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特許7418631マルチチャネル画像における自己蛍光の寄与を算出するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】マルチチャネル画像における自己蛍光の寄与を算出するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/174 20170101AFI20240112BHJP
【FI】
G06T7/174
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023017717
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2021547359の分割
【原出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2023053040
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】62/805,239
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507179346
【氏名又は名称】ベンタナ メディカル システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ブレドノ,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】コジャステ,メールノウシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラブキン,イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】シフマン,スマダー
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,シーンウエイ
【審査官】真木 健彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0294032(US,A1)
【文献】国際公開第2017/191699(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02191774(EP,A2)
【文献】特開2016-099253(JP,A)
【文献】特表2017-533415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/174
G06T 7/00
G06T 1/00
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去する方法であって、1つ以上の取得された自己蛍光スペクトルに基づいて前記マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を独立して算出することと、前記マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのそれぞれのピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与を減算することと、を含み、
前記マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルから算出され、前記少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルは、少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対を含み、
前記少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルが、生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される、方法。
【請求項2】
前記生物学的試料の前記訓練用マルチチャネル画像が1つ以上の蛍光標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与が、前記マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルについて独立して識別された最大自己蛍光補正値である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルの最大自己蛍光補正が、(i)前記少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルのそれぞれをピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって、各チャネルについて少なくとも2つの推定自己蛍光補正を算出することと、(ii)各チャネルにおいて、前記算出された少なくとも2つの推定自己蛍光補正の最大自己蛍光強度値を判定することとによって識別される、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年2月13日に出願された米国仮特許出願第62/805,239号の出願日の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体がここに組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
生物学的細胞および組織試料の蛍光画像化は、抗体を蛍光色素にコンジュゲートするプローブを使用するなどして、特定の抗原の存在および発現レベルを可視化するために使用される。目的の特定の抗原を標的とするプローブを、核対比染色剤であるDAPIなどの1つ以上の組織学的色素と共に使用して、所与の組織切片中の複数のタンパク質を可視化することが可能である。RNAまたはDNAなどの他の標的は、それぞれ蛍光インサイチュハイブリダイゼーションおよびオリゴ標識蛍光プローブを使用して可視化されることができる。
【0003】
色素の蛍光画像化は、第1の波長帯域または波長範囲の光でそれを励起することと、第2の波長帯域または波長範囲で発光する光など、これに応答して発光する光を観察することとを含む。所与の波長での励起に応答して光を放出する蛍光色素の傾向は、その励起スペクトルと呼ばれる。色素が放出する蛍光の波長分布は、その発光スペクトルと呼ばれる。
【0004】
複数の色素が使用される場合、それらは、典型的には、使用される励起波長および発光波長の慎重な選択によって、観察されている色素が区別されることができるように、異なる励起スペクトル、発光スペクトル、またはその双方を有するように選択される。様々な蛍光色素のスペクトルが明確ではないが、それらの励起スペクトルおよび発光スペクトルに関して実質的に重複している場合、観察された発光にどの色素が関連しているかを判定することがより困難になる。
【0005】
多くの試料は、内因性蛍光発光を示す。それは、光励起されると、抗体コンジュゲートプローブに関連してまたは対比染色剤として使用される蛍光色素によって放出される蛍光に加えて、試料自体が蛍光を放出することを意味する。これは、上述した判定にさらなる複雑さを加える可能性がある。
【0006】
蛍光試料のマルチスペクトル画像化は、異なる励起波長、発光波長、またはこれら2つの組み合わせで試料の一連の画像を取得することを含む。様々な画像は、画像キューブに組み立てられ、キューブの2つの次元は、試料内の空間位置に対応し、第3の次元は、様々な励起波長および/または発光波長に関連するスペクトルに対応する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、複数の蛍光標識で染色された生物学的試料(例えば、組織切片)のマルチチャネル画像の各チャネル内の自己蛍光(AF)信号および他の非標的信号を推定するシステムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態では、推定自己蛍光信号は、マルチチャネル画像から減算および/またはマスクされることができる。いくつかの実施形態では、自己蛍光除去マルチチャネル画像は、さらなる処理(例えば、画像分析など)に使用されることができる。
【0008】
一般に、画像データを取得するために、組織切片は、目的のバイオマーカー(例えば、
タンパク質、RNAセグメント、またはDNAセグメント)が異なる蛍光体で標識されるように処理される。各タイプの蛍光体は、適切に選択された励起スペクトルにおける光で励起されると、特定の発光スペクトル(または色)の光を放出する。いくつかの実施形態では、異なる蛍光体によって生成された標的信号に加えて、取得された画像は、非標的信号をさらに含むことができる。そのような非標的信号の主な供給源は、自己蛍光、すなわち組織に含まれる分子に固有の蛍光によって放出される光であると考えられる。いくつかの実施形態では、非標的信号の他の供給源は、赤血球、死細胞、およびスライド作成プロセスに補助的な試薬、例えば、カバースリップを組織切片とともにガラススライドに貼付するために使用される封入剤を含む。
【0009】
蛍光多重染色アプローチは、組織構造の文脈内で複数のバイオマーカーの発現、共発現、および共局在に関する情報を抽出することにおいて大きな可能性を提供し、したがってバイオマーカーの空間情報および相互関係を保存する。蛍光多重化アッセイは、複数の蛍光マーカーの画像化を必要とし、ワークフローにおいて画像化を必須の構成要素にする。蛍光多重化アッセイの画像化およびその後の分析には、異なる画像化モダリティが使用されてきた。2つの主要なアプローチは、以下を含む:
【0010】
(i)検出のためのマルチスペクトルカメラの使用。この構成では、標的の多重化パネルからのスペクトル情報は、マルチスペクトルカメラまたは検出器を介して取り込まれ、マルチスペクトル画像キューブをもたらす。そして、全てのスペクトルチャネルの検出信号は、全ての蛍光体およびAFからの信号の線形結合である。
【0011】
(ii)各蛍光体に対応するフィルタキューブ(励起フィルタと発光フィルタのセット)の使用およびモノクロカメラを用いたFL発光の検出。これは、標本のマルチチャネル画像をもたらし、各チャネルは、1つの蛍光体に対応する。励起フィルタおよび発光フィルタは、単一の画像化チャネル内の複数の蛍光体からのFL信号の同時検出によって引き起こされるFLクロストークを最小限に抑えるように選択される。これにもかかわらず、個々の蛍光体強度の正確な評価を可能にするために、その後の分析によって除去する必要がある検出されたマルチチャネル画像内の蛍光体間にいくらかのクロストークがあると考えられる。
【0012】
双方のアプローチにおいて、各スペクトルチャネルにおける検出された蛍光信号は、複数の蛍光体に加えて、組織、封入剤およびスライドガラスからの自己蛍光信号に由来する。いくつかの実施形態では、線形スペクトル非混合が使用されて、各スペクトルチャネルにおける検出信号への異なる蛍光体の寄与を分離する。スペクトル情報が確実に混合されず、定量化されるために、使用される文脈において、各蛍光体発光スペクトルの正確な例、ならびに染色されていない試料からの代表的な自己蛍光スペクトルが得られなければならない。線形スペクトル非混合は、全ての蛍光源、すなわち蛍光体および自己蛍光の数に等しい最小数のスペクトルチャネルを必要とする。
【0013】
上述した第1の画像化モダリティは、典型的には、多数のスペクトルチャネルにおいてスペクトル情報を取り込み、したがって、線形スペクトル非混合のための最小数のスペクトルチャネルの要件を満たす。しかしながら、そのようなマルチスペクトル検出画像化システムのコスト、より長い画像取得時間、およびマルチスペクトル画像を記憶するためのより高いメモリ要件は、そのようなモダリティの使用を妨げる要因であり得る。そのような画像化モダリティが使用される場合、取得時間および記憶空間要件を低減するために、より少数の検出チャネルにおいて画像を取り込むことが依然として望ましい。
