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特許7418871信号サンプリング方法及び再構成方法、並びに装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】信号サンプリング方法及び再構成方法、並びに装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/17 20060101AFI20240115BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
G01T1/17 F
G01T1/161 A
G01T1/161 C
G01T1/17 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022539734
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2020113208
(87)【国際公開番号】W WO2021135338
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】202010000182.8
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520481367
【氏名又は名称】レイキャン テクノロジー シーオー., エルティーディー. (スーチョウ)
【氏名又は名称原語表記】RAYCAN TECHNOLOGY CO., LTD. (SUZHOU)
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】シェ チングオ
(72)【発明者】
【氏名】ス ユミン
(72)【発明者】
【氏名】ダイ ピンピン
(72)【発明者】
【氏名】メイ ジュンフア
(72)【発明者】
【氏名】ワン リン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ クジャン
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-511169(JP,A)
【文献】国際公開第2015/114740(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109444559(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号サンプリング方法であって、
所定のサンプリング方法を使用して、測定されるべき電気信号をサンプリングして、それぞれが第1の振幅及び対応する第1の時間によって表される複数の第1のサンプリングポイントを取得するステップと、
測定されるべき前記電気信号の第2の振幅を測定するステップであって、前記第2の振幅が前記複数の第1の振幅とは異なる、前記測定するステップと、
測定されるべき前記電気信号を遅延させ、前記遅延した電気信号を使用して、前記第2の振幅及び第2の時間によって表される第2のサンプリングポイントを取得するために、測定されるべき前記電気信号の振幅が前記第2の振幅に到達する前記第2の時間を決定するステップと
を含むことを特徴とする、前記信号サンプリング方法。
【請求項2】
前記第2の時間を決定するステップが、
遅延した電気信号の振幅が第1の振幅及び第2の振幅のいずれかに到達する、それぞれ第1の遅延時間及び第2の遅延時間を測定するステップと、
前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間との間の差を計算するステップと、
前記差及び前記第1の振幅に対応する第1の時間を使用して前記第2の振幅に対応する前記第2の時間を計算するステップと
を含む、請求項1に記載の信号サンプリング方法。
【請求項3】
所定のサンプリング方法が、多振幅閾値サンプリング方法又は時間間隔サンプリング方法を含むことを特徴とする、請求項1に記載の信号サンプリング方法。
【請求項4】
前記測定されるべき電気信号が、PET検出器によって生成されるパルス信号として、正弦波信号、余弦波信号、三角波信号、鋸歯状波信号、ステップ波信号、又は方形波信号のいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の信号サンプリング方法。
【請求項5】
前記第2の振幅が、測定されるべき電気信号の最大又は最小振幅を含むことを特徴とする、請求項1に記載の信号サンプリング方法。
【請求項6】
信号再構成方法であって、
請求項1~5のいずれかに記載の信号サンプリング方法によってサンプリングされる、測定されるべき電気信号の第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントで再構成を実行して、測定されるべき前記電気信号の再構成された波形を取得するステップ、
