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特許7418651X線管-検出器アライメントのためのユーザインタフェース
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】X線管-検出器アライメントのためのユーザインタフェース
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240112BHJP
【FI】
A61B6/00 310
A61B6/00 360Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023500390
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2021068432
(87)【国際公開番号】W WO2022008397
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】20184465.1
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ステッドマン ブッカー ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ルッテン ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】サイモン マティアス
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-507306(JP,A)
【文献】特開2013-123629(JP,A)
【文献】米国特許第10136864(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00- 6/14
G01N 23/00-23/2276
G21K 1/00- 3/00
5/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線イメージングをサポートするためのシステムであって、
前記システムは、事前に訓練されたか訓練可能な機械学習モジュールを備え、前記機械学習モジュールは、X線イメージング装置のイメージング幾何学形状を調整するための出力修正情報を計算して、ターゲットイメージング幾何学形状を達成し、前記X線イメージング装置は、モバイルタイプであり、X線源とX線検出器との間の固定的な機械的結合なしで前記X線源及び前記X線検出器を備え、前記イメージング幾何学形状は、前記X線源と前記X線検出器との空間配置を示し、
前記システムは、前記出力修正情報に基づいて変調される前記イメージング幾何学形状の調整のためのユーザに対する命令を提供する変調器を備え、
前記機械学習モジュールは、イメージング幾何学形状の調整のための以前の特定のユーザに対する命令に対する前記特定のユーザの応答を含む訓練データで以前に訓練されている、
システム。
【請求項2】
前記システムは、異なるユーザに関連付けられた複数の事前に訓練されたか訓練可能な機械学習モデルを格納するメモリをさらに備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、資格情報に基づいてユーザを識別し、前記資格情報に基づいて前記複数の事前に訓練されたか訓練可能な機械学習モデルから前記機械学習モジュールを選択させるユーザ識別機能をさらに備える、
請求項に記載のシステム。
【請求項4】
i)前記変調器は、可視光プロジェクタが光ビームを表面に投影するように制御し、前記光ビームは、前記出力修正情報に従って変調され、
ii)前記変調器は、触覚バイブレータが、
a)前記X線イメージング装置のX線源に機械的に結合された手動アクチュエータに振動を与えるように制御するか、若しくは、
b)前記X線イメージング装置の前記X線源に通信可能に結合された電気入力装置に振動を与えるように制御し、機械的振動は、前記出力修正情報に従う、及び/又は、
iii)前記変調器は、電気音響トランスデューサが、前記出力修正情報に従って命令を音響出力するように制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
現在の前記イメージング幾何学形状の変化に応じて、前記ユーザに対する命令は更新される、
請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記変調器による光の変調は、光ビームによって投じられる光パターンの変化、光勾配の変化、光の色及び/又は色相の変化のうちの任意の1つ又は複数を含む、
請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記表面は、前記X線イメージング装置の検査領域内にある、
請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記表面は、前記検査領域内に存在するとき、患者によって定義される、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、入力修正情報を計算するナビゲーションユニットを備え、前記入力修正情報に基づいて、前記出力修正情報は、前記機械学習モジュールによって計算され、前記入力修正情報は、
i)前記X線イメージング装置に配置されるセンサにより提供されるセンサ測定値、
ii)形状を有する投影が前記X線イメージング装置の検出器で検出されるように、コリメータ設定を用いて獲得されるスカウト画像であって、修正情報は、所定の基準形状に対する前記形状のゆがみに基づいて計算されているスカウト画像、及び、
iii)前記検出器で検出され、散乱線除去グリッドによって生じる強度プロファイル
の任意の1つ又は複数に基づいて計算される、
請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム及び前記X線イメージング装置を含む、設備。
【請求項11】
X線イメージングをサポートするための方法であって、前記方法は、
機械学習モジュールによって、X線イメージング装置のイメージング幾何学形状を調整するための出力修正情報を計算して、ターゲットイメージング幾何学形状を達成するステップであって、前記X線イメージング装置は、モバイルタイプであり、X線源とX線検出器との間の固定的な機械的結合なしで前記X線源及び前記X線検出器を備える、当該達成するステップと、
変調器によって、前記出力修正情報に基づいて変調されるイメージング幾何学形状の調整のためのユーザに対する命令を提供するステップと、
を有し、前記イメージング幾何学形状は、前記X線源と前記X線検出器との空間配置を示し、
前記機械学習モジュールは、イメージング幾何学形状の調整のための以前の特定のユーザに対する命令に対する前記特定のユーザの応答を含む訓練データで以前に訓練されている、
方法。
【請求項12】
少なくとも1つの処理ユニットによって実行されるとき、前記処理ユニットに請求項11に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納した、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線イメージングをサポートするためのシステム、X線イメージング装置及びこの種のシステムを含む構成、X線イメージングをサポートするための方法、コンピュータプログラム要素並びにコンピュータ可読媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療関係者は、ときどきモバイルX線イメージャを用いる。それらは、面倒な悪い条件下でさえ、X線画像の獲得を可能にする。例えば、介護施設において長い間寝たきりだった高齢患者は、胸部X線を定期的に撮り、肺炎につながりうる肺の水の増加を監視する必要がある。
【0003】
しかしながら、これらのモバイルX線イメージャのいくつかが線量を抑えるのを助けるためのデバイス(例えば、コリメータ)を備えているが、患者及び関係者のためのX線量が依然として驚くほど高かった点に留意されてきた。加えて、画像スループットは、ときどき予想未満であった。
【0004】
モバイルX線イメージャは、出願人のWO2008/023301に記載されている。
【0005】
米国特許第10,136,864(B2)号には、画像獲得のためのX線装置及び関連した方法が記載されている。装置は、プレショットイメージング段階における仮のコリメータ設定でイメージャによって獲得されるスカウト画像(SI)を受信するように構成される視野修正(CS)を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、改善されたモバイルX線イメージングの必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって達成され、さらなる実施形態は、従属請求項において組み込まれる。以下の記載されている本発明の態様が、X線イメージング装置を含む上述の構成、X線イメージングをサポートするための方法、コンピュータプログラム要素並びにコンピュータ可読媒体に等しくあてはまる点に留意されたい。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、X線イメージングをサポートするためのシステムが提供され、システムは、事前に訓練されたか訓練可能な機械学習モジュールを備え、機械学習モジュールは、X線イメージング装置のイメージング幾何学形状を調整するための出力修正情報を計算するように構成され、X線イメージング装置は、モバイルタイプであり、X線源とX線検出器との間の固定的な機械的結合なしでX線源及びX線検出器を備え、ターゲットイメージング幾何学形状を達成し、システムは、出力修正情報に基づいて変調されるイメージング幾何学形状の調整のためのユーザ命令を提供するように構成される変調器を備え、機械学習モジュールは、イメージング幾何学形状の調整のための以前のユーザ命令に対する特定のユーザの応答を含む訓練データで以前に訓練されている。
【0009】
換言すれば、機械学習モジュールは、特定のユーザが撮像幾何学形状を調整する傾向があるやり方を説明する個人向けの修正情報を計算する。
【0010】
実施形態において、システムは、異なるユーザに関連付けられた複数の事前に訓練されたか訓練可能な機械学習モデルを格納するメモリをさらに備える。
【0011】
実施形態において、システムは、資格情報に基づいてユーザを識別して、前記資格情報に基づいて前記複数の事前に訓練されたか訓練可能な機械学習モデルから機械学習モジュールを選択させるように構成されるユーザ識別機能をさらに備える。
【0012】
実施形態において、以下の変調器の任意の1つ、任意の2つ又はすべてが想定される。i)変調器は、可視光プロジェクタが光ビームを表面に投影するように制御するように構成され、光ビームは、前記出力修正情報に従って変調され、及び/又は、ii)変調器は、触覚バイブレータが、a)イメージング装置のX線源に機械的に結合された手動アクチュエータに振動を与えるように制御するように構成される、又は、b)イメージング装置のX線源に通信可能に結合された電気入力装置を与えるように制御するように構成され、機械的振動は、前記出力修正情報に従う、及び/又は、iii)変調器は、電気音響トランスデューサが、前記出力修正情報に従って命令を音響出力するように制御するように構成される。
