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  • 特許-GCカラムクリーナー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】GCカラムクリーナー
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/50 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
G01N30/50
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021560353
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2020004444
(87)【国際公開番号】W WO2020204592
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0038625
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521440770
【氏名又は名称】ダインジーエル テク カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウン キ
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04240472(US,A)
【文献】特開2011-099679(JP,A)
【文献】特開2009-236591(JP,A)
【文献】特開昭64-054350(JP,A)
【文献】特開2004-271241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
B01J 20/281-20/292
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GCカラムクリーナー本体と、
洗浄対象であるGCカラムが収容される恒温チャンバと、
前記GCカラムクリーナー本体内に設けられ、一側に、前記GCカラムを洗浄するための洗浄液と洗浄気体が供給され、他側に、前記GCカラムの一端部が連結される洗浄瓶と、
前記洗浄瓶に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記洗浄瓶に洗浄気体を供給する洗浄気体供給部と、
前記GCカラムに対する特性情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力された特性情報によって、前記洗浄液供給部と前記洗浄気体供給部の動作を制御する制御部を含み、
前記GCカラムクリーナー本体と前記恒温チャンバはカップラーによって連結され、
前記洗浄液供給部は、複数種類の洗浄液のいずれかを供給するように構成され、
前記洗浄液供給部は、
一端部がそれぞれ、互いに種類が異なる洗浄液貯蔵タンクに連結される複数の第1の供給管と、
一端部は、前記第1の供給管の他端部に連結され、他端部は、前記洗浄瓶に連結される第2の供給管と、
前記第1の供給管と前記第2の供給管の連結部に設置され、前記複数種類の洗浄液のいずれか1つが選択的に第2の供給管に供給されるように連結する流路選択部材と、
前記第2の供給管の中間に設置され、前記第2の供給管に供給される洗浄液を前記洗浄瓶に供給するポンプとを含むことを特徴とするGCカラムクリーナー。
【請求項2】
前記制御部は、所定の投入量の洗浄液を前記洗浄瓶に先に供給し、ついで、所定の供給時間だけ、前記洗浄瓶に前記洗浄気体を供給し、前記洗浄気体の圧力により、前記洗浄瓶内の前記洗浄液がGCカラム内に注入されて洗浄が行われることを特徴とする請求項1に記載のGCカラムクリーナー。
【請求項3】
前記制御部は、前記入力された特性情報により、前記洗浄液の投入量、前記洗浄気体の供給圧力、及び、前記洗浄気体の供給時間の少なくともいずれか1つを設定し、
前記特性情報は、GCカラムのメーカー、GCカラムチューブの内径、GCカラムチューブの長さ、GCカラムチューブ内のコーティング剤の種類、及び、使用した分析試料の種類のうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項2に記載のGCカラムクリーナー。
【請求項4】
記制御部は、前記特性情報により決められた種類の洗浄液が洗浄瓶に供給されるように、前記洗浄液供給部の動作を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のGCカラムクリーナー。
【請求項5】
前記洗浄気体供給部は、
一端部は、洗浄気体貯蔵タンクに連結され、他端部は、前記洗浄瓶に連結される第3の供給管と、
