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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】車両通知システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/017 20060101AFI20240115BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
G08G1/017
G08G1/04 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019185744
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021060893
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000232508
【氏名又は名称】日本道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】307029560
【氏名又は名称】株式会社ピー・エム・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】和田 勝利
(72)【発明者】
【氏名】重崎 光輝
(72)【発明者】
【氏名】瀬野尾 武
(72)【発明者】
【氏名】大塚 功貴
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-133703(JP,A)
【文献】特開2008-217282(JP,A)
【文献】特開2018-109916(JP,A)
【文献】特開2017-142587(JP,A)
【文献】特開2014-26642(JP,A)
【文献】特許第5988185(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行して工事現場向かっている工事車両を検知する車両検知部と、
前記車両検知部で検知した工事車両を、前記工事現場の車両入口で誘導する人に通知する車両通知部と、
を有し、前記車両検知部は、前記工事車両のナンバーによって、前記工事現場に向かっている工事車両を検知するように構成されており、
前記車両検知部は、撮像部と制御部とを備えて構成されており、前記撮像部は前記道路を走行している前記工事車両のナンバープレートと一般車両のナンバープレートとを撮影するように構成されており、
前記制御部は、画像解析部と工事車両判断部とを備えて構成されており、
前記画像解析部は、前記撮像部が撮影した前記工事車両のナンバープレートと一般車両のナンバープレートとを解析し、この解析によって、ナンバープレート記載事項を得るようになっており、
前記工事車両判断部には、前記工事車両のナンバープレート記載事項が予め登録されており、前記工事車両判断部は、前記画像解析部で得られたナンバープレート記載事項が、前記予め登録されているナンバープレート記載事項と一致しているか否かを判断し、前記一致があった場合には、前記車両検知部で前記工事車両が検知されたものとし、前記一致がなかった場合には、前記車両検知部で前記工事車両が検知されなかったものとすることを特徴とする車両通知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両通知システムであって、
前記車両の走行方向の上流側で前記工事現場の車両入口から離れて設置され、前記車両検知部が前記工事現場に向かっている工事車両を検知したときに、前記工事現場に向かっている工事車両以外の車両に、前記工事現場に向かっている工事車両に関する注意を喚起する注意喚起部を有することを特徴とする車両通知システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両通知システムであって、
前記車両通知部は、前記工事現場の車両入口で前記誘導をする人が携帯する受信機を備えて構成されており、
前記受信機は、前記車両検知部で検知した工事車両であって前記工事現場に入る前の複数の工事車両を、前記工事現場の車両入口で前記誘導をする人に通知するように構成されていることを特徴とする車両通知システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車両通知システムであって、
前記道路は、片側に複数車線を有する道路であり、これらの車線のうちの少なくとも一つの車線が所定の長さにわたって前記工事現場もなっており、
前記工事現場の車両入口は、前記道路の延伸方向で前記工事現場の中間部に設けられていることを特徴とする車両通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図5で示すように、たとえば、片側2車線の道路301の補修工事等において、工事領域である一方の車線303と、一般車両309も通行可能は他方の車線305との間に、所定の間隔でカラーコーン307を配置することで、一方の車線303と他の車線305とを仕切っている。