を含むことを特徴とする、前記信号再構成方法。
【請求項7】
前記第1のサンプリングポイント及び前記第2のサンプリングポイントで再構成を実行するステップが、
前記第1のサンプリングポイント及び前記第2のサンプリングポイントに対するフィッティングを実行するステップ、
前記第1のサンプリングポイント及び前記第2のサンプリングポイントの補間を実行するステップ、又は
前記第1のサンプリングポイント及び前記第2のサンプリングポイントの補間、及び補間後のすべての前記サンプリングポイントに対するフィッティングを実行するステップ
を含み
前記補間が線形補間及び/又はスプライン補間を含むことを特徴とする請求項6に記載の信号再構成方法。
【請求項8】
信号サンプリング装置であって、
所定のサンプリング方法を使用して、測定されるべき電気信号をサンプリングして、それぞれが第1の振幅及び対応する第1の時間によって表される複数の第1のサンプリングポイントを取得するように構成された第1のサンプリングユニットと、
測定されるべき前記電気信号の第2の振幅を測定するように構成され、前記第2の振幅が前記複数の第1の振幅とは異なる測定ユニットと、
測定されるべき前記電気信号を遅延させ、前記遅延した電気信号を使用して、前記第2の振幅及び第2の時間によって表される第2のサンプリングポイントを取得するために、測定されるべき前記電気信号の振幅が前記第2の振幅に到達する前記第2の時間を決定するように構成された第2のサンプリングユニットと
を備えることを特徴とする、前記信号サンプリング装置。
【請求項9】
前記測定ユニットが、キャパシタ、ダイオード、及びインダクタから構成される電圧保持回路を備え、前記キャパシタの一端と前記インダクタの一端が並列に接続されて接地され、前記キャパシタの他端と前記ダイオードの一端が並列に接続され、前記ダイオードの他端と前記インダクタの他端が直列に接続されることを特徴とする、請求項8に記載の信号サンプリング装置。
【請求項10】
信号再構成装置であって、請求項8又は9に記載の信号サンプリング装置によってサンプリングされた第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントで再構成を実行して、測定されるべき電気信号の再構成された波形を取得するように構成されていることを特徴とする、前記信号再構成装置。










【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年1月2日に出願された中国特許出願第202010000182.8号の優先権を主張するものであり、この内容の全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、信号処理の技術分野に関し、特に信号サンプリング方法及び再構成方法、並びに装置に関する。
【背景技術】
【0003】
陽電子放出断層撮影(PET,Positron Emission Tomography)は、生体組織の血流又は代謝に関与し得る化合物に陽電子放出放射性核種を標識し、次いで放射性核種で標識された化合物を対象に注入することによって、臨床画像化に放射性元素を採用する技術である。体内で放射性核種によって放出された陽電子は、対象内の負の電子と結合して電子対を消滅させるとともにガンマ光子を生成し、放出されたガンマ光子はシンチレーション結晶によって受け取られて可視光に変換され、次いで再構成のために光電子増倍要素によって電気信号に変換され、これによって放射性核種の濃縮部位を決定する助けとなり、活発な代謝の領域を特定して活性を評価する助けとすることができる。
【0004】
従来の技術において、PET検出器によって生成される電気信号をデジタルサンプリングするためにアナログデジタルコンバータ(ADC,analog-to-digital converter)が通常、使用される。しかしながら、ADCを使用して電気信号をデジタルサンプリングすることは、コストが極めて高額で、実行するのが困難である。
【0005】
放射線検出及び画像化の分野において、電気信号のデジタルサンプリングのコストを削減するため、多電圧閾値(MVT,multi-voltage threshold)サンプリング方法が先行技術において通常、使用される。しかしながら、この方法を使用してサンプリングすることができるサンプリングポイントの数は限られ、サンプリングされたサンプルポイントが信号の極値振幅値ポイントのものであるかどうかを判定することができず、これはサンプリングの正確さ及び後続の信号復元の精度にも影響を与え得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の実施形態の目的は、先行技術における少なくとも1つの技術的課題を解決する信号サンプリング方法及び再構成方法、並びに装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上の技術的課題を解決するため、本願の実施形態において、
