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7418935ゲームシステム、ゲーム方法、及びゲームプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】ゲームシステム、ゲーム方法、及びゲームプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/58 20140101AFI20240115BHJP
   A63F 13/45 20140101ALI20240115BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20240115BHJP
【FI】
A63F13/58
A63F13/45
A63F13/69 510
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021150847
(22)【出願日】2021-09-16
(62)【分割の表示】P 2019204199の分割
【原出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2021184972
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504440133
【氏名又は名称】株式会社ポケモン
(74)【代理人】
【識別番号】100151688
【弁理士】
【氏名又は名称】今 智司
(72)【発明者】
【氏名】蔡 憶平
【審査官】佐々木 祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-042221(JP,A)
【文献】特開2008-114003(JP,A)
【文献】特開2018-042990(JP,A)
【文献】計算式,ファイアーエムブレム 暁の女神 攻略Wiki[online],2018年09月12日,[検索日:2023年9月22日], https://www.pegasusknight.com/wiki/fe10/?%E8%A8%88%E7%AE%97%E5%BC%8F#p7aa2c43,特に本文を参照
【文献】ばるば☆ろっさ プラス BARBA ROSSA,アプリスタイル VOL.11 ,株式会社イースト・プレス,2012年10月31日,第11巻,p. 184
【文献】ポケモン超不思議のダンジョン,週刊ファミ通 第30巻 第36号 ,株式会社KADOKAWA・DWANGO,2015年08月20日,第30巻,pp. 183-188
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 - 13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
属性が設定された複数のオブジェクトを用いて所定のゲームが実行されるゲームシステムであって、
前記複数のオブジェクトそれぞれに設定された属性の比較により、ゲーム中における所定のパラメータ補正処理を実行可能にするゲーム制御部と、
ユーザの操作に基づき、前記ゲーム中における全ての前記パラメータ補正処理を有効状態若しくは無効状態のいずれかに切り替える切替部と
を備え
前記有効状態のときに発生せず、前記無効状態の時に発生する所定の効果であって、前記複数のオブジェクトそれぞれの属性ごとの前記所定の効果が前記複数のオブジェクトそれぞれに対応付けられているゲームシステム。
【請求項2】
前記切替部から前記パラメータ補正処理を無効状態にする指示を受け取った場合、前記所定の効果を発生可能にさせる効果発生部を更に備え、
前記効果発生部が、前記オブジェクトに設定された属性と、前記オブジェクトが前記ゲーム内において存在しているフィールドのフィールド情報、及び前記ゲームの所定のイベント情報からなる群から選択される少なくとも1つの環境情報との比較に基づいて前記所定の効果を決定する請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
抽選によりユーザに前記オブジェクトを提供する抽選部
を更に備え、
前記抽選部が前記オブジェクトを前記ユーザに提供する場合、前記切替部が前記パラメータ補正処理を無効状態にした場合において、前記オブジェクトに対応付けて設定される前記所定の効果として、複数の前記所定の効果から、少なくとも一の所定の効果をユーザの選択に応じて発生可能な請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
属性が設定された複数のオブジェクトを用いて所定のゲームが実行されるゲームシステムにおけるゲーム方法であって、
前記複数のオブジェクトそれぞれに設定された属性の比較により、ゲーム中における所定のパラメータ補正処理を実行可能にするゲーム制御工程と、
ユーザの操作に基づき、前記ゲーム中における全ての前記パラメータ補正処理を有効状態若しくは無効状態のいずれかに切り替える切替工程と
を備え
前記有効状態のときに発生せず、前記無効状態の時に発生する所定の効果であって、前記複数のオブジェクトそれぞれの属性ごとの前記所定の効果が前記複数のオブジェクトそれぞれに対応付けられているゲーム方法。
【請求項5】
属性が設定された複数のオブジェクトを用いて所定のゲームが実行されるゲームシステム用のゲームプログラムであって、
コンピュータに、
前記複数のオブジェクトそれぞれに設定された属性の比較により、ゲーム中における所定のパラメータ補正処理を実行可能にするゲーム制御機能と、
ユーザの操作に基づき、前記ゲーム中における全ての前記パラメータ補正処理を有効状態若しくは無効状態のいずれかに切り替える切替機能と
を実現させ
前記有効状態のときに発生せず、前記無効状態の時に発生する所定の効果であって、前記複数のオブジェクトそれぞれの属性ごとの前記所定の効果が前記複数のオブジェクトそれぞれに対応付けられているゲームプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステム、ゲーム方法、及びゲームプログラムに関する。特に、本発明は、ゲーム内のオブジェクトに属性が設定されているゲームシステム、ゲーム方法、及びゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム内のキャラクタに属性が設定され、一のキャラクタの属性と他のキャラクタの属性との間に相性が設定されているゲームが存在する。係るゲームにおいては相性により一のキャラクタが他のキャラクタに及ぼす作用(例えば、攻撃等)に応じた効果(例えば、キャラクタが受けるダメージ等)にパラメータ補正(例えば、相性によって攻撃力やダメージが増減される等)が実行されている。属性の設定はゲーム性を深めるという長所がある一方で、ゲーム毎に属性の効果が異なることにより、特に新たなゲームを始める際の障壁になるという短所も存在する。
