(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】多穴パンチ
(51)【国際特許分類】
B26F 1/32 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
B26F1/32 U
B26F1/32 V
B26F1/32 L
(21)【出願番号】P 2020571061
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2020001135
(87)【国際公開番号】W WO2020162127
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2019022154
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104087
【氏名又は名称】カール事務器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112162
【氏名又は名称】朝日 直子
(72)【発明者】
【氏名】森 裕一
(72)【発明者】
【氏名】又井 綾乃
(72)【発明者】
【氏名】朝日 直子
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-501272(JP,A)
【文献】特開2017-019099(JP,A)
【文献】実開昭62-134700(JP,U)
【文献】特開2006-198726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/32
B42D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部から他端部に向けて等間隔に設けられた複数のパンチ刃(11)を、夫々のパンチ刃が摺接しながら案内される複数の案内路(12)と該案内路(12)に直交するスリット(13)とを有する基台(14)に、上方に付勢させた状態で組み付け、該パンチ刃(11)が押し下げられることで前記スリット(13)に挿入された用紙を穿孔するパンチ(10)であって、
用紙の折り曲げられた端縁部を当接させるための定規部(51、151、251)を備えたゲージ(50、150、250)を、前記基台(14)の一端部から側方に向けて引き出し可能に設け、
該一端部側のパンチ刃(11a)と前記定規部との間の距離(L)がパンチ刃間距離(M)の1/2になる位置で前記ゲージ(50、150、250)を停止させるための始端係止部(52、152、252)を
設けると共に、他端部のパンチ刃(11b)から前記パンチ間距離(M)だけ離れた位置に、既に穿孔された孔に挿通させることができる凸部(19)を設けたことを特徴とする多穴パンチ。
【請求項2】
前記基台(14)のスリット(13)の奥に、前記パンチ刃(11)の列に平行に延びる奥行定規(18、58、158)を前後方向に移動可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の多穴ペンチ。
【請求項3】
前記用紙のサイズに応じた第1の長さ(N1)で前記ゲージ(150)を停止させるための第1の係止部(153a)と、さらに第2の長さ(N2)だけ引き出して前記ゲージを停止させるための第2の係
止部(153b)を設けると共に、
前記第1及び第2の長さ(N1、N2)を表示するための表示部(H1、H2)と、
前記ゲージ(50、150、250)を引き出した際の本体部に、前記始端係止部(52、152、252)において該ゲージを停止させて穿孔した際に開設される孔の位置が表示された孔確認表示(K)と、を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多穴パンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーズリーフ用の綴じ穴を用紙に作成するための多穴パンチと、当該多穴パンチを用いた書籍作成具及び書籍作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
用紙にルーズリーフ用の綴じ穴を設けるための器具として、
図30に示すように、用紙に複数の綴じ穴をあけるためのパンチ1と、用紙を保持するためのゲージ2と、とによって構成されたゲージパンチが提案されている。ゲージ2は、基板に紙当定規を回動自在に設けた構成であり、綴じ穴のピッチに合わせて複数の凹部3を設け、その凹部3に、パンチ1に設けられた位置合わせ用の凸部4を係合させながら穿孔することで、用紙の側縁部に沿って複数の綴じ穴5が等間隔に形成されるようになっている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の多穴パンチは、用紙をゲージ2の基板6に載せて紙当定規7に当接させて位置合わせを行い、位置合わせされた状態の用紙を基板6に固定した後、紙当定規7を回動させて基板6の裏面側に退避させて用紙の側縁部を露呈させた後、ゲージ2に沿ってパンチ1をスライドさせながら凹部3に自身の凸部4を係合する、という手順で位置合わせを行うものであり、初めて使用する人には操作方法を説明する必要があった。また、パンチ単体ではルーズリーフ用の綴じ穴をあけることができず、ゲージの紛失又は破損によって使用できなくなる、という不具合もあった。特に、常に多穴パンチを持ち歩き、セミナー等で配布されるプリント類を即座に綴じて一冊のノートにまとめようとする際に、多穴パンチと共にゲージを持ち歩くのは負担であった。
そこで、本発明は、携帯性に優れると共に操作方法を直観的に理解することができ、単体でルーズリーフ作成用器具として使用することが可能な多穴パンチと、該多穴パンチを用いた書籍作成具と、書籍を容易に作成するためのシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、一端部から他端部に向けて等間隔に設けられた複数のパンチ刃を、夫々のパンチ刃が摺接しながら案内される複数の案内路と該案内路に直交するスリットとを有する基台に、上方に付勢させた状態で組み付け、該パンチ刃が押し下げられることで前記スリットに挿入された用紙を穿孔するパンチであって、用紙の折り曲げられた端縁部を当接させるための定規部を備えたゲージを、前記基台の一端部から側方に向けて引き出し可能に設け、該一端部側のパンチ刃と前記定規部との間の距離がパンチ刃間距離の1/2になる位置で前記ゲージを停止させるための始端係止部を設けると共に、他端部のパンチ刃から前記パンチ間距離だけ離れた位置に、既に穿孔された孔に挿通させることができる凸部を設けたことを特徴とするものである。
