(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2020033917
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100150430
【氏名又は名称】河野 元
(74)【代理人】
【識別番号】100217191
【氏名又は名称】林 信吾
(72)【発明者】
【氏名】平口 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】平 勇輝
【審査官】堀 圭史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-040235(JP,A)
【文献】特開2018-068792(JP,A)
【文献】特開2019-013435(JP,A)
【文献】特開2015-089380(JP,A)
【文献】特開2004-275524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定条件の成立に基づいて変動表示される識別情報が特定態様で停止表示された場合に、遊技者に所定の利益を付与し得る特別遊技が実行可能となる遊技機であって、
演出を表示可能な演出表示手段と、
楽曲を再生可能な楽曲再生手段と
、
前記特別遊技後の特定期間において実行される前記識別情報の変動表示に伴って
、特定
のキャラクタによるキャラクタ演出を
前記演出表示手段で実行可能
なキャラクタ演出実行手段と、を備え、
前記キャラクタ演出実行手段が前記キャラクタ演出を実行する場合の演出パターンとして、少なくとも第1演出パターンと第2演出パターンとが設けられており、
前記キャラクタ演出が前記第1演出パターンで実行される場合、該キャラクタ演出中に特別演出場面が前記演出表示手段に表示され、
前記キャラクタ演出が前記第2演出パターンで実行される場合、該キャラクタ演出中に前記特別演出場面と異なる特定演出場面が前記演出表示手段に表示され、
前記楽曲再生手段は、前記特別遊技中から該特別遊技後の前記特定期間にわたって特定楽曲を再生可能であり、
前記特定期間にて前記特定楽曲を再生中に前記
キャラクタ演出が
前記第1演出パターンで実行され、該
キャラクタ演出
中に前記特別演出場面が
前記演出表示手段に表示される場合、該特別演出場面が表示される間、前記特定楽曲の再生を停止し
、
前記特定期間にて前記特定楽曲を再生中に前記キャラクタ演出が前記第2演出パターンで実行され、該キャラクタ演出中に前記特
定演出場面が
前記演出表示手段に表示される場合、
該特定演出場面が表示される間、前記特定楽曲の再生を停止することなく継続する
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特にパチンコ遊技機等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、所定条件の成立に基づいて変動表示される識別情報(例えば特別図柄等)が特定態様で停止表示された場合に、遊技者に所定の利益を付与し得る特別遊技(例えば大当り遊技等)が実行可能となる遊技機が知られている。この種の遊技機において、特別遊技の開始から特別遊技後の確変状態や時短状態にかけて一連の演出表示を実行するように構成されたものがある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特別遊技や確変状態等の遊技者にとって有利な遊技期間にわたって一連の演出表示を実行するだけでは演出が単調になりやすく、遊技の興趣が却って低下してしまう虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特別遊技から特別遊技後にかけての遊技の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0007】
手段1の遊技機は、
所定条件の成立に基づいて変動表示される識別情報が特定態様で停止表示された場合に、遊技者に所定の利益を付与し得る特別遊技が実行可能となる遊技機であって、
演出を表示可能な演出表示手段と、
楽曲を再生可能な楽曲再生手段と、
前記特別遊技後の特定期間において実行される前記識別情報の変動表示に伴って、特定のキャラクタによるキャラクタ演出を前記演出表示手段で実行可能なキャラクタ演出実行手段と、を備え、
前記キャラクタ演出実行手段が前記キャラクタ演出を実行する場合の演出パターンとして、少なくとも第1演出パターンと第2演出パターンとが設けられており、
前記キャラクタ演出が前記第1演出パターンで実行される場合、該キャラクタ演出中に特別演出場面が前記演出表示手段に表示され、
前記キャラクタ演出が前記第2演出パターンで実行される場合、該キャラクタ演出中に前記特別演出場面と異なる特定演出場面が前記演出表示手段に表示され、
前記楽曲再生手段は、前記特別遊技中から該特別遊技後の前記特定期間にわたって特定楽曲を再生可能であり、
前記特定期間にて前記特定楽曲を再生中に前記キャラクタ演出が前記第1演出パターンで実行され、該キャラクタ演出中に前記特別演出場面が前記演出表示手段に表示される場合、該特別演出場面が表示される間、前記特定楽曲の再生を停止し、
前記特定期間にて前記特定楽曲を再生中に前記キャラクタ演出が前記第2演出パターンで実行され、該キャラクタ演出中に前記特定演出場面が前記演出表示手段に表示される場合、該特定演出場面が表示される間、前記特定楽曲の再生を停止することなく継続する
ことを要旨とする。
【0008】
このような遊技機によれば、特別遊技中から該特別遊技後の特定期間にわたって特定楽曲が再生され、その特定期間中(つまり、特定楽曲の再生中)に識別情報の変動表示に伴ってキャラクタ演出が第1演出パターンで実行され、該キャラクタ演出中に特別演出場面が演出表示手段に表示される場合、その特別演出場面が表示される間、特定楽曲の再生が停止される。一方、特定期間中(特定楽曲の再生中)にキャラクタ演出が第2演出パターンで実行され、該キャラクタ演出中に特定演出場面が演出表示手段に表示される場合には、特定楽曲の再生が停止されることはなく、特定演出場面が表示される間、その再生が継続される。このため、特別遊技後の特定期間中(特定楽曲の再生中)に実行されるキャラクタ演出の展開に応じて、特別遊技中から継続される特定楽曲の再生が停止される場合とされない場合とがあるようになる。これにより、特定期間中の演出にメリハリをつけて、特別遊技から特別遊技後の特定期間にかけての興趣を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明によれば、特別遊技から特別遊技後にかけての遊技の興趣を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係る遊技機の正面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る遊技機の裏面図である。
【
図3】本発明の実施例の遊技盤の構成を示す正面図である。
【
図4】
図3に示す主表示器の拡大図であり、同遊技機が備える表示器類を示す図である。
【
図5】同遊技機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図6】当り種別と大入賞口開放パターン等との対応を示す表である。
【
図7】遊技制御用マイコンが取得する各種乱数を示す表である。
【
図8】(A)は当り判定テーブルであり、(B)は大当り種別判定テーブルであり、(C)は小当り種別判定テーブルであり、(D)は普通図柄当り判定テーブルであり、(E)は普通図柄変動パターン選択テーブルである。
【
図10】主制御メイン処理のフローチャートである。
【
図12】始動口センサ検知処理のフローチャートである。
【
図14】普通図柄待機処理のフローチャートである。
【
図15】普通図柄当否判定処理のフローチャートである。
【
図16】普通図柄乱数シフト処理のフローチャートである。
【
図17】普通図柄変動中処理のフローチャートである。
【
図18】普通図柄確定処理のフローチャートである。
【
図19】普通電動役物処理のフローチャートである。
【
図21】特別図柄待機処理のフローチャートである。
【
図22】特
図1当否判定処理のフローチャートである。
【
図23】特
図1変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図24】特
図1変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図25】特
図1乱数シフト処理のフローチャートである。
【
図26】特
図2当否判定処理のフローチャートである。
【
図27A】特
図2変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図27B】特
図2変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図28】特別図柄変動中処理のフローチャートである。
【
図29】特別図柄確定処理のフローチャートである。
【
図30】特別電動役物処理1(大当り遊技)のフローチャートである。
【
図31】特別電動役物処理2(小当り遊技)のフローチャートである。
【
図32】特別電動役物処理2(小当り遊技)のフローチャートである。
【
図33】遊技状態設定処理のフローチャートである。
【
図36】サブ制御メイン処理のフローチャートである。
【
図37】受信割り込み処理のフローチャートである。
【
図38】2msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図39】10msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図40】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図41】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図42】変動演出開始処理のフローチャートである。
【
図43】第2始動口入球時処理のフローチャートである。
【
図44】バトルモード中の表示画面を示す説明図であり、(A)はバトルモード中の基本画面構成、(B)は第2始動口への入球に基づく演出が実行されたときの表示画面である。
【
図45】バトルモード中の表示画面を示す説明図であり、(C)はバトル開始演出が表示されたときの表示画面、(D)は演出図柄が当り態様で表示されたときの表示画面である。
【
図46】バトルモード(時短状態)での第2特別図柄及び演出図柄の状態を示すタイミングチャートであり、(A)は時短1回目の特
図2変動が外れ変動、時短2回目の特
図2変動が外れ変動又は当り変動である場合のタイミングチャート、(B)は時短1回目の特
図2変動が当り変動である場合のタイミングチャートである。
【
図47】バトルモード(時短状態)での時短2回目(最終回)の特
図2変動が当り変動(味方キャラ勝利)である場合の演出表示とBGMの変遷を示す説明図である。
【
図48】バトルモード(時短状態)での時短2回目(最終回)の特
図2変動が外れ変動(味方キャラ敗北)である場合の演出表示とBGMの変遷を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を、実施例を用いて説明する。以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示された場合と、小当り図柄が停止表示されたことに基づき入球可能となる可変入球口(例えば大入賞口)に入球した遊技球が特定領域を通過した場合とに、遊技者に所定の遊技利益(例えば賞球)を付与可能な大当り遊技が実行可能となる所謂「1種2種タイプ」のパチンコ遊技機に、本発明を適用した例を説明する。
【0018】
なお、以下の説明において、単に前側(前方)とは、遊技機を正面視した場合の正面(表面)側であって、遊技時に遊技者が位置する側(手前側)のことである。また、単に後側(後方)とは、遊技機を正面視した場合の背面(裏面)側のことである。さらに、単に上側(上方)、下側(下方)、左側(左方)、右側(右方)とは、遊技機を正面視した場合の上・下・左・右の各方向のことであり、例えば、
図1や
図3における上側、下側、左側、右側を指す。
【実施例】
【0019】
図1~
図3に示すように、本実施例のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。
図3は、遊技機枠50から取り外した状態の遊技盤2を示す。遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。
【0020】
前面枠51には、遊技者の操作量(回転角度)に応じた発射強度で遊技球を発射させるための発射ハンドル60、遊技球を貯留可能であってその貯留した遊技球を発射装置側に供給可能な打球供給皿(上皿)61、及び、打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62等が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って行われる遊技演出の実行中などに遊技者が操作可能な第1演出ボタン63a及び第2演出ボタン63b(これら2個の演出ボタンの何れか一方又は両方を指して単に「演出ボタン63」ともいう。)や、遊技の状況に応じて様々な光を発することが可能な装飾用の枠ランプ66、遊技の状況に応じて様々な音(効果音)を発することが可能なスピーカ67等も設けられている。枠ランプ66はLEDによって構成されている。
【0021】
演出ボタン63は、外部からの操作により入力を行うことが可能な入力手段として機能するものである。遊技者は、遊技演出の種類に応じて使用する演出ボタンを使い分けることができる。例えば、遊技演出の実行中に第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bを操作すると、当該操作に基づいて所定の操作対応演出が行われる。演出ボタン63(入力手段)のことを「操作手段」ともいい、第1演出ボタン63aのことを「第1入力手段」又は「第1操作手段」ともいい、第2演出ボタン63bことを「第2入力手段」又は「第2操作手段」ともいう。
【0022】
なお、演出ボタン63の構成は本実施例の態様に限らず、遊技者が入力を行うことができるものであれば足り、例えば、遊技者が直接ボタン部に接触して入力を行う入力手段(例えば、出没式、タッチセンサ式等)であってもよいし、遊技者の身体の一部が近接したことを検知して入力を行う非接触式の入力手段(光電式等)であってもよい。また、本実施例ではプッシュ式の操作手段(押しボタン)としているが、操作レバーや操作スティックなど前後方向や左右方向へ傾倒させることが可能な傾倒式の操作手段であってもよい。さらに、また、本実施例では第1演出ボタン63aと第2演出ボタン63bの2つの演出ボタンが設けられているが、演出ボタンの数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0023】
遊技盤2には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されており、レール部材4の先端には、球戻り防止片6が設けられている。球戻り防止片6は、一旦遊技領域へ誘導された遊技球を発射装置側へ戻るのを防止するためのものである。また、遊技盤2には、遊技の状況に応じて様々な光を発することが可能な装飾用の盤面ランプ5(
図5を参照)も設けられている。盤面ランプ5はLEDによって構成されている。
【0024】
遊技領域3の中央付近には、演出用の表示装置(演出表示手段)として、液晶表示装置からなる画像表示装置7が設けられている。画像表示装置7の表示画面7a(演出表示部)には、演出図柄8L,8C,8R(単に「演出図柄8」ともいう。)が表示される演出図柄表示領域7b(「演出図柄表示部」ともいう。)が設けられている。演出図柄8L,8C,8Rは、その演出図柄表示領域7b(演出図柄表示部)にて、後述の第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄の変動表示に同期して変動表示を行う。変動表示の態様としては、例えば上下、左右、斜め方向等にスクロール表示する態様がある。
【0025】
演出図柄表示領域7bは、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなり、左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。なお、左・中・右の図柄表示エリアの位置は夫々区別して設ける必要はなく、左・中・右の演出図柄の表示エリアをそれぞれ図柄表示エリア(演出図柄表示領域7b)の全体としてもよい。
【0026】
本実施例の演出図柄8L,8C,8Rは、それぞれ「1」~「9」までの数字図柄(図柄種)からなるもので、これらの数字図柄が順に表示されるものとなっている。具体的に、演出図柄8の変動表示は、「1」→「2」・・・「8」→「9」の順(昇順)で数字図柄をスクロール表示させることによって行われるものとなっており、「9」まで到達したら「1」に戻って、スクロール表示を変動終了(停止表示)まで繰り返すものとなっている。
【0027】
演出図柄表示領域7bに表示(停止表示)される左、中、右の組み合わせ(停止表示態様)によって、後述の第1特別図柄表示器41a(「第1特別図柄表示部」ともいう。)に表示される第1特別図柄の変動表示の結果や、第2特別図柄表示器41b(「第2特別図柄表示部」ともいう。)に表示される第2特別図柄の変動表示の結果、つまり、特別図柄当否判定(単に「当否判定」ともいう。)の結果を、遊技者が認識し易いように表示する。本実施例では、変動表示している3つの演出図柄8L,8C,8Rが停止表示する順序(停止順序)を、原則「左→右→中」としている。すなわち、停止順が1番目の停止図柄を左演出図柄8Lとし、停止順が2番目の停止図柄を右演出図柄8Rとし、停止順が3番目(最後)の停止図柄を中演出図柄8Cとしている。なお、停止順が1番目の停止図柄のことを「第1停止図柄」ともいい、停止順が2番目の停止図柄のことを「第2停止図柄」ともいい、停止順が3番目の停止図柄のことを「第3停止図柄」や「最終停止図柄」ともいう。
【0028】
ここで、第1特別図柄、第2特別図柄及び演出図柄8の何れか又は全部を指して単に「図柄」や「識別情報」ともいう。また、普通図柄のことを「普図」や「普通識別情報」ともいい、特別図柄のことを「特図」ともいい、第1特別図柄のことを「特
図1」や「第1特図」ともいい、第2特別図柄のことを「特
図2」や「第2特図」ともいう。さらに、演出図柄8を表示する画像表示装置7、第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示器41a及び第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示器41bの何れか又は全部を指して「識別情報表示手段」ともいう。
【0029】
演出図柄8の停止表示態様は次のように定めることができる。例えば、特別図柄当否判定(以下、単に「当否判定」ともいう。)の結果が当り(大当り又は小当り)となった場合には、「222」や「777」等の3桁同一のゾロ目(「当り演出図柄」ともいう。)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、外れとなった場合には「637」や「373」などの3つの図柄のうち少なくとも1つの図柄が異なるバラケ目図柄(「外れ演出図柄」ともいう。)で演出図柄を停止表示することが可能である。これにより、遊技者は停止表示した演出図柄を見ることで、遊技の進行状況を容易に把握することが可能となる。つまり遊技者は、一般的には特別図柄当否判定の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bに表示される特別図柄を見て直接的に把握するのではなく、演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄を見て把握する。なお、大当りと小当りとを区別しやすくするために、例えば、小当りとなった場合には「123」や「135」等の予め設定したチャンス図柄や「3★3」等の専用図柄(「小当り演出図柄」ともいう。)で演出図柄を停止表示することも可能である。
【0030】
ここで、演出図柄8の停止表示態様(図柄組み合わせ)のうち、特別図柄当否判定の結果が当りの場合に対応する停止表示態様のことを「当り態様」、「特定態様」又は「特定表示結果」ともいい、特別図柄当否判定の結果が外れの場合に対応する停止表示態様のことを「外れ態様」、「非特定態様」又は「非特定表示結果」ともいう。また、当りのうち大当りに対応する停止表示態様のことを「大当り態様」、「第1特定態様」又は「第1特定表示結果」ともいい、小当りに対応する停止表示態様のことを「小当り態様」、「第2特定態様」又は「第2特定表示結果」ともいう。
【0031】
画像表示装置7の表示画面7a上では、前述のような演出図柄8を用いた遊技演出(演出図柄遊技演出)を表示するほか、当り遊技に伴って実行される当り遊技演出や、客待ち用のデモ演出などが表示される。なお、演出図柄遊技演出や当り遊技演出やデモ演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
【0032】
画像表示装置7の表示画面7aでは、前述のような演出図柄8を用いた遊技演出(「演出図柄遊技演出」ともいう。)を表示するほか、大当り遊技に伴って実行される大当り遊技演出(「特別遊技演出」ともいう。)や、客待ち用のデモ演出などが表示される。演出図柄遊技演出や大当り遊技演出等の演出表示では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像など、演出図柄以外の様々な演出画像も表示される。なお、演出図柄遊技演出のことを「変動演出」ともいう。
【0033】
また、画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて第1演出保留9aを表示する第1演出保留表示領域9c(第1演出保留表示部)が設けられている。第1演出保留の表示態様(表示数)により、後述の第1特図保留表示器43a(
図4を参照)にて表示される第1特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
【0034】
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、表示画面7a(演出図柄表示領域7b)を取り囲むセンター装飾体10が設けられている。センター装飾体10は、プラスチック製(樹脂製)の成型物によって構成されるもので、中央が開口した枠状の部品(盤部品)として、遊技盤2の表面(前面)に取り付けられるものである。当該センター装飾体10の中央開口を介して画像表示装置7の表示画面7aが視認可能となる。
【0035】
センター装飾体10の下部には、遊技球が転動可能な遊技球転動面を有するステージ部11が設けられている。また、センター装飾体10の左部には、中空状のワープ部12が設けられている。ワープ部12にはワープ入口とワープ出口とが設けられており、遊技領域3を流下する遊技球をワープ入口から受け入れ、当該遊技球をワープ出口から排出しステージ部11へと誘導する。ステージ部11の転動面に誘導された遊技球は、ステージ部11に誘導されない遊技球と比して高い可能性で、後述の第1始動口20に入球可能とされている。さらに、センター装飾体10の上部には、LED等の電飾部材(盤面ランプ5)を有し遊技状態に応じて点灯可能であって、文字や図形等を象った装飾部材13が配されている。
【0036】
また、センター装飾体10の上部であって装飾部材13の後方には、遊技演出に伴って作動可能な可動装飾部材14が設けられている。
図3では、可動装飾部材14の一部分のみが視認可能となっているが、例えば、大当りの可能性が比較的高い遊技演出の実行に伴って、可動装飾部材14が下方に落下し、当該可動装飾部材14が表示画面7aの前面を覆い、その大部分が視認可能となる。これにより、遊技者は当りへの期待感を高めることとなる。
【0037】
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが変化しない非可変式の第1始動口20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第1特別図柄に係る当否判定(「第1特別図柄当否判定」ともいう。)が実行されると共に第1特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
【0038】
第1始動口20の下方には、遊技球の入球し易さ(入球可能性)が変化する可変式の第2始動口21を備える可変入賞装置22(「可変始動口」ともいう。)が設けられている。第2始動口21への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第2特別図柄の当否判定(「第2特別図柄当否判定」ともいう。)が実行されると共に第2特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
【0039】
なお、特別図柄当否判定の結果が当り(大当り又は小当り)であること(特定情報)に基づいて行われる特別図柄の変動表示や演出図柄の変動表示のことを「当り変動」又は「特定変動」ともいい、特別図柄当否判定の結果が外れであること(非特定情報)に基づいて行われる特別図柄の変動表示や演出図柄の変動表示のことを「外れ変動」又は「非特定変動」ともいう。また、当り変動(特定変動)のうち、特別図柄当否判定の結果が大当りであることに基づいて行われる特別図柄の変動表示や演出図柄の変動表示のことを「大当り変動」又は「第1特定変動」ともいい、特別図柄当否判定の結果が小当りであることに基づいて行われる特別図柄の変動表示や演出図柄の変動表示のことを「小当り変動」又は「第2特定変動」ともいう。
【0040】
可変入賞装置22は可動部材23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21が開閉される。この開閉によって、第2始動口21は、第1の態様(閉状態)と当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)とに変化可能とされる。つまり、可動部材23は開閉作動することより、第2始動口21への遊技球の入球可能性を変化させるものである。この可動部材23は第2始動口ソレノイド24(
図5を参照)により駆動される。本実施例では、可動部材23が開状態にあるときだけ第2始動口21に遊技球が入球可能とされ、可動部材23が閉状態にあるときには遊技球が入球不能とされる。なお、第2始動口21は、可動部材23が閉状態にあるときは開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉状態にあるときに完全に入球不能となるものでなくてもよい。
【0041】
遊技領域3における第1始動口20の右方には、後述する大当り遊技の実行に際して作動する第1大入賞装置31(「第1可変入球装置」ともいう。)が設けられている。第1大入賞装置31は第1大入賞口30(「第1可変入球口」ともいう。)と開閉部材32を備えており、開閉部材32の開作動により第1大入賞口30を開放し、開閉部材32の閉作動により第1大入賞口30を閉鎖するものである。開閉部材32は第1大入賞口ソレノイド33(
図5を参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第1大入賞装置31は、開閉部材32の開閉作動により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
【0042】
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方であってセンター装飾体10の右下部には、後述する小当り遊技の実行に際して作動する第2大入賞装置36(「第2可変入球装置」ともいう。)が設けられている。第2大入賞装置36は第2大入賞口35(「第2可変入球口」ともいう。)と開閉部材(羽根部材)37を備えており、開閉部材37の開作動により第2大入賞口35を開放し、開閉部材37の閉作動により第2大入賞口35を閉鎖するものである。開閉部材37は第2大入賞口ソレノイド38(
図5を参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第2大入賞装置36は、開閉部材37の開閉作動により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
【0043】
第2大入賞装置36には、第2大入賞口35に入球した遊技球が通過可能な特定領域39と非特定領域(図示せず)とが形成されている。第2大入賞口35に入球した遊技球は、特定領域39又は非特定領域を通過して機外(遊技機裏面側)に排出される。本パチンコ遊技機1では、第2大入賞口35に入球した遊技球の少なくとも1個が特定領域39を通過したことが検知されることに基づいて、後述の大当り遊技を開始させるものとなっている。つまり、特定領域39は大当り遊技開始口となっている。
【0044】
また、第2大入賞装置36には、遊技球が特定領域39を通過し得る状態(開状態)と通過し得ない状態(閉状態)とを創出するための図示しない可動片(特定領域への遊技球の通過可能性を変化させる部材)が設けられている。可動片は、可動片ソレノイド34(
図5を参照)により駆動されるものであり、第2大入賞口35に入球した遊技球を特定領域39又は非特定領域に振り分ける振分部材として機能する。
【0045】
第2大入賞装置36の非作動時、すなわち開閉部材37が第2大入賞口35を閉鎖しているときには可動片が特定領域39を閉状態としており、第2大入賞装置36の作動開始、すなわち第2大入賞口35を開閉する開閉部材37の開作動の開始に基づいて、特定領域39を開状態とすべく可動片が作動を開始する。つまり、可動片は開閉部材37の開作動に伴って作動を開始する。そして、可動片(振分部材)は所定の作動(駆動)パターンに基づいて作動するものであり、作動パターンで規定される作動時間が経過すると作動を終了して、特定領域39を閉状態とする。
【0046】
本実施例では、小当り遊技にて第2大入賞口35に入球した遊技球が所定の確率(例えば「1/3」程度)で特定領域39を通過し得る可動片の作動パターンを1つ設けている。つまり、第2大入賞口35に入球した遊技球が特定領域39を必ず通過するものとはなっていない。このため、開放した第2大入賞口35に遊技球が入球し、当該入球した遊技球が特定領域39の位置に到達するタイミングと、可動片が特定領域39を開放しているタイミングとが合致すると、その遊技球は特定領域39を通過(V通過)して大当り遊技が開始されることとなり、それらタイミングが合致しなければ、遊技球は特定領域39を通過することなく非特定領域を通過して機外に排出され、大当り遊技が開始されることはない。
【0047】
ここで、可動片の作動パターンとしては、所定の作動時間(開放時間)で作動することにより特定領域39を1回又は複数回開状態としたり、特定領域39を複数回開状態とする場合の各回の開放時間を異ならせたりする等のパターンを設けることができる。また、第2大入賞口35の開放後(小当り遊技の開始後)、どのタイミングで可動片を開作動させるかによって特定領域39への遊技球の通過可能性が変化し得るように、可動片の作動パターンを複数設けることも可能である。可動片の作動パターンを複数設けることで、第2大入賞口35に入球した遊技球が特定領域39を通過するタイミングにバラツキを持たせることが可能であるため、例えば、特定領域への通過(V通過)を狙った打法で遊技球の発射を遊技者が行うことの抑制を図れる。可動片の作動パターンを複数設けた場合、何れの作動パターンで可動片を作動させるかは、例えば、小当り遊技の実行契機となった小当り図柄を複数設けておき、停止表示された小当り図柄の種類に応じて可動片の作動パターンを設定することにより決定することが可能である。なお、特定領域39への遊技球の通過可能性(V通過率)は、大当り確率や小当り確率、大当り遊技で付与可能な利益量(賞球数)、時短状態の遊技期間(時短回数)等の遊技性能(スペック)、遊技性等を考慮して任意に定めることが可能であり、100%通過(必ず通過)するように定めることも可能である。
【0048】
遊技領域3における第2大入賞口35の下方であって第1大入賞口30の上方(本例では、第1大入賞口30の真上)には、遊技球が通過可能なゲート28(遊技球通過口)が設けられている。ゲート28への遊技球の通過に基づいて、普通図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると、第2始動口21を開状態とするか否かを判定する普通図柄当否判定が実行されると共に普通図柄が変動表示され、普通図柄当否判定の結果に基づいて停止表示される。当り普通図柄が停止表示すると第2始動口21が開状態となる。また、遊技領域3の下部には、複数の一般入賞口27が設けられている。
【0049】
このように各種入球口等が配されている遊技領域3を、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bと、に分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を「左打ち」ともいい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を「右打ち」ともいう。本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際は左打ちにて第1始動口20への入球を狙う。一方、第1始動口20への入球に基づく当否判定において当りとなり遊技状態が変化した際には、右打ちにてゲート28、第2始動口21、第1大入賞口30及び第2大入賞口35への入球を狙うこととなる。そして、第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35及び一般入賞口27の何れかに遊技球が入球した場合には、夫々の入球口(入賞口)において予め定められた数の遊技球(「賞球」ともいう。)が払い出される。
【0050】
また、
