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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】懸架装置及び電動バイク
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/10 20130101AFI20240115BHJP
   B62K 5/02 20130101ALI20240115BHJP
   B62K 25/04 20060101ALI20240115BHJP
   B62M 7/12 20060101ALI20240115BHJP
   B60G 17/016 20060101ALN20240115BHJP
【FI】
B62K5/10
B62K5/02
B62K25/04
B62M7/12
B60G17/016
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020093619
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021187271
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和 1年 5月28日に、NEWSCASTのウェブサイトにて公開(https://newscast.jp/news/214756) 令和 1年 5月30日に、イタリア共和国建国記念レセプションにて公開 令和 1年10月23日に、ADIVA株式会社のウェブサイトにて公開(https://adiva.co.jp/news/2019_10_23.html) 令和 1年10月23日に、aidea株式会社のウェブサイトにて公開(https://aidea.net/products)(https://aidea.net/products/aa-cargo)(https://aidea.net/products#AA-Cargo-AA-Cargo-V2H) 令和 1年10月23日に、第46回東京モーターショー2019にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】519378322
【氏名又は名称】aidea株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】赤間 勝美
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3185982(JP,U)
【文献】登録実用新案第3162127(JP,U)
【文献】特開2018-161962(JP,A)
【文献】特表2008-545577(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0084638(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/02 - 5/10
B62K 25/04
B62M 7/12
B60G 17/016
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面視U形状をなし、両端部が上側に向けて突出する第1フレーム板と、
該第1フレーム板の一面に対向配置され、電動バイクの後輪が支持される第2フレーム板と、
前記第1フレーム板の他面に対向配置され、電動バイクの後輪が支持される第3フレーム板と
を備え、
前記第1フレーム板の両端部に第1貫通穴及び第2貫通穴が形成され、
前記第1フレーム板における前記第1貫通穴及び第2貫通穴の下側に、第3貫通穴及び第4貫通穴が形成され、
前記第1貫通穴~第4貫通穴それぞれに、前記第1フレーム板に平行な方向であって、上下方向に交差する方向に延びる枢軸が配置され、
前記第1貫通穴~第4貫通穴に配置された各枢軸に一端部が回転可能に接続され、他端部が前記第2フレーム板に接続される第1アーム~第4アームと、
前記第1貫通穴~第4貫通穴に配置された各枢軸に一端部が回転可能に接続され、他端部が前記第3フレーム板に接続される第5アーム~第8アームと、
前記第1アーム及び第2アームを連結する第1連結部と、
前記第5アーム及び第6アームを連結する第2連結部と
を備える
懸架装置。
【請求項2】
側面視U形状をなす前記第1フレーム板の凹部に配置され、前記第1貫通穴~第4貫通穴の貫通方向に延びるサスペンションと、
前記第1連結部及び第2連結部それぞれに配置され、前記サスペンションの両端部を支持する支持部と
