(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】非アルコール性脂肪性肝炎の非侵襲的診断
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20180101AFI20240115BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20240115BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20240115BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240115BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240115BHJP
G01N 33/66 20060101ALI20240115BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20240115BHJP
G01N 33/70 20060101ALI20240115BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20240115BHJP
【FI】
C12Q1/68 ZNA
A61K31/192
A61K31/216
A61P1/16
G01N33/50 P
G01N33/66 A
G01N33/68
G01N33/70
C12N15/113 Z
(21)【出願番号】P 2018550788
(86)(22)【出願日】2017-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2017057633
(87)【国際公開番号】W WO2017167934
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-01-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-09
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503067111
【氏名又は名称】ジェンフィ
【氏名又は名称原語表記】GENFIT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ダルテイル,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】コルドニエ,ジュヌヴィエーヴ
(72)【発明者】
【氏名】ブロジェク,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】プラカ,エミリー
(72)【発明者】
【氏名】ベン・シュドリク,フアド
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】加々美 一恵
【審判官】飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/049131(WO,A1)
【文献】PLoS ONE、2011年、Volume 6、Issue 8、e23937、p1~8
【文献】HEPATOLOGY、2013年、Vol.58、No.6、p1941~1952
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q,G01N,A61K,A61P,C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/WPIDS/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液中、血清中、若しくは血漿中に循環しているhsa-miR-34及びYKL-40のレベルの測定を含む、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を診断するための、及び/又は被験者におけるNASHの活動性、ステージ、若しくは重症度を決定するための
、及び/又は医学的処置の有効性を評価するための、及び/又はNASH患者における病態の進行若しくは減退を決定するための、及び/又は医学的処置に対する応答者候補若しくは非応答者候補として患者を分類するための
、データを提供する方法。
【請求項2】
更に、少なくとも1つの他の血液中、血清中、若しくは血漿中に循環している肝障害マーカーであって、α2マクログロブリン、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、空腹時血糖値、フルクトサミンレベル、インスリン、C-ペプチド、インスリン抵抗性指数(HOMA)、III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチド、hsa-miR-200、CK18-M30、CK18-M65、ALT、AST、尿比重(Uri Spec Grav)、尿クレアチニン、好塩基球、高感度C反応性タンパク質(HSCRP)、尿中β-NAG、白血球、好中球、及びフィブリノーゲンからなる群より選択される肝障害マーカーのレベルの測定を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
NASHを診断するため
のデータを提供する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
hsa-miR-34が、hsa-miR-34aである、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
hsa-miR-34a-5p、YKL-40、α2マクログロブリン及びHbA1cのレベルの測定を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
- hsa-miR-34、及び少なくとも1つの血液中、血清中、又は血漿中に循環している肝障害マーカーのレベルを測定する工程、及び
- 上記工程の結果を数学的アルゴリズムを通して組み合わせることによりNASHスコアを得る工程
を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
NASHスコアが、以下の対数関数:
【数1】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C+d
*D+f
*F+g
*G
に従って計算され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、α2マクログロブリンのレベル(g/L)であり;
Bは、HbA1cのレベル(%)であり;
Cは、III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチドのレベル(ng/mL)であり;
Dは、hsa-miR-34aのレベル(Cq)であり;
Fは、hsa-miR-200のレベル(Cq)であり;
Gは、YKL-40のレベル(pg/ml)であり;
kは、対数関数の定数であり;
aは、α2マクログロブリンのレベルに関連した係数であり;
bは、HbA1cのレベルに関連した係数であり;
cは、III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチドのレベルに関連した係数であり;
dは、hsa-miR-34aのレベルに関連した係数であり;
fは、hsa-miR-200のレベルに関連した係数であり;そして
gは、YKL-40のレベルに関連した係数であり;
ここで、
a)前記方法はメディアンモデルから誘導され、
kは、5.94~50.74の数値であり;
aは、0~1.07の数値であり;
bは、0~1.20の数値であり;
cは、0~0.24の数値であり;
dは、-0.97~0の数値であり;
fは、-0.87~0の数値であり;
gは、0~1.74×10
-5の数値であり;
但し、a、b、c、d、f及びg=0は除き;
ここで、0.2017~0.4645の閾値より高いNASHスコアは、重症のNASH、又は中程度若しくは高度のNASH活動性の指標であり;したがって、脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有する患者の指標であるか;
又は、
b)前記方法はブートストラップモデルから誘導され、ここで
kは、8.24~35.44の数値であり;
aは、0.06~0.88の数値であり;
bは、0.14~1.04の数値であり;
cは、0.03~0.23の数値であり;
dは、-0.75~-0.05の数値であり;
fは、-0.73~-0.07の数値であり;そして
gは、3.59×10
-6~1.78×10
-5の数値であり;
ここで、0.2718~0.6391の閾値より高いNASHスコアは、重症のNASH、又は中程度若しくは高度のNASH活動性の指標であり;したがって、脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有する患者の指標である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
NASHスコアが、以下の対数関数:
【数2】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C+d
*D
に従って計算され、
ここで、
a)前記方法はブートストラップモデルから誘導され、ここで
Sは、NASHスコアであり;
Aは、血清中hsa-miR-34aのレベル(Cq)であり;
Bは、血清中α2マクログロブリンのレベル(g/L)であり;
Cは、血清中YKL-40のレベル(pg/ml)であり;
Dは、HbA1cのレベル(%)であり;
kは、対数関数の定数であり;
aは、血清中hsa-miR-34aのレベルに関連した係数であり;
bは、血清中α2マクログロブリンのレベルに関連した係数であり;
cは、血清中YKL-40のレベルに関連した係数であり;そして
dは、HbA1cのレベルに関連した係数であり;
ここで、
kは、9.51~34.37の数値であり;
aは、-1.17~-0.47の数値であり;
bは、0.02~0.84の数値であり;
cは、6.10×10
-6~2.09×10
-5の数値であり;
dは、0.07~0.89の数値であり;
ここで、0.2013~0.5965の閾値より高いNASHスコアは、重症のNASH、又は中等度若しくは高度のNASH活動性の指標であり;したがって、脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有する患者の指標であるか;
又は、
b)前記方法はメディアンモデルから誘導され、ここで
kは、6.02~56.69の数値であり;
aは、-1.26~0.00の数値であり;
bは、0.00~0.88の数値であり;
cは、0.00~2.00×10
-5の数値であり;
dは、0.00~0.96の数値であり;
但し、a、b、c及びd=0は除き;
ここで、
0.9773~0.9955の閾値より高いNASHスコアは、重症のNASH、又は中等度若しくは高度のNASH活動性の指標であり;したがって、脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有する患者の指標である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
NASHスコアが、以下の対数関数:
【数3】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C+d
*D
に従って計算され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、血清中hsa-miR-34aのレベル(log10)(コピー数/μL)であり;
Bは、血清中α2マクログロブリンのレベル(g/L)であり;
Cは、血清中YKL-40のレベル(pg/ml)であり;
Dは、HbA1cのレベル(%)であり;
kは、対数関数の定数であり;
aは、血清中hsa-miR-34aのレベルに関連した係数であり;
bは、血清中α2マクログロブリンのレベルに関連した係数であり;
cは、血清中YKL-40のレベルに関連した係数であり;
dは、HbA1cのレベルに関連した係数であり;
ここで、
a)前記方法はブートストラップモデルから誘導され、ここで
kは、-14.50~-7.40の数値であり;
aは、1.38~3.58の数値であり;
bは、0.02~0.84の数値であり;
cは、5.98×10
-6~2.08×10
-5の数値であり;
dは、0.07~0.89の数値であり;
ここで、0.1895~0.6089の閾値より高いNASHスコアは、重症のNASH、又は中等度若しくは高度のNASH活動性の指標であり;したがって、脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有する患者の指標であるか、又は
b)前記方法はメディアンモデルから誘導され、ここで
kは、-27.16~-0.78の数値であり;
aは、0~3.97の数値であり;
bは、0~0.89の数値であり;
cは、0~1.98×10
-5の数値であり;
dは、0~0.97の数値であり;
但し、a、b、c及びd=0は除き;
ここで、0.1421~0.4556の閾値より高いNASHスコアは、重症のNASH、又は中等度若しくは高度のNASH活動性の指標であり;したがって、脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有する患者の指標である、請求項6記載の方法。
【請求項10】
NASHスコアが、以下の対数関数:
【数4】
Y=k+a
*A+b
*B
に従って計算され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、hsa-miR-34aのレベル(Cq)であり;
Bは、YKL-40のレベル(pg/ml)であり;
kは、-116.08~40.97の数値であり;
aは、-0.82~0の数値であり;
bは、0~1.88×10
-5の数値であり;
但し、a及びb=0は除き;
ここで、0.1387~0.3481の閾値より高いNASHスコアは、重症のNASH、又は中程度若しくは高度のNASH活動性の指標であり;したがって、脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1を有する患者の指標である、請求項6記載の方法。
【請求項11】
NASHスコアが、以下の対数関数:
【数5】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C+d
*D+f
*F
に従って計算され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、hsa-miR-34aのレベル(Cq)であり;
Bは、YKL-40のレベル(pg/ml)であり;
Cは、尿比重のレベル(単位なし)であり;
Dは、好塩基球のレベル(1×10
9/L)であり;
Fは、HSCRPのレベル(mg/dL)であり;
kは、-124.81~1.13の数値であり;
aは、-0.91~-0.25の数値であり;
bは、4.77×10
-6~2.39×10
-5の数値であり;
cは、17.21~141.51の数値であり;
dは、2.80~60.74の数値であり;
fは、0.01~0.23の数値であり;
ここで、0.5791~0.8269の閾値より高いNASHスコアは、重症のNASH、又は中等度若しくは高度のNASH活動性の指標であり;したがって、脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1を有する患者の指標である、請求項6記載の方法
。
【請求項12】
(i)
血液中、血清中、又は血漿中に循環しているhsa-miR-34;及び
(ii)
血液中、血清中、又は血漿中に循環しているYKL-40
のレベルを決定するための手段を含む
、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を診断するためのキット。
【請求項13】
更に、少なくとも1つの血液中、血清中、又は血漿中に循環している対応する肝障害マーカーのレベルを決定するための手段を含む、請求項
12記載のキット。
【請求項14】
(i)
血液中、血清中、又は血漿中に循環しているhsa-miR-34;
(ii)
血液中、血清中、又は血漿中に循環しているYKL-40;及び
以下の(iii)~(vi)からなる群より選択される少なくとも1つの他のマーカー
のレベルを決定するための手段を含む、請求項
13記載のキット:
(iii)α2マクログロブリン;
(iv)HbA1c、空腹時血糖値、フルクトサミンレベルからなる群より選択される少なくとも1つのマーカー;
(v)III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチド;及び
(vi)hsa-miR-200。
【請求項15】
hsa-miR-34が、hsa-miR-34a又はhsa-miR-34a-5pである、請求項1~
11のいずれか一項記載の方法、或いは、hsa-miR-200が、hsa-miR-200a又はhsa-miR-200a-3pである、請求項
7記載の方法。
【請求項16】
hsa-miR-34が、hsa-miR-34a又はhsa-miR-34a-5pである、請求項
