(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】複合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/38 20060101AFI20240115BHJP
C01B 33/26 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
C01B33/38
C01B33/26
(21)【出願番号】P 2020022207
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】江口 美陽
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-259016(JP,A)
【文献】特開2017-024924(JP,A)
【文献】特開2019-132945(JP,A)
【文献】特開2007-308340(JP,A)
【文献】特開2011-063475(JP,A)
【文献】特開平09-208291(JP,A)
【文献】国際公開第2007/046305(WO,A1)
【文献】CRUZ da SILVA, P.S.R. et al,Solvent Effect on the Morphology of Lamellar Nanocomposites Based on HIPS,Materials Research,2015年,18, (1),191-195
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20 -39/54
C08K 3/34
C08K 9/04
A61K 8/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性化合物で
あり、テトラピロール環を有する化合物である有機化合物と、水膨潤性の層状ケイ酸塩との複合体を製造するための複合体の製造方法であって、
前記層状ケイ酸塩を溶媒A
2に分散させ、分散液A
2Dを得ることと、
前記有機化合物を前記溶媒A
2とは異なる溶媒B
2に分散させ、分散液B
2Dを得ることと、
前記分散液A
2Dと前記分散液B
2Dとを混合し、前記複合体を得ることと、を含み、
前記溶媒B
2は、ハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa
0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa
0.5以下である溶媒であって、
前記溶媒B
2が非プロトン性極性溶媒である場合は、前記溶媒A
2は、水、アルコール系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、及び、前記溶媒B
2の非プロトン性極性溶媒とは異なる非プロトン性極性溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記溶媒B
2が、エステル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、及び、芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種である場合は、前記溶媒A
2は、水、アルコール系溶媒、及び、ハロゲン化炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記溶媒B
2が、ハロゲン化炭化水素系溶媒である場合は、前記溶媒A
2は、水、アルコール系溶媒、及び、非プロトン性極性溶媒からなる群より選択される少なくとも1種である、複合体の製造方法。
【請求項2】
前記溶媒B
2が、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、及び、1,4-ジオキサンからなる群より選択される少なくとも1種である場合は、前記溶媒A
2は、水、アクリロニトリル、メタノール、エタノール、ヘキサン、1,4-ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、及び、テトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記溶媒B
2が、酢酸エチル、ヘキサン、及び、トルエンからなる群より選択される少なくとも1種である場合は、前記溶媒A
2は、水、ジクロロメタン、メタノール、及び、エタノールからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記溶媒B
2が、ジクロロメタンである場合は、前記溶媒A
2は、水、メタノール、ジメチルスルホキシド、及び、1,4-ジオキサンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の複合体の製造方法。
