(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】電子天びん用の風防
(51)【国際特許分類】
G01G 21/28 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
G01G21/28
(21)【出願番号】P 2022550099
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2020035115
(87)【国際公開番号】W WO2022059101
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】522193547
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【氏名又は名称】簾内 里子
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【氏名又は名称】川野 由希
(72)【発明者】
【氏名】織田 久則
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-215318(JP,A)
【文献】特開2010-266436(JP,A)
【文献】特開2011-161531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0157287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面ガラス、
左右側壁を構成して、前後方向にスライドして自動開閉なドア、
天井ドア、
および前記前面ガラスの対向に配置され、前記前面ガラス、前記ドアおよび前記天井ドアと協働して秤量室を画成するハウジング、
とを備え、
前記ハウジングは、前記秤量室と略同高さに構成され、
前記ハウジングの天井の左右の側縁部から前記秤量室の左右の側縁部に跨って、前記ドアをスライド可能に懸吊する懸吊機構、および前記ドアを進退動作させる駆動手段が配設され、
前記ハウジング内に、前記駆動手段の駆動源が収容されており、
前記ハウジングの下方に底上げ部材が配置されて、前記ハウジングを所定の高さに嵩上げすることで、嵩上げされた秤量室の高さに整合する高さの異なる別の風防に適応
でき、
前記ハウジングは、該ハウジングの天井の左右の側縁部から前記秤量室の天井の左右の側縁部に沿って前後方向に延出するガイドレールを備えたガイドフレームと、
前記ガイドフレームに組付けられて、前記ガイドレールに沿って進退動作可能なスライダと、
前記スライダと前記ドアの間に設けられ、連結・解除が可能な一対の連結部材と、
前記ガイドフレームに内蔵されて、前記スライダを進退動作させるエアシリンダと、
を有し、
前記ハウジング内には、前記エアシリンダへの駆動源である圧力ポンプが収容されている、
ことを特徴とする電子天びん用の風防。
【請求項2】
前記ドアおよび前記前面ガラスは、取り外し自在に構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子天びん用の風防。
【請求項3】
前記ハウジングと前記底上げ部材は、上方ほど幅が狭くなる外側面をもつ略四角錐台形状に形成されている、
ことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の電子天びん用の風防。
【請求項4】
前記ハウジングにも前記底上げ部材にも係合可能であり、最下方に配置されて、電子天びんに直接載置されるベース部材を備え、
前記底上げ部材は、前記ハウジングと前記ベース部材の間に介装される、
ことを特徴とする請求項1~
請求項3のいずれかの請求項に記載の電子天びん用の風防。
【請求項5】
前記ベース部材において、前記ハウジングまたは前記ベース部材が係合する領域は、周縁部が高くなるように構成されている、
ことを特徴とする
請求項4に記載の電子天びん用の風防。
【請求項6】
前記ハウジングと前記底上げ部材、前記底上げ部材と前記ベース部材の係合機構は、同一形態であり、同鉛直軸上に設けられる、
ことを特徴とする
請求項4または請求項5に記載の電子天びん用の風防。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアが自動開閉可能であり、異なる高さの秤量室を、低コストで構成し得る電子天びん用の風防に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動で開閉する扉を有する風防が、秤量精度の高い電子天びんに用いられている。風防で秤量皿を覆うことで、精度低下の要因の一つである秤量皿周囲の空気の流動を防ぐことができ、また自動で扉を開閉させることで、秤量作業の作業性を向上させている。
【0003】
試料を秤量皿に載置するために扉を開閉した際には、秤量室内には空気の流動が発生し、扉を閉めた後に空気の流動が許容可能な範囲まで弱まるのを待つ必要がある。この空気の流動は、秤量室の容積(特に高さ)が大きい程強くなるとともに、弱まるのには長時間かかる傾向にある。したがって、秤量に関して、最良の秤量精度と動作速度を達成するために、秤量室の容積(特に高さ)は、秤量作業や試料に合わせて、適切なものであることが好ましい。秤量室の高さは、ドアが開いた時の秤量室の空気の流入出量に比例するため、秤量室の高さが適切であることが重要となる。秤量室の構成は、扉手動開閉の風防では、例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では扉は手動開閉である。扉を自動開閉させる機構は複雑で、自動開閉する扉を備える風防は、それぞれの秤量室の大きさごとに設計、生産されておりコストが高い。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、扉の自動開閉機構を備え、異なる高さの秤量室を、低コストで構成し得る風防を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本開示のある形態においては、前面ガラス、左右側壁を構成して、前後方向にスライドして自動開閉なドア、天井ドア、および前記前面ガラスの対向に配置され、前記前面ガラス、前記ドアおよび前記天井ドアと協働して秤量室を画成するハウジング、とを備え、前記ハウジングは、前記秤量室と略同高さに構成され、前記ハウジングの天井の左右の側縁部から前記秤量室の左右の側縁部に跨って、前記ドアをスライド可能に懸吊する懸吊機構、および前記ドアを進退動作させる駆動手段が配設され、前記ハウジング内に、前記駆動手段の駆動源が収容されており、前記ハウジングの下方に底上げ部材が配置されて、前記ハウジングを所定の高さに嵩上げすることで、嵩上げされた秤量室の高さに整合する高さの異なる別の風防に適応できるよう電子天びん用の風防を構成した。
【0008】
この態様によれば、ドアを懸吊する懸吊機構、およびドアを進退動作させる駆動手段が、ハウジングの側縁部に配設されている。ドアを自動開閉させる構成要素がハウジングに備えられている。このため、ハウジングの下に底上げ部材を配置することにより、自動開閉するドアを有する、高さの異なる秤量室を画成する風防に適応可能となっている。この構成により、ドアが自動開閉でありながら、容易に高さの異なる秤量室を構成でき、秤量室の大きさ毎に風防を設計する必要がなくなる。異なる高さの秤量室を、低コストで構成し得る。
【0009】
また、ある態様では、前記ドアおよび前記前面ガラスは、取り外し自在に構成した。この態様によれば、ドアが自在に取り外し可能であるため、違う高さのドアを用いて秤量室を構成することが、より容易となる。
【0010】
また、ある態様では、前記ハウジングは、該ハウジングの天井の左右の側縁部から前記秤量室の天井の左右の側縁部に沿って前後方向に延出するガイドレールを備えたガイドフレームと、前記ガイドフレームに組付けられて、前記ガイドレールに沿って進退動作可能なスライダと、前記スライダと前記ドアの間に設けられ、連結・解除が可能な一対の連結部材と、前記ガイドフレームに内蔵されて、前記スライダを進退動作させるエアシリンダとを有し、前記ハウジング内には、前記エアシリンダへの駆動源である圧力ポンプが収容されるように構成した。この態様によると、連結部材の介在によりドアが駆動源であるエアシリンダに連結されており、連結を解くだけでドアの取り外しが可能となる。また、ドアの駆動機構にエアシリンダを用いて、ドアをガイドレールに懸吊支持しており、駆動機構が細長く、またガイドレールに沿って配置され、見栄えが良い。また駆動源であるポンプは、ハウジング内に配置され、開閉の振動が秤量に与えるのを防止している。