この場合、前記基台のスリットの奥に、前記パンチ刃の列に平行に延びる奥行定規を前後方向に移動可能に設けてもよい。
また、前記用紙のサイズに応じた第1の長さで前記ゲージを停止させるための第1の係止部と、さらに第2の長さだけ引き出して前記ゲージを停止させるための第2の係止部を設けると共に、前記第1及び第2の長さを表示するための表示部と、前記ゲージを引き出した際の本体部に、前記始端係止部において該ゲージを停止させて穿孔した際に開設される孔の位置が表示された孔確認表示と、を設けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の多穴パンチは、定規部を備えたゲージを前記基台の一端部から側方に向けて引き出し可能に設け、一端部側のパンチ刃と定規部との間の距離がパンチ刃間距離の1/2になる位置でケージを停止させるようにしたので、用紙を折り曲げ、その折り曲げ端部を定規部に当接させることで、等間隔な綴じ穴を1/2の穿孔回数で開設することができる。
ゲージがパンチに引き出し可能に設けられているので、位置合わせの方法を直観的に理解することができる上、ゲージを紛失する恐れがない。パンチ刃の数に応じてゲージの長さを適宜設計することでコンパクトな多穴パンチとすることができる。 特に、他端部のパンチ刃からパンチ間距離だけ離れた位置に、既に穿孔された孔に挿通させることができる凸部を設けたので、先に穿孔された孔を凸部に挿通させることで、連続的な位置合わせが可能となる。
【0009】
この場合、パンチ基台と裏板部材でパンチの基台を構成すれば、仕様の異なる裏板部材を取り揃え、それを既存のパンチ基台に付け替えて使用することができる。A4判・B5判など各種サイズの用紙に応じて裏板部材を設計することで、仕様の異なる多穴パンチを容易に製造することができる。
また、用紙のサイズに応じた第1の長さでゲージを停止させるための第1の係止部と、さらに第2の長さだけ引き出して該ゲージを停止させるための第2の係止部を設けると共に、前記第1及び第2の長さを表示するための表示部を設けることで、最初の穿孔(第1の穿孔操作)を行った後、第1の引出係止部でゲージを停止させて第2の穿孔操作を行い、第2の引出係止部でゲージを停止させて第3の穿孔操作を行うことで、大判の用紙にも対応させることができるし、刃数を少なくしてコンパクトな多穴パンチとすることもできる。
ゲージを引き出した際の本体部に、前記始端係止部において該ゲージを停止させて穿孔した際に開設される孔の位置が表示された孔確認表示を設けてた場合、第2の穿孔操作を行う際に、最初の操作で開設された孔と孔確認表示を対比させて、位置合わせが正いか否かを確認することができる。
【0010】
基台のスリットの奥に、パンチ刃の列に平行に延びる奥行定規部を前後方向に移動可能に設けることで、用紙の縁から綴じ穴までの距離(奥行)を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る多穴パンチを示す斜視図である。
【
図2】上記多穴パンチの平面図であり、(a)は初期状態、(b)はゲージを引き出した状態を示す。
【
図3】上記多穴パンチを使用してA5判の用紙にルーズリーフ用の綴じ穴をあける状態を示す説明図である。
【
図4】上記多穴パンチの第1変形例を示す分解斜視図である。
【
図5】上記第1変形例に係る多穴パンチの使用状態を示す斜視図であり、(a)は用紙の側縁部から綴じ穴までの距離を長くする場合、(b)は短くする場合を示す。
【
図6】上記多穴パンチの第2変形例を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る多穴パンチを示す斜視図である。
【
図8】上記多穴パンチを示し、(a)は平面図、(b)正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は背面図である。
【
図9】上記多穴パンチの正面図であり、(a)は初期状態、(b)はゲージを引き出した状態を示す。
【
図10】上記多穴パンチの裏板部材の説明図であり、(a)は底から見た状態、(b)は透明部材で構成した場合における使用状態を示す。
【
図11】上記多穴パンチの使用状態を示す平面図であり、(a)は初期状態、(b)は第2の長さに引き伸ばした状態を示す。
【
図12】用紙のサイズに応じた綴じ穴の状態を示し、(a)はB5判の用紙に綴じ穴を設ける状態、(b)はA4判の用紙に綴じ穴を設ける状態を示す。
【
図13】上記実施形態に係る多穴パンチの第1変形例を示す縦断面斜視図である。
【
図14】上記変形例のゲージ部材を示す断面図であり、(a)は初期状態、(b)はゲージを引き出した状態を示す。
【
図15】上記実施形態に係る多穴パンチの第2変形例を示す説明図であり、(a)は初期状態、(b)はゲージを引き出した状態を示す。
【
図16】本発明の第3実施形態に係る多穴パンチを示す説明図であり、(a)は第1の穿孔操作を行う際の状態、(b)は第2の穿孔操作を行う際の状態、(c)はゲージの定規部を倒した状態を示す。
【
図17】上記多穴パンチの使用状態を示し、(a)は第1の穿孔操作の状態、(b)は第2の穿孔操作の状態、(c)は第3の穿孔操作の状態、(d)はゲージの定規部を倒して第3の穿孔操作を行う状態を示す。
【
図18】本発明の書籍作成システムを示す説明図である。
【
図19】上記書籍作成システムによって作成される書籍を示す斜視図である。
【
図21】書籍作成支援システムのトップページの画面を示す説明図である。
【
図22】上記書籍作成支援システムの第1実施例を示す説明図である。
【
図23】上記書籍作成支援システムの第2実施例を示す説明図である。
【
図24】上記書籍作成支援システムの第3実施例を示す説明図である。
【
図25】上記書籍作成支援システムの第4実施例を示す説明図である。
【
