(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
H01H 19/02 20060101AFI20240112BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20240112BHJP
H01H 89/00 20060101ALI20240112BHJP
B60R 16/027 20060101ALI20240112BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20240112BHJP
H01H 19/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H01H19/02 H
H01H36/00 J
H01H89/00
B60R16/027 T
G06F3/0362 462
H01H19/00 Y
(21)【出願番号】P 2023510281
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 JP2022000586
(87)【国際公開番号】W WO2022209120
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2021057931
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】安原 隆一郎
(72)【発明者】
【氏名】星 敏行
(72)【発明者】
【氏名】前畑 武晃
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀光
(72)【発明者】
【氏名】モレシデ ホダ
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-170119(JP,A)
【文献】特開2019-160323(JP,A)
【文献】特開2015-205678(JP,A)
【文献】特開2002-099381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00 - 21/88
H01H 36/00 - 36/02
H01H 89/00
G06F 3/033
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心軸を中心に回転可能な入力部と、
前記入力部の周辺に設けられる静電センサと、
前記静電センサの出力に基づいて、前記入力部又は前記入力部の周辺において行われる操作入力の位置を検出する操作位置検出部と
、
前記操作位置検出部の検出結果に基づいて第1制御信号を出力する制御部と
を含
み、
前記入力部及び前記静電センサは車両のステアリングホイールのスポークに配置され、
前記制御部は、前記操作位置検出部の検出結果が前記静電センサのうちの前記ステアリングホイールのグリップから遠い側の領域と、前記遠い側の領域よりも前記グリップに近い側の領域との両方で前記操作入力が検出されたことを表す場合には、前記遠い側の領域で検出された前記操作入力を優先する、入力装置。
【請求項2】
回転中心軸を中心に回転可能な入力部と、
前記入力部の周辺に設けられる静電センサと、
前記静電センサの出力に基づいて、前記入力部又は前記入力部の周辺において行われる操作入力の位置を検出する操作位置検出部と、
前記操作位置検出部の検出結果に基づいて第1制御信号を出力する制御部と
を含み、
前記静電センサは、平面視において前記入力部の前記回転中心軸を挟む一方側及び他方側の少なくともいずれか一方に設けられており、
前記入力部の回転位置を検出する回転位置検出部をさらに含み、
前記制御部は、前記操作位置検出部の検出結果に基づいて、前記操作入力に応じた第4制御信号を出力し、
前記制御部は、回転位置から求まる前記入力部の回転量を表す回転データを含む制御信号を前記第1制御信号として出力する際、前記入力部の前記一方側において静止して行われる前記操作入力を検出した場合には、前記一方側への回転を表す回転データを含む制御信号を前記第4制御信号として出力し、
前記制御部は、回転位置から求まる前記入力部の回転量を表す回転データを含む制御信号を前記第1制御信号として出力する際、前記入力部の前記他方側において静止して行われる前記操作入力を検出した場合には、前記他方側への回転を表す回転データを含む制御信号を前記第4制御信号として出力する、入力装置。
【請求項3】
回転中心軸を中心に回転可能な入力部と、
前記入力部の周辺に設けられる静電センサと、
前記静電センサの出力に基づいて、前記入力部又は前記入力部の周辺において行われる操作入力の位置を検出する操作位置検出部と
を含み、
車両のステアリングホイールに配置され、
前記操作位置検出部は、前記ステアリングホイールのグリップから離れる方向に移動する前記操作入力を前記グリップに近づく方向に移動する前記操作入力よりも優先して検出する、入力装置。
【請求項4】
前記操作位置検出部の検出結果に基づいて第1制御信号を出力する制御部をさらに含む、請求項
3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記入力部に前記操作入力を行う利用者に提供する触感を生成する触感生成部と、
前記操作位置検出部の検出結果に応じて前記触感が異なるように前記触感生成部の駆動制御を行う駆動制御部と
をさらに含む、請求項
1、2、及び4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記触感生成部は、前記回転中心軸にトルクを付与するアクチュエータである、請求項
5に記載の入力装置。
【請求項7】
前記駆動制御部は、前記操作位置検出部の検出結果が前記入力部の前記回転中心軸の延在方向における第1部分を表す場合と、前記操作位置検出部の検出結果が前記入力部の前記回転中心軸の延在方向における前記第1部分以外の第2部分を表す場合とで、前記触感が異なるように前記触感生成部の駆動制御を行う請求項
5又は
6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記第1部分は、前記入力部の前記回転中心軸の延在方向における第1側の半分であり、前記第2部分は、前記入力部の前記回転中心軸の延在方向における第2側の半分である、請求項
7に記載の入力装置。
【請求項9】
前記入力部の回転位置を検出する回転位置検出部をさらに含み、
前記制御部は、
回転位置から求まる前記入力部の回転量を表す回転データを含む制御信号を前記第1制御信号として出力する、請求項