【0011】
また、ある態様では、前記ハウジングと前記底上げ部材は、上方ほど幅が狭くなる外側面をもつ略四角錐台形状に形成されているよう構成した。この態様によれば、構成部品が2以上あると部品の境目に隙間が生じて、コンタミネーション問題が発生しやすく、これを抑制できる。
【0012】
また、ある態様では、前記ハウジングにも前記底上げ部材にも係合可能であり、最下方に配置されて、電子天びんに直接載置されるベース部材を備え、前記底上げ部材は、前記ハウジングと前記ベース部材の間に介装されるように構成した。ベース部材を用いることで、風防を電子天びんに係合や固定をさせやすくすることができる。
【0013】
また、ある態様では、前記ベース部材において、前記ハウジングまたは前記ベース部材が係合する領域は、周縁部が高くなるように構成した。この態様によれば、周縁部が高いため、ごみや風がハウジング内に入り込みにくい。
【0014】
また、ある態様では、前記ハウジングと前記底上げ部材、前記底上げ部材と前記ベース部材の係合機構は、同一形態であり、同鉛直軸上に設けられるものとした。これにより、ベース部材にハウジングも底上げ部材も係合可能であり、同一形態で同鉛直軸上であるため、係合も容易である。
【発明の効果】
【0015】
上記構成によれば、ドアが自動開閉可能であり、異なる高さの秤量室を、低コストで構成し得る電子天びん用の風防を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の好適な実施形態に係る風防を備える電子天びんの部分破断斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った端面図である。
【
図6】ドアの懸吊機構を説明するための説明図であり、
図5のVI-VI線で、一部を破断した部分断面斜視図である。
【
図7】風防付き電子天びんの制御系のブロック図である。
【
図11】ドア半開機能を説明するための説明図である。
【
図12】
図1に示す電子天びんの分解斜視図である。
【
図13】正面ガラスの接続機構を示す説明図である。
【
図14】左右のドアの接続機構を示す説明図である。
【
図15】リアケース(ベース本体と底上げ部材)の構成を示す分解斜視図である。
【
図16】リアケース(底上げ部材とメインケース)の構成を示す分解斜視図である。
【
図17】リアケースの
図4のXVII-XVIIに沿った端面図である。
【
図18】作用効果を説明するための説明図であり、別の実施形態に係る電子天びんの部分破断斜視図である。
図1に対応する。
【
図21】
図18のXXI-XXI線に係る端面図であり、リアケースのみを示す。
図17に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(風防付き電子天びんの構成)
以下、本開示の構成に係る好ましい実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態に係る風防10を備える電子天びん1の部分破断斜視図である。
【0018】
図1に示すように、電子天びん1は、天びん本体30と、風防10とを備える。天びん本体30は、その上面に試料を載置するための秤量皿31を備える。秤量皿31の下部には、秤量機構3が備えられている。秤量機構3には従来周知の構成が用いられているため、説明は省略する。
【0019】
風防10は、秤量皿31の周囲を囲うように天びん本体30の上面に配置され、秤量皿31の周囲の空気の流動、たとえばエアコンの風、秤量時の人の息、人が歩くときに発生する空気の流れなど、秤量皿31を中心とした荷重負荷部分に風圧として作用して、計量に影響を与えるのを防ぐ。
【0020】
風防10は電子天びん30に着脱可能に備えられており、着脱機構には従来周知に構成、例えば特開2008-216047号公開の構成が使用されているが、これに限らず、また風防10と電子天びん30とが分離不可に一体化して構成されていても構わない。
【0021】
風防10は無底箱型で、前面に正面ガラス12、背部の上方には箱型のメインケース18、背部の下方には底上げ部材80、左右の側壁の一部にドア11、上面に上面ドア13を有し、これらによって区画された空間として、内部に直方体形状の秤量室S1が形成される。
【0022】
略直方体形状である風防10の左右の上辺を構成するように、シリンダボックス20が設けられている。シリンダボックス20は、メインケース18に直接配置される上部フレーム17を含み、上部フレーム17は長手方向を合わせてシリンダボックス20に係合して一体化している。シリンダボックス20は、中空の筐体であり、内部にはドア11を開閉させる駆動手段であるエアシリンダ40が納められている。
【0023】
エアシリンダ40は複動型であり、内部のピストンの往復運動は、往きと帰りの両方がエア圧力によってなされるため、エアシリンダ40内にエアを送るポートは二箇所に設けられている。エアシリンダ40の前方側には送られたエアによりピストンを後方へと進ませるための後進側ポート46が、後方側にはピストンを前方へと送るための前進側ポート44が、それぞれ設けられている。前進側ポート44,後進側ポート46には図示しないエアチューブが接続され、メインケース18内へと繋がっている。
【0024】
メインケース18は、内部に風防10の構成部品を収納するハウジングであり、メインケース18の内部には、エアシリンダ40の動力源(ポンプ)やエアの流止を制御する電磁弁、およびこれらを制御する制御部34などが納められている。
【0025】
底上げ部材80は、メインケース18を嵩上げするための部材であり、内部には強度向上のためにリブが設けられてるだけで、何も配置されていない。底上げ部材80の下部にはさらに風防10の下部の枠部材であるベース部材14が配置されている。ベース部材14の後方領域に、底上げ部材80が配置され、底上げ部材80の上方にメインケース18が配置され、それぞれ隣接する部材同士が係合して一体化している。
【0026】
ドア11は、ベース部材14の側方端部の領域に設けられたレール14aに沿って、前後方向に移動可能となっている。上面ドア13は風防10の上部の左右辺にあるシリンダボックス20に設けられたレール20aに沿って、前後方向に移動可能となっている。
【0027】
正面ガラス12、上面ドア13、及び左右のドア11は、内部の状態が観察可能なように透明なガラス又は樹脂で構成されている。上面ドア13およびドア11には、それぞれスライドを補助する取手が取り付けられている。上面ドア13は手動にて開閉可能であり、左右側面のドア11は、自動及び手動にて開閉可能に構成されている。上面ドア13は開閉可能に構成されるが、移動せず秤量室の天井を構成するだけでも問題ない。
【0028】
コントロールパネル35は、天びん本体30及び風防10を操作するためのものであり、天びん本体30および風防10とは別体で設けられている。これは、スイッチを押すなど操作の振動が秤量に影響を与えることを防ぐためである。別体であるため、ユーザーは操作し易い位置に自由に配置することができる。信号送受信のための無線通信機能を備えるが、有線にて信号を送受信しても構わない。
【0029】
コントロールパネル35は、秤量結果や状態を表示する表示部38、操作用の押圧スイッチ37、赤外線センサ36を備える。赤外線センサ36は、ドア11の開閉スイッチであり、上部に手をかざすだけでドア11を自動で開閉させることができる。赤外線センサ36の代わりに押圧スイッチを設けても良く、また押圧スイッチと赤外線センサ36の両方を備えるよう構成しても好ましい。赤外線センサ36に、ドア11開閉機能以外の天びん操作機能を割り当てても良い。赤外線センサ36を左右二つ設け、それぞれが対応するドア11を開閉させるように構成してもよい。
【0030】
(ドアの構造)
まずはドア11の構造、およびドア11の自動開閉機構ついて説明する。
図2は電子天びん1の右側面図である。
図3は
図2中のIII-III線に沿った端面図である。内部構造は省略しており、左右対称形態であるため、右側半分のみを示し、左側半分は省略した。
図3の拡大図については後述する。
図4は電子天びん1の背面図である。
図5は、
図4のD部拡大図である。
図6はドア11の形状や構成を説明するための説明図であり、ドア11、シリンダボックス20、上部フレーム17のみを示し、シリンダボックス20及び上部フレーム17を