前記第3の供給管の中間に設置され、洗浄気体の供給を断続する開閉弁とを含むことを特徴とする請求項に記載のGCカラムクリーナー。
【請求項6】
前記制御部は、前記ポンプと開閉弁の動作を制御して、前記洗浄液の投入量又は洗浄気体の供給時間の少なくともいずれか1つを調節することを特徴とする請求項に記載のGCカラムクリーナー。
【請求項7】
更に、前記恒温チャンバの内部を加熱するヒーターとを含み、
前記GCカラムの両端部は、恒温チャンバの外部に露出し、前記両端部のいずれか1つは、前記洗浄瓶の一側に連結され、
前記制御部は、前記恒温チャンバが所定の温度範囲に維持されるように、前記ヒーターを制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のGCカラムクリーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GCカラムクリーナー(Gas Chromatography Column Cleaner)に関し、より詳しくは、GCカラムの再使用のために、GCカラムのチューブ内に残存する汚染物質をより効率よく除去するGCカラムクリーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィは、適切な固定相と移動相を用いて、混合物内の各成分を分離する方法であって、前記混合物内の各成分がGCカラムのチューブ内を通過するとき、物質の特性によって、互いに異なる移動速度を有する原理を利用する分析法である。
【0003】
このような分析方法のうち、移動相に気体を用いるGC(ガスクロマトグラフィー)装置は、分析化学実験室で最も広く使用されている機器の1つである。
【0004】
一般に、GC装置は、下記の特許文献1などに開示されているように、キャリアガス、試料注入部(injector)、GCカラム、検出部などを含む構造を有する。
【0005】
これらの構成要素のうち、前記GCカラムは、通常、螺旋状に形成される毛細管形状からなり、前記検出部と連結して使用され、前記検出部は、前記GCカラムを気相に通過したそれぞれの成分を検出する構造を有する。
【0006】
このような前記GCカラムは、毛細管の長さが5~150mとして提供されるが、通常、10~100mの長さが用いられ、特に、15~60mの長さが最も多く使われており、また、毛細管の平均内径は、メーカー毎にやや相違しているが、略0.1~0.75mmの範囲を有する。
【0007】
このようなGCカラムは、通常、各成分の移動速度の差を用いて、分析対象物質を分離し、このような分離過程は、各試料成分と固定相の間の分配、吸着、脱着などにより決められ、一例として、分配の特性を用いるGCカラムの場合、毛細管の内側に分析対象物質の分配のための高分子形状の液体が一定の厚さでコートされている。
【0008】
前述した方式で分析対象物質を分離するGCカラムのうち、特に、毛細管形状のGCカラムは、分離能と感度に優れるというメリットはあるものの、相対的にコストが非常に高いため、GCカラムの頻繁な交替による分析コストの増加を防止するためには、GCカラムを繰返して再使用する必要がある。
【0009】
しかし、このように、GCカラムを繰返して再使用する場合は、毛細管に残存する前分析段階の汚染物質により、分析結果が不正確となる問題点があるので、GCカラムを繰返して再使用し且つ正確な分析結果を得るためには、試料分析後、GCカラム内に残存する汚染物質を完全に除去しなければならない。
【0010】
しかし、前記GCカラムは、メーカーによって、毛細管の内径及び長さ、そして、毛細管内にコートされた物質の種類が互いに異なるだけでなく、同一種類のGCカラムの場合でも、分析試料の種類が互いに異なるので、洗浄対象であるGCカラムに対して、内部汚染物質を完全に除去するためには、GCカラムの種類及び/又は分析試料の種類によって区分される専用洗浄装置及び/又は専用洗浄液を使用しなければならず、GCカラムの活発な再使用が困難であるという問題点があった。
【0011】
そこで、洗浄対象であるGCカラムの仕様及び/又は分析試料の種類によって、該当GCカラムに適した洗浄液の種類及び洗浄方式を自動に設定して洗浄を行うことで、前記洗浄対象であるGCカラムの毛細管内に残存する汚染物質を効率よく除去することができる装置の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国登録特許第10-1794669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前述したように、GCカラムの再使用のためのGCカラムクリーナーに関し、本発明の目的は、使用者が入力するGCカラムに対する特性情報(メーカー、チューブの内径、チューブの長さ、内部コーティング剤の種類、使用した分析試料の種類など)によって、洗浄液の種類、洗浄液の投入量、洗浄時間などを自動に設定して洗浄が行われるようにすることで、GCカラムのチューブ内壁に残存する不揮発性汚染物質を効率よく除去可能なGCカラムクリーナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるGCカラムクリーナーは、洗浄対象であるGCカラムに対する特性情報が入力される入力部と、一側に、前記GCカラムを洗浄するための洗浄液と洗浄気体が供給され、他側に、前記GCカラムの一端部が連結される洗浄瓶と、前記洗浄瓶に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記洗浄瓶に洗浄気体を供給する洗浄気体供給部と、前記入力部に入力された特性情報によって、前記洗浄液供給部と前記洗浄気体供給部の動作を制御する制御部とを含むことを特徴とする。
【0015】
前記制御部は、所定の投入量の洗浄液を前記洗浄瓶に先に供給し、ついで、所定の供給時間だけ、前記洗浄瓶に前記洗浄気体を供給し、前記洗浄気体の圧力により、前記洗浄瓶内の前記洗浄液がGCカラム内に注入されて洗浄が行われる。
【0016】
前記制御部は、前記入力された特性情報により、前記洗浄液の投入量、前記洗浄気体の供給圧力、前記洗浄気体の供給時間の少なくともいずれか1つを設定し、前記特性情報は、GCカラムのメーカー、GCカラムチューブの内径、GCカラムチューブの長さ、GCカラムチューブ内のコーティング剤の種類、使用した分析試料の種類のうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0017】
前記洗浄液供給部は、複数種類の洗浄液のいずれか1つを供給し、前記制御部は、前記特性情報により決められた種類の洗浄液が洗浄瓶に供給されるように、前記洗浄液供給部の動作を制御する。
【0018】
前記洗浄液供給部は、一端部がそれぞれ、互いに種類が異なる洗浄液貯蔵タンクに連結される複数の第1の供給管と、一端部は、前記第1の供給管の他端部に連結され、他端部は、前記洗浄瓶に連結される第2の供給管と、前記第1の供給管と前記第2の供給管の連結部に設置され、前記複数種類の洗浄液のいずれか1つが選択的に第2の供給管に供給されるように連結する流路選択部材と、前記第2の供給管の中間に設置され、前記第2の供給管に供給される洗浄液を前記洗浄瓶に供給するポンプとを含む。
【0019】
前記洗浄気体供給部は、一端部は、洗浄気体貯蔵タンクに連結され、他端部は、前記洗浄瓶に連結される第3の供給管と、前記第3の供給管の中間に設置され、洗浄気体の供給を断続する開閉弁とを含む。
【0020】
前記制御部は、前記ポンプと開閉弁の動作を制御して、前記洗浄液の投入量又は洗浄気体の供給時間の少なくともいずれか1つを調節する。
【0021】
更に、前記GCカラムが収容される恒温チャンバと、前記恒温チャンバの内部を加熱するヒーターとを含み、前記GCカラムの両端部は、恒温チャンバの外部に露出し、前記両端部のいずれか1つは、前記洗浄瓶の一側に連結され、前記制御部は、前記恒温チャンバが所定の温度範囲に維持されるように、前記ヒーターを制御する。
【発明の効果】
【0022】
前述したように、本発明によるGCカラムクリーナーは、使用者が入力するGCカラムの特性情報(GCカラムのメーカー、チューブ内径、チューブ長さ、内部コーティング剤の種類、使用した分析試料の種類など)によって、洗浄対象であるGCカラムに対する適した洗浄方式を自動に設定することで、GCカラム内に残存する汚染物質を除去することができ、また、多くの洗浄過程を自動化することにより、GCカラムの効率よい洗浄及び再使用が容易となる。
【0023】
また、本発明によるGCカラムクリーナーは、液相の洗浄液と気相の洗浄気体を用いて、試料分析毎にカラム内に流入して残存する汚染物質を、前記カラム内のコーティング剤の損傷やロスなく、完全に除去することで、GCカラムの繰返し再使用回数を増やして、分析コストを格段に低くするだけでなく、GCカラムを繰返し再使用する場合でも、正確な分析結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の実施例によるGCカラムクリーナーの全体構成を示す図である。
図2図2は、図1におけるGCカラムクリーナーの制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の前記及びその他の目的と新規の特徴は、本明細書の記述及び添付の図面により、更に明確になるだろう。
【0026】
以下、本発明の具体的な実施例を、添付の図面を参照して詳しく説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施例によるGCカラムクリーナーの全体構成を示す図であり、図2は、図1におけるGCカラムクリーナーの制御ブロック図である。
【0028】