【0003】
また、たとえば、一対のカラーコーン307A、307Bの間を工事領域303への工事車両311の入口312としている。また、車両309、311の走行方向の上流側に「前方注意」の看板313等を掲げるとともに、1人目の警備員315を配置している。さらに、車両309、311の走行方向の下流側の工事車両311の入口312のところに2人目の警備員317を配置している。2人目の警備員317のところには、「工事車両出入口」の看板320を掲げている。
【0004】
各警備員315、317のそれぞれは、トランシーバ319を携帯しており、1人目の警備員315が工事車両311を発見したときに、トランシーバ319によってその旨を2人目の警備員317に伝えている。
【0005】
これにより、2人目の警備員317は、もうすぐ工事車両311がやってくることを知ることができ、工事車両311を適宜に誘導している。
【0006】
ここで、従来の技術に関連する特許文献として、特許文献1、特許文献2を掲げる。特許文献1には、カメラで撮影した画像から車番を認識する技術が示されている。特許文献2には、ETC車載器が設置されている工事車両を無線基地局が認識し、この認識に基づいて、上記工事車両が工事現場に侵入する旨の表示器で表示をする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-68459号公報
【文献】特開2008-217282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、道路の工事が行われているところにおける一般車両と工事車両との接触事故等を減らすことは重要な事項である。従来の方式では、2人も警備員を配置する必要があるとともに、トランシーバによる情報伝達では、騒音等により警備員の負担が大きくなってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、人員の削減をすることができるとともに、警備員の負担を軽減することができる車両通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、道路を走行して工事現場向かっている工事車両を検知する車両検知部と、前記車両検知部で検知した工事車両を、前記工事現場の車両入口で誘導する人に通知する車両通知部とを有し、前記車両検知部は、前記工事車両のナンバーによって、前記工事現場に向かっている工事車両を検知するように構成されており、前記車両検知部は、撮像部と制御部とを備えて構成されており、前記撮像部は前記道路を走行している前記工事車両のナンバープレートと一般車両のナンバープレートとを撮影するように構成されており、前記制御部は、画像解析部と工事車両判断部とを備えて構成されており、前記画像解析部は、前記撮像部が撮影した前記工事車両のナンバープレートと一般車両のナンバープレートとを解析し、この解析によって、ナンバープレート記載事項を得るようになっており、前記工事車両判断部には、前記工事車両のナンバープレート記載事項が予め登録されており、前記工事車両判断部は、前記画像解析部で得られたナンバープレート記載事項が、前記予め登録されているナンバープレート記載事項と一致しているか否かを判断し、前記一致があった場合には、前記車両検知部で前記工事車両が検知されたものとし、前記一致がなかった場合には、前記車両検知部で前記工事車両が検知されなかったものとする車両通知システムである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両通知システムであって、前記車両の走行方向の上流側で前記工事現場の車両入口から離れて設置され、前記車両検知部が前記工事現場に向かっている工事車両を検知したときに、前記工事現場に向かっている工事車両以外の車両に、前記工事現場に向かっている工事車両に関する注意を喚起する注意喚起部を有する車両通知システムである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の車両通知システムであって、前記車両通知部は、前記工事現場の車両入口で前記誘導をする人が携帯する受信機を備えて構成されており、前記受信機は、前記車両検知部で検知した工事車両であって前記工事現場に入る前の複数の工事車両を、前記工事現場の車両入口で前記誘導をする人に通知するように構成されている車両通知システムである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車両通知システムであって、前記道路は、片側に複数車線を有する道路であり、これらの車線のうちの少なくとも一つの車線が所定の長さにわたって前記工事現場もなっており、前記工事現場の車両入口は、前記道路の延伸方向で前記工事現場の中間部に設けられている車両通知システムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、人員の削減をすることができるとともに、警備員の負担を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る車両通知システムの使用態様を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両通知システムの概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両通知システムの動作の概要を示す図である。