所定のサンプリング方法を使用して、測定されるべき電気信号をサンプリングして、それぞれが第1の振幅及び対応する第1の時間によって表される複数の第1のサンプリングポイントを取得するステップと、
測定されるべき電気信号の第2の振幅を測定するステップであって、第2の振幅が複数の第1の振幅とは異なる、前記測定するステップと、
測定されるべき電気信号を遅延させ、遅延した電気信号を使用して、第2の振幅及び第2の時間によって表される第2のサンプリングポイントを取得するために、測定されるべき電気信号の振幅が第2の振幅に到達する第2の時間を決定するステップと、
を含む信号サンプリング方法が提供される。
【0008】
任意選択で、第2の時間を決定するステップは、
遅延した電気信号の振幅が第1の振幅及び第2の振幅のいずれかに到達する、それぞれ第1の遅延時間及び第2の遅延時間を測定するステップと、
第1の遅延時間と第2の遅延時間との間の差を計算するステップと、
この差及び第1の振幅に対応する第1の時間を使用して第2の振幅に対応する第2の時間を計算するステップと、
を含む。
【0009】
任意選択で、所定のサンプリング方法は、多振幅閾値サンプリング方法又は時間間隔サンプリング方法を含む。
【0010】
任意選択で、測定されるべき電気信号は、PET検出器によって生成される次のタイプのパルス信号、すなわち、正弦波信号、余弦波信号、三角波信号、鋸歯状波信号、ステップ波信号、又は方形波信号の1つを含む。
【0011】
任意選択で、第2の振幅は、測定されるべき電気信号の最大又は最小振幅を含む。
【0012】
本願の実施形態において、
上記の信号サンプリング方法によってサンプリングされる、測定されるべき電気信号の第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントで再構成を実行して、測定されるべき電気信号の再構成された波形を取得するステップ、
を含む信号再構成方法がさらに提供される。
【0013】
任意選択で、第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントで再構成を実行するステップは、
第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントに対するフィッティングを実行するステップ、
第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントの補間を実行するステップ、又は
第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントの補間、及び補間後のすべてのサンプリングポイントに対するフィッティングを実行するステップ、
を含み、
補間は線形補間及び/又はスプライン補間を含む。
【0014】
本願の実施形態において、
所定のサンプリング方法を使用して、測定されるべき電気信号をサンプリングして、それぞれが第1の振幅及び対応する第1の時間によって表される複数の第1のサンプリングポイントを取得するように構成された第1のサンプリングユニットと、
測定されるべき電気信号の第2の振幅を測定するように構成され、第2の振幅が複数の第1の振幅とは異なる、測定ユニットと、
測定されるべき電気信号を遅延させ、遅延した電気信号を使用して、第2の振幅及び第2の時間によって表される第2のサンプリングポイントを取得するために、測定されるべき電気信号の振幅が第2の振幅に到達する第2の時間を決定するように構成された第2のサンプリングユニットと、
を含む信号サンプリング装置がさらに提供される。
【0015】
任意選択で、測定ユニットは、キャパシタ、ダイオード及びインダクタからなる電圧保持回路を含み、キャパシタの一端とインダクタの一端が並列に接続されて接地され、キャパシタの他端とダイオードの一端が並列に接続され、ダイオードの他端とインダクタの他端が直列に接続されている。
【0016】
本願の実施形態において、上記の信号サンプリング装置によってサンプリングされた第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントで再構成を実行して、測定されるべき電気信号の再構成された波形を取得するために使用される信号再構成装置がさらに提供される。
【0017】
