(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】車載レーダー装置用レドームの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20240115BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240115BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20240115BHJP
H01Q 1/42 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
G01S7/03 246
G01S13/931
B60R13/04 Z
H01Q1/42
(21)【出願番号】P 2019164053
(22)【出願日】2019-09-09
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000175766
【氏名又は名称】三恵技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】古林 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山本 真平
(72)【発明者】
【氏名】池増 竜帆
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-44869(JP,A)
【文献】特開2017-215242(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014214329(DE,A1)
【文献】特開2018-66706(JP,A)
【文献】特開2015-99081(JP,A)
【文献】特許第7261648(JP,B2)
【文献】国際公開第2019/065165(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-7/42
G01S 13/00-13/95
B60R 13/04
H01Q 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明で電磁波透過性の前基材と、加飾層と、ヒーター層が表面側から順に密接して設けられる車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、
絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着した平面状のフィルム体を形成する工程と、
前記平面状のフィルム体を圧空成形で前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させてヒーター層を形成する工程を備えると共に、
前記前基材の背面側に前記加飾層を形成する工程を行った後、前記加飾層の背面に、
前記絶縁フィルムと前記絶縁フィルムの背面側に固着されたヒーターエレメントから構成され
、表面側に部分突出し且つ前記加飾層の背面側の凹部に倣う形状で所定箇所に予め突出部が前記圧空成形で形成されている前記ヒーター層を配置
し、前記突出部を前記加飾層の背面側の凹部に係合して、前記ヒーター層を前記加飾層に固着するヒーター層固着工程を備えることを特徴とする車載レーダー装置用レドームの製造方法。
【請求項2】
前記ヒーターエレメントを背面側から覆うようにして保護膜を形成し、
前記保護膜で覆われた前記ヒーターエレメントを有する前記ヒーター層を前記前基材の背面側に配置して固着することを特徴とする請求項1記載の車載レーダー装置用レドームの製造方法。
【請求項3】
透明で電磁波透過性の前基材と、加飾層と、ヒーター層が表面側から順に密接して設けられる車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、
絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着し且つ前記絶縁フィルムの前面側に加飾層を固着した平面状のフィルム体を形成する工程と、
前記平面状のフィルム体を圧空成形で前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させて前記加飾層が併設された前記ヒーター層を形成する工程を備えると共に、
前記前基材の背面に、絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの背面側に固着されたヒーターエレメントと、前記絶縁フィルムの前面側に固着された前記加飾層とから構成され
、表面側に部分突出し且つ前記前基材の背面側の凹部に倣う形状で所定箇所に予め突出部が前記圧空成形で形成されている前記ヒーター層を配置し
、前記突出部を前記前基材の背面側の凹部に係合して、前記ヒーター層を前記前基材に固着するヒーター層固着工程を備えることを特徴とする車載レーダー装置用レドームの製造方法。
【請求項4】
透明で電磁波透過性の前基材と、加飾性のヒーター層が表面側から順に密接して設けられる車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、
加飾性絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着した平面状のフィルム体を形成する工程と、
前記平面状のフィルム体を圧空成形で前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させて加飾性の前記ヒーター層を形成する工程を備えると共に、
前記前基材の背面に、加飾性絶縁フィルムと前記加飾性絶縁フィルムの背面側に固着されたヒーターエレメントから構成され
、表面側に部分突出し且つ前記前基材の背面側の凹部に倣う形状で所定箇所に予め突出部が前記圧空成形で形成されている前記ヒーター層を配置し
、前記突出部を前記前基材の背面側の凹部に係合して、前記ヒーター層を前記前基材に固着するヒーター層固着工程を備えることを特徴とする車載レーダー装置用レドームの製造方法。
【請求項5】
前記ヒーター層が固着された前記前基材を金型内に配置し、前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うようにして、前記ヒーター層の背面側に電磁波透過性の後基材を射出成形で形成する後基材形成工程を備えることを特徴とする請求項
1~4の何れかに記載の車載レーダー装置用レドームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載レーダー装置の前側に設けられる車載レーダー装置用レドームに係り、特に融雪機能を有する車載レーダー装置用レドームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載レーダー装置用レドームとして、必要な電磁波の透過性の確保を図りつつ、融雪機能を発揮するレドームが知られている。このようなレドームとして、加飾層の後側にヒーター層を設け、加飾層の良好な視認性を確保できる特許文献1のレドームがある。特許文献1のレドームは、透明基板と、透明基板の後側に配置される第1基材及び第2基材を有し、透明基板と第1基材の間に加飾層が形成され、第1基材と第2基材がヒーター層を前後から挟み込んで密封するようにして相互に接合されるものであり、表面側から順に透明基板、加飾層、第1基材、ヒーター層、第2基材が設けられる構造になっている。
【0003】
また、特許文献1には、従来例のレドームとして、表面側から順に透明基板、加飾層、空隙部、ヒーター層、基材が設けられる構造も開示されている。この従来例のレドームは、透明基板及び基材の比誘電率と大きく異なる空隙部内の空気の比誘電率により、電磁波透過性能が低下することが指摘されている(特許文献1の段落[0004]、[0010]、
図10(b)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のレドームは、上記従来例のレドームの空隙部に相当する部位に第2基材と同一樹脂材料の第1基材を配置する構造により、電磁波透過性能の低下を抑制することが可能である。しかしながら、特許文献1のレドームは、透明基板の表面とヒーター層との間に透明基板、加飾層、第1基材が配置される構造のため、ヒーター層から雪が付着する透明基板の表面までの距離が長くなり、熱伝導効率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであり、エンブレムの意匠部等を構成する加飾部分の良好な視認性の確保、電磁波透過性の向上を図ることができると共に、高い熱伝導効率でレドームの外表面に付着した雪を確実に融雪することができる車載レーダー装置用レドームの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、透明で電磁波透過性の前基材と、加飾層と、ヒーター層が表面側から順に密接して設けられる車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、前記前基材の背面側に、絶縁フィルムと前記絶縁フィルムの背面側に固着されたヒーターエレメントから構成される前記ヒーター層を配置して固着するヒーター層固着工程を備えることを特徴とする。