【0014】
各蛍光体に対応する1つのフィルタキューブを使用する第2の画像化モダリティの場合、自己蛍光信号を取り込むために追加のフィルタキューブを追加することは必ずしも実現可能または効率的ではない場合がある。そのような場合、標本のマルチチャネル画像に基づいて自己蛍光信号を推定するための分析方法が必要であり、各チャネルは、1つの蛍光体に対応する。
【0015】
双方のモダリティにおいて、画像チャネルの数が標本中の蛍光マーカーの数以上である場合、線形スペクトル非混合法が使用されて、マルチチャネル画像の全てのピクセルにおいて蛍光マーカーおよび自己蛍光の蛍光信号への寄与を混合しないようにすることができる。より少数の画像チャネルを使用してマルチチャネルまたはマルチスペクトル画像から自己蛍光信号を推定することができる分析方法は、取得時間および画像記憶空間の考慮のために有利であると考えられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、画像取得時間の短縮、画像記憶要件の低減、および画像取得中の染色組織の蛍光励起の低減を有利に可能にする。蛍光体は、光退色を受けるため、すなわち放出された蛍光の収率が経時的に励起ごとに低下するため、染色スライドの再スキャンが必要になった場合、より少ない励起で取得することにより、より再現性の高い画像取得が可能になる。いくつかの実施形態では、本明細書に提示されるシステムおよび方法は、最小数の取得チャネルを用いた画像取得、特に、標的蛍光体信号ごとに1つのフィルタセットのみが使用される整合フィルタを使用した取得に適用されることができる。上記を考慮して、本開示は、いくつかの実施形態では、複数の蛍光標識によって染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の各チャネル内の自己蛍光の寄与を判定するシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、可能な限り多くの特定の蛍光標識を保持しながら自己蛍光が除去される。
【0016】
本開示の一態様は、1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去する方法であって、1つ以上の取得された自己蛍光スペクトルに基づいてマルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を独立して算出することと、マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのそれぞれのピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与を減算することと、を含む方法である。いくつかの実施形態では、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与は、単一の取得された自己蛍光スペクトルから算出される。いくつかの実施形態では、単一の取得された自己蛍光スペクトルは、1つ以上の蛍光標識を含む生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される。いくつかの実施形態では、各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与は、単一の取得された自己蛍光スペクトルをマルチチャネル画像のピクセルの各測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって算出される。いくつかの実施形態では、フィッティングすることは、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを単一の取得された自己蛍光スペクトルで除算して、ピクセルの正規化された測定スペクトルを提供することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)単一の取得された自己蛍光スペクトルによって算出された最小値をスケーリングすることと、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与は、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルから算出される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルは、1つ以上の蛍光標識を含む生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される。いくつかの実施形態では、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与は、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルについて独立して識別された最大自己蛍光補正値である。いくつかの実施形態では、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルについての最大自己蛍光補正は、以下によって識別される:(i)少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルのそれぞれをピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって、各チャネルについて少な
くとも2つの推定自己蛍光補正を算出すること、(ii)各チャネルにおいて、算出された少なくとも2つの推定自己蛍光補正の最大自己蛍光強度値を判定すること。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルは、少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対を含む。
【0018】
本開示の別の態様では、1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去するシステムであって、(i)1つ以上のプロセッサと、(ii)1つ以上のプロセッサに結合された1つ以上のメモリであって、1つ以上のメモリが、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、システムに、(a)マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける最大自己蛍光補正を独立して算出することであって、各ピクセルの各チャネルにおける算出された最大自己蛍光補正が、少なくとも2つの異なる取得された自己蛍光スペクトルから導出されることと、(b)マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのピクセルについての各チャネルにおける算出された最大自己蛍光補正を減算することと、を含む動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を記憶する、1つ以上のメモリと、を備える、システムである。
【0019】
いくつかの実施形態では、各ピクセルの各チャネルについての最大自己蛍光補正は、以下によって算出される:(i)取得された少なくとも2つの自己蛍光スペクトルのそれぞれをピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって、各チャネルについて少なくとも2つの推定自己蛍光補正を算出することと、(ii)各チャネルにおいて、算出された少なくとも2つの推定自己蛍光補正の最大自己蛍光強度値を識別すること。いくつかの実施形態では、各独立したフィッティングは、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルのうちの1つで除算して、ピクセルの正規化された測定スペクトルを提供することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルのうちの1つによって算出された最小値をスケーリングすることと、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルは、少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対を含む。いくつかの実施形態では、各独立したフィッティングは、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対のうちの1つの第1の自己蛍光低スペクトルで除算することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対のうちの対応する1つの第1の自己蛍光高スペクトルによって算出された最小値をスケーリングすることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示の特徴の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同一の要素を特定するために、全体を通して同様の参照符号が使用されている。
図1A】いくつかの実施形態にかかる、画像取得装置およびコンピュータシステムを含む代表的なデジタル病理学システムを示している。
図1B】いくつかの実施形態にかかる、デジタル病理学システムまたはデジタル病理学ワークフロー内で利用されることができる様々なモジュールを示している。
図2A】いくつかの実施形態にかかる自己蛍光除去マルチチャネル画像を生成する様々なステップを示すフローチャートを示している。
図2B】いくつかの実施形態にかかる、単一の自己蛍光スペクトルを使用した測定ピクセルスペクトルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を算出する様々なステップを示すフローチャートを示している。
図2C】いくつかの実施形態にかかる、2つ以上の異なる自己蛍光スペクトルを使用した測定ピクセルスペクトルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を算出する様々なステップを示すフローチャートを示している。
図2D-1】図2Cに示す方法の各ステップの出力を示すワークフローを示している。
図2D-2】図2Cに示す方法の各ステップの出力を示すワークフローを示している。
図2E】いくつかの実施形態にかかる、2つ以上の自己蛍光スペクトル対を使用した測定ピクセルスペクトルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を算出する様々なステップを示すフローチャートを示している。
図2F-1】図2Eに示す方法の各ステップの出力を示すワークフローを示している。
図2F-2】図2Eに示す方法の各ステップの出力を示すワークフローを示している。
図3A】自己蛍光に対応するマルチチャネル画像内の領域を示している。
図3B図3Aから識別された望ましくない自己蛍光が除去された自己蛍光除去マルチチャネル画像を示している。
図4】測定ピクセルスペクトル、取得された自己蛍光スペクトル、およびフィッティング自己蛍光スペクトルを示している。
図5A】測定ピクセルスペクトルならびに第1および第2の取得された自己蛍光スペクトルを示している。
図5B】測定ピクセルスペクトル、第1および第2のフィッティング自己蛍光スペクトル、および最大フィッティング自己蛍光スペクトルを示している。
図6A】スペクトルグループ化から導出された高低スペクトル対を示している。
図6B】スペクトルグループ化から導出された高低スペクトル対の別の例を示している。
図6C】訓練画像などから、グループ化前に得られた複数の自己蛍光スペクトルを示している。
