(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】金融商品取引管理装置、金融商品取引管理システム、金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20240115BHJP
【FI】
G06Q40/04
(21)【出願番号】P 2022180080
(22)【出願日】2022-11-10
(62)【分割の表示】P 2021184164の分割
【原出願日】2016-03-14
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2015242572
(32)【優先日】2015-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】317010521
【氏名又は名称】株式会社マネースクエアHD
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】相葉 斉
(72)【発明者】
【氏名】山本 久敏
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第7180917(JP,B2)
【文献】特開2008-146675(JP,A)
【文献】特開2005-228029(JP,A)
【文献】特開2014-207028(JP,A)
【文献】特開2013-130936(JP,A)
【文献】特開2015-201197(JP,A)
【文献】国際公開第2014/185554(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相場価格の変動する金融商品の取引を行う金融商品取引管理装置であって、
金融商品を注文するための注文情報を生成する注文情報生成手段と、
前記金融商品の約定を管理する約定管理手段とを備え、
該約定管理手段は、
前記注文情報によって形成された、一部又は全部を約定可能な第一注文と、該第一注文が約定して保有するポジションを約定によって決済させる、一部又は全部を約定可能な第二注文とのうちの、前記第一注文のうちの
特定の一部
が約定の条件を満たし、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、及び/又は、前記第二注文のうちの
特定の一部が約定の条件を満たし
、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、
前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第一注文と前記残りの一部の前記第一注文とを別個に約定させる処理、及び/又は、
前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第二注文と前記残りの一部の前記第二注文とを別個に約定させる処理、を行い、
前記注文情報生成手段は、
前記約定
させる処理が行われた
前記特定の一部の前記第一注文
の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第一注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成する処理を行い、
前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成する処理を行うことを繰り返し、
前記約定管理手段は、
別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第一注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第一注文を約定させる処理とを別個に行い、
別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第二注文を約定させる処理とを別個に行うことを繰り返すことを特徴とする金融商品取引管理装置。
【請求項2】
前記約定管理手段は、
約定によって前記ポジションを保有する前記第一注文と約定によって前記ポジションを決済させる前記第二注文とにおいて、前記第一注文が約定した時、又は、前記第一注文が約定した後の所定のタイミング、又は、前記第二注文が約定した時、又は、前記第二注文が約定した後の所定のタイミング、の何れかの時点において、前記第二注文を、前記約定した前記第一注文に対応して約定させる一部の第二注文と、前記約定した前記第一注文に対応して約定させない他の一部の第二注文とに分裂させることを特徴とする請求項1に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項3】
前記約定管理手段は、
約定によって前記ポジションを保有する前記第一注文と約定によって前記ポジションを決済させる前記第二注文とにおいて、該第一注文が約定した時、又は、前記第一注文が約定した後の所定のタイミング、又は、前記第二注文が約定した時、又は、前記第二注文が約定した後の所定のタイミング、の何れかの時点において、前記第一注文を、約定した前記第一注文と、未約定の前記第一注文とに分裂させることを特徴とする請求項1又は2に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項4】
前記約定管理手段は、前記注文情報が第一注文と第二注文とをそれぞれ形成し、前記第一注文の一部のみが約定してポジションを保有した場合、前記ポジションを保有した一部の前記第一注文、又は該一部の第一注文が分裂する場合における該分裂が起きる前の前記第一注文と、前記ポジションを保有した一部の前記第一注文の前記ポジションを約定によって決済させる一部の前記第二注文とを対応させた状態とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置。
【請求項5】
前記注文情報生成手段は、第一注文と第二注文とをそれぞれ発注するための前記注文情報を生成し、第一注文の前記注文情報に基づく前記ポジションの保有と第二注文の前記注文情報に基づく前記ポジションの決済とを繰り返し行わせて、
前記約定管理手段は、
前記第一注文と前記第二注文とについて、
前記繰り返しが行われる前の前記第一注文及び/又は前記第二注文のうちの一部のみが約定した場合、繰り返される前記第一注文及び/又は第二注文を、前記繰り返しの前における約定された前記注文と未約定の前記注文の区分が維持された態様とすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置。
【請求項6】
前記注文情報生成手段は、前記第一注文と前記第二注文とをそれぞれ複数の価格にて発注するための注文情報として生成し、
前記約定管理手段は、前記第一注文の価格と、該第一注文に対応する前記第二注文の価格との間の価格帯を複数設け、複数の前記価格帯のうち少なくとも何れか一つの前記価格帯において前記第一注文と前記第二注文とを繰り返し行うことを特徴とする請求項5に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項7】
前記注文情報生成手段は、特定の上限価格と特定の下限価格の間に形成される価格範囲に一又は複数の前記価格帯を設定することを特徴とする請求項6に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項8】
前記注文情報生成手段は、前記第一注文としての前記注文情報を、前記第一注文が前記ポジションを保有する基準となる価格として設定された第一注文価格に対し、前記相場価格が、前記第一注文価格を超えて下落又は上昇したのちに再度前記第一注文価格以上又は以下となった後に前記ポジションを保有するように設定し、
前記第二注文としての前記注文情報を、前記第二注文によって前記ポジションを決済する基準となる価格として設定された第二注文価格に対し、前記相場価格が、前記第二注文価格を超えて上昇又は下落したのちに再度前記第二注文価格以下又は以上となった後に前記ポジションを決済するように設定し、
前記第二注文である前記注文情報は、トレール幅情報を備え、
前記第二注文である前記注文情報は、前記トレール幅情報に基づいて上昇方向又は下落方向に移動するように設定されたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置。
【請求項9】
前記注文情報が所定の前記相場価格に一致した後に前記注文情報を約定させる約定情報生成手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置。
【請求項10】
前記金融商品の取引を行う取引者の、所定の口座における資金の残高の情報としての資金情報を管理する資金管理手段を備え、
前記約定情報生成手段は、前記資金情報を確認し、前記資金の残高が前記金融商品の約定に必要な金額未満の場合は、同一の価格において発注された前記注文情報に基づく前記注文のうちの一部の前記注文のみを約定させることを特徴とする請求項9に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項11】
相場価格の変動する金融商品の取引を行う金融商品取引管理システムであって、
金融商品を注文するための注文情報を生成する注文情報生成手段と、
前記金融商品の約定を管理する約定管理手段とを備え、
該約定管理手段は、
前記注文情報によって形成された、一部又は全部を約定可能な第一注文と、該第一注文が約定して保有するポジションを約定によって決済させる
、一部又は全部を約定可能な第二注文とのうちの、前記第一注文のうちの
特定の一部
が約定の条件を満たし、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、及び/又は、前記第二注文のうちの
特定の一部が約定の条件を満たし
、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、
前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第一注文と前記残りの一部の前記第一注文とを別個に約定させる処理、及び/又は、
前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第二注文と前記残りの一部の前記第二注文とを別個に約定させる処理、を行い、
前記注文情報生成手段は、
前記約定
させる処理が行われた
前記特定の一部の前記第一注文
の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第一注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成する処理を行い、
前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成する処理を行うことを繰り返し、
前記約定管理手段は、
別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第一注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第一注文を約定させる処理とを別個に行い、
別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第二注文を約定させる処理とを別個に行うことを繰り返すことを特徴とする金融商品取引管理システム。
【請求項12】
相場価格の変動する金融商品の取引を行う金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法であって、
金融商品を注文するための注文情報を生成する注文情報生成手順と、
前記金融商品の約定を管理する約定管理手順とを備え、
該約定管理手順においては、
前記注文情報によって形成された、一部又は全部を約定可能な第一注文と、該第一注文が約定して保有するポジションを約定によって決済させる、一部又は全部を約定可能な第二注文とのうちの、前記第一注文のうちの
特定の一部
が約定の条件を満たし、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、及び/又は、前記第二注文のうちの
特定の一部が約定の条件を満たし
、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、
前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第一注文と前記残りの一部の前記第一注文とを別個に約定させる処理、及び/又は、
前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第二注文と前記残りの一部の前記第二注文とを別個に約定させる処理、が行われ、
前記注文情報生成手順においては、
前記約定
させる処理が行われた
前記特定の一部の前記第一注文
の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第一注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成させる処理を行わせ、
前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成させる処理を行わせることを繰り返し、
前記約定管理手順においては、
別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第一注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第一注文を約定させる処理とを別個に行わせ、
別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第二注文を約定させる処理とを別個に行わせることを繰り返させる
ことを特徴とする金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至10の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置又は請求項11の金融商品取引管理システムとして機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の金融商品の取引の管理及び支援を行う技術に関する。本発明は、各種の金融商品の取引を管理及び支援する装置等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
株式、債券、投資信託、不動産投資信託、コモディティ(商品)、外国為替、株価指数等、相場価格が変動する各種の金融商品の取引方法として、成行注文(注文発注時点の相場価格で取引を行う注文形態)や指値注文(相場価格が予め指定された価格になった時点で取引を行う形態)等が知られている。従来、これらの注文形態、例えば指値注文による取引を、コンピュータシステムを用いて行う発明が知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、この発明においては、予め設定された価格をポジションとする金融商品の注文を発注し、金融商品の相場価格がこの価格に至ったときにその注文を約定させることで取引を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば金融商品の売買の需要と供給は必ずしも一致しない。また、発注した金融商品を買う際に発注量に対して資金額が不足する場合がある。そのため、発注された金融商品の注文について、必ずしも発注された注文の全ての注文数量を約定できず、発注された注文のうちの一部の注文数量のみが約定する(このような約定形態を「部分約定」と称する。以下本明細書において同じ。)場合がある。また、金融商品の相場が任意の価格帯を中心に変動しているような場合、この価格帯を中心とした取引を時系列に沿って継続的に行う要求が発生しうる。しかし、上記特許文献1においては、全ての注文を約定できない場合に対応できず、また、任意の価格帯で継続的に取引を行う場合に取引者が何度も注文を発注しなければならず、取引者が取引に要する労力が過大になるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる金融商品取引管理装置、金融商品取引管理システム、金融商品取引管理システムにおける取引管理方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、相場価格の変動する金融商品の取引を行う金融商品取引管理装置であって、金融商品を注文するための注文情報を生成する注文情報生成手段と、前記金融商品の約定を管理する約定管理手段とを備え、該約定管理手段は、前記注文情報によって形成された、一部又は全部を約定可能な第一注文と、該第一注文が約定して保有するポジションを約定によって決済させる、一部又は全部を約定可能な第二注文とのうちの、前記第一注文のうちの特定の一部が約定の条件を満たし、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、及び/又は、前記第二注文のうちの特定の一部が約定の条件を満たし、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第一注文と前記残りの一部の前記第一注文とを別個に約定させる処理、及び/又は、前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第二注文と前記残りの一部の前記第二注文とを別個に約定させる処理、を行い、前記注文情報生成手段は、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第一注文の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第一注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成する処理を行い、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成する処理を行うことを繰り返し、前記約定管理手段は、別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第一注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第一注文を約定させる処理とを別個に行い、別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第二注文を約定させる処理とを別個に行うことを繰り返すことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記約定管理手段は、約定によって前記ポジションを保有する前記第一注文と約定によって前記ポジションを決済させる前記第二注文とにおいて、前記第一注文が約定した時、又は、前記第一注文が約定した後の所定のタイミング、又は、前記第二注文が約定した時、又は、前記第二注文が約定した後の所定のタイミング、の何れかの時点において、前記第二注文を、前記約定した前記第一注文に対応して約定させる一部の第二注文と、前記約定した前記第一注文に対応して約定させない他の一部の第二注文とに分裂させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記約定管理手段は、前記第一注文のうちの一部のみが約定した際、該第一注文を、該第一注文が約定した時、又は、前記第一注文が約定した後の所定のタイミング、又は、前記第一注文が約定して保有するポジションを約定によって決済させる前記第二注文が約定した時、又は、前記第二注文が約定した後の所定のタイミング、の何れかの時点において、前記第一注文を、約定した前記第一注文と、未約定の前記第一注文とに分裂させることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記約定管理手段は、前記注文情報が第一注文と第二注文とをそれぞれ形成し、前記第一注文の一部のみが約定してポジションを保有した場合、前記ポジションを保有した一部の前記第一注文、又は該一部の第一注文が分裂する前の前記第一注文と、前記ポジションを保有した一部の前記第一注文の前記ポジションを約定によって決済させる一部の前記第二注文とを対応させた状態とすることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、第一注文と第二注文とをそれぞれ発注するための前記注文情報を生成し、第一注文の前記注文情報に基づく前記ポジションの保有と第二注文の前記注文情報に基づく前記ポジションの決済とを繰り返し行わせて、前記約定管理手段は、繰り返し生成された前記第一注文と前記第二注文とについて、前記繰り返しが行われる前の前記第一注文及び/又は前記第二注文のうちの一部のみが約定した場合、繰り返される前記第一注文及び/又は第二注文を、前記繰り返しの前における約定された前記注文と未約定の前記注文の区分が維持された態様とすることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、前記第一注文と前記第二注文とをそれぞれ複数の価格にて発注するための注文情報として生成し、前記約定管理手段は、前記第一注文の価格と、該第一注文に対応する前記第二注文の価格との間の価格帯を複数設け、複数の前記価格帯のうち少なくとも何れか一つの前記価格帯において前記第一注文と前記第二注文とを繰り返し行うことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、特定の上限価格と特定の下限価格の間に形成される価格範囲に一又は複数の前記価格帯を設定することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一つに記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、前記第一注文としての前記注文情報を、前記第一注文が前記ポジションを保有する基準となる価格として設定された第一注文価格に対し、前記相場価格が、前記第一注文価格を超えて下落又は上昇したのちに再度前記第一注文価格以上又は以下となった後に前記ポジションを保有するように設定し、前記第二注文としての前記注文情報を、前記第二注文によって前記ポジションを決済する基準となる価格として設定された第二注文価格に対し、前記相場価格が、前記第二注文価格を超えて上昇又は下落したのちに再度前記第二注文価格以下又は以上となった後に前記ポジションを決済するように設定し、前記第二注文である前記注文情報は、トレール幅情報を備え、前記第二注文である前記注文情報は、前記トレール幅情報に基づいて上昇方向又は下落方向に移動するように設定されたことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか一つに記載の構成に加え、前記注文情報が所定の前記相場価格に一致した後に前記注文情報を約定させる約定情報生成手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の構成に加え、前記金融商品の取引を行う取引者の、所定の口座における資金の残高の情報としての資金情報を管理する資金管理手段を備え、前記約定情報生成手段は、前記資金情報を確認し、前記資金の残高が前記金融商品の約定に必要な金額未満の場合は、同一の価格において発注された前記注文情報に基づく前記注文のうちの一部の前記注文のみを約定させることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、相場価格の変動する金融商品の取引を行う金融商品取引管理システムであって、金融商品を注文するための注文情報を生成する注文情報生成手段と、前記金融商品の約定を管理する約定管理手段とを備え、該約定管理手段は、前記注文情報によって形成された、一部又は全部を約定可能な第一注文と、該第一注文が約定して保有するポジションを約定によって決済させる、一部又は全部を約定可能な第二注文とのうちの、前記第一注文のうちの特定の一部が約定の条件を満たし、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、及び/又は、前記第二注文のうちの特定の一部が約定の条件を満たし、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第一注文と前記残りの一部の前記第一注文とを別個に約定させる処理、及び/又は、前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第二注文と前記残りの一部の前記第二注文とを別個に約定させる処理、を行い、前記注文情報生成手段は、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第一注文の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第一注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成する処理を行い、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成する処理を行うことを繰り返し、前記約定管理手段は、別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第一注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第一注文を約定させる処理とを別個に行い、別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第二注文を約定させる処理とを別個に行うことを繰り返すことを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、相場価格の変動する金融商品の取引を行う金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法であって、金融商品を注文するための注文情報を生成する注文情報生成手順と、前記金融商品の約定を管理する約定管理手順とを備え、該約定管理手順においては、前記注文情報によって形成された、一部又は全部を約定可能な第一注文と、該第一注文が約定して保有するポジションを、約定によって決済させる、一部又は全部を約定可能な第二注文とのうちの、前記第一注文のうちの特定の一部が約定の条件を満たし、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、及び/又は、前記第二注文のうちの特定の一部が約定の条件を満たし、さらに残りの一部が約定の条件を満たした場合、前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第一注文と前記残りの一部の前記第一注文とを別個に約定させる処理、及び/又は、前記約定の条件を満たした前記特定の一部の前記第二注文と前記残りの一部の前記第二注文とを別個に約定させる処理、が行われ、前記注文情報生成手順においては、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第一注文の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第一注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成させる処理を行わせ、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報と、前記残りの一部の前記第二注文の取引を行う前記注文情報とを別個に生成させる処理を行わせることを繰り返し、前記約定管理手順においては、別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第一注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第一注文を約定させる処理とを別個に行わせ、別個に生成されたそれぞれの前記注文情報に基づいて、前記約定させる処理が行われた前記特定の一部の前記第二注文を約定させる処理と、前記残りの一部の前記第二注文を約定させる処理とを別個に行わせることを繰り返させることを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを、請求項1乃至10の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置又は請求項11の金融商品取引管理システムとして機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1、請求項11、請求項12に記載の発明によれば、第一注文のうちの一部のみが約定した際、特定の第二注文を分裂させることができる。これにより、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、特定の第一注文の一部のみが約定したときに、一部のみが約定した原因や状況に適合したタイミングで特定の第二注文を分裂させることができる。これにより部分約定を含む取引の管理や運用を適切に行うことができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、特定の第一注文や特定の第一注文に対応する第二注文の一部のみが約定したときに、一部のみが約定した原因や状況に適合したタイミングで特定の第一注文を分裂させることができる。これにより部分約定を含む取引の管理や運用を適切に行うことができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、ポジションを保有した一部の第一注文、又はこの一部の第一注文が分裂する場合における分裂が起きる前の第一注文と、それを決済させる一部の第二注文とを対応させて、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、ポジションの保有と保有したポジションの決済を繰り返すことにより、継続的な取引機会を設けて、多くの利益を得る機会を提供することが可能となる。また、第一注文と第二注文との繰り返しにおいて第一注文、及び/又は、第二注文の一部のみが約定した場合に、繰り返しの前における約定された注文と未約定の注文の区分を維持された態様とすることにより、第一注文と第二注文とを繰り返し行う構成において、第一注文、及び/又は、第二注文の一部のみが約定した場合における全ての第一注文、及び/又は、第二注文の、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、価格帯を設定し、それぞれの価格帯で、一部のみが約定しうる第一注文、及び/又は、一部のみが約定しうる第二注文を繰り返し行わせることで、価格帯で継続的な取引機会を設けて多くの利益を得る機会を提供すると共に、それぞれの価格帯において第一注文、及び/又は、第二注文の一部のみが約定した場合における全ての第一注文、及び/又は、第二注文について、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、特定の上限価格と特定の下限価格の間に形成される価格範囲に一又は価格帯を設定して、それぞれの価格帯で、一部のみが約定しうる第一注文、及び/又は、一部のみが約定しうる第二注文を繰り返し行わせることができる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、第一注文としての注文情報や第二注文としての注文情報は、相場価格が、第一注文価格や第二注文価格を超えて下落又は上昇したのちに再度第一注文価格や第二注文価格以上又は以下となった後に約定するように設定されているので、下落相場が上昇相場に転ずる価格や、上昇相場が下落相場に転ずる価格に近い価格で取引を行える可能性が高くなり、取引により大きな利益を得られる可能性を持たせることができる。これにより、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、多くの利益を得る機会を提供できる。また、第二注文としての注文情報にトレール幅情報を備え、第二注文である注文情報は、トレール幅情報に基づいて上昇方向又は下落方向に移動することにより、1回の第一注文と第二注文との売買取引によって得られる利益を大きくすることができる。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、生成された注文情報に基づいて注文を約定させて、金融商品の取引を確実に行うことができる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、金融商品の約定に必要な資金を有する注文のみを約定させて、注文のうちの一部の注文のみを約定させつつ資金量を超えた損害の発生を抑止して取引の安全を図ることができる。
【0029】
請求項13に記載の発明によれば、本発明を、多様なコンピュータや多様なコンピュータシステムにおいて構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る金融商品取引管理システム及び第一の金融商品取引管理装置及び第二の金融商品取引管理装置の構成を概念的に示すブロック図である。
【
図2】
図1に示された第二の金融商品取引管理装置に格納される注文テーブルのフィールド定義を示す図である。
【
図3】この実施の形態1に係る金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置における部分約定の基本動作を模式的に示す概念図である。
【
図4】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置における部分約定の基本動作を模式的に示す概念図である。
【
図5】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置における部分約定の基本動作を模式的に示す概念図である。
【
図6】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置における部分約定の基本動作を模式的に示す概念図である。
【
図7】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置における部分約定の基本動作を模式的に示す概念図である。
【
図8】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置における部分約定の基本動作を模式的に示す概念図である。
【
図9】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置における部分約定の基本動作を模式的に示す概念図である。
【
図10】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置における部分約定の基本動作を模式的に示す概念図である。
【
図11】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置における部分約定の基本動作を模式的に示す概念図である。
【
図12】
図1に示された金融商品取引管理システムにおいて注文を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】この実施の形態1に係る金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において、クライアント端末の表示部において示される取引表示画面を模式的に示す概念図である。
【
図14】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において、クライアント端末の表示部において示される取引表示画面を模式的に示す概念図である。
【
図15】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において、クライアント端末の表示部において示される取引表示画面を模式的に示す概念図である。
【
図16】この実施の形態1に係る金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図17】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図18】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図19】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図20】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図21】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図22】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図23】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図24】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図25】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定の第一の変形例を模式的に示す表及びチャートである。
【
図26】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定の第二の変形例を模式的に示す表及びチャートである。
【
図27】この実施の形態2に係る金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図28】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図29】この実施の形態3に係る金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【
図30】この実施の形態4に係る金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において取引が行われる際の注文情報と注文の発注・約定を模式的に示す表及びチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[発明の実施の形態1]
以下、この発明の実施の形態1について図面を参照して説明する。
【0032】
[システム構成]
図1は、この実施の形態1の金融商品取引管理システムのシステム構成図及び機能ブロック図である。同図に示すとおり、金融商品取引管理システム1Aは、「金融商品取引管理装置」としての第一の金融商品取引管理装置1と、「金融商品取引管理装置」としての第二の金融商品取引管理装置2と、n個(n≧1)のクライアント端末3
1~3
nとを備えており、第一の金融商品取引管理装置1と、クライアント端末3
1~3