図3に示すように、遊技領域3における第1大入賞口30の下方には、第2始動口21に向かって左下がりに傾斜した遊技球誘導路25が設けられている。この遊技球誘導路25は、右遊技領域3Bを流下してきた遊技球を第2始動口21側へ誘導する遊技球通路(流下経路)として機能する。第2始動口21が開状態にあるとき、遊技球誘導路25を流下する遊技球の殆どが第2始動口21に入球し得るものとなっている。したがって、遊技球誘導路25を流下する遊技球が当該誘導路の左端を通過して第2始動口21に到達するタイミングと、第2始動口21の開放タイミングとが合うと、第2始動口21への入球(特
図2始動入賞)が高確率で発生する。
【0051】
また、
図3及び
図4に示すように、遊技盤2の右下部には主表示器40が設けられている。主表示器40には、第1特別図柄を変動表示及び停止表示する第1特別図柄表示器41a(第1特別図柄表示部)、第2特別図柄を変動表示及び停止表示する第2特別図柄表示器41b(第2特別図柄表示部)、普通図柄を変動表示及び停止表示する普通図柄表示器42(普通図柄表示部)、第1特別図柄に係る当否判定情報(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、普通図柄に係る当否判定情報(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
【0052】
また主表示器40には、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が当りになったことを示す当り表示器48、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が当りになった場合に実行される当り遊技のラウンド数を示すラウンド表示器45、変動時間短縮機能(時短機能)が作動することを示す遊技状態表示器46、及び、遊技球の発射方向、すなわち右打ちすべき状態か左打ちすべき状態かを示す発射方向表示器47が含まれている。これら主表示器40に含まれる各種表示器は後述の主制御部によって表示制御される。
【0053】
ここで、ラウンド表示器45は、5ラウンド用の1つのLEDと、10ラウンド用の2つのLEDの計3つのLEDで構成されている。そして、大当り図柄として特
図1大当り図柄Bが停止表示すると、5ラウンド用ランプが点灯表示されて「5R▲10R△10R△」(例えば、▲:点灯、△:消灯とする)の様な表示態様となる。また、大当り図柄として特
図1大当り図柄A、特
図2大当り図柄A又は特
図2大当り図柄Bが停止表示すると、10ラウンド用ランプが点灯表示されて「5R△10R▲10R△」の様な表示態様となる。これらのランプは、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで点灯表示される。また、小当り経由で特定領域通過に基づいて大当りとなった場合には、特定領域通過後に実行される大当り遊技のラウンド数に、小当り遊技での第2大入賞口35の開放回数を加算した数を示すランプを点灯する。具体的に、小当り図柄として、特
図2小当り図柄A又は特
図2小当り図柄Bが停止表示され、小当り遊技によって開放した第2大入賞口35内の特定領域39を遊技球が通過した場合には、9ラウンドに小当り分の1回を加算した10ラウンド用ランプが点灯表示される。具体的には「5R△10R△10R▲」の様な表示態様となる。なお、ラウンドのことを単に「R」と表記することがある。
【0054】
第1特別図柄の変動表示は、第1始動口20への遊技球の入球を契機として行われる。第2特別図柄の変動表示は、第2始動口21への遊技球の入球を契機として行われる。なお、以下の説明では、第1特別図柄及び第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41a及び第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示部41ということがある。
【0055】
特別図柄表示部41では、特別図柄(識別情報)が所定の変動表示時間(「変動時間」ともいう)にしたがって変動表示した後に停止表示し、停止表示した特別図柄(停止図柄)の表示態様(停止表示態様)によって第1始動口20又は第2始動口21への入球に基づく抽選(大当り抽選、小当り抽選等)の結果が報知される。停止表示される特別図柄は、特別図柄当否判定によって複数種類の特別図柄の中から選択された1つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定識別情報、特定態様)である場合(すなわち、大当り図柄や小当り図柄である場合)には、停止表示された特定特別図柄の種類(当り種別)に応じた開放パターンで第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当り遊技又は小当り遊技)が実行される。
【0056】
特別図柄の停止表示は、所定の停止表示時間(確定表示時間)が経過するまで行われる。そして、停止表示時間が経過すると、次の変動表示が開始可能となる。例えば、停止表示された特別図柄が外れ図柄(外れ態様、非特定態様)であって、当該停止表示の際に特図保留(本例では第1特図保留)が記憶されている場合には、停止表示時間が経過すると、記憶順の最も古い(最先の)特図保留が消化され、これにより次の特別図柄の変動表示が開始される。また、停止表示された特別図柄が外れ図柄であって、当該停止表示の際に特図保留が記憶されていない場合には、停止表示時間が経過した後も、特別図柄の停止表示状態が維持される。一方、停止表示された特別図柄が大当り図柄又は小当り図柄である場合には、停止表示時間が経過すると、大当り遊技又は小当り遊技のオープニング期間に移行し、当該オープニング期間を経て大当り遊技又は小当り遊技が開始される。特別図柄の停止表示時間は「0.5秒~1.0秒」とされるのが一般的で、本実施例では「0.5秒」としている。
【0057】
図4に示すように、第1特別図柄表示器41aは「i~p」で示す8個のLEDで構成されており、各LEDの点灯と消灯との組み合わせにより複数の表示態様を表示することが可能となっている。同様に、第2特別図柄表示器41bも「a~h」で示す8個のLEDで構成されており、各LEDの点灯と消灯との組み合わせにより複数の表示態様を表示することが可能となっている。そして、第1特別図柄表示器41aでは第1特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄(第1特別図柄)が表示(停止表示)され、第2特別図柄表示器41bでは第2特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄(第2特別図柄)が表示(停止表示)される。なお、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば予め定められた順序で、左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯する態様とすることができる。
【0058】
本実施例では、第1特別図柄当否判定の結果が大当りとなった場合の大当りの種別として「特
図1大当りA」及び「特
図1大当りB」の2種類が設けられており(
図6(A),(B)を参照)、これらの大当りを第1特別図柄表示器41aの表示態様によって識別可能に表示するものとなっている。例えば、第1特別図柄当否判定の結果が大当りとなった場合、その種別が特
図1大当りAであれば「ijn」の3個のLEDを点灯して残りを消灯し、特
図1大当りBであれば「jnkl」の4個のLEDを点灯して残りを消灯する。また、第1特別図柄当否判定の結果が外れとなった場合には、「lo」の2個のLEDを点灯して残りを消灯する。
【0059】
また本実施例では、第2特別図柄当否判定の結果が大当りとなった場合の大当りの種別として「特
図2大当りA」及び「特
図2大当りB」の2種類が設けられており(
図6(A),(B)を参照)、第2特別図柄当否判定の結果が小当りとなった場合の小当りの種別として「特
図2小当りA及び「特
図2小当りB」の2種類が設けられている(
図6(C),(D)を参照)。これらの大当り又は小当りを、前述の第1特別図柄表示器41aと同様に、第2特別図柄表示器41bの表示態様(各LEDの点灯と消灯との組み合わせ)によって識別可能に表示するものとなっている。
【0060】
なお、各当り(大当り及び小当り)に対応する特別図柄表示部41の表示態様は、複数の当り種別(時短機能や開放延長機能の作動状態のみが異なる態様も含む)に対して一の表示態様としたり、一の当りに対して一の表示態様としたり、一の当りに対して複数の表示態様としたりすることが可能であり、外れについても同様に一又は複数の表示態様とすることが可能である。そして、表示態様を複数とした場合には、例えば乱数抽選等により表示態様を選択し、該選択した表示態様に基づいて特別図柄表示部41の表示制御を行うものとすればよい。
【0061】
本実施例では、停止表示された特別図柄(停止図柄)の表示態様が大当り(第1特定態様)又は小当り(第2特定態様)である場合、その大当りや小当りの種別によって、遊技者に付与する利益の内容が異なるものとなっている。この点についての詳細は後述する。
【0062】
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」又は「所定情報」ともいう。)が取得される(情報取得手段)。また、第1始動口20への遊技球の入球に基づいて取得される取得情報(所定情報)は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部(図示せず)に第1特図保留(特
図1保留)として記憶することが可能となっている。特図保留記憶部に記憶された特図保留(第1特図保留)は、その特図保留に基づく特別図柄の変動表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特別図柄当否判定用乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、第1始動口20への遊技球の入球に基づく第1特別図柄の変動表示を直ちに実行(開始)できない場合、すなわち、第1特別図柄の変動表示の実行中や特別遊技の実行中に遊技球が第1始動口20に入球した場合、その入球に対する特別図柄当否判定の権利、換言すると、第1特別図柄の変動表示を、所定個数を上限として留保すること(保留として記憶すること)が可能となっている。本実施例では、第1特図保留として記憶可能な特図保留の数(特
図1保留球数)の上限値は「4」となっている。この特図保留記憶部のことを「保留記憶手段」、「取得情報記憶手段」又は「所定情報記憶手段」ともいう。なお、特図保留記憶部には、第1始動口20への遊技球の入球に基づく第1特別図柄の変動表示を直ちに実行(開始)できない場合だけでなく、第1特別図柄の変動表示を直ちに実行(開始)できる場合にも、第1始動口20への遊技球の入球に基づいて取得される取得情報が一時的に記憶される。この場合に記憶される取得情報は、第1特別図柄の変動表示の実行(開始)に際して直ぐに読み出されるので、実質的には保留として記憶されないともいえる。
【0063】
また、第2始動口21への遊技球の入球に基づいて取得される取得情報(所定情報)について、本実施例では、第2特別図柄が変動表示していないときに遊技球が第2始動口21に入球した場合、すなわち、第2特別図柄の変動表示を直ちに実行(開始)することが可能なときに遊技球が第2始動口21に入球した場合に、当該入球に基づく取得情報が取得されるものとなっている。そして、取得した取得情報に基づく第2特別図柄の変動表示が終了するまでは、その変動表示中に遊技球が第2始動口21に入球したとしても、新たに取得情報を取得しないものとなっている。このため、本実施例では、第1始動口20への入球に基づき取得される取得情報(所定情報)を保留として記憶する保留記憶手段(第1保留記憶手段)を備える一方、第2始動口21への入球に基づき取得される取得情報(所定情報)を保留として記憶する保留記憶手段(第2保留記憶手段)を備えない構成となっている。
【0064】
なお、第2保留記憶手段を備える構成とすることも可能である。この場合、第2特図保留として記憶可能な特図保留の数の上限は、第1特図保留と同様に「4」としたり、第1特図保留よりも少ない「1」~「3」の何れかとしたりすることが可能である。
【0065】
第2始動口21への入球に基づき取得される取得情報は、第2特別図柄の変動表示が開始されるまで主制御部のRAMに一時的に記憶され、第2特別図柄の変動表示の開始に際して読み出される。つまり、第2始動口21への入球に基づき取得された取得情報は、保留としては記憶されず、直ちに変動表示を開始するための「変動情報」として主制御部のRAMに一時的に記憶される。このように第2特別図柄に係る変動情報を一時的に記憶するRAMの所定領域(所定バッファ)のことを「変動情報記憶部」(変動情報記憶手段)ともいう。
【0066】
なお、「変動情報記憶部」と前述の「特図保留記憶部」とは、いずれも始動口への遊技球の入球に基づいて取得される取得情報を記憶する手段であることから、両者は実質的に同じ機能を有するものとして捉えることも可能である。但し、本明細書では、特別図柄の変動表示を直ちに実行(開始)できる状況下で取得される取得情報だけの記憶と、特別図柄の変動表示を直ちに実行(開始)できない状況下を含めて取得される取得情報の記憶とを明確に区別すべく、「変動情報記憶部」と「特図保留記憶部」とに分けて表記する。
【0067】
特図保留記憶部に記憶された特図保留(第1特図保留)の数は、第1特図保留表示器43aに表示される。具体的には、第1特図保留表示器43aは「uv」の2個のLEDで構成されており、第1特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第1特図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「u□v□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「u□v●」というように「u」のLEDを消灯し「v」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「2」の場合は「u●v□」というように「u」のLEDを赤色で点灯させ「v」のLEDを消灯する表示態様とし、保留数が「3」の場合は「u●v●」というように両方のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「4」(上限数)の場合は「u▲v▲」というように両方のLEDを緑色で点灯させ表示態様とすることができる。
【0068】
普通図柄の変動表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を所定時間変動表示した後に停止表示し、停止表示した普通図柄(停止図柄)によって、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄当否判定の結果を報知する。停止表示される普通図柄は、普通図柄当否判定によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(当り普通図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンで第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。第2始動口21の開放パターンについては後述する。
【0069】
図4に示す通り、普通図柄表示器42は「st」の2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄当否判定の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば、普通図柄当否判定の結果が当りである場合には、「s■t■」(例えば、■:点灯、□:消灯とする)というように両LEDが点灯した当り普通図柄を停止表示する。また、普通図柄当否判定の結果が外れである場合には、「s□t■」というように「t」のLEDのみが点灯した態様の外れ普通図柄を表示する。なお、外れ普通図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には予め定められた所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示が実行されるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯・消滅を繰り返す態様である。なお、普通図柄の停止表示についても、特別図柄の停止表示と同様に停止表示時間が設定される。
【0070】
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に基づいて普通図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」又は「所定情報」ともいう。)を取得し、取得した各種情報は主制御部のRAMに形成される普図保留記憶部(図示せず)に普図保留として記憶される。普図保留記憶部に記憶可能な普図保留の数には上限が設定されており、本実施例における上限値は「4」となっている。普図保留記憶部に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の変動表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄当否判定用乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の変動表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の変動表示がその通過時にすぐ実行できない場合、すなわち普通図柄の変動表示の実行中や補助遊技の実行中である場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄当否判定の権利(普通図柄の変動表示)を留保することが可能となっている。
【0071】
普図保留記憶部に記憶された普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には、普図保留表示器44は「qr」の2個のLEDで構成されており、普図保留の数に応じてLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「q□r□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「q□r●」というように「q」のLEDを消灯し「r」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。また、保留数「2~4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。なお、普図保留記憶部に記憶可能な普図保留の数は「4」でなくてもよく、「1」~「3」の何れかであってもよく、また、普図保留記憶部を設けない(記憶可能な普図保留数を「0」にする)ことも可能である。
【0072】
次に
図2及び
図5に基づいて、本実施例のパチンコ遊技機1に係る電気的な構成を説明する。本実施例では、パチンコ遊技機1の作動に係る主たる制御基板として、特別図柄当否判定、普通図柄当否判定及び遊技状態の移行等の遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」、「メイン制御部」又は「遊技制御部」ともいう。)と、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う副制御基板90(「副制御部」、「サブ制御部」又は「演出制御部」ともいう。)と、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう。)と、画像表示装置7に表示される演出図柄8、演出表示器102に表示される図柄及び演出第1特図保留表示器103a等の表示制御を行う画像制御基板100(「画像制御部」又は「表示制御部」ともいう。)と、を備えている。
【0073】
図2に示すように、パチンコ遊技機1の後面側(裏面側)の略中央部には主制御基板80を収納した主制御基板収納ケースが設けられている。この主制御基板ケースの上方には、音声制御基板106、ランプ制御基板107及び画像制御基板100を収納した画像制御基板等収納ケースが設けられ、その画像制御基板等収納ケース上には副制御基板90を収納した副制御基板収納ケースが設けられている。また、主制御基板ケースの下方左側には、払出制御基板を収納する払出制御基板ケースが設けられ、その右側には、電源基板109を収納する電源基板ケースが設けられている。
【0074】
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(「遊技制御用マイコン」ともいう。)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路87(I/Oポート部)を介して他の基板等とデータ(情報)の送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。遊技制御用マイコン81のRAMには、前述した特図保留記憶部(第1特図保留記憶部)と普図保留記憶部とが設けられている。また、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)のRAM(主制御RAM)の所定アドレスには、各種フラグや各種計数カウンタに用いるための記憶領域が確保されている。
【0075】
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的には、センサ類として、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a及び一般入賞口センサ27aが接続されている。これら各種センサを「遊技球検知手段」ともいう。
【0076】
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入球した遊技球を検知するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入球した遊技球を検知するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検知するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入球した遊技球を検知するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入球した遊技球を検知するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検知するものである。一般入賞口センサ27aは、各一般入賞口27内にそれぞれ設けられて一般入賞口27に入球した遊技球を検知するものである。これらセンサが遊技球を検知すると、その検知信号が主制御基板80に入力され、これを受けて遊技制御用マイコン81は対応するコマンド(入球コマンド等)を副制御基板90に送信する。
【0077】
また、ソレノイド類としては、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38及び可動片ソレノイド34が接続されている。これら各種ソレノイドを「駆動手段」ともいう。第2始動口ソレノイド24は、可変入賞装置22の可動部材23を駆動するためのものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するためのものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するためのものである。可動片ソレノイド34は、第2大入賞口35に入球した遊技球を特定領域39又は非特定領域(図示せず)に振り分けるための振分部材として機能する可動片(図示せず)を駆動するためのものである。
【0078】
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、普図保留表示器44、ラウンド表示器45、遊技状態表示器46、発射方向表示器47及び当り表示器48が接続されている。これらの各表示器を含んで構成される主表示器40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
【0079】
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球や貸球を払い出す払出装置120及びカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード(遊技価値記憶媒体)等に記憶されている情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されている。また払出制御基板110には、発射制御基板111(「発射制御部」ともいう。)を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には発射ハンドル60(
図1を参照)が含まれる。
【0080】
払出制御基板110は、所定のプログラムに従って遊技球の払い出しを制御する払出制御用ワンチップマイコン(「払出制御用マイコン」ともいう。)116が実装されている。払出制御用マイコン116には、遊技球の払い出しを制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。払出制御用マイコン116は、入出力回路117を介し、遊技制御用マイコン81からの信号やパチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、払出装置120の払出モータ121を駆動して賞球や貸球の払い出しを実行する。払い出される遊技球は、その計数のため払出センサ122、123により検知される。また、遊技者による発射装置112の発射ハンドル60の操作があった場合には、タッチスイッチ114が発射ハンドル60への遊技者の接触を検知し、発射ボリューム115が発射ハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動制御されることとなる。なお、本実施例では、発射モータ113の駆動により発射装置112が連続して発射可能な遊技球の数は1分間で約100個となっている。
【0081】
また主制御基板80は、副制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80と副制御基板90との接続は、主制御基板80から副制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80と副制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
【0082】
図5に示すように、副制御基板90には、所定のプログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(「演出制御用マイコン」ともいう。)91が実装されている。演出制御用マイコン91は、各種演出を実行するにあたっての演出制御全般を担うものであり「演出制御手段」として機能する。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。なお、入出力回路95は演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよく、ROMは外付けであってもよい。また、副制御基板90(演出制御用マイコン91)のRAM(演出制御RAM)の所定アドレスには、各種フラグや各種計数カウンタに用いるための記憶領域が確保されている。
【0083】
副制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。副制御基板90(サブ制御部)、画像制御基板100(画像制御部)、音声制御基板106(音声制御部)及びランプ制御基板107(ランプ制御部)は、遊技の状況に応じて表示演出や音演出、ランプ演出(光演出)等の各種演出を対応する演出用の装置や部材等(演出手段)に実行させる演出実行手段として機能する。
【0084】
副制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン(「画像制御用マイコン」ともいう。)101のCPUに、画像表示装置7、演出表示器102、演出第1特図保留表示器103aの表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAMは、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROMには、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄、保留図柄等を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御用マイコン101は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROMから画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
【0085】
演出表示器102は、2個のLEDからなり、演出図柄8の変動表示及び停止表示にあわせて変動表示及び停止表示を行い、2個のLEDの点灯・消灯又は色の組合せにより、演出図柄8の表示結果(特別図柄当否判定の結果)を示す表示態様で停止表示する。また、演出第1特図保留表示器103aも同様に2個のLEDからなる。そして、2個のLEDの点灯・消灯又は色の組合せにより、演出第1特図保留表示器103aは第1演出保留表示領域9cに表示される保留個数および第1特図保留表示器43aに表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。これらの表示器が設けられるのは、キャラクタ図柄を表示画面7a(演出図柄表示部)の略全体に表示したり、可動装飾部材14を作動させて表示画面7aの演出図柄表示領域7b(演出図柄表示部)を被覆したりすることで、演出図柄表示部や第1演出保留表示部の一部又は全部が視認できない状態になることが起こり得るからである。なお、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101に換えて、または加えて、VDP(Video Display Processor)を設けてもよい。
【0086】
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声や楽曲等の音響データは、副制御基板90のROMに格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROMに音響データを格納してもよい。
【0087】
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう。)を、ROMに格納されているデータから決定し、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプ(LED)の点灯制御を行う。
【0088】
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続されたモータやソレノイド等の電気的駆動源を駆動して可動装飾部材14を動作させる。前述したように、可動装飾部材14は、センター装飾体10(装飾部材13の後方)に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。演出制御用マイコン91は、可動装飾部材14を所定の作動態様で作動させるための作動パターンデータ(「駆動データ」ともいう。)を、副制御基板90のROMに格納されているデータから決定し、決定した作動パターンデータに基づいて可動装飾部材14の作動を制御する。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や可動装飾部材14の作動制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
【0089】
副制御基板90には、第1演出ボタン63aが操作されたことを検知する第1演出ボタン検知スイッチ63cと、第2演出ボタン63bが操作されたことを検知する第2演出ボタン検知スイッチ63dと、が接続されている。第1演出ボタン63aが操作されると、第1演出ボタン検知スイッチ63cのスイッチ信号(「検知信号」ともいう)がONとなって副制御基板90に入力され、第1演出ボタン63aの操作が解かれると、その検知信号がOFFとなって副制御基板90に入力される。第2演出ボタン63bが操作されると、第2演出ボタン検知スイッチ63cの検知信号がONとなって副制御基板90に入力され、第2演出ボタン63bの操作が解かれると、その検知信号がOFFとなって副制御基板90に入力される。なお、第1演出ボタン検知スイッチ63c及び第2演出ボタン検知スイッチ63dの一方又は両方を指して「演出ボタン検知スイッチ」ともいう。また、第1演出ボタン検知スイッチ63cのことを「第1操作検知手段」ともいい、第2演出ボタン検知スイッチ63dのことを「第2操作検知手段」ともいい、第1演出ボタン検知スイッチ63c及び第2演出ボタン検知スイッチ63dの一方又は両方のことを「操作検知手段」ともいう。
【0090】
次に、本実施例のパチンコ遊技機1における当否判定に係る制御について説明する。本実施例では、特別図柄当否判定の結果として「大当り」、「小当り」、「外れ」が設定されている。大当りのときには、特別図柄表示部41に「大当り図柄」(第1特定識別情報、第1特定態様)が停止表示され、小当りのときには、特別図柄表示部41に「小当り図柄」(第2特定識別情報、第2特定態様)が停止表示され、外れのときには、特別図柄表示部41に「外れ図柄」が停止表示される。大当り又は小当りと判定されると、停止表示された特別図柄の種類に応じた開放パターンにて、第1大入賞口30または第2大入賞口35を開放する「特別遊技」が実行される。特別遊技のうち、大当りとなって実行される特別遊技のことを「大当り遊技」又は「第1特別遊技」ともいい、小当りとなって実行される特別遊技のことを「小当り遊技」又は「第2特別遊技」ともいう。
【0091】