図5のVI-VI線に沿って切断した部分断面斜視図である。
【0031】
図2に示すように、ドア11の上部前端の角部には、連結部材90が配置されている。連結部材90は第1係止部材91を有し、ドア11は、第1係止部材91によって連結部材90に着脱自在に連結されている。ドア11と連結部材90が連結された状態では、両者は一体となって移動する。連結部材90の上部はシリンダボックス20内でドア11の駆動手段であるエアシリンダ40と連結されており、ドア11は連結部材90を介してエアシリンダ40と接続され、エアシリンダ40の駆動により開閉する。まずは、ドア11と連結部材90とが連結された状態であり一体となって移動するものとして説明する。連結部材90の着脱機構については後述する。
【0032】
図3に示すように、シリンダボックス20の内壁にはエアシリンダ40の形状に合わせて凹部が形成されており、ここにエアシリンダ40が係合して固定される。またシリンダボックス20は上部にカバー20eを備え、カバー20eを押さえとしてレール20aを形成している。
【0033】
図4に示すように、メインケース18の背面にはこれらに命令の送受信や電力の供給のためのコネクタ口8が設けられている。同様に、天びん本体30の背面にはコネクタ口7が設けられている。風防10は天びん本体30と、コネクタ口8,7で、ケーブルにて接続される。
【0034】
図4、
図5、および
図6に示すように、上部フレーム17は、一方向に長い略直方体部材で、メインケース18の上部の左右の縁部に設けられた凹部18kに沿って配置される。シリンダボックス20は背面視して逆L字型を押し出した外形を有し、上辺部分が上部フレーム17の上面に載置され、内側面が上部フレーム17の側面に当接して、逆L字の直角部分が上部フレーム17の角部に係合し、上部フレーム17と長手方向を合わせて固定されている。
【0035】
シリンダボックス20は底面を有さず(
図3および
図5参照)、ドア11の上部がシリンダボックス20内部に入り込んで配置されている。シリンダボックス外側面20bの下端部には内側に向けて内フランジ部20cが長手方向の全長にわたって形成されている。また、上部フレーム17の外側面17bの下部には、内フランジ部20cに対向して長手方向(前後方向)の全長にわたって伸びる凸部17cが形成されている。
【0036】
ドア11は全体の外縁部に備えられるホルダー16に保持される。ホルダー16の上部の前後二箇所には、ドア11のスライド方向(前後方向)に直交して、ドア11の厚み方向(左右方向)に突き出た保持部5が形成されている。ドア11の上部が内フランジ部20cと凸部17cとの間に形成されたスリット(以下、ガイド孔20dと呼ぶ)に入り込み、ホルダー16の保持部5が、内フランジ部20cと凸部17cとに係合し、ドア11を懸吊保持している。これにより、ドア11はベース部材14に形成されたレール14a底面からは離間して配置され、ガイド孔20dに沿ってスライド可能に保持される。レール14aにゴミや砂等が侵入すると、ドア11開閉時の摺動抵抗が大きくなって開閉が困難になる問題があるが、ドア11自体を上部から吊るすことでこれを防止している。
【0037】
内フランジ部20cと凸部17cは、正対せずに上下方向に僅かにオフセットされて形成されており、内側である凸部17cの方が内フランジ部20cよりも僅かに高い位置にある。これは、保持部5がドア11の上部から左右同じ高さに突き出して、ドア11が左右どちらにも振れ易い状態にするよりも、僅かに内側を高くしてドア11を内側に傾けさせて、ドア11の下部をレール14a側面に当接させて、ドア11の姿勢を安定して保持するためである。このように構成することで、移動させてもドア11が振れることがなく、ドア11の開閉の際にも、同じ姿勢を維持した状態で移動させることができ、不用意なドア11の摺動を防止することができる。
【0038】
ドア11の保持部5は、内フランジ部20cと凸部17cに合わせて形成されており、外側配置された内フランジ部20c側に向かって突出して形成される第1係合部16b、内側配置された凸部17c側に向かって突出して形成される第2係合部16c、さらに第2係合部16cの下方にオフセットされて形成される第3係合部16dからなる。
【0039】
第3係合部16dは、第2係合部16cと併せて凸部17cを挟むように形成されるが、第3係合部16dは、凸部17c底面とは離間するよう隙を持たせて形成されている。
【0040】
内フランジ部20cおよび凸部17cはドア11を懸吊する機構であり、ドア11はこれに沿ってスライドされるガイドレールである。本実施形態においては、ドア11の懸吊機構やガイドレールをこのように構成したが、平板に形成されたスリットにT字に形成された保持部5が係合する形態や、保持部5をフック状として凸状レールに係合させる形態など、他の従来周知の構成を用いても構わない。
【0041】
図6に示すように、ドア11の前端上部に配置された連結部材90にも、保持部5が形成されており、連結部材90もドア11と同様にガイド孔20dにスライド可能に懸吊支持される。連結部材90の上部には、ホルダー16の上面よりも上方に突出した駆動機構結合部90aが形成されており、さらに駆動機構結合部90aの中央にはドア11のスライド方向に沿った結合孔90bが形成されている。エアシリンダ40内のピストンから延在するピストンロッド40aの先端が、この結合孔90bに嵌合して固定されている。ピストン(ピストンロッド40a)が連結部材90を介してドア11と接続され、ピストンがエアにより前後に移動することで、連結部材90及びこれに連結されたドア11が、ガイド孔20dに沿ってスライドする。このようにして、ドア11はエアシリンダ40を駆動手段として開閉する。
【0042】
ここで、ホルダー16が内フランジ部20cと係合した状態においても、エアシリンダ40はホルダー16の上面とは接触せず、ホルダー16とは離間して固定されているため(
図5参照)、エアシリンダ40はドア11の動きを邪魔しない。また、駆動機構結合部90aはホルダー16上面よりも上方に突出しているが、駆動機構結合部90aはピストンロッド40aの先端に固定されているため、エアシリンダ40下方に入り込むことはなく、またシリンダボックス20内の駆動機構結合部90aの経路も確保されているため、シリンダボックス20と駆動機構結合部90aが干渉することはない。
【0043】
ドア11の駆動手段であるエアシリンダ40は、ドア11のほぼ真上に、ドア11のスライド方向と平行に配置されている。連結部材90はホルダー16と一体化しており、また連結部材90でエアシリンダ40に連結されている。モータではなく、エアシリンダ40が駆動手段を使用することで、プーリーやゴムベルト等を介さずに直接ドア11を移動させることができる。このため、力の伝達率がよく、僅かな力でドア11を開閉させることができ、ドア11をスムーズに開閉させることができる。
【0044】
(ブロック図)
ドア11の自動開閉機構について詳しく説明する。
図7は電子天びん1の制御機構のブロック図である。
図8は、ドア11を開閉させる開閉機構60のブロック図である。
【0045】
図7に示すように、電子天びん1は制御部34を備える。そして、制御部34は、秤量機構3、風防10に設けられ、開閉機構60を構成する第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B、第1圧力センサ64A、第2圧力センサ64B、第1一方電磁弁66A、第2一方電磁弁66B、さらにコントロールパネル35に設けられた、押圧スイッチ37、赤外線センサ36、入力部39、表示部38、およびこれら構成要素を全て制御する。制御部34は、入力された信号を基に各種命令信号を生成する。本実施形態では制御部34は風防10と天びん本体30の両方を制御するが、風防10に風防用制御部を用いて、開閉機構60を制御させて、風防10と天びん本体30はそれぞれ独立して制御される構成としても良い。またドア11の開閉スイッチである赤外線センサ36、押圧スイッチ37を風防10に直接設けても良い。
【0046】
図8に示す開閉機構60はドア11を開閉させるための機構であり、左右のドア11はそれぞれ開閉機構60を備え、接続された開閉機構60により独立して制御される。本実施形態では、エアシリンダ40の内部のピストン(さらにはピストンから延在するピストンロッド40a)を前方へ移動(前進)させるポンプと後方へ移動(後進)させるためのポンプは、別々に存在する。
【0047】
