(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】通信管理装置および通信管理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/02 20090101AFI20240112BHJP
H04W 48/20 20090101ALI20240112BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20240112BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W48/20
H04W88/18
(21)【出願番号】P 2023198851
(22)【出願日】2023-11-24
【審査請求日】2023-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0092610(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0120519(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108124301(CN,A)
【文献】特開2018-156385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末が在圏する通信エリアの基地局を介してアクセスした第1ウェブサイトの第1識別情報を含む出力シンボル系列を取得するように構成された出力シンボル取得部と、
前記通信端末の移動にともなって切り替わる各基地局を隠れ状態の有限集合とし、かつ、前記通信端末が前記各基地局を介してアクセスした各ウェブサイトの識別情報を観測可能な出力シンボルの有限集合とした隠れマルコフモデルのパラメータが事前に推定された、学習済みの隠れマルコフモデルを記憶するように構成された記憶部と、
前記学習済みの隠れマルコフモデルを用いて、前記通信端末が前記各基地局を介して、前記出力シンボル取得部によって取得された前記第1識別情報を有する前記第1ウェブサイトへアクセスする確率を求めるように構成された演算部と、
前記演算部により求められた、前記通信端末が前記各基地局を介して前記第1ウェブサイトへアクセスする確率に基づいて、前記通信端末が前記第1ウェブサイトへアクセスする確率が最も高い基地局を決定するように構成された決定部と、
決定された前記確率が最も高い基地局の情報を、通信制御情報として出力するように構成された出力部と
を備える通信管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信管理装置において、
前記出力シンボル取得部は、前記通信端末が前記各基地局を介してアクセスした前記第1ウェブサイトを含む複数のウェブサイトの各々の識別情報を示す出力シンボル系列を学習データとして取得し、
さらに、前記学習データに対する尤度を最大にする、前記通信端末の接続が所定の基地局から別の基地局に切り替わる確率である状態遷移確率分布、および、前記通信端末が前記各基地局を介して、所定の識別情報のウェブサイトにアクセスする確率であるシンボル出力確率分布を含む前記隠れマルコフモデルの前記パラメータを推定するように構成された学習部を備え、
前記学習済みの隠れマルコフモデルは、前記学習部によって推定された前記パラメータを備える
ことを特徴とする通信管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の通信管理装置において、
さらに、前記通信制御情報に基づいて、前記第1ウェブサイトを提供する複数のクラウド拠点のクラウドのうち、前記通信端末が前記第1ウェブサイトにアクセスする前記確率が最も高い基地局からの物理的な距離が最も短いクラウド拠点のクラウドの情報を取得するように構成された第1取得部と、
前記第1取得部によって取得された前記クラウド拠点のクラウドの情報に応じて、所定の通信規格のコアネットワークに対して、前記通信端末の接続先を前記クラウド拠点のクラウドとする指示を行うように構成された通信制御部と
を備える通信管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の通信管理装置において、
前記出力シンボル取得部は、
加入者識別情報を有する前記通信端末が在圏した通信エリアの基地局および在圏した時間を示す在圏ログを、所定の通信規格のコアネットワークから取得するように構成された第2取得部と、
前記第2取得部によって取得された前記在圏ログに含まれる前記加入者識別情報に割り当てられた端末IPアドレスを前記コアネットワークから取得するように構成された第3取得部と、
前記第3取得部によって取得された前記端末IPアドレスに基づいて、前記加入者識別情報ごとの、前記識別情報であるサイトIPアドレスを有するウェブサイトへのアクセス時間を含むアクセスログを前記コアネットワークから取得するように構成された第4取得部と
を備える通信管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の通信管理装置において、
前記第2取得部は、前記コアネットワークが備えるアクセスおよび移動管理装置から、前記在圏ログを取得し、
前記第3取得部は、前記コアネットワークが備えるセッション管理機能から、前記端末IPアドレスを取得する
ことを特徴とする通信管理装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の通信管理装置において、
前記第4取得部は、前記コアネットワークが備えるドメイン名システムが記憶する、前記端末IPアドレスごとの、前記識別情報であるIPアドレスを有する各ウェブサイトへのアクセスログを参照して、前記通信端末ごとのサイトIPアドレスおよびアクセス時間を取得する
ことを特徴とする通信管理装置。
【請求項7】
通信端末が在圏する通信エリアの基地局を介してアクセスした第1ウェブサイトの第1識別情報を含む出力シンボル系列を取得する出力シンボル取得ステップと、
前記通信端末の移動にともなって切り替わる各基地局を隠れ状態の有限集合とし、かつ、前記通信端末が前記各基地局を介してアクセスした各ウェブサイトの識別情報を観測可能な出力シンボルの有限集合とした隠れマルコフモデルのパラメータが事前に推定された、学習済みの隠れマルコフモデルを記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記学習済みの隠れマルコフモデルを用いて、前記通信端末が前記各基地局を介して、前記出力シンボル取得ステップで取得された前記第1識別情報を有する前記第1ウェブサイトへアクセスする確率を求める演算ステップと、
前記演算ステップで求められた、前記通信端末が前記各基地局を介して前記第1ウェブサイトへアクセスする確率に基づいて、前記通信端末が前記第1ウェブサイトへアクセスする確率が最も高い基地局を決定する決定ステップと、
決定された前記確率が最も高い基地局の情報を、通信制御情報として出力する出力ステップと
を備える通信管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の通信管理方法において、
前記出力シンボル取得ステップは、前記通信端末が前記各基地局を介してアクセスした前記第1ウェブサイトを含む複数のウェブサイトの各々の識別情報を示す出力シンボル系列を学習データとして取得し、