本実施例の当りには複数の種別がある。すなわち、
図6(A)~(D)に示すように、第1特別図柄(特
図1)の当り種別として「特
図1大当りA,B」があり、第2特別図柄(特
図2)の当り種別として「特
図2大当りA,B」及び「特
図2小当りA,B」があり、各当りの種別に応じた停止図柄(大当り図柄、小当り図柄)が設けられている。特
図1大当り及び特
図2大当りでは第1大入賞口30が開放し、特
図2小当りでは第2大入賞口35が開放する。なお、本実施例のパチンコ遊技機1では、第1特別図柄に小当り(特
図1小当り)を設けず、第2特別図柄だけに小当り(特
図2小当り)を設けた構成となっているが、特
図1小当りを設けてもよい。
【0092】
特
図1大当りA,Bは、遊技状態が非時短状態の場合と時短状態の場合とに発生し得る大当りである(
図6(A),(B)を参照)。大当りの発生により行われる大当り遊技は、第1大入賞口30が開放する複数回のラウンドによって構成される。なお、時短状態とは、後述するように特別図柄及び普通図柄に対する変動時間短縮機能(「時短機能」ともいう。)が作動する遊技状態を意味し、非時短状態とは、時短機能が作動しない遊技状態(「通常遊技状態」又は「通常状態」ともいう。)を意味する。本実施例では、時短機能が作動する場合、第2始動口21が開放する際の開放時間や開放回数を通常よりも延長・増加させる開放延長機能も併せて作動する。本実施例のパチンコ遊技機1の遊技状態についての詳細は後述する。
【0093】
特
図1大当りA,Bは何れも、ラウンド数が「5」、1R~5Rの各ラウンドでの第1大入賞口30の開放回数が「1回」、開放時間が「25秒」の大当り(「5R大当り」ともいう。)であり、各ラウンドで第1大入賞口30に遊技球が容易に入球可能となっている。また、特
図1大当りA,Bは何れも、大当り遊技終了後の遊技状態を時短状態とする大当り、すなわち変動時間短縮機能(時短機能)を作動させる大当りでもある。なお、以下では、大当り遊技終了後の遊技状態を時短状態とする大当り(変動時間短縮機能の作動開始契機となる大当り)のことを「時短大当り」ともいい、大当り遊技終了後の遊技状態を非時短状態(通常状態)とする大当り(変動時間短縮機能の作動開始契機とならない大当り)のことを「非時短大当り」ともいう。また、特
図1大当りA,Bのことを「5R時短大当り」ともいう。
【0094】
特
図2大当りA,Bは、遊技状態が非時短状態の場合と時短状態の場合とに発生し得る大当りである(
図6(A),(B)を参照)。特
図2大当りA,Bは何れも、ラウンド数が「10」、1R~10Rの各ラウンドでの第1大入賞口30の開放回数が「1回」、開放時間が「25秒」の大当り(「10R大当り」ともいう。)であり、各ラウンドで第1大入賞口30に遊技球が容易に入球可能となっている。そして、特
図2大当りA,Bのうち、特
図2大当りAは「非時短大当り」(「10R非時短大当り」ともいう。)でもあり、特
図2大当りBは「時短大当り」(「10R時短大当り」ともいう。)でもある。
【0095】
特
図2小当りA,Bは、遊技状態が非時短状態の場合と時短状態の場合とに発生し得る小当りである(
図6(C),(D)を参照)。特
図2小当りA,Bは何れも、第2大入賞口35の開放回数が「1回」、開放時間が「1.8秒」の小当りである。なお、小当り(小当り遊技)においては、大入賞口の開放回数をラウンド数ではなく単に開放回数という。そして、特
図2小当りAは、小当り遊技で第2大入賞口35に入球した遊技球の少なくとも1個がV通過することで「9R非時短大当り」を発生させる小当りである。一方、特
図2小当りBは、小当り遊技で第2大入賞口35に入球した遊技球の少なくとも1個がV通過することで「9R時短大当り」を発生させる小当りである。9R非時短大当り及び9R時短大当りは何れも、ラウンド数が「9」、1R~9Rの各ラウンドでの第1大入賞口30の開放回数が「1回」、開放時間が「25秒」の大当り(「9R大当り」ともいう。)であり、各ラウンドで第1大入賞口30に遊技球が容易に入球可能となっている。なお、小当り遊技でのV通過により発生する大当りのことを「V大当り」又は「小当り経由大当り」ともいう。
【0096】
図6に示すように、本実施例では、特別図柄当否判定の結果が当りとなった場合における各当りへの振分率(振分割合)が、当り発生時の遊技状態に応じて次のように定められている。すなわち、非時短状態において、第1特別図柄当否判定(特
図1当否判定)の結果が大当りの場合、特
図1大当りA(10R時短大当り)が4%、特
図1大当りB(5R時短大当り)が96%となっている。また、非時短状態において、第2特別図柄当否判定(特
図2当否判定)の結果が大当りの場合、特
図2大当りA(10R非時短大当り)が100%、特
図2大当りB(10R時短大当り)が0%となっており、特
図2当否判定の結果が小当りの場合、特
図2小当りA(9R非時短大当りを発生可能な小当り)が100%、特
図2小当りB(9R時短大当りを発生可能な小当り)が0%となっている。
【0097】
一方、時短状態において、特
図1当否判定の結果が大当りの場合、特
図1大当りA(10R時短大当り)が4%、特
図1大当りB(5R時短大当り)が96%となっている。つまり、特
図1当否判定の結果が大当りの場合の大当り種別の振分率は、非状態状態と時短状態とで同様となっている。また、時短状態において、特
図2当否判定の結果が大当りの場合、特
図2大当りA(10R非時短大当り)が0%、特
図2大当りB(10R時短大当り)が100%となっており、特
図2当否判定の結果が小当りの場合、特
図2小当りA(9R非時短大当りを発生可能な小当り)が0%、特
図2小当りB(9R時短大当りを発生可能な小当り)が100%となっている。
【0098】
ここで、本実施例のパチンコ遊技機1では、遊技状態が非時短状態(通常状態)のときに発生し得る大当りのうち、特
図2大当りAだけが非時短大当りとなっており、その他の大当り、すなわち特
図1大当りA,Bは何れも時短大当りとなっている(
図6(A)を参照)。また、遊技状態が非時短状態のときに発生し得る特
図2小当りAは非時短大当りを発生可能な小当りとなっている(
図6(C)を参照)。このため、非時短状態において特
図1大当りA又は特
図1大当りBが発生した場合、その大当り遊技後の遊技状態は必ず時短状態となる。一方、非時短状態において特
図2大当りAが発生した場合と、特
図2小当りAを経由して大当りが発生した場合、その大当り遊技後に遊技状態が時短状態に移行することはなく、大当り遊技後も非時短状態となる。
【0099】
これに対し、遊技状態が時短状態のときに発生し得る大当り、すなわち、特
図1大当りA,B及び特
図2大当りBは、何れも時短大当りとなっている(
図6(B)を参照)。また、遊技状態が時短状態のときに発生し得る特
図2小当りBは時短大当りを発生可能な小当りとなっている(
図6(D)を参照)。このため、時短状態において大当り(特
図1大当りA,B及び特
図2大当りBの何れか)が発生した場合と、特
図2小当りBを経由して大当りが発生した場合、その大当り遊技後の遊技状態は必ず時短状態となる(時短状態が継続する)。
【0100】
なお、特
図1当否判定の結果が大当りとなった場合、10R大当り(特
図1大当りA)よりも5R大当り(特
図1大当りB)の方が発生しやすい。一方、特
図2当否判定の結果が大当りとなった場合、10R大当り(特
図2大当りA又は特
図2大当りB)が発生し、
特
図2当否判定の結果が小当りとなってV大当りとなった場合、9R大当りが発生する。このため、大当りで獲得可能な利益量(賞球量)の観点からみると、特
図1当否判定(特
図1の変動表示)よりも特
図2当否判定(特
図2の変動表示)の方が、遊技者にとって有利といえる。
【0101】
また、非時短状態にて特
図1当否判定の結果が大当りとなった場合、その大当りは時短大当りとなる。一方、非時短状態にて特
図2当否判定の結果が大当りとなった場合、その大当りは非時短大当りとなり、非時短状態にて特
図2当否判定の結果が小当りとなってV大当りとなった場合にも、そのV大当りは非時短大当りとなる。このため、非時短状態では、特
図2当否判定(特
図2の変動表示)を実行するよりも特
図1当否判定(特
図1の変動表示)を実行する方が、遊技者にとって有利といえる。
【0102】
ここで、本実施例のパチンコ遊技機1の遊技仕様について簡単に説明しておく。本実施例のパチンコ遊技機1では、非時短状態(通常状態)にて遊技球が第2始動口21に入球する頻度は時短状態よりも低くなっていることから、遊技者は非時短状態にて遊技を進める場合、左打ちを行って第1始動口20への入球を狙うこととなる。つまり、特
図1当否判定(特
図1の変動表示)を主として遊技を進行させることとなる。この非時短状態において特
図1当否判定の結果が大当り(特
図1大当りA又は特
図1大当りB)となった場合、その大当りは時短大当りであるため、当該大当りに係る大当り遊技の終了後の遊技状態は時短状態となる。時短状態では、遊技球が第2始動口21に入球する頻度が通常状態よりも高くなる(第2始動口への入球頻度が第1始動口への入球頻度よりも高くなる)ことから、遊技者は時短状態にて遊技を進める場合、右打ちを行って第2始動口21への入球を狙うこととなる。つまり、特
図2当否判定(特
図2の変動表示)を主として遊技を進行させることとなる。そして、前述したように、特
図2の大当りには、特
図1で発生し得る5R大当りが設けられておらず、小当り経由の9R大当りと10R大当りが設けられているため、特別遊技によって遊技者が得られる利益(賞球量)を考慮すると、第1始動口20への入球に基づく特
図1当否判定で大当りとなるよりも、第2始動口21への入球に基づく特
図2当否判定で大当り(V大当りを含む)となる方が、遊技者にとって有利といえる。よって、第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中(つまり、時短状態)においては、開放延長機能が作動しない非時短状態に比べ遊技を有利に進めることが可能となるので、遊技者は時短状態(右打ち)での遊技を期待することとなる。
【0103】
また、詳しくは後述するが、本実施例のパチンコ遊技機1では、「0~65535」の範囲で値をとる特別図柄当否判定用乱数を設けており(
図7(A)を参照)、特
図1当否判定および特
図2当否判定における大当り判定値は「20001~20205」、特
図2当否判定における小当り判定値は「30001~63940」としている(
図8(A)を参照)。つまり、大当り確率が「1/319.7」(約「1/320」)、小当り確率が「1/1.93」となっている。このため、特
図2当否判定を主として遊技を進行させる時短状態では、高い確率(約「1/2」の確率)で特
図2小当り(特
図2小当りB)が発生するため、特
図2小当りを契機とするV大当りを発生させることが遊技の主目的となる。そして、時短状態にて大当り又はV大当りが発生することなく当該時短状態での特別図柄の変動表示が所定回数実行されると、遊技状態が非時短状態に戻る。
【0104】
なお、特別図柄当否判定用乱数「0~65535」(所定情報)のうち、大当り判定値「20001~20205」及び小当り判定値「30001~63940」のことを「特定情報」ともいい、大当り判定値及び小当り判定値以外の値、すなわち外れ判定値のことを「非特定情報」ともいう。また、特定情報のうち大当り判定値のことを「第1特定情報」ともいい、小当り判定値のことを「第2特定情報」ともいう。
【0105】
ここで、本実施例では、特図保留記憶部で記憶可能な保留を特
図1保留のみとしており、また後述するように、第2特別図柄の変動表示を第1特別図柄の変動表示に優先して実行するものとしている。このため、例えば、第1特図保留が存在する状態で大当り遊技が終了し、これに続いて時短状態が開始される場合、その開始と略同時期に遊技球が第2始動口21に入球しなければ、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)から開始されることとなる。このように時短状態での遊技が第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)から開始されるといった状況が起こり得るのは、例えば、非時短状態で特
図1大当りを引いて時短状態に移行した場合、つまり、いわゆる「初当り」を引いて時短状態に移行した場合が考えられる。特に、非時短状態では、前述したように、第1始動口20に遊技球を入球させて特
図1当否判定(特
図1の変動表示)を主として遊技を進行させることから、非時短状態から時短状態に移行した当初、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)から開始されることは充分にあり得る。
【0106】
この点、本実施例では、特
図1大当りA,Bは何れも時短大当りであるため、仮に、第1特図保留が存在する状態で大当り遊技が終了し、これに続く時短状態で第1特別図柄の変動表示から開始されて当該変動表示の結果が大当りとなったとしても、その大当りは100%時短大当りとなる。このため、時短状態に移行した直後に特
図1大当りを引いてしまったとしても、これを契機に非時短状態(通常状態)に戻ってしまう可能性はないので、せっかく時短状態に移行したにもかかわらず、特
図2小当りを契機とするV大当りの発生を狙わずして時短状態が終わって非時短状態(通常状態)に戻ってしまう(転落してしまう)といったことは起こり難い。このように、本実施例では、非時短状態(通常状態)での初当りを経て時短状態に移行した場合、特
図2小当りを契機とするV大当りを狙う時短状態の遊技を極力行えるようにしているので、時短状態への移行により高まった遊技者の遊技に対する期待感や緊張感が損なわれ難いものとなっている。
【0107】
また本実施例では、非時短状態にて特
図2大当りや特
図2小当りを契機とするV大当りが発生したとしても、これら大当りは「非時短大当り」しか存在せず、非時短状態では特
図1大当りが発生しない限り、時短状態には移行しないものとなっている。このため、非時短状態にて当該遊技状態での遊技の主目的(本来の遊技性)に反して、遊技球を第2始動口21に入球させて特
図2当否判定(特
図2の変動表示)を狙ったとしても、遊技者にとっては何ら有利に働くことはない。これにより、本実施例のパチンコ遊技機1では、非時短状態にて遊技球を第2始動口21に入球させる行為(本来の遊技性を損なう行為)の抑制が図られている。
【0108】
本パチンコ遊技機1では、大当り、小当り又は外れかの判定(特別図柄当否判定)は「特別図柄当否判定用乱数」(「当否判定用情報」ともいう。)に基づいて行われる。そして、当否判定の結果が大当りとなった場合の大当り種別の判定は「大当り種別決定用乱数」(「大当り図柄決定用乱数」又は「大当り図柄決定用情報」ともいう。)に基づいて行われ、小当りとなった場合の小当り種別の判定は「小当り種別決定用乱数」(「小当り図柄決定用乱数」又は「小当り図柄決定用情報」ともいう。)に基づいて行われる。特別図柄当否判定では、まず大当りか否かが判定され、大当りと判定されなかった場合に小当りか否かが判定され、小当りと判定されなかった場合、つまり、大当りでも小当りでもない場合に外れとなる。
【0109】
図7(A)に示すように、特別図柄当否判定用乱数は「0~65535」の範囲で値をとり、大当り種別決定用乱数は「0~199」の範囲で値をとり、小当り種別決定用乱数は「0~199」の範囲で値をとる。また、第1始動口20又は第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数(所定情報)には、特別図柄当否判定用乱数や大当り種別決定用乱数、小当り種別決定用乱数の他に「変動パターン乱数」(「変動パターン情報」ともいう。)がある。変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数であり、「0~198」の範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、
図7(B)に示す普通図柄当否判定用乱数がある。普通図柄当否判定用乱数は、第2始動口21を開放させる補助遊技を行うか否かの判定(普通図柄当否判定)のための乱数であり、「0~65535」の範囲で値をとる。
【0110】
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1は、特別図柄及び普通図柄に対する変動時間短縮機能および開放延長機能の各機能が作動状態または非作動状態となる組合せにより、複数の遊技状態を有している。なお、本実施例のパチンコ遊技機1は1種2種混合タイプであることから、特別図柄に対する確率変動機能は備えていない。また本実施例では、普通図柄に対する確率変動機能も備えていない。但し、普通図柄に対する確率変動機能を備える構成としてもよい。
【0111】
特別図柄に対する変動時間短縮機能が作動している時短状態および作動していない非時短状態では、
図8(A)に示す当り判定テーブルを用いて当否判定を行う。具体的には、特別図柄当否判定で大当りと判定される確率(大当り確率)が、第1特別図柄と第2特別図柄ともに「1/319.7」となっている。また、特別図柄当否判定で小当りと判定される確率(小当り確率)は、第2特別図柄が「1/1.93」となっており、第1特別図柄では小当りと判定されることはない。つまり、第1特別図柄には小当りがなく、第2特別図柄には小当りがある。これは、第1特別図柄は原則、非時短状態のときに変動表示させるもので、非時短状態では、第1特別図柄の当否判定を主として行い第1特別図柄の大当り(時短大当り)を発生させ、当該大当りを契機に遊技状態を時短状態に移行させることが、遊技の主目的となるからである。また、第2特別図柄は原則、時短状態のときに変動表示させるもので、時短状態では、第2特別図柄の当否判定を主として行い高い確率(本例では約1/2の確率)で特
図2小当りを発生させ、当該小当りを契機とするV大当りを繰り返し発生させることが、遊技の主目的となるからである。そして、特
図2小当りに係る小当り遊技の際、第2大入賞口35の開放時間は1.8秒という大当り遊技に比して短時間であることから、遊技球が必ず第2大入賞口35に入球するとは限らず、また、第2大入賞口35に入球したとしても、その遊技球が必ず特定領域39を通過するとは限らない。このことから、特
図2小当りに係る小当り遊技で遊技球が第2大入賞口35に入球しない場合や、第2大入賞口35に入球した遊技球が特定領域39を通過しない場合が、実質的に外れに相当することとなる。
【0112】
また、時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示の開始時から確定表示時までの時間)の平均値が、非時短状態における特別図柄の変動時間の平均値よりも短くなっている。すなわち、時短状態においては、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(
図9を参照)。その結果、時短状態では、特別図柄の変動表示を短時間で行い、スムーズな遊技進行のもとで当りを狙うことができる。
【0113】
普通図柄について変動時間短縮機能は、特別図柄の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄の変動時間短縮機能は、特別図柄の時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなる。本実施例では、普通図柄の変動時間は非時短状態では10秒であるが、時短状態では0.5秒である(
図8(E)参照)。また本実施例では、時短状態及び非時短状態において
図8(D)に示す普通図柄当り判定テーブルを用いて普通図柄の当否判定を行う。普通図柄当否判定で当りと判定される確率(普図当り確率)は「1/1.004」となっており、時短状態及び非時短状態の何れにおいても、高確率で普通図柄の当りが発生し得る。さらに時短状態では、補助遊技における第2始動口21の開放時間が非時短状態よりも長くなる。すなわち、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放時間延長機能が作動する。
【0114】
具体的に、非時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22の可動部材23が50ms(0.05秒)の開放作動を1回行い、第2始動口21が極短時間(一瞬)開状態となる(短開放する)だけなので、このときに遊技球が第2始動口21に入球することはまずない。一方、時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22の可動部材23が5500ms(5.5秒)の開放作動を1回行い、その間、第2始動口21が開状態となる(長開放する)ため、可動部材23の1回の開放作動中(作動時間内)に複数の遊技球が第2始動口21に容易に入球するようになる。このため、時短状態では第2始動口21が略開きっぱなしの状態となり、第2始動口21への遊技球の入球が高頻度で発生し得る。
【0115】
なお、時短状態では、開放時間延長機能に加え、第2始動口21の開放回数を非時短状態よりも多くする開放回数増加機能が作動するように構成してもよい。例えば、普通図柄の当りに基づく可動部材23の開放作動を、非時短状態では1回行い、時短状態では3回行うように構成することが可能である。開放時間延長機能及び開放回数増加機能の何れか一方又は両方を指して単に「開放延長機能」ともいう。また時短状態では、普通図柄に対する確率変動機能が作動するように構成してもよい。例えば、非時短状態での普図当り確率を「1/10」とし、時短状態での普図当り確率を本実施例の普図当り確率と同じ「1/1.004」とすることが可能である。
【0116】
普通図柄についての変動時間短縮機能及び可変入賞装置22(第2始動口21)の開放延長機能が作動している状況下(つまり、時短状態)では、これらの機能が作動していない状況下(つまり、非時短状態)に比して、第2始動口21が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球の入球頻度が高くなる(これを「高頻度状態」ともいう。)。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当りを狙うことができる。この様な高ベース状態を発生する機能を「高ベース発生機能」ということもできる。
【0117】
なお、高ベース状態(高頻度状態)は、普通図柄の変動時間短縮機能及び確率変動機能、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放時間延長機能及び開放回数増加機能のうち少なくとも一つの機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも第2始動口が開放され易く(入球頻度が高く)なっていればよい。また、高ベース状態は、特別図柄の時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
【0118】
本実施例のパチンコ遊技機1では、時短大当りが発生した場合の当該大当り遊技終了後の遊技状態は時短状態且つ高ベース状態となる(
図6を参照)。この遊技状態を「時短高ベース状態」ともいう。本実施例の時短高ベース状態は、(条件1)規定変動回数(所定回数)の特別図柄の変動表示が実行されること、(条件2)規定変動回数の変動表示が完了するまでに大当りに1回当選して大当り遊技が実行されること、(条件3)規定変動回数の変動表示が完了するまでに小当りに1回当選して小当り遊技が実行されること、の何れかの条件(終了条件)が成立することにより終了する。
【0119】
本実施例では、時短高ベース状態が終了することとなる特別図柄の変動表示回数(規定変動回数)を、第1特別図柄の変動表示回数と第2特別図柄の変動表示回数とにより規定している。具体的には、第1特別図柄の変動表示回数「8回」と第2特別図柄の変動表示回数「2回」との計「10回」を、時短高ベース状態の終了条件(「時短終了条件」ともいう。)としての規定変動回数としている。そして、第2特別図柄の変動表示が2回実行される前に第1特別図柄の変動表示が8回実行されるか、第1特別図柄の変動表示が8回実行される前に第2特別図柄の変動表示が2回実行されると、時短高ベース状態が終了するものとなっている。このように、時短高ベース状態の終了条件となる第2特別図柄の変動表示回数を、第1特別図柄の変動表示回数よりも少なく規定しているのは、本パチンコ遊技機1に係る時短高ベース状態(時短状態、高頻度状態)の遊技性を、短期間のうちにV大当りを狙う遊技性としているからである。特に、本実施例では、第2特別図柄の小当り確率を「1/1.93」(約「1/2」)とし、時短終了条件として、第2特別図柄の変動表示回数を2回(条件1)、小当りの当選回数(小当り遊技の実行回数)を1回(条件3)とすることで、時短高ベース状態の遊技性を、V大当り及び時短高ベース状態の継続をワンチャンス(1回の特
図2小当りB)で狙う遊技性としている。これにより、時短高ベース状態での遊技に対する遊技者の期待感や緊張感を高揚させて、時短高ベース状態の興趣を高めている。
【0120】
また本実施例のパチンコ遊技機1では、非時短大当りが発生した場合の当該大当り遊技終了後の遊技状態は非時短状態且つ低ベース状態となる(
図6を参照)。この遊技状態を「非時短低ベース状態」ともいう。本パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合の電源投入後の(初期状態の)遊技状態は非時短低ベース状態である。また、時短高ベース状態で小当り(特
図2小当りB)を引いて実行される小当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過しなかった場合(V大当りとならなかった場合)、小当り遊技終了後の遊技状態は非時短低ベース状態となる(前述の条件3を参照)。
【0121】
なお、「時短高ベース状態」のことを単に「時短状態」、「高ベース状態」又は「高頻度状態」ともいい、「非時短低ベース状態」のことを単に「非時短状態」、「低ベース状態」又は「通常状態」ともいう。
【0122】
高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域(右側領域)3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。第2始動口21(可変入賞装置22)は、左遊技領域3Aを流下する遊技球よりも右遊技領域3Bを流下する遊技球の方が入球しやすくなるように構成されている。また、ゲート28は、左遊技領域3Aを流下する遊技球は通過不能であり右遊技領域3Bを流下する遊技球が通過可能となるように配置されている。そして、高ベース状態では、低ベース状態と比べて第2始動口21の開放時間が長くなっており、左遊技領域3Aに向けて遊技球を発射して第1始動口20への入球を狙うよりも、右遊技領域3Bに向けて遊技球を発射して第2始動口21への入球を狙う方が、始動口への入球可能性が高くなる。そのため、普通図柄当否判定の実行契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行う。これにより高ベース状態では、左打ちを行うよりも右打ちを行う方が、多数の始動入球の機会を得ることができ、遊技者に有利である。この状態(高ベース状態)のとき、メイン制御部80によって表示制御される発射方向表示器47(「第1発射報知手段」ともいう)が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域へ発射すべきことを報知するものとされる。また、本実施例では、大当り遊技や小当り遊技においても、右打ちにより遊技を行うため、発射方向表示器47は、右遊技領域へ発射すべきことを報知するものとされる。
【0123】
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域(左側領域)3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。第1始動口20は、右遊技領域3Bを流下する遊技球よりも左遊技領域3Aを流下する遊技球の方が入球しやすくなるように構成されている。なお、第1始動口20は、右遊技領域3Bを流下する遊技球が入球不能となるように配置しても良いし、入球可能となるように配置しても良い。右遊技領域3Bを流下する遊技球が入球可能となるように配置する場合には、左遊技領域3Aに向けて遊技球を発射した方が、右遊技領域3Bに向けて遊技球を発射するよりも、第1始動口20への遊技球の入球可能性を高くするものとする。また、低ベース状態では、高ベース状態と比べて第2始動口21の開放時間が短くなっているため、右遊技領域3Bに向けて遊技球を発射して第2始動口21への入球を狙うよりも、左遊技領域3Aに向けて遊技球を発射して第1始動口20への入球を狙う方が、始動口への入球可能性が高くなる。これにより、低ベース状態では、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行う方が、右打ちを行うよりも、多数の始動入球を得ることができ、遊技者に有利である。この状態(低ベース状態)のとき、メイン制御部80によって表示制御される発射方向表示器47が高ベース状態のときとは異なる所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域へ発射すべきことを報知するものとされる。
【0124】
具体的には発射方向表示器47は、「yz」の2個のLEDで構成されており、遊技状態に応じてLEDを点灯させることにより発射方向を示すものである。例えば、低ベース状態では、「y□z□」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様として左遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。また、高ベース状態及び当り遊技の実行中は、「y■z■」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを点灯する表示態様として右遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。
【0125】
[主制御メイン処理]
次に、
図10~
図35に基づいて遊技制御用マイコン81の作動(メイン制御部80による制御処理)について説明する。なお、以下の説明で登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、主制御基板80のRAMに設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、
図10に示す主制御メイン処理のプログラムを主制御基板80のROMから読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理ではまず、初期設定を行う(S101)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、主制御基板80のCPUの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお初期設定(S101)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0126】
初期設定(S101)に次いで割り込みを禁止し(S102)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)を実行する。普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)では、
図7に示した種々の乱数カウンタの値を1加算する更新を行う。各乱数カウンタの値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。更新された乱数カウンタ値は主制御基板80のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。
【0127】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)が終了すると、割り込みを許可する(S104)。割り込み許可中は、割り込み処理(S105)の実行が可能となる。この割り込み処理(S105)は、例えば4ms周期で主制御基板80のCPUに繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして、割り込み処理(S105)が終了してから、次に割り込み処理(S105)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPUに割り込みパルスが入力された場合は、割り込み処理(S105)はすぐには開始されず、割り込み許可(S104)がされてから開始される。
【0128】
[割り込み処理]
次に、割り込み処理(S105)について説明する。
図11に示すように、割り込み処理(S105)では、まず出力処理(S201)を実行する。出力処理(S201)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAMに設けられた出力バッファにセットされたコマンド(制御信号)等を、副制御基板90や払出制御基板110等に出力する。ここで出力するコマンド等には、遊技状態、特別図柄当否判定の結果、当り種別としての図柄(大当り図柄、小当り図柄)、変動パターン等に関する情報等が挙げられる。なおコマンドは、例えば2バイトの情報からなる。上位1バイトは、コマンドの種類に関する情報であり、下位1バイトはコマンドの内容に関する情報である。
【0129】
出力処理(S201)に次いで行われる入力処理(S202)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、一般入賞口センサ27a等(
図5参照))が検知した検知信号を読み込み、賞球情報としてRAMの出力バッファに記憶する。また、下皿62の満杯を検知する下皿満杯スイッチからの検知信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。
【0130】
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)は、
図10の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)と同じである。すなわち、