を備える請求項1に記載の懸架装置。
【請求項3】
前記第2フレーム板及び第3フレーム板にインホイールモータが取り付けられる
請求項1又は2に記載の懸架装置。
【請求項4】
二つの後輪と、
側面視U形状をなし、両端部が上側に向けて突出する第1フレーム板と、
該第1フレーム板の一面に対向配置され、一方の後輪が支持される第2フレーム板と、
前記第1フレーム板の他面に対向配置され、他方の後輪が支持される第3フレーム板と
を備え、
前記第1フレーム板の両端部に第1貫通穴及び第2貫通穴が形成され、
前記第1フレーム板における前記第1貫通穴及び第2貫通穴の下側に、第3貫通穴及び第4貫通穴が形成され、
前記第1貫通穴~第4貫通穴それぞれに、前記第1フレーム板に平行な方向であって、上下方向に交差する方向に延びる枢軸が配置され、
前記第1貫通穴~第4貫通穴に配置された各枢軸に一端部が回転可能に接続され、他端部が前記第2フレーム板に接続される第1アーム~第4アームと、
前記第1貫通穴~第4貫通穴に配置された各枢軸に一端部が回転可能に接続され、他端部が前記第3フレーム板に接続される第5アーム~第8アームと、
前記第1アーム及び第2アームを連結する第1連結部と、
前記第5アーム及び第6アームを連結する第2連結部と
を備える
電動バイク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、後輪を支持する懸架装置及び該懸架装置を備える電動バイクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一つの前輪と、二つの後輪とを備える一人乗りの車両が提案されている。二つの後輪はリンク機構によって連結される。リンク機構は、前後方向を回転軸方向として、回転可能に車両の本体部に連結されている。リンク機構によって、二つの後輪は地面に対し、左右に連動して傾斜する。
【0003】
リンク機構は、リンク機構を回転させるリーンモータを備える。車両の制御装置は、ハンドル角と車速とに基づき、リーン角(地面に対する傾斜角度)を決定し、リーンモータの回転軸の位置制御を行い、車両を円滑に旋回させることができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-178187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リーンモータの制御は複雑であり、制御装置への負担は大きい。また制御装置の処理を高速で行う必要があり、制御装置の製造費用は嵩む。
【0006】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、簡素な構成にて、二つの後輪の傾斜を制御することができる懸架装置及び電動バイクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る懸架装置は、側面視U形状をなし、両端部が上側に向けて突出する第1フレーム板と、該第1フレーム板の一面に対向配置され、電動バイクの後輪が支持される第2フレーム板と、前記第1フレーム板の他面に対向配置され、電動バイクの後輪が支持される第3フレーム板とを備え、前記第1フレーム板の両端部に第1貫通穴及び第2貫通穴が形成され、前記第1フレーム板における前記第1貫通穴及び第2貫通穴の下側に、第3貫通穴及び第4貫通穴が形成され、前記第1貫通穴~第4貫通穴それぞれに、前記第1フレーム板に平行な方向であって、上下方向に交差する方向に延びる枢軸が配置され、前記第1貫通穴~第4貫通穴に配置された各枢軸に一端部が回転可能に接続され、他端部が前記第2フレーム板に接続される第1アーム~第4アームと、前記第1貫通穴~第4貫通穴に配置された各枢軸に一端部が回転可能に接続され、他端部が前記第3フレーム板に接続される第5アーム~第8アームと、前記第1アーム及び第2アームを連結する第1連結部と、前記第5アーム及び第6アームを連結する第2連結部とを備える。
【0008】
本開示の一実施形態においては、第1アーム~第4アームと第2フレーム板とは相対的に回転する。また第5アーム~第8アームと第3フレーム板とは相対的に回転する。第2フレーム板及び第3フレーム板は、互いに独立して回転する。また第1連結部によって第1アーム及び第2アームは連結され、第2連結部によって第5アーム及び第6アームは連結される。
【0009】
本開示の一実施形態に係る懸架装置は、側面視U形状をなす前記第1フレーム板の凹部に配置され、前記第1貫通穴~第4貫通穴の貫通方向に延びるサスペンションと、前記第1連結部及び第2連結部それぞれに配置され、前記サスペンションの両端部を支持する支持部とを備える。