さらに、前記学習データに対する尤度を最大にする、前記通信端末の接続が所定の基地局から別の基地局に切り替わる確率である状態遷移確率分布、および、前記通信端末が前記各基地局を介して、所定の識別情報のウェブサイトにアクセスする確率であるシンボル出力確率分布を含む前記隠れマルコフモデルの前記パラメータを推定する学習ステップを備え、
前記学習済みの隠れマルコフモデルは、前記学習ステップで推定された前記パラメータを備える
ことを特徴とする通信管理方法。
【請求項9】
請求項1に記載の通信管理装置において、
さらに、前記通信制御情報に基づいて、前記第1ウェブサイトを提供する複数のクラウド拠点のクラウドのうち、前記通信端末が前記第1ウェブサイトにアクセスする前記確率が最も高い基地局からの物理的な距離が最も短いクラウド拠点のクラウドの情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得された前記クラウド拠点のクラウドの情報に応じて、所定の通信規格のコアネットワークに対して、前記通信端末の接続先を前記クラウド拠点のクラウドとする指示を行う通信制御ステップと
を備える通信管理方法。
【請求項10】
請求項7に記載の通信管理方法において、
前記出力シンボル取得ステップは、
加入者識別情報を有する前記通信端末が在圏した通信エリアの基地局および在圏した時間を示す在圏ログを、所定の通信規格のコアネットワークから取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップで取得された前記在圏ログに含まれる前記加入者識別情報に割り当てられた端末IPアドレスを前記コアネットワークから取得する第3取得ステップと、
前記第3取得ステップで取得された前記端末IPアドレスに基づいて、前記加入者識別情報ごとの、前記識別情報であるサイトIPアドレスを有するウェブサイトへのアクセス時間を含むアクセスログを前記コアネットワークから取得する第4取得ステップと
を備える通信管理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の通信管理方法において、
前記第2取得ステップは、前記コアネットワークが備えるアクセスおよび移動管理装置から、前記在圏ログを取得し、
前記第3取得ステップは、前記コアネットワークが備えるセッション管理機能から、前記端末IPアドレスを取得する
ことを特徴とする通信管理方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の通信管理方法において、
前記第4取得ステップは、前記コアネットワークが備えるドメイン名システムが記憶する、前記端末IPアドレスごとの、前記識別情報であるIPアドレスを有する各ウェブサイトへのアクセスログを参照して、前記通信端末ごとのサイトIPアドレスおよびアクセス時間を取得する
ことを特徴とする通信管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信管理装置および通信管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クラウド等のアクセスログを解析することで、各通信端末がアクセス要求を行ったクラウド上のファイルを特定できる技術が知られている。特許文献1に開示された技術によれば、ウェブサーバなどのサーバ単位または複数のサーバを一元管理する分析装置によってアクセスログが記録され、特定のウェブサイト等にアクセスした複数の通信端末の各々のアクセス傾向を分析する。このようなアクセス傾向の分析結果は、ウェブサイト等のサービスを提供する側が、ユーザに対してより個別化したサービスを提供するために活用されていた。
【0003】
しかし、特許文献1が開示するアクセスログは、各通信端末がアクセスし得る任意の複数のウェブサイトのアクセスを記録したログではない。また、特許文献1が開示するアクセスログは、無線アクセスネットワーク(RA)あるいはコアネットワーク側で、通信端末の移動にともなって切り替わる各基地局からどのウェブサイトにアクセスされたのかを記録したものでもない。そのため、特許文献1が開示するアクセスログやその分析結果は、通信ネットワーク全体の通信管理として、例えば、MEC(Multi-access Edge Computing)に例示されるエッジコンピューティングなどに活用することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の技術によれば、通信ネットワーク全体の通信管理のために、基地局単位でユーザのアクセス傾向を把握することができなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、通信ネットワーク全体の通信管理のために、基地局単位でユーザのアクセス傾向を把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信管理装置は、通信端末が在圏する通信エリアの基地局を介してアクセスした第1ウェブサイトの第1識別情報を含む出力シンボル系列を取得するように構成された出力シンボル取得部と、前記通信端末の移動にともなって切り替わる各基地局を隠れ状態の有限集合とし、かつ、前記通信端末が前記各基地局を介してアクセスした各ウェブサイトの識別情報を観測可能な出力シンボルの有限集合とした隠れマルコフモデルのパラメータが事前に推定された、学習済みの隠れマルコフモデルを記憶するように構成された記憶部と、前記学習済みの隠れマルコフモデルを用いて、前記通信端末が前記各基地局を介して、前記出力シンボル取得部によって取得された前記第1識別情報を有する前記第1ウェブサイトへアクセスする確率を求めるように構成された演算部と、前記演算部により求められた、前記通信端末が前記各基地局を介して前記第1ウェブサイトへアクセスする確率に基づいて、前記通信端末が前記第1ウェブサイトへアクセスする確率が最も高い基地局を決定するように構成された決定部と、決定された前記確率が最も高い基地局の情報を、通信制御情報として出力するように構成された出力部とを備える。
【0008】
また、本発明に係る通信管理装置において、前記出力シンボル取得部は、前記通信端末が前記各基地局を介してアクセスした前記第1ウェブサイトを含む複数のウェブサイトの各々の識別情報を示す出力シンボル系列を学習データとして取得し、さらに、前記学習データに対する尤度を最大にする、前記通信端末の接続が所定の基地局から別の基地局に切り替わる確率である状態遷移確率分布、および、前記通信端末が前記各基地局を介して、所定の識別情報のウェブサイトにアクセスする確率であるシンボル出力確率分布を含む前記隠れマルコフモデルの前記パラメータを推定するように構成された学習部を備え、前記学習済みの隠れマルコフモデルは、前記学習部によって推定された前記パラメータを備えていてもよい。
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信管理装置は、さらに、前記通信制御情報に基づいて、前記第1ウェブサイトを提供する複数のクラウド拠点のクラウドのうち、前記通信端末が前記第1ウェブサイトにアクセスする前記確率が最も高い基地局からの物理的な距離が最も短いクラウド拠点のクラウドの情報を取得するように構成された第1取得部と、前記第1取得部によって取得された前記クラウド拠点のクラウドの情報に応じて、所定の通信規格のコアネットワークに対して、前記通信端末の接続先を前記クラウド拠点のクラウドとする指示を行うように構成された通信制御部とを備えていてもよい。