図26】上記書籍作成支援システムの第5実施例を示す説明図である。
【
図27】本発明の書籍作成具によって作成される書籍の一例であり、(a)は正面図、(b)は書籍を開いた状態、(c)は結束部材を装着した状態を示す。
【
図29】本発明の書籍作成具のリングバインダーとジッパーを示す説明図である。
【
図30】従来のルーズリーフ用紙作成器具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の多穴パンチ10は、市販の用紙に、ルーズリーフ用のバインダーに収容するための綴じ穴を形成するためのものである。
パンチの一側部から位置合わせ用のゲージが引き出されるようになっており、引き出される側の一端部には、用紙の端部を当接させて位置合わせを行うための定規部が設けられている。
この定規部と一端部側のパンチ刃との間の距離がパンチ刃間距離の1/2とになるように設計すると共に、その位置でゲージを停止させるための係止部(始端係止部)と、所定の引き出し長さNで停止させるための係止部(引出係止部)が設けられたことが特徴となっている。
以下、本発明に係る多穴パンチの実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の第1実施形態に係る多穴パンチ10は、
図1に示すように、一端部から他端部に向けて等間隔に設けられた複数のパンチ刃11を、夫々のパンチ刃が摺接しなから案内される複数の案内路12と該案内路12に直交するスリット13を有する基台14に組み付けて構成される。
パンチの基台14は、案内路12を介してパンチ刃11が組み付けられる本体部と、パンチ刃11を上方に付勢させた状態で本体部に取り付けるためのハンドル部材15と、用紙が載置される載置台16と、によって構成されており、本体部を載置台16の背面側に取り付けることで、正面側の下端部に、用紙を挿入するためのスリット13が形成される。
【0014】
案内路12は、基台14の本体部と載置台16に貫通しており、そこをパンチ刃11が下降することで、載置台16の上縁部12’が下刃となり、パンチ刃11の刃先(上刃)との協働で用紙が穿孔される。
基台14は、金属部材からなるパンチ基台14aに裏板部材14bを組みつけて構成される。基台14の一方の側壁部に切欠(始端被係止部52’)が設けられており、この切欠に、ゲージ部材50の一端部を外部に露呈させ、他端部を基台内部に収容した状態で組み付けられる。露呈された一端部には、用紙を当接させるための定規部51が立設されており、その定規部51の内壁面(始端係止部52)を、切欠の外壁面(始端被係止部52’)に当接させることによって、穿孔の始端における位置合わせが行われる。
【0015】
ゲージ部材50は、基台14の一端部側(切欠の側)に位置する第1のパンチ刃11aと定規部51の間の距離(L)がパンチ刃間距離(M)の1/2になる位置で基台14に固定されるように設計されている。
ゲージ部材50の他端部には、用紙のサイズに応じた長さ(N)でゲージを固定するための引出係止部53が設けられている。引出係止部53は、用紙のサイズや綴じ穴の間隔などに応じて適宜設計されており、P個のパンチ刃11を有する場合、「パンチ刃間距離(M)×刃数(P)」の長さ(N)だけ引き出すことができるような位置に設けることができる。
【0016】
例えば6個のパンチ刃11を有するパンチ10を用いて、A5サイズの用紙に20穴の綴じ穴を形成する場合にあっては、
図2に示すように、始端係止部52から「M×1/2+M×6」離れた位置に引出係止部53’が設けられている。
ゲージ部材50の本体部には、始端係止部52でゲージを停止させて穿孔した際に開設される孔の位置が表示された孔確認表示(K)が設けられる。
【0017】
上記多穴パンチ10を使用してA5判の用紙に20穴の綴じ穴を設ける方法を、
図3を参照して説明する。
先ず、始端係止部52を基台14に係止させる。基台14の一側部に、ゲージ部材50の定規部51が突出した状態となり、その定規部51に、用紙を縦方向に2つ折りにした端部を当接させて穿孔操作を行う(
図3(b)を参照)。
すると、用紙の折り曲げ端部からパンチ刃間距離(M)の1/2の距離(L)の位置から6つの綴じ穴が等間隔に設けられる。その後、ゲージ部材50を引き出して、引出係止部53において係止させる(
図3(c)を参照)。その状態で第2の穿孔操作を行う。
【0018】
これによって、第1の穿孔操作時に設けられた綴じ穴に連続して等間隔な綴じ穴が設けられる(
図3(d)を参照)。折り目を広げると計20個の綴じ穴が形成された状態となる。
本発明では、1/2の穿孔回数でルーズリーフ用の綴じ穴を開設することができるので、パンチ刃の数に応じてゲージを適宜設計することで、コンパクトで使用性の高いパンチとすることができる。ゲージ部材50をパンチの基台に引出可能に設けたので、ゲージの紛失を防止できるし、操作方法も解りやすい。
【0019】
ゲージ部材50の本体部に、始端係止部52においてゲージを停止させて穿孔した際に開設される孔の位置を表示(孔確認表示K)してもよい。このようにすれば、ゲージを引き出して第2の穿孔操作を行う際に、最初の操作で開設された孔と孔確認表示Kを対比させることができ、綴じ穴のズレや穿孔ミスを防止できる。
【0020】
また、
図4に示すように、ゲージ部材50’の背面側に、定規部51に対して直角方向に延びる奥行定規部58を設けることで、綴じ穴から用紙側縁までの奥行(W)を調節できるようにしてもよい。この場合、基台14のスリット13の奥(即ち、基台奥の壁面14’と案内路12との間)に、奥行調節溝17を設け、その側方に設けられた開放端部を介してゲージ部材50’を配設すればよい(
図5を参照)。
或いは、
図6に示すように、パンチ刃11の列に平行に延びる奥行定規18を奥行調節溝17に取り付けることもできる。奥行定規18は前後方向に移動可能となっており、固定部材18’によって所望の位置で固定する。
【実施例2】
【0021】
本発明の第2実施形態に係る多穴パンチを、
図7及び
図8を参照して説明する。第1実施形態と同一構成の部材は同一符号を付することでその説明を省略する。
この多穴パンチ100は、基台14を、パンチ基台110と裏板部材120とで構成したことを特徴としている。