これによれば、ヒーター層の表面側に加飾層が設けられるレドームを得ることにより、透明な前基材を介して、エンブレムの意匠部等を構成する加飾層の良好な視認性を確保することができる。また、加飾層とヒーター層との間に空隙部や基材が設けられずに、加飾層とヒーター層が密接して設けられるレドームになるため、電磁波透過性を向上することができる。また、透明な前基材の表面とヒーター層との間に、別の基材が設けられずに、前基材と加飾層が設けられるレドームとなることから、ヒーター層から前基材の表面への熱伝導効率を高めることができ、レドームの外表面に付着した雪や氷を確実に融雪することができる。また、前基材の表面とヒーター層との間に前基材が設置されたレドームとなることから、前基材の厚みや広がりでヒーター層の加熱を熱拡散して、前基材の表面全体に亘って均一性の高い融雪を行うことができる。また、加飾層とヒーター層との間に基材を設けないことから、この間の基材の成形工程を無くすことができ、より高い製造効率で製造することができる。また、レドームの絶縁フィルムによる絶縁性担保により、加飾層の構成に拘わらず、ヒーターエレメントへの通電で加飾層に導通が発生することを防止でき、加飾層の導通で電磁波透過性が低下することを確実に防止できる。また、絶縁フィルムにヒーターエレメントを固着することにより、ヒーターエレメントの位置ズレを防止できると共に、絶縁フィルムでヒーターエレメントを保護することもできる。また、絶縁フィルムはヒーターエレメントを固着する下地として機能し、ヒーターエレメントの加飾層への固着強度を高めることができる。また、中間品のヒーター層は、絶縁フィルムを基にしてヒーターエレメントを形成して得ることができることから、多様な製造手段を用いて形成することが可能となり、適用可能な製造手段の多様化を図ることができる。
【0008】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、前記ヒーターエレメントを背面側から覆うようにして保護膜を形成し、前記保護膜で覆われた前記ヒーターエレメントを有する前記ヒーター層を前記前基材の背面側に配置して固着することを特徴とする。
これによれば、ヒーターエレメントの前面側を絶縁フィルムで保護すると同時に、その背面側を保護膜で保護することができる。従って、例えばヒーター層の背面側に電磁波透過性の後基材を射出成形で形成する場合等に、ヒーターエレメントが損傷することを防止することができる。
【0009】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、前記ヒーター層が固着された前記前基材を金型内に配置し、前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うようにして、前記ヒーター層の背面側に電磁波透過性の後基材を射出成形で形成する後基材形成工程を備えることを特徴とする。
これによれば、前基材の背面側の凹凸形状に略倣うようにして後基材を射出成形で形成することにより、前基材、加飾層、ヒーター層の凹凸と後基材の凹凸が係合固着した高い固着強度の後基材を背面側に設けることができる。
【0010】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、前記前基材の背面側に前記加飾層を形成する工程を行った後、前記加飾層の背面に前記ヒーター層を固着する前記ヒーター層固着工程を行うことを特徴とする。また、本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、透明で電磁波透過性の前基材と、加飾層と、ヒーター層が表面側から順に密接して設けられる車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着した平面状のフィルム体を形成する工程と、前記平面状のフィルム体を圧空成形で前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させてヒーター層を形成する工程を備えると共に、前記前基材の背面側に前記加飾層を形成する工程を行った後、前記加飾層の背面に、前記絶縁フィルムと前記絶縁フィルムの背面側に固着されたヒーターエレメントから構成され、表面側に部分突出し且つ前記加飾層の背面側の凹部に倣う形状で所定箇所に予め突出部が前記圧空成形で形成されている前記ヒーター層を配置し、前記突出部を前記加飾層の背面側の凹部に係合して、前記ヒーター層を前記加飾層に固着するヒーター層固着工程を備えることを特徴とする。
これによれば、絶縁フィルムとその背面側に固着されたヒーターエレメントから構成されるヒーター層を用い、前基材の背面側に形成された加飾層の背面にヒーター層を固着することにより、前基材や加飾層と容易に位置合わせしてヒーター層の絶縁フィルムとヒーターエレメントを設けることができ、製造作業を容易化することができる。また、絶縁フィルムはヒーターエレメントを固着する下地として機能し、前基材の背面側に形成された加飾層へのヒーターエレメントの固着強度を高めることができる。また、前基材の背面側に加飾層を形成することにより、前基材に対する加飾層の形成位置の精度を高めることができる。
【0011】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着した平面状のフィルム体を形成する工程と、前記平面状のフィルム体を圧空成形で前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させて前記ヒーター層を形成する工程を備えることを特徴とする。
これによれば、絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着して変形するだけでヒーター層を形成することができ、ヒーター層の製造工程を容易化、効率化することができる。また、平面状のフィルム体を圧空成形で前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させてヒーター層を形成することにより、前基材の背面側の凹凸により正確に倣った形状のヒーター層を形成することができると共に、多様な前基材の背面側の凹凸形状に適応した形状のヒーター層を形成することができる。
【0012】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、前記前基材の背面に、前記絶縁フィルムの前面側に前記加飾層が固着された前記ヒーター層を配置して固着する前記ヒーター層固着工程を行うことを特徴とする。また、本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、透明で電磁波透過性の前基材と、加飾層と、ヒーター層が表面側から順に密接して設けられる車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着し且つ前記絶縁フィルムの前面側に加飾層を固着した平面状のフィルム体を形成する工程と、前記平面状のフィルム体を圧空成形で前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させて前記加飾層が併設された前記ヒーター層を形成する工程を備えると共に、前記前基材の背面に、絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの背面側に固着されたヒーターエレメントと、前記絶縁フィルムの前面側に固着された前記加飾層とから構成され、表面側に部分突出し且つ前記前基材の背面側の凹部に倣う形状で所定箇所に予め突出部が前記圧空成形で形成されている前記ヒーター層を配置し、前記突出部を前記前基材の背面側の凹部に係合して、前記ヒーター層を前記前基材に固着するヒーター層固着工程を備えることを特徴とする。
これによれば、前基材の背面側への加飾層を形成する工程を行わずに、加飾層を有するレドームを得ることができる。また、加飾層とヒーターエレメントが予め位置合わせして形成されたヒーター層を前基材の背面に固着してレドームを製造することができ、製造作業を容易化することができる。また、絶縁フィルムはヒーターエレメントを固着する下地として機能し、ヒーターエレメントの加飾層への固着強度を高めることができる。
【0013】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着し且つ前記絶縁フィルムの前面側に加飾層を固着した平面状のフィルム体を形成する工程と、前記平面状のフィルム体を圧空成形で前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させて前記加飾層が併設された前記ヒーター層を形成する工程を備えることを特徴とする。