【0013】
実施形態において、現在のイメージング幾何学形状の変化に応じて、ユーザ命令は、更新される。例えば、パターン及び/又は与えられた振動及び/又は音を生ずる光ビームは、それに応じて変調される。このように、ユーザがイメージング幾何学形状を変えるとき、動的システムは、フィードバックが提供される。
【0014】
実施形態において、変調器による光ベースの変調は、光ビームによって投じられる光パターンの変化、光勾配の変化、光の色及び/又は色相の変化のうちの任意の1つ又は複数を含む。
【0015】
実施形態において、表面は、イメージング装置の検査領域内にある。表面は、患者の輪郭面であるが、しかし、他の任意の適切な表面、例えば、患者支持体(テーブル、ベッド)又は他の任意の適切な器材の部分である。
【0016】
実施形態において、表面は、検査領域内に存在するとき、患者によって定義される。
【0017】
実施形態において、ナビゲーションユニットは、入力修正情報を計算するように構成され、入力修正情報に基づいて、出力修正情報は、機械学習モジュールによって計算され、入力修正情報は、i)イメージング装置に配置されるセンサにより提供されるセンサ測定値、ii)形状を有する投影が前記イメージング装置の検出器で検出されるように、コリメータ設定を用いて獲得されるスカウト画像であって、修正情報は、所定の基準形状に対する形状の歪曲に基づいて計算されている、当該スカウト画像、及び、iii)検出器で検出され、散乱線除去グリッドによって生じる強度プロファイルの任意の1つ又は複数に基づいて計算される。
【0018】
他の態様において、上述した実施形態のいずれか1つに従うシステム及びイメージング装置を含む設備が提供される。
【0019】
他の態様において、X線イメージングをサポートするための方法が提供され、方法は、
-機械学習モジュールによって、X線イメージング装置のイメージング幾何学形状を調整するための出力修正情報を計算して、ターゲットイメージング幾何学形状を達成するステップであって、X線イメージング装置は、モバイルタイプであり、X線源とX線検出器との間の固定的な機械的結合なしでX線源及びX線検出器を備える、当該達成するステップと、
-変調器によって、出力修正情報に基づいて変調されるイメージング幾何学形状の調整のためのユーザ命令を提供するステップと
、を有し、
-機械学習モジュールは、イメージング幾何学形状の調整のための以前のユーザ命令に対する特定のユーザの応答を含む訓練データで以前に訓練されている。
【0020】
提案されたシステムは、特にモバイルX線における高線量の問題に対処することを可能にする。モバイルX線において、ソース及び検出器は、リジッドに結合されていない別々の構成要素である。2つの間には、定義されかつ知られた固定の空間関係は存在しない。これによって、正しいイメージング幾何学形状、例えば、アライメント、中心化、ソース検出器距離SIDなどのために調整することに困難が生じうる。有用な診断用フレームがキャプチャ可能であるまで、時間の制約がある関係者は、繰り返される再撮影に導かれる。これは、線量及び時間コストに達する。提案されたシステムは、高速かつ正確に、正しいイメージング幾何学形状のための調整を可能にする。システムは、機械学習を用いて、所定のユーザがイメージング幾何学形状の調整命令に応答する特定のやり方に合わせて調整される命令を提供する。提案された機械学習ベースのシステムでは、より少ない再撮影及びより少ない調整の繰り返ししか必要ない。システムは、ユーザが実行した調整対実際に提供された命令セットが記録される監視段階において収集される訓練データで訓練される。この訓練データから、ユーザ傾向に合わせて調整されるより良好な命令は、機械学習モジュールのパラメータを調整することによって学習され、以前の訓練における訓練データを適合させる。一旦訓練されると、事前に訓練された機械学習モデルを用いて、前記合わせて調整された修正情報及びそれゆえ命令を予測して、ユーザを正しいイメージング幾何学形状に高速に案内することができる。
【0021】
さらに他の態様において、コンピュータプログラム要素が提供され、コンピュータプログラム要素は、少なくとも1つの処理ユニットによって実行されるとき、処理ユニットに上述した実施形態のいずれか1つに従う方法を実行させるように適応される。
【0022】
さらに他の態様において、プログラム要素を格納したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0023】
定義
「ユーザ」は、人、例えば、医療関係者などに関するものであり、イメージング装置を動作させるか又はイメージング手順を監督する。換言すれば、ユーザは、概して、イメージングされる患者ではない。
【0024】
概して、「機械学習構成要素」は、機械学習(「ML」)アルゴリズム及びタスクを実行するように構成されるMLモデルを実施するコンピュータ化された構成である。MLアルゴリズムにおいて、タスクの性能は、より多くの処理する訓練データを有する構成を提供した後、測定可能に改善される。システムにテストデータを供給するとき、性能は、客観テストによって測定される。性能は、所定のテストデータのために達成される特定のエラーレートに関して定義される。例えば、T.M.Mitchell、「Machine Learning」、2ページ、1.1節、McGraw-Hill、1997参照。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】モバイルX線イメージング装置のイメージング構成を示す。
図1B】モバイルX線イメージング装置のイメージング構成を示す。
図2A-2B】イメージング幾何学形状を示す概略図である。
図3】ユーザによるX線イメージングをサポートするための機械学習ベースのシステムのブロック図を示す。
図4A-4D】コリメータを用いて決定可能な異なるイメージング幾何学形状の例を示す。
図5A-5C】現在のイメージとターゲットのイメージング幾何学形状との間の不一致を確立するために、実施形態において用いられるコリメータマスクを示す。
図6】X線イメージングをサポートする方法のフローチャートを示す。
図7】機械学習モデルの概略ブロック図を示す。
図8】機械学習モデルを訓練するための訓練システムを示す。
図9】機械学習モデルを訓練するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1Aを参照すると、モバイルX線装置IAが示される。この種の又は類似のモバイルX線装置が、集中治療病棟(ICU)において又は病院の救急外来(A&E)において又は一般病棟においてなどで用いられる。それらはまた、病院外で、例えば、緊急現場に立ち会うとき救急スタッフによって用いられる。
【0027】
一実施形態によれば、X線イメージング装置IA(「イメージャ」)は、「ドリータイプ」であり、患者PATに対して便利な位置で位置決め可能であるように、ローラR上のメインユニットMUを備える。メインユニットMUは、バッテリー及び/又は本線接続のような電源を含む。患者PATは、立つか、座るか、又は、入院患者用ベッドPB上に寝ている、又は、救急ストレッチャ若しくはベッド上に寝ている。しかしながら、ホイールが取り付けられることは、本願明細書において必須ではない。その代わりに、イメージャは、例えば、キャリアケース内のポータブルデバイスとして構成されるので、オフサイトで、屋外などで直ちに展開可能である。
【0028】
イメージャは、患者PATの少なくとも関心部分ROIをイメージングするためのX線ビームXBを生成することができるX線源XSを含む。イメージャは、ポータブルX線検出器Dをさらに含み、X線照射をレジストレーションする。理想的には、ROIは、ソースXSと検出器Dとの間の検査領域ER内にある。オプションで、イメージャは、前記ソースXSから退行するとき、形状及び/又は断面積において放射ビームXBを平行にするためのコリメータCOLを含む。より詳細には、画像獲得の間、X線ビームXBは、X線管XSから放射し、前記領域ROIで患者PATを通過し、その中の物質との相互作用による減衰を経験し、次に、そのように減衰したビームXBは、検出器Dの放射線感受性表面に当たる。放射線感受性表面は、(検出器)ピクセルとも称される複数の検出セルから成る。セルは、対応する電気信号を発することによって、(減衰した)X線ビームXBへの露出に応答する。次に、前記信号の収集は、データ獲得システム(「DAS」図示せず)によって、所定のセルのための前記減衰を表現するそれぞれのデジタル値に変換される。値の収集は、画像プロセッサIPによって投影画像に変換可能である。減衰ベースの投影画像の画像コントラストは、異なる組織タイプの異なる減衰能力によって参照される。しかしながら、本開示は、減衰ベースのイメージングに限定されるものではなく、位相差画像法のような他のモダリティとして、イメージングは、本願明細書の実施形態において想定される。
【0029】
イメージャIAは、病院関係者(以下、オペレータ又はユーザと称される)がイメージャIAを動作させるためのオペレータコンソールOCを含む。例えば、ユーザUSRは、ソースXSを始動してX線露出をトリガすることによって、前記コンソールOCを介して画像獲得を制御する。コンソールOCは、獲得したX線投影画像を見るための、又は、ユーザインタフェースを表示してユーザがモバイルX線装置IAなどを動作させるのを支援するためのディスプレイユニットDDを含む。
【0030】
モバイル又はポータブル検出器ユニットDは、実施形態では、フラットパネルタイプであるので、比較的平坦な平板又は板状の物体として構成される。一例において、検出器ユニットDは、長方形形状であり、例えば、約30cm×40cmであり、約3から5cm以下の厚さを有する。
【0031】
検出器Dは、無線接続を介して、X線装置のオペレーティングコンソールOCと通信可能である。コンソール及びモバイル検出器は、適切な無線インタフェース、例えば、検出器DにおけるエミッタTX及びコンソールにおけるレシーバRXを含む。したがって、画像信号は、メインユニットMUに組み込まれるコンピューティングデバイスPUに転送され、上述した画像処理が行われる。代替的に、画像処理は、イメージングサイトから遠隔の中央コンピュータにおいて行われる。次に、イメージは、モバイルコンピューティングデバイス、例えば、ユーザのスマートフォン、タブレット、ラップトップなどに転送される。この場合、イメージャは、「ベアボーン」タイプであり、オンサイトでの器材は、X線源、オペレーティングコンソール、及び、以下でさらに詳細に後述するような適切なホルダ/位置決め機構AR、MMのみを実質的に備える。大部分の場合により不都合であるが、有線ソケット接続を介して検出器Dがメインユニットと通信する有線の実施形態が想定可能である。
【0032】
