IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 尾崎 昭雄の特許一覧

特許7418891利き目変更用具、及び利き目変更用具の使用方法
<>
  • 特許-利き目変更用具、及び利き目変更用具の使用方法 図1
  • 特許-利き目変更用具、及び利き目変更用具の使用方法 図2
  • 特許-利き目変更用具、及び利き目変更用具の使用方法 図3
  • 特許-利き目変更用具、及び利き目変更用具の使用方法 図4
  • 特許-利き目変更用具、及び利き目変更用具の使用方法 図5
  • 特許-利き目変更用具、及び利き目変更用具の使用方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】利き目変更用具、及び利き目変更用具の使用方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023199516
(22)【出願日】2023-11-26
【審査請求日】2023-11-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519300770
【氏名又は名称】尾崎 昭雄
(74)【代理人】
【識別番号】100205523
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 浩也
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 昭雄
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-060641(JP,A)
【文献】特開2020-174851(JP,A)
【文献】登録実用新案第3236041(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
G09B 17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習をする際に集中できる環境へ誘導するための用具であって、
樹脂層部と反射層部からなる円盤と、
前記円盤の中心部に円筒部と、
を備えることを特徴とする利き目変更用具。
【請求項2】
前記円盤は、
直径110mm~130mmであって、
前記樹脂層部と、
前記反射層部と、
色素層部と、
が1つ又は複数備えられている、
ことを特徴とする請求項1の利き目変更用具。
【請求項3】
前記円筒部は金属製であって、
前記円筒部の正面部は黄色の紙部で覆われている、
ことを特徴とする請求項1の利き目変更用具。
【請求項4】
前記円筒部の高さは10mm~30mmであり、
前記円筒部の正面部は直径60mm~70mmである、
ことを特徴とする請求項1の利き目変更用具。
【請求項5】
角度及び方向を変更可能な設置台に、請求項1の利き目変更用具を床面からの高さ1100mm~1300mmに固定し、
複数の光を請求項1の利き目変更用具に当て、利き目変更用具を視認する、
ことを特徴とする利き目変更用具使用方法
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、利き目を変更できる当該利き目変更用具の使用方法に関する。
【0002】
近年、認知脳の研究に加え、社会脳と呼ばれる新しい研究分野が急速に拓かれつつある。
【0003】
社会脳と認知脳の注意リソースはシーソーのバランスの関係にあり、学習中(認知脳)の注意を強化するには、社会脳の注意を抑制する必要がある。つまり、学習者が学習と関係のないことを思い浮かべ(マインドワンダリング)注意リソースを消費してしまうからである。これを予防するためには、呼吸を整え、心を落ち着いた状態に整え、社会脳の注意を抑制することが有効である
【0004】
他方、学習中の利き目に注目すると、右目が利き目の学習者が、左目を利き目として学習すると、以前に経験のない、左視野の情報が脳梁を介し右脳へ伝達される。結果、右脳の役割であるイメージ力が強化され、語学の会話力などが現状より習得しやすい学習が可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】すごい左利き:加藤俊徳著(ダイヤモンド社)
【文献】神経・生理心理学:早川友恵・田邉宏樹著(講談社)
【文献】クオリア入門:茂木健一郎著(ちくま学芸文庫)
【文献】ディスレクシア入門:加藤醇子著(日本評論社)
【文献】APDがわかる本:小渕千絵(講談社)
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録3224072号