図6D-1】図6Cのスペクトルから導出された自己蛍光スペクトルのいくつかの異なるグループ化を示している。
図6D-2】図6Cのスペクトルから導出された自己蛍光スペクトルのいくつかの異なるグループ化を示している。
図6E-1】自己蛍光スペクトル(左上パネル)およびそれから導出されたスペクトル対(左下パネル)のグループ化を示している。
図6E-2】自己蛍光スペクトル(左上パネル)およびそれから導出されたスペクトル対(左下パネル)のグループ化を示している。
図6F-1】自己蛍光スペクトル(左上パネル)およびそれから導出されたスペクトル対(左下パネル)のグループ化を示している。
図6F-2】自己蛍光スペクトル(左上パネル)およびそれから導出されたスペクトル対(左下パネル)のグループ化を示している。
図6G】自己蛍光の算出された寄与(例えば、図6Eおよび図6Fのスペクトル対から導出される寄与)が除去された自己蛍光除去マルチチャネル画像を提供する。
図7A】複数の蛍光分子で染色される前のマルチチャネル画像を示している。
図7B図7A内の信号をスペクトル多重閾値化することによって導出された除外マスクを示している。
図7C図7Aから導出された包含マスクを示している。
図7D図7Bおよび図7Cの除外マスクおよび包含マスクの双方をそれぞれ適用した後の自己蛍光除去マルチチャネル画像を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
反対に明確に示されない限り、複数のステップまたは行為を含む本明細書において特許
請求の範囲に記載される任意の方法において、方法のステップまたは行為の順序は、必ずしも方法のステップまたは行為が記載される順序に限定されないことも理解されたい。
【0023】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「または」という単語は、文脈が別途明確に指示しない限り、「および」を含むことを意図している。「含む」という用語は、「AまたはBを含む」がA、B、またはAおよびBを含むことを意味するように、包括的に定義される。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有することを理解されたい。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的であると解釈されるものとする。すなわち、要素の数またはリストの少なくとも1つを含むが、複数、および必要に応じて追加のリストに記載されていない項目を含むと解釈される。「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合、「から構成される」など、反対に明確に示される用語のみは、数または要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」など、排他権の用語が先行する場合にのみ、排他的な代替案(すなわち、「一方または他方であるが双方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。「から本質的に構成される」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0025】
「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、交換可能に使用され、同じ意味を有する。同様に、「備える」、「含む」、「有する」などは、交換可能に使用され、同じ意味を有する。具体的には、各用語は、「備える」という一般的な米国特許法の定義と一致して定義されているため、「少なくとも以下」を意味するオープンな用語として解釈され、また、追加の特徴、限定事項、態様などを除外しないように解釈される。したがって、例えば、「構成要素a、b、およびcを有する装置」は、装置が少なくとも構成要素a、b、およびcを含むことを意味する。同様に、「ステップa、b、およびcを含む方法」という句は、その方法が少なくともステップa、b、およびcを含むことを意味する。さらに、ステップおよびプロセスは、本明細書において特定の順序で概説されることができるが、当業者は、順序付けのステップおよびプロセスが変化し得ることを認識するであろう。
【0026】
本明細書の明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という句は、要素のリストの任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素のリスト内に具体的にリスト化されているありとあらゆる要素の少なくとも1つを含まなくてもなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が参照する要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定されるそれらの要素に関連するかどうかにかかわらず、必要に応じて存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のAを含み、Bが存在しない(および必要に応じて、B以外の要素を含む)を指すことができ、別の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のBを含み、Aが存在しない(および必要に応じて、A以外の要素を含む)を指すことができ、さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のAを含み、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のBを含む(および必要に応じて、他の要素を含む)を指すことができるなどである。
【0027】
本明細書で使用される場合、「生物学的サンプル」、「組織サンプル」、「標本」などの用語は、ウイルスを含む任意の生物から得られる生体分子(タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物、またはそれらの組み合わせなど)を含む任意のサンプルを指す。生物の他の例は、哺乳類(人間、猫、犬、馬、牛、および豚などの獣医動物、ならびにマウス、ラット、霊長類などの実験動物など)、昆虫、環形動物、クモ形類動物、有袋類、爬虫類、両生類、細菌、および菌類などを含む。生物学的サンプルは、組織サンプル(組織切片や組織の針生検など)、細胞サンプル(Pap塗抹標本もしくは血液塗抹標本などの細胞学的塗抹標本、またはマイクロダイセクションによって得られた細胞のサンプルなど)、または細胞分画、断片または細胞小器官(細胞を溶解し、遠心分離などによってそれらの成分を分離することによって得られる)を含む。生物学的サンプルの他の例は、血液、血清、尿、精液、糞便、脳脊髄液、間質液、粘膜、涙、汗、膿、生検組織(例えば、外科的生検または針生検によって得られる)、乳頭吸引物、耳垢、乳、膣液、唾液、ぬぐい液(頬スワブなど)、または最初の生体サンプルに由来する生体分子を含む任意の材料を含む。特定の実施形態では、本明細書で使用される「生物学的サンプル」という用語は、対象から得られた腫瘍またはその一部から調製されたサンプル(均質化または液化されたサンプルなど)を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「標識」という用語は、分析物に結合することができ、内部移行されるか、そうでなければ吸収され、例えば、形状、形態、色、蛍光、発光、リン光、吸光度、磁気特性、または放射性発光によって検出される試薬を指す。蛍光標識の適切な例は、フルオレセイン、クマリン、BODIPY色素、レゾルフィン、およびローダミンなどの分子を含む(蛍光分子の多くのさらなる例は、The Handbook-A
Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies,Molecular Probes,Eugene,ORに見ることができる)。
【0029】
本明細書で使用される「マスク」は、デジタル画像の派生物であり、マスク内の各ピクセルは、バイナリ値、例えば「1」または「0」(または「真」または「偽」)として表される。デジタル画像を前記マスクによってオーバーレイすることにより、バイナリ値のうちの特定の1つのマスクピクセルにマッピングされたデジタル画像の全てのピクセルは、デジタル画像に適用されるさらなる処理ステップにおいて、隠されるか、除去されるか、あるいは無視されるか、または除外される。例えば、閾値を超える強度値を有する元の画像の全てのピクセルを真およびそうでなければ偽に割り当てることによって、元のデジタル画像からマスクが生成されることができ、それによって、「偽」マスクされたピクセルによってオーバーレイされた全てのピクセルを除外するマスクを作成する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「マルチチャネル画像」という用語は、異なる生物学的構造が、それぞれが異なるスペクトルバンドで蛍光を発するか、さもなければ検出可能であり、したがってマルチチャネル画像のチャネルの1つを構成する特定の染料、蛍光色素、量子ドット、色原体など(またはそれらの任意の組み合わせ)によって同時に染色される生物学的組織試料から得られるデジタル画像を指す。マルチチャネル画像は、任意の数のチャネル、例えば、2チャネル、3チャネル、4チャネル、5チャネル、6チャネル、9チャネルなどを含むことができる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「多重化」、「多重化された」または「多重化している」という用語は、試料中の複数の標的を同時に、実質的に同時に、または順次検出することを指す。多重化は、複数の異なる核酸(例えば、DNA、RNA、mRNA、miRNA)およびポリペプチド(例えば、タンパク質)を個別に、および任意の組み合わせおよび全ての組み合わせの双方で同定および/または定量化することを含むことができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「スライド」という用語は、生物学的標本が分析のために配置される任意の適切な寸法の任意の基材(例えば、全体的または部分的に、ガラス、石英、プラスチック、シリコンなどから作製された基材)、より具体的には、標準の3インチ×1インチの顕微鏡スライドまたは標準の75mm×25mmの顕微鏡スライドなどの「顕微鏡スライド」を指す。スライド上に配置することができる生物学的標本の例は、限定されるものではないが、細胞学的塗抹標本、薄い組織切片(生検からのものなど)、および生物学的標本の配列、例えば、組織配列、細胞配列、DNA配列、RNA配列、タンパク質配列、またはそれらの任意の組み合わせを含む。したがって、一実施形態では、組織切片、DNAサンプル、RNAサンプル、および/またはタンパク質は、スライド上の特定の位置に配置される。いくつかの実施形態では、スライドという用語は、SELDIおよびMALDIチップ、ならびにシリコンウェーハを指すことができる。
【0033】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「染色」、「染色している」などの用語は、一般に、生体標本中の特定の分子(脂質、タンパク質、または核酸など)または特定の構造(正常または悪性の細胞、細胞質ゾル、核、ゴルジ装置、または細胞骨格など)の存在、位置、および/または量(濃度など)を検出および/または区別する生体標本の任意の処理を指す。例えば、染色は、特定の分子または特定の細胞構造と生物学的標本の周囲の部分との間のコントラストを提供することができ、染色の強度は、標本中の特定の分子の量の尺度を提供することができる。染色は、明視野顕微鏡だけでなく、位相差顕微鏡、電子顕微鏡、および蛍光顕微鏡などの他の観察ツールを使用して、分子、細胞構造、および生物の観察を支援するために使用されることができる。システムによって実行されるいくつかの染色は、細胞の輪郭を視覚化するために使用されることができる。システムによって実行される他の染色は、他の細胞成分の染色なしで、または比較的少ない染色で、染色される特定の細胞成分(分子または構造など)に依存することができる。システムによって実行される染色方法のタイプの例は、これらに限定されるものではないが、組織化学的方法、免疫組織化学的方法、および核酸分子間のハイブリッド形成反応などの分子間の反応(非共有結合相互作用を含む)に基づく他の方法を含む。特定の染色法は、これらに限定されるものではないが、一次染色法(例えば、H&E染色、Pap染色など)、酵素結合免疫組織化学的方法、および蛍光原位置ハイブリッド形成(FISH)などの原位置RNAおよびDNAハイブリッド形成法を含む。
