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特許7418855情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20240115BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240115BHJP
【FI】
G06T1/00 285
G06T1/00 510
G06T7/00 350B
G06T7/00 640
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022066539
(22)【出願日】2022-04-13
(65)【公開番号】P2023156897
(43)【公開日】2023-10-25
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】518301154
【氏名又は名称】株式会社Ridge-i
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】畠山 湧
(72)【発明者】
【氏名】柳原 尚史
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-018754(JP,A)
【文献】特開平11-149553(JP,A)
【文献】特開2021-119693(JP,A)
【文献】Landsat-8 [online],[令和5年5月30日検索],一般財団法人リモート・センシング技術センター,2021年10月19日,https://web.archive.org/web/20211019045214/https://www.restec.or.jp/satellite/landsat-8.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工衛星において、波長に関する複数の第1チャネルで撮像した衛星画像情報を取得し、前記第1チャネルとして、赤色、緑色及び青色の各波長と、赤色、緑色及び青色を除く赤外光の波長とを含む、4チャネル以上の画像情報を取得する取得部と、
複数の第1チャネルを第2チャネルに変換する学習済モデルを生成する際に利用される複数の第1チャネルと当該複数の第1チャネルに基づいて変換する第2チャネルとに基づく係数を、前記取得部によって取得した衛星画像情報の複数の第1チャネルに対して乗算して、第1チャネル数よりも少ない第2チャネルに変換するものであって、該変換は、前記第1チャネルの赤色(R)のチャネルと、赤外光(IR)のチャネルのチャネルについて、以下の式
R’=aIR×bR(a,b:重み付け係数)
に基づいて、第2チャネルのうちの赤色(R’)の積の演算を行う、変換部と、
前記変換部によって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う解析部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記変換部は、第2チャネルとして、赤色、緑色及び青色の3チャネルに変換する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記変換部は、複数の第1チャネルについてバンド間演算を行うことにより、第2チャネルに変換する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記変換部は、複数の第1チャネルに基づいて四則演算を行うことにより、第2チャネルに変換する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記変換部は、外部装置において生成される変換処理モデルを利用して、第1チャネル第2チャネルに変換する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記解析部は、第2チャネルの画像情報と、その画像情報に記録される注目項目とを学習した学習済モデルに基づいて、第2チャネルの画像情報に記録される注目項目について推定を行うことにより、前記変換部によって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
人工衛星において、波長に関する複数の第1チャネルで撮像した衛星画像情報を取得し、前記第1チャネルとして、赤色、緑色及び青色の各波長と、赤色、緑色及び青色を除く赤外光の波長とを含む、4チャネル以上の画像情報を取得する取得ステップと、
複数の第1チャネルを第2チャネルに変換する学習済モデルを生成する際に利用される複数の第1チャネルと当該複数の第1チャネルに基づいて変換する第2チャネルとに基づく係数を、前記取得ステップによって取得した衛星画像情報の複数の第1チャネルに対して乗算して、第1チャネル数よりも少ない第2チャネルに変換するものであって、該変換は、前記第1チャネルの赤色(R)のチャネルと、赤外光(IR)のチャネルのチャネルについて、以下の式
R’=aIR×bR(a,b:重み付け係数)
に基づいて、第2チャネルのうちの赤色(R’)の積の演算を行う、変換ステップと、
前記変換ステップによって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う解析ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
人工衛星において、波長に関する複数の第1チャネルで撮像した衛星画像情報を取得し、前記第1チャネルとして、赤色、緑色及び青色の各波長と、赤色、緑色及び青色を除く赤外光の波長とを含む、4チャネル以上の画像情報を取得する取得機能と、