【請求項3】
前記有機化合物がプロトンアクセプター構造を有する化合物である、請求項1又は2に記載の複合体の製造方法。
【請求項4】
前記水膨潤性の層状ケイ酸塩が、カオリナイト類、及び、スメクタイト類からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1
~3のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
【請求項5】
前記混合し、前記複合体を得ることは、温度が10~50℃で、1時間~5日間静置して、減圧乾燥することを含む、請求項1
~4のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
【請求項6】
前記分散液A
2Dと前記分散液B
2Dの体積比は、10:990である、請求項1
~5のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
層状ケイ酸塩の層間に存在するカチオンを所望のカチオンに変換し、複合体を製造する方法が知られている。
特許文献1には、「膨潤性層状ケイ酸塩を分散させた分散液に、トリブチルヘキサデシルホスホニウムイオン、トリフェニルベンジルホスホニウムイオン、トリフェニルメチルホスホニウムイオン及びビス(ヒドロキシプロピル)オクタデシルイソブチルホスホニウムイオンからなる群から選ばれる第四級ホスホニウムイオンを含有する第四級ホスホニウム塩を添加し、陽イオン交換反応を行った後、乾燥、粉砕することを特徴とする有機粘土複合体の製造方法。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような層状ケイ酸塩のカチオン交換性を利用したカチオン性分子との複合化の方法は従来知られているものの、層状ケイ酸塩と中性化合物の複合化の方法は知られていなかった。
そこで、本発明は、中性化合物であっても、水膨潤性の層状ケイ酸塩と効率的に複合化できる、複合体の製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、複合体を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
【0006】
[1] 有機化合物と、水膨潤性の層状ケイ酸塩との複合体を製造するための複合体の製造方法であって、上記層状ケイ酸塩を有機溶媒A1に分散し、分散液A1Dを得ることと、上記有機化合物を上記有機溶媒A1と同一種類の有機溶媒B1に分散させ、分散液B1Dを得ることと、上記分散液A1Dと、上記分散液B1Dとを混合し、上記複合体を得ることと、を含む複合体の製造方法。
[2] 上記有機溶媒A1のハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa0.5以下である[1]に記載の複合体の製造方法。
[3] 有機化合物と、水膨潤性の層状ケイ酸塩との複合体を製造するための複合体の製造方法であって、上記層状ケイ酸塩を溶媒A2に分散させ、分散液A2Dを得ることと、上記有機化合物を上記溶媒A2とは異なる溶媒B2に分散させ、分散液B2Dを得ることと、上記分散液A2Dと分散液B2Dとを混合し、上記複合体を得ることとと、を含み、上記溶媒B2は、ハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa0.5以下である溶媒であって、上記溶媒B2が非プロトン性極性溶媒である場合は、上記溶媒A2は、水、アルコール系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、及び、上記溶媒B2の非プロトン性極性溶媒とは異なる非プロトン性極性溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であり、上記溶媒B2が、エステル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、及び、芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種である場合は、上記溶媒A2は、水、アルコール系溶媒、及び、ハロゲン化炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であり、上記溶媒B2が、ハロゲン化炭化水素系溶媒である場合は、上記溶媒A2は、水、アルコール系溶媒、及び、非プロトン性極性溶媒からなる群より選択される少なくとも1種である、複合体の製造方法。
[4] 上記有機化合物が中性化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
[5] 上記有機化合物がプロトンアクセプター構造を有する化合物である、[1]~[4]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