図1に示しているように、本発明の実施例によるGCカラムクリーナーは、GCカラムクリーナー本体100内に設けられた洗浄瓶150と、前記洗浄瓶150に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記洗浄瓶150に洗浄気体を供給する洗浄気体供給部とを含む。
【0029】
また、前記洗浄瓶150は、一側には、洗浄対象であるGCカラム210を洗浄するための洗浄液と洗浄気体が供給され、他側には、前記GCカラム210の一端部が連結される構造を有する。
【0030】
本発明のGCカラムクリーナーの前記洗浄液供給部は、洗浄液貯蔵タンク101、102と、洗浄液を供給するための第1及び第2の供給管104、105と、ポンプ120とを含む構造を有する。
【0031】
前記洗浄液貯蔵タンク101、102はそれぞれ、市販中のGCカラムの種類又はGCカラムを用いた分析試料の種類を考えて、互いに異なる種類の洗浄液を貯蔵するのが望ましい。
【0032】
本実施例では、一例として、図1において、洗浄液貯蔵タンクが、第1の洗浄液貯蔵タンク101と、第2の洗浄液貯蔵タンク102とからなる場合を示しているが、これに限定されず、必要によって、前記洗浄液貯蔵タンクの数は、洗浄液の種類に合わせて、複数設置することができる。
【0033】
また、必要によっては、前記洗浄液貯蔵タンク101、102に貯留された洗浄液の1つは、リンス液であり得るが、洗浄後、リンス過程が必要なGCカラム210の場合、洗浄前にリンス機能を追加すると、洗浄後にリンス液を洗浄瓶150に移送して、リンス過程を行うことができる。
【0034】
ここで、前記リンス液の使用可否は、洗浄対象であるGCカラムの種類及び/又はGCカラムを用いた分析試料の種類によって、異ならせて選択することができる。
【0035】
そこで、本発明の明細書及び特許請求の範囲の全体において、「洗浄液」とは、リンス液を含めて、GCカラムのチューブ内に残存する汚染物質を除去するために用いられる様々な種類の液相洗浄物質を全て含む。
【0036】
本実施例では、一例として、前記洗浄液として、ヘキサン(n-hexane)、メチレンクロライド(ジクロロメタン、di-chloromethane)、メタノールの混合溶液を用い、前記リンス液としては、ヘキサン(n-hexane)を用いている。
【0037】
また、本発明の明細書及び特許請求の範囲全体において、「GCカラムのチューブ」又は「チューブ」とは、本実施例で一例として説明している毛細管形状のGCカラムチューブだけでなく、液相や気相の洗浄物質により、洗浄が可能なGCカラムチューブを全て含む。
【0038】
一方、前述したように、前記洗浄液貯蔵タンクが2つである場合、前記洗浄液を供給するための第1の供給管104は、2つからなり、それぞれの一端部は、互いに異なる洗浄液を入れた洗浄液貯蔵タンク101、102に連結され、他端部は、第2の供給管105の一端部に連結される構造を有する。
【0039】
また、前記複数の第1の供給管104a、104bと、第2の供給管105の連結部には、流路選択部材110が設けられ、前記複数の洗浄液のいずれか1つを選択的に、第2の供給管105に供給する役割を果たす。
【0040】
前記第2の供給管105は、前記第1の供給管104a、104bに連結されない他側が、前記洗浄瓶150に連結された構造を有し、前記第2の供給管105の中間にはポンプ120が設置されて、適量の洗浄液を、洗浄瓶150に供給するようにする。
【0041】
ついで、本発明のGCカラムクリーナーの洗浄気体供給部は、洗浄気体貯蔵タンク103と、洗浄気体を供給するための第3の供給管106と、前記第3の供給管106の中間に設置され、洗浄気体の供給を断続する開閉弁130とを含み、後述する制御部400が、前記開閉弁130を制御して、洗浄気体の供給量及び/又は供給時間を調節する。
【0042】
前記洗浄気体貯蔵タンク103に貯留される洗浄気体は、不活性気体や窒素のように、試料成分と容易に反応せず、洗浄後、洗浄温度範囲内でよく揮発される特性を有する気体を使用するのが望ましいが、本実施例では、一例として、試料成分との反応性が低く、洗浄温度範囲内で揮発がよくなされ、且つ、相対的にコストの安い窒素を使用している。
【0043】
また、図1には図示していないが、洗浄気体を供給するための第3の供給管106の中間には、調圧部材106aを更に含み、後述する制御部400は、前記調圧部材106aを制御して、前記洗浄瓶150に供給される洗浄気体の供給圧力を調節することができる。
【0044】
ここで、前記洗浄気体の供給圧力は、大気圧よりも高く設定するのが望ましく、一例として、前記洗浄気体の供給圧力は、20~30psiである。
【0045】
前述したように構成される本発明の一実施例によるGCカラムクリーナーの動作をみると、前記洗浄液供給部により、所定の投入量の洗浄液を、前記洗浄瓶150に先に供給し、ついで、前記洗浄気体供給部により、前記洗浄瓶150に前記洗浄気体を供給して、前記洗浄気体の圧力によって、前記洗浄液がGCカラム210のチューブ内に注入されて、洗浄が行われることになる。
