(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】患者と歯科医とのマッチング方法
(51)【国際特許分類】
A61C 7/08 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
A61C7/08
(21)【出願番号】P 2020091821
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2023-05-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.ウェブサイトへの掲載(1)令和元年11月29日 株式会社フィルダクト URL:https://dpearl.jp/(2)令和2年3月16日 株式会社フィルダクト URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000050457.html(3)令和2年4月8日 株式会社フィルダクト URL:https://dpearl.jp/topic/128/
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520143683
【氏名又は名称】株式会社フィルダクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金子 奏絵
(72)【発明者】
【氏名】春名 航佑
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0281313(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111192649(CN,A)
【文献】特開2020-036755(JP,A)
【文献】特表2018-504191(JP,A)
【文献】特開2014-091047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに関連するユーザ端末にネットワークを介して接続されるサーバ端末により提供される情報処理方法であって、
前記サーバ端末は、
前記ユーザの問診情報、及び前記ユーザの口腔内画像を含む画像情報を、前記ユーザの歯列矯正に用いるマウスピースの設計に関する管理情報として受信し、
前記管理情報を基に設計されたマウスピースの提供を受けた前記ユーザによる前記マウスピースの装着状況を、前記ユーザ端末から受信し、
前記ユーザの食習慣に関する情報を前記ユーザ端末から受信し、
前記
食習慣に関する情報が、前記ユーザの間食または外食の少なくとも何れか一方が過多であることを示す場合には、
過多である前記間食または外食のうちの少なくとも何れか一方に対するコメントのテンプレートを歯科医端末へ送信し、
前記テンプレートに基づく歯科医コメントを前記ユーザ端末に送信する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記装着状況を基に前記マウスピースの継続使用に関するアドバイスを決定し、
前記決定されたアドバイスを前記ユーザ端末に送信し、
前記アドバイスは、前記マウスピースの装着時間に関するアドバイスを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
さらに、
前記サーバ端末は、
予め前記ユーザ毎に前記マウスピースの継続使用に関する推奨時間を記憶し、
前記ユーザ端末から、前記マウスピースの装着状況として前記マウスピースの装着開始時刻及び装着終了時刻を受信し、
前記装着開始時刻から前記装着終了時刻までの経過期間と、前記推奨時間との比較結果に基づいて、前記ユーザ端末に送信するアドバイスを決定し、
前記決定したアドバイスを前記ユーザ端末に送信する、請求項
2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記管理情報は、少なくとも、色、匂い、及び香りのいずれかの要素に対する前記ユーザの嗜好を示す嗜好情報を含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記画像情報は、前記ユーザの笑顔を示すスマイル画像を含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
ユーザに関連するユーザ端末にネットワークを介して接続されるサーバ端末を含む情報処理システムであって、
ユーザの問診情報、及び前記ユーザの口腔内画像を含む画像情報を、前記ユーザの歯列矯正に用いるマウスピースの設計に関する管理情報として受信し、
前記管理情報を基に設計されたマウスピースの提供を受けた前記ユーザによる前記マウスピースの装着状況を、前記ユーザ端末から受信し、
前記ユーザの食習慣に関する情報を前記ユーザ端末から受信し、
前記
食習慣に関する情報が、前記ユーザの間食または外食の少なくとも何れか一方が過多であることを示す場合には、
過多である前記間食または外食のうちの少なくとも何れか一方に対するコメントのテンプレートを歯科医端末へ送信し、
前記テンプレートに基づく歯科医コメントを前記ユーザ端末に送信する、
情報処理システム。
【請求項7】
ユーザに関連するユーザ端末にネットワークを介して接続されるサーバ端末において、
前記ユーザの問診情報、及び前記ユーザの口腔内画像を含む画像情報を、前記ユーザの歯列矯正に用いるマウスピースの設計に関する管理情報として受信し、
前記管理情報を基に設計されたマウスピースの提供を受けた前記ユーザによる前記マウスピースの装着状況を、前記ユーザ端末から受信し、
前記ユーザの食習慣に関する情報を前記ユーザ端末から受信し、