[6] 上記有機化合物がテトラピロール環を有する化合物である、[1]~[5]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
[7] 上記水膨潤性の層状ケイ酸塩が、カオリナイト類、及び、スメクタイト類からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]~[6]のいずれかに記載の複合体の製造方法。
[8] 水膨潤性の層状ケイ酸塩の少なくとも表面上に、中性化合物が担持された複合体。
[9] 上記中性化合物がプロトンアクセプター構造を有する、[8]に記載の複合体。
[10] 上記中性化合物がテトラピロール環を有する、[8]又は[9]に記載の複合体。
[11] 上記水膨潤性の層状ケイ酸塩が、カオリナイト類、及び、スメクタイト類からなる群より選択される少なくとも1種である、[8]~[10]のいずれかに記載の複合体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、中性化合物であっても、水膨潤性の層状ケイ酸塩と効率的に複合化できる複合体の製造方法が提供できる。また、本発明によれば、複合体を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0009】
[複合体の製造方法1]
本発明の第1の実施形態に係る複合体の製造方法(以下、「本製造方法1」ともいう。)は、有機化合物と、水膨潤性の層状ケイ酸塩との複合体を製造するための複合体の製造方法であって、層状ケイ酸塩を有機溶媒A1に分散し、分散液A1Dを得ることと(分散液A1D調製工程)、有機化合物を上記溶媒と同一種類の溶媒B1に分散させ、分散液B1Dを得ることと(分散液B1D調製工程)、分散液A1Dと、分散液B1Dとを混合し、複合体を得ること(複合化工程)と、を含む複合体の製造方法である。
【0010】
従来、水膨潤性の層状ケイ酸塩を用いて複合体を製造する場合、層状ケイ酸塩を分散させやすい溶媒(例えば水、及び、水系溶媒等)に層状ケイ酸塩を分散させ、そこに所望のカチオンを導入してイオン交換反応を利用して複合体を得るのが一般的であった。
【0011】
一方、本製造方法1においては、後述するとおり、層状ケイ酸塩を有機溶媒に分散させることによって、層状ケイ酸塩を分散液中でより不安定な状態とし、これにより複合化を促進させたことに特徴点の一つがある。
すなわち、従来のイオン交換法では、層状ケイ酸塩とカチオン源化合物とを水系の良溶媒に分散、及び/又は、溶解させて複合化する方法が用いられていたが、本製造方法では、層状ケイ酸塩をあえて不安定な状態(より分散状態が安定しにくい状態)とすることで、複合化の進行を促進した点に相違点の一つがある。
以下では、本製造方法の各工程の詳細、及び、使用する材料等について詳述する。
【0012】
〔分散液A1D調製工程〕
分散液A1D調製工程は、水膨潤性の層状ケイ酸塩を溶媒A1に分散し、分散液A1Dを得る工程である。
【0013】
本工程において使用する水膨潤性の層状ケイ酸塩とは、水中で結晶間に水が浸入して膨潤する層状ケイ酸塩を意味し、天然に得られるものであっても、合成されるものであってもよい。水膨潤性の層状ケイ酸塩は、水中では、薄片状の微粒子(微結晶)となって分散する。
【0014】
このような水膨潤性の層状ケイ酸塩としては特に制限されないが、カオリナイト類、及び、スメクタイト類等が挙げられる。カオリナイト類としては、特に制限されないが、カオリナイト、及び、ハロイサイト等が挙げられる。また、スメクタイト類としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、スティーブンサイト、及び、ヘクトライト等が挙げられる。
水膨潤性の層状ケイ酸塩としては、より効率的に複合体が得られる点で、スメクタイト類が好ましく、サポナイトがより好ましい。
【0015】
なお、水膨潤性の層状ケイ酸塩は1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上の層状ケイ酸塩を用いる場合には、その合計使用量が後述する数値範囲内であることが好ましい。
【0016】
上記層状ケイ酸塩を分散させるための溶媒A1は、有機溶媒である。有機溶媒としては特に制限されないが、n-ヘキサン、シクロヘキサン、及び、イソオクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、及び、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリドン、ジメチルスルホキシド、溶融アセトアミド、ホルムアミド、及び、アセトン等の非プロトン性極性溶媒;アセトニトリル、及び、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、及び、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルセルソルブ、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン(塩化メチレン)、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、及び、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