図7に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、タイマ割り込み処理(S105)の実行期間と、それ以外の期間(割り込み処理(S105)の終了後、次の割り込み処理(S105)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0131】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)に次いで、後述する始動口センサ検知処理(S204)、普図動作処理(S205)、特図動作処理(S206)、保留球数処理(S207)及び電源断監視処理(S208)を実行する。その後、本発明に深く関連しないその他の処理(S209)を実行して、割り込み処理(S105)を終了する。そして、次に主制御基板80のCPUに割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のS102~S104の処理が繰り返し実行され(
図10を参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再び割り込み処理(S105)が実行される。再び実行された割り込み処理(S105)の出力処理(S201)においては、前回の割り込み処理(S105)にてRAMの出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
【0132】
[始動口センサ検知処理]
図12に示すように、始動口センサ検知処理(S204)ではまず、ゲート28を遊技球が通過したか否か、すなわち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S301)。遊技球がゲート28を通過していなければ(S301でNO)、S305に進み、ゲート28を遊技球が通過していれば(S301でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAMに設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4個(上限数)に達しているか否かを判定する(S302)。
【0133】
普通図柄保留球数が4個に達していれば(S302でYES)、S305に進む。一方、普通図柄保留球数が4個に達していなければ(S302でNO)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S303)、普通図柄乱数取得処理(S304)を行う。普通図柄乱数取得処理(S304)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-H、
図7(B))を取得し、その取得乱数値(取得情報)を、主制御基板80のRAMに設けられた普図保留記憶部のうち現在の普通図柄保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
【0134】
S305では、第1始動口20に遊技球が入球したか否か、すなわち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S305)。第1始動口20に遊技球が入球していない場合(S305でNO)にはS310に進み、第1始動口20に遊技球が入球した場合には(S305でYES)、特
図1保留球数(第1特図保留の数、具体的にはメイン制御部80のRAMに設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4個(上限数)に達しているか否かを判定する(S306)。そして、特
図1保留球数が4個に達している場合(S306でYES)には、S310に進み、特
図1保留球数が4個(上限数)に達していない、すなわち特
図1保留球数が4個未満の場合には(S306でNO)、特
図1保留球数に「1」を加算する(S307)。
【0135】
次いでS308では、特
図1関係乱数取得処理(S308)を行う。特
図1関係乱数取得処理(S308)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-AS)、小当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-KS)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり
図7(A)に示す乱数の値を取得し)、それら取得乱数値(取得情報)を第1特図保留記憶部のうち現在の特
図1保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
【0136】
次いでS309では、特
図1始動入球コマンドをRAMの出力バッファにセットする。特
図1始動入球コマンドは、第1特別図柄の変動表示の実行(開始)契機となる遊技球の入球、すなわち特
図1始動入球が発生した旨を示すコマンドである。この特
図1始動入球コマンドには、S308で取得した特
図1関係乱数に関する情報、具体的には、例えば、取得した特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(特別図柄当否判定用乱数値)が大当り判定値と一致するか否かを示す情報(当否情報)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(大当り種別決定用乱数値)を示す情報、変動パターン乱数カウンタの値(変動パターン乱数値)を示す情報等を含めることができる。つまり、いわゆる先読み情報を含めることができる。サブ制御部90は、その特
図1始動入球コマンドを解析することで、新たに発生した特
図1始動入球が大当りに係るものであるか否か、大当りである場合の大当り種別は何れであるか、変動パターンは何れであるか等を特定することが可能とされている。こうした情報は、例えば、演出保留の表示態様や所定の予告画像表示、始動入球に伴う効果音等による予告演出(いわゆる先読み演出)の実行に用いられる。
【0137】
次いでS310では、第2始動口21に遊技球が入球したか否か、すなわち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S310)。第2始動口21に遊技球が入球していない場合(S310でNO)、S311以降の処理を行うことなく本処理を終え、第2始動口21に遊技球が入球した場合には(S310でYES)、第2特別図柄の変動表示を開始可能(実行可能)であるか否かを判定する(S311)。このS311の判定は、現在、特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)が変動表示しているか否かの判定と、特別遊技中(大当り遊技中又は小当り遊技中)であるか否かの判定とにより行われ、第1特別図柄及び第2特別図柄が何れも変動表示中でなく、かつ、特別遊技中でない場合に、第2特別図柄の変動表示を開始可能であると判定する(S311でYES)。
【0138】
S311にて第2特別図柄の変動表示を開始可能でないと判定した場合(S311でNO)、すなわち、第2始動口21への遊技球の入球タイミングが第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示中であるか特別遊技中である場合、第2始動口入球コマンドをRAMの出力バッファにセットして(S312)、本処理を終える。第2始動口入球コマンドは、第2始動口21に遊技球が入球したことをサブ制御部90に通知するためのコマンドであって、第2特別図柄の変動表示を開始不能なときに遊技球が第2始動口21に入球した場合、すなわち、第2特別図柄の変動表示の実行(開始)契機とならい第2始動口21への入球に基づいて、サブ制御部90に送信される。演出制御用マイコン91は、受信した第2始動口入球コマンドに基づいて、第2始動口21への入球に応じた演出処理を実行することが可能とされている。これについては後述する。
【0139】
一方、S311にて第2特別図柄の変動表示を開始可能であると判定した場合(S311でYES)、特
図2関係乱数取得処理(S313)を行う。特
図2関係乱数取得処理(S313)では、特
図1関係乱数取得処理(S308)と同様に、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用カウンタの値(ラベル-TRND-A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-AS)、小当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-KS)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり
図7(A)に示す乱数値を取得し)、それら取得乱数値を変動情報記憶部に格納する。
【0140】
次いでS314では、特
図2始動入球コマンドをRAMの出力バッファにセットする(S314)。特
図2始動入球コマンドは、第2特別図柄の変動表示の開始(実行)契機となる有効な遊技球の入球、すなわち特
図2始動入球が発生した旨を示すコマンドである。この特
図2始動入球コマンドには、前述した特
図1始動入球コマンドと同様に、S313で取得した特
図2関係乱数に関する各種の情報を含めることができる。サブ制御部90は、その特
図2始動入球コマンドを解析することで、新たに発生した特
図2始動入球が大当り又は小当りに係るものであるか否か、大当りである場合の大当り種別は何れであるか、小当りである場合の大当り種別は何れであるか、変動パターンは何れであるか等を特定することが可能とされている。
【0141】
なお、特
図1始動入球コマンド及び特
図2始動入球コマンドの何れか一方又は両方を指して単に「始動入球コマンド」ということがある。
【0142】
[普図動作処理]
遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検知処理(S204)に次いで、
図13に示す普図動作処理(S205)を行う。普図動作処理(S205)では、普通図柄表示器42および可変入賞装置22に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「普図動作ステータス1、2、3、4」を割り当てている。そして、普図動作ステータスが「1」である場合には(S401でYES)、普通図柄待機処理(S402)を行い、普図動作ステータスが「2」である場合には(S401でNO、S403でYES)、普通図柄変動中処理(S404)を行い、普図動作ステータスが「3」である場合には(S401、S403で共にNO、S405でYES)、普通図柄確定処理(S406)を行い、普図動作ステータスが「4」である場合には(S401、S403、S405の全てがNO)、普通電動役物処理(S407)を行う。なお、普図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
【0143】
[普通図柄待機処理]
図14に示すように、普通図柄待機処理(S402)ではまず、普通図柄の保留球数が「0」であるか否かを判定し(S501)、「0」であれば(S501でYES)この処理を終える。一方「0」でなければ(S501でNO)、後述の普通図柄当否判定処理を行い(S502)、次いで普通図柄変動パターン選択処理を行う(S503)。普通図柄変動パターン選択処理では、
図8(E)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が0.5秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が10秒の普通図柄変動パターンを選択する。普通図柄変動パターン選択処理(S503)を終えたら、後述の普通図柄乱数シフト処理(S504)を行い、次いで、普通図柄変動開始処理(S505)を行い、処理を終える。普通図柄変動開始処理では、S503で選択した普通図柄変動パターンにしたがって普通図柄の変動表示を開始するとともに、普通動作ステータスを「2」にセットする。また普通図柄変動開始処理では、副制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
【0144】
[普通図柄当否判定処理]
図15に示すように、普通図柄当否判定処理(S502)ではまず、普図保留記憶部に格納されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-H)を読み出す(S601)。次いで、S601で読み出した普通図柄当否判定用乱数カウンタの値と、
図8(D)に示す普通図柄当り判定テーブル(当り判定値「1~65250」)とに基づいて普図当否判定を行う(S603)。次いでS605では、普図当否判定(S603)の結果が当り(普図当り)であるか否かを判定し(S605)、外れである場合(S605でNO)、停止表示する外れ普通図柄(普図外れ図柄)を決定し(S606)、処理を終える。一方、S605で当り(普図当り)であると判定した場合(S605でYES)、停止表示する当り普通図柄(普図当り図柄)を決定し(S607)、普図当りフラグをONにして(S608)、処理を終える。
【0145】
[普通図柄乱数シフト処理]
図16に示すように、普通図柄乱数シフト処理(S504)ではまず、普通図柄保留球数を1ディクリメントする(S701)。次いで、普図保留記憶部における各普図保留の格納場所を、現在の位置から読み出される側に一つシフトする(S702)。そして、普図保留記憶部における最上位の保留記憶の格納場所であるアドレス空間を空(「0」)にして、すなわち普図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S703)、処理を終える。このようにして、普図保留が保留順に消化されるようにしている。
【0146】
[普通図柄変動中処理]
図17に示すように、普通図柄変動中処理(S404)ではまず、普通図柄の変動時間が経過したか否かを判定し(S801)、経過していなければ(S801でNO)、S802以降の処理を行うことなく本処理を終える。一方、普通図柄の変動時間が経過していれば(S801でYES)、普通図柄変動停止コマンドをセットし(S802)、普図動作ステータスを「3」にセットする(S803)。そして、普通図柄の変動表示を、普通図柄当否判定用乱数の判定結果に応じた表示結果(当り普通図柄又は外れ普通図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S804)、この処理を終える。
【0147】
[普通図柄確定処理]
図18に示すように、普通図柄確定処理(S406)ではまず、普図当りフラグがONであるか否かを判定する(S901)。普図当りフラグがONでなければ(S901でNO)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S905)、本処理を終える。一方、普図当りフラグがONであれば(S901でYES)、時短フラグがONであるか否か、すなわち時短状態中であるか否かを判定する(S902)。その結果、時短状態中であれば(S902でYES)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして時短状態中の開放パターンをセットする(S903)。時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、5.5秒(5500ms)の開放(長開放)を1回行う開放パターンである。従って、第2始動口21の開放回数をカウントする第2始動口開放カウンタに「1」をセットする。
【0148】
これに対して、非時短状態中(時短フラグがOFF)であれば(S902でNO)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして非時短状態中の開放パターンをセットする(S906)。非時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、0.05秒(50ms)の開放(短開放)を1回行う開放パターンである。従って、第2始動口開放カウンタに「1」をセットする。そして、開放パターンのセット(S903、S906)に続いて、普図動作ステータスを「4」にセットし(S904)、この処理を終える。
【0149】
[普通電動役物処理]
図19に示すように、普通電動役物処理(S407)ではまず、普図当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S1001)。普図当り終了フラグは、当りとなって実行された補助遊技において、第2始動口21の開放が終了したことを示すフラグである。
【0150】
普図当り終了フラグがONでなければ(S1001でNO)、第2始動口21の開放中であるか否かを判定する(S1002)。開放中でなければ(S1002でNO)、第2始動口21を開放させる時期(タイミング)に至ったか否かを判定し(S1003)、至っていなければ(S1003でNO)、そのまま本処理を終え、至っていれば第2始動口21を開放させ(S1004)、本処理を終える。一方、第2始動口21の開放中であれば(S1002でYES)、第2始動口21を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か(すなわち第2始動口21の開放時間が経過したか否か)を判定し(S1005)、至っていなければ(S1005でNO)、そのまま本処理を終え、至っていれば(S1005でYES)、第2始動口21を閉状態(閉鎖)とする(S1006)。
【0151】
次いでS1007にて第2始動口開放カウンタの値を1ディクリメントし(S1007)、第2始動口開放カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1008)。「0」でなければ(S1008でNO)、再び第2始動口21を開放させるためにそのまま処理を終える。一方「0」であれば(S1008でYES)、補助遊技を終了させる普図当り終了処理を行うとともに(S1009)、普図当り終了フラグをセットして(S1010)、本処理を終える。なお、本実施例では、時短状態中及び非時短状態中の何れにおいても、第2始動口21の開放が1回なされる(完了する)と「0」になる。
【0152】
これに対して、S1001にて普図当り終了フラグがONであると判定した場合(S1001でYES)、前述のS903又はS906でセットされた回数の第2始動口21の開放動作は終了しているので、普図当り終了フラグをOFFにするとともに(S1011)、普図当りフラグをOFFにし(S1012)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S1013)、本処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、普図動作処理(S205)として再び普通図柄待機処理(S402)が実行されることになる。
【0153】
[特図動作処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、普図動作処理(S205)に次いで特図動作処理(S206)を行う。特図動作処理(S206)では、
図20に示すように、特別図柄表示器41及び大入賞装置(第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特図動作ステータス1、2、3、4、5」を割り当てている。そして、特図動作ステータスが「1」である場合には(S1101でYES)、特別図柄待機処理(S1102)を行い、特図動作ステータスが「2」である場合には(S1101でNO、S1103でYES)、特別図柄変動中処理(S1104)を行い、特図動作ステータスが「3」である場合には(S1101、S1103で共にNO、S1105でYES)、特別図柄確定処理(S1106)を行い、特図動作ステータスが「4」である場合には(S1101、S1103、S1105で共にNO、S1107でYES)、大当り遊技としての特別電動役物処理1(S1108)を行い、特図動作ステータスが「5」である場合には(S1101、S1103、S1105、S1107の全てがNO)、小当り遊技としての特別電動役物処理2(S1109)を行う。なお、特図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
【0154】
[特別図柄待機処理]
図21に示すように、特別図柄待機処理(S1102)ではまず、第2始動口21への遊技球の入球に基づき取得される乱数カウンタ値(特
図2取得乱数)の記憶が変動情報記憶部にあるか否か、すなわち、前述のS313の処理で特
図2関係乱数を取得したか否かを判定する(S1200)。その結果、特
図2取得乱数の記憶がない(特
図2関係乱数を取得していない)と判定した場合(S1200でNO)、特
図1保留球数が「0」であるか否かを判定し(S1201)、特
図1保留球数が「0」である場合(S1201でYES)、特
図1及び特
図2は何れも変動表示する状況にないことから、画像表示装置7の表示画面7aを待機画面とする処理中(客待ち用のデモ画面の実行中)であるか否かを判定する(S1211)。そして、待機画面処理中であれば(S1211でYES)、そのまま本処理を終え、待機画面処理中でなければ(S1211でNO)、待機画面を表示するために待機画面設定処理を実行する(S1212)。
【0155】
これに対し、S1200にて特
図2取得乱数の記憶がある(特
図2関係乱数を取得した)と判定した場合(S1200でYES)、後述の特
図2当否判定処理(S1207)、特
図2変動パターン選択処理(S1208)、特
図2変動開始処理(S1210)をこの順に行う。また、特
図2取得乱数の記憶がなく(S1200でNO)、特
図1保留球数が「0」でないと判定した場合(S1201でNO)、すなわち、第1始動口20への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特
図1当否判定処理(S1202)、特
図1変動パターン選択処理(S1203)、特
図1乱数シフト処理(S1204)、特
図1変動開始処理(S1205)をこの順に行う。このように本実施例では、第1特別図柄の変動表示は、特
図2取得乱数の記憶がない場合に実行可能となる。すなわち、第2特別図柄の変動表示が、第1特別図柄の変動表示(第1特図保留の消化)に優先して実行される。なお、特
図1変動開始処理(S1205)及び特
図2変動開始処理(S1210)を実行する遊技制御用マイコン81(メイン制御部80)は「変動表示手段」として機能するといえる。
【0156】
[特
図1当否判定処理]
図22に示すように、特
図1当否判定処理(S1202)ではまず、判定対象値として、RAMの特図保留記憶部の最下位の領域(すなわち第1特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている(最も古い記憶の)特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-A)を読み出す(S1302)。次いで、
図8(A)の当り判定テーブルに基づいて特
図1当否判定を行う(S1303)。この当り判定テーブルでは、特
図1当否判定および特
図2当否判定に係る大当り判定値が「20001~20205」とされている。また、特
図1当否判定に係る特
図1小当り判定値は割り当てられておらず、特
図2当否判定に係る特
図2小当り判定値が「30001~63940」とされている。
【0157】
特
図1当否判定(S1303)の結果が「大当り」である場合(S1304でYES)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-AS)を読み出して、
図8(B)に示す大当り種別判定テーブルに基づいて大当り種別を判定し(S1305)、当該大当り種別決定用乱数カウンタの値に基づいて大当り図柄を決定し(S1306)、大当りフラグをONにして(S1307)、本処理を終える。なお、第1特別図柄に係る当否判定では、第1特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定し、第2特別図柄に係る当否判定の場合は、第2特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定する。
【0158】
また大当り種別の判定(S1305)は、当該判定を行うときの遊技状態(現在の遊技状態)に基づいて行う。すなわち、時短フラグがONであるか否かを判定し、時短フラグがONでなければ非時短状態用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定し、時短フラグがONであれば時短状態用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定する。これにより、現在の遊技状態(非時短状態または時短状態)に応じた振分率にしたがって、大当り種別は特
図1大当りA,Bの何れか(10R時短大当り又は5R時短大当り)となる(
図6(A),(B)、
図8(B)を参照)。そして、本実施例では、「特
図1大当りAに対応する特
図1大当りフラグA」、「特
図1大当りBに対応する特
図1大当りフラグB」といったように、大当りフラグを大当り種別毎に対応して設けているので、S1307では、S1305で判定された大当り種別に対応する大当りフラグをONにする。なお、特
図2大当りについても同様に大当りフラグが設けられる。
【0159】
一方、特
図1当否判定(S1303)の結果が「大当り」でない場合(S1304でNO)、外れ図柄を決定し(S1308)、処理を終える。つまり、特
図1当否判定(S1303)の結果が「大当り」でない場合(S1304でNO)、その結果は「外れ」となる。
【0160】
[特
図1変動パターン選択処理]
特別図柄待機処理(S1102)では、特
図1当否判定処理(S1202)に次いで、特
図1変動パターン選択処理を行う(S1203)。
図23及び
図24に示すように、特
図1変動パターン選択処理(S1203)ではまず、遊技状態が時短状態であるか否か(時短フラグがONであるか否か)を判定する(S1401)。そして、時短状態でない場合(S1401でNO)、すなわち非時短状態である場合、大当りフラグがONであるか否かを判定し(S1402)、ONであれば(S1402でYES)、非時短大当り用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1403)。ここでは変動パターンP1~P3の何れかが選択される。
【0161】
一方、S1402にて大当りフラグがONでないと判定した場合(S1402でNO)、すなわち、外れである場合、第1特別図柄の保留数(特
図1保留球数)が「1」又は「2」であるか否かを判定する(S1405)。ここでいう保留数とは、本処理により変動パターンを決定している情報も含めた記憶数であるので、保留記憶の数は「1」~「4」の何れかの値とされる。そして、S1405にて特
図1保留球数が「1」又は「2」であると判定した場合(S1405でYES)、非時短特
図1第1保留数外れ用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ外れ(特
図1)且つ保留球数「1,2」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1406)。ここでは変動パターンP5~P8の何れかが選択される。
【0162】
一方、S1405にて特
図1保留球数が「1」又は「2」でない、すなわち「3」又は「4」であると判定した場合(S1405でNO)、非時短特
図1第2保留数外れ用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ外れ(特
図1)且つ保留球数「3,4」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1407)。ここでは変動パターンP9~P12の何れかが選択される。なお、非時短特
図1第1保留数外れ用テーブルは、非時短特
図1第2保留数外れ用テーブルよりも、比較的長時間の変動時間の変動パターンを選択する可能性が高く設定されている。また、非時短特
図1第1保留数外れ用テーブルで選択可能な最も短い変動時間(12000ms)は、非時短特
図1第2保留数外れ用テーブルで選択可能な最も短い変動時間(2000ms)よりも長い時間とされている。
【0163】
これに対し、前述のS1401にて遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1401でYES)、
図24に示すように、参照する変動パターンテーブルを時短状態用のテーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態に該当する部分)にすること以外は、上記ステップS1402、S1403、S1405~S1407と同様の流れでS1408~S1410の処理を行う。すなわち、大当りであれば(S1408でYES)、
図9の時短状態且つ大当りに該当する部分を参照し、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1409)。ここでは変動パターンP17が選択される。一方、外れであれば(S1408でNO)、
図9の時短状態且つ外れに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する。ここでは変動パターンP19又はP20が選択される。変動パターンP19は変動時間が400msの変動パターンであり、変動パターンP20は変動時間が45000msの変動パターンである。なお、第1特図には小当りが存在しないため、特
図1変動パターン選択処理(S1102)で小当りの変動パターンP18が選択されることはない。
【0164】
時短状態において特
図1当否判定の結果が外れの場合、特
図1保留球数にかかわらず特
図1の外れ変動パターンが選択される。そして、前述のように、時短終了条件として規定されている特別図柄の変動表示回数は最高10回であり、そのうち第1特別図柄の変動表示回数は「8回」とされている。この8回のうち1~7回目の第1特別図柄の外れ変動では変動パターンP19が選択され、8回目(時短最終回)の第1特別図柄の外れ変動では変動パターンP20が選択される。このように時短状態における第1特別図柄の最終回の変動表示より前に行われる外れ変動を変動パターンP19(変動時間400ms)で実行するのは、その最終回より前に行われる外れ変動の消化スピードを早めるためである。また、時短状態における第1特別図柄の最終回の外れ変動を変動パターンP20(変動時間45000ms)で実行するのは、時短最終回の変動表示で大当りや小当りに対する遊技者の期待感や緊張感を高揚させて興趣を高めるためである。
【0165】
以上のようにして特
図1の変動パターンの選択を行った後は、
図23に示すその他の処理を行い(S1404)、処理を終える。その他の処理(S1404)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンドをRAMの出力バッファにセットする等の処理を行う。ここでセットされた変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御部90に送信される。
【0166】
[特
図1乱数シフト処理]
図25に示すように、特
図1乱数シフト処理(S1204)ではまず、特
図1保留球数を1ディクリメントする(S1501)。次いで、特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を1つ下位側(例えば特図保留記憶部がアドレス「0000」~「0003」に対応するアドレス空間からなる場合、アドレス「0000」側)にシフトする(S1502)。そして、特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして、すなわち、(上限数まで記憶されていた場合)第1特図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1503)、本処理を終える。
【0167】
特
図1乱数シフト処理(S1204)を実行した後は、
図21に示すように特
図1変動開始処理(S1205)を実行する。特
図1変動開始処理(S1205)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。
【0168】
[特
図2当否判定処理]
図26に示すように、特
図2当否判定処理(S1207)ではまず、判定対象値として、RAMの変動情報記憶部に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-A)を読み出す(S1602)。次いで、
図8(A)の当り判定テーブルに基づいて特
図2当否判定を行う(S1603)。この当り判定テーブルでは、前述したように、大当り判定値は「20001~20205」とされており、特
図2小当り判定値は「30001~63940」とされている。
【0169】
特
図2当否判定(S1603)の結果が「大当り」である場合(S1604でYES)は、前述した特
図1当否判定処理(S1202)と同様の流れで行うが、特
図2当否判定の結果が大当りの場合の大当り種別は、特
図1当否判定処理と異なるものとなっている。すなわち、特
図2当否判定の結果が大当りの場合にS1610にて判定される大当り種別は特
図2大当りA,Bの何れかとなる。具体的に、現在の遊技状態が非時短状態であれば、10R非時短大当りとしての特
図2大当りAとなり(
図6(A)、
図8(B)を参照)、現在の遊技状態が時短状態であれば、10R時短大当りとしての特
図2大当りBとなる(
図6(B)、
図8(B)を参照)。この他、大当り図柄の決定(S1611)や大当りフラグの設定(S1612)については、前述した特
図1当否判定処理(S1202)と同様の流れで行うことから、詳しい説明は省略する。
【0170】
一方、特
図2当否判定(S1603)の結果が「大当り」でない場合(S1604でNO)、その結果が「小当り」であるか否かを判定し(S1605)、小当りである場合(S1605でYES)、小当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-KS)を読み出して、