これによれば、絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着し且つ絶縁フィルムの前面側に加飾層を固着して変形するだけでヒーター層、加飾層を形成することができ、ヒーター層、加飾層の製造工程を容易化、効率化することができる。また、平面状のフィルム体を圧空成形で前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させて加飾層が併設されたヒーター層を形成することにより、前基材の背面側の凹凸により正確に倣った形状の加飾層が併設されたヒーター層を形成することができると共に、多様な前基材の背面側の凹凸形状に適応した形状の加飾層が併設されたヒーター層を形成することができる。また、平面状のフィルム体を形成する工程において、ヒーターエレメントと加飾層を同一の印刷工程等で形成することが可能であり、工程間の移動作業を減らすことができると共に、工程間の移動で発生し易い外観不良の原因となる異物混入を抑制することができる。
【0014】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、透明で電磁波透過性の前基材と、加飾性のヒーター層が表面側から順に密接して設けられる車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、前記前基材の背面側に、加飾性絶縁フィルムと前記加飾性絶縁フィルムの背面側に固着されたヒーターエレメントから構成される前記ヒーター層を配置して固着するヒーター層固着工程を備えることを特徴とする。
また、本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、透明で電磁波透過性の前基材と、加飾性のヒーター層が表面側から順に密接して設けられる車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、加飾性絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着した平面状のフィルム体を形成する工程と、前記平面状のフィルム体を圧空成形で前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させて加飾性の前記ヒーター層を形成する工程を備えると共に、前記前基材の背面に、加飾性絶縁フィルムと前記加飾性絶縁フィルムの背面側に固着されたヒーターエレメントから構成され、表面側に部分突出し且つ前記前基材の背面側の凹部に倣う形状で所定箇所に予め突出部が前記圧空成形で形成されている前記ヒーター層を配置し、前記突出部を前記前基材の背面側の凹部に係合して、前記ヒーター層を前記前基材に固着するヒーター層固着工程を備えることを特徴とする。
これによれば、ヒーターエレメントの表面側に加飾性絶縁フィルムを有するレドームを得ることにより、透明な前基材を介して、エンブレムの意匠部等を構成する加飾部分の良好な視認性を確保することができる。また、加飾性絶縁フィルムとヒーターエレメントとの間に空隙部や基材が設けられずに、加飾部分とヒーターエレメントが一体化したヒーター層を有するレドームになるため、電磁波透過性を向上することができる。また、透明な前基材の表面とヒーター層との間に、別の基材が設けられないレドームとなることから、ヒーター層から前基材の表面への熱伝導効率を高めることができ、レドームの外表面に付着した雪や氷を確実に融雪することができる。また、前基材の表面とヒーター層との間に前基材が設置されたレドームとなることから、前基材の厚みや広がりでヒーター層の加熱を熱拡散して、前基材の表面全体に亘って均一性の高い融雪を行うことができる。また、加飾部分とヒーター層との間に基材を設けないことから、この間の基材の成形工程を無くすことができ、より高い製造効率で製造することができる。また、加飾性絶縁フィルムにヒーターエレメントを固着することにより、ヒーターエレメントの位置ズレを防止できると共に、加飾性絶縁フィルムでヒーターエレメントを保護することもできる。また、加飾性絶縁フィルムはヒーターエレメントを固着する下地として機能し、ヒーターエレメントの前基材への固着強度を高めることができる。また、中間品の加飾性のヒーター層は、加飾性の絶縁フィルムを基にしてヒーターエレメントを形成して得ることができることから、多様な製造手段を用いて形成することが可能となり、適用可能な製造手段の多様化を図ることができる。また、加飾性絶縁フィルムを用いて加飾部分を構成することにより、別途に加飾層を形成する工程を無くして製造工程を効率化することができる。
【0015】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、前記ヒーターエレメントを背面側から覆うようにして保護膜を形成し、前記保護膜で覆われた前記ヒーターエレメントを有する前記ヒーター層を前記前基材の背面側に配置して固着することを特徴とする。
これによれば、ヒーターエレメントの前面側を加飾性絶縁フィルムで保護すると同時に、その背面側を保護膜で保護することができる。従って、例えばヒーター層の背面側に電磁波透過性の後基材を射出成形で形成する場合等に、ヒーターエレメントが損傷することを防止することができる。
【0016】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、前記ヒーター層が固着された前記前基材を金型内に配置し、前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うようにして、前記ヒーター層の背面側に電磁波透過性の後基材を射出成形で形成する後基材形成工程を備えることを特徴とする。
これによれば、前基材の背面側の凹凸形状に略倣うようにして後基材を射出成形で形成することにより、前基材、加飾性のヒーター層の凹凸と後基材の凹凸が係合固着した高い固着強度の後基材を背面側に設けることができる。
【0017】
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、加飾性絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着した平面状のフィルム体を形成する工程と、前記平面状のフィルム体を圧空成形で前記前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させて加飾性の前記ヒーター層を形成する工程を備えることを特徴とする。
これによれば、加飾性絶縁フィルムの背面側にヒーターエレメントを固着した平面状のフィルム体を変形するだけで加飾性のヒーター層を形成することができ、加飾性のヒーター層の製造工程を容易化、効率化することができる。また、平面状のフィルム体を圧空成形で前基材の背面側の凹凸形状に略倣うように変形させて加飾性のヒーター層を形成することにより、前基材の背面側の凹凸により正確に倣った形状の加飾性のヒーター層を形成することができると共に、多様な前基材の背面側の凹凸形状に適応した形状の加飾性のヒーター層を形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エンブレムの意匠部等を構成する加飾部分の良好な視認性の確保、電磁波透過性の向上を図ることができると共に、高い熱伝導効率でレドームの外表面に付着した雪を確実に融雪することができる車載レーダー装置用レドームを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による第1実施形態の車載レーダー装置用レドームの正面図。
【
図5】(a)~(d)は第1実施形態の車載レーダー装置用レドームを製造する第1例の製造工程を説明する工程説明図。
【
図6】(a)、(b)は第1例の製造工程で用いるヒーター層の製造工程を説明する工程説明図。
【
図7】(a)~(c)は第1実施形態の車載レーダー装置用レドームを製造する第2例の製造工程を説明する工程説明図。
【
図8】(a)~(c)は第2例の製造工程で用いるヒーター層の製造工程を説明する工程説明図。
【
図9】本発明による第2実施形態の車載レーダー装置用レドームの部分拡大断面図。
【
図10】(a)~(c)は第2実施形態の車載レーダー装置用レドームを製造する製造工程を説明する工程説明図。
【
図11】(a)、(b)は第2実施形態の車載レーダー装置用レドームの製造工程で用いる加飾性のヒーター層の製造工程を説明する工程説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態の車載レーダー装置用レドームの製造方法〕
本発明による第1実施形態の車載レーダー装置用レドーム1では、
図1~
図4に示すように、透明で電磁波透過性の前基材2と、加飾層3と、ヒーター層4と、電磁波透過性の後基材5が表面側から順に密接するように固着して設けられている。図示例の前基材2は正面視で楕円形であり、この透明の前基材2を介して、表面側から意匠部を構成するマーク記号部10を視認可能になっている。
図1中のRは電磁波透過領域である。尚、前基材2やレドーム1の形状は楕円形以外にも適用可能な範囲で任意であり、例えば、正方形、長方形、台形、真円形、三角形といった形状でもよい.
