを介した薬液の注入の際に新たに肌にニードルを刺し通す必要がないという利便さを提供する。カテーテルは、外針を被施術者の体内に挿入するために、カニューレのニードルが外針に挿通されて、外針とともに被施術者の体内に挿入される。次いで、カニューレを後退させてカテーテルハブを残して内針のみを取り外す過程を経る。
【0003】
現代医学では、侵襲機器の再使用は絶対してはいけない「禁忌事項」として取り扱われる。特に、感染リスクの直接的な原因となるカニューレニードルは、侵襲位置を問わずに無条件に使い捨て用としてのみ用いなければならない。ニードルは、非常に微細に作製されており、一回使用した時点で既に歪んでしまうため、再使用の際に血管などの組織を余計に損傷させることが懸念され、何よりも人間の体内に挿入されてから体外に出るものである分だけ、感染の媒介体となる可能性が高いためである。
【0004】
カテーテルなどの侵襲型使い捨ての医療機器は、再使用を禁じているとはいえ、医療の専門ではない個人は、間違った衛生常識や安易な考えとコストなどを理由に使用済みのニードルを熱して再び使用したりもする。この理由から、カテーテルなどの侵襲型医療機器は、構造的に再使用が不可能な構造を実現する必要がある。
【0005】
関連する従来の技術として挙げられる韓国登録特許第10-1598469号公報は、カテーテルにおいて、ギア、ラック及びハブに形成された鋸歯によりハブとムービングバーを取り付けたり取り外したりし、ニードルが後退してムービングバーとハブが取り外された後には、ニードルが外部に向く経路をラックが遮ることによりニードルの再使用が不可能な非可逆的な動作メカニズムを有するカテーテルを開示している。
【0006】
しかしながら、従来の再使用防止安全カテーテルは、再使用を防ぐための複雑な構成を必要とする。使い捨てのカテーテルは、その特性からみて、製造コストが直ちに事業性につながることが自明であるが、使い捨ての実現のために多数の射出品と複雑な製造工程が求められることは望ましくない。なお、従来の安全カテーテルは、決して簡単ではないとはいえ、使用者がむりやりに射出品を操作してニードルを再使用可能な位置にセットできる構造となっているため、構造的に完全に再使用を不可能にするには不十分であった。このため、本出願人は、最小限の射出品と極めて簡単な製造工程により実現できる再使用不可能な安全カテーテルを工夫するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低廉な製造コストで実現可能な再使用防止安全カテーテルを提供することを目的としている。また、本発明は、使用者が作為的に再使用可能なようにカテーテルを操作することが構造的に不可能になる再使用防止安全カテーテルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、再使用防止安全カテーテルにおいて、外針が設けられたカテーテルハブと、前記カテーテルハブに挿通される内針が設けられて前記外針を血管内に留置し、前記カテーテルハブから取り外し可能なカニューレプラグと、前記内針が貫通する中空が形成されるが、貫通した前記内針の引き出しの際に前記中空が歪められて前記内針が再び貫通することをブロック(block)するロッキングガイド部と、を含むことを一つの特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記カニューレプラグから引き出されて前記内針を覆うスライドケースをさらに含み、前記ロッキングガイド部は、前記スライドケースの前端部に設けられてもよい。
【0010】
好ましくは、前記スライドケースは、使用者が前記カテーテルハブから前記カニューレプラグを取り外せるように指の引っかかりが生じるホルダーを含み、前記ロッキングガイド部は、前記ホルダーの内部に設けられてもよい。
【0011】
好ましくは、本発明に係る安全カテーテルは、前記カテーテルハブの内部に設けられて血液の逆流を遮断する血液遮断部をさらに含んでもよい。
【0012】
好ましくは、前記ロッキングガイド部は、前記カニューレプラグと独立した射出品であり、前記カニューレプラグ内において前記内針により固定された状態を保つが、前記内針が引き出されて固定力が除去されれば、傾きが生じて前記中空の位置が変更されてもよい。
【0013】
好ましくは、前記ロッキングガイド部は、第1のロッキングガイドと第2のロッキングガイドとを含み、前記第1のロッキングガイドと前記第2のロッキングガイドとが当接することにより前記内針が貫通する前記中空の経路が長手方向に形成され、前記第1のロッキングガイドと前記第2のロッキングガイドは前記内針により変位が固定されてもよい。
【0014】