複数の第1チャネルを第2チャネルに変換する学習済モデルを生成する際に利用される複数の第1チャネルと当該複数の第1チャネルに基づいて変換する第2チャネルとに基づく係数を、前記取得機能によって取得した衛星画像情報の複数の第1チャネルに対して乗算して、第1チャネル数よりも少ない第2チャネルに変換するものであって、該変換は、前記第1チャネルの赤色(R)のチャネルと、赤外光(IR)のチャネルのチャネルについて、以下の式
R’=aIR×bR(a,b:重み付け係数)
に基づいて、第2チャネルのうちの赤色(R’)の積の演算を行う、変換機能と、
前記変換機能によって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う解析機能と、
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人工衛星で撮像された画像情報を利用して、種々の解析が行われている。特許文献1には、土地の土壌を推定する推定システムが開示される。推定システムは、異なる時刻に撮像された3つの衛星画像を取得して、衛星画像毎に土壌水分量指標値NDWIを取得する。さらに、推定システムは、その指標値NDWIから土地領域の特徴量を求め、土地領域の状態を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-084072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、衛星画像は、赤色、緑色及び青色(RGB)の各波長に対応するチャネルの他に、例えば、赤外光の波長に対応するチャネルを有する。このため、衛星画像を解析する際には、4チャネル以上に対応するような、衛星画像解析に専用となる解析装置が用いられる。専用の解析装置は種類が少なく、解析装置の開発にも費用と時間がかかるものとなっていた。
一方、衛星画像を除く他の画像ではRGBの3チャネルが用いられる。現在の一般的な解析装置では、そのような3チャネルの画像情報を利用しており、解析装置の種類も多いものとなっていた。
【0005】
本開示は、衛星画像についても種々の解析装置で解析可能とする情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の情報処理装置は、人工衛星において、波長に関する複数の第1チャネルで撮像した衛星画像情報を取得する取得部と、取得部によって取得した衛星画像情報の第1チャネル数よりも少ない第2チャネルに変換する変換部と、変換部によって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う解析部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、衛星画像情報の第1チャネル数よりも少ない第2チャネルに変換し、第2チャネルの画像情報について解析を行うので、衛星画像についても種々の解析装置で解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る情報処理装置の概要について説明するための図である。
図2】一実施形態に係る情報処理装置について説明するためのブロック図である。
図3】一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。
【0010】
[情報処理装置1の概要]
まず、一実施形態に係る情報処理装置1の概要について説明する。
図1は、一実施形態に係る情報処理装置1の概要について説明するための図である。
【0011】
情報処理装置1は、例えば、人工衛星100で撮像される複数のチャネルの衛星画像情報201についてチャネル数を変換する変換装置等として構成されてもよい。また、情報処理装置1は、例えば、衛星画像について解析を行う解析装置等として構成されてもよい。
情報処理装置1は、例えば、サーバ、デスクトップ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等のコンピュータによって構成されてもよい。
【0012】
情報処理装置1は、人工衛星100において撮像された衛星画像情報201を取得する。衛星画像情報201は、波長に関する複数の第1チャネルで撮像した画像情報を有する。チャネルは、例えば、所定の波長(波長帯域)に応じた光のことであり、「バンド」と言われる場合もある。第1チャネルは、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)及び赤外光(IR)に対応する波長(波長帯域)の4チャネルを有してもよい。また、第1チャネルは、上述した一例に限定されず、3チャネル以下であってもよく、5チャネル以上であってもよい。
【0013】
情報処理装置1は、衛星画像情報201を、第1チャネルよりもチャネル数が少ない第2チャネルに変換する。第2チャネルは、例えば、例えば、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)に対応する波長の3チャネルを有する。すなわち、情報処理装置1は、第1チャネルの衛星画像情報201を第2チャネルの画像情報202に変換する(第2チャネルの数<第1チャネルの数)。
【0014】
情報処理装置1は、変換後の第2チャネルの画像情報202について解析を行う。この場合、情報処理装置1は、例えば、種々の解析を行うことが可能である。
【0015】
[情報処理装置1の詳細]
次に、一実施形態に係る情報処理装置1の詳細について説明する。
図2は、一実施形態に係る情報処理装置1について説明するためのブロック図である。
【0016】