【0021】
透明な前基材2と、後基材5は絶縁性で電磁波透過性を有する。前基材2と、後基材5には、例えば同一材料で形成する等、複素誘電率に基づき定義される屈折率nが相互に整合する、又は、屈折率nが略同一或いは近接するものを用いると電磁波の透過性能向上の観点から好適である。前基材2と後基材5の近接する屈折率nの数値範囲としては、前基材2と後基材5の屈折率の相違が0~10%の範囲内とすると良好である。
【0022】
ここでの屈折率nは比誘電率実数部εr'と比誘電率虚数部εr"から数式1として定義される量である。 透過性の観点から適用周波数における虚数部と実数部の比から数式2として定義される誘電正接(ロスタンジェント)tanδの大きさは0.1以下とすると好適である。また比誘電率実部の大きさは3以下とすると好適である。誘電正接と非誘電率実部の大きさをこれらの数値以下とすることにより、レドームに必要とされる反射率と内部損失の低減を確実にすることが可能となる。
【0023】
【0024】
【0025】
前基材2と、後基材5は、合成樹脂、ガラス、セラミックス等の本発明の趣旨の範囲内で適宜の材料を用いることが可能であるが、好適には絶縁性の合成樹脂とするとよい。透明の前基材2は、良好な視認性を確保するため可視光線透過率50%以上の無色材料又は有色材料とすることが好ましい。
【0026】
前基材2を絶縁性の透明合成樹脂とする場合の材料は、適用可能な範囲で適宜であり、例えばポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、ポリスチレン(PS)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、又、添加剤を含有させてもよい。
【0027】
後基材5を絶縁性の合成樹脂とする場合の材料は、適用可能な範囲で適宜であり、例えばアクリロニトリル-エチレンプロピルラバー-スチレン共重合体(AES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート共重合(ASA)等の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、又、添加剤を含有させてもよい。
【0028】
前基材2の背面21には、加飾層3が密着して設けられている。本実施形態の加飾層3は、電磁波透過性金属部31と有色部32とから構成されているが、加飾層3の構成は、本発明の趣旨の範囲内で適宜である。例えば電磁波透過性金属部31と有色部32で構成される加飾層3以外にも、例えば電磁波透過性金属部だけで構成される加飾層、或いは有色部だけで構成される加飾層、或いは合成樹脂に設けられた電磁波透過性の不連続金属層で金属光沢を示す電磁波透過性で加飾性の絶縁フィルム、積層合成樹脂で可視光を干渉反射して金属光沢を示す電磁波透過性で加飾性の絶縁フィルムなど電磁波透過性で加飾性の絶縁フィルムで構成される加飾層、或いはこれらを適宜組み合わせて構成される加飾層等とすることが可能である。
【0029】
加飾層3の電磁波透過性金属部31は、電磁波透過性で金属光沢を有する不連続金属層で構成され、光輝性で一体的な視認性を有し、例えば前基材2の背面21に無電解めっき、蒸着又はスパッタ等で形成される。電磁波透過性金属部31を光輝性で一体的な視認性を有する不連続金属層とする場合、例えばニッケル若しくはニッケル合金、クロム若しくはクロム合金、コバルト若しくはコバルト合金、錫若しくは錫合金、銅若しくは銅合金、銀若しくは銀合金、パラジウム若しくはパラジウム合金、白金若しくは白金合金、ロジウム若しくはロジウム合金、金若しくは金合金等から構成することが可能である。
【0030】
尚、電磁波透過性金属部31は、電磁波透過性で金属光沢と一体的な視認性を有する不連続金属層以外にも、本発明の趣旨の範囲内で適宜の電磁波透過性金属部とすることが可能であり、例えば蒸着又はスパッタ等で形成されたシリコンやゲルマニウム等の半導体層、或いはこの半導体と可視光反射率が50%以上の金属(例えば金、銀、銅、アルミニウム、白金、パラジウム、鉄、ニッケル、クロム)等の光輝金属との合金層等とすることが可能である。また、前基材2の背面21と電磁波透過性金属部31との間には、例えば無電解めっき層を形成しやすくする改質表面を形成するための下地層など、必要に応じて透明下地層等の下地層を設けることも可能である。
【0031】
有色部32は、電磁波透過性を有し、例えば印刷、又は塗装マスクを用いた塗装等で前基材2の背面21に形成されている。本実施形態の加飾層3では、有色部32が電磁波透過性金属部31の表面側の一部に積層されるようにして前基材2の背面21に密着して設けられており、前基材2の背面21が露出している領域と、有色部32が設けられている領域の全体に亘って電磁波透過性金属部31が層状に形成され、前基材2の露出した背面21と有色部32に密着して設けられている。
【0032】
そして、前基材2の背面21には、マーク記号部10に対応する位置に凹部211が形成されており、加飾層3は、凹部211に倣うように断面視で表面側に部分突出して曲がって形成されている。図示例では、加飾層3の電磁波透過性金属部31が凹部211に倣うように部分突出して形成され、凹部211には有色部32は設けられず、電磁波透過性金属部31だけが入り込んで設けられている。また、図示例の有色部32は、前基材2の凹部211以外の背面21に沿うように密着して設けられている。
【0033】
加飾層3の背面33側には、凹部211に対応する位置に凹部34が設けられており、ヒーター層4は、凹部34に倣うように断面視で表面側に部分突出して曲がって形成され、その突出部44が凹部34に係合されるようにして配置されている。ヒーター層4は、ヒーターエレメント41を有し、絶縁フィルム42と、絶縁フィルム42の背面側に固着されたヒーターエレメント41と、ヒーターエレメント41を背面側から覆うようにして形成された保護膜43から構成される。
【0034】
ヒーターエレメント41は、例えばニクロム線、鉄クロム、銅、銀、カーボン繊維、ITO膜のような透明導電膜等の適用可能な適宜の導電性材料とすることが可能である。尚、例えばヒーターエレメント41を40℃~50℃まで昇温した場合、加飾層3の耐熱温度は例えば100℃程度、PC等の前基材2の耐熱温度は例えば80℃程度、AES等の後基材5の耐熱温度は例えば80℃程度であることから、車載レーダー装置用レドーム1はヒーターエレメント41の昇温に対して良好な耐熱性のある構造になっている。
【0035】