【0010】
また、本発明に係る通信管理装置において、前記出力シンボル取得部は、加入者識別情報を有する前記通信端末が在圏した通信エリアの基地局および在圏した時間を示す在圏ログを、所定の通信規格のコアネットワークから取得するように構成された第2取得部と、前記第2取得部によって取得された前記在圏ログに含まれる前記加入者識別情報に割り当てられた端末IPアドレスを前記コアネットワークから取得するように構成された第3取得部と、前記第3取得部によって取得された前記端末IPアドレスに基づいて、前記加入者識別情報ごとの、前記識別情報であるサイトIPアドレスを有するウェブサイトへのアクセス時間を含むアクセスログを前記コアネットワークから取得するように構成された第4取得部とを備えてもよい。
【0011】
また、本発明に係る通信管理装置において、前記第2取得部は、前記コアネットワークが備えるアクセスおよび移動管理装置から、前記在圏ログを取得し、前記第3取得部は、前記コアネットワークが備えるセッション管理機能から、前記端末IPアドレスを取得してもよい。
【0012】
また、本発明に係る通信管理装置において、前記第4取得部は、前記コアネットワークが備えるドメイン名システムが記憶する、前記端末IPアドレスごとの、前記識別情報であるIPアドレスを有する各ウェブサイトへのアクセスログを参照して、前記通信端末ごとのサイトIPアドレスおよびアクセス時間を取得してもよい。
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信管理方法は、通信端末が在圏する通信エリアの基地局を介してアクセスした第1ウェブサイトの第1識別情報を含む出力シンボル系列を取得する出力シンボル取得ステップと、前記通信端末の移動にともなって切り替わる各基地局を隠れ状態の有限集合とし、かつ、前記通信端末が前記各基地局を介してアクセスした各ウェブサイトの識別情報を観測可能な出力シンボルの有限集合とした隠れマルコフモデルのパラメータが事前に推定された、学習済みの隠れマルコフモデルを記憶部に記憶する記憶ステップと、前記学習済みの隠れマルコフモデルを用いて、前記通信端末が前記各基地局を介して、前記出力シンボル取得ステップで取得された前記第1識別情報を有する前記第1ウェブサイトへアクセスする確率を求める演算ステップと、前記演算ステップで求められた、前記通信端末が前記各基地局を介して前記第1ウェブサイトへアクセスする確率に基づいて、前記通信端末が前記第1ウェブサイトへアクセスする確率が最も高い基地局を決定する決定ステップと、決定された前記確率が最も高い基地局の情報を、通信制御情報として出力する出力ステップとを備える。
【0014】
また、本発明に係る通信管理方法において、前記出力シンボル取得ステップは、前記通信端末が前記各基地局を介してアクセスした前記第1ウェブサイトを含む複数のウェブサイトの各々の識別情報を示す出力シンボル系列を学習データとして取得し、さらに、前記学習データに対する尤度を最大にする、前記通信端末の接続が所定の基地局から別の基地局に切り替わる確率である状態遷移確率分布、および、前記通信端末が前記各基地局を介して、所定の識別情報のウェブサイトにアクセスする確率であるシンボル出力確率分布を含む前記隠れマルコフモデルの前記パラメータを推定する学習ステップを備え、前記学習済みの隠れマルコフモデルは、前記学習ステップで推定された前記パラメータを備えていてもよい。
【0015】
また、本発明に係る通信管理方法において、さらに、前記通信制御情報に基づいて、前記第1ウェブサイトを提供する複数のクラウド拠点のクラウドのうち、前記通信端末が前記第1ウェブサイトにアクセスする前記確率が最も高い基地局からの物理的な距離が最も短いクラウド拠点のクラウドの情報を取得する第1取得ステップと、前記第1取得ステップで取得された前記クラウド拠点のクラウドの情報に応じて、所定の通信規格のコアネットワークに対して、前記通信端末の接続先を前記クラウド拠点のクラウドとする指示を行う通信制御ステップとを備えていてもよい。
【0016】
また、本発明に係る通信管理方法において、前記出力シンボル取得ステップは、加入者識別情報を有する前記通信端末が在圏した通信エリアの基地局および在圏した時間を示す在圏ログを、所定の通信規格のコアネットワークから取得する第2取得ステップと、前記第2取得ステップで取得された前記在圏ログに含まれる前記加入者識別情報に割り当てられた端末IPアドレスを前記コアネットワークから取得する第3取得ステップと、前記第3取得ステップで取得された前記端末IPアドレスに基づいて、前記加入者識別情報ごとの、前記識別情報であるサイトIPアドレスを有するウェブサイトへのアクセス時間を含むアクセスログを前記コアネットワークから取得する第4取得ステップとを備えていてもよい。
【0017】
また、本発明に係る通信管理方法において、前記第2取得ステップは、前記コアネットワークが備えるアクセスおよび移動管理装置から、前記在圏ログを取得し、前記第3取得ステップは、前記コアネットワークが備えるセッション管理機能から、前記端末IPアドレスを取得してもよい。
【0018】
また、本発明に係る通信管理方法において、前記第4取得ステップは、前記コアネットワークが備えるドメイン名システムが記憶する、前記端末IPアドレスごとの、前記識別情報であるIPアドレスを有する各ウェブサイトへのアクセスログを参照して、前記通信端末ごとのサイトIPアドレスおよびアクセス時間を取得してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、学習済みの隠れマルコフモデルを用いて、通信端末が各基地局を介して第1識別情報を有する第1ウェブサイトへアクセスする確率を求め、求められた確率に基づいて、通信端末による第1ウェブサイトへのアクセスの確率が最も高い基地局を決定する。そのため、通信ネットワーク全体の通信管理のために、基地局単位でユーザのアクセス傾向を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信管理装置を含む通信管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る通信管理装置がAMFから取得する在圏ログのデータ構造を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る通信管理装置がSMFから取得する端末IPアドレスが記憶されたテーブルのデータ構造を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る通信管理装置がDNSから取得するアクセスログのデータ構造を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る通信管理装置が備える学習部および演算部を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る通信管理装置が備える学習部および演算部を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態に係る通信管理装置が記憶する第2記憶部のデータ構造を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態に係る通信管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、本実施の形態に係る通信管理装置の学習処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本実施の形態に係る通信管理装置の演算処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本実施の形態に係る通信管理システムによる通信制御処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、