1、2、及び、4乃至8のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記操作位置検出部の検出結果に基づいて、前記入力部の前記回転中心軸に沿って行われる前記操作入力に応じた第2制御信号を出力する、請求項
1、2、及び、4乃至
9のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項11】
前記入力部の回転位置を検出する回転位置検出部をさらに含み、
前記制御部は、前記操作位置検出部の検出結果に基づいて、前記入力部の前記回転中心軸に沿って行われる前記操作入力に応じた第2制御信号を出力し、
前記制御部は、前記入力部の前記回転中心軸に沿って行われる前記操作入力に応じて前記第2制御信号を出力する際に、
回転位置から求まる前記入力部の回転量を表す回転データを含む、前記第1制御信号としての制御信号を無視する、請求項
1、2、及び、4乃至8のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記操作位置検出部の検出結果に基づいて、前記入力部又は
前記入力部の周辺において静止して行われる前記操作入力に応じた第3制御信号を出力する、請求項
1、2、及び、4乃至11のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項13】
前記静電センサは、平面視において前記入力部の前記回転中心軸に沿って設けられている、請求項1乃至
12のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項14】
車両のステアリングホイールに配置される、請求項
2に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、支持部を有するハウジングと、前記支持部に揺動可能に支持された被支持部を有する第1操作ノブと、この第1操作ノブの揺動操作によって動作されるスイッチとを備え、前記第1操作ノブが、その揺動軸線と交差する一側辺に該揺動軸線と交差する開口部をもつ切欠き部を有してなり、この切欠き部に他のスイッチに対応する第2操作ノブとしていわゆるサムホイールと呼ばれる回転ノブを配置した車載用入力装置がある。回転ノブの回転中心軸が前記第1操作ノブの前記一側辺と交差するように設定されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の車載用入力装置は、回転ノブで入力可能な操作は1種類に限られていた。回転ノブのように回転可能な入力部は操作性が良好であるため、複数種類の操作が可能であれば、さらに使い勝手が良好になる。
【0005】
そこで、複数種類の操作を行うことができる回転可能な入力部を含む入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の入力装置は、回転中心軸を中心に回転可能な入力部と、前記入力部の周辺に設けられる静電センサと、前記静電センサの出力に基づいて、前記入力部又は前記入力部の周辺において行われる操作入力の位置を検出する操作位置検出部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
複数種類の操作を行うことができる回転可能な入力部を含む入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の入力装置100を実装したステアリングホイール10を示す図である。
【
図2】入力装置100の構成の一例を示す図である。
【
図3】入力装置100の構成を表すブロック図である。
【
図4】制御装置160が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】制御装置160が実行する処理の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の入力装置を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態の入力装置100を実装したステアリングホイール10を示す図である。
図1(A)に示すように、ステアリングホイール10は、一例として車両に搭載され、スポーク11の内部に入力装置100が実装されている。入力装置100の回転ノブ110は、スポーク11の表面の開口部11Aから露出している。回転ノブ110は入力部の一例である。車両の運転者は、例えばステアリングホイール10を左手で握りながら、左手の親指で
図1(B)に両矢印で示すように回転ノブ110を回転させる操作を行うことができる。運転者は、入力装置100の利用者の一例である。回転ノブ110は、左手の親指以外でも操作可能であるが、ここでは左手の親指で操作する形態について説明する。
【0011】
図1(C)に示すように、入力装置100は、回転ノブ110の周囲に設けられる静電センサ120を含む。
図1(C)には、一例として回転ノブ110の上下において横方向に5つずつの静電センサ120が配列されており、回転ノブ110の周囲のどの位置に親指が触れているかを検出する。
【0012】
図2は、入力装置100の構成の一例を示す図である。入力装置100は、筐体101、回転ノブ110、静電センサ120、配線基板130、エンコーダ140、及びアクチュエータ150を含む。エンコーダ140は回転位置検出部の一例であり、アクチュエータ150は触感を生成する触感生成部の一例である。
【0013】
ここでは、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。また、平面視とはXY面視することをいう。また、前述の
図1は本XYZ座標系における平面視(XY面視)によって図示されたものである。
【0014】
筐体101は、一例として樹脂製で直方体状の箱型のケースである。筐体101の長手方向はX方向であり、短手方向はY方向である。筐体101は+Z方向側の全体が開口された開口部101Aを有する。筐体101には、回転ノブ110、静電センサ120、配線基板130、エンコーダ140、及びアクチュエータ150の他に、図示しない制御装置が設けられる。
【0015】