絶縁フィルム42、保護膜43は、適用可能な適宜の電磁波透過性を有する絶縁性素材とすることが可能であり、例えばポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP、OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリル(AC)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の絶縁性合成樹脂で形成すると好適である。また、絶縁フィルム42の厚さは、前基材2への熱伝導性を高め、ヒーターエレメント41を保護する観点から0.05~1.0mmとすると好適である。
【0036】
絶縁フィルム42、保護膜43には、前基材2及び後基材5と、複素誘電率に基づき定義される屈折率nが相互に整合する、又は、屈折率nが略同一或いは近接するものを用いると電磁波の透過性能向上の観点から好適である。前基材2及び後基材5と絶縁フィルム42の近接する屈折率n、保護膜43の近接する屈折率nの数値範囲としては、前基材2及び後基材5の屈折率と絶縁フィルム42の屈性率、保護膜43の屈折率との相違が0~10%の範囲内となるようにすると良好である。尚、これらの屈折率nも比誘電率実数部εr'と比誘電率虚数部εr"から数式1として定義される量である。また、絶縁フィルム42、保護膜43においても、透過性の観点から適用周波数における虚数部と実数部の比から数式2として定義される誘電正接(ロスタンジェント)tanδの大きさを0.1以下とすることが好ましい。
【0037】
ヒーター層4のヒーターエレメント41は、その両端がコネクタ6に電気的に接続され且つ機械的に固定されており、コネクタ6を介してヒーターエレメント41に電力が供給され、ヒーターエレメント41が発熱するようになっている。図示例のコネクタ6から延びるヒーターエレメント41は、前基材2の背面21の面方向に蛇行して折り返すように配線されて一連で延びて形成され、ヒーター層4で隣り合って配線されているヒーターエレメント41・41に流れる電流の方向が互いに略反平行或いは反平行となるように設定されており、隣り合うヒーターエレメント41・41から放射される電磁波を逆位相とし、ヒーターエレメント41からの電磁放射を打ち消して、より優れた電磁波透過性能を得ることができるようになっている。
【0038】
そして、車載レーダー装置用レドーム1では、加飾層3の凹部34に対応する位置に設けられるヒーター層4の背面側の凹部45に、換言すれば突出部44の裏面側に、凸部51を係合するようにして、ヒーター層4の背面側に電磁波透過性の後基材5が設けられている。この車載レーダー装置用レドーム1は、例えば車載レーダー装置100の前方に配置されて車両に取り付けられる。尚、図示例の車載レーダー装置用レドーム1はエンブレム形状のレドームとしたが、本発明の車載レーダー装置用レドームは、バンパー等の適宜の車両実装部品で構成することが可能である。
【0039】
第1実施形態の車載レーダー装置用レドーム1を製造する際には、例えば
図5に示す第1例では、電磁波透過性の前基材2の背面21の凹部211に倣うようにして表面側に部分突出する加飾層3を形成する。加飾層3の形成工程では、例えば有色部32を、印刷、又は塗装マスクを用いた塗装等により、前基材2の背面21の所定領域に形成した後、無電解めっき、蒸着又はスパッタ等により、前基材2の背面21の凹部211内を含む全体に亘って電磁波透過性金属部31を形成する(
図5(a)参照)。
【0040】
次いで、絶縁フィルム42と、絶縁フィルム42の背面側に固着されたヒーターエレメント41と、ヒーターエレメント41を背面側から覆うようにして形成された保護膜43とから構成され、所定箇所に突出部44が予め形成されている3次元形状の凹凸を有するシート状のヒーター層4を用いる。そして、凹部211に対応する位置に設けられている加飾層3の背面側の凹部34に、表面側に部分突出し且つ凹部34に倣う形状で形成されている突出部44を係合して、保護膜43で覆われたヒーターエレメント41を有するヒーター層4を加飾層3に固着し、ヒーター層4を前基材2の背面21側に配置して固着する(
図5(b)、(c)参照)。このヒーター層4の加飾層3への固着は、例えば熱溶着又は接着剤による接着で行うと良好である。
【0041】
固着に用いた絶縁フィルム42、ヒーターエレメント41、保護膜43とから構成されるヒーター層4を形成する際には、例えば平面状の絶縁フィルム42aの背面側にヒーターエレメント41aを固着した平面状のフィルム体7aを形成し、フィルム体7aのヒーターエレメント41aを絶縁フィルム42aと逆側から覆うようにして保護膜43aを形成する(
図6(a)参照)。絶縁フィルム42aへのヒーターエレメント41aの固着は、例えば印刷、蒸着、スパッタ、めっき、エッチング、MID、ワイヤーボンディング、インクジェット、又はディスペンサー等を用い、ヒーターエレメント41aを絶縁フィルム42aの背面側に形成或いは描画して行う。保護膜43aは、例えばスクリーン印刷、パッド印刷などによる印刷や、スプレー塗装等による塗装などによる塗膜方法により、ヒーターエレメント41aを覆うように形成する。また、保護膜43aを、例えばポリエステル系塗料など接着機能を有する塗料で形成し、後述する射出成形時に後基材5との固着強度を強化するようにしてもよい。
【0042】
この平面状のフィルム体7aを圧空成形で前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣うように変形させてヒーター層4を形成し(
図6(b)参照)、このように形成したヒーター層4を前基材2の背面21側に配置して固着する。
【0043】
その後、加飾層3が形成され且つ保護膜43で覆われたヒーターエレメント41を有するヒーター層4が設けられた前基材2を金型内に配置し、加飾層3の凹部34に対応する位置に設けられているヒーター層4の背面側の凹部45に凸部51が係合されるようにして、換言すれば前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣うようにして、ヒーター層4の背面側に電磁波透過性の後基材5を射出成形で形成して熱溶着し、車載レーダー装置用レドーム1を得る(
図5(d)参照)。また、この工程に代えて、保護膜43a及びその圧空成型後の保護膜43を例えばポリエステル系塗料など接着機能を有する塗料で形成し、加飾層3が形成され且つ保護膜43で覆われたヒーターエレメント41を有するヒーター層4が設けられた前基材2における接着機能を有する保護膜43に、前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣う形状の後基材5を接着して設け、車載レーダー装置用レドーム1を得るようにしても良好である。
【0044】
また、第1実施形態の車載レーダー装置用レドーム1の製造工程の別例(第2例)として、前基材2の背面21に、絶縁フィルム42の前面側に加飾層3が固着されたヒーター層4を配置して固着する工程を用いても良好である。例えば