図4】変形例に係る車両通知システムの使用態様を示す図である。
図5】従来の車両通知システムの使用態様を示す図である。
図6】変形例に係る車両通知システムの動作の概要を示す図である。
図7】変形例に係る車両通知システムの動作の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る車両通知システム1は、図1で示すように、道路7等の工事現場9に設置されて使用されるものであり、車両検知部3と車両通知部5とを備えて構成されている。
【0020】
車両検知部3は、工事現場9の車両出入口11から工事現場9に入るべく道路7を走行して工事現場9に向かっている工事車両(工事現場用工事車両)13を検知するようになっている。
【0021】
工事現場9への車両の出入りは、たとえば、車両出入口11からのみ可能となっている。車両出入口11は、工事現場9に1つだけ設けられているが、車両出入口11が複数設けられていてもよい。さらに、工事現場9において、車両出入口11が一方通行になっていてもよい。すなわち、1つの車両出入口11が工事現場9に工事車両13が入るときにのみ使用される車両入口として使用され、他の1つの車両出入口11が工事現場9から工事車両13が出るときのみ使用される車両出口として使用されていてもよい。
【0022】
車両検知部3が検知する工事車両13は、工事現場9の車両出入口11から所定の距離だけ工事車両13の走行方向の上流側に離れているところを走行している車両である。工事車両13として、たとえばダンプカーを掲げることができる。
【0023】
車両通知部5は、車両検知部3で検知した工事車両13を、工事現場9の車両入口(車両出入口)11で誘導(誘導警備)する人(誘導員;警備員)15に通知するようになっている。車両入口11は、工事車両13の走行方向でたとえば下流側に設けられている。車両通知部5は、車両検知部3で検知した工事車両13が工事現場9の車両入口11に到着する前に(たとえば、数秒前までに)誘導員15に通知するようになっている。
【0024】
また、車両検知部3は、工事車両13のナンバー(ナンバープレートに記されている地名、分類番号、ひらがなもしくはアルファベット文字、一連指定番号等のナンバープレート記載事項)によって、工事現場9に向かっている工事車両13を検知するように構成されている。
【0025】
車両検知部3は、撮像部(カメラ)17と図示しない制御部(CPUとメモリとを備えて構成されている制御部)とを備えて構成されている。カメラ17は、道路7を走行している工事車両13とその他の車両(一般車両)19を撮影するようになっているとともに、車両13、19のナンバープレートも同時に撮影するようになっている。
【0026】
カメラ17は、道路7を走行している車両13、19をこの前側から撮影するようになっているが、道路7を走行している車両13、19をこの後側から撮影するようになっていてもよいし、たとえば2台のカメラで道路7を走行している車両13、19をこの前側と後側とから撮影するようになっていてもよい。後側から撮影することで車両19が二輪車であっても車両のナンバープレートを撮影することができる。
【0027】
車両検知部3の制御部は、図示しない画像解析部と図示しない工事車両判断部と通信部(送信部)21とを備えて構成されている。
【0028】
画像解析部は、カメラ17が撮影した画像(車両13、19のナンバーの画像)を解析するようになっている。この解析によって、ナンバープレート記載事項が得られるようになっている。
【0029】
工事車両判断部には、1または複数の工事車両13のナンバープレート記載事項が予め登録されている。そして、工事車両判断部は、画像解析部で得られたナンバープレート記載事項が、予め登録されているナンバープレート記載事項のうちの1のナンバープレート記載事項と一致しているが否かを判断する。
【0030】
上記一致があった場合には、車両検知部3で工事車両13が検知されたものとし、上記一致がなかった場合には、車両検知部3で工事車両13が検知されなかったものとする。
【0031】
車両通知部5は、工事現場9の車両出入口11で工事車両13を誘導する誘導員15が携帯している受信機(たとえばトランシーバ)23を備えて構成されている。
【0032】
車両検知部3と車両通知部5との間では、たとえば、無線通信によって通信をするようになっている。そして、車両検知部3で工事車両13が検知された場合、車両検知部3の通信部21が、車両検知部3で工事車両13が検知された旨の信号を、誘導員15が携帯しているトランシーバ23に送信するようになっている。誘導員15が携帯しているトランシーバ23は、通信部21からの工事車両13が検知された旨の信号を受信した場合、この旨を誘導員15に音声等の音で知らせるようになっている。