12~
14のいずれか一項記載のキット、或いは、hsa-miR-200が、hsa-miR-200a又はhsa-miR-200a-3pである、請求項
14記載のキット
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の診断のための、及びNASHの処置の受診者候補として被験者を分類するための新規な方法に関する。
【0002】
発明の背景
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、単純な脂肪肝から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)におよぶ進行的な肝疾患である。
【0003】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)はまた、脂肪酸の蓄積、アルコール性肝炎に似た肝細胞の障害及び炎症によって組織学的に特徴付けられる進行的な肝疾患である。NASHは、肝硬変、肝不全及び/又はHCC(肝細胞癌)へと至る可能性のある過程における重要な段階である。かなりの量のアルコール摂取はないという慎重な履歴の聴取が、この診断を確立するのに不可欠である。NASHは、肝臓学者に評価のために照会された患者における上昇したアミノトランスフェラーゼの最も多い原因の1つである。肥満及び2型糖尿病は、NASHに関連している。
【0004】
世界における肥満率と共に、NASHの発生率は近年増加し、NASHを発症する患者では、肝臓に関連した死亡率は上昇している。これらの疾患の罹患率は上昇しつつあるので、NASHの罹患率も上昇していることが予想され、それ故、この疾患は米国並びに他の諸国においても新興の公衆問題となりつつある。したがって、これらの疾患に関連した上昇しつつある罹患率及び上昇している死亡率は、i)疾患進行の機構に関するより深い理解、及びii)NASHのより高感度で信頼性のある非侵襲的診断法の開発の必要性を強調する。
【0005】
これらの疾患は、十分に早期に診断されれば元に戻すことができる可能性があるか、又は少なくともその結果を制限することができるので、このような迅速で正確な早期診断を可能とする新規なツールを医療分野に提供することができることは非常に重要であるようである。
【0006】
NASHを診断しそしてその活動性、ステージ、又は重症度を決定するための非侵襲的な方法を提案するいくつかの試みがなされているが、今日の時点では肝生検材料の組織学的分析が依然として、NASHと初期段階の脂肪肝とを区別するための最適なアプローチである。脂肪化、小葉内炎症及び門脈の炎症、風船様腫大及びアポトーシスの形態の肝細胞損傷、並びに線維化が、生検材料から評価されたNASHの特色である。しかしながら、肝生検は、多くの明白な欠点を有する。まず、肝生検で収集された材料は、診断された被験者の肝臓の非常に小さな部分しか示さず、これにより、収集された試料が被験者の臓器の全体的な状態を代表しているかどうかに関する疑念が生じる。さらに、肝生検は、患者にとって厄介で心配で痛みを伴うものであり得、罹患率及び死亡率に関する懸念を生じる、非常に侵襲的な手技である。最後に、前記を鑑みて、母集団におけるヒト又はさらにはNASHのリスクのある患者がNASHに罹患しているかどうかを決定するための、並びに/あるいは前記のヒトにおけるNASHの活動性、ステージ、又は重症度を決定するための日常的な手技として肝生検を提唱することは合理的に考えてできない。
【0007】
脂肪肝を診断するために超音波診断も使用された。しかしながら、この方法は主観的である。なぜならそれは、エコーの強度(エコー輝度)及び特殊なエコーパターン(テクスチャ)に基づいているからである。結果として、特に進行した線維症を有する患者においては、十分な感度ではなく、しばしば不正確である。
【0008】
現在のNASH診断ガイドラインは、重症ではない患者においてはAST/ALT比を(Angulo P. N. Engl. J. Med. 2002 Apr 18; 346(16):1221-31 ; Maher JJ. Semin Gastrointest Dis. 2002 ;13 :31-9)、マドレーの判別関数が32を超える重症の患者においては肝生検(Levitsky J, Mailliard ME. Semin Liver Dis. 2004;24:233-47; Mathurin P, et al. Gastroenterology. 1996;110:1847-53; Mathurin P, et al. J Hepatol. 2002; 36:480-7)の使用を推奨している。
【0009】
肝生検は依然として、サンプリング誤差の可能性を有する侵襲的かつ費用のかかる手技であるので、患者におけるNASHのレベルの良好な予測値を与えるであろう検査を実施するための迅速かつ簡易な方法を有することは有益であり得る。
【0010】
いくつかの研究は、線維症のいくつかの血清バイオマーカーが、トランスアミナーゼ又はアクチテスト(ActiTest)などの標準的な血清マーカーよりも良好な診断値を示したことを観察したが(Naveau S, et al., Clin Gastroenterol Hepatol. 2005; 3(2); Castera L, et al., J. Hepatol. 2000; 32:412-8; Annoni G, et al. Hepatology. 1989;9:693-7 ; Nojgaard C, et al. J Hepatol. 2003;39: 179-86; Chossegros P. 1995;22(2 Su[ppl):96-9)、これらの中のどの試験も、NASHマーカーの的確な組合せを実際に同定していない。
【0011】
さらに、近年、肝臓の診断の分野において重要性を増している非侵襲的なバイオマーカーの使用を開発するいくつかの試みがなされた。例えば、欧州特許第1846862B号は、7つの生化学マーカーの濃度を測定し、次いで、それらを対数関数を通して組み合わせることにより最終値を得る工程を含む、患者の血清試料又は血漿試料からのアルコール性又は非アルコール性脂肪性肝炎の非侵襲的なインビトロにおける診断法を記載している。
【0012】
国際公開公報第2014/049131号では、アポトーシスを反映している少なくとも1つのバイオマーカー、人体計測を反映している少なくとも1つのバイオマーカー、代謝活性を反映している少なくとも1つのバイオマーカー、及び場合により肝臓の状態を反映している少なくとも1つのバイオマーカー、及び該バイオマーカー間の組合せの数字関数の測定に基づいた、非アルコール性脂肪性肝炎の非侵襲的な診断のための血液検査が開示された。
【0013】
非侵襲的なバイオマーカーを比較しかつ組み合わせることにより、肝線維症を評価するための、しかしまたそうした非侵襲的なバイオマーカーを取り込んだ様々なアルゴリズムの正確度を比較するためのいくつかの試験が実施された。難しいのは、効果的かつ妥当なバイオマーカーを選択し、最終的にはそれらをアルゴリズムを通して組合せ、様々な結果を分析し、及び場合により、応答する患者を良好な方法で定めることである。
【0014】
しかしながら、NASHのそのような正確な診断法は現在入手できない。
【0015】
それ故、被験者におけるNASHを診断及びその活動性、ステージ、又は重症度を決定するための正確で非侵襲的な手段を提供する強い必要性が存在する。
【0016】
発明の要約
本発明は、患者の肝生検材料から得られた組織学的データを含む、出願人によって実施された臨床試験(試験GFT505-212-7-NCT01694849)中にNASH患者から得られた300個を超える高品質の試料から決定された膨大な数の変数の非常に細かくかつ完全な分析に基づく。この試験により、NASH及びその重症度又はステージ又は活動性の指標である、重要な循環中の因子(すなわちバイオマーカー)が発見された。
【0017】
本発明は、血液中、血清中、若しくは血漿中に循環しているhsa-miR-34又はその共線変数の1つ、及び少なくとも1つの他の血液中、血清中、若しくは血漿中に循環している肝障害マーカーのレベルの測定を含む、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の診断のための、及び/又は被験者におけるNASHの活動性、ステージ、若しくは重症度の決定のための、及び/又はNASHの処置の受診者若しくは非受診者として被験者を分類するための、及び/又は医学的処置の有効性の評価のための、及び/又はNASH患者における病態の進行若しくは減退の決定のための、及び/又は医学的処置に対する応答者候補若しくは非応答者候補として患者を分類するための、及び/又は患者における疾患の転帰の予測のための、及び/又は臨床的に妥当な転帰の代理マーカーの同定のための方法を開示する。
【0018】
他の態様及び実施態様は、以下の詳細な説明から明らかであろう。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、特定の循環しているマイクロRNA(群)(miRNA(群))及び他の循環しているバイオマーカー、例えば循環している肝障害マーカーである生化学バイオマーカーの定量及び/又は組合せに基づく。
【0020】
特に、出願人は、NASH/NAFLDの状況において炎症マーカー候補を有する当技術分野において開示されたmiRNAの中で(hsa-miR-21、hsa-miR-24、hsa-miR-33a、hsa-miR-34a、hsa-miR-122、及びhsa-miR-155)、hsa-miR-34aがNASHの診断のための重要なバイオマーカーであることを同定した。
【0021】
したがって、本発明の第一の態様は、血液中、血清中、若しくは血漿中に循環しているhsa-miR-34a、及び場合により少なくとも1つの他の血液中、血清中、若しくは血漿中に循環している肝障害マーカーのレベルの測定を含む、被験者におけるNASHの診断のための、又はNASHの活動性、ステージ、若しくは重症度の決定のための方法に関する。
【0022】
本発明によると、特定のmiRNA(群)の組合せ及び場合により他の特定の生化学マーカーの組合せにより、被験者におけるNASHを診断及びその活動性、ステージ、又は重症度を決定するための非常に正確で非侵襲的な手段がもたらされ得る。したがって、本発明は、該方法が非常に強力かつ正確となるような、両方の種類のマーカーの組合せを開示する。本発明の方法は、被験者におけるNASHに関して選択性及び特異性の両方を提供する。
【0023】
したがって、本発明は、総合的に考えた場合に、NASH又はその重症度若しくはステージ若しくは活動性について試験された被験者におけるNASH及び/又はNASHの活動性、ステージ、若しくは重症度の指標である、規定のセットの循環マーカーの同定から始まる。本発明は特に、循環中のマイクロRNA(群)(miRNA(群))及び他の循環中の肝障害マーカーの同定及びそれらのレベルの定量を組み合わせて、被験者における非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を診断するための及び/又はNASHの活動性、ステージ、若しくは重症度を決定するための方法に関する。
【0024】
近年、がん、肝炎、肝損傷、及びNAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)をはじめとする様々な疾患のバイオマーカーとしての循環miRNA(群)を取り巻く熱狂はかなりのものである(Osman, Clin. Lab. 2012; 58:393-402; Cermelli et al., PloS.One, 2011; 6:e23937; Elfimova et al., Front Physiol. 2012; 3:476)。miRNA(群)は、タンパク質合成を調節する進化的に保存された分子機序としての標的化mRNAの部分的抑制又は分解によって、転写後レベルで遺伝子発現を調節する、ノンコーディングな短い(19~25ヌクレオチド長)高度に保存された調節RNAである。
【0025】
現在、ヒトゲノムの様々な遺伝子間配列、イントロン配列、又はエキソン配列にコードされている公知のmiRNAは2000個を超え、miRNAは、全てのヒト遺伝子の最大60%を直接標的化し得ると推定されている。miRNA(群)は、細胞のアポトーシス、分化、発達、増殖、及び代謝をはじめとする様々な生物学的プロセスに関与している。
【0026】
循環しているmiRNA(群)は、リボヌクレオタンパク質複合体又は小胞に取り込まれることができるので、リボヌクレアーゼの豊富な血液中の環境では著しく安定である。miRNA(群)特異的発現プロファイルは、いくつかのがん、肝臓、心臓、腎臓、及び自己免疫疾患をはじめとするいくつかの疾患に関連している。循環中のmiRNA(群)の発現プロファイルが特定の容態に強く相関している場合、循環中のmiRNA(群)のプロファイルは、疾患を診断及びモニタリングするためのバイオマーカーとして作用し得る。miRNAは近年、NAFLDの管理における新規なバイオマーカー及び治療標的候補として出現している。
【0027】
miRNAの発見以来、miRNAは、ヒト疾患における関連の可能性について調べられてきた。正常な組織及び血清と比較したその発現パターンの変化は、多くの疾患状態において見られる。特に、心疾患、敗血症、悪性疾患、及び自己免疫疾患におけるmiRNA発現の変化は、新規な研究手段、及びヒト疾患を処置するための標的を示唆している。
【0028】
この有望な新規分野は研究を前進させ、血清中及び血漿中で検出可能な安定なmiRNAが、疾患の初期段階のバイオマーカーとしての役目を果たし得るか、又は疾患の重症度を決定する非侵襲的な手段であり得る可能性を開拓した。しかしながら、十分に強力でNASHの有意な指標となるmiRNA、及びそれらを実施する方法が依然として必要とされている。なぜなら、NASHを診断又はそのステージを決定するための現在の最も信頼できる基準は依然として肝生検であるからである。
【0029】
miRNA(群)の中で、hsa-miR-122が肝疾患のバイオマーカーとして提唱された(Chang et al., 2004; Lagos-Quintana et al., 2002)。
【0030】
発現プロファイリング研究により、ヒト及びマウスのNASHにおいて、hsa-miR-21、hsa-miR-34a、hsa-miR-122、及びhsa-miR-155をはじめとする、いくつかの発現差を有するmiRNAが同定され、これらのmiRNAの変化した発現は、NASHの病態発生における有意な役割を示唆する。しかしながら、NASHの調査及び臨床管理におけるいくつかの近年の成功にも関わらず、大きな不備が依然として存在する。これには、生化学的病因、広範なその症状、及びNAFLDからNASHへの疾患の進行の基本的プロセスの乏しい理解が含まれる。
【0031】
特に、特定の患者又は組織の、NASHへの進行のし易さに差異があるかどうか、及びこの感受性がmiRNAの変化した発現に関連している可能性があるかどうかは依然として不明であった。
【0032】
現在の時点では、単独での又は組み合わせたmiRNAの発現変化に基づいた、より正確なNASHの診断のための診断検査は利用可能ではなかった。
【0033】
本発明は、臨床試験中に患者の生検材料を非常に精密に分析して、循環中の生物学的マーカーの存在又はレベルの相互関係を明らかにし、処置される予定の様々なタイプの患者を以下に記載のようなNASスコアリングに従って規定することから始まる。特に、本発明は、処置される予定の3つのクラスのNASH患者を非制限的に規定する。これらの患者は、NASHの特徴のスコアリングに関して分類される。
【0034】
特定の実施態様では、各々のクラスの患者について、出願人は、いくつかのクラスの患者に対する妥当なバイオマーカーのリストを定める。これらの異なる妥当なバイオマーカーを組み合わせる方法をさらに開示する。
【0035】
したがって、様々な方法が、処置される予定の患者と直接連関する。本発明による方法は、それらのNASHスコアの特色に応じて、NASHの処置の将来的受診者又は非受診者として患者を分類することを可能とし得る。処置される予定の患者は、規制当局又は各国の健康政策に依存し得る。ここに、処置される予定のこれらの患者を医師が同定するための強力なツールが提供される。なぜなら、出願人は、いくつかのクラスの患者を同定するためのマーカーの様々な組合せを提案しているからである。本発明の方法の実施により、モニタリング下にある被験者の正確な分類が行なわれる。
【0036】
本発明によると、処置される予定の各タイプの患者について、NASHスコアを得ることができる。
【0037】
本発明は、NASHの処置の受診者若しくは非受診者として、又は受診者候補若しくは非受診者候補として被験者を分類するための方法を提供する。この分類はまた、肝生検を受けることによるなどの当技術分野において公知である方法によるNASHのさらなる確定を被験者が受けるべきであるかどうかをさらに決定するための根拠でもあり得る。
【0038】
本発明の方法は、
-被験者におけるNASHを診断するために、
-被験者におけるNASHの活動性を決定するために、
-被験者におけるNASHのステージを決定するために、
-被験者におけるNASHの重症度を決定するために、
-被験者をNASHの処置の受診者又は非受診者として分類するために、
-薬物の有効性などの、NASHの医学的処置の有効性を評価するために、