nとは、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット4を介して相互に交信可能である。また、第一の金融商品取引管理装置1と第二の金融商品取引管理装置2は、専用回線5によって相互に交信可能である。ただし、第二の金融商品取引管理装置2がインターネット4に接続され、第一の金融商品取引管理装置1と第二の金融商品取引管理装置2とがインターネット4を介して交信可能に構成されていてもよい。この実施の形態1の金融商品取引管理システム1Aは、例えば株価指数等の各種の金融商品を取扱う。
【0033】
第一の金融商品取引管理装置1は、金融商品取引所(後述)と取引を行う金融商品の取扱業者等が管理し運用するサーバコンピュータであり、Webサーバ機能や、顧客がクライアント端末31,・・・,3nを用いて行った金融商品の注文を受けて第二の金融商品取引管理装置2と情報を交信して注文を発注する機能や、約定した注文の情報をクライアント端末31,・・・,3nに送って顧客に表示する機能等を備えている。
【0034】
また、第一の金融商品取引管理装置1は、第一注文と第二注文等との対応付けを行い、対応させた第一注文や第二注文等を第二の金融商品取引管理装置2での処理に適合する状態にして第二の金融商品取引管理装置2に送信する。また、第一の金融商品取引管理装置1は、第二の金融商品取引管理装置2から受信した第一注文や第二注文等の発注、約定、情報、後述する部分約定等について、対応させた第一注文や第二注文等の状態として記録する。また、第一の金融商品取引管理装置1は、対応させた第一注文や第二注文等をクライアント端末31,・・・,3nに送って顧客に表示する。なお、ここで述べる「第一注文」「第二注文」の詳細は後述する。
【0035】
第二の金融商品取引管理装置2は、金融商品取引所(金融商品取引法第2条第16項に規定する、内閣総理大臣の免許を受けて金融商品市場を開設する金融商品会員制法人又は株式会社のこと。以下単に「金融商品取引所」と称する。)等が管理し運用するサーバコンピュータであり、Webサーバ機能や、発注された金融商品の注文を約定させる機能や、大容量のデータを保存するデータベース機能等を備えている。
【0036】
具体的には、第二の金融商品取引管理装置2は、第一の金融商品取引管理装置1やクライアント端末31,・・・,3n等から受信した情報に基づいて、金融商品の発注や約定を行う。また、第二の金融商品取引管理装置2は、発注された注文や約定された注文の情報を記録し管理すると共に、発注された注文や約定された注文の情報を第一の金融商品取引管理装置1やクライアント端末31,・・・,3n等に送信する。
【0037】
なお、第一の金融商品取引管理装置1と第二の金融商品取引管理装置2とは、双方共金融商品取引所が管理し運用するサーバコンピュータであってもよいし、双方共金融商品取引所と取引を行わない金融商品の取扱業者が管理し運用するサーバコンピュータであってもよい。後者の場合は、第一の金融商品取引管理装置1を管理し運用する取扱業者と第二の金融商品取引管理装置2を管理し運用する取扱業者が同一の取扱業者であってもよいし、別々の取扱業者であってもよい。また、第一の金融商品取引管理装置1と第二の金融商品取引管理装置2とは、インターネット4を介さない構成、例えば、同一のLAN(Local Area Network)内に設けられる構成や、同一のコンピュータシステムとして構築された構成、等であってもよい。
【0038】
クライアント端末31,・・・,3nは、金融商品の売買を行う個人又は法人が所持し使用する、データ通信機能を有する通信端末であって、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、携帯電話端末等がこれに該当する。クライアント端末31,・・・,3nは、マウスやキーボード等各種指示を入力するために用いられる操作部311,・・・,31n、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり操作部311,・・・,31nから入力された各種指示等や各種画像を表示する「情報表示手段」としての表示部321,・・・,32nを有している。ただし、操作部311,・・・,31nや表示部321,・・・,32nは、操作者が指やタッチペン等を画面に接触させたり移動させたりすることで操作するタッチパネル等として構成してもよい。
【0039】
なお、クライアント端末31,・・・,3n、操作部311,・・・,31n、表示部321,・・・,32nは同じ構成を持つので、以下、区別する必要がある場合を除き、クライアント端末3、操作部31、表示部32とする。
【0040】
図1には図示しないが、第一の金融商品取引管理装置1や第二の金融商品取引管理装置2やクライアント端末3
1,・・・,3
nは、それぞれ、少なくとも1のCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、及び、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)、起動用ブートプログラム等が記録されたROM(Read Only
Memory)、各種プログラムやデータ等が記録されるハードディスク等の補助記憶装置、データの送受信に用いる通信インターフェース等が設けられている。補助記憶装置には、OS(Operating System)用プログラム、各種アプリケーションプログラム、データベースに記録されたデータ等が記録されており、これらのプログラムやデータはCPUの演算処理により、ハードウェア資源と協働して各種機能を実現する。
【0041】
なお、第一の金融商品取引管理装置1や第二の金融商品取引管理装置2は、1のサーバコンピュータによって形成されていても、複数のネットワークコンピュータシステムによって形成されていてもよい。
【0042】
図1に示す通り、第一の金融商品取引管理装置1は、上述した各種プログラムとハードウェア資源とに基づいて実現される機能手段としてのデータ処理部10を有する。
【0043】
データ処理部10は第一の金融商品取引管理装置1において用いる各種データの生成、加工等の処理を行うものであり、更に、同じく機能手段としてのフロントページ配信部11、注文入力受付部12、入出金情報管理部13、「資金管理手段」としての口座情報管理部14、「注文情報生成手段」としての注文情報生成部15、「約定管理手段」としての約定管理部16、データベース接続基底部17、データベース18を有している。
【0044】
フロントページ配信部11は、クライアント端末3の表示部32に表示されるデータを作成し、作成したデータをクライアント端末3に送信する。
【0045】
注文入力受付部12は、クライアント端末3から入力された各種の注文に関するデータを受け付け、金融商品の注文を成立させるために必要な各種処理を行う。
【0046】
入出金情報管理部13は、クライアント端末3から入出金のリクエストを受け付け、リクエストに基づいて入出金の一覧表を管理する。
【0047】
口座情報管理部14は、顧客(「取引者」と同意。本明細書において同じ。)の預金残高情報を資金情報(即ち、注文の約定を実現できることを裏付けるための情報)として管理する機能を有する。なお、口座情報管理部14において生成される預金残高に関する情報は、現実の預金残高と整合性を取るために、銀行等の金融機関が提供する、顧客の現実の預金残高に関する情報と定期的に照合される。
【0048】
注文情報生成部15は、注文入力受付部12が処理した情報に基づいて、金融商品の注文に関する情報を生成する。ここでの注文には、いわゆる成行注文、指値注文、逆指値注文に加え、イフダンオーダーも含まれる。
【0049】
約定管理部16は、金融商品の約定を管理する。具体的には、約定管理部16は、後述する約定情報生成部25と交信し、約定情報生成部25によって約定した注文をクライアント端末3の表示部32に表示させる。また、具体的には、約定管理部16は、約定した注文の注文情報をデータベース18の注文テーブル181(後述)に記録したり、又は注文テーブル181に記録された注文情報のデータの修正や追加や削除等の各種処理や、記録された注文情報を検索したり送受信したり検索したりするために必要な各種処理を行う。また、約定管理部16は、取引者がクライアント端末3の操作部31による入力や所定の注文条件等に基づいて、約定情報生成部25に約定の態様(後述する部分約定を行うか否か等)の指令を行う処理等を行う構成を備えていてもよい。
【0050】
データベース接続基底部17は、データ処理部10において生成、加工処理されたデータとデータベース18にて記録されるデータとの変換(例えば論理的データ構造と物理的データ構造との相互変換)を行うと共に、データ処理部10とデータベース18との間でデータを交信するために必要な処理を行う。
【0051】
データベース18は、第一の金融商品取引管理装置1にて用いられるデータを記録する。この実施の形態1におけるデータベース18はリレーショナルデータベースによって形成するが、例えばオブジェクトデータベース等、大量のデータの記録や書換えに適したものであればどのような形式を用いてもよい。データベース18には、「注文情報記録手段」としての注文テーブル181、「顧客口座情報記録手段」としての顧客口座情報テーブル182、金融商品注文条件テーブル183、シーケンス番号テーブル184、約定情報テーブル185、ポジション情報テーブル186が記録されている。
【0052】
顧客口座情報テーブル182には顧客ごとの口座に関する情報が記録される。金融商品注文条件テーブル183には注文が認められる金融商品の注文条件が記録される。シーケンス番号テーブル184には注文情報(後述)ごとに一意に付されるシーケンス番号が記録される。約定情報テーブル185には、約定した注文に関する情報が記録される。ポジション情報テーブル186には、第一注文が約定して保有したポジションに関する情報が記録される。注文テーブル181の詳細については後述する。
【0053】
図1に示す通り、第二の金融商品取引管理装置2は、上述した各種プログラムとハードウェア資源とに基づいて実現される機能手段としてのデータ処理部20を有する。データ処理部20は第二の金融商品取引管理装置2において用いる各種データの生成、加工等の処理を行うものであり、更に、同じく機能手段として、「相場価格情報管理手段」としての価格情報受信管理部21、入出金情報生成部22、口座情報生成部23、注文情報管理部24、「約定情報生成手段」としての約定情報生成部25、データベース接続基底部26、データベース27を有している。
【0054】
価格情報受信管理部21は、第二の金融商品取引管理装置2にて扱う金融商品の価格についての情報を取得し、取得した情報に対し、データ処理部20やデータ処理部10やクライアント端末3にて用いるために必要な処理と管理を行う。この実施の形態1においては、価格情報受信管理部21は相場価格の情報を定期的に取得し、記録し管理する。入出金情報生成部22は、顧客ごとの入出金の一覧表を生成し、入出金情報管理部13に入出金の情報を供給する。口座情報生成部23は、顧客ごとの預金残高情報を生成し、口座情報管理部14にその口座情報を供給する。
【0055】
注文情報管理部24は、第一の金融商品取引管理装置1の注文情報生成部15の生成した金融商品の注文に関する情報に基づいて、注文情報の生成や、生成された注文情報に基づいてデータベース27の注文テーブル271を作成し注文テーブル271のデータを管理する(データの作成、修正、削除等を行う)機能を有する。
【0056】
約定情報生成部25は、注文情報生成部15が生成した注文に基づく約定処理、及び、完了した約定処理に関する情報を顧客のクライアント端末3に送るための処理を行う。なお、ここでの「約定」とは、顧客の注文に基づいて金融商品の売買を成立させるための各種の手続並びに処理のことをいう。後述する通り、この実施の形態1において約定が成立すると、金融商品の売買が行われ、その結果、口座情報生成部23や口座情報管理部14が売買額に応じて資金情報(後述)を変換し、更に、入出金情報生成部22や入出金情報管理部13が入出金の一覧表に入金や出金の状況を記載する。また、約定情報生成部25は、約定が成立した旨の情報、及び約定の内容に関する情報を約定管理部16に送り、約定管理部16に、クライアント端末3の表示部32に約定が成立したことと成立した約定の内容等を文字情報等によって表示させる。また、約定情報生成部25は、売買価格に基づいてクライアント端末の口座の出入金処理を行う。なお、約定情報生成部25のこれらの構成のうちの一部又は全部は、他の機能手段、例えば約定管理部16が備える構成であってもよい。
【0057】
データベース接続基底部26は、第一の金融商品取引管理装置1のデータベース接続基底部17と同様に、データ処理部20とデータベース27との間の各種処理を行う。
【0058】
データベース27は、第二の金融商品取引管理装置2にて用いられるデータを記録する。このデータベース27の基本構成は、第一の金融商品取引管理装置1のデータベース18と同様である。また、データベース27には、「注文情報記録手段」としての注文テーブル271、「顧客口座情報記録手段」としての委託者口座情報テーブル272、金融商品注文条件テーブル273、シーケンス番号テーブル274、約定情報テーブル275、ポジション情報テーブル276が記録されている。注文テーブル271は注文テーブル181と同様の構成、委託者口座情報テーブル272は顧客口座情報テーブル182と同様の構成、金融商品注文条件テーブル273は金融商品注文条件テーブル183と同様の構成、シーケンス番号テーブル274はシーケンス番号テーブル184と同様の構成、約定情報テーブル275は約定情報テーブル185と同様の構成、ポジション情報テーブル276はポジション情報テーブル186と同様の構成である。
【0059】
なお図示しないが、第二の金融商品取引管理装置2は日時の情報を取得し管理するタイマと、このタイマから取得された日時の情報に基づいて第一順位の注文情報、第一の売逆指値注文情報、第二の売逆指値注文情報(いずれも後述)の注文期限の管理を行う期限管理手段とを有する。
【0060】
第一の金融商品取引管理装置1におけるデータ処理部10、フロントページ配信部11、注文入力受付部(注文入力受付手段)12、入出金情報管理部13、口座情報管理部14、注文情報生成部15、約定管理部16、データベース接続基底部17、データベース18、及び、第二の金融商品取引管理装置2におけるデータ処理部20、価格情報受信管理部21、入出金情報生成部22、口座情報生成部23、注文情報管理部24、約定情報生成部25、データベース接続基底部26、データベース27、は、どのような形で構成されていてもよい。例えば、第一の金融商品取引管理装置1や第二の金融商品取引管理装置2が複数のサーバコンピュータからなるネットワークコンピュータシステムとして形成されている場合、各構成要件が複数のサーバコンピュータに分散して配設されていてもよい。また、それらのサーバコンピュータは、複数の業者、サーバ管理者がそれぞれ所有するコンピュータシステム(例えば金融証券取引所、他の金融商品取引管理業者、プロバイダ、ホスティングシステム提供業社等が所持又は管理するコンピュータシステム)に跨って配設されていてもよい。第一の金融商品取引管理装置1や第二の金融商品取引管理装置2を構成するサーバコンピュータは、いわゆるクラウド・コンピュータシステムとして形成されてもよい。更に、データ処理部10、フロントページ配信部11、注文入力受付部12、入出金情報管理部13、口座情報管理部14、注文情報生成部15、約定管理部16、データベース接続基底部17、データベース18、及び、データ処理部20、価格情報受信管理部21、入出金情報生成部22、口座情報生成部23、注文情報管理部24、約定情報生成部25、データベース接続基底部26、データベース27のうち少なくとも一部の構成が、第一の金融商品取引管理装置1や第二の金融商品取引管理装置2ではなく、金融商品取引管理システム1Aを構成するクライアント端末3に設けられていてもよいし、コンピュータをこれらの機能手段として機能させるプログラムとして構成されていてもよい。
【0061】
図2は、第一の金融商品取引管理装置1における注文テーブル181のフィールド定義の模式図である。同図に示す通り、注文テーブル181は項目数分のフィールドを有し、フィールドの名称(フィールド名)、文字や数値や日時等のデータ型(型)、ビット長等のデータ長(長さ)、空欄不可指定(Not Null)、デフォルト値の有無(デフォルト値)、データの項目名(備考)等が規定される。
【0062】
上述の第一の金融商品取引管理装置1、第二の金融商品取引管理装置2においては、一の注文、又は複数の注文によって、同一種類の金融商品についての各種取引を実現できる。
【0063】
[第一の金融商品取引管理装置と第二の金融商品取引管理装置とにおける注文の処理]
図1に基づいて、この実施の形態1の第一の金融商品取引管理装置1と第二の金融商品取引管理装置2とによる注文の処理の概略を説明する。
【0064】
第一の金融商品取引管理装置1は、顧客のクライアント端末3から受けた金融商品の注文に基づいて、売り注文や買い注文をそれぞれの顧客ごとの第一注文や第二注文として注文テーブル181に記録し、かつ各種の処理(例えば注文の受付や注文の生成(注文を行うための注文情報の生成や、第二の金融商品取引管理装置2に対して注文を発注する処理のこと。本明細書において同じ。))を行う。第一の金融商品取引管理装置1は、注文テーブル181に記録する第一注文や第二注文の情報に、顧客口座情報テーブル182、金融商品注文条件テーブル183、シーケンス番号テーブル184、約定情報テーブル185、ポジション情報テーブル186の情報等を属性情報として記録する。
【0065】
一方、第二の金融商品取引管理装置2は、顧客や第一の金融商品取引管理装置1から発注された買い注文や売り注文の情報の管理(例えば、注文情報を注文テーブル271に記録することや、それらの買い注文や売り注文に対して各種の処理(例えば、注文の「未発注」「発注済」「約定済」等の各種の状態を取引状況に応じて変化させる処理や、そのような変化を記録する処理等)を行うこと等の金融商品の取引のために必要な各種の処理を行うこと。以下単に「管理」と称する。)を行う。第二の金融商品取引管理装置2は、注文テーブル181に記録する買い注文や売り注文の情報に、委託者口座情報テーブル272、金融商品注文条件テーブル273、シーケンス番号テーブル274、約定情報テーブル275、ポジション情報テーブル276の情報等を属性情報として記録する。
【0066】
この実施の形態1においては、このような機能を有する第一の金融商品取引管理装置1と第二の金融商品取引管理装置2とが連動して金融商品の注文を処理する。即ち、
図3に示すように、例えば、顧客がクライアント端末3から行った金融商品の注文は第一の金融商品取引管理装置1に供給され、第一の金融商品取引管理装置1は顧客の注文の情報を注文テーブル181に記録すると共に注文を生成して第二の金融商品取引管理装置2に供給する。第二の金融商品取引管理装置2は第一の金融商品取引管理装置1で生成された注文を管理する。第二の金融商品取引管理装置2において金融商品の発注や約定が行われると、その発注や約定の情報は第一の金融商品取引管理装置1に供給され、第一の金融商品取引管理装置1に記録されると共に顧客のクライアント端末3に送信される。
【0067】
第一の金融商品取引管理装置1は、注文を繰り返して行う場合(例えば、第一注文(例えば金融商品の買い注文)と第二注文(例えば金融商品の売り注文)を繰り返す場合)には、第一の金融商品取引管理装置1は、この繰り返しのための情報を生成して金融商品取引管理装置2に送信する。
【0068】