開閉機構60は、第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B、第1圧力センサ64A、第2圧力センサ64B、第1一方電磁弁66A、第2一方電磁弁66B、およびエアシリンダ40を備える。エアシリンダ40はピストンロッド40aを介してドア11に接続される。
【0048】
第1加圧ポンプ62A,第2加圧ポンプ62Bは、共にエアポンプである。エアシリンダ40の駆動源であり、エアを圧縮してエアシリンダ40に送り、エア圧力によりピストンを動かしてドア11を移動させる。
【0049】
第1一方電磁弁66A,第2一方電磁弁66Bは、弁の出口側は大気に開放されており、弁の開閉によりエアの流止を制御する。
【0050】
第1圧力センサ64Aは第1加圧ポンプ62Aから吐出されたエアの圧力を、第2圧力センサ64Bは、第2加圧ポンプ62Bから吐出されたエアの圧力を、それぞれ監視する。第1圧力センサ64Aおよび第2圧力センサ64Bは、それぞれエアシリンダ40に接続されているため、換言すれば圧力センサは、エアシリンダ40に供給されるエアの圧力、エアシリンダ内のエアの圧力を監視している。
【0051】
エアシリンダ40の後方に設けられた前進側ポート44には、第1加圧ポンプ62Aが接続されている。途中分岐があり、さらに第1圧力センサ64Aと第1一方電磁弁66Aが接続されている。エアシリンダ40の前方に設けられた後進側ポート46には、第2加圧ポンプ62Bが接続されている。途中分岐があり、こちらには第2圧力センサ64Bと第2一方電磁弁66Bが接続されている。
【0052】
ドア11の駆動源であるエアシリンダ40はシリンダボックス20内に配置され、その他の制御系の構成要素、即ち、第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B、第1圧力センサ64A、第2圧力センサ64B、第1一方電磁弁66A、第2一方電磁弁66B、およびこれらの動作を制御する制御部34は、全てをメインケース18に内部に配置される。
【0053】
(ドア開閉時の動作)
次にドア11自動開閉時における各構成要素の動作を説明する。
図9は、開閉機構60の動作表である。
【0054】
まず、使用者が手動でドア11を開閉可能な「標準状態」では、第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B共に作動せず、第1一方電磁弁66Aおよび第2一方電磁弁66Bは、開かれている。両加圧ポンプ(62A,62B)が動作せず、両一方電磁弁(66A,66B)が開いて大気と連通しているため、全くエアシリンダ40からの負荷はなく、ドア11を手動でスムーズに開閉させることが出来る。
【0055】
コントロールパネル35の赤外線センサ36より、「ドアを開ける/閉じる」の命令が入力されると、制御部34は各要素に動作を命令する。
【0056】
ドア11を開ける「自動開操作」の場合、即ち、エアシリンダ40のピストンを後方へ移動させる場合、第2一方電磁弁66Bは閉じられ、第2加圧ポンプ62Bの加圧が開始される。このとき、第1加圧ポンプ62Aは作動せず、第1一方電磁弁66Aは開かれているため、エア圧力によりピストンは後方へ移動し、ドア11が開かれる。
【0057】
ドア11が開ききると、エア圧力が急激に上昇するため、この変化を第2圧力センサ64Bが検知すると、第2加圧ポンプ62Bは停止させられ、第2一方電磁弁66Bが開かれ、エアシリンダ内の圧縮されたエアが大気に開放され、標準状態に戻る。
【0058】
ドア11を閉じる「自動閉操作」の場合、即ち、エアシリンダ40内のピストンを前方へ移動させる場合、第1一方電磁弁66Aは閉じられ、第1加圧ポンプ62Aの加圧が開始される。このとき、第2加圧ポンプ62Bは動作せず、第2一方電磁弁66Bは開かれているため、エア圧力によりピストンは前方へ移動し、ドア11が閉じられる。
【0059】
ドア11が閉じきると、やはりエア圧力が急激に上昇するため、この変化を第1圧力センサ64Aが検知すると、第1加圧ポンプ62Aは停止させられ、第1一方電磁弁66Aが開かれ、エアシリンダ内の圧縮されたエアが大気に開放され、標準状態に戻る。
【0060】
また、校正作業時には自動でドア11がロックされる。押圧スイッチ37からの命令でドア11がロックされるように構成してもよい。校正時に限らず、運搬時にも、ドア11をロックすることができる。
【0061】
一方の加圧ポンプが可動時にはもう一方の加圧ポンプは可動せず、一方の電磁弁のみ閉じられ、もう一方の電磁弁は開いて大気と連通している。可動していたポンプが停止すると、閉じていた電磁弁は開いて大気に連通する。即ち、加圧ポンプが停止した際には、全一方電磁弁が開かれて大気に連通するように構成されている。ドア11が自動で開閉された後には、エアは大気に開放され、ドア11にかかる負荷が無くなり、ドア11を手動でスムーズに移動させることが可能となる。ドア11は自動開閉可能でありながら、自動開閉された後には、特別な操作なしに即座に手動開閉が可能となる。
【0062】
(フローチャート)
次に、ドア11開閉動作の流れを、
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0063】
ステップS101で、ドア11開閉のスイッチであるコントロールパネル35の赤外線センサ36から、ドア11開閉の命令信号が入力される。信号が入力されない場合は、入力されるまで待機する。
【0064】
命令が入力されると、ステップS102に移行し、ドア位置が閉位置であるか開位置であるかが確認される。本実施形態では、制御部34は、直前のドア11の開閉動作を記憶しており、その内容によって判断する。
【0065】
本実施形態においては、ドアは手動でも開閉可能であるため、「閉位置」とは完全に閉じられた状態を示し、「開位置」とは、わずかでも扉が開いている状態、即ち、閉状態ではない状態を示す。このため、ドア11の閉位置に位置センサを設置して、ドア11が閉位置であるか否かを検知するように構成してもよい。
【0066】
まずドア11が閉位置にあった場合(ステップS103~ステップS108)について説明する。
【0067】
ステップS103に移行し、閉位置にあるドア11を開けるため、ドア11の「自動開操作」が実施される。具体的には、第2一方電磁弁66Bが閉じられ、第2加圧ポンプ62Bの動作が開始される。この時、第1一方電磁弁66Aは開かれたままで、第1加圧ポンプ62Aは作動しない(
図8、
図9参照)。
【0068】
次にステップS104に移動し、ドア11が移動を開始したかが確認される。ドア11が移動を始めるとエア圧力が急激に降下するため、第2圧力センサ64Bの値が所定時間内、例えば1秒以内に急激に降下することで、ドア11が開動作を開始したと判断される。所定時間内にドア11の移動開始がなされない場合には、制御部34は「ドア11は既に開いている」と判断し、ステップS109に移行し、今度は「自動閉操作」を開始する(後述)。あるいは、第2圧力センサ64Bの値が所定の値を超えたことで、ドアが移動を開始していないと判断するよう構成してもよい。ドア11の直前の位置は記憶されているが、本実施形態では手動による開閉も可能であり、使用者によりドア11の位置が移動している場合がある。そのような場合やドア11位置の誤判断がこのステップS104により担保される。
【0069】
ドア11の移動が開始されると、ステップS105に移行し、ドア11の開動作が終了したかが確認される。ドア11の移動が完了すると、エア圧力が再び上昇するため、第2圧力センサ64Bの値が所定時間内に再び上昇することで、ドア11の開動作が終了したと判断される。所定時間内に第2圧力センサ64Bの値が上昇しない場合は、エア漏れや故障が疑われるため、エラー処理を行うために、ステップS106に移行する。
【0070】
ステップS106では、エラー処理として、警告音が発され、表示部38にエラーが表示され、第2加圧ポンプ62Bの動作が停止され、第2一方電磁弁66Bが開かれ、緊急停止する。
【0071】
エア圧力上昇によりドア11の開動作の完了が確認された場合には、ステップS107に移行し、第2加圧ポンプ62Bの動作が停止され、第2一方電磁弁66Bが開かれ、自動操作が正常に終了する。
【0072】
最後にステップS108に移動し、標準状態となり手動での開閉が可能となる。
【0073】
次に、ステップS102でドア11が開位置にあった場合(S109~S113)を説明する。
【0074】
