IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

特許7418646作業管理システムおよびそれに用いられる情報処理装置
<>
  • 特許-作業管理システムおよびそれに用いられる情報処理装置 図1
  • 特許-作業管理システムおよびそれに用いられる情報処理装置 図2
  • 特許-作業管理システムおよびそれに用いられる情報処理装置 図3
  • 特許-作業管理システムおよびそれに用いられる情報処理装置 図4
  • 特許-作業管理システムおよびそれに用いられる情報処理装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】作業管理システムおよびそれに用いられる情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1091 20230101AFI20240112BHJP
【FI】
G06Q10/1091
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023166848
(22)【出願日】2023-09-28
【審査請求日】2023-09-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 達也
(72)【発明者】
【氏名】森川 裕史
(72)【発明者】
【氏名】秦 直也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 千秋
(72)【発明者】
【氏名】鷲塚 敏之
(72)【発明者】
【氏名】白井 将太
(72)【発明者】
【氏名】尾林 万里江
(72)【発明者】
【氏名】大枝 真也
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-157690(JP,A)
【文献】特開平8-194854(JP,A)
【文献】特開2021-192255(JP,A)
【文献】特開2015-102921(JP,A)
【文献】特開2021-064265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業項目について、当該作業項目毎の作業要領を示す複数の作業要領データを記憶するサーバと、
前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に構成された通信端末と、を含む作業管理システムであって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
作業者が実施する複数の作業項目の割り当てを示す割り当てデータを生成し、
前記通信端末への作業者の操作入力に基づいて生成される作業ログデータを取得し、
前記作業ログデータに基づいて前記作業者についての時系列の作業実績データを生成し、
前記割り当てデータは、前記複数の作業項目が2以上のグループに区分され、当該グループごとに、当該グループに属する作業項目の作業順が定められており、
前記作業ログデータは、対応する作業項目および前記操作入力が行われた時刻のデータを含み、
前記処理回路は、
第1グループに属する第1作業項目についての第1作業ログデータの取得後、前記第1グループに属するすべての作業項目の完了前に、前記第1グループとは異なる第2グループに属する第2作業項目についての第2作業ログデータを取得することを許容し、
前記第1作業ログデータを取得した後に前記第2作業ログデータを取得した場合、前記第2作業項目の開始時刻を前記第1作業項目の完了時刻または中断時刻とする前記作業実績データを生成する、作業管理システム。
【請求項2】
前記第1グループに属する前記第1作業項目は、第1機械の自動動作工程を含み、
前記第2グループに属する前記第2作業項目は、前記第1機械とは異なる第2機械を用いた作業工程を含む、請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項3】
前記第1グループに属する作業項目は、前記第2グループに属する作業項目より優先度の高い作業項目として設定される、請求項1または2に記載の作業管理システム。
【請求項4】
前記処理回路は、前記通信端末の表示器に、前記割り当てデータに基づいて作業者ごとに割り当てられた作業の実績を入力するための実績入力画面を表示し、
前記実績入力画面は、他のグループに属する作業項目を選択するための仮想のグループ選択ボタンを含み、
前記処理回路は、前記グループ選択ボタンへの操作入力を含む他のグループに属する作業項目の選択操作に基づいて、前記第1グループに属する前記第1作業項目についての前記実績入力画面から前記第2グループに属する前記第2作業項目についての前記実績入力画面を表示する際に、前記第2作業ログデータを生成する、請求項1または2に記載の作業管理システム。
【請求項5】
前記処理回路は、前記作業ログデータから前記作業者についての時系列の作業実績データに加えて、前記複数の作業項目において使用される機械についての機械稼働実績データを生成する、請求項1または2に記載の作業管理システム。
【請求項6】
通信端末と通信ネットワークを介して通信可能に構成された情報処理装置であって、
前記情報処理装置は、処理回路を含み、
前記処理回路は、
作業者が実施する複数の作業項目の割り当てを示す割り当てデータを生成し、
前記通信端末への作業者の操作入力に基づいて生成される作業ログデータを取得し、
前記作業ログデータに基づいて前記作業者についての時系列の作業実績データを生成し、
前記割り当てデータは、前記複数の作業項目が2以上のグループに区分され、当該グループごとに、当該グループに属する作業項目の作業順が定められており、
前記作業ログデータは、対応する作業項目および前記操作入力が行われた時刻のデータを含み、
前記処理回路は、
第1グループに属する第1作業項目についての第1作業ログデータの取得後、前記第1グループに属するすべての作業項目の完了前に、前記第1グループとは異なる第2グループに属する第2作業項目についての第2作業ログデータを取得することを許容し、
