(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
G05B23/02 301Z
G05B23/02 301T
(21)【出願番号】P 2019237966
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 建聖
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大也
(72)【発明者】
【氏名】青木 七海
(72)【発明者】
【氏名】明渡 豊
(72)【発明者】
【氏名】門脇 正法
(72)【発明者】
【氏名】水野 孝志
(72)【発明者】
【氏名】山根 理絵
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/159501(WO,A1)
【文献】特開平04-024805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの状態を表示するための画面を備える装置であって、
前記プラント全体における管の位置と、前記管に設けられたセンサの位置と、を示す画像情報を前記画面の第1領域に表示するとともに、前記センサで検出した前記管の状態を所定の態様で前記第1領域に表示するように構成され、かつ、前記管の状態を前記プラントの運転データに基づいて判定したときに使用された判定情報を前記画面の第2領域に表示するように構成され
ており、
前記判定情報は、前記運転データから前記管の異常度を算出した値と、前記運転データから前記管の状態の信頼度を算出した値と、を含む、装置。
【請求項2】
前記判定情報を前記第2領域に時系列的に表示するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記判定情報は、前記管の状態判定に影響のある特徴量データを含む、請求項
1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記センサによる前記管の状態の検出結果と、前記プラントの運転データに基づく前記管の状態の判定結果と、の双方を、前記画面の第3領域に同一の形式で時系列的に表示するように構成される、請求項1から
3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第2領域における時間軸と、前記第3領域における時間軸と、を連動して表示するように構成される、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1領域に表示された前記センサのうち特定センサが選択された場合に、前記特定センサで検出された検出情報を第4領域に時系列的に表示するように構成される、請求項1から
5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記画面とは別の画面の前記第4領域に前記検出情報を表示するように構成される、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
プラントの状態を表示する画面を有する表示装置と、前記表示装置を制御する制御装置と、を備えるシステムであって、
前記表示装置は、前記プラント全体における管の位置と、前記管に設けられたセンサの位置と、を示す画像情報を前記画面の第1領域に表示するとともに、前記センサで検出した前記管の状態を所定の態様で前記第1領域に表示するように構成され、かつ、前記管の状態を前記プラントの運転データに基づいて判定したときに使用された判定情報を前記画面の第2領域に表示するように構成され
ており、
前記判定情報は、前記運転データから前記管の異常度を算出した値と、前記運転データから前記管の状態の信頼度を算出した値と、を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラントに複数のセンサを設置して、センサから取得されるセンサデータに基づいてプラントの稼働状況を監視することが行われている。例えば現在においては、熱交換器のメタル温度等を計測するためのセンサをボイラプラントに配置し、センサで検出したメタル温度変化を画面に表示することにより、チューブリークが発生している可能性が高い場所を確認できるようにした技術が提案されている(特許文献1参照)(以下、チューブリークのように、ボイラを構成する管(チューブ)の金属材料が損傷して破孔し、内部の蒸気が外部に漏洩する現象を「噴破」と称する)。かかる技術を採用すると、噴破の発生位置の早期特定を実現し、二次被害の拡大を抑制できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された技術においては、ボイラプラント全体におけるセンサの位置が画面に表示されないため、運転員は、どのセンサに基づいて噴破の発生が特定されたかを迅速に知ることができないという問題があった。また、センサのみによってはプラントの管の状態(例えば噴破の発生)を検出し切れない場合もあるため、プラントの運転データを用いて管の状態を判定することも考えられる。しかし、センサで検出した管の状態と、プラントの運転データに基づいて判定した管の状態と、の双方を一挙に視認できるようにした技術は現時点では提供されていない。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、センサで検出した管の状態と、プラントの運転データに基づいて判定した管の状態と、を単一の画面に表示して双方の情報を一挙に視認できるようにした装置及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る装置は、プラントの状態を表示するための画面を備える装置であって、プラント全体における管の位置と、管に設けられたセンサの位置と、を示す画像情報を画面の第1領域に表示するとともに、センサで検出した管の状態を所定の態様で第1領域に表示するように構成され、かつ、管の状態をプラントの運転データに基づいて判定したときに使用された判定情報を当該画面の第2領域に表示するように構成されるものである。