図7(a)に示すように、絶縁フィルム42と、絶縁フィルム42の背面側に固着されたヒーターエレメント41と、ヒーターエレメント41を背面側から覆うようにして形成された保護膜43と、絶縁フィルム42の前面側に固着された電磁波透過性金属部31と、電磁波透過性金属部31の所定領域の外側に固着された有色部32とから構成され、所定箇所に突出部44が予め形成されている3次元形状の凹凸を有するシート状のヒーター層4を用いる。
【0045】
そして、凹部211に、表面側に部分突出し且つ凹部211に倣う形状で形成されている突出部44及びその外層の電磁波透過性金属部31を係合して、保護膜43で覆われたヒーターエレメント41を有し且つ絶縁フィルム42の前面側に加飾層3が固着されたヒーター層4を前基材2の背面21に固着し、ヒーター層4を前基材2の背面21側に配置して固着する(
図7(b)参照)。このヒーター層4、或いは加飾層3の前基材2の背面21への固着は、例えば熱溶着又は接着剤による接着で行うと良好である。
【0046】
固着に用いた絶縁フィルム42、ヒーターエレメント41、保護膜43に、電磁波透過性金属部31、有色部32が併設されたヒーター層4を形成する際には、例えば
図6(a)の製造工程と同様の製造工程により、平面状の絶縁フィルム42bの背面側にヒーターエレメント41bを固着した平面状のフィルム体7bを形成し、フィルム体7bのヒーターエレメント41bを絶縁フィルム42bと逆側から覆うようにして保護膜43bを形成する(
図8(a)参照)。また、保護膜43bも、例えばポリエステル系塗料など接着機能を有する塗料で形成し、後述する射出成形時に後基材5との固着強度を強化するようにしてもよい。
【0047】
更に、このフィルム体7bの前面側に、蒸着又はスパッタ等で電磁波透過性金属部31bを形成し、印刷又は塗装マスクを用いた塗装等で電磁波透過性金属部31bの所定領域の外側に有色部32bを形成し、絶縁フィルム42bの前面側に加飾層3bを固着した平面状のフィルム体7bを得る(
図8(b)参照)。尚、絶縁フィルム42bに、先に電磁波透過性金属部31b、有色部32bを形成した後に、ヒーターエレメント41b、保護膜43bを形成する工程とすることも可能である。そして、この平面状のフィルム体7bを圧空成形で前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣うように変形させて加飾層3が併設されたヒーター層4を形成し(
図8(c)参照)、このように形成したヒーター層4を前基材2の背面21側に配置して固着する。
【0048】
その後、加飾層3と保護膜43で覆われたヒーターエレメント41を有するヒーター層4が設けられた前基材2を金型内に配置し、ヒーター層4の背面側の凹部45に凸部51が係合されるようにして、換言すれば前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣うようにして、ヒーター層4の背面側に電磁波透過性の後基材5を射出成形で形成して熱溶着し、車載レーダー装置用レドーム1を得る(
図7(c)参照)。また、この工程に代えて、保護膜43a及びその圧空成型後の保護膜43を例えばポリエステル系塗料など接着機能を有する塗料で形成し、加飾層3が形成され且つ保護膜43で覆われたヒーターエレメント41を有するヒーター層4が設けられた前基材2における接着機能を有する保護膜43に、前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣う形状の後基材5を接着して設け、車載レーダー装置用レドーム1を得るようにしても良好である。
【0049】
第1実施形態によれば、ヒーター層4の表面側に加飾層3が設けられるレドーム1を得ることにより、透明な前基材2を介して、エンブレムの意匠部等を構成する加飾層3の良好な視認性を確保することができる。また、加飾層3とヒーター層4との間に空隙部や基材が設けられずに、加飾層3とヒーター層4が密接して設けられるレドーム1になるため、電磁波透過性を向上することができる。また、透明な前基材2の表面22とヒーター層4との間に、別の基材が設けられずに、前基材2と加飾層3が設けられるレドームとなることから、ヒーター層4から前基材2の表面22への熱伝導効率を高めることができ、レドーム1の外表面に付着した雪や氷を確実に融雪することができる。また、前基材2の表面22とヒーター層4との間に前基材2が設置されたレドームとなることから、前基材2の厚みや広がりでヒーター層4の加熱を熱拡散して、前基材2の表面22全体に亘って均一性の高い融雪を行うことができる。また、加飾層3とヒーター層4との間に基材を設けないことから、この間の基材の成形工程を無くすことができ、より高い製造効率で製造することができる。
【0050】
また、レドーム1の絶縁フィルム42による絶縁性担保により、加飾層3の構成に拘わらず、ヒーターエレメント41への通電で加飾層3に導通が発生することを防止でき、加飾層3の導通で電磁波透過性が低下することを確実に防止できる。また、絶縁フィルム42にヒーターエレメント41を固着することにより、ヒーターエレメント41の位置ズレを防止できると共に、絶縁フィルム42でヒーターエレメント41を保護することもできる。また、絶縁フィルム42はヒーターエレメント41を固着する下地として機能し、ヒーターエレメント41の加飾層3への固着強度を高めることができる。また、中間品のヒーター層4は、絶縁フィルム42を基にしてヒーターエレメント41を形成して得ることができることから、多様な製造手段を用いて形成することが可能となり、適用可能な製造手段の多様化を図ることができる。
【0051】
また、ヒーターエレメント41を背面側から覆う保護膜43により、ヒーターエレメント41の前面側を絶縁フィルム42で保護すると同時に、その背面側を保護膜43で保護することができる。従って、例えばヒーター層4の背面側に電磁波透過性の後基材5を射出成形で形成する場合等に、ヒーターエレメント41が損傷することを防止することができる。
【0052】
また、前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣うようにして後基材5を射出成形で形成することにより、前基材2、加飾層3、ヒーター層4の凹凸と後基材5の凹凸が係合固着した高い固着強度の後基材5を背面側に設けることができる。
【0053】