【0017】
なかでも、非プロトン性極性溶媒としては、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサン等の環状ケトン系溶媒;溶融アセトアミド、ホルムアミド、及び、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;等が好ましい。
また、ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、及び、四塩化炭素等のハロメタン系溶媒等が好ましい。
【0018】
有機溶媒A1としては、層状ケイ酸塩に有機化合物(特に後述する中性化合物)がより吸着しやすい点で、有機溶媒A1としては、ハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項(dH)が18MPa0.5以下であることがより好ましい。
【0019】
極性項が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa0.5以下であると、水膨潤性の層状ケイ酸塩の分散性がより低くなるため、結果として、複合体がより形成されやすくなる。
【0020】
なかでも、溶媒A1の水素結合項が12MPa0.5以下であると、より効率的に複合体が得られ、溶媒A1の水素結合項が7.0MPa0.5以下であると、更に効率的に複合体が得られる。なお、溶媒A1の極性項、及び、水素結合項の下限としては特に制限されないが、一般に0以上が好ましい。
【0021】
ここで、ハンセン溶解度パラメータとは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項、極性項、及び、水素結合項の3成分に分割し、3次元空間に表したものである。分散項は分散力による効果、極性項は双極子間力による効果、水素結合項は水素結合力による効果を示す。
【0022】
なお、ハンセン溶解度パラメータの定義と計算は、Charles M.Hansen著「Hansen Solubility Parameters;A Users Handbook(CRC Press,2007)」に記載されている。また、コンピュータソフトウェア「Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)」を用いることにより、文献値等が知られていない溶媒に関しても、その化学構造から簡便にハンセン溶解度パラメータを推算することができる。
なお、本明細書におけるハンセン溶解度パラメータは、文献値を用いた。
表1には、主な溶媒のハンセン溶解度パラメータを示した。
【0023】
【0024】
なお、溶媒A1は1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上の溶媒A1を用いる場合には、その合計使用量が後述する数値範囲内であることが好ましい。
【0025】
なお、水膨潤性の層状ケイ酸塩を溶媒A1に分散する方法としては特に制限されず、水膨潤性の層状ケイ酸塩を溶媒A1に加えて、公知の方法で攪拌等すればよい。攪拌の方法としては特に制限されないが、層状ケイ酸塩の粒子をより微細化しやすい点、及び、均一に分散させやすい点で、超音波攪拌が好ましい。
溶媒A1中における水膨潤性層状ケイ酸塩の含有量としては特に制限されないが、分散液A1の固形分が、0.0001~10質量%となるよう調整すればよい。
〔分散液B1D調製工程〕
分散液B1D調製工程は、有機化合物を上記溶媒A1と同一種類の溶媒B1に分散させ、溶液B1を得る工程である。
なお、本明細書において、溶媒が「同一種類」である、とは、溶媒A1と溶媒B1とは、成分が同一であるが、それぞれ別に準備されるものであることを意味する。
すなわち、典型的には、分散液A1Dを調製するための溶媒A1と、分散液B1Dを調製するための溶媒B1とはそれぞれ別に準備され、それぞれに層状ケイ酸塩と、有機化合物とが分散される。
【0026】
溶媒B1はすでに説明した溶媒A1と同一種類の溶媒であり、すでに説明した溶媒A1と同様の溶媒が使用でき、好適形態も同様である。従って、溶媒B1として使用できる溶媒、及び、その好適形態はすでに説明した溶媒A1と同様であるため説明を省略する。
【0027】
本工程で使用する有機化合物としては特に制限されず、公知の有機化合物が使用できる。なかでも、より効率的に複合体が得られる点で、中性化合物が好ましい。
