(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】ぱちんこ遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2020070772
(22)【出願日】2020-04-10
(62)【分割の表示】P 2017170295の分割
【原出願日】2015-07-01
【審査請求日】2020-05-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康晃
(72)【発明者】
【氏名】西村 仁
【合議体】
【審判長】長井 真一
【審判官】藤田 年彦
【審判官】太田 恒明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-178972(JP,A)
【文献】特開2001-252433(JP,A)
【文献】特開2008-228908(JP,A)
【文献】特開2005-143716(JP,A)
【文献】特開平8-57123(JP,A)
【文献】特開平2006-349845(JP,A)
【文献】特開平2001-338307(JP,A)
【文献】特開2003-10442(JP,A)
【文献】特開2004-355235(JP,A)
【文献】「パチスロ 北斗の拳 “バトルボーナス○1(丸数字の1)”」,YouTube[online][video],2014年3月22日,[2023年7月27日検索],URL,https://www.youtube.com/watch?v=GDaEW_eKolI
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原作が存在する漫画を演出画像に利用する
ぱちんこ遊技機であって、
表示装置と、
前記表示装置に前記演出画像および当該演出画像の外縁に沿う線状の基準画像を表示する画像制御手段と、
を備え、
前記画像制御手段により、前記基準画像と前記演出画像のそれぞれにおいてはある部分と他の部分の相対的な位置関係が変化しないようにしつつ、両画像の相対的な位置関係を変化させることで、前記基準画像の内側に表示される前記演出画像の表示部位を変化させる表示変化演出が実行可能であることを特徴とする
ぱちんこ遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を備えたぱちんこ遊技機(以下単に遊技機と称することもある)に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されるように、原作が存在する漫画等をモチーフにした遊技機が存在する。このような遊技機には、漫画の原画(書籍等として出版された状態での画をいう)等をそのままの形態で表示装置に表示する演出を実行するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記漫画の原画等、固定された画(形態が変化しない画)をそのまま表示装置に表示するだけの演出は面白みに欠ける。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、形態が変化しない画を用いた演出の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、原作が存在する漫画とタイアップされた遊技機であって、表示装置と、前記表示装置に基準画像およびこの基準画像の一方側に演出画像を表示する画像制御手段と、を備え、前記演出画像は、前記漫画の画像であり、前記画像制御手段により、前記基準画像と前記演出画像の形態を変化させずに両画像の相対的な位置関係を変化させることで、前記基準画像の一方側に表示される前記演出画像の表示部位を変化させる表示変化演出が実行可能であることを特徴とする。
【0007】
上記本発明にかかる遊技機では、基準画像と演出画像の相対的な位置関係を変化させることで、形態が変化しない演出画像の一部(例えば演出画像に含まれるキャラクタ)が、形態を変化させつつ動いているかのように見せることが可能である。換言すれば、基準画像を利用した目の錯覚により、漫画の原画等の形態が変化しない画を利用した演出の趣向性を向上させることが可能である。
【0008】
前記基準画像は枠画像であり、当該枠画像の内側に演出画像が表示され、前記表示変化演出は、前記枠画像の内側に表示される演出画像の表示部位を変化させるものであるとよい。
【0009】
このように基準画像である枠の内側に演出画像が表示されるようにすれば、基準が明確となり、演出効果を向上させることが可能である。
【0010】
前記表示変化演出は、前記基準画像と前記演出画像の少なくとも一方を他方に対してズームアップまたはズームアウトさせるような表示を含むとよい。
【0011】
単に演出画像をズームアップまたはズームアウトさせる演出は、当該演出画像を大きく見せたり、小さく見せたりする演出に過ぎない。上記構成のように、基準画像と
演出画像の少なくとも一方を他方に対してズームアップまたはズームアウトさせることで、演出画像の一部(例えば演出画像に含まれるキャラクタ)が前方または後方に移動したのではないかという印象を与えることが可能である。
【0012】