図1から
図11を参照して詳細に説明する。
【0022】
[通信管理システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る通信管理装置1を備える通信管理システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る通信管理システムは、5Gモバイル通信ネットワークに設けられ、移動通信を行う通信端末2によってアクセスされるウェブサイトのアクセス傾向を基地局BS0~BSnごとに分析する。さらに、通信管理システムは、分析結果に基づいて、通信端末2が、所定のウェブサイトにアクセスする確率が最も高い経由基地局BS0から物理的な距離が最も短いクラウド拠点のクラウド50と通信するように通信制御を行う。
【0023】
通信管理システムは、分析装置1Aと通信制御装置1Bとを備える通信管理装置1、5Gモバイル通信に対応する通信端末2、複数の基地局BS0~BSn、コアネットワーク4、および複数のクラウド50を備える。
【0024】
通信端末2は、SIM20を備え、スマートフォンなどの携帯通信端末、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータなどとして実現される。SIM20の契約プロファイルには、ユーザの加入者識別情報が格納され、携帯電話の回線契約に割り当てられる加入者識別番号(IMSI:International Mobile Subscriber Identity)、加入者であるユーザの電話番号(MSISDN:Mobile Subscriber International Subscriber Directory Number)、SIMカード番号(ICCID:Integrated Circuit Card Identifier)などの識別子情報が含まれる。通信端末2は、SIM20のIMSIによって一意に識別される。
【0025】
通信端末2には、さらに、端末を一意に識別する端末IPアドレスが割り当てられている。端末IPアドレスは、ローカルIPアドレスやグローバルIPアドレスを用いることができる。なお、通信端末2は、m台(mは正の整数)存在する。
【0026】
基地局BS0~BSn(nは正の整数)は、5G方式に対応した無線基地局で構成され、通信エリアに在圏する通信端末2とコアネットワーク4との間の通信を中継する。基地局BS0~BSnは、バックホールリンクなどのネットワークLを介してコアネットワーク4と接続する。以下において、基地局BS1~BSnを区別しない場合には、基地局BSと総称する場合がある。
【0027】
コアネットワーク4は、通信管理装置1とLANやWANなどのネットワークNWを介して接続されている。コアネットワーク4は、U-plane内の複数のUPF(User Plane Function)40、C-plane内のノードである複数のAMF(Access and Mobility Management Function)41、SMF(Session Management Function)42、およびDNS(Domain Name System)43を備える。なお、コアネットワーク4が備える他の機能については図示を省略している。
【0028】
UPF40は、ユーザプレーン機能であり、無線アクセスネットワーク(RAN)と、インターネットなどのデータネットワークとの間のデータパケットを処理する。本実施の形態では、単一のC-planeで複数のUPF40の制御が可能である。また、複数のUPF40は、5Gモバイル通信ネットワークにおいて、物理的に異なる位置に配置された装置である。各UPF40は、インターネット上の各クラウド50と接続され、通信端末2は、各UPF40を介して、各クラウド50が提供するウェブサイトにアクセスすることができる。
【0029】
AMF41は、アクセスおよび移動管理装置であり、各エリアに移動した通信端末2の登録や無線接続を管理する。本実施の形態では、AMF41は、複数台設けられ、各々は、通信管理装置1との通信を行うための通信インターフェース41aを備える。
図2は、AMF41が管理する在圏ログのテーブル410を示す。在圏ログは、通信端末2のIMSIと、通信端末2が在圏した通信エリアの基地局BSと、在圏した時間xであるタイムスタンプとが関連付けられた情報である。例えば、通信端末2のIMSI1には、通信端末2による移動に応じて切り替わった基地局BS0~BSnと、それぞれの基地局BS0~BSnに在圏した時間xがタイムスタンプとして記録されている。
【0030】
SMF42は、セッション管理機能であり、通信端末2からインターネット等のデータネットワーク間のPDU(Packet Data Unit)セッションの確立、変更、リリース等を行う。本実施の形態に係るSMF42は、通信管理装置1と通信を行うための通信インターフェース42aを備える。また、SMF42は、
図3のテーブル420に示すように、通信端末2のIMSIと、IMSIに割り当てられた端末IPアドレスと、通信端末2が使用しているUPF40とが関連付けられた情報を記憶する。
【0031】
DNS43は、ドメイン名システムであり、ドメイン名とIPアドレスとを紐づけし、IPネットワーク上で管理する。本実施の形態に係るDNS43は、通信インターフェース43a備え、通信インターフェース43aを介して通信管理装置1と通信を行う。また、本実施の形態に係るDNS43は、通信端末2がアクセス要求したウェブサイトのサイトIPアドレスのアクセスログを記憶する。
図4に示すようにDNS43は、通信端末2の端末IPアドレスと、サイトIPアドレスと、端末IPアドレスによってサイトIPアドレスにアクセスされた時間tを示すタイムスタンプとを関連付けたテーブル430を記憶する。
【0032】
クラウド50は、所定のウェブサイトやウェブアプリケーションなどを提供し、各々のクラウド50は、地理的に互いに離れたクラウド拠点を有する。クラウド拠点とは、各クラウド50を構成する物理的な機器が配置された地理的な位置あるいは領域を示す。各クラウド50は、サーバ、データセンタ、MECサーバなどのエッジサーバとすることができる。
図1の例では、クラウド1、クラウド2、およびクラウドZ(Zは正の整数)の各々は、サイトIPアドレス「サイトIP1」の第1ウェブサイトを提供するクラウド拠点として地理的に互いに離れた位置に分散配置されている。
【0033】
例えば、
図1に示すように、IMSI1および端末IP1が割り当てられている通信端末2が基地局BS0の通信エリアに在圏している。通信端末2は、基地局BS0およびUPF40を介していずれかのクラウド50に接続し、サイトIP1の第1ウェブサイト「www.111」にアクセスする。
図1の例では、基地局BS0-UPF40-クラウド50間の距離は、次の通りとなっている。[基地局BS0-UPF_1-クラウド1間の距離R1]>[基地局BS0-UPF_2-クラウド2間の距離R2]>[基地局BS0-UPF_Z-クラウドZ間の距離RZ]。したがって、通信端末2がサイトIP1の第1ウェブサイトにアクセスする場合、基地局BS0から最短経路をとるUPF_Nを介してクラウドZと通信を行うことで、MECを利用した遅延時間の抑制が可能となる。