【0046】
ここで、前記洗浄液を供給するための第2の供給管105の中間には、洗浄瓶150とポンプ120の間にチェック弁140を設けることで、前記洗浄瓶150内に洗浄気体が供給されるとき、前記洗浄液又は洗浄気体が洗浄液貯蔵タンク101、102の方に逆流することを防止する。
【0047】
また、前記洗浄瓶150に洗浄液を供給するための第2の供給管105は、洗浄液が円滑に前記洗浄瓶150に入れられるように、洗浄瓶150の側面の一側に位置するようにするのが望ましい。
【0048】
そして、前記洗浄気体を供給するための第3の供給管106は、洗浄気体の圧力によって、洗浄瓶150内の洗浄液が、GCカラム210のチューブ内に注入されるように、前記洗浄瓶150の上部に位置するのが望ましい。
【0049】
また、前記洗浄瓶150からGCカラム210のチューブ内へ洗浄液を注入するための第4の供給管107は、洗浄瓶150に投入された洗浄液が全て、GCカラムのチューブ内に注入された後、前記洗浄気体の注入が行われるように、洗浄瓶150の下方、又は洗浄瓶150側面の下方に位置するのが望ましい。
【0050】
一方、本発明の一実施例によるGCカラムクリーナーは、洗浄開始の前に、前記GCカラム210の特性情報を、使用者が入力するようにする。
【0051】
ここで、前記GCカラム210の特性情報は、GCカラムのメーカー、GCカラムチューブの内径、GCカラムチューブの長さ、GCカラムチューブ内のコーティング剤の種類、使用した分析試料の種類のうち、少なくともいずれか1つである。
【0052】
また、本発明によるGCカラムクリーナーは、使用者から入力された前記GCカラムの特性情報によって異なって動作され、具体的には、後述するように、洗浄動作に際して用いられる洗浄液の種類、洗浄液の投入量、洗浄気体の供給圧力、洗浄気体の供給時間、恒温チャンバの温度などを異ならせて設定することができる。
【0053】
そこで、後述する制御部400は、前記使用者が入力したGCカラム210の特性情報によって、複数の洗浄液のうち、所定の洗浄液を投入するように、前記流路選択部材110を制御し、また、所定の投入量が洗浄瓶150に供給されるように、前記ポンプ120の動作を制御する。
【0054】
また、制御部400は、前記GCカラム210の特性情報によって、前記開閉弁130を制御して、前記洗浄瓶150に投入される洗浄気体の供給時間を調節し、第3の供給管106の中間に設置される調圧部材106aを制御して、洗浄気体の供給圧力を調節することもできる。
【0055】
また、後述する制御部400は、前記洗浄液と洗浄気体の注入過程でヒーター220を制御して、恒温チャンバ200の温度を調節する。
【0056】
このような過程により、洗浄対象であるGCカラムに適した洗浄液が、所定の投入量だけ、洗浄瓶150を介して、GCカラム210に注入され、洗浄液の注入が完了した後は、洗浄気体が、所定の供給圧力で所定の供給時間だけ供給されることで、全体的な洗浄時間が決まることになる。
【0057】
そこで、本発明によるGCカラムクリーナーは、GCカラムのメーカー、GCカラムチューブの内径、GCカラムチューブの長さ、GCカラムチューブ内のコーティング剤の種類、使用した分析試料の種類のうち、少なくともいずれか1つのGCカラムの特性情報によって、各GCカラムに適した方式で汚染物質が除去され、多くの過程を自動化することで、GCカラムの効率よい洗浄及び再使用が容易となる。
【0058】
また、前記GCカラム210が収容される恒温チャンバ200内には、前記恒温チャンバ内を加熱するヒーター220が更に設けられる。ここで、前記GCカラム210の両端部は、恒温チャンバ200の外部に晒し、前記両端部のいずれか1つは、洗浄瓶150の一側に連結される構造を有する。
【0059】
また、前記恒温チャンバ200内のGCカラム210は、洗浄のために適正な温度に維持されるのが必要であり、本発明では、前記恒温チャンバ200が所定の温度範囲に維持されるように、前記ヒーター220が制御され、前記温度は、室温~80℃に維持するのが望ましい。
【0060】
また、前記GCカラム210の両端部のうち、洗浄瓶150に連結していない他端部は、洗浄後の洗浄液と洗浄気体が排出される排出ライン310に連結される構造を有する。
【0061】
前記排出ライン310を介して排出される洗浄後の洗浄液(洗浄気体を含む)は、容易に実験室内に揮発され、このような場合、実験室内の揮発性有機溶媒の露出で、実験室に有害な影響を及ぼすので(特に、ジクロロメタン)、排出瓶300に連結される換気口(vent)320上に、カーボントラップ330を設けることで、実験室への有害揮発性有機溶媒の漏出を防止することができる。