前記表示変化演出において、前記基準画像および前記演出画像が表示された状態、および前記基準画像が表示されずに前記演出画像のみが表示された状態の一方から他方に切り替わる場合があるとよい。
【0013】
このように、基準画像が表示された状態と基準画像を取り除いた状態とを切り替えることで、静止画がいきなり形態を変化させつつ動き出したかのような演出や、形態を変化させつつ動いているかのように見える画がいきなり静止画となるかのような演出を実行することが可能である。
【0014】
前記表示装置に、複数組の前記基準画像および前記演出画像が表示されることがあり、前記表示変化演出において、複数組の前記基準画像および前記演出画像のうち、ある組の前記基準画像および前記演出画像の相対的な位置関係を変化させずに、それとは別の組の前記基準画像および前記演出画像の相対的な位置関係を変化させる場合があるとよい。
【0015】
このようにすれば、ある組においては演出画像がそのままの態様(静止画)で見えるものの、別の組においては演出画像の一部が形態を変化させつつ動いているかのように見える。つまり、形態を変化させつつ動いているかのように見える演出画像を際立たせることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる遊技機によれば、形態が変化しない画を用いた演出の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】(a)表示装置の表示領域に表示される基準画像と演出画像を示した図であり、(b)は演出画像として使用される原画の一例を示した図である。
【
図3】原画演出の一例(演出画像の一部がズームアップされていくもの)を示した図である。
【
図4】原画演出の一例(演出画像がスライドするもの)を示した図である。
【
図5】第一具体例(基準画像と演出画像の両方が表示された状態から、演出画像のみが表示された状態に切り替わる演出)を示した図である。
【
図6】第二具体例(複数組の基準画像および演出画像が表示される演出)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0019】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0020】
遊技領域902には、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、
図2~
図6においては、表示領域911を方形状に示すが、表示領域911の形状はどのようなものであってもよい。例えば、開口901の形状を変化させることで、当該表示領域911の形状を適宜変化させることができる。
【0021】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0022】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0023】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0024】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が第一始動入賞口904や第二始動入賞口905への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口の数は一つであってもよいし、複数であってもよい)。具体的には、第一始動入賞口904や第二始動入賞口905への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。大当たりに当選した場合、大当たり遊技(本発明における特定遊技に相当する)が実行される。大当たり遊技は、大入賞口906が頻繁に開放し、遊技者が多くの遊技球(いわゆる出玉)を獲得することができるものであって、公知の遊技機と同様であるため詳細な説明を省略する。獲得できる遊技球の期待値が異なる複数種の大当たり遊技が設定されていてもよい。
【0025】
本実施形態では、ある当否判定結果を報知するに際し、当該当否判定結果が大当たりかどうかを踏まえて選択される一または複数の種々の演出が実行される。当該演出の一つとして原画演出(本発明における表示変化演出に相当する)が実行可能である。以下、当該原画演出について詳細に説明する。なお、原画演出以外の実行可能な演出はどのようなものであってもよいため説明を省略する。
【0026】
原画演出は、表示装置91を用いた演出である。原画演出を実行する場合、
図2(a)に示すように、表示装置91の表示領域911には、基準画像10および演出画像20が表示される(かかる基準画像10および演出画像20の表示態様を制御する手段が本発明における画像制御手段に相当する)。なお、各図においては、表示領域911に基準画像10および演出画像20が表示された状態を示すが、他の画像、例えば当否を報知するために変動、停止を繰り返す識別図柄や、いわゆる保留を表示するための保留図柄等が合わせて表示されていてもよい。基準画像10や演出画像20を、識別図柄や保留図柄等の背景画像(背景映像)として利用することもできる。
【0027】