前記
食習慣に関する情報が、前記ユーザの間食または外食の少なくとも何れか一方が過多であることを示す場合には、
過多である前記間食または外食のうちの少なくとも何れか一方に対するコメントのテンプレートを歯科医端末へ送信し、
前記テンプレートに基づく歯科医コメントを前記ユーザ端末に送信する、
ことを実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯並びに不具合がある患者と、歯並びの矯正治療を行う歯科医とのマッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な種類の歯列矯正装具が普及している。その中の一つとして、いわゆるマウスピースと呼ばれる器具がある。
【0003】
例えば、特許文献1において、歯を矯正するための、透明な弾性材料からなり、患者の最初の歯並びからわずかに外れた構造をしており、患者が装着することで次第に歯を理想の位置に移動させることができるマウスピースについて、硬度、剛性が異なる部分を有する、ポリマーまたは他の材料を有する構造とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、マウスピースに弾性率が異なる部位を生じさせることで、個々の歯を漸進的に再配置させることが可能となり、治療計画のために必要とされる配置具の数を低減する効果をもたらすが、マウスピース装着後に患者に対して装置装着に対するモチベーションを提供し続け、維持させるための仕組みについては開示されていない。
【0006】
そこで、本発明は、歯科医の治療計画に基づき治療効果を高めるために、患者に装着に対する動機付けを提供する方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における、ネットワークで接続される、患者に関連する患者端末と、歯科医に関連する歯科医端末と、を仲介するサーバ端末により提供される、患者と歯科医とのマッチング方法であって、前記サーバ端末は、前記患者端末から、前記患者に関する基本情報を受信し、前記基本情報を基に前記患者と前記歯科医とをマッチングし、前記マッチングした歯科医に関連する歯科医端末から、前記患者の問診情報、及び前記患者の口腔内画像を含む画像情報を、前記患者の歯列矯正に用いるマウスピースの設計及び製造に関する管理情報として受信し、前記管理情報を基に設計及び製造されたマウスピースの提供を受けた前記患者による前記マウスピースの装着状況を、前記患者に関連する患者端末から受信し、前記装着状況を基に前記マウスピースの継続使用に関するアドバイスを決定し、前記決定されたアドバイスを前記患者端末に送信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、歯科医の治療計画に基づき治療効果を高めるために、患者に装着に対する動機付けを提供する方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る、マッチングシステムを示すブロック構成図である。
【
図2】
図1のサーバ端末100を示す機能ブロック構成図である。
【
図3】
図1の患者端末200を示す機能ブロック構成図である。
【
図4】サーバ端末100に格納される患者データの一例を示す図である。
【
図5】サーバ端末100に格納される歯科医データの一例を示す図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る、マッチング方法に係るフローチャートの一例である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る、マッチング方法における患者による検索処理に係るフローチャートの一例である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係る、マッチング方法における歯科医による検索処理に係るフローチャートの一例である。
【
図9】マッチングシステムが実行する、患者と歯科医とのマッチング方法の変形例に係る処理動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。なお以下、単に歯科医という場合には、GP(一般歯科開業医)、矯正専門医、矯正認定医等、歯並びの矯正治療を扱う歯科医を指す。
【0011】
(実施形態1)
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係るマッチングシステムを示すブロック構成図である。本システム1は、歯並びに不具合がある患者に関連する患者端末200と、歯科医に関連する歯科医端末300と、を仲介するサーバ端末100と、により構成される。サーバ端末100は、マッチングシステムを運営するマッチングサービス提供者によって管理される。
【0012】
サーバ端末100と、患者端末200及び歯科医端末300とは、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0013】
サーバ端末100は、患者から、患者端末200を通じて患者に関連する情報を受け付け、歯科医端末300を通じて受け付けられる、歯科医に関連する情報に基づいて、患者と歯科医とのマッチング処理を行う装置であり、例えば、ワークステーション又はパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。本実施形態においては、説明の便宜上サーバ端末として1台を例示しているが、これに限定されず、複数台であってもよい。
【0014】