正確にどの検知セルが、イメージングビームXBに露出されるか、及び、それゆえ、最後に画像形成に寄与しうるかは、正しいイメージング幾何学形状のための調整の問題である。イメージング幾何学形状は、特に、任意のイメージングセッションの間の視野(FOV)を決定する。正しいイメージング幾何学形状の調整は、i)正しい管XSと検出器Dとのアライメント、ii)正しいソースXSと検出器Dとの距離(SID)、iii)正しいコリメータ開口を必要とする。FOV調整は、以下、臨床ユーザシナリオを参照してさらに詳細に示されるように、モバイルX線イメージャでは挑戦的である。
【0033】
1つの使用シナリオにおいて、例えば、ユーザUSRは、モバイルX線イメージャIAを、そのローラRを介して患者PATのベッドPBの近くに位置決めする。次に、患者は、体を起こすよう依頼されるか、又は、そうするために虚弱すぎる場合、医療スタッフによって穏やかに寝返りを打たされ、検出板Dは、ベッドのB支持面上に位置決めされる。ポータブル検出器ユニットDは、ハンドル又は類似物を含み、その位置決めを容易にする。次に、患者PATは、患者の胸部若しくは背部又は関心ROIの他の領域によってポータブル検出器Dを実質的にカバーするように、元に戻るように転がされるか又は横になるよう依頼される。この経験を患者にとってより都合良くするために、モバイル検出器は、その表面全体に配置される加熱要素を含み、横になるときに患者PATの体が検出器D面に接触するとき、前記表面が実質的に体温の近いことを確実にする。1つのあり得る臨床応用は、胸部X線であるが、本願明細書において、腹部、腕、脚などのような他のROIのイメージングも想定される。
【0034】
上記のシナリオから、特に胸部X線シナリオにおいて認識できるように、X線検出器Dの放射線感受性表面の大部分(又は全体さえ)は、患者がその上に寝ているので、イメージングの間視覚的に塞がれる。検出器は、さまざまなサイズである。多少コンパクトに造られた検出器は、患者がその上に横になるよう依頼されると、視界から完全に「消える」。
【0035】
換言すれば、大まかで迅速なX線管と患者とのアライメントの後、ユーザUSRが実際の画像獲得を続行した場合、例えば、検出器及びX線管/検出器及びコリメータのミスアライメントが生じそうであるので、下位の最適画像を取得する深刻な危険が存在する。
【0036】
イメージング幾何学形状の調整を実行するために、イメージャIAは、多くの機構を含む。例えば、モバイルX線装置は、1つ又は複数のX線源XSの位置決め及び/又は姿勢調整機構MM、ARを含む。前記機構は、検出器Dに対するX線管XRの3Dの位置及び/又は姿勢制御を可能にする。
【0037】
図1Bは、ハウジングHS内に収納される際のイメージング装置のソースの正面図の概略図である。ソースXSの取付機構MMは、最高3つの空間軸X、Y、Zのいずれか1つの周りの角形成及び/又はシフトによる調整をサポートし、シフトは、例示的なシフトベクトル
【数1】
として示される。取付機構MMは、スライダ、ローラ、ホイール、レールなどを有するボール軸受ユニットを含み、シフト及び/又は回転を可能にする。
【0038】
一実施形態によれば、X線源XSの位置決め及び/又は姿勢調整機構は、アームARを、その遠位端に結合された取付機構MMとともにさらに含む。オプションで、アームARは、間隔を介して管XSを位置決めするために、さらなる自由度を加えるように関節で結合される。例えば、関節アームは、管XSが、メインユニットMUから離れて、検出器Dが位置することが起こるところの方に進むのを可能にする。取付機構は、アームARに対する管の姿勢/位置を変えることを可能にする。したがって、アームARが、検出器上の粗い位置決めのために動作する間、取付機構MMの独立動作は、位置及び/又は姿勢の改良を可能にする。アームARは、その1つ又は複数の関節のおかげで、SIDの垂直の調整を可能にする。オプションで、アームARは、SID調整を容易にするために伸縮自在である。代替的に、取付機構MMは、垂直なポールとして配置されるアームARに沿って摺動可能である。SIDの調整は、拡大を制御することを可能にする。上述した調整のいずれかは、適切な手動アクチュエータMAによって手動で行われるか、又は、ユーザ入力デバイスJS、例えば、ジョイスティック又は類似物によって遠隔制御を通して電気機械式アクチュエータの動作によって行われる。
【0039】
例えば、X線源XSは、ハウジングHS内に配置される。ハウジングは、取付機構MMに結合される。図1に示すように、ハウジングHSは、1つ又は複数の手動アクチュエータMA、例えば、ハンドホイール、レバー、ハンドルなどの1つ又は複数を含み、ユーザは、調整機構MMと係合し、それゆえ、間隔を介して管XRの姿勢及び/又は位置を手動で調整する。代替的に又は追加的に、少なくとも部分的にモータを備えた実施形態もまた想定され、多くの適切な電気機械式アクチュエータ(図示せず)、例えば、ステッパーモータなどが配置され、それらを介して、軸X、Y、Zに対するシフト/回転が独立して達成可能である。ユーザ入力デバイス、例えば、ジョイスティックJS又は類似物は、コンソールOCに設けられ、ユーザは、管XSの位置及び/又は姿勢及び/又はSIDを遠隔制御することができる。コリメータのコリメータブレード(図示せず)は、コリメータ開口がビームXBの形状及び/又は断面積を減少又は増加させるように調整するためのアクチュエータによって動作する。これは、取付機構MMの動作によってソースXSをシフトすることに加えて、さらにFOVを制御することを可能にする。
【0040】
姿勢及び/又は位置の変化をもたらすX線源XSの取付機構MMは、現在の位置/角形成の追跡を可能にする符号化器ENCを含む。類似の符号化器は、関節アームARのために、及び/又は、コリメータCOLブレードのために提供される。
【0041】
3Dの位置及び/又は姿勢制御が望ましいが、本願明細書において、制限された自由度をもつより単純なイメージャIAが除外されるわけではない。例えば、この種のいくつかの実施形態では、例えば、ソースXSは、回転なしで面内でのみシフト可能である。
【0042】
例えば、検出器、コリメータ及びX線管がCアームのそれぞれの端上に対向関係で永続的に/リジッドに取り付けられるCアームイメージャの場合のように、永続的な予め定義された演繹的な知られた空間関係がX線管/コリメータと検出器の画像面との間にないので、間違ったイメージング幾何学形状、例えば、ミスアライメントのために調整される危険は、イメージャIAのモバイル性質によって悪化する。FOVが誤っている場合、臨床的に基本的な部分は切り離される。ひいては患者線量及び時間コストを上昇させる撮り直しが必要である。
【0043】
上記から推測されるように、X線源XSと検出器Dとの間の正しい相互の空間配置は、良好な画像品質にとって重要である。この目的で、イメージング構成IARは、コンピュータ化システムSYSを含み、ユーザがこの正しい相互の空間配置を達成するのを支援する。上述の空間配置は、本願明細書において、イメージング幾何学形状と称される。換言すれば、イメージング幾何学形状は、以下の4つのイメージング参加物、すなわち、検出器D、ソースXS、X線ビームXB及び画像を望む患者の領域であるROIの間の空間関係を定義する。
【0044】
コンピュータ化システムSYSは、イメージング装置AIのコンピューティングユニットPU内に組み込まれる。代替的に、システムはクラウド内の2つ以上の処理ユニットによって管理されるか、又は、イメージャIAを有する通信ネットワーク内で最適に接続されるサーバなどのアーキテクチャセットアップに分散される。本願明細書において、「ユーザガイダンスシステム」と称されるシステムSYSは、ハードウェアにおいて、ソフトウェアにおいて、又は、部分的に両方において実施される。コンピュータ化システムSYSは、モバイルX線による画像獲得から、「当て推量」を取り出す。コンピュータ化モジュールSYSは、ユーザが、高速かつ正確に、非常に低い線量コストで、又は、線量コストなしで、正しいイメージング幾何学形状のための調整を行うように案内する。
【0045】
以下、イメージング幾何学形状の概念をより詳細に調査し、また、本願明細書において用いられる特定の用語を導入する図2A図2Bを参照する。最初に図2Aに関連して、イメージング幾何学形状IGは、特に、中心化、角形成及び距離SID=dを含む。さらに詳細には、ソースXSが検出器Dに対して適切に中心化される場合、望ましいか又は正しいイメージング幾何学形状が達成される。この中心化は、イメージング軸IX、すなわち、管XSの焦点スポットFSから検出器Dの放射線感受性表面上の中心点CPまで走る想像線によって記載可能である。実施形態において、例えば、検出器表面は、長方形又は正方形のエリアであり、中心点は、2本の対角線が交差するところである。適切に中心化されるとき、イメージング軸は、検出器Dの放射線感受性表面の法線ベクトル
【数2】
に平行である。ソースXS及び検出器が中心にアライメントするターゲットイメージング幾何学形状Gのための現在のイメージング幾何学形状Gを調整するために、シフト又は並進
【数3】
及び/又は角形成φが必要である。角形成φは、3つの空間軸X、Y、Zの周りで1つ、2つ又は3つのそれぞれの回転を含む図2Aの上部に示される。本願明細書において、回転は、それぞれピッチ、回転及びヨーと称される。シフト
【数4】
及び角形成φに加えて、X線源と検出器との間の距離dの調整が必要である。前記距離dはまた、ソースから画像までの距離「SID」とも称される。SIDは、FOVの拡大及び角形成/中心化を決定する。上記の並進S及び角形成φ又は回転は、ワールド座標系X’Y’Z’に対して示される、又は、図2Aに示すようにソースXSの焦点スポットFSを通過するローカル座標系X、Y、Zに対して示されることを理解されたい。一般的に、及び、図2Aの参照を続けることで、イメージング幾何学形状を変えるための自由度は、アフィン変換Tとして概念化される。各アフィンは、回転R及び線形シフト(並進)Sの複合として形式化され、又はその逆である。
T:R〇S又はS〇R (1)
【0046】
変換Tは、イメージング幾何学形状に作用する。イメージング幾何学形状は、シフトベクトルSのための3つの空間座標、角形成φのための3つの角座標(各成分はそれぞれの軸X、Y、Zの周りの回転を記載する)及び距離dを有する7つの次元空間の点として記載可能である。座標は、位相空間PSと称されるベクトル空間内の点を表現し、簡略化した3次元は、図2Bに示される。正しい中心にアライメントされたイメージング幾何学形状Gは、位相空間の起点で示され、Gは、おそらく正しい距離dでではなく、中心を外れた及び/又はミスアライメントされた幾何学形状Gを表現する。
【0047】
現在のイメージング幾何学形状からターゲットイメージング幾何学形状への修正は、修正情報として概念化され、点Gから起源まで延在するこの位相空間内のベクトルとして表現され、ターゲットイメージング幾何学形状Gは、概念の損失なしに、起源によって表現される。修正情報は、ユークリッド距離として、又は、さらに一般的に言えばイメージング幾何学形状点G、Gのためのベクトル間の成分ごとの相違ベクトルとして表現される。Gが起点にある場合、修正情報は、Gのベクトルの成分である。
【0048】
イメージング幾何学形状の調整そのものは、図2Bの破線矢印に示すように位相空間PS内の異なる修正経路pを実現することによって、複数のやり方で達成可能である。例えば、最初にSに沿ってシフトを実行し、次に角形成φを変える、又はその逆を行う。さらに、各角形成は、複数の部分的な回転の複合φ=φ〇φ、〇…、〇φとして実行され、同じことは、シフト