-NASH患者における病態の進行又は減退を決定するために、
-医学的処置の投与後にNASH患者における病態の進行又は減退を決定するために、
-患者が受け入れるか否か、すなわち、NASHの医学的処置に対する応答者(候補)又は非応答者(候補)であるかどうかを予測するために、
-予後の評価、すなわち、疾患の転帰の予測を確立するために、
-臨床的に妥当な転帰の代理マーカーを提供するために、使用され得る。
【0039】
本発明の方法は、患者におけるNASHの診断を可能とするが、しかしまたNASHの進行の追跡も可能とする。これらの方法は有利には、いつ例えば医学的処置を開始するか、又はより危機に瀕した患者ではいつ(例えば肝移植による)手術を行なうかを決定するために実施され得る。
【0040】
本発明は、NASHの処置用の非常に有望な薬物であるエラフィブラノールの有効性に関する大規模な臨床試験の転帰に適用された数学的アルゴリズムのお蔭で同定された様々なバイオマーカーの素晴らしい組合せに基づく。エラフィブラノールは、ジェンフィット社の最も重要なピペリン産物である。エラフィブラノールは、1日1回の経口による処置であり、特にNASHを処置するために開発されたペルオキシソーム増殖因子により活性化されるアルファ/デルタ二重経路を介して作用する第一級の薬物である。エラフィブラノールは、炎症、インスリン感受性、脂質/代謝プロファイル、及び肝マーカーをはじめとする、NASHの複数の局面に対処すると考えられている。
【0041】
特定の実施態様では、様々なアルゴリズム(その中のそれぞれが、特定のクラスの患者に特化している)が実行される。
【0042】
患者の状態により特定のアルゴリズムを決定することによって、結果のさらなる活用はより細かくかつ予測的となる。
【0043】
驚くべきことに、NASHに何らか関連していることが知られている全てのmiRNAの中で、hsa-miR-34(又はその共線変数の1つ)が、本発明者らによって、少なくとも1つの他のバイオマーカーと組み合わせられた場合に、NASHの最も強力かつ指標的なバイオマーカーであると決定された。
【0044】
本発明によると、「非アルコール性脂肪性肝炎」すなわち「NASH」は、脂肪肝、肝細胞の風船様腫大、及び肝炎症の存在として定義される。
【0045】
前記疾患のこの基本的な定義に、NASHはさらに肝線維症を含み得る。
【0046】
本発明によると、「被験者」及び「患者」という用語は互換的に使用され、哺乳動物被験者、特にヒト被験者又はヒト患者を示す。
【0047】
本発明は、その非侵襲的な性質のお蔭で、NASHの公知の素因又は疑わしい素因が全くない被験者などの、あらゆる被験者に対して実施され得る。
【0048】
しかしながら、特定の実施態様では、被験者は、NASHを有しているリスクがあるか又は将来NASHを発症するリスクがある被験者、例えば、肥満、糖尿病を有するか、代謝症候群を患っているか、又は循環中の肝酵素レベル(ALT及び/又はAST)が上昇しているか、又は以前に非アルコール性脂肪肝疾患(又は脂肪肝)と診断された被験者である。
【0049】
被験者はまた、すでにNASHと同定された被験者であり得、本発明の方法はこれにより、肝硬変、線維症、肝癌、肝移植、又は心血管疾患へと疾患が進行するリスクを決定することが可能となる。
【0050】
被験者がNASHに罹患している場合、本発明の方法は、NASH疾患の処置用の薬物の有効性の決定、及びまた、処置に対する応答者/非応答者としての患者の分類を可能とする。
【0051】
本発明は、NASHの処置に対する応答者又は非応答者であり得る患者を同定するために実施され得る。特に、本発明は、患者を様々なクラスに分類することを可能とする。
【0052】
各患者の分類のために、血液中、血清中、若しくは血漿中に循環しているhsa-miR-34(例えばhsa-miR-34a)又はその共線変数、及び少なくとも1つの他の血液中、血清中、若しくは血漿中に循環している肝障害マーカーのレベルの測定を含む、NASHの診断のための、又は被験者におけるNASHの活動性、ステージ、若しくは重症度の決定のための、又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置の受診者若しくは非受診者として被験者を分類するための、又は薬物を投与することによるなどの薬物を投与することなどによるNASHの医学的処置の有効性を評価するための、又はNASH患者における病態の進行若しくは減退を決定するための、又は医学的処置の投与後のNASHの進行若しくは減退を決定するための、又は患者が医学的処置を受け入れるか否かを予測するための、又は予後評価、すなわち患者の疾患の転帰を予想するための、又は臨床的に妥当な転帰の代理マーカーを同定するための方法が提供される。
【0053】
患者の分類は、臨床試験中に、NASH患者の高品質な試料に由来する肝生検材料の組織学的特色(肝細胞の脂肪化、風船様腫大、小葉内炎症、及び場合により線維化)に従って規定された。
【0054】
以前の分析に基づいて、NAFLD活動性スコア(NAS)が確立され、以下のように定義され得る:
NASは3つの特色に基づき、それらの各々は0~2又は3のスコアが付される(以下の表を参照)。NASは、脂肪化(S)スコアと小葉内炎症(L)スコアと肝細胞の風船様腫大(B)スコアの合計である。したがって、NASは0~8であり得る。
【0055】
次いで、場合により、NASH患者はさらに、線維症(存在する場合)のステージによって特徴付けられ得る。NASHにおける線維症のステージ分類は4つのステージとして定義され得、以下に示されているようにステージ1については3つの可能性を有する。
【0056】
【0057】
本発明者らによって収集されたデータは、疾患及び/又はその重症度若しくはステージ若しくは活動性の指標であるスコアの決定をもたらす2つの異なる生物統計学的アプローチに従って処理され、これにより、被験者がNASHに罹患しているかどうかを医師が容易に決定するための、又は疾患のステージ若しくは活動性若しくは重症度を決定するための強力で正確で高度に予測的であるツールが提供された。
【0058】
2つの生物統計学的アプローチであるメディアンモデル及びブートストラップモデルを使用して、以下に記載のようなNASH患者に相関したマーカーの組合せを細かく規定した。
【0059】
本発明において測定されたマーカーのレベルは、被験者の体液から決定され、これは特に、血液試料、より特定すると血清試料又は血漿試料であり得る。試料はさらに、尿などの別の体液に対応してもよい。
【0060】
特定の実施態様によると、本発明において測定されるマーカー及び特にmiRNA(群)のレベルは、血漿試料から、好ましくは血小板非含有の血漿試料から決定される。
【0061】
本発明者らによって同定されたマーカーのレベルは、バイオマーカーの種類(例えばタンパク質、マイクロRNA、血糖値など)に応じて、当技術分野において周知である慣用的な方法、例えばイムノアッセイ(例えばELISA)、又は分子的及び生化学的アッセイ(定量RT-PCR、比色アッセイ)、又は分析法(例えば質量分析法)によって決定され得る。
【0062】
試験されたマーカーがマイクロRNA、より特定するとhsa-miR-34aである場合、その測定は、以下の実施例に提示されているような、当技術分野において周知である多くの方法に従って実施され得る。
【0063】
簡潔に言えば、測定は、血液試料、血漿試料又は血清試料、特に無細胞でクエン酸で誘導された血小板非含有の血漿試料から抽出された全RNAで実施される。適切な内部対照(例えば公知の配列及び品質であるマイクロRNA、例えば線虫(C.elegans)のmiR-39)を、RNA抽出前に試料に添加し得る。Cq値は、定量RT-PCRを使用して決定される。このようなアッセイを実施するための市販のキットは入手可能である。例えば、Taqman miRNA qRT-PCRアッセイ:TaqmanマイクロRNA逆転写キット、TaqManマイクロRNAアッセイ20X、及びTaqManユニバーサルマスターミックスII(アプライドバイオシステムズ社)は、製造業者の説明書に従って使用され得る。逆転写は、GeneAmp(登録商標)PCRシステム9700サーマルサイクラー(アプライドバイオシステムズ社)などの容易に入手可能なPCRシステムを、16℃で30分間、次いで42℃で30分間及び85℃で5分間、その後、4℃で保持するなどの適切なサイクリングパラメーターと共に使用して実施され得る。逆転写は、マルチプレックス形式で実施され得る。次いで、定量PCRを、CFX96TMリアルタイムシステム(C1000TouchTMサーマルサイクラー、バイオラッド社)などの定量PCRシステムを使用して実施する。サイクリング条件は、以下であり得る:95℃で10分間、次いで95℃で15秒間及び60℃で60秒間を計50サイクル、次いで30℃で30秒間。Cqの測定モードは、定量PCRシステムにおいて回帰モードであり得る。特定の実施態様では、本発明の方法に従って決定されたCq値は、上記の特定のパラメーター及び材料を使用して得ることのできるCq値である。もしも数値が各miRNAの標準曲線の最大Cqを上回る場合には、試料のCq値は分析から除外され得る。標準曲線を使用して、反応効率を評価し得る。
【0064】
最も濃縮されたcDNA試料から開始して8つの点におよぶ連続希釈が実施され得、標準曲線が、試験中に出くわし得る全ての鋳型濃度候補を確実に網羅するようにする。標準曲線は、出発鋳型量の対数を、得られたCq値に対してプロットすることによって作成され得る。絶対的な定量データを得るために、合成hsa-miRNAs(例えばインテグレーテッドDNAテクノロジーズ社製)を3.125fmol/mLに希釈し得、血清試料から抽出されたRNAと同時に5μLを逆転写のために使用し得る。次いで、生成物を連続希釈し得、PCRを全ての試料(標準物質及び血清由来RNA)に対して実施し得る。標準曲線を2通り作成し得、これを使用してCqデータ(コピー数/μL)を変換し得る。Cqの測定モードは回帰であった。アルゴリズムの作成に使用されるデータはLog10(コピー数/血清のμL)の形式であった。
【0065】
本発明によると、被験者は、特に対照(又は基準)試料から得られた基準値と比較した場合に、hsa-miR-34aのレベル及び少なくとも1つの他のマーカーのレベルが上昇している場合に、NASHを有していると診断されるか、又はNASHを有している可能性があるか若しくはNASHを有するようであると診断される。基準試料は、NAFLD又はNASHを有さない1人以上、例えば2人以上の被験者から得られた、血液試料、血清試料、又は血漿試料などの体液試料に相当し得る。
【0066】
本発明において、上記のように測定された、バイオマーカーのレベル、すなわち、hsa-miR-34(例えばhs-miR-34a)又はその共線変数の1つのレベル、及び少なくとも1つの他のマーカーのレベルも使用して、疾患スコア、別名「NASHスコア」を決定し得る。以下の記載におけるこのスコアは、医師及びそれを必要とする被験者の双方にとって貴重かつ強力なツールである。なぜなら、それは、非侵襲的な手技を使用して、すなわち肝生検に依拠することなく、NASHの診断、又はNASHの重症度若しくはステージ若しくは活動性、しかしまた以下に列挙された全てのパラメーターの決定も可能とするからである。NASHスコアは、低度のNASH活動性と中程度のNASH活動性と高度のNASH活動性を区別する、又は中等症のNASHと重症のNASHとを区別する閾値と比較し得る。
【0067】
さらに、NASHスコアはまた、薬物の同化に基づいた医学的処置などの、医学的処置の有効性も予測し得る。
【0068】
NASHスコアは、臨床的に妥当な転帰の代理マーカーを提供する。
【0069】
本発明によると、この情報は有利には、被験者がNASHの治療的処置を受けるか否かを決定するために使用され得る。特定の実施態様によると、NASH患者(低度、中程度、若しくは高度なNASH活動性、又は重症のNASH)として決定された被験者は、適切なNASHの医学的処置を用いて処置されるだろう。さらなる特定の実施態様では、中程度から高度のNASH活動性又は重症のNASHを有する被験者が処置されるだろう。
【0070】
さらに、NASHスコアの計算は、患者が医学的処置を受け入れるか否か、すなわち、医学的処置に対する応答者又は非応答者かを予測することも可能とする。
【0071】
同じように、NASHスコアは、NASH患者における病態の進行又は減退の追跡を許容する。さらに、それは、医学的処置の投与後にNASHの進行又は減退の決定を可能とする。
【0072】
NASHスコアはまた、予後の評価、すなわち、肝硬変を発症するリスクなどの、患者の疾患の転帰の予測も可能とする。
【0073】
効果的に、高いNASHスコアは、患者にリスクがあり、マイナスな問題へと、すなわち肝硬変又はさらには死へと進行し得ることを示す。
【0074】
したがって、本発明は、NASHの処置の受診者若しくは非受診者として、又は受診者候補若しくは非受診者候補として被験者を分類するための方法に関し、該方法は、上記に定義されているようなマーカーのレベルの決定、本明細書に提供されているようなNASHスコアの計算、及び該NASHスコアに基づいた処置の受診者(候補)又は非受診者(候補)としての被験者の分類を含む。この分類はまた、肝生検を受けることによるなどの当技術分野において公知の方法によるNASHのさらなる確認を、被験者が受けるべきであるかどうかをさらに決定するための根拠でもあり得る。
【0075】
さらに、被験者の分類はまた、被験者における低度のNASH活動性又は中等症のNASHを決定し、この分類に基づいて被験者にNASHを元に戻すための食事及び/又は生活様式の勧告を提供するために使用され得る。。
【0076】
処置される予定の患者は、低度、中程度、若しくは高度のNASH活動性を有し得るか、又は重症のNASHを呈し得る。しかしながら、好ましい実施態様によると、出願人は、処置される予定の患者は、リスクのある患者に限定されるという前提から出発する。
【0077】
よって、本発明において考えられる患者は好ましくは中等症から重症のNASH患者として分類される。
【0078】
特定の実施態様によると、本発明において、中程度から高度のNASH活動性として又は重症のNASH患者として分類された被験者は、NASHの処置の受診者又は受診者候補であると考えられる。
【0079】
本発明の脈絡において、一般的にNASH患者は、以下の肝生検から得られた等級を呈すると定義される:
-脂肪化スコア≧1
-肝細胞の風船様腫大スコア≧1
-小葉内炎症スコア≧1
-NAS(NAFLD活動性スコア)≧3(NASは、脂肪化スコアと肝細胞の風船様腫大スコアと小葉内炎症スコアの合計として定義される)。
【0080】
本発明の方法は、hsa-miR-34(例えばhsa-miR-34a)又はその共線変数の1つ、及び少なくとも1つの他の血液中、血清中、若しくは血漿中に循環している肝障害マーカーの測定を含む。
【0081】
特定の実施態様では、miRNA(群)のレベルの測定は、血漿試料、特に血小板非含有の血漿試料に対して行なわれる。
【0082】
統計分析によると、バイオマーカーはまた、以下に記載のような共線性検定を通しても試験された。
【0083】
2つ又はいくつかの変数が、0.7より優れた相関を提示する場合、患者を規定する反応変数に関するそれらの平均差の単変量検定を実施した。そのことは、共線変数もそれらが存在する場合には含まれることを意味する。単変量検定において最善の結果を有する変数が、その共線変数の中から選択された。これらの選択された変数並びに他の共線性ではない変数も、モデリングアプローチに含まれる。
【0084】
本発明において、上記のように測定されたバイオマーカーのレベルはまた、疾患スコア、別名「NASHスコア」を決定するために使用され得る。
【0085】
したがって、本発明はまた、NASHスコアが、測定された血液中、血清中、又は血漿中に循環している肝障害マーカーのレベルから計算される方法、並びにNASHが診断される及び/又はNASHのステージ若しくは活動性若しくは重症度が決定される方法、並びに/あるいは、NASHの処置の受診者又は非受診者としての被験者の分類が決定される方法、並びに/あるいは、薬物の投与に基づいた医学的処置の有効性が決定される方法、並びに/あるいは、NASH患者における病態の進行又は減退が測定される方法、並びに/あるいは医学的処置の投与後のNASHの進行又は減退が測定される方法、並びに/あるいは医学的処置を受け入れる又は受け入れない患者の特徴が決定される方法、並びに/あるいは、予後評価、すなわち患者の疾患の転帰の予測が確立される方法、並びに/あるいは、臨床的に妥当な転帰の代理マーカーが提供される方法も記載する。
【0086】
本発明によると、前記方法は、
-hsa-miR-34又はその共線変数の1つ;及び少なくとも1つの血液中、血清中、又は血漿中に循環している肝障害マーカーのレベルを測定する工程、並びに
-結果を数学的アルゴリズムを通して組み合わせることにより、NASHスコアを得る工程を含む。
【0087】