患者端末200は、歯並びの矯正治療を希望する患者であって、サーバ端末100により提供されるサービスを利用する患者が所有する、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォン、携帯電話、PDA等により構成しても良い。
【0015】
歯科医端末300は、歯並びの矯正治療を行う歯科医であって、サーバ端末100により提供されるサービスを利用する歯科医が所有する、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォン、携帯電話、PDA等により構成しても良い。
【0016】
本実施形態では、システム1は、サーバ端末100と、患者端末200及び歯科医端末300とを備え、患者または歯科医が各々、患者端末200、歯科医端末300を利用して、サーバ端末100に対する操作を行う構成として説明するが、サーバ端末100がスタンドアローンで構成され、サーバ端末自身に、患者または歯科医が操作を行う機能を備えても良い。
【0017】
図2は、
図1のサーバ端末100の機能ブロック構成図である。サーバ端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0018】
通信部110は、ネットワークNWを介して患者端末200及び歯科医端末300と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0019】
記憶部120は、各種制御処理又は制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、患者に関連する各種データを格納する、患者データ格納部121、歯科医に関連する各種データを格納する、歯科医データ格納部122等を有する。さらに、記憶部120は、患者端末200、歯科医端末300と通信を行ったデータを一時的に記憶することもできる。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120またはサーバ端末100外に構築されていてもよい。
【0020】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能としては、患者端末200または歯科医端末300からの指示を受け付ける指示受付部131と、患者に関連する各種データを参照し、処理する、患者データ管理部132と、歯科医に関連する各種データを参照し、処理する、歯科医データ管理部133と、患者と歯科医とのマッチングを処理する、マッチング処理部134と、患者へのアドバイスを決定する、アドバイス決定部135等を有する。この指示受付部131、患者データ管理部132、歯科医データ管理部133、マッチング処理部134、アドバイス決定部135は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるサーバ端末100により実行される。
【0021】
指示受付部131は、サーバ端末100が提供し、患者端末200または歯科医端末300において、ウェブブラウザまたはアプリケーションを介して表示される画面等のユーザインターフェースを介して、患者または歯科医であるユーザが、(キーワードを入力したり、アイコンを押下する等して)所定の要求を行ったとき、患者端末200または歯科医端末300から通信部110を介して指示を受付ける。
【0022】
患者データ管理部132は、患者に関連する各種データ(例えば、患者ID、患者の基本情報、妊娠の有無、既往症、予防接種歴及び使用中薬品等)を管理し、処理を行う。
【0023】
歯科医データ管理部133は、歯科医に関連する各種データ(例えば、歯科医ID、歯科医の氏名、歯科医の所属(プロフィール)、メールアドレス、顔写真、評価等)を管理し、処理を行う。
【0024】
アドバイス決定部135は、歯科医が勤務する医療施設で受診した患者に対して所定のアドバイスを決定する処理を行う。このアドバイスには、患者の歯列に歯並びを矯正する器具として装着されるマウスピースの使用に関するアドバイス(マウスピースの装着時間、及び患者の歯列の状況等)が含まれる。
【0025】
図3は、
図1の患者端末200を示す機能ブロック構成図である。患者端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0026】
通信部210は、ネットワークNWを介してサーバ端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0027】
表示操作部220は、患者が指示を入力し、制御部240からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザインターフェースであり、患者端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイ、キーボード及びマウスにより構成され、患者端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である患者端末200により実行される。
【0028】
記憶部230は、各種制御処理又は制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM又はROM等から構成される。また、記憶部230は、サーバ端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0029】
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、患者端末200の全体の動作を制御するものであり、CPU又はGPU等から構成される。