【数5】

【数6】
のために有効である。各々が中心化してアライメントされたターゲットイメージング幾何学形状Gのために現在の幾何学Gをどのように修正するかに関するそれぞれの修正情報を表現する多数の修正経路pが存在する。本願明細書において想定されるユーザガイダンスSYSは、ユーザUSRによる画像幾何学形状の調整を容易にするように構成される。以下、図3の概略ブロック図に示されるガイダンスSYSが参照される。システムSYSは、機械学習モデルMを組み込む機械学習モジュールMLMを含む。機械学習モデルMは、訓練データに基づいて、以前に訓練されている。訓練動作は、以下でより詳細に説明される。したがって、システムSYSは、3つのモード、すなわち、訓練データが記録される監視モード、モデルが記録された訓練データに基づいて訓練される訓練モード、及び、訓練されたモデルが用いられる展開モードで動作可能である。
【0049】
機械学習モデルが十分に訓練されたとしばらく仮定すると、機械学習モジュールは、ユーザがイメージングの前に迅速なイメージング幾何学形状の調整を達成するのを支援するように構成される。
【0050】
概して、システムのナビゲーションユニットNUは、図2Bのような位相空間における特定の修正経路pとして再表現可能である、修正情報の第1のバージョンを確立する。機械学習モジュールは、ナビゲーションユニットにより提供される修正情報を処理し、以下で、より完全に調査されるユーザUSRのための命令に変えられる個人向けの修正情報を計算する。
【0051】
ナビゲーションユニットNUのための実施形態は、本願明細書において想定され、機械学習モジュールに移動する前に、最初にさらに詳細に述べられる。すべての実施形態において必須ではないが、実施形態において、ナビゲーションユニットNUによって処理されて第1の正しい情報を計算する測定データを提供する1つ又は複数のセンサSSが用いられる。機械学習モジュールMLMは、そこから個人向けの修正情報を出力として計算する。機械学習モジュールによって計算される個人向けの修正情報は、特定のユーザがイメージング幾何学形状を調整する傾向があるやり方を説明する。
【0052】
次に、出力された個人向けの修正情報は、変調器MODによって処理され、個人向けの計算された修正情報をユーザ命令、例えば、手動アクチュエータMAと係合することによって、ターゲットイメージング幾何学形状Gを達成するために、イメージング幾何学形状を調整するように、ユーザによって容易に解釈されることができるセンサ表現に変調する。図2Bの位相空間に戻り、ナビゲーションユニットNUにより提供される標準修正経路pは、所定のユーザUSRが訓練データにおいて符号化されるのと同程度に以前の調整から学習されるイメージング幾何学形状を調整する傾向があるやり方に対応する好適な通路pに変換される。機械学習モジュールは、単に、固定の修正経路にマップするだけでなく、過去の命令に応答する傾向があったときのユーザの傾向も学習している。
【0053】
一実施形態において、変調器MODは、光プロジェクタLPによって放出される可視光を変調する光変調器L-MODである。光プロジェクタは、光変調器によって、光ビームLBを適切な表面SF上に投影させるように命令される。光ビームは、機械学習モジュールMLMによって計算される個人向けの命令を符号化する光パターンPTに変調される。光プロジェクタLPは、有利には、X線源XSのハウジングHS内に組み込まれる。それは、光ビームLB及びそれゆえパターンPTを、患者の皮膚又は患者などが着用する衣類(例えば、ガウン)によって形成される表面部分上に投影するのに用いられる。このように変調される光プロジェクタLPによる光を用いることは、悪い視界不良の光条件において特に有利である。
【0054】
この種の光変調に加えて又はその代わりに、触覚変調器H-MODが用いられる。触覚変調器H-MODは、触覚バイブレータHVを制御することによって、機械学習モジュールMLMによって提供される個人向けの修正情報を、振動パターンPTの形の個人向けの命令に符合化するように動作可能である。触覚バイブレータHVは、例えば、ソースハウジングHSのハンドルMA内に、又は、例えば、ジョイスティックのハンド部分内に組み込まれる。振動の周波数及び/又は強度を変えることによって、ユーザUSRは、ターゲット幾何学形状Gに案内可能である。
【0055】
一般的に、(個人向けの)命令を表現する変調信号は、ターゲットイメージング幾何学形状Gから現在のイメージング幾何学形状Gの位相空間内の距離によって変化する。例えば、触覚バイブレータHVを参照すると、現在のイメージング幾何学形状が、より多くターゲット幾何学形状Gから偏差すると、これは、より高い強度又は周波数で振動し、今度は、ターゲットイメージング幾何学形状Gに接近するにつれて、強度及び/又は周波数が小さくなり、ターゲットイメージング幾何学形状になると、振動は終了する。同様に、光変調器L-MODによるリアルタイムフィードバック変調は、現在のイメージング幾何学形状Gからターゲットイメージング幾何学形状Gまでの距離により、光強度を変える観点である。加えて、又は、代わりに、光の色又は光の色のパターンは変化する。例えば、悪いイメージング幾何学形状を表す赤色は、例えば、ターゲットイメージング幾何学形状に接近していることを示す緑色に動的に移行する。オプションで、所定の色の色相又は明るさは、設定可能に変化する。他の例の実施形態において、傾斜又は回転は、例えば、色勾配によって、赤から青までによって示される。したがって、オペレータは、均一なカラーパターンが達成されるまで、ソース角形成及び傾斜を操作することができる。具体的には、実施形態において、光パターン自体は、異なる部分から成り立ち、各々は、必要な幾何学形状の調整の異なる空間態様のために符号化する。例えば、赤色の部分は、ソースXSが検出器の一端にあまりに近いことを示し、一方、青色の他の部分は、ソースXSが他端からあまりに遠いことを示す。パターンの部分の空間配置は、それぞれの端の位置に相関する。したがって、このタイプの光変調命令は、ソースXS中心化においてユーザをサポートし、ソースXSから両方の検出器の端までの等間隔を最終的に達成する。ソースXSが中心化されているが、ソース検出器距離が正しくない場合、例えば、あまりに小さい場合、パターンの両部分は赤くなる。そして、ソース検出器距離があまりに大きい場合、両部分は青くなる。正しいソース検出器距離d及び中心化は、同種のターゲットカラー、例えば、緑色に移行する光パターンの両部分によって示される。これと同様のやり方では、他の2つの検出器の端に対する「上/下」の偏差は、他の対の光パターン部分の変色によって示される。投影光パターンは、正方形又は長方形のような検出器の放射線感受性表面に類似の形状のエリアをカバーする。4つの部分は、4つの検出器の端との空間相関において、エリアの4つの端で形成される。一般的に、光変調は、変化する光の色、色勾配、色相又は強度の任意の1つ又は複数とすることができる。光命令は、ターゲット幾何学形状Gに対する現在の幾何学形状Gの位相空間PS内の距離によって変化する。触覚の実施形態にも類似である。上述した光変調パターンは、効果的なユーザマシンフィードバックを可能にする。それは、ROIを照明するのを助けて、ユーザに焦点を合わせるのを助ける。それは、さらに、命令の異なる空間態様(中心化、SID調整)を単一の光パターンに統合し、したがって、高速のイメージング幾何学形状の調整を容易にする。
【0056】
加えて、又は、代わりに、示唆的なアニメーション又は静止グラフィックスは、表面SF上に、例えば、患者上に投影される。例えば、修正シフトの方向に移動するように見える矢印が表示され、又は、回転軸のそれぞれのグラフィックス表現の周りで見たところ巻きつけることによって量及び方向を示す巻き矢印がそのように投影される。
【0057】
実施形態において、命令を音響出力するために、電気音響トランスデューサSPに結合され、これを駆動する音響変調器S-MOD、例えば、スピーカが存在する。命令は、自然言語、又は、他のサウンドパターンである。例えば、ユーザがイメージング幾何学形状を調整し、ターゲットイメージング幾何学形状に接近させるとき、サウンドピッチは変化する。上述した変調器S-MOD、L-MOD、H-MODのいずれかは、他の2つなしでスタンドアロンとして用いられるか、又は、3つすべてが組み合わされる。3つの変調器S-MOD、L-MOD、H-MODの任意の2つの任意の小結合もまた、本願明細書において想定される。
【0058】
機械学習モジュールMLMは、光又は触覚ベースの変調器MODと組み合わせて、リアルタイムフィードバックモードで動作すると理解されなければならない。換言すれば、ユーザUSRによる現在のイメージング幾何学形状の任意の調整は、ナビゲーションユニットNUによって行われる。ナビゲーションユニットNUは、機械学習モジュールMLMに供給される新しい修正情報を再計算し、更新された個人向けの修正情報を提供する。新しい個人向けの修正情報は、変調器MODに伝えられ、出力信号を再変調して、更新された光又は振動の信号パターンの形の新しい/更新された個人向けの命令を引き起こす。
【0059】
ユーザ命令を符合化するための触覚及び光学パターン変調の上述した実施形態の代わりに、又はそれに加えて、変調器MODの他の実施形態も想定される。例えば、変調器MODは、コンソールOCでディスプレイデバイスDDを制御するためのグラフィックスドライバを含む。命令は、例えば、オペレータコンソールOCのディスプレイデバイスDD上に表示されるか、又は、出力システムSYSに通信可能に結合された他の任意の監視上に表示される。命令は、テキストで、英数字形で、又は、静止若しくはアニメーションのグラフィックスとして表示される。
【0060】
以下、ナビゲーションユニットNUの動作は、さらに詳細に記載されている。ナビゲーションユニットNUは、ソフトウェアで、ハードウェアで、又は、部分的に両方で構成され、好ましくはシステムSYS内に組み込まれる。上述したように、ナビゲーションユニットは、特定のセンサSSから受信される測定値に基づいて第1の(入力)修正情報を計算し、機械学習モジュールMLMへの入力として提供される。
【0061】
1つ又は複数のこの種のセンサSSが用いられる。実施形態において、少なくとも2つのセンサが用いられ、一方は、検出器Dに配置され、他方は、X線源に、例えば、そのハウジングHSに配置される。実施形態において、一対のセンサのそれぞれは、ジャイロスコープ及び/又は加速度センサを含むが、他の任意の適切なセンサ技術も用いられる。患者の後ろに配置されるとき、検出器は、実質的に静止しているので、例えば、患者がその上に横になるとき、検出器のセンサSS1(本願明細書において、「検出器センサ」と称される)は、X線源に取り付けたセンサSS2(本願明細書において、「ソースセンサ」と称される)の現在の測定値と比較可能な安定した測定値を提供すると予想される。ユーザがX線源の回転及び/又は並進によってイメージング幾何学形状を調整している間、ソースセンサ測定値は、検出器センサの一定の測定値と比較されて修正情報を確立する。ジャイロスコープ及び/又は加速度センサの角形成の調整は、必ずしもセンタリングではない。センタリングを達成するために、センサSSは、i)1つ又は複数の電磁界生成ユニット(「EFGU」)、例えば、コイルと、ii)電磁界センサ(「EFS」)、例えば、ホールセンサ、コイルなどと、の組み合わせをさらに備える。EFGU及びEFSは、それぞれ、管XS及び検出器Dに取り付けられる、又は、逆もまた同じである。