回転ノブ110は、筐体101の内部に設けられており、XY平面に沿って配置された回転軸111を有する。回転軸111は、入力部の回転中心軸の一例である。回転軸111の延在方向(X方向)は、回転ノブ110の軸方向と同義である。回転軸111は、筐体101に回転可能に保持されており、X方向に延在している。回転軸111の+X方向側にはエンコーダ140の回転軸が固定され、エンコーダ140の回転軸はアクチュエータ150の駆動軸151に固定されている。回転ノブ110の+Z方向側の端部は、筐体101よりも+Z方向側に突出している。このような構成を有する回転ノブ110はいわゆるサムホイールと呼ばれる入力機構を形成するものであり、筐体101の表面が存在する平面(XY平面)に沿って回転軸111が形成されていること、及び回転ノブ110の+Z方向側の端部が筐体101の表面よりも+Z方向側に突出していることから、操作者は筐体101の表面を一方向に沿ってなぞるような動作をすることで回転ノブ110を筐体101の表面に対して回転操作することが可能なものである。
【0016】
静電センサ120は、2つの配線基板130の各々の表面に設けられており、回転ノブ110の+Y方向側と-Y方向側とにおいて、X方向に沿って5つ配列されている。回転ノブ110の+Y方向側は、回転ノブ110を挟む一方側及び他方側のうちの一方側の一例であり、回転ノブ110の-Y方向側は、回転ノブ110を挟む一方側及び他方側のうちの他方側の一例である。
【0017】
静電センサ120は、一例として平面視で正方形の金属電極である。静電センサ120は、ステアリングホイール10のスポーク11のカバーの裏面側に位置し、回転ノブ110への親指の接近を検出するために設けられている。より具体的には、親指で回転ノブ110のいずれの位置に対して操作を行っているか、という回転ノブ110に対する親指の操作位置を検出するためのものである。なお、静電センサ120は、平面視で回転ノブ110の周囲において、回転軸111の+X方向側と-X方向側とに設けられていればよいため、回転ノブ110の+X方向側又は-X方向側の真横に設けられていてもよい。また、ここでは、静電センサ120が回転ノブ110の+Y方向側と-Y方向側とに設けられている形態について説明するが、+Y方向側と-Y方向側とのうちのいずれか一方のみであってもよい。また、静電センサ120は分割された静電センサを例としているが、例えば+Y方向側にあるものを一体とし、親指位置を座標で示すようにするようにしても良い。
【0018】
配線基板130は、回転ノブ110の+Y方向側と-Y方向側とにおいて、筐体101の側壁101Bの上でX方向に延在するように設けられている。配線基板130の+Z方向側の表面には静電センサ120が設けられており、静電センサ120は配線基板130の配線を介して図示しない制御装置に接続されている。
【0019】
エンコーダ140は、回転ノブ110の回転軸111に接続される回転軸を有する。エンコーダ140の回転軸は、回転ノブ110の回転軸111に伴って回転する。エンコーダ140は、回転ノブ110の回転量を検出するために設けられており、図示しない配線等を介して図示しない制御装置に接続されている。エンコーダ140は、回転軸111の回転位置を検出し、回転位置を表す回転位置データを制御装置に伝送する。
【0020】
アクチュエータ150は、エンコーダ140の回転軸に接続される駆動軸151を有する。アクチュエータ150は、一例として電動モータであり、回転方向に対する逆方向又は順方向の駆動力を駆動軸151に出力可能である。駆動軸151はエンコーダ140の回転軸を介して回転ノブ110の回転軸111に接続されているため、アクチュエータ150は、回転ノブ110の回転軸111にトルクを付与する。
【0021】
アクチュエータ150の駆動制御は制御装置によって行われる。運転者が回転ノブ110を親指で回転させているときにアクチュエータ150が逆方向の回転力を発生させると、回転ノブ110の回転抵抗が増大した触感を提供することができ、アクチュエータ150が順方向の回転力を発生させると、回転ノブ110の回転抵抗が減少した触感を提供することができる。ここでは一例として、アクチュエータ150は逆方向の回転力を発生させることとする。
【0022】
図3は、入力装置100の構成を表すブロック図である。
図3には、入力装置100の静電センサ120、エンコーダ140、及びアクチュエータ150に加えて、制御装置160を示す。制御装置160は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むマイクロコンピュータによって実現される。
【0023】
制御装置160は、静電センサ120、エンコーダ140、及びアクチュエータ150に接続されるとともに、ケーブル21を介してECU(Electronic Control Unit)20に接続されている。ECU20にはディスプレイ30と車載機器40が接続されている。
図3では簡略化して静電センサ120を1つ示すが、実際には一例として10個の静電センサ120が制御装置160に接続されている。ただし静電センサ120の数は10個に限られるものではない。また、
図3には1つのECU20を示すが、制御装置160には複数のECU20が接続されていてもよく、複数の車載機器40があってよい。また、ディスプレイ30も複数あってもよい。
【0024】
ディスプレイ30は、一例として車両のメータパネル、ダッシュボード、又はセンターコンソール等に配置される。ECU20は、エンコーダ140から取得する回転位置データに応じて、ディスプレイ30の表示を制御する。ディスプレイ30には、少なくともいずれかの車載機器40を操作するためのGUI(Graphical User Interface)画像が表示される。
【0025】
車載機器40は、車両の空調装置、オーディオ、電話、クルーズコントロール等である。車載機器40は入力装置100への操作入力に応じてECU20によって制御される。ECU20は、入力装置100によって選択された車載機器40に応じたGUI画像をディスプレイ30に表示する。GUI画像は、例えば、空調装置の温度、風量、オーディオの音量、選曲、電話の連絡先、クルーズコントロールの設定速度等を円盤状のホイールの外周に沿って表す画像や入力装置100の回転ノブ110を模した円柱状のサムホイール状の画像等である。空調装置の温度、風量、オーディオの音量、選曲、電話の連絡先、クルーズコントロールの設定速度等は、制御対象の一例である。
【0026】
例えば、空調装置の設定温度を選択するホイールの画像には、ホイールの外周に沿って設定温度を表す数字が表示されており、回転ノブ110の回転に応じてホイールを回転させることで、設定温度を選択することができる。選択される設定温度は、一例としてホイールの外周のうち、正面に位置する数字で表される。サムホイール状の表示を行う場合には円柱状の側面に設定温度を表す数字が表示されるようにしても良く、その場合には正面に位置する設定が選択対象であるように制御される。以下の説明において、ホイールとは上記に記載したような概念を含むものとするが、あくまでも一例である。