なお、第一の金融商品取引管理装置1における注文の生成と、生成された注文の第二の金融商品取引管理装置2への送信のタイミングはどのようなものであってもよい。例えば、金融商品の第一注文(例えば買い注文)と第二注文(例えば売り注文)とによって取引を行う場合、例えば、第一の金融商品取引管理装置1は、まず、買い注文を発注する旨の情報を第二の金融商品取引管理装置2に送信し、第二の金融商品取引管理装置2は、この買い注文が約定すると約定を示す情報を第一の金融商品取引管理装置1に送信し、次に第一の金融商品取引管理装置が売り注文を発注する旨の情報を第二の金融商品取引管理装置2に送信し、第二の金融商品取引管理装置2は、売り注文が約定すると約定を示す情報を第一の金融商品取引管理装置1に送信してもよい。あるいは、第一の金融商品取引管理装置1が、第一注文の約定の情報を取得する前に第二注文の情報を第二の金融商品取引管理装置2に送信してもよい。
【0069】
このようにして、第一の金融商品取引管理装置1と第二の金融商品取引管理装置2とは、連動して、買い注文や売り注文を第一注文と第二注文として処理を行い、また、第一注文と第二注文の繰り返しによって処理を行う。
【0070】
なお、この実施の形態1において、第一の金融商品取引管理装置1が生成する注文と第二の金融商品取引管理装置2が管理する注文とは、同一であっても相違していてもよい。具体的には、例えば、注文テーブル181に記録される注文と注文テーブル271に記録される注文と、顧客口座情報テーブル182に記録されたデータと委託者口座情報テーブル272に記録されたデータと、金融商品注文条件テーブル183に記録されたデータと金融商品注文条件テーブル273に記録されたデータと、シーケンス番号テーブル184に記録されたデータとシーケンス番号テーブル274に記録されたデータと、ポジション情報テーブル186に記録されたデータとポジション情報テーブル276に記録されたデータと、約定情報テーブル185に記録されたデータと約定情報テーブル275に記録されたデータとは、それぞれ同一であってもよいし、相違してもよい。
【0071】
[部分約定の基本動作]
図3~
図11は、この実施の形態1の金融商品取引管理システム1Aにおける部分約定の処理の原則を模式的に示す概念図である。この実施の形態1における金融商品の部分約定は、同図及び同図を解説した下記の[基本動作その1]~[基本動作その7]に基づいて処理が行われる。なお、
図3乃至
図11において、チャート110の実線のマルは「成立」すなわち約定済の注文を示し、破線のマルは「一部成立」すなわち部分約定の注文を示し、点線のマルに黒文字の記載は「注文中」すなわち発注済で未約定の注文を示し、点線のマルに白抜き文字の記載は「待機中」すなわち未発注の注文又は繰り返し発注される予定の注文を示す。
【0072】
なお、[基本動作その1]~[基本動作その7]に基づく処理は、主に第二の金融商品取引管理装置2での処理に用いられるが、第一の金融商品取引管理装置1での処理に用いられてもよいし、第一の金融商品取引管理装置1と第二の金融商品取引管理装置2の双方に用いられてもよい。
【0073】
[基本動作その1:価格優先、時間優先の原則]
同一種類の金融商品の注文が、複数の価格に、それぞれの価格毎に複数存在する場合は、以下(原則1)及び(原則2)に基づいて処理される。
(原則1)同一の金融商品が複数の気配価格(売買を希望する価格)について存在する場合、売り注文に対しては気配価格の高い買い注文から順に、買い注文に対しては気配価格の安い売り注文から順に、それぞれ約定させる(価格優先の原則)。
(原則2)同一の金融商品の買い注文や売り注文が、同一の気配価格に対して複数存在する場合、発注された時間の早いものから順に約定させる(時間優先の原則)。
【0074】
[基本動作その2:需給によって成立数を可変させる処理]
例えば、
図3に示すように、特定の金融商品(例えば株式)について、複数の価格に買い注文と売り注文が出ている場合を考える。そして、このときの提示レート101が、売り注文が19,402、買い注文が19,403であったとする。
【0075】
ここで、この提示レート101が、19,401以上で売りたいという注文102が80枚であり、気配値19,402の買い注文103が18枚存在し(つまり気配数量が18である)、気配値19,401の買い注文104が37枚存在する場合、上述の価格優先の原則に基づき、まず、18枚存在する気配値19,402の買い注文103として約定され、次に、37枚存在する気配値19,401の買い注文104に対し、約定される。
【0076】
次に、売り注文105が19,400で、売り注文105の枚数が10枚であるとする。一方、気配値19,400の買い注文106は21枚存在しているとする。そして、
図4に示すように、この21枚の買い注文106の内訳は、(特定の取引者とは異なる)他の取引者の買い注文107が4枚、特定の取引者の買い注文108が10枚、他の取引者の買い注文109が7枚であり、買い注文107、買い注文108、買い注文109の順に、異なる時間に発注されているとする。この場合、時間優先の原則に基づいて、
図4に示すように、買い注文107の4枚全てと、買い注文108のうち6枚の買い注文108aが、約定する。
【0077】
この結果、
図5に示すように、特定の取引者の買い注文108は、全10枚が、(
図4において約定された)6枚の買い注文108aと、(
図4において未約定の)4枚の買い注文108bに分裂する。このようにして、発注された注文のうちの一部のみが約定される現象が生ずることにより、部分約定が発生する。
【0078】
[基本動作その3:注文の分裂と分裂のタイミング]
この実施の形態1において、部分約定は、所定のタイミングで注文の分裂を発生させる。
【0079】
ここで、注文の「分裂」とは、例えば以下(状態1)~(状態3)のうち少なくとも何れか一つに示す状態をいう。
【0080】
(状態1)
特定の注文のうちの一部が約定することにより、その特定の注文が約定済の注文と未約定の注文とに分かれた状態をいう。
例えば、
図6に示す第一注文111のうちの一部(例えば10枚のうちの6枚)が約定することにより、
図8に示すように、約定済の6枚の第一注文111aと未約定の4枚の第一注文111bとに分かれた状態がこれに該当する。
【0081】
(状態2)
特定の注文のうちの一部が約定することにより、その特定の注文に対応する別の特定の注文が発注済の注文と未発注の注文とに分かれた状態をいう。
例えば、
図6に示す第一注文111のうちの一部(例えば10枚のうちの6枚)が約定した結果、この第一注文111の約定で保有されたポジションを決済する第二注文112が、
図8に示すように、発注済の6枚の第二注文112aと未発注の4枚の第二注文112bとに分かれた状態がこれに該当する。
【0082】
(状態3)
特定の注文のうちの一部が約定した後にその特定の注文の一部又は全部が繰り返し発注されるときに、未約定の元の注文と新たに発注された注文とが併存する状態をいう。
例えば、
図10に示す19,400円の第一注文111のうちの一部(例えば10枚のうちの6枚)が約定したのち、この第一注文111の約定で保有されたポジションを決済する6枚の第二注文112aが約定したのち、
図11に示すように、既に約定した一部(10枚中6枚)の第一注文111に対応する、19,400円の6枚の第一注文111aが再び発注されて、未約定のまま残った一部(10枚中4枚)の第一注文111と新たに発注された第一注文111aとが併存した状態がこれに該当する。
【0083】
なお、上記(状態1)~(状態3)において、
図8や
図11に示す分裂した注文は、分裂前は一つだった注文が二つの注文に分かれた状態(例えば
図6に示す第一注文111が
図8に示す第一注文111a,111bに分かれた状態)を示しているが、これに限定されず、分裂後に三つ以上の注文に分かれてもよい。また、上記(状態1)~(状態3)において、
図8や
図11に示す分裂した状態は、分裂後の注文は全て分裂前と同じ価格である状態(例えば
図8における第一注文111a,111bは、
図6における第一注文111と同じ19,400円)を示しているが、これに限定されず、分裂後の注文の少なくとも一つが分裂前と異なる価格であってもよい。また、上記(状態1)~(状態3)に類似した状態を発生させるいかなる状態が「分裂」を形成してもよい。
【0084】
また、この実施の形態1において、注文の分裂は以下(タイミング1)~(タイミング4)のうち少なくとも何れか一つの時点で発生する。
【0085】
(タイミング1)
特定の注文の一部が約定すると同時にその特定の注文の分裂が発生する。
例えば上記(状態1)において、第一注文111(
図6)が第一注文111aと第一注文111b(
図8)に分かれる、第一注文111の一部が約定する時がこれに該当する。
【0086】
(タイミング2)
特定の注文の一部が約定すると同時にその特定の注文に対応する他の特定の注文の分裂が発生する。
例えば上記(状態2)において、第二注文112(
図6)が第二注文112aと第二注文112b(
図8)に分かれる、第一注文111の一部が約定する時がこれに該当する。
また例えば、第一注文111と第二注文112とが繰り返し発注される構成(
図8参照)において、第二注文112の一部(例えば10枚中6枚)が約定した結果、その約定に基づいて繰り返し発注される第一注文111が発注済の6枚の第一注文111aと未発注(待機中)の4枚の第一注文111bと(
図8参照)に分かれるような場合には、第二注文112の一部が約定する時がこれに該当する。
また例えば、第一注文111と第二注文112とが繰り返し発注される構成(
図8参照)において、第二注文112の一部(例えば10枚中6枚)が約定し、繰り返し発注された6枚の第一注文111aが約定した結果、一部が約定した第二注文112が約定済の6枚の第二注文112aと未約定の4枚の第二注文112b(
図8参照)とに分かれるような場合には、第一注文111aが約定する時がこれに該当する。
【0087】
(タイミング3)
特定の注文の一部が約定した後に、その特定の注文の一部又は全部が繰り返し発注されて、未約定の元の注文と新たに発注された注文とが併存する状態となったときに分裂が発生する。
例えば上記(状態3)において、未約定のまま残った一部の第一注文111と新たに発注された第一注文111aとが併存した状態が形成される、第二注文112aが約定する時や、第一注文111aが発注される時がこれに該当する。
また例えば、第二注文112の一部(例えば10枚中6枚)が約定し、繰り返し発注される第一注文111が発注済の6枚の第一注文111aと未発注(待機中)の4枚の第一注文111bと(
図8参照)に分かれ、発注済の第一注文111aが約定した結果、未約定のまま残った一部(10枚中4枚)の第二注文112と新たに発注された6枚の第二注文112a(
図8参照)とが併存する状態となる場合には、第二注文112aが発注される時がこれに該当する。
【0088】
(タイミング4)
特定の注文の一部が約定した後の所定のタイミングでその特定の注文が約定済の注文と未約定の注文とに分かれた時に分裂が発生する。
例えば
図10に示すように、第一注文111の一部(例えば10枚中6枚)が約定した状態となった後、この第一注文111が、特定の時点(例えば金融商品の取引が休止する間)に約定した第一注文111aと未約定の第一注文111b(
図8参照)とに分裂する場合の、第一注文111a,111bに分裂する時がこれに該当する。
【0089】
なお、分裂のタイミングは上記(タイミング1)~(タイミング4)のみには限られず、これらに類似した状態のいかなる時点が分裂のタイミングであってもよい。
【0090】
なお、以下に示す[基本動作その4]~[基本動作その7]は、この[基本動作その3]に示した分裂の状態とタイミングに基づくものである。
【0091】
[基本動作その4:部分約定のパターン1]
例えば、
図6のチャート110に模式的に示すように、例えば全10枚の第一注文111と全10枚の第二注文112があり、第一注文111の約定価格である第一注文価格113が19,400円、第二注文の約定価格である第二注文価格114が19,500円であった場合を考える。これが、金融商品の相場価格115の変動により、[基本動作その2]等に基づいて、例えば全10枚の第一注文111のうち6枚のみが約定されると、
図7に示すように、全10枚の第一注文は、約定された6枚の第一注文111aと、未約定の4枚の第一注文111bとに分裂する。なお、相場が第二注文価格に一致せずに再び第一注文価格に一致した場合、約定の条件が揃えば、未約定の第一注文111bが約定される。ただしこの場合、第一注文111aと第一注文111bとが再び結合されることはなく、以後第一注文111aと第一注文111bは独立した注文として扱われる。
【0092】
[基本動作その5:部分約定のパターン2]
例えば、「基本動作その4」のように第一注文111が部分約定して第一注文111aと第一注文111bとなると、
図7に示すように、(
図6に示す、イフダン注文によって、第一注文111の約定により発注される予定だった)第二注文112も6枚の第二注文112aと4枚の第二注文112bに分裂する。このうち、6枚の第二注文112aは第一注文111aの約定に対応して発注済みとなり、4枚の第二注文112bは未発注である。
【0093】
この状態で相場が反転し(つまり、例えば
図8において相場が下落から上昇に変わり)、相場価格が第二注文価格に一致すると、6枚の第二注文112aが約定する。
【0094】
ここで、第一注文と第二注文とが複数回繰り返される構成である場合(詳しくは後述)には、
図8に示すように、6枚の第二注文112aの約定により、第一注文111aが再び発注されることになるが、未約定の4枚の第一注文111bが残っていた場合は、
図8に示すように、再び発注された第一注文111aと、残った第一注文111bが併存することになる。
【0095】
[基本動作その6:部分約定のパターン3]
なお、部分約定は、第一注文だけでなく、第二注文にも生じる。
【0096】
この第二注文の部分約定は、第一注文に部分約定が生じた後の第二注文に生ずる場合もある。具体的には、
図8に示すように、例えば、全部で10枚の第一注文111と全部で10枚の第二注文112(
図6参照)とが、約定された6枚の第一注文111aと未約定の4枚の第一注文111bに分裂した後、相場が反転して相場価格が第二注文価格に一致した際、第二注文に上記の「基本動作その2」等の事情が生じて4枚だけが約定される状態となった場合、
図9に示すように、6枚の第二注文112aのうちの4枚だけが約定される。この結果、発注した6枚の第二注文112aは、約定した4枚の第二注文112aaと、未約定の2枚の第二注文112abに分裂し、更に未約定の第二注文112bも併存した状態となる。
【0097】
ここで、第一注文と第二注文とが複数回繰り返される構成である場合(詳しくは後述)には、
図9に示すように、4枚の第二注文112aaが約定すると、対応して、6枚の第一注文111aも分裂し、4枚の第一注文111aaが発注することになるが、未約定の2枚の第二注文112abはそのまま残存する。また、第一注文111aが分裂した2枚の第一注文111abは、2枚の第二注文112abが約定したときに発注されることになる。
【0098】
[基本動作その7:部分約定のパターン4]
また、第二注文に部分約定が生じるケースとして、上記[基本動作その6]に示すものの他に、第一注文の一部が約定した結果として、その第一注文は分裂せずに、その第一注文が約定することで保有したポジションを、約定によって決済させる第二注文が分裂する場合がある。
【0099】
具体的には、
図10に示すように、全部で10枚の第一注文111のうち、6枚が約定した場合を考える。このときに、約定した第一注文111は分裂せず、一部(6枚)成立、一部(4枚)未成立の状態で継続する。一方、イフダン注文によって、第一注文111の約定により発注される予定だった第二注文112(
図6参照)は、第一注文111の一部成立と一部未成立とに基づいて、
図10に示すように6枚の第二注文112aと4枚の第二注文112bに分裂する。このうち、6枚の第二注文112aは第一注文111の6枚の一部約定に対応して発注済みとなり、4枚の第二注文112bは第一注文111の4枚の一部未約定に対応して未発注である。
【0100】
この状態で相場が反転し(つまり、例えば
図10において相場が下落から上昇に変わり)、相場価格が第二注文価格に一致すると、
図11に示すように、発注済の6枚の第二注文112aが約定する。
【0101】
ここで、第一注文と第二注文とが複数回繰り返される構成である場合(詳しくは後述)には、6枚の第二注文112aが約定されてイフダン注文が決済されることで、一部約定した第一注文111ははじめて分裂する。その結果、
図11に示すように、一部(6枚)約定、一部(4枚)未約定の第一注文111は分裂して約定した6枚の第一注文111aが新たに発注される。このとき、新たに発注された6枚の第一注文111aと、第一注文111(のうちの未約定の状態で残った4枚)とが併存することになる。なお、繰り返しの後に残った第一注文111(のうちの、10枚中の未約定の4枚)が約定した後、さらに第一注文が繰り返される場合は、10枚中未約定の4枚が残った第一注文111に替えて、4枚の第一注文(
図11に図示せず)が発注される。
【0102】
なお、
図10及び
図11では、第一注文価格113が19,400円の第一注文111と、第二注文の約定価格で、第二注文価格114が19,500円の第二注文112a,112bについてのみ部分約定の説明をしたが、19,400円の他の第一注文価格や19,500円の他の第二注文価格においても、同様の部分約定を発生させたり、同様の処理を行ったりすることができる。
【0103】
以下に示すこの実施の形態1の処理手順は、以上の[基本動作その1]~[基本動作その7]に基づいて行われる。なお、[基本動作その1]~[基本動作その7]は、この実施の形態1の処理において常に全て用いられる必要はなく、何れかの基本動作を異なる基本動作に置き換えて用いてもよい。例えば、[基本動作その1]の価格優先、時間優先の原則は、何れか一方のみが用いられる構成であってもよいし、[基本動作その4]~[基本動作その7]において部分約定が行われた場合、その後の処理において、部分約定によって一旦分かれた注文がその後再び結合する構成となってもよい。
【0104】
[処理手順(注文情報の生成)]
次に、
図12乃至
図25に基づいて、この実施の形態1の金融商品取引管理システム1Aにおける、注文情報を生成する際の処理手順について説明する。
【0105】
ここで、注文情報の生成とは、この実施の形態1の金融商品取引管理システム1Aにおいて金融商品の注文の発注や約定を行うためのデータを形成することをいう。そして、後述するように、この実施の形態1においては、これらの注文情報に基づいて注文の発注や約定が行われる。
【0106】
図12は、この実施の形態1の第一の金融商品取引管理装置1における、「第一の価格」としての買い注文(新規買い注文)、及び、「第二の価格」としての売り注文(新規売り注文)を受け付ける際の処理手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて受け付け時の処理手順を説明する。
【0107】
金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客は、クライアント端末3を用いて第一の金融商品取引管理装置1にアクセスする。第一の金融商品取引管理装置1のフロントページ配信部11は、アクセスのあったクライアント端末3の表示部32に、
図13に示す取引表示画面50を表示させ、取引表示画面50上の注文画面表示ボタン51をクリックすると、
図131に示すように、取引表示画面50上に注文入力画面52がポップアップ表示される。顧客は、この注文入力画面52に注文内容を入力する(ステップS1)。
【0108】