また、第1例の車載レーダー装置用レドーム1の製造方法によれば、絶縁フィルム42とその背面側に固着されたヒーターエレメント41から構成されるヒーター層4を用い、前基材2の背面21側に形成された加飾層3の背面にヒーター層4を固着することにより、前基材2や加飾層3と容易に位置合わせしてヒーター層4の絶縁フィルム42とヒーターエレメント41を設けることができ、製造作業を容易化することができる。また、絶縁フィルム42はヒーターエレメント41を固着する下地として機能し、前基材2の背面21側に形成された加飾層3へのヒーターエレメント41の固着強度を高めることができる。また、平面状のフィルム体7aを圧空成形で前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣うように変形させてヒーター層4を形成することにより、絶縁フィルム42の背面側にヒーターエレメント41を固着して変形するだけでヒーター層4を形成することができ、ヒーター層4の製造工程を容易化、効率化することができる。更に、前基材2の背面21側の凹凸により正確に倣った形状のヒーター層4を形成することができると共に、多様な前基材2の背面21側の凹凸形状に適応した形状のヒーター層4を形成することができる。また、前基材2の背面21側に加飾層3を形成することにより、前基材2に対する加飾層3の形成位置の精度を高めることができる。
【0054】
また、第2例の車載レーダー装置用レドーム1の製造方法によれば、前基材2の背面21に、絶縁フィルム42の前面側に加飾層3が固着されたヒーター層4を配置して固着することにより、前基材2の背面21側への加飾層3を形成する工程を行わずに、加飾層3を有するレドーム1を得ることができる。また、加飾層3とヒーターエレメント41が予め位置合わせして形成されたヒーター層4を前基材2の背面21に固着してレドーム1を製造することができ、製造作業を容易化することができる。また、絶縁フィルム42はヒーターエレメント41を固着する下地として機能し、ヒーターエレメント41の加飾層3への固着強度を高めることができる。また、平面状のフィルム体7bを圧空成形で前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣うように変形させて加飾層3が併設されたヒーター層4を形成することにより、絶縁フィルム42bの背面側にヒーターエレメント41bを固着し且つ絶縁フィルム42bの前面側に加飾層3bを固着して変形するだけでヒーター層4、加飾層3を形成することができ、ヒーター層4、加飾層3の製造工程を容易化、効率化することができる。更に、前基材2の背面21側の凹凸により正確に倣った形状の加飾層3が併設されたヒーター層4を形成することができると共に、多様な前基材2の背面21側の凹凸形状に適応した形状の加飾層3が併設されたヒーター層4を形成することができる。また、平面状のフィルム体7bを形成する工程において、ヒーターエレメント41bと加飾層3bを同一の印刷工程等で形成することが可能であり、工程間の移動作業を減らすことができると共に、工程間の移動で発生し易い外観不良の原因となる異物混入を抑制することができる。
【0055】
〔第2実施形態の車載レーダー装置用レドームの製造方法〕
本発明による第2実施形態の車載レーダー装置用レドーム1pでは、
図9に示すように、透明で電磁波透過性の前基材2と、加飾性のヒーター層4pと、電磁波透過性の後基材5が表面側から順に密接するように固着して設けられている。前基材2、後基材5の構成は第1実施形態と同一である。
【0056】
加飾性のヒーター層4pは、合成樹脂に設けられた電磁波透過性の不連続金属層で金属光沢を示す電磁波透過性の加飾性絶縁フィルム、積層合成樹脂で可視光を干渉反射して金属光沢を示す電磁波透過性の加飾性絶縁フィルムなど電磁波透過性の加飾性絶縁フィルム42pと、ヒーターエレメント41と、ヒーターエレメント41を背面側から覆うようにして形成された保護膜43から構成される。加飾性のヒーター層4pは、前基材2の背面側に配置して固着されており、前基材2の背面21の凹部211に倣うように断面視で表面側に部分突出して曲がって形成され、その突出部44pが凹部211に係合されるようにして配置されている。
【0057】
加飾性のヒーター層4pのヒーターエレメント41、保護膜43の構成は第1実施形態と同一である。また、加飾性絶縁フィルム42pのフィルム本体には、第1実施形態の絶縁フィルム42と同様の素材を用いることが可能である。また、第1実施形態と同様に、加飾性絶縁フィルム42p、保護膜43には、前基材2及び後基材5と、複素誘電率に基づき定義される屈折率nが相互に整合する、又は、屈折率nが略同一或いは近接するものを用いると電磁波の透過性能向上の観点から好適である。
【0058】
そして、車載レーダー装置用レドーム1pでは、加飾性のヒーター層4pの背面側の凹部45pに凸部51を係合するようにして、加飾性のヒーター層4pの背面側に電磁波透過性の後基材5が設けられている。第2実施形態の車載レーダー装置用レドーム1pのその他の構成は、第1実施形態の車載レーダー装置用レドーム1と同様である。
【0059】
第2実施形態の車載レーダー装置用レドーム1pを製造する際には、加飾性絶縁フィルム42pと、絶縁フィルム42pの背面側に固着されたヒーターエレメント41と、ヒーターエレメント41を背面側から覆うようにして形成された保護膜43とから構成され、所定箇所に突出部44pが予め形成されている3次元形状の凹凸を有するシート状のヒーター層4pを用いる。そして、前基材2の背面21の凹部211に、表面側に部分突出し且つ凹部211に倣う形状で形成されている突出部44pを係合して、保護膜43で覆われたヒーターエレメント41を有する加飾性のヒーター層4pを前基材2に固着し、ヒーター層4pを前基材2の背面21側に配置して固着する(
図10(a)、(b)参照)。このヒーター層4pの前基材2の背面21への固着は、例えば熱溶着又は接着剤による接着で行うと良好である。
【0060】
固着に用いた加飾性絶縁フィルム42p、ヒーターエレメント41、保護膜43とから構成される加飾性のヒーター層4pを形成する際には、例えば平面状の加飾性絶縁フィルム42qの背面側にヒーターエレメント41qを固着した平面状のフィルム体7qを形成し、フィルム体7qのヒーターエレメント41qを加飾性絶縁フィルム42qと逆側から覆うようにして保護膜43qを形成する(
図11(a)参照)。加飾性絶縁フィルム42qへのヒーターエレメント41qの固着は、例えば印刷、蒸着、スパッタ、めっき、エッチング、MID、ワイヤーボンディング、インクジェット、又はディスペンサー等を用い、ヒーターエレメント41qを絶縁フィルム42qの背面側に形成或いは描画して行う。保護膜43qは、例えばスクリーン印刷、パッド印刷などによる印刷や、スプレー塗装等による塗装などによる塗膜方法により、ヒーターエレメント41qを覆うように形成する。また、保護膜43qを、例えばポリエステル系塗料など接着機能を有する塗料で形成し、後述する射出成形時に後基材5との固着強度を強化するようにしてもよい。