【0034】
本開示は、いくつかの実施形態では、2つ以上の蛍光標識、3つ以上の蛍光標識、4つ以上の蛍光標識などで染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の各チャネル内の自己蛍光の寄与を判定するシステムおよび方法に関する。他の実施形態では、本開示は、複数の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の各チャネル内の自己蛍光の寄与を判定するシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、可能な限り多くの特定の蛍光標識を保持しながら自己蛍光が除去される。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、複数の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像を生成するシステムおよび方法であって、生物学的試料の生成されたマルチチャネル画像は、自己蛍光について補正される、すなわち、自己蛍光の算出された寄与がマルチチャネル画像から除去される(例えば、減算および/またはマスクされる)、システムおよび方法を提供する。
【0036】
マルチチャネル画像は、標本の複数の画像から構成され、各画像は、励起波長および/または発光波長の特定のセットの下で取り込まれる。励起波長および/または発光波長の各セットは、「チャネル」と呼ばれる。したがって、マルチチャネル画像の複数のチャネルにわたる全ての画像ピクセルの強度は、そのピクセルのスペクトルを形成する。マルチ
チャネル画像の各チャネルの画像強度値は、全ての蛍光体に加えて自己蛍光、および組織、固定材料、封入剤、ガラススライドおよびカバースリップなどの異なるソースの他の非標的信号の寄与から生じると考えられる。
【0037】
本開示の少なくともいくつかの実施形態は、1つ以上の蛍光標識で染色された、組織試料を含む生物学的試料から取り込まれたデジタル画像を分析するシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態にかかる、標本を画像化および分析するデジタル病理学システム100が図1Aに示されている。デジタル病理学システム100は、画像化装置12(例えば、顕微鏡またはスキャナ)およびコンピュータ14を備えることができ、それにより、画像化装置12およびコンピュータは、互いに通信可能に結合されることができる(例えば、直接的に、またはネットワーク20を介して間接的に)。コンピュータシステム14は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットなど、デジタル電子回路、ファームウェア、ハードウェア、メモリ、コンピュータ記憶媒体、コンピュータプログラムまたは一連の命令(例えば、メモリまたは記憶媒体内にプログラムが記憶される)、1つ以上のプロセッサ(プログラムされたプロセッサを含む)、および任意の他のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアモジュールまたはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、図1Aに示されるコンピューティングシステム14は、ディスプレイ装置16およびエンクロージャ18を備えたコンピュータを備えることができる。コンピュータは、デジタル画像をバイナリ形式で(メモリ、サーバ、または別のネットワーク接続装置などにローカルに)記憶することができる。デジタル画像はまた、ピクセルの行列に分割されることもできる。ピクセルは、ビット深度によって定義される1以上のビットのデジタル値を含むことができる。当業者は、他のコンピュータ装置またはシステムを利用することができ、本明細書に記載のコンピュータシステムを、例えば、標本分析装置、その他の画像化システム、自動スライド調製装置などの追加の構成要素に通信可能に結合することができることを理解するであろう。これらの追加の構成要素のいくつか、および利用できる様々なコンピュータ、ネットワークなどは、本明細書でさらに説明される。1つ以上の蛍光分子で染色された生物学的試料を画像化するための装置は、PCT公開第WO/2018/189370号および米国特許第9,310,302号に記載されており、その開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
いくつかの実施形態では、画像化装置は、マルチスペクトル画像化(MSI)システム、または蛍光顕微鏡法システムである。一般に、MSIは、ピクセルレベルでの画像のスペクトル分布へのアクセスを提供することにより、病理標本の分析にコンピュータ化された顕微鏡ベースの画像化システムを装備する。様々なマルチスペクトル画像化システムが存在するが、これら全てのシステムに共通する動作態様は、マルチスペクトル画像を形成する機能である。マルチスペクトル画像は、特定の波長または電磁スペクトル全体の特定のスペクトル帯域幅で画像データを撮像するものである。これらの波長は、光学フィルタによって、または例えば赤外線(IR)などの可視光範囲の範囲を超える波長での電磁放射を含む所定のスペクトル成分を選択することができる他の機器の使用によって選択されることができる。
【0039】
MSIシステムは、光学画像化システムを含むことができ、その一部は、離散光学帯域の所定の数Nを定義するために調整可能なスペクトル選択システムを含む。光学システムは、広帯域光源で透過して光検出器に照射された組織サンプルを画像化するように適合されることができる。一実施形態では、例えば顕微鏡などの拡大システムを含むことができる光学画像化システムは、光学システムの単一の光出力と概ね空間的に位置合わせされた単一の光軸を有する。システムは、画像が異なる離散スペクトル帯域で確実に取得されるようになど、スペクトル選択システムが調整または調節されているときに(例えば、コンピュータプロセッサを使用して)、組織の一連の画像を形成する。装置は、さらに、取得された一連の画像から組織の少なくとも1つの視覚的に知覚可能な画像が現れるディスプ
レイを含むことができる。スペクトル選択システムは、回折格子などの光学分散要素、薄膜干渉フィルタなどの光学フィルタの集合、またはユーザ入力または事前にプログラムされたプロセッサのコマンドのいずれかに応答して、光源からサンプルを介して検出器に向かって透過する光のスペクトルからの特定の通過帯域を選択するように適合された任意の他のシステムを含むことができる。
【0040】
代替実装であるスペクトル選択システムは、N個の離散スペクトル帯域に対応するいくつかの光出力を定義する。このタイプのシステムは、光学システムからの透過光出力を取り込み、この特定されたスペクトル帯域に対応する光路に沿った検出器システム上で特定されたスペクトル帯域のサンプルを撮像するように、この光出力の少なくとも一部を、N個の空間的に異なる光路に沿って空間的にリダイレクトする。
【0041】
図1Bは、現在開示されているデジタル病理学システム内で利用される様々なモジュールの概要を提供する。いくつかの実施形態では、デジタル病理学システムは、1つ以上のプロセッサ103および少なくとも1つのメモリ101を有するコンピュータ装置100またはコンピュータ実装方法を採用し、1つ以上のメモリは、1つ以上のプロセッサ(103)に1つ以上のモジュール(例えば、モジュール105から108)において命令(または記憶されたデータ)を実行させるための非一時的コンピュータ可読命令を記憶する。
【0042】
図1Bおよび図2Aを参照すると、いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、以下を含む:(a)1つ以上の蛍光分子(例えば、ステップ200を参照)で標識された生物学的試料のマルチチャネル画像を生成するように適合された画像化モジュール102;(b)記憶サブシステム104内のデータベースなどのデータベースから、1つ以上の基準スペクトル(例えば、訓練画像からの基準スペクトル)を取得するように構成された、基準スペクトル取得モジュール105;(c)少なくとも1つ以上の取得された基準スペクトル(例えば、ステップ201を参照)に基づいてマルチチャネル画像内の自己蛍光の量を導出するように適合された自己蛍光寄与算出モジュール106;および(d)自己蛍光除去画像、すなわち、自己蛍光が少なくとも部分的に除去された(例えば、ステップ202)マルチチャネル画像を少なくとも生成するための画像生成モジュール107。いくつかの実施形態では、システムは、特定の除外マスクおよび/または包含マスクを生成するマスキングモジュール108をさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、必要に応じて追加のモジュールがワークフローに組み込まれることができる。例えば、画像分析モジュールは、マルチチャネル画像内の染色された物体から特徴またはメトリクスを導出するために実行されることができる(例えば、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第PCT/US19/41257号を参照)。同様に、スコアリングモジュールは、導出された画像特徴をスコアリングする、例えば、陽性率、膜もしくは核染色強度をスコアリングする、またはHスコア(例えば、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0347702号を参照)を提供するために実行されることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、記憶サブシステム104内のデータベースに記憶された自己蛍光スペクトルなどの、基準スペクトル取得モジュール105を使用して取得されることができる1つ以上の記憶された自己蛍光スペクトルを利用する。これらの自己蛍光スペクトルは、染色された試料(例えば、1つ以上の蛍光分子で標識された試料)または染色されていない試料から導出されることができる。いくつかの実施形態では、自己蛍光スペクトルは、それぞれが1つ以上の蛍光標識を含む訓練画像、例えば生物学的試料の染色画像から導出される。いくつかの実施形態では、染色画像は、異なるセットの蛍光分子または異なるタイプの組織もしくは細胞構造を含む。例えば、複数の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像が画像化されることができ、マルチチャネル画像内の望ましくない発光および/または励起が識別されることができる(図3Aを参照、4つの「除去されるべき異なるタイプの自己蛍光」が示されており、後の取得のために各異なるタイプの自己蛍光スペクトルがデータベースに記憶されることができる)。望ましくない発光および/または励起の識別は、手動でまたは自動化された方法(例えば、特定の強度を有する特定のスペクトル波長を識別する自動化アルゴリズムを実行する)で実行されることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、得られたマルチチャネル画像(例えば、1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像)の各チャネル内の自己蛍光の寄与は、強度減算法(モジュール105、106、および107を使用)によって除去されることができる。他の実施形態では、(少なくともモジュール108を使用して)1つ以上の除外および/または包含マスクを適用することによって、マルチチャネル画像の各チャネル内の自己蛍光の寄与が除去されることができる。さらに他の実施形態では、マルチチャネル画像の各チャネル内の自己蛍光の寄与は、1つ以上の強度減算およびマスキング方法の組み合わせを適用することによって除去されることができる。例えば、マスキング手法は、いくつかの望ましくない自己蛍光を除去するためにマルチチャネル画像の第1の部分に適用されることができるが、強度減算法は、1つ以上のチャネル内の自己蛍光の追加の寄与を除去するためにマスクの適用後に(マルチチャネル画像全体または第1の部分のみなどに)適用されることができる。同様に、マスキング手法は、マルチチャネル画像の第1の部分に適用されて何らかの望ましくない自己蛍光を除去することができる一方で、強度減算法は、マルチチャネル画像の第2の部分に適用されることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、強度減算法は、マルチチャネル画像内の全てのピクセルの各チャネル内の自己蛍光の推定された寄与を除去することを含む。換言すれば、本明細書に記載の強度減算法は、マルチチャネル画像の各ピクセルに独立して適用され、最終的な結果は、マルチチャネル画像の各チャネルから除去された自己蛍光の寄与である(マルチチャネル画像全体、例えばスライドスキャン全体、またはそのための1つ以上の部分とすることができる)。