【0007】
また、本発明の一態様に係るシステムは、プラントの状態を表示する画面を有する表示装置と、表示装置を制御する制御装置と、を備えるシステムであって、表示装置は、プラント全体における管の位置と、管に設けられたセンサの位置と、を示す画像情報を画面の第1領域に表示するとともに、センサで検出した管の状態を所定の態様で第1領域に表示するように構成され、かつ、管の状態をプラントの運転データに基づいて判定したときに使用された判定情報を当該画面の第2領域に表示するように構成されるものである。
【0008】
かかる構成を採用すると、プラント全体における管の位置と、管に設けられたセンサの位置と、を示す画像情報を画面の第1領域に表示するとともに、センサで検出した管の状態を所定の態様で表示することができる。また、管の状態をプラントの運転データに基づいて判定したときに使用された判定情報を画面の第2領域に表示することができる。従って、本装置(本システム)の画面を視認した運転員は、管及びセンサのプラント全体における位置を把握することができることに加え、異なる方式(センサと、プラントの運転データと、の双方)で判定又は検出した管の状態を把握することができる。すなわち、運転員は、管を監視する上で必要になる重要情報を、単一の画面を視認するだけで効率良く把握することができるため、総合的な判断を行うことができる。この結果、本装置(本システム)は、プラントの安定操業に貢献することが可能となる。なお、「管の状態」とは、管に噴破や詰まり等の異常が発生した状態(異常状態)だけではなく、このような異常が発生していない状態(通常状態)をも含む。すなわち、本装置(本システム)は、管の異常状態を表示するだけでなく、管の通常状態をも表示することができる。
【0009】
本発明の一態様に係る装置又はシステムは、判定情報を第2領域に時系列的に表示するように構成されることができる。判定情報の例としては、運転データから管の異常度を算出した値、運転データから管の状態(異常度等)の信頼度を算出した値、管の状態判定(異常度や信頼度の判定)に影響のある特徴量データ、等を挙げることができる。
【0010】
かかる構成を採用すると、プラントの運転データに基づいて判定された管の状態に関する判定情報を、時系列的に把握することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る装置又はシステムは、センサによる管の状態の検出結果と、プラントの運転データに基づく管の状態の判定結果と、の双方を、当該画面の第3領域に同一の形式で時系列的に表示するように構成されることができる。また、本装置又はシステムは、第2領域における時間軸と、第3領域における時間軸と、を連動して表示するように構成されることもできる。
【0012】
かかる構成を採用すると、センサによる管の状態の検出結果と、プラントの運転データに基づく管の状態の判定結果と、の双方を、当該画面の第3領域に同一の形式(例えばバーチャート形式)で時系列的に表示することができる。従って、運転員は、異なる方法による管状態判定(検出)結果を同一の形式で視認して把握することができ、総合的な判断を行うことができる。
【0013】
本発明の一態様に係る装置又はシステムは、第1領域に表示されたセンサのうち特定センサが選択された場合に、特定センサで検出された検出情報を第4領域に時系列的に表示するように構成されることができる。
【0014】
かかる構成を採用すると、画面の第1領域に表示されたセンサのうち選択されたセンサ(特定センサ)で検出された検出情報を、時系列的に把握することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る装置又はシステムは、当該画面とは別の画面の第4領域に検出情報を表示するように構成されることができる。
【0016】
かかる構成を採用すると、画面の第1領域に表示されたセンサのうち選択されたセンサ(特定センサ)で検出された検出情報を、第1領域等を有する画面とは別の画面の第4領域に表示することができる。従って、第1領域等を有する画面とは別の画面(第4領域)で検出情報を拡大表示することができ、検出情報の時間履歴等を詳細に把握することができるという利点がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、センサで検出した管の状態と、プラントの運転データに基づいて判定した管の状態と、を単一の画面に表示して双方の情報を一挙に視認できるようにした装置及びシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態が対象とするプラントの全体構成を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るシステム等の機能的構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るシステムの物理的構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る表示装置によって表示される第1画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る表示装置によって表示される第2画面の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る表示装置によって表示される第3画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0020】