【0034】
他方において、ユーザのアクセス傾向に応じて、通信端末2は特定の基地局BSを介して、より頻繁に特定のウェブサイトにアクセスする場合がある。例えば、近年のリモートワークでは、通信端末2に紐づけられたユーザは、自宅に居ながら勤務先の会社の所定のウェブサイトにアクセスする。このような場合、ユーザは、会社の位置にある基地局BSではなく、自宅に近い基地局BSを介してより頻繁に会社のウェブサイトにアクセスする。本実施の形態に係る通信管理システムでは、このようにユーザ毎、すなわち通信端末2ごとの基地局BS単位でのデータネットワークのアクセス傾向を機械学習モデルで学習し、通信端末2が所定のウェブサイトにアクセスする確率が最も高い経由基地局BSを決定する。さらに、通信管理システムは、決定された基地局BSから最短経路にあるクラウド拠点のクラウド50で通信端末2が通信を行うように通信制御を行う。
【0035】
[通信管理装置の機能ブロック]
通信管理装置1は、分析装置1Aおよび通信制御装置1Bを備える。分析装置1Aは、各通信端末2の基地局BS単位のアクセス傾向を機械学習モデルとして、隠れマルコフモデルを用いて求める。通信制御装置1Bは、分析装置1Aで得られた分析結果に基づいて、通信端末2が基地局BSから最短距離のクラウド拠点のクラウド50と通信するように通信制御を行う。
【0036】
分析装置1Aは、出力シンボル取得部10、学習部11、演算部12、決定部13、第1記憶部14、および出力部15を備える。出力シンボル取得部10は、第2取得部10A、第3取得部10B、および第4取得部10Cを備える。
【0037】
出力シンボル取得部10は、通信端末2が在圏する通信エリアの基地局BSを介してアクセスした第1ウェブサイトのサイトIPアドレス(第1識別情報)を含む出力シンボル系列を取得する。また、出力シンボル取得部10は、通信端末2が各基地局BS~BSnを介してアクセスした第1ウェブサイトを含む複数のウェブサイトの各々の識別情報であるサイトIPアドレスを示す出力シンボル系列を学習データとして取得する。
【0038】
第2取得部10Aは、加入者識別情報であるIMSIを有する通信端末2が在圏した通信エリアの基地局BS0~BSnおよび在圏した時間xを示す在圏ログを、コアネットワーク4から取得する。より具体的には、第2取得部10Aは、コアネットワーク4のAMF41が記憶するテーブル410(
図2)を参照し、通信端末2ごとの在圏ログを取得する。
【0039】
第3取得部10Bは、第2取得部10Aによって取得された通信端末2の在圏ログに含まれているIMSIに割り当てられた端末IPアドレスをコアネットワーク4から取得する。より具体的には、第3取得部10Bは、コアネットワーク4のSMF42が記憶するテーブル420(
図3)を参照し、通信端末2のIMSIに割り当てられた端末IPアドレスを取得する。
【0040】
第4取得部10Cは、第3取得部10Bで取得された通信端末2の端末IPアドレスに基づいて、IMSIごとの、サイトIPアドレスを有する各ウェブサイトへのアクセス時間を含むアクセスログをコアネットワーク4から取得する。より具体的には、第4取得部10Cは、コアネットワーク4が備えるDNS43が記憶するテーブル430(
図4)を参照し、通信端末2の端末IPアドレスをキーとして、アクセスログを取得する。
【0041】
第2取得部10A、第3取得部10B、および第4取得部10Cを備える出力シンボル取得部10によって取得された情報により、IMSIおよび端末IPアドレスが割り当てられた通信端末2が、どの基地局BSの通信エリアに在圏するタイムスタンプに対応する時間に、どのサイトIPアドレスを有するウェブサイトにアクセスしたかを把握することができる。
【0042】
学習部11は、出力シンボル取得部10によって取得された学習データに対する尤度を最大にする、通信端末2の接続が所定の基地局から別の基地局に切り替わる確率である状態遷移確率分布A、および、通信端末2が各基地局BSを介して、所定のサイトIPアドレスのウェブサイトにアクセスする確率であるシンボル出力確率分布Bを含む隠れマルコフモデルのパラメータを推定する。
【0043】
前述したように、本実施の形態に係る通信管理装置1は、機械学習モデルとして隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model:HMM)を採用する。隠れマルコフモデルは、マルコフ過程に従って変化する状態変数に依存した観測値である出力シンボルを確率的にとらえるモデルである。すなわち、複数の状態の間を移動する確率変数が、各時点でどの状態にあるかを推定することができるモデルである。
【0044】
より具体的には、学習部11は、通信端末2の移動にともなって切り替わる各基地局BS0~BSnを隠れ状態の有限集合とし、かつ、通信端末2が各基地局BS0~BSnを介してアクセスしたウェブサイトのサイトIPアドレスを観測可能な出力シンボルの有限集合とした隠れマルコフモデルを用いる。
【0045】
図5は、本実施の形態で採用される隠れマルコフモデルを説明するための図である。
図5に示すように、本実施の形態ではLeft-to-Right HMMを用いる。Left-to-Right HMMは、状態が必ず左から右に遷移し、次の状態に遷移すると前の状態へは戻ることができないエルゴード性がないとの仮定に基づくモデルである。
図5に示す各円は、通信端末2が在圏する基地局BS0~BSn、すなわち、直接観測することができない隠れ状態を示し、状態の集合S={S
1,S
2,…,S
n}で表される。
【0046】
また、
図5の例では、通信端末2は、初期状態の基地局BS0から最終状態の基地局BSnまで移動し、各状態のループは自己ループを示している。また、
図5では、通信端末2が隠れ状態である各基地局BS0~BSnを介してアクセスしたウェブサイトのサイトIPアドレス、すなわち唯一観測することができる出力シンボル系列の出力確率は、b
i(1),b
i(2),…,b
i(k)で示されている。これは、状態S
iである各基地局BS0~BSnを介して、通信端末2が予め設定されたk種類のサイトIPアドレス1~kの各々にアクセスする確率である。このように、状態Sで表される基地局BSからシンボルOで表されるサイトIPアドレスが出力されると考えることができる。
【0047】
隠れマルコフモデルのパラメータは、上記の隠れ状態の集合Sの他に、出力シンボルの種類K={1,2,…,k}、出力シンボルの集合O={O1,O2,…,Om}、初期状態確率の集合π={πi}、最終状態の集合、状態遷移確率の集合A={aij}、およびシンボル出力確率の集合B={bi(Ot)}を含む。
【0048】
初期状態確率π
iの総和は、次式(1)で表されるように、1を満たす。これは、Left-to-Right HMMでは、初期状態i=0のみで始まることによる。
【数1】
【0049】
最終状態に関し、Left-to-Right HMMでは、最後の状態は、ただ一つのみである。
【0050】
状態遷移確率a
ijは、状態S
iから状態S
jに遷移する確率であり、ある状態S
iから遷移する可能性のあるすべての状態S
jへの状態遷移確率の総和は次式(2)で示すように1を満たす。
【数2】
【0051】
シンボル出力確率b
i(O
t)は、前述したように状態S
iで出力シンボルO