【0003】
そこで、プレイヤからの操作を受け付ける操作受付手段と、ゲーム領域上に操作キャラクタを表示し、ゲーム領域上に表示された複数の非操作キャラクタのうち、一の非操作キャラクタの仮選択を、操作受付手段に対するプレイヤの第1の操作により受け付け、操作受付手段に対するプレイヤの第2の操作により、仮選択された非操作キャラクタの選択を確定するキャラクタ制御手段と、操作キャラクタ及び非操作キャラクタの属性情報を記憶する記憶手段から当該属性情報を取得する属性情報取得手段と、操作キャラクタ及び仮選択された非操作キャラクタの属性情報をプレイヤに報知する属性報知制御手段とを有する端末装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の端末装置によれば、非操作キャラクタの選択を確定する前に、操作キャラクタ及び非操作キャラクタの属性情報をプレイヤに報知できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-006435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の端末装置においては、属性情報をプレイヤに視覚を通じて報知することを要することから、どのような表示がいかなる属性情報や相性を示すのか依然として瞬時に判断できない場合がある。また、特許文献1に記載の端末装置においては、例えば、端末装置の表示画面をタッチすることにより属性情報や相性を把握するので、ゲーム内のキャラクタが様々な動作をするような場合等においてはゲーム性を損なう場合がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、ユーザが属性の対応関係のパターンを覚えずとも、ゲームの興趣性を向上させることができるゲームシステム、ゲーム方法、及びゲームプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、属性が設定された複数のオブジェクトを用いて所定のゲームが実行されるゲームシステムであって、複数のオブジェクトそれぞれに設定された属性の比較により、ゲーム中における所定のパラメータ補正を実行可能にするゲーム制御部と、ユーザの操作に基づき属性の比較によるパラメータ補正を有効状態若しくは無効状態のいずれかに切り替え、かつ、パラメータ補正を有効状態から無効状態に切り替えた場合に、次にユーザの所定の操作があるまで無効状態を継続する切替部と、切替部においてパラメータ補正が無効状態に切替えられた場合において、オブジェクトとオブジェクトとは異なる他のオブジェクトとの間において所定の作用が発生する場合、オブジェクトに設定された属性と他のオブジェクトに設定された属性との比較によるパラメータ補正を実行せずに、所定の効果を発生させる効果発生部とを備えるゲームシステムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るゲームシステム、ゲーム方法、及びゲームプログラムによれば、ユーザが属性の対応関係のパターンを覚えずとも、ゲームの興趣性を向上させることができるゲームシステム、ゲーム方法、及びゲームプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るゲームシステムの機能構成ブロック図である。
図2】本実施形態に係るゲームシステムの各格納部のデータ構成図である。
図3】本実施形態に係る相性を示す図である。
図4】本実施形態に係るゲームシステムの処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
<ゲームシステム1の概要>
本実施形態に係るゲームシステム1は、属性が設定されたオブジェクトを用い、属性間のゲーム内における有利・不利(つまり、相性)をゲーム内の所定のパラメータ(例えば、攻撃力や防御力等のパラメータ)に反映可能なゲームが実行されるゲームシステムであって、オブジェクトに設定された属性の比較による所定のパラメータの補正(以下、「パラメータ補正」という。)の有効状態/無効状態を切り替えることができ、かつ、パラメータ補正を無効状態にした場合、次にパラメータ補正が有効状態にされるまで、所定の効果を発揮させることができるゲームシステムである。
【0011】
ここで、オブジェクトとは、ゲーム内に登場するオブジェクトであって、ゲーム内でユーザ操作に応じて動作するキャラクタや、敵のキャラクタ、仲間のキャラクタ、ゲーム内で用いられるアイテム(例えば、武器、防具、所定の道具等)等である。
【0012】
また、属性とは、各オブジェクトに設定される情報であり、例えば、オブジェクトの種類、状態、性質、若しくは能力等に応じて設定されるオブジェクトが有する特徴である。属性としては特に限定されないが、例えば、ノーマル、ほのお、みず、くさ、こおり、でんき、ゴースト等の名称の属性が挙げられる。なお、一のオブジェクトには複数の属性が設定されてもよい。更に、オブジェクトがキャラクタである場合はキャラクタに属性が設定され、オブジェクトがアイテムである場合にはアイテムに属性が設定され、この状態でキャラクタがアイテムを所持する場合、キャラクタの属性とアイテムの属性とが共存してもよい。この場合においてキャラクタの属性とアイテムの属性とはかけ合わせてもよく、いずれか一方の属性を用いてもよい。そして、ユーザの選択によってキャラクタの属性とアイテムの属性との双方若しくはいずれか一方を用いてもよい。また、属性は、キャラクタが覚えている「技」やアイテムに設定される「スキル」等の属性であってもよい。この場合、例えば、キャラクタは、キャラクタ自身の属性と、キャラクタが覚えている「技」の属性(キャラクタ自身の属性と同一でも異なっていてもよい)との双方を有していてもよい。本実施形態においては、これらのいずれの形態も「オブジェクトに設定された属性」に該当するものとする。
【0013】
なお、相性とは、一の属性のオブジェクトに対し、他の属性(他の属性は一の属性と同一であってもよい)のオブジェクトが所定の作用を及ぼす場合に、いずれの属性のオブジェクトがゲーム内の所定の処理において他のオブジェクトに対して有利になるか不利になるか、若しくは有利にも不利にもならないか等を示す情報である。本実施形態においては、一の属性に、当該一の属性とは異なる属性、及び当該一の属性と同一の属性のそれぞれに対する相性を設定することができる。ここで、所定の作用とは、一のオブジェクトと当該一のオブジェクトとは異なる他のオブジェクトとの間で発生するゲーム内における作用であって、例えば、オブジェクト同士の接触、一のオブジェクトへの他のオブジェクトの所定範囲内への接近、一のオブジェクトと他のオブジェクトとの間の戦闘等である。
【0014】