パンチ基台110は、案内路12を介してパンチ刃11が組み付けられる基台14の本体部と、パンチ刃11を上方に付勢させた状態で基台14の本体部に取り付けるハンドル部材115と、用紙が載置される載置台116とで構成される。
【0022】
基台14の本体部を載置台116の背面側に取り付けることで、正面側の下端部にスリット13が形成され(
図9を参照)、このスリット13に用紙を挿入してハンドルを押し下げることで、基台本体部の案内路12をパンチ刃11が下降し、載置台116の案内路12を貫通して用紙を穿孔するようになっている。穿孔されたパンチ屑は、裏板部材120の内部(屑収容部121)へと排出される(
図10を参照)。
裏板部材120は、パンチ基台110に取り付けられることで、上面部122において、パンチ基台110の載置台116と略面一となって、用紙を載置して位置合わせを行うためのステージを構成する。底面部には、パンチ屑を排出するための排出扉123が設けられている。ポリプロピレン等の可撓性を有する合成樹脂で製造することで、肉薄の折り曲げ部124を介して扉が開閉されるようにしている。
【0023】
裏板部材120の正面側には、用紙の端部を当接させて位置合わせを行うためのゲージ部材150が左右方向にスライド可能に設けられている(
図9を参照)。
ゲージ部材150は、裏板部材120の一側部に設けられた切欠を介し、一端部を上方に突出させ、他端部を内部に収容した状態で配設される。上方に突出する一端部は、用紙の端部を当接させて位置合わせを行うための定規部151である。
定規部151と一端部側のパンチ刃11aとの間の距離Lは、
図10に示すように、パンチ刃間距離Mの1/2になるように設計されており、その位置でゲージ部材150を停止させるために、定規部151の下端(始端係止部152)を延長させている。その下端を始端被係止部としての切欠に係止させることで第1の穿孔操作時における位置合わせを行う。
【0024】
ゲージ部材150の他端部には、用紙のサイズに応じた引き出し長さでゲージを停止させるための引出係止部153が設けられている。引出係止部153は、パンチ刃11の数、ゲージの長さ、穿孔しようとする用紙のサイズ、綴じ穴の間隔などに応じて適宜設計されており、本実施形態では、6個のパンチ刃11を有するパンチとした。
そして、A5判のみならず、B5判の用紙に26穴の綴じ穴を形成する場合にも、A4判の用紙に30穴の綴じ穴を形成する場合にも使用できるようにした。
【0025】
即ち、
図11に示すように、A4判用の被係止部153として、第1の引き出し長さ(N1)でゲージを停止させるための第1の被係止部153a1と、第2の引き出し長さ(N2)でゲージを停止させるための第2の被係止部153a2を設け、B5判用の被係止部として、第1の引き出し長さ(N1)でゲージを停止させるための第1の被係止部153b1と、第2の引き出し長さ(N2)でゲージを停止させるための第2の被係止部153b2を設けている。
【0026】
引出係止部153’は、先に設けられた綴じ穴に連続して、新たな綴じ穴が4つ設けられる位置にゲージ部材150を停止させるようにしてもよいし、先に設けられた孔に重ねて第2の穿孔を行うようにしてもよい(
図12を参照)。
裏板部材120の表面部122には、第1の引き出し長さ(N1)を表示するための第1の表示部(Ha1,Hb1)と、第2の引き出し長さ(N2)を表示するための第2の表示部(Ha2、Hb2)が夫々設けられている。
【0027】
上記多穴パンチ100の使用状態を説明する。
A5判の用紙に20穴の綴じ穴を設ける場合は、ゲージ部材150の始端係止部152を、裏板部材120の始端被係止部(切欠)に係止させた状態で、定規部151に用紙の折り曲げ端部を当接させる。この状態で第1の穿孔操作を行うことで、用紙の折り曲げ端部からパンチ刃間距離(M)の1/2の距離(L)の位置から6つの綴じ穴が等間隔に設けられる。
【0028】
その後、A5判の1回目の引き出し位置を示す表示(Ha1)までゲージ部材150を引き出して引出係止部153で係止させ、第2の穿孔操作を行う。折り曲げられた用紙の側縁部に10個の綴じ穴が形成されるので、これを広げることで計20個の綴じ穴が形成される。
B5判の用紙に26穴の綴じ穴を設ける場合は、第1の穿孔操作の後、B5判の第1の引き出し位置を示す表示(Hb1)まで引き出して第2の穿孔操作を行う。次に、第2の引き出し位置を示す表示(Hb2)まで引き出して第3の穿孔操作を行う。これによって、折り曲げられた用紙の側縁部に13個の綴じ穴が形成され、用紙を広げた際に計26個の綴じ穴が形成される。
【0029】
A4判の用紙に30穴の綴じ穴を設ける場合は、第1の穿孔操作の後、A4判の引き出し位置を示す表示(Ha1、Ha2)に従って位置合わせを行い、第2、第3の穿孔操作を行う。折り曲げられた用紙の側縁部に15個の綴じ穴が形成されることで、用紙を広げた際に計30個の綴じ穴が形成される。
【0030】
なお、本実施形態に係る多穴パンチでは、ゲージ部材150と裏板部材120の表面部122は面一になるように設計するのが好ましく、この場合、
図13に示すように、定規部151’とは反対側の他端部を湾曲させて載置台の内部に収容してもよい。この図は、ハンドル部材115’とパンチ基台110’の一部(スリット13から上の部分)を切り取った状態の断面斜視図であり、裏板部材120の上面にゲージ部材150を組み付け、上面と平行に配設されたガイド面126にガイドされながら引き出されるようにした構成を示す。
【0031】
ゲージ本体は合成樹脂製の材料によって成型されており、一端部から中央部にかけての部位を肉厚の平面部154とし、中央部から他端部にかけての可撓性を有する部位を帯状部155としている。帯状部155の下面には、
図14に示すように、断面楔形の蛇腹が連続的に設けられており、蛇腹部を下側に向けた状態でガイド面126の終端部において湾曲させ、ガイド面126の下側において終端部を収容している。
平面部154の上面には窪み部154’が設けられており、そこに所定厚さのシール(位置表示Hが印刷されたもの)を貼付することで裏板部材120の表面部との面一性が担保される。平面部154の下面には、所定の部位に引出係止部153が設けられており、この引出係止部153がガイド面126に設けられた引出被係止部153’に嵌合することによって、ゲージ部材150を所定位置で停止させることができる。