本願の実施形態において提供される上記の技術的解決策から分かるように、本願の実施形態は、所定のサンプリング方法を使用して、測定されるべき電気信号をサンプリングして複数の第1のサンプリングポイントを取得すること、測定されるべき電気信号の第2の振幅を測定すること、測定されるべき電気信号を遅延させ、遅延した電気信号を使用して、第2のサンプリングポイントを取得するために、測定されるべき電気信号の振幅が第2の振幅に到達する第2の時間を決定することを提案し、これにより、サンプリングされるようなサンプリングポイントの数が増加し、そのためサンプリングの正確さ及び後続の信号復元の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示又は先行技術における実施形態の技術的解決策を実証するという目的のため、実施形態又は先行技術の説明を参照して添付の図面を簡単に説明する。示したような図面は、本開示に記載されたようないくつかの実施形態の単なる例示であるということが明らかである。創造的な作業を伴うことなく、示したような図面に対する様々な代替案を理解することができるということが当業者によって理解されるべきである。
図1】本願の一実施形態による信号サンプリング方法のフローチャートである。
図2】電圧保持回路の概略構造図である。
図3】測定されるべき電気信号の波形の概略図である。
図4図3における測定されるべき電気信号について電圧保持回路によって出力された電気信号の波形の概略図である。
図5】本願の一実施形態において提供される信号サンプリング装置の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本願の実施形態の添付の図面と併せて本願の実施形態における技術的解決策を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載の実施形態は、本願を解釈するための本願の実施形態の一部に過ぎず、これらのすべてではなく、本願又は請求項の範囲を限定するように意図されるものではない。本明細書に記載の実施形態に対する様々な代替案が、創造的な作業を伴うことなく、そして本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって使用され得るということが理解されるべきである。
【0020】
特に、ある要素が他の要素「に配置されて」いると言うとき、これは他の要素に直接、配置されていても、又は中間要素があってもよい。ある要素が他の要素に「結合又は接続されて」いると言うとき、これは他の要素に直接、結合又は接続されていてもよく、又は中間要素がある。本明細書で用いる「結合又は接続」という用語は、電気的結合又は接続及び/又は機械的又は物理的結合又は接続を含むことができる。本明細書で用いる「含む(comprise又はinclude)」という用語は、特徴、ステップ又は要素の存在を指すが、1又は2以上のさらなる特徴、ステップ又は要素の存在又は追加を排除するものではない。本明細書で用いる「及び/又は」という用語は、関連する列挙した項目の1又は2以上のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0021】
特に指定しない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本開示に関連する技術分野における当業者によって通常理解されるような一般的な意味を有する。本明細書で用いる用語は、具体的な実施形態を説明することを目的とするが、本発明を限定するように意図されるものではない。
【0022】
加えて、本明細書で用いる「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明を目的とし、類似の物を互いに区別するためだけのものであり、これらはその順序を表さず、相対的な重要性の指標又は暗示として理解することもできない。加えて、本開示における説明において、特に指示しない限り、「複数」は2又は3以上を意味する。
【0023】
以下、本願の実施形態による信号サンプリング方法、再構成方法、及びその装置を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1に示すように、本願の一実施形態は信号サンプリング方法を提供し、これは次のステップを含むことができる。
【0025】
S1:所定のサンプリング方法を使用して、測定されるべき電気信号をサンプリングして複数の第1のサンプリングポイントを取得する。
【0026】