具体的に、本実施形態に係るゲームシステム1は、オブジェクトに設定されている属性の比較によりゲームにおける所定のパラメータ補正が実行可能にされている。例えば、オブジェクトがキャラクタであって、1以上のキャラクタのそれぞれに属性が設定され、一のキャラクタの属性と他のキャラクタとの属性とを比較し、比較結果に基づいて所定のパラメータ補正が実行可能に設定される。なお、属性間の対応関係を相性として設定してもよく、相性に基づいて所定のパラメータ補正が実行可能に設定されてもよい。この場合、一の属性に対する他の属性の対応関係を相性と称する。
【0015】
一例として、対戦型ゲームにおいて「ほのお」の属性が設定されたキャラクタと「みず」の属性が設定されたキャラクタとが対戦する可能性がある場合を説明する。この場合、「ほのお」の属性が設定されたキャラクタが攻撃側である場合、「みず」の属性が設定されたキャラクタに対する「攻撃の効果がいま一つ」であることを示す対応関係が設定され、「みず」の属性が設定されたキャラクタが攻撃側である場合、「ほのお」の属性が設定されたキャラクタに対する「攻撃の効果が抜群」であることを示す対応関係が設定される。パラメータ補正としては、例えば、各キャラクタの攻撃力及び/又は防御力等を示すパラメータを対応関係に基づいて増減させる補正が実行される。上記の例では、「ほのお」の属性が設定されたキャラクタが攻撃側である場合、「みず」の属性が設定されたキャラクタに対する「攻撃の効果がいま一つ」であることを示す対応関係が設定されているので、「ほのお」の属性が設定されたキャラクタの攻撃力を減少させるか、及び/又は「みず」の属性が設定されたキャラクタの防御力を増加させるパラメータ補正が実行される。
【0016】
上記のような設定下において、ゲームシステム1は、ゲームで用いるオブジェクト(例えば、キャラクタ)の選択指示をユーザから受け付ける。そして、ゲームシステム1は、ユーザからの選択指示に応じ、対応するキャラクタをゲーム内に登場させ、ユーザの操作に応じてゲーム内でキャラクタを動作させることでゲームを実行させる。そして、ゲームシステム1は、キャラクタの属性の比較によるパラメータ補正の実行を有効にするか無効にするかについて、例えば、ユーザからの指示を受け付けて決定する。例えば、ゲームシステム1は、デフォルト状態でパラメータ補正の実行を有効に設定しておき、ユーザからの指示がパラメータ補正の実行を無効にすることを示す指示である場合、パラメータ補正の実行を有効から無効に切替える処理を実行する。
【0017】
そして、ゲームシステム1は、属性の比較によるパラメータ補正の実行が無効に設定された場合、ゲーム内の所定のプレイにおいて、キャラクタ間で所定の作用(例えば、戦闘における攻撃や防御等の作用)が発生した場合におけるパラメータ演算(例えば、攻撃力、防御力、及び/又は攻撃による相手方へ与えるダメージ等のパラメータ演算)を実行する場合、キャラクタに設定されている属性が特定の属性であるか否かにかかわらず、当該キャラクタの属性の比較によるパラメータ補正の実行を停止する(つまり、キャラクタに対応付けられている属性の設定をそのまま維持する一方で、属性の比較結果に基づくパラメータ補正の実行を停止する。)。その上でゲームシステム1は、当該キャラクタに所定の効果(例えば、当該キャラクタが存在しているゲーム内のフィールド及び/又は当該キャラクタの属性に応じて決定される当該キャラクタの攻撃力や防御力等の増減効果)を発生させる処理を実行する。つまり、ゲームシステム1は、キャラクタ同士の属性の比較による効果を発揮させず、当該キャラクタの属性と当該キャラクタが置かれている環境等とに応じて決定される効果を代わりに発生させる。
【0018】
これにより、ゲームシステム1においては、属性間の対応関係(相性)について記憶している自信のあるユーザはキャラクタの属性の比較によるパラメータ補正の実行を有効にしたままにして自身の能力をゲームにおいて発揮できる。一方、ゲームシステム1においては、属性間の対応関係についての記憶に自信のないユーザや初心者であるユーザであっても、パラメータ補正の実行を無効にすることでゲームにおいて不利にならない所定の効果を発生させることができる。
【0019】
なお、ゲームシステム1は、携帯電話やスマートフォン、ノートパソコン、タブレット型PC、PC、携帯用ゲーム機、及び/又は家庭用ゲーム機等の情報端末等で実現できる。そして、以下において本実施形態に係るゲームシステム1の詳細を説明するが、上記説明及び下記説明における名称や数値等はあくまで例示であり、これらの名称や数値等に限定されることはないことを付言する。
【0020】
<ゲームシステム1の詳細>
図1は、本実施形態に係るゲームシステムの機能構成の一例を示し、図2は、本実施形態に係るゲームシステムが備える格納ユニットが有する各格納部のデータ構成の一例を示す。また、図3は、本実施形態に係る属性間の相性の一例を示す。
【0021】
[ゲームシステム1の構成の概要]
本実施形態に係るゲームシステム1は、ユーザからの所定の入力を受け付ける入力部10と、パラメータ補正の実行の有効/無効を切り替える切替部12と、オブジェクトに所定の効果を発生させる効果発生部14と、ゲームの実行や進行等を制御するゲーム制御部16と、オブジェクトの抽選を実行する抽選部18と、各種の情報を格納する格納ユニット20とを備える。格納ユニット20は、キャラクタに関する情報を格納するキャラクタ情報格納部200と、アイテムに関する情報を格納するアイテム情報格納部202と、相性に関する情報を格納する相性格納部204と、所定の効果に関する情報を格納する効果情報格納部206と、ユーザが所持しているオブジェクトに関する情報を格納する所持オブジェクト情報格納部208を有する。
【0022】
ゲームシステム1は、上記複数の構成要素を物理的に同一の装置や場所に有するだけでなく、上記複数の構成要素の一部を物理的に離れた位置に設置してもよい。例えば、ゲームシステム1は、構成要素の機能の一部を外部のサーバに担わせてもよい。また、ゲームシステム1は、一以上のサーバとして構成してもよい。この場合、情報端末、並びに一のサーバの構成要素及び他のサーバの構成要素を組み合わせることで、ゲームシステム1が構成される。また、本実施形態において、所定の構成要素の集合体を1つの「情報処理装置」として把握することができ、ゲームシステム1を複数の情報処理装置の集合体として形成してもよい。1つ又は複数のハードウェアに対して本実施形態に係るゲームシステム1を実現することに要する複数の機能の配分の仕方は、各ハードウェアの処理能力及び/又はゲームシステム1に求められる仕様等に鑑みて適宜決定することができる。更に、格納ユニット20が格納する各種の情報は、入力部10を介して受け付けるユーザの指示や情報により更新されてもよく、ゲームシステム1の外部に存在する所定のサーバから所定の情報を取得して、随時、更新されてもよい。
【0023】
[ゲームシステム1の構成の詳細]
以下の説明においては、ゲームシステム1により提供されるゲームを、主としてユーザが情報端末を用いて実行する場合を例として説明する。
【0024】
(入力部10)