情報処理装置1は、例えば、通信部21、記憶部22、表示部23及び制御部11等を備える。通信部21、記憶部22及び表示部23は、出力部の一実施形態であってもよい。制御部11は、例えば、取得部12、変換部13、解析部14及び出力制御部15等を備える。制御部11は、例えば、情報処理装置1の演算処理装置等によって構成されてもよい。制御部11(例えば、演算処理装置等)は、例えば、記憶部22等に記憶される各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、各部(例えば、取得部12、変換部13、解析部14及び出力制御部15等)の機能を実現してもよい。
【0017】
通信部21は、例えば、情報処理装置1の外部にある装置(外部装置)等との間で種々の情報の送受信が可能である。外部装置は、例えば、人工衛星100及びサーバ(図示せず)等であってもよい。
【0018】
記憶部22は、例えば、種々の情報及びプログラムを記憶してもよい。記憶部22の一例は、メモリ、ソリッドステートドライブ及びハードディスクドライブ等であってもよい。なお、記憶部22は、例えば、クラウド上にある記憶領域及びサーバ等であってもよい。
【0019】
表示部23は、例えば、種々の文字、記号及び画像等を表示することが可能なディスプレイである。
【0020】
取得部12は、人工衛星100において、波長に関する複数の第1チャネルで撮像した衛星画像情報を取得する。取得部12は、例えば、通信部21を介して、外部装置等から衛星画像情報を取得してもよい。衛星画像情報は、人工衛星100で撮像された画像情報である。第1チャネルは、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)及び赤外光(IR)に対応する波長の4チャネルを有してもよい。また、第1チャネルは、上述した一例の他に他の波長(波長帯)のチャネルを有してもよい。さらに、第1チャネルは、上述した一例のように4チャネルに限らず、5チャネル以上であってもよく、3チャネル以下であってもよい。すなわち、取得部12は、例えば、第1チャネルとして、赤色、緑色及び青色の各波長と、赤色、緑色及び青色を除く他の波長とを含む、4チャネル以上の画像情報を取得してもよい。また、取得部12は、赤色、緑色及び青色に限定されず、種々の波長(波長帯域)の光に基づいた複数の第1チャネルの画像情報を取得してもよい。
【0021】
変換部13は、取得部12によって取得した衛星画像情報の第1チャネル数よりも少ない第2チャネルに変換する。一例として、変換部13は、第1チャネルが4チャネルの場合には、第2チャネルとして3チャネルに変換してもよい。より具体的な一例として、変換部13は、第2チャネルとして、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3チャネルに変換してもよい。すなわち一例として、変換部13は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)及び赤外光(IR)の4チャネルの衛星画像情報を、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3チャネルの画像情報に変換してもよい。第2チャネルは、上述した一例に限定されず、2チャネル以下であってもよく、4チャネル以上であってもよい。
【0022】
一例として、変換部13は、複数の第1チャネルについてバンド間演算を行うことにより、第2チャネルに変換してもよい。一例として、変換部13は、第1チャネルのうちの1つのチャネルA(バンド画像A)と、第1チャネルのうちの他の1つのチャネルB(バンド画像B)とにおける、衛星画像情報のうちの同一の画素についてバンド間演算を行うことを繰り返して、第2チャネルの画像情報に変換してもよい。具体的な一例として、変換部13は、衛星画像情報における、チャネルA(バンド画像A)と、チャネルB(チャネルB)とについて正規化を行うことにより、第2チャネルの画像情報に変換してもよい。より具体的な一例として、変換部13は、衛星画像情報における、赤色(R)のチャネル(赤バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて、以下の式(1)に基づいて正規化演算を行うことにより、第2チャネルのうちの赤色(R’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
R’=(IR-R)/(IR+R) …(1)
【0023】
同様に、変換部13は、例えば、衛星画像情報における、緑色(G)のチャネル(緑バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて正規化演算を行うことにより、第2チャネルのうちの緑色(G’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
同様に、変換部13は、例えば、衛星画像情報における、青色(B)のチャネル(青バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて正規化演算を行うことにより、第2チャネルのうちの青色(B’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
変換部13は、例えば、赤色(R’)、緑色(G’)及び青色(B’)の3チャネルを第2チャネルとして画像情報を生成してもよい。
【0024】
また一例として、変換部13は、複数の第1チャネルに基づいて四則演算等の演算を行うことにより、第2チャネルに変換してもよい。
【0025】
一例として、変換部13は、第1チャネルのうちの1つのチャネルA(バンド画像A)と、第1チャネルのうちの他の1つのチャネルB(バンド画像B)とにおける、衛星画像情報のうちの同一の画素について差分演算(バンド間の差分演算)を行うことを繰り返して、第2チャネルの画像情報に変換してもよい。より具体的な一例として、変換部13は、衛星画像情報における、赤色(R)のチャネル(赤バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて、以下の式(2)に基づいて差分演算を行うことにより、第2チャネルのうちの赤色(R’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