前記第1作業ログデータを取得した後に前記第2作業ログデータを取得した場合、前記第2作業項目の開始時刻を前記第1作業項目の完了時刻または中断時刻とする前記作業実績データを生成する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業管理システムおよびそれに用いられる情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場またはプラント等の広い敷地に配設された施設では、多数の工程が同時並行的に実施されており、その工程管理は重要である。通常、作業者は、割り当てられた複数の作業項目について管理者等により定められた作業指示に基づいて順番に実施する。ここで、ある機械に自動動作を実行させた後、その待ち時間に別の作業を行うことが想定される。例えば下記特許文献1には、並列に作業を実施する親子の作業を1つの纏まりとして同じタイミングで作業指示を行うことを可能にした作業指示システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-191348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術では、親子の作業については必ず並列に作業する必要がある。このため、1つの作業の実施中に余裕があれば他の作業を実施する等の柔軟な作業を実施することができない。また、作業指示として1つの作業から別の1つの作業へ移行するタイミングを予め決めてしまうと手待ちの時間が発生したり、作業時間に余裕を持たせたりする必要が生じ、作業者に効率的な並列作業を行わせることができない。
【0005】
また、上記従来技術では、親の作業と子の作業とで作業実績を分けることができない。このため、並列作業における実情が分かり難く改善を行うことが難しい。
【0006】
本開示は上記に鑑みなされたものであり、並列作業の作業実績を適切に記録することができる作業管理システムおよびそれに用いられる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る作業管理システムは、複数の作業項目について、当該作業項目毎の作業要領を示す複数の作業要領データを記憶するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に構成された通信端末と、を含む作業管理システムであって、処理回路を備え、前記処理回路は、作業者が実施する複数の作業項目の割り当てを示す割り当てデータを生成し、前記通信端末への作業者の操作入力に基づいて生成される作業ログデータを取得し、前記作業ログデータに基づいて前記作業者についての時系列の作業実績データを生成し、前記割り当てデータは、前記複数の作業項目が2以上のグループに区分され、当該グループごとに、当該グループに属する作業項目の作業順が定められており、前記作業ログデータは、対応する作業項目および前記操作入力が行われた時刻のデータを含み、前記処理回路は、第1グループに属する第1作業項目についての第1作業ログデータの取得後、前記第1グループに属するすべての作業項目の完了前に、前記第1グループとは異なる第2グループに属する第2作業項目についての第2作業ログデータを取得することを許容し、前記第1作業ログデータを取得した後に前記第2作業ログデータを取得した場合、前記第2作業項目の開始時刻を前記第1作業項目の完了時刻または中断時刻とする前記作業実績データを生成する。
【0008】
本開示の他の態様に係る情報処理装置は、通信端末と通信ネットワークを介して通信可能に構成された情報処理装置であって、前記情報処理装置は、処理回路を含み、前記処理回路は、作業者が実施する複数の作業項目の割り当てを示す割り当てデータを生成し、前記通信端末への作業者の操作入力に基づいて生成される作業ログデータを取得し、前記作業ログデータに基づいて前記作業者についての時系列の作業実績データを生成し、前記割り当てデータは、前記複数の作業項目が2以上のグループに区分され、当該グループごとに、当該グループに属する作業項目の作業順が定められており、前記作業ログデータは、対応する作業項目および前記操作入力が行われた時刻のデータを含み、前記処理回路は、第1グループに属する第1作業項目についての第1作業ログデータの取得後、前記第1グループに属するすべての作業項目の完了前に、前記第1グループとは異なる第2グループに属する第2作業項目についての第2作業ログデータを取得することを許容し、前記第1作業ログデータを取得した後に前記第2作業ログデータを取得した場合、前記第2作業項目の開始時刻を前記第1作業項目の完了時刻または中断時刻とする前記作業実績データを生成する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、並列作業の作業実績を適切に記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施の形態に係る作業管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態における複数の作業項目におけるグループ分けの例を示す図である。
図3図3は、本実施の形態における実績入力画面の一例を示す図である。
図4図4は、本実施の形態におけるグループ別作業項目表示画面の一例を示す図である。
図5図5は、本実施の形態における作業ログデータおよびそれに基づいて生成される作業実績データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態に係る作業管理システムの概略構成を示すブロック図である。本実施の形態における作業管理システム100は、通信端末1、管理端末2、およびサーバ3を備えている。通信端末1および管理端末2は、それぞれ、サーバ3と通信ネットワーク4を介して通信可能に構成されている。
【0013】
通信端末1は、例えばタブレット端末またはスマートフォン等の携帯端末である。通信端末1は、工場またはプラント等の施設において所定の作業に従事する作業者が所持する。通信端末1は、所定のウェブブラウザにより後述する機能を発揮する限り、市販または汎用の通信端末でもよいし、施設作業専用の通信端末でもよい。作業者は、サーバ3から通信端末1にダウンロードした所定のデータに基づいて通信端末1の表示器12に表示される作業指示を参照して施設の所定の場所で所定の作業を行う。作業者は、所定の作業の完了後、その作業実績を送信するための通信を、通信端末1を通じてサーバ3に対して行う。
【0014】
このために、通信端末1は、携帯電話網の基地局等を介して通信ネットワーク4に接続可能である。これに加えてまたはこれに代えて、通信端末1は、有線LANまたは無線LANを介して通信ネットワーク4に接続可能としてもよい。