好ましくは、前記ロッキングガイド部は、0°超90°未満の角度で重力により傾きが生じる構造的な形状に配設され、前記内針が引き出されると、前記第1のロッキングガイドと前記第2のロッキングガイドの固定力が除去されて前記第1のロッキングガイドと前記第2のロッキングガイドのそれぞれに傾きが生じ、前記第1のロッキングガイドと前記第2のロッキングガイドとの行き違いにより長手方向の中空の経路が崩れてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、独立した射出品であるロッキングガイドを設けるだけで、再使用防止安全カテーテルを実現することができる。ロッキングガイドは、その機能上、内針の一回性の離脱が生じると、0°超90°未満の範囲において偏った重心もしくは構造により変位が生じて内針が貫通するべき中空の位置が変更される。他の実施形態によれば、ロッキングガイドを係合する2つのパーツで実現して、2つのロッキングガイドが係合した状態であるときに内針が貫通する一つの経路を作り、内針が引き出されると、各パーツが行き違いになることにより内針の経路が崩れて再挿入を不可能にする。すなわち、本発明に係
るロッキングガイドは、内針が挿入される中空の位置が変更されたり、中空の構造が変更されたりすることにより、内針の経路を一回性のものに実現する。
【0016】
このとき、内針は、カニューレプラグの内部の中空に収められることにより、使用者が作為的にその角度を調節することができない。したがって、たとえチルトされた(傾いた)ロッキングガイドを使用者が作為的に揺らしてその角度を調節するとしても、内針の貫通角度とロッキングガイドの通孔とを同一軸の上に統一させることは、構造的に重心が偏ったロッキングガイドを別途の構造物なしに正姿勢で固定して位置させた状態で内針を引き込む作業を求めることであるためほぼ不可能に近い。したがって、本発明に係る再使用防止安全カテーテルは、使用者の作為的な努力にも拘わらず、非可逆的なメカニズムが解除され難いという利点を有する。
【0017】
また、本発明に係る再使用防止安全カテーテルは、製造工程もまた、内針をロッキングガイドに挿通して通常の組み立て工程をそのまま行うものであり、簡単な作業で製造可能である。したがって、本発明は、使い捨て用というカテーテルの特性に特に当てはまるように低廉な製造コストで実現することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る再使用防止安全カテーテルの斜視図である。
【
図2】
図1の実施形態に係るカテーテルハブ及び血液遮断部を示す。
【
図3】
図1の実施形態に係る再使用防止安全カテーテルの前端部の分解斜視図である。
【
図4】
図1の実施形態に係るロッキングガイドの駆動メカニズムを示す。
【
図5】
図1の他の実施形態に係るロッキングガイドを示す。
【
図6】
図1の実施形態に係るカニューレプラグと内針を示す。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る再使用防止安全カテーテルの斜視図である。
【
図8】
図7の実施形態に係るホルダーとロッキングガイド部を示す。
【
図9】
図7の実施形態に係るロッキングガイド部の駆動メカニズムを示す。
【
図10】本発明のさらに他の実施形態に係る再使用防止安全カテーテルの分解斜視図である。
【
図11】
図10の実施形態に係る再使用防止安全カテーテルの駆動メカニズムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に記載の内容を参照して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は、例示的な実施形態によって制限または限定されるものではない。各図に提示された同一の参照符号は、実質的に同一の機能を実行する部材を示す。
【0020】
本発明の目的及び効果は、下記の説明によって自然に理解されるか、より明らかにすることができ、下記の記載のみで本発明の目的及び効果が制限されるものではない。また、本発明を説明するに当たり、本発明に関連する公知の技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不要に曖昧にする虞があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1の斜視図である。この実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1は、カニューレプラグ10と、スライドケース30(
図3参照)と、ロッキングガイド50(
図4)と、カテーテルハブ70と、キャップ90と、を含む。
【0022】
キャップ90は、内針110が被施術者の体内に挿入される前にカテーテルハブ70に結合されて内針110の末端が露出しないようにする。この実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1の使用のために内針110を被施術者の体内に挿入しようとする場合、キャップ90は取り外される構成要素である。