【0032】
この実施例においても、綴じ穴から用紙側縁までの奥行(W)を調節できるようにすることができる。この場合、ゲージ部材150’の背面側に定規部151に対して直角方向に延びる奥行定規部158を設けてもよいし(
図15を参照)、スリット13の奥にパンチ刃列と平行に延びる奥行定規を前後方向に移動可能に設けてもよい。ゲージ部材150’の始端係止部152と引出係止部153も、基台壁部と奥行定規部158との間の幅(奥行W)を維持した状態で、基台114に設けられた被係止部内をスライドするように設計する。
【実施例3】
【0033】
次に、本発明の第3実施形態に係る多穴パンチ200を、
図16を参照して説明する。この多穴パンチ200も、定規部251を備えたゲージ250を、基台14の一端部から側方に向けて引き出し可能に設けている。そして、一端部側のパンチ刃11aと定規部との間の距離(L)がパンチ刃間距離(M)の1/2になる位置でゲージ250を停止させるための始端係止部252を設け、更に、用紙のサイズに応じた引き出し長さ(N)で該ゲージを停止させるための引出係止部253を設けている。
【0034】
特に本実施例では、用紙の折り曲げられた端縁部を当接させるための定規部251をゲージ表面に対して起倒可能に構成すると共に、先に穿孔された孔を挿通させることができる凸部19を、他端部側のパンチ刃11bからパンチ間距離(M)だけ離れた位置に設けたことを特徴としている。
例えば、パンチ刃11の数を5個とし、6個目のパンチ刃が設けられるべき位置(即ち、他端部のパンチ刃からパンチ間距離(M)だけ離れた位置)に、パンチ刃と同一、或いは僅かに小さい径の凸部19を基台から上方に向けて突出させた。
【0035】
この多穴パンチ200を使用して、A4判の用紙に30穴の綴じ穴を設ける状態を、
図17を参照して説明する。
先ず、用紙を縦方向に2つ折りにし、上方の用紙部(U)と下方の用紙部(D)を重ね合わせる。ゲージ部材250の定規部251を起立させた状態で、図示しない始端係止部において固定する。定規部251に用紙の折り曲げ端部を当接させ、この状態で第1の穿孔操作を行うことで、用紙の折り曲げ端部から所定距離(L=M×1/2)離れた位置から、5つの綴じ穴が等間隔に設けられる。
【0036】
そして、ゲージ部材250を第1の長さ(N1)だけ引き出して固定する。その状態で用紙の位置を合わせ、第2の穿孔操作を行うことで、更に5つの綴じ穴が連続的に形成される。
その後、ゲージ部材250から用紙を取り外し、裏表を逆にする。即ち、第1及び第2の穿孔操作時に裏側に位置していた用紙部(U)を表側に位置させ、一端部側のパンチ刃11aが、用紙の開放端部に最も近い部位(リーズリーフ用紙の上端部と下端部)を穿孔するような位置に用紙を配置する。
図17(c)に示すように、最も近い既設孔を、基台14に設けられた凸部19に挿通させ、第3の穿孔操作を行う。
【0037】
これによって計15の綴じ穴が連続的に形成され、2つ折りにされた用紙を広げることで計30個の綴じ穴が開設される。
図17(d)に示すように、定規部251がゲージ本体部と面一となるように倒し、凸部19において位置合わせを続けてもよい。このようにすれば、用紙のサイズに関わらず、極めてコンパクトな多穴パンチで、ルーズリーフ用紙を作成することができる。
なお、本実施形態において、ゲージ部材250の定規部251は必ずしも起倒可能でなくともよい。
【0038】
次に、本発明の多穴パンチを使用した書籍作成システム300について、
図18を参照して説明する。
この書籍作成システム300は、個人や法人などの歴史を記述した書籍(以下「自分史」と称する)を容易に作成するためのシステムであり、書籍作成支援システム400と、本発明の多穴パンチを含んだ書籍作成具500とによって構成される。
書籍作成具500は筐体501に収容された状態で販売されており、書籍作成支援システム400へのアクセス権を付与するためのIDとパスワードを表示したカード401と共に提供される。
【0039】
この書籍作成支援システム400は、幅広い観点から題材を収集することができ、書くべきテーマを容易に見つけることができるようにしたものであり、特に、
図19に示す書籍301を作成することを目的としたシステムである。この書籍301は、自分史の原稿を作成するにあたり、その内容整理のためのノート(自分史帳)として提供されるものであり、ユーザ年齢の暦年に生じた出来事を記述する年齢頁311を複数含んで構成される。年齢頁311は、誕生期、幼児期、子ども期・・・と、それぞれの年齢に上下見開きとなっており、頁のサイズはA4判など市販のコピー用紙に合わせて設計されている。見開き一方の頁Tには、暦年に対応する歴史記述を表示し、歴史記述に対応する暦年の自分史記述を、見開き他方の頁Tに表示できるように設計されている。
【0040】
複数の年齢頁311からなる用紙束を、表裏表紙部312,313で綴じることで書籍が作成される。表紙部312には、書籍を自立させるための脚部314が設けられている。この脚部314は、
図20に示すように、表紙部の回動端部に透明シート315を回動可能に取り付けて構成されたもので、メモページとしての機能をも有する。
即ち、袋状の透明シート315の中に挿絵として使用することができる画像Gを複数収容することで、この書籍301を起立させるための脚部314を構成し、この収容部(袋状の透明シート315)の中から選択された画像Gを表面にして書籍301を起立させることで、写真立てとして利用できるようにしている。メモページとしての脚部314を透明シート315で構成したことで、その上からホワイトボード用のペンで吹き出しを入れたり、素材を張り付けたりして創作性の高い挿絵画像を作成することができる。その挿絵画像を自身の自分史の挿絵とすることができる。
【0041】
年齢頁は、上下見開き一方の歴史頁Tに、前記暦年に対応する歴史記述を表示し、該歴史記述に対応する暦年の自分史記述を、見開き他方の頁(下側頁B)に表示するように構成されている。本実施例では、上側の歴史頁に、第1のテーマに関する歴史を記述した第1の歴史記述部T1と、第2のテーマに関する歴史を記述した第2の歴史記述部T2とを並べて表示した。下側の自分史頁Bには、当該暦年に対応する時代の自身の様子を示すコメント部Kと当時の写真などの挿入画像が表示される画像挿入部Gからなる1以上の自分史記述部B1、B2・・・が設けられている。