【0010】
本開示の一実施形態においては、第1連結部及び第2連結部の間にサスペンションを設けることによって、第2フレーム板又は第3フレーム板が上方又は下方に移動した場合、サスペンションは衝撃力を吸収する。
【0011】
本開示の一実施形態に係る懸架装置は、前記第2フレーム板及び第3フレーム板にインホイールモータが取り付けられる。
【0012】
本開示の一実施形態においては、インホイールモータを使用することによって、モータ、差動歯車及び車軸などを設ける必要がなくなり、懸架装置の配置空間が大きくなる。
【0013】
本開示の一実施形態に係る電動バイクは、二つの後輪と、側面視U形状をなし、両端部が上側に向けて突出する第1フレーム板と、該第1フレームの一面に対向配置され、一方の後輪が支持される第2フレーム板と、前記第1フレームの他面に対向配置され、他方の後輪が支持される第3フレーム板とを備え、前記第1フレーム板の両端部に第1貫通穴及び第2貫通穴が形成され、前記第1フレーム板における前記第1貫通穴及び第2貫通穴の下側に、第3貫通穴及び第4貫通穴が形成され、前記第1貫通穴~第4貫通穴それぞれに、前記第1フレーム板に平行な方向であって、上下方向に交差する方向に延びる枢軸が配置され、前記第1貫通穴~第4貫通穴に配置された各枢軸に一端部が回転可能に接続され、他端部が前記第2フレーム板に接続される第1アーム~第4アームと、前記第1貫通穴~第4貫通穴に配置された各枢軸に一端部が回転可能に接続され、他端部が前記第3フレーム板に接続される第5アーム~第8アームと、前記第1アーム及び第2アームを連結する第1連結部と、前記第5アーム及び第6アームを連結する第2連結部とを備える。
【0014】
本開示の一実施形態においては、第1アーム~第4アームによって、第2フレーム板を回転させることができる。また第5アーム~第8アームによって、第3フレーム板を回転させることができる。第2フレーム板及び第3フレーム板は、互いに独立して回転する。また第1連結部によって第1アーム及び第2アームは連結され、第2連結部によって第5アーム及び第6アームは連結される。
【発明の効果】
【0015】
本開示の一実施形態に係る懸架装置及び電動バイクにあっては、第1アーム~第4アームと第2フレーム板とを相対的に回転させることができる。また第5アーム~第8アームと第3フレーム板とを相対的に回転させることができる。第2フレーム板及び第3フレーム板は、互いに独立して回転する。また第1連結部によって第1アーム及び第2アームは連結され、第2連結部によって第5アーム及び第6アームは連結される。モータを使用せず、また、第3アーム及び第4アームを連結する部材、並びに、第7アーム及び第8アームを連結する部材がなく、簡素な構成にて、二つの後輪の傾斜を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電動バイクの略示斜視図である。
図2】後輪機構の略示斜視図である。
図3】懸架装置の略示斜視図である。
図4】懸架装置の略示正面図である。
図5】懸架装置の略示左側面図である。
図6】懸架装置の略示平面図である。
図7】懸架装置の略示底面図である。
図8】第1フレーム板の略示右側面図である。
図9】第1貫通穴付近の構成を略示する右側面断面図である。
図10】左側に傾斜した後輪機構の略示斜視図である。
図11】左側に傾斜した後輪機構の略示背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を実施の形態に係る電動バイクを示す図面に基づいて、説明する。図1は、電動バイクの略示斜視図である。以下の説明では、図中の上下前後左右を使用する。電動バイク1は車体フレーム(図示略)を備え、該車体フレームに、フロアボード2、前カバー3、後カバー4、荷台6、及び後輪14等が設けられている。フロアボード2は水平方向に延びる。前カバー3は、上下方向を軸方向とした筒状をなし、フロアボード2の前部から上方に突出している。後カバー4は矩形箱状をなし、前後方向に延びる。後カバー4は、フロアボード2の後部から上方に突出している。
【0018】
上下方向を軸方向とした二本のシャフト13aが、やや斜め後方向に倒された姿勢で、前カバー3の内側に配置されている。各シャフト13aの下端部にフロントサスペンション13bが設けられており、二つのフロントサスペンション13bの間に、前輪13が回転可能に支持されている。二本のシャフト13aの上端部は、シャフト13aの軸回りに回転可能なステアリング部11に取り付けられており、該ステアリング部11から二つのハンドル10が左右にそれぞれ突出している。ハンドル10の下側に、ブレーキレバー12が取り付けられている。