【0027】
入力装置100は、静電センサ120の静電容量に基づいて回転ノブ110に対する操作位置を検出することで、回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも+X方向側に触れて(タッチして)回転操作を行う場合と、回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも-X方向側に触れて(タッチして)回転操作を行う場合とで、異なる制御対象を操作可能な入力装置である。すなわち、運転者は、回転ノブ110の+X方向側又は-X方向側のいずれにタッチするかによって、制御対象を選択することができる。入力装置100へのタッチ位置によって、複数の制御対象から操作対象になる1つの制御対象を選択することができる。
【0028】
回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも+X方向側は第1部分の一例であるとともに第1側の半分の一例である。回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも-X方向側は第1部分以外の第2部分の一例であるとともに第2側の半分の一例である。回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも+X方向側に触れて回転操作を行うことで選択される制御対象は、第1制御対象の一例である。回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも-X方向側に触れて回転操作を行うことで選択される制御対象は、第2制御対象の一例である。
【0029】
また、入力装置100は、回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも+X方向側に触れて(タッチして)回転操作を行う場合には、アクチュエータ150が回転ノブ110の操作による回転方向とは逆方向の第1回転力を発生させ、回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも-X方向側に触れて(タッチして)回転操作を行う場合には、アクチュエータ150が回転ノブ110の回転方向とは逆方向の第2回転力を発生させることとする。一例として第1回転力は第2回転力よりも大きい。回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも+X方向側と-X方向側とに触れて回転操作を行う場合に、回転ノブ110を通じて運転者の親指に提供される触感が異なるようにすることにより、触感を通じて操作対象になる1つの制御対象を認識できるようにするためである。また、回転力を間歇的に発生させることで回転ノブ110の回転操作時におけるクリック感触を任意に発生させることができる。なお、これとは逆に第1回転力は第2回転力よりも小さくてもよい。
【0030】
また、入力装置100は、静電センサ120の静電容量に基づいて回転ノブ110に対する操作位置の変位を連続的に検出することで、回転ノブ110を回転させずに、回転ノブ110上にタッチしながらX方向に沿って指先を移動させる操作(以下、なぞり操作と称す)と、回転ノブ110を回転させずに、回転ノブ110とスポーク11の表面の開口部11Aとの境界面、または回転ノブ110の上にタッチして一定時間にわたって指先を移動させない操作(以下、長押し操作と称す)とを行うことが可能である。一定時間は、例えば2秒である。
【0031】
以下では、一例として、回転ノブ110の+X方向側にタッチすると空調装置の設定温度を操作対象として選択でき、回転ノブ110の-X方向側にタッチすると空調装置の風量を操作対象として選択できる形態について説明する。また、以下では、入力装置100になぞり操作を行うと、オーディオの音量を調整することができ、入力装置100に長押し操作を行うと、オーディオの音量を無くす(ミュートにする)ことができる形態について説明する。
【0032】
制御装置160は、主制御部161、操作位置検出部162、駆動制御部163、制御部164、及びメモリ165を有する。主制御部161、操作位置検出部162、駆動制御部163、及び制御部164は、制御装置160が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ165は、制御装置160のメモリを機能的に表したものである。
【0033】
主制御部161は、制御装置160を統括する処理部であり、操作位置検出部162、駆動制御部163、及び制御部164が実行する処理以外の処理を実行する。
【0034】
操作位置検出部162は、10個の静電センサ120の静電容量に基づいて、入力装置100に触れる(タッチする)親指の位置(タッチ位置)を検出する。操作位置検出部162によって検出されるタッチ位置は検出結果の一例である。親指に最も近い静電センサ120の静電容量が最大になるため、一例として、静電容量が閾値以上の静電センサ120に対応する位置に親指が存在すると検出すればよい。操作位置検出部162は、タッチ位置を表す位置データを駆動制御部163に伝送する。
【0035】
また、操作位置検出部162は、10個の静電センサ120の静電容量に基づいて、入力装置100に触れる(タッチする)親指の位置(タッチ位置)を検出する際に、ステアリングホイール10のグリップに近い側より遠い側を優先して検出するようにしても良い。これは、親指で回転ノブ110の+X方向側を操作しようとした際には、+X方向側に配置されている静電センサ120が反応すると共に、-X方向側の静電センサ120も同時に反応してしまうことが考えられるためである。このように、+X方向側と-X方向側の両方の領域の静電センサ120が同時に反応した場合には、+X方向側(グリップから遠い側の領域)を-X方向側(グリップに近い側の領域)よりも優先して検出するようにすることで、操作者の意思を捉えた制御とすることが可能となるものである。また、ステアリングホイール10のグリップから離れる方向に移動する操作入力をグリップに近づく方向に移動する操作入力よりも優先して検出してもよい。親指をグリップから離れる方向に移動させてタッチ操作を行い、タッチ操作が完了した後には、ステアリングホイール10をしっかりと握るために親指がグリップに近づく方向に戻ると考えられるため、このように優先的な検出を行うようにしてもよい。ステアリングホイール10をしっかりと握るために親指がグリップに近づく方向に戻る際の親指の移動をタッチ操作として検出しないことによって、タッチ操作の検出精度を向上させるためである。
【0036】