基準画像10は、演出画像20による演出効果を向上させるために表示される画像であって、基準画像10自体が単独で大きな演出効果を発現するものではない。本実施形態における基準画像10は、「枠」を示す画像(枠画像)である。つまり、線状の画像である。なお、ここでいう「枠」とは、演出画像20の輪郭(外縁)に沿う線状の部分であるということであって、必ず方形状である必要はない。また、後述するように、基準画像10が表示装置91の表示領域911から外れた(見切れた)状態(枠の一部が表示領域911の外に位置し、当該部分が見えないような状態)となることがあってもよい。また、本実施形態における基準画像10である「枠」は方形状であるが、枠線が表示領域911の外縁と略平行な状態で表示されることがあってもよいし、表示領域911の外縁に対して傾斜した状態で表示されることがあってもよい。
【0028】
演出画像20は、演出効果を発現する画像である。本実施形態では、遊技機1のモチーフとなった漫画(タイアップされた漫画)の原画(
図2(b)参照)の少なくとも一部が演出画像20として表示される。原画をそのまま利用するため、演出画像20自体の形態を変化させることはない(詳細は後述)。
【0029】
このような基準画像10および演出画像20を用いた原画演出の基本的な演出態様について説明する。
図2(a)に示すように、原画演出は、基準画像10と演出画像20の両方が表示領域911に表示された状態を含む(ただし、後述するように、演出画像20のみが表示された状態が発生しうる構成としてもよい)。演出画像20は、基準画像10の一方側に表示される。本実施形態における基準画像10は枠画像であり、演出画像20は当該「枠」の内側に表示される。当該「枠」の外側には基準画像10は表示されない。つまり、基準画像10は、表示領域911の中に、さらに別の表示枠(演出画像20を表示する仮想的な表示枠)が存在するかのような状態を作り出すための画像であるともいえる。ただし、後述するように、当該「枠」の外側に別の基準画像10や別の演出画像20が表示されることはある。当該仮想的な表示枠は、基準画像10のみによって構成されるものであってもよいし、
図2(a)に示すように基準画像10と表示領域911の外縁の一部によって構成されるものであってもよい。
【0030】
基準画像10と演出画像20の両方が表示された状態で、基準画像10と演出画像20の形態を変化させずに両画像の相対的な位置関係を変化させる。つまり、基準画像10それ自体や、演出画像20それ自体の形態を維持したまま、両画像の相対位置を変化させる。ここで、本実施形態における「形態を変化させない(形態を維持する)」とは、基準画像10や演出画像20それぞれにおいて、表示されている画像の一部が、他の一部に対して変化することがない(ある画像における一部と他の一部の相対的位置関係が変化しない)ことをいい、そのままの状態で所定の方向にスライドさせたり、ズームアップ・ズームアウト(拡縮)したりすることは「形態を変化させない(形態を維持する)」ことの一態様に含まれるものとする。また、「画像の形態」を構成する要素に「色」は含まれないものとする。例えば仮に、モノクロ画像とカラー画像の一方から他方に切り替わる構成であったとしても、表示されている画像の一部と他の一部の位置関係が変化しないのであれば、当該変化は「形態を変化させない(形態を維持する)」ものに該当するものとする。
【0031】
例えば、
図2(b)に示すように、演出画像20(原画)がキャラクタを表した箇所(以下、キャラクタ部21と称する)と、その背景画像(以下、背景部22と称する)を含むものであるとする。
図3(a)に示すように、演出当初は、基準画像10の内側(「枠」の内側)にキャラクタ部21全体を含む演出画像20が表示され、キャラクタ部21の周囲に背景部22の一部が表示される状態にあるとする。演出画像20の基となる原画を基準として考えれば、当該原画の背景部22の一部は仮想的な表示枠を構成する基準画像10の外側(「枠」の外側)に位置しており、外れた(見切れた)状態にあるとする。また、本例は、基準画像10と表示領域911の外縁の一部によって当該仮想的な表示枠が構成されるため、表示領域911の外側にある部分も外れた(見切れた)状態にある(なお、
図3において、原画のうち、演出画像20として表示されない部分は全て点線で示している(
図4および
図5においても同じ))。
【0032】
かかる状態から、
図3(b)(c)に示すように、基準画像10を基準として、演出画像20(原画)の所定部位をズームアップ(拡大)させるように制御する。具体的には、演出画像20におけるキャラクタ部21をズームアップ(拡大)するように変化させる。そうすると、仮想的な表示枠の外側(「枠」の外側)は演出画像20が表示されないが、キャラクタ部21をズームアップ(拡大)することに伴って仮想的な表示枠の外側に位置する背景部22の大きさが次第に大きくなっていく。つまり、仮想的な表示枠から外れ(見切れ)ていく(見えなくなる)背景部22の大きさが次第に大きくなっていくような見た目の変化が発生する。これに合わせて、仮想的な表示枠内に表示されるキャラクタ部21の大きさが次第に大きくなっていくような見た目の変化が発生する。このような表示制御を行うことにより、基準画像10の内側を表示範囲とするカメラによって撮影された、キャラクタ部21が手前側に移動するように動いているかのような映像が表示されているように見える。
【0033】
これとは逆に、基準画像10を基準として、演出画像20(原画)をズームアウト(縮小)させるように制御すれば、キャラクタ部21が奥側に移動するように動いているかのような映像が表示されているように見える。