図8(C)に示す小当り種別判定テーブルに基づいて小当り種別を判定し(S1606)、当該小当り種別決定用乱数の値に基づいて小当り図柄を決定し(S1607)、小当りフラグをONにして(S1608)、本処理を終える。小当り種別の判定は、当該判定を行うときの遊技状態(現在の遊技状態)に基づいて行う。すなわち、時短フラグがONであるか否かを判定し、時短フラグがONでなければ非時短状態用の小当り種別判定テーブルを用いて小当り種別を判定し、時短フラグがONであれば時短状態用の小当り種別判定テーブルを用いて小当り種別を判定する。具体的には、現在の遊技状態が非時短状態であれば、9R非時短大当りを発生可能な特
図2小当りAとなり(
図6(C)、
図8(C)を参照)、時短状態であれば、9R時短大当りを発生可能な特
図2小当りBとなる(
図6(D)、
図8(C)を参照)。これらの小当り種別の判定も、現在の遊技状態(非時短状態または時短状態)に応じた振り分け率にしたがって行われる。そして、本実施例では、「特
図2小当りAに対応する特
図2小当りフラグA」、「特
図2小当りBに対応する特
図2小当りフラグB」といったように、小当りフラグを小当り種別毎に対応して設けているので、S1608では、S1606で判定された小当り種別に対応する小当りフラグをONにする。
【0171】
またS1605にて小当りでないと判定した場合(S1605でNO)、すなわち、特
図2当否判定(S1603)の結果が「外れ」である場合、外れ図柄を決定し(S1609)、本処理を終える。
【0172】
[特
図2変動パターン選択処理]
図27A及び
図27Bに示すように、特
図2変動パターン選択処理(S1208)は、特
図2当否判定の結果が小当りである場合の変動パターン選択に係る処理を有している点で、前述の特
図1変動パターン選択処理(S1203)と異なるものとなっている。以下、特
図1変動パターン選択処理(S1203)と異なる部分について詳しく説明し、特
図1変動パターン選択処理(S1203)と共通する部分(同様の流れで行う処理)についての詳しい説明は省略する。
【0173】
図27Aに示すように、現在の遊技状態が非時短状態であって(S1701でNO)、大当りフラグがONでない(OFFである)場合(S1702でNO)、小当りフラグがONであるか否かを判定する(S1705)。そして、小当りフラグがONである場合(S1705でYES)、非時短小当り用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ小当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1706)。ここでは変動パターンP4が選択される。
【0174】
一方、S1705にて小当りフラグがONでない(OFFである)と判定した場合(S1705でNO)、今回の変動パターン選択に係る特
図2当否判定の結果は「外れ」ということになるので、非時短特
図2外れ用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ外れ(特
図2)に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1707)。ここでは変動パターンP13~P16の何れかが選択される。
【0175】
ここで、本実施例では第2特図保留を記憶しない(特
図2の保留記憶手段を備えていない)ため、非時短状態の特
図2外れ用変動パターンテーブルは、特
図1外れ用変動パターンテーブルのような保留球数に応じたテーブルとはなっていない。そして、特
図2の変動パターンP13~P16は、特
図1の外れ変動パターンP9~P12と同様の変動時間とされている。このため、非時短状態にて特
図2当否判定の結果が外れである場合、特
図1保留球数が3又は4の場合の特
図1外れ変動と同様の条件で特
図2外れ変動が行われる。なお、非時短状態の特
図2外れ変動パターンは、特
図1外れ変動パターンと異なる変動時間としてもよい。
【0176】
非時短状態で大当りフラグがONの場合(S1702でYES)と、時短状態で大当りフラグがONの場合(S1708でYES)には、
図23及び
図24に示した特
図1変動パターン選択処理(S1203)と同様の流れで大当りの変動パターン(P1~P3及びP17の何れか)が選択される(S1703、S1709)。
【0177】
また、時短状態において(S1701でYES)、
図27Bに示すように、大当りフラグがONでない(OFFである)場合(S1708でNO)、小当りフラグがONであるか否かを判定する(S1710)。そして、小当りフラグがONである場合(S1710でYES)、時短小当り用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態且つ小当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1711)。ここでは変動パターンP18が選択される。
【0178】
一方、S1710にて小当りフラグがONでない(OFFである)と判定した場合(S1710でNO)、今回の変動パターン選択に係る特
図2当否判定の結果は「外れ」ということになるので、時短外れ用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態且つ外れに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1712)。ここでは変動パターンP19又はP20が選択される。前述のように、変動パターンP19は変動時間が400msの変動パターンであり、変動パターンP20は変動時間が45000msの変動パターンである。
【0179】
ここで、前述のように、時短終了条件として規定されている特別図柄の変動表示回数は最高10回であり、そのうち第2特別図柄の変動表示回数は「2回」とされている。この2回のうち1回目の第2特別図柄の外れ変動では変動パターンP19が選択され、2回目(時短最終回)の第2特別図柄の外れ変動では変動パターンP20が選択される。このように時短状態における第2特別図柄の最終回の変動表示より前に行われる外れ変動を変動パターンP19(変動時間400ms)で実行するのは、その最終回より前に行われる外れ変動の消化スピードを早めるためである。また、時短状態における第2特別図柄の最終回の外れ変動を変動パターンP20(変動時間45000ms)で実行するのは、時短最終回の変動表示で大当りや小当りに対する遊技者の期待感や緊張感を高揚させて興趣を高めるためである。特に、前述したように、時短状態(時短高ベース状態)は、第2特別図柄の変動表示(特
図2当否判定)によりV大当り(9R時短大当り)をワンチャンスで狙う遊技性であるため、こうした時短状態での特
図2外れ変動に係る変動パターンの選択は、時短状態の興趣を高めるのに効果的である。
【0180】
以上のようにして特
図2の変動パターンの選択を行った後は、
図27Aに示すその他の処理を行い(S1704)、本処理を終える。その他の処理(S1704)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンドをRAMの出力バッファにセットする等の処理を行う。この処理でセットされた変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御部90に送信される。
【0181】
特
図2変動パターン選択処理(S1208)を実行した後は、
図21に示すように特
図2変動開始処理(S1210)を実行する。特
図2変動開始処理(S1210)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。
【0182】
ここで、時短状態(高頻度状態)における特別図柄の外れ変動パターンのうち変動パターンP19で規定される変動時間は、400msという極端に短い時間となっている。この400msという変動時間は、本パチンコ遊技機1にて設定可能な変動パターンP1~P20の中で最短の変動時間であり、本実施例では、特別図柄の停止表示時間(本例では500ms(0.5秒))よりも短い時間となっている。また、時短状態では普通図柄の変動時間短縮機能及び可変入賞装置22(第2始動口21)の開放延長機能が作動するため、第2始動口21が頻繁に開放(可動部材23が頻繁に作動)して、第2始動口21の開放時間(可動部材23の作動時間)も非時短状態に比して長くなる。このため、時短状態にて第2始動口21が開放すると、当該開放中に遊技球が1個、2個、3個、4個・・・と立て続けに複数入球する可能性が極めて高くなる。本実施例では、時短状態での第2始動口21の開放時間(可動部材23の作動時間)は5500ms(5.5秒)となっており、この開放時間5500msと、変動パターンP19の変動時間400msとを比較した場合、当該変動時間は第2始動口21の開放時間(可動部材23の作動時間)の1/10未満である。
【0183】
こうした最短の変動時間400msを規定する変動パターンP19を備える構成のもと、第2始動口21への先の入球に基づく第2特別図柄の変動表示が、時短状態での第2特別図柄の1回目の変動表示であって外れ変動である場合、当該特
図2外れ変動は変動パターンP19に基づき400msという極短時間で(一瞬にして)行われるため、1回目の外れ変動開始から2回目の変動表示が開始可能となるまでにかかる時間は、1回目の外れ変動時間400msに停止表示時間500msを加算した900ms(0.9秒)となる。この900msは、第2始動口21の開放時間(5500ms)に十分収まる時間(開放時間の約1/6以下)であるため、例えば、第2始動口21が長開放を開始してすぐに遊技球が当該第2始動口21に立て続けに入球すれば、先の入球に基づく第2特別図柄の1回目の外れ変動の後、後続の入球に基づく2回目の変動表示がすぐに開始可能となる。このことから、変動パターンP19による変動時間(400ms)は、時短状態にて可変入賞装置22の可動部材23が作動した場合の当該作動時間(5500ms)よりも短く、かつ、当該作動時間内に第2特別図柄の変動表示を少なくとも2回(複数回)実行可能とする時間であるといえる。このような変動パターンP19を設けることにより、第2特図保留を記憶する手段(特
図2保留記憶手段)を設けなくとも、時短状態における第2特別図柄の複数回の連続的な変動表示(特
図2の連続変動)が、第2始動口21の1回の開放(可動部材23の1回の作動)を契機に実行可能となるのである。特に、時短状態にて第1特図保留が記憶されていない(特
図1保留球数が「0」である)場合には、そのような特
図2の連続変動が実行されやすくなる。これにより、スピード感のある時短状態とすることが可能である。
【0184】
なお、時短状態での最終回より前に行われる外れ変動を極短時間(高速)で終わらせるための変動パターン(本例ではP19)で規定する変動時間(最短変動時間)は本実施例で示す時間に限られるものではなく、最短である必要もなく、時短状態の遊技性等を考慮して任意に定めることが可能である。但し、外れ変動の高速消化を実現するのであれば、特別図柄の停止表示時間以下、又は、第2始動口21の開放時間(可動部材23の作動時間)の1/5以下(より好適には1/8以下)とするのが望ましい。
【0185】
[特別図柄変動中処理]
図28に示すように、特別図柄変動中処理(S1104)ではまず、特別図柄の変動時間(S1203又はS1208の処理により選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、
図9を参照)が経過したか否かを判定する(S1901)。その結果、変動時間が経過していないと判定した場合(S1901でNO)、S1902以降の処理を行うことなく本処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
【0186】
一方、変動時間が経過したと判定した場合(S1901でYES)、変動停止コマンドをセットする(S1902)。そして、時短フラグがONであるか否かを判定し(S1903)、ONであれば(S1903でYES)、時短カウンタを1減算し(S1904)、減算後の時短カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1905)。時短カウンタが「0」であると判定した場合、時短フラグをOFFにして(S1906)、S1907の処理に移行する。一方、時短フラグがONでないと判定した場合(S1903でNO)、S1904~S1906の処理を行うことなくS1907の処理に移行する。
【0187】
ここで、時短カウンタは、時短状態で行われる特別図柄の変動表示回数を計数するカウンタである。本実施例では、時短状態で行われる第1特別図柄の変動表示回数を計数するカウンタ(「第1時短カウンタ」ともいう。)と、時短状態で行われる第2特別図柄の変表示回数を計数するカウンタ(「第2時短カウンタ」ともいう。)とを別々に設けており、S1904では、変動表示を終えた特別図柄の種類に応じたカウンタが1減算される。具体的には、時短状態の開始当初、第1時短カウンタの値は「8」に設定され、第2時短カウンタの値は「2」に設定される(後述のS2303を参照)。これら時短カウンタの値が、変動表示した特別図柄の種類に応じて変動毎に減算されるのである。
【0188】
次いでS1907では、特図動作ステータスを「3」にセットする(S1907)。そして、特別図柄の変動表示を、特別図柄当否判定乱数の判定結果(当否判定の結果)と、大当り種別決定用乱数または小当り種別決定用乱数の判定結果に応じた態様で停止させる等のその他の処理を行い(S1908)、この処理を終える。
【0189】
[特別図柄確定処理]
図29に示すように、特別図柄確定処理(S1106)ではまず、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当りフラグがONであれば(S2001でYES)、当該ONとなっている大当りフラグに基づいて、大当り遊技中に実行するラウンドの回数をカウントするラウンドカウンタの値をセットするとともに、第1大入賞口30の1ラウンドあたりの開放回数および開放時間(
図6を参照)をセットする(S2003)。前述したように、本実施例では、特
図1大当りに係る大当り遊技のラウンド数が5R又は10Rであり、特
図2大当りに係る大当り遊技のラウンド数が10Rであることから、S2003では、ラウンドカウンタの値として「5」または「10」をセットする。また、S2003では、第1大入賞口30の開放パターン(大当り遊技実行パターン)を設定する。具体的には、第1大入賞口30の1ラウンドあたりの開放回数および開放時間としてそれぞれ「1回」、「25秒」をセットする。
【0190】
S2003の処理を終えたら、大当り遊技を開始するべく、大当りのオープニングコマンドをセットするとともに(S2005)、大当り遊技のオープニング期間を開始し(S2006)、特図動作ステータスを「4」にセットする(S2007)。
【0191】
これに対し、S2001にて大当りフラグがONでないと判定した場合(S2001でNO)、小当りフラグがONであるか否かを判定する(S2008)。小当りフラグがONであれば(S2008でYES)、小当り遊技中における大入賞口(第2大入賞口35)の開放回数をカウントする小当り用開放カウンタの値をセットするとともに、第2大入賞口35の開放時間(
図6を参照)をセットする(S2009)。つまり、第2大入賞口35の開放パターン(小当り遊技実行パターン)を設定する。前述したように、本実施例では、小当り遊技における第2大入賞口35の開放回数が「1回」、開放時間が「1.8秒」であることから、S2009では、小当り用開放カウンタの値として「1」をセットし、開放時間として「1.8秒」をセットする。
【0192】
S2009の処理を終えたら、小当り遊技を開始するべく、小当りのオープニングコマンドをセットするとともに(S2010)、小当り遊技のオープニング期間を開始し(S2011)、特図動作ステータスを「5」にセットする(S2012)。なお、S2008において小当りフラグがONでなければ(S2008でNO)、大当り遊技も小当り遊技も開始しないため、特図動作ステータスを「1」にセットし、処理を終える。
【0193】
[特別電動役物処理1(大当り遊技)]
図30に示すように、特別電動役物処理1(S1108)ではまず、時短フラグがONであるか否かを判定し(S2103)、ONである場合(S2103でYES)、時短フラグをOFFにする(S2104)。つまり、大当り遊技の実行中は非時短状態に制御される。本実施例では非時短状態時は常に低ベース状態であるので、大当り遊技中は低ベース状態に制御されることになる。一方、時短フラグがONでない(OFF)である場合(S2103でNO)、S2104の処理を行うことなくS2105に進む。
【0194】
次いでS2105では、大当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2105)。大当り終了フラグは、大当り遊技において第1大入賞口30の開放(ラウンド遊技)が全て終了したこと(大当り遊技の終了を迎えたこと)を示すフラグである。
【0195】
大当り終了フラグがONでなければ(S2105でNO)、第1大入賞口30の開放中であるか否かを判定する(S2106)。開放中でなければ(S2106でNO)、第1大入賞口30を開放させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち大当りのオープニングの時間が経過して1ラウンド目を開始する時期に至ったか、又は、ラウンド間のインターバルの時間が経過して次ラウンド(次の開放)を開始する時期に至ったか否かを判定する(S2107)。
【0196】
S2107にてラウンド開始時期でないと判定した場合(S2107でNO)、S2110の処理を行うことなく本処理を終える。一方、ラウンド開始時期あると判定した場合(S2107でYES)、大当りの種類に応じた開放パターン(
図6を参照)に従って第1大入賞口30を開放(ラウンドを開始)させるべく、第1大入賞装置31を作動させる(S2110)。
【0197】
これに対し、S2106にて第1大入賞口30の開放中であると判定した場合(S2106でYES)、そのラウンドにおける第1大入賞口30への入球個数が規定数(本実施例では1ラウンド当り9個)に達しているか否かを判定する(S2111)。規定数に達していなければ(S2111でNO)、第1大入賞口30を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち第1大入賞口30を開放してから所定の開放時間(
図6を参照)が経過したか否かを判定する(S2112)。その結果、第1大入賞口30の開放時間が経過していなければ(S2112でNO)、そのまま本処理を終える。
【0198】
一方、ラウンド中における第1大入賞口30への入球個数が規定数に達している場合(S2111でYES)、又は、第1大入賞口30の開放時間が経過した場合(S2112でYES)、すなわち2つのラウンド終了条件のいずれか一方が成立した場合には、第1大入賞口30を閉鎖させる(S2113)。そして、ラウンドカウンタの値を1減算し(S2114)、減算後のラウンドカウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2115)。その結果、「0」でないと判定した場合(S2115でNO)、次のラウンドを開始するため、S2116~S2118の処理を行うことなく本処理を終える。
【0199】
一方、ラウンドカウンタの値が「0」であると判定した場合(S2115でYES)、大当り遊技を終了させる大当り終了処理として、大当りのエンディングコマンドをセットするとともに(S2116)、大当りのエンディング演出を開始させる(S2117)。そして、大当り終了フラグをセットし(S2118)、本処理を終える。なお、ラウンドカウンタは、今回の大当りが5R大当りであれば第1大入賞口30の開放が5回実行されると「0」になり、10R大当りであれば第1大入賞口30の開放が10回実行されると「0」になる。
【0200】
S2116では、予め定められた複数のエンディングコマンドの中から、今回の大当りの種別、大当り遊技後の遊技状態等に応じたエンディングコマンドが選択され、当該選択されたコマンドがセットされる。こうしてセットされるエンディングコマンドの種類によって、実行される(設定される)エンディング期間(エンディング時間)が決まるものとなっている。エンディング期間は、大当り遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の全ての開放動作を終了した後であって、特別図柄(演出図柄)の変動表示を実行可能とする前に設定される期間であり、「終了期間」ともいう。エンディング期間(終了期間)では、第1大入賞口30および第2大入賞口35は閉鎖状態とされている。この「終了期間」に実行する演出(つまり、エンディング演出)のことを「終了演出」ともいう。
【0201】
そして、前述のS2105にて大当り終了フラグがONであると判定した場合(S2105でYES)、最終ラウンドが終了しているので、大当りのエンディング演出の実行時間(エンディング時間)が経過したか否かを判定し(S2119)、エンディング時間が経過していなければ(S2119でNO)、S2120以降の処理を行うことなく本処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2119でYES)、大当り終了フラグをOFFにした後(S2120)、後述の遊技状態設定処理(S2121)を行う。そして、大当りフラグをOFFにするとともに(S2122)、特図動作ステータスを「1」にセットして(S2123)、本処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(S206)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。以上の特別電動役物処理1(S1108)を実行する遊技制御用マイコン81(メイン制御部80)は「大当り遊技実行手段」として機能するといえる。大当り遊技実行手段のことを「第1特別遊技実行手段」ともいう。
【0202】
[特別電動役物処理2(小当り遊技)]
図31に示すように、特別電動役物処理2(S1109)ではまず、小当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2201)。小当り終了フラグは、小当り遊技において第2大入賞口35の開放が全て終了したことを示すフラグである。
【0203】
小当り終了フラグがONでなければ(S2201でNO)、第2大入賞口35の開放中であるか否かを判定する(S2202)。開放中でなければ(S2202でNO)、第2大入賞口35を開放させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち小当りのオープニングの時間が経過して1回目の開放を開始する時期に至ったか否かを判定する(S2203)。その結果、第2大入賞口35の開放開始時期でない場合(S2203でNO)、S2204~S2206の処理を行うことなく本処理を終える。一方、第2大入賞口35の開放開始時期である場合(S2203でYES)、小当りの開放パターン(
図6を参照)に従って第2大入賞口35を開放させるべく第2大入賞装置36を作動させるとともに(S2204)、第2大入賞装置36に設けられた特定領域39を開状態とすべく所定の作動パターンに従って可動片(図示せず)の作動を開始させ(S2205)、さらに、特定領域センサ39aが遊技球を検知(V通過)した場合の当該検知(V通過)を有効にするためのV有効期間を設定する(S2206)。
【0204】
ここで、本実施例では、小当り遊技での第2大入賞口35の開放パターンを開放回数「1回」、開放時間「1.8秒」としている。また、本実施例では、可動片の作動パターンを、第2大入賞口35の開放開始に伴い特定領域39を「0.5秒」開状態とし、その後、「0.3秒」の閉状態を経て再度開状態とし、第2大入賞口35の閉鎖に合わせて特定領域39を閉状態とするものとしている。つまり、第2大入賞口35の1回の開放につき特定領域39が0.3秒の閉状態を挟んで最大1.5秒開状態となる。そして、本実施例では、小当り遊技における第2大入賞口35の開放中および第2大入賞口35の閉鎖後(小当り遊技での第2大入賞口35の開放終了後)の数秒間をV有効期間に設定するものとしている。第2大入賞口35の開放中だけでなく第2大入賞口35の閉鎖後の数秒間もV有効期間とするのは、例えば、第2大入賞口35の開放が終了する間際に第2大入賞口35に入球した遊技球が第2大入賞口35の閉鎖後に特定領域センサ39aにより検知される(特定領域39を通過する)可能性があることを考慮したものである。こうすることで、第2大入賞口35に入球した遊技球が正当に特定領域39を通過したにもかかわらず大当りとならないといったトラブルの発生を防ぐことが可能となる。本実施例ではV有効期間を「2.8秒」としており、小当り遊技での第2大入賞口35の開放時間「1.8秒」に加え、第2大入賞口35の閉鎖後「1秒」は、特定領域センサ39aによる遊技球の検知が有効とされるようになっている。したがって、V有効期間以外の期間(つまり、V無効期間)にて特定領域センサ39aが遊技球を検知した場合、当該検知は無効とされる。
【0205】
次に、S2202にて第2大入賞口35の開放中であると判定した場合(S2202でYES)、第2大入賞口35への入球個数が規定数(本実施例では8個)に達しているか否かを判定する(S2207)。規定数に達していなければ(S2207でNO)、第2大入賞口35を閉鎖させる時期に至ったか否か、すなわち第2大入賞口35を開放してから所定の開放時間(
図6を参照)が経過したか否かを判定する(S2208)。そして、第2大入賞口35の開放時間が経過していなければ(S2208でNO)、S2209及びS2110の処理を行うことなく、S2211の処理に移行する。
【0206】
これに対し、第2大入賞口35への入球個数が規定数に達している場合(S2207でYES)、又は、第2大入賞口35の開放時間が経過した場合(S2208でYES)、第2大入賞口35を閉鎖し(S2209)、小当り用開放カウンタの値を1減算(S2210)。なお、本実施例では、小当り遊技での第2大入賞口35の開放パターンを開放回数「1回」、開放時間「1.8秒」としていることから、第2大入賞口35に8個の遊技球が入球する可能性は低い。このことから、本実施例では、S2207の処理で肯定判定される可能性は低い。但し、第2大入賞口35の規定数を、小当り遊技での大入賞口(本例では第2大入賞口35)の開放時間内に入球し得る個数に設定した場合、この限りでない。
【0207】
次に、S2211で特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否か(遊技球が特定領域39を通過したか否か)を判定する(S2211)。検知があった(V通過した)と判定した場合(S2211でYES)、
図32に示すS2220以降の処理に進み、検知がない(V通過しなかった)と判定した場合(S2211でNO)、小当り用開放カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2212)。S2212で「0」でないと判定した場合(S2212でNO)、S2213~S2215の処理を行うことなく本処理を終える。一方、S2212で「0」であると判定した場合(S2212でYES)、S2213の処理に移行する。なお、本実施例では、小当り遊技での第2大入賞口35の開放回数を「1回」としているため、S2210の処理を経てS2212の処理を行う場合、必ず肯定判定される。但し、小当り遊技での第2大入賞口35の開放回数が2回以上である場合、小当り用開放カウンタの値が「0」になるまでS2212では否定判定される。
【0208】
次いで、小当り遊技を終了させる小当り終了処理として、小当りのエンディング時間をセットするとともに(S2213)、当該小当りのエンディング期間を開始する(S2214)。そして、小当り終了フラグをONにし(S2215)、本処理を終える。なお、本実施例では、小当り用開放カウンタは第2大入賞口35の開放が1回なされると「0」になる。
【0209】
なお、本実施例では、小当りのエンディング期間にてエンディング演出を行わないこととしている。これは、小当り遊技にてV通過した場合、この後、V大当りに係る大当り遊技のオープニング演出が実行されるからである。また、V通過しなかった場合には、特別図柄の変動表示が開始可能な状態に素早く復帰させるためである。但し、小当りのエンディング期間においても大当りのようにエンディング演出等を行うようにしてもよい。
【0210】
そして、前述のS2201において、小当り終了フラグがONであると判定した場合(S2201でYES)、第2大入賞口35の1回の開放が終了しているので、小当りのエンディングの時間が経過したか否かを判定する(S2216)。その結果、エンディング時間が経過していなければ(S2216でNO)、S2217以降の処理を行うことなく本処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2216でYES)、小当り終了フラグ、小当りフラグ及び時短フラグをそれぞれOFFにし(S2217、S2218、S2219)、特図動作ステータスを「1」にセットして(S2220)、本処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(S206)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。
【0211】
ここで、本実施例では小当り遊技の終了に際して、小当り遊技開始時の遊技状態が時短状態であるか否かにかかわらず時短フラグをOFFにするものとしている(S2219)。このため、小当り遊技開始時(小当り当選時)の遊技状態が時短状態である場合(時短フラグがONである場合)、当該小当り遊技の終了により時短状態も終了することになる。つまり、本実施例では時短状態で小当り(特
図2小当りB)を1回引くと、これを契機に時短状態が終了するものとなっている。このように小当り1回で時短状態を終了させるのは、本パチンコ遊技機1が前述した時短状態の遊技性を採っているからである。
【0212】
なお、小当りにより時短状態を終了させる場合、その終了条件となる小当りの回数は本実施例のように1回でなくてもよく、2回や3回など複数回とすることも可能である。この場合、例えば、時短状態中の小当り発生回数(小当り遊技実行回数)を計数するカウンタ(「小当りカウンタ」ともいう。)を設け、時短終了条件として予め定めた規定回数の小当りが発生したか(小当り遊技が実行されたか)否かを、そのカウンタの値(計数値)に基づいて判定する構成を採ることで、時短状態中の複数回の小当り発生により当該時短状態を終了させることが可能である。こうすれば、本実施例のような時短中にV大当りを1回の小当り(ワンチャンス)で狙う遊技性だけでなく、例えば、2回や3回といった限られた回数(複数回)の小当りでV大当りを狙うといった遊技性とすることも可能である。このような規定回数の小当りにより時短状態を終了させる構成を採ることで、時短状態(特に1種2種タイプ)の遊技性の幅を広げることが可能である。
【0213】
図31に戻り、S2211で特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったと判定した場合(S2211でYES)、すなわち、小当り遊技にてV通過した場合、V大当りを発生させるための処理、すなわち、小当り遊技を終了して大当り遊技を開始させるための処理を行う。具体的には、
図32に示すように、特定領域センサ39aによる遊技球の検知がV有効期間中における検知であるか否かを判定する(S2220)。そして、V有効期間中であると判定した場合(S2220でYES)、小当りフラグをOFFにするとともに(S2221)、大当りフラグをONにし(S2222)、V通過コマンドをセットする(S2223)。ここで、本実施例では、前述したように小当りフラグを小当り種別毎に対応して設けており、また、
図6(C),(D)に示すように小当り種別に応じてV大当りの種別(9R非時短大当り、9R時短大当り)が定まっている。また本実施例では、前述した特
図1大当りフラグAや特
図2大当りフラグA等の大当り種別に対応した大当りフラグの他、V大当り種別に対応した大当りフラグである「9R非時短大当りフラグ」及び「9R時短大当りフラグ」を設けている。このことから、S2222では、S2221でOFFにする小当りフラグ、すわなち、前述のS1608でONにした小当りフラグの小当り種別に基づいて、これに対応するV大当り種別の大当りフラグ(9R非時短大当りフラグ又は9R時短大当りフラグ)をONにする(S2222)。
【0214】
次いでS2224では、S2222でONとした大当りフラグに基づいて、大当り遊技中に実行するラウンドの回数をカウントするラウンドカウンタの値をセットするとともに、第1大入賞口30の1ラウンドあたりの開放回数および開放時間(
図6を参照)をセットする(S2224)。本実施例では、
図6(C),(D)に示すようにV大当りに係る大当り遊技のラウンド数が9Rであることから、S2224では、ラウンドカウンタの値として「9」をセットし、第1大入賞口30の1ラウンドあたりの開放回数および開放時間としてそれぞれ「1回」、「25秒」をセットする。
【0215】
S2224の処理を終えたら、大当り遊技を開始するべく、大当りのオープニングコマンドをセットするとともに(S2225)、大当り遊技のオープニング演出を開始し(S2226)、特図動作ステータスを「4」にセットする(S2227)。なお、本オープニングコマンドは、小当り遊技にて遊技球がV通過したこと(「小当りV」ともいう。)により実行される大当り遊技に係るオープニングコマンドであることを特定可能なコマンドとすることが可能である。
【0216】
一方、S2220でV有効期間中でないと判定した場合(S2220でNO)、今回の特定領域センサ39aによる遊技球の検知は正当なものではなく、不正の可能性も考えられるので、V大当りを発生させることなくエラー処理を行い(S2228)、本処理を終える。エラー処理としては、V有効期間中でないときに特定領域センサ39aによる遊技球の検知が発生したことを示す異常状態報知を行ったり、第1始動口20又は第2始動口21への入球に基づく各種乱数の取得や特別図柄当否判定等の特別図柄変動に係る処理を一時的に停止(中断)したりする処理を例示できる。また、エラー処理の実行による異常状態報知や遊技進行の一時停止等は、所定の解除条件の成立により解除可能とすればよく、解除条件として、例えば、時間経過や電源再投入、RAMクリア等を例示できる。