【0062】
このような過程により、本発明によるGCカラムクリーナーは、洗浄時に安全な使用が可能であり、GCカラム内に残存して、分析結果の信頼性低下に深刻な影響を及ぼす汚染物質を完全に除去することで、GCカラムの繰返し再使用時にも、正確で且つ信頼性のある分析データを得ることができる。
【0063】
一方、前述した本発明によるGCカラムクリーナーの場合、洗浄液又は洗浄気体供給管の間の連結部、前記洗浄液又は洗浄気体供給管と洗浄瓶の連結部、前記洗浄液又は洗浄気体供給管とGCカラムとの連結部、及び/又はその他に、本体や恒温チャンバの壁体と前記供給管又はGCカラムの連結部などは、漏れ防止のために、カップラー(C)(又は、アダプター)を用いるのが望ましい。
【0064】
ここで、前記カップラー(C)は、化学分野や機械分野において、管やチューブの連結に用いられる通常の連結部材を用いて具現され、本発明では、様々な内径(本実施例の場合、0.1mm、0.2mm、0.25mm、0.32mm、0.53mmなど)を有するGCカラムチューブを、前記洗浄液又は洗浄気体供給管(本実施例の場合、内径1/16")に漏れなく連結するように、チューブ挿入孔の径が、チューブの内径(又は、外径)のサイズによって伸縮可能なフレキシブルな弾性材質からなるようにした。
【0065】
本発明のGCカラムクリーナーは、前述したように、装置の全体動作を制御する制御部400を含み、前記制御部400は、入力部401に入力されたGCカラムの特性情報によって、メモリ部402に格納された動作プログラムを用いて、GCカラムクリーナーの流路選択部材110、ポンプ120、開閉弁130、ヒーター220と、その他の調圧部材106aなどの動作を制御する。
【0066】
使用者が洗浄対象であるGCカラムを洗浄しようとする場合、まず、前記入力部401により、洗浄対象であるGCカラム210に関する特性情報(GCカラムのメーカー、GCカラムチューブの内径、GCカラムチューブの長さ、GCカラムチューブ内のコーティング剤の種類、使用した分析試料の種類の少なくともいずれか1つ)を入力する。
【0067】
前記制御部400は、前記入力部401から入力されたGCカラムの特性情報によって、前記メモリ部402から、前記GCカラムクリーナーの適合した動作情報を読み出すことができ、前記動作情報は、一例として、該当GCカラムに適した洗浄液の種類、洗浄液の投入量、洗浄気体の供給圧力、洗浄気体の供給時間、恒温チャンバの温度のうち、少なくともいずれか1つである。
【0068】
更に、前記制御部400は、メモリ部402に格納されない更なる種類のGCカラムを洗浄しようとするとき、前記入力部401により、該当特性情報による動作情報を入力されて、前記メモリ部402に格納することもできる。
【0069】
前記制御部400は、前記動作情報を読み出した後は、洗浄対象であるGCカラムに適した前記洗浄液の種類を、流路選択部材110を制御して選択し、前記ポンプ120を制御して、前記洗浄液の投入量を調節する。
【0070】
そして、前記制御部400は、洗浄瓶150に所定量の洗浄液が満たされると、洗浄気体供給部の開閉弁130を開弁するように制御して、洗浄気体供給時間を調節する。ここで、前記洗浄気体供給時間を調節することで、前記GCカラム210の洗浄に際して、全体的な洗浄時間を調節することができる。
【0071】
このように、洗浄気体が前記洗浄瓶150に供給されると、前記洗浄瓶150内の洗浄液は、更に満たされる気体の圧力により、第3の供給管107を介して、GCカラム210に注入されることになる。
【0072】
本発明のGCカラムクリーナーは、タイマ部403を更に含み、前記制御部400は、メモリ部402から読み出した動作情報によって、前記タイマ部403を用いて、該当GCカラムに適切な洗浄気体供給時間(又は、全体洗浄時間)を調節することができる。
【0073】
また、前記制御部400は、前記恒温チャンバ200を所定の温度範囲に維持するように、前記ヒーター220を制御することで、適合な温度内でGCカラム210が洗浄されるようにして、洗浄作業の効率を高めることができる。
【0074】
このような制御部400の動作により、本発明のGCカラムクリーナーは、洗浄対象であるGCカラムをメーカー、チューブの内径、チューブの長さ、チューブ内のコーティング剤種類、使用した分析試料の種類などにより、様々な種類に区分して、該当GCカラムの洗浄に適した洗浄液の種類、洗浄液の投入量、リンスの使用可否、洗浄時間、洗浄気体の供給時間、洗浄気体の供給圧力、恒温チャンバの温度などを自動に調整することで、各GCカラムに最も適した方式で汚染物質を効率よく除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によるGCカラムクリーナーは、ガスクロマトグラフィーを用いた分析化学分野への適用が可能である。
図1
図2