ステップS109に移行し、開位置にあるドア11を閉めるため、ドア11の「自動閉操作」が実施される。具体的には、第1一方電磁弁66Aが閉じられ、第1加圧ポンプ62Aの動作が開始される。この時、第2一方電磁弁66Bは開かれたままで、第2加圧ポンプ62Bは作動しない(
図8、
図9参照)。
【0075】
次にステップS110に移行し、ドア11が移動を開始したかが確認される。ステップS104同様、第1圧力センサ64Aの値が所定時間内に急激に降下することで、ドア11が閉動作を開始したと判断される。所定時間内にドア11の移動が開始されない場合には、制御部34は「ドア11は既に閉じている」と判断し、ステップS103に移行し、今度は「自動開操作」を開始する。このステップS110も、ステップS104同様、手動開閉によるドア11位置の移動などの場合や誤判断の担保である。
【0076】
ドア11の移動が開始されると、ステップS111に移行し、ドア11の閉動作が終了したかが確認される。ドア11の移動の完了は、第1圧力センサ64Aが所定時間内に第1圧力センサ64Aの値が再び上昇することで判断される。所定時間内に第1圧力センサ64Aの値が上昇しない場合は、やはりエラー処理を行うため、ステップS112に移行する。所定時間内に第1圧力センサ64Aの値の上昇によりドア閉動作の完了が確認された場合には、ステップS113に移行する。
【0077】
ステップS112では、エラー処理として、警告音が発され、表示部38にエラーが表示され、第1加圧ポンプ62Aの動作が停止され、第1一方電磁弁66Aが開かれ、緊急停止する。
【0078】
所定時間内に第1圧力センサ64Aの値の上昇が確認された場合には、ステップS113に移行し、第1加圧ポンプ62Aの動作が停止され、第1一方電磁弁66Aが開かれる。
【0079】
最後にステップS108に移動し、標準状態となり手動での開閉が可能となる。
【0080】
ステップS111及びステップS105は、指挟み防止などの安全機能の意味も兼ねている。ドア11が自動で閉じられようとしているとき、あるいは開かれようとしているときに、作業者が指をドア11に挟んでしまった場合、あるいは試料等をドア11に挟んでしまった場合や、ドア11移動に不都合があり移動を強引に止めた場合にも、エア圧力が上昇するため、これを第1圧力センサ64A(または第2圧力センサ64B)が検知して、直ちにドア11の動作が停止となり、両一方電磁弁(66A,66B)が大気に連通され、ドア11の負荷が消え安全が確保される。
【0081】
(半開機能)
風防10は、ドア11を自動で半開閉させる半開機構50を備えている。
【0082】
メインケース18の左右の側面には、内側に凹んだ収納部18fが設けられており、内部にはストッパー51が回動可能に収納されている(
図2参照)。ストッパー51は、ドア11の係止部材である。
図11はストッパー51の回動状態と使用方法を説明するための説明図である。
図11(A)はストッパー51不使用状態を示し、
図11(B)はストッパー51使用状態を示す。
図11(C)は
図11(B)からドア11を移動させた状態を示す。
【0083】
ストッパー51は、収納部18f内に、その回転軸をドア11のスライド方向(本実施形態では前後方向)と平行として、回動可能に保持される。
【0084】
図11(A)に示すように、ストッパー51不使用時には、ストッパー51はこの収納部18f内に直立状態で保持される。そのため、ドア11の移動を妨げることはない。
【0085】
図11(B)に示すように、ストッパー51使用時には、ストッパー51は収納部18fから引き出され、ストッパー51は
図11(A)の状態から回動して、その一部がドア11の移動経路上に横断した状態で保持される。
【0086】
ストッパー51はドア11の移動を妨げる目的で配置されるものであり、ストッパー51の回動位置により、ストッパー51はドア11の移動経路上、またはドア11の移動経路外に選択的に配置される。
【0087】
上述の通り、開閉機構60においての開動作は、エア圧力の上昇を圧力センサが検知して、所定値以上となると加圧ポンプを停止させるよう構成されている。エア圧力の上昇は、ピストンの移動が何らかの理由により阻害され、それでも加圧ポンプがエアを送り続けようとするために引き起こされる。即ち、ドア11が何かに当接してエア圧力が所定値以上となったことを圧力センサが検知すると、ドア開動作が停止する構成であり、ドア11の停止位置はドア11に当接して移動を阻害する物体の配置位置によって決定される。
【0088】
ストッパー51がドア11の移動経路上に配置されていない場合、ドア11の移動は邪魔されず、ドア11は自動で全開閉するが、ストッパー51がドア11の移動経路上に配置されると、ドア11は閉状態から開状態へ移動の途中でストッパー51に当接して停止する(
図11(C)参照)。さらに赤外線センサ36から信号が入力されると、その位置からドア11は前方に移動して正面ガラス12に当接して全閉位置で停止する。ストッパー51を使用する(回動させる)ことで、ドア11を自動で半開閉させることができる。
【0089】
(着脱機構)
次に、風防10の構成と構造について説明する。
図12は電子天びん1の分解斜視図である。
図12に示すように、風防10は、主に上からメインケース18、底上げ部材80、ベース部材14に順に配置され、三者は係合して一体的に構成されて、天びん本体30上面に配置される。本形態では、メインケース18、底上げ部材80、およびベース部材14を、まとめてリアケース2と称する。
【0090】
さらに、風防10に備えられた正面ガラス12、左右のドア11、上面ドア13はメインケース18に着脱可能に構成されている。着脱機構の構成の一部として、正面ガラス12には、上部左右の角に被係止部材93が設けられており、ドア11には、前方上方の角部に連結機構99が設けられている。
【0091】
風防10の正面ガラス、ドア11、および上面ドア13の着脱機構について説明する。
【0092】
図13は正面ガラス12が風防10から取外された状態を示す。正面ガラス12は、上部左右の角には被係止部材93が設けられている。被係止部材93は正面ガラス12を前後から挟持して強固に固定されており、正面ガラス12から被係止部材93が脱落することはない。
【0093】
シリンダボックス20の側面前方には、正面ガラス12を係止するために設けられた第2係止部材95が、シリンダボックス20の側面前方に形成された凹部内に、シリンダボックス20の前面より前端部である係止部95bが突出した状態で配置されている。
【0094】
第2係止部材95は、前端側を作用点、後端側を力点とした平板状のクリップ構造体であって、長手方向(前後方向)中央で鉛直方向に伸びる軸95aにより回動可能に支持され、図示しない弾性部材により、係止部95bが内方向に向かって付勢されている。
【0095】
係止部95bは前方に向かって薄くなるように内側が面取りされており、さらに係止部95b内側には嵌合凹部95cが形成されている。
【0096】
被係止部材93の側面には、第2係止部材95の配置位置に合わせて案内溝93aが設けられており、案内溝93a底面には嵌合凹部95cに係合する嵌合凸部93bが形成されている。
【0097】
正面ガラス12を取付けの際は、まず正面ガラス12の底面をベース部材14の前方縁部に形成された溝14j(
図13参照)に嵌め込み、上部をシリンダボックス20に向けて押しつけるだけで、第2係止部材95は案内溝93aに案内され、嵌合凹部95cが嵌合凸部93bに嵌合して、正面ガラス12を固定する。
【0098】
嵌合凸部93bは第2係止部材95がスムーズに案内されるように端部から続く傾斜面を有し、また第2係止部材95の前端部である係止部95bも内側が面取りされており、ワンタッチで簡単に正面ガラス12を係止できるように構成されている。
【0099】
また被係止部材93の背面に設けられた突起93cも、シリンダボックス20前面に設けられた窪み20g(
図12参照)に係合し、正面ガラス12の位置決めを助ける。
【0100】
正面ガラス12を取り外す際には、第2係止部材95の係止部95bとは逆の端部である端部95dを押すことで、係止部95bが外れて嵌合が解かれる。
【0101】
第2係止部材95は図示しない弾性部材により付勢されているため、正面ガラス12の係止は強固であり、風防10使用時に誤って嵌合が解かれ正面ガラス12が脱落する心配がない。正面ガラス12は溝14jに嵌り、上部を第2係止部材で二箇所係止されており、左右の第2係止部材95を両手で押さえてそのまま正面ガラス12を前方に傾けるだけで取り外すことができる。端部95dの表面には僅かに浮き出た目印95eが設けられており、手探りで作業しても簡単に端部95dを探り当てることができる。取外し作業中に誤って正面ガラス12が脱落する心配がなく、作業性もよい。