特定の実施態様では、少なくとも1つの他の循環している肝障害マーカーは、α2マクログロブリン、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、空腹時血糖値、フルクトサミンレベル、インスリン、C-ペプチド、インスリン抵抗性指数(HOMA)、III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチド、hsa-miR-200、YKL-40、CK18-M30、CK18-M65、ALT、AST、尿比重(Uri Spec Grav)、尿クレアチニン、好塩基球、高感度反応性タンパク質(HSCRP)、尿中β-NAG、白血球、好中球、及びフィブリノーゲンからなる群より選択される。これらの尺度は、以下で明らかであろうように、被験者の身長の測定値などの他のパラメーターを用いて完全になり得る。特定の実施態様では、本発明の方法は、miR34(特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p)のレベルの測定値と、YKL-40のレベルの測定値を組み合わせる。さらなる特定の実施態様では、本発明の方法は、miR34(特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p)のレベルの測定値と、YKL-40とα2マクログロブリンのレベルの測定値を組み合わせる。別の特定の実施態様では、本発明の方法は、miR34(特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p)のレベルの測定値と、YKL-40、α2マクログロブリン及び糖化ヘモグロビン(HbA1c)のレベルの測定値を組み合わせる。
【0088】
本発明によると、本明細書に記載の方法において、対照試料のレベルと比較して、アッセイされたマーカーのレベルの変化は、NASH及び/又はNASHの活動性、ステージ、若しくは重症度、及び/又はNASHの処置の受診者若しくは非受診者としての被験者の分類、及び/又は薬物の投与に基づいた医学的処置の有効性、及び/又はNASH患者における病態の進行若しくは減退、及び/又は医学的処置の投与後のNASHの進行若しくは減退、及び/又は医学的処置を受け入れる若しくは受け入れない患者の特徴、及び/又は予後の評価、すなわち、患者の疾患の転帰の予測、の指標である。
【0089】
NASHスコアは、「S」とも称されるが、これは特定の実施態様では、中程度から高度のNASH活動性又は重症のNASHを有する確率を指し得る。
【0090】
第一のサブクラスの患者
本発明の脈絡において、及び本発明の第一の変法において、第一のサブクラスの患者は、以下の肝生検から得られた等級を呈する患者として又はそれと等価であるとして定義される:
-脂肪化スコア≧1
-肝細胞の風船様腫大スコア≧1
-小葉内炎症スコア≧1
-NAS(NAFLD活動性スコア)≧4(NASは、脂肪化スコアと肝細胞の風船様腫大スコアと小葉内炎症スコアの合計である)
-線維化ステージ≧2(例えば線維化ステージは2、3又は4、特に2又は3である)。
【0091】
以下の方法は、被験者におけるNASHを診断するために、又は上記の肝生検から得られた等級を提示する可能性があるとして被験者を分類するために、又はNASH処置の受診者若しくは非受診者であると患者を特徴付けるために実施され得る。
【0092】
第一のサブクラスの患者を同定(又は診断)するための方法の第一の変法において、hsa-miR-34レベル、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5pが測定され、共線変数は、hsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、及びhsa-miR-192、特にhsa-miR-192-5pからなる群より選択される。
【0093】
本発明の第一の変法の好ましい実施態様では、前記方法は
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p、又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、又はhsa-miR-192、特にhsa-miR-192-5pのレベルを測定する工程;及び
-α2マクログロブリン、
-糖化ヘモグロビン(HbA1c)、空腹時血糖値、又はフルクトサミンのレベル、
-III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチド(PIIINP)、
-hsa-miR-200、特にhsa-miR-200a、より特定するとhsa-miR-200a-3p、
-YKL-40
からなる群より選択された少なくとも1つの他のマーカー、好ましくは全てのマーカーのレベルを測定する工程
を含む。
【0094】
本発明の第一の変法の特定の実施態様では、本発明のNASHスコアは、上記に提供されているように測定された以下のマーカーのレベルから計算される:
-miR-34a(より特定するとmiR-34a-5p)のレベル;及び
-α2マクログロブリンのレベル;及び
-HbA1cのレベル;及び
-III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチドのレベル;及び
-hsa-miR-200a(特にhsa-miR-200a-3p)のレベル;及び
-YKL-40のレベル。
【0095】
第一の変法のさらなる特定の実施態様では、スコアは、対数関数:
【数1】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C+d
*D+f
*F+g
*G
として定義され、
ここで、
Sは、本発明によるNASHスコアであり;
Aは、α2マクログロブリンのレベル(g/L)であり;
Bは、HbA1cのレベル(%)であり(例えば、測定されたHbA1cの比率が10%である場合、Bは10である);
Cは、III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチドのレベル(ng/mL)であり;
Dは、hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベル(Cq)であり;
Fは、hsa-miR-200(特に、hsa-miR-200a、より特定するとhsa-miR-200a-3p)のレベル(Cq)であり;
Gは、YKL-40のレベル(pg/ml)であり;
kは、対数関数の定数であり;
aは、α2マクログロブリンのレベルに関連した係数であり;
bは、HbA1cのレベルに関連した係数であり;
cは、III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチドのレベルに関連した係数であり;
dは、hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベルに関連した係数であり;
fは、hsa-miR-200(特にhsa-miR-200a、より特定するとhsa-miR-200a-3p)のレベルに関連した係数であり;
gは、YKL-40のレベルに関連した係数である。
【0096】
したがって、NASHスコアは、中程度から高度のNASH活動性又は重症のNASHを有する確率である。
【0097】
Sが閾値より高いか又は等しい場合、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいはNASHについて処置される予定であるか又はNASHについて処置される可能性があるとして分類される。特定の実施態様によると、Sが閾値より低い場合、被験者は処置される予定であるか又は処置されない予定であるとして、特に処置されない予定であるとして分類され得、並びに/あるいは、被験者はその低度のNASH活動性又は中等症のNASHを管理するための食事及び/又は生活様式の勧告の受診者又は受診者候補として分類される。
【0098】
本出願の実験部に記載のようなメディアンモデルから誘導された、特定の実施態様では:
kは、5.94~50.74の数値であり;
aは、0~1.07の数値であり;
bは、0~1.20の数値であり;
cは、0~0.24の数値であり;
dは、-0.97~0の数値であり;
fは、-0.87~0の数値であり;
gは、0~1.74×10-5の数値であり;
ここで、閾値は、0.2017~0.4645、より特定すると0.2302である。
【0099】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.2017~0.4645の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0100】
メディアンモデルから依然として誘導された、さらなる特定の実施態様では、
kは、25.13であり;
aは、0.52であり;
bは、0.57であり;
cは、0.12であり;
dは、-0.43であり;
fは、-0.47であり;そして
gは、9.54×10-6であり;
ここで、閾値は、0.2017~0.4645、より特定すると0.2302である。
【0101】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.2017~0.4645の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0102】
この特定の実施態様によると、受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)は、少なくとも0.80、好ましくは0.82、より好ましくは0.84である。AUCは、アルゴリズムの品質を測定するために多くの適用において使用されている非常によく知られている基準である。その数値が1に近づけば近づくほど、アルゴリズムはより良好となる。
【0103】
本出願の実験部に記載のようなブートストラップモデルから誘導された、別の特定の実施態様では、
kは、8.24~35.44の数値であり;
aは、0.06~0.88の数値であり;
bは、0.14~1.04の数値であり;
cは、0.03~0.23の数値であり;
dは、-0.75~-0.05の数値であり;
fは、-0.73~-0.07の数値であり;
gは、3.59×10-6~1.78×10-5の数値であり;
ここで、閾値は0.2718~0.6391、より特定すると0.3502である。
【0104】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.2718~0.6391の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0105】
これもまたブートストラップモデルから誘導された、さらなる特定の実施態様では、
kは、21.84であり;
aは、0.47であり;
bは、0.59であり;
cは、0.13であり;
dは、-0.40であり;
fは、-0.40であり;そして
gは、1.07×10-5であり;
ここで、閾値は、0.2718~0.6391、より特定すると0.3502である。
【0106】
特定の実施態様によると、被験者は、NASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.2718~0.6391の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0107】
この特定の実施態様によると、AUCは少なくとも0.80、好ましくは0.82、より好ましくは0.84である。
【0108】
特定の実施態様では、第一の変法について記載された上記の方法は、血漿試料から実施される。
【0109】
ブートストラップモデル及びメディアンモデルから誘導されたものの両方について、AUCは非常に良好である。このことは、両方のモデルを本発明において互換的に利用することができることを意味する。
【0110】
本発明はまた、
(i)hsa-miR-34(特にhsa-miR-34a、より特定するとmiR-34a-5p)、hsa-miR-122(特にhsa-miR-122-5p)及びhsa-miR-192(特にhsa-miR-192-5p)からなる群より選択された少なくとも1つのマーカー;並びに
(ii)α2マクログロブリン;
(iii)HbA1c、空腹時血糖値、フルクトサミンレベルからなる群より選択された少なくとも1つのマーカー;
(iv)III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチド;
(v)hsa-miR-200(特にhsa-miR-200a、より特定するとhsa-miR-200a-3p)、及び
(vi)YKL-40
から選択された少なくとも1つの他のマーカー、特に全てのマーカー
のレベルを決定するための手段を含む、キットにも関する。
【0111】
本発明の特定の実施態様では、前記キットは、
(i)hsa-miR-34(特にhsa-miR-34a、より特定するとmiR-34a-5p)、
(ii)α2マクログロブリン、
(iii)HbA1c、
(iv)III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチド;
(v)hsa-miR-200a(特にhsa-miR-200a、より特定するとhsa-miR-200a-3p)及びYKL-40
のレベルを決定するための手段を含む。
【0112】
本発明のキットは、上記の方法を実施するのに有用であり、さらに場合により、該方法を実施するための説明書を含み得る。該キットは、上記で同定されたマーカーのレベルの測定を実施するのに適した試薬及び緩衝液を含み得る。特に、該キットは、定量しようとするタンパク質に対して特異的である抗体、及び/又は、当技術分野において周知であるようなマイクロRNAのレベルを定量するのに有用なプライマーを含み得る。
【0113】
本発明のこの第一の変法の中で、出願人は、研究をさらに進め、血清中に循環しているmiRNA(群)に焦点を当てることを決断した。
【0114】
一般的に、処置される予定のリスクのある様々な患者の血漿からの様々な循環しているマーカー、特にmiRNA(群)が評価される。
【0115】
新規なアプローチでは、出願人は、血清上に循環している様々なマーカーを評価した。血清は、全血を凝固させた後に全血をその固体成分と液体成分とに分離した時に得られる透明な黄色がかった液体として定義され得る。
【0116】
血清から評価されるmiRNA(群)は、Log10(コピー数/血清のμL)で表現され、この数値を決定するための詳細な方法を以下に提示する。
【0117】
別のモデルでは、血清中で評価されたmiRNA(群)はCqで表現される。
【0118】
本発明の第一の変法の好ましい実施態様(ここでは血清中のmiRNAが評価されかつCqで表現される)によると、該方法は、hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、又はCK18-M30、CK18-M65、又はALT又はAST、及び少なくとも1つの血液中、血清中、若しくは血漿中に循環している肝障害マーカーの血清中のレベルを測定する工程、並びに
-結果を数学的アルゴリズムを通して組み合わせることによりNASHスコアを得る工程
を含む。
【0119】
本発明のこの態様の別の好ましい実施態様では、前記方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、又はCK18-M30、CK18-M65、又はALT又はASTの血清中のレベルを測定する工程、
-α2マクログロブリンのレベルを測定する工程、
-糖化ヘモグロビンレベル(HbA1c)、空腹時血糖値、又はフルクトサミンレベルを測定する工程、
-YKL-40のレベルを測定する工程
を含む。
【0120】
本発明の第一の態様の特定の実施態様では、本発明のNASHスコアは、上記に提供されるように測定された以下のマーカーのレベルから計算される:
-血清中で測定されたmiR-34a(より特定するとmiR-34a-5p)のレベル;及び
-血清中のα2マクログロブリンのレベル;及び
-血清中のYKL-40のレベル、及び
-HbA1cのレベル。
【0121】
この特定の実施態様によると、スコアは、has-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)の血清中のレベルがCq単位で表現されている、対数関数
【数2】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C+d
*D
として定義され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、血清中hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベル(Cq)であり;
Bは、血清中α2マクログロブリンのレベル(g/L)であり;
Cは、血清中YKL-40のレベル(pg/ml)であり;
Dは、HbA1cのレベル(%)であり(例えば、測定されたHbA1cの比率が10%である場合、Dは10である);
kは、対数関数の定数であり;
aは、血清中hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベルに関連した係数であり;
bは、血清中α2マクログロブリンのレベルに関連した係数であり;
cは、血清中YKL-40のレベルに関連した係数であり;
dは、HbA1cのレベルに関連した係数である。
【0122】
Sが閾値より高いか又は等しい場合、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHについて処置される予定であるか、又はNASHについて処置される可能性があると分類される。特定の実施態様によると、Sが閾値より低い場合、被験者は処置される予定であるか又は処置されない予定であるとして、特に処置されない予定であるとして分類され得、並びに/あるいは、被験者はその低度のNASH活動性又は中等症のNASHを管理するための食事及び生活様式の勧告の受診者又は受診者候補として分類される。