【0034】
また、例えば、
図4に示すように、基準画像10に対し、演出画像20(原画)を右にスライドさせるように制御する。そうすると、仮想的な表示枠の外側は演出画像20が表示されないのであるから、演出画像20におけるキャラクタ部21の右側に表示されていた背景部22が、仮想的な表示枠から外れ(見切れ)ていく。一方、演出開始時点では仮想的な表示枠の外側に位置しており、外れ(見切れ)た状態にあった左側の背景部22が仮想的な表示枠の内側に入り込んでいく。つまり、背景部22の右側は仮想的な表示枠から外れ(見切れ)ていき、その分背景部22の左側が仮想的な表示枠の内側に入り込んでくる。これに合わせてキャラクタ部21は基準画像10に対して右側にスライドしていく。このような表示制御を行うことにより、基準画像10の内側を表示範囲とするカメラによって撮影された、キャラクタ部21が右側に移動(スライド)していく動きのある映像が表示されているかのように見える。
【0035】
なお、
図3に示した例のような演出画像20の一部をズームアップ・ズームアウトさせる制御と、
図4に示した例のような演出画像20をスライドさせる制御を同時に行うこともできる。
【0036】
このように、基準画像10それ自体や、演出画像20それ自体の形態を維持したまま、両画像の相対位置を種々変化させると、基準画像10の一方側(内側)に表示される演出画像20の表示部位が変化する。したがって、漫画の原画等、形態を変化させることができない画像である演出画像20の一部(本実施形態ではキャラクタ部21)が、あたかも形態を変化させつつ動いているかのように振る舞う(基準画像10と演出画像20の相対位置が変化することによる目の錯覚によりそのように見える)演出を実現することが可能である。
【0037】
なお、
図3や
図4に示した演出例は、表示領域911における基準画像10の表示位置は変化しないものであるが、表示領域911における基準画像10の表示位置が変化(ズームアップ・ズームアウトやスライドを含む)してもよい。この場合、表示領域911における基準画像10の表示位置の変化と演出画像20の表示位置の変化が同じでなければ、基準画像10に対する演出画像20の相対位置が変化することとなる。ただし、一連の原画演出において、表示領域911における基準画像10の位置が変化しないようにすれば、演出画像20の変化が際立つため、演出画像20の一部が動いているかのような演出効果を高めることが可能である。
【0038】
また、基準画像10と演出画像20の相対的な位置関係を変化させるにあたり、当該相対的な位置関係を小刻みに変化させていけばいくほど、演出画像20の一部の動きが「動画」に近づく。つまり、演出画像20の一部の動きがよりスムーズなものとすること(動きのコマ切れを小さくすること)が可能である。
【0039】
上記原画演出の変形、改良例として以下のような例(第一具体例、第二具体例)が考えられる。
【0040】
上記原画演出は、表示装置91の表示領域911に基準画像10と演出画像20の両方が表示された状態を含むものであるが、演出画像20のみが表示された状態が発生しうる構成であってもよい。例えば、第一具体例として
図5に示すように、基準画像10と演出画像20の両方が表示された状態から、両画像の相対位置を変化させ、演出画像20の一部が動いているかのように振る舞う演出を実行する。当該演出画像20の一部が動いているかのように振る舞う演出とともに、または当該演出画像20の一部が動いているかのように振る舞う演出の後、基準画像10が表示領域911の外側に向かって移動するように表示し(
図5(a)から
図5(b)参照)、最終的には基準画像10の全体が表示領域911外に位置するよう両画像を制御する(
図5(c)参照)。つまり、基準画像10の全体が表示領域911から外れ(見切れ)た状態とする。そうすると、表示領域911には、演出画像20のみが表示された状態となる。なお、ここでいう「演出画像20のみが表示された状態」とは、基準画像10が表示されていないことをいうものであって、演出画像20や基準画像10以外の画像(例えば識別図柄)が表示領域911に表示される構成を排除する意味ではない。
【0041】
このように表示領域911に演出画像20のみが表示された状態とすれば、動きのある映像のように振る舞っていた演出画像20の一部が、いきなり形態が変化しない画像(原画)そのものとして捉えられる状態となる。つまり、形態を変化させない画像であるにもかかわらず、基準画像10との相互作用による目の錯覚により形態を変化させつつ動いているかのように見えた演出画像20の一部が、いきなり原画そのものとして認識される状態に変化するという、趣向性の高い演出を実行することが可能である。
【0042】
なお、
図5に示した演出とは逆の演出、すなわち表示領域911に演出画像20のみが表示されていた状態から、基準画像10と演出画像20の両方が表示された状態に変化する演出が実行されることがあってもよい。つまり、形態が変化しない画像として捉えられていた演出画像20が、あたかも形態を変化させつつ動いている画像として捉えられる状態にいきなり変化する演出を実行することも可能である。また、基準画像10と演出画像20の両方が表示された状態と、演出画像20のみが表示された状態が交互に切り替わっていく演出を実行することも可能である。