【0062】
いくつかのイメージングプロトコルにおいて、患者PATは、ほぼ直立位置に座るよう依頼され、このことは、ソースが0°又は90°以外の角度で傾斜する必要がある。この目的で、検出器D及びX線管XSの両方に配置される(例えば、組み込まれる)ジャイロスコープ及び/又は加速度計センサの上述した使用は、正しいイメージング幾何学形状のために調整されるのに有利である。
【0063】
しかしながら、この種の外部のセンサ回路SSの使用は、本願明細書におけるすべての実施形態において必要というわけではなく、その代わりに、既存のイメージング構成要素を用いて修正情報を確立する。この種の一実施形態において、X線検出器投影イメージは、コリメータCOL制御と組み合わせて、本願明細書において、プレショットと称される低線量露出時間に応答して記録される。図4Aから図4Dを参照して原則がさらに詳細に説明される。図4A図4Cは、ビームXBが中心を外れた状況を表現し、一方、図4B図4Dは、加えて、イメージング軸が検出器D面の法線
【数7】
に対してある角度ですなわち傾斜している状況を表現する。悪いイメージング幾何学形状のこれらの場合の各々は、図4C図4Dに示すように、投影スカウトイメージにより確立可能である。スカウト画像は、それに応じて管電圧及び/又は管電流を調整することによって、低線量ビームへの露出によって取得される。好ましくは、管電圧は維持され、電流が下げられる。低線量ビームは、予め定義された知られた形状に、例えば、長方形の形状又は他の任意の予め定義された形状にコリメートされる。それゆえ、投影イメージとして記録可能な投影形状がどのように見えるかは、演繹的に知られている。検出器でレジストレーションされる形状が予め定義された形状から逸脱する場合、これは、図4C図4Dに例示的に示されるように、傾斜及び/又は中心を外れた状況のような、誤ったイメージング幾何学形状の兆候である。例えば、図4Cでは、小さい長方形の形をした投影足跡は、閾値セグメンテーションによって取得可能である。その中心点は確立される。投影足跡の中心点は、検出器表面の演繹的に知られている中心点位置と比較され、2つの間のベクトル差は、シフトベクトル
【数8】
に相関可能であり、それによって、中心化を達成するために、ソースをシフトする必要がある。同様に、図4Dの投影足跡において、これは、平行四辺形への予想される長方形の形状の歪曲である。平行四辺形の角度は、足跡の端のためのセグメンテーションによって測定可能であり、3次元幾何学技術によって、検出器表面の法線に対するX線源によって現在経験される傾斜に相関可能である。また、この情報は、ターゲットイメージング幾何学形状Gのための修正に必要な角修正φに相関可能である。図4C図4Dのいずれの場合においても、相関は、3D空間の従来のアフィン幾何学の原理及び投影の法則に基づく。
【0064】
図5Aから図5Cは、コリメータベースの修正情報計算のさらなる実施形態を示す。これらの実施形態において、回転機構などを回すことによってプレショットX線ビームに方向を変えられるコリメータマスクが用いられる。マスクは、所定の数の開口部OP1-5又は開口を含む。開口OP1-5は、所定の形状を有し、開口部の各々によって生じる投影足跡のそれぞれの幾何学形状は、図4において上述したように用いられ、ターゲットイメージング幾何学形状を確立するのに必要な修正情報の量を計算することができる。修正情報に関する曖昧性を減少するために、形状は異なり、例えば、各複数の開口部OP1-5の各々は、他のものと異なる形状を有するので、すべての開口部は異なるが、ただし、これは、すべての実施形態において必ずしもそうであるわけではなく、異なる形状を有する2つ又は3つの開口部のみでも十分である。好ましくは、複数の形状は、図5Cに示す仮想の三角形の3つの頂点として配置される三角形レイアウトのマスクに切断される。代替的に、図5Bに示すように、レイアウトは、仮想の正方形又は長方形の中心点及び4つの頂点である。また、奇数の開口を用いること及び/又は開口を非対称形に配置することは、上述した曖昧性を減少させるのを助ける。図5Bのように異なる形状を用いることの代わりに、又はそれに加えて、図5Aに例示的に示されるように、異なるサイズの開口OP1-5が用いられる。再び、なぜなら、記録可能な投影足跡のサイズ、形状及び歪曲は、開口OP1-5によって予め決定されるからである。偏差がある場合、修正情報は、アフィン幾何学の原理に基づいて計算される。図5Aの投影足跡は、ペンシルビームwの足跡に似ており(この例では5)、それは、好ましくは、ソースXSに対する検出器Dの距離、傾斜及び回転エラーを修正するためのすべての必要な情報を提供する。図5A(及び図5B)のコリメータ設定は、放射線量を減少するのを助ける。図5Aは、対称配置を示す。図5Bのような非対称形の投影足跡パターン、例えば、特徴的なシェーパ、例えば、円、偏菱形、十字などを有するパターンも想定される。しかしながら、図5A図5Bの形状及びレイアウトは、例示的であり、制限するものではないことを理解されたい。
【0065】
コリメートされたスカウト画像のエリアサイズは、検出器面の両方の空間方向に沿って確立される。それとともに総面積検出器D平面に対する比率rは、ナビゲーションユニットNUによって確立される。この比率は、正しいSIDを確立するために用いられる。より詳しくは、SIDを計算するために、コリメータ投影足跡は、スカウト画像の拡張と比較される。FCD(焦点コリメータ距離)が与えられると、SID=FCDrである。
【0066】
ナビゲーションユニットNUのコリメータベースの実施形態において、イメージングセッションは、2つの連続した段階、すなわち、プレショット段階及び次の画像獲得段階で進む。プレショット段階では、X線照射管が非常に低い線量で、例えば、検査の対象のそのときの患者PATのために必要な実際の線量の5%で動作する場合、スカウト画像sが獲得される。スカウト画像は、非常に小さく、典型的には全検出器表面積の50%から80%の領域内である。一実施形態において、スカウト画像の寸法は、1つの空間方向において、検出器Dの延長の50%であり、他の空間方向において、検出器Dの延長の50%であり、結果として、検出器Dの面積の25%である。パーセンテージは、単に説明のための例なだけであり、本開示を制限するものとして解釈されるべきではない。画像サイズの減少は、プレショットスカウト画像を獲得するとき、適切なコリメーション開口によって達成される。制御目的のために、かつ、イメージング幾何学形状の調整のさらなる支援のために、プレショット画像は、ディスプレイデバイス上に表示される。一旦修正情報が計算され、正しいイメージング幾何学形状が調整されると、画像獲得は、今回は診断画像を獲得するためにより高い診断線量で繰り返し露出を開始する。画像は、ディスプレイデバイスDD上に表示される。
【0067】
コリメートされたスカウト画像を用いて、SIDだけでなく、必要な角傾斜及び/又は回転も計算する。検出器D回路における画像処理は、検出器ピクセル、例えば、5×5又は10×10のネイティブ検出器ピクセルを備えるより大きな画像単位に平均化(又はビニング)する。より大きいスーパーピクセルへのこの平均化によって、記録されたスカウト画像の形状対バックグラウンドのノイズの信号対ノイズ比は、位置における小さい不確定性を代償にして強化される。所望のアライメント精度に応じて、スーパーピクセルの面積は、例えば、2mm×2mm又は3mm×3mmなどとすることができる。加えて、小さいコリメータ設定の使用は、患者に対する線量をさらに減少する。適切なビニングによって、スカウト画像に費やされる線量は、診断線量の約1/20から1/10に減少される。
【0068】
さらなる実施形態では、イメージング装置は、散乱線除去グリッドASGを含み、これは、以下さらに詳細に説明されるように、イメージング幾何学形状の調整目的のために利用される。
【0069】
散乱線除去グリッドASGは、一次放射線が患者を通過するとき、コンプトン散乱によって生じる二次放射線を遮るために用いられる。二次又は散乱放射線は、画像品質を損なう。検出器セル表面に衝突する二次放射線の量を最小化するために、散乱線除去グリッドASGは、患者と検出器表面との間に位置決めされる。一実施形態によれば、グリッドは、検出器表面上に永久的に設置されるか、又は、着脱可能である。着脱可能な散乱線除去グリッドASGは、例えば、多くのピンを介してモバイル検出器にスナップフィットで結合される。一実施形態によれば、検出器及び/又はグリッドASGは、散乱線除去グリッドが取り付けられているかを検出するための検出手段を含む。実施形態において、散乱線除去グリッドASGは、実質的に、検出器表面から離れて、検出器表面にほぼ垂直に延在し、X線源XSの方に向かう小さいフィンから形成されるグリッド状の構造である。グリッドは、取り付けられるとき、すべての検出器表面を実質的にカバーする。フィンのレイアウトは、フィンがほぼ平行である1Dであるか、又は、互いに交差するフィンの2つのセットが存在する2Dである。
【0070】
散乱線除去グリッドASGが検出器Dに取り付けられる際、ASGグリッドの投影画像(「投影焦点スポット」)は、イメージング幾何学形状修正のために用いられる。検出器が完全にはアライメントされていない場合、ASGは、衝突するX線ビームの強度を変調するピクセルに陰影を投じる。この強度プロファイルは、ナビゲーションユニットNUによる画像処理によって分析されて、修正情報を確立することができる。特に、2D ASGのために、間違ったSID(焦点を離れて)を有する完全に平行の検出器によって、円形の勾配強度プロファイルが検出器Dで検出される。この種のプロファイルからの偏差、例えば、細長い楕円のプロファイルの検出は、中心を外れたシフト、傾斜及び回転エラーを示す。すなわち、投影焦点スポットの幾何学形状を用いて、修正情報を決定することができる。角形成調整を完全に特定するために、追加の修正情報、例えば、図5などにおいて上述したようにコリメータCOLによって誘導された情報が必要である。
【0071】
以下、機械学習モジュールMLMに戻って、これの動作は、以下のように動かされる。それが提案されたユーザガイドシステムSYSのためではない場合、イメージング幾何学形状を調整するための従来提供されるユーザ命令が、単一のこの種の適用よりむしろこの種の調整の繰り返しの適用を必要とすることが理解される。これは、長たらしい。例えば、ユーザは命令に応答して、ターゲット幾何学形状を通り越すか、又は、それに達しない。例えば、反時計回りに、例えば50度ほどソースを回転させるようにユーザに伝える明確な命令さえ、結果として、ユーザは、このターゲットを通り越し、その代わりに、例えば60度だけソースを回転させる。ターゲット幾何学形状が(適切な許容できるマージン内で)確立したとみなされるまで、次に、ユーザは、ソースXSを10度戻して回転させるなどのように伝えられる。ユーザが提供される命令に応答するやり方は、個人の気質の問題である。例えば、より短気なユーザは、ターゲットを通り越す傾向があり、一方、より臆病なユーザは、必要な修正量に達しない傾向がある。その上、異なる修正が必要であるとき、同じユーザは、異なる状況において異なって行動する。例えば、ユーザUSRは、回転に関してより積極的に行動するが、シフトするときにより遅く注意深くなり、逆もまた同じである。