図1を参照すると、再使用防止安全カテーテル1は、使用前にキャップ90が取り外された状態を示す。再使用防止安全カテーテル1は、内針110が侵襲された後に引き出されることにより、カニューレプラグ10内に収められたスライドケース30が引き出される。スライドケース30が引き出されると同時に、カテーテルハブ70はカニューレプラグ10から取り外され、カテーテルハブ70から抜き出された内針110の周りをスライドケース30が覆う。再使用防止安全カテーテル1の1回の使用が終わってスライドケース30が引き出し終わると、スライドケース30が再びカニューレプラグ10内に引き込まれないように非可逆的なメカニズムが実現されなければならない。注目すべき点は、この実施形態に係るスライドケース30は別途のロッキングのための締結構成要素がなく、締結構成要素がないにも拘わらず、ロッキングガイド50が内針110の端部をブロックすることにより、スライドケース30がカニューレプラグ10に向かって挿入されることが防がれる点である。これについては、
図4に基づいて後述する。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係るカテーテルハブ70及び血液遮断部14を示す。
図2においては、外針71付きカテーテルハブ70及びカテーテルハブ70の内部に設けられて血液の逆流を遮断する血液遮断部14を分離して示している。血液遮断部14は、カテーテルハブ70の内側の中空に嵌着される。一方、
図2は、カテーテルハブ70から引き出される内針110と内針110が挿通されたロッキングガイド50とを一緒に示している。内針110とロッキングガイド50との結合関係を示すために、内針110の外周縁を覆うスライドケース30の図示は省略した。
【0024】
血液遮断部14は、血液遮断ホルダー143と、血液遮断ガスケット141と、から構成されてもよい。血管への1回性の薬液の供給は、シリンジの1回の穿刺により終わる。これに対し、輸血や点滴のように持続的に薬物を投与し続ける必要がある場合には、カテーテルハブ70を用いて薬液の連結ティップを血管に仲介させなければならない。この過程で、カテーテルハブ70には初期の血管の侵襲のための内針カニューレの取り込みと、侵襲し終わった後に連結ティップを取り付けるための内針カニューレの取り外し過程とが伴われる。このとき、内針カニューレを取り外すと、血管内に挿入されたカテーテルハブ70に血液が逆流する虞がある。したがって、カテーテルハブ70は、カニューレの引き出し過程において血液の逆流を遮断できるものであることが好ましい。この実施形態についてのより明確な説明のために、内針カニューレの引き出し過程において血液の逆流を遮断することを1次遮断と称する。
【0025】
一方、1次遮断により血液の逆流なしにカテーテルハブ70に連結ティップを連結して患者に薬液の十分な供給が行われた後、患者には、必要に応じて、連結ティップがしばらくの間、取り外したり取り替えたりしなければならない状況がしばしば起こる。連結ティップを取り外すと、1次遮断時と同様に、カテーテルハブ70に逆流する血液の逆流を遮断しなければならない。この実施形態についてのより明確な説明のために、連結ティップの引き出し過程において血液の逆流を遮断することを2次遮断と称する。
【0026】
血液遮断ガスケット141は、カテーテルハブ70胴体の内部空間に収められ、カニューレの内針110を出入りさせるが、内針110の離脱の際に元の位置に戻ってカテーテルハブ70の先端を密閉する切り込み1411が形成された弾性素材からなるものであってもよい。この実施形態において、血液遮断ガスケット141は、所定の弾性と復元力を確保できるように剛性を有するシリコンラバーの合成素材により作製されてもよい。
【0027】
血液遮断ガスケット141は、上ディスク1413と下ディスク1414とから構成されてもよい。上ディスク1413と下ディスク1414は、一体に形成されてもよい。上ディスク1413は、カテーテルハブ70胴体の先端に向かって嵌着されてカテーテルハブ70の先端を密閉することにより、血液の逆流を遮断する弁の機能を有する。
【0028】
上ディスク1413には切り込み1411が形成され、切り込み1411の開閉により血液の逆流を遮断する弁の機能を有する。この実施形態において、切り込み1411は、上ディスク1413を貫通する切削加工により形成可能である。切り込み1411は、1回の切削加工により形成された1つでも構わないが、この実施形態においては、切り込み1411の柔軟な開閉のために、120°おきの切削加工による、中央の接点を有する3つの切り込みの形成を例示している。
【0029】
上ディスク1413は、カニューレの内針110又は連結ティップの離脱の際に切り込み1411が血液遮断ホルダー143の先端部1430を押し出して切り込み1411が閉じられる(closing)復元力を有するように所定の厚さに形成されてもよい。この実施形態において、上ディスク1413は、0.5mm~1.2mmの厚さを有することが好ましい。
【0030】
下ディスク1414とは、血液遮断ホルダー143の先端部1430が挿入される血液遮断ガスケット141の後端の構成要素のことをいう。下ディスク1414は、下部の締付口を介して血液遮断ホルダー143の先端部1430を収納する。下ディスク1414は、血液遮断ホルダー143の第2の段差1431が締付口の内側面に密着して引っかかることにより、血液遮断ホルダー143の先端部1430が引き出されることなく、下ディスク1414の内部空間に収納された状態で配備されるようにする。