駆動制御部163は、操作位置検出部162から入力される位置データと、エンコーダ140から入力される回転位置を表す回転位置データとに応じて、アクチュエータ150を駆動する。ここでは一例として、駆動制御部163は、位置データが回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも+X方向側を表す場合にはアクチュエータ150に逆方向の第1回転力を発生させ、位置データが回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも-X方向側を表す場合にはアクチュエータ150に逆方向の第2回転力を発生させることとする。一例として第1回転力は第2回転力よりも大きい。駆動制御部163は、エンコーダ140から入力される回転位置データの変化に基づいて回転ノブ110の回転方向を判定し、アクチュエータ150に逆方向の回転力を発生させる。
【0037】
制御部164は、操作位置検出部162によって検出されるタッチ位置と、エンコーダ140によって検出される回転位置の変化および/または回転量を表す回転データとを含む制御信号(第1制御信号の一例)を出力する。すなわち、制御部164は、タッチ操作が行われていて回転ノブ110が回転されているときに、ECU20に回転データ及びタッチ位置を含む制御信号を出力し、ECU20が制御信号に基づき、複数の車載機器40から操作対象になる車載機器40を選択してその制御を行う。また、制御部164は、回転データ及びタッチ位置に応じて複数の車載機器40から操作対象になる車載機器40を選択し、選択した車載機器40を制御する制御信号をECU20に出力し、ECU20は制御部164から入力された制御信号に基づく制御を行うのみとしても良い。
【0038】
また、制御部164は、操作位置検出部162によって検出されるタッチ位置に基づいて、なぞり操作と長押し操作を検出する。制御部164がなぞり操作と長押し操作を検出するのは、タッチ操作が行われていて、回転ノブ110が操作されていないときである。
【0039】
制御部164は、なぞり操作で操作できるように予め決められた車載機器40に対して、なぞり操作に基づく制御信号(第2制御信号の一例)を出力する。また、制御部164は、長押し操作で操作できるように予め決められた車載機器40に対して、長押し操作に基づく制御信号(第3制御信号の一例)を出力する。一例として、なぞり操作と長押し操作で操作できる車載機器40は、複数の車載機器40のうちのいずれかの車載機器40に決めておけばよい。ここでは一例としてオーディオとしての車載機器40がなぞり操作と長押し操作で操作できる車載機器40である形態について説明する。制御部164の具体的な制御内容については、
図4及び
図5を用いて後述する。
【0040】
また、制御部164は操作位置検出部162によってタッチ位置が検出されないときにはエンコーダ140によって回転ノブ110の回転が検出された場合でも車載機器40を制御する制御信号を出力しないようにしても良い。これにより、従来のサムホイール式の入力機構では防ぐことができなかった、荷物等の接触による意図しない誤操作を防ぐことが可能となる。
【0041】
メモリ165は、主制御部161、操作位置検出部162、及び駆動制御部163が処理を実行するために必要なプログラム及びデータに加えて、処理で生じたデータ等を格納する。
【0042】
図4は、制御装置160が実行する処理の一例を示すフローチャートである。主制御部161が処理をスタートさせると以下の処理が行われる。ここでは、制御部164が、操作位置検出部162によって検出されるタッチ位置と、エンコーダ140によって検出される回転位置の変化とに基づいて複数の車載機器40から操作対象になる車載機器40を選択する制御信号を出力し、ECU20が制御部164から出力された制御信号によって選択される車載機器40に対して、制御信号に応じた制御を行う場合の処理について説明する。
【0043】
駆動制御部163は、エンコーダ140から回転位置データを取得する(ステップS1)。
【0044】
駆動制御部163は、時系列的に得られる回転位置データに基づいて、回転ノブ110が回転されているかどうかを判定する(ステップS2)。時系列的に得られる回転位置データが表す回転位置が変化していれば、回転ノブ110が回転していることになる。
【0045】
駆動制御部163によって回転ノブ110が回転されている(S2:YES)と判定されると、操作位置検出部162は、10個の静電センサ120の静電容量を取得する(ステップS3A)。
【0046】
操作位置検出部162は、入力装置100へのタッチ位置が回転ノブ110の+X方向側又は-X方向側のどちらであるかを判定する(ステップS4)。
【0047】
操作位置検出部162が+X方向側であると判定すると、駆動制御部163は逆方向の第1回転力が発生するようにアクチュエータ150を駆動し、制御部164は回転ノブ110へのタッチ位置が+X方向側であることを表す位置データをECU20に伝送する(ステップS5A)。この結果、アクチュエータ150は逆方向の第1回転力で駆動軸151を回転させ、ECU20は空調装置の設定温度を操作対象として設定して、ディスプレイ30に設定温度を表すホイールを表示する。
【0048】
制御部164は回転ノブ110の回転が停止したときの回転位置を表す回転位置データをECU20に伝送する(ステップS6A)。この結果、ECU20は、ホイールの正面に位置する設定温度が選択されたと判定して、空調装置の温度を制御する。以上で、一連の処理が終了する(エンド)。
【0049】
また、ステップS4において、操作位置検出部162が-X方向側であると判定すると、駆動制御部163は逆方向の第2回転力が発生するようにアクチュエータ150を駆動し、制御部164は回転ノブ110へのタッチ位置が-X方向側であることを表す位置データをECU20に伝送する(ステップS5B)。この結果、アクチュエータ150は逆方向の第2回転力で駆動軸151を回転させ、ECU20は空調装置の風量を操作対象として設定して、ディスプレイ30に風量を表すホイールを表示する。
【0050】
制御部164は回転ノブ110の回転が停止したときの回転位置を表す回転位置データをECU20に伝送する(ステップS6B)。この結果、ECU20は、ホイールの正面に位置する風量が選択されたと判定して、空調装置の風量を制御する。以上で、一連の処理が終了する(エンド)。
【0051】
また、ステップS2において、駆動制御部163によって回転ノブ110が回転されていない(S2:NO)と判定されると、操作位置検出部162は、10個の静電センサ120の静電容量を取得する(ステップS3B)。