【0015】
通信端末1は、各種の信号処理を行う処理回路10を備えている。処理回路10は、入力器11、表示器12、記憶器13、プロセッサ14および通信インターフェイス15等を含んでいる。入力器11および表示器12は、例えばタッチパネルにより構成される。記憶器13は、例えば、RAM、ROM等のメインメモリと、ハードディスク、フラッシュメモリ等の書き込み可能なストレージとを含む。プロセッサ14は、例えばCPUにより構成される。これらの各構成は、バス16により互いに通信接続されている。記憶器13には、通信端末1における各種処理を実行するための端末用作業管理プログラムが記憶されている。プロセッサ14は、端末用作業管理プログラムを読み出し、当該端末用作業管理プログラムに基づいて各種処理を実行する。すなわち、以下で説明する通信端末1の動作は、通信端末1の処理回路10における処理内容を示す。
【0016】
なお、図1には、2つの通信端末1が示されており、そのうちの1つのみについて上記各構成が示されているが、他の通信端末1も同様の構成を備えている。また、作業管理システム100には、より多くの通信端末1が含まれ得る。例えば、作業者毎に1つの通信端末1が割り当てられている場合、作業管理システム100は、作業者の数に対応する数の通信端末1を含み得る。また、通信端末1が作業に用いられる機械毎に割り当てられていてもよいし、作業を行う施設または職場毎に割り当てられていてもよい。
【0017】
管理端末2は、例えばパーソナルコンピュータ等の据え置き型の端末である。管理端末2は、通信端末1に対する指示を行ったり、サーバ3に後述する作業要領データ、割り当てデータ等をアップロードして登録したり、サーバ3に記憶される作業管理データベースの内容を閲覧したりする管理者が操作する端末である。管理端末2も、通信端末1と同様、入力器、表示器、記憶器、演算器および通信インターフェイス等を備えた処理回路を含んでいる。作業管理システム100は、1または複数の管理端末2を含み得る。
【0018】
サーバ3は、例えばデータサーバ等のコンピュータとして構成される。サーバ3は、通信端末1または管理端末2から送信される各種データまたは各種信号に基づいて各種の信号処理を行う処理回路30を備えている。処理回路30は、記憶器33、プロセッサ34および通信インターフェイス35等を含んでいる。これらの各構成は、バス36により互いに通信接続されている。記憶器33には、サーバ3における各種処理を実行するためのサーバ用作業管理プログラムが記憶されている。プロセッサ34は、サーバ用作業管理プログラムを読み出し、当該サーバ用作業管理プログラムに基づいて各種処理を実行する。これにより、サーバ3は、作業管理システム100における情報処理装置として構成される。以下で説明するサーバ3の動作は、サーバ3の処理回路30における処理内容を示す。
【0019】
なお、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせを含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本明細書において、回路、ユニット、手段、または部は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、ユニット、または手段はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0020】
サーバ3の記憶器33には、施設における作業に関する作業実施内容データが記憶される。例えば、作業実施内容データには、作業項目データ、作業項目に対応する作業要領データ、作業者が実施する複数の作業項目の割り当てを示す割り当てデータ等が含まれる。作業項目データは、作業の名称、作業の実施場所、作業頻度等が作業項目毎にリスト化されたデータである。作業要領データは、作業項目データの各作業項目に対応付けられ、対応する作業の内容を図示等により分かり易く示したデータである。割り当てデータは、管理端末2を操作する管理者から通信端末1を操作する作業者への個別の指示内容を示すデータである。
【0021】
新たな作業計画が立ち上げられた場合に、当該作業計画に必要な複数の作業項目が策定される。さらに、複数の作業項目のそれぞれについて、当該作業項目毎の具体的な作業要領を示す作業要領データが作成される。作業要領データは、写真または図面等のデータ、例えば、画像データ、二次元または三次元の設計データ図面等を含み、作業者が作業の詳細な内容を理解するためのデータである。
【0022】
作業項目データおよび作業要領データは、作業計画の進行に伴って順次作成される。管理端末2で作成された作業要領データは、サーバ3に順次アップロードされ、記憶器33に記憶される。作業要領データは、作業項目毎に対応付けられる。なお、作業要領データは、複数の作業計画において重複または再利用され得る。サーバ3の記憶器33に複数の作業要領データが蓄積されることにより、記憶器33には、作業計画毎の作業要領データ群が構築される。
【0023】
割り当てデータは、複数の作業者のそれぞれについて、各作業者が作業実施の単位期間である第1期間T1において実施する複数の作業項目の割り当てを示すデータである。割り当てデータには、作業者が第1期間T1において実施する作業項目の実施順を示すデータが含まれ得る。第1期間T1は例えば1日における始業時点から終業時点までの間の期間である。割り当てデータには、簡単な作業項目の説明が含まれ得る。割り当てデータは、主にテキストデータである。割り当てデータは、作業計画の進行状況、対応する作業者の能力および実施状況等を考慮して作成される。
【0024】
サーバ3の処理回路30は、管理端末2からの管理者のアクセスに基づいて、管理端末2の表示器に割り当てデータ作成画面を表示し、管理者の操作入力に基づいて割り当てデータを生成する。生成された割り当てデータは、作業者毎のデータとして記憶器33に記憶される。なお、これに代えて、割り当てデータは、管理端末2で作成され、サーバ3にアップロードされたデータに基づいて生成されてもよいし、別の管理端末からサーバ3に送られたデータに基づいて生成されてもよい。
【0025】