【0217】
以上の特別電動役物処理2(S1109)を実行する遊技制御用マイコン81(メイン制御部80)は「小当り遊技実行手段」として機能するといえる。小当り遊技実行手段のことを「第2特別遊技実行手段」ともいう。また、前述の第1特別遊技実行手段(大当り遊技実行手段)及び第2特別遊技実行手段(小当り遊技実行手段)の何れか一方又は両方を指して「特別遊技実行手段」ともいう。
【0218】
[遊技状態設定処理]
図33に示すように、遊技状態設定処理(S2121)ではまず、今回実行した大当り遊技に係る大当り種別、すなわち、終了した大当りの種別が時短大当りであるか否かを判定する(S2301)。S2301では、現在ONとなっている大当りフラグ、すなわち、S1307、S1612及びS2222の何れかでONにした大当りフラグに対応する大当り種別に基づいて、終了した大当りの種別が時短大当りであるか否かを判定する。具体的には、今回の大当りが特
図1大当りA、特
図1大当りB、時短状態(高ベース状態)で発生可能な特
図2大当りB、又は、時短状態(高ベース状態)で発生可能な特
図2小当りBを契機とするV大当りである場合、今回終了した大当りの種別は時短大当りということになる(
図6を参照)。
【0219】
S2301で時短大当りであると判定した場合(S2301でYES)、時短フラグをONにし(S2302)、時短終了条件としての特別図柄の変動表示回数(規定変動回数)を時短カウンタにセットし(S2303)、本処理を終える。前述のように、本パチンコ遊技機1に係る時短終了条件としての特別図柄の変動表示回数は、第1特別図柄の変動表示回数「8回」と第2特別図柄の変動表示回数「2回」との計「10回」である。このことからS2303では、第1特別図柄の変動表示回数を計数する第1時短カウンタに「8」、第2特別図柄の変動表示回数を計数する第1時短カウンタに「2」をそれぞれセットする。なお、第1特別図柄と第2特別図柄を区別することなく規定変動回数の特別図柄の変動表示により時短状態を終了させる場合、第1特別図柄の変動表示回数と第2特別図柄の変動表示回数とを合算した回数を計数するカウンタを一の時短カウンタとして設け、当該カウンタに規定変動回数をセットすればよい。
【0220】
一方、S2301で時短大当りでないと判定した場合(S2301でNO)、すなわち今回の大当りが非時短状態(低ベース状態)で発生可能な特
図2大当りA、又は、非時短状態(低ベース状態)で発生可能な特
図2小当りBを契機とするV大当りである場合、S2302及びS2303の処理を行うことなく本処理を終える。これにより、今回の大当り遊技終了後の遊技状態が特別図柄の非時短状態且つ低ベース状態(すなわち非時短低ベース状態)になる。以上の遊技状態設定処理(S2121)を実行する遊技制御用マイコン81(メイン制御部80)は「高頻度状態設定手段」又は「遊技状態制御手段」として機能するといえる。
【0221】
[保留球数処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、特図動作処理(S206)に次いで保留球数処理(S207)を行う。
図34に示すように、保留球数処理(S207)ではまず、主制御基板80のRAMに記憶されている特
図1保留球数および普通図柄保留球数を読み出す(S2501)。次いで、その保留球数のデータ(その保留球数情報を副制御基板90等に送信するための保留球数コマンド)を、RAMの出力バッファにセットする(S2502)。この保留球数に係るデータ(保留球数コマンド)は、次回の割り込み処理(S105)での出力処理(S201)によって出力され、割り込み処理毎に、保留球数に係るデータ(保留球数コマンド)の出力バッファへのセット(S2502)と、出力処理(S201)とが順次行われる。当該保留球数コマンドを受信したサブ制御部90は、受信した保留球数コマンドに基づいて特図保留球数に増減が生じたと判断した場合、これに応じて、画像表示装置7の表示画面7aにおける演出保留の表示内容を更新する。例えば、特
図1保留球数が「3」から「4」に1増加した場合、その増加した分の特
図1保留球数「4」に対応する第1演出保留9aを第1演出保留表示領域9cに追加表示する。また、特
図1保留球数が「2」から「1」に1減少した場合(つまり、第1特図保留が消化された場合)、第1演出保留表示領域9cの左端(特
図1保留球数「1」に対応する箇所、
図3を参照)に表示されている第1演出保留9aを消去するとともに、これに伴って第1演出保留表示領域9cに表示されている第1演出保留9aを左側に1つ移動(シフト)する。
【0222】
なお、特図保留球数が加算された際の特図保留球数のデータ、すなわち始動入球(始動入賞)の発生に伴う特図保留球数のデータについては、前述の始動入球コマンドに含めるか、加算後(始動入球後)の特図保留球数を示す保留球数コマンドを始動入球コマンドとともに出力バッファにセットするものとしてもよい。また、特図保留球数が減算された際の保留球数のデータ、すなわち特別図柄の変動開始(特図保留の消化)に伴う特図保留球数のデータについては、前述の変動開始コマンドに含めるか、減算後(特図保留消化後)の特図保留球数を示す保留球数コマンドを変動開始コマンドとともに出力バッファにセットするものとしてもよい。
【0223】
[電源断監視処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、保留球数処理(S207)に次いで電源断監視処理(S208)を行う。
図35に示すように、電源断監視処理(S208)ではまず、電源断信号の入力の有無を判定し(S2601)、入力がなければ(S2601でNO)、そのまま本処理を終了する。一方、電源断信号の入力があれば(S2601でYES)、現在の遊技機の状態(時短中か否か、当り遊技中か否か、保留球数はいくつか、時短の残り変動回数はいくつか等)に関するデータをRAMに記憶するとともに(S2602)、電源断フラグをONし(S2603)、その後は割り込み処理(S105)に戻ることなくループ処理をする。
【0224】
[サブ制御メイン処理]
次に、
図36~
図43に基づいて演出制御用マイコン91の作動(サブ制御部90による制御処理)について説明する。なお、以下の説明で登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、副制御基板90のRAMに設けられている。副制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、
図36に示すサブ制御メイン処理のプログラムを副制御基板90のROMから読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)等の設定や各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。
【0225】
次いでS4002では、電源断信号がONで且つ副制御基板90のRAMの内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。この判定結果がNOであれば(S4002でNO)、副制御基板90のRAMの初期化をし(S4003)、S4004に進む。一方、この判定結果がYESであれば(S4002でYES)、副制御基板90のRAMを初期化することなくS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAMの内容が正常でない場合には(S4002でNO)、副制御基板90のRAMを初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAMの内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAMを初期化しない。RAMを初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタの値はリセットされる。なお、このS4001~S4003は、電源投入後に(電源投入に際して)一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0226】
次いでS4004にて割り込みを禁止し(S4004)、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。更新された乱数カウンタ値は副制御基板90のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。
【0227】
演出決定用乱数には、実行する演出図柄遊技演出の態様(変動演出パターン)を決定する変動演出決定用乱数や、予告演出を決定する予告演出決定用乱数、停止表示する演出図柄を決定する演出図柄決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。なお、乱数の更新に際して、乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。演出決定用乱数は、予め定められたタイミングで取得される。このタイミングとしては、例えば主制御基板80から始動入球があった旨を通知する制御信号(始動入球コマンド)が送信されてきたとき、主制御基板80から変動開始を通知する制御信号(変動開始コマンド)が送信されてきたとき、後述の変動演出パターンを決定するとき等とすることができる。取得した演出決定用乱数の格納場所は、副制御基板90のRAMの所定の乱数カウンタ値記憶領域(図示せず)である。
【0228】
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、副制御基板90のRAM内の出力バッファ(「サブ出力バッファ」ともいう。)に格納されている各種のコマンド(制御信号)を、画像制御基板100、音声制御基板106、及びランプ制御基板107に送信する。コマンドを受信した各制御基板(各制御部)は、受信したコマンドに従い各種の演出装置(画像表示装置7、スピーカ67、盤面ランプ5、枠ランプ66及び可動装飾部材14等)を用いて各種の演出(演出図柄遊技演出、大当り遊技及び小当り遊技に伴う特別遊技演出等)を実行する。
【0229】
次いでS4007では、割り込みを許可する(S4007)。以降、S4004~S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、2msタイマ割り込み処理(S4009)及び10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。これらの制御処理を実行することで、画像表示装置7の表示画面7aで展開される演出図柄等を用いた演出表示の表示制御や各種ランプの点灯制御、可動装飾部材の動作制御、スピーカからの音声出力制御等を行うことが可能となる。
【0230】
[受信割り込み処理]
受信割り込み処理(S4008)では、
図37に示すように、ストローブ信号(STB信号)がONか否か、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。そして、ストローブ信号がONでないと判定した場合(S4101でNO)、処理を終える。一方、ストローブ信号がONであると判定した場合(S4101でYES)、主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドを副制御基板90のRAMに格納し(S4102)、処理を終える。この受信割り込み処理(S4008)は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
【0231】
[2msタイマ割り込み処理]
2msタイマ割り込み処理(S4009)は、副制御基板90に2msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。
図38に示すように、2msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、演出ボタン検知スイッチ63c、63dからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する入力処理を行う(S4201)。続いて、後述の10msタイマ割り込み処理で作成したランプデータを出力するランプデータ出力処理を行う(S4202)。次いで、可動装飾部材14を駆動するための駆動データの作成及び出力を行う駆動データ出力処理を行う(S4203)。そして、ウォッチドッグタイマのリセット処理を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S4204)。
【0232】
[10msタイマ割り込み処理]
10msタイマ割り込み処理(S4010)は、副制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。
図39に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S4301)。次いで、スピーカ67から出力する音声、楽曲、効果音等の音響データの読み込みや当該音響データに基づく演出音の出力等に係る音制御処理(S4302)と、前述の2msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして副制御基板90のRAMに格納するスイッチ状態取得処理(S4303)と、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理(S4304)とを実行する。その後、演出決定用乱数を更新等のその他の処理を実行する(S4305)。
【0233】
[受信コマンド解析処理]
図40及び
図41に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)ではまず、主制御基板80(メイン制御部)から始動入球コマンド(特
図1始動入球コマンド又は特
図2始動入球コマンド)を受信したか否かを判定する(S4401)。始動入球コマンドを受信していないと判定した場合(S4401でYES)、S4402の処理を行うことなくS4403の処理に移行し、始動入球コマンドを受信したと判定した場合(S4401でYES)、始動入球時演出処理を行う(S4402)。
【0234】
始動入球時演出処理(S4402)では、S4401で受信した始動入球コマンドに応じた処理を実行する。具体的には、受信した始動入球コマンドが特
図1始動入球コマンドである場合、副制御基板90(サブ制御部)が備える演出保留記憶部(図示せず)に未消化の演出保留情報(本実施例では未消化の第1特図保留に対応する演出保留情報)を記憶したり、画像表示装置7の表示画面7aに第1演出保留9aを表示したり、始動口への入球時にメイン制御部80で取得した取得情報(特
図1関係乱数)に基づく先読み演出を実行するか否かを判定したり、その判定結果に応じて先読み演出を実行したりするための処理を行う。特
図1始動入球に基づく第1演出保留9aや先読み演出を表示画面7aに表示する場合、その表示を指示するコマンドをサブ出力バッファにセットする。当該セットしたコマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、受信したコマンドに基づく画像の表示(演出表示)を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
【0235】
なお、特
図1始動入球コマンドを受信した場合、副制御基板90(サブ制御部)の演出保留記憶部に未消化の演出保留情報(演出情報)が加算して記憶される。この演出保留記憶部に記憶される演出保留情報(「第1演出保留情報」ともいう。)の数の上限数は、メイン制御部の特図保留記憶部に記憶される第1特図保留の数と同じ数(4個)とされ、その時々の記憶数も同じとされる。また、後述の変動開始コマンドを受信した場合には、それが第1特別図柄を示すものである場合には、対応する第1演出保留記憶部104に記憶される最も古い演出保留情報が削除される。
【0236】
また、S4401で受信した始動入球コマンドが特
図2始動入球コマンドである場合、例えば、時短状態での特
図2始動入球に基づく先読み演出(当該変動予告)を実行するか否かを判定し、その判定結果に応じて先読み演出を実行する。なお本実施例では、第2特図保留を記憶しないことから、特
図2始動入球に基づく先読み演出は、例えば、第2始動口21への入球時に当りを示唆する効果音(当り告知音)を発生させたり、演出ボタンを振動させたり、発射ハンドルから風を噴出させたりする等、シンプルな態様とされる。また、時短状態、すなわち演出モードEのときに特
図2始動入球コマンドを受信した場合(特
図2始動入球が発生した場合)、当該始動入球に対応する所定の入球時演出を実行する。入球時演出を表示画面7aに表示する場合、その表示を指示するコマンドをサブ出力バッファにセットする。当該セットしたコマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、受信したコマンドに基づいて入球時演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。なお、入球時演出は、原則、特
図2始動入球コマンドを受信するごと(特
図2始動入球が発生するごと)に実行される演出である。但し、時短状態(演出モードE)においては、特定の状況下で第2始動口入球コマンドを受信した場合(後述のS4405でYES)にも入球時演出が実行される。入球時演出についての詳細は後述する。
【0237】
次いでS4403では、メイン制御部から変動開始コマンドを受信したか否かを判定し(S4403)、変動開始コマンドを受信したと判定した場合(S4403でYES)、後述する変動演出開始処理を行って(S4404)、S4405の処理に移行する。S4403で変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(S4403でNO)、変動演出開始処理(S4404)を行うことなく、S4405の処理に移行する。
【0238】
S4405では、メイン制御部から第2始動口入球コマンドを受信したか否かを判定し(S4405)、受信したと判定した場合(S4405でYES)、後述する第2始動口入球時処理(S4406)を実行し、S4407の処理に移行する。一方、第2始動口入球コマンドを受信していないと判定した場合(S4405でNO)、第2始動口入球時処理(S4406)を行うことなく、S4407の処理に移行する。
【0239】
S4407では、メイン制御部から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4407)、変動停止コマンドを受信したと判定した場合(S4407でYES)、演出図柄8を停止表示して変動演出を終了させる変動演出終了処理を行う(S4408)。変動演出終了処理(S4408)では、演出図柄8を停止表示して変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをサブ出力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、画像表示装置7の表示画面7a上で変動表示していた演出図柄8を停止表示して、変動演出(演出図柄遊技演出)を終了させる。一方、S4407で変動停止コマンドを受信していないと判定した場合(S4407でNO)、変動演出終了処理を行うことなく、S4409の処理に移行する。なお、変動演出とは、演出図柄8の変動表示やリーチ演出、キャラクタ演出など、特別図柄の変動表示に合わせて行われる種々の演出を指す。
【0240】
次いでS4409では、メイン制御部から特別遊技関連コマンドを受信したか否かを判定する(S4408)。ここで、特別遊技関連コマンドとは、大当り遊技又は小当り遊技の実行にあたり主制御基板80から送信されるコマンドのことである。具体的には、例えば、大当り遊技の開始(大当りの発生)や小当り遊技の開始(小当りの発生)に際して送信されるオープニングコマンド、ラウンド遊技の開始に際して送信されるラウンド開始コマンド、ラウンド遊技の終了に際して送信されるラウンド終了コマンド、大当り遊技の終了に際して送信されるエンディングコマンド等が該当する。
【0241】
S4409にて特別遊技関連コマンドを受信していないと判定した場合(S4409でNO)、S4410の処理を行うことなく
図41に示すS4413の処理に移行し、受信したと判定した場合(S4409でYES)、当該受信したコマンドの種類に応じた演出(オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出等)の実行に係る特別遊技演出処理を行う(S4410)。
【0242】
特別遊技演出処理(S4410)では、例えば、受信したコマンドが大当りのオープニングコマンドであれば、当該コマンドに基づき特定される大当りの種別に応じたオープニング演出を指定するオープニング演出コマンドをサブ出力バッファにセットし、ラウンド開始コマンドであれば、当該コマンドに基づき特定されるラウンドに応じたラウンド演出を指定するラウンド演出コマンドをサブ出力バッファにセットし、エンディングコマンドであれば、当該コマンドに基づき特定される大当りの種別に応じたエンディング演出を指定するエンディング演出コマンドをサブ出力バッファにセットする。また、受信したコマンドが小当りのオープニングコマンドであれば、小当りのオープニング演出を指定するオープニング演出コマンドをサブ出力バッファにセットする。これらのセットした特別遊技(大当り、小当り)に係る各種の演出コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、小当り遊技や大当り遊技の進行状況に合わせてオープニング演出やラウンド演出等の特別遊技に関連する演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
【0243】
また特別遊技演出処理(S4410)では、S4409で受信した特別遊技関連コマンドがエンディングコマンドである場合、特別遊技終了後の演出モードの種類の選択及び設定等に係る処理を行う。演出モードは、後述のモードステータスに応じて設定されるもので、モードステータスは非時短状態(低ベース状態、通常状態)や時短状態(高ベース状態、高頻度状態)等の遊技状態に対応している。このため、例えば、大当り遊技終了後の遊技状態が時短状態に制御されるのであれば、当該時短状態に応じたモードステータスが設定される。これにより、大当り遊技終了後の時短状態での遊技が、当該時短状態に応じた演出モード(モードステータス)のもとで進行していくこととなる。また、特別遊技の前後、例えば小当り遊技の開始前と終了後(V大当り発生せず)とで遊技状態が変化しない場合には、小当り発生時のモードステータスが維持される。これにより、小当り遊技終了後の遊技も、小当り遊技開始前と同じ遊技状態に応じた演出モード(モードステータス)のもとで進行していくこととなる。
【0244】
ここで、時短大当りに係る大当り遊技の終了に際してのエンディング期間では、当該大当り遊技後の時短状態での遊技に繋げる演出がエンディング演出として実行される。本実施例では、時短状態の演出モード(本例では演出モードE)を、味方キャラクタ(単に「味方キャラ」ともいう。)と敵キャラクタ(単に「敵キャラ」ともいう。)との対戦をモチーフにしたバトルモードとしており、そのバトルモードで対戦相手となる敵キャラが登場する演出表示を、エンディング演出として画像表示装置7(表示画面7a)で実行するものとしている。敵キャラには複数種のキャラクタが存在しており、そのうちの何れかがサブ制御側の抽選等により選択され、その選択されたキャラクタ(敵キャラ)がエンディング期間中に表示画面7aに表示される。また詳細には後述するが、時短大当りに係る大当り遊技中及び当該大当り遊技後に続く時短状態では、バトルモードを盛り上げるためのBGM(バックグラウンドミュージック)としての楽曲が再生されてスピーカ67から所定の音量で出力される。このようなバトルモードに係る演出表示及び楽曲再生についての詳細は後述する。
【0245】
次いでS4413では、
図41に示すように、メイン制御部からV通過コマンド(小当り遊技の発生に基づいてV通過したことを示すコマンド)を受信したか否かを判定し(S4413)、V通過コマンドを受信したと判定した場合(S4413でYES)、V通過報知コマンドをセットし(S4414)、S4415の処理に移行する。なお、V通過コマンドは、小当り遊技中に第2大入賞口35に入球した遊技球が、V有効期間中に特定領域39を通過した旨を示すコマンドである(S2223を参照)。V通過報知コマンドがコマンド送信処理(S4006)にて画像制御基板100(画像制御部)等に送信されると、画像制御基板100のCPUは、所定の画像情報を画像制御基板100のROMから読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて「V」や「V大当り!」等の文字を表示する(これを「V通過報知演出」ともいう。)。これにより、遊技球が特定領域39を通過したこと、すなわち、V大当りに係る大当り遊技が実行(開始)されることが遊技者に報知される。一方、S4413にてV通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4413でNO)、S4414の処理を行うことなくS4415の処理に移行する。
【0246】
なお、V有効期間外に特定領域39を遊技球が通過した場合にも、V有効期間外の通過であることを特定可能な情報を含むV通過コマンドを受信するものとしてもよい。これにより、当該有効期間外V通過コマンドの受信に基づいて、サブ制御部90で制御するスピーカ67や画像表示装置7や枠ランプ66や盤面ランプ5等を用いてエラー報知を行うことが可
【0247】
次いでS4415にてその他の処理を実行し、本処理を終える。その他の処理(S4415)としては、例えば、前述した各種コマンドを除いた他の受信コマンド(例えば、普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンド)に基づく処理を行う。
【0248】
[変動演出開始処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4301)の中で実行される変動演出開始処理(S4404)について説明する。
図42に示すように、変動演出開始処理(S4402)ではまず、変動演出決定用乱数や予告演出決定用乱数、演出図柄決定用乱数等の各種演出決定用乱数を取得する演出決定用乱数取得処理(S4501)を行う。本実施例では、メイン制御部80から変動開始コマンドを受信したタイミングでS4501の処理を行い、夫々の乱数から所定の値(取得情報)を取得する。この取得した値に基づいて、実行する演出図柄遊技演出の態様や予告演出、停止表示する演出図柄等を決定する。
【0249】
次いでS4502では、受信した変動開始コマンドを解析する(S4502)。変動開始コマンドには、第1特別図柄または第2特別図柄の変動パターン選択処理で選択された変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド(変動パターンを指定する情報)が含まれている。そして、変動パターン指定コマンドには、
図9に示す変動パターン情報(P1~P20)、現在の遊技状態を指定する遊技状態情報、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の判定結果、大当り種別や小当り種別を指定する図柄情報等が含まれている。また、変動パターン指定コマンドには、第1特別図柄に対応するものと第2特別図柄に対応するものとが存在することから、変動パターン指定コマンドを解析することで、今回開始する演出図柄遊技演出(演出図柄の変動表示)が特
図1に係るものなのか特
図2に係るものなのかを判別することが可能である。なお、これらの変動パターン情報や遊技状態情報等は、これ以降に実行する変動演出開始処理以外の他の処理においても利用可能である。
【0250】
次いでS4503では、現在のモードステータスを参照する(S4503)。モードステータスは、実行する演出モードを決めるためのものである。本実施例のモードステータスは「1」~「5」までの何れかの値とされ、各値は演出モードA~Eに対して割り当てられている。具体的には、モードステータス「1」が演出モードAに対応し、モードステータス「2」が演出モードBに対応し、モードステータス「3」が演出モードCに対応し、モードステータス「4」が演出モードDに対応し、モードステータス「5」が演出モードEに対応する。現在のモードステータスを参照することで、現在の演出モードを特定することが可能である。
【0251】
ここで演出モードとは、特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)が実行されるときの演出制御状態を指すもので、主に、画像表示装置7における演出の態様である。演出モードが異なると、画像表示装置7(表示画面7a)等で実行される予告演出やリーチ演出等の遊技演出の演出態様の一部又は全部が異なるものとされる。具体的に、演出図柄8の表示態様(例えば、図柄デザイン、数字デザインなど)が異なったり、登場するキャラクタ、アイテム、背景画像が異なったりする等、画像表示装置7に表示される画像(演出表示)が演出モードによって異なるものとされる。また、変動演出も演出モードに応じた態様で実行されるものとすることができ、複数の変動演出(予告演出やリーチ演出等)を設ける場合に、演出モードによって異なる変動演出を実行可能とすることができる。
【0252】
本実施例では、演出モードA~Dは非時短状態(低ベース状態、通常状態)に制御されているときに実行され、演出モードEは時短状態(高ベース状態、高頻度状態)に制御されているときに実行される。このため、遊技者は演出モードを通じて現在の遊技状態を把握することが可能である。なお、非時短状態に対応する演出モードの種類を時短状態よりも多くしているのは、本パチンコ遊技機1で遊技を行う場合の遊技状態の多くが非時短状態だからである。
【0253】
次いでS4504では、画像表示装置7、盤面ランプ5、可動装飾部材14等を用いて行う変動演出のパターン(変動演出パターン)を決めるための図示しない変動演出パターン決定テーブルをセットする(S4504)。具体的には、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)とメイン制御部80から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、使用する変動演出パターン決定テーブルをセットする。例えば、受信した変動パターン指定コマンドが指定する変動パターン情報が「P1」(変動パターンP1:
図9を参照)であった場合、変動演出パターン決定テーブルとして、現在の演出モードに対応した大当り時変動演出パターン決定テーブルがセットされる。変動演出パターン決定テーブルは、主に、演出図柄遊技演出の実行態様(演出図柄の変動態様等)を決定するためのもので、演出モード(モードステータス)に対応する複数の変動演出パターン決定テーブル(図示せず)が副制御基板90のROMに予め格納されている。S4504では、それらの変動演出パターン決定テーブルの中から、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)に対応するテーブルが選択されてセットされる。
【0254】
次いでS4505では、S4501で取得した変動演出決定用乱数及びS4504でセットした変動演出パターン決定テーブルに基づいて、指定された変動パターンに適合した変動演出パターンを選択し、これを設定する(S4505)。変動演出パターンとしては、主に、演出図柄表示領域7bで表示される演出図柄8の変動態様(変動演出の実行態様)が設定される。これにより、演出図柄遊技演出(変動演出)において、リーチ演出を実行する場合(リーチあり変動演出)やリーチ演出を実行しない場合(リーチなし変動演出)、特定のキャラクタによるキャラクタ演出を実行する場合(キャラクタ変動演出)等が決定される。また、変動演出パターンには、演出図柄8の変動態様の他、演出図柄8の変動表示に付随して実行される音演出や光演出、可動演出等の実行態様も含まれ、これら演出の実行有無についても決定される。
【0255】
なお、リーチ演出とは、例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りであることを示す場合の演出図柄8の表示態様として、3個の演出図柄8L,8C,8Rがすべて同一(ゾロ目)となる態様(当り態様、特定態様)を設けている場合において、3個の演出図柄8L,8C,8Rのうちの2個(例えば第1停止図柄及び第2停止図柄)が当り態様を構成する図柄で停止表示(仮停止)され、残り1個(例えば第3停止図柄)が変動表示を続けている状態で、その残り1個の演出図柄が当り態様を完成させる図柄で停止表示されるか否かを示す演出のことをいう。このリーチ演出によれば、当り発生を狙う遊技者の期待感を効果的に煽ることが可能となる。
【0256】
またS4505では、S4501で取得した演出図柄決定用乱数及び図示しない停止図柄決定テーブルに基づいて、停止表示する演出図柄8(「停止演出図柄」ともいう。)を決定し、これを設定する。ここで、停止表示の種類には、仮停止表示(仮停止)と確定停止表示(確定停止)とがある。仮停止とは、演出図柄のスクロール表示(変動表示)が一旦停止(一時停止)され、演出図柄が表示画面上の所定の停止位置(例えば演出図柄表示領域7b)にて、その数字やキャラクタ等を認識できる程度に僅かに動いた(微動した)状態で表示されることを意味する。僅かに動いた状態のことを「揺れ変動」ともいう。一方、確定停止とは、特別図柄の停止表示時間(確定表示時間)と略同期して実行されるもので、演出図柄のスクロール表示(変動表示)が終了して、演出図柄が表示画面上の所定の停止位置(例えば演出図柄表示領域7b)にて、その数字やキャラクタ等を認識できる状態で完全に停止して表示されることを意味する。演出図柄が変動表示を経て確定停止されると、その変動表示の表示結果(変動演出の結果)が確定的に表示(確定表示)されること(導出表示されること)となる。したがって、演出図柄の仮停止は、確定停止に至るまで1回または複数回行うことが可能である。