測定されるべき電気信号は、取得された後、多振幅閾値サンプリング(例えば、MVT)方法又は時間間隔サンプリング方法のような、所定のサンプリング方法を使用してサンプリングされ、複数の第1のサンプリングポイントを取得することができる。例えば、測定されるべき電気信号は、複数の事前設定された第1の振幅でサンプリングされ、測定されるべき電気信号の振幅が第1の振幅に到達する第1の時間を決定することができ、複数の第1のサンプリングポイントを取得することができるようになっている。例えば、測定されるべき電気信号は、事前設定された時間間隔によってサンプリングされ、事前設定された時間間隔に対応する複数の第1の時間に対応する第1の振幅を決定することができ、複数の第1のサンプリングポイントを取得することができるようにもなっている。第1のサンプリングポイントのそれぞれは、(T1、V1)、(T2、V2)、(T3、V2)、又は(T4、V1)のような、1つの第1の振幅及び1つの対応する第1の時間によって表すことができる。
【0027】
複数の第1の振幅は互いに異なっていてもよく、複数の第1の時間も互いに異なっていてもよいことに留意されたい。さらに、多振幅閾値サンプリング方法において第1の振幅は、事前設定された振幅閾値とすることができる一方、第1の時間は、振幅閾値に対応して測定されるような時間とすることができ、一方時間間隔サンプリング方法において、第1の振幅は、測定されるべき電気信号の測定された振幅とすることができ、第1の時間は、事前設定された時間間隔に従って計算された時間とすることができる。一般に、1つの第1の振幅が2つの第1の時間に対応する。
【0028】
多振幅閾値サンプリング方法及び時間間隔サンプリング方法を使用して電気信号をどのようにサンプリングするかは、先行技術における関連する説明を参照することができ、これは本明細書ではさらに詳述しない。
【0029】
測定されるべき電気信号は、PET検出器によって生成されるパルス信号、例えば、正弦波信号、余弦波信号、三角波信号、鋸歯状波信号、ステップ波信号、又は方形波信号のような、周期的信号、又は測定される必要があり、本明細書で限定されない他の電気信号とすることができる。
【0030】
S2:測定されるべき電気信号の第2の振幅を測定する。
【0031】
測定されるべき電気信号が取得された後、電圧保持回路を使用して、測定されるべき電気信号の第2の振幅を測定することができる。第2の振幅は、複数の第1の振幅とは異なり得る。さらに、第2の振幅は、第1の振幅とは異なる任意の振幅、好ましくは測定されるべき電気信号の最大振幅であり得る。さらに、測定されるべき電気信号が、振幅が最初に減少し、次いで増加する信号、例えば、余弦波信号であれば、第2の振幅は最小振幅でもあり得る。
【0032】
電圧保持回路は、実際のニーズ又は経験に応じて事前に設計することができ、これは、測定されるべき電気信号の振幅がその内部で設定された振幅閾値に到達するときにその出力の電圧を変更せずに保持することができ、又は測定されるべき電気信号の振幅がピーク値、すなわち、測定されるべき電気信号の最大振幅又は最小振幅に到達するときにその出力の電圧を保持することができる。事前設計された電圧保持回路によって、測定されるべき電気信号の第2の振幅は第1の振幅とは異なり得る。
【0033】
第2の振幅が、測定されるべき電気信号の最大振幅である場合、電圧保持回路は、キャパシタ、ダイオード、インダクタなどの構成要素を含むことができる。図2に示すように、キャパシタの一端とインダクタの一端が並列に接続されて接地され、キャパシタの他端とダイオードの一端が並列に接続され、ダイオードの他端とインダクタの他端が直列に接続されている。ダイオードは、測定されるべき電気信号の振幅がピーク値に到達する前に導通し、測定されるべき電気信号の振幅がピーク値に到達すると切断することができ、キャパシタの電圧を一定期間安定させたままにすることができるようになっている。測定中、例えば、i及びjが異なる正の整数であるViからVjへジャンプすることによって、キャパシタにわたる電圧が突然変化すると、測定されるべき電気信号の電流振幅が第2の振幅として記録される。例えば、図3に示すような測定されるべき電気信号について、電圧保持回路によって出力される電気信号が図4に示され、Vmaxは測定されたような第2の振幅である。
【0034】
第2の振幅が、測定されるべき電気信号の最小振幅であるとき、電圧保持回路も、電圧を保持するための他の構成要素又は回路構造のものであり得るが、本明細書では限定されない。
【0035】
本開示においてステップS1及びステップS2の実行順序に限定はなく、そのためステップS2の実行後にステップS1を実行することもできるということが留意されるべきである。
【0036】
S3:測定されるべき電気信号を遅延させ、遅延した電気信号を使用して、第2のサンプリングポイントを取得するために、測定されるべき電気信号の振幅が第2の振幅に到達する第2の時間を決定する。
【0037】
測定されるべき電気信号は、取得された後、例えば、30ns遅延させることができる。電気信号をどのように遅延させるかは、先行技術における関連する説明を参照することができ、これは本明細書ではさらに詳述しない。
【0038】