【0031】
下ディスク1414の内部空間の高さは、血液遮断ホルダー143の先端部1430のうち、先端から第2の段差1431の下面に至るまでの距離に相当するように設計されることが好ましい。したがって、別途の外力がない場合、下ディスク1414の内部には血液遮断ホルダー143の先端が遊隙なしに上ディスク1413の下面と密着された収納状態で設けられる。
【0032】
血液遮断ホルダー143は、内針110の離脱後に薬液の注入のための連結ティップが取り付けられて押し付けられ、血液遮断ガスケット141の内側に収納された先端部1430が切り込み1411を貫通することなく切り込み1411を先端に向かって押し付けて切り込み1411を開く(open)ことができる。
【0033】
血液遮断ホルダー143は、内部に貫通した薬液注入路が形成されており、先端がくさび状を呈する構造を有する。血液遮断ホルダー143の後端には内径が次第に拡径するテーパー状に遠位部が形成され、血液遮断ホルダー143の後端に連結ティップが密着して押し付けられて連結ティップとカテーテルハブ70との締結が行われる。
【0034】
血液遮断ホルダー143には、胴体11の先端に向かって前進する領域を限定するストッパー1433が形成されて、血液遮断ガスケット141が貫通しない範囲において駆動され得る。血液遮断ホルダー143には、近位部(proximal)に突出してストッパーの機能をする第1の段差1433及び血液遮断ガスケット141の内側に収納されるように先端部に第2の段差1431が形成され、第1の段差1433と第2の段差1431が形成した凹溝145の幅が先端部1430の駆動範囲を定義してもよい。
【0035】
凹溝145の幅は、下ディスク1414の締付口の厚さよりも長く形成されてもよい。凹溝145の幅は、下ディスク1414の締付口の厚さよりも長く形成されることにより、下ディスク1414に収納された先端部1430に所定の遊隙が存在する。
【0036】
血液遮断ホルダー143は、第1の段差1433が前記ストッパーとして機能し、第1の段差1433から先端までの領域が血液遮断ガスケット141の内側に収納される先端部1430として限定され得る。この実施形態において、第1の段差1433は羽根状に血液遮断ホルダー143の両側面に形成されてもよい。第1の段差1433は、血液遮断ホルダー143から突出して血液遮断ガスケット141の貫通を防ぐ機能をするものであり、この実施形態においては、製造し易い羽根状を呈することを想定しているが、他の突出構造が用いられても構わない。
【0037】
血液遮断ホルダー143は、カテーテルハブ10に連結ティップが取り付けられるとき、連結ティップの先端が血液遮断ホルダー143の後端を押し付けて、所定の距離を前進する駆動が行われる。また、血液遮断ホルダー143は、カテーテルハブ70から連結ティップが取り外されるとき、血液遮断ホルダー143の後端を押し付ける外力が解除されて上ディスク1413の復元力により後退する駆動が行われる。この明細書においては、前述したように、血液遮断ホルダー143が連結ティップの着脱により前進又は後退する距離を駆動範囲と称する。血液遮断ホルダー143は、先端部1430が下ディスク1414に収納された静止状態から切り込み1411が開かれる程度に至る距離に見合う分だけ上ディスク1413に向かって前進する駆動範囲を有する。
【0038】
図2の血液遮断部14は、血液遮断ガスケット141と血液遮断ホルダー143とが係合する2つの独立した射出品から構成され、2つの射出品だけでも血液の逆流を遮断する機能を有することができる。血液遮断部14は、別途の工程により製造されてカテーテルハブ70に組み付けられる。
【0039】
図3は、本発明の実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1の前端部の分解斜視図である。
図3を参照すると、カテーテルハブ70から取り外される前端部は、ホルダー305と、スライドケース30及びスライドケース30の上に収められたロッキングガイド50を含んでいてもよい。
【0040】
スライドケース30は、内部に中空を有し、カニューレプラグ10から引き出されて内針110を覆う。より正確には、カテーテルハブ70からカニューレプラグ10が取り外される動作においてスライドケース30が引き出される。その過程により、スライドケース30は内針110を覆うだけではなく、内針110からロッキングガイド50が離脱するまで内針110よりもさらに引き出される。
【0041】