入力部10は、ユーザからの所定の指示に関する入力を受け付け、ゲームシステム1の所定の構成要素に当該指示を供給する。当該指示を受け付けた各構成要素はそれぞれ所定の機能を発揮する。所定の指示としては特に限定はないが、例えば、ゲームに用いるオブジェクトの選択指示、ゲーム内におけるオブジェクトの動作指示、ゲーム内における抽選の実行指示、オブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を有効状態にするか無効状態にするかの指示等である。
【0025】
(格納ユニット20)
格納ユニット20は、ゲームに関連する各種の情報を格納する。格納ユニット20が有する各格納部は、ゲームシステム1の他の構成要素からの要求に応じ、所定の情報を所定の構成要素に供給する。
【0026】
(格納ユニット20:キャラクタ情報格納部200)
キャラクタ情報格納部200は、ゲームに用いられるキャラクタに関する情報を格納する。具体的に、キャラクタ情報格納部200は、キャラクタを識別するキャラクタIDに対応付けて、キャラクタ情報、属性、及び属性効果情報を格納する。キャラクタ情報は、例えば、キャラクタの種類、キャラクタの名称、キャラクタの性別、キャラクタの能力、キャラクタの経験値等を示す情報である。また、属性は、キャラクタの属性である。更に、属性効果情報は、キャラクタの属性に対応付けられる当該属性用の効果を示す情報である。属性用の効果とは、1以上の属性それぞれに対応付けられる、ゲーム中において発揮され得る効果(例えば、当該属性を有するオブジェクトの各種能力値を増減させる効果、ゲーム内でユーザが獲得するアイテムの量を増減させる効果、ゲーム内でユーザ及び/又はオブジェクトが獲得する経験値を増減させる効果等)である。
【0027】
(格納ユニット20:アイテム情報格納部202)
アイテム情報格納部202は、ゲームに用いられるアイテムに関する情報を格納する。具体的に、アイテム情報格納部202は、アイテムを識別するアイテムIDに対応付けて、アイテム情報、属性、及び属性効果情報を格納する。アイテム情報は、例えば、アイテムの種類、アイテムの名称、アイテムの特性等を示す情報である。また、属性は、アイテムの属性である。更に、属性効果情報は、アイテムの属性に対応付けられる当該属性用の効果を示す情報である。属性用の効果の内容は上記と同様である。
【0028】
ここで、キャラクタの属性に対応付けられる属性効果情報、及びアイテムの属性に対応付けられる属性効果情報は、属性ごとにゲーム内で有利になる効果を示す情報であってよい。例えば、属性として「ほのお」、「みず」、「くさ」等の属性が存在する場合を挙げる。この場合、「ほのお」の属性のキャラクタ及び/又はアイテムにはゲーム内仮想通貨の獲得率が上昇する属性用の効果を設定し、「みず」の属性のキャラクタ及び/又はアイテムにはゲーム内で使用可能なアイテムの取得確率が上昇する属性用の効果を設定し、「くさ」の属性のキャラクタ及び/又はアイテムにはゲームの実行により獲得可能な経験値の獲得量が上昇する属性用の効果を設定すること等、ユーザがゲームの実行において有利になる属性用の効果がキャラクタ及びアイテムの属性に対応付けられてよい。
【0029】
なお、後述するように属性用の効果は、パラメータ補正が無効状態にされた場合に発揮される効果であってよい。そして、属性用の効果は、一のオブジェクトと他のオブジェクトとの比較によって決定・変動する効果ではなく、属性を有するオブジェクトに固有に発揮される効果、若しくは後述するように属性を有するオブジェクトとフィールド情報等の環境情報との比較によって発揮される効果である。そのため、ユーザは、複数のオブジェクトそれぞれに設定された属性の対応関係(相性)を記憶することを要さず、ゲームを実行するだけでオブジェクトの属性に応じた属性用の効果を利用できる。
【0030】
(格納ユニット20:相性格納部204)
相性格納部204は、一の属性(以下、「属性a」と表す。)と他の属性(以下、「属性b」と表す。)に対応付けて、パラメータ補正情報を格納する。なお、本実施形態では、一の属性と他の属性との対応関係を「相性」と称する。パラメータ補正情報は、一の属性と他の属性との対応関係によって一の属性のオブジェクト(例えば、ユーザが操作するオブジェクト)が他の属性のオブジェクトに対して及ぼす所定の作用における一の属性のオブジェクト及び/又は他の属性のオブジェクトのパラメータを補正する情報である。パラメータとしては、オブジェクトを特徴づける各種のパラメータ、例えば、攻撃力、防御力、素早さ、賢さ、被ダメージ量等が挙げられる。例えば、パラメータ補正情報は、所定の作用が一の属性のオブジェクトから他の属性のオブジェクトに対する攻撃である場合、一の属性のオブジェクトと他の属性のオブジェクトとの対応関係に応じ、一の属性のオブジェクトのパラメータとしての攻撃力や素早さ等を増減させる情報である。
【0031】
一例として、図3に示すように、オブジェクトがキャラクタであり、キャラクタの属性として「ノーマル」、「ほのお」、「みず」、「くさ」、「こおり」等が設定され、一のキャラクタの属性aと他のキャラクタとの属性bとに応じ、対応関係(相性)が設定される例を挙げる。図3の例では対応関係を「〇」(効果が抜群であることを示す)、「△」(効果がいまいちであることを示す)、ブランク(効果に変化がないことを示す)で表している。例えば、ゲームが対戦型ゲームであり、攻撃側のキャラクタの属性aが「ほのお」である場合、防御側のキャラクタの属性bが「ほのお」又は「みず」であると対応関係は「△」であり、防御側のキャラクタの属性bが「くさ」又は「こおり」であると対応関係は「〇」であるというように、属性間の対応関係が設定される(図3における他の属性間の対応関係も同様である。)。対応関係が「〇」の場合、パラメータ補正情報は、例えば、攻撃側のキャラクタの攻撃力が増加する内容、及び/又は防御側キャラクタの防御力が減少する内容を示す情報であり、対応関係が「△」の場合、パラメータ補正情報は、例えば、攻撃側キャラクタの攻撃力が減少する内容、及び/又は防御側キャラクタの防御力が増加する内容を示す情報であってよい。
【0032】
(格納ユニット20:効果情報格納部206)
効果情報格納部206は、属性及び/又は環境情報に対応付けて効果情報を格納する。環境情報は、フィールド情報、及びゲームの所定のイベント情報を含む。
【0033】
ここで、フィールド情報とは、ゲーム内に設定される1以上のフィールドそれぞれの特性を示す情報である。当該特性としては、フィールドの地形の種類、当該フィールド内に存在した場合に有利になるオブジェクトの属性、フィールドの天候、日時、昼や夜等の時間帯、季節等を示す特性が挙げられる。なお、一のフィールドの全体若しくは一部の領域にフィールド情報を設定することや、一のフィールドを複数の領域に分割し、複数の領域のそれぞれ若しくは一部にフィールド情報を設定することができる。当該複数の領域のそれぞれ若しくは一部にフィールド情報を設定する場合、一の領域のフィールド情報と他の領域のフィールド情報とは同一でも異なっていてもよい。また、イベント情報とは、ゲーム内で実施される各種のゲームイベントに関する情報である。イベント情報には、当該ゲームイベントにおいてゲーム上、有利になるオブジェクトの属性を設定することができる。効果情報は、属性と環境情報とに対応付けられる所定の効果を示す情報であり、所定の効果は、オブジェクトの所定のパラメータを増減させて変更する内容であってよい。