【0257】
S4505において決定(選択)する停止演出図柄は、仮停止する図柄(以下「仮停止図柄」ともいう。)と、確定停止する図柄(以下「確定停止図柄」ともいう。)である。変動演出の結果として停止表示(確定停止)される演出図柄の停止表示態様は前述したとおりである。
【0258】
また、確定停止に至る前の変動表示の途中で一旦仮停止される演出図柄8、すなわち仮停止図柄は、基本的には、前述のゾロ目(当り態様)以外の出目(リーチ外れ目、完全外れ目等)とされる。但し、例えば、演出図柄8をゾロ目で停止した後に再度変動表示させる所謂「再抽選」を実行する変動演出パターンの場合には、仮停止図柄がゾロ目(当り態様)とされる。この場合、仮停止図柄は、相対的に有利度合の低い大当り(例えば確変大当りよりも有利度合の低い通常大当り)に対応する出目とされる。また、再抽選後の確定停止図柄は、再度、相対的に有利度合の低い大当りに対応する出目としたり、相対的に有利度合の高い大当りに対応する出目としたりすることができる。さらに、演出図柄8は、変動表示が終了して確定停止する直前(間際)にも仮停止されることから、確定停止直前に仮停止する演出図柄8も仮停止図柄であるが、この場合の仮停止図柄は確定停止図柄と同じとなる。なお、本実施例で示す演出図柄8の停止表示態様は一例であり、停止演出図柄として何を停止表示するかは適宜変更可能である。
【0259】
本実施例のパチンコ遊技機1には、演出図柄8の変動態様(変動演出パターン)として、リーチA、リーチB、リーチC、スーパーリーチ(「SPリーチ」ともいう。)A、スーパーリーチB、スーパーリーチC、キャラクタ演出等が設定されている。S4505では、変動演出パターン決定テーブルに基づいて、それらリーチ演出等のうち何れかを行うか、又はそれらリーチ演出等を行わない(これを「ノーマル変動」ともいう。)かが決定される。
【0260】
そして、例えば、リーチあり変動演出が実行される場合には、変動パターン指定コマンド及び変動演出パターン決定テーブルに基づいて、何れかのリーチ演出が設定される。ここで、スーパーリーチ演出(SPリーチA~Cの何れか)が実行される場合には、ノーマルリーチ演出(リーチA~Cの何れか)が実行される場合と比較して、大当りとなる可能性が高くなるように設定されている。すなわち、スーパーリーチ演出はノーマルリーチ演出と比較して大当りとなる可能性(大当り期待度)の高い遊技演出であるといえる。なお、リーチ演出は、主として、変動時間が30000ms以上の変動パターン(
図9を参照)を指定する変動パターン指定コマンドを受信した場合に設定(実行)され得る。
【0261】
本実施例では、非時短状態において、主制御基板80からの変動パターン指定コマンドとして変動時間が30000ms以上の変動パターン(
図9を参照)を指定する変動パターン指定コマンドを副制御基板90が受信した場合、当該コマンドに基づいてリーチ演出(リーチあり変動演出)が設定(実行)され得る。そのうち、変動時間が30000msの場合には、リーチ演出としてノーマルリーチ演出が設定(実行)され(ノーマルリーチ変動演出)、変動時間が45000ms以上の場合には、リーチ演出としてSPリーチ演出が設定(実行)される(SPリーチ変動演出)。また、時短状態(バトルモード)では、キャラクタ演出の一種であるバトル演出が実行され、主制御基板80からの変動パターン指定コマンドを副制御基板90が受信することに基づいて、バトル演出が展開(進行)していく。
【0262】
ここで、画像表示装置7の表示画面7aにおける演出図柄8の変動表示は、基本的に次のようにして行われる。すなわち、3つの演出図柄8L,8C,8Rが変動表示を開始した後、全図柄の変動速度が高速で略一定となり、その後、所定時間が経過したタイミングで、第1停止図柄(本例では左演出図柄8L)の変動速度が低下して第1停止図柄が停止(仮停止)する。その後、第2停止図柄(本例では右演出図柄8R)の変動速度が低下して第2停止図柄が停止(仮停止)し、最後に第3停止図柄(本例では中演出図柄8C)の変動速度が低下して第3停止図柄が停止(仮停止)する。この後、3つの演出図柄8L,8C,8Rが確定停止することで、変動表示の表示結果が導出表示され、これをもって1回の変動表示が終了する。このような変動表示の開始から終了までの流れをベースとして、ノーマル変動やリーチ演出等が行われる。こうした基本的な変動表示は、主として通常の遊技状態(本例では非時短状態)において行われる。
【0263】
一方、本実施例では、時短状態において演出図柄8の変動表示が実行される場合、演出図柄8を構成する各図柄8L,8C,8Rは、一斉に変動表示を開始した後、略同時期(一斉)に停止(仮停止又は確定停止)する。また時短状態では変動時間が45000ms以上であってもリーチ演出は行われない。本実施例の時短状態は、特
図2小当りを契機とするV大当りを狙う遊技をバトルモードのもとで行う仕様となっており、味方キャラと敵キャラとが対戦するバトル演出が実行されるからである。
【0264】
S4505では、以上のような各種変動演出の何れかに対応する変動演出パターンが、S4501~S4504の処理の結果を受けて設定される(S4505)。そして、続くS4506では、S4505で設定した変動演出パターンに基づく変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを副制御基板90のRAM内の出力バッファにセットし(S4506)、変動演出開始処理を終了する。S4506でセットされた変動演出開始コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドに基づき特定される変動演出パターン、すなわちS4505で設定された変動演出パターンに対応する所定の画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる変動演出等を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
【0265】
なお、本実施例では、遊技状態が非時短状態の場合、基本的には、例えば
図3に示すように、画像表示装置7の表示画面7aの略中央(演出図柄表示領域7b)に演出図柄8(演出図柄8L,8C,8R)が表示され、SPリーチに発展する場合に、演出図柄8が表示画面7aの縁の方(例えば画面右下)に小さく表示されて表示画面7aの略全体でSPリーチ演出が展開される。一方、遊技状態が時短状態の場合には、例えば
図44に示すように、演出図柄8が普段から表示画面7aの縁の方(例えば画面右下)に小さく表示され、小当り又は大当りが発生するまで表示画面7aの略全体でバトルモード中の一連の演出が展開される。
【0266】
[第2始動口入球時処理]
図43に示すように、第2始動口入球時処理(S4406)ではまず、現在の演出モードが時短状態のときに設定される演出モードEであるか否か、すなわち、バトルモード中であるか否かを判定する(S4601)。そして、演出モードE(バトルモード中)でなければ(S4601でNO)、S4602以降の処理を行うことなく本処理を終え、演出モードE(バトルモード中)であれば(S4602でYES)、特
図1又は特
図2の当り変動(大当り変動又は小当り変動)の実行中であるか否かを判定する(S4602)。この判定は、例えば、当該変動の実行(開始)契機となった主制御基板80からの変動パターン指定コマンドに基づいて行うことができる。ここでは、変動パターンP17又はP18(
図9を参照)に基づく変動表示の実行中であるか否かが判定される。
【0267】
S4602にて、実行中の変動表示(当該変動)が当り変動でないと判定した場合(S4602でNO)、S4603以降の処理を行うことなく本処理を終え、当り変動であると判定した場合(S4602でYES)、実行中の当り変動が特
図2の時短最終回の変動表示であるか否かを判定する(S4603)。本実施例では、時短状態の終了条件である第2特別図柄の規定変動回数が「2回」であるため、S4603では特
図2の時短2回目の変動表示であるか否かが判定される。なお、S4603の判定は、例えば、メイン制御部に設けられている時短カウンタと同様のカウンタをサブ制御部にも設け、そのカウンタの値に基づいて行うことができる。また、S4603で特
図2の時短最終回の変動表示でないと判定されるのは、現在実行中の変動表示(特図変動)が、特
図2の時短1回目の変動表示又は特
図1の時短1回目~8回目(最終回)の何れかの変動表示に該当する場合である。但し、時短状態では、遊技者が普通に右打ちを行って遊技球を右遊技領域3Bに向けて発射している限り、特
図1が変動表示するのは多くても3~4回程度、5回以上変動表示するのは稀である。時短状態では第2始動口21が長開放して略開きっぱなしになり、遊技球誘導路25(
図3を参照)を流下する遊技球の殆どが第2始動口21に入球するからである。
【0268】
S4603で特
図2の時短最終回の変動表示であると判定した場合(S4603でYES)、S4604以降の処理を行うことなく本処理を終える。一方、特
図2の時短最終回の変動表示でないと判定した場合(S4603でYES)、すなわち、特
図2の時短1回目の変動表示又は特
図1の時短1回目~8回目(最終回)の何れかの変動表示である場合、演出図柄8が仮停止中であるか否かを判定する(S4604)。ここで、例えば、特
図2の時短1変動目が当り変動の場合、当該当り変動は変動パターンP17又はP18に基づいて45000msの変動時間で実行されるところ、当該変動パターンに対応する変動演出として、本実施例では1回の変動表示を2回の変動表示(2変動)に見せかける疑似変動演出が実行される。すなわち、特別図柄の1回の変動表示中に演出図柄の変動表示が2回行われるように見せかける疑似変動演出が実行される。
【0269】
本実施例の疑似変動演出では、特別図柄の変動表示の開始に伴って演出図柄8の変動表示を開始した後、所定時間が経過したタイミングで演出図柄8を仮停止(一旦停止)した後、第2始動口21への遊技球の入球を契機として仮停止後の変動表示を再開するようになっている。このことに対応して、演出図柄8が仮停止中であるか否かを判定するのである。なお、本実施例では、演出図柄8の変動開始後、仮停止するまでの所定時間を、時短状態での最終回より前に行われる外れ変動の変動時間(変動パターンP19)と同じ400msとしている。このように疑似変動演出を実行するのは、本実施例のバトルモード(時短状態)は特
図2小当りを契機とするV大当りが主目的であるところ、特
図2の時短最終回(2回目)の変動表示で、バトルモード中のバトル演出の結果(小当り、大当り又は外れ)が明らかになる遊技性としているからである。こうしたバトルモード(時短状態)での疑似変動演出の進行態様についての詳細は後述する。
【0270】
S4604で演出図柄8が仮停止中でないと判定した場合(S4604でNO)、S4605以降の処理を行うことなく本処理を終え、演出図柄8が仮停止中であると判定した場合(S4604でYES)、入球時演出コマンドをサブ出力バッファにセットするとともに(S4605)、疑似変動開始コマンドをサブ出力バッファにセットして(S4606)、本処理を終える。当該セットしたコマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、受信したコマンドに基づいて入球時演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行するとともに、当該表示画面7a上で仮停止していた演出図柄8の変動表示を再開する。入球時演出コマンドに基づいて実行される入球時演出は、特
図2始動入球コマンドに基づいて実行される入球時演出、すなわち、特
図2始動入球に基づく入球時演出と同様の演出である。
【0271】
[バトルモード]
次に、本パチンコ遊技機1の遊技状態が時短状態(高頻度状態)に設定されているときに実行されるバトルモード(演出モードE)について説明する。バトルモードは、
図44(A)に示すように、画像表示装置7の表示画面7aの中央に敵キャラ画像Tが大きく表示されるとともに当該画面の右下に演出図柄8が小さく表示される画面構成を基本として実行される。本実施例では、複数種類の敵キャラ(例えば敵キャラA~Cの3種類)が設けられており、そのうちの何れかに対応する敵キャラ画像が表示される。
図44(A)では敵キャラAの敵キャラ画像Tが表示された場合を示している。
【0272】
前述したように、時短大当りに係る大当り遊技の終了に際してのエンディング演出では、当該大当り遊技後の時短状態におけるバトルモードの開始に先立って、当該バトルモードで対戦相手となる敵キャラの登場演出が実行される。つまり、バトルモードの対戦相手となる敵キャラ画像がエンディング期間中に表示されるのである。例えば、バトルモードでの対戦相手が敵キャラAである場合、
図44(A)に示すように敵キャラ画像Tがエンディング演出中(エンディング期間中)の表示画面7aに表示される。なお、エンディング期間中に演出図柄8は表示されない。そして、バトルモード(時短状態)が開始されると、敵キャラ画像Tとともに画面右下に演出図柄8が表示され、以後、時短状態での特別図柄の変動表示に伴ってバトルモード中の変動演出(演出図柄8の変動表示等)が実行される。
【0273】
なお、本実施例では、バトルモードの対戦相手となる敵キャラの登場演出(敵キャラ画像の表示)をエンディング期間中に実行するものとしているが、大当り遊技の終了前であればその実行時期はエンディング期間中に限られない。例えば、時短大当りに係る大当り遊技の最終ラウンド中に登場演出を実行することも可能である。
【0274】
ここで、前述したように、本実施例では時短状態の終了条件である特別図柄の規定変動回数を、第1特別図柄が「8回」、第2特別図柄が「2回」としているところ、時短状態では長開放する第2始動口21への入球に基づく第2特別図柄の変動表示が主として行われるため、遊技者が普通に右打ちを行って遊技球を右遊技領域3Bに向けて発射している限り、第1特別図柄が8回変動表示するよりも前に第2特別図柄が2回変動表示して時短状態が終了する。そこで、以下では説明をわかりやすくするため、バトルモード(時短状態)では第2特別図柄の変動表示が2回行われることを前提として、バトルモード中(時短状態中)の基本的な遊技(変動演出)の流れを、
図44~
図46を参照しながら説明する。
【0275】
バトルモード中は、遊技球が第2始動口21に入球して第2特別図柄が変動表示を開始するたびに、これに対応して入球時演出が開始されるとともに表示画面7aの右下部で演出図柄8の変動表示が開始される。本実施例の入球時演出は、
図44(B)に示すように、表示画面7aの中央に表示されている敵キャラ画像T(敵キャラA)に対して攻撃が加えられた様子を描いた内容となっている。そして、第2始動口21への入球(特
図2始動入球1)に基づく時短1回目の変動表示として外れ変動が実行される場合、当該外れ変動は変動パターンP19に基づく400msの変動時間(短変動時間)で実行される(
図46(A)を参照)。このとき、時短1回目の外れ変動は400msという短時間で実行されるため、表示画面7aの右下に表示される演出図柄8の変動表示は一瞬(短時間)で終了する。
【0276】
その後、500msの停止表示時間を経て、第2始動口21への入球(特
図2始動入球2)に基づく時短2回目(最終回)の変動表示が開始される(
図46(A)を参照)。この時短2回目の変動表示は、特
図2当否判定の結果が大当りであれば変動パターンP17、小当りであれば変動パターンP18、外れであれば変動パターンP20に基づいて実行されるところ、これら各変動パターンは何れも変動時間45000msの変動パターンである(
図9を参照)。このため、時短状態の終了条件成立となる最終回の変動表示は必ず45000msの長変動時間で実行されることとなる。この長変動時間による変動表示に伴って、表示画面7aには、
図45(C)に示すように敵キャラAと味方キャラ(とのバトル(対戦)開始を示す演出(「バトル開始演出」ともいう。)が表示され、その後、図示しないバトル演出に発展して、特
図2当否判定の結果に応じたバトル演出が表示画面7a上で展開される。本実施例のバトル開始演出は、敵キャラ画像Tと味方キャラ画像Mが間にVSの文字を挟んで表示されるものとしている。
【0277】
また、バトル演出の内容(演出パターン)は、詳細な説明は省略するが、例えば、味方キャラが敵キャラに攻撃を仕掛けるターンと、敵キャラが味方キャラに攻撃を仕掛けるターンとをそれぞれ所定回数実行して決着する内容とすることができる。なお、バトル演出の演出パターンは前述のS4505で設定される。そして、バトル演出の結果、味方キャラが勝利すると、
図45(D)に示すように、表示画面7aの略中央に演出図柄8が当り態様(ゾロ目)で大きく表示(停止表示)される。一方、バトル演出の結果、味方キャラが敗北すると、表示画面7aの略中央に演出図柄8が外れ態様(バラケ目)で大きく表示(停止表示)される(図示せず)。
【0278】
以上は、特
図2の時短1回目の変動表示が外れ変動である場合の基本的な遊技(変動演出)の流れであるが、これに対し、特
図2の時短1回目の変動表示が当り変動である場合、当該当り変動は変動パターンP17又はP18に基づく45000msの変動時間(長変動時間)で実行される。この長変動時間の当り変動に伴う変動演出は、時短1回目の変動表示が外れ変動(短時間変動)である場合との見かけ上の差異を遊技者に極力感じさせないようにするため、2回目の変動表示が実行されてバトル演出に発展するように見せる態様で実行される。具体的には、第2始動口21への入球(特
図2始動入球1)に基づく時短1回目の当り変動の開始に伴って、表示画面7aの右下部で演出図柄8の変動表示が開始される(
図44(B)、
図46(B)を参照)。その後、第2特別図柄が変動表示を続けるなか、表示画面7aの右下部で変動表示を開始した演出図柄8が、その開始から400msが経過した時点、すなわち、時短1回目の外れ変動の変動時間と同じ時間が経過した時点で、一旦停止(仮停止)される。つまり、演出図柄8の1回目の変動表示が疑似的に終了する。そして、演出図柄8の仮停止から500msが経過した後、すなわち、停止表示時間と同じ時間が経過した後、第2始動口21への最初の入球(第2始動口入球コマンドの受信:S4405でYES)に基づいて、演出図柄8の変動表示が再開される(
図44(B)、
図46(B)を参照)。つまり、第2始動口21への入球(特
図2始動口入球)に基づいて、演出図柄8の2回目の変動表示が疑似的に開始される。このとき、当該特
図2始動口21への入球に基づいて入球時演出も実行される。このあと表示画面7a上では、
図45(C)に示すバトル開始演出を経て当該当り変動に対応するバトル演出が実行される。
【0279】
このように特
図2の時短1回目の変動表示が当り変動である場合、特
図2の時短最終回(2回目)までの残り回数分の演出図柄8の疑似的な停止表示(仮停止)及び変動表示、すなわち疑似変動演出を実行することにより、時短1回目の変動表示が外れ変動である場合と同様の見た目でバトルモード中の遊技(変動演出)が進行されるようになっている。これにより、時短1回目の変動表示が外れ変動であっても当り変動であっても、遊技者にできるだけ違和感を与えないようにして、時短最終回(2回目)の変動表示(ワンチャンス)でV大当りを狙うバトルモードを楽しませることが可能となる。
【0280】
なお、演出図柄8の仮停止から500ms(停止表示時間)が経過した後、所定の制限時間内(例えば仮停止から2000ms以内)に遊技球が第2始動口21に入球したかった場合、その制限時間の経過により演出図柄8の変動表示が再開されるように構成してもよい。こうすれば、変動演出の進行が過度に停滞してしまうのを回避することが可能となる。
【0281】
また、疑似連演出に関し、上記説明では特
図2の時短1回目の変動表示が当り変動である場合に疑似変動演出を実行する例を示したが、特
図2の時短最終回(2回目)の変動表示よりも前に特
図1の当り変動が実行される場合も同様にして、当該特
図1当り変動に対応する変動演出として疑似連演出が実行される。具体的に、例えば、時短状態に移行後(バトルモード開始後)、特
図2が変動表示することなく特
図1が時短1回目の変動表示を開始し、当該変動表示が当り変動である場合、当該当り変動の開始に伴って演出図柄8の変動表示が開始される。その後、特
図1が変動表示を続けるなか、表示画面7aの右下部で変動表示を開始した演出図柄8が、その開始から400msが経過した時点で一旦停止(仮停止)され、ここから500msの経過後、第2始動口21への最初の入球(第2始動口入球コマンドの受信:S4405でYES)に基づいて、入球時演出が実行されるとともに演出図柄8の変動表示が再開される。この再開された変動表示が、特
図2の1回目の変動表示に対応するものと見せかける演出図柄8の疑似的な変動表示(1回目の疑似変動)である。この再開から400msが経過した時点で演出図柄8が再び一旦停止(仮停止)され、ここから500msの経過後、第2始動口21への最初の入球(第2始動口入球コマンドの受信:S4405でYES)に基づいて、再び入球時演出が実行されるとともに演出図柄8の変動表示が再開される。この再開された変動表示が、特
図2の2回目(最終回)の変動表示に対応するものと見せかける演出図柄8の疑似的な変動表示(2回目の疑似変動)である。そして、2回目の疑似変動の開始後、当該特
図1当り変動に対応するバトル演出が実行される。
【0282】
このように、特
図2の時短最終回(2回目)の変動表示よりも前に特
図1の当り変動が実行される場合においても、特
図2の時短最終回(2回目)までの残り回数分、すなわち、2回の疑似的な停止表示(仮停止)及び変動表示を経て演出図柄8の変動表示が終了(確定停止)する態様で疑似連演出が実行される。
【0283】
ここで、バトルモード(時短状態、高頻度状態)において実行されるバトル演出のことを「特定演出」ともいい、敵キャラ画像Tのことを「特定画像」ともいう。また、変動演出やバトル演出の実行に係る前述の変動演出開始処理(S4404)等を行う演出制御用マイコン91(サブ制御部)は「変動演出実行手段」及び「特定演出実行手段」として機能するといえる。さらに、演出図柄(識別情報)を変動表示させる前述の変動演出開始処理(S4404)等を行う演出制御用マイコン91(サブ制御部)は「変動表示手段」として機能するといえる。
【0284】
[バトルモードBGM再生]
次に、バトルモードのBGM再生(楽曲再生)について説明する。前述したように本実施例では、バトルモードを盛り上げるためのBGM(楽曲)が再生される構成となっている。バトルモードのBGM(「バトルモードBGM」ともいう。)として、第1楽曲~第5楽曲までの計5曲が設けられており、これら5曲の楽曲データが副制御基板90のROM(「音ROM」ともいう。)に格納されている。演出制御用マイコン91は、バトルモードに係るBGMの再生制御を前述の音制御処理(S4302)により行う。
【0285】
演出制御用マイコン91は、バトルモードBGMを再生するにあたり、第1楽曲から第5楽曲までを第1楽曲から順に連続して再生する。そして、バトルモードが継続するなか、第5楽曲の再生を終えると第1楽曲に戻り、再度、第5楽曲まで連続して再生する。本実施例では、それら5曲の楽曲の連続再生をシームレス再生により行うものとしている。すなわち、第1楽曲から第5楽曲までを連続してする際、楽曲間に無音部分を挿入せずに継ぎ目なく(途切れなく)連続的に再生するものとしている。これにより、複数の楽曲(本例では5曲)を連続して再生する際、次の楽曲の再生がスムーズに開始されるようになるため、バトルモード中のBGMの良好な聴き心地が実現される。
【0286】
なお、本実施例では、バトルモードBGMを第1楽曲~第5楽曲の5曲で構成しているが、バトルモードBGMを構成する楽曲数は5曲より多くても少なくてもよく、1曲であってもよい。バトルモードBGMを1曲とする場合、バトルモードが継続する限り、その1曲を繰り返し再生(いわゆるリピート再生)するように構成することが可能である。また複数の楽曲とする場合、そのうちの何れかの楽曲をランダムに選曲して再生(いわゆるシャッフル再生)するように構成することも可能である。
【0287】
バトルモードBGMの再生は、バトルモードの実行契機となる大当り、すなわち時短大当りに係る大当り遊技中から開始される。具体的には、非時短状態にて特
図1大当りA又は特
図1大当りBが発生した場合、すなわち、初当りとして時短大当りが発生した場合、演出制御用マイコン91は、当該時短大当りに係る大当り遊技の1ラウンド目の開始に伴ってバトルモードBGMの再生を開始する。そして、当該大当り遊技が終了して遊技状態が時短状態に移行し、バトルモードが開始された後も、バトルモードBGMの再生を継続して行う。このようにバトルモードBGMの再生を大当り遊技中(換言すると、バトルモードの開始前)から開始するのは、大当り遊技後にバトルモードが開始される(時短状態へ移行する)ことが確定している状況下で遊技者のバトルモードでの遊技に対する期待感を効果的に高揚させるためである。
【0288】
なお、バトルモードBGMの再生タイミングは1ラウンド目でなくてもよく、2ラウンド目以降の何れかのラウンドとしたりエンディング期間中としたりすることが可能である。エンディング期間中とする場合、敵キャラの登場演出の開始(実行)に合わせてバトルモードBGMの再生を開始するのが好適である。敵キャラの登場とバトルモードBGMの再生開始とがリンクすることで高揚感が高められるからである。
【0289】
バトルモードでは、前述したように、特
図2の時短最終回(2回目)の変動表示でバトル演出に発展して、当該バトル演出の結果、すなわち、当該変動表示の結果(当り又は外れ)が表示される。バトル演出の結果は、味方キャラが勝利する「当り」(小当り又は大当り)と、味方キャラが敗北する「外れ」に大別される。このバトル演出の結果に対応して、本実施例のバトル演出の態様(バトル演出パターン)には、味方キャラが勝利する味方勝利パターンと、味方キャラが敗北(敵キャラが勝利)する味方敗北パターンと、が設けられている。さらに味方勝利パターンと味方敗北パターンの夫々に、味方キャラの優勢でバトル(対戦)が展開される味方優勢パターンと、敵キャラの優勢でバトル(対戦)が展開される敵優勢パターンと、が設けられている。つまり、バトル演出パターンとして、味方優勢かつ味方勝利パターン(「味方ストレート勝ちパターン」ともいう。)と、敵優勢かつ味方勝利パターン(「味方逆転勝ちパターン」ともいう。)と、敵優勢かつ味方敗北パターンと(「味方ストレート負けパターン」ともいう。)、味方優勢かつ味方敗北パターン(「味方逆転負けパターン」ともいう。)と、が設けられている。
【0290】
演出制御用マイコン91は、バトルモードでの変動演出としてバトル演出を実行する場合、図示しない変動演出パターン決定テーブルを用いて、味方ストレート勝ちパターン、味方逆転勝ちパターン、味方ストレート負けパターン、又は、味方逆転負けパターンを選択して、当該選択したパターンを実行するバトル演出パターンとして設定する(S4505)。なお、バトル演出が実行される変動表示(当り変動)に係る当否判定の結果が当り(小当り又は大当り)の場合、味方敗北パターンが設定されることはなく「味方ストレート勝ちパターン」又は「味方逆転勝ちパターン」が設定され、当否判定の結果が外れの場合、味方勝利パターンが設定されることはなく「味方ストレート負けパターン」又は「味方逆転負けパターン」が設定される。本実施例では、こうして設定されるバトル演出パターンの種類によって、バトルモードBGMの再生態様が異なるものとなっている。以下、バトルモードBGMの再生態様について
図47及び
図48を参照しながら説明する。なお、
図47及び
図48のうち表示画面7aに「ED」とあるのはエンディング演出を意味している。このED表示(エンディング演出)のときにバトル対戦相手となる敵キャラ(敵キャラ画像)が表示される。
【0291】
図47は、バトルモードにおける特
図2の時短最終回(2回目)の変動表示で実行されるバトル演出で味方キャラが勝利する場合の演出表示とBGMの変遷(対応関係)を示している。前述のように、バトルモードBGMの再生(シームレス再生)は、大当り遊技中から開始されている。そして、バトル演出が味方ストレート勝ちパターンで実行される場合、表示画面7aには味方キャラ優勢のバトル演出場面が表示され、その後、味方キャラの勝利シーンが表示され、演出図柄が当り態様(例えば「111」のゾロ目)で表示される。このようにバトル演出が味方ストレート勝ちパターンで実行される場合、バトルモードBGMの再生は、大当り遊技中から大当り遊技後のバトルモードにて演出図柄が当り態様で表示されるまで継続して行われる(
図47上段を参照)。なお、味方キャラ優勢のバトル演出場面は、バトルの戦局が味方キャラ有利であることを表現した演出場面であり、例えば、味方キャラが敵キャラに先制攻撃を与えてバトルが展開していくシーンを、味方キャラ優勢のバトル演出場面とすることができる。
【0292】
一方、バトル演出が味方逆転勝ちパターンで実行される場合、表示画面7aには敵キャラ優勢(味方キャラ劣勢)のバトル演出場面が表示されるものの、その後、形勢が逆転して味方キャラの勝利シーンが表示され、演出図柄が当り態様で表示される。このようにバトル演出が味方逆転勝ちパターンで実行される場合、バトルモードBGMの再生は、大当り遊技中から大当り遊技後のバトルモードにて敵キャラ優勢のバトル演出場面が表示される前まで継続して行われた後、敵キャラ優勢のバトル演出場面が表示されるのに伴って停止(一時停止)され、その後、味方キャラ勝利シーンを経て演出図柄が当り態様で表示(停止表示)されるタイミングに合わせて再開される(
図47下段を参照)。そして、バトルモードBGMの再生が停止されてから再開されるまでの間、すなわち、敵キャラ優勢のバトル演出場面が表示される間、バトルモードBGMに代わって、味方キャラ劣勢(ピンチ)に対応するBGM(「ピンチBGM」ともいう。)が再生される(
図47下段を参照)。ピンチBGMの楽曲データは音ROMに格納されている。なお、敵キャラ優勢(味方キャラ劣勢)のバトル演出場面は、バトルの戦局が味方キャラ不利であることを表現した演出場面であり、例えば、味方キャラが敵キャラの先制攻撃を受けてバトルが展開していくシーンを、敵キャラ優勢のバトル演出場面とすることができる。
【0293】
以上の味方キャラが勝利する場合のBGMの再生にあたり、演出制御用マイコン91は、実行するバトル演出パターンに基づいてBGMの再生制御を行う。具体的には、バトルモードBGMの再生中にバトル演出が開始され、当該バトル演出中に味方キャラ優勢のバトル演出場面が表示画面7aに表示される場合、バトルモードBGMの再生をそのまま継続する。一方、バトルモードBGMの再生中にバトル演出が開始され、当該バトル演出中に敵キャラ優勢のバトル演出場面が表示画面7aに表示される場合、当該演出場面の表示開始に合わせてバトルモードBGMの再生を停止するとともに、ピンチBGMの再生を開始する。その後、味方キャラの勝利シーンが表示されて演出図柄が当り態様で表示(停止表示)されるタイミングに合わせてピンチBGMの再生を終了し、先に停止したバトルモードBGMの再生を再開する。
【0294】
なお、ピンチBGMの再生終了及びバトルモードBGMの再生再開タイミングは、演出図柄が当り態様で表示(停止表示)されるタイミングの他、例えば、味方キャラ勝利シーンの表示開始タイミングや味方キャラ勝利シーンの表示中など、味方キャラの勝利が確定的に表示される所定のタイミングとすることも可能である。
【0295】
これに対し、
図48は、バトルモードにおける特
図2の時短最終回(2回目)の変動表示で実行されるバトル演出で味方キャラが敗北する場合の演出表示とBGMの変遷(対応関係)を示している。同図に示すように、バトル演出が味方逆転負けパターンで実行される場合、表示画面7aには味方キャラ優勢のバトル演出場面が表示された後、味方キャラの敗北シーンが表示され、演出図柄が外れ態様(例えば「268」のバラケ目)で表示される。このようにバトル演出が味方逆転負けパターンで実行される場合、バトルモードBGMの再生は、大当り遊技中から大当り遊技後のバトルモードにて演出図柄が外れ態様で表示される直前(又は味方キャラの敗北シーンが表示される)まで行われ、演出図柄が外れ態様で表示されるタイミングに合わせて停止されて、そのまま終了となる。そして、バトルモードBGMの再生終了に続いて、バトルモード終了を知らせる演出音(「バトルモード終了音」ともいう。)の再生が開始される(
図48上段を参照)。なお、バトルモード終了音の音響データも音ROMに格納されている。
【0296】
一方、バトル演出が味方ストレート負けパターンで実行される場合、表示画面7aに敵キャラ優勢のバトル演出場面が表示されてピンチBGMの再生が終了するまでは、
図47に示す味方逆転勝ちパターンの場合と同様にしてバトルモードBGM及びピンチBGMが再生される(
図47下段、
図48下段を参照)。その後、味方キャラの敗北シーンが表示されて演出図柄が外れ態様で表示(停止表示)されるタイミングに合わせてピンチBGMの再生が終了し、これに続いてバトルモード終了音の再生が開始される(
図48下段を参照)。
【0297】
以上の味方キャラが敗北する場合のBGMの再生にあたり、演出制御用マイコン91は、実行するバトル演出パターンに基づいてBGMの再生制御を行う。具体的には、バトルモードBGMの再生中にバトル演出が開始され、当該バトル演出中に味方キャラ優勢のバトル演出場面が表示画面7aに表示される場合、当該演出場面を経て演出図柄が外れ態様で表示(停止表示)されるタイミングに合わせてバトルモードBGMの再生を終了し、バトルモード終了音の再生を開始する。一方、バトルモードBGMの再生中にバトル演出が開始され、当該バトル演出中に敵キャラ優勢のバトル演出場面が表示画面7aに表示される場合、当該演出場面の表示開始に合わせてバトルモードBGMの再生を停止するとともに、ピンチBGMの再生を開始する。その後、味方キャラの敗北シーンが表示されて演出図柄が外れ態様で表示(停止表示)されるタイミングに合わせてピンチBGMの再生を終了し、バトルモード終了音の再生を開始する。
【0298】
なお、ピンチBGMの再生終了及びバトルモード終了音の再生開始タイミングは、演出図柄が外れ態様で表示(停止表示)されるタイミングの他、例えば、味方キャラ敗北シーンの表示開始タイミングや味方キャラ敗北シーンの表示中など、味方キャラの敗北が確定的に表示される所定のタイミングとすることも可能である。
【0299】