本実施の形態において、割り当てデータは、複数の作業項目が2以上のグループに区分されている。図2は、本実施の形態における複数の作業項目におけるグループ分けの例を示す図である。図2の例において、第1グループG1は、第1機械Aを用いた作業項目が属するグループであり、第2グループG2は、第1機械Aとは異なる第2機械Bを用いた作業項目が属するグループである。各グループ内では作業順が予め定められている。図2の例において、第1グループの作業順は、A-1,A-2,A-3,A-4,…の順であり、第2グループの作業順は、B-1,B-2,B-3,B-4,…の順である。
【0026】
第1グループG1に属する作業項目は、第1機械Aを用いた自動動作工程である作業項目A-2を含んでいる。同様に、第2グループG2に属する作業項目は、第2機械Bを用いた自動動作工程である作業項目B-2を含んでいる。これらの作業項目A-2,B-2の実施後は、機械A,Bによる自動動作工程が完了するまで同じ機械A,Bでの作業は行えない。本実施の形態において、作業者は、自動加工工程の開始後は、別のグループの作業項目を実施することが想定されている。
【0027】
第1グループG1の作業項目と第2グループG2の作業項目との間で作業順に制約はない。すなわち、例えば、第1グループG1において作業項目A-2を実施するためには原則として作業項目A-1を完了させる必要があるが、第2グループG2における作業項目B-2を実施するために完了させる必要がある第1グループG1の作業項目はない。なお、一グループ内の作業項目において、作業順が当該作業項目より前にあるすべての作業項目を完了していなくても実施可能な作業項目が存在してもよい。
【0028】
ただし、2以上のグループは、作業者が行う作業項目における優先度に応じて設定され得る。例えば、製品の製造に関する作業計画において、優先度の高い順に、第1グループから第4グループが設定され得る。優先度順にグループの番号またはアルファベット等の記号が付されることにより、作業者は、感覚的に優先度を把握することができる。第1グループは、優先的に作業を行わないと既受注の製品納期が間に合わなくなる恐れがある作業項目を含む。第2グループは、作業の外注が困難で、使用する機械の稼働率を高くしないと新規受注の製品納期が延びる恐れがある作業項目を含む。第3グループは、作業の外注が可能であるが、使用する機械の稼働率を高くしないと新規受注の製品納期が延びる恐れがある作業項目を含む。第4グループは、使用する機械の稼働率が高くなくても製品納期への影響が低い作業項目を含む。
【0029】
管理者は、割り当てデータ作成画面において、作業者毎に作業項目を割り当てる際に、当該作業項目が属するグループを設定する。また、管理者は、同じグループ内に複数の作業項目を割り当てる場合には、同じグループに属する複数の作業項目における作業順を設定する。この結果、割り当てデータは、複数の作業項目が2以上のグループに区分され、当該グループごとに、当該グループに含まれる作業項目の作業順が定められたデータとなる。
【0030】
作業者は、自らが第1期間T1において行う作業に関する各種データをサーバ3から作業者に割り当てられた通信端末1にダウンロードする。本実施の形態において、通信端末1には、所定のネイティブアプリケーションプログラムが記憶されている。作業者は、通信端末1上でネイティブアプリケーションプログラムを実行することにより、サーバ3にアクセスし、通信端末1に予め登録されているユーザIDに対応付けられた各種データのダウンロードおよびアップロードを行うことができる。
【0031】
作業者は、ダウンロードしたデータから生成される作業指示データに基づいて通信端末1の表示器12に表示される作業指示に基づいて作業者に割り当てられた作業項目を指定された作業順に従って実施する。作業者は、作業項目の実行を完了した場合に、所定の操作入力を行うことで作業の実績入力を行う。通信端末1のプロセッサ14は、通信端末1への作業者の操作入力に基づいて作業ログデータを生成し、サーバ3に送信する。
【0032】
図3は、本実施の形態における実績入力画面の一例を示す図である。通信端末1の処理回路10は、割り当てデータに基づいて作業者ごとに割り当てられた作業の実績を入力するための実績入力画面50を表示する。
【0033】
実績入力画面50は、現作業内容表示欄51、作業情報表示欄52、作業要領表示欄53を含む。現作業内容表示欄51には、その作業者が現在行うべき作業の概要またはタイトルが表示される。例えば、作業項目には、所定の製品を製造するための部品の取り付け作業、取り付けた部品の調整作業等が含まれる。さらに、作業項目には、所定の装置の動作に関する作業、所定の部品の組み付け、所定の計測値を読み取る作業、装置の点検、清掃等を行う作業、所定の消費物等を補充する作業等が含まれ得る。現作業内容表示欄51の近傍には、次作業の内容が表示されてもよい。
【0034】
作業情報表示欄52には、現在の作業に付随する情報が表示される。例えば、付随する情報は、作業毎に割り当てられた識別符号、製品番号、工程の種別、現作業を完了するまでの目標時間、作業者名等を含む。作業要領表示欄53には、作業項目に対応する作業要領が表示される。作業要領表示欄53には、作業項目に対応する説明図または写真等が表示され得る。作業要領表示欄53に表示されるデータが作業要領データである。
【0035】
また、実績入力画面50には、仮想の次作業移行ボタン54が表示される。次作業移行ボタン54をタッチ操作する等により操作入力した場合、作業実施順データに基づいて、実績入力画面50には、作業者が次に行うべき作業内容が表示される。ここで、次作業移行ボタン54は、現在の作業の実施内容を示す作業実績データをサーバ3に送信するための仮想の操作信号送信ボタンとして機能する。なお、第1グループG1における1つ目の作業項目の開始前において、次作業移行ボタン54は、当該作業項目の開始ボタンとしても機能する。
【0036】
また、実績入力画面50には、作業を一時中断する場合に作業が停止していることを示す信号をサーバ3に送信するための仮想の中断ボタン56が表示される。同様に、実績入力画面50には、作業者が休憩を取る場合に、作業者が休憩中であることを示す信号をサーバ3に送信するための仮想の休憩ボタン57が表示される。
【0037】
さらに、実績入力画面50には、他のグループに属する作業項目を選択するための仮想のグループ選択ボタン55が表示される。図3においては4つのグループG1,G2,G3,G4に対応する4つのグループ選択ボタン55が実績入力画面50に表示される。
【0038】