【0034】
ここで、複数のオブジェクトそれぞれに設定された属性を比較する場合は、複数のオブジェクトの属性のそれぞれと、複数の他のオブジェクトの属性のそれぞれとの比較を要するので「多対多」の対応関係についての複雑な判断をユーザに要することになる。一方、オブジェクトがゲーム内のフィールドに存在する場合、オブジェクトが複数であっても各オブジェクトは一のフィールドに存在する。したがって、この場合、オブジェクトとフィールドとの関係が「多対1」の関係であることから複雑な状況判断をユーザに要せず、また、オブジェクト同士の場合に比べ、オブジェクトとフィールドとの対応関係の記憶はユーザにとって容易である。
【0035】
(格納ユニット20:所持オブジェクト情報格納部208)
所持オブジェクト情報格納部208は、ユーザを識別するユーザIDに対応付けて、ユーザが所持しているオブジェクトに関する情報である所持オブジェクト情報を格納する。所持オブジェクト情報は、例えば、キャラクタID及び/又はアイテムID、ユーザが所持しているキャラクタの数、及び/又はアイテムの数等である。
【0036】
(切替部12)
切替部12は、オブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を有効状態から無効状態へ、若しくは無効状態から有効状態へ切替える。また、切替部12は、パラメータ補正を有効状態から無効状態に切り替えた場合に、次にユーザの所定の操作があるまで無効状態を継続させる。なお、オブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正は、デフォルトで有効状態若しくは無効状態のいずれかに設定されていてよい。切替部12は、切替により設定された有効状態若しくは無効状態を示す指示を効果発生部14及び/又はゲーム制御部16に供給する。
【0037】
ここで、切替部12は、ユーザの操作に基づいて切替えを実行する。具体的に切替部12は、入力部10を介してユーザからのオブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を有効状態にするか無効状態にするかのいずれかの指示を受け付けて、オブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を有効状態、若しくは無効状態にすることができる。なお、切替部12は、パラメータ補正の有効状態/無効状態の切替えにおいて、ゲーム内において所定の行動(例えば、オブジェクトに特定の動作をさせる等)をユーザに要求することはなく、単純にユーザからの切替えの実行指示を受け付けることで、ユーザが所望したタイミングで任意にパラメータ補正の有効状態/無効状態を切り替えることができる。つまり、本実施形態においてパラメータ補正の有効状態/無効状態の切替えには特段の制約を設けなくてもよい。
【0038】
また、切替部12は、ユーザが所持しているオブジェクトに基づいて切替えを実行すること、すなわち、ユーザが所持する1以上のオブジェクトそれぞれの属性とゲーム若しくはゲームのイベントにおいて有効とされる属性との対応関係に基づいて切替えを実行してもよい。
【0039】
具体的に、ゲームシステム1において実行されるゲームで、ユーザは複数のオブジェクト(例えば、キャラクタ)を用いて所望のデッキを編成し、編成したデッキを用いてゲームを実行する場合がある。ここで、当該ゲームにおいてデッキを編成するキャラクタ(各キャラクタには属性が設定されている)は、ゲーム内での抽選によりユーザに提供されるとする。そうすると、抽選は所定の確率で実行されるので、ユーザが抽選で獲得するキャラクタの属性が必ずしもユーザが所望した属性ではない場合や、複数のキャラクタそれぞれの属性が適度に分散することも、ある特定の属性に集中すること等も発生し得る。
【0040】
係る前提のもと、当該ゲームにおいては、例えば、ゲーム提供者によるイベント等が開催されることがある。当該イベントでは、特定の属性を有するキャラクタを用いることでゲームを有利に進めることができるように設定される場合がある。この場合に、ユーザが所持しているキャラクタの属性が当該イベントにおいてゲームを有利に進めることができる属性と一致しているならばユーザにとって不利益はない。しかし、上記のようにキャラクタは抽選によりユーザに付与されるので、ユーザが所持しているキャラクタの属性が当該イベントにおいてゲームを有利に進めることができる属性と一致するとは限らず、属性が一致していない場合はゲームにおいてユーザは有利とは限らない立場になる可能性がある。このような場合に、このような状況を覆すために戦略を練るということがゲームの興趣性を向上することに繋がると考えるユーザもいるが、例えば、当該ユーザがゲームの初心者であったり、ゲーム操作に不慣れなユーザであったりした場合等には、ゲームの興趣性が低下する可能性がある。
【0041】
そこで、本実施形態において切替部12は、キャラクタ情報格納部200、アイテム情報格納部202、及び/又は所持オブジェクト情報格納部208を参照し、ユーザが所持しているオブジェクト、及び当該オブジェクトの属性に関する情報を参照する。例えば、まず、切替部12は、ユーザIDに対応付けて所持オブジェクト情報格納部208に格納されている、ユーザIDに対応するユーザが所持するキャラクタのキャラクタID及び/又はアイテムIDを取得する。次に、切替部12は、キャラクタIDに対応付けてキャラクタ情報格納部200に格納されている属性を参照し、及び/又はアイテムIDに対応付けてアイテム情報格納部202に格納されている属性を参照する。これにより、切替部12は、ユーザが所持しているオブジェクト及び当該オブジェクトの属性に関する情報を取得する。また、切替部12は、外部のサーバ(ゲーム提供用のサーバ)等を参照し、ゲーム若しくはゲーム内イベントで有効とされる属性に関する情報を取得する。
【0042】