tを出力する確率を示し、ある状態S
iから遷移するときに出力されうる全てのシンボルのシンボル出力確率の総和は、次式(3)で示すように1を満たす。なお、出力シンボルO
tは、時刻tにおいて観測される出力シンボルである。
【数3】
【0052】
上記のように定義される隠れマルコフモデルをλ=(A,B,π)と表す。学習部11は、隠れマルコフモデルλの状態遷移確率分布Aおよびシンボル出力確率分布Bのパラメータを推定する。隠れマルコフモデルでは、出力シンボル系列からは隠れ状態系列は直接観測できないため、直接最尤推定を行うことが困難である。そのため、学習部11は、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムと呼ばれる最尤法に基づく繰り返し演算によってこれらのパラメータを推定する。学習部11は、特に、隠れマルコフモデルに対するパラメータの推定に適応したものとしてよく知られているEMアルゴリズムの一つである、Baum-Welchアルゴリズムを用いて状態遷移確率分布Aおよびシンボル出力確率分布Bのパラメータを推定する。
【0053】
学習部11は、以下の第1ステップから第5ステップまでのBaum-Welchアルゴリズムの学習ステップを実行する。
【0054】
[第1ステップ]
まず、学習部11は、状態遷移確率分布Aおよびシンボル出力確率Bの初期値を設定する。学習部11は、任意の値を初期値として用いることができる。
【0055】
[第2ステップ]
次に、出力シンボル取得部10は、学習データの出力シンボル系列O
t={O
1,O
2,…,O
m}を決定する。学習データは、出力シンボル取得部10によって取得される、通信端末2が各基地局BSを介してアクセスしたウェブサイトのサイトIPアドレスの出力シンボル系列である。出力シンボル取得部10は、
図6に示すように、通信端末2の在圏ログのタイムスタンプと、ウェブサイトへのアクセスログのタイムスタンプとを比較して、どの基地局BSでどのウェブサイトへアクセスされたかを特定し、時刻tのシンボル出力系列O
tを決定する。
【0056】
具体的には、
図6に示すように、出力シンボル取得部10は、AMF41のテーブル410に記憶されている通信端末2の在圏ログのタイムスタンプの時刻x
1~x
n間で、DNS43が記憶するアクセスログに含まれる、通信端末2によるウェブサイトのサイトIPアドレス指定とそのアクセス時間t
1,t
2,…,t
nとを出力シンボル系列O
tとして決定する。また、出力シンボル取得部10は、通信端末2の在圏ログから、状態S
iを特定する。
図6の例では、基地局BSの番号0~nに応じて、状態S
1~状態S
nが特定される。なお、状態S
iは、学習部11が特定する構成としてもよい。
【0057】
[第3ステップ]
次に、学習部11は、Forwardアルゴリズムの変数であるgridの値をα
t(i)として次式(4)によって定義し、各α
tの計算を行う。
【数4】
上式(4)において、j=1,2,…,n-1である。
【0058】
[第4ステップ]
次に、学習部11は、Backwardアルゴリズムの変数であるgridの値をβ
t(t)として次式(5)により定義し、各β
tの計算を行う。
【数5】
ここで、j=1,2,…,n-1である。
【0059】
[第5ステップ]
続いて、学習部11は、時刻tにおける状態S
iから状態S
jへの遷移確率Γ
t(i,j)の計算を行い、状態遷移確率a
ijおよびシンボル出力確率b
j(O)の再計算を行う。
【数6】
上式(8)においてt∈0は、時刻tにおけるシンボル出力O
tが0であることを示す。
【0060】
その後、学習部11は、上記の第3ステップから第5ステップまでを繰り返し、パラメータが変化しない、あるいは尤度が変化しなくなった点を収束点とし、その時の状態遷移確率分布Aおよびシンボル出力確率分布Bを推定値として採用する。Baum-Welchアルゴリズムにおいては、第5ステップで遷移確率Γt(i,j)を状態遷移確率aijとシンボル出力確率bj(O)から計算する手続きがEMアルゴリズムの期待値(E)ステップに対応する。また、第5ステップにおいてシンボル出力確率bj(O)を遷移確率Γt(i,j)から再計算する手続きがEMアルゴリズムの最大化(M)ステップに対応する。
【0061】
図1に戻り、演算部12は、学習済みの隠れマルコフモデルを用いて、通信端末2が各基地局BS0~BSnを介して、出力シンボル取得部10によって取得されたサイトサイトIP1を有する第1ウェブサイトへアクセスする確率を求める。
【0062】
より具体的には、演算部12は、例えば、
図5に示すように、シンボル出力確率b
i(1),b
i(2),…,b
i(k)のk種類の出力シンボルに対応するサイトIPアドレス1~kの各々についての各状態S
iでのシンボル出力確率b
i(1),b
i(2),…,b
i(k)を求める。例えば、基地局BS0を介して通信端末2がIPアドレス1、IPアドレス2、・・・IPアドレスkにアクセスする確率は、それぞれ、b
0(1)=0.7、b
0(2)=0.2、・・・、b
0(k)=0.1と求められる。このようにして、演算部12は、学習済みの隠れマルコフモデルを用いて、各基地局BS0~BSnを介して通信端末2がサイトIPアドレス1~kの各々にアクセスする確率を求める。
【0063】
決定部13は、演算部12により求められた、通信端末2が各基地局BS0~BSnを介してサイトIP1の第1ウェブサイトへアクセスする確率に基づいて、通信端末2が第1ウェブサイトへアクセスする確率が最も高い基地局BSを決定する。決定部13は、例えば
図5に示す各基地局BS0~BSnでのシンボル出力確率の値を比較して、通信端末2がどの基地局BS0~BSnを介してサイトIP1へアクセスする確率が最も高いかを判定する。
図5の例では、通信端末2がサイトIP1(k=1)へアクセスする回数が最も多い基地局BSは、シンボル出力確率b
0(1)=0.7の基地局BS
0であると決定される。
【0064】
第1記憶部14は、学習部11によってパラメータが推定された学習済みマルコフモデルを記憶する。
【0065】
出力部15は、決定部13により決定された、通信端末2がサイトIP1の第1ウェブサイトにアクセスする確率が最も高い基地局BSの情報を、通信制御情報として出力する。なお、出力部15は、通信制御装置1Bに通信制御情報を送出することができる。
【0066】
次に、通信管理装置1が備える通信制御装置1Bは、第1取得部16、第2記憶部17、および通信制御部18を備える。通信制御装置1Bは、通信端末2が実際にアクセスした第1ウェブサイトのサイトIP1の情報に基づいて、通信端末2がサイトIP1にアクセスする確率が最も高い経由基地局BSから最短経路にあるクラウド拠点のクラウド50で通信端末2に通信を行うように通信制御を行う。
【0067】
第1取得部16は、出力部15からの通信制御情報に基づいて、第1ウェブサイトを提供する複数のクラウド50のうち、通信端末2による第1ウェブサイトへのアクセス確率が最も高い基地局BSからの物理的な距離が最短のクラウド拠点のクラウド50の情報を取得する。第1取得部16は、第2記憶部17から、最短経路にあるクラウド拠点のクラウド50の情報を取得する。
【0068】
第2記憶部17は、
図7のテーブル170を記憶する。テーブル170は、各基地局BS0~BSnと、UPF_1~UPF_Nの各々と、サイトIP1~サイトIPkの各々を提供するクラウド拠点であるクラウド1~クラウドZとの間の物理的な距離を記憶する。テーブル170は複数の通信端末2で共有される情報である。ここで、一例として、通信端末2がサイトIP1にアクセスする確率が最も高い経由基地局BSは、基地局BS0である場合について考える。