まず、
図1を用いて、本実施形態が対象とするプラント1の構成について説明する。プラント1は、例えば、循環流動層ボイラ(Circulating Fluidized Bed型)を含む発電プラント(焼却プラント)であって、高温で流動する珪砂等の循環材を循環させながら燃料を燃焼して、蒸気を発生させるボイラを備えるものである。プラント1の燃料としては、石炭のような化石燃料の他、例えば非化石燃料(木質バイオマス、廃タイヤ、廃プラスチック、スラッジ等)を使用することができる。プラント1で発生した蒸気は、タービン100の駆動に用いられる。なお、本発明が対象とするプラントは、ボイラを含む発電プラントや焼却プラントに限られるものではなく、化学プラント、排水処理プラント等、プロセスデータが取得できるプラントであればよい。
【0021】
プラント1は、火炉2内で燃料を燃焼させ、固気分離装置として機能するサイクロン3によって排ガスから循環材を分離し、分離された循環材を火炉2内に戻して循環させるように構成されている。分離された循環材は、サイクロン3の下方に接続された循環材回収管4を経由して火炉2の下部に返送される。なお、循環材回収管4の下部と火炉2の下部とは、流路が絞られたループシール部4aを介して接続されている。これにより、循環材回収管4の下部には所定量の循環材が貯められた状態となる。サイクロン3によって循環材が取り除かれた排ガスは、排ガス流路3aを経由して後部煙道5に供給される。
【0022】
ボイラは、燃料を燃焼させるための火炉2と、燃焼により得られた熱を用いて水蒸気等を発生させるための熱交換器を備える。火炉2の中間部には、燃料を供給する燃料供給口2aが設けられており、火炉2の上部には、燃焼ガスを排出するガス出口2bが設けられている。図示されていない燃料供給装置から火炉2に供給される燃料は、燃料供給口2aを介して火炉2の内部に供給される。また、火炉2の炉壁には、ボイラ給水を加熱するための炉壁管6が設けられている。炉壁管6を流れるボイラ給水は、火炉2での燃焼によって加熱される。
【0023】
火炉2内では、下部の給気ライン2cから導入される燃焼・流動用の空気により、燃料供給口2aから供給された燃料を含む固形物が流動し、燃料は流動しながら例えば約800~900℃で燃焼する。サイクロン3には、火炉2で発生した燃焼ガスが循環材を同伴しながら導入される。サイクロン3は、遠心分離作用により循環材と気体とを分離し、循環材回収管4を介して分離された循環材を火炉2に戻すとともに、循環材が除かれた燃焼ガスを排ガス流路3aから後部煙道5へと送出する。
【0024】
火炉2では、底部に炉内ベッド材と呼ばれる循環材の一部が滞留する。このベッド材には、循環流動に不適な粗い粒径を有するものや排燃夾雑物が含まれることがあり、このような循環材に適さないベッド材等によって流動不良が発生することがある。このような流動不良を抑制するために、火炉2では、底部の排出口2dから炉内ベッド材が連続的又は断続的に外部に排出されている。排出されたベッド材は、図示されていない循環ライン上で金属や粗大粒径等の不適物を取り除いた後、再び火炉2に供給されるか、若しくはそのまま廃棄される。火炉2の循環材は、火炉2、サイクロン3及び循環材回収管4で構成される循環系内を循環する。
【0025】
後部煙道5は、サイクロン3から排出されたガスを後段へ流す流路を有している。後部煙道5は、排ガスの熱を回収する排熱回収部として、過熱蒸気を発生させる過熱器10と、ボイラ給水を予熱する節炭器12と、を有している。後部煙道5を流れる排ガスは、過熱器10及び節炭器12を流通する蒸気やボイラ給水と熱交換されて冷却される。また、プラント1には、節炭器12を通過したボイラ給水が貯留される蒸気ドラム8が設けられている。蒸気ドラム8は、火炉2の炉壁管6にも接続されている。
【0026】
節炭器12は、排ガスの熱をボイラ給水に伝熱して、ボイラ給水を予熱するものである。節炭器12は、管21によってポンプ7と接続される一方、管22によって蒸気ドラム8と接続されている。ポンプ7から管21を経由して節炭器12に供給され、節炭器12によって予熱されたボイラ給水は、管22を経由して蒸気ドラム8に供給される。
【0027】
蒸気ドラム8には、降水管8a及び炉壁管6が接続されている。蒸気ドラム8内のボイラ給水は、降水管8aを下降し、火炉2の下部側で炉壁管6に導入されて蒸気ドラム8へ向かって流通する。炉壁管6内のボイラ給水は、火炉2内で発生する燃焼熱によって加熱されて、蒸気ドラム8内で蒸発し蒸気となる。
【0028】
蒸気ドラム8には、内部の蒸気を排出する飽和蒸気管8bが接続されている。飽和蒸気管8bは、蒸気ドラム8と過熱器10とを接続している。蒸気ドラム8内の蒸気は、飽和蒸気管8bを経由して過熱器10に供給される。過熱器10は、排ガスの熱を用いて蒸気を過熱して過熱蒸気を生成するものである。過熱蒸気は、管10aを通り、プラント1外のタービン100に供給されて発電に利用される。
【0029】
タービン100から排出された蒸気の圧力と温度は、過熱器10から排出される蒸気の圧力と温度よりも低い。特に限定されるものではないが、タービン100へ供給される蒸気の圧力は、約10~17MPa程度であり、温度は約530~570℃程度となる。タービン100から排出される蒸気の圧力は、約3~5MPa程度であり、温度は約350~400℃程度となる。
【0030】
タービン100の下流には復水器102が設けられている。タービン100から排出された蒸気は復水器102に供給され、復水器102において凝縮して飽和水に戻された上でポンプ7へと供給される。タービン100には、タービン100の回転により得られる運動エネルギーを電気エネルギーに変換するジェネレータが接続される。