【0019】
後カバー4の上面に座席5が設けられている。後カバー4の内側に、二次電池(図示略)が収納されている。後カバー4の前面には接続口16が設けられている。該接続口16に、例えば、充電スタンドのプラグを接続することによって、二次電池を充電することができる。
【0020】
座席5の後側に荷台6が設けられている。荷台6は水平方向に延びる板状をなす。荷台6の下側に二つの後輪14が配置されている。後輪14は、インホイールモータ14a、ホイール14b及びタイヤ14cを備える。ホイール14bの内側にインホイールモータ14aが配置され、ホイール14bの周囲にタイヤ14cが取り付けられている。インホイールモータ14aは、二次電池から供給される電力によって、駆動する。荷台6と座席5の間から、二本の取付管7が上方に突出している。二本の取付管7は左右方向に離れている。
【0021】
フロアボード2及び座席5の上方に、屋根8が設けられている。屋根8は、上方に突出するような曲面状をなし、前側に向かうに従って下降するように傾斜している。屋根8の後端部から下方に向けて二本の脚部8aが突出している。二本の脚部8aは左右方向に離れており、二本の取付管7に、それぞれ取り付けられている。取付管7の間及び脚部8aの間に、背もたれ15が設けられている。
【0022】
前カバー3の上部から、透明なスクリーン9が上方に突出している。スクリーン9の上端部は、屋根8の前端部に連結されている。スクリーン9は、ハンドル10及びブレーキレバー12よりも前側に配置されている。前カバー3の前面に前照灯装置20が設けられている。
【0023】
図2は、後輪機構60の略示斜視図である。後輪機構60は、荷台6の下側に配置されている。図2に示すように、後輪機構60は、懸架装置30と、ロック機構50と、後輪14とを備える。なお図2においては、ホイール14b及びタイヤ14cの記載を省略している。ロック機構50は懸架装置30に取り付けられ、運転席に設けられたレバー(図示略)を操作することによって、懸架装置30の回転を規制する。
【0024】
図3は、懸架装置30の略示斜視図、図4は、懸架装置30の略示正面図、図5は、懸架装置30の略示左側面図、図6は、懸架装置30の略示平面図、図7は、懸架装置30の略示底面図、図8は、第1フレーム板の略示右側面図である。
【0025】
懸架装置30は第1フレーム板31を備える。第1フレーム板31は車体フレームに連結されている。第1フレーム板31の一面は右側を向き、他面は左側を向く。図8に示すように、第1フレーム板31は、左右方向から視認した場合、U形状をなし、その両端部は上方に突出している。第1フレーム板31の前側上端部に左右方向に貫通した第1貫通穴31aが形成され、後側上端部に左右方向に貫通した第2貫通穴31bが形成される。
【0026】
第1フレーム板31における第1貫通穴31aの下側に、左右方向に貫通した第3貫通穴31cが形成され、第1フレーム板31における第2貫通穴31bの下側に、左右方向に貫通した第4貫通穴31dが形成される。第3貫通穴31c及び第4貫通穴31dの間に、左右方向に貫通した第5貫通穴31eが形成される。第1フレーム板31の両端部の間に凹部32が形成され、第5貫通穴31eの上側に位置する。
【0027】
第1フレーム板31の一面、即ち右面に、矩形状の第2フレーム板34が対向配置されている。第2フレーム板34は前後に延びる。図3に示すように、第2フレーム板34の前上隅部及び後上隅部は上方に突出し、それぞれ突出部34eを形成する。第2フレーム板34の前下隅部は前方に張り出し、後下隅部は後方に張り出し、それぞれ張出部34dを形成する。前側の張出部34dは、前側の突出部34eよりも前側に位置し、後側の張出部34dは、後側の突出部34eよりも後側に位置する。第2フレーム板34の右面中心部から右向きに接続軸34aが突出する。接続軸34aは筒状をなし、インホイールモータ14aの駆動軸が接続軸34aに挿入され、固定される。インホイールモータ14aは、ホイール14b及びタイヤ14cと共に、駆動軸回りに回転する。
【0028】
各張出部34d及び各突出部34eには、連結片34bが設けられている。連結片34bは右側に突出する。図4に示すように、前側に配置された二つの連結片34bから、前方に向けて二つの軸部34cがそれぞれ突出する。図3に示すように、後側に配置された二つの連結片34bから、後方に向けて二つの軸部34cがそれぞれ突出する。