図13において、顧客は、この注文入力画面52において、第一注文と第二注文とが繰り返される構成において、第一注文が買い注文か売り注文かを選択する売買選択欄53にて、第一注文が買い注文であるものを示す「買」を選択している(第一注文が売り注文であるものを選択する場合は「売」を選択する)。また、注文種類入力欄54に注文種類(ここでは複数の第一注文と第二注文とをそれぞれ複数回繰り返す「トラップリピートイフダン注文」)を選択している。
【0109】
また、
図13において、顧客は、金融商品の種類を選択する商品選択欄55において、日経225(日経平均株価)によって取引が行われることを示す「日経225」を選択している。また、顧客は、注文数量入力欄56に注文の数量(例えば、株価指数の100倍を1枚とする)として「1」と入力し、執行条件(第一注文及び/又は第二注文を成行注文、指値注文等、いかなる注文として約定させるか)を選択する執行条件入力欄57に「指値」と入力し、第一注文の希望する約定価格を入力するスタート価格入力欄58に「19200」と入力している。また、第二注文の希望する約定価格を演算するための情報としての利益金額入力欄59には「10000」と入力している(後述する注文情報生成部15は、利益金額入力欄59に入力された「10000」円を注文数量入力欄56に記載された1(×100)で割った、10000÷100=100(円)を、スタート価格入力欄58に入力された「19200」円に加算した「19300」円を第二注文の約定価格として算出する。)。
【0110】
なお、この実施の形態1においては、利益金額入力欄59に替えて、希望する第二注文の約定価格を入力する構成が設けられてもよい。また、これらに替えて、第一注文と第二注文の約定による「利幅」が算出や設定が行われる構成や、第一注文同士や第二注文同士の「値幅」の算出や設定が行われるための、どのような構成が設けられていてもよい。具体的には、例えば、選択された金融商品の種類、金融商品の現在の相場価格、金融商品の過去の所定期間の変動状態や将来の変動予測(変動幅、上昇傾向や下落傾向等)、取引期間、取引金額、証拠金残高、等の条件を所定の数値に換算して、第一注文同士や第二注文の同士値幅、第一注文と第二注文の利幅、第一注文や第二注文の本数や設定される価格帯等を算出する構成であってもよい。
【0111】
また、顧客は、ストップロス価格を設定したい場合には、ストップロス価格入力欄60に希望ストップロス価格を入力する(
図13ではストップロス価格は入力されていない)。なお、同図に示すトラップ値幅入力欄61に入力される情報等については[発明の実施の形態2]で説明する。
【0112】
この状態で確認ボタン62をクリックすると、注文入力画面52において入力・選択されたデータが第一の金融商品取引管理装置1に供給される。第一の金融商品取引管理装置1の注文入力受付部12は、入力された注文の内容を確認する。さらに、注文入力受付部12は、それぞれの注文価格について検査を行う(ステップS2)。
【0113】
具体的には、例えば、注文入力受付部12は、選択された金融商品について、スタート価格入力欄58と利益金額入力欄59にそれぞれ入力された価格に基づいて取引を行えば利益が得られるか否かを所定の演算に基づいて確認する。また例えば、注文入力受付部12は、選択された金融商品の、現在の相場価格と、注文入力画面52から入力された、注文の基準となる価格とを比較し、確認ボタン62や注文ボタン66がクリックされた時点の相場の実勢価格に対し、この基準となる価格が低いか否か(又は高いか否か)等を確認する構成であってもよい。また、例えば、注文入力受付部12は、第一注文が買い注文の場合には第一注文の希望する約定価格が確認ボタン62や注文ボタン66がクリックされた時点の相場の実勢価格よりも低いか否かを確認したり、第二注文の希望する約定価格が実勢第一注文の希望する約定価格よりも高いか否かを確認するように構成してもよい。
【0114】
ステップS2での確認の結果、入力された価格が適正である場合(例えば、注文入力受付部12に、その入力価格に基づいて取引を行えば利益が得られる場合のみ適正であるという設定がされている場合には、その設定が満たされた場合)、注文入力受付部12は、入力された価格は適正価格であると判断する。
【0115】
買い注文の価格が適正価格と判断された場合(ステップS3の“No”)、口座情報管理部14が顧客口座情報テーブル182の当該顧客の資金情報を取得する。
【0116】
注文入力受付部12は、取得された資金情報と顧客の注文総額とを対比し、資金の額が注文許容額以上であるか否かを確認する。
【0117】
ここで、「注文許容額」とは、注文に必要な金額のことである(本明細書において同じ)。
【0118】
注文情報生成部15は、資金の額が注文許容額以上である場合(ステップS5の“No”)の場合にのみ、後述する「注文情報」や、「注文情報」を含む「注文情報群」を生成する。これにより、顧客が確実に支払いができる場合にのみに注文を受け付けることができる。
【0119】
資金の額が注文許容額以上である場合(ステップS5の“No”)、注文入力受付部12は、金融商品注文条件テーブル183に記録されたデータ等を元に、注文条件が上述したもの以外の注文の各種条件を満たしているか否かを確認する(ステップS6)。
【0120】
注文の各種条件を満たしていない場合(ステップS7の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文の受付を拒絶する(ステップS10)。
【0121】
注文の各種条件を満たしている場合であって(ステップS7の“No”)、注文条件が上述の注文に必要な条件を全て満たしているものと判定された場合、フロントページ配信部11は、クライアント端末3の表示部32に、
図14に示す、確認画面65がポップアップ表示させる。この確認画面65においては、注文入力画面52において入力された数値や選択された条件等に基づいて生成される注文の内容が表示される。
【0122】
この状態で顧客が注文ボタン66をクリックすると、注文情報生成部15は、ステップS1において注文入力画面52に入力され、クライアント端末3から第一の金融商品取引管理装置1に送信された情報に基づいて注文情報を生成する(ステップS8、注文情報生成手順)。
【0123】
具体的には、上記手順において入力された複数のデータを、注文価格を単位としてまとめ、各情報の単位に、シーケンス番号テーブル184に記録された注文にシーケンス番号を付与することで各注文情報を形成する。なおこのとき、シーケンス番号テーブル184には、注文情報に使用されたシーケンス番号を未使用の番号と識別するための情報が付与される。一回のステップS8の手順にて生成される複数の注文情報は、同一種類の金融商品を第一注文価格(後述)にて注文する注文情報、及び第二注文価格(後述)にて注文する注文情報から成る注文情報群(以下単に「注文情報群」と称する。)を形成する。生成された注文情報や、注文情報に基づく注文は、注文情報生成部15や約定管理部16によりクライアント端末3の表示部32に表示されることになる。
【0124】
注文情報生成部15は、生成された注文情報群の情報を第二の金融商品取引管理装置2に送信し、第二の金融商品取引管理装置2の注文情報管理部24は、受信した注文情報を注文テーブル181に記録する(ステップS9)。注文情報は、
図2に示す各フィールドの定義に基づいて注文テーブル181に記録される。
【0125】
例えば、注文テーブル181の“ord_seq”フィールド181bは、ステップS8にて付与されたシーケンス番号の定義である(注文テーブル181の「備考」181a参照。以下同じ。)。“cust_seq”フィールド181cは顧客ごとに一意に定められた顧客番号の、“style_id”フィールド181dは商品名の定義である。“com_id”フィールド181eは金融商品毎に一意に定められたID番号の定義である。このID番号と金融商品との組合わせはデータベース中に別途設けられたIDテーブル(図示せず)中に記録されている。“ord_amnt”フィールド181fは注文数量入力欄56に入力された注文数量(あるいは、その数量に基づいて規定される株価指数等の数量)の定義である。“buy_sell_id”フィールド181gには注文種類入力欄54で選択された売り注文、買い注文のいずれであるかを定義し、“ord_rate”フィールド181hには注文価格を定義し、“limit_time”フィールド181iには注文期限を定義する。“ord_cond”フィールド181jは売買選択欄53で選択された注文種別を定義する。“trail_range”フィールド181kはトレール幅([発明の実施の形態4]参照)を定義し、“through_range”フィールド181mはスルー値幅([発明の実施の形態4]参照、ここでは、予め一律の価格として設定されている。)を定義し、“new_close”フィールド181nには新規注文、決済注文のいずれであるかを定義する。なお
図2には図示しないが、注文テーブル181には、注文入力画面52に入力されたその他のデータを定義するフィールドも設けられる。これらのフィールドによって、注文入力画面52に入力されたデータは全て注文テーブル181に記録される。以上の手順より、この実施の形態1における注文の受け付け処理は完了する。
【0126】
なお、ステップS3において買い注文の価格、及び売り注文の価格のうち少なくとも何れか一方が不適正な価格と判断された場合(ステップS3の“Yes”)、又は、ステップS5において資金の額が注文総額未満であった場合(ステップS5の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文の受け付けを拒絶する(ステップS10)。この場合、注文情報(後述)は生成されず、クライアント端末3の表示部32には注文の受け付けが拒絶されたことを示す文字情報等が表示される。
【0127】
なお、注文入力画面52に入力された情報が第一の金融商品取引管理装置1に送信されるタイミングは、上述のように確認ボタン62がクリックされた時でもよいし、あるいは注文ボタン66がクリックされた時でもよい。また、注文情報生成部15に送信される情報は、後述する第一注文情報や第二注文情報を各種演算によって生成することができる情報であれば、各入力欄・選択欄54~61に入力される情報以外のいかなる情報であってもよい。具体的には、例えば、注文が発注される期間や、期間内に獲得したい利益額や、取引に用いる資金の金額等であってもよい。
【0128】
また、ステップS8に示す注文情報の生成は、確認ボタン62や注文ボタン66がクリックされた際に全ての注文情報(や注文情報群)が一度に生成されてもよいし、第一注文や第二注文が発注される際に生成されてもよいし、第一注文や第二注文が繰り返して発注される場合には繰り返しの度に生成されてもよいし、第一注文価格(後述)や第二注文価格(後述)が変更されるタイミングで生成されてもよいし、その他どのようなタイミングで生成されてもよい。
【0129】
また、ステップS1~ステップS10の順序は、
図12に示すもののみには限定されず、どのような順序であってもよい。さらにまた、確認ボタン62や注文ボタン66がクリックされるタイミングとステップS1~S10の処理が行われるタイミングとはどのようなものであってもよく、例えば、確認ボタン62や注文ボタン66がクリックされた後に、注文情報生成部15がステップS1~ステップS10の処理が行う構成であってもよい。
【0130】
さらに、ステップS1~ステップS10の処理のうち少なくとも一部は、第二の金融商品取引管理装置2においても行われるものでもよい。例えば、ステップS9において、注文情報生成部15が、生成された注文情報を第二の金融商品取引管理装置2に送信し、第二の金融商品取引管理装置2の注文情報管理部24はこの注文情報を注文テーブル271に記録する構成等であってもよい。また例えば、第二の金融商品取引管理装置2の委託者口座情報テーブル272、金融商品注文条件テーブル273、シーケンス番号テーブル274等のデータに基づいて、第二の金融商品取引管理装置2においてステップS1~S10の処理が行われ、注文テーブル271に注文情報が記録される構成であってもよい。
【0131】
[注文情報や注文情報群の構成]
図15は、この実施の形態1においてクライアント端末3の表示部32に表示される、注文情報生成後の取引表示画面50を模式的に示す図である。この取引表示画面50には、注文情報生成部15や約定管理部16の処理による、注文情報(第一注文情報と第二注文情報)及び注文情報群が示されている(約定管理手順)。
【0132】
なお、第二の金融商品取引管理装置2においても同様の注文情報及び注文情報群が管理されることになるが、説明の簡単のため、ここでは第二の金融商品取引管理装置2側の注文情報や注文情報群の記載は省略する。
【0133】
図15に(及び
図16乃至
図25にも)示す、この実施の形態1に係る注文情報群71Aは、第一注文(新規注文、つまり約定することでポジションを保有する注文)を構成する第一注文情報72aと、第二注文(決済注文、つまり第一注文が約定すると発注され、約定することで、第一注文の約定によって保有したポジションを決済する注文)を構成する第二注文情報72bとから成る。なお、注文情報群71Aに他の注文情報(例えばストップロス注文を構成する逆指値注文情報等)が更に含まれていてもよい。
【0134】
なお、
図15に示す注文情報群71Aと
図16乃至
図25に示す注文情報群71Aは、構成する注文情報の内容(例えば注文番号181Aや注文受付日時情報181Bや指定価格情報181J)が異なっているが、説明の簡単のため、特に区別の必要がある場合を除き同一のものとして以下説明する。
【0135】
図15に示す通り、第一注文情報72a、第二注文情報72bとも、16桁の注文番号本体と8桁の枝番からなるIDとして機能する注文番号181A、注文情報が生成された日時を示す注文受付日時情報181B、金融商品の種類(ここでは日経225(日経平均株価)の取引が行われることを示す「日経225」という表示)を示す商品情報181C、それぞれの注文が注文中(発注済約定前の状態)、待機中(未発注の状態)、約定(約定された状態)の何れかの状態を示す注文状態情報181D(ただしこれら3つの状態のうち一部が示されない場合や、これら3つの状態以外の状態が示される場合もある。)、注文形態(注文の形態、ここでは、複数の価格で複数の第一注文と複数の第二注文が複数発注され、それぞれの第一注文とそれぞれの第二注文とが繰り返される「トラップリピートイフダン」であることを示す「トラリピ」の文字が表示された状態)を示す注文形態情報181E、それぞれの注文が買い注文、売り注文の何れであるかを示す売買情報181F、それぞれの注文が新規注文、決済注文(あるいはストップロス注文)の何れであるかを示す決済区分情報181G、それぞれの注文が「指値注文」「成行注文」「逆指値注文」「ストップロス注文」等の何れであるかを示す執行条件情報181H、それぞれの注文の決済希望価格(顧客が約定させたい価格)としての指定価格情報181J、それぞれの注文の数量(ここではそれぞれ10枚)を示す注文数量情報181K(
図16等に記載)、成立した(つまり約定した)注文の数量を示す成立数量情報181L(
図16等に記載)、それぞれの注文の有効期限(ここでは無期限を示す「GTC」の情報)を示す有効期限情報181M(
図16等に記載)、第一注文と第二注文との繰り返しの回数(ここでは繰り返し回数無制限を示す「無制限」の情報)を示すリピート回数情報181N(
図16等に記載)、約定時等において発生するスリッページの許容値としてのスリッページ情報181P(
図15にのみ記載。ただし値を図示せず)、トレールの設定の有無や、トレールが設定された場合のトレール幅の数値としてのトレール情報181Q(
図15にのみ記載。ただし値は図示せず)、等から構成されている。
【0136】
なお、後述する部分約定により第一注文や第二注文が分裂した場合は、一の注文情報群71Aを構成する第一注文や第二注文の数量が増加したり、一の注文情報群71Aが複数の注文情報群71A,71A・・・に分裂したりする。このように、注文情報群71Aの分裂が生じた場合は、それぞれの注文情報群71Aにおいて、構成する注文情報の注文数量情報181Kの数が減少していくことになる。
【0137】
また、第一注文情報72a、第二注文情報72bとも、これらの情報181A~181Lのうち、何れかの情報が含まれていなかったり、逆に他の情報が含まれていたりしてもよい。また、それぞれの注文情報群71Aごとに逆指値注文情報(図示せず)が設けられる構成や、複数(例えば全て)の注文情報群71Aに対して一の逆指値注文情報(図示せず)が設けられる構成である場合、情報181A~181Pに加え、逆指値注文情報(図示せず)が含まれていてもよい。
【0138】
ここでの一の注文情報群71Aを構成する第一注文情報72aと第二注文情報72bとによって1回の第一注文の発注及び約定と、1回の第二注文の発注及び約定とが行われる。具体的には、一の第一注文情報72aによって一の第一注文(新規注文)の発注と約定が行われて金融商品のポジションを保有し、第一注文の約定に基づいて、一の第二注文情報72bによって一の第二注文(決済注文)が発注され、第二注文(決済注文)の約定によって、保有したポジションの決済が行われる。従って、第一注文と第二注文とが繰り返される場合、複数の注文情報群71A,71A,71A・・・が必要となる。
【0139】
この実施の形態1においては、注文情報群71Aによって第一注文と第二注文とが繰り返される場合、注文情報群71Aは繰り返しの際(例えば第二注文情報72bに基づいて第二注文の約定が行われた際)に新たな注文情報群71Aが生成される。ただし、確認ボタン62や注文ボタン66がクリックされた際に、第一注文と第二注文とを繰り返すための複数の注文情報群71A,71A,71A・・・がまとめて生成される構成であってもよい。
【0140】
なお、顧客の使用するクライアント端末3の表示部32には、注文情報生成部15や約定管理部16の処理によって、
図16等に示すような、注文情報群71Aや第一注文情報72a、第二注文情報72bの表73やチャート74が表示され、顧客が生成された注文情報や注文の発注や約定や分裂の状態、及び注文に基づく取引状態等を容易に把握できるようになっていてもよい。
【0141】
[処理手順(部分約定がない場合の処理)]
図16乃至
図25は、この実施の形態1の金融商品取引管理システム1Aにおける処理に基づく注文情報の態様を示す表73と、相場変動と注文の発注・約定の状態を模式的に示すチャート74である。以下、これらの図に基づいて、この実施の形態1の処理に基づく取引態様について説明する。
【0142】
なお、
図16乃至
図25に示す表73は、チャート74に示す取引が行われている際に
図13に示す取引表示画面50の一部に表示される、この取引に対応する注文情報や注文情報群を構成する情報である。
【0143】
また、
図16乃至
図25において、チャート74の実線のマルは「成立」すなわち約定済の注文を示し、破線のマルは「一部成立」すなわち部分約定の注文を示し、点線のマルに黒文字の記載は「注文中」すなわち発注済で未約定の注文を示し、点線のマルに白抜き文字の記載は「待機中」すなわち未発注の注文又は繰り返し発注される予定の注文を示す(なお、後述する
図26乃至
図29のチャート74も同じ状態を示す)。
【0144】