そして、切替部12は、ユーザが所持している複数のオブジェクトそれぞれの属性とゲーム若しくはゲーム内イベントにおいて有効とされる属性(有効属性)とを対比すると共にユーザが所持しているオブジェクトの数を属性ごとに把握し、有効属性に一致する属性を有するオブジェクトをユーザが所持していない場合、若しくは有効属性に一致する属性を有するオブジェクトをユーザが所持しているものの編成されたデッキ内における当該オブジェクトの数が所定数以下の場合、オブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を自動的に、若しくはユーザの指示に応じ無効状態に切り替えてもよい。なお、ユーザの指示に応じて切り替える場合、切替部12は、ユーザにパラメータ補正を無効状態にする旨をユーザが知覚可能に通知し、当該通知に対してユーザから入力部10を介してパラメータ補正を無効状態にする指示を受け取った場合に切替処理を実行してもよい。また、ユーザが有効属性に一致する属性を有するオブジェクトを所持していない場合や、有効属性に一致する属性を有するオブジェクトをユーザが所持しているものの編成されたデッキ内における当該オブジェクトの数が所定数以下の場合であっても、ユーザがあえてゲームの難易度を高めることを欲する場合、切替部12は、ユーザの指示に応じてオブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を有効状態のままに維持してもよい。
【0043】
(効果発生部14)
効果発生部14は、切替部12からパラメータ補正を無効状態にする指示を受け取った場合、所定の効果を発生可能にさせる。すなわち、効果発生部14は、ゲーム中において切替部12がパラメータ補正を無効状態にした場合であって、ユーザが入力部10を介して指定したオブジェクトと当該オブジェクトとは異なる他のオブジェクトとの間において所定の作用が発生する場合、ユーザが指定したオブジェクトに設定された属性が特定の属性であるか否かにかかわらず、ユーザのオブジェクトに設定された属性と他のオブジェクトに設定された属性との比較によるパラメータ補正を実行せずに、所定の効果を発生させる。つまり、本実施形態においては、パラメータ補正を無効状態にした場合、オブジェクトの属性を無属性にするのではなく(すなわち、オブジェクトの属性は変更されず)、オブジェクトの属性を活かしつつ所定の効果を発生させる。効果発生部14は、所定の効果を発生させたことを示す情報をゲーム制御部16に供給する。
【0044】
また、効果発生部14は、オブジェクトに設定された属性と、当該オブジェクトがゲーム内に存在しているフィールドのフィールド情報、及びゲームの所定のイベント情報からなる群から選択される少なくとも1つの環境情報との比較に基づいて所定の効果を決定することができる。
【0045】
所定の効果は、例えば、ゲームのフィールドに予め所定のフィールド情報を設定しておき、オブジェクトの属性とフィールド情報との比較に応じて決定される効果であってよい。つまり、効果発生部14は、ユーザが操作するオブジェクト(ユーザオブジェクト)と当該オブジェクトとは異なる他のオブジェクト(相手オブジェクト)との間においてユーザオブジェクトの属性と相手オブジェクトの属性との比較に基づくパラメータ補正を実行せず、ユーザオブジェクトの属性と環境情報との比較に基づく効果を発生させることができる。すなわち、ユーザオブジェクトの属性は変更されず、ユーザオブジェクトに設定されている属性を活用することができる。
【0046】
例えば、効果発生部14は、ゲームのフィールドの一部若しくは全部にフィールド情報が設定され、ユーザオブジェクトが当該フィールドの一部の領域内若しくは当該フィールド内に存在する場合に、オブジェクトに設定された属性と当該フィールドのフィールド情報とを比較して所定の効果を発生させることができる。具体的に、効果発生部14は、ユーザオブジェクトが存在しているフィールドの一部の領域若しくは当該フィールドの全領域の環境情報とユーザオブジェクトの属性とに対応付けて効果情報格納部206に格納されている効果情報を取得し、取得した効果情報が示す効果を発生させる。所定の効果としては、ユーザオブジェクトの所定のパラメータ(例えば、攻撃力や防御力等)が変更される効果、及び/又はバフ効果(例えば、ユーザオブジェクトに設定されている各種の能力値の上昇等、ゲーム中で有利な状態を発生させる効果)等が挙げられる。なお、効果発生部14は、所定の時間だけこの効果を発生させてもよい。
【0047】
一例として、ゲームのフィールドにフィールド情報として天候を示す特性が設定されている場合を説明する。この場合、例えば、ユーザオブジェクトの属性が「みず」である場合であって、ユーザオブジェクトが存在するフィールドの天候が「雨」である場合、効果発生部14は、ユーザオブジェクトの所定のパラメータ(例えば、攻撃力等)を向上させる効果を発生させることができる。なお、効果発生部14は、時間経過に応じ、初期のフィールド情報を変化させてもよい。例えば、フィールド情報が天候を示す情報である場合、時間経過と共に徐々に天候が悪化するようにすることや回復するようにし、係る天候の変化に応じて発生させる効果を変化させてもよい(一例として、天候が「雨」の場合、徐々に雨量を増加させ、それに伴いユーザオブジェクトのパラメータ(攻撃力等)を徐々に増加若しくは減少させることができる)。そして、効果発生部14は、一例として、所定時間経過後、変化させたフィールド情報を初期のフィールド情報に戻してもよい。
【0048】
また、切替部12がオブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を有効状態から無効状態へ切り替えた場合、効果発生部14は、所定の効果としてオブジェクトの属性ごとに予め定められた属性用の効果を発生させてもよい。すなわち、この場合において効果発生部14は、オブジェクトがキャラクタである場合はキャラクタIDに対応付けてキャラクタ情報格納部200に格納されている属性効果情報を参照し、この属性効果情報が示す属性用の効果を発生させることができる。また、オブジェクトがアイテムである場合はアイテムIDに対応付けてアイテム情報格納部202に格納されている属性効果情報を参照し、この属性効果情報が示す属性用の効果を発生させることができる。なお、効果発生部14は、属性効果情報がいかなる効果を発生するかについてユーザに事前に知覚可能に通知してもよい。これにより、ユーザがゲームにおいて自発的に目的(例えば、ゲーム内仮想通貨を獲得する目的、経験値を獲得する目的等)を設定し、当該目的に適したキャラクタやアイテムをユーザが所持した上でパラメータ補正を無効状態にすることで、自発的に設定した目的達成に向けてゲームを楽しむことができる。
【0049】
更に、切替部12がオブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を有効状態から無効状態へ切り替えた場合、効果発生部14は、ゲームのフィールド内に所定のオブジェクトを配置してもよい。このオブジェクトは、例えば、ユーザが操作するオブジェクトにとってゲーム内で有利になる効果を発揮するオブジェクト(サポートオブジェクト)、又はゲーム内における難易度を減少させる効果を発揮するオブジェクト(サポートオブジェクト)等であってよい。一例として、サポートオブジェクトは、ゲームが対戦型ゲームである場合、ユーザが操作するオブジェクトの攻撃や防御を支援するオブジェクトであってよい。