【0069】
この場合、第1取得部16は、
図7に示すテーブル170の破線の領域で示される、基地局BS0-UPF_1-クラウド1間の距離30kmと、基地局BS0-UPF_2-クラウド2間の距離20kmと、および基地局BS0-UPF_Z-クラウドZ間の距離3kmとを比較する。なお、クラウド1~クラウドZは、それぞれがサイトIP1のクラウド拠点である。
図7に示すように、通信端末2は、基地局BS0から、UPF_Nを介してクラウドZと通信を行う場合に最短経路をとる。したがって、第1取得部16は、第2記憶部17からUPF_Nの情報を取得する。
【0070】
通信制御部18は、第1取得部16によって取得されたクラウドZの情報に応じて、コアネットワーク4に対して、通信端末2の接続先を、クラウドZとする指示を行う。より具体的には、通信制御部18は、コアネットワーク4のSMF42に対して、IMSI1に係る通信端末2がUPF_Nで通信を行うよう指示を送る。通信制御部18による通信制御により、通信端末2は、基地局BS0から、UPF_Nを介してサイトIP1のクラウド拠点であるクラウドZと通信を行うことで、基地局BS0から最短経路でサイトIP1にアクセスすることができる。
【0071】
[通信管理装置のハードウェア構成]
次に、上述した機能を有する通信管理装置1を実現するハードウェア構成の一例について、
図8を用いて説明する。
【0072】
図8に示すように、通信管理装置1は、例えば、バス101を介して接続されるプロセッサ102、主記憶装置103、通信インターフェース104、補助記憶装置105、入出力I/O106を備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
【0073】
主記憶装置103には、プロセッサ102が各種制御や演算を行うためのプログラムが予め格納されている。プロセッサ102と主記憶装置103とによって、
図1に示した分析装置1Aの出力シンボル取得部10、学習部11、演算部12、決定部13、通信制御装置1Bの第1取得部16、通信制御部18など通信管理装置1の各機能が実現される。
【0074】
通信インターフェース104は、通信管理装置1と各種外部電子機器との間をネットワーク接続するためのインターフェース回路である。
【0075】
補助記憶装置105は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータなどの各種情報を読み書きするための駆動装置とで構成されている。補助記憶装置105には、記憶媒体としてハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体メモリを使用することができる。
【0076】
補助記憶装置105は、通信管理装置1が実行する学習プログラムを格納するプログラム格納領域を有する。また、補助記憶装置105は、通信端末2の通信制御を行うための通信制御プログラムを格納する領域を有する。補助記憶装置105によって、
図1で説明した第1記憶部14、第2記憶部17が実現される。さらには、例えば、上述したデータやプログラムなどをバックアップするためのバックアップ領域などを有していてもよい。
【0077】
入出力I/O106は、外部機器からの信号を入力したり、外部機器へ信号を出力したりする入出力装置である。
【0078】
なお、分析装置1Aおよび通信制御装置1Bをそれぞれ別個のハードウェア構成としてもよく、その場合、分析装置1Aおよび通信制御装置1Bの各々が、
図8に示すハードウェア構成を備える。
【0079】
[通信管理装置の動作]
次に、上述した構成を有する通信管理装置1の動作を、
図9および
図10のフローチャートを参照して説明する。
図9は、分析装置1Aによる隠れマルコフモデルの学習処理を示すフローチャートである。
図10は、分析装置1Aによる、パラメータが推定された学習済みの隠れマルコフモデルを用いた演算処理を示すフローチャートである。
【0080】
まず、
図9を参照して、分析装置1Aによる学習処理を説明する。はじめに、出力シンボル取得部10の第2取得部10Aは、AMF41から通信端末2の在圏ログを取得する(ステップS1)。第2取得部10Aは、AMF41のテーブル410を参照し、通信端末2に割り当てられているIMSI1が在圏する通信エリアの基地局BS0~BSnおよび在圏した時間を示すタイムスタンプを取得する。
【0081】
次に、出力シンボル取得部10の第3取得部10Bは、SMF42から通信端末2の端末IPアドレスを取得する(ステップS2)。具体的には、第3取得部10Bは、SMF42のテーブル420を参照し、通信端末2のIMSI1に割り当てられている端末IP1を取得する。
【0082】
次に、出力シンボル取得部10の第4取得部10Cは、DNS43から、通信端末2によるウェブサイトのアクセスログを取得する(ステップS3)。より具体的には、第4取得部10Cは、DNS43が記憶するテーブル430を参照し、ステップS2で取得された端末IP1によるウェブサイトのサイトIPアドレスの指定とタイムスタンプとを取得する。
【0083】
続いて、出力シンボル取得部10は、ステップS1からステップS3で取得されたデータに基づいて、隠れマルコフモデルのパラメータを推定するための学習データを取得する(ステップS4)。出力シンボル取得部10は、ステップS1で取得された在圏ログのタイムスタンプx1~xn間に対応する、ステップS3で取得されたアクセスログのタイムスタンプt1~tnで通信端末2がIPアドレス指定したウェブサイトのサイトIPアドレスの出力シンボル系列を学習データとして取得する。
【0084】
次に、学習部11は、ステップS4で取得された学習データに対する尤度を最大にする隠れマルコフモデルのパラメータを推定する(ステップS5)。具体的には、学習部11は、上述したBaum-Welchアルゴリズムの第1ステップから第5ステップまでの処理を実行し、状態遷移確率分布Aおよびシンボル出力確率分布Bを含むパラメータを推定する。
【0085】
ステップS5で推定されたパラメータは、学習済み隠れマルコフモデルとして第1記憶部14に記憶される(ステップS6)。
【0086】
次に、
図10を参照して、通信管理装置1が備える分析装置1Aによる学習済み隠れマルコフモデルを用いた演算処理について説明する。
【0087】
まず、演算部12は、第1記憶部14から学習済みの隠れマルコフモデルをロードする(ステップS10)。次に、出力シンボル取得部10は、通信端末2が基地局BS0~BSnを介してアクセスしているウェブサイトのサイトIPアドレスの出力シンボル系列を取得する(ステップS11)。
【0088】
具体的には、出力シンボル取得部10は、通信端末2が在圏している通信エリアの基地局BS0を介してアクセスしている第1ウェブサイトのサイトIP1を取得することができる。なお、ステップS11で取得される出力シンボルは、通信端末2のIMSI1と、在圏ログのタイムスタンプにおいて、通信端末2が指定した第1ウェブサイトのサイトIP1と、アクセスログのタイムスタンプとが含まれる情報である。この情報により、通信端末2が現在、サイトIP1の第1ウェブサイトにアクセスしていることが把握される。
【0089】