実績入力画面50において、作業者が所望のグループ選択ボタン55を操作入力した場合、通信端末1の処理回路10は、対応するグループに属する作業項目を表示するグループ別作業項目表示画面60を表示する。
【0039】
図4は、本実施の形態におけるグループ別作業項目表示画面の一例を示す図である。図4は、第2グループG2に属する作業項目を表示するグループ別作業項目表示画面60の例を示している。図4の例において、図2の例と同様に、第1グループG1は、第1機械Aを用いた作業項目が属するグループであり、第2グループG2は、第1機械Aとは異なる第2機械Bを用いた作業項目が属するグループである。第1グループG1に属する作業項目は、第2グループG2に属する作業項目より優先度の高い作業項目として設定されている。
【0040】
グループ別作業項目表示画面60は、例えば、状態表示欄61、作業項目表示欄62、目標表示欄63等を含む。作業項目表示欄62には、選択したグループに属する作業項目の名称等が作業順に示される。状態表示欄61は、作業項目表示欄62に示された作業項目のそれぞれについての作業状態、例えば、未着手、中断、完了等が示される。目標表示欄63は、作業項目表示欄62に示された作業項目のそれぞれについての目標時間が示される。図4の例において、目標時間は、対応する作業項目を開始してから完了するまでの目標作業時間を示している。これに加えて、または、これに代えて、目標時間は、目標作業開始時刻または目標作業完了時刻を含んでもよい。また、対応する作業項目の状態が完了状態である場合、グループ別作業項目表示画面60に実際の作業時間等が示されてもよい。
【0041】
通信端末1の処理回路10は、作業項目表示欄62に示される複数の作業項目に対応する状態表示欄61の何れかに作業項目選択用のカーソル66を位置させる。カーソル66を位置させるためのルールは、予め定められている。例えば、作業項目表示欄62に示されるすべての作業項目の状態が未着手であれば、当該すべての作業項目のうち1番目の作業項目に対応する状態表示欄61にカーソル66が位置する。また、例えば、作業項目表示欄62に示される複数の作業項目のうち、未着手または中断の状態にある作業項目がある場合、そのうちで最も作業順の早い作業項目に対応する状態表示欄61にカーソル66が位置する。また、作業項目表示欄62に示されるすべての作業項目の状態が完了であれば、優先度が1段階低い、次のグループについてのグループ別作業項目表示画面60が表示されてもよい。なお、作業項目選択用のカーソル66の位置は、作業者の操作入力に基づいて変更可能としてもよい。
【0042】
グループ別作業項目表示画面60は、カーソル66の位置に対応する作業項目を実行して実績入力するための仮想の実行ボタン64,65を含む。実行ボタンは、前作業項目を中断して実行するための第1実行ボタン64と、前作業項目を完了して実行するための第2実行ボタン65とを含む。
【0043】
通信端末1の処理回路10は、何れかの実行ボタン64,65が操作入力された場合、グループ別作業項目表示画面60において選択されている作業項目に対応する実績入力画面50を表示する。図4の例では、カーソル66が作業項目B-1に対応する状態表示欄61に位置しているため、作業項目B-1についての実績入力画面50が表示される。
【0044】
このように、本実施の形態では、例えば、図3に示すような作業項目A-2の実施中を示す実績入力画面50の表示中にグループ選択ボタン55を操作入力することにより、当該作業項目A-2が属する第1グループG1とは異なるグループの作業項目が表示されるグループ別作業項目表示画面60に表示画面が遷移する。さらに、図4に示すようなグループ別作業項目表示画面60が表示されている状態で、実行ボタン64,65の操作入力が許容される。何れかの実行ボタン64,65が操作入力されることにより、選択された作業項目についての実績入力画面50が表示される。
【0045】
第1実行ボタン64が操作入力されることにより実績入力画面50が表示された場合、元の作業項目、すなわち第1グループG1に属する作業項目A-2は、中断されたと判定される。すなわち、作業項目A-2の実施中に、当該作業項目A-2が未完了の状態で作業項目B-1の実施が開始されたと判定される。一方、第2実行ボタン65が操作入力されることにより実績入力画面50が表示された場合、第1グループG1に属する作業項目A-2は、完了されたと判定される。すなわち、作業項目A-2の実施が完了した後、作業項目B-1の実施が開始されたと判定される。
【0046】
なお、本実施の形態では、上記のように第1機械Aにおける自動加工工程である作業項目A-2の完了時に、作業者がグループ選択ボタン55および第2実行ボタン65を順に操作入力することにより、作業項目A-2が完了されたと判定される。ここで、作業者が作業項目A-2の完了時に次作業移行ボタン54を操作入力する可能性もある。この場合、作業項目A-3についての実績入力画面50が表示される。しかし、作業項目A-3に使用する第1機械Aは、前の作業項目A-2における作業者操作に基づいて自動加工中であり、自動加工が完了するまで第1機械Aを使用することができない。すなわち、作業者は手待ち状態となる。この場合、作業者は、グループ選択ボタン55および第1実行ボタン64を順に操作入力することにより、作業項目A-3を中断した上で例えば第2機械Bを用いた作業項目B-1等の他のグループにおける作業項目についての実績入力画面50に切り替えることができる。これにより、作業者は、手待ち状態を解消し、実施可能な作業を行うことができる。
【0047】
通信端末1の処理回路10は、通信端末1への作業者の操作入力に基づいて作業ログデータを生成する。サーバ3の処理回路30は、作業ログデータを取得し、作業ログデータに基づいて当該作業者についての時系列の作業実績データを生成する。
【0048】
図5は、本実施の形態における作業ログデータおよびそれに基づいて生成される作業実績データの例を示す図である。作業ログデータは、発生時刻、作業項目、操作内容のデータを含む。作業ログデータは、当該作業項目が属するグループのデータを含み得る。発生時刻のデータは、作業者による通信端末1への所定の操作入力が行われた時刻のデータである。作業項目のデータは、実施対象の作業項目を示すデータである。より具体的には、作業項目のデータは、次作業移行ボタン54が操作入力されたときの実績入力画面50に表示されている作業項目、または、実行ボタン64,65が操作入力されたときのグループ別作業項目表示画面60の遷移前の実績入力画面50に表示されていた作業項目のデータである。