【0033】
なお、図4で示すように、車両検知部3が、工事現場9に向かっている工事車両13に予め搭載されているICタグ(図示せず)によって、工事現場9に向かっている工事車両13を検知するように構成されていてもよい。ICタグは、電波を受けて働く小型の電子装置の1つで、RFIDの一種である。ICタグには、工事現場9に向かっている工事車両13を特定するための情報(個別番号)が格納されている。車両検知部3を構成するICタグリーダ25から発射される電波で、ICタグは微量な電力を生み出す事が出来る。ICタグは、その電力でICタグに内蔵されている個別番号の情報処理を行って個別番号を示す電波信号をICタグリーダ25に送信する。ICタグリーダ25はこの電波信号を読み取ってICタグの情報を得るようになっている。
【0034】
ICタグを用いた場合であっても、工事車両判断部には、1または複数の工事車両13のICタグの個別番号が予め登録されている。そして、工事車両判断部は、ICタグリーダ25で得られたICタグの個別番号が、予め登録されているICタグの個別番号のうちの1のICタグの個別番号と一致しているが否かを判断する。
【0035】
ナンバープレート記載事項を用いた場合と同様にして、上記一致があった場合には、車両検知部3で工事車両13が検知されたものとし、上記一致がなかった場合には、車両検知部3で工事車両13が検知されなかったものとする。
【0036】
ところで、車両通知システム1には、図1図4で示すように、注意喚起部27が設けられている。注意喚起部27は、車両13、19の走行方向の上流側で工事現場9の車両入口11から離れて設置されている。そして、車両検知部3が工事現場9に向かっている工事車両13を検知したときに、工事現場9に向かっている工事車両13以外の一般車両19に、工事現場9に向かっている工事車両13に関する注意を喚起するように構成されている。
【0037】
注意喚起部27は、図示しない受信部と表示部29と図1図4では図示していない制御部とを備えて構成されている。受信部は、車両検知部3で工事車両13が検知された場合、車両検知部3の通信部21が送信した信号(車両検知部3で工事車両13が検知された旨の無線信号)を、受信するようになっている。
【0038】
表示部29は、たとえは、多数のLEDを備えて構成されており、文字や画像等を表示するようになっている。注意喚起部27の制御部は、CPUとメモリとを備えて構成されている。そして、車両検知部3の送信部21が送信した信号(車両検知部3で工事車両13が検知された旨の無線信号)を受信部で受信した場合、注意喚起部27の制御部の制御の下、表示部29が注意喚起をすべき旨の表示を、工事現場9のほうに向かっている車両13、19の運転者に向けてするようになっている。
【0039】
注意喚起をすべき旨の表示として、たとえば、「この先600mで、工事車両が工事現場に入ります。速度を落としてください。」との表示を掲げることができる。
【0040】
また、図1で示すように、誘導員15が携帯する受信機(車両通知部5を構成する受信機)として、トランシーバ23に代えてもしくは加えて、文字や画像等を表示できるタブレット(PCタブレット)31を採用してもよい。
【0041】
この場合、車両検知部3で検知した工事車両13であって工事現場9に入る前の複数の工事車両13を、タブレット31の画面に表示することで、誘導員15に通知するように構成されている。
【0042】
また、誘導員15が受信機を携帯せず、代わりに、車両通知部5が誘導員15に向けて特定の光を照射したり、指向性の高いスピーカを用いて、工事車両13がもうすぐ工事現場9の車両出入口11に到着する旨を知らせるようにしてもよい。
【0043】
また、車両通知システム1では、車両検知部3が、工事現場9に向かっている工事車両13に加えて、道路7を走行して工事現場9の出入口11側に向かっている総ての車両(二輪車を含む一般車両や工事現場とは無関係な工事車両等の総て)19を検知するように構成されている。
【0044】
そして、タブレット31が、車両検知部3で検知した車両13、19の総てを、工事現場9の車両入口11で誘導員15に通知するようになっている。この場合、タブレット31の表示面には、図1で示すように、車両13、19のナンバーの4桁の数字と大型、中型、小型の区別等の車両13、19の情報が表示される。なお、タブレット31の表示面での表示において、工事現場9に向かっている工事車両13の情報と一般車両19の情報とをお互いの色を変える等の差別化をはかりつつ表示してもよい。たとえば、工事現場9に向かっている工事車両13の情報を赤色で表示し、それ以外の一般車両19の情報を黒色で表示してもよい。
【0045】
また、タブレット31の表示面での表示では、車両出入口11のところに達する順に並べて車両13、19に関する情報を表示している。たとえば、表示面の最下段が工事現場9の出入口11のもっとも近くにいる車両13、19であり、下から上に向かうにしたがって、工事現場9の出入口11からの距離が大きくなっている車両13、19である。タブレット31の表示面に表示される車両13、19の数は、たとえば一定の数になっている。