【0031】
ポンプ7aは、復水器102の水位を一定に保つように、補給水を供給する。
図1では、ポンプ7aにより補給される補給水流量u1を示している。
【0032】
本実施形態で取り扱うプロセスデータ(プラント1の運転データ)は、プラント1に関する任意のデータであってよいが、例えば、プラント1の状態をセンサで測定したデータであってよく、より具体的には、プラント1の温度、圧力及び流量等の測定値を含んでよい。
図1では、ポンプ7から節炭器12に供給されるボイラ給水流量u2を示している。さらに、
図1では、過熱器10からタービン100に供給されるボイラ出口蒸気流量u3を示し、蒸気ドラム8から過熱器10に供給される飽和蒸気流量u4を示している。なお、ボイラ給水流量u2は、ボイラ出口蒸気流量u3と、蒸気ドラム8の液面レベルと、の双方を監視しながら調整される。
【0033】
プラント1に破孔が生じた場合、補給水流量u1が上昇したり、ボイラ給水流量u2とボイラ出口蒸気流量u3の流量差が増大したりする。DCS(Distributed Control System)20は、補給水流量u1、ボイラ給水流量u2、ボイラ出口蒸気流量u3及び飽和蒸気流量u4等のプラント1のプロセスデータについて異常が生じていないか監視する。
【0034】
なお、プロセスデータとして補給水流量u1、ボイラ給水流量u2、ボイラ出口蒸気流量u3及び飽和蒸気流量u4を例示したが、プラント1に関するプロセスデータは、他のデータであってもよい。プラント1に関するプロセスデータは、温度、圧力等の他のデータであってもよい。
【0035】
次に、
図2及び
図3を用いて、本発明の実施形態に係るシステム30等の構成について説明する。
【0036】
図2は、本実施形態に係るシステム30等の機能的構成を示す図であり、
図3は、本発明の実施形態に係るシステム30の物理的構成を示す図である。本実施形態に係るシステム30は、プラント1の管の状態を画面に表示することにより、管を監視する上で必要になる重要情報を運転員に提供するものである。
【0037】
DCS20は、プラント1を制御するための分散制御システムであり、
図2に示されるように、プラント1に設けられるセンサ等からプロセスデータを取得し、これに基づいてプラント1を制御するための制御信号をプラント1に供給する。
【0038】
システム30は、機能的には、
図2に示すように制御装置31及び表示装置32を備えている。制御装置31は、DCS20からプロセスデータを取得し、プロセスデータに基づいて表示装置32が有する表示画面にプラントの状態を表示するための制御信号を生成し、表示装置32に供給する。
【0039】
表示装置32は、本発明における装置(表示装置)に対応するものであり、プラントの状態を表示するための表示画面を備えている。表示装置32は、制御装置31から取得した制御信号に基づいて表示画面にプラントの状態を表示するように構成されている。具体的には、表示装置32は、複数のプロセスデータの少なくとも何れかが異常状態となった場合に警告を示す第1画面DP1(
図4)を表示するように構成されている。ここで、異常状態とは、例えば、プラント1の効率に関するプロセスデータが閾値を超えた状態であり、プラント1の管に噴破が発生してプラント1が停止するおそれがある状態をも含むものである。第1画面DP1については、
図4を用いて後に詳述することとする。
【0040】
また、表示装置32は、プラント1全体における管の位置と、管に設けられたセンサの位置と、を示す画像情報を、第1画面DP1から遷移した第2画面DP2(
図5)の第1領域R1に表示するとともに、センサで検出した管の状態を所定の態様で表示するように構成されている。また、表示装置32は、プロセスデータ(プラント1の運転データ)に基づいて所定のアルゴリズムで判定された管の状態に関する判定情報を第2画面DP2の第2領域R2に時系列的に表示するように構成されている。
【0041】
さらに、表示装置32は、センサによる管の状態の検出結果と、プロセスデータに基づく管の状態の判定結果と、の双方を、第2画面DP2の第3領域R3に同一の形式で表示するように構成されている。さらにまた、表示装置32は、第2画面DP2の第一領域R1に表示されたセンサのうち特定のセンサが選択された場合に、この特定のセンサで検出された検出情報を、第2画面DP2から遷移した第3画面DP3(
図6)の第4領域R4に時系列的に表示するように構成されている。第2画面DP2及び第3画面DP3については、
図5及び
図6を用いて詳述することとする。
【0042】
システム30は、物理的には、
図3に示すように演算部に相当するCPU(Central Processing Unit)30aと、記憶部に相当するRAM(Random Access Memory)30bと、記憶部に相当するROM(Read only Memory)30cと、通信部30dと、入力部30eと、表示部30fと、を有しており、これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続されている。なお、本実施形態では、システム30が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、システム30は、複数のコンピュータが組み合わせられて実現されてもよい。例えば、表示部30fの他に、他の情報を表示するための異なる表示部を構成するディスプレイが設けられてもよい。また、