【0046】
いくつかの実施形態では、マルチチャネル画像の各チャネル内の自己蛍光の寄与は、サブシステム104に記憶されたものなどの単一の自己蛍光スペクトルから導出される。いくつかの実施形態では、単一の自己蛍光スペクトルは、基準スペクトル取得モジュール105を使用してデータベースから取得されることができ、この単一の自己蛍光スペクトルは、マルチチャネル画像の各ピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングされることができる(方法1)。換言すれば、フィッティング自己蛍光スペクトルは、マルチチャネル画像の各ピクセルに対して生成されることができ、各フィッティング自己蛍光スペクトルは、単一の取得自己蛍光スペクトルをマルチチャネル画像のピクセルのうちの1つの測定スペクトルと一致させることによって独立して生成される。いくつかの実施形態では、各ピクセルについて独立して生成されたフィッティング自己蛍光スペクトルは、特定のピクセルの測定スペクトルから減算される。このプロセスは、マルチチャネル画像のピクセルごとに繰り返される。
【0047】
例えば、図4に示すように、データベースから取得された自己蛍光スペクトルは、マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトル内にフィッティングされ、それぞれのフィッティングされた自己蛍光スペクトルを提供することができる。例えば、正規化された測定ピクセル強度値が1であり、取得された自己蛍光スペクトルの値が約0.2であるチャネル2の場合、チャネル2におけるこの特定のピクセルのフィッティングスペクトルは、約0.05の値を有する。この例では、チャンネル1から6のそれぞれについて、「フィッティング」処理が繰り返される。そして、チャネル1から6のこのフィッティング自己蛍光スペクトルは、ピクセルの測定スペクトルから減算される。
【0048】
図2Bを参照すると、いくつかの実施形態では、自己蛍光スペクトルを測定スペクトルに「フィッティング」するプロセスは、測定ピクセルスペクトルを正規化することと、正規化された測定ピクセルスペクトル内にフィッティングするように取得された単一の自己蛍光スペクトルをスケーリングすることとを含む。いくつかの実施形態では、入力マルチチャネル画像のピクセルの測定ピクセルスペクトルが取得される(210)。この測定ピクセルスペクトルは、取得された自己蛍光スペクトルで除算されて、特定のピクセルの正規化された測定スペクトルを提供し(211)、例えば、測定されたスペクトルの各チャネルの強度値は、自己蛍光スペクトルの各それぞれのチャネルの値で除算される。上述したように、自己蛍光スペクトルは、記憶サブシステム104から取得されることができる(ステップ214)。いくつかの実施形態では、取得された自己蛍光スペクトルは、1つ以上の蛍光分子で染色された生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像から導出される。次に、正規化された測定スペクトルの最小値が算出される(212)。この算出された最小値から、算出された最小値に取得された自己蛍光スペクトルを乗算することなどによって、各チャネルにおける自己蛍光の寄与が算出されることができる(ステップ213)。いくつかの実施形態では、入力測定ピクセルスペクトル(202)のそれぞれのチャネルから減算されることができるのは、各チャネルにおける自己蛍光のこの算出された寄与である。
【0049】
他の実施形態では、取得されたマルチチャネル画像の各チャネル内の自己蛍光の寄与は、2つ以上の異なる自己蛍光スペクトルから導出され、そのような自己蛍光スペクトルは、記憶サブシステム104から取得されることができる(方法2)。このプロセスは、単一の自己蛍光スペクトルを測定ピクセルスペクトルにフィッティングするために上述したものと同様であるが、(i)2つ以上の異なる自己蛍光スペクトルが各測定ピクセルスペクトルにそれぞれ個別にフィッティングされ、(ii)フィッティングされた自己蛍光スペクトルの最大値が、最大フィッティング自己蛍光スペクトルを生成するのに利用されるという点で異なる。したがって、生成された最大フィッティング自己蛍光スペクトルは、各チャネルにおける最大自己蛍光寄与を含む(各チャネルにおける最大自己蛍光寄与は、最大値を有するそのチャネルにおけるフィッティング自己蛍光スペクトルから導出される)。例えば、3つのスペクトルが測定ピクセルスペクトルにフィッティングされ、各フィッティング自己蛍光スペクトルのチャネル4の強度値が約0.25(最初にフィッティングされた自己蛍光スペクトル)、約0.15(2番目にフィッティングされた自己蛍光スペクトル)、および約0.2(3番目にフィッティングされた自己蛍光スペクトル)である場合、最初にフィッティングされたスペクトルの強度値は、最大フィッティング自己蛍光スペクトルを生成するためのチャネル4のデータ点として利用される。そして、このプロセスは、最大強度値データ点が各チャネルについて蓄積され、蓄積されたデータ点を使用して最大フィッティング自己蛍光スペクトルを生成することができるように、各チャネルについて繰り返される。この生成された最大フィッティング自己蛍光スペクトルが、その後、それぞれの測定ピクセルスペクトルから減算される。このプロセスは、マルチチャネル画像の各ピクセルについて繰り返される。すなわち、各ピクセルについて最大フィッティング自己蛍光スペクトルが生成され、次いで、それぞれの測定ピクセルスペクトルから減算されたその特定の生成された最大フィッティング自己蛍光スペクトルが生成される。
【0050】
例えば、図5Aに示すように、記憶サブシステム104内のデータベースから2つの基準自己蛍光スペクトルが取得されることができる。取得された第1および第2の自己蛍光スペクトルのそれぞれは、図5Bに示されるように測定ピクセルスペクトルにフィッティングされることができ、第1および第2のフィッティング自己蛍光スペクトルを提供する。各チャネルについて、全てのフィッティングされた自己蛍光スペクトルの最大強度値が識別され、蓄積されて識別された最大強度値は、図示された最大フィッティング自己蛍光スペクトルを生成するために使用される。
【0051】
図3Aおよび図3Bは、2つ以上の自己蛍光スペクトルを使用した(すなわち、方法2を使用した)画像減算処理の結果を示している。例えば、図3Aからの識別された望ましくない信号の自己蛍光スペクトルは、マルチチャネル画像の各ピクセルにおける各チャネルの自己蛍光の寄与が推定されることができるように、マルチチャネル画像の全ての測定ピクセルスペクトルにそれぞれフィッティングされることができる。そして、各チャネルの自己蛍光の推定された寄与が各ピクセルにおける測定スペクトルから減算されて、図3Bの自己蛍光除去マルチチャネル画像を提供することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、測定ピクセルスペクトルにフィッティングすることができる記憶された自己蛍光スペクトルの数は、2から約1000スペクトルの範囲とすることができる。他の実施形態では、測定ピクセルスペクトルにフィッティングすることができる記憶された自己蛍光スペクトルの数は、2から約500スペクトルの範囲とすることができる。さらに他の実施形態では、測定ピクセルスペクトルにフィッティングすることができる記憶された自己蛍光スペクトルの数は、2から約250スペクトルの範囲とすることができる。さらなる実施形態では、測定ピクセルスペクトルにフィッティングすることができる記憶された自己蛍光スペクトルの数は、2から約125スペクトルの範囲とすることができる。またさらなる実施形態では、測定ピクセルスペクトルにフィッティングすることができる記憶された自己蛍光スペクトルの数は、約5から約75スペクトルの範囲とすることができる。なおさらなる実施形態では、測定ピクセルスペクトルにフィッティングすることができる記憶された自己蛍光スペクトルの数は、約5から約50スペクトルの範囲とすることができる。
【0053】
測定ピクセルスペクトル内に2つ以上の異なる自己蛍光スペクトルをフィッティングし、最大フィッティング自己蛍光スペクトルを生成するプロセスが図2Cおよび図2Dに示されている。いくつかの実施形態では、入力マルチチャネル画像のピクセルの測定ピクセルスペクトルが取得される(220)。いくつかの実施形態では、図2D(グラフ1を参照)を参照すると、測定スペクトル(MS)および自己蛍光スペクトル(AF)は、オフラインで測定される。図2Dの例では、2つのそのようなスペクトル、すなわちAF1およびAF2が存在する。測定ピクセルスペクトルは、最初に取得された自己蛍光スペクトルで除算されて(227)、特定のピクセルの正規化された測定スペクトルを提供し(221)、例えば、測定スペクトルの各チャネルの強度値は、自己蛍光スペクトルのそれぞれの各チャネルの強度値で除算される。次に、正規化された測定スペクトルの最小値が算出される(222)。この算出された最小値から、算出された最小値に取得された自己蛍光スペクトルを乗算することなどによって、各チャネルにおける自己蛍光補正が算出されることができる(ステップ223)。図2D(グラフ2を参照)において、測定スペクトル(MS)は、自己蛍光スペクトルAF1で除算され、最小値が算出される。そして、補正1は、算出された最小値にAF1を乗算することによって算出される。
【0054】
破線ボックス224によって示されるように、ステップ221、222、および223のプロセスは、取得された各自己蛍光スペクトルについて繰り返されることができる(227)。例えば、図2D(グラフ3を参照)を参照すると、測定スペクトル(MS)が自己蛍光スペクトルAF2で除算され、次いで最小値が算出されることができる。そして、補正2は、算出された最小値にAF1を乗算することによって算出される。その結果、取得された自己蛍光スペクトルごとに個別に自己蛍光補正(補正スペクトル)が算出される。算出された自己蛍光補正の総和に基づいて、各チャネルにおける自己蛍光の寄与が各チャネルの最大自己蛍光補正値として算出される(225)。
【0055】
いくつかの実施形態では、この算出された各チャネルの自己蛍光の寄与は、各チャネル