【0046】
ここで、タブレット31の表示面に表示されている複数の車両13、19の情報の表示面からの削除について説明する。誘導員15のところを通過した車両13、19の情報は、誘導員15がタブレット31を用いて手動で消去するようになっている。この消去に応じて、新しい車両13、19の情報がタブレット31の表示面に表示される。
【0047】
なお、上記消去において、誘導員15が、工事車両13の情報のみを消去することで、この消去した工事車両13の前を走っていた一般車両19の情報が自動的に消去されるようにしてもよい。この場合、タブレット31の表示面に複数の一般車両19しか表示されていない事態が発生する。すると、タブレット31の表示面に工事現場9の車両出入口11に接近している工事車両13が表示されないという事態が発生するおそれがある。そこで、たとえば、車両検知部3が新たな工事車両13を検出した場合、自動的に、この検出した工事車両13の情報をタブレット31の表示面に表示するようにすることが好ましい。もしくは、時刻の経過とともに、一般車両19を車両出入口11に近いものから順に自動的に消去するようにしてもよい。
【0048】
また、車両通知システム1は道路7に設置されて使用される。この道路は、たとえば高速道路であり、片側に複数車線(少なくとも2車線)を有している。これらの車線のうちの少なくとも一つの車線が所定の長さにわたって閉鎖されており工事現場9もなっている。工事現場9の車両入口11は、道路7の延伸方向で工事現場9の中間部(たとえば、上述したように、工事車両13の走行方向で下流側)に設けられている。
【0049】
車線境界線上には、工事現場9を区分けする区分け部材33が設置されていることで、道路7における工事現場9と車両19が走行可能な領域とが区切られている。区分け部材として、たとえば、複数のコーン33が採用されており、これらのコーン33は道路7の延伸方向で、一定の間隔をあけて車線境界線上に配置されている。工事現場9の車両入口11は、一対のコーン33(33A、33B)の間に形成されている。工事現場9の車両入口11を示す一対のコーン33A、33Bの色と、他のコーン33の色とはお互いが異なっている。
【0050】
車両通知システム1についてさらに説明する。車両通知システム1は、図2で示すように、カメラ17とナンバー認識システム35とサーバ(たとえばクラウドサーバ)37と携帯端末(タブレット)31とパトライト(注意喚起部)27とを備えて構成されている。クラウドサーバ37はたとえば規制車両(図示せず)にある。
【0051】
タブレット31とナンバー認識システム35とクラウドサーバ37は、インターネット39等の通信ネットワークを介してつながっている。カメラ17とナンバー認識システム35と無線ユニット(親機)41とは、ハブ(HUB)43を介してつながっている。無線ユニット(子機)45と無線ユニット(親機)41とは、お互い間で無線通信するようになっている。
【0052】
注意喚起部27は、無線ユニット(子機)45とつながっており、また、無線ユニット(子機)45には消込スイッチ47がつながっている。カメラ17とナンバー認識システム35とクラウドサーバ37とは車両検知部3を構成している。クラウドサーバ37には、工事車両13のナンバープレート記載事項が予め登録されている。
【0053】
なお、タブレット31の表示部に表示されている車両19に関する情報の消去については上述したが、図2で示す構成において、消し込みスイッチ47によって、タブレット31の表示部に表示されている車両19に関する情報の消去をするようにしてもよい。なお、消し込みスイッチ47の本来の機能については後述する。
【0054】
なお、工事現場9の車両出入口11のところに別のカメラ(図示せず)を設置し、このカメラで車両出入口11のところを通過する車両19のナンバーを撮影し、この撮影があされた車両19に関する情報を、タブレット31の表示面から自動的に消すようにしてもよい。
【0055】
次に、車両通知システム1の動作について図3を参照しつつ説明する。
【0056】
図3に示すステップS1、S3、S5は、インターネット環境(プラウザ)における動作(インターネット39に接続されている図示しないPC等における動作)であり、ステップS11、S13、S15、S17、S19、S21は、クラウドサーバ37における動作である。図3に示すステップS31、S33、S35、S37、S39、S41、S43は、車番認識ユニット(カメラと認識PC;ナンバー認識システム)35における動作であり、ステップS51、S53、S55、S57、S59、S61は、誘導員15が所持しているタブレット31と消し込みスイッチ47とにおける動作である。また、図3に示すステップS71、S73、S75は、作業区域(工事現場)のところに設けられている注意喚起部(リレーやパトライト)27における動作である。
【0057】
ステップS1では、予定サーバにログインし、ステップS3では、来場予定入力画面が表示され、ステップS5では、来場予定の車両(工事現場9に行く予定の工事車両13のナンバー)が登録(入力)される。
【0058】