【0123】
本出願の実験部に記載のようなブートストラップモデルから誘導された、特定の実施態様では、
kは、9.51~34.37の数値であり;
aは、-1.17~-0.47の数値であり;
bは、0.02~0.84の数値であり;
cは、6.10×10-6~2.09×10-5の数値であり;
dは、0.07~0.89の数値であり;
ここで、閾値は0.2013~0.5965、より特定すると0.4661である。
【0124】
特定の実施態様によると、被験者は、NASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.2013~0.5965の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0125】
これもまたブートストラップモデルから誘導された、さらなる特定の実施態様では、
kは、21.94であり;
aは、-0.82であり;
bは、0.43であり;
cは、1.35×10-5であり;
dは、0.48であり;
ここで、閾値は0.2013~0.5965、より特定すると0.4661である。
【0126】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.2013~0.5965の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0127】
この特定の実施態様によると、AUCは少なくとも0.80、好ましくは0.82である。
【0128】
本出願の実験部に記載のようなメディアンモデルから誘導された、さらなる特定の実施態様では、
kは、6.02~56.69の数値であり;
aは、-1.26~0.00の数値であり;
bは、0.00~0.88の数値であり;
cは、0.00~2.00×10-5の数値であり;
dは、0.00~0.96の数値であり;
閾値は、0.9773~0.9955、より特定すると0.9936である。
【0129】
特定の実施態様によると、被験者は、NASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.9773~0.9955の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0130】
これもまたメディアンモデルから誘導された、さらなる特定の実施態様では、
kは、28.17であり;
aは、-0.84であり;
bは、0.36であり;
cは、1.23×10-5であり;
dは、0.41であり;
ここで、閾値は0.9773~0.9955、より特定すると0.9936である。
【0131】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.9773~0.9955の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0132】
この特定の実施態様によると、AUCは少なくとも1つの0.80、好ましくは0.82である。
【0133】
ブートストラップモデル及びメディアンモデルから誘導されたものの両方について、AUCは非常に良好である。このことは、両方のモデルを本発明において互換的に利用することができることを意味する。
【0134】
これもまた本発明の第一の変法の特定の実施態様(ここで血清中のmiRNAが評価され、log10(コピー数/μl)で表現される)によると、該方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p、又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、又はCK18-M30、又はAST、及び少なくとも1つの血液中、血清中、若しくは血漿中に循環している肝障害マーカーの血清中のレベルを測定する工程、並びに
-結果を数学的アルゴリズムを通して組み合わせることによりNASHスコアを得る工程
を含む。
【0135】
本発明のこの第一の変法の別の好ましい実施態様では、前記方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p、又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、又はCK18-M30、又はASTの血清中レベルを測定する工程、
-α2マクログロブリンのレベルを測定する工程、
-糖化ヘモグロビン(HbA1c)のレベル、空腹時血糖値、又はフルクトサミンのレベルを測定する工程、
-YKL-40のレベルを測定する工程
を含む。
【0136】
これもまたこの特定の実施態様によると、スコアは、血清中のhsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベルがlog10(コピー数/μL)で表現されている、対数関数
【数3】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C+d
*D
として定義され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、血清中hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベル(log10)(コピー数/μL)であり;
Bは、血清中α2マクログロブリンのレベル(g/L)であり;
Cは、血清中YKL-40のレベル(pg/ml)であり;
Dは、HbA1cのレベル(%)であり(例えば、測定されたHbA1cの比率が10%である場合、Dは10である);
kは、対数関数の定数であり;
aは、血清中hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベルに関連した係数であり;
bは、血清中α2マクログロブリンのレベルに関連した係数であり;
cは、血清中YKL-40のレベルに関連した係数であり;
dは、HbA1cのレベルに関連した係数である。
【0137】
したがって、NASHスコアは、中程度から高度のNASH活動性又は重症のNASHを有する確率である。
【0138】
Sが閾値より高いか又は等しい場合、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいはNASHについて処置される予定であるか又はNASHについて処置される可能性があるとして分類される。特定の実施態様によると、Sが閾値より低い場合、被験者は処置される予定であるか又は処置されない予定であるとして、特に処置されない予定であるとして分類され得、並びに/あるいは、被験者はその低度のNASH活動性又は中等症のNASHを管理するための食事及び/又は生活様式の勧告の受診者又は受診者候補として分類される。
【0139】
本出願の実験部に記載のようなブートストラップモデルから誘導された、特定の実施態様では、
kは、-14.50~-7.40の数値であり;
aは、1.38~3.58の数値であり;
bは、0.02~0.84の数値であり;
cは、5.98×10-6~2.08×10-5の数値であり;
dは、0.07~0.89の数値であり;
ここで、閾値は0.1895~0.6089、より特定すると0.4255である。
【0140】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.1895~0.6089の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0141】
これもまたブートストラップモデルから誘導された、さらなる特定の実施態様では、
kは、-10.95であり;
aは、2.48であり;
bは、0.43であり;
cは、1.34×10-5であり;
dは、0.48であり;
ここで、閾値は0.1895~0.6089、より特定すると0.4255である。
【0142】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.1895~0.6089の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0143】
この特定の実施態様によると、AUCは少なくとも0.80、好ましくは0.82である。
【0144】
本出願の実験部に記載のようなメディアンモデルから誘導された、さらなる特定の実施態様では、
kは、-27.16~-0.78の数値であり;
aは、0~3.97の数値であり;
bは、0~0.89の数値であり;
cは、0~1.98×10-5の数値であり;
dは、0~0.97の数値であり;
ここで、閾値は0.1421~0.4556、より特定すると0.3201である。
【0145】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.1421~0.4556の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0146】
さらなる特定の実施態様では、
kは、-11.03であり;
aは、2.59であり;
bは、0.38であり;
cは、1.21×10-5であり;
dは、0.40であり;
ここで、閾値は0.1421~0.4556、より特定すると0.3201である。
【0147】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.1421~0.4556の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0148】
この特定の実施態様によると、AUCは少なくとも0.80、好ましくは0.82である。
【0149】
血清中で評価されlog10(コピー数/μl)で表現されるmiRNAに関するこの第一の変法の最後の実施態様では、出願人はまた、他のいくつかのバイオマーカーの測定値をlog10値へ変換することを決断した。このことは、上記に定義されたいくつかのマーカーの測定値が、log10で表現されることを意味する。
【0150】
よって、本発明の第一の態様のこの最後の実施態様によると、前記方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、又はCK18-M30、又はALT又はAST、及び少なくとも1つの血液中、血清中、若しくは血漿中に循環している肝障害マーカーの血清中のレベルを測定する工程、並びに
-結果を数学的アルゴリズムを通して組み合わせることによりNASHスコアを得る工程
を含む。
【0151】
本発明のこの変法の別の好ましい実施態様では、前記方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p、又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、又はCK18-M30、又はALT又はASTの血清中のレベルを測定する工程、
-log10(HOMA)(インスリン抵抗性指数)又は血漿中空腹時血糖、又は血清中空腹時血糖、又はlog10(フルクトサミン)、又はHBA1c、又はインスリン、又はC-ペプチドのレベルを測定する工程、
-YKL-40のlog10値を測定する工程
を含む。
【0152】
これもまたこの特定の実施態様によると、スコアは、血清中hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベルがlog10(コピー数/μL)で表現されている、対数関数
【数4】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C
として定義され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、血清中hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベル(log10)(コピー数/μL)であり;
Bは、血清中HOMAのレベルのlog10であり;
Cは、血清中YKL-40のレベルのlog10であり;
kは、対数関数の定数であり;
aは、血清中hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベルに関連した係数であり;
bは、血清中HOMAのレベルのlog10に関連した係数であり;
cは、血清中YKL-40のレベルのlog10に関連した係数である。
【0153】
したがって、NASHスコアは、中程度から高度のNASH活動性又は重症のNASHを有する確率である。
【0154】
Sが閾値より高いか又は等しい場合、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいはNASHについて処置される予定であるか又はNASHについて処置される可能性があるとして分類される。特定の実施態様によると、Sが閾値より低い場合、被験者は処置される予定であるか又は処置されない予定であるとして、特に処置されない予定であるとして分類され得、並びに/あるいは、被験者はその低度のNASH活動性又は中等症のNASHを管理するための食事及び/又は生活様式の勧告の受診者又は受診者候補として分類される。
【0155】
本出願の実験部に記載のようなブートストラップモデルから誘導された、特定の実施態様では、
kは、-25.68~-13.34の数値であり;
aは、1.62~3.78の数値であり;
bは、0.40~2.52の数値であり;
cは、1.37~3.61の数値である。
【0156】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.2392~0.5907の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0157】
依然としてブートストラップモデルから誘導されたさらなる特定の実施態様では、
kは、-19.51であり;
aは、2.70であり;
bは、1.46であり;
cは、2.49であり;
閾値は、0.2392~0.5907、より特定すると0.5313である。
【0158】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧2を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.2392~0.5907の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0159】
この特定の実施態様によると、AUCは少なくとも0.80、好ましくは0.82である。
【0160】
第二のサブクラスの患者
本発明の脈絡において及び本発明の第二の変法において、第二のサブクラスの患者は、以下の肝生検から得られた等級を提示する患者として又は患者に等価であるとして定義される:
-脂肪化スコア≧1
-肝細胞の風船様腫大スコア≧1
-小葉内炎症スコア≧1
-NAS(NAFLD活動性スコア)≧4(NASは、脂肪化スコアと肝細胞の風船様腫大スコアと小葉内炎症スコアの合計として定義される)、
-線維化ステージ≧1(例えば線維化ステージは1、2、3、又は4である)。
【0161】
本発明の方法は、hsa-miR-34又はその共線変数の1つ、及び少なくとも1つの他の血液中、血清中、若しくは血漿中に循環している肝障害マーカーの測定を含む。
【0162】
統計分析によると、バイオマーカーはまた、以下に記載のような共線性検定を通して試験された。
【0163】
第二のサブクラスの患者を同定(又は診断)するための方法の第一の変法において、hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5pのレベルが測定され、共線変数は、hsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、及びhsa-miR-192、特にhsa-miR-192-5pからなる群より選択される。
【0164】
本発明の第二の変法の好ましい実施態様では、前記方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5pのレベルを測定する工程、及び共線変数は、hsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、及びhsa-miR-192、特にhsa-miR-192-5pからなる群より選択される、
-YKL-40のレベルを測定する工程;及び場合により
-尿比重(Uri Spec Grav)又は尿クレアチニンのレベルを測定する工程;
-好塩基球のレベルを測定する工程;及び
-HSCRP(高感度C反応性タンパク質)のレベルを測定する工程
を含む。
【0165】
メディアンモデルから誘導された本発明のこの第二の変法のより好ましい実施態様では、前記方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5pのレベルを測定する工程、
-YKL-40のレベルを測定する工程
を含む。
【0166】
本発明の第二の変法の特定の実施態様では、本発明のNASHスコアは、上記に提供されたように測定された以下のマーカーのレベルから計算される:
-miR-34a(より特定するとmiR-34a-5p)のレベル;及び
-YKL-40のレベル。
【0167】
本発明の第二の変法のさらなる特定の実施態様では、スコアは、対数関数:
【数5】
Y=k+a
*A+b
*B
として定義され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベル(Cq)であり;
Bは、YKL-40のレベル(pg/ml)であり;
kは、-116.08~40.97の数値であり;
aは、-0.82~0の数値であり;
bは、0~1.88×10
-5の数値であり;
閾値は0.1387~0.3481、より特定すると0.2187である。
【0168】
特定の実施態様によると、被験者は、NASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.1387~0.3481、より特定すると0.2187の閾値より高い又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0169】
Sが閾値より高いか又は等しい場合、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいはNASHについて処置される予定であるか又はNASHについて処置される可能性があるとして分類される。特定の実施態様によると、Sが閾値より低い場合、被験者は処置される予定であるか又は処置されない予定であるとして、特に処置されない予定であるとして分類され得、並びに/あるいは、被験者はその低度のNASH活動性又は中等症のNASHを管理するための食事及び/又は生活様式の勧告の受診者又は受診者候補として分類される。
【0170】
本出願の実験部に記載のようなメディアンモデルから依然として誘導された、特定の実施態様では、
kは、12.87であり;
aは、-0.42であり;
bは、8.160×10-6であり;
ここで、閾値は、0.1387~0.3481、より特定すると0.2187である。
【0171】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.1387~0.3481、より特定すると0.2187の閾値より高い又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0172】
この特定の実施態様によると、AUCは少なくとも0.68、好ましくは0.70である。
【0173】
ブートストラップモデルから誘導された本発明のこの第二の変法の別の好ましい実施態様では、前記方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5pのレベルを測定する工程、
-YKL-40のレベルを測定する工程、
-尿比重のレベルを測定する工程、
-好塩基球のレベルを測定する工程、
-HSCRPのレベルを測定する工程
を含む。
【0174】
本発明の第二の変法の特定の実施態様では、本発明のNASHスコアは、上記に提供されているように測定された以下のマーカーのレベルから計算される:
-miR-34a(より特定するとmiR-34a-5p)のレベル;及び
-YKL-40のレベル;及び
-尿比重のレベル;及び
-好塩基球のレベル、及び
-HSCRPのレベル。
【0175】
本発明の第二の変法のさらなる特定の実施態様では、スコアは、対数関数:
【数6】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C+d
*D+f
*F
として定義され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベル(Cq)であり;
Bは、YKL-40のレベル(pg/ml)であり;
Cは、尿比重のレベル(単位なし)であり;
Dは、好塩基球のレベル(1×10
9/L)であり;
Fは、HSCRPのレベル(mg/dL)であり;
kは、-124.81~1.13の数値であり;
aは、-0.91~-0.25の数値であり;
bは、4.77×10
-6~2.39×10
-5の数値であり;
cは、17.21~141.51の数値であり;
dは、2.80~60.74の数値であり;
fは、0.01~0.23の数値であり;
ここで、閾値は、0.5791~0.8269、より特定すると0.7758である。
【0176】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.5791~0.8269の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0177】
Sが閾値より高いか又は等しい場合、被験者は脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいはNASHについて処置される予定であるか又はNASHについて処置される可能性があるとして分類される。特定の実施態様によると、Sが閾値より低い場合、被験者は処置される予定であるか又は処置されない予定であるとして、特に処置されない予定であるとして分類され得、並びに/あるいは、被験者はその低度のNASH活動性又は中等症のNASHを管理するための食事及び/又は生活様式の勧告の受診者又は受診者候補として分類される。
【0178】
本出願の実験部に記載のようなブートストラップモデルから誘導された、特定の実施態様では、
kは、-61.84であり;
aは、-0.58であり;
bは、1.44×10-5であり;
cは、79.36であり;
dは、31.77であり;
fは、0.12であり;
ここで、閾値は、0.5791~0.8269、より特定すると0.7758である。
【0179】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.5791~0.8269の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0180】
この特定の実施態様によると、AUCは少なくとも0.75、好ましくは0.77である。
【0181】
本発明はまた、
(i)hsa-miR-34(特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p)、又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p又はhsa-miR-192、特にhsa-miR-192-5pからなる群より選択された少なくとも1つのマーカー、及び
(ii)YKL-40;及び場合により
(iii)尿比重(Uri Spec Grav)又は尿クレアチニン;好塩基球;及びHSCRP(高感度反応性タンパク質)
のレベルを決定するための手段を含むキットにも関する。
【0182】
本発明の特定の実施態様では、前記キットは、
(i)hsa-miR-34(特にhsa-miR-34a、より特定するとmiR-34a-5p)、及び
(ii)YKL-40
のレベルを決定するための手段を含む。
【0183】
本発明の別の特定の実施態様では、前記キットは、
(i)hsa-miR-34(特にhsa-miR-34a、より特定するとmiR-34a-5p)、及び
(ii)YKL-40、及び
(iii)尿比重、及び
(iv)好塩基球、及び
(v)HSCRP
のレベルを決定するための手段を含む。
【0184】
本発明のキットは、上記の方法を実施するのに有用であり、さらに場合により、該方法を実施するための説明書を含み得る。該キットは、上記で同定されたマーカーのレベルの測定を実施するのに適した試薬及び緩衝液を含み得る。特に、該キットは、定量しようとするタンパク質に対して特異的である抗体、及び/又は、当技術分野において周知であるようなマイクロRNAのレベルを定量するのに有用なプライマーを含み得る。
【0185】
第三のサブクラスの患者
本発明の脈絡において及び本発明の第三の変法において、第三のサブクラスの患者は、以下の肝生検から得られた等級を提示している患者として又は患者に等価であるとして定義される:
-脂肪化スコア≧1
-肝細胞の風船様腫大スコア≧1
-小葉内炎症スコア≧1
-NAS(NAFLD活動性スコア)≧4(NASは、脂肪化スコアと肝細胞の風船様腫大スコアと小葉内炎症スコアの合計として定義される)、
-線維化ステージ=1b、1c、2、3、又は4。
【0186】
本発明の第三の変法の好ましい実施態様では、前記方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5a、又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、又はhsa-miR-192、特にhsa-miR-192-5pのレベルを測定する工程、
-CK18-M65、又はCK18-M30、又はAST又はALTのレベルを測定する工程、及び
-尿中β-NAGレベルを測定する工程、及び
-白血球又は好中球のレベルを測定する工程、及び
-α2マクログロブリンのレベルを測定する工程、及び場合により
-hsa-miR-200、特にhsa-miR-200a、より特定するとhsa-miR-200a-3pのレベルを測定する工程、及び
-フィブリノーゲンのレベルを測定する工程、及び
-患者の身長を測定する工程
を含む。
【0187】
メディアンモデルから誘導された、本発明のこの第三の変法のより好ましい実施態様では、前記方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5a、又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、又はhsa-miR-192、特にhsa-miR-192-5pのレベルを測定する工程、
-CK18-M65、又はCK18-M30、又はAST又はALTのレベルを測定する工程、及び
-尿中β-NAGのレベルを測定する工程、及び
-白血球又は好中球のレベルを測定する工程、及び
-α2マクログロブリンのレベルを測定する工程、
-hsa-miR-200、特にhsa-miR-200a、より特定するとhsa-miR-200a-3pのレベルを測定する工程
を含む。
【0188】
メディアンモデルから誘導された、本発明のこの第三の態様の特定の実施態様では、本発明のNASHスコアは、上記に提供されているように測定された以下のマーカーのレベルから計算される:
-miR-34a(より特定するとmiR-34a-5p)のレベル、及び
-CK18-M65のレベル、及び
-尿中β-NAGのレベル、及び
-白血球のレベル、及び
-α2マクログロブリンのレベル、
-hsa-miR-200a(特にhsa-miR-200a-3p)のレベル。
【0189】
本発明の第三の変法のさらなる特定の実施態様では、スコアは、対数関数:
【数7】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C+d
*D+f
*F+g
*G
として定義され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、特にhsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5p)のレベル(Cq)であり;
Bは、CK18-M65のレベル(U/L)であり;
Cは、尿中β-NAGのレベル(U/L)であり;
Dは、白血球のレベル(1×10
9/L)であり;
Fは、α2マクログロブリンのレベル(g/L)であり;
Gは、hsa-miR-200a(特にhsa-miR-34a-3p)のレベル(Cq)であり;
kは、-69.89~57.02の数値であり;
aは、-1.09~0の数値であり;
bは、0~0.005の数値であり;
cは、0~0.28の数値であり;
dは、0~0.69の数値であり;
fは、0~1.08の数値であり;
gは、-0.80~0の数値であり;
ここで、閾値は、0.0197~0.1136、より特定すると0.0592である。
【0190】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1b、1c、2、3、又は4を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.0197~0.1136、より特定すると0.0592の閾値より高いか又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0191】
Sが閾値より高いか又は等しい場合、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1b、1c、2、3、又は4を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいはNASHについて処置される予定であるか又はNASHについて処置される可能性があるとして分類される。特定の実施態様によると、Sが閾値より低い場合、被験者は処置される予定であるか又は処置されない予定であるとして、特に処置されない予定であるとして分類され得、並びに/あるいは、被験者はその低度のNASH活動性又は中等症のNASHを管理するための食事及び/又は生活様式の勧告の受診者又は受診者候補として分類される。
【0192】
依然として本出願の実験部に記載のようなメディアンモデルから誘導された、特定の実施態様では、
kは、24.98であり;
aは、-0.54であり;
bは、0.002であり;
cは、0.14であり;
dは、0.32であり;
fは、0.43であり;及び
gは、-0.37であり;
ここで、閾値は、0.0197~0.1136、より特定すると0.0592である。
【0193】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1b、1c、2、3、又は4を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.0197~0.1136、より特定すると0.0592の閾値より高い又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0194】
この特定の実施態様によると、AUCは少なくとも0.80、好ましくは0.82、より好ましくは0.83である。
【0195】
ブートストラップモデルから誘導された本発明のこの第三の変法のより好ましい実施態様では、前記方法は、
-hsa-miR-34、特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5a、又はhsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p、又はhsa-miR-192、特にhsa-miR-192-5pのレベルを測定する工程、
-CK18-M65、又はCK18-M30、又はAST又はALTのレベルを測定する工程、及び
-尿中β-NAGのレベルを測定する工程、及び
-白血球又は好中球のレベルを測定する工程、及び
-α2マクログロブリンのレベルを測定する工程、及び
-フィブリノーゲンのレベルを測定する工程、及び
-身長を測定する工程
を含む。
【0196】
ブートストラップモデルから誘導された本発明のこの第三の変法の特定の実施態様では、本発明のNASHスコアは、上記に提供されているように測定された以下のマーカーのレベルから計算される:
-hsa-miR-34a、特にhsa-miR-34a-5pのレベル、
-CK18-M65のレベル、及び
-尿中β-NAGのレベル、及び
-白血球のレベル、及び
-α2マクログロブリンのレベル、
-フィブリノーゲンのレベル、
-患者の身長値。
【0197】
本発明の第三の変法のさらなる特定の実施態様では、スコアは、対数関数:
【数8】
Y=k+a
*A+b
*B+c
*C+d
*D+f
*F+g
*G+h
*H
として定義され、
ここで、
Sは、NASHスコアであり;
Aは、hsa-miR-34a(特にhsa-miR-34a-5p)のレベル(Cq)であり;
Bは、CK18-M65のレベル(U/L)であり;
Cは、尿中β-NAGのレベル(U/L)であり;
Dは、白血球のレベル(1×10
9/L)であり;
Fは、α2マクログロブリンのレベル(g/L)であり;
Gは、フィブリノーゲンのレベル(g/L)であり;
Hは、身長値(cm)であり;
kは、8.31~35.79の数値であり;
aは、-0.96~-0.26の数値であり;
bは、0.0006~0.0034の数値であり;
cは、0.04~0.24の数値であり;
dは、0.04~0.52の数値であり;
fは、0.07~0.89の数値であり;
gは、0.14~1.28の数値であり;
hは、-0.08~-0.001の数値であり;
ここで、閾値は、0.3373~0.7260、より特定すると0.6370である。
【0198】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1b、1c、2、3、又は4を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.3373~0.7260、より特定すると0.6370の閾値より高い又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0199】
Sが閾値より高いか又は等しい場合、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1b、1c、2、3、又は4を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいはNASHについて処置される予定であるか又はNASHについて処置される可能性があるとして分類される。特定の実施態様によると、Sが閾値より低い場合、被験者は処置される予定であるか又は処置されない予定であるとして、特に処置されない予定であるとして分類され得、並びに/あるいは、被験者はその低度のNASH活動性又は中等症のNASHを管理するための食事及び/又は生活様式の勧告の受診者又は受診者候補として分類される。