【0102】
図12に示すように、正面ガラス12を取り外すことで、上面ドア13が前方へスライドさせることで取外しできるようになる。通常使用時における脱落防止のために、上面ドア13の移動を案内するレール20aの後端側は止めを有して開放されていない。レール20aの前端側は解放されているが、通常使用時には正面ガラス12が配置され、スライドした上面ドア13は正面ガラス12に当接するため脱落することはない。
【0103】
ドア11の着脱機構について説明する。
図14はドア11と連結部材90の連結状態を示し、
図14(A)がドア11と連結部材90との連結が解かれた状態、
図14(B)がドア11と連結部材90とが連結された状態を示す。連結状態を明確とするため、
図14ではシリンダボックス20は破線で外形のみ示している。
【0104】
図14(A)に示すように、ドア11の前方上方の角部には、連結機構99が設けられている。ドア11を保持するホルダー16において、その前側縁部は、ドア11の上端まで伸びずに上端手前で後方へ伸びて、さらに再び上方へ向かって上端まで伸びて上縁部と接続され、ドア11の上部前の角部11aを避けるようにして被連結部16eを形成している。ドア11は、被連結部16eによりホルダー16に覆われていない角部11aが連結部材90の後方側面に形成されたスリット90cに入り込んで、連結部材90と係合する。
【0105】
第1係止部材91は第2係止部材95と同等の構成を有し、第2係止部材95とは逆向きに取付けられている。即ち、同構成のクリップ構造体であり、前端部が力点となる端部91d、後端部が作用点となる係止部91bとなっている。第2係止部材95と同様、軸91aにより回動可能に支持され、図示しない弾性部材により係止部91bは内側に向かって付勢されている。係止部91bには内側に嵌合凹部91cが形成されており、ホルダー16の被連結部16eに形成された嵌合凸部16fに嵌合する。これにより、ドア11が連結部材90に連結され、これと一体として移動する。
【0106】
ドア11を取外しの際は、第2係止部材95同様、目印91eのある端部91dを押すだけで係合を解くことができる。ガイド孔20dは後方端部が解放されているため、係合を解いた状態でドア11を後方にスライドさせることで、ドア11を風防10から取り外すことができる。
【0107】
取付けの際も、ドア11を前方にスライドさせるだけで、係止部91bが嵌合凸部16fを乗り越え、図示しない弾性体による付勢によって自然に係合する。ワンタッチで取付け可能で、取り外しも簡単に行うことができる。
【0108】
前述の通り、連結部材90の上部の駆動機構結合部90aにはピストンロッド40aの先端が固定されており、これによりドア11は連結部材90を介してエアシリンダ40と連結して自動で開閉する。連結部材90も保持部5を備えており、保持部5から上部がシリンダボックス20内に入り込んで、連結部材90をガイド孔20dにスライド可能に懸吊支持しているが、保持部5から下部はガイド孔20dから外部に露出し、この露出部分に第1係止部材91が設けられ、ドア11と連結している。通常、故障防止に駆動機構は内部に設置されるため、これに連結されるドアは、取り外しが困難であったが、このように構成することで、駆動機構に連結される連結部材90の一部を外部に露出して、露出部分でドア11と連結させることが可能になり、駆動機構との連結/連結解除を容易にした。
【0109】
ドア11はガイド孔20dに懸吊支持され、これに沿って移動するスライド機構であり、連結部材90との連結を解除すると、後方端部が開放されたガイド孔20dにより、簡単に取り外すことができる。
【0110】
(リアケースの構成)
リアケース2の構成について説明する。
【0111】
図12に示すように、ベース部材14の上面側に底上げ部材80の底面側が係合し、ベース部材14の上面側にメインケース18の底面側が係合する。
図15はベース部材14と底上げ部材80を示し、それぞれの係合面を示すために、
図15に示す底上げ部材80は上下逆さの状態で、底面側が上面となっている。
図16は底上げ部材80とメインケース18を示し、それぞれの係合面を示すために、
図16のメインケース18は上下逆さの状態で、底面が上面となっている。
図17は
図4に示すXVII-XVII線に沿った端面図である。リアケース2のみを示し、他は省略した。
図17は主にリアケース2の前後縁部の形状と係合状態を示す。振り返って
図3には、主にリアケース2の左右側縁部の形状と係合状態を示すために、A部~C部拡大図を示しており、合わせて参照されたい。
【0112】
先にベース部材14と底上げ部材80(底面側)について説明する。
【0113】
図15に示すように、ベース部材14は、全体として比較的高さが低く、矩形平板状に形成され、前方領域FRと後方領域RRから構成される。前方領域FRは枠形状となっており、中央部分は秤量皿31に触れることなく天びん本体30の上面に載置されるように大きく開口した窓部14pとなっている。ベース部材14の後方領域RRに、底上げ部材80が配置される。
【0114】
図3、
図4および
図16に示すように、底上げ部材80は、外形は上方ほど幅が狭くなる外側面として、左右の側面80a、前面80d、および後面80eを備える四角錐台形状であり、内部には補強用のリブが多数設けられている。底上げ部材80は、メインケース18の下に配置され、メインケース18を底上げしてリアケース2の高さ、換言すれば、秤量室S1の高さを決定する部材となっている。
【0115】
ベース部材14の後方領域RRにおいては、周縁部が相対的に高くなるように構成されている。即ち、左右の側縁部にはライン状凸部であるレール14aが形成され、前縁部には縁部形状にそって盛り上がる前壁部14dが設けられ、後縁部にはベース部材14の後壁を形成する後壁部14eが設けられている。このように周囲と比較して高く盛り上がる周壁を設けることにより、リアケース2が構成される後方領域RR内部へゴミが侵入するのを防いでいる。特に窓部14pの後枠部でもある前壁部14dからは、秤量室S1から微細なゴミが侵入しやすく、ここに前壁部14dを形成することで、開閉機構60などの機器の収納されるリアケース2内へのゴミの侵入を防いでいる。これはコンタミネーションの防止ともなる。
【0116】
ベース部材14の後方領域RRの中央には、周囲のリブよりも高くライン状に形成された係合リブ14bが設けられている。さらに後方領域RRの四隅には第1ボス14cが設けられている。
【0117】
底上げ部材80の底面側の中央には、周囲のリブよりも低くライン状に形成された係合凹部80bが形成されている。さらに、底上げ部材80の四隅には、底上げ部材80の底面から上面まで伸びる第1ボス80cが形成されている。
【0118】
ベース部材14の後方領域RRに底上げ部材80が載置され、ベース部材14の係合リブ14bに底上げ部材80の係合凹部80bが係合すると、底上げ部材80の四つの第1ボス80cは、ベース部材14の四つの第1ボス14cに載置されて、それぞれのボスに設けられた孔が互いに連通する(
図15右下に示す拡大端面図参照)。連通した状態で、第1ボス14c,80cの孔内径よりも太い径をもつタッピングネジNを下方からねじ込むことで、両者は固定される。ベース部材14の第1ボス14cはタッピングネジNのネジ頭が納められるように底上げされて形成されているため、固定された状態でもタッピングネジNはベース部材14の底面から突出することはない。
【0119】
ベース部材14の上面に底上げ部材80が載置されると、底上げ部材80を構成する外側面の底面は、後方領域RRの盛り上がった周縁部に載置される。即ち、
図3のC部拡大図に示すように、レール14aの上に、底上げ部材80の左右の側面80aの底面が配置される。底上げ部材80の左右の側面80aは底面が高くなるように(底部が凹むように)構成されており(
図15参照)、周囲よりも高く構成されたレール14aの上に側面80aの底面が隙なく載置されるように、互いの高さが調整されている。
【0120】
また、
図17のG部拡大図に示すように、ベース部材14の前壁部14dに底上げ部材80の前面80dが載置される。前壁部14dの上面には、内側に向かって高くなる傾斜面が形成されており、また前面80dの底面の内辺はフィレットされた曲面となっており、該曲面が前壁部14dの傾斜面に載置されることで、底上げ部材80は安定して配置される。