以下の記載において、注文の発注等に係る、注文情報の生成等は、金融商品取引管理システム1Aの注文情報生成部15と注文情報管理部24とのうち少なくとも何れか一方の処理によって行われる。また、注文の約定等に係る注文情報の書き替えや消去等は、金融商品取引管理システム1A約定情報生成部25と約定管理部16とのうち少なくとも何れか一方の処理によって行われる。但し、システム構成やデータ構成の状態等によって、それぞれの処理が上述の機能手段以外によって行われる(例えば、注文の約定等に係る処理が注文情報生成部15や注文情報管理部24によって行われる)ようにすることも可能である。また、注文の全てを約定させる処理か一部分のみを約定させる処理かにより、注文情報生成部15や注文情報管理部24によって処理が行われるか約定情報生成部25や約定管理部16によって処理が行われるかを区別することも可能である。
【0145】
まず、指定価格情報181Jが19,200円の第一注文情報72aと指定価格情報181Jが19,300円の第二注文情報72bからなる注文情報群71Aが存在し、部分約定が起こらずに第一注文の発注及び約定と第二注文の発注及び約定とが行われる場合を考える。この場合、
図16の表73に示すように、第一注文情報72aの指定価格情報181Jに基づいて設定された、第一注文の約定希望価格(以下「第一注文価格」と称する)75である19,200円で10枚の第一注文72a1が発注される。このとき、第一注文情報72aの注文状態情報は、発注済みで未約定の状態を示す「注文中」で、第二注文情報72bの注文状態情報181Dは、未発注の状態を示す「待機中」である。
【0146】
そして、
図16のチャート74に示す状態から相場価格77が下落して、
図17のチャート74に示すように相場価格77が19,200円になると、第一注文72a1が約定してポジションを保有する。第一注文72a1が約定すると、第二注文情報72bに基づいて、第二注文情報72bの指定価格情報181Jに基づいて設定された、第二注文の約定希望価格(以下「第二注文価格」と称する)76である19,300円で10枚の第二注文72b1を発注する。そして、
図18に示すように、相場価格が19,300円になると第二注文72b1が約定して保有したポジションを決済させる。そして、
図17の表73に示す状態から、第一注文情報72aが消去され、第二注文情報72bの注文状態情報181Dが「待機中」から「注文中」に書き替えられて、
図18の表73に示す状態となる。
【0147】
一の注文情報群71Aに基づいて第一注文72a1と第二注文72b1とがそれぞれ発注・約定されると、
図15に示す取引表示画面50においては、
図18の表73に示す第二注文情報72bが消去され、
図19の表73に示すように、第一注文情報72aと第二注文情報72bとを有する注文情報群71A(新たな注文情報群71A)が表示される。この注文情報群71Aに基づいて、新たな第一注文(同図の点線表記された第一注文72a1)の発注・約定と新たな第二注文(図示せず)の発注・約定とが同様に行われる。そして、第一注文の発注・約定と第二注文の発注・約定が行われると、新たな注文情報群71Aに基づいて第一注文の発注・生成、第二注文の発注・生成が行われ、以後この手順が繰り返される。
【0148】
なお、
図16乃至
図19では、全ての注文情報群71A,71A,71A・・・の第一注文情報72aの指定価格情報181Jと第二注文情報72bの指定価格情報181Jが全て同一で、第一注文価格75が19,200円の第一注文72a1の発注・約定と第二注文価格76が19,300円の第二注文72b1の発注・約定が繰り返される構成としたが、それぞれの注文情報群71A,71A,71Aの第一注文情報72aの指定価格情報181Jや第二注文情報72bの指定価格情報181Jが相違し、それにより第一注文価格75や第二注文価格76が順次変化する構成(例えば、取引表示画面50に表示されるそれぞれの第一注文情報72aの指定価格情報181Jが19,200円、19,201円、19,202円・・・と1円ずつ順次変化し、それぞれの第二注文情報72bの指定価格情報181Jも19,300円、19,301円、19,302円・・・と1円ずつ順次変化し、第一注文価格75と第二注文価格76もこれに対応して変化していく構成)であってもよい。
【0149】
また、特定の注文情報群71Aの特定の注文情報(例えば最初の注文情報群71Aの特定の第一注文情報72a)の執行条件情報181Hが「成行」となっており、この注文(たとえば最初の第一注文72a1)が特定時点の実勢価格により(例えば、確認ボタン62や注文ボタン66がクリックされた時点の相場価格を第一注文価格75として)成行注文として発注・約定される構成としてもよい。この場合、特定時点の実勢価格に基づいて他の指値注文(執行条件情報181Hが「指値」である第一注文情報72aや第二注文情報72bに基づく注文)の指定価格情報181Jが設定される構成であってもよい。この場合に、成行注文の注文価格と指値注文の注文価格とを異なる基準で(例えば、確認ボタン62がクリックされた際の相場価格を指値注文の指定価格情報181Jとし、注文ボタン66がクリックされた際の相場価格を成行注文の指定価格情報181Jとして)設定する構成であってもよい。
【0150】
注文情報生成部15や約定管理部16は、この処理手順における注文情報の生成、注文の発注及び約定、注文の繰り返し等を顧客の使用するクライアント端末3の表示部32に表示させ、また、そのような注文情報の生成を注文テーブル181に記録し、注文テーブル181に記録された注文情報の修正や削除や追加によって、注文の発注及び約定、注文の繰り返し等の管理を行う。
【0151】
[処理手順(部分約定になった場合の処理(1))]
次に、前述の[基本動作その7]に基づいて部分約定が発生した場合を考える。
【0152】
例えば、
図17に示すように、それぞれの注文数量情報181Kの数量が「10」である第一注文情報72a、第二注文情報72bに基づく10枚の第一注文72a1と10枚の第二注文72b1とが存在し、発注された10枚の第一注文72a1のうちの一部、例えば
図20に示すように6枚のみが約定した場合を考える。この場合、
図20の表73に示すように、第一注文情報72aの成立数量情報181Lが「0」から「6」に書き替えられる。これにより、10枚の第一注文72a1のうちの6枚が約定し、4枚が未約定のまま残った状態となって、部分約定が成立する。
【0153】
第一注文72a1が部分約定することにより、第二注文情報72bは、
図20の表73に示すように、発注された(注文状態情報181Dが「注文中」で注文数量情報181Kが「6」の第二注文情報72baと注文状態情報181Dが「待機中」で注文数量情報181Kが「4」の第二注文情報72bbとが生成される。これにより、
図17のチャート74に示す10枚の第二注文72b1は、
図20のチャート74に示す、発注された6枚の第二注文72ba1と未発注の4枚の第二注文72bb1とに分裂する。
【0154】
ここで、相場価格77が第二注文価格76に至らない間に4枚が未約定の第一注文72a1の、未約定の4枚が約定した場合、
図20の表73における第一注文情報72aの成立数量情報181Lが「6」から「10」に書き替えられる。この結果、
図21の表73に示すように、クライアント端末3の表示部32の表示からは第一注文情報72aが消去される。
【0155】
そして、4枚の第二注文情報72bbの注文状態情報181Dは、
図20の表73に示す「待機中」から
図21の表73に示す「注文中」に書き替えられる。これにより、第二注文72bb1、
図20のチャート74に示す未発注の状態から
図21のチャート74に示す発注済の状態となる。
【0156】
図21のチャート74に示す状態の後、
図22のチャート74に示すように、相場価格77が第二注文価格76に至ると、第二注文情報72baと第二注文情報72bbは、注文状態情報181Dが「注文中」から「約定済」となって消去されて、第二注文72ba1と第二注文72bb1は発注済の状態から約定された状態となる。
【0157】
図22のチャート74に示すように、第二注文72ba1と第二注文72bb1とが約定すると、
図22の表73に示すように、新たな注文情報群71Aが生成される。この注文情報群71Aは、
図22に示すように、第一注文情報72a及び第二注文情報72b(
図19参照)に替えて、注文数量情報181Kが「6」の第一注文情報72aa、注文数量情報181Kが「4」の第一注文情報72ab、注文数量情報181Kが「6」の第二注文情報72ba、注文数量情報181Kが「4」の第二注文情報72bbからなり、第一注文情報72aaと第一注文情報72abの注文状態情報181Dが「注文中」、第二注文情報72baと第二注文情報72bbの注文状態情報181Dが「待機中」となっている。これにより、6枚の第一注文72aa1と4枚の第一注文72ab1が発注され(
図22のチャート74参照)、第二注文72ba1と第二注文72bb1が未発注の状態となっている。
【0158】
そして、
図22のチャート74に示す状態ののちに相場価格77が第一注文価格75になると、
図22の表73に示す第一注文情報72aaと第一注文情報72abは、注文状態情報181Dが「注文中」から「約定済」となって消去され、第一注文72aa1と第一注文72ab1は発注済の状態から約定された状態となる。そして、第二注文情報72baと第二注文情報72bbは、注文状態情報181Dが「待機中」から「注文中」となり、第二注文72ba1と第二注文72bb1は未発注の状態から発注された状態となる。
【0159】
さらに、その後相場価格が第二注文価格76になると、第二注文情報72baと第二注文情報72bbの注文状態情報181Dが「注文中」から「約定済」となり、第二注文72ba1と第二注文72bb1は発注済の状態から約定された状態となる。そして、新たな注文情報群71Aが発注される。
【0160】
一方、
図20のチャート74に示す状態から、
図23のチャート74に示すように、10枚中4枚が未約定の第一注文72a1の未約定分が残った状態のままで相場価格77が第二注文価格76に至ると、4枚の第二注文72bb1が未約定の状態のままで6枚の第二注文ba1が約定する。
【0161】
この場合、
図23の表73に示す、第一注文情報72aaと第二注文情報72baとが新たに生成されて、
図23のチャート74に示すように、4枚が未約定の第一注文72a1と4枚が未発注の第二注文72bb1とがそのまま残った状態で新たな6枚の第一注文72aa1が発注される(
図23のチャート74に図示しないが、このとき新たな6枚の第二注文も未発注の状態で存在している。)。なお、この場合、
図23の表73に示すように、第一注文情報72aは成立数量情報181Lが「6」の状態で存続している。これにより、
図23のチャート74に示すように、6枚の第一注文72aa1が発注された後も10枚中6枚約定の第一注文72a1が存在した状態となり、第一注文72a1は、第二注文72ba1の約定を契機に以後分裂した状態となっている。
【0162】
なお、
図23に図示しないが、10枚中6枚約定の第一注文72a1が約定した後、さらに4枚の第一注文が繰り返し発注される場合は、成立数量情報181Lが「6」の第一注文情報72aに替えて、注文数量情報181Kが「4」で成立数量情報181Lが「0」の第一注文情報(
図23に図示せず)が生成される。そして、以後は、6枚の第一注文72aa1と4枚の第一注文(
図23に図示せず)の発注及び約定と、6枚の第二注文72ba1と4枚の第二注文72bb1の発注及び約定とが繰り返される。なお、リピート回数情報181N(
図16乃至
図25参照)において繰り返しの回数が具体的な数値で設定されている場合は、第一注文72a1,72aa1(図示せぬ4枚の第一注文も含む)の発注及び約定と第二注文72b1,72ba1,72bb1の発注及び約定とは、設定された回数分繰り返されることになる。
【0163】
注文情報生成部15や約定管理部16は、この処理手順における注文情報の生成、注文の発注及び約定、注文情報及び注文の分裂、注文の繰り返し等を顧客の使用するクライアント端末3の表示部32に表示させ、また、注文テーブル181に記録された注文情報の修正や追加等によって、注文の分裂や繰り返し等の管理を行う。
【0164】
このとき、注文情報生成部15や約定管理部16は、第一注文72a1のうちの一部のみが約定した際、第二注文72b1を、第一注文72a1のうち約定した分に対応する一部の第二注文72ba1と、約定していない分に対応する他の一部の第二注文72bb1とに分裂した状態で、第一注文情報72aと第二注文情報72ba,72bbとをクライアント端末3の表示部32に表示させ、また、注文テーブル181に記録された第一注文情報72aや第二注文情報72bも、第一注文情報72aa,72ab,第二注文情報72ba,72bbとして記録し管理する。この実施の形態1では、例えば
図22に示す通り、分裂した第一注文情報72aa,72abや分裂した第二注文情報72ba,72bbは、それぞれの注文番号181Aの16桁の注文番号本体が同じで8桁の枝番が連番になっていることにより、それぞれが対応した状態として注文テーブル181に記録され、また取引表示画面50に表示される。また、それらは、分裂前の第一注文情報72aや第二注文情報72bとも、注文番号181Aの注文番号本体や枝番との対応関係が同様に付与されることで対応された状態となっている。
【0165】
また、注文情報生成部15や約定管理部16は、注文情報が第一注文72a1と第二注文72b1とをそれぞれ形成し、第一注文72a1の一部のみが約定してポジションを保有した場合、一部すなわち10枚中6枚がポジションを保有した第一注文72a1と、第一注文72a1のうちの一部の保有したポジションを約定によって決済させる第二注文72ba1とを対応させた状態で、第一注文情報72aと第二注文情報72baとをクライアント端末3の表示部32に表示させ、また、注文テーブル181に記録して管理する。
【0166】
具体的には、
図20に示すように、第一注文情報72aの成立数量情報181Lが「6」と表示されて部分約定が発生した状態が示され、2行目の第二注文情報72baの注文数量情報181Kが「6」となっている。即ち、第一注文情報72aの成立数量情報181Lと第二注文情報72baの注文数量情報181Kとが同じ数字になっており、これにより、第一注文情報72aの分裂した第一注文情報(第一注文情報72a)に係る第一注文72aa1と、第二注文情報72baに係る第二注文72ba1は対応した注文であることが示され、対応させた状態で管理できるようになっている。
【0167】
なお、この実施の形態1においては、取引表示画面50を表示させた当初の状態において、顧客がクライアント端末3の操作部31を操作することで、第一注文72a1と第二注文72ba1とを対応させた状態で第一注文情報72aaと第二注文情報72baとを表示させるが、顧客がクライアント端末3の操作部31を操作することで各情報181A~181Qの表示の順序や項目を任意に変化させることができる。
【0168】
また、部分約定により約定された注文と、それに基づいて発注される注文とを対応させて(対応関係を明示して)クライアント端末3の表示部32に表示させたり、注文テーブル181に記録して管理する構成であれば、上記以外のどのようなものであってもよい。具体的には、例えば、約定した第一注文72aa1と対応して約定させる一部の第二注文72ba1と、あるいは、約定した第一注文72aa1と対応して約定させない他の一部の第二注文72bb1とを、同一又は同系統の色で表示したり、同一又は類似の形状の図形を一緒に表示させたり、同一又は同系統のフォントで表示させたり、といったことが考えられる。また、これらの注文に係る注文情報を、注文テーブル181に記録し管理する際に、同一又は同様の属性情報を付与することにより、対応させた状態で記録し管理することも考えられる。
【0169】
[処理手順(部分約定になった場合の処理(2))]
次に、第一注文72a1の一部のみが約定して部分約定が発生した(
図20のチャート74参照)後に、相場価格が第二注文価格76となり、第二注文72ba1,72bb1のうち一方又は双方、例えば第二注文72ba1に部分約定が発生した場合(
図24のチャート74参照)を考える。
【0170】
例えば、
図20のチャート74に示すように、相場価格77が第一注文価格75になって10枚の第一注文(図示せず)のうちの6枚が約定し、次いで相場価格77が第二注文価格76になって、6枚の発注された第二注文72ba1のうちの4枚が約定した場合を考える。
【0171】
この場合、第一注文72a1のうちの4枚の約定により、相場価格が第一注文価格75になったときに第一注文情報72a(
図20の表73参照)の成立数量情報181Lが「0」から「6」になる。これにより、
図24の表73の1行目の第一注文情報72aaの状態となる。またこのとき、
図24の表73の4行目に示す第一注文情報72abが生成される。
【0172】
そして、
図24のチャート74に示すように、10枚の第一注文72a1のうちの6枚が約定したことに伴い、
図20の表73に示す、注文状態情報181Dが「注文中」で注文数量情報181Kが「6」である第二注文情報72ba、及び、注文状態情報181Dが「待機中」で注文数量情報181Kが「4」である第二注文情報72bbが生成され、取引表示画面50に表示される。
【0173】
さらに、6枚の第二注文72ba1のうち4枚だけが約定すると、
図24の表73に示すように、第二注文情報72baの成立数量情報181Lが「0」から「4」になる。
【0174】
6枚の第二注文72ba1のうち4枚が約定することにより、
図24の表73に示すように、新たな注文情報群71Aを構成するデータとして、注文数量情報181Kが「4」で注文状態情報181Dが「注文中」の第一注文情報72aaと注文数量情報181Kが「4」で注文状態情報181Dが「待機中」の第二注文情報72baaが生成され、これらが取引表示画面50に表示される。これにより、
図24のチャート74に示すように、4枚の第一注文72aa1が発注され、4枚の第二注文(
図24に図示せず)が未発注で待機した状態となる。
【0175】
なお、
図24に示す、10枚中6枚が約定した第一注文72a1は、上述の「部分約定になった場合の処理(1)」の記載と同様に処理が行われ、新たな第一注文情報の生成が行われる。
【0176】
また、
図24に示す。6枚中4枚が約定した第二注文72ba1のうち未約定の2枚が約定すると、
図24に示す第二注文情報72baに替えて、注文数量情報181Kが「4」で成立数量情報が「0」の第二注文情報(
図24に図示せず)と、注文数量情報181Kが「2」で成立数量情報が「0」の第二注文情報(
図24に図示せず)とがそれぞれ生成される。この場合、対応する第一注文情報(
図24に図示せず)も、注文数量情報181Kが「4」で成立数量情報が「0」の第一注文情報(
図24に図示せず)と、注文数量情報181Kが「2」で成立数量情報が「0」の第一注文情報(
図24に図示せず)とが生成されることとなる。以後これらの注文情報に基づいて分裂したそれぞれの第一注文と分裂したそれぞれの第二注文とによるイフダン注文が繰り返し行われることとなる。
【0177】
注文情報生成部15や約定管理部16は、この処理手順における注文情報の生成、注文の発注及び約定、注文情報及び注文の分裂、注文の繰り返し等を顧客の使用するクライアント端末3の表示部32に表示させる。具体的には、注文情報生成部15や約定管理部16は、複数の注文情報例えば注文数量情報181Kが「10」の第二注文情報72bに係る10枚の第二注文情報72bのうち一部の注文のみが発注された場合に発注された注文例えば6枚の第二注文72ba1と未発注の注文例えば4枚の第二注文72bb1とが分裂した状態でクライアント端末3の表示部32に表示させること、及び/又は、複数の注文情報例えば注文数量情報181Kが「10」の第二注文情報72bに係る発注された10枚の第二注文72b1のうち一部の注文のみが約定した場合に約定された注文例えば6枚の第二注文72ba1と未約定の注文例えば4枚の第二注文72bb1とが分裂した状態で、第二注文情報例えば第二注文情報72ba,72bbとをクライアント端末3の表示部32に表示させ、また、注文テーブル181に記録し管理する。また、注文情報生成部15や約定管理部16は、第一注文情報72aに基づく第一注文72a1の表示や管理や記録や管理も同様に行う(