【0030】
なお、サーバ端末100が表示操作部の機能を備える構成としても良く、この場合、患者端末200を備えない構成としても良い。
【0031】
なお、歯科医端末300の機能構成についても、患者端末200と実質同一であるので、説明を省略する。
【0032】
図4は、サーバ端末100に格納される患者データの一例を示す図である。
【0033】
図4に示す患者データ1000は、患者に関連する各種データを格納する。
図4において、説明の便宜上、一患者(患者ID「10001」で識別される患者)の例を示すが、複数の患者の情報を格納することができる。患者に関連する各種データとしては、例えば、患者に関連する基本情報(患者の氏名、生年月日、住所等)、歯並び情報(叢生、上顎前突、開咬、下顎前突、空隙歯列、交叉咬合、過蓋咬合、顎関節症等)、治療情報(補綴歯、ブリッジ範囲、矯正具範囲等)、患者の画像情報(患者の口腔内画像、スマイル画像等)、患者のライフスタイル、患者の嗜好を示す嗜好情報(少なくとも、色、匂い、及び香りの各々の要素に対する患者の嗜好を示す情報)が格納される。
【0034】
スマイル画像とは、マウスピースを装着した患者の笑顔を時系列で比較することを目的とした画像である。スマイル画像は、歯並びの改善状況を一覧表示することにより、進捗状況(ビフォーアフター)を歯科医が患者に説明するために用いられる。スマイル画像は、歯科医の宣伝などの用途にも使用でき、患者が自身のビフォーアフターを確認する際に使用したり、患者の仲間内で共有したりする際にも使用できる。なお、本実施形態では、患者データ1000にスマイル画像を蓄積していく例について説明するが、これに限らず、後述する歯科医データ2000にスマイル画像が蓄積されてもよい。
【0035】
ライフスタイルは、それぞれの医療機関にて記入された問診票、医療情報等ならびに患者自身が入力した生活情報等からなり、間食、外食、食習慣に関する情報の他、睡眠時間、環境(集団行動、お手洗い)等の生活内容に関する情報が含まれる。矯正用のマウスピースは、食事等で簡便に取り外せることから、間食又は外食が多い患者はマウスピースが取り外されている時間が増加する傾向にある。また、集団行動を行う機会の多い学生等の患者の中には、集団でお手洗いに行く際に、人前でマウスピースを水洗いすることを気恥ずかしく感じ、お手洗いに行く前にマウスピースを外してしまう患者も少なくない。こうした患者に対して、歯科医は、食事以外は常時マウスピースを装着するようコメントを出す。コメントの詳細については後述する。
【0036】
図5は、サーバ端末100に格納される歯科医データの一例を示す図である。
【0037】
図5に示す歯科医データ2000は、歯科医に関連する各種データを格納する。
図5において、説明の便宜上、一歯科医(歯科医ID「20001」で識別される歯科医)の例を示すが、複数の歯科医の情報を格納することができる。歯科医に関連する各種データとしては、例えば、医療施設(病院、医院等)の基本情報(施設名、設立年月日、所在地、職員数、医療設備、施設HPのURL、その他施設紹介文等)、医療施設に勤務する歯科医の基本情報(歯科医の氏名、所属(プロフィール)、Eメールアドレス等の連絡先、顔写真、評価、その他SNSアカウント情報等)等の情報が格納される。
【0038】
<処理の流れ>
図6を参照しながら、本実施形態のシステム1が実行する患者と歯科医とのマッチング方法の処理の流れについて説明する。
図6は、本発明の第一実施形態に係る、マッチング方法に係るフローチャートの一例である。
【0039】
ここで、本システム1を利用するために、患者及び/または歯科医は、患者端末200、歯科医端末300各々のウェブブラウザまたはアプリケーション等を利用してサーバ端末100にアクセスし、初めてサービスを利用する場合は、前述の患者基本情報等、歯科医基本情報等を各々入力し、既に患者、歯科医のアカウントを取得済の場合は、例えばIDとパスワードを入力する等の所定の認証を受けてログインすることで、サービスが利用可能となる。この認証後、ウェブサイト、アプリケーション等を介して所定のユーザインターフェースが提供され、
図6に示すステップS101へ進む。
【0040】
まず、ステップS101の処理として、サーバ端末100は、患者端末200から、患者に関する基本情報を受信する。例えば、サーバ端末100の制御部130の指示受付部131は、患者端末200から通信部110を介して、基本情報を受信する。本実施形態において、ステップS101として、例えば、LINE(登録商標)等のSNSサイトまたはアプリケーション等を活用して提供されるチャットボットが用いられる。チャットボットは、例えば、ユーザのスマートフォンを入出力装置として用いて、簡単なアンケート内容を、まだ歯並びの矯正治療について多少興味がある程度のユーザに質問し、質問に対する回答の入力を受け付ける。アンケート内容は、例えば、歯並びに関する質問であり、アンケート内容の回答は、例えば、ユーザのスマートフォンに内蔵されたカメラにより撮像された、ユーザの口腔画像を含むこともできる。歯列に唇が被ったり、ピンボケ等によって適切に回答できない場合には、その旨をユーザに通知してもよい。アンケート内容の回答は、ユーザのスマートフォンからサーバ端末100へ送信される。そして、簡易な診断結果(想定される治療方法、治療期間、金額に関するコンサルティング等)が、サーバ端末100からユーザのスマートフォンへ送信される。必要に応じて、サーバ端末100は、ユーザに対して歯科医を紹介し、予約処理等を行うことができる。
【0041】