【0052】
操作位置検出部162は、タッチが行われているかどうかを判定する(ステップS7)。
【0053】
操作位置検出部162は、タッチが行われている(S7:YES)と判定すると、タッチ位置が変化しているかどうかを判定する(ステップS8)。回転ノブ110が操作されていない場合に、なぞり操作が行われているかどうかを判定するためである。
【0054】
操作位置検出部162によってタッチ位置が変化している(S8:YES)と判定されると、制御部164はなぞり操作を表すデータをECU20に伝送する(ステップS9)。この結果、ECU20はオーディオの音量を操作対象として設定して、なぞり操作に応じてオーディオの音量を調節する。以上で、一連の処理が終了する(エンド)。
【0055】
また、ステップS8において、操作位置検出部162は、タッチ位置が変化していない(S8:NO)と判定すると、タッチ位置が一定時間にわたって変化していないかどうかを判定する(ステップS10)。長押し操作が行われているかどうかを判定するためである。
【0056】
操作位置検出部162によってタッチ位置が一定時間にわたって変化していない(S10:YES)と判定されると、制御部164は長押し操作を表すデータをECU20に伝送する(ステップS11)。この結果、ECU20はオーディオの音量を操作対象として設定して、長押し操作に応じてオーディオの音量をミュートにする。以上で、一連の処理が終了する(エンド)。
【0057】
なお、ステップS7において、操作位置検出部162がタッチが行われていない(S7:NO)と判定した場合と、ステップS10において、操作位置検出部162がタッチ位置が変化した(S10:NO)と判定した場合には、フローは終了する(エンド)。
【0058】
また、本実施例ではステップS2において回転ノブ110が回転しない(S2:NO)と判定し、かつ、ステップS7でタッチが行われていると判定した場合にステップS8に進行してタッチ位置が変化しているか否かを判定することとしているが、回転ノブ110が回転していたとしてもタッチ位置が変化している場合にはなぞり操作に伴った意図しない回転ノブ110の回転が発生したと判断し、回転ノブ110の回転を無視するようにしても良い。すなわち、なぞり操作と同時に回転ノブ110を回転させる回転操作が行われた場合に、制御部164は、回転操作を無視してなぞり操作を表すデータをECU20に伝送してもよい。
【0059】
また、例えば回転ノブ110の回転操作が+Y方向側から-Y方向側に行われた際に、+Y方向側にある静電センサ120が先に検出され(または先に検出値が高く検出され)、その後に-Y方向側にある静電センサ120が検出され(または後に検出値が高く検出され)、且つ、継続して回転ノブ110の回転動作が検出されていない場合において、-Y方向側の静電センサ120が所定時間継続して高い検出値を検出し続けている場合には、回転ノブ110の回転操作が+Y方向から-Y方向に向かってなされた後に、継続して親指が回転ノブ110の-Y方向側に位置し続けることを表す。このような操作を検出した場合には、制御部164は、例えば回転ノブ110を何度も繰り返して回転動作させる(回転ノブ110を継続的に回転させる)ことを示す制御信号(第4制御信号の一例)を出力しても良い。回転ノブ110の+Y方向側は、回転ノブ110を挟む一方側及び他方側のうちの一方側の一例であり、回転ノブ110の-Y方向側は、回転ノブ110を挟む一方側及び他方側のうちの他方側の一例である。また、例えば回転ノブ110の回転操作が+Y方向側から-Y方向側に行われた後に、継続して回転ノブ110の回転動作が検出されていない場合において、-Y方向側の静電センサ120が所定時間継続して高い検出値を検出し続けている場合においても同様に、回転ノブ110の回転操作が+Y方向から-Y方向に向かってなされた後に、継続して親指が回転ノブ110の-Y方向側に位置し続けることを表す。このような場合にも、制御部164は、例えば回転ノブ110を何度も繰り返して回転動作させる(回転ノブ110を継続的に回転させる)ことを示す制御信号(第4制御信号の一例)を出力しても良い。また、このような動作が+Y方向側と-Y方向側とが逆の態様で行われた場合には、制御部164は、例えば上述の場合とは逆方向に回転ノブ110を何度も繰り返して回転動作させる(回転ノブ110を継続的に回転させる)ことを示す制御信号(第4制御信号の一例)を出力しても良い。
【0060】
また、制御装置160は、
図4に示す処理の代わりに、
図5に示す処理を実行してもよい。
図5は、制御装置160が実行する処理の他の一例を示すフローチャートである。
図4に示す処理は回転検出を先に行い、その後にタッチ操作の検出を行っているが、
図5においてはタッチ操作の検出を先に行い、その後に回転検出を行うものである。主制御部161が処理をスタートさせると以下の処理が行われる。
図5の処理では、+X方向側における長押し操作はオーディオの音量をミュートにする操作であり、-X方向側における長押し操作はミュートにしたオーディオの音量をミュートにする前の音量に復帰させる操作である。
【0061】
操作位置検出部162は、10個の静電センサ120の静電容量を取得する(ステップS21)。
【0062】
操作位置検出部162は、入力装置100にタッチ操作が行われていて回転ノブ110の+X方向側又は-X方向側のどちらであるかを判定する(ステップS22)。
【0063】
操作位置検出部162は、ステップS22においてタッチ操作が+X方向側で行われていると判定すると、1制御周期前のステップS22の判定において、入力装置100にタッチ操作が行われていて回転ノブ110の+X方向側又は-X方向側のどちらであったかを判定する(ステップS23A)。
【0064】
操作位置検出部162によってタッチ位置が回転ノブ110の+X方向側で行われていたと判定されると、制御部164は、エンコーダ140から回転位置データを取得する(ステップS24A)。
【0065】
制御部164は、取得した回転位置データに基づいて、回転位置が変化しているかどうかを判定する(ステップS25A)。回転ノブ110に回転操作が行われているかどうかを判定するためである。
【0066】
制御部164によって回転位置が変化している(S25A:YES)と判定されると、駆動制御部163は逆方向の第1回転力が発生するようにアクチュエータ150を駆動し、制御部164は回転ノブ110へのタッチ位置が+X方向側であることを表す位置データをECU20に伝送する(ステップS26A)。この結果、アクチュエータ150は逆方向の第1回転力で駆動軸151を回転させ、ECU20は空調装置の設定温度を操作対象として設定して、ディスプレイ30に設定温度を表すホイールを表示する。