ステップS11では、認証を行い、ステップS13では、動作対象が決められる。ステップS15では、車両13(車両13のナンバー)が登録される。ステップS17では、来場予定・履歴更新をする。ステップS19では、来場予定・実績データを抽出する。ステップS21では、来場実績を更新する。
【0059】
ステップS31では、たとえば誘導員15がカメラ17を設置し、システムを起動する。ステップS33では、来場予定・実績同期をとる。ステップS35では、車両13の認識をする。ステップS37では、来場予定とのマッチングをする。ステップS39では、登録車両か否かを判断する。すなわち、ステップS39では、カメラ17で撮影した車両ナンバーが、工事車両13のものであるか否かを判断する。
【0060】
ステップS41では、対象のリレーに発報する。すなわち、誘導員15の持っているタブレット31等に工事車両13が近づいている旨を通知する。また、ステップS45では、無線通信により、注意喚起部27に発報する。ステップS43では、認識履歴をアップロードする。
【0061】
ステップS51では、誘導員15がタブレット31を起動する。ステップS53では、来場予定・実績同期をとる。ステップS55では、来場予定・実績を一覧表示する。たとえば、タブレット31の表示画面に、図1で示すような情報を表示する。ステップS57では、来場リストのメンテナンスをする。ステップS59では、来場予定・実績の一覧表示を更新する。ステップS61では、パトライト27を消灯するための消込スイッチ47が誘導員15によって押される。
【0062】
ステップS71では、無線通信により、工事車両13が近づいている旨を受信する。ステップS73では、注意喚起部27で注意を喚起する。たとえば、パトライトを点灯する等する。ステップS73では、パトライトを消灯する等する。
【0063】
なお、車両通知システム1の動作を図6図7で示すようにしてもよい。
【0064】
図6図7で示すステップS101、S103、S105、S107、S109、S111、S113は、インターネット環境(プラウザ)における動作(インターネット39に接続されている図示しないPC等における動作)である。図6図7で示すステップS121、S123、S125、S127、S129、S131、S133、S135は、クラウドサーバ37における動作である。図6図7で示すステップS141、S143、S145、S147、S149、S151、S153、S155、S157、S159は、車番認識ユニット(カメラと認識PC;ナンバー認識システム)35における動作である。図6図7で示すステップS171、S173、S175、S177、S179、S181、S183は、誘導員15が所持しているタブレット31と消し込みスイッチ47とにおける動作である。また、図6図7で示すステップS191、S193、S195は、作業区域(工事現場)のところに設けられている注意喚起部(リレーやパトライト)27における動作である。
【0065】
ステップS101では、予定サーバにログインし、ステップS103では、来場予定入力一覧画面が表示され、ステップS105では、来場予定入力画面が表示され、ステップS107では、来場予定の車両(工事現場9に行く予定の工事車両13のナンバー)が登録(入力)される。
【0066】
ステップS109では、来場事績一覧画面が表示され、ステップS111では、現場情報一覧画面が表示され、ステップS113では、機器情報一覧画面が表示される。
【0067】
ステップS121では認証を行う。ステップS123では、車両登録がされる。すなわち、車両13(車両13のナンバー)が登録される。ステップS125では、来場予定更新をする。S127では、来場予定データを抽出する。S129では、現場情報の作成・更新・削除をする。S131では、機器情報の作成・更新・削除をする。ステップS133では、認識履歴同期をとる。ステップS135では、来場実績同期をとる。
【0068】
ステップS141では、たとえば誘導員15がカメラ17を設置し、システムを起動する。ステップS143では、来場予定同期をとる。ステップS145では、車両13の認識をする。ステップS147では、来場予定とのマッチングをする。ステップS149では、登録車両か否かを判断する。すなわち、ステップS149では、カメラ17で撮影した車両ナンバーが、工事車両13のものであるか否かを判断する。
【0069】
ステップS151では、認識画像とCVSファイルとを削除する。ステップS153では、対象のリレーに発報する。すなわち、誘導員15の持っているタブレット31等に工事車両13が近づいている旨を通知する。また、ステップS155では、無線通信により、注意喚起部27に発報する。ステップS157では、来場実績データの抽出をする。ステップS159では、来場実績の同期をとる。
【0070】
ステップS171では、誘導員15がタブレット31を起動する。ステップS173では、来場予定同期をとる。ステップS175では、来場予定の一覧表示を更新する。ステップS177では、来場実績の同期をとる。ステップS177では、来場実績の一覧表示を更新する。ステップS181では、来場実績の一覧の消し込みが誘導員15によってされる。ステップS183では、パトライト27を消灯するための消込スイッチ47が誘導員15によって押される。