R’=IR-R …(2)
【0026】
同様に、変換部13は、例えば、衛星画像情報における、緑色(G)のチャネル(緑バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて差分演算を行うことにより、第2チャネルのうちの緑色(G’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
同様に、変換部13は、例えば、衛星画像情報における、青色(B)のチャネル(青バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて差分演算を行うことにより、第2チャネルのうちの青色(B’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
変換部13は、例えば、赤色(R’)、緑色(G’)及び青色(B’)の3チャネルを第2チャネルとして画像情報を生成してもよい。
【0027】
また、一例として、変換部13は、第1チャネルのうちの1つのチャネルA(バンド画像A)と、第1チャネルのうちの他の1つのチャネルB(バンド画像B)とにおける、衛星画像情報のうちの同一の画素について和の演算(バンド間の和の演算)を行うことを繰り返して、第2チャネルの画像情報に変換してもよい。より具体的な一例として、変換部13は、衛星画像情報における、赤色(R)のチャネル(赤バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて、以下の式(3)に基づいて和の演算を行うことにより、第2チャネルのうちの赤色(R’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
R’=IR+R …(3)
【0028】
また、一例として、変換部13は、第1チャネルのうちの1つのチャネルA(バンド画像A)と、第1チャネルのうちの他の1つのチャネルB(バンド画像B)とにおける、衛星画像情報のうちの同一の画素について積の演算(バンド間の積の演算)を行うことを繰り返して、第2チャネルの画像情報に変換してもよい。より具体的な一例として、変換部13は、衛星画像情報における、赤色(R)のチャネル(赤バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて、以下の式(4)に基づいて積の演算を行うことにより、第2チャネルのうちの赤色(R’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
R’=IR×R …(4)
この場合、変換部13は、式(4)の少なくとも1つの項に係数を乗算してもよい。一例として、変換部13は、以下の式(5)に基づいて積の演算を行うことにより、第2チャネルのうちの赤色(R’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
R’=aIR×bR …(5) (a,b:重み付け係数)
【0029】
また、一例として、変換部13は、第1チャネルのうちの1つのチャネルA(バンド画像A)と、第1チャネルのうちの他の1つのチャネルB(バンド画像B)とにおける、衛星画像情報のうちの同一の画素について除の演算(バンド間の除の演算)を行うことを繰り返して、第2チャネルの画像情報に変換してもよい。より具体的な一例として、変換部13は、衛星画像情報における、赤色(R)のチャネル(赤バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて、以下の式(6)に基づいて積の演算を行うことにより、第2チャネルのうちの赤色(R’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。この場合においても、変換部13は、式(6)の少なくとも1つの項に係数を乗算することにより、赤色(R’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
R’=IR÷R …(6)
【0030】
変換部13は、上述した式(3)~(6)それぞれの場合と同様に、緑色及び青色の各チャネルを変換してもよい。
すなわち、変換部13は、例えば、衛星画像情報における、緑色(G)のチャネル(緑バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて種々の演算を行うことにより、第2チャネルのうちの緑色(G’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
同様に、変換部13は、例えば、衛星画像情報における、青色(B)のチャネル(青バンド画像)と、赤外光(IR)のチャネル(赤外光バンド画像)とについて種々の演算を行うことにより、第2チャネルのうちの青色(B’)のチャネルの画像情報に変換してもよい。
変換部13は、例えば、赤色(R’)、緑色(G’)及び青色(B’)の3チャネルを第2チャネルとして画像情報を生成してもよい。
【0031】
なお、変換部13は、下式(7)に一例を示すように、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)及び赤外光(IR)等の各チャネルに基づく関数fに基づいて、各チャネルを算出することができる。
R’=f(R,G,B,IR) …(7)
また、式(7)等においては、R,G,B,IRの少なくとも1つの項に対して重み付け係数を加えてもよい。
【0032】
変換部13は、上述した一例に限定されず、他の種々の方法により第1チャネル(例えば、4チャネル以上等)の衛星画像情報を第2チャネル(例えば、3チャネル等)の画像情報に変換してもよい。