【0121】
同様に、
図17のH部拡大図に示すように、ベース部材14の後壁部14eに底上げ部材80の後面80eが載置される。後壁部14eの上面には、内側に向かって高くなる傾斜面が形成されており、また後面80eの底面の内辺はフィレットされた曲面となっており、該曲面が前壁部14dの傾斜面に載置されることで、底上げ部材80は安定して配置される。
【0122】
次に、底上げ部材80(上面側)とメインケース18について説明する。
【0123】
図3、
図4および
図16に示すように、メインケース18は、外形は上方ほど幅が狭くなる外側面(左右の側面18a,前面18d,後面18e)を備える略四角錐台形状となっている。メインケース18は底面(
図16においては上面側)が開口した中空の筐体で、中空内部にはバルブやポンプなどの開閉機構60の構成部品などが納められ、図示しない固定部材により、メインケース18の係合に干渉しない位置で保持される。
【0124】
底上げ部材80の上面の外形と、メインケース18の底面の外形は略一致し、底上げ部材80の上面にメインケース18が載置されると、外側面同士(側面80aと側面18a、前面80dと前面18d、後面80eと後面18e)は係合して、外形が滑らかに連続するように構成されている(
図3、
図4参照)。
【0125】
図3のA部拡大図に示すように、底上げ部材80の側面80aの上端部は、厚みの外側半分が僅かに突出して形成されている。一方、メインケース18の側面18aも厚みの外側半分が凹んで形成されている。この形状構成により、メインケース18の側面18aは、底上げ部材80の側面80aに凹凸係合する。
【0126】
同様に、
図17のF部拡大図、および
図17のE部拡大図に示すように、底上げ部材80の前面80d,後面80eも厚みの外側半分が僅かに突出して形成されている。一方、メインケース18の前面18d,後面80eも厚みの外側半分が凹んで形成されている。この形状構成により、メインケース18の前面18d,後面18eは、それぞれ底上げ部材80の前面80d,後面80eに凹凸係合する。
【0127】
底上げ部材80の外側面(左右の側面80a,前面80d,後面80e)の上端部は、厚みの外側半分だけ僅かに突出して形成されている。またメインケース18の外側面(左右の側面18a,前面18d,後面18e)も厚みの外半分が凹んで形成されている。この形態により、メインケース18の外側面の底面部が、底上げ部材80の外側面の上端部に凹凸係合し、底上げ部材80の上面に底上げ部材80が安定して配置される。
【0128】
図16に示すように、底上げ部材80の上面には、後方の隅の二か所と前方のやや内側寄りの二か所、合計4か所に第2ボス80hが形成されている。メインケース18の底面にも同様に、後方の隅の二か所と前方のやや内側寄りの二か所、合計4か所に第2ボス18hが形成されいる。底上げ部材80にメインケース18が載置されて係合すると、メインケース18の四つの第2ボス18hは、底上げ部材80の四つの第2ボス80h上に載置されて、それぞれのボスに設けられた孔が互いに連通する(
図3のB部拡大図参照)。連通した状態で、第2ボス18h,80hの孔内径よりも太い径のタッピングネジ(図示せず)をねじ込むことで、両者を固定できる。
図3に示すように、底上げ部材80の第2ボス80hは突出量が少なく、またその下方にはリブが設けられておらず、なにもない空間SPとなっている(
図3および
図15参照)。このため、タッピングネジを回すためのドライバーを空間SPの下方から通して使用することができる。
【0129】
メインケース18の左右の側面18aの下部には、ストッパー51を収納するために、内側に凹み形成された収納部18fが設けられている(
図11、および
図16参照)。これに係合して収納部18fの底面を構成するように、底上げ部材80の上面の左右両側方に、受け部80fが突設されている。収納部18fと受け部80fは、メインケース18と底上げ部材80の係合機構の一部として機能する。受け部80fおよび受け部14fは、ストッパー51を軸支する。
【0130】
(作用効果)
上記のように構成されたリアケース2の作用効果を説明する。
【0131】
リアケース2を構成するベース部材14、底上げ部材80、メインケース18は、係合して秤量室S1の背面を構成している。底上げ部材80は、メインケース18とベース部材14の間に介装され、メインケース18を底上げして、秤量室S1の大きさ(高さ)を決定する。
【0132】
メインケース18の左右の上部側縁部には、ドア11を懸吊する機構がシリンダボックス20として配設せれており、ドア11をスライドさせるための駆動手段であるエアシリンダ40はシリンダボックス20内に配設されている。メインケース18内部には、エアシリンダ40の駆動源である第1加圧ポンプ62Aが配置されている。さらに開閉機構60の第2加圧ポンプ62B、さらに第1圧力センサ64A,第2圧力センサ64B、および第1一方電磁弁66A,第2一方電磁弁66Bもケース18内部に配置されている。即ち、ドア11の開閉機構60はメインケース18に設けられており、なおかつ半開機構50もメインケース18の側面に設けられている。
【0133】
即ち、風防10の機能は全てメインケース18に集約されており、メインケース18の下方に底上げ部材80を配置することにより、リアケースを所定の高さに嵩上げして、リアケースおよび秤量室の高さの異なる風防を、容易に構成できる。
【0134】
【0135】
図18は電子天びん1の別の形態である電子天びん101を示す。
図19は電子天びん101の分解斜視図である。
図20は、
図18のXX-XX線に沿った端面図である。リアケースのみを示し、他は省略した。
図20は
図3に対応する。
図21は
図18のXXI-XXI線に沿った端面図である。
図21は
図17に対応する。同一構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0136】
図18および
図19に示すように、電子天びん101は、風防110が電子天びん30の上面に配置された構成である。風防110は、主に上からメインケース18、ベース部材14の順に配置され、両者は係合して一体的に構成されて、天びん本体30上面に配置される。本形態では、メインケース18およびベース部材14を、リアケース102と称する。
【0137】
風防110においては、メインケース18の左右の側方に、自動開閉可能にドア111が懸吊支持され、前方に正面ガラス112が配置され、上方に上面ドア13が配置されて、秤量室S2を画成している。
【0138】
ドア111には、ドア11と同構成の連結機構99が設けられており、連結部材90に着脱可能に連結される。ドア111は、連結部材90を介して、駆動機構であるエアシリンダ40(ピストンロッド40a)に連結され、メインケース18内の開閉機構60により自動で開閉される。
【0139】
同様に、正面ガラス112の上方の両角部には、正面ガラス12と同構成の被係止部材93が設けられており、シリンダボックス20に着脱可能に係止される。
【0140】
風防110は、底上げ部材80を備えておらず、これに合わせて、比較的低い高さのドア111、正面ガラス112を用いた構成となっている。このため、底上げ部材80のない風防110は、底上げ部材80が介装された風防10と比較して、底上げ部材80の高さ分だけ、全体的に低い。また、風防110の秤量室S2も、風防10の秤量室S1と比較して、底上げ部材80の分だけ低く構成される。
【0141】
底上げ部材80のない風防110においては、メインケース18はベース部材14に直接載置される。メインケース18および底上げ部材80は、上方に向けて幅の狭くなる四角錐台形状であるため、底上げ部材80の上方に配置されるメインケース18は、底上げ部材80よりも一回り小さい外形を有する。このため、ベース部材14の上面にメインケース18が載置されると、メインケース18はベース部材14の盛り上がった周壁の内側に入り込んで保持される。
【0142】
図20のI部拡大図に示すように、メインケース18の側面18aは、ベース部材14のレール14a上には掛からずに、窪んだ内側の上面に載置される。
図21のJ部拡大部に示すように、メインケース18の前面18d底面は外側が凹んで形成されているため、この凹み部がベース部材14の盛り上がった前壁部14dに掛かり、残りが窪んだ内側の上面に載置される。同様に、