【0200】
依然として本出願の実験部に記載のようなブートストラップモデルから誘導された、特定の実施態様では、
kは、22.05であり;
aは、-0.61であり;
bは、0.002であり;
cは、0.14であり;
dは、0.28であり;
fは、0.48であり;
gは、0.71であり;及び
hは、-0.04であり;
ここで、閾値は、0.3373~0.7260、より特定すると0.6370である。
【0201】
特定の実施態様によると、被験者はNASHを有しているか、あるいは脂肪化スコア≧1、肝細胞の風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化ステージ≧1b、1c、2、3、又は4を有しているか又は有している可能性があるとして分類されるか、並びに/あるいは、NASHスコアSが0.3373~0.7260、より特定すると0.6370の閾値より高い又は等しい場合、処置の受診者又は受診者候補として分類される。
【0202】
この特定の実施態様によると、AUCは少なくとも0.80、好ましくは0.82、より好ましくは0.84である。
【0203】
この第三の変法によると、本発明はまた、
(i)hsa-miR-34(特にhsa-miR-34a、より特定するとhsa-miR-34a-5a)、hsa-miR-122、特にhsa-miR-122-5p及びhsa-miR-192、特にhsa-miR-192-5pからなる群より選択された少なくとも1つのマーカー、及び
(ii)CK18-M65、又はCK18-M30、又はAST又はALT、及び
(iii)尿中β-NAG、及び
(iv)白血球又は好中球、及び
(v)α2マクログロブリン、及び場合により
(vi)hsa-miR-200(特にhsa-miR-200a、より特定するとhsa-miR-200a-3p)、フィブリノーゲン、及び身長
のレベルを決定するための手段を含むキットにも関する。
【0204】
本発明の特定の実施態様では、前記キットは、
(i)hsa-miR-34(特にhsa-miR-34a、より特定するとmiR-34a-5p)、及び
(ii)CK18-M65、及び
(iii)尿中β-NAG、及び
(iv)白血球、及び
(v)α2マクログロブリン、及び
(vi)hsa-miR-200(特にhsa-miR-200a、より特定するとhsa-miR-200a-3p)
のレベルを決定するための手段を含む。
【0205】
本発明の別の特定の実施態様では、前記キットは、
(i)hsa-miR-34(特にhsa-miR-34a、より特定するとmiR-34a-5p)、及び
(ii)CK18-M65、及び
(iii)尿中β-NAG、及び
(iv)白血球、及び
(v)α2マクログロブリン、及び
(vi)フィブリノーゲン、及び
(vii)身長
のレベルを決定するための手段を含む。
【0206】
本発明のキットは、上記の方法を実施するのに有用であり、該方法を実施するための説明書をさらに含み得る。該キットは、上記で同定されたマーカーのレベルを測定を実施するのに適した試薬及び緩衝液を含み得る。特に、該キットは、定量しようとするタンパク質に対して特異的である抗体、及び/又は、当技術分野において周知であるようなマイクロRNAのレベルを定量するのに有用なプライマーを含み得る。
【0207】
別の態様によると、本発明はまた、患者を分類するための様々な方法にも関する。
【0208】
処置法
本発明はさらに、(a)被験者におけるNASHを診断するか又はNASHの活動性、ステージ、若しくは重症度を決定する工程、NASHの処置の受診者又は非受診者として被験者を分類する工程、薬物の同化に基づいた医学的処置の有効性を決定する工程、NASHの進行又は減退を決定する工程、及び上記に提供された方法に従って患者の転帰を決定する工程;(b)NASHのための処置を工程(a)に基づいて該被験者に投与する工程を含む、被験者におけるNASHの処置法に関する。
【0209】
本発明はさらに、(a)上記に定義されているような分類法に従って前記被験者を分類する工程;(b)該被験者が、工程(a)による処置の受診者として分類された場合、被験者にNASHのための処置を投与する工程を含む、被験者におけるNASHの処置法に関する。
【0210】
本発明はさらに、(a)上記に定義されているような分類法に従って前記被験者を分類する工程;(b)該被験者が工程(a)による処置の非受診者として分類された場合、被験者に食事及び/又は生活様式の勧告を提供する工程を含む、被験者における低度のNASH活動性又は中等症のNASHを管理するための方法に関する。
【0211】
本発明に従ってNASHを処置するための方法は、それを必要とする被験者に対する、1つ以上の抗NASH化合物(群)、例えば式(I):
【化1】
(式中、
X1は、ハロゲン基、R1基、又はG1-R1基を示し;
Aは、CH=CH基又はCH2-CH2基を示し;
X2はG2-R2基を示し;
G1及びG2は、同じ又は異なり、酸素原子又は硫黄原子を示し;
R1は、水素原子、置換されていないアルキル基、1つ以上のハロゲン原子によって置換されているアリール基又はアルキル基、アルコキシ基又はアルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキルチオ基、又はヘテロ環式基を示し;
R2は、少なくとも1つの-COOR3基によって置換されているアルキル基を示し、ここでのR3は、水素原子、又は1つ以上のハロゲン原子によって置換されているか又は置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、又はヘテロ環式基を示し、
R4及びR5は、同じ又は異なり、1つ以上のハロゲン原子によって置換されているか又は置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環式基を示す)
で示される化合物又は薬学的に許容されるその塩の投与を含む。
【0212】
NASHのこの処置法の特定の実施態様では、式(I)の化合物は、1-[4-メチルチオフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロップ-2-エン-1-オン、1-[4-メチルチオフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-イソプロピルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロップ-2-エン-1-オン、1-[4-メチルチオフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロップ-2-エン-1-オン、1-[4-トリフルオロメチルフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロップ-2-エン-1-オン、1-[4-トリフルオロメチルフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロップ-2-エン-1-オン、1-[4-トリフルオロメチルオキシフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロップ-2-エン-1-オン、1-[4-トリフルオロメチルオキシフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロップ-2-エン-1-オン、2-[2,6-ジメチル-4-[3-[4-(メチルチオ)フェニル]-3-オキソ-プロピル]フェノキシ]-2-メチルプロパン酸、及び2-[2,6-ジメチル-4-[3-[4-(メチルチオ)フェニル]-3-オキソ-プロピル]フェノキシ]-2-メチル-プロパン酸イソプロピルエステル;又は薬学的に許容されるその塩からなる群より選択される。本発明のさらなる特定の実施態様では、式(I)の化合物は、1-[4-メチルチオフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロップ-2-エン-1-オン又は薬学的に許容されるその塩である。
【0213】
本発明のNASH処置法に使用され得る他の化合物としては、以下のクラス及びこれより以後の特定の化合物から選択される化合物が挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0214】
本発明の実施に有用な例示的で非制限的な抗NASH剤としては、
-アセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害剤;
-抗LPS抗体;
-頂端側ナトリウム共依存性胆汁酸輸送体阻害剤;
-生理活性脂質;
-カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト;
-カスパーゼ阻害剤;
-カテプシン阻害剤;
-CCRアンタゴニスト;
-ジアシルグリセロール-O-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害剤;
-ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4)阻害剤;
-2種類のNOX(NADPHオキシダーゼ)1及び4阻害剤;
-細胞外マトリックスタンパク質モジュレーター;
-ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤/脂肪酸胆汁酸抱合体(FABAC);
-ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト;
-線維芽細胞増殖因子19(FGF-19)組換え体;
-線維芽細胞増殖因子21(FGF-21)アゴニスト;
-ガレクチン3阻害剤;
-グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)類似体;
-Gタンパク質共役受容体(GPCR)モジュレーター;
-インテグリン阻害剤;
-ロイコトリエン(LT)/ホスホジエステラーゼ(PDE)/リポキシゲナーゼ(LO)阻害剤;
-マクロライド;
-miRNAアンタゴニスト;
-モノクローナル抗体;
-mTORモジュレーター;
-核内受容体リガンド;
-P2Y13タンパク質アゴニスト;
-プロテアーゼ活性型受容体(PAR)-2アンタゴニスト;
-プロテインキナーゼモジュレーター;
-PPARαアゴニスト;
-PPARγアゴニスト;
-PPARδアゴニスト;
-PPARα/γアゴニスト;
-PPARα/δアゴニスト;
-PPARγ/δ;
-PPARα/γ/δアゴニスト又はPPARパンアゴニスト;
-Rho結合プロテインキナーゼ2(ROCK2)阻害剤;
-シグナル調節キナーゼ1(ASK1)阻害剤;
-ナトリウム-グルコース輸送(SGLT)2阻害剤;
-ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤/脂肪酸胆汁酸抱合体;
-甲状腺受容体β(THRβ)アゴニスト;
-Toll様受容体4(TLR-4)アンタゴニスト;
-チロシンキナーゼ受容体(RTK)モジュレーター;
-血管接着タンパク質-1(VAP-1)阻害剤、及び
-ビタミンD受容体(VDR)アゴニスト、が挙げられる。
【0215】
他の抗NASH剤としては、KB-GE-001及びNGM-386及びNGM-395及びNC-10及びTCM-606Fが挙げられる。
【0216】
本発明によると、本明細書において使用する「アセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害剤」という用語には、GS-0976;ND-654;AC-8632;PF05175157が含まれるがこれらに限定されない。
【0217】
本発明によると、本明細書において使用する「抗LPS抗体」という用語には、IMM-124-Eが含まれるがこれに限定されない。
【0218】
本発明によると、本明細書において使用する「頂端側ナトリウム共依存性胆汁酸輸送体阻害剤」という用語には、A-4250;ボリキシバット;マラリキシバット(以前はSHP-625);GSK-2330672;エロビキシバット;CJ-14199が含まれるがこれらに限定されない。
【0219】
本発明によると、本明細書において使用する「生理活性脂質」という用語には、5-ヒドロキシエイコサペンタエン酸(15-HEPE、DS-102)が含まれるがこれに限定されない。
【0220】
本発明によると、本明細書において使用する「カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト」という用語には、ナマシズマブ(namacizumab);GRC-10801;MRI-1569;MRI-1867;DBPR-211;AM-6527;AM-6545;NESS-11-SM;CBX-029;GCC-2680;TM-38837;Org-50189;PF-514273;BMS-812204;ZYO-1;AZD-2207;AZD-1175;オテナバント;イビピナバント;スリナバント;リモナバント;ドリナバント;SLV-326;V-24343;O-2093が含まれるがこれらに限定されない。
【0221】
本発明によると、本明細書において使用する「カスパーゼ阻害剤」という用語には、エムリカサン;ベルナカサン;ニボカサン;IDN-7314;F-573;VX-166;YJP-60107;MX-1122;IDN-6734;TLC-144;SB-234470;IDN-1965;VX-799;SDZ-220-976;L-709049が含まれるがこれらに限定されない。
【0222】
本発明によると、本明細書において使用する「カテプシン阻害剤」という用語には、VBY-376;VBY-825;VBY-036;VBY-129;VBY-285;Org-219517;LY3000328;RG-7236;BF/PC-18が含まれるがこれらに限定されない。
【0223】
本発明によると、本明細書において使用する「CCRアンタゴニスト」という用語には、セニクリビロック(CCR2/5アンタゴニスト);PG-092;RAP-310;INCB-10820;RAP-103;PF-04634817;CCX-872が含まれるがこれらに限定されない。
【0224】
本発明によると、本明細書において使用する「ジアシルグリセロール-O-アシルトランスフェラーゼ阻害剤」という用語には、IONIS-DGAT2Rx(以前はISIS-DGAT2Rx);LY-3202328;BH-03004;KR-69530;OT-13540;AZD-7687;ABT-046が含まれるがこれらに限定されない。
【0225】
本発明によると、本明細書において使用する「ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤」という用語には、エボグリプチン;ビルダグリプチン;フォタグリプチン(fotagliptin);アログリプチン;サキサグリプチン;チログリプチン(tilogliptin);アナグリプチン;シタグリプチン;レタグリプチン(retagliptin);メログリプチン;ゴソグリプチン;トレラグリプチン;テネリグリプチン;デュトグリプチン;リナグリプチン;ゲミグリプチン;ヨグリプチン(yogliptin);ベタグリプチン(betagliptin);イミグリプチン;オマリグリプチン;ビダグリプチン;デナグリプチンが含まれるがこれらに限定されない。
【0226】
本発明によると、本明細書において使用する「2種類のNOX(NADPHオキシダーゼ)1及び4阻害剤」という用語には、GKT-831(以前はGKT137831);GKT-901が含まれるがこれらに限定されない。
【0227】
本発明によると、本明細書において使用する「細胞外マトリックスタンパク質モジュレーター」という用語には、CNX-024;CNX-025;SB-030が含まれるがこれらに限定されない。
【0228】
本発明によると、本明細書において使用する「ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト」という用語には、オベチコール酸;GS-9674;LJN-452;EDP-305;AKN-083;INT-767;GNF-5120;LY2562175;INV-33;NTX-023-1;EP-024297;Px-103;SR-45023が含まれるがこれらに限定されない。
【0229】
本発明によると、本明細書において使用する「線維芽細胞増殖因子19(FGF-19)組換え体」という用語には、NGM-282が含まれるがこれに限定されない。
【0230】
本発明によると、本明細書において使用する「線維芽細胞増殖因子21(FGF-21)アゴニスト」という用語には、PEG-FGF21(以前はBMS-986036);YH-25348;BMS-986171;YH-25723;LY-3025876;NNC-0194-0499が含まれるがこれらに限定されない。
【0231】
本発明によると、本明細書において使用する「ガレクチン3阻害剤」という用語には、GR-MD-02;TD-139;ANG-4021;ガレクチン-3C;LJPC-201;TFD-100;GR-MD-03;GR-MD-04;GM-MD-01;GM-CT-01;GM-CT-02;Gal-100;Gal-200が含まれるがこれらに限定されない。