図3で示す構成は一例であり、システム30はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。また、構成の一部が遠隔地に設けられてもよい。例えば、CPU30a等を有する制御装置31を遠隔地に設けてもよい。この場合、表示部30f等を有する表示装置32は、遠隔地に設けられた制御装置31において生成された制御信号を、ネットワークを介して取得するように構成されてもよい。
【0043】
CPU30aは、RAM30b又はROM30cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う演算部である。CPU30aは、プラント1のプロセスデータのグラフと説明文を表示するプログラム(監視プログラム)を実行する演算部である。CPU30aは、入力部30eや通信部30dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示部30fに表示したり、RAM30bに格納したりする。
【0044】
RAM30bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えばDRAM又はSRAM等の半導体記憶素子で構成されてよい。RAM30bは、CPU30aが実行するプログラム、プラント1のプロセスデータといったデータを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM30bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
【0045】
ROM30cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えばフラッシュメモリ等の半導体記憶素子又はHDDで構成されてよい。ROM30cは、例えば、本実施形態に示される各種処理を実行するためのコンピュータ・プログラム及び書き換えが行われないデータ、を記憶してよい。書き換えが行われないデータとは、例えば、プラント1、プラント1のコンポーネントの仕様等に関する情報を含む。
【0046】
通信部30dは、システム30を他の機器に接続するインターフェースである。通信部30dは、インターネット等の通信ネットワークに接続されてよい。
【0047】
入力部30eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びタッチパネルを含んでよい。
【0048】
表示部30fは、CPU30aによる演算結果を視覚的に表示する表示画面を有するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてよい。表示部30fは、プロセスデータのグラフや説明文を表示してよい。また、複数のディスプレイを連ねることによって、一画面を構成するように、表示部30fを設けてもよい。なお、システム30(表示部30f)は、タブレット端末で構成されてもよい。タブレット端末でシステム30を構成することで、システム30を持ち歩くことができ、例えばプラント1を巡回しながらシステム30を利用することができる。
【0049】
本実施形態に示される各種処理を実行するためのコンピュータ・プログラムは、ROM30c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部30dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。システム30では、CPU30aが監視プログラムを実行することにより、本実施形態に含まれる様々な動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、システム30は、CPU30aとRAM30b又はROM30cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
【0050】
続いて、
図4~
図6を用いて、本実施形態に係る表示装置32によって表示される表示画面(第1画面DP1、第2画面DP2、第3画面DP3)の例について説明する。
【0051】
まず、
図4を用いて、表示装置32によって表示される第1画面DP1の例について説明する。
【0052】
第1画面DP1は、第5領域R5及び第6領域R6を含む。表示装置32は、第1画面DP1の第5領域R5に、複数のプロセスデータの少なくとも何れかが異常状態となった場合に警告を表示するように構成されている。本実施形態においては、「噴破」という警告ボタンが示され、「2019/08/07 14:00」という警告日時が示されており、「噴破」という警告ボタンをクリックすると、
図5に示す第2画面DP2に遷移する。また、「機器・コンポーネント別」のボタンとして、「プラント」、「ボイラ」、「タービン」、「ジェネレータ」及び「補機」が示され、それぞれをクリックすると各監視画面に遷移する。「ボイラ」は、火炉2等、ボイラを構成する部品に相当する。「タービン」は、タービン100等、タービンを構成する部品に相当する。「補機」は、ポンプ7及びポンプ7a等、ボイラ等の主要部品には該当しない部品に相当する。また、「ジェネレータ」等、プラント1を構成し異常が発生する可能性が高い部品を適宜コンポーネントとして設定してもよい。「最新アラーム情報」は、警告の発生日時と、警告の内容との一覧表示を含む。一覧表示された何れかの項目をダブルクリックすると、その項目の詳細を示す画面に遷移する。
【0053】
本実施形態において「噴破」という情報は、噴破が発生していると判断された場合(将来、例えば、所定時間以内に、噴破が発生する可能性が高いと判断され、噴破の兆候が現れたと判断された場合を含む。以下同じ)に表示される。噴破の有無は、単一のセンサから取得されるプロセスデータを所定の閾値と比較して制御装置31が判断することができる。さらに、噴破の有無は、所定のアルゴリズムに従って、複数のセンサから取得されたプロセスデータに基づいて制御装置31が判断することもできる。センサとは、例えば、発生する弾性波の特徴を損なうことなく伝搬できる金属構造物(ボイラ管又は管に接続されている金属面等)に設けられた複数のAE(Acoustic Emission)センサの他、プラント1の各所に設けられ、温度、圧力、流量、バルブ開度、ダンパ開度、液面レベル、振動、音響その他のプラント1の状態量を検出するための各種センサを含む。