この実施形態において、スライドケース30は多段状に配設されてもよい。この実施形態においては、2段状に形成されたスライドケース30を例示している。スライドケース30は、カニューレプラグ10の内側から引き出される第1のスライド31及び第1のスライド31の内側から引き出される第2のスライド33から構成されてもよい。第1及び第2のスライド31、33は、カニューレプラグ10の長さに対応するように設計できるので、カニューレプラグ10の2倍の長さに相当する分だけスライドケース30が引き出されるようにする。スライドケース30の引き出し長さは、内針110の長さとロッキングガイド50の長さ(高さ方向)を超える。
【0042】
したがって、この実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1は、カニューレプラグ10をやや短く設計してカテーテルを小型に実現しようとする場合、カニューレプラグ10からやや長く露出される内針110を覆うために多段状(例えば、2段状)のスライドケース30の構成を採用してもよい。これに対し、他の実施形態によれば、再使用防止安全カテーテルのカニューレプラグ10を十分な長さに設計すれば、1段状のスライドケースのみを用いても露出した内針110を覆うことができる筈である。図面には、この実施形態におけるスライドケース30が2段状を呈することを例示しているが、ロッキングガイド50を離脱できる内針110の長さを超える長さであれば、1段状に実現しても構わない。
【0043】
スライドケース30は、使用者がカテーテルハブ70からカニューレプラグ10を取り外せるように指の引っかかりが生じるホルダー305をさらに含む。ホルダー305の形状は、施術者が指でスライドケース30を押し上げられるように突出したり摩擦を形成したりできるものであればよい。ホルダー305は、スライドケース30の前端に締め付けられて設けられる。
【0044】
施術者は、この実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1を被施術者の肌に侵襲させた後、人差し指を除く指でカニューレプラグ10を把持した状態で人差し指でホルダー305を押し上げる。この場合、内針110は、カニューレプラグ10及びプラグバー11(
図6参照)に結合された状態であるため、カニューレプラグ10とともに後退する。内針110がカニューレプラグ10とともに後退すると同時に、スライドケース30にはカニューレプラグ10との相対的な移動が生じる。再使用防止安全カテーテル1の構成要素間の説明のために、スライドケース30がカニューレプラグ10から引き出されるという言い回しを使用したが、実際の動作時を考慮すると、正確には、スライドケース30からカニューレプラグ10が後退し、カニューレプラグ10の後退により折り畳まれたスライドケース30が露出して内針110の外部をスライドケース30が覆う。
【0045】
このとき、この実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1は、スライドケース30が再びカニューレプラグ10の内側に後退することを防ぐ別途の係止手段が求められないことに注目する。スライドケース30は、単にカニューレプラグ10との相対的な摺動のみが行えるように製造されても構わず、スライドケース30は、後述するロッキングガイド50の内針110をブロックするメカニズムから自然にカニューレプラグ10に向かって後退することが不可能になる。これにより、スライドケース30の上への複雑な締付口の形成が求められず、低廉な製造コストで再使用防止安全カテーテル1を実現することができる。
【0046】
スライドケース30は、上部の内側の壁面に突出部303が形成されて前記ロッキングガイドの離脱を防ぐ。スライドケース30に形成された突出部303は、後述するロッキングガイド50と相互作用をする構成要素であり、
図4に基づいてさらに詳しく後述する。突出部303は、
図3のスライドケース30の内側分解図からは視認できないため、
図4の断面図を参照されたい。
【0047】
スライドケース30は、内側に形成された突出部303の構成要素であり、ロッキングガイド50がスライドケース30の内側の前端部から離脱しないようにする。突出部303は、内針110がカテーテルハブ70から離脱するときにロッキングガイド50をつかんで内針110がロッキングガイド50から離脱できるようにする。再使用防止安全カテーテル1の組み立てに際して、製造者は、内針110にロッキングガイド50を挿通させた後、内針110をスライドケース30に嵌着する。このとき、ロッキングガイド50がスライドケース30内に挿入されながら突出部303はわずかな係止を生じさせ、製造者にロッキングガイド50が突出部303を通過した締結感覚を認知させる。上記の過程により、この実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1の組み立てが終わる。この実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1は、再使用防止の機能があるにも拘わらず、通常のカテーテルの組み立てに比べて製造時のさらなる手間が求められない。
【0048】