ここで、時短大当りに係る大当り遊技後の時短状態(高頻度状態)が設定される遊技期間、すなわち、バトルモードが実行される期間のことを「特定期間」ともいい、バトルモード中に実行されるバトル演出のことを「特定変動演出」ともいい、バトルモードBGM(第1楽曲~第5楽曲)のことを「特定楽曲」ともいう。また、敵キャラ優勢のバトル演出場面のことを「特別演出場面」ともいい、ピンチBGMのことを「特別楽曲」ともいう。さらに、BGMの再生制御を音制御処理(S4302)により行う演出制御用マイコン91は「楽曲再生手段」として機能するといえる。
【0300】
[実施例の作用効果]
以上に説明した本実施例のパチンコ遊技機1では、第2始動口21(可変始動口)が長開放(本例では5500ms開放)する時短高ベース状態において、時短最終回よりも前に実行される特別図柄の変動表示が外れ変動である場合、当該外れ変動は変動パターンP19により規定される短変動時間(本例では400ms)で実行される。そして、第2始動口21が長開放する場合の当該開放時間(5500ms)内に、短変動時間(400ms)による外れ変動が複数回実行可能となっている。このため、最終回の変動表示が実行(開始)されるまでは外れ変動を速やかに消化することが可能となる。これにより、スピード感のある時短高ベース状態を実現して、時短高ベース状態の興趣を向上させることが可能となる。
【0301】
特に本実施例のパチンコ遊技機1は、いわゆる1種2種タイプの遊技機であり、時短高ベース状態の遊技性を、V大当り及び時短高ベース状態の継続をワンチャンス(1回の特
図2小当りB)で狙う遊技性としている。このため、時短最終回より前の外れ変動を短変動時間で速やかに(高速で)消化することによるスピード感と相俟って、そうした遊技性の興趣をより高めることが可能となる。
【0302】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、第2特図保留を記憶する機能(特
図2保留記憶手段)を備えておらず、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示中に遊技球が第2始動口21に入球しても、当該入球に基づく当否判定用乱数等(所定情報)の取得は行われないため、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示中に遊技球が第2始動口21に入球しても、当該入球を契機に第2特別図柄の変動表示が実行されることはない。ここで、時短高ベース状態では第2始動口21への遊技球の入球頻度が高まるなか、外れ変動が短変動時間(本例では400ms)で実行されるため、第2始動口21への入球に基づく次の(新たな)変動表示がすぐに開始可能となる。このため、第2始動口21への無駄な入球(変動表示の実行契機とならない入球)を極力排除しつつ、第2始動口21への入球と第2特別図柄の変動表示との連動感を醸成することが可能となる。これにより、第2始動口21に遊技球が高頻度で入球するなか、その入球ごとに変動表示が次々と実行(開始)される印象を遊技者に与えることが可能となり、その結果、遊技者にストレスを感じさせるこなく遊技を行わせることが可能となる。
【0303】
特に本実施例のパチンコ遊技機1は、時短高ベース状態での遊技を右打ちで進めるものとなっており、右遊技領域3Bを流下する遊技球は第2始動口21に向かう遊技球誘導路25(
図3を参照)を流下して、当該誘導路25を流下する遊技球の殆どが第2始動口21に入球し得る構成となっている。このため、時短高ベース状態における遊技進行のスピード感は顕著であり、遊技者にストレスを感じさせ難いものである。
【0304】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、時短高ベース状態において時短最終回よりも前に実行される外れ変動の変動時間は、本パチンコ遊技機1における最短の変動時間とされている。このため、時短最終回より前の外れ変動をより速やかに消化することが可能となる。これにより、時短高ベース状態の遊技進行のスピード感を増すことが可能となる。
【0305】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、時短高ベース状態にて第2始動口21の可動部材23が作動した際、その作動時間内(本例では5500ms)に遊技球を第2始動口21に複数入球させることで、時短最終回の変動表示が開始される可能性が高いものとなっている。このため、可動部材23の一の作動(第2始動口21の一の開放)を契機に時短高ベース状態の終了条件が成立し得るものなる。これにより、大当り遊技後の時短高ベース状態を短期間のうちに一気に完結させるスピーディーな遊技性が実現可能となる。
【0306】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、時短高ベース状態における時短最終回の特別図柄の変動表示は、変動パターンP19で規定される変動時間(400ms)よりも長い変動時間(変動パターンP19の10倍以上の変動時間45000ms)で実行される。このため、時短最終回の変動表示に遊技者を惹きつけやすくなる。これにより、時短高ベース状態の終了に合わせて遊技者の遊技に対する期待感や緊張感を高揚させることが可能となる。
【0307】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、時短高ベース状態にて時短最終回より前に実行される当り変動は、変動パターンP17又はP18で規定される長変動時間(変動パターンP19の10倍以上の変動時間45000ms)で実行される。このため、時短最終回より前に実行される変動表示が短変動時間でない場合には、特別図柄が特定態様で停止表示されることとなる。これにより、時短高ベース状態の序盤から遊技者の遊技に対する期待感や緊張感を高揚させることが可能となる。
【0308】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、時短高ベース状態において時短最終回より前に当り変動が実行される場合、当該当り変動に伴って疑似変動演出が実行される。疑似変動演出では、第2特別図柄の時短最終回までの残り回数分の演出図柄の疑似的な変動表示が実行され、しかも、その疑似的な変動表示は第2始動口21への入球を契機に実行され得るものとなっている。このため、時短最終回より前に実行される変動表示が当り変動であるとしても、時短最終回より前に実行される変動表示が外れ変動である場合や時短最終回に実行される変動表示が当り変動である場合と見かけ上、同様の変動演出の構成を採ることが可能となる。これにより、時短高ベース状態中は、遊技進行態様(当りの発生タイミング、当りの有無等)にかかわらず同様の見た目(演出態様)で遊技を楽しませることが可能になるため、興趣の向上が図りやすくなる。
【0309】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、大当り遊技のエンディング期間中に、当該大当り遊技後の時短高ベース状態(バトルモード)で実行されるバトル演出のバトル対戦相手となる敵キャラ画像が表示画面7aに表示される。このため、バトル演出(バトルモード)の開始前から、そのバトル演出に係る敵キャラを遊技者に認識させて、バトル演出(バトルモード)に遊技者を惹きつけることが可能となる。これにより、バトル演出(バトルモード)を通じてスピード感のある時短高ベース状態の興趣を向上させることが可能となる。
【0310】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、時短高ベース状態(バトルモード)中、第2始動口21への遊技球の入球を契機に入球時演出が実行可能となっており、当該入球時演出を経てバトル演出に発展し得るものとなっている。このため、「第2始動口21への入球」と「入球時演出及びバトル演出発展」とがリンクして、遊技者に自力感を抱かせるあるバトル演出とすることが可能となる。これにより、時短高ベース状態(バトルモード)中の演出効果を高めることが可能となる。
【0311】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、大当り遊技中から該大当り遊技後のバトルモード(時短高ベース状態)にわたってバトルモードBGMが再生される。このバトルモード中(バトルモードBGMの再生中)にバトル演出が表示画面7aに表示され、該バトル演出に敵キャラ優勢のバトル演出場面が含まれる場合、当該演出場面が表示される間、バトルモードBGMの再生が停止される。一方、敵キャラ優勢のバトル演出場面が含まれない場合、すなわち、味方キャラ優勢のバトル演出場面が含まれている場合には、バトルモードBGMの再生が停止されることはなく、その再生が継続される。このため、バトルモード中(バトルモードBGMの再生中)に表示されるバトル演出の展開(敵キャラ優勢のバトル演出場面の有無)に応じて、大当り遊技中から継続されるバトルモードBGMの再生が停止される場合とされない場合とがあるようになる。これにより、バトルモード中の演出にメリハリをつけて、大当り遊技から当該大当り遊技後のバトルモードにかけての興趣を向上させることが可能となる。
【0312】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、大当り遊技後のバトルモード中(バトルモードBGMの再生中)にバトル演出が表示され、該バトル演出中に敵キャラ優勢のバトル演出場面が表示された場合、当該演出場面が表示される間、バトルモードBGMに代わってピンチBGMが再生されるものとなっている。このため、バトル演出中、敵キャラ優勢(味方キャラ劣勢)のバトル演出場面の表示とリンクして、再生されるBGMが変化するものとなる。これにより、敵キャラ優勢のバトル演出場面が表示されたときの高揚感を高めることが可能となる。
【0313】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、大当り遊技後のバトルモード中(バトルモードBGMの再生中)にバトル演出が表示され、当該バトル演出での敵キャラ優勢のバトル演出場面を経て、演出図柄(特別図柄)が当り態様で停止表示される場合、その敵キャラ優勢のバトル演出場面が表示される間停止されていたバトルモードBGMの再生が再開される。このため、先の大当り遊技の終了後、バトルモード中の当り態様の停止表示により次の当り遊技(V大当り)が実行される場合(いわゆる連荘の場合)、先の大当り遊技からのバトルモードBGMの再生が一時停止を経て再開(継続)されることとなる。これにより、連荘を効果的に演出することが可能となる。
【0314】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、バトルモードBGMが再生される場合、そのバトルモードBGMを構成する複数の楽曲がシームレス再生されるものとなっている。このため、バトルモードBGMの再生が続く場合、複数の楽曲が途切れることなく連続して再生されるものとなる。これにより、バトルモードBGMを良好な聴き心地として、バトルモードでの遊技に臨む遊技者の高揚感を効果的に高めることが可能となる。
【0315】
以上、本発明の実施形態として実施例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することが可能である。
【0316】
例えば、前述の実施例では、時短状態の終了条件となる特別図柄の規定変動回数を、第1特別図柄が「8回」、第2特別図柄が「2回」とし、第1特別図柄と第2特別図柄とで異ならせるものとしていたが、その回数は実施例に限定されるものではなく、遊技性やスペック等を考慮して任意に定めることが可能である。また、第1特別図柄と第2特別図柄とで規定変動回数を同じとしたり、特別図柄の種類に関係なく各図柄の総回数で規定変動回数を定めたりしてもよい。
【0317】
また、前述の実施例では、第2特別図柄の変動表示を第1特別図柄の変動表示に優先して実行する構成(いわゆる特
図2優先変動)を採用していたが、これに限らず、第1特別図柄の変動表示を第2特別図柄の変動表示に優先して実行する構成(いわゆる特
図1優先変動)としてもよい。あるいは、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示とに優先順位を設定しない構成としてもよい。要するに、本発明は、第1特別図柄及び第2特別図柄の何れか一方が変動表示するときには他方が変動表示しないように構成された遊技機に適用することが可能である。
【0318】
また、前述の実施例では、バトルモード中にバトル演出が開始され、当該バトル演出にて敵キャラ優勢のバトル演出場面が表示される場合、当該演出場面の表示に合わせてバトルモードBGMの再生が停止されて、これに代わってピンチBGMの再生が開始されるものとしていたが、バトルモードBGMの再生停止(一時停止)やピンチBGMの再生開始の契機となる演出場面(特別演出場面)は実施例に限定されるものではない。例えば、敵キャラ優勢のバトル演出場面に代えて味方キャラ優勢のバトル演出場面としたり、これら演出場面とは異なる他の演出場面(例えば、バトル背景が変化する演出場面)としたりすることが可能である。
【0319】
また、前述の実施例では、大当り遊技後の時短高ベース状態の演出モードをバトルモードとし、味方キャラと敵キャラとの対戦によるバトル演出が実行されるものとしていたが、時短高ベース状態の演出モード(特定期間)や当該モード中に実行される専用の演出(特定演出、特定変動演出)、さらには、モード中のBGMの再生停止の契機となる演出場面(特別演出場面)等の内容は、実施例に限定されるものではなく、機種のモチーフや仕様、スペック等に応じてそれらの内容を定めることが可能である。
【0320】
また、前述の実施例では、1種2種タイプのパチンコ遊技機に本発明を適用したものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、いわゆる1種タイプのパチンコ遊技機にも本発明を適用することが可能である。1種タイプのパチンコ遊技機としては、例えば、大当り図柄の種類に基づいて確率変動機能や変動時間短縮機能、開放延長機能を作動させるか否かを決定するタイプや、大入賞口(Vアタッカー)内に設けられた確変作動口としての特定領域(V領域)を遊技球が通過(V通過)したか否かに基づいて確率変動機能を作動させるか否かを決定するタイプが例示できる。いずれにせよ、本発明は少なくとも高ベース状態(高頻度状態)を発生可能な遊技機に適用することが可能である。
【0321】
なお、前述の確率変動機能を備える遊技機においては、確率変動機能の非作動・作動により大当り確率が低確率(第1確率)又は高確率(第2確率)に設定されるのが一般的であるが、大当り確率の種類(数)はこれに限定されるものではなく、例えば、低確率(第1確率)よりも高く高確率(第2確率)よりも低い中確率(第3確率)等、3種類以上の確率を設定可能としてもよい。さらに、第1低確率と第1高確率(第1確率条件)、第2低確率と第2高確率(第2確率条件)、第3低確率と第3高確率(第3確率条件)など、低確率と高確率との関係を定めた複数種の確率条件を設け、当該複数種の確率条件のうちの何れかを、例えば、遊技機の電源投入時に任意に設定可能(選択可能)としてもよい。
【0322】
[その他]
以下、本明細書で開示した実施形態(実施例)に関連する発明を参考発明として開示しておく。
【0323】
(参考発明1)
従来、始動口への遊技球の入球に基づいて変動表示される識別情報(例えば特別図柄等)が特定態様で停止表示された場合に、遊技者に所定の利益を付与し得る特別遊技(例えば大当り遊技等)が実行可能となる遊技機が知られている。この種の遊技機において、普通電動役物等により構成されて遊技球の入球可能性が変化し得る可変始動口を備え、特別遊技の終了後に、可変始動口への遊技球の入球頻度が通常よりも高くなる高頻度状態に移行し得るように構成されたものが存在する(例えば、特開2009-240423号公報を参照)。
【0324】
しかしながら、特別遊技の終了後に高頻度状態へ移行する遊技性は既に周知化しており、遊技の興趣を向上させるには更なる改善の余地がある。
【0325】
本参考発明1は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特別遊技の終了後に高頻度状態へ移行可能な遊技機の興趣を向上させることにある。
【0326】
参考発明1-1の遊技機は、
始動口への遊技球の入球に基づいて変動表示される識別情報が特定態様で停止表示された場合に、遊技者に所定の利益を付与し得る特別遊技が実行可能となり、
前記始動口として、遊技球の入球可能性が変化し得る可変始動口を有する遊技機であって、
前記可変始動口への遊技球の入球に基づいて所定情報を取得可能な情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した所定情報に基づいて識別情報を変動表示させる変動表示手段と、
前記特別遊技の終了後に、前記可変始動口への遊技球の入球頻度が通常よりも高くなる高頻度状態を設定可能な高頻度状態設定手段と、を備え、
前記可変始動口は、所定条件の成立に基づいて所定時間作動する可動部材を含み、該可動部材が作動することで遊技球の入球可能性がその作動前に比して高くなるものであり、
前記所定情報には、少なくとも、非特定情報と特定情報とがあり、
前記非特定情報に基づいて識別情報が変動表示されると該識別情報が非特定態様で停止表示され、
前記特定情報に基づいて識別情報が変動表示されると該識別情報が前記特定態様で停止表示され、
前記高頻度状態の設定後、該高頻度状態にて識別情報の変動表示が所定回数実行されると、該高頻度状態が終了するように構成されており、
前記変動表示手段は、予め定められた複数の変動時間のうち何れかの変動時間で識別情報を変動表示させるものであり、
前記複数の変動時間には、前記高頻度状態にて前記可動部材が作動した場合の当該作動時間よりも短く、かつ、当該作動時間内に識別情報の変動表示を複数回実行可能とする短変動時間が含まれており、
前記変動表示手段は、前記高頻度状態にて前記所定回数目よりも前に前記非特定情報に基づいて識別情報を変動表示させる場合、前記短変動時間で変動表示させる
ことを特徴とするものである。
【0327】
このような遊技機によれば、高頻度状態において、当該高頻度状態が終了することとなる所定回数目(最終回)の識別情報の変動表示が実行されるよりも前に、非特定情報に基づく識別情報の変動表示が実行される場合、その変動表示は短変動時間で実行される。可変始動口は可動部材が作動することで遊技球の入球可能性が高まるものであるところ、短変動時間は、高頻度状態にて可動部材が作動した場合の当該作動時間よりも短く、かつ、当該作動時間内に識別情報の変動表示が複数回実行可能となる時間とされている。このため、高頻度状態において最終回の識別情報の変動表示が実行(開始)されるまでは、非特定情報に基づく識別情報の変動表示を速やかに消化することが可能となる。これにより、スピード感のある高頻度状態を実現して、高頻度状態の興趣を向上させることが可能となる。
【0328】
参考発明1-2の遊技機は、前述した参考発明1-1の遊技機において、
前記情報取得手段は、識別情報が変動表示していないときに遊技球が前記可変始動口に入球した場合に所定情報を取得し、該取得した所定情報に基づく識別情報の変動表示が終了するまで、新たに所定情報を取得しないものとされている
ことを特徴とするものである。
【0329】
このような遊技機によれば、識別情報の変動表示中に遊技球が可変始動口に入球した場合、その入球を契機に識別情報の変動表示が実行されることはない。ここで、高頻度状態では可変始動口への遊技球の入球頻度が高まるなか、非特定情報に基づく識別情報の変動表示が短変動時間で実行されるため、可変始動口への入球に基づく次の(新たな)変動表示がすぐに開始されるようになる。このため、可変始動口への無駄な入球を極力排除しつつ、可変始動口への入球と識別情報の変動表示との連動感を醸成することが可能となる。これにより、可変始動口に遊技球が高頻度で入球するなか、その入球ごとに変動表示が次々と実行(開始)される印象を遊技者に与えることが可能となり、その結果、遊技者にストレスを感じさせるこなく遊技を行わせることが可能となる。
【0330】
参考発明1-3の遊技機は、前述した参考発明1-1又は1-2の遊技機において、
前記短変動時間は、前記複数の変動時間のうち最短の変動時間である
ことを特徴とするものである。
【0331】
このような遊技機によれば、高頻度状態にて最終回より前に実行される非特定情報に基づく識別情報の変動表示は、複数の変動時間のうち最短の変動時間で実行される。このため、高頻度状態における最終回より前の非特定情報に基づく識別情報の変動表示をより速やかに消化することが可能となる。これにより、高頻度状態の遊技進行のスピード感を増すことが可能となる。
【0332】
参考発明1-4の遊技機は、前述した参考発明1-1から1-3の何れか一つの遊技機において、
前記高頻度状態にて前記可動部材が作動して当該作動時間内に遊技球が前記可変始動口に複数入球することで、前記所定回数目の識別情報の変動表示が開始可能となるように構成されている
ことを特徴とするものである。
【0333】
このような遊技機によれば、高頻度状態にて可動部材が作動した際、その作動時間内に遊技球を可変始動口に複数入球させることで、所定回数目の識別情報の変動表示が開始されるようになる。このため、可動部材の一の作動を契機に高頻度状態の終了条件が成立し得るものなる。これにより、特別遊技後の高頻度状態を一気に完結させる遊技性が実現可能となる。
【0334】
参考発明1-5の遊技機は、前述した参考発明1-1から1-4の何れか一つの遊技機において、
前記変動表示手段は、前記高頻度状態にて前記所定回数目に識別情報を変動表示させる場合、前記複数の変動時間のうち前記短変動時間よりも長い変動時間で変動表示させる
ことを特徴とするものである。
【0335】
このような遊技機によれば、高頻度状態における所定回数目(最終回)の識別情報の変動表示は、短変動時間よりも長い変動時間で実行される。このため、最終回の識別情報の変動表示に遊技者を惹きつけやすくなる。これにより、高頻度状態の終了に合わせて遊技者の遊技に対する期待感や緊張感を高揚させることが可能となる。
【0336】
参考発明1-6の遊技機は、前述した参考発明1-1から1-5の何れか一つの遊技機において、
前記変動表示手段は、前記高頻度状態にて前記所定回数目よりも前に前記特定情報に基づいて識別情報を変動表示させる場合、前記複数の変動時間のうち前記短変動時間よりも長い変動時間で変動表示させる
ことを特徴とするものである。
【0337】
このような遊技機によれば、高頻度状態にて所定回数目(最終回)より前に実行される特定情報に基づく識別情報の変動表示は、短変動時間よりも長い変動時間で実行される。このため、最終回より前に実行される識別情報の変動表示が短変動時間でない場合には、識別情報が特定態様で停止表示されることとなる。これにより、高頻度状態の序盤から遊技者の遊技に対する期待感や緊張感を高揚させることが可能となる。
【0338】
参考発明1-7の遊技機は、前述した参考発明1-6の遊技機において、
前記識別情報の変動表示に伴って所定の表示部で演出図柄を変動表示させる変動演出を実行可能な変動演出実行手段を備え、
前記変動演出実行手段は、前記高頻度状態にて前記所定回数目よりも前に前記特定情報に基づいて識別情報が変動表示される場合、該変動表示が終了するまでに、前記所定回数までの残り回数分の疑似的な変動表示を含めて前記演出図柄が複数回変動表示するように見せる疑似変動演出を実行可能であり、
前記疑似変動演出では、前記残り回数分の疑似的な変動表示を前記可変始動口への遊技球の入球を契機に開始可能とされている
ことを特徴とするものである。
【0339】
このような遊技機によれば、識別情報の変動表示に伴って演出図柄を変動表示させる変動演出が実行されるなか、高頻度状態において所定回数目(最終回)より前に特定情報に基づく識別情報の変動表示が実行される場合、当該変動表示に伴って疑似変動演出が実行される。この場合、当該変動表示の終了により識別情報が特定態様で停止表示され、その後に特別遊技が実行されるため、識別情報の変動表示回数が所定回数になる前に高頻度状態が終了することとなる。疑似変動演出では、その所定回数になるまでの残り回数分の疑似的な演出図柄の変動表示が可変始動口への遊技球の入球を契機に開始可能とされているため、遊技者には、最終回の変動表示を経て識別情報が特定態様で停止表示される(特別遊技が実行される)ように見せかけることが可能となる。これにより、高頻度状態にて特定情報に基づく識別情報の変動表示が所定回数目(最終回)より前に実行される場合と所定回数目(最終回)に実行される場合とで、見かけ上、同様の変動演出の構成を採ることが可能となり、興趣の向上が図りやすくなる。
【0340】
参考発明1-8の遊技機は、前述した参考発明1-1から1-7の何れか一つの遊技機において、
前記高頻度状態において、所定の表示部に表示される特定画像を用いた特定演出を実行可能な特定演出実行手段を備え、
前記特別遊技の終了後に前記高頻度状態が設定される場合、前記特別遊技の終了前の所定時期に、前記特定演出で用いられる特定画像が前記表示部に表示される
ことを特徴とするものである。
【0341】
このような遊技機によれば、特別遊技が終了する前の所定時期に、当該特別遊技後の高頻度状態において実行される特定演出で用いられる特定画像が表示部に表示される。このため、特定演出(高頻度状態)の開始前から、その特定演出に係る特定画像を遊技者に認識させて、特定演出に遊技者を惹きつけることが可能となる。これにより、特定演出を通じてスピード感のある高頻度状態の興趣を向上させることが可能となる。
【0342】
参考発明1-9の遊技機は、前述した参考発明1-1から1-8の何れか一つの遊技機において、
前記始動口として非可変始動口を有し、
前記識別情報として第1識別情報と第2識別情報とを有し、
前記情報取得手段は、前記非可変始動口への遊技球の入球に基づいて所定情報を取得する第1情報取得手段と、前記可変始動口への遊技球の入球に基づいて所定情報を取得する第2情報取得手段と、を含み、
前記変動表示手段は、前記第1情報取得処理により取得された所定情報に基づいて前記第1識別情報を変動表示させる第1変動表示手段と、前記第2情報取得処理により取得された所定情報に基づいて前記第2識別情報を変動表示させる第2変動表示手段と、を含み、
前記第1識別情報及び前記第2識別情報の何れか一方が変動表示するときには他方が変動表示しないものとされ、
前記高頻度状態の設定後、該高頻度状態にて前記1識別情報の変動表示が第1所定回数実行されるか、前記2識別情報の変動表示が前記第1所定回数よりも少ない第2所定回数実行されると、該高頻度状態が終了するように構成されており、
前記第1変動表示手段は、前記高頻度状態にて前記1所定回数目よりも前に前記非特定情報に基づいて前記第1識別情報を変動表示させる場合、前記短変動時間で変動表示させるとともに、
前記第2変動表示手段は、前記高頻度状態にて前記第2所定回数目よりも前に前記非特定情報に基づいて前記第2識別情報を変動表示させる場合、前記短変動時間で変動表示させる
ことを特徴とするものである。
【0343】
このような遊技機によれば、始動口として非可変始動口と可変始動口を備え、識別情報として第1識別情報と第2識別情報とを備えた遊技機の興趣を向上させることが可能となる。
【0344】
参考発明1-10の遊技機は、前述した参考発明1-9の遊技機において、
前記特定態様として第1特定態様と第2特定態様とを有し、
前記第1識別情報及び前記第2識別情報のうち少なくとも前記第2識別情報が変動表示を経て前記第2特定態様で停止表示される場合があり、
前記第1識別情報が前記第1特定態様で停止表示された場合と、前記第2識別情報が前記第1特定態様で停止表示された場合と、前記第2識別情報が前記第2特定態様で停止表示されることにより入球可能となる特定入球口に入球した遊技球が特定領域を通過した場合とに、前記特別遊技が実行可能となり、
前記第1識別情報又は前記第2識別情報が前記第1特定態様で停止表示される可能性より、前記第2識別情報が前記第2特定態様で停止表示される可能性の方が高い
ことを特徴とするものである。
【0345】
このような遊技機によれば、いわゆる「1種2種タイプ」や「1種2種混合機」と呼ばれる遊技機の興趣を向上させることが可能となる。
【0346】
以上の本参考発明1によれば、特別遊技の終了後に高頻度状態へ移行可能な遊技機の興趣を向上させることが可能である。
【0347】
(参考発明2)
従来、所定条件の成立に基づいて変動表示される識別情報(例えば特別図柄等)が特定態様で停止表示された場合に、遊技者に所定の利益を付与し得る特別遊技(例えば大当り遊技等)が実行可能となる遊技機が知られている。この種の遊技機において、特別遊技の開始から特別遊技後の確変状態や時短状態にかけて一連の演出表示を実行するように構成されたものがある(例えば、特開2007-29587号公報を参照)。
【0348】
しかしながら、特別遊技や確変状態等の遊技者にとって有利な遊技期間にわたって一連の演出表示を実行するだけでは演出が単調になりやすく、遊技の興趣が却って低下してしまう虞がある。
【0349】
本参考発明2は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遊技の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【0350】
参考発明2-1の遊技機は、
所定条件の成立に基づいて変動表示される識別情報が特定態様で停止表示された場合に、遊技者に所定の利益を付与し得る特別遊技が実行可能となる遊技機であって、
演出を表示可能な演出表示手段と、
楽曲を再生可能な楽曲再生手段と、を備え、
前記演出表示手段は、前記特別遊技後の特定期間において実行される前記識別情報の変動表示に伴って特定変動演出を表示可能であり、
前記特定変動演出は、特別演出場面を含む態様と含まない態様とがあり、
前記楽曲再生手段は、前記特別遊技中から該特別遊技後の前記特定期間にわたって特定楽曲を再生可能であり、
前記特定期間にて前記特定楽曲を再生中に前記特定変動演出が表示され、該特定変動演出に前記特別演出場面が含まれる場合、該特別演出場面が表示される間、前記特定楽曲の再生を停止し、前記特別演出場面が含まれない場合、前記特定楽曲の再生を停止することなく継続する
ことを特徴とするものである。
【0351】
このような遊技機によれば、特別遊技中から該特別遊技後の特定期間にわたって特定楽曲が再生され、その特定期間中(つまり、特定楽曲の再生中)に識別情報の変動表示に伴って特定変動演出が表示された際、該特定変動演出に特別演出場面が含まれる場合、その特別演出場面が表示される間、特定楽曲の再生が停止される。一方、表示された特定変動演出に特別演出場面が含まれない場合には、特定楽曲の再生が停止されることはなく、特定変動演出の表示中、その再生が継続される。このため、特別遊技後の特定期間中(特定楽曲の再生中)に表示される特定変動演出の展開(特別演出場面の有無)に応じて、特別遊技中から継続される特定楽曲の再生が停止される場合とされない場合とがあるようになる。これにより、特定期間中の演出にメリハリをつけて、特別遊技から特別遊技後の特定期間にかけての興趣を向上させることが可能となる。
【0352】
参考発明2-2の遊技機は、前述した参考発明2-1の遊技機において、
前記楽曲再生手段は、前記特別演出場面が表示される間、前記特定楽曲と異なる特別楽曲を再生する
ことを特徴とするものである。
【0353】
このような遊技機によれば、特別遊技後の特定期間中(特定楽曲の再生中)に特定変動演出が表示され、該特定変動演出中に特別演出場面が表示された場合、その特別演出場面が表示される間、特定楽曲に代わって特別楽曲が再生される。このため、特別演出場面の表示とリンクして再生される楽曲が特定楽曲から特別楽曲に変化するものとなる。これにより、特別演出場面が表示されたときの高揚感を高めることが可能となる。
【0354】
参考発明2-3の遊技機は、前述した参考発明2-1又は2-2の遊技機において、
前記楽曲再生手段は、前記特別演出場面が表示されるときに変動表示中の前記識別情報が該特別演出場面の後に特定態様で停止表示される場合、停止した前記特定楽曲の再生を所定の再開時期に再開する
ことを特徴とするものである。
【0355】
このような遊技機によれば、特別遊技後の特定期間中(特定楽曲の再生中)に識別情報の変動表示に伴って特定変動演出が表示され、該特定変動演出の特別演出場面を経て識別情報が特定態様で停止表示される場合、その特別演出場面が表示される間停止されていた特定楽曲の再生が再開される。このため、先の特別遊技の終了後、特定期間中の特定態様の停止表示により次の特別遊技が実行される場合(いわゆる連荘の場合)、先の特別遊技からの特定楽曲の再生が一時停止を経て再開(継続)されることとなる。これにより、連荘を効果的に演出することが可能となる。
【0356】
参考発明2-4の遊技機は、前述した参考発明2-1から2-3の何れか一つの遊技機において、
前記特定楽曲は複数の楽曲を含み、
前記楽曲再生手段は、前記特定楽曲を再生する場合、前記複数の楽曲をシームレス再生する
ことを特徴とするものである。
【0357】
このような遊技機によれば、特定楽曲が再生される場合、その特定楽曲として複数の楽曲がシームレス再生される。このため、特定楽曲の再生が続く場合、複数の楽曲が途切れることなく連続して再生されるものとなる。これにより、特定楽曲が再生された際の聴き心地を良好なものとして、特定楽曲が再生されたときの高揚感を効果的に高めることが可能となる。
【0358】
以上の本参考発明2によれば、遊技の興趣を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0359】
1 パチンコ遊技機、2 遊技盤、3 遊技領域、7 画像表示装置、7a 表示画面、8 演出図柄、20 第1始動口、21 第2始動口、22 可変入賞装置、23 可動部材、25 遊技球誘導路、28 ゲート、30 第1大入賞口、35 第2大入賞口、39 特定領域、40 主表示器、41 特別図柄表示部、41a 第1特別図柄表示器(第1特別図柄表示部)、41b 第2特別図柄表示器(第2特別図柄表示部)、67 スピーカ、80 主制御基板(メイン制御部)、81 遊技制御用マイコン、90 副制御基板(サブ制御部)、91 演出制御用マイコン、100 画像制御基板(画像制御部)、101 画像制御用マイコン、106 音声制御基板。