の最大自己蛍光補正から導出され、入力測定ピクセルスペクトルのそれぞれのチャネルから減算されることができる。このプロセスは、入力マルチチャネル画像の各ピクセルに対して繰り返されることができる(226)。図2D(グラフ4を参照)を参照すると、最終補正は、全ての補正の最大値として判定されることができる。図2Dのグラフ5を参照すると、次いで、測定スペクトル(MS)から最終補正が減算されて、AF除去スペクトルを提供することができる。
【0056】
さらに他の実施形態では、各チャネル内の自己蛍光の寄与は、自己蛍光スペクトルの1つ以上のグループ化から導出される。いくつかの実施形態では、自己蛍光スペクトルは、類似性によってグループ化されることができる。非限定的な例として、自己蛍光スペクトルは、それらの最大波長またはスペクトル帯域にしたがってグループ化されることができる。例えば、スペクトルのグループ化は、最大測定波長が約610から約640nmである自己蛍光スペクトルを含むことができる。
【0057】
自己蛍光スペクトルの各グループ内で、スペクトル対が生成されることができる。いくつかの実施形態では、生成されたスペクトル対は、(i)各チャネルに対して最高強度値を有する生成された自己蛍光スペクトル、および(ii)各チャネルに対して最低強度値を有する生成された自己蛍光スペクトル(本明細書では「高低スペクトル対」と呼ぶ)を含む。例えば、図6Aおよび図6Bは、自己蛍光スペクトルの2つの異なるグループから得られた生成された高低スペクトル対を示している。高低スペクトル対が生成されると、本明細書に記載のスペクトルフィッティング方法を使用するなどして、高低スペクトル対の間の全ての可能なスペクトルが識別および除去されることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、スペクトル群は、3から約200の収集された自己蛍光スペクトルを含む。他の実施形態では、スペクトル群は、3から約100の収集された自己蛍光スペクトルを含む。さらに他の実施形態では、スペクトル群は、3から約50の収集された自己蛍光スペクトルを含む。例えば、図6Cは、6つの異なる画像チャネル(各画像チャネルは、異なる染料または標識を有する)について収集されたスペクトルを示している。次いで、図6Cの収集された自己蛍光スペクトルは、異なるグループ(またはクラスタ)にグループ化される。グループ化は、手動で行ってもよいし、自動(例えば、k平均クラスタリング法を使用する)で行ってもよい。図6Dは、自己蛍光スペクトルの異なるグループ(またはクラスタ)を示し、各グループは、複数の個々の自己蛍光スペクトルを含む。いくつかの実施形態では、これらの個々のグループ(またはクラスタ)から、高低スペクトル対が生成されることができる。いくつかの実施形態では、グループ化が実行される場合、低高対は、各チャネル内のグループ内の全てのスペクトルの最小値および最大値にすぎない。グループ化の目的は、可能な限り少ない除去で全ての収集されたスペクトルをカバーすることであり、これは、低スペクトル曲線と高スペクトル曲線との間の可能な限り低い合成面積であると考えられる。
【0059】
グループ化された自己蛍光スペクトルからのスペクトル対の生成は、図6Eおよび図6Fにさらに示されており、望ましくない自己蛍光を含むグループ化された自己蛍光スペクトルがマルチチャネル画像から収集され(各図の左上パネルを参照)、それにより、収集された自己蛍光スペクトルから高低スペクトル対が導出される(各図の左下パネルを参照)。次いで、図6Eおよび図6Fの双方で識別されたスペクトル対が利用されて、マルチチャネル画像の各チャネル内の自己蛍光の寄与を判定することができ、次いで、得られたマルチチャネル画像から減算されて、図6Gの自己蛍光除去マルチチャネル画像を提供することができる。さらに、図6Eおよび図6Fは、AFスペクトルの集合を示し、AFスペクトルは、その後、データベースに記憶され、その後、データベースから取得される。
【0060】
測定ピクセルスペクトル内に2つ以上の異なる自己蛍光スペクトルをフィッティングし
、最大フィッティング自己蛍光スペクトルを生成するプロセスが図2Eおよび図2Fに示されている。いくつかの実施形態では、入力マルチチャネル画像のピクセルの測定ピクセルスペクトルが取得される(230)。いくつかの実施形態では、図2F(グラフ1を参照)を参照すると、測定スペクトル(MS)および自己蛍光スペクトル(AF)は、オフラインで測定される。図2Fの例では、2つのそのようなスペクトル、すなわちAF1およびAF2が存在する。
【0061】
測定ピクセルスペクトルは、最初に取得された自己蛍光低スペクトル(例えば、高自己蛍光スペクトルと低自己蛍光スペクトルの単一の対から)で除算されて(234)、特定のピクセルの正規化された測定スペクトルを提供する(231)。次に、正規化された測定スペクトルの最小値が算出される(232)。この算出された最小値から、算出された最小値に取得された自己蛍光高スペクトルを乗算することなどによって、各チャネルにおける自己蛍光補正が算出されることができる(ステップ233)。図2F(グラフ2を参照)において、測定スペクトル(MS)は、自己蛍光スペクトルAF1Lowで除算され、最小値が算出される。そして、補正1は、算出された最小値にAF1Highを乗算することによって算出される。
【0062】
破線ボックス234によって示されるように、ステップ231、232、および233のプロセスは、取得された各自己蛍光スペクトル対について繰り返されることができる。例えば、図2F(グラフ3および4を参照)を参照すると、測定スペクトル(MS)が自己蛍光スペクトルAF2Lowで除算され、次いで最小値が算出されることができる。そして、補正2は、算出された最小値にAF2Highを乗算することによって算出される。その結果、取得された自己蛍光スペクトル対ごとに個別に自己蛍光補正(補正スペクトル)が算出される。
【0063】
算出された自己蛍光補正の総和に基づいて、各チャネルにおける自己蛍光の寄与が各チャネルの最大自己蛍光補正値として算出される(235)。図2F(グラフ5を参照)を参照すると、最終補正は、全ての補正の最大値として判定されることができる。図2Fのグラフ6を参照すると、次いで、測定スペクトル(MS)から最終補正が減算されて、AF除去スペクトルを提供することができる。
【0064】
この算出された各チャネルの自己蛍光の寄与は、各チャネルの最大自己蛍光補正から導出され、入力測定ピクセルスペクトルのそれぞれのチャネルから減算されることができる。このプロセスは、入力マルチチャネル画像の各ピクセルに対して繰り返されることができる(236)。
【0065】
いくつかの実施形態では、1つ以上の除外マスクが生成されることができ、1つ以上の除外マスクが入力画像に適用されて、入力マルチチャネル画像内の特定の構成要素または構造を「マスクアウト」することができる。例えば、特定のスペクトルが与えられると、ピクセルは、閾値化されることができ、ピクセルのスペクトルが所定の範囲内にある場合、それは除外マスクに追加されることができる。グローバル閾値処理、Otsuの方法、およびローカル閾値処理を含む、任意の閾値処理技術が適用されることができる。閾値処理技術の他の例は、米国特許出願公開第2017/0294017号、第2018/0012355号、および第2017/0337695号、またはPCT公開第WO/2018/115055(その開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されており、そのいずれも除外マスクを生成するために適用されることができる。入力マルチチャネル画像(図7Aを参照)から導出される除外マスクの例が図7Bに示されている。いくつかの実施形態では、自己蛍光に寄与する特定の構造または成分を除去するために、入力マルチチャネル画像の一部をマスクするために複数の除外マスクが生成されて使用されることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、1つ以上の包含マスクが生成されることができる。いくつかの実施形態では、包含マスクは、入力マルチチャネル画像内に保持されるべき所望の蛍光に基づいて生成される。入力マルチチャネル画像(図7Aを参照)から導出された包含マスクの例が図7Cに示されている。図7Dは、除外マスクおよび包含マスクの双方が適用された生成された自己蛍光除去マルチチャネル画像を示している。除外マスクは、例示目的のために、すなわち自己蛍光が除去された場所を示すために図7Dにオーバーレイされる。
追加の実施形態
追加の実施形態1. 1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去する方法であって、1つ以上の取得された自己蛍光スペクトルに基づいてマルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を独立して算出することと、マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのそれぞれのピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与を減算することと、を含む、方法。
追加の実施形態2. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、単一の取得された自己蛍光スペクトルから算出される、追加の実施形態1に記載の方法。
追加の実施形態3. 単一の取得された自己蛍光スペクトルが、生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される、追加の実施形態2に記載の方法。
追加の実施形態4. 生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像が1つ以上の蛍光標識を含む、追加の実施形態3に記載の方法。
追加の実施形態5. 各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、単一の取得された自己蛍光スペクトルをマルチチャネル画像のピクセルの各測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって算出される、追加の実施形態2に記載の方法。
追加の実施形態6. フィッティングすることが、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを単一の取得された自己蛍光スペクトルで除算して、ピクセルの正規化された測定スペクトルを提供することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)単一の取得された自己蛍光スペクトルによって算出された最小値をスケーリングすることと、を含む、追加の実施形態5に記載の方法。
追加の実施形態7. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルから算出される、追加の実施形態1に記載の方法。
追加の実施形態8. 少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルが、生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される、追加の実施形態7に記載の方法。
追加の実施形態9. 生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像が1つ以上の蛍光標識を含む、追加の実施形態8に記載の方法。
追加の実施形態10. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与が、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルについて独立して識別された最大自己蛍光補正値である、追加の実施形態8に記載の方法。