次に、ステップS102の処理として、サーバ端末100のマッチング処理部134は、患者に関する基本情報に基づいて、検索処理を行う。例えば、サーバ端末100は、患者端末200より、検索キーとして、「医療施設:歯科診療所」「歯並び情報:交叉咬合」を受信すると、マッチング処理部134は、歯科医データ格納部122から、交叉咬合に対応可能な歯科医が勤務する歯科診療所を抽出する。
【0042】
次に、ステップS103の処理として、サーバ端末100は、通信部110を介して、抽出した歯科診療所の情報を検索結果として患者端末200に送信する。患者は、患者端末200に表示された歯科診療所のリストを参照し、興味のある歯科診療所についてユーザインターフェースを介して、フォローボタンを押下したり、予約ボタンを押下したりすることができる。ここで、患者が、ユーザインターフェースを介して、各歯科診療所の詳細ページの閲覧要求を行うと、サーバ端末100は、各歯科診療所の詳細ページを患者端末200に送信する。詳細ページには、歯科診療所の基本情報、歯科診療所に勤務する歯科医の基本情報が表示される。
【0043】
ここで、詳細ページを見た患者が歯科診療所のウェブサイトにアクセスして診察を予約すると、患者端末200とマッチングされた歯科医端末300は、サーバ端末100を経由して、患者に関する基本情報とともに予約を示すメッセージを受信し、予約に対してメッセージで返信することができる。メッセージ機能を使うことで、患者及び歯科医は歯並びの矯正に向けたコミュニケーションをとることができる。その後、患者が予約した歯科診療所で受診した際の、患者の申告に基づき入力された問診項目の内容を示す問診情報が歯科医端末300の記憶部330に格納される。また、ここで、患者の口腔内画像等の画像情報、患者の嗜好を示す嗜好情報を問診情報に紐付けて歯科医端末300の記憶部330に格納することができる。
【0044】
次に、ステップS104の処理として、サーバ端末100は、歯科医端末300から、問診情報及び画像情報を患者の歯列矯正に用いるマウスピースの設計及び製造に関する管理情報として受信する。例えば、サーバ端末100の制御部130の指示受付部131は、歯科医端末300から通信部110を介して、マウスピースの設計及び製造に関する管理情報を受信する。また、ここで、指示受付部131において受信された管理情報は、例えばマッチングサービス提供者において修正された後、歯科医端末300に送信することができる。すなわち、管理情報は、サーバ端末100及び歯科医端末300の間で互いに送受信することができる。管理情報とは、マウスピースその物の形状データのみならず、患者の治療前または治療中の歯に基づく、歯列の口腔内スキャンデータ、石膏模型のCT(Computed Tomography)データ、石膏模型の3次元データ、患者顎骨のCT、レントゲン画像によるデータ等、マウスピース製造のために歯科医とマッチングサービス提供者との間で送受信される情報を意味する。管理情報には、矯正による歯並びの改善具合を示す進捗情報が含まれる。進捗情報には、矯正による歯並びの改善具合をバー又はゲージ等の図形又は目盛りにより例えば星の数などで視覚化した視覚情報、矯正による歯並びの改善具合を百分率又はパーセント(%)で数値化した数値情報が含まれる。これにより、治療の見通し、進捗状況を容易に把握することが可能となる。進捗情報は、歯科医により例えば月1回の頻度で入力操作が行われる。また、管理情報には、歯科医から患者に付与される、グッズ、割引券などの特典情報が含まれる。また、管理情報には、初診時の患者の口腔内の状況把握用3Dデータと、例えば三ヵ月おきに口腔内スキャナで口腔内スキャンした3Dデータと、を用いて生成したシミュレーションデータ(アニメーションなど)が含まれる。また、管理情報には、歯科用印象型を製造するうえで必要なアルジネートなどからなる印象材に関する情報が含まれる。
【0045】
次に、マッチングサービス提供者は、歯科医端末300から受信した管理情報に基づいてマウスピースを設計及び製造する。マウスピースは、例えば患者の口腔内画像等の画像情報に基づいてCADソフトで設計され、例えば三次元造形装置(3Dプリンター)等の加工手段によって呼吸制御板を加工することにより製造される。製造後のマウスピースは、マッチングサービス提供者から患者に郵送等で提供される。呼吸制御板の形状は人の唇を覆う大きさで、例えば、湾曲形状又は平板形状をした板材で形成される。素材としては、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの強力な耐熱性及び機械強さをもったエンジニアリングプラスチック等の合成樹脂が使用される。また、材料は、前記以外の熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂等であっても良い。樹脂以外の材料としては、木製あるいはバルカナイズドファイバー等の素材であっても良い。要は機械的強度があり、人に無害で、軽量な素材であることが望ましい。
【0046】
また、ここで、サーバ端末100が、歯科医端末300から受信した嗜好情報に応じて、色、匂い、香り等、患者の嗜好を示す嗜好情報が反映されるようにマウスピースを製作することができる。例えば、マウスピースを口腔内の歯肉等の色に近づける場合には、樹脂がピンク色に染色される。酸化チタン及び顔料(例えば、赤系顔料)は、色付け(発色)のために添加される。例えば、実際の歯肉に近い色(ピンク色)を生じさせるには、赤系顔料と酸化チタン(白系)との混合比が調整される。また、例えば、他者から視認されにくく、審美性に優れる観点から、マウスピースを透明又は半透明の材料によって構成する場合には、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)等の合成樹脂を呼吸制御板として使用することが好ましい。さらに、呼吸制御板にアロマテラピー効果を奏するエッセンシャルオイル等の香料を備えることにより、マウスピースを装着中に呼吸する場合にも、患者は香料を通してリラグゼーション効果が得られる。