なお、本明細書において、中性化合物とは、極性が低く水に溶解しにくい化合物を意味し、より具体的には、水への溶解度が0.5mg/100gH2O(20℃)以下の化合物(水に不溶である化合物を含む)を意味し、0.1mg/100gH2O(20℃)以下が好ましく、0.01mg/100gH2O(20℃)以下がより好ましく、水に不溶であることが更に好ましい。
【0028】
有機化合物が中性化合物である場合、溶媒B1との親和性がより高く、有機化合物は溶媒B1中において均一に分散されやすく、安定化されやすい。
一方で、すでに説明したとおり、水膨潤性の層状ケイ酸塩は溶媒A1中において不安定化されており、結果として水膨潤性の層状ケイ酸塩と有機化合物との親和性が向上し、複合体がより形成されやすいものと考えられる。
【0029】
プロトンアクセプター構造とは、プロトンと静電的に相互作用し得る構造を意味し、具体的にはO、N、S、F、Cl、及び、Br等からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有する原子団、より具体的には、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造、及び、非共有電子対をもった窒素原子を有する部分構造を意味する。
【0030】
プロトンアクセプター構造の好適形態としては、ポルフィリン(ポルフィン)構造、クラウンエーテル構造、アザクラウンエーテル構造、1~3級アミン構造、ピリジン構造、イミダゾール構造、及び、ピラジン構造等が挙げられる。
【0031】
有機化合物がプロトンアクセプター構造を有すると、層状ケイ酸塩の表面に微量に存在する水の作用でプロトン化さすいものと推測される。層状ケイ酸塩が溶媒中で不安定化されている場合、プロトン化された有機化合物が静電相互作用により吸着(担持)されて、層状ケイ酸塩を安定化させようとするため、より複合体が得られやすくなるものと推測される。
【0032】
また、有機化合物としては、より効率的に複合体が得られる点で、テトラピロール環を有する化合物が好ましい。
本明細書においてテトラピロール環とは、4個のピロール(又はその誘導体)を含む環状構造を有する化合物を意味し、ポルフィリン、クロリン、バクテリオクロリン、コリン、及び、フタロシアニン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
特に制限されないが、テトラピロール環を有する化合物としては、例えば、以下の式に記載した化合物、又は、以下の式に記載した化合物の誘導体化合物が挙げられる。
【0033】
【0034】
有機化合物を溶媒B1に分散する方法としては特に制限されず、有機化合物を溶媒B1に加えて、公知の方法で攪拌等すればよい。攪拌の方法としては特に制限されないが、層状ケイ酸塩の粒子をより微細化しやすい点、及び、均一に分散させやすい点で、超音波攪拌が好ましい。
溶媒B1中における有機化合物の含有量としては特に制限されないが、分散液B1の固形分が、0.00001~10質量%となるよう調整すればよい。
なお、分散液B1Dでは、有機化合物が溶媒B1に溶解する形態であってもよい。
【0035】
〔複合化工程〕
複合化工程は、分散液A1Dと分散液B1Dとを混合し、水膨潤性の層状ケイ酸塩と有機化合物との複合体を得る工程である。
分散液A1Dと分散液B1Dとを混合する方法としては特に制限されなず、公知の方法を用いることができる。
例えば、温度が10~50℃で、1時間~5日間静置する方法等が使用できる。
【0036】
上記各工程を有する本製造方法によれば、従来困難と考えられてきた水膨潤性の層状ケイ酸塩と有機化合物(特に中性化合物)との複合体を簡便な方法で製造できる。本製造方法により製造された複合体は、センサ、及び、有機合成触媒等として使用できる。
【0037】
[複合体の製造方法2]
本発明の第2の実施形態に係る複合体の製造方法(以下、「本製造方法2」ともいう。)は、有機化合物と、水膨潤性の層状ケイ酸塩との複合体を製造するための複合体の製造方法であって、層状ケイ酸塩を溶媒A2に分散させ、分散液A2Dを得ること(分散液A2D調製工程)と、有機化合物を溶媒A2とは異なる所定の溶媒B2に分散させ、分散液B2Dを得ること(分散液B2D調製工程)と、分散液A2Dと分散液B2Dとを混合し、複合体を得ることと(複合化工程)と、を含む、複合体の製造方法である。
【0038】
本製造方法2においては、有機化合物をハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa0.5以下である溶媒に分散(溶解)させる。一方の溶媒A2は、溶媒B2の種類に応じて複数種類の溶媒から選択される。なお、水素結合項、及び、極性項の下限値は特に制限されないが、一般に0以上が好ましい。
上記によって本発明の効果が得られるメカニズムとしては必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のとおり推測している。