【0061】
この平面状のフィルム体7qを圧空成形で前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣うように変形させて加飾性のヒーター層4pを形成し(
図11(b)参照)、このように形成した加飾性のヒーター層4pを前基材2の背面21側に配置して固着する。
【0062】
その後、加飾性のヒーター層4pが設けられた前基材2を金型内に配置し、ヒーター層4pの背面側の凹部45pに凸部51が係合されるようにして、換言すれば前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣うようにして、加飾性のヒーター層4pの背面側に電磁波透過性の後基材5を射出成形で形成して熱溶着し、車載レーダー装置用レドーム1pを得る(
図10(c)参照)。また、この工程に代えて、保護膜43q及びその圧空成型後の保護膜43を例えばポリエステル系塗料など接着機能を有する塗料で形成し、加飾性のヒーター層4pが設けられた前基材2における接着機能を有する保護膜43に、前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣う形状の後基材5を接着して設け、車載レーダー装置用レドーム1pを得るようにしても良好である。
【0063】
第2実施形態によれば、ヒーターエレメント41の表面側に加飾性絶縁フィルム42pを有するレドーム1pを得ることにより、透明な前基材2を介して、エンブレムの意匠部等を構成する加飾部分の良好な視認性を確保することができる。また、加飾性絶縁フィルム42pとヒーターエレメント41との間に空隙部や基材が設けられずに、加飾部分とヒーターエレメント41が一体化したヒーター層4pを有するレドーム1pになるため、電磁波透過性を向上することができる。また、透明な前基材2の表面22とヒーター層4pとの間に、別の基材が設けられないレドーム1pとなることから、ヒーター層4pから前基材2の表面22への熱伝導効率を高めることができ、レドーム1pの外表面に付着した雪や氷を確実に融雪することができる。また、前基材2の表面22とヒーター層4pとの間に前基材2が設置されたレドーム1pとなることから、前基材2の厚みや広がりでヒーター層4pの加熱を熱拡散して、前基材2の表面22全体に亘って均一性の高い融雪を行うことができる。また、加飾部分とヒーター層4pとの間に基材を設けないことから、この間の基材の成形工程を無くすことができ、より高い製造効率で製造することができる。
【0064】
また、加飾性絶縁フィルム42pにヒーターエレメント41を固着することにより、ヒーターエレメント41の位置ズレを防止できると共に、加飾性絶縁フィルム42pでヒーターエレメント41を保護することもできる。また、加飾性絶縁フィルム42pはヒーターエレメント41を固着する下地として機能し、ヒーターエレメント41の前基材2への固着強度を高めることができる。また、中間品の加飾性のヒーター層4pは、加飾性の絶縁フィルム42を基にしてヒーターエレメント41を形成して得ることができることから、多様な製造手段を用いて形成することが可能となり、適用可能な製造手段の多様化を図ることができる。また、加飾性絶縁フィルム42pを用いて加飾部分を構成することにより、別途に加飾層を形成する工程を無くして製造工程を効率化することができる。
【0065】
また、加飾性絶縁フィルム42qの背面側にヒーターエレメント41を固着した平面状のフィルム体7qを変形するだけで加飾性のヒーター層4pを形成することができ、加飾性のヒーター層4pの製造工程を容易化、効率化することができる。また、平面状のフィルム体7qを圧空成形で前基材2の背面21側の凹凸形状に略倣うように変形させて加飾性のヒーター層4Pを形成することにより、前基材2の背面21側の凹凸により正確に倣った形状の加飾性のヒーター層4pを形成することができると共に、多様な前基材2の背面21側の凹凸形状に適応した形状の加飾性のヒーター層4pを形成することができる。その他、第2実施形態は、第1実施形態と対応する構成から対応する効果を奏する。
【0066】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
【0067】
例えば上記実施形態の車載レーダー装置用レドーム1におけるヒーター層4では、ヒーターエレメント41を背面側から覆う保護膜43を有する構成としたが、保護膜43を設けないヒーター層4とすることも可能であり、本発明におけるヒーター層には、絶縁フィルムと絶縁フィルムの背面側に固着されたヒーターエレメントから構成される適宜のヒーター層が含まれる。
【0068】
また、本発明における車載レーダー装置用レドームでは、隣り合って配線されているヒーターエレメントに流れる電流の方向が互いに略反平行或いは反平行である構成とすると好適であるが、隣り合って配線されているヒーターエレメントに流れる電流の方向が互いに略反平行或いは反平行でない構成とすることも可能である。また、本発明におけるヒーターエレメントの配線パターン、配線構成は、上記ヒーターエレメント41の配線構成に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で適宜であり、例えば同心円状、同心楕円状にヒーターエレメントを配線する構成や、中心から略放射状に延びるようにヒーターエレメントを配線する構成等としてもよい。
【0069】
また、本発明における車載レーダー装置用レドームが対象とするレーダーの電磁波は適用可能な範囲で適宜であり、車載レーダーとして実用化されている24/26GHz帯、76/77GHz帯、77/81GHz帯等に加え、これら以外のレーダー用の電磁波の場合にも本発明を適用することが可能である。更に、より短波長のレーダーが実用化された際にも同様に本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、車載レーダー装置用レドームを製造する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1、1p…車載レーダー装置用レドーム 2…前基材 21…背面 211…凹部 22…表面 3、3b…加飾層 31、31b…電磁波透過性金属部 32、32b…有色部 33…背面 34…凹部 4、4p…ヒーター層 41、41a、41b、41q…ヒーターエレメント 42、42a、42b、42p、42q…絶縁フィルム 43、43a、43b、43q…保護膜 44、44p…突出部 45、45p…凹部 5…後基材 51…凸部 6…コネクタ 7a、7b、7q…平面状のフィルム体 10…マーク記号部 100…車載レーダー装置 R…電磁波透過領域