【0047】
続いて、ステップS105の処理として、サーバ端末100は、管理情報を基に設計及び製造されたマウスピースの提供を受けた患者によるマウスピースの装着状況を、患者端末200から受信する。マウスピースの装着状況には、マウスピースの装着回数、装着開始時刻、装着終了時刻等が含まれる。例えば、サーバ端末100は、患者端末200から、マウスピースの装着状況としてマウスピースの装着開始時刻及び装着終了時刻を受信したとき、後述するように、装着開始時刻から前記装着終了時刻までの経過期間と、マウスピースの継続使用に関する推奨時間とを比較する処理を行う。この推奨時間は、予め患者毎に患者データ管理部132に記憶されている。
【0048】
ここで、本実施形態において、サーバ端末100は、患者に対し、LINE(登録商標)等のSNSアプリケーションと連携し、トークルームに参加することを促すメッセージを送信し、患者に友だち登録させることによって、メッセージアプリ上でチャットボットとチャットを行うことができる。例えば、患者に隔週でアンケートを送ったり、マウスピースの装着状況に関するアンケートを行ったり、スタンプラリーのように自己申告制で、所定のアクション(例えば、アンケートに答える、来院する、マウスピースの洗い方等の手入れの仕方を覚える、マウスピース収納用ポーチを買う、マウスピースの種別(Soft、Medium、Hard)に応じた手入れの仕方を覚える)に応じてバッジを付与する等を行うことができる。ここで、バッジがたまるとクリーニング/ホワイトニング等歯に関する物を付与してもよい。このように、LINE(登録商標)等のSNSサービスを通じて、ユーザとの接点を作ることによってよりユーザ又は患者のモチベーションを維持ないし向上させることができる。これにより、マウスピースの装着時間が高まり、ひいては治療効果を高めることができる。
【0049】
次に、ステップS106の処理として、サーバ端末100は、経過期間と推奨期間との比較結果に基づいて、マウスピースの継続使用に関するアドバイスを決定する。例えば、サーバ端末100の制御部130のアドバイス決定部135は、経過期間と推奨期間との比較結果に基づいて、マウスピースの継続使用に関するアドバイスを決定する。
【0050】
例えば、サーバ端末100のアドバイス決定部135は、経過期間が推奨期間以上であると判断した場合、患者を褒めるアドバイスとして、例えば、「きちんと守ってますね!」を決定し患者端末200に送信する。一方、サーバ端末100のアドバイス決定部135は、経過期間が推奨期間未満であると判断した場合、マウスピースの装着時間が不足している患者を叱咤激励するアドバイスとして、「もっとがんばるように!」、「予定通りちゃんとやるように!」等のアドバイスを決定し患者端末200に送信する。これらのアドバイスを実施することで、患者にマウスピースの継続使用を意識させることが可能となる。患者端末200は、サーバ端末100に対して、アドバイスに対するメッセージを返信することができる。メッセージ機能を使うことで、患者及びマッチングサービス提供者は歯並びの矯正に向けたコミュニケーションをとることができる。
【0051】
付随的に、他のソフトウェア的な方法又はUI/UX的な方法において、マッチングサービス提供者は、サーバ端末100を介して患者端末200にアクセス可能となるとともに、患者端末200のセンサ機器を介して、患者によるマウスピースの装着状況をモニタリング可能となる。モニタリングを通して歯列の改善状況が可視化されることで、マッチングサービス提供者は、マウスピースの装着による効果を分析することができる。
【0052】
以上により、サーバ端末100は、マウスピースの装着状況を基にマウスピースの継続使用に関するアドバイスを決定し、その決定されたアドバイスを患者端末200に送信することで、マウスピースを製造したマッチングサービス提供者と、患者とが直にコミュニケーションを取ることが可能となる。
【0053】
従来の技術として、マウスピースに弾性率が異なる部位を生じさせることで、個々の歯を漸進的に再配置させることが可能となり、治療計画のために必要とされる配置具の数を低減する効果をもたらすものは開示されているが、マウスピース装着後に患者に対して装置装着に対するモチベーションを提供し続け、維持させるための仕組みについては開示されていない。
【0054】
この点、本実施形態によれば、マウスピースを製造したマッチングサービス提供者と、患者とが直にコミュニケーションを取ることが可能となるので、歯科医の治療計画に基づき治療効果を高めるうえで、患者に装着に対する動機付けを提供することができる。
【0055】
ここで、本システム1が実行する患者と歯科医とのマッチング方法は、いくつかの方法が考えられるが、例えば、患者による検索要求に伴う処理、歯科医による検索要求に伴う処理、及びマッチングサービス提供者による患者または歯科医のレコメンデーション等が挙げられる。以下、
図7を参照しながら、本実施形態のシステム1が実行する患者と歯科医とのマッチング方法の一環として、患者による検索処理について説明する。
【0056】
まず、ステップS201の処理として、サーバ端末100の指示受付部131は、通信部110を介して、患者端末200及び歯科医端末300各々より、上述の患者に関連する情報及び歯科医に関連する情報の登録を受け付ける。サーバ端末100が情報の登録を受け付けるタイミングは、患者または歯科医が情報の入力を行うタイミングに伴うこととしてもよい。