【0067】
制御部164は回転ノブ110の回転が停止したときの回転位置を表す回転位置データをECU20に伝送する(ステップS27A)。この結果、ECU20は、ホイールの正面に位置する設定温度が選択されたと判定して、空調装置の温度を制御する。以上で、一連の処理が終了する(エンド)。
【0068】
ステップS25Aにおいて、制御部164によって回転位置が変化していない(S25A:NO)と判定されると、操作位置検出部162は、タッチ位置が一定時間にわたって変化していないかどうかを判定する(ステップS28A)。長押し操作が行われているかどうかを判定するためである。
【0069】
操作位置検出部162によってタッチ位置が一定時間にわたって変化していない(S28A:YES)と判定されると、制御部164は+X方向側における長押し操作を表すデータをECU20に伝送する(ステップS29A)。この結果、ECU20はオーディオの音量を操作対象として設定して、長押し操作に応じてオーディオの音量をミュートにする。以上で、一連の処理が終了する(エンド)。
【0070】
なお、ステップS28Aにおいて、操作位置検出部162によってタッチ位置が変化した(S28A:NO)と判定されると、一連の処理が終了する(エンド)。
【0071】
また、ステップS23Aにおいて、1制御周期前のステップS22の判定において操作位置検出部162によってタッチ位置が回転ノブ110の-X方向側で行われていたと判定されると、制御部164はなぞり操作を表すデータをECU20に伝送する(ステップS30A)。この結果、ECU20はオーディオの音量を操作対象として設定して、なぞり操作に応じてオーディオの音量を調節する。一例として、-X方向側から+X方向側になぞり操作が行われた場合は、音量を上げるなぞり操作である。以上で、一連の処理が終了する(エンド)。
【0072】
なお、ステップS23Aにおいて、1制御周期前のステップS22の判定において操作位置検出部162によってタッチ位置が行われていなかったと判定されると、一連の処理が終了する(エンド)。
【0073】
また、ステップS22において、操作位置検出部162は、タッチ操作が-X方向側で行われていると判定すると、1制御周期前のステップS22の判定において、入力装置100にタッチ操作が行われていて回転ノブ110の+X方向側又は-X方向側のどちらであったかを判定する(ステップS23B)。
【0074】
操作位置検出部162によってタッチ位置が回転ノブ110の-X方向側で行われていたと判定されると、制御部164は、エンコーダ140から回転位置データを取得する(ステップS24B)。
【0075】
制御部164は、取得した回転位置データに基づいて、回転位置が変化しているかどうかを判定する(ステップS25B)。回転ノブ110に回転操作が行われているかどうかを判定するためである。
【0076】
制御部164によって回転位置が変化している(S25B:YES)と判定されると、駆動制御部163は逆方向の第2回転力が発生するようにアクチュエータ150を駆動し、制御部164は回転ノブ110へのタッチ位置が-X方向側であることを表す位置データをECU20に伝送する(ステップS26B)。この結果、アクチュエータ150は逆方向の第2回転力で駆動軸151を回転させ、ECU20は空調装置の風量を操作対象として設定して、ディスプレイ30に風量を表すホイールを表示する。
【0077】
制御部164は回転ノブ110の回転が停止したときの回転位置を表す回転位置データをECU20に伝送する(ステップS27B)。この結果、ECU20は、ホイールの正面に位置する風量が選択されたと判定して、空調装置の風量を制御する。以上で、一連の処理が終了する(エンド)。
【0078】
ステップS25Bにおいて、制御部164よって回転位置が変化していない(S25B:NO)と判定されると、操作位置検出部162は、タッチ位置が一定時間にわたって変化していないかどうかを判定する(ステップS28B)。長押し操作が行われているかどうかを判定するためである。
【0079】
なお、ステップS28Bにおいて、操作位置検出部162によってタッチ位置が変化した(S28B:NO)と判定されると、一連の処理が終了する(エンド)。
【0080】
操作位置検出部162によってタッチ位置が一定時間にわたって変化していない(S28B:YES)と判定されると、制御部164は-X方向側における長押し操作を表すデータをECU20に伝送する(ステップS29B)。この結果、ECU20はオーディオの音量を操作対象として設定して、長押し操作に応じてオーディオの音量をミュートから元の音量に復帰させる。以上で、一連の処理が終了する(エンド)。
【0081】
また、ステップS23Bにおいて、操作位置検出部162によって1制御周期前のステップS22の判定におけるタッチ位置が回転ノブ110の+X方向側であると判定されると、制御部164はなぞり操作を表すデータをECU20に伝送する(ステップS30B)。この結果、ECU20はオーディオの音量を操作対象として設定して、なぞり操作に応じてオーディオの音量を調節する。一例として、+X方向側から-X方向側になぞり操作が行われた場合は、音量を下げるなぞり操作である。以上で、一連の処理が終了する(エンド)。
【0082】
また、ステップS22において、操作位置検出部162は、タッチ操作が行われていない(タッチなし)と判定すると、一連の処理が終了する(エンド)。
【0083】
また、ステップS23Bにおいて、1制御周期前のステップS22の判定において操作位置検出部162によってタッチ位置が行われていなかったと判定されると、一連の処理が終了する(エンド)。
【0084】
以上のように、
図4及び
図5のいずれの処理においても、回転ノブ110の+X方向側と-X方向側のいずれに触れて回転操作を行うかによって、運転者は操作対象を選択することができる。操作対象を選択するために、例えば回転ノブ110を押すような操作や、回転ノブ110以外のスイッチの操作等は必要なく、回転ノブ110に回転操作を行う際に、+X方向側と-X方向側のどちらに触れるかで操作対象を選択することができる。
【0085】
したがって、複数種類の操作を行うことができる回転ノブ110を含む入力装置100を提供することができる。+X方向側と-X方向側のどちらに触れるかで操作対象を選択することができるので、運転者は運転中に入力装置100の操作に対する意識を最小限にすることができ、非常に使い勝手が良好な入力装置100を提供することができる。また、操作対象を切り替えるために、例えば別途設けられる切替スイッチに対する押圧操作等を行う必要がないため、車載機器40を操作するための操作の回数を少なくすることができ、特に運転者が車両を運転しているときに、非常に使い勝手が良好である。