【0049】
図5の例において、1番目の作業ログデータは、10:00に、作業項目A-1についての実績入力画面50において開始ボタンが操作入力されたことを示している。また、2番目の作業ログデータは、10:10に、作業項目A-1についての実績入力画面50において次作業移行ボタン54が操作入力されたことを示している。また、3番目の作業ログデータは、10:12に、作業項目A-2についての実績入力画面50において第2グループG2を選択するグループ選択ボタン55が操作入力され、その後、第2実行ボタン65が操作入力されたことを示している。4番目以降の作業ログデータについても同様である。
【0050】
通信端末1の処理回路10は、生成した作業ログデータを、所定のタイミングでサーバ3に送信する。通常、処理回路10は、個々の作業ログデータを生成したタイミングでサーバ3に逐次送信する。サーバ3の処理回路30は、受信した作業ログデータを作業者ごとに対応付けて蓄積し、第1期間T1における作業者ごとの作業実績データを生成する。
【0051】
ここで、処理回路30は、第1グループG1に属する第1作業項目についての第1作業ログデータの取得後、第1グループG1に属するすべての作業項目の完了前に、第2グループG2に属する第2作業項目についての第2作業ログデータを取得することを許容する。同様に、第2グループG2に属する第2作業項目から第1グループG1に属する第1作業項目への遷移も許容される。第1グループG1と第3グループG3または第4グループG4との関係、第2グループG2と第3グループG3または第4グループG4との関係および第3グループG3と第4グループG4との関係についても同様である。
【0052】
さらに、処理回路30は、第1作業ログデータを取得した後に第2作業ログデータを取得した場合、第2作業項目の開始時刻を第1作業項目の完了時刻または中断時刻とする作業実績データを生成する。
【0053】
図5の例において、処理回路30は、1番目の作業ログデータおよび2番目の作業ログデータから作業項目A-1について10:00から10:10の間に実施されたと判定する。また、処理回路30は、2番目の作業ログデータおよび3番目の作業ログデータから作業項目A-2について10:10から10:12の間に実施されたと判定する。また、処理回路30は、3番目の作業ログデータおよび4番目の作業ログデータから作業項目B-1について10:12から10:20の間に実施されたと判定する。処理回路30は、以降も同様に判定し、それらの判定結果を時系列に並べて作業者毎の作業実績データを生成する。処理回路30は、生成した作業実績データを作業者に対応付けて記憶器33に記憶する。
【0054】
以上のように、本実施の形態によれば、作業者が実施する複数の作業項目の割り当てを示す割り当てデータにおいて、当該割り当てデータに含まれる複数の作業項目が2以上のグループに区分される。また、本実施の形態によれば、第1グループG1に属する第1作業項目についての第1作業ログデータの取得後、第1グループに属するすべての作業項目の完了前に、第1グループG1とは異なる第2グループG2に属する第2作業項目についての第2作業ログデータを取得することが許容される。さらにこの場合、第2作業項目の開始時刻を第1作業項目の完了時刻または中断時刻とする作業実績データが生成される。
【0055】
このため、第1グループG1に属する作業項目の作業順に第2グループG2に属する作業項目を割り込ませることができ、このような割り込みが発生した場合でも、作業者が2つのグループを横断するような作業順で作業を実施したことを示す作業実績データを生成することができる。他のグループ間でも同様の割り込みが許容される。このように、一のグループに属する作業項目と他のグループに属する作業項目とは、並列に作業を実施し得る並列作業項目と言える。したがって、1つのグループに属する作業項目の実施中に他のグループに属する作業項目を実施するような並列作業において、作業者の作業実施内容を時系列に適切に記録することができる。また、並列作業を作業項目として固定せず、ある程度柔軟な作業順を作業者に提示することができるため、作業者に作業をより効率的に行わせることができる。さらに、作業実績データから並列作業をどのような順番で行ったかが分かるため、並列作業における実情を把握することができ、作業実績データを改善のための資料として利用することが容易になる。
【0056】
また、本実施の形態においては、優先度順にグループ分けされることにより、作業者は優先度が高いグループに属する作業項目を優先的に作業することができる。このため、複数のグループに跨る複数の作業項目の作業順を、作業者に委ねつつ容易に決定させることができる。
【0057】
また、グループ選択ボタン55への操作入力を含む他のグループに属する作業項目の選択操作に基づいて、第1グループG1に属する第1作業項目についての実績入力画面50から第2グループG2に属する第2作業項目についての実績入力画面50を表示する際に、第2作業ログデータが生成される。これにより、作業者が、特段、並列作業または作業の割り込みを意識しなくても、並列作業または作業の割り込みに基づく作業ログデータを生成することができる。
【0058】
また、サーバ3の処理回路30は、作業ログデータから作業者毎の作業実績データに加えて、複数の作業項目において使用される機械毎の機械稼働実績データを生成してもよい。例えば、図2の例において、機械A,Bについての作業期間は、ワークをセットしてからワークをおろすまでの期間として定義される。すなわち、作業項目A-1の開始から作業項目A-4の完了までの期間が第1機械Aの作業期間となる。同様に、作業項目B-1の開始から作業項目B-4の完了までの期間が第2機械の作業期間となる。
【0059】
この場合、処理回路30は、第1機械Aについての作業項目A-1の開始を示す作業ログデータから作業項目A-4の完了を示す作業ログデータまでの間の第1グループG1における作業ログデータから第1機械Aについての機械稼働実績データを生成する。第1機械Aについての機械稼働実績データには、作業項目A-1からA-4までの各作業項目の開始時刻および完了時刻が含まれる。処理回路30は、第2機械Bについての機械稼働実績データについても同様に生成する。
【0060】