【0029】
第1貫通穴31aと、第2フレーム板34の前上隅部に配置された連結片34bとの間に、第1アーム41が設けられている。第1アーム41は左右方向に延びる。第1アーム41の右端部には、前後方向を軸方向とした筒部41aが形成されている。図4に示すように、筒部41aの内側に、軸受41dが設けられている。軸受41dは軸部34cを回転可能に支持する。
【0030】
図9は、第1貫通穴31a付近の構成を略示する右側面断面図である。第1アーム41の左端部には、前後方向を軸方向とした筒部41bが形成されている。筒部41bは第1貫通穴31aの内側に配置されている。筒部41bの内側に、ピロボール41cが同軸的に設けられている。
【0031】
図9に示すように、第1貫通穴31aの前側において、第1フレーム板31には、前後方向に貫通した貫通孔31fが形成されている。第1貫通穴31aの後側において、第1フレーム板31には、前後方向に貫通したねじ孔31gが形成されている。ボルト40a(枢軸)が、前側から貫通孔31fに挿入される。ボルト40aの先端部に雄ねじが形成されており、該雄ねじがねじ孔31gに連結される。筒部41bに設けられたピロボール41cには、ボルト40aの軸部が挿入されている。第1アーム41の右端部は、前後方向を回転軸方向として、回転可能に第2フレーム板34に連結する。第1アーム41の左端部は、ピロボール41cを介して、前後方向、左右方向及び上下方向を回転軸方向として、回転可能に第1フレーム板31に連結する。
【0032】
第2貫通穴31bと、第2フレーム板34の後上隅部に配置された連結片34bとの間に、第2アーム42が設けられている。第2アーム42は左右方向に延びる。第2アーム42の右端部には、前後方向を軸方向とした筒部42aが形成されている。図3に示すように、筒部42aの内側に、軸受42cが同軸的に設けられている。軸受42cは軸部34cを回転可能に支持する。
【0033】
第2アーム42の左端部には、前後方向を軸方向とした筒部42bが形成されている。筒部42bは第2貫通穴31bの内側に配置されている。筒部42bの内側に、ピロボール(図示略)が同軸的に設けられている。
【0034】
第2貫通穴31bの後側において、第1フレーム板31には、前後方向に貫通した貫通孔(図示略)が形成されている。第2貫通穴31bの前側において、第1フレーム板31には、前後方向に貫通したねじ孔(図示略)が形成されている。ボルト40aが、後側から前記貫通孔に挿入され、前記ねじ孔に連結される。筒部42bに設けられたピロボールには、ボルト40aの軸部が挿入されている。第2アーム42の右端部は、前後方向を回転軸方向として、回転可能に第2フレーム板34に連結する。第2アーム42の左端部は、ピロボールを介して、前後方向、左右方向及び上下方向を回転軸方向として、回転可能に第1フレーム板31に連結する。
【0035】
第3貫通穴31cと、第2フレーム板34の前下隅部に配置された連結片34bとの間に、第3アーム43が設けられている。図7に示すように、第3アーム43はクランク形をなし、左右方向に延びる。第3アーム43の右端部は、第3アーム43の左端部及び第1アーム41の右端部よりも前側に配置されている。第3アーム43の右端部には、前後方向を軸方向とした筒部43aが形成されている。図4に示すように、筒部43aの内側に、軸受43dが同軸的に設けられている。軸受43dは軸部34cを回転可能に支持する。
【0036】
第3アーム43の左端部には、前後方向を軸方向とした筒部43bが形成されている。筒部43bは第3貫通穴31cの内側に配置されている。筒部43bの内側に、ピロボール43cが設けられている。
【0037】
第1貫通穴31aと同様に、第3貫通穴31cの前側及び後側にて、第1フレーム板31に、貫通孔及びねじ孔(いずれも図示略)が形成されている。ボルト40aが、前側から貫通孔に挿入され、ねじ孔に連結される。筒部43bに設けられたピロボール43cには、ボルト40aの軸部が挿入されている。第3アーム43の右端部は、前後方向を回転軸方向として、回転可能に第2フレーム板34に連結する。第3アーム43の左端部は、ピロボール43cを介して、前後方向、左右方向及び上下方向を回転軸方向として、回転可能に第1フレーム板31に連結する。
【0038】