【0042】
この書籍301を容易に作成するための書籍作成支援システム400を説明する。
図21は、本システム400のトップページの画面を示す説明図である。トップページでは、自分史の主人公の生まれた年を選択するための暦年入力部461aと、作成しようとする書籍のスタイルの選択を求めるスタイル選択部461bが設けられている。スタイル選択部461bは、例えば、フォトアルバムとしての書籍を作成するためのアルバムシステム、2つの分野の歴史記述を参考にしながら自分史帳を作成するためのダブルシステム、日本史・地方史・業界史の3つの分野を参考にしながら自分史帳を作成するためのトリプルシステム、日本史・地方史・業界史の歴史記述をコピーして編集することで自分史原稿を作成することができるエディターシステム等、所望の作成スタイルを選択できるようになっている。上記実施例の書籍は、
図22に示すダブルシステム460を使用して作成されている。
【0043】
机上に載置して利用するのに適したダブルシステム460について以下に説明する。
本システムを提供するWEBサイトのトップページにおいて、暦年入力部461aを入力した後、スタイル選択部461bのダブルシステムを選択すると、
図21(b)の画面が現れる。この画面は、書籍301の歴史頁311の一方(左側)に表示させたいテーマを複数のテーマの中から選択させるための第1のテーマ入力部461cと、他方(右側)に表示させたいテーマを選択させるための第2のテーマ入力部461dと、を備えて構成される。
【0044】
確定ボタン(作成する)をクリックすれば、これらの入力部に入力された情報に基づいて処理が施され、
図21(c)の画面が現れる。この画面は、冊子状の背景の上側頁T0に歴史記述が表示され、歴史記述に対応する自分史情報を下側頁B0できるように構成されたものである。
上側の歴史頁(T0)には、第1のテーマに関する歴史を記述した第1の歴史記述部T1と、第2のテーマに関する歴史を記述した第2の歴史記述部T2と、を並べて表示される。下側の自分史頁(B0)には、当該暦年に対応する時代の自身の様子を示すコメント部K0と当時の写真などの自分史画像が表示される画像挿入部G0からなる自分史記述部と、この自分史記述部を追加するためのレイアウト選択部Rが設けられている。
【0045】
このダブルシステム460は、
図22に示すように、ユーザの誕生年・書籍スタイル・テーマの選択を促す入力部461と、歴史記述が保持された年表メモリ462と、歴史記述を記述するための記述手段463と、自分史情報が入力される自分史入力部464と、自分史頁用の原稿を作成するための自分史記述手段465・表紙デザイン選択部466・全頁作成部467と、印刷レイアウトを選択させるための印刷情報入力部468と、その情報に基づいて印刷用PDFを作成する原稿作成部469と、によって構成されている。
【0046】
入力部461は、ユーザの誕生年に関する情報の入力を促す暦年入力部461aと、書籍スタイルを選択させるためのスタイル選択部461bと、複数のテーマの中から第1のテーマを選択して入力を促す第1テーマ入力部461cと、第2のテーマを選択して入力を促す第2のテーマ入力部461dと、によって構成される。
年表メモリ462は、
図22(b)に示すように、暦年に対応付けた状態でその時代に関するテーマごとの歴史記述(PDFファイル)を保持する。トップページの暦年入力部461aにおいて選択された誕生年(暦年)に、当該暦年に生じた出来事を記載したテーマごとの歴史頁が夫々リンクされており、誕生時(0歳時)の頁、幼児期(5歳時)の頁・・・と、書籍に含めるべき頁を選択することで、ブラウザの機能により、その暦年(誕生年+年齢)のページが表示されるようになっている。
【0047】
即ち、記述手段463は、誕生年入力部461に入力された暦年をキーとして、年表メモリから歴史記述を呼び出して歴史頁(T0)に記述するが、誕生年以降は、誕生年Yに年齢yを加算して得られた暦年をキーとして、年表メモリ462から歴史記述を呼び出し、該当する年齢頁に出力するようになっている。
この際、暦年入力部461aに入力された年と第1テーマ入力部461bに入力されたテーマとをキーとして呼び出された情報を、第1の歴史記述部T1に表示し、同暦年と第2のテーマ入力部461cへの入力テーマとキーとして呼び出された情報を第2の歴史記述部T2に、並列させて表示するように設計されている。
【0048】
自分史記述手段465は、コメント部K0、画像挿入部G0及びレイアウト選択部Rにおいて入力された自分史情報464に基づいて、自分史頁用の原稿データを作成する。
表紙デザイン選択部466は、表紙デザインのサンプルを表示して選択を促す。頁作成部467は、表表紙部と自分史頁部からなる下側頁B0に関する情報と、歴史頁部と裏表紙部からなる上側頁T0に関する情報とに基づいて全頁情報を表示する。
【0049】
印刷情報入力部468は、A4判・A5判などの冊子形態を選択させ、その冊子形態を有する書籍を作成するための原稿データを作成しPDF表示する。これによって、2つのテーマ歴史記述部T1とT2が並列して表示された歴史頁を見開き上頁に、その時代の自分史情報が表示された自分史頁を見開き下頁とする書籍を作成するための印刷情報が作成され、この情報をプリンタに送出することで、用紙に所望の印刷が施される。
【0050】
次に、日本史・地方史・業界史の3分野を参考にしながら自分史帳を作成するためのトリプルシステム460’について、
図23を参照して説明する。
このシステム460’も、ユーザの誕生年・書籍スタイル・テーマの選択を促す入力部461’と、年表メモリ462’と、入力部461’に入力された自分史テーマとをキーとして呼び出された歴史記述を並列させて記述する記述手段463’と、自分史入力部464と、自分史記述手段465と、表紙デザイン選択部466と、頁作成部467と、印刷情報入力部468と、原稿データ作成部469とによって構成される。
【0051】