ロッキングガイド50は、スライドケース30の内部に設けられ、内針110が貫通する中空が形成されるが、重心が偏った構造に配設されて、内針110の引き出しの際に生じた変位により内針110の末端をブロック(block)する。ロッキングガイド50は、0°~90°の範囲内において傾きが生じる構造であればよい。
【0049】
カテーテルは、施術の特性からみて、内針110が0°超90°未満の角度範囲内で侵襲される。侵襲後に、内針110は、0°超90°未満の角度範囲内で引き出される。ロッキングガイド50は、地面を基準にして0°超90°未満の角度で別途の固定部材がなければ偏った重心による傾きが生じ、ロッキングガイド50のこのような変位は、内針110が貫通できる中空の位置を変更する。
【0050】
要するに、ロッキングガイド50は、貫通した内針110が引き出されることにより、偏った重心によりスライドケース30の内部において傾いてしまい、このときの変位の発生により内針110が貫通していた中空の位置が変更されて内針110が再び貫通できないようにブロックする。ロッキングガイド50は、突出部303によりスライドケース30の先端部における位置が保たれる。使用者が再使用を意図するのであれば、スライドケース30をカニューレプラグ10内に後退せねばならない。この実施形態に係るロッキングガイド50は、変位の発生により中空の位置が変更されれば、使用者がスライドケース30をカニューレプラグ10の内側に後退させようとしても、内針110がロッキングガイド50を通過できないため、使用前の様子にスライドケース30が戻ることが防がれる。
【0051】
ロッキングガイド50は、重力により傾きを導く一つ以上のリブ53の構造を含んでいてもよい。この明細書において、リブ53の用語は、ロッキングガイド50に偏った重心を引き起こす部分を総称してもよい。他の実施形態によれば、リブ53は、ロッキングガイド50の構造に非対称を引き起こす部材であってもよい。
図3のリブ53は、ロッキングガイド50の構造に非対称を引き起こす構造であり、スライドケース30の内側の壁面を押してロッキングガイド50の傾きを引き起こす場合を例示している。
【0052】
図4は、本発明の実施形態に係るロッキングガイド50の駆動メカニズムを示す。
図4の(a)は、再使用防止安全カテーテル1の使用前の様子であり、カニューレプラグ10内にスライドケース30が折り畳まれた状態を示す。メカニズムの理解し易さのために、内針110の前方に結合されるカテーテルハブ70の図示は省略した。
図4の(b)は、再使用防止安全カテーテル1の使用後に、内針110が引き出される最中である状態を示している。内針110は、カニューレプラグ10とともに後退しながら、スライドケース30が相対的に引き出される。このとき、
図4の(b)は、内針110がまだロッキングガイド50の中空に挿入されて内針110が十分に後退しなかった状態を示すものであり、内針110の挿入状態は、ロッキングガイド50に変位が生じないように固定力を与える。
図4の(c)は、内針110がロッキングガイド50を抜け出て十分に引き出された状態を示す。
図4の(c)を参照すると、内針110がロッキングガイド50から離脱すると、ロッキングガイド50の姿勢を保つ固定力が除去される。ロッキングガイド50には、重心が偏ることにより傾きが生じる。
図4のロッキングガイド50の例示によれば、リブ53がスライドケース30の内側の壁面を押してロッキングガイド50の姿勢をさらに崩す。ロッキングガイド50は、生じた変位により、内針110が再び挿通できる中空の位置が再挿入できない位置に変わってしまう。ロッキングガイド50は、別途の固定力がなければ、構造自体で傾きが生じることに留意すべきである。したがって、内部が密閉されたスライドケース30内において、使用者は、ロッキングガイド50を作為的に定位置にすることができない。なお、内針110もまたカニューレプラグ10内に固定されているため、ロッキングガイド50を作為的に定位置に配置するために内針110を操作することもできなくなる。
【0053】
図5は、本発明の他の実施形態に係るロッキングガイド50’を示す。
図5の(a)を参照すると、ロッキングガイド50’は、地面を基準にして0°以上90°未満の角度で重心が偏った形状であって、「T」字状の構造であってもよい。「T」字状のロッキングガイド50’は、垂直を除く角度で自然に傾くことができる。
【0054】
他の実施形態によれば、
図5の(b)を参照すると、ロッキングガイド50’は、点対称状に配設されるが、上下部の2個所において傾きを導くリブ53’が形成されてもよい。この場合、1個所において傾きを導くロッキングガイド50の既存の実施形態よりも安定感に優れており、しかも、自動化作業を行うのに有利な構造として配設することが可能になる。
【0055】
図6は、本発明の実施形態に係るカニューレプラグ10と内針110を示す。カニューレプラグ10には、カテーテルハブに挿通される内針110が設けられる。カニューレプラグ10は、カテーテルハブ70を導いて外針71を侵襲させた後、内針110とともに取り外される。カニューレプラグ10及び内針110は、背景技術の欄において前述したように、一回の侵襲後に廃棄されなければならない。