従来のグループ分けされていない作業管理システムにおいては、作業者毎の作業ログデータから当該作業者が使用した機械の占有時間を把握することが難しかった。このため、従来は作業実績ログから機械毎の稼働実績を管理者等が手入力で作成する必要が生じ、管理者の負担が大きかった。また、グループ分けされていない作業ログデータから機械毎の正確な稼働時間を特定するのが難しく、作業者の作業時間と機械の稼働時間との間にずれや矛盾が生じる恐れがあった。
【0061】
これに対して、本実施の形態によれば、機械毎にグループ分けすることができるとともに、複数のグループを横断するような作業ログデータを生成することができる。このため、作業者が一時的に1つの機械から離れて別の作業をする場合でも、当該機械についての作業項目が属するグループの作業ログデータから容易に当該機械についての機械稼働実績データを作成することができる。したがって、作業者の入力に基づいて作業者毎の実績登録および機械毎の実績登録の両方を自動的に行うことができ、手入力により作業者の作業時間と機械の稼働時間との間にずれや矛盾が生じる恐れを防止することができる。また、作業ログデータから機械の稼働工程の前の作業工程の内容および稼働工程の次の作業工程の内容を容易に把握することができる。これにより、作業効率等の分析や改善の検討を容易に行うことができる。
【0062】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0063】
例えば、上記実施の形態においては、サーバ3の処理回路30および通信端末1の処理回路10が、上記実施の形態における種々の処理を行う処理回路として機能する例を示したが、これに限られない。処理回路は、サーバ3、通信端末1、管理端末2およびこれらとは別のコンピュータの何れにあってもよい。また、上記実施の形態においては、通信端末1の表示器12に表示される実績入力画面50およびグループ別作業項目表示画面60の生成や、作業ログデータの生成等を通信端末1の処理回路10が行う態様を例示したが、これに限られない。
【0064】
例えば、通信端末1の表示器12に表示される各種画面の生成および作業ログデータの生成をサーバ3の処理回路30が実施してもよい。この場合、通信端末1に所定のウェブブラウザが記憶される。作業者は、ウェブブラウザで動作する所定の作業管理用のウェブページにアクセスし、サーバ3に各作業者に割り当てられたユーザIDを用いてログインすることにより、そのウェブページ上で操作入力を行うことが可能となる。作業者は、当該ウェブページにログインすることにより、各種データのダウンロードおよびアップロードを行うことができる。さらに、ウェブブラウザによって表示されるウェブページ上に実績入力画面50およびグループ別作業項目表示画面60が表示され、作業者が当該ウェブページ上で作業実績の入力を行うことにより、サーバ3の処理回路30が作業ログデータを生成してもよい。また、ウェブブラウザ上で表示される作業者の操作が可能なウェブページは、単一のウェブページ上で内容表示を行うシングルページアプリケーション(SPA)により構成されてもよい。
【0065】
また、作業ログデータと、作業実績データまたは機械稼働実績データとが別の記憶器に記憶されてもよい。例えば、作業ログデータがサーバ3の記憶器33に記憶され、作業実績データまたは機械稼働実績データが管理端末2内の記憶器または管理端末2に接続された別のサーバ等の記憶器に記憶されてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、2以上のグループを作業に使用する機械ごとに区分する例を示したが、これに限られない。例えば、2以上のグループは、作業種別ごとに区分されてもよい。例えば、作業種別ごとに区分された2以上のグループは、作業計画遂行のための主たる作業項目を含む標準作業のグループと、会議、清掃等の標準外作業のグループとを含んでもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、第1機械Aの自動加工工程である作業項目A-2の実施後に、自発的に他のグループの作業項目に切り替える態様を例示したが、割り当てデータにおいて、第1グループG1の作業項目に、第1機械Aの自動加工工程である作業項目A-2の次の作業項目として、他のグループの作業項目を行うための移動工程が含まれてもよい。すなわち、割り当てデータにおいて、一のグループの作業項目に、同じグループに属する次の作業工程をすぐに実施できないことが予め想定されている作業項目の次の作業項目として、他のグループに属する作業項目に移行するための移動工程が含まれていてもよい。これによれば、同じグループに属する次の作業工程をすぐに実施できないことが予め想定されている作業項目の完了後に、別のグループに属する作業項目を実施することを作業者に促すことができる。
【0068】
さらに、各グループに属する移動工程についての作業項目についての作業ログデータが移動工程を示す識別コードを含んでもよい。これにより、サーバ3の処理回路30は、グループ間の移動時間についてのデータを生成することができる。
【0069】
また、上記実施の形態では、1つの作業項目について一人の作業者が割り当てられる態様を例示したが、1つの作業項目について複数の作業者が割り当てられてもよい。
【0070】
[本開示のまとめ]
[項目1]
本開示の一態様に係る作業管理システムは、複数の作業項目について、当該作業項目毎の作業要領を示す複数の作業要領データを記憶するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に構成された通信端末と、を含む作業管理システムであって、処理回路を備え、前記処理回路は、作業者が実施する複数の作業項目の割り当てを示す割り当てデータを生成し、前記通信端末への作業者の操作入力に基づいて生成される作業ログデータを取得し、前記作業ログデータに基づいて前記作業者についての時系列の作業実績データを生成し、前記割り当てデータは、前記複数の作業項目が2以上のグループに区分され、当該グループごとに、当該グループに属する作業項目の作業順が定められており、前記作業ログデータは、対応する作業項目および前記操作入力が行われた時刻のデータを含み、前記処理回路は、第1グループに属する第1作業項目についての第1作業ログデータの取得後、前記第1グループに属するすべての作業項目の完了前に、前記第1グループとは異なる第2グループに属する第2作業項目についての第2作業ログデータを取得することを許容し、前記第1作業ログデータを取得した後に前記第2作業ログデータを取得した場合、前記第2作業項目の開始時刻を前記第1作業項目の完了時刻または中断時刻とする前記作業実績データを生成する。