入力部461’は、暦年入力部461a、スタイル選択部461bに加えて、表示させるべき地方史を選択するエリア情報入力部461eと、基本とすべき教科書の提供者を選択する教科書選択部461fと、表示すべき分野の業界史を表示させるジャンル情報入力部461gと、挿絵入力部461hと、によって構成される。
年表メモリ462’は、地域ごとの歴史情報が複数収容された地域別年表メモリ462eと、基本とすべき教科書情報(教科書の提供者名など)が複数保持された教科書メモリ462fと、分野ごとの歴史情報が複数収容された分野別年表メモリ462gと、挿絵として使用することができる画像を複数保持する挿絵メモリ462hによって構成されている。
【0052】
前記挿絵メモリ462hは、複数の背景画像を保持する背景メモリと、複数の素材画像を保持する素材メモリとによって構成されており、を含んで構成されており、挿絵入力部461hにおいて、背景画像を選択し、その背景画像の所望の位置に素材を貼り付けることで挿絵画像を作成し、それが画像挿入部G0に表示されるようになっている。
記述手段463’は、選択されたテーマ情報をキーとして、年表メモリ462’から該当テーマの誕生年における歴史頁を取り出し、歴史頁部(T0)に表示するが、本実施例では、地域別年表メモリ462eから呼び出されたエリアの歴史情報を第1テーマとして左側表示部Teに出力し、教科書メモリ462fから呼び出された教科書情報を中央の表示部Tfに出力し、分野別年表メモリ462gから呼び出されたジャンルの歴史情報を第2のテーマとして右側表示部Tgに出力する。
【0053】
これらの歴史記述部(Te,Tf,Tg)の下に、その年の様子を示した画像(写真Sや絵画など)を使用可能な挿絵として連続的に表示し、使用したい画像を自分史情報入力部(画像挿入部G0)に取り込めるようにしている。
次に、エディターシステム460”を、
図24を参照して説明する。このシステムは、教科書となる歴史(日本史)、地方史、業界史の3つの観点において作成された歴史記述のテキストデータで表示し、その中の必要部分をコピーして、自分史情報としてコメント入力部(KO)に貼り付けることで、自分史原稿を作成できるようにしたものである。
【0054】
本実施例の年表メモリ462”には、暦年に対応付けた状態でその時代に関するテーマごとの歴史記述がテキストファイルとして保持されている。そして、トップページにおいて選択された暦年に、そのテキストファイルをリンクさせることで、歴史頁の各表示部に、テーマごとの歴史がテキスト表示されるようになっている。
即ち、歴史頁は、歴史記述をコピー可能な文字データとして表示するテキスト部Xと、コピー可能な画像データとして表示するコピー画像部Iと、キーワードが表示されるキーワード部Wを含んで構成されており、テキスト部Xとコピー画像部Iの情報をそのままコピーして、自分史情報入力部464”において入力できる(コメント部K0及び画像挿入部G0に貼り付ける)ようになっている。
【0055】
キーワード部Wには、暦年に対応させてその年のキーワードが表示されており、所定のキーワードにリンク表示が付されている。そのキーワードをクリックすることで、そのキーワードの解説文がテキスト表示したポップアップ画面(ポップアップ解説P)が現れ、同様に必要な部分をコピーして自分史情報入力部(K0、G0)に貼り付けることができる。これらの歴史記述部の下に設けられた挿絵紹介部Hの画像(S)もコピー可能となっており、画像挿入部G0に貼り付けることで、手軽に自分史頁を作成できるようにしている。そして、コメント表示部K0に対する画像挿入部G0の位置を(上下又は左右に)移動できるようにしている。
【0056】
画面の上方には、歴史頁に表示されるテーマは変更するためのテーマ変更ボタンが設けられており、このボタンをクリックすることで、テーマ情報入力部461e、461f、461gがポップアップ表示され、選択されたテーマの歴史記述に変更されるようになっている。
このようにして所望のレイアウトの自分史頁を作成した後、表紙情報を入力すれば、全頁作成部467”において、表紙用のPDFファイルと、自分史頁用のPDFファイルのみが、別個に出力されるようになっている。
【0057】
所望サイズに印刷するための印刷情報を入力し、表紙用のPDFファイルは表紙用の用紙に印刷し、自分史用のPDFファイルは本文用の用紙に印刷する。
次に、フォトアルバムとしての書籍を作成するためのアルバムシステム470を、
図25を参照して説明する。このシステムは、左右見開きの書籍を作成するためのもので、入力画面において暦年を選択してアルバムシステムが選択されると、あらかじめ設定されたデフォルトテーマの歴史記述が左側に表示された誕生年の頁が表れるようになっている。
【0058】
このページの上方には、表示テーマを変更するための変更ボタン461eが設けられており、変更ボタンをクリックすることで、テーマの選択を求めるポップアップ画面が表示され、所望のテーマを選択することで、画面の表示が入れ替わるようになっている。
右側の自分史頁にはデフォルトの写真(画像G)が表示された画像挿入部とコメント挿入部(K)が表示されており、それらをコピーして、所望の位置に貼り付けることで、任意の場所に写真とコメントを表示できるようにしている。画像挿入部の形状は任意の形に画像をトリミングしたり、拡大縮小することができる。コメント挿入部(K)も任意の形状を選択できるようになっており、その中に表示される文字情報を入力できるようにしている。
【0059】
右側の自分史頁を追加する場合は、ページ追加ボタンをクリックすることで、見開き左右に自分史頁を設けた追加ページが表れる、この追加ページにもデフォルト画像Gとコメント挿入部(K)が表示されており、同様にコピーして貼り付けることで、画像やコメントを追加することができる。
そして、「次時代へ」のボタンをクリックすることで、見開き左側に歴史頁、右側に写真等を貼り付けるための自分史頁が表れる。これを続けて、最後の頁(現在の頁)に来たところで、表紙のレイアウト(タイトルの位置や背景画像)を選択し、用紙の選択などの印刷情報を入力することで原稿データが作成され、所望の用紙がセットされたプリンタにて印刷して製本することでフォトアルバムが完成する。
【0060】
なお、この書籍作成システムに家族史作成機能を加えてもよい。
この場合、トップページにおいて、家族史作成の有無を選択させる家族選択部461kを設け、家族史作成が選択された場合は、