【0072】
本願明細書において提案されるイメージング幾何学形状の調整のためのユーザガイダンスにおける機械学習アプローチは、この種の命令に応答する特定のユーザの傾向特性を考慮するように構成される。特定のユーザが彼又は彼女の傾向に合わせて調整されない命令を与えられる場合、同じ修正結果は、より時間がかかる繰り返しの後にしか達成されない。しかし、提案された機械学習モデルでは、繰り返し調整の数は、所定のユーザのために少なくとも平均して減少される。これは、機械学習モジュールによって計算される出力修正情報がイメージング幾何学形状を変えるための空間命令とは異なって応答するユーザ特色を考慮するからである。機械学習(「ML」)モデルを用いると、修正情報のタイプの関係を調査するのに特に有利であるとわかった。このMLタスクは、(ナビゲーションユニットによって提供されるような)純粋に幾何学形状に基づいて提供される(入力)修正情報と、命令に応答してユーザによって実行される調整を表現する(出力)修正情報と、の間の潜在的な未知の機能的な関係として概念化される。以前に記録された訓練データを用いて、MLモデルがこの関係を学習し、したがって、調整目的のために特定のユーザの特定の好みに機械学習モジュールを個人向けにするように訓練する。
【0073】
従来の/分析モデリングアプローチとは異なり、機械学習モデルは、一般的に、設計者が機能的な依存タイプの特定の仮定を行うことを必要としない。例えば、入力修正情報と出力修正情報との間の上述した関係は、いかなる種類の線形モデルも除外する非常に非線形であると予想される。機械学習モデルが、特にこの種の非常に非線形関係を学習することが得意であるとわかった。機械学習モデルの「重み」と称されるパラメータはまた、訓練データを説明するために、図8でさらに詳細に後述される最適化手順において調整される。次に、モデルによって調整されるすべてのパラメータの全体は、上述の潜在的な関係を表現又は符合化する。
【0074】
十分な量の代表的な訓練データが所定のユーザに利用できる場合、機械学習モデルは、特定のユーザのために個人向けにされる。実際、ユーザのグループの各ユーザ(放射線部門の臨床医のような)が自分の専用の別々の機械学習モデルを割り当てられることが、本願明細書において提案され、各々は、それぞれ、各ユーザのために収集される個人訓練データについてユーザごとに訓練されている。次に、そのような「ユーザごとに訓練された」モデルMLM1-4は、データベースMEM内に格納される。システムSYSは、ユーザ資格情報の表現に応じて各ユーザを識別するように構成されるユーザ識別機構UIDを含む。一旦識別されると、次に、以前特定のユーザに関連付けられた事前に訓練された機械学習モジュールは、そのユーザのために個人向けの命令を計算するようにアクセスされる。
【0075】
以下、学習態様を簡潔に参照すると、これは、訓練データ収集段階又は監視段階及び訓練段階を含む。両方は、一回限りの動作として行われるか、又は、ユーザがイメージング装置を用いているとき、それぞれのモデルを改良するために繰り返される。
【0076】
訓練データ収集段階において、ユーザによって実行される実際のイメージング幾何学形状の調整は、記録され、訓練データとしてメモリMEM-T内に格納される。次に、各ユーザの特有のやり方を監視し、修正情報及び関連命令にどのように応答するかを監視することが、監視段階のタスクである。
【0077】
この訓練データ収集段階は、以下のように動作する。ユーザは、パスワード、生体認証入力又は他の資格情報を提供することによって、ユーザ識別UIDによって識別される。監視リング又は「ユーザ習熟」段階の間のこのステージでは、修正情報は、まだ個人向けの修正情報に基づかず、標準命令として、ニューラルネットワークによって提供される。監視リングは、通常の臨床使用の間、実施されている。このステージでは、それゆえ、提案されたシステムの利点はまだ感知されない。現在とターゲットイメージング幾何学形状との間の偏差としてナビゲーションユニットNUによって提供される修正情報は、このステージでは、標準修正情報として提供され、変調器MODによって最適に変調される。
【0078】
取付機構MM又はユーザ入力デバイスJS、例えば、ジョイスティックなどは、符号化器ENCを含み、例えば、病棟回診の間、通常の臨床使用にわたって標準命令に応答してユーザによって実行される実際のユーザ調整を追跡して記録する。追跡された調整は、ナビゲーションユニットによって最初に提供されるように、それぞれの提供される標準修正情報/命令に関連して、例えばベクトル形で格納される。このように、修正情報の対(x、y)は、構築され、各対のために、ナビゲーションユニットNUによって提供される修正情報「x」、及び、修正情報xに応答して符号化器ENCによって記録される実際のユーザ調整に基づいた修正情報「y」が提供される。時間とともに、ユーザUSRがイメージングデバイスを使用するとき、修正情報の複数のこの種の対(x、y)は記録され、訓練データメモリMEM-T内に格納される。提供されるユーザ資格情報のため、収集した訓練データ対は、ユーザごとに格納され、後で検索される。
【0079】
一旦十分な数のこの種の訓練対(x、y)が、使用頻度に応じて数日又は数週間かかる使用時間にわたって蓄積されると、学習段階が開始する。最初に、初期化されたモデルがセットアップされ、いくつかのランダムなパラメータによって予めデータが読み込まれる。初期モデルは、ユーザ識別機構UIDによって収集されるユーザ資格情報に基づいて、ユーザに割り当てられる。初期化されたモデルがアクセスされる。モデルは、特定のアーキテクチャ、例えば人工ニューラルネットワークを有する。機械学習タスクは、この目的のため、一般的に、回帰の1つであり、入力修正情報は、簡潔に出力修正情報と称される、個人向けのイメージング幾何学形状修正情報に回帰する。このタイプのデータは、非画像データであるので、全結合型ニューラルネットワークが好ましい。しかしながら、本願明細書において、ニューラルネットワークの制限は何もなく、その代わりに他の機械学習技術が用いられる。
【0080】
学習段階は、上述した最適化手順を含み、モデルのパラメータの現在のセットを調整する。学習段階において、機械学習モデルに存在する現在又は初期のパラメータセットは、これまでに収集された訓練データを考慮して調整される。GPUのような高性能コンピューティングデバイスは、訓練システムTSとして用いられ、この最適化又は学習アルゴリズムを高速に実行する。最適化自体は、イメージャが使用されていないとき、形成される。時間とともに次に、機械学習システムがより多くの訓練データを収集したとき、かつ、訓練アルゴリズムのより多くの実行の後、提供される命令は、ユーザの特定の傾向に合わせてより調整され、したがって、一般的に、ターゲット幾何学形状を取得するために、より少ない繰り返ししか必要ない。これは、特に忙しい臨床環境において、時間を節約する。より多くの患者は、所定の時間間隔の間にイメージング可能である。画像スループットは増加する。
【0081】
以下、X線イメージングをサポートする方法のフローチャートである図6を参照する。方法は、上述したシステムSYSの動作を明確に述べるが、方法及びそのステップがそれ自体教示として理解されることを理解される。方法は、1つ又は複数の適切なコンピューティングデバイス上で実施される。図6において、学習段階が必ずしも一回限りの動作ではなく、一旦訓練データの新しいバッチが収集されたならば繰り返し行われるという了解の下で、機械学習モデルが以前の使用データで十分に訓練されたと仮定される。訓練態様は、図7から図9を参照して、以下でさらに詳細に説明される。
【0082】
ステップS610において、入力データが受信される。入力データは、特にユーザ資格情報を備える。
【0083】
ステップS620において、ユーザは、ユーザ資格情報に基づいて識別される。ステップS610及び620は、オプションである。
【0084】
ステップS630において、ユーザによって管理される所定のイメージングセッションにおいて、現在のイメージング幾何学形状とターゲット幾何学形状との間の不一致を定量化する第1の/入力修正情報が計算される。実施形態において、修正情報を計算するステップは、センサ測定値に基づいて実行されるか、又は、図4図5のいずれか1つに関して上述したように低い線量のプレショットに基づいて検出器で取得された測定値に実行される。
【0085】
ステップS640において、第1の修正情報に基づいて、出力された個人向けの修正情報は、機械学習モジュールによって実施されるように、事前に訓練された機械学習モデルによって、ユーザのために計算される。機械学習モジュールは、訓練データで事前に訓練された機械学習モデルを実施する計算構成である。
【0086】
用いられる事前に訓練された訓練データは、i)ナビゲーションユニットによって提供される以前の修正情報と、ii)以前の修正情報から変調される命令に応答して、ユーザによって実行されるイメージング幾何学形状の調整と、の対を特に含む。好ましくは、複数のこの種の対は、以前、訓練データ収集段階において記録され、その最後に、モデルは、訓練データに基づいて学習アルゴリズムによって適応され、機械学習モデルにより提供される修正情報をより良く個人向けにした。
【0087】
ステップS650において、そのように計算された個人向けの命令を用いて、ユーザによって識別可能な感覚信号を変調し、現在のイメージング幾何学形状をどのように調整するのかに関する命令をユーザに伝える。
【0088】
変調は、手動アクチュエータ、ユーザ入力デバイス又はイメージング幾何学形状の調整を達成するための使用の間ユーザが接触する他のデバイスを介して変調された機械的振動を送達することによって、任意の1つ又は複数の光ビームを変調することを含む。光変調は、色、光強度、色相又はこれらの任意の組み合わせの任意の1つ又は複数の変調を含む。加えて、又は、代わりに、命令的な光記号は、矢印などの形で患者の輪郭上のような表面に投影される。加えて、又は、代わりに、ユーザによって実行される命令を表現するアニメーションが示される。
【0089】
ステップS660において、変調された感覚信号は、ユーザに出力される。
【0090】
ステップS670において、イベントハンドラ又はその他を用いて、現在のイメージング幾何学形状がユーザ調整に起因して変化したかを確立する。はいの場合は、新しい修正情報が計算され、上述したワークフローが繰り返される。イメージング幾何学形状の変化が発生しなかったと確立される場合、現在表示されている命令は、ステップS660において維持される。
【0091】
このようにして、ターゲット幾何学形状が(予め設定されたエラーマージン内で)達成されるまで、準リアルタイム命令更新を提供する動的なフィードバックループは実現される。
【0092】
機械学習モデルによって計算される個人向けの修正情報、及び、それゆえ、個人向けの変調された命令は、ターゲット幾何学形状を達成するのに必要な繰り返しの量を減少するのを容易にするように、特定のユーザが修正情報に作用する傾向があるように、動的に適応される。