本開示において、測定されるべき電気信号の第2の振幅を測定すること及び測定されるべき電気信号を遅延させることの実行順序に限定はなく、そのため2つを順に又は同時に実行することができるということが留意されるべきである。
【0039】
測定されるべき電気信号を遅延させた後、遅延した電気信号を使用して、第2の振幅及び第2の時間によって表される第2のサンプリングポイントを取得するために、測定されるべき電気信号の振幅が第2の振幅に到達する第2の時間を決定することができる。第2の振幅が最大又は最小振幅であれば、サンプリングされるような第2のサンプリングポイントは、測定されるべき電気信号の極値振幅値ポイント(すなわち、ピーク又はトラフ)になる。
【0040】
遅延した電気信号を使用して、測定されるべき電気信号の振幅が第2の振幅に到達する第2の時間を決定することは、第1に、遅延した電気信号の振幅が第1の振幅及び第2の振幅のいずれかに到達する、それぞれ第1の遅延時間及び第2の遅延時間を測定すること、第2に、第1の遅延時間と第2の遅延時間との間の差を計算すること、そして最後にこの差及び第1の振幅に対応する第1の時間を使用して第2の振幅に対応する第2の時間を計算すること、を含むことができる。計算プロセスは次の式において表すことができる。
Tj = Ti + ΔT = Ti + (T'j - T'i)
【0041】
ここでTは第2の時間を表し、Tは第1の時間を表し、これは、選択された第1の振幅に対応する2つの第1の時間のいずれかとすることができ、T’は第2の遅延時間を表し、T’は第1の時間Tに対応する第1の遅延時間とすることができる。
【0042】
前述の実施形態において、第1の振幅及び第2の振幅は、電圧、電流などのものとすることができ、振幅を表すための他の物理量とすることもできる。
【0043】
上の説明から分かるように、本願の実施形態は、所定のサンプリング方法を使用して、測定されるべき電気信号をサンプリングして複数の第1のサンプリングポイントを取得すること、測定されるべき電気信号の第2の振幅を測定すること、測定されるべき電気信号を遅延させ、遅延した電気信号を使用して、第2のサンプリングポイントを取得するために、測定されるべき電気信号の振幅が第2の振幅に到達する第2の時間を決定することを提案し、これにより、サンプリングされるようなサンプリングポイントの数が増加し、そのため後続の信号復元の正確さを向上させることができる。本願の技術的解決策によって、また、電気信号の振幅値ポイント(すなわち、ピーク又はトラフ)を自己適応的にサンプリングすることができ、これにより、後続の信号復元の正確さを向上させることが容易になり、これによってエネルギー分解能が増加する。
【0044】
本願の実施形態において、上の実施形態に記載の信号サンプリング方法によってサンプリングされる、測定されるべき電気信号の第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントで再構成を実行するステップを含む信号再構成方法がさらに提供される。
【0045】
電気信号の第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントは、取得された後、再構成を実行して電気信号の再構成された波形を取得するために使用することができる。このステップは具体的には、アプリオリモデル又は電気信号の特性関数(例えば、y(t)=a*exp(-(t-d)/b)*(1-exp(-(t-d)/c)))を使用して第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントに対して直接フィッティングを実行するステップ、あるいは、第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントの補間を直接実行するステップ、あるいは、より多くのサンプリングポイントを取得するために第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントの補間を、次いで補間後にこれらのサンプリングポイントに対してフィッティングを実行するステップ、を含むことができる。補間は、線形補間及び/又はスプライン補間を含むことができるが、これらに限定されない。サンプリングポイントの補間の具体的なプロセスは先行技術における関連する説明を参照することができ、これは本明細書ではさらに詳述しない。
【0046】
本願の実施形態において提供される信号再構成方法によって、信号復元の正確さを向上させることができる。
【0047】
本出願の実施形態において、
所定のサンプリング方法を使用して、測定されるべき電気信号をサンプリングして、それぞれが第1の振幅及び対応する第1の時間によって表される複数の第1のサンプリングポイントを取得するために使用される第1のサンプリングユニット510と、