【0039】
例えば、溶媒B2が、非プロトン性極性溶媒であって、溶媒A2が、芳香増炭化水素系溶媒である形態等であると、有機化合物は、上記溶媒B2により比較的安定な分散液(溶解液)となる。一方で層状ケイ酸塩は、不安定な分散状態となる。これにより複合化が促進されると推測される。
【0040】
一方で、溶媒B2が、非プロトン性極性溶媒であって、溶媒A2が水である形態等であると、有機化合物、及び、層状ケイ酸塩のいずれもが比較的安定な分散状態となる。一方でこれらの分散液を混合すると疎水性相互作用により、有機化合物が凝集しやすく、これにより複合化が促進されると推測される。
以下では、以下では、本製造方法2の各工程の詳細、及び、使用する材料等について詳述する。
【0041】
〔分散液A2D調製工程〕
分散液A2D調製工程は、水膨潤性の層状ケイ酸塩を溶媒A2に分散させ、分散液A2Dを得る工程である。
【0042】
本工程において使用する水膨潤性の層状ケイ酸塩とは、水中で結晶間に水が浸入して膨潤する層状ケイ酸塩を意味し、天然に得られるものであっても、合成されるものであってもよい。水膨潤性の層状ケイ酸塩は、水中では、薄片状の微粒子(微結晶)となって分散する。
【0043】
このような水膨潤性の層状ケイ酸塩としては特に制限されないが、カオリナイト類、及び、スメクタイト類等が挙げられる。カオリナイト類としては、特に制限されないが、カオリナイト、及び、ハロイサイト等が挙げられる。また、スメクタイト類としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、スティーブンサイト、及び、ヘクトライト等が挙げられる。
水膨潤性の層状ケイ酸塩としては、より効率的に複合体が得られる点で、スメクタイト類が好ましく、サポナイトがより好ましい。
【0044】
なお、水膨潤性の層状ケイ酸塩は1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上の層状ケイ酸塩を用いる場合には、その合計使用量が後述する数値範囲内であることが好ましい。
【0045】
後述するする溶媒B2が、非プロトン性極性溶媒である場合、溶媒A2は、水、アルコール系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、及び、溶媒B2とは異なる非プロトン性極性溶媒からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0046】
また、後述する溶媒B2が、エステル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、及び、芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種である場合、溶媒A2は、水、アルコール系溶媒、及び、ハロゲン化炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0047】
また、後述する溶媒B2が、ハロゲン化炭化水素系溶媒である場合、溶媒A2は、水、アルコール系溶媒、及び、非プロトン性極性溶媒からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0048】
非プロトン性極性溶媒としては特に制限されないが、ハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa0.5以下である溶媒が好ましく、具体的には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリドン、ジメチルスルホキシド、溶融アセトアミド、ホルムアミド、及び、アセトン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
【0049】
アルコール系溶媒としては特に制限されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルソルソルブ、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0050】
脂肪族炭化水素系溶媒としては特に制限されないが、ハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa0.5以下である溶媒が好ましく、具体的には、n-ヘキサン、シクロヘキサン、及び、イソオクタン等が挙げられる。
【0051】
芳香族炭化水素系溶媒としては特に制限されないが、ハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa0.5以下である溶媒が好ましく、具体的には、n-ヘキサン、シクロヘキサン、及び、イソオクタン等が挙げられる。
【0052】