図26に示す家系図作成画面が現れる。
画面の中心には、自身の生れ年(入力画面において選択された暦年)が表示された四角形状の入力部が表れる。この中心の入力部(家族選択部461k)の上方に親の情報(名前と生れ年)を入力するための親情報入力部461m、下方に子どもの情報を入力するための子情報入力部461n、右側に兄弟情報を入力するための兄弟情報入力部461q、左側に配偶者の情報を入力するための配偶者情報入力部461r、それ以外の関係者の情報を入力するための関係者情報入力部461sが現れており、それをクリックすることで、その人の名前と生れ年を入力できるようになっている。
【0061】
このようにして入力された生れ年の中から最も小さい値(古い時代)の暦年に相当する歴史記述を年表メモリのなかから呼び出して、第1頁目に表示する。以下、上記の同様のシステムで家族史としての書籍が完成される。
本システムによって印刷された用紙束を、書籍作成具500を利用して製本することで書籍が完成する。
【0062】
本発明に係る書籍作成具500は、
図18に示すように、本発明に係る多穴パンチ10と、表紙部510と、リングバインダー520と、リングバインダー520を開閉させるためのジッパー530と、を筐体501に収容して構成される。本実施例では、
図27に示すように、手帳として機能する卓上設置型の書籍501を作成するための器具として構成した。この書籍は、手帳として必要事項を記入する際には上下に見開いた状態で使用し、不使用時には卓上に載置して写真立てとして利用するができ、携帯する際には、
図27(c)に示すように、ページがめくれないように結束部材540を装着できるようにしている。
【0063】
表紙部510は、
図28に示すように、表表紙511と裏表紙512との間に回動可能に設けられた起立脚部513と、表紙部510と共に用紙束514を結束するための結束部材540と、によって構成される。
【0064】
一方の表紙部(裏表紙512)には結束部材540を取りつけるための2つの取付部515が設けられている。この場合、開放端部の一側に設けられた第1の取付部515aに、ゴム部材からなる結束部材540の一端部を取り付け、用紙束514と共に表表紙511に巻き回して、裏表紙512の第2の取付部515bに至るように設計されている。
【0065】
表表紙511と裏表紙512の間には、手帳を起立させるための起立脚部513が設けられている。起立脚部513は表紙部510と略同一の形状であり、取付部515と対応する位置に第1及び第2の透孔516a,516bを設けた構造である。
これによって、手帳として平面的に使用する際には、一方の表紙部(裏表紙512)と起立脚部513を一体化させ、あたかも一つの表紙であるかの状態とすることができる。
【0066】
結束部材540は、卓上に載置した際に、収縮状態において、裏表紙511と起立脚部513との間に所定の角度θが設けられた状態で傾斜するような長さに設計されている。
結束部材540が設けられた表紙部(裏表紙512)と起立脚部513とは、弾性部材517によって離反する方向に付勢されている。その付勢力を結束部材540によって規制することで、起立状態が維持される。
【0067】
表裏の表紙部511,512と起立脚部513の上縁部には、所定間隔の綴じ穴515が設けられている。
リングバインダー520は、
図29に示すように、背骨部521に沿って、開閉可能なリング522を等間隔に設けて構成されている。夫々のリング522は、2つの半割れリング部522a,522bによって構成されており、それぞれのリング部の先端に相互に嵌合可能な嵌合部を備える。
【0068】
この書籍作成具500に、リング部522を開閉するためのジッパー550を含めてもよい。このジッパー550は、円錐台状の筒部材の周側面に縦方向の切り込み部551を設けると共に、外周面に縦方向に延びる突条部552を設けた構造である。上端開口部553は、その外径が、リング522の内径よりも僅かに大きく、下端開口部554は、その内径がリング522の外径よりも僅かに小さくなるように設計されている。
【0069】
リング522を開放する際には、下端開口部554からリング内に向けて挿通させる。この際、突条部522を、夫々のリング嵌合部522a,522bに当接させながら通過させることで、相互の係合が外れてリング部520が開放される。リング522を閉じる際には、上端開口部553に、開放状態のリング522を挿通させることで、開閉具の内壁面に案内されて嵌合される。
【0070】
上記書籍作成システム300を使用して書籍としての「自分史」を作成する際には、まずは書籍作成支援システム400において印刷された用紙束514に、本発明の多穴パンチ10によって綴じ穴を設け、表紙部510と起立脚部513と共に綴じる。この際、表表紙511と、用紙束501と、結束部材540によって一体化された裏表紙512と起立脚部513と、をこの順でリングバインダー520によって綴じる。
写真などを挿入することができる袋状のシートに綴じ穴を設け、用紙束514と共に綴じ込んでもよい。袋の中に写真を挿入して卓上に載置すれば、写真立てとして利用することができる。思い出の写真を挿入し、それを見ながら当時の歴史を学び、自分史を執筆することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、シート状の用紙に綴じ穴を連続的に形成するためのパンチであれば、あらゆる用途に使用されるパンチに適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
10、100、200…多穴パンチ
11…パンチ刃
12…案内路
13…スリット
14…基台
15…ハンドル部材
16…載置台
17…奥行調節溝
18…奥行定規
50、150、250…ゲージ部材
51、151、251…定規部
52、152…始端係止部
53、153…引出係止部
58、158…奥行定規部(奥行定規)
110…パンチ基台
114…基台本体部
115…ハンドル部材
116…載置台
120…裏板部材
121…屑収容部
122…上面部
123…排出扉
124…折り曲げ部
126…ガイド面
154…平面部
155…帯状部
300…書籍作成システム
400…書籍作成支援システム
500…書籍作成具