測定されるべき電気信号の第2の振幅を測定するために使用され、第2の振幅が複数の第1の振幅とは異なる、測定ユニット520と、
測定されるべき電気信号を遅延させ、遅延した電気信号を使用して、第2の振幅及び第2の時間によって表される第2のサンプリングポイントを取得するために、測定されるべき電気信号の振幅が第2の振幅に到達する第2の時間を決定するために使用される第2のサンプリングユニット530と、
を備える、図5に示すような信号サンプリング装置がさらに提供される。
【0048】
一実施形態において、測定ユニット520は、キャパシタ、ダイオード及びインダクタからなる電圧保持回路を備える。キャパシタの一端とインダクタの一端が並列に接続されて接地され、キャパシタの他端とダイオードの一端が並列に接続され、ダイオードの他端とインダクタの他端が直列に接続されている。電圧保持回路は、測定されるべき電気信号の最大振幅を測定することができる。
【0049】
一実施形態において、第2のサンプリングユニット530は具体的には、
遅延した電気信号の振幅が第1の振幅及び第2の振幅のいずれかに到達する、それぞれ第1の遅延時間及び第2の遅延時間を測定するために使用される測定サブユニットと、
第1の遅延時間と第2の遅延時間との間の差を計算し、次いでその差及び第1の振幅に対応する第1の時間を使用して第2の振幅に対応する第2の時間を計算するために使用される計算サブユニットと、
を備えることができる(図示せず)。
【0050】
信号サンプリング装置の説明については前述の実施形態における信号サンプリング方法の詳細な説明を参照することができ、これはここでは詳述しない。
【0051】
上の説明から分かるように、本願の実施形態において提供される信号サンプリング装置は、第1のサンプリングユニットを使用して、所定のサンプリング方法を使用して測定されるべき電気信号をサンプリングし、複数の第1のサンプリングポイントを取得し、測定ユニットを使用して、測定されるべき電気信号の第2の振幅を測定し、遅延ユニットを使用して、測定されるべき電気信号を遅延させ、第2のサンプリングユニットを使用して、遅延した電気信号に基づいて、第2のサンプリングポイントを取得するために、測定されるべき電気信号の振幅が第2の振幅に到達する第2の時間を決定することができ、これにより、サンプリングされるようなサンプリングポイントの数が増加し、そのためサンプリングの正確さ及びその電気信号についての後続の信号復元の精度を向上させることができ、サンプリングされるようなサンプルポイントの情報から直接、他の要求される情報、例えば、エネルギーを取得することも可能である。
【0052】
本願の実施形態において、上の実施形態に記載の信号サンプリング装置によってサンプリングされた第1のサンプリングポイント及び第2のサンプリングポイントで再構成を実行して、測定されるべき電気信号の再構成された波形を取得するために使用される信号再構成装置がさらに提供される。
【0053】
信号再構成装置の説明については前述の実施形態における信号再構成方法の詳細な説明を参照することができ、これはここでは詳述しない。
【0054】
本願の実施形態において信号処理システムがさらに提供され、これは上記の信号サンプリング装置及び信号再構成装置を含むことができる。
【0055】
上の実施形態に記載のシステム、装置、ユニットなどは、半導体チップ、コンピュータチップ及び/又はコンポーネントによって具体的に実装すること、又は具体的な機能を備えた製品によって実装することができる。便宜上、装置の説明はそれぞれ機能による個々のユニットからなる。明らかに、本願を具現化するとき、個々のユニットの機能は、1つのチップ又は複数のチップに実装することができる。
【0056】
上記の実施形態又はフローチャートに記載の方法ステップが本開示に提供されているが、より多くの又はより少ないステップを、従来の又は日常的な作業と共にこの方法に含むことができる。論理的に必要な因果関係がないステップは、本開示における実施形態において提供されるもの以外の順序で実行することができる。
【0057】
本明細書における様々な実施形態は、様々な実施形態にわたって参照されている同一又は類似の部分で漸進的な方法で説明されているが、実施形態の説明は、異なる実施形態の間の違いに焦点を合わせている。
【0058】
上記の実施形態は、当業者が本願を理解及び実践することを容易にするように説明されている。これらの実施形態に様々な修正を行い、本明細書に記載の一般原理を創造的な作業なしに他の実施形態に応用することも当業者には明らかである。したがって、本願は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神の下で本願の範囲から逸脱することなく本開示に従って当業者によって、改善及び修正を行うことができる。






図1
図2
図3
図4
図5