【0057】
次に、ステップS202の処理として、サーバ端末100の指示受付部131は、通信部110を介して、患者端末200より、歯科医の検索要求を受信する。患者は、患者端末200に表示される画面において、例えば、医療施設に対し、歯科診療所、所在地に対し、渋谷をキーとして入力し、検索することができる。
【0058】
次に、ステップS203の処理として、サーバ端末100のマッチング処理部134は、患者の検索要求に基づいて、検索処理を行う。例えば、サーバ端末100は、患者端末200より、検索キーとして、「医療施設:歯科診療所」「所在地:渋谷」を受信すると、マッチング処理部134は、患者データ格納部121から、渋谷駅が最寄りの歯科診療所を抽出する。
【0059】
次に、ステップS204の処理として、サーバ端末100は、通信部110を介して、抽出した歯科診療所の情報を検索結果として患者端末200に送信する。患者は、患者端末200に表示された歯科診療所のリストを参照し、興味のある歯科診療所についてユーザインターフェースを介して、フォローボタンを押下したり、予約ボタンを押下したりすることができる。ここで、患者が、ユーザインターフェースを介して、各歯科診療所の詳細ページの閲覧要求を行うと、サーバ端末100は、各歯科診療所の詳細ページを患者端末200に送信する。詳細ページには、歯科診療所の基本情報(施設名、設立年月日、所在地、職員数、医療設備、施設HPのURL、その他施設紹介文等)のほか、医療施設に勤務する歯科医の基本情報(歯科医の氏名、所属(プロフィール)、Eメールアドレス等の連絡先、顔写真、評価、その他SNSアカウント情報等)等の情報が表示される。
【0060】
患者が歯科診療所のウェブサイトにアクセスして診察を予約すると、歯科医端末300は、サーバ端末100を経由して、患者に関連する情報とともに予約を示すメッセージを受信し、予約に対してメッセージで返信することができる。メッセージ機能を使うことで、患者及び歯科医は歯並びの矯正に向けたコミュニケーションをとることができる。
【0061】
このように、患者及び歯科医各々の情報を基に双方をマッチングさせることにより、更なるマッチング精度を向上することができる。
【0062】
次に、
図8を参照しながら、本実施形態のシステム1が実行する患者と歯科医とのマッチング方法の一環として、歯科医による検索処理について説明する。
【0063】
まず、ステップS301の処理として、サーバ端末100の指示受付部131は、通信部110を介して、患者端末200及び歯科医端末300各々より、上述の患者に関連する情報及び歯科医に関連する情報の登録を受け付ける。サーバ端末100が情報の登録を受け付けるタイミングは、患者または歯科医が情報の入力を行うタイミングに伴うこととしてもよい。
【0064】
次に、ステップS302の処理として、サーバ端末100の指示受付部131は、通信部110を介して、歯科医端末300より、患者の検索要求を受信する。歯科医は、歯科医端末300に表示される画面において、例えば、患者に対し、歯並び情報等の条件情報をキーとして入力し、検索することができる。
【0065】
次に、ステップS303の処理として、サーバ端末100のマッチング処理部134は、歯科医の検索要求に基づいて、検索処理を行う。例えば、サーバ端末100は、歯科医端末300より、検索キーとして、「歯並び情報:叢生」を受信すると、マッチング処理部134は、患者データ格納部121から、歯並びが叢生に該当する患者を抽出する。
【0066】
次に、ステップS304の処理として、サーバ端末100は、通信部110を介して、抽出した患者の情報を検索結果として歯科医端末300に送信する。歯科医は、歯科医端末300に表示された患者のリストを参照し、興味のある患者についてユーザインターフェースを介して、フォローボタンを押下したり、オファーボタンを押下したりすることができる。ここで、歯科医が、ユーザインターフェースを介して、各患者の詳細ページの閲覧要求を行うと、サーバ端末100は、各患者の詳細ページ(ユーザプロフィール)を歯科医端末300に送信する。詳細ページには、患者の基本情報(患者の氏名、生年月日、住所)、歯並び情報、治療情報等が表示される。
【0067】
歯科医が患者に歯科診療所への受診を促すと、歯科医端末300は、サーバ端末100を経由して、歯科医に関連する情報とともにオファー及び/またはオファー内容を示すメッセージを受信し、オファーに対してメッセージで返信することができる。メッセージ機能を使うことで、患者及び歯科医は歯並びの矯正に向けたコミュニケーションをとることができる。
【0068】
その他、
図7及び
図8に示す例のほか、例えば、患者がログインしたトップページ等に「『歯科医』特集」のように、マッチングサービス提供者により、患者の歯並び情報その他の条件に基づいてマッチングした歯科医のリストを表示することができる。具体的には、サーバ端末100は、登録された患者に関連する基本情報(例えば、「住所」)に基づいて、歯科医の基本情報を参照し、対応する基本情報(例えば、「歯科診療所の所在地」)を有する歯科医を抽出し、患者にレコメンドすることができる。
【0069】
このように、患者及び歯科医各々の基本情報を基に双方をマッチングさせることにより、更なるマッチング精度を向上することができる。
【0070】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。この実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【0071】
なお以下では、
図9を用いて、本発明のマッチング方法の変形例について説明する。