【0043】
また、第二具体例として
図6に示すように、表示装置91の表示領域911には、複数組の基準画像10および演出画像20が表示されることがあってもよい。このように、複数組の基準画像10および演出画像20が表示されると、複数のコマがプリントされた漫画本のある頁が表示領域911に表示されているかのような演出効果が発現される。
【0044】
原画演出において、このように複数組の基準画像10および演出画像20が表示されるとき、次のように各画像が制御されることがあるとよい。表示領域911に表示されている複数組の基準画像10および演出画像20のうち、ある組(以下、固定組S2と称することもある)の基準画像10と演出画像20の相対的な位置関係を変化させずに、それとは別の組(以下、変化組S1と称することもある)の基準画像10と演出画像20の相対的な位置関係を変化させる(
図6の(a)から(b)に至る変化、および(b)から(c)に至る変化においては、変化組S1のみ相対的な位置関係が変化していることがみてとれる)。つまり、固定組S2はそのまま静止した画像として漫画の一コマのように振る舞うものの、変化組S1においては演出画像20の一部が動いているかのように振る舞うこととなる。したがって、静止した画像(原画そのもの)として見える固定組S2の演出画像20により、動いているかのように見える変化組S1の演出画像20を際立たせることが可能である。
【0045】
変化組S1や固定組S2は、それぞれ一つずつ表示領域911に表示されるようにしてもよいし、少なくともいずれか一方が複数表示されるようにしてもよい。特に、
図6に示した例のように、表示領域911に一つの変化組S1、複数の固定組S2が表示されるようにすれば、唯一の変化組S1を構成する演出画像20をより際立たせることが可能である。
【0046】
また、変化組S1を構成する演出画像20の明瞭性と、固定組S2を構成する演出画像20の明瞭性に差が設定されているとよい。当該明瞭性の差を実現する手法としては、着色の有無(カラーとモノクロ)を設定する手法や、明度の差を設定する手法等が例示できる。特に、変化組S1を構成する演出画像20の方が、固定組S2を構成する演出画像20よりも明瞭である構成(例1;変化組S1を構成する演出画像20をカラーにし、固定組S2を構成する演出画像20をモノクロにする、例2;変化組S1を構成する演出画像20の明度を、固定組S2を構成する演出画像20よりも高くする)とすることにより、変化組S1を構成する演出画像20をより際立たせることが可能である。
【0047】
また、変化組S1を構成する基準画像10の明瞭性と、固定組S2を構成する基準画像10の明瞭性に差が設定されていてもよい。当該明瞭性の差を設定する手法としては、「枠」の色を異ならせる手法や、「枠」の線の太さに差を設定する手法、「枠」の明度の差を設定する手法等が例示できる。特に、変化組S1を構成する基準画像10の方が、固定組S2を構成する基準画像10よりも明瞭である構成(例1;変化組S1を構成する基準画像10の「枠」の太さを、固定組S2を構成する基準画像10のそれよりも太くする、例2;変化組S1を構成する基準画像10の「枠」の明度を、固定組S2を構成する基準画像10のそれよりも高くする)とすることにより、より明瞭な基準画像10の内側(一方側)に表示される演出画像20をより際立たせることが可能である。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0049】
上記実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるぱちんこ遊技機であるが、スロットマシン等のその他の遊技機に同様の技術思想が適用可能である。
【0050】
上記実施形態では、漫画の原画を演出画像20として利用していることを説明したが、形態を変化させることがない画像であれば、演出画像20として利用される画像はどのようなものであってもよい。例えば、原作等が存在しない画を演出画像20としてもよい。ただし、本発明は、漫画の原画等、改変を加えることが困難である画を用いた演出の演出効果を高めるのに特に有効である。同様に、基準画像10は、「枠」の形態に限られるものではない。
【0051】
また、上記実施形態における原画演出(画像変化演出)は、基準画像10や演出画像20の形態を変化させないものであることを説明したが、当該原画演出の後に、基準画像10や演出画像20の少なくとも一部の形態を変化させるかのような一連の演出が発生することがあってもよい。そのような一連の演出としては、例えば、形態を変化させない画像である演出画像20のキャラクタ部21があたかも形態を変化させつつ動いているかのような上記原画演出を実行した後、当該キャラクタ部21がそのまま実際に動く映像や立体的な表示態様となって動く映像(動画)が表示領域911に表示される演出が挙げられる。このように、原画演出と実際に動きのある映像が連結された演出等、一連の演出における一部が原画演出によって構成されたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 遊技機
10 基準画像
20 演出画像
S1 変化組
S2 固定組
91 表示装置
911 表示領域