【0054】
本実施形態において「噴破」という情報が表示されるのは、例えば、単一のAEセンサから取得されたプロセスデータが所定の閾値を超える異常値を示した場合のみではない。単一のAEセンサから取得されたプロセスデータが所定の閾値を超えない場合であっても、複数のAEセンサ、又は、AEセンサと他の種類のセンサなど、複数種類のセンサから取得されたプロセスデータを所定のアルゴリズムに従って処理して所定の条件式に従って噴破が発生して可能性が高いと判断された場合を含む。従って、各センサから得られたプロセスデータを運転員の知識と経験に依拠して判断する場合と比較して、噴破の早期検出を安定的に精度良く実現することが可能になる。AEセンサによって検出された噴破の発生と、プロセスデータに基づいて判定された噴破の発生と、の双方に関する情報については第2画面DP2(
図5)に表示される。これについては後に詳述することとする。
【0055】
所定のアルゴリズムは、所定の異常に影響を与える複数のセンサをノウハウ、経験則等に基づいて選択し、所定の異常が発生したときの複数のセンサのプロセスデータ(異常発生前のプロセスデータを含んでもよい)を多変量解析等することにより導かれる数式又は数理モデルに基づくものであってもよい。また、所定のアルゴリズムは、機械学習によって所定の学習モデルに従って動的に生成されるアルゴリズムであってもよい。
【0056】
噴破が発生していないと判断された場合(将来、例えば、24時間以内に、噴破が発生する可能性が無いと判断され、噴破の兆候が現れていないと判断された場合を含む。以下同じ)又は過去に噴破が発生したと判断されたものの、その後所定の処置を取ること等により噴破が発生していないと判断される状態に至った場合、「噴破」の文字は、表示されない。従って、プラント1の運転員は、第5領域R5に「噴破」という情報が表示されている場合、その直下に表示された時間から現在までプラント1に噴破が継続している、又は、噴破が近い将来に発生する可能性が高い状態が継続している、ことを容易に認識することができる。
【0057】
なお、噴破が発生していると判断された場合にその表示を点滅させる等の手段により強調し、噴破が発生していないと判断された場合にその表示を抑制するようにしてもよい。また、噴破が発生していると判断された場合に警告音などの効果音又は音声を出力するようにしてもよい。また、第5領域R5に、プラント1の停止可能性を有する異常が発生している確率を示す情報を同時に表示するようにしてもよい。例えば、確率が高い場合は、赤色を第5領域R5の背景色に使用し、確率が低い場合は、緑色を第5領域R5の背景色に使用してもよい。
【0058】
運転員は、第5領域R5を視認することにより、噴破等、プラント1の停止可能性を有する異常の発生(近い将来に噴破が発生する可能性が高い状態を含む)を容易に認識することが可能になる。なお、プラント1の停止可能性を有する異常は、噴破に限られるものではない。例えば、過熱器の管等の内部で堆積が進んだスケール(給水等によって管内に持ち込まれる無機物)により管内部が閉塞する異常を、プラント1の停止可能性を有する異常として検出できるように構成してもよい。
【0059】
また、表示装置32は、第1画面DP1の第6領域R6に、プラント1に関する代表的なプロセスデータのグラフを表示するように構成されている。本実施形態においては、「ボイラ効率(損失法)[%-LHV]」、「発電端効率[%]」、「発電機電力[MW]」及び「送電電力[MW]」のグラフが示されている。また、DCS20により出力されたアラームの頻度を表す「DCSアラーム集計」のグラフが示されている。
【0060】
運転員は、第6領域R6を視認することによって、異常の頻度が高く不具合に発展するリスクが大きい項目を認識することができる。なお、
図4における「アラーム1」、「アラーム2」等は、具体的なセンサの識別情報が表示されるように構成してもよい。例えば、アラーム1として、特定の位置に設けられたAEセンサの識別情報が表示されてもよい。また、アラーム1として、特定のセンサにより検出される項目名が表示されてもよい。例えば、アラーム1として、補給水流量u1を識別する情報が表示されてもよい。
【0061】
DCS20(
図2)は、単一のセンサから取得されるプロセスデータを所定の閾値と比較して、プロセスデータが閾値を超える異常値を示したときに、異常が発生したと判断するように構成されている。
【0062】
なお、運転員は、第5領域R5における表示と、第6領域R6における表示と、を比較することにより、運転効率の異常の原因に関する情報を推測することが可能になる。例えば、第5領域R5に「噴破」と表示されているときに、第6領域R6に、ボイラに設置され噴破に影響を与える所定のセンサが多数回の異常を示していれば、そのセンサ付近で噴破の原因となる異常が発生したと推測することが可能になる。また、第5領域R5に複数回に亘って「SH収熱量」の異常が発生しているときに、第6領域R6に、火炉に設置され運転効率に影響を与える所定のセンサが多数回の異常を示していれば、そのセンサ付近で運転効率の低下原因となる異常が発生したと推測することが可能になる。
【0063】
次に、
図5及び
図6を用いて、表示装置32によって表示される第2画面DP2及び第3画面DP3の例について説明する。
【0064】