【0093】
以下、実施形態で用いられるニューラルネットワークタイプモデルの概略図を示す図7を参照する。上述したように、モデルは、(畳み込みネットワークの層とは対照的に)所定のユーザのための個人向けの画像命令に対するイメージング調整命令である入力を回帰する1つ又は複数の全結合層を含む。
【0094】
モデルMは、図8でさらに詳細に後述されるコンピュータ化された訓練システムTSによって訓練される。訓練中に、訓練システムTSは、モデルMの(モデル)パラメータθの初期セットを適応させる。ニューラルネットワークモデルの文脈において、パラメータは、本願明細書において、重みと称される。訓練データは、上述したように監視段階において収集される。したがって、監視段階の後、2つのさらなる処理段階、すなわち、訓練段階及び展開(又は推論)段階は、機械学習モデルNNに関して定義される。
【0095】
訓練段階において、展開段階の前に、モデルは、訓練データに基づいてそのパラメータを適応させることによって訓練される。一旦訓練されると、モデルは、展開段階において、個人向けの修正情報を予測するために用いられる。訓練は、一回限りの動作であるか、又は、一旦新しい訓練データが利用可能となると繰り返される。
【0096】
機械学習モデルMは、1つ(又は複数)のコンピュータメモリMEM’内に格納される。事前に訓練されたモデルMは、好ましくはイメージャIA内に組み込まれるコンピューティングデバイスPU上の機械学習構成要素MLMとして展開される。好ましくは、良好なスループットを達成するために、コンピューティングデバイスPUは、例えば、マルチコア設計の並列処理をサポートする1つ又は複数のプロセッサ(CPU)を含む。一実施形態において、GPU(グラフィックスプロセッシングユニット)が用いられる。
【0097】
以下、図7をさらに詳細に参照して、これは、フィードフォワードアーキテクチャのニューラルネットワークMを示す。ネットワークMは、カスケードされた方式で層L-Lに配置される複数の計算ノードを備え、データフローは、左から右に、したがって層から層に進行する。再帰ネットワークは、本願明細書において除外されない。
【0098】
展開において、入力データxは、入力層ILに適用され、例えば、ナビゲーションユニットNUによって供給されるように、x=a修正情報である。次に、入力データxは、隠れ層L-Lの連続を通して伝搬し(2つのみが示されるが、1つのみ又は2より多くてもよい)、次に、推定された出力M(x)として、個人向けの修正情報が出力層OLに出現する。出力は、上述したように変調器MODによって個人向けの命令に変調される。
【0099】
モデルネットワークMは、1つより多い隠れ層を有するので、深いアーキテクチャを有すると言われる。フィードフォワード回路では、「深さ」は、入力層ILと出力層OLとの間の隠れ層の数であり、一方、再帰ネットワークでは、深さは、隠れ層の数かけるパスの数である。
【0100】
ネットワークの層、及び実際、入出力イメージ、及び、隠れ層間の入出力(本願明細書において、特徴マップと称される)は、計算及びメモリアロケーション効率のための2つ以上の次元のマトリックス(「テンソル」)として表現される。エントリの次元及び数は、上述したサイズを表現する。
【0101】
好ましくは、隠れ層L-Lは、1つ又は複数の畳み込み層を含むが、好ましくは全結合層のみである。層の数は、少なくとも1つであり、例えば、2から5であり、又は他の任意の数である。数は、二桁の数字になる。
【0102】
全結合層FCは、修正情報の処理のための本願明細書における場合のように、非画像の回帰タスクにおいて有益である。しかしながら、1つ又は複数の畳み込み層は、実施形態において依然として用いられる。
【0103】
全結合層の出力特徴マップにおけるエントリがその層によって以前の層からの入力として受信されるすべてのノードの組み合わせであるという点で、全結合層は、畳み込み層と区別される。換言すれば、畳み込み層は、特徴マップエントリごとに、初期の層から受信される入力のサブセットに適用されるだけである。
【0104】
入力Xとして入力層に適用される修正情報は、ベクトル(s、φ、d)として提示され、図2Bにおいて上述したように、段階PSにおける点を表現する。個人向けの修正情報である出力Yは、同様に、位相空間における1つ又は複数のベクトルとして表現されるが、一般的に入力と異なる。出力は、1つより多いベクトル(s、φ、dによって例えば、マトリックス又はテンソルとして表現される。出力Yは、図2Bに関して記載されるように、位相空間における1つ又は複数の異なる修正経路pを表現し、ユーザに好まれる調整をより良く表現する。出力がより複雑な修正経路を表現するマトリックスである場合、これは、表面上は、ユーザに依然として複数の繰り返しで命令を適用させると主張するかもしれないより複雑な修正情報を導入するように見える。しかしながら、この複雑さは見かけだけである。MLモデルMによる出力としての修正情報Yは、特定のユーザのためにより複雑に見えるが、それは依然としてユーザにカスタマイズされ、特定のユーザによって解釈及び実行されるのが容易である。おそらくより複雑な出力修正情報Yは、ユーザの手先の器用さのレベルにより良く従う。結果は、表面上より単純な標準命令(それにもかかわらずユーザが実施するのがより難しいとわかる)と比較すると、平均してより少ない繰り返ししか必要ないということである。
【0105】
ベクトル又はマトリックスとしての修正情報の表現は、ときどき、望ましくない表現のまばらさに至る。埋め込み技術を用いて、次にネットワークモデルによってより良く処理されるより多くの有用な「より濃い」表現に修正情報データを符合化する。この種の埋め込みは、例えば、ワンホット符合化方式を含む。他の実施形態では、自動符号化器セットアップを用いて、修正情報(入力X)データを最初に適切な表現(「コード」)に処理し、次に、訓練される実際のモデルMに供給されるのはこのコードである。換言すれば、別々の機械学習ステップは、データを前処理するために用いられる。
【0106】
上述した図7のモデルMが単に一実施形態によるものであり、本開示に限定するものではないことを理解されたい。本願明細書において記載されているより多いか少ないか異なる機能、例えば、プーリング層又はドロップアウト層などを有する他のニューラルネットワークアーキテクチャも本願明細書において想定される。その上、本願明細書において想定されるモデルMが、必ずしもニューラルネットワークタイプであるというわけではまったくない。訓練データからのサンプリングに基づく他の従来の統計的回帰方法もまた、本願明細書の代替実施形態において想定される。さらに他の技術は、ベイジアンネットワーク、又は、ランダムフィールド、例えば、マルコフタイプランダムフィールドなどを含む。
【0107】
以下、機械学習モジュールを訓練するための訓練システムTSを示す図8をより詳細に参照し、図8は、パラメータ、すなわち、例えば、図7において述べられるニューラルネットワークにおける機械学習モデルM、又は、他のニューラルネットワークタイプのモデル、又は、実際にニューラルネットワークタイプではないMLモデルの重みを訓練するための訓練システムTSを示す。
【0108】
訓練データは、k対のデータ(x、y)を備える。例えば、kは、100s又は1000sになる。訓練データは、対ごとに、訓練入力データx及び関連付けられたターゲットyを備える。したがって、訓練データは、特に本願明細書において主に想定される教師あり学習方式のために、k対で編成される。しかしながら、教師なし学習方式が本願明細書において除外されない点に留意されたい。
【0109】
訓練入力データxは、監視段階における定期的な臨床使用の間、提供される標準入力修正情報xを備える。関連付けられたターゲットy又は「グラウンドトゥルース」は、入力修正情報に応答してユーザによって実行される実際の調整(出力修正情報)yである。対(x、y)は、上述した監視段階の間、訓練データメモリMEM-T内に記録される。また、各要素x、yは、図2B及び図7において上述したように、位相空間における点又は経路としてベクトルとして提示される。
【0110】
モデルは、さらに詳細に後述するように、回帰タイプであり、xをyに回帰するように試みる。訓練段階において、機械学習モデルMのアーキテクチャ、例えば、図7に示された人工ニューラルネットワーク(「NN」))は、重みの初期セットによって予めデータが読み込まれる。モデルMの重みθは、パラメタリゼーションMθを表現し、訓練データ(x、y)対に基づいてパラメータθを最適化し、それゆえ、適応させることは、訓練システムTSの目的である。換言すれば、学習は、コスト関数Fが最小化される最適化スキームとして数学的に定式化され、ただし、その代わりに、効用関数を最大にする双対形式が用いられる。
【0111】
今のところコスト関数Fのパラダイムを仮定すると、これは、集約残差、すなわち、ニューラルネットワークモデルNNによって推定されるデータと、訓練データ対kの一部又は全部によるターゲットと、の間に生じるエラーを測定する。
argminθF=Σ||Mθ(x)-y|| (2)
【0112】
式(2)及び以下において、関数M()は、入力xに適用されるモデルNNの結果を意味する。コスト関数は、ピクセル/ボクセルベース、例えば、L1又はL2-ノルムコスト関数である。訓練において、訓練対の訓練入力データxは、初期化されたネットワークMを通して伝搬される。具体的には、k番目の対のための訓練入力xは、入力ILで受信され、モデルを通過し、次に、出力OLで出力訓練データMθ(x)として出力される。本願明細書においてモデルMによって生成される実際の訓練出力Mθ(x)と所望のターゲットyとの間の残差とも称される差を測定するために、適切な手段||〇||、例えば、pノルム、平方差などが用いられる。
【0113】
出力訓練データM(x)は、適用された入力訓練画像データxに関連付けられたターゲットyのための推定である。一般的に、現在考慮されているk番目の対のこの出力M(x)と関連付けられたターゲットyとの間のエラーが存在する。逆/順伝搬又は他の勾配ベースの方法のような最適化スキームは、次に、完全な訓練データセットから考慮されている対(x、y)又は訓練対のサブセットのための残差を減少させるために、モデルMのパラメータθを適応させるために用いられる。
【0114】
モデルのパラメータθが、現在の対(x、y)のためのアップデータUPによって更新される第1の内側ループの1つ又は複数の繰り返しの後、訓練システムTSは、次の訓練データ対xk+1、yk+1がそれに応じて処理される外側のループに入る。アップデータUPの構造は、用いられる最適化スキームに依存する。例えば、アップデータUPによって管理される内側ループは、順/逆伝搬アルゴリズムにおいて、1つ又は複数の順及び逆のパスによって実施される。パラメータを適応させる間、すべての訓練対の集約、例えば合計された残差は、現在の対まで考慮され、オブジェクト関数を改善する。集約残差は、各対のための一部又は全部の考慮された残差の式(2)においてのような二乗残差の合計としてオブジェクト関数Fを構成することによって形成可能である。平方和の代わりに他の代数組み合わせも想定される。
【0115】