一例として、変換部13は、学習済モデルを利用して、複数の第1チャネルを第2チャネルに変換してもよい。この場合の学習済モデルは、例えば、制御部11等を始めとする種々の学習装置(図示せず)において、複数の第1チャネルと、第2チャネルとを学習することにより生成されてもよい。この場合、学習装置は、情報処理装置の外部にある外部装置等であってもよい。
また、外部装置は、学習済モデルに限らず、第1チャネルから第2チャネルに変換する種々の変換処理モデルを生成してもよい。変換部13は、変換処理モデルを利用して、第1チャネルを第2チャネルに変換してもよい。変換処理モデルには、学習済モデルが含まれてもよい。
【0033】
解析部14は、変換部13によって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う。一例として、解析部14は、第2チャネルの画像情報と、その画像情報に記録される注目項目とを学習した学習済モデルに基づいて、第2チャネルの画像情報に記録される注目項目について推定を行うことにより、変換部13によって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行ってもよい。すなわち、解析部14は、学習済モデルと、変換部13によって変換した第2チャネルの画像情報とに基づいて、その画像情報に記録される注目項目について推定(解析)を行う。
【0034】
ここで、解析部14は、例えば、学習の初期段階において3チャネル(例えば、赤色、緑色及び青色)の画像情報(衛星画像情報を除く他の画像情報)を用いて学習することにより生成される学習済モデルを利用して、さらに第2チャネルの画像情報の転移学習を行ってもよい。解析部14が利用する上述した学習済モデルには、転移学習に基づく学習済モデルも含まれる。
【0035】
学習済モデルは、例えば、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3チャネル(第2チャネル)の画像情報と、その画像に記録される注目項目とを学習することにより生成される。この場合、制御部11を構成する学習部(図示せず)は、例えば、上述した学習を行うことにより学習済モデルを生成してもよい。又は同様に、情報処理装置1の外部にある学習装置(図示せず)は、例えば、上述した学習を行うことにより学習済モデルを生成してもよい。なお、学習済モデルは、例えば、記憶部22に記憶されてもよい。解析部14は、例えば、学習部、学習装置又は記憶部22から学習済モデルを受け付けてもよい。
【0036】
注目項目は、例えば、解析により得ようとする内容であり、解析対象と言ってもよい。注目項目は、例えば、解析の内容によって種々のものが設定される。注目項目の一例は、雲、土壌、鉱物、植物、及び、水等の海洋状況等を始めとする種々の項目であってもよい。また、注目項目の一例は、建物及び車両等を始めとする種々の人工物等であってもよい。
【0037】
出力制御部15は、例えば、変換部13によって変換された第2チャネルの画像情報を出力するよう出力部を制御してもよい。また、出力制御部15は、例えば、解析部14による解析の結果(注目項目についての推定結果)を出力するよう出力部を制御してもよい。ここで、出力部は、例えば、通信部21、記憶部22及び表示部23等であってもよい。
【0038】
すなわち、出力制御部15は、例えば、第2チャネルの画像情報、及び、解析結果のグループから選択される少なくとも1つの情報を外部装置(図示せず)に送信するよう通信部21を制御してもよい。ここでの外部装置は、例えば、サーバ及びユーザ端末等であってもよい。ユーザ端末は、例えば、情報処理装置1のユーザが使用する端末であり、デスクトップ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等であってもよい。
出力制御部15は、例えば、第2チャネルの画像情報、及び、解析結果のグループから選択される少なくとも1つの情報を記憶するよう記憶部22を制御してもよい。
出力制御部15は、例えば、第2チャネルの画像情報、及び、解析結果のグループから選択される少なくとも1つを表示するよう表示部23を制御してもよい。
【0039】
[情報処理方法]
次に、一実施形態に係る情報処理方法について説明する。
図3は、一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【0040】
ステップST101において、取得部12は、人工衛星100において複数の第1チャネルで撮像した衛星画像情報を取得する。取得部12は、例えば、第1チャネルとして、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の各波長と、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)を除く他の波長とを含む、4チャネル以上の画像情報を取得してもよい。他の波長は、例えば、赤外光(IR)等の波長であってもよい。
【0041】
ステップST102において、変換部13は、ステップST101で取得した衛星画像情報を、複数の第1チャネルのチャネル数よりも少ない第2チャネルに変換する。具体的な一例として、変換部13は、第2チャネルとして、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3チャネルに変換してもよい。この場合の一例として、変換部13は、複数の第1チャネルについてバンド間演算を行うことにより、第2チャネルに変換してもよい。又は一例として、変換部13は、複数の第1チャネルに基づいて四則演算等を始めとする種々の演算を行うことにより、第2チャネルに変換してもよい。また一例として、変換部13は、学習済モデル(変換処理モデル)を利用して、第1チャネルを第2チャネルに変換してもよい。