第2画面DP2は、第1領域R1、第2領域R2及び第3領域R3を含む。表示装置32は、プラント1全体における管の位置と、これら管に設けられたセンサの位置(
図5では「丸囲み数字1~7」と表記しているが、本明細書では「(1)~(7)」と表記する。)と、を示す画像情報を、第1画面DP1から遷移した第2画面DP2の第1領域R1に表示するように構成されている。本実施形態においては、プラント1の過熱器10を構成する3つの管及びこれら3つの管に各々設けられた3つのAEセンサ((1)、(2)、(3))のプラント1全体における位置と、節炭器12を構成する2つの管及びこれら2つの管に各々設けられた2つのAEセンサ((4)、(5))のプラント1全体における位置と、が第2画面DP2の第1領域R1に表示されている。また、本実施形態においては、プラント1の火炉2に隣接する炉壁管6及び炉壁管6の上部及び下部に各々設けられたAEセンサ((6)、(7))のプラント1全体における位置もまた、第2画面DP2の第1領域R1に表示されている。なお、これら管(過熱器10の管、節炭器12の管、炉壁管6)及びそれに対応するAEセンサ(1)~(7)は一例であり、その他の管及びAEセンサもまた第1領域R1に表示することができる。
【0065】
また、表示装置32は、AEセンサで検出した管の状態を所定の態様で表示するように構成されている。例えば、第1領域R1に表示されたAEセンサ(1)~(7)のうち、特定のAEセンサ(例えば(1))から取得されたプロセスデータ(AE信号(波形)を信号処理し抽出したAEパラメータ)が所定の閾値を超える異常値を示すことにより、対応する管(過熱器10の管)に噴破が発生していると判定された場合には、表示装置32は、特定のAEセンサ((1))の表示を点滅させたり、特定のAEセンサ((1))の表示の色を他のAEセンサ((2)~(7))の表示の色と異ならせたりするように構成されている。
【0066】
また、表示装置32は、管の状態をプロセスデータ(プラント1の運転データ)に基づいて所定のアルゴリズムで判定したときに使用された判定情報を、第2画面DP2の第2領域R2に時系列的に表示するように構成されている。本実施形態においては、AEセンサ((1)~(7))で取得されたプロセスデータ(AE信号(波形)を信号処理し抽出したAEパラメータ)とは異なるプロセスデータを所定のアルゴリズムに従って処理することにより、噴破発生可能性(異常度)を算出するとともに、その算出に用いられたプロセスデータ及びアルゴリズムの信頼性の高さ(信頼度)を算出する。異常度及び信頼度は、判定情報の一例である。そして、表示装置32は、これら異常度及び信頼度の双方を縦軸とし、直近24時間を横軸としたタイムチャートを、第2画面DP2の第2領域R2の上方領域R2aに表示する。
図5に示す第2領域R2の上方領域R2aにおいて、破線が異常度のタイムチャートであり、実線が信頼度のタイムチャートである。運転員は、これら異常度及び信頼度双方のタイムチャートを視認することにより、噴破が発生した可能性のある時間帯を特定することができる。例えば運転員は、
図5に示す例においては、異常度と信頼度の双方が高い値を示す時刻11:00前後において噴破が発生した可能性があると判断することができる。
【0067】
また、表示装置32は、
図5に示すように、異常度及び信頼度と各々相関を有する2種類のパラメータα、β(異常度や信頼度の判定に影響のある特徴量データ)のタイムチャートを第2領域R2の下方領域R2bに表示するように構成されている。パラメータα、βもまた、判定情報の一例である。一点鎖線が異常度と相関を有するパラメータαのタイムチャートであり、二点鎖線が信頼度と相関を有するパラメータβのタイムチャートである。運転員は、第2領域R2の上方領域R2aに表示された異常度及び信頼度のタイムチャートとともに、第2領域R2の下方領域R2bに配置された2種類のパラメータα、βのタイムチャートを視認することにより、噴破発生に関する総合的な判断を行うことができる。
【0068】
また、表示装置32は、AEセンサによる管の状態の検出結果と、AEセンサで取得されたプロセスデータ(AE信号(波形)を信号処理し抽出したAEパラメータ)とは異なるプロセスデータに基づく管の状態の判定結果と、の双方を、第2画面DP2の第3領域R3に同一の形式で表示するように構成されている。本実施形態における表示装置32は、管に噴破が発生しているか否かについての直近24時間におけるAEセンサによる検出結果を、第3領域R3の上方に横長のバーチャートで時系列的に表示している(「AE法」と表示)。また、表示装置32は、管に噴破が発生しているか否かについての直近24時間におけるプロセスデータ及びアルゴリズムに基づいた判定結果を、第3領域R3の下方に横長のバーチャートで時系列的に表示している(「ロジック」と表示)。すなわち、本実施形態においては、AE法による検出結果と、ロジックによる判定結果と、の双方を同一形式のバーチャートで時系列的に表示するようにしている。また、本実施形態においては、第2領域R2に表示した各タイムチャートにおける時間軸と、第3領域R3に表示した各バーチャートにおける時間軸と、を連動させて表示するようにしている。
【0069】
各バーチャートにおいて、「水平線」のハッチングで示した領域は、噴破が発生しているものと判定(検出)されかつ運転員がその事実を既に確認している時間帯を示し、「白抜き」で感嘆符が表示されている領域は、噴破が発生しているものと判定(検出)されかつ運転員がその事実を未だ確認していない時間帯を示している。一方、「右上がり斜線」のハッチングで示した領域は、噴破が発生していないものと判定(検出)されかつ運転員がその事実を未だ確認していない時間帯を示し、「黒塗り」の領域は、噴破が発生していないものと判定(検出)されかつ運転員がその事実を既に確認している時間帯を示す。運転員は、双方のバーチャートを視認し、主に「白抜き」で感嘆符が表示されている領域が重複している時間帯(例えば、時刻14:00前後、時刻8:00前後、等)に噴破が発生している可能性が高いと判断することができる。