【0050】
(ゲーム制御部16)
ゲーム制御部16は、オブジェクト(つまり、キャラクタ及び/又はアイテム)を用いたゲームの実行を制御する。具体的に、ゲーム制御部16は、ユーザからの入力に応答してゲーム内におけるユーザが指定したオブジェクトの各種動作の制御、他のオブジェクトの各種動作の制御、切替部12による切替処理に応じたパラメータ補正の実行や停止等の制御、及び/又は効果発生部14が発生させた効果の反映処理等の各種の作用や動作を制御する。特に、ゲーム制御部16は、複数のオブジェクトのそれぞれに設定された属性を比較し、比較結果に基づいてゲーム中における所定のパラメータ補正を実行可能にする。
【0051】
例えば、ゲーム制御部16は、切替部12から受け取った切替部12により設定された有効状態若しくは無効状態を示す指示に応じ、ゲームの実行を制御する。具体的に、ゲーム制御部16は、切替部12から受け取った指示がパラメータ補正を無効状態にすることを示す場合、オブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を停止してゲームの実行を継続する。一方、ゲーム制御部16は、切替部12から受け取った指示が有効状態を示す場合、相性格納部204に一のオブジェクトの属性aと他のオブジェクトの属性bとに対応付けて格納されているパラメータ補正情報を用いてオブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を実施しつつ、ゲームの実行を継続する
【0052】
(抽選部18)
抽選部18は、抽選によりユーザにオブジェクトを提供する。抽選部18は、ユーザの抽選指示を入力部10から受け付けた場合に抽選処理を実行し、当選したオブジェクトをユーザに提供する。この場合に抽選部18は、当選したオブジェクトに関する情報を所持オブジェクト情報としてユーザIDに対応付けて所持オブジェクト情報格納部208に格納する。なお、抽選処理としては、従来公知の抽選処理を用いることができる。
【0053】
そして、抽選部18が所定のオブジェクトをユーザに提供する場合、効果発生部14は、切替部12がパラメータ補正を無効状態にした場合において、オブジェクトに対応付けて設定される所定の効果として、複数の所定の効果から、少なくとも一の所定の効果をユーザの選択に応じて発生可能にすることができる。つまり、効果発生部14は、抽選部18が所定のオブジェクトをユーザに提供する場合においてパラメータ補正が無効状態である場合、当該オブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正の効果、又は当該オブジェクトのバフ効果のいずれか少なくとも一方をユーザの選択に応じて変動可能にすることができる。例えば、効果発生部14は、抽選部18が所定のオブジェクト(当選オブジェクト)をユーザに提供する場合、当選オブジェクトの属性効果情報が示す所定の効果をユーザに有利に変更すること、及び/又は当選オブジェクトのゲーム内におけるバフ効果をユーザに有利に変更することができる。また、所持オブジェクト情報格納部208を参照して当選オブジェクトと同一のオブジェクトが既に格納されているか否かを確認し、効果発生部14は、所持オブジェクト情報格納部208に当選オブジェクトと同一のオブジェクトが既に格納されている場合、当選オブジェクトの属性効果情報が示す所定の効果をユーザに有利に変更すること、及び/又は当選オブジェクトのゲーム内におけるバフ効果をユーザに有利に変更することもできる。
【0054】
また、抽選部18は、抽選処理においてオブジェクトをユーザに提供する場合、オブジェクトの属性効果情報が示す所定の効果をユーザに有利に変更したオブジェクト用の抽選と、オブジェクトのゲーム内におけるバフ効果をユーザに有利に変更したオブジェクト用の抽選との双方若しくはいずれか一方をユーザに選択させることもできる。
【0055】
また、抽選部18は、オブジェクトの属性効果情報が示す所定の効果をユーザに有利に変更した当選オブジェクト、又はオブジェクトのゲーム内におけるバフ効果をユーザに有利に変更した当選オブジェクトのいずれかをユーザの選択に応じ、ユーザに提供することもできる。
【0056】
更に、効果発生部14は、抽選部18の抽選処理において当選オブジェクトをユーザに提供する場合、当選オブジェクトがキャラクタであるかアイテムであるかに基づいて、所定の効果向上処理を実行してもよい。例えば、効果発生部14は、抽選部18が当選オブジェクトをユーザに提供する場合、当選オブジェクトがキャラクタである場合は当該キャラクタのゲーム内におけるバフ効果を向上させ、この当選オブジェクトがアイテムである場合は当該アイテムの属性効果情報が示す属性用の効果を向上させてもよい。
【0057】
抽選部18は、抽選処理の実行前に、入力部10を介してユーザから抽選の種類の選択を受け付けた上で抽選処理を実行することもできる。例えば、抽選部18は、オブジェクトの属性効果情報が示す所定の効果をユーザに有利に変更したオブジェクトが当選する抽選と、オブジェクトのゲーム内におけるバフ効果をユーザに有利に変更したオブジェクトが当選する抽選とのいずれかをユーザに選択させた後、抽選を実行してもよい。
【0058】
[ゲームシステム1の処理の流れ]
図4は、本実施形態に係るゲームシステムにおける処理の流れの一例を示す。
【0059】
まず、入力部10は、ユーザがゲームで用いるオブジェクトであって所持オブジェクト情報格納部208に格納されているオブジェクトの選択指示をユーザから受け付ける(ステップ10。以下、ステップを「S」と表す。)。ゲーム制御部16は、ユーザに選択されたオブジェクトを用いてゲーム処理を実行する。そして、切替部12は、入力部10を介してユーザからオブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を有効状態にするか、無効状態にするかの指示を受け付ける(S12)。切替部12は、入力部10を介してユーザからオブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を有効状態にする指示を受け付けた場合(S12のYes)、パラメータ補正を有効状態にし、パラメータ補正を有効状態にしたことを示す情報をゲーム制御部16に供給する。そして、ゲーム制御部16は、パラメータ補正が有効である状態においてゲーム処理を続行する(S24)。つまり、ゲーム制御部16は、ユーザが操作するオブジェクトと他のオブジェクトとの間に所定の作用が発生した場合、ユーザが操作するオブジェクトの属性と他のオブジェクトの属性とを比較して、双方の属性に対応付けて相性格納部204に格納されているパラメータ補正情報を用い、ユーザが操作するオブジェクトのパラメータを補正した上でゲーム処理を続行する。
【0060】