図24参照)。
【0178】
このとき、注文情報生成部15や約定管理部16は、一部たとえば10枚中6枚がポジションを保有した第一注文例えば第一注文72a1に対応する第二注文例えば第二注文72ba1のうち、さらに一部の第二注文例えば第二注文72baa1のみがポジションを決済させた場合、ポジションを決済させた第二注文例えば第二注文72baa1とポジションが決済されていない第二注文例えば第二注文72bab1とが分裂した状態で、第一注文情報例えば第一注文情報72aaと第二注文情報例えば第二注文情報72baa,72babとをクライアント端末3の表示部32に表示させ、また、注文テーブル181に記録し管理する。この実施の形態1では、
図24に示す通り、分裂前の第二注文情報72baと分裂後の第二注文情報72baaは、注文番号181Aの16桁の注文番号本体が同じで8桁の枝番が連番になっていることで、対応された状態で、注文テーブル181に記録され、また取引表示画面50に表示される。また、図示しないが、分裂後の第二注文情報72babも、注文番号181Aの16桁の注文番号本体が同じで8桁の枝番が、分裂前の第二注文情報72baや分裂後の一方の第二注文情報72baaの注文番号181Aに対応されたものが付与されている。
【0179】
[処理手順(部分約定になった場合の処理(3))]
図25に、上記「部分約定になった場合の処理(1)」の変形例を示す。
【0180】
同図は、
図20に示す10枚の第一注文72a1のうちの一部である6枚のみが約定した場合の変形例である。同図に示す通り、この変形例においては、一部のみが約定した第一注文72a1に係る第一注文情報72a(
図20参照)に替えて、第一注文72a1の一部(10枚のうち6枚)が約定することにより、発注済の10枚の第一注文72a1が約定済の6枚の第一注文72aa1と未約定の4枚の第一注文72ab1とに分裂する。このとき、
図25の表73に示すように、未約定の4枚の第一注文72ab1の取引に用いる第一注文情報72abが生成される。第一注文情報72abは、注文状態情報181Dが「注文中」、注文数量情報181Kが「4」、成立数量情報181Lが「0」となっている。
【0181】
以上のように、この変形例においては、第一注文72a1の一部が約定した時点で、約定済の6枚の第一注文72aa1と未約定の第一注文72ab1とに分裂する。第一注文72aa1,72ab1の構成と処理は、上記「部分約定になった場合の処理(1)」の場合と同じである。
【0182】
このように構成することで、第一注文72a1の一部のみが約定したタイミングで第一注文情報72abを生成して約定済の第一注文72aa1と未約定の第一注文72ab1とに分裂させ、一部のみが約定した第一注文72a1の約定分と未約定分とを約定時点から別個独立の情報として記録し管理することで、約定した第一注文72aa1と未約定の第一注文72ab1とを別個独立に高い自由度をもたせて別個独立に処理や管理を行うことができる。
【0183】
[処理手順(部分約定になった場合の処理(4))]
図26に、上記「部分約定になった場合の処理(2)」の変形例を示す。
【0184】
同図は、
図24に示す6枚の第二注文72ba1のうちの一部である4枚のみが約定した場合の変形例である。同図に示す通り、この変形例においては、一部のみが約定した第二注文に係る第二注文情報72ba(
図24参照)に替えて、2つの第二注文情報72baa,72babが生成される。このうち、第二注文情報72baaは、注文状態情報181Dが「注文中」、注文数量情報181Kが「4」、成立数量情報181Lが「0」で、発注済の4枚の第二注文72baa1の取引に用いる。一方、第二注文情報72baは、注文状態情報181Dが「注文中」、注文数量情報181Kが「2」、成立数量情報181Lが「0」で、発注済の2枚の第二注文72ba1の取引に用いる。なお、第二注文情報72baaは生成の直後に注文状態情報181Dが「注文中」から「約定済」となって第二注文72baa1が約定されたものとして処理が行われ、表示部32の表示からは消去される。なお、
図24に示す通り、この変形例において、第一注文72a1は、上述の「部分約定になった場合の処理(3)」と同様に処理が行われる。
【0185】
以上のように、この変形例においては、第二注文72baa1の一部が約定した時点で、約定済の4枚の第二注文72baa1と未約定の第二注文72bab1とに分裂する。
【0186】
このように構成することで、第二注文72ba1の一部のみが約定したタイミングで第二注文情報72baa,72babを生成して約定済の第二注文72baa1と未約定の第二注文72bab1とに分裂させ、一部のみが約定した第二注文72ba1を約定時点から別個独立の情報として記録し管理することで、約定した第二注文72baa1と未約定の第二注文72bab1とを別個独立に高い自由度をもたせて別個独立に処理や管理を行うことができる。
【0187】
なお、
図26に示す変形例では、第一注文72a1も第二注文72ba1も一部が約定すると同時にこの第一注文情報72aa,72abと別個の第二注文情報72baa,72babが生成されて分裂する構成としたが、これに限定されず、例えば第一注文72a1は、「部分約定になった場合の処理(1)」の場合と同様に、一部のみが約定すると対応する第二注文72ba1が約定した時に分裂し、第二注文72ba1は、一部のみが約定すると約定した時点で分裂して第二注文72baa1,72bab1となる構成としてもよい。
【0188】
[処理手順(部分約定になった場合の処理(5))]
なお、変形例として、
図20に示すように、発注された10枚の第一注文72a1のうちの一部(同図では6枚)のみが約定したときに、約定後の所定のタイミングで第一注文が約定した第一注文72aa1と未約定の第一注文72ab1とに分裂する構成とすることもできる。
【0189】
具体的には、例えば、約定管理部16において、金融商品の取引が休止している間に一部のみが約定した第一注文72a1を分裂させる処理を行う場合が考えられる。
【0190】
より具体的には、例えば、第一の金融商品取引管理装置1及び第二の金融商品取引管理装置2において取り扱う金融商品について、特定の週に、
図20に示すように10枚の第一注文72a1のうちの6枚のみが約定し、その後、取引休止期間を挟んで金融商品の取引が再開した際を考える。この場合、約定管理部16は、取引休止期間に
図20に示す第一注文情報72aに替えて
図25に示す第一注文情報72aa,72abを生成する。これにより、取引休止期間の間に、
図20に示す第一注文72a1が
図25に示す第一注文72aa1,72ab1に分裂した状態となり、取引が開始された時はクライアント端末3の表示部32には
図25の表73に示す第一注文情報72ab,第二注文情報72ba,72bbが表示された状態となり、分裂した第一注文72aa1,ab1に基づいて取引が行われる。
【0191】
同様に、
図24に示す、第二注文72ba1のうちの一部(同図では6枚中4枚)が約定した場合も、約定管理部16が、取引休止期間の間に、同図に示す第二注文情報72ba,72bbに替えて
図26に示す第二注文情報72baa,72babを生成し、第二注文72baa1,72bab1に分裂させる構成とすることも可能である。
【0192】
以上、この実施の形態1においては、第一注文72a1のうちの一部、及び/又は第二注文72b1のうちの一部のみが約定した際、一部のみが約定した第一注文72a1、及び/又は、一部のみが約定した第二注文72ba1を、一部のみが約定した以後の所定のタイミングで分裂させることにより、一部のみが約定した第一注文72a1、及び/又は、一部のみが約定した第二注文72b1を、注文の一部のみが約定した原因や状況に適合したタイミングで分裂させて、部分約定を含む取引の管理や運用を適切に行うことができる。これにより、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0193】
この実施の形態1においては、特定の第二注文72b1や特定の第二注文72b1に対応する第一注文72a1の一部のみが約定したときに、一部のみが約定した原因や状況に適合したタイミングで特定の第二注文72b1を分裂させることができる。これにより部分約定を含む取引の管理や運用を適切に行うことができる。
【0194】
この実施の形態1においては、特定の第一注文72a1や特定の第一注文72a1に対応する第二注文72b1の一部のみが約定したときに、一部のみが約定した原因や状況に適合したタイミングで特定の第一注文72a1を分裂させることができる。これにより部分約定を含む取引の管理や運用を適切に行うことができる。
【0195】
この実施の形態1においては、一部のみが約定し、一部が未約定である第一注文72a1や第二注文72b1を、第一注文情報72aや第二注文情報72bの注文数量情報181Kと成立数量情報181Lとによって記録や管理をしたり、処理を行ったりすることにより、部分約定が起きた注文の記録や管理を画一的に行い、データの簡素化や矛盾のない処理を実現できる。
【0196】
この実施の形態1においては、第一注文情報72a、第二注文情報72bに基づく第一注文72a1、第二注文72b1のうちの一部の注文例えば第一注文72a1のみが約定したときに約定した注文例えば第一注文72a1、を、第一注文情報72aaとしてクライアント端末3の表示部32に表示することにより、発注された金融商品の注文について、発注予定の第一注文72a1、第二注文72b1のうちの一部のみが発注される取引や発注された第一注文72a1、第二注文72b1のうちの一部の注文例えば第一注文72a1のみが約定される取引を正しく運用できる。また、第一注文72a1のうちの一部(例えば10枚中6枚)のみが約定した際、第二注文72b1を、第一注文72a1のうちの約定済の一部に対応する第二注文72ba1と、第一注文72a1のうちの約定済の一部他の一部の第二注文bb1とに分裂させること、及び、この状態で、第二注文情報72ba,72bbとしてクライアント端末3の表示部32に表示させることにより、第一注文72a1の一部(例えば10枚中6枚)と第二注文の一部例えば第二注文72ba1のみが約定される取引を正しく運用できる。これにより、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0197】
この実施の形態1においては、部分約定された第一注文例えば第一注文72a1に基づいて、発注された注文例えば第二注文72ba1と未発注の注文例えば第二注文72bb1とに分裂させること、及び/又は、約定された注文例えば第一注文72aa1と未約定の注文例えば第一注文ab1とに分裂させることにより、例えば第一注文72a1のうちの一部(例えば10枚中6枚)のみが発注、及び/又は、約定される取引態様において、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0198】
この実施の形態1においては、ポジションを保有したイフダン注文の第一注文72a1の一部とそれを決済させる第二注文72b1の一部例えば第二注文72b1とを対応させること、及び、第一注文情報72aの注文数量情報181K及び成立数量情報181Lと第二注文情報72baの注文数量情報181K及び成立数量情報181Lとをクライアント端末3の表示部32に表示させることで、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0199】
この実施の形態1においては、一部がポジションを保有した第一注文72a1の保有したポジションを決済させる第二注文72ba1のうちの一部のみの第二注文72baa1がポジションを決済した場合における、決済された第二注文例えば第二注文72baa1と、決済されていない第二注文例えば第二注文72bab1とに分裂させて、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0200】
この実施の形態1においては、第一注文72a1の約定によるポジションの保有と、第二注文72b1の約定による保有したポジションの決済とを繰り返すことにより、第一注文72a1と第二注文72b1との繰り返しによる継続的な取引機会を設けて、多くの利益を得る機会を提供することが可能となる。また、第一注文72a1と第二注文72b1とがそれぞれ分裂しての繰り返される場合において第一注文72a1のうちの一部の第一注文72aa1、及び/又は、第二注文72b1のうちの一部の第二注文72ba1のみが約定した場合に、繰り返しの前における約定された注文例えば第一注文72aa1と未約定の注文例えば第一注文72ab1の区分を維持する態様とすること、及び、第一注文情報72aa,72abや第二注文情報72ba,72bbとしてクライアント端末3の表示部32に表示させることにより、第一注文と第二注文とを繰り返し行う構成において第一注文72a1、及び/又は、第二注文72b1の一部のみが約定した場合における全ての第一注文72aa1,72ab1、及び/又は、第二注文72ba1,72bb1を表示させて、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0201】
この実施の形態1においては、約定情報生成部25が、生成された第一注文情報例えば第一注文情報72aや第二注文情報例えば第二注文情報72bに基づいて注文を約定させて、約定管理部16で約定状態を管理することで、金融商品の取引を確実に行うことができる。
【0202】
なお、上記実施の形態1においては、部分約定が行われない場合の第一注文の第一注文72a1及び第二注文72b1も、部分約定が行われる場合に繰り返される第一注文72aa1,72aaa1,72ab1及び第二注文72ba1,72bab1,72bb1も、同一の第一注文価格75と同一の第二注文価格76で繰り返される構成としたが、これに限られず、第一注文72aa1,72aaa1,72ab1と第二注文72ba1,72bab1,72bb1とが繰り返される際に、所定の条件で第一注文価格75や第二注文価格76が変化する構成であってもよい。
【0203】
具体的には、例えば、第一注文72aa1,72aaa1,72ab1と第二注文72ba1,72bab1,72bb1とが所定の回数繰り返されるたびに(例えば1回繰り返されるたびに)所定の条件(例えば1円ずつ)第一注文価格75及び/又は第二注文価格76が上昇方向又は下落方向に変動する構成であってもよいし、第一注文価格75及び/又は第二注文価格76と相場価格との価格差が所定の価格差以上となった場合(例えば第一注文価格75又は第二注文価格76と相場価格の価格差が10円以上となった場合)、第一注文価格75及び/又は第二注文価格76を上昇方向又は下落方向に所定の価格分(例えば相場の変動方向に10円分)変動させる構成であってもよい。
【0204】
また、この実施の形態1において、注文情報群71Aに逆指値注文情報(図示せず)が存在し、この逆指値注文情報(図示せず)に基づいてストップロス注文の発注と約定が行われる場合、第一注文情報72aや第二注文情報72bに基づいて第一注文72a1や第二注文72b1が分裂すると、逆指値注文情報(図示せず)とストップロス注文(図示せず)も同様に分裂する構成であってもよい。そして、ストップロス注文(図示せず)が約定すると、対応する第一注文(例えば第一注文72aa1)や第二注文(例えば第二注文72ba1)がキャンセルされる構成となるが、この場合、発注されたストップロス注文(図示せず)に対応する第一注文(例えば第一注文72aa1)や第二注文(例えば第二注文72ba1)のみがキャンセルされてもよいし、分裂する前の第一注文72a1や第二注文72b1を構成していた全ての第一注文や第二注文(例えば第一注文72ab1や第二注文72bb1)もキャンセルされてもよい。また、その後に繰り返し発注や約定が行われる予定の第一注文(例えば第一注文72aa1)や第二注文(例えば第二注文72ba1)もキャンセルされる構成であってもよい。さらに、それらの第一注文(例えば第一注文72aa1,72ab1)や第二注文(例えば第二注文72ba1)がキャンセルされない構成であってもよい。
【0205】
[発明の実施の形態2]
図27乃至
図28に、この発明の実施の形態2を示す。
【0206】
この実施の形態2においては、第一注文と第二注文がそれぞれ複数の価格において発注され、それぞれの第一注文の約定によるポジションの保有と、保有したポジションがそれぞれの第二注文の約定によって決済されることがそれぞれ繰り返される。
【0207】
図13に示す注文入力画面52において、トラップ本数入力欄64に数値例えば「10」が入力されて確認ボタン62がクリックされ、
図14に示す確認画面65の注文ボタン66がクリックされると、トラップ本数入力欄64に入力された数、例えば10組の注文情報群71A,71B,・・・71H,71J,71Kが生成される。これにより、取引表示画面50(
図15参照)には、
図27の表73に示すように、発注済の注文に係る10個の第一注文情報72a,72c,・・・,72q,72sと、未発注の注文に係る10個の第二注文情報72b,72d,・・・,72r,72tとが表示される。
【0208】
そして、
図27、
図28のチャート74に模式的に示すように、相場価格77が変動して、第一注文価格75(19,250円)に至ったときに、上記[基本動作その1][基本動作その2]等の状態に至って10枚中6枚の注文のみ約定できる場合を考える。この場合、約定情報生成部25は、第一注文情報72aや第二注文情報72bに対して部分約定させるための処理を行う。この結果、第一注文情報72aや第二注文情報72bは
図28に示す状態となる。そして、一又は複数の第一注文、例えば
図27に示す第一注文72a1が、
図28に示す、全10枚中6枚が部分約定して(約定された)第一注文72aa1と(未約定の)第一注文72ab1に分裂する。さらにこのとき、対応する第二注文、例えば
図27に示す10枚の第二注文72b1が(発注済の6枚の)第二注文72ba1と(未発注の4枚の)第二注文72bb1に分裂する。
【0209】
以後、相場価格77の変動に伴い、第一注文72aa1,72ab1の発注及び約定と、第二注文72ba1,72bb1の発注及び約定とが繰り返し行われる。また、他の第一注文72c1,・・・,72q1,72s1や、他の第二注文72d1,・・・,72r1,72t1についても、同様の発注及び約定や部分約定が繰り返し行われる。
【0210】
注文情報生成部15や約定管理部16は、この処理手順における注文情報の生成、注文の発注及び約定、注文情報及び注文の分裂、注文の繰り返し等を顧客の使用するクライアント端末3の表示部32において取引表示画面50に表示させる。
【0211】
このとき、注文情報生成部15や約定管理部16は、繰り返し生成された第一注文例えば第一注文72a1と第二注文例えば第二注文72b1とについて、第一注文情報例えば第一注文情報72aと第二注文情報例えば第二注文情報72bとをクライアント端末3の表示部32に表示させる。また、注文情報生成部15や約定管理部16は、繰り返しが行われる前の第一注文例えば第一注文72a1及び/又は第二注文例えば第二注文72b1のうちの一部のみが約定した場合、繰り返される第一注文例えば第一注文72aa1及び/又は第二注文例えば第二注文72ba1を、繰り返しの前における約定された注文と未約定の注文の区分を維持する態様で、第一注文情報例えば第一注文情報72aa,72abと第二注文情報例えば第二注文情報72ba,72bbとをクライアント端末3の表示部32において取引表示画面50に表示させる。