【文献】特許7329277号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1乃至5に記載の通り、上記の脳に関する研究結果は記載されているものの、それを補助する器具についての記載はなく、文献で理屈を説明するのみでは、学習効率を増すことは容易ではない。
【0008】
特許文献1の考案は、学習に集中する学習部屋の構造であって、3つの光反転オブジェ群と、天井から紐状の接続具で吊り下げられた円筒形オブジェ等を備えることが記載されている。
【0009】
また、特許文献2の発明は、学習をする際に集中できる環境へ誘導するための装置であって、一列に配された3以上の光源部を有する光源列部2つ備えており、光源列部の成す角度は鋭角であることが記載されている。
【0010】
特許文献1のような発明は、外部の刺激を遮断したり、集中するための物品を用意、配置するなどして、学習への誘導を行うものであったが、利き目を意識したものではなく、学習には工夫が必要であった。
【0011】
特許文献2のような発明は、眼球運動を意識した装置であるが、学習者の一時的に視点を集めるための集中点部は、蛍光色など、注目される色であるのみを特徴としており、利き目を変更する効果はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、学習をする際に集中できる環境へ誘導するための用具であって、樹脂層部と反射層部からなる円盤と、前記円盤の中心部に円筒部と、を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明は、角度及び方向を変更可能な設置台に、請求項1の利き目変更用具を床面からの高さ1100mm~1300mmに固定し、複数の光を請求項1の利き目変更用具に当て、利き目変更用具を視認することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明である利き目変更用具を用いることによって、利き目を変更することが可能となり、右目が利き目の学習者が経験のない左視野の情報が脳梁を介し右脳へ伝達され、イメージ力が強化されることによって、語学の会話力などが現状より習得しやすい環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る利き目変更用具1の斜視図である
図2】本発明の実施形態に係る利き目変更用具1の正面図である
図3】本発明の実施形態に係る利き目変更用具1の側面図である
図4】本発明の実施形態に係る利き目変更用具1の断面図である
図5】本発明の実施形態に係る利き目変更用具1の使用を示す図である
図6】本発明の実施形態に係る利き目変更用具1使用時における右目と左目に映るイメージ図である
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。さらに、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1乃至図4は、本発明の実施形態に係る利き目変更用具1を示す図である。図1は、本発明の実施形態に係る利き目変更用具1の斜視図、図2は、本発明の実施形態に係る利き目変更用具1の正面図、図3は、本発明の実施形態に係る利き目変更用具の側面図、及び図4は、本発明の実施形態に係る利き目変更用具1の断面図である
【0018】
図示のとおり利き目変更用具1は、円盤11と、円盤の中心部に円筒部12を備える。円盤11は、Compact Disc(CD)やDigital Versatile Disc(DVD)が一例であるが、図2及び図3に示す通り、直径R11は110mm~130mm、高さH11は1.0mm~1.3mm、であることが好ましい。
【0019】
図4の断面図に示す通り、円盤11は多層構造であり、光が反射する。素材は特に定めないが、CD及びDVDと同様、樹脂層部111及び樹脂層部114と、反射層部112と、色素層部113などから成ることが好ましい。
【0020】
樹脂層部111及び樹脂層部114の素材は、透明の樹脂であれば良く、特に定めないが、CD及びDVDで用いられる透明ポリカーボネートなどが好ましい。
【0021】
反射層部112の素材は、光を反射する素材、例えば金属であれば良く、特に定めないが、CD及びDVDで用いられるアルミなどが好ましい。
【0022】
色素層部113の素材は、色が付いている素材が好ましいが、CD及びDVDであれば記録層にあたる層となる。なお色素層部113は無くても良い。
【0023】
図2及び図3に示す通り、円筒部12の直径R12、高さH12は定めないが、好ましくは直径R12が60mm~70mm、高さH12が10mm~30mmである。
【0024】