第4貫通穴31dと、第2フレーム板34の後下隅部に配置された連結片34bとの間に、第4アーム44が設けられている。図7に示すように、第4アーム44はクランク形をなし、左右方向に延びる。第4アーム44の右端部は、第4アーム44の左端部及び第1アーム41の右端部よりも後側に配置されている。第4アーム44の右端部には、前後方向を軸方向とした筒部44aが形成されている。図3に示すように、筒部44aの内側に、軸受44cが同軸的に設けられている。軸受44cは軸部34cを回転可能に支持する。
【0039】
第4アーム44の左端部には、前後方向を軸方向とした筒部44bが形成されている。筒部44bは第4貫通穴31dの内側に配置されている。筒部44bの内側に、ピロボール(図示略)が設けられている。
【0040】
第2貫通穴31bと同様に、第4貫通穴31dの前側及び後側にて、第1フレーム板31に、ねじ孔及び貫通孔(いずれも図示略)が形成されている。ボルト40aが、後側から貫通孔に挿入され、ねじ孔に連結される。筒部44bに設けられたピロボールには、ボルト40aの軸部が挿入されている。第4アーム44の右端部は、前後方向を回転軸方向として、回転可能に第2フレーム板34に連結する。第4アーム44の左端部は、ピロボールを介して、前後方向、左右方向及び上下方向を回転軸方向として、回転可能に第1フレーム板31に連結する。
【0041】
図5に示すように、第1フレーム板31の他面、即ち左面に、矩形状の第3フレーム板35が対向配置されている。第3フレーム板35は前後に延びる。第3フレーム板35の前上隅部及び後上隅部は上方に突出し、それぞれ突出部35eを形成する。第3フレーム板35の前下隅部は前方に張り出し、後下隅部は後方に張り出し、それぞれ張出部35dを形成する。前側の張出部35dは、前側の突出部35eよりも前側に位置し、後側の張出部35dは、後側の突出部35eよりも後側に位置する。第3フレーム板35の左面中心部から右向きに接続軸35aが突出する。接続軸35aは筒状をなし、インホイールモータ14aの駆動軸が接続軸35aに挿入され、固定される。インホイールモータ14aは、ホイール14b及びタイヤ14cと共に、駆動軸回りに回転する。
【0042】
各張出部35d及び各突出部35eには、連結片35bが設けられている。連結片35bは左側に突出する。図4に示すように、前側に配置された二つの連結片35bから、前方に向けて二つの軸部35cがそれぞれ突出する。図3に示すように、後側に配置された二つの連結片35bから、後方に向けて二つの軸部35cがそれぞれ突出する。
【0043】
第1貫通穴31aと、第3フレーム板35の前上隅部に配置された連結片35bとの間に、第5アーム45が設けられている。第5アーム45は左右方向に延びる。第5アーム45の左端部には、前後方向を軸方向とした筒部45aが形成されている。図4に示すように、筒部45aの内側に、軸受45dが設けられている。軸受45dは軸部35cを回転可能に支持する。
【0044】
図9に示すように、第5アーム45の右端部には、前後方向を軸方向とした筒部45bが形成されている。筒部45bは、第1貫通穴31aの内側にて、第1アーム41の筒部41bの後側に配置されている。筒部45bは、筒部41bに対して同軸的に配置されている。筒部45bの内側に、ピロボール45cが設けられている。筒部45bに設けられたピロボール45cには、ボルト40aの軸部が挿入されている。即ち、ボルト40aの軸部は、第1アーム41及び第5アーム45の筒部41b、45bに挿入されている。第5アーム45の左端部は、前後方向を回転軸方向として、回転可能に第3フレーム板35に連結する。第5アーム45の右端部は、ピロボール45cを介して、前後方向、左右方向及び上下方向を回転軸方向として、回転可能に第1フレーム板31に連結する。
【0045】
第2貫通穴31bと、第3フレーム板35の後上隅部に配置された連結片35bとの間に、第6アーム46が設けられている。第6アーム46は左右方向に延びる。第6アーム46の左端部には、前後方向を軸方向とした筒部46aが形成されている。図3に示すように、筒部46aの内側に、軸受46cが同軸的に設けられている。軸受46cは軸部35cを回転可能に支持する。
【0046】
第6アーム46の右端部には、前後方向を軸方向とした筒部46bが形成されている。筒部46bは、第2貫通穴31bの内側にて、第2アーム42の筒部42bの後側に配置されている。筒部46bは、筒部42bに対して同軸的に配置されている。筒部46bの内側に、ピロボール(図示略)が設けられている。前述したように、第2貫通穴31bにボルト40aが取り付けられている。該ボルト40aの軸部は第2アーム42の筒部42bのピロボールに挿入され、更に、第6アーム46の筒部46bのピロボール(図示略)に挿入されている。第6アーム46の左端部は、前後方向を回転軸方向として、回転可能に第3フレーム板35に連結する。第6アーム46の右端部は、ピロボールを介して、前後方向、左右方向及び上下方向を回転軸方向として、回転可能に第1フレーム板31に連結する。