ハロゲン系炭化水素系溶媒としては特に制限されないが、ハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa0.5以下である溶媒が好ましく、具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、及び、トリクロロエタン等が挙げられる。
【0053】
ニトリル系溶媒としては特に制限されないが、具体的には、アセトニトリル、及び、ベンゾニトリル等が挙げられる。
また、エステル系溶媒としては特に制限されないが、ハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa0.5以下である溶媒が好ましく、具体的には、酢酸エチル、及び、酢酸ブチル等が挙げられる。
【0054】
なお、水膨潤性の層状ケイ酸塩を溶媒A2に分散する方法としては特に制限されず、水膨潤性の層状ケイ酸塩を溶媒A2に加えて、公知の方法で攪拌等すればよい。攪拌の方法としては特に制限されないが、層状ケイ酸塩の粒子をより微細化しやすい点、及び、均一に分散させやすい点で、超音波攪拌が好ましい。
溶媒A2中における水膨潤性層状ケイ酸塩の含有量としては特に制限されないが、分散液A2Dの固形分が、0.00001~10質量%となるよう調整すればよい。
【0055】
〔分散液B2D調製工程〕
分散液B2D調製工程は有機化合物を溶媒A2とは異なる所定の溶媒B2に分散させ、分散液B2Dを得る工程である。
なお、溶媒A2と溶媒B2とが「異なる」とは、溶媒A2と溶媒B2とが異なる種類、かつ、それぞれ別に準備されるものであることを意味する。
すなわち、典型的には、分散液A2Dを調製するための溶媒A2と、分散液B2Dを調製するための溶媒B2とはそれぞれ別に準備され、その成分は異なっており、それぞれに、層状ケイ酸塩と、有機化合物とが分散されることを意味する。
【0056】
本工程で使用する有機化合物としては特に制限されず、公知の有機化合物が使用でき、第1の実施形態に係る複合体の製造方法において使用できる有機化合物と同様の有機化合物が使用でき、好適形態も同様である。
【0057】
なお、有機化合物は、中性化合物であることが好ましい。有機化合物が中性化合物である場合、溶媒B2との親和性がより高く、有機化合物は溶媒B2中において均一に分散されやすく、安定化されやすい。
【0058】
有機化合物としては、より効率的に複合体が得られる点で、テトラピロール環を有する化合物が好ましい。
本明細書においてテトラピロール環とは、4個のピロール(又はその誘導体)を含む環状構造を有する化合物を意味し、ポルフィリン、クロリン、バクテリオクロリン、コリン、及び、フタロシアニン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
【0059】
有機化合物を溶媒B2に分散する方法としては特に制限されず、有機化合物を溶媒B2に加えて、公知の方法で攪拌等すればよい。攪拌の方法としては特に制限されないが、層状ケイ酸塩の粒子をより微細化しやすい点、及び、均一に分散させやすい点で、超音波攪拌が好ましい。
溶媒B2中における有機化合物の含有量としては特に制限されないが、分散液B2Dの固形分が、0.00001~10質量%となるよう調整すればよい。
なお、分散液B2Dでは、有機化合物が溶媒B2に溶解する形態であってもよい。
【0060】
〔複合化工程〕
複合化工程は、分散液A2Dと分散液B2Dとを混合し、水膨潤性の層状ケイ酸塩と有機化合物との複合体を得る工程である。
分散液A2Dと分散液B2Dとを混合する方法としては特に制限されないず、公知の方法を用いることができる。
例えば、温度が10~50℃で、1時間~5日間静置する方法等が使用できる。
【0061】
上記各工程を有する本製造方法によれば、従来困難と考えられてきた水膨潤性の層状ケイ酸塩と有機化合物(特に中性化合物)との複合体を簡便な方法で製造できる。本製造方法により製造された複合体は、センサ、及び、有機合成触媒等として使用できる。
【実施例】
【0062】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0063】
[例1:複合体の形成]
テトラフェニルポルフィリン(STREM Chemicals社製、以下「TPP」ともいう。)をTHFに溶解させ、TPPのTHF溶液を調製した。次に、TPPのTHF溶液を、乾燥後のTPPの質量が184μgとなるようにバイアル瓶に採取し、減圧乾燥して溶媒を除去した。次に上記バイアル瓶にサポナイト(製品名「スメクトン-SA」、クニミネ工業株式会社製、以下「LS」ともいう。)の60mgを入れ、更に10mLのトルエンに添加して混合し、25℃で3日間静置して十分平衡化させた。その後、ろ過し、30分間減圧乾燥して、試料を得た。
【0064】
[例2~例14]
溶媒として、トルエンに代えて、表2に記載した溶媒を用いたことを除いては、例1と同様にして、試料を得た。