【0212】
また、注文情報生成部15や約定管理部16は、複数の価格帯のうち少なくとも何れか一つの価格帯において繰り返し生成された第一注文例えば第一注文72aa1と第二注文例えば第二注文例えば第二注文72ba1とについて、第一注文情報例えば第一注文情報72aaと第二注文情報例えば第二注文情報72baとをクライアント端末3の表示部32において取引表示画面50に表示させる。
【0213】
それ以外の構成は、発明の実施の形態1と同じである。
【0214】
以上、この実施の形態2においては、複数の価格帯を設定し、それぞれの価格帯で、一部のみが約定しうる第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1の発注及び約定、及び/又は、一部のみが約定しうる第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1の発注及び約定を繰り返し行わせることで、複数の価格帯で継続的な取引機会を設けて多くの利益を得る機会を提供すると共に、それぞれの価格帯において、第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1、及び/又は、第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1の一部のみが約定した場合における全ての第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1に係る第一注文情報、例えば第一注文情報72aa,72ab、及び/又は、全ての第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1に係る第二注文情報、例えば第二注文情報72ba,72bbを表示させて、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0215】
なお、この実施の形態2においては、実施の形態1の場合と同様に、同一の第一注文価格75と同一の第二注文価格76で第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1の発注及び約定と第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1の発注及び約定とが繰り返される構成としているが、実施の形態1と同様、これに限られず、第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1の発注及び約定と第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1の発注及び約定とが繰り返される際に、所定の条件でそれぞれの第一注文価格75やそれぞれの第二注文価格76が変化する構成であってもよい。
【0216】
また、この実施の形態2において、注文情報群71A,71B,・・・71H,71J,71Kの一部又は全部に逆指値注文情報(図示せず)が存在し、この逆指値注文情報(図示せず)に基づいてストップロス注文の発注と約定が行われる場合、第一注文情報72aや第二注文情報72bに基づいて第一注文72a1や第二注文72b1が分裂すると、逆指値注文情報(図示せず)とストップロス注文(図示せず)も同様に分裂する構成であってもよい。分裂したストップロス注文による第一注文(例えば第一注文72a1)や第二注文(例えば第二注文72b1)等のキャンセルの態様は実施の形態1の場合と同様である。また、注文情報群71A,71B,・・・71H,71J,71Kごとに逆指値注文情報が存在する場合に、一のストップロス注文(図示せず)の約定により、全ての注文情報群71A,71B,・・・71H,71J,71Kに係る第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1と、第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1とがキャンセルされる構成であってもよい。
【0217】
[発明の実施の形態3]
図29に、この発明の実施の形態3を示す。
【0218】
この実施の形態3においては、
図13に示す注文入力画面52において、上限価格入力欄(図示せず)と下限価格入力欄(図示せず)が設けられる。そして、注文情報生成部15は、上限価格入力欄(図示せず)に入力された上限価格情報(この実施の形態3においては、
図29の一番上の第一注文価格75(19,700円)に一致する上限価格82の値に関する情報。))や、下限価格入力欄(図示せず)に入力された下限価格情報(この実施の形態3においては、
図29に示す下限価格81(19,250円)に関する情報)に基づいて形成される価格範囲83(
図29においては、上限価格82から下限価格81を引いた価格である600円)の情報と、トラップ本数入力欄64に入力された注文の本数、例えば「10」等に基づいて所定の演算処理を行い、複数、例えば10個の第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1のそれぞれの注文価格と10個の第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1のそれぞれの注文価格が設定される。
図28に示すように、この注文価格は、約定によってポジションを保有する所定の第一注文に係る第一注文価格と、約定によって保有したポジションを決済させる所定の第二注文に係る第二注文価格、例えば第一注文72a1の第一注文価格75と第二注文72b1の第二注文価格76として形成されるものである。そして、この実施の形態3においては、これらの第一注文と第二注文との価格帯84,84,・・・84,84が価格範囲83に属する(つまり、全ての価格帯84,84,・・・84,84は、一部又は全部が価格範囲83に属するものであるようにする。)ものとして設定される。
【0219】
設定された複数の第一注文と第二注文、例えば第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1と、第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1とは、実施の形態2と同様に、部分約定による分裂が行われ、また、対応する第一注文の発注及び約定と第二注文の発注及び約定とが繰り返される。
【0220】
注文情報生成部15や約定管理部16は、この処理手順における注文情報の生成、注文の発注及び約定、注文情報及び注文の分裂、注文の繰り返し等を顧客の使用するクライアント端末3の表示部32に表示させる。
【0221】
その他の構成はこの発明の実施の形態2と同じである。
【0222】
以上、この実施の形態3においては、特定の上限価格82と特定の下限価格81の間に形成される価格範囲83に一又は複数の価格帯84を設定して、それぞれの価格帯84で、一部のみが約定しうる第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1の発注及び約定、及び/又は、一部のみが約定しうる第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1の発注及び約定を繰り返し行わせること、及び、それぞれの価格帯84,84,・・・84,84において第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1、及び/又は、第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1の一部のみが約定した場合における全ての第一注文、及び/又は、第二注文を表示させることにより、部分約定を含む取引形態を取引者に適切に運用させることができる。
【0223】
[発明の実施の形態4]
図30に、この発明の実施の形態4を示す。
【0224】
この実施の形態4においては、第一注文と第二注文、例えば第一注文72a1,72c1,・・・,72q1,72s1と、第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1とは、相場価格が第一注文価格75や第二注文価格76を越えて下落又は上昇したのちに上昇又は下落したのちに再び第一注文価格75や第二注文価格76に至り、さらに第一注文価格75以上又は以下となったとき、あるいは第二注文価格76以下又は以上となったときに約定する構成となっている。
【0225】
具体的には、
図13に示す注文入力画面52において、スルー値幅情報入力欄(図示せず)や、トレール情報入力欄(図示せず)が設けられる。そして、これらの入力欄(図示せず)に入力された値により、それぞれの第一注文情報、例えば第一注文情報72a、及びそれぞれの第二注文情報、例えば第二注文情報72bに、あるいはデータベース18の任意のテーブルに、注文価格と相場価格の値幅に関する所定の値(以下「スルー値幅」と称する)についてのスルー値幅情報(図示せず)が設定される。
【0226】
そして、
図30のチャート74に示すように、発注済の第一注文72a1は、第一注文価格75を越えて下落し、第一注文価格75と相場価格77との値幅がスルー値幅85の値を超えたときに第一注文72a1が発注し、その後再び相場価格が第一注文価格75以上になると、第一注文72a1が逆指値注文として約定し、これに伴い、第二注文72b1が未発注の状態から発注済の状態となる。そして、相場価格77が第二注文価格76を超えて上昇し、第二注文価格76と相場価格77との値幅がスルー値幅85の値を超えたときに第二注文72b1が発注し、その後再び相場価格が第二注文価格76以下になると、第二注文72b1が約定する。第二注文72b1が約定すると、第一注文情報72a、及び第二注文情報72bに基づいて、再び第一注文72a1の発注と約定、及び第二注文72b1の発注と約定が同様に行われ、以後、第一注文72a1の発注と約定、及び第二注文72b1が同様に繰り返される。
【0227】
また、この実施の形態4においては、それぞれの第二注文情報、例えば第二注文情報72bのトレール情報181Q(
図15参照)に(あるいはデータベース18中の任意のテーブル等に)、トレールが発動される価格に関する所定の値(以下「トレール幅」と称する。ここではこの「トレール幅」はトレールが発動するトリガとしての価格幅と、注文価格の変動幅との双方として用いられる。)の値としてのトレール幅情報(図示せず)が具体的な数値により設けられる。そして、この実施の形態4においては、相場価格が第二注文価格76を越えたのちにさらに上昇し、
図30に示すように、第二注文価格76と相場価格との価格差がトレール幅86を超えると、第二注文価格76が、トレール幅86の値分、上昇方向の価格に新たに設定される。第二注文価格76が新たに設定されたのちも、さらに相場価格が上昇して第二注文価格76と相場価格との価格差がトレール幅86を超えると、第二注文価格76が再びトレール幅86の値分、上昇方向の価格に新たに設定される。このようなトレール幅86に基づく第二注文価格76の再設定は、
図30に示すように、相場価格77がトレール幅86を越えずに下落して第二注文価格76に至るまで繰り返される。
【0228】
相場価格が第二注文価格76に至り、第二注文、例えば
図30に示す状態で第二注文72ba1,72bb1が約定すると、トレール幅86に基づいて第二注文価格76が新たに設定される前(例えば、
図30の第二注文72ba1,72bb1については、トレールが発動される前の第二注文価格76である19,350円)の当初の第二注文価格76で第二注文72b1が再び発注される。
【0229】
注文情報生成部15や約定管理部16は、この処理手順における注文情報の生成、注文の発注及び約定、注文情報及び注文の分裂、注文の繰り返し等を顧客の使用するクライアント端末3の表示部32に表示させる。
【0230】
その他の構成はこの発明の実施の形態1や実施の形態2と同じである。
【0231】
以上、この実施の形態4においては、第一注文情報72a,72c,・・・,72q,72sや第二注文情報72b,72d,・・・,72r,72tは、それぞれ、相場価格が、第一注文価格75を超えて下落又は上昇したのちに再度第一注文価格75以上又は以下となった後や、第二注文価格76を越えて上昇又は下落したのちに再度第二注文価格76以下又は以上となった後に約定するように設定されているので、下落相場が上昇相場に転ずる価格や、上昇相場が下落相場に転ずる価格に近い価格で取引を行える可能性が高くなり、取引により大きな利益を得られる可能性を持たせることができる。これにより、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、多くの利益を得る機会を提供できる。また、第二注文としての注文情報にトレール幅情報(図示せず)を備え、第二注文である注文情報は、トレール幅情報(図示せず)に基づいて上昇方向又は下落方向に移動することにより、1回の第一注文72a1,72c1,・・・,72p1,72r1と、第二注文72b1,72d1,・・・,72r1,72t1との売買取引によって得られる利益を大きくすることができる。
【0232】
なお、この実施の形態4において、トレール幅情報がそれぞれの第一注文情報、例えば第一注文情報72aに設定されて、第一注文72a1の第一注文価格75も相場価格の下落により、トレール幅分ずつ下落方向に再設定される構成であってもよい。また、この実施の形態4においては、トレール幅情報のトリガとしての価格幅と、注文価格の変動幅とをそれぞれ別の価格に設定してもよい。また、相場価格77の変動とほぼ同時に第一注文価格75や第二注文価格76の再設定が行われてもよいし、第一注文情報72a,72c,・・・,72q,72sの第一注文価格75,75,・・・75,75と現在の相場価格77や第二注文情報72b,72d,・・・,72r,72tの第二注文価格76,76,・・・76,76と現在の相場価格77との対比を行い、それら同士の価格差がトレール発動価格幅以上になったときに第一注文価格75や第二注文価格76の再設定が行われる構成としてもよい。
【0233】
なお、上記各実施の形態においては、第一注文が買い注文、第二注文が売り注文の場合について説明したが、これに限定されず、第一注文が売り注文、第二注文が買い注文の場合についても適用可能である。
【0234】
また、上記各実施の形態においては、第一注文72a1と第二注文72b1等、一又は複数の価格における第一注文の発注及び約定と第二注文の発注及び約定とが繰り返される構成について記載したが、これに限定されず、注文情報生成部15は、第一注文情報72aや第二注文情報72bに加えて、損切り(ストップロス)のための逆指値注文を発注し約定させるための逆指値注文情報(図示せず)を一又は複数生成し、第一注文72a1が約定すると第二注文72b1と共に逆指値注文(図示せず)が発注され、逆指値注文が約定すると、発注済の第二注文72b1やその後繰り返される予定であった第一注文72a1と第二注文72b1(特定の第一注文72a1と特定の第二注文72b1のみであってもよいし、第2乃至第4の実施の形態において、そのイフダン注文以外のイフダン注文に係る特定の第一注文72a1以外の第一注文72c1,・・・,72q1,72s1と特定の第二注文72b1以外の第二注文72d1,・・・,72r1,72t1を含むものでもよい)の発注と約定がキャンセルされる構成であってもよい。また、第二注文72b1と逆指値注文(図示せず)が同時に発注される構成以外のいわゆるOCO注文(例えば、買いの第一注文72a1と売りの第一注文(図示せず)が同時発注され、金融商品の相場の変動により一方例えば買いの第一注文72a1が約定すると、売りの第二注文72b1が発注されて売りの第一注文(図示せず)(及びその後に発注される予定だった買いの第二注文(図示せず))がキャンセルされる構成。)であってもよい。また、相場が一次中断後再開したときにいわゆる「板寄せ方式」で第一注文72a1や第二注文72b1を約定させる構成であってもよい。
【0235】
上記各実施の形態においては、部分約定が発生すると、第一注文72a1や第二注文72b1が分裂してゆく構成としたが、これに限定されず、所定の条件(例えば取引者から結合する命令が入力された場合や、全ての第一注文72a1と全ての第二注文72b1の枚数が最低枚数である「1」になった場合等)を満たす場合、一度分裂した複数の第一注文、例えば第一注文72a1,72a2や複数の第二注文、例えば第二注文72b1,72b2が結合して一の第一注文72a1と一の第二注文72b1となる構成であってもよい。
【0236】
上記各実施の形態においては、部分約定が発生したときに同一の注文価格に第一注文や第二注文が複数発注される構成としたが、これに限らず、発明の実施の形態1乃至4の構成が、部分約定の発生の如何に関わらず、同一の注文価格に第一注文や第二注文が常に複数発注される構成と組み合わされたものであってもよい。
【0237】
上記各実施の形態においては、金融商品として株価指数を取扱うものとしたが、これに限定されず、例えば株式、債券、投資信託、不動産投資信託、コモディティ(商品)、外国為替等、どのような金融商品を取扱う金融商品取引システムにおいて本発明を適用してもよい。
【0238】
上記各実施の形態においては、金融商品取引管理システム1Aを第一の金融商品取引管理装置1と第二の金融商品取引管理装置2とによって構成したが、これに限定されず、一の金融商品取引管理装置に全ての機能手段が設けられた構成となっていてもよい。具体的には、例えば、
図1に示す金融商品取引管理システム1Aに金融商品取引所等が管理し運用する第二の金融商品取引管理装置2が存在せず、
図1に示す第二の金融商品取引管理装置2の有する全ての機能手段を金融商品の取扱業者が管理し運用する第一の金融商品取引管理装置1が備えた構成であってもよい。逆に、
図1に示す金融商品取引管理システム1Aに第二の金融商品取引管理装置2が存在せず、
図1に示す第二の金融商品取引管理装置2の有する全ての機能手段を第一の金融商品取引管理装置1が備えた構成であってもよい。
【0239】
また、上記各実施の形態においては、金融商品取引管理システム1Aをネットワークコンピュータシステムのクライアント・サーバシステムにおいて実現したが、クライアント・サーバシステムを構成しないパーソナルコンピュータ等の各種コンピュータや、携帯端末やタブレット等の各種通信端末・携帯情報端末において金融商品取引管理システム1Aと同じ機能を実現させることもできる。この際、第一の金融商品取引管理装置1や金融商品取引管理システム1Aのシステム構成の少なくとも一部をコンピュータプログラムとして構成し、当該プログラムを各種コンピュータや各種通信端末・携帯情報端末に実装することで実現させることも可能である。
【0240】
上記各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記各実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0241】
1A・・・金融商品取引管理システム
1・・・第一の金融商品取引管理装置(金融商品取引管理装置)
2・・・第二の金融商品取引管理装置(金融商品取引管理装置)
14・・・口座情報管理部(資金管理手段)
15・・・注文情報生成部(注文情報生成手段)
16・・・約定管理部(約定管理手段)
25・・・約定情報生成部(約定情報生成手段)
72a1,72aa1,72ab1,72aaa1・・・第一注文
72b1,72ba1,72bb1,72baa1,72bab1・・・第二注文
75・・・第一注文価格
76・・・第二注文価格
77・・・相場価格
81・・・下限価格
82・・・上限価格
83・・・価格範囲
84・・・価格帯
85・・・スルー値幅
86・・・トレール幅