【0047】
第3貫通穴31cと、第3フレーム板35の前下隅部に配置された連結片35bとの間に、第7アーム47が設けられている。図7に示すように、第7アーム47はクランク形をなし、左右方向に延びる。第7アーム47の左端部は、第7アーム47の右端部及び第5アーム45の左端部よりも前側に配置されている。第7アーム47の左端部には、前後方向を軸方向とした筒部47aが形成されている。図4に示すように、筒部47aの内側に、軸受47cが同軸的に設けられている。軸受47cは軸部35cを回転可能に支持する。
【0048】
図7に示すように、第7アーム47の右端部には、前後方向を軸方向とした筒部47bが形成されている。筒部47bは、第3貫通穴31cの内側にて、第3アーム43の筒部43bの後側に配置されている。筒部47bは、筒部43bに対して同軸的に配置されている。筒部47bの内側に、ピロボール(図示略)が設けられている。前述したように、第3貫通穴31cにボルト40aが取り付けられている。該ボルト40aの軸部は第3アーム43の筒部43bのピロボールに挿入され、更に、第7アーム47の筒部47bのピロボールに挿入されている。第7アーム47の左端部は、前後方向を回転軸方向として、回転可能に第3フレーム板35に連結する。第7アーム47の右端部は、ピロボールを介して、前後方向、左右方向及び上下方向を回転軸方向として、回転可能に第1フレーム板31に連結する。
【0049】
第4貫通穴31dと、第3フレーム板35の後下隅部に配置された連結片35bとの間に、第8アーム48が設けられている。図7に示すように、第8アーム48はクランク形をなし、左右方向に延びる。第8アーム48の左端部は、第8アーム48の右端部及び第6アーム46の左端部よりも後側に配置されている。第8アーム48の左端部には、前後方向を軸方向とした筒部48aが形成されている。図3に示すように、筒部48aの内側に、軸受48cが同軸的に設けられている。軸受48cは軸部35cを回転可能に支持する。
【0050】
図3に示すように、第8アーム48の右端部には、前後方向を軸方向とした筒部48bが形成されている。筒部48bは、第4貫通穴31dの内側にて、第4アーム44の筒部44bの後側に配置されている。筒部48bは、筒部44bに対して同軸的に配置されている。筒部48bの内側に、ピロボール(図示略)が設けられている。前述したように、第4貫通穴31dにボルト40aが取り付けられている。ボルト40aの軸部は、第4アーム44の筒部44bのピロボールに挿入され、更に、第8アーム48の筒部48bのピロボールに挿入されている。第8アーム48の左端部は、前後方向を回転軸方向として、回転可能に第3フレーム板35に連結する。第8アーム48の右端部は、ピロボールを介して、前後方向、左右方向及び上下方向を回転軸方向として、回転可能に第1フレーム板31に連結する。
【0051】
図3及び図6に示すように、第1アーム41及び第2アーム42の左右方向中央部は、第1連結棒36によって連結されている。第1連結棒36は前後に延びるブーメラン形をなし、頂点を右側に向けて配置されている。第1連結棒36の頂点部分に、平面視U形をなす収納部36aが形成されている。U形をなす収納部36aの底部は右側に配置され、収納部36aの両端部は左側に向けられている。収納部36aには、ゴムブッシュ36bが収納されている。
【0052】
図3及び図6に示すように、第5アーム45及び第6アーム46の左右方向中央部は、第2連結棒37によって連結されている。第2連結棒37は前後に延びるブーメラン形をなし、頂点を左側に向けて配置されている。第2連結棒37の頂点部分に、平面視U形をなす収納部37aが形成されている。U形をなす収納部37aの底部は左側に配置され、収納部37aの両端部は右側に向けられている。収納部37aには、ゴムブッシュ37bが収納されている。
【0053】
第1連結棒36のゴムブッシュ36bと、第2連結棒37のゴムブッシュ37bとは、第1フレーム板31の凹部32を通して、左右方向に対向する。凹部32の内側に、サスペンション38が配置されている。サスペンション38は、コイルばね38aと、該コイルばね38aの両端部それぞれに配置された受部38bとを備える。コイルばね38aは左右方向を軸方向とし、凹部32を通して左右に延びる。コイルばね38aは、二つの受部38bを介して、二つのゴムブッシュ36b、37bに狭持されている。