【0070】
なお、運転員は、第2画面DP2の第1領域R1の表示により、現時点で噴破が発生している管に対応する特定のAEセンサ(例えば(1))を把握できるようになっており、第2画面DP2の第3領域R3の表示により、噴破発生の時間履歴が把握できるようになっている。よって、運転員は、第1領域R1と第3領域R3との双方を視認することにより、特定のAEセンサ(例えば(1))に対応する管に噴破が発生してからどの程度の時間が経過したかを把握することができる。
【0071】
第2画面DP2の第1領域R1に表示されたAEセンサ((1)~(7))のうち特定のAEセンサ(例えば(1))が選択(クリック)されると、表示装置32は、その特定のセンサ((1))で検出された検出情報を、第2画面DP2から遷移した第3画面DP3(
図6)の第4領域R4に時系列的に表示するように構成されている。本実施形態における表示装置32は、特定のAEセンサ((1))で検出されたプロセスデータ(AE信号(波形)を信号処理し抽出したAEパラメータ)を縦軸とし、直近24時間を横軸としたタイムチャートを、第3画面DP3の第4領域R4に表示する。噴破が発生すると、通常運転と比較して大きなエネルギ(弾性波)が放出されるため、例えば運転員は、第3画面DP3の第4領域R4に表示された時系列グラフを視認し、AEパラメータの最大値が発生した時間帯に噴破が発生したものと判断することができる。
【0072】
以上の実施形態に係るシステム30においては、プラント1全体における管の位置と、管に設けられたAEセンサの位置と、を示す画像情報を第2画面DP2の第1領域R1に表示するとともに、噴破が発生した管に対応するAEセンサ(例えば(1))を所定の態様(例えば点滅や着色)で表示することができる。また、管の状態を所定のアルゴリズムで判定したときに使用された判定情報を第2画面DP2の第2領域R2に時系列的に表示することができる。従って、本システム30の第2画面DP2を視認した運転員は、管及びAEセンサのプラント1全体における位置を把握することができることに加え、異なる方式(AEセンサとアルゴリズムとの双方)で判定又は検出した管の状態を把握することができる。すなわち、運転員は、管を監視する上で必要になる重要情報を、単一の画面(第2画面DP2)を視認するだけで効率良く把握することができるため、総合的な判断を行うことができる。例えば、(i)AEセンサ(第1領域R1)とアルゴリズム(第2領域R2)の双方において噴破の発生が検出・判定された場合には、運転員は、プラント1内における特定の管に噴破が発生した可能性が高いものと判断し、噴破発生を検出したAEセンサを第1領域R1で選択することにより第3画面DP3(
図6)の第4領域R4でそのAEセンサの音圧レベルの時間履歴を確認し、どの時間帯で噴破が発生したかを特定することができる。また、(ii)AEセンサ(第1領域R1)では噴破の発生を検出する一方、アルゴリズム(第2領域R2)では噴破の発生が判定されない場合には、運転員は、プラント1内の何れかの管で噴破が発生した可能性があるものと判断し、噴破発生を検出したAEセンサを第1領域R1で選択することにより第3画面DP3(
図6)の第4領域R4でそのAEセンサの音圧レベルの時間履歴を確認するとともに、第2領域R2における判定情報(異常度及び信頼度)を確認することにより、噴破の確実性を判断することができる。さらに、(iii)AEセンサ(第1領域R1)では噴破の発生が検出されないにも拘わらず、アルゴリズム(第2領域R2)では噴破の発生が判定された場合には、運転員は、プラント1内の何れかの管で噴破が発生した可能性があるものと判断し、第2領域R2における判定情報(異常度及び信頼度に加えて、異常度及び信頼度と各々相関を有する2種類のパラメータα、β)に基づいて噴破の確実性を判断することができる。従って、本システム30は、プラント1の安定操業に貢献することが可能となる。
【0073】
また、以上の実施形態に係るシステム30においては、AEセンサによる管の状態の検出結果と、所定のアルゴリズムに基づく管の状態の判定結果と、の双方を、第2画面DP2の第3領域R3に同一の形式(バーチャート形式)で表示することができる。従って、運転員は、異なる方法による管状態判定(検出)結果を同一の形式で視認して把握することができ、総合的な判断を行うことができる。
【0074】
また、以上の実施形態に係るシステム30においては、第2画面DP2の第1領域R1に表示されたAEセンサのうち選択された特定のセンサ(例えば(1))で検出された検出情報を、第1領域R1等を有する第2画面DP2から遷移した第3画面DP3の第4領域R4に時系列的に表示することができる。従って、第1領域R1等を有する第2画面DP2とは別の第3画面DP3の第4領域R4で検出情報を拡大表示することができ、検出情報の時間履歴等を詳細に把握することができるという利点がある。
【0075】
本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。たとえば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、一部の構成要素を他の構成要素と置換することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 プラント
30 システム
31 制御装置
32 表示装置(装置)
DP2 第2画面(画面)
DP3 第3画面(別の画面)
R1 第1領域
R2 第2領域
R3 第3領域
R4 第4領域