【0042】
ステップST103において、解析部14は、ステップST102で変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う。一例として、解析部14は、学習済モデルを利用して、ステップST102で変換した第2チャネルの画像情報に記録される注目項目(解析対象)について推定を行ってもよい。換言すると、解析部14は、例えば、学習済モデルを利用して、ステップST102で変換した第2チャネルの画像情報について解析を行ってもよい。学習済モデルは、例えば、学習部又は学習装置(図示せず)等において、第2チャネルの画像情報と、その画像情報に記録される注目項目(解析対象)とを学習することにより生成されてもよい。一例として、学習済モデルは、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3チャネル(第2チャネル)の画像情報と、その画像に記録される注目項目(解析対象)とを学習することにより生成されてもよい。
【0043】
ステップST104において、出力制御部15は、例えば、ステップST102で変換された第2チャネルの画像情報を出力するよう出力部を制御してもよい。また、出力制御部15は、例えば、ステップST103での解析の結果(注目項目についての推定結果)を出力するよう出力部を制御してもよい。ここで、出力部は、例えば、通信部21、記憶部22及び表示部23等であってもよい。
【0044】
上述した情報処理装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置1の取得部12、変換部13、解析部14及び出力制御部15(制御部11)は、コンピュータの演算処理装置等による取得機能、変換機能、解析機能及び出力制御機能(制御機能)としてそれぞれ実現されてもよい。
情報処理プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。情報処理プログラムは、例えば、メモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体等に記録されていてもよい。記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体と言い換えてもよい。
また、上述したように、情報処理装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、情報処理装置1の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置1の取得部12、変換部13、解析部14及び出力制御部15(制御部11)は、コンピュータの演算処理装置等を構成する取得回路、変換回路、解析回路及び出力制御回路(制御回路)として実現されてもよい。
また、情報処理装置1の通信部21、記憶部22及び表示部23(出力部)は、例えば、演算処理装置等の機能を含む通信機能、記憶機能及び表示機能(出力機能)として実現されもよい。また、情報処理装置1の通信部21、記憶部22及び表示部23(出力部)は、例えば、集積回路等によって構成されることにより通信回路、記憶回路及び表示回路(出力回路)として実現されてもよい。また、情報処理装置1の通信部21、記憶部22及び表示部23(出力部)は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより通信装置、記憶装置及び表示装置(出力装置)として構成されてもよい。
【0045】
情報処理装置1は、上述した複数の各部のうち1又は任意の複数を組み合わせることが可能である。
本開示では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0046】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、本実施形態は以下に記載する各態様に限定されることはなく、上述した各部を適宜組み合わせて実現されてもよい。また、下位の態様は、それよりも上位の態様のいずれでも引用できる場合がある。
また、以下に記載する効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。また、各態様は、例えば、以下に記載する少なくとも1つの効果を奏してもよい。
【0047】
(態様1)
一態様の情報処理装置は、人工衛星において、波長に関する複数の第1チャネルで撮像した衛星画像情報を取得する取得部と、取得部によって取得した衛星画像情報の第1チャネル数よりも少ない第2チャネルに変換する変換部と、変換部によって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う解析部と、を備える。
これにより、情報処理装置は、衛星画像についても、変換後の第2チャネルの画像情報に基づいて種々の解析を行うことができる。また、情報処理装置は、第2チャネルの画像情報に基づいて解析を行うので、衛星画像情報そのものを解析する場合に比べて、解析装置(解析部)の開発費用の増加を抑制でき、また相対的により短い時間で解析装置(解析部)の開発を行うことができる。
また、情報処理装置は、チャネルのバンドコンビネーションを工夫したので、すなわち例えば、第1チャネルから第2チャネルに変換することにより、解析の精度を上げることができる。
【0048】
(態様2)
一態様の情報処理装置では、取得部は、第1チャネルとして、赤色、緑色及び青色の各波長と、赤色、緑色及び青色を除く他の波長とを含む、4チャネル以上の画像情報を取得することとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、マルチバンドの衛星画像情報であっても、例えば、汎用的なバンド(一例として、赤色、緑色及び青色等)の画像情報に変換することができる。