図9は、マッチングシステム1が実行する、患者と歯科医とのマッチング方法の変形例に係る処理動作の流れを示すフローチャートである。
【0072】
ここで、本システム1を利用するために、患者及び/または歯科医は、患者端末200、歯科医端末300各々のウェブブラウザまたはアプリケーション等を利用してサーバ端末100にアクセスし、初めてサービスを利用する場合は、前述の患者基本情報等、歯科医基本情報等を各々入力し、既に患者、歯科医のアカウントを取得済の場合は、例えばIDとパスワードを入力する等の所定の認証を受けてログインすることで、サービスが利用可能となる。この認証後、ウェブサイト、アプリケーション等を介して所定のユーザインターフェースが提供され、
図9に示すステップS401へ進む。
【0073】
まず、ステップS401の処理として、サーバ端末100は、患者端末200から、患者に関する基本情報を受信する。例えば、サーバ端末100の制御部130の指示受付部131は、患者端末200から通信部110を介して、基本情報を受信する。
【0074】
次に、ステップS402の処理として、サーバ端末100のマッチング処理部134は、患者に関する基本情報に基づいて、検索処理を行う。例えば、サーバ端末100は、患者端末200より、検索キーとして、「医療施設:歯科診療所」「歯並び情報:交叉咬合」を受信すると、マッチング処理部134は、歯科医データ格納部122から、交叉咬合に対応可能な歯科医が勤務する歯科診療所を抽出する。
【0075】
次に、ステップS403の処理として、サーバ端末100は、通信部110を介して、抽出した歯科診療所の情報を検索結果として患者端末200に送信する。患者は、患者端末200に表示された歯科診療所のリストを参照し、興味のある歯科診療所についてユーザインターフェースを介して、フォローボタンを押下したり、予約ボタンを押下したりすることができる。ここで、患者が、ユーザインターフェースを介して、各歯科診療所の詳細ページの閲覧要求を行うと、サーバ端末100は、各歯科診療所の詳細ページを患者端末200に送信する。詳細ページには、歯科診療所の基本情報、歯科診療所に勤務する歯科医の基本情報が表示される。
【0076】
次に、ステップS404の処理として、サーバ端末100は、歯科医端末300から、問診情報及び画像情報を患者の歯列矯正に用いるマウスピースの設計及び製造に関する管理情報として受信する。例えば、サーバ端末100の制御部130の指示受付部131は、歯科医端末300から通信部110を介して、マウスピースの設計及び製造に関する管理情報を受信する。
【0077】
続いて、ステップS405の処理として、サーバ端末100は、管理情報を基に設計及び製造されたマウスピースの提供を受けた患者によるマウスピースの装着時間、マウスピースを装着している画像、及び、矯正による歯並びの改善具合を示す進捗情報の各々の要素の少なくとも一つに基づいて、その要素に対応するテンプレートを予め記憶部120に格納されているテンプレートから選択する。テンプレートには、例えば、間食が多い患者用のテンプレート、外食が多い患者用のテンプレートが含まれる。例えば、間食が多い患者用のテンプレートには、「間食を控えましょう。」という歯科医のコメントを示したテキストデータが予め組み込まれている。また例えば、外食が多い患者用のテンプレートには、「外食を控えましょう。」、「外食が多いけど頑張りましょう。」という歯科医のコメントを示したテキストデータが予め組み込まれている。
【0078】
ここで、マウスピースの装着時間は、例えば、患者の自己申告に基づき管理されてもよく、また例えば、マウスピースケースからのマウスピースの取り出しを検知する公知のセンサ(例えば赤外線センサ)による検知結果に基づき管理されてもよい。マウスピースを装着している画像は、例えば、患者端末200に備え付けた撮影カメラにより患者を撮影させた撮影画像をモニタリング用の画像として取得される。マウスピースの装着時間、マウスピースを装着している画像は、患者端末200からサーバ端末100に送信される。
【0079】
続いて、ステップS406の処理として、サーバ端末100は、ステップS405の処理で選択したテンプレートを歯科医端末300に送信する。
【0080】
続いて、ステップS407の処理として、歯科医端末300は、テンプレートを受信する。歯科医は、歯科医端末300の画面を介してテンプレートを参照して、コメントを入力する。例えば、テンプレートに進捗情報として含まれる数値情報が2%の患者に対しては、「このままだとよくないですね。」というコメントが入力されたり、数値情報が10%の患者に対しては、「よくできました。」というコメントが入力されたり、数値情報が80%の患者に対しては、「あと少しです。頑張りましょう!」というコメントが入力されたりする。
【0081】
続いて、ステップS408の処理として、歯科医端末300は、そのコメントが入力されたテンプレートを、歯科医の操作に応じてサーバ端末100に送信する。
【0082】
続いて、ステップS409の処理として、サーバ端末100は、歯科医のコメントが入力されたテンプレートを患者端末200に送信する。なお、サーバ端末100は、歯科医のコメントのみを患者端末200に送信してもよく、歯科医のコメントに紐付けて上述したバー又はゲージ等の進捗情報又はアニメーションなどのシミュレーションデータを患者端末200に送信してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 マッチングシステム 100 サーバ端末100 通信部、120 記憶部、130 制御部、200 患者端末、300 歯科医端末、NW ネットワーク