【0086】
また、制御部164は、操作位置検出部162の検出結果に基づいて複数の制御対象から操作対象になる制御対象を選択し、操作入力に基づいて操作対象として選択した制御対象を制御する制御信号を出力するので、タッチ操作を行う位置で操作対象になる制御対象を選択することができ、非常に使い勝手が良好な入力装置100を提供することができる。
【0087】
また、アクチュエータ150と駆動制御部163を含み、操作対象として選択した制御対象によって触感が異なるようにアクチュエータ150を駆動するので、触感を通じて制御対象を認識することができ、運転中にブラインドタッチで複数の制御対象の操作を行うことができる。
【0088】
また、アクチュエータ150は、回転ノブ110の回転軸111にトルクを付与するので、回転ノブ110を回転させる際の触感を通じて制御対象を認識することができ、複数の制御対象から操作対象を容易に選択することができる。
【0089】
また、制御部164は、タッチ位置が回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも+X方向側である場合と、タッチ位置が回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも-X方向側である場合とで異なる制御対象を操作対象として選択するので、+X方向側と-X方向側とで容易に操作対象を選択でき、非常に使い勝手が良好な入力装置100を提供することができる。
【0090】
また、制御部164は、タッチ位置が回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも+X方向側の半分で行われる場合と、タッチ位置が回転ノブ110の軸方向(X方向)における中心よりも-X方向側の半分で行われる場合とで異なる制御対象を操作対象として選択するので、操作対象の選択が容易であり、非常に使い勝手が良好な入力装置100を提供することができる。
【0091】
また、エンコーダ140を含み、制御部164は回転ノブ110の回転量を表す回転データを含む制御信号を車載機器40に出力するので、回転ノブ110の回転量で車載機器40に所望の操作を行うことができ、非常に使い勝手が良好な入力装置100を提供することができる。
【0092】
また、静電センサ120は、平面視において回転ノブ110の回転軸111を挟む+Y方向側と-Y方向側の少なくともいずれか一方に設けられているので、回転ノブ110及び回転ノブ110の周辺で行われるタッチ操作を確実に検出することができる。
【0093】
また、静電センサ120は、平面視において回転ノブ110の回転軸111に沿って設けられているので、回転軸111の延在方向におけるどの位置でタッチ操作が行われているかを確実に検出することができる。
【0094】
また、制御部164は、操作位置検出部162の検出結果に基づいて、回転ノブ110の回転軸111の延在方向に沿って行われるなぞり操作に応じて、複数の制御対象のうちのいずれかの制御対象を制御する制御信号を出力するので、回転ノブ110を回転させずに回転ノブ110に沿ってなぞり操作を行うことによっても車載機器40を制御することができ、より使い勝手が良好な入力装置100を提供することができる。
【0095】
また、制御部164は、操作位置検出部162の検出結果に基づいて、回転ノブ110を回転させずに、タッチ位置を静止させて行う長押し操作に応じて、複数の制御対象のうちのいずれかの制御対象を制御する制御信号を出力するので、回転ノブ110を回転させずに回転ノブ110又は回転ノブ110の周囲で長押し操作を行うことによっても車載機器40を制御することができ、より使い勝手が良好な入力装置100を提供することができる。
【0096】
また、入力装置100は、車両のステアリングホイール10に配置されるので、運転者が運転中にブラインドタッチで複数の制御対象を操作することができ、運転中の安全性の確保と、操作の利便性とを兼ね備えた入力装置100を提供することができる。
【0097】
また、操作位置検出部162は、ステアリングホイール10のグリップから離れる方向に移動する操作入力をグリップに近づく方向に移動する操作入力よりも優先して検出する。親指をグリップから離れる方向に移動させてタッチ操作を行い、タッチ操作が完了した後には、ステアリングホイール10をしっかりと握るために親指がグリップに近づく方向に戻るので、戻る際の親指の移動をタッチ操作として検出しないことによって、タッチ操作の検出精度を向上させることができる。
【0098】
なお、以上では、回転ノブ110の回転軸111がステアリングホイール10のスポーク11の延在方向に沿うように入力装置100がステアリングホイール10に取り付けられる形態について説明したが、入力装置100のステアリングホイール10への取付方は、このような取付方に限られない。入力装置100は、例えば、回転軸111がスポーク11の延在方向に対して角度を有するように取り付けられていてもよく、角度は90度であってもよい。
【0099】
また、以上では、入力装置100における回転軸111の延在方向のうちの+X方向側の半分と、-X方向側の半分とで操作対象として選択する制御対象が異なる形態について説明したが、回転軸111の延在方向を3つ以上の区間に分けて、3つ以上の制御対象から操作対象になる制御対象を選択できるようにしてもよい。
【0100】
また、以上では、入力装置100をステアリングホイール10のスポーク11に取り付ける形態について説明したが、入力装置100はステアリングホイール10のうちのスポーク11以外の場所に取り付けられていてもよく、車両のうちのステアリングホイール10以外の部分に取り付けられていてもよい。また、車両以外に取り付けられていてもよい。
【0101】
以上、本発明の例示的な実施形態の入力装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0102】
なお、本国際出願は、2021年3月30日に出願した日本国特許出願2021-057931に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0103】
10 ステアリングホイール
11 スポーク
100 入力装置
110 回転ノブ
111 回転軸
120 静電センサ
130 配線基板
140 エンコーダ
150 アクチュエータ
160 制御装置
162 操作位置検出部
163 駆動制御部
164 制御部