【0054】
図6に示すように、第1アーム41と第1連結棒36との連結部分、及び第5アーム45と第2連結棒37との連結部分に、取付板39がそれぞれ設けられている。取付板39には、前述のロック機構50が取り付けられている。
【0055】
図10は、左側に傾斜した後輪機構60の略示斜視図、図11は、左側に傾斜した後輪機構60の略示背面図である。図11において、Gは地面を示し、Vは地面に対する垂線を示し、θは、第1フレーム板31と垂線Vとのなす角を示す。図10及び図11に示すように、車体フレーム、即ち第1フレーム板31が左側に傾斜した場合、第1アーム41~第4アーム44は、第1フレーム板31及び第2フレーム板34に対し、後方視時計回りに回転し、第5アーム45~第8アーム48は、第1フレーム板31及び第3フレーム板35に対し、時計回りに回転する。
【0056】
第1フレーム板31が右側に傾斜した場合、第1アーム41~第4アーム44は、第1フレーム板31及び第2フレーム板34に対し、後方視反時計回りに回転し、第5アーム45~第8アーム48は、第1フレーム板31及び第3フレーム板35に対し、反時計回りに回転する。左右の傾斜に応じて、第1フレーム板31、第2フレーム板34、第3フレーム板35及び第1アーム41~第8アーム48は、連動して、相対的に円滑に回転する。
【0057】
なお道路上の凸部に、右の後輪のみが乗り上げた場合、第1アーム41~第4アーム44のみが回転する。道路上の凸部に、左の後輪のみが乗り上げた場合、第5アーム45~第8アーム48のみが回転する。これらの場合、サスペンション38によって、凸部への乗り上げ時に生じる衝撃力は緩和される。また左右の後輪が凸部に乗り上げた場合、第1アーム41~第8アーム48は回転する。この場合、サスペンション38によって、凸部への乗り上げ時に生じる衝撃力は緩和される。
【0058】
実施の形態に係る懸架装置30及び電動バイク1にあっては、第1アーム41~第4アーム44と第2フレーム板34とを相対的に回転させることができる。また第5アーム45~第8アーム48と第3フレーム板とを相対的に回転させることができる。第2フレーム板34及び第3フレーム板35は、互いに独立して回転する。また第1連結棒36によって第1アーム41及び第2アーム42は連結され、第2連結棒37によって第5アーム45及び第6アーム46は連結される。モータを使用せず、また、第3アーム43及び第4アーム44を連結する部材、並びに、第7アーム47及び第8アーム48を連結する部材がなく、簡素な構成にて、二つの後輪14の傾斜を制御することができる。
【0059】
また第1連結棒36及び第2連結棒37の間に、サスペンション38を設けることによって、第2フレーム板34又は第3フレーム板35が上方又は下方に移動した場合、サスペンション38は衝撃力を吸収する。
【0060】
またインホイールモータ14aを使用することによって、モータ、差動歯車及び車軸などを設ける必要がなくなり、懸架装置30の配置空間を大きくすることができ、懸架装置30の設計自由度を向上させることができる。
【0061】
第1アーム41及び第2アーム42は、第1連結棒36によって連結され、平面視H形をなす。また第5アーム45及び第6アーム46は、第2連結棒37によって連結され、平面視H形をなす。一方、第5アーム45~第8アーム48は、連結棒によって、連結されておらず、I形をなす。そのため、上側のH形のアームの剛性は、下側のI形よりも高い。また下側のI形のアームは上側のH形のアームよりも柔軟性が高い。そのため、路面の凹凸変化に拘わらず、タイヤの接地面積を安定的に確保し、タイヤの路面に対する追従性を向上させることができる。即ち、剛性と路面に対する追従性を両立させることができる。またI形にすることによって、H形よりも、軽量化させることができる。
【0062】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
1 電動バイク
14 後輪
14a インホイールモータ
30 懸架装置
31 第1フレーム板
31a~31d 第1貫通穴~第4貫通穴
32 凹部
34 第2フレーム板
35 第3フレーム板
36 第1連結棒(第1連結部)
37 第2連結棒(第2連結部)
36b、37b ゴムブッシュ(支持部)
38 サスペンション
40a ボルト(枢軸)
41~48 第1アーム~第8アーム
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11