次に、演算部12は、学習済みの隠れマルコフモデルを用いて、通信端末2が各基地局BS0~BSnを介して、出力シンボル取得部10によって取得されたサイトIP1を有する第1ウェブサイトへアクセスする確率を求める(ステップS12)。演算部12は、例えば、
図5に示すように、通信端末2が、各状態S
iに対応する基地局BS0~BSnの各々を介してサイトIP1の第1ウェブサイト(k=1)にアクセスする確率値を基地局BS0では「0.7」、基地局BS1では「0.3」、・・・、基地局BSn-1では「0.1」と算出する。
【0090】
次に、決定部13は、ステップS12で求められた確率値に基づいて、通信端末2がサイトIP1の第1ウェブサイトにアクセスする確率が最も高い基地局BSを決定する(ステップS13)。例えば、
図5のケースでは、決定部13は、サイトIP1の第1ウェブサイトにアクセスする基地局BS0の確率値「0.7」が最も高いため、基地局BS0を選定する。
【0091】
次に、出力部15は、ステップS13で決定された基地局BS0の情報を、通信制御情報として出力する(ステップS14)。以上が通信管理装置1の分析装置1Aでの処理となる。
【0092】
次に、通信管理装置1が備える通信制御装置1Bにおける通信制御処理を、
図11の通信管理システムの動作シーケンスを参照して説明する。まず、通信端末2は、在圏する通信エリアの基地局BS0を介して、さらにUPF_1を介してクラウド1と通信し、サイトIP1の第1ウェブサイトにアクセスしている(ステップS100)。なお、ステップS100では、通信端末2の通信開始時にランダムに割り当てられたUPF_1によりクラウド1に接続している。
【0093】
次に、コアネットワーク4が備えるSMF42は、IMSI1を有する通信端末2が、UPF_1を介してサイトIP1にアクセスしているとの情報を通信管理装置1に対して通知する(ステップS101)。SMF42はテーブル420を参照して通知を行う。通信管理装置1の出力シンボル取得部10は、SMF42からの通知を取得する。
【0094】
次に、通信管理装置1が備える通信制御装置1Bは、分析装置1Aの出力部15から出力された通信制御情報を取得する(ステップS102)。例えば、通信制御情報として、通信端末2がサイトIP1の第1ウェブサイトにアクセスする確率が最も高い基地局BS0の情報が取得される。
【0095】
次に、通信制御装置1Bの第1取得部16は、ステップS102で取得された基地局BS0の情報に基づいて、サイトIP1の第1ウェブサイトを提供するクラウド50のうち、基地局BS0からの物理的な距離が最短となるクラウド拠点のクラウドZに接続するUPF_Nの情報を取得する(ステップS103)。具体的には、第1取得部16は、第2記憶部17が記憶するテーブル170を参照し、サイトIP1の第1ウェブサイトのクラウド拠点のクラウド1~クラウドZのうち、基地局BS0-UPF40-クラウド50間の物理的な距離が最短となるUPF_Nを選択する。
【0096】
次に、通信制御装置1Bの通信制御部18は、SMF42に対してIMSI1に係る通信端末2が、UPF_Nを使用して通信すべきことを示す通信制御指示を送出する(ステップS104)。続いて、SMF42は、通信制御指示に応じて、UPF_Nに対してIMSI1の通信端末2とのセッション確立の指示を送出する(ステップS105)。次に、セッション確立指示を受け取ったUPF_Nは、通信端末2とのセッションを確立する(ステップS106)。
【0097】
その後、UPF_Nは、通信端末2とセッションが確立したことを示す通知をSMF42に送出する(ステップS107)。次に、SMF42は、IMSI1に係る通信端末2に対してUPF_Nとの通信を行うよう指示を行う(ステップS108)。その後、通信端末2は、通信指示に応じて基地局BS0からUPF_NおよびクラウドZとの通信を行い、サイトIP1の第1ウェブサイトにアクセスする(ステップS109)。
【0098】
以上説明したように、本実施の形態に係る通信管理装置1によれば、通信端末2の移動にともなって切り替わる各基地局BS0~BSnを隠れ状態の有限集合とし、かつ、通信端末2が各基地局BS0~BSnを介してアクセスした各ウェブサイトのサイトIPアドレスを観測可能な出力シンボルの有限集合とした隠れマルコフモデルのパラメータを推定する。そのため、通信ネットワーク全体の通信管理のために、基地局BS0~BSn単位でユーザのアクセス傾向を把握することができる。
【0099】
また、本実施の形態に係る通信管理装置1によれば、通信端末2がサイトIP1の第1ウェブサイトにアクセスする確率が最も高い基地局BS0を決定する。そのため、MECを利用して、通信端末2が、基地局BS0から最短距離にあるクラウド拠点のクラウド50と通信を行うように通信管理を行うことができる。その結果として、通信端末2の通信における伝送遅延を抑制することができる。
【0100】
なお、上述の実施の形態では、5Gに準拠する通信管理システムである場合を例示したが、6G等に準拠する通信管理システムであってもよい。
【0101】
また、上述した通信管理装置1では、隠れマルコフモデルのパラメータの推定に係る学習処理を、Baum-Welchアルゴリズムにより行う場合について説明した。しかし、隠れマルコフモデルのパラメータの推定は、Baum-Welchアルゴリズムに限定されない。例えば、構造化変分推論を用いてもよい。
【0102】
また、上述した通信管理装置1では、分析装置1Aと通信制御装置1Bとが一つの装置内に設けられている場合について説明した。しかし、分析装置1Aと通信制御装置1Bとは、ネットワーク上に分散して独立した装置として構成されていてもよい。また、分析装置1Aおよび通信制御装置1Bが備える各機能部についてもそれぞれがネットワーク上に分散して構成する場合が含まれる。
【0103】
以上、本発明の通信管理装置および通信管理方法における実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0104】
1…通信管理装置、1A…分析装置、1B…通信制御装置、10…出力シンボル取得部、10A…第2取得部、10B…第3取得部、10C…第4取得部、11…学習部、12…演算部、13…決定部、14…第1記憶部、15…出力部、16…第1取得部、17…第2記憶部、18…通信制御部、2…通信端末、20…SIM、4…コアネットワーク、40…UPF、41…AMF、42…SMF、43…DNS、50…クラウド、101…バス、102…プロセッサ、103…主記憶装置、41a、42a、43a、104…通信インターフェース、105…補助記憶装置、106…入出力I/O、BS0~BSn…基地局、L、NW…ネットワーク。
【要約】
【課題】通信ネットワーク全体の通信管理のために、基地局単位でユーザのアクセス傾向を把握することを目的とする。
【解決手段】
通信管理装置1は、通信端末2が基地局BSを介してアクセスした第1ウェブサイトの第1識別情報を含む出力シンボル系列を取得する出力シンボル取得部10と、各基地局BSを隠れ状態の有限集合とし、かつ、通信端末2が各基地局BSを介してアクセスした各ウェブサイトの識別情報を観測可能な出力シンボルの有限集合とした隠れマルコフモデルのパラメータが事前に推定された学習済みの隠れマルコフモデルを用いて、通信端末2が各基地局BSを介して第1ウェブサイトへアクセスする確率を求める演算部12と、求められたアクセスする確率に基づいて、通信端末2が第1ウェブサイトへアクセスする確率が最も高い基地局BSを決定する決定部13とを備える。
【選択図】
図1