一方、切替部12は、入力部10を介してユーザからオブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を無効状態にする指示を受け付けた場合(S12のNo)、パラメータ補正を無効状態にし(つまり、停止し)、パラメータ補正を無効状態にしたことを示す情報をゲーム制御部16及び効果発生部14に供給する。ゲーム制御部16は、パラメータ補正を無効状態にした状態でゲーム処理を続行する(S14)。また、効果発生部14は、ユーザが入力部10を介して指定したオブジェクトと当該オブジェクトとは異なる他のオブジェクトとの間において所定の作用が発生した場合(S16のYes)、オブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を実行せず、その代わりに所定の効果を発生させる(S18)。すなわち、効果発生部14は、ユーザが指定したオブジェクトに設定された属性が特定の属性であるか否かにかかわらず(つまり、各オブジェクトの属性間の比較を一律に停止し)、効果情報格納部206に属性と環境情報とに対応付けて格納されている効果情報に基づいて、オブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を実行せずに所定の効果を発生させる。
【0061】
一方、効果発生部14は、当該所定の作用が発生していない場合(S16のNo)、所定の作用の発生まで待機する。そして、ゲーム制御部16は、パラメータ補正を実行せずに所定の効果が発生する状況下でゲーム処理を続行する(S20)。切替部12は、次にユーザによるパラメータ補正を有効状態にする操作があるまでパラメータ補正の無効状態を継続する(S22のNo)。つまり、切替部12は、一度、パラメータ補正を無効状態にした場合は、再度のユーザによるパラメータ補正を有効状態にする指示がない限り、パラメータ補正の無効状態を継続する。ゲーム制御部16は、所定の効果が発生する状況下でゲーム処理を続行する。
【0062】
なお、効果発生部14は、切替部12が一度、パラメータ補正を無効状態にした場合において、ユーザが操作するオブジェクトと当該オブジェクトとは異なる他のオブジェクトとの間において所定の作用が複数回、若しくは繰り返し発生する場合、所定の効果を複数回、若しくは繰り返し発生させることが好ましい。これにより、ゲーム内において所定のクエスト等が実行される場合において、効果発生部14は、ユーザのオブジェクトの所定の行動(他のオブジェクトに対する所定の作用)が複数回発生したとしても、所定の効果を都度、発生させることができる。
【0063】
また、切替部12は、ゲーム内においてユーザが所定の条件を達成した場合に、パラメータ補正を有効状態若しくは無効状態のいずれかに切替えることを事前にユーザに通知した上で、ユーザからの指示なしに、パラメータ補正を有効状態若しくは無効状態のいずれかに切替えてもよい。所定の条件とは、例えば、ユーザが一定時間プレイしたことや、ユーザが操作するオブジェクトが一定のレベルに達したこと、若しくはユーザが所定のアイテムを獲得したことや、所定のクエストをクリアしたこと等である。
【0064】
切替部12は、ユーザによるパラメータ補正を有効状態にする操作があった場合(S22のYes)、パラメータ補正を有効状態にする。そして、ゲーム制御部16は、パラメータ補正が有効である状態においてゲーム処理を続行する(S24)。
【0065】
[実施の形態の効果]
本実施形態に係るゲームシステム1は、オブジェクトの属性の比較によるパラメータ補正を無効状態にできると共にパラメータ補正を無効状態にした場合に所定の効果(当該オブジェクトを操作しているユーザにとって有利な効果)を当該オブジェクトに発生させることができる。これにより、ゲームシステム1は、ユーザが属性間の対応関係について記憶することが難しい場合であっても、所定の効果を発生させることができるので、ユーザはゲームを楽しむことができる。また、ゲームシステム1によれば、パラメータ補正を任意のタイミングで無効状態にするだけで自身のオブジェクトに有利な効果を発生させることができるので、ゲームごとに属性の種類や属性間の対応関係が異なっていたとしても、また、属性間の対応関係のパターンを記憶することが困難であってもユーザは対応関係のパターンを記憶せずに簡単にゲームを楽しむことができる。
【0066】
[ゲームプログラム]
図1図4に示した本実施形態に係るゲームシステム1が備える各構成要素は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)等の演算処理装置にプログラム(すなわち、ゲームプログラム)を実行させること、つまり、ソフトウェアによる処理により実現できる。また、集積回路(Integrated Circuit:IC)等の電子部品としてのハードウェアにプログラムを予め書き込むことで実現することもできる。なお、ソフトウェアとハードウェアとを併用することもできる。
【0067】
本実施形態に係るゲームプログラムは、例えば、ICやROM等に予め組み込むことができる。また、ゲームプログラムは、インストール可能な形式、又は実行可能な形式のファイルで、磁気記録媒体、光学記録媒体、半導体記録媒体等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータプログラムとして提供することもできる。プログラムを格納している記録媒体は、CD-ROMやDVD等の非一過性の記録媒体であってよい。更に、ゲームプログラムを、インターネット等の通信ネットワークに接続されたコンピュータに予め格納させ、通信ネットワークを介してダウンロードによる提供ができるようにすることもできる。
【0068】
本実施形態に係るゲームプログラムは、CPU等に働きかけて、ゲームプログラムを、図1図4にかけて説明した入力部10、切替部12、効果発生部14、ゲーム制御部16、抽選部18、格納ユニット20、キャラクタ情報格納部200、アイテム情報格納部202、相性格納部204、効果情報格納部206、及び所持オブジェクト情報格納部208として機能させる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組み合わせの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。更に、上記した実施形態の技術的要素は、単独で適用されてもよいし、プログラム部品とハードウェア部品とのような複数の部分に分割されて適用されるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 ゲームシステム
10 入力部
12 切替部
14 効果発生部
16 ゲーム制御部
18 抽選部
20 格納ユニット
200 キャラクタ情報格納部
202 アイテム情報格納部
204 相性格納部
206 効果情報格納部
208 所持オブジェクト情報格納部
図1
図2
図3
図4