【0071】
ステップS191では、無線通信により、工事車両13が近づいている旨を受信する。ステップS193では、注意喚起部27で注意を喚起する。たとえば、パトライトを点灯する等する。ステップS195では、パトライトを消灯する等する。
【0072】
車両通知システム1によれば、車両検知部3で検知した工事車両13や普通車両19を、車両通知部5によって工事現場9の車両入口11で誘導する人(警備員)15に通知するので、1人の警備員15によって工事車両13を適切に誘導することができ人員の削減をはかることができる。
【0073】
また、従来のように2人の警備員がトランシーバを用いて連絡をし合う必要がなくなるので、騒音等があっても、工事車両13の接近を警備員15が確実に知ることができ、警備員15の負担が軽減される。さらに、工事現場入口(車両入口)11における工事車両13と一般車両19の接触事故を極力無くすことができる。
【0074】
また、車両通知システム1によれば、車両検知部3が、車両のナンバーによって工事車両13を検知することができるので、工事車両13がETCカードを使用していなかったり、工事車両13がETC車載器を搭載していなくても、さらに、工事車両13に特別な工夫を施すことなく、工事車両13を認識することができる。これが、工事車両13のドライバーの負担軽減につながる。
【0075】
また、車両検知部3が、車両のナンバーによって工事車両13を検知することができるので、一般車両19も検知することができ、工事現場9に向かって走ってくる一般車両19の種類も特定することができる。そして、工事現場入口11における工事車両13と一般車両19の接触事故を一層少なくすることができる。
【0076】
また、車両通知システム1によれば、注意喚起部27が車両13、19の走行方向の上流側で工事現場9の車両入口11から離れて設置されており、車両検知部3が工事現場9に向かっている工事車両13を検知したときに、注意喚起部27が工事現場9に向かっている一般車両19に注意を喚起するので、メリハリをもって一般車両19を制御することができ、工事現場入口11における工事車両13と一般車両19の接触事故をさらに一層少なくすることができる。また、一般車両19も安全を確保しやすくなる。
【0077】
また、車両通知システム1によれば、誘導員15がタブレット31を携帯しており、タブレット31が車両検知部3で検知した工事車両13を、工事現場9の車両入口11で誘導員15に通知するように構成されているので、警備員15が複数の工事車両13を同時に知ることができるとともに、工事現場入口11に到着する工事車両13の順序も知ることができる。そして、誘導員15にとって車両13、19の誘導がしやすくなる。
【0078】
また、車両通知システム1によれば、車両検知部3が工事車両13に加えて他の総ての車両19を検知するように構成されており、タブレット31が、車両検知部3で検知した車両13、19の総てを、工事現場9の車両入口11で誘導員15に通知するように構成されているので、誘導員15が総ての車両13、19を同時に知ることができ、工事現場9に入る工事車両13を一層的確に誘導することができる。
【0079】
また、車両通知システム1によれば、工事現場9の車両入口11が道路7の延伸方向で工事現場9の中間部に設けられているので、工事車両入口11では、一般車両19も速度を落としており、工事車両13と一般車両19との接触事故等を一層的確に無くすことができる。
【0080】
ここで、上記記載内容を車両通知方法として把握してもよい。すなわち、工事現場の車両出入口から工事現場に入るべく道路を走行して工事現場に向かっている工事車両を検知する車両検知段階と、前記車両検知段階で検知した工事車両を、工事車両の走行方向の下流側にある前記工事現場の車両入口(車両出入口)で誘導する人に通知する車両通知段階とを有する車両通知方法として把握してもよい。
【0081】
上記車両通知方法において、前記車両検知段階が、前記工事車両のナンバーによって、前記工事現場に向かっている工事車両を検知する段階としてもよい。
【0082】
また、上記車両通知方法において、前記車両検知段階で前記工事現場に向かっている工事車両を検知したときに、前記工事現場に向かっている工事車両以外の車両に、前記工事車両の走行方向の上流側で前記工事現場の車両入口から離れたとことで、前記工事現場に向かっている工事車両に関する注意を喚起する注意喚起段階を有する車両通知方法としてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 車両通知システム
3 車両検知部
5 車両通知部
7 道路
9 工事現場
11 車両入口(車両出入口)
13 工事車両
15 誘導する人(誘導員;警備員)
19 工事車両以外の車両(一般車両)
27 注意喚起部
23 受信機(トランシーバ)
31 受信機(タブレット)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7