【0071】
上記構成によれば、作業者が実施する複数の作業項目の割り当てを示す割り当てデータにおいて、当該割り当てデータに含まれる複数の作業項目が2以上のグループに区分される。また、本実施の形態によれば、第1グループに属する第1作業項目についての第1作業ログデータの取得後、第1グループに属するすべての作業項目の完了前に、第1グループとは異なる第2グループに属する第2作業項目についての第2作業ログデータを取得することが許容される。さらにこの場合、第2作業項目の開始時刻を第1作業項目の完了時刻または中断時刻とする作業実績データが生成される。
【0072】
このため、第1グループに属する作業項目の作業順に第2グループに属する作業項目を割り込ませることができ、このような割り込みが発生した場合でも、作業者が2つのグループを横断するような作業順で作業を実施したことを示す作業実績データを生成することができる。したがって、1つのグループに属する作業項目の実施中に他のグループに属する作業項目を実施するような並列作業において、作業者の作業実施内容を時系列に適切に記録することができる。
【0073】
[項目2]
項目1の作業管理システムにおいて、前記第1グループに属する前記第1作業項目は、第1機械の自動動作工程を含み、前記第2グループに属する前記第2作業項目は、前記第1機械とは異なる第2機械を用いた作業工程を含んでもよい。これによれば、機械毎にグループ分けすることができるとともに、複数のグループを横断するような作業ログデータを生成することができる。このため、作業者が一時的に1つの機械から離れて別の作業をする場合でも、当該機械についての作業項目が属するグループの作業ログデータから容易に当該機械についての機械稼働実績データを作成することができる。
【0074】
[項目3]
項目1または2の作業管理システムにおいて、前記第1グループに属する作業項目は、前記第2グループに属する作業項目より優先度の高い作業項目として設定されてもよい。優先度順にグループ分けされることにより、作業者は優先度が高いグループに属する作業項目を優先的に作業することができる。このため、複数のグループに跨る複数の作業項目の作業順を、作業者に委ねつつ容易に決定させることができる。
【0075】
[項目4]
項目1から3の何れかの作業管理システムにおいて、前記処理回路は、前記通信端末の表示器に、前記割り当てデータに基づいて作業者ごとに割り当てられた作業の実績を入力するための実績入力画面を表示し、前記実績入力画面は、他のグループに属する作業項目を選択するための仮想のグループ選択ボタンを含み、前記処理回路は、前記グループ選択ボタンへの操作入力を含む他のグループに属する作業項目の選択操作に基づいて、前記第1グループに属する前記第1作業項目についての前記実績入力画面から前記第2グループに属する前記第2作業項目についての前記実績入力画面を表示する際に、前記第2作業ログデータを生成してもよい。これにより、作業者が、特段、並列作業または作業の割り込みを意識しなくても、並列作業または作業の割り込みに基づく作業ログデータを生成することができる。
【0076】
[項目5]
項目1から4の何れかの作業管理システムにおいて、前記処理回路は、前記作業ログデータから前記作業者についての時系列の作業実績データに加えて、前記複数の作業項目において使用される機械についての機械稼働実績データを生成してもよい。これにより、作業者の入力に基づいて作業者毎の実績登録および機械毎の実績登録の両方を自動的に行うことができ、手入力により作業者の作業時間と機械の稼働時間との間にずれや矛盾が生じる恐れを防止することができる。
【0077】
[項目6]
本開示の他の態様に係る情報処理装置は、通信端末と通信ネットワークを介して通信可能に構成された情報処理装置であって、前記情報処理装置は、処理回路を含み、前記処理回路は、作業者が実施する複数の作業項目の割り当てを示す割り当てデータを生成し、前記通信端末への作業者の操作入力に基づいて生成される作業ログデータを取得し、前記作業ログデータに基づいて前記作業者についての時系列の作業実績データを生成し、前記割り当てデータは、前記複数の作業項目が2以上のグループに区分され、当該グループごとに、当該グループに属する作業項目の作業順が定められており、前記作業ログデータは、対応する作業項目および前記操作入力が行われた時刻のデータを含み、前記処理回路は、第1グループに属する第1作業項目についての第1作業ログデータの取得後、前記第1グループに属するすべての作業項目の完了前に、前記第1グループとは異なる第2グループに属する第2作業項目についての第2作業ログデータを取得することを許容し、前記第1作業ログデータを取得した後に前記第2作業ログデータを取得した場合、前記第2作業項目の開始時刻を前記第1作業項目の完了時刻または中断時刻とする前記作業実績データを生成する。
【符号の説明】
【0078】
1 通信端末
3 サーバ、情報処理装置
4 通信ネットワーク
12 通信端末の表示器
30 サーバの処理回路
50 実績入力画面
55 グループ選択ボタン
100 作業管理システム
【要約】
【課題】並列作業の作業実績を適切に記録することができる作業管理システムおよびそれに用いられる情報処理装置を提供する。
【解決手段】作業管理システムは、処理回路を備え、処理回路は、作業者が実施する複数の作業項目の割り当てを示す割り当てデータを生成し、割り当てデータは、複数の作業項目が2以上のグループに区分され、当該グループごとに、当該グループに属する作業項目の作業順が定められており、処理回路は、第1グループに属する第1作業項目についての第1作業ログデータの取得後、第1グループに属するすべての作業項目の完了前に、第1グループとは異なる第2グループに属する第2作業項目についての第2作業ログデータを取得することを許容し、第1作業ログデータを取得した後に第2作業ログデータを取得した場合、第2作業項目の開始時刻を第1作業項目の完了時刻または中断時刻とする作業実績データを生成する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5