【0049】
(態様3)
一態様の情報処理装置では、変換部は、第2チャネルとして、赤色、緑色及び青色(RGB)の3チャネルに変換することとしてもよい。
RGBの3チャネルを含む画像情報は、一般的に種々の用途で用いられている。また、RGBの3チャンネルの画像情報を解析する解析装置(解析部)は、4チャネル以上の衛星画像情報を解析する解析装置に比べて多く有る。
したがって、情報処理装置は、衛星画像情報をRGBの3チャネルの画像情報(RGB画像情報)に変換するので、より多くの解析装置(解析部)を利用して変換後のRGB画像情報を解析することが可能になる。すなわち、情報処理装置は、衛星画像情報について専用の解析装置でなくとも、衛星画像情報を変換後した後のRGB画像情報に基づいて解析を行うことができる。換言すると、情報処理装置は、衛星画像情報をRGB画像情報に変換して、種々の解析装置(解析部)を利用して解析を行うことができ、例えば、今まで解析されていなかった(又は、解析数が少なかった)項目内容(解析対象)についても解析を行うことができる。
また、解析装置(解析部)は、RGBの3チャンネルを利用した解析(既存解析)を行うものが有るが、衛星画像情報から変換した後のRGBの3チャネルの画像情報を解析する際には既存解析を改良した解析方法を利用することにより、衛星画像情報専用の解析方法を利用する場合に比べて、解析方法の開発の時間とコストを低減することができる。すなわち、既存解析となる一般的なRGB画像に基づいて学習を行うことにより生成した学習済モデルを利用して、さらにRGBの衛星画像を学習(転移学習)することにより、より効率的に衛星画像の解析方法を開発することが可能になる。
【0050】
(態様4)
一態様の情報処理装置では、変換部は、複数の第1チャネルについてバンド間演算を行うことにより、第2チャネルに変換することとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、マルチバンドの衛星画像情報を、所定の波長(波長帯域)のチャネル(バンド)の画像情報に変換することができる。
【0051】
(態様5)
一態様の情報処理装置では、変換部は、複数の第1チャネルに基づいて四則演算を行うことにより、第2チャネルに変換することとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、マルチバンドの衛星画像情報を、所定の波長(波長帯域)のチャネル(バンド)の画像情報に変換することができる。
【0052】
(態様6)
一態様の情報処理装置では、変換部は、外部装置において生成される変換処理モデルを利用して、第1チャネル第2チャネルに変換することとしてよい。
これにより、情報処理装置は、マルチバンドの衛星画像情報を、所定の波長(波長帯域)のチャネル(バンド)の画像情報に変換することができる。
【0053】
(態様7)
一態様の情報処理装置では、解析部は、第2チャネルの画像情報と、その画像情報に記録される注目項目とを学習した学習済モデルに基づいて、第2チャネルの画像情報に記録される注目項目について推定を行うことにより、変換部によって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行うこととしてもよい。
これにより、情報処理装置は、例えば、注目項目(解析対象)について、学習済モデルを利用して種々の解析(推定)を行うことができる。
【0054】
(態様8)
一態様の情報処理方法では、コンピュータが、人工衛星において、波長に関する複数の第1チャネルで撮像した衛星画像情報を取得する取得ステップと、取得ステップによって取得した衛星画像情報の第1チャネル数よりも少ない第2チャネルに変換する変換ステップと、変換ステップによって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う解析ステップと、を実行する。
これにより、情報処理方法は、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏してもよい。
【0055】
(態様9)
一態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、人工衛星において、波長に関する複数の第1チャネルで撮像した衛星画像情報を取得する取得機能と、取得機能によって取得した衛星画像情報の第1チャネル数よりも少ない第2チャネルに変換する変換機能と、変換機能によって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う解析機能と、を実現させる。
これにより、情報処理プログラムは、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏してもよい。
【0056】
(態様10)
一態様の情報処理装置は、撮像部において、波長に関する複数の第1チャネルで撮像した画像情報を取得する取得部と、取得部によって取得した画像情報の第1チャネル数よりも少ない第2チャネルに変換する変換部と、変換部によって変換した第2チャネルの画像情報について解析を行う解析部と、を備える。
取得部によって取得される画像情報は、衛星画像情報に限定されることはない。これにより、情報処理装置は、衛星画像に限定されず、種々の撮像部(例えば、カメラ装置)によって撮像されることにより生成される画像(画像情報)を利用する場合であっても、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 情報処理装置
11 制御部
12 取得部
13 変換部
14 解析部
15 出力制御部
21 通信部
22 記憶部
23 表示部
100 人工衛星
201 衛星画像情報
202 画像情報
図1
図2
図3