【0056】
カニューレプラグ10は、中空状の内部空間を有する。カニューレプラグ10の内部空間には、最も内側に内針110であるニードルが設けられる。内針110は、カテーテルハブ70に挿通できる長さの設計を考慮して、所定の長さを有するプラグバー11に結合されてカニューレプラグ10に収められてもよい。
【0057】
カニューレプラグ10の内部空間には、内針110の外側にスライドケース30が設けられてもよい。スライドケース30は、カニューレプラグ10から引き出されるように内側に収められてもよい。カニューレプラグ10は、使用者が内針110を穿刺した後、カテーテルハブ70からカニューレプラグ10を引き出すために施術者が人差し指を除く指で把持する構成要素である。このとき、施術者の引き出し操作を容易にするために、カニューレプラグ10は、外周縁に摩擦を生じさせる凹凸構造が形成されてもよい。
【0058】
図7は、本発明の他の実施形態に係る再使用防止安全カテーテル2の斜視図である。
図7を参照すると、この実施形態に係る再使用防止安全カテーテル2は、カテーテルハブ70と、カニューレプラグ10及びロッキングガイド部5を含んでいてもよい。この実施形態は、
図1から
図6に基づいて上述したロッキングガイド50の他の実施形態を開示する。ロッキングガイド部5には、上述したロッキングガイド50の構成要素が採用されても構わないが、以下において説明する
図7から
図9においては、より改善されたロッキングガイド50の実施形態を開示する。
【0059】
図7は、追加されたホルダー60の実施形態と変更されたロッキングガイド部5の実施形態が適用された再使用防止安全カテーテル2であって、その他の構成は、
図1から
図6に基づいて上述した通りである。
【0060】
図8は、
図7の実施形態に係るホルダー60とロッキングガイド部5を示す。
【0061】
この実施形態に係るロッキングガイド部5は、内針110が貫通する中空500が形成されるが、貫通した内針110の引き出しに際して中空500が歪められて内針110が再び貫通することをブロック(block)する。ロッキングガイド部5が形成した中空500が歪められることは、前述した
図1から
図6に示すように、中空500の位置が変更される実施形態と、中空500の経路が崩れて歪められる以下の実施形態を網羅する。上述した
図1から
図6に示すように、中空500の位置が変更される実施形態において、ロッキングガイド部5はカニューレプラグ10とは独立した射出品であり、カニューレプラグ10内において内針110により固定された状態を保つが、内針110が引き出されて固定力が除去されれば、傾きが生じて中空500の位置が変更される。
【0062】
図8を参照すると、この実施形態に係るロッキングガイド部5は、ホルダー60に設けられてもよい。但し、
図1から
図6に基づいて上述した例示のように、スライドケース30の前端に収納されて設けられても構わない。以下では、中空500の経路が崩れるロッキングガイド部5の実施形態について説明する。
【0063】
ロッキングガイド部5は、第1のロッキングガイド51と第2のロッキングガイド53を含み、第1のロッキングガイド51と第2のロッキングガイド53とが当接することにより内針110が貫通する中空500の経路が長手方向に形成され、第1のロッキングガイド51と第2のロッキングガイド53は、内針110により変位が固定される。
【0064】
ロッキングガイド部5は、0°超90°未満の角度で重力により傾きが生じる構造的な形状に配設され、内針110が引き出されると、第1のロッキングガイド51と第2のロッキングガイド53の固定力が除去されて第1のロッキングガイド51と第2のロッキングガイド53にそれぞれ傾きが生じ、第1のロッキングガイド51と第2のロッキングガイド53との行き違いにより長手方向の中空500の経路が崩れる虞がある。
【0065】
図9は、
図7の実施形態に係るロッキングガイド部5の駆動メカニズムを示す。
図9の(a)を参照すると、第1のロッキングガイド51には、内針110が貫通する第1の中空510が形成される。第2のロッキングガイド53にもまた、内針110が貫通する第2の中空530が形成される。第1のロッキングガイド51と第2のロッキングガイド53は、内針110がそれぞれ貫通することにより軸上に位置合わせされ、内針110によりホルダー60内に固設される。
【0066】
図9の(b)を参照すると、内針110が第2の中空530から引き出される分だけ後退した状態を確認することができる。使用者は、ホルダー60を押し上げ、その過程において、スライドケース30が引き出されて内針110を覆い、内針110は後退し、ロッキングガイド部5から離脱する。
【0067】
図9の(c)を参照すると、ホルダー60が十分に押し上げられてスライドケース30が最大限に引き出され、カニューレプラグ10がカテーテルハブ70から完全に取り外された状態を確認することができる。内針110の侵襲後にカテーテルハブ70からカニューレプラグ10が完全に取り外された