追加の実施形態11. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルの最大自己蛍光補正が、(i)少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルのそれぞれをピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって、各チャネルについて少なくとも2つの推定自己蛍光補正を算出すること、(ii)各チャネルにおいて、算出された少なくとも2つの推定自己蛍光補正の最大自己蛍光強度値を判定することによって識別される、追加の実施形態10に記載の方法。
追加の実施形態12. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍
光の寄与が、少なくとも2つの取得された自己蛍光低高スペクトル対から算出される、追加の実施形態1に記載の方法。
追加の実施形態13. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与が、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルについて独立して識別された最大自己蛍光補正値である、追加の実施形態12に記載の方法。
追加の実施形態14. 各ピクセルの各チャネルについての最大自己蛍光補正が、(i)取得された少なくとも2つの取得された自己蛍光低高スペクトル対のそれぞれをピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングすることにより、各チャネルについての少なくとも2つの推定自己蛍光補正を算出することと、(ii)各チャネルにおいて、算出された少なくとも2つの推定自己蛍光補正の最大自己蛍光強度値を識別することと、によって算出される、追加の実施形態13に記載の方法。
追加の実施形態15. 各独立したフィッティングが、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対のうちの1つの第1の自己蛍光低スペクトルで除算することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対のうちの対応する1つの第1の自己蛍光高スペクトルによって算出された最小値をスケーリングすることと、を含む、追加の実施形態14に記載の方法。
追加の実施形態16. 1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去するシステムであって、(i)1つ以上のプロセッサと、(ii)1つ以上のプロセッサに結合された1つ以上のメモリであって、1つ以上のメモリが、1つ以上のプロセッサによって実行されると、システムに、1つ以上の取得された自己蛍光スペクトルに基づいてマルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を独立して算出することと、マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのそれぞれのピクセルの各チャネルにおける算出された自己蛍光の寄与を減算することとを含む動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を記憶する、1つ以上のメモリと、を備える、システム。
追加の実施形態17. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、単一の取得された自己蛍光スペクトルから算出される、追加の実施形態16に記載の方法。
追加の実施形態18. 単一の取得された自己蛍光スペクトルが、生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される、追加の実施形態17に記載の方法。
追加の実施形態19. 生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像が1つ以上の蛍光標識を含む、追加の実施形態18に記載の方法。
追加の実施形態20. 各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、単一の取得された自己蛍光スペクトルをマルチチャネル画像のピクセルの各測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって算出される、追加の実施形態17に記載の方法。
追加の実施形態21. フィッティングすることが、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを単一の取得された自己蛍光スペクトルで除算して、ピクセルの正規化された測定スペクトルを提供することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)単一の取得された自己蛍光スペクトルによって算出された最小値をスケーリングすることと、を含む、追加の実施形態20に記載の方法。
追加の実施形態22. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルから算出される、追加の実施形態16に記載の方法。
追加の実施形態23. 少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルが、生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される、追加の実施形態22に記載の方法。
追加の実施形態24. 生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像が1つ以上の蛍光標
識を含む、追加の実施形態23に記載の方法。
追加の実施形態25. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与が、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルについて独立して識別された最大自己蛍光補正値である、追加の実施形態23に記載の方法。
追加の実施形態26. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルの最大自己蛍光補正が、(i)少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルのそれぞれをピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって、各チャネルについて少なくとも2つの推定自己蛍光補正を算出すること、(ii)各チャネルにおいて、算出された少なくとも2つの推定自己蛍光補正の最大自己蛍光強度値を判定することによって識別される、追加の実施形態25に記載の方法。
追加の実施形態27. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、少なくとも2つの取得された自己蛍光低高スペクトル対から算出される、追加の実施形態16に記載の方法。
追加の実施形態28. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与が、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルについて独立して識別された最大自己蛍光補正値である、追加の実施形態27に記載の方法。
追加の実施形態29. 各ピクセルの各チャネルについての最大自己蛍光補正が、(i)取得された少なくとも2つの取得された自己蛍光低高スペクトル対のそれぞれをピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングすることにより、各チャネルについての少なくとも2つの推定自己蛍光補正を算出することと、(ii)各チャネルにおいて、算出された少なくとも2つの推定自己蛍光補正の最大自己蛍光強度値を識別することと、によって算出される、追加の実施形態28に記載の方法。
追加の実施形態30. 各独立したフィッティングが、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対のうちの1つの第1の自己蛍光低スペクトルで除算することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対のうちの対応する1つの第1の自己蛍光高スペクトルによって算出された最小値をスケーリングすることと、を含む、追加の実施形態29に記載の方法。
追加の実施形態31. 1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去するための命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つ以上の取得された自己蛍光スペクトルに基づいてマルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を独立して算出することと、マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのそれぞれのピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与を減算することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
追加の実施形態32. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、単一の取得された自己蛍光スペクトルから算出される、追加の実施形態31に記載の方法。
追加の実施形態33. 単一の取得された自己蛍光スペクトルが、生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される、追加の実施形態32に記載の方法。
追加の実施形態34. 生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像が1つ以上の蛍光標識を含む、追加の実施形態33に記載の方法。
追加の実施形態35. 各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、単一の取得された自己蛍光スペクトルをマルチチャネル画像のピクセルの各測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって算出される、追加の実施形態32に記載の方法。
追加の実施形態36. フィッティングすることが、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを単一の取得された自己蛍光スペクトルで除算して、ピクセルの正規化された測定スペクトルを提供することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)単一の取得された自己蛍光スペクトルによ
って算出された最小値をスケーリングすることと、を含む、追加の実施形態35に記載の方法。
追加の実施形態37. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルから算出される、追加の実施形態31に記載の方法。
追加の実施形態38. 少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルが、生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される、追加の実施形態37に記載の方法。
追加の実施形態39. 生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像が1つ以上の蛍光標識を含む、追加の実施形態38に記載の方法。