図21のK部拡大図に示すように、メインケース18の後面18e底面は外側が凹んで形成されているため、この凹み部がベース部材14の盛り上がった後壁部14eに掛かり、残りが窪んだ内側の上面に載置される。
【0143】
図16に示すように、メインケース18の底面の四隅には、第1ボス18cが設けられている。即ち、メインケース18の底面には、ベース部材14にも底上げ部材80にも係合できるように、第1ボス18cと第2ボス18hの両方が設けられている。メインケース18がベース部材14の上面に載置されると、ベース部材14の第1ボス14cにメインケース18の第1ボス18cが載置され、両ボスに設けられた孔が連通する。
図15の右下図と同様に、連通した孔にタッピングネジをねじ込むことで、ベース部材14とメインケース18を強固に固定できる。
【0144】
上記構成により、底上げ部材80が介装されない場合、メインケース18はベース部材14に係合して一体的に構成される。
【0145】
また、
図15に示すように、ベース部材14の上面の側方には、メインケース18の側方に設けられた収納部18fに係合する受け部14fが設けられている。即ち、ベース部材14は、底上げ部材80にもメインケース18にも係合できるように構成されている。受け部14fは収納部18fと係合し、形成された凹部にストッパー51が回動可能に保持される。なお、ベース部材14の上面に突設される受け部14fは、底上げ部材80が介装される際には、底上げ部材80のリブのない空間SP内に入り込むため、底上げ部材80の係合を邪魔することはない。
【0146】
ストッパー51の回動位置により、ストッパー51はドア111の移動経路上、またはドア111の移動経路外に選択的に配置される。ストッパー51が移動経路上に配置されると、ドア111の移動は、ストッパー51に当接して停止する。ストッパー51の使用の有無で、ドア111の停止位置、即ち、ドア111の全開閉/半開閉が決定される。このように、風防110においても、半開機構50は、問題なく作用する。
【0147】
本実施形態においては、風防の機能が全て備えられたメインケース18と、ベース部材14との間に底上げ部材80を介装させる/介装させないことを選択することで、高さの異なる秤量室を備えた風防を容易に構成可能となる。底上げ部材80の無い構成が、秤量室が最小高さの構成となる。底上げ部材80を追加することで異なる秤量室を備える風防とすることができる。底上げ部材80の高さを所望の高さとすることで、所望の高さの秤量室を備える風防を容易に構成できる。本実施形態においては、秤量室を構成するドア11、正面ガラス12は容易に取り外し可能に構成されているため、高さ変更に伴う高さ違いのドア111、正面ガラス112に取り換えることも容易である。メインケース18に開閉機構60が備えられているため、構成される風防10,110は、ドア11,111の自動開閉が可能である。
【0148】
従来は秤量室の大きさ(高さ)の異なる風防を構成する場合、都度設計と製造を行わなければならなかったが、本構成により、ドアの自動開閉機構を備えながら、異なる高さの秤量室を、低コストで構成し得る風防を提供できる。
【0149】
本実施形態においては、底上げ部材80の下方にベース部材14を配置して、ベース部材14もリアケース2を構成したが、ベース部材14を用いず、メインケース18が天びん本体30に直接配置する構成としてもよい。ベース部材14は天びん本体30に載置されている状態であり、ドア11もメインケース18に備えられたシリンダボックス20に懸吊支持されており、正面ガラス12も第2係止部材95によりシリンダボックス20に係止されている。メインケースが天びん本体30に直接載置されるのならば、ベース部材14は不要となる。このため、メインケース18のみをリアケースの最小構成要素として、ベース部材14を用いない構成にすることも可能である。この場合、天びん本体30にドア11の移動を案内する突起やレールが設けられていると好ましい。ベース部材14を用いず、メインケース18が天びん本体30に直接載置可能な構成とすることで、部品数を減少させることができる。
【0150】
上記内容を、
図22を用いて説明する。
図22は、別の実施形態であり、ベース部材14を含まない電子天びん301である。同構成を持つものは、同符号を付して説明を省略する。
【0151】
図22に示すように、電子天びん301は、天びん本体330と風防310から構成される。風防310は、ベース部材14を含んでおらず、メインケース18が天びん本体330の上面に直接載置される形態となっている。
【0152】
天びん本体330は、上面に前後方向にライン状に伸びて凸設されたレール330aを備えており、風防310はこれに沿って載置される。ドア11は、レール330aに移動を案内され、レール330aに沿って開閉される。このように、ベース部材14を含まずに風防310が構成されてもよい。また、この場合、図示しない固定部材にて風防310が、天びん本体330に固定されていることが好ましい。
【0153】
底上げ部材80およびメインケース18は、上方ほど幅が狭くなる外側面をもつ略四角錐台形状に形成されている。これは、テーパがあるため、ひとつの部品として射出成形にて成形しやすいという利点がある。構成部品が2以上あると部品の境目に隙間が生じて、コンタミネーション問題が発生しやすく、これを抑制できる。また上方が細くなる分、秤量室Sの体積を小さくすることができる。特に、本実施形態においては、
図1に示すように、メインケース18および底上げ部材80は、秤量室Sに向かって左右側部が突出している。このためメインケース18の前面18dおよび底上げ部材80の前面80dは、前方に配置された円形の秤量皿31を背面側から取り囲むような複雑な形状となっている。秤量室Sの容積を減少させて、開閉時の空気の流動を抑制している。略四角錐台形状は、このような複雑な形状を含む。上方へ向かって細くなっているため、このような複雑な形状でも、テーパがあるため成形しやすいものとしている。
【0154】
(変形例)
図23は、変形例である電子天びん201の構成を示す端面図である。
図3に対応する。電子天びん1,101と同等の構成を持つものは、同じ符号を付して説明を省略する。
【0155】
図23に示すように、電子天びん201は、風防210が電子天びん30の上面に配置された構成である。風防210は、メインケース218および底上げ部材280の外側面が略垂直に構成されて、ベース部材214上に載置されて一体化する。本実施形態においては、底上げ部材280の外側面は、ベース部材214の盛り上がる周側縁の内側に配置されるが、これに限らずベース部材214の盛り上がる周側縁の上面に載置されるように構成されても良い。
【0156】
メインケース218と底上げ部材280との係合部である上係合部282、および底上げ部材280とベース部材214との係合部である下係合部283は、鉛直上に、同形状に構成されている。このため、底上げ部材280が介装しない場合に、メインケース218はベース部材214に直接係合される。上係合部282,下係合部283には凹凸係合を用いている。ネジ係合を用いることで強固に固定できるが、このように凹凸係合を用いると、容易に組み替えることも可能となる。ランス係合やスライド係合など、従来周知の係合機構を用いても良い。
【0157】
メインケース218、底上げ部材280、ベース部材214の、上下配置される外側面同士および係合部同士が鉛直上に並ぶ構成であり、底上げ部材280の高さを変更しても、また底上げ部材280がなくとも、これら構成部品を係合させることができる。
【0158】
所望の高さの底上げ部材280を用いて、ベース部材214の下に配置して、メインケース218を所定の高さに嵩上げすることで、風防210とは異なる、嵩上げされたメインケース218の高さに整合する高さの異なる別の風防に構成することができる。
【0159】
以上、本発明の好ましい実施形態及を述べたが、当業者の知識に基づいて変形ささせることも可能であり、そのような形態は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0160】
1、101:電子天びん
2、102:リアケース
10、110、210:風防
11、111:ドア
12、112:正面ガラス
13 :上面ドア
14 :ベース部材
18 :メインケース
20 :シリンダボックス
30 :天びん本体
40 :エアシリンダ
60 :開閉機構
80 :底上げ部材
90 :連結部材
282 :上係合部
283 :下係合部
S1、S2:秤量室