オプションで、1つ又は複数のバッチ正規化演算子(「BN」図示せず)が用いられる。バッチ正規化演算子は、例えば、層における畳み込み演算子CVの1つ又は複数に結合されたモデルM内に組み込まれる。BN演算子は、減少する勾配効果を緩和することを可能にし、繰り返される順及び逆パスにおける勾配の大きさの漸減は、モデルMの学習段階における勾配ベースの学習アルゴリズムの間経験される。バッチ正規化演算子BNが、訓練中に用いられるが、展開においても用いられる。
【0116】
図8に示す訓練システムは、すべての学習方式、特に教師あり方式のために考慮可能である。教師なし学習方式はまた、本願明細書の他の実施形態において想定される。GPUは、訓練システムTSを実施するために用いられる。
【0117】
完全に訓練された機械学習モジュールMは、1つ又は複数のメモリMEM又はデータベース内に格納される。訓練は、ユーザごとに実行され、上述したように各ユーザのための異なる事前に訓練されたモデルを取得する。
【0118】
図9は、上述した実施形態の任意の1つに記載されているような機械学習モデルを訓練する方法のフローチャートである。
【0119】
適切な訓練データは、監視段階において上述したように収集される必要がある。好ましくは、教師あり学習方式は本願明細書において想定されるが、教師なし学習セットアップも本願明細書において想定されるので、これは必須ではない。
【0120】
教師あり学習において、訓練データはデータ項目の適切な対を含み、各対は、訓練入力データと、それに関連付けられたターゲット訓練出力データと、を含む。具体的には、訓練データ対(x、y)は、上述したように、監視段階の間に収集され、訓練データメモリMEM-T内に格納される。
【0121】
図9を継続して参照し、ステップS910において、訓練データは、対(x、y)の形で受信される。各対は、上記の図8において定義されるように、訓練入力x及び関連付けられたターゲットyを含む。
【0122】
ステップS910において、訓練入力は、受信される。
【0123】
ステップS920において、訓練入力xは初期化された機械学習モデルNNに適用され、訓練出力を生成する。
【0124】
ステップS930において、関連付けられたターゲットyからの訓練出力M(x)の偏差又は残差は、コスト関数Fによって定量化される。モデルの1つ又は複数のパラメータは、内側ループ内の1つ又は複数の繰り返しのステップS940において適応され、コスト関数を改善する。例えば、モデルパラメータは、コスト関数によって測定される残差を減少させるように適応される。畳み込みNNモデルMが使われる場合に備えて、パラメータは、特に畳み込み演算子の重みWを含む。
【0125】
次に、訓練方法は、外側ループでステップS910に戻り、訓練データの次の対が供給される。ステップS920において、考慮されるすべての対の集約残差が減少するように、特に最小化するように、モデルのパラメータは適応される。コスト関数は、集約残差を定量化する。順-逆伝播又は類似の勾配ベースの技術は、内側ループS930からS940において用いられる。
【0126】
さらに一般的に言えば、モデルMのパラメータは、コスト関数又は効用関数であるオブジェクト関数Fを改善するように調整される。実施形態において、コスト関数は、集約残差を測定するように構成される。実施形態において、残差の集約は、考慮されるすべての対のための全部又は一部の残差の合計によって実施される。方法は、好ましくは訓練の速度を上げる並列処理ができるプロセッサを有する1つ又は複数の汎用処理ユニットTS上で実施される。
【0127】
訓練システムTSの構成要素は、好ましくは高性能プロセッサ、例えば、GPUを有する1つ又は複数の処理コンピューティングシステム上で動作する1つ又は複数のソフトウェアモジュールとして実施される。訓練は、好ましくは、イメージャIAの処理ユニットPUによって実行されるのではなく、1つ又は複数のサーバのようなより強力なコンピューティングシステムによって外部で行われる。一旦訓練されると、モデルは、イメージャIA自身のコンピューティングシステムPUのデータストレージMEM内にロードされる。データストレージMEMは、複数のユーザのためにモデルMLM1-4を保持する。所定のユーザに関連付けられたモデルは、上述したようにユーザ識別システムUIDによって、ユーザの識別に応じてアクセスされる。
【0128】
本願明細書では、医療分野におけるヒト患者のイメージングが主に参照されたが、本願明細書において開示される原則は、例えば、その代わりに農場の動物、ペットをイメージングするために用いられる。加えて、可動性/携帯性のレベルが必要とされるシナリオにおいて、手荷物検査又は非破壊の材料テストのような物体のイメージングも想定される。
【0129】
方法又はシステムSYSの構成要素は、1つ又は複数の汎用処理ユニットPU、例えば、イメージャIAに関連付けられたワークステーション上で、又は、イメージャのグループに関連付けられたサーバコンピュータ上で動作する1つ又は複数のソフトウェアモジュールとして実施される。
【0130】
代替的に、方法又はシステムSYSの一部若しくは全部の構成要素は、ハードウェア、例えば、最適にプログラムされたマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサ、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又は、ハードワイヤードのICチップ、イメージャIA内に組み込まれる特定用途向け集積回路(ASIC)として構成される。さらなる実施形態では、システムSYSは、部分的にソフトウェアかつ部分的にハードウェアの両方において実施される。
【0131】
方法のステップ又はシステムSYSの異なる構成要素は、単一のデータ処理ユニットPU上で実施される。代替的に、一部若しくは全部の構成要素又は方法ステップは、場合により遠隔で分散アーキテクチャに配置され、クラウドセッティング又はクライアントサーバセットアップなどでのような適切な通信回路網で接続可能である異なる処理ユニットPU上で実施される。
【0132】
本願明細書において記載されている1つ又は複数の特徴は、コンピュータ可読媒体内に符合化される回路及び/又はその組み合わせとして、又は、それとともに構成又は実施される。回路は、ディスクリート回路及び/又は集積回路、システムオンチップ(SOC)及びその組み合わせ、機械、コンピュータシステム、プロセッサ及びメモリ、コンピュータプログラムを含む。
【0133】
本発明の他の例示的な実施形態において、適切なシステム上で、上記実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを実行するように適応されていることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素がもたらされる。
【0134】
それゆえ、コンピュータプログラム要素は、本発明の一実施形態の一部であるコンピュータユニットに記憶される。このコンピュータユニットは、上述した方法のステップを行う又は実行を誘導するように適応される。さらに、このコンピュータユニットは、上述した装置の構成要素を動作させるように適応される。コンピュータユニットは、自動的に動作する、及び/又は、ユーザの命令を実行するように適応される。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリ内にロードされる。それゆえ、データプロセッサは、本発明の方法を実行するように装備されている。
【0135】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、更新によって、既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムと、の両方を対象とする。
【0136】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上述した方法の例示的な実施形態の手順を満たすのに必要なすべてのステップを提供可能である。
【0137】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CD-ROMのようなコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体には、コンピュータプログラム要素が記憶され、コンピュータプログラム要素は、上記セクションに説明されている。
【0138】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体のような適切な媒体(必須ではないが、特に非一時的媒体)上に記憶される及び/又は分散されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介した形態のような他の形態で分散される。
【0139】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上に提示され、この種のネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリ内にダウンロードされる。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、ダウンロード用にコンピュータプログラム要素を利用可能にする媒体がもたらされ、このコンピュータプログラム要素は、本発明の上述した実施形態のうちの1つによる方法を行うように構成されている。
【0140】
なお、本発明の実施形態は、さまざまな主題を参照して説明されている。具体的には、方法タイプの請求項を参照して説明される実施形態もあれば、システムタイプの請求項を参照して説明される実施形態もある。しかしながら、当業者であれば、上記及び下記の説明から、特に明記されない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、さまざまな主題に関連する特徴の任意の組み合わせも、本願によって開示されているとみなされると理解できるであろう。しかしながら、すべての特徴は、特徴の単なる足し合わせ以上の相乗効果を提供する限り、組み合わされることが可能である。
【0141】
本発明は、図面及び上述した説明において詳細に例示され、説明されたが、この種の例示及び説明は、例示的にみなされるべきであり、限定的にみなされるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態の他の変形態様は、図面、開示内容及び従属請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され、実施される。
【0142】
請求項において、「備える」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、単数形は、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に引用されるいくつかのアイテムの機能を果たす。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1A-1B】
図2A
図2B
図3
図4A-4D】
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9