追加の実施形態40. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与が、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルについて独立して識別された最大自己蛍光補正値である、追加の実施形態38に記載の方法。
追加の実施形態41. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルの最大自己蛍光補正が、(i)少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルのそれぞれをピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって、各チャネルについて少なくとも2つの推定自己蛍光補正を算出すること、(ii)各チャネルにおいて、算出された少なくとも2つの推定自己蛍光補正の最大自己蛍光強度値を判定することによって識別される、追加の実施形態40に記載の方法。
追加の実施形態42. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与が、少なくとも2つの取得された自己蛍光低高スペクトル対から算出される、追加の実施形態31に記載の方法。
追加の実施形態43. マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与が、マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルについて独立して識別された最大自己蛍光補正値である、追加の実施形態42に記載の方法。
追加の実施形態44. 各ピクセルの各チャネルについての最大自己蛍光補正が、(i)取得された少なくとも2つの取得された自己蛍光低高スペクトル対のそれぞれをピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングすることにより、各チャネルについての少なくとも2つの推定自己蛍光補正を算出することと、(ii)各チャネルにおいて、算出された少なくとも2つの推定自己蛍光補正の最大自己蛍光強度値を識別することと、によって算出される、追加の実施形態43に記載の方法。
追加の実施形態45. 各独立したフィッティングが、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対のうちの1つの第1の自己蛍光低スペクトルで除算することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対のうちの対応する1つの第1の自己蛍光高スペクトルによって算出された最小値をスケーリングすることと、を含む、追加の実施形態44に記載の方法。
追加の実施形態46. 1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去する方法であって、(a)マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける最大自己蛍光補正を独立して算出することであって、各ピクセルの各チャネルにおける算出された最大自己蛍光補正が、少なくとも2つの異なる取得された自己蛍光スペクトルから導出されることと、(b)マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのピクセルについての各チャネルにおける算出された最大自己蛍光補正を減算することと、を含む、方法。
追加の実施形態47. 1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去する命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、(a)マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける最大自己蛍光補正を独立して算出することであって、各ピクセルの各チャネルにおける算出された最大自己蛍光補正が、少なくとも2つの異なる取得された自己蛍光スペクトルから導出されることと、(b)マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから
、そのピクセルについての各チャネルにおける算出された最大自己蛍光補正を減算することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
追加の実施形態48. 1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去するシステムであって、(i)1つ以上のプロセッサと、(ii)1つ以上のプロセッサに結合された1つ以上のメモリであって、1つ以上のメモリが、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、システムに、(a)マルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける最大自己蛍光補正を独立して算出することであって、各ピクセルの各チャネルにおける算出された最大自己蛍光補正が、少なくとも2つの異なる取得された自己蛍光スペクトルから導出されることと、(b)マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのピクセルについての各チャネルにおける算出された最大自己蛍光補正を減算することと、を含む動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を記憶する、1つ以上のメモリと、を備える、システム。
追加の実施形態49. 各ピクセルの各チャネルについての最大自己蛍光補正が、(i)取得された少なくとも2つの自己蛍光スペクトルのそれぞれをピクセルの測定スペクトルに独立してフィッティングすることによって、各チャネルについて少なくとも2つの推定自己蛍光補正を算出することと、(ii)各チャネルにおいて、算出された少なくとも2つの推定自己蛍光補正の最大自己蛍光強度値を識別することと、によって算出される、追加の実施形態48に記載のシステム。
追加の実施形態50. 各独立したフィッティングが、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルのうちの1つで除算して、ピクセルの正規化された測定スペクトルを提供することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルのうちの1つによって算出された最小値をスケーリングすることと、を含む、追加の実施形態49に記載のシステム。
追加の実施形態51. 少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルが、少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対を含む、追加の実施形態49に記載のシステム。
追加の実施形態52. 各独立したフィッティングが、(i)マルチチャネル画像のピクセルの測定スペクトルを少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対のうちの1つの第1の自己蛍光低スペクトルで除算することと、(ii)ピクセルの正規化された測定スペクトルの最小値を算出することと、(iii)少なくとも2つの自己蛍光低高スペクトル対のうちの対応する1つの第1の自己蛍光高スペクトルによって算出された最小値をスケーリングすることと、を含む、追加の実施形態51に記載のシステム。
追加の実施形態53. 1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去するシステムであって、(i)1つ以上のプロセッサと、(ii)1つ以上のプロセッサに結合された1つ以上のメモリであって、1つ以上のメモリが、1つ以上のプロセッサによって実行されると、システムに、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルに基づいてマルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を独立して算出することと、マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのそれぞれのピクセルの各チャネルにおける算出された自己蛍光の寄与を減算することとを含む動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を記憶する、1つ以上のメモリと、を備え、2つ以上の取得された自己蛍光スペクトルが、1つ以上の蛍光標識を含む生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される、システム。
追加の実施形態54. 1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去するための命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルに基づいてマルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を独立して算出することと、マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのそれぞれのピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与を減算することと、を含み
、2つ以上の取得された自己蛍光スペクトルが、1つ以上の蛍光標識を含む生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される、非一時的コンピュータ可読媒体。
追加の実施形態55. 1つ以上の蛍光標識で染色された生物学的試料のマルチチャネル画像の1つ以上のチャネルにおける自己蛍光の寄与を除去する方法であって、少なくとも2つの取得された自己蛍光スペクトルに基づいてマルチチャネル画像の各ピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の寄与を独立して算出することと、マルチチャネル画像の各測定ピクセルスペクトルから、そのそれぞれのピクセルの各チャネルにおける自己蛍光の算出された寄与を減算することと、を含み、2つ以上の取得された自己蛍光スペクトルが、1つ以上の蛍光標識を含む生物学的試料の訓練用マルチチャネル画像の非標識部分に対応する測定信号から導出される、方法。
【0067】
本明細書中で言及されるおよび/または出願データシートにおいてリスト化される全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、および刊行物の概念を使用してさらに別の実施形態を提供するように変更されることができる。
【0068】
本開示は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本開示の原理の精神および範囲内に含まれるであろう多くの他の変更および実施形態が当業者によって考案されることができることを理解されたい。より具体的には、合理的な変形および変更は、本開示の精神から逸脱することなく、前述の開示、図面、および添付の特許請求の範囲内の主題の組み合わせ構成の構成部品および/または配置において可能である。構成部品および/または配置の変形および変更に加えて、代替の使用法も当業者にとって明らかであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D-1】
図2D-2】
図2E
図2F-1】
図2F-2】
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D-1】
図6D-2】
図6E-1】
図6E-2】
図6F-1】
図6F-2】
図6G
図7A
図7B
図7C
図7D