円筒部12の素材も特に定めないが、好ましくはアルミ等の金属製であって、円筒部12の正面部13は、黄色の紙部で覆うと効果が増すため、好ましい。
【0025】
ここで、利き目変更用具1の実施形態にかかる仕組みを説明する。自然光N及びライトLなどから複数の光を利き目変更用具1に当てることで、光の回折と干渉により、見る位置により形状や発色光の異なる複雑なスペクトル(像)を結ぶ。複数光源を使用すると利き目変更用具1のスペクトルが複雑となり、左目像と右目像の区別が容易になる。
【0026】
学習の姿勢で、右目を閉じ、左目で見るスペクトルと左目を閉じ右目で見るスペクトルは大きく異なる。この左右の開閉を繰り返すと利き目変更用具1は二重に見え、左目像と右目像が同時に見える。この現象を利用し、像が左目像か右目像か判定できる。両目使い像から、右目を瞬きすることで、左目像の一重像へ変化する。
【0027】
なお且つ、利き目変更用具1の設置高さや角度を微調整することでスペクトルがより明確となる。例えば左後方光源の場合、利き目変更用具1の設置角度を光源方向へ向けることで、スペクトルがより明確になる。
【0028】
<実施形態>
次に図5を用いて、椅子に座って当発明である利き目変更用具1を使用する形態について説明する。図5は、本発明の実施形態に係る利き目変更用具1の使用方法を示す図、及び図6は、本発明の実施形態に係る利き目変更用具1使用時における右目と左目に映るイメージ図である。
【0029】
(ステップS1)
まず図5のように学習者Mが椅子に座り、固定台2を用いて、利き目変更用具1を床面からの高さ1100mm~1300mmに固定する。固定台2は、角度、方向を変更できるレバー21などを有し、利き目変更用具1の微調整を行ってもよい。
【0030】
(ステップS2)
勉強又は読書をする際は、利き目変更用具1の手前にブックスタンドを立て、本を設置する。ここでは、右目利きの学習者を、左目利きに変える想定とする。
【0031】
(ステップS3)
学習者Mは、利き目変更用具1の正面に座り、自然光N及びライトLの反射をした利き目変更用具1に映り出されるスペクトル形状と発色光を見ながら、右目を閉じ、左目像を確認する。
【0032】
(ステップS4)
次に左目を閉じ、右目像を確認する。図6a)は左目に映るイメージi1、右目に映るイメージi2である。ここでは、i11は空色、i12は赤色、i13は紫色(不鮮明)、i14は赤色(不鮮明)、i21は赤色、i22は紫色、i23は黄色及びi24は赤色である。
【0033】
ステップS3と、ステップS4の動作を繰り返すと利き目変更用具1が図6b)に示すように二重に見えるようになる。向かって右の像が左目像、向かって左の像が右目像であり、両目を開けた状態で右目を瞬きすると、図6c)に示すよう二重が解消し、一重の左目像となり、左目利きになっている。ここでは、i31は空色、i32は赤色、i33は紫色(不鮮明)及びi34は赤色(不鮮明)である。
【0034】
(ステップS5)
次にこの像を安定化する目的で、座っている椅子とブックスタンドを中央から左へ約50mm移動させる。
【0035】
(ステップS6)
ブックスタンドから目線を利き目変更用具1へ移すといつも左目像が見える状態を維持出来る。この姿勢を維持しながら、通常の読み、聴く入力学習を継続すると、利き目が切り替わり、左目利きで学習をしていることになる。
【符号の説明】
【0036】
N 自然光
M 学習者
L ライト
1 利き目変更用具
2 スタンド
11 円盤
12 円筒部
13 正面部
21 レバー
i1 左目に映るイメージ
i2 右目に映るイメージ
i3 左目利きに映るイメージ
111 樹脂層部
112 反射層部
113 色素層部
114 樹脂層部
H11 円盤高さ
H12 円筒部高さ
R11 円盤直径
R12 円筒部直径
i11 空色
i12 赤色
i13 紫色(不鮮明)
i14 赤色(不鮮明)
i21 赤色
i22 紫色
i23 黄色
i24 赤色
i31 空色
i32 赤色
i33 紫色(不鮮明)
i34 赤色(不鮮明)
【要約】
【課題】従来の学習保護をする装置は、眼球運動を意識した装置であるが、学習者の一時的に視点を集めるための集中点部は、蛍光色など、注目される色であるのみを特徴としており、利き目を変更する効果はなかった。
【解決手段】上記課題を解決するために、樹脂層部と反射層部からなる円盤と、前記円盤の中心部に円筒部と、を備えることを特徴とする利き目変更用具によって、利き目を変更することが可能となり、右目が利き目の学習者が経験のない左視野の情報が脳梁を介し右脳へ伝達され、イメージ力が強化されることによって、語学の会話力などが現状より習得しやすい環境を提供することができる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6