【0065】
[評価]
(複合体の形成結果)
例1~14により得られた試料から、各例において、LSとTPPとが複合化した複合体が得られたかについて、以下の基準に基づき評価し、結果を表2「形成結果」の欄に示した。
【0066】
A:着色した複合体が得られ、各分散溶媒で洗浄しても、複合体の色は変化しなかった。
B:着色した複合体が得られ、各分散溶媒で洗浄すると、複合体の色が白色に変化した。
C:複合体が得られなかった(白色のままだった)。
【0067】
(TPPの溶解性)
100mgのサポナイトを表2に記載の各溶媒の10mLに分散させ、得られた溶液にTPPを添加し、飽和した際のTPP含有量(mol/l)を測定した(室温)。結果は以下の基準により評価し、結果を表2の「TPP溶解性」の欄に示した。なお、この添加量が多いほど、複合化の効率に優れることを示している。
【0068】
A: TPPが溶解し、飽和量が2.0×0-5mol/l以上だった。
B: TPPが溶解し、飽和量が2.0×0-5mol/l未満だった。
C: TPPが溶解しなかった。
【0069】
【0070】
表2中、「dD」とあるのは分散項、「dP」とあるのは極性項、「dH」とあるのは水素結合項を意味する。
【0071】
表2に示した結果から、LSとTPPとを有機溶媒に分散させて複合化した例1では複合体が形成され、それぞれ水に分散させた例13では複合体が形成されなかった。
また、表2に示した結果から、ハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa0.5以下であり、かつ、水素結合項が18MPa0.5以下であるトルエンを用いた例1では、ハンセン溶解度パラメータの極性項が17MPa0.5より大きい例10、及び、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が18MPa0.5より大きい例11と比較して、より効率的に複合体が得られることが分かった。
また、水素結合項が7.0MPa0.5以下であるトルエンを用いた例1では、水素結合項が7.0MPa0.5を超える酢酸エチルを用いた例5と比較して、より強固に複合化した。
【0072】
[例14:複合体の形成]
LSの水分散液と、TPPの酢酸エチル分散液とを準備し、それらを10:990(体積比)で混合して、10mLの混合液中におけるLSの質量が60mg、TPPの質量が184μgとなるよう調製した。得られた混合液を室温で3日間静置して平衡化した。その後、その後、ろ過し、30分間減圧乾燥して、試料を得た。
【0073】
[例15~例121]
LSを分散させる溶媒として水に代えて、表3に記載した溶媒を用い、TPPを分散させる溶媒として酢酸エチルに代えて表3に記載した溶媒を用いたことを除いては、例14と同様にして、試料を得た。
[評価]
例14~121により得られた試料から、各例において、LSとTPPとが複合化した複合体が得られたかについて、以下の基準に基づき評価し、結果を表3に示した。
【0074】
A:着色した複合体が得られた。
C:複合体が得られなかった。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
なお、表3は、1-1~2、2-1~2、3-1~2、4-1~2の8つの表(分割表)に分割されており、各例は、各分割表の各行に分割して記載されている。
例えば、例14であれば、表3(1-1)の1行目と、表3(1-2)の1行目にわたって記載されており、すなわち、溶媒A2の種類が「water」、すなわち水であり、分類は「水」、ハンセン溶解度パラメータは、分散項(dD)が15.5(Pa0.5)、極性項が16(Pa0.5)、水素結合項が42.3(Pa0.5)であり、表3(1-2)に移って、溶媒B2が「ethylacetate」すなわち酢酸エチルであり、分類は「エステル系溶媒」、ハンセン溶解度パラメータは、分散項(dD)が15.8(Pa0.5)、極性項(dP)が5.3(Pa0.5)、水素結合項(dH)が7.2(Pa0.5)であり、結果がAであったことを示している。例15~例121も同様である。
【0084】
なお、表3中、「dD」とあるのは分散項、「dP」とあるのは極性項、「dH」とあるのは水素結合項、「water」とあるのは水を表し、「CH2Cl2」とあるのはジクロロメタンを表し、「MeOH」とあるのはメタノールを表し、「DMSO」とあるのはジメチルスルホキシドを表し、「dioxane」とあるのは1,4-ジオキサンを表し、「MeCN」とあるのはアクリロニトリルを表し、「EtOH」とあるのはエタノールを表し、「hexane」とあるのはヘキサンを表し、「toluene」とあるのはトルエンを表し、「THF」とあるのはテトラヒドロフランを表し、「acetone」とあるのはアセトンを表し、「ethylacetate」とあるのは酢酸エチルを表し、「DMF」とあるのはN,N-ジメチルホルムアミドを表す。