図9の(c)に示す様子が、再使用防止安全カテーテル2が1回使用された後の様子である。この場合、内針110は、ロッキングガイド部5から完全に離脱して、第1のロッキングガイド51と第2のロッキングガイド53は固定力が解除される。第1のロッキングガイド51と第2のロッキングガイド53の固定力が解除されると、ホルダー60内においてそれぞれ自由に傾きが生じてランダムに2つのパーツが分離されて収められる。これにより、第1の中空510と第2の中空530の軸上への位置合わせは自然に崩れる。その結果、内針110の貫通通路である単一の中空500の経路が崩れる。次いで、使用者が再使用のために内針110を前進させようとしても、中空500の経路が崩れることにより、ホルダー60内において内針110がロッキングガイド部5に引っかかってしまう。したがって、一回引き出されたスライドケース30はロッキングガイド部5のニードルのブロックにより後退できず、非可逆的なメカニズムが形成される。この実施形態のように、ロッキングガイド部5を2つのパーツで実現した場合、使用者が作為的にいくら努力をしても内針110を再使用のための位置にセットすることができない。
【0068】
図10は、本発明のさらに他の実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1の分解斜視図である。
図10の再使用防止安全カテーテル1の実施形態は、ホルダー305とロッキングガイド部5の構造が変更され、かつ、バネ13の構成要素が追加される。
【0069】
ホルダー305は、カテーテルハブ70を血管内に侵襲させた後、使用者が指で支持してカテーテルハブ70からカニューレプラグ10を手軽に取り外すようにする。この過程において、使用者は、ホルダー305を支持しながら内針110がロッキングガイド部5から完全に離脱するまでスライドケース30を最後まで押し上げなければならない。もし、使用者がロッキングガイド部5から内針110が完全に離脱しないようにスライドケース30を押し上げるならば、前述した再使用防止の内針110の経路のブロックが行われない。したがって、
図10の実施形態においては、プラグバー11にバネ13が設けられ
る。バネ13は、スライドケース30の内部に引き込まれ、弾性力を用いてスライドケース30を最後まで押し上げる。これにより、使用者の手動による操作なしにも内針110のロッキングガイド部5の離脱が保証される。初期のバネ13の固定は、ハブ305の締結部307(
図11)により実現可能である。
【0070】
ロッキングガイド部5は、
図1乃至
図9に基づいて前述したロッキングガイド50と外縁の構造的な形状のみが変更されている。
図7乃至
図10の実施形態において、ロッキングガイド部5は、2つのロッキングガイド50からなる。内針が2つのロッキングガイド50からなるロッキングガイド部5から離脱すれば、2つのロッキングガイド50は互いに行き違いになるようにその状態が変形しなければならない。
図10の実施形態においては、ロッキングガイド部5の中空が歪み易いように内径が異なる2段の「ドーム」構造にロッキングガイドが配設される。
図10に示すロッキングガイドは、上部の内径が大きく、下部の内径が上部の内径よりもさらに小さな球状を呈する。ロッキングガイドの上部面と下部面は両方とも「ドーム」状の丸い構造を有するため、傾きが生じやすい構造である。他の実施形態によれば、ロッキングガイド部5は、内針110が引き出されて固定力が除去されると、互いに行き違いが生じ易いように互いに対応する接触面に溝を凹設しても構わない。
【0071】
図11は、
図10の実施形態に係る再使用防止安全カテーテル1の駆動メカニズムを示す。
図11の(a)を参照すると、使用者がホルダー305を押し付けて前方に押すと、ホルダー305の後端の締結部307のスライドケース30の締結状態が解除される。これにより、
図11の(b)を参照すると、カニューレプラグ10内に設けられたバネ13の弾性力によりスライドケース30を前方に付勢する。したがって、使用者は、最初にホルダー305を操作する動作を非常に簡単に行うことができ、初期の動作により、以降にバネ13の弾性力とともに手軽にカニューレプラグ10をカテーテルハブ70から取り外すことができる。これと同時に、バネ13がスライドケース30を十分に摺動して内針110がロッキングガイド部5から確実に離脱する。内針110がロッキングガイド部5から確実に離脱すると、ロッキングガイド部5の中空が歪められて内針110が再び前進することが防がれる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、最小限の射出品により再使用が不可能なカテーテルを提供する。本発明は、低廉な製造コストと手軽な組み立て性が保証され、使用者が作為的にニードルを再使用可能な位置にすることができないという構造的な特徴を有する。これにより、使い捨て用のカテーテルの再使用を防ぐことで医療事故を防ぎ、使用済みのカテーテルを廃棄する際にも尖った形状のニードルの端部を安全に覆って捨てることができる。