【0232】
本発明によると、本明細書において使用する「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)類似体」という用語には、セマグルチド;リラグルチド;エキセナチド;アルビグルチド;デュラグルチド;リキシセナチド;ロキセナチド(loxenatide);エフェグレナチド(efpeglenatide);タスポグルチド;MLC-253;DLP-205;ORMD-0901が含まれるがこれらに限定されない。
【0233】
本発明によると、本明細書において使用する「Gタンパク質共役受容体(GPCR)モジュレーター」という用語には、CNX-023が含まれるがこれに限定されない。
【0234】
本発明によると、本明細書において使用する「インテグリン阻害剤」という用語には、プライアント・セラピューティクス社のインテグリン阻害剤;インダロ・セラピューティクス社のインテグリン阻害剤;セントルイス大学のインテグリン阻害剤;ProAgio;GSK-3008348が含まれるがこれらに限定されない。
【0235】
本発明によると、本明細書において使用する「ロイコトリエン/ホスホジエステラーゼ/リポキシゲナーゼ阻害剤」という用語には、チペルカスト(以前はMN-001);トメルカスト;スルカスト;マシルカスト;ザフィルルカスト;プランルカスト;モンテルカスト;ゲミルカスト;ベルルカスト;アクルカスト(aklukast);ポビリカスト(pobilikast);シナルカスト;イラルカストが含まれるがこれらに限定されない。
【0236】
本発明によると、本明細書において使用する「マクロライド」という用語には、ソリスロマイシン;アジスロマイシン;エリスロマイシンが含まれるがこれらに限定されない。
【0237】
本発明によると、本明細書において使用する「miRNAアンタゴニスト」という用語には、RG-125(以前はAZD4076);RGLS-5040;RG-101;MGN-5804;MRG-201が含まれるがこれらに限定されない。
【0238】
本発明によると、本明細書において使用する「メタロプロテアーゼ-9(MMP-9)刺激因子」という用語には、エラストミックス社のMMP-9刺激因子が含まれるがこれに限定されない。
【0239】
本発明によると、本明細書において使用する「モノクローナル抗体」という用語には、ベルチリムマブ;NGM-313;IL-20を標的化するmAb;フレソリムマブ(抗TGFβ抗体)(以前はGC1008);チモルマブ(timolumab)(以前はBTT-1023);ナマシズマブ(namacizumab);オマリズマブ;ラニビズマブ;ベバシズマブ;レブリキズマブ;エプラツズマブ;フェルビズマブ;マツズマブ;モナリズマブ;レスリズマブ;イネビリズマブが含まれるがこれらに限定されない。
【0240】
本発明によると、本明細書において使用する「mTORモジュレーター」という用語には、MSDC-0602;SVP-シロリムスと共投与されるAAV遺伝子療法が含まれるがこれらに限定されない。
【0241】
本発明によると、本明細書において使用する「核内受容体リガンド」という用語には、DUR-928(以前はDV928)が含まれるがこれに限定されない。
【0242】
本発明によると、本明細書において使用する「P2Y13タンパク質アゴニスト」という用語には、CER-209が含まれるがこれに限定されない。
【0243】
本発明によると、本明細書において使用する「プロテアーゼ活性型受容体(PAR)-2アンタゴニスト」という用語には、PZ-235;NP-003が含まれるがこれらに限定されない。
【0244】
本発明によると、本明細書において使用する「プロテインキナーゼモジュレーター」という用語には、CNX-014;MB-11055;ALF-1;マンギフェリン;アムレキサノックス;GS-444217;REG-101;バリンが含まれるがこれらに限定されない。
【0245】
本発明によると、本明細書において使用する「PPARαアゴニスト」という用語には、フェノフィブラート、シプロフィブラート、ペマフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ビニフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブリン酸、ニコフィブラート、ピリフィブラート、プラフィブリド、ロニフィブラート、テオフィブラート、トコフィブラート、SR10171が含まれるがこれらに限定されない。
【0246】
本発明によると、本明細書において使用する「PPARγアゴニスト」という用語には、ピオグリタゾン、重水素化ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、エファツタゾン(efatutazone)、ATx08-001、OMS-405、CHS-131、THR-0921、SER-150-DN、KDT-501、GED-0507-34-Levo、CLC-3001、ALL-4が含まれるがこれらに限定されない。
【0247】
本発明によると、本明細書において使用する「PPARδアゴニスト」という用語には、GW501516(エンデュラボル(Endurabol)、すなわち({4-[({4-メチル-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,3-チアゾール-5-イル}メチル)スルファニル]-2-メチルフェノキシ}酢酸))又はMBX8025(セラデルパル(Seladelpar)、すなわち{2-メチル-4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-2H-[1,2,3]トリアゾール-4-イルメチルスルファニル]-フェノキシ}-酢酸)又はGW0742([4-[[[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチル-5-チアゾリル]メチル]チオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸)又はL165041又はHPP-593又はNCP-1046が含まれるがこれらに限定されない。
【0248】
本発明によると、本明細書において使用する「PPARα/γアゴニスト」(グリタザルとも命名される)という用語には、サログリタザル、アレグリタザル、ムラグリタザル、テサグリタザル、DSP-8658が含まれるがこれらに限定されない。
【0249】
エラフィブラノールの他に、例示的なPPARα/δアゴニストには、T913659が含まれるがこれに限定されない。
【0250】
本発明によると、本明細書において使用する「PPARγ/δアゴニスト」という用語には、抱合したリノール酸(CLA)、T3D-959が含まれるがこれらに限定されない。
【0251】
本発明によると、本明細書において使用する「PPARα/γ/δアゴニスト」又は「PPARパンアゴニスト」という用語には、IVA337又はTTA(テトラデシルチオ酢酸)又はババチニン又はGW4148又はGW9135、又はベザフィブラート又はロベグリタゾン、又はCS038が含まれるがこれに限定されない。
【0252】
本発明によると、本明細書において使用する「Rho結合プロテインキナーゼ2(ROCK2)阻害剤」という用語には、KD-025;TRX-101;BA-1049;LYC-53976;INS-117548;RKI-1447が含まれるがこれらに限定されない。
【0253】
本発明によると、本明細書において使用する「シグナル調節キナーゼ1(ASK1)阻害剤」という用語には、GS-4997が含まれるがこれに限定されない。
【0254】
本発明によると、本明細書において使用する「ナトリウム-グルコース輸送(SGLT)2阻害剤」という用語には、レモグリフロジン;ダパグリフロジン;エンパグリフロジン;エルツグリフロジン;ソタグリフロジン;イプラグリフロジン;チアナグリフロジン;カナグリフロジン;トフォグリフロジン;ジャナグリフロジン(janagliflozin);ベキサグリフロジン;ルセオグリフロジン;セルグリフロジン;HEC-44616;AST-1935;PLD-101が含まれるがこれらに限定されない。
【0255】
本発明によると、本明細書において使用する「ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤/脂肪酸胆汁酸抱合体」という用語には、アラムコール;GRC-9332;ステアムコール(steamchol);TSN-2998;GSK-1940029;XEN-801が含まれるがこれらに限定されない。
【0256】
本発明によると、本明細書において使用する「甲状腺受容体β(THRβ)アゴニスト」という用語には、VK-2809;MGL-3196;MGL-3745;SKL-14763;ソベチロム;BCT-304;ZYT-1;MB-07811;エプロチロムが含まれるがこれらに限定されない。
【0257】
本発明によると、本明細書において使用する「Toll様受容体4(TLR-4)アンタゴニスト」という用語には、ナルトレキソン;JKB-121;M-62812;レサトルビド;デンドロフィリン(dendrophilin);CS-4771;AyuV-1;AyuV-25;NI-0101;EDA-HPVE7;エリトランが含まれるがこれらに限定されない。
【0258】
本発明によると、本明細書において使用する「チロシンキナーゼ受容体(RTK)モジュレーター」という用語には、CNX-025;KBP-7018が含まれるがこれらに限定されない。
【0259】
本発明によると、本明細書において使用する「血管接着タンパク質-1(VAP-1)阻害剤」という用語には、PXS-4728A;CP-664511;PRX-167700;ASP-8232;RTU-1096;RTU-007;BTT-1023が含まれるがこれらに限定されない。
【0260】
本発明によると、本明細書において使用する「ビタミンD受容体(VDR)アゴニスト」という用語には、カルシフェロール;アルファカルシドール;1,25-ジヒドロキシビタミンD3;ビタミンD2;ビタミンD3;カルシトリオール;ビタミンD4;ビタミンD5;ジヒドロタキステロール;カルシポトリオール;タカルシトール;1,24-ジヒドロキシビタミンD3;パリカルシトールが含まれるがこれらに限定されない。
【0261】
本発明はまた、他の肝疾患、より特定すると線維性肝疾患、例えばウイルス性肝炎(HBV、HCVなど)、アルコール性脂肪性肝炎、胆道疾患(原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、ウィルソン病、α1-アンチトリプシン欠乏症)にも関する。
【0262】
実施例
材料及び方法
試料の収集及び分析
臨床試験
臨床試験(NASHの第2相GOLDEN-505試験(GFT505-212-7-NCT01694849)は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者における脂肪性肝炎に対する1日1回のエラフィブラノール(1-[4-メチルチオフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロップ-2-エン-1-オン)の有効性及び安全性を評価するための、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。
【0263】
他の病因の肝疾患を適切に排除した後に、肝生検を実施して、NASHの診断を確定した。NASHは、無作為化前の6カ月間以内に肝生検によって評価したところ脂肪性肝炎と診断された。脂肪性肝炎の確定は、肝生検材料の中心部分を解読することに基づいた。NASH患者は、脂肪化スコア≧1及び肝細胞の風船様腫大≧1及び小葉内炎症≧1を含む、NAS≧3を用いて定義された。
【0264】
各々の治験参加中心施設における試験は、適切な規制機関によって認可され、全ての患者が医学研究への参加について同意した。
【0265】
NASHの第2相GOLDEN-505試験に由来する血漿試料を使用して、NASHの最も強力かつ重要なマーカー(群)を同定した。
【0266】
他の病因の肝疾患を適切に排除した後に、肝生検を実施して、NASHの診断を確定した。
【0267】
NASHは、無作為化前の6カ月間以内に肝生検によって評価したところ脂肪性肝炎と診断された。脂肪性肝炎の確定は、肝生検材料の中心部分を解読することに基づいた。各々の治験参加中心施設における試験は、適切な規制機関によって認可され、全ての患者が医学研究への参加について同意した。
【0268】
血液サンプリング及び臨床検査
血液試料は、中央検査機関のプロトコール及びマニュアル-ジェンフィット社-GFT505-212-7に従って収集された。
【0269】
試験プロトコールに従って、以下の分析を実施した。
【0270】
血液検査には、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球、白血球数、白血球分画(好中球、リンパ球、好酸球、単球、好塩基球の全体数及び%値)、血小板、及び網状赤血球が含まれる。
【0271】
生化学検査Iには、血漿中グルコース、トリグリセリド(TG)、クレアチニン、クレアチニンクリアランス、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、アルカリホスファターゼ、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及びHbA1cが含まれる。
【0272】
生化学検査IIには、血漿中グルコース、クレアチニン、クレアチニンクリアランス、総タンパク質、アルブミン、ナトリウム、カリウム、クロライド、カルシウム、尿酸、血液尿素窒素(BUN)として表現される尿素、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アルカリホスファターゼ、クレアチニンホスホキナーゼ(CPK)、総ビリルビン、抱合型ビリルビン、C反応性タンパク質(hsCRP)、AST/ALT比、及びHbA1cが含まれる。
【0273】
尿検査には、
-ディップスティック分析(比重、pH、赤血球、白血球、グルコース、タンパク質、ケトン、ビリルビン、ウロビリノーゲン、及び硝酸塩)、
-顕微鏡分析は、赤血球、白血球、キャスト(cast)、結晶、細菌、上皮細胞、及び酵母を含む、
-化学分析(アルブミン及びクレアチニン)
が含まれる。
【0274】
血清検査には、HIV抗体I/II、HCV抗体、HCV RNA(HCV RNAの来診時の試料を受け取った時、及びHCV抗体について「反応性あり」又は「未定」の結果の場合にのみ検査する)及びHbsAgが含まれる。
【0275】
脂質検査には、トリグリセリド(TG)、総コレステロール、ノンHDL-C(計算値)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、低密度リポタンパク質(LDL-C)(計算値)、計算された超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL-C)(計算値)、アポリポタンパク質AI(ApoAI)、及びアポリポタンパク質B(ApoB)が含まれる。
【0276】
尿化学検査には、α-1-ミクログロブリン、β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(β-NAG)及び好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(N-Gal)が含まれる。
【0277】
安全性マーカーには、ホモシステイン、NT-ProBNP、トロポニンT、シスタチンC、及びβ2-ミクログロブリンが含まれる。
【0278】
血糖及び他の脂質に関するパラメーターには、レプチン、インスリン、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)、血清中グルコース(HOMA-IRの計算のための)、フルクトサミン、C-ペプチド、及び遊離脂肪酸(FFA)が含まれる。
【0279】
炎症マーカーには、ハプトグロビン、フィブリノーゲン、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン6(IL-6)、及びプラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PAI-1)抗原(クエン酸塩)が含まれる。
【0280】
肝マーカーには、サイトケラチン-18(CK18)(M65及びM30)、アディポネクチン、フェリチン、α2マクログロブリン、FGF19及びFGF21、ヒアルロン酸(シーメンス社(ベルギー)によって入手され、経由してジェンフィット社に請求された試薬であるアドヴィアケンタウルス)、III型コラーゲンのN末端プロ-ペプチド(PIIINP)(シーメンス社(ベルギー)によって入手された試薬であるアドヴィアケンタウルス)、及び組織マトリックスメタロプロテアーゼ-1阻害剤(TIMP-1)(シーメンス社によって入手された試薬であるアドヴィアケンタウルス)が含まれる。
【0281】
各々の生化学アッセイのための方法、機器、及び製造業者のリストをこの表に報告する。
【0282】
【0283】
【0284】
試料の収集及び保存
このバイオマーカー試験に使用される血液試料は、処置期間前の505.212.7試験の患者から得た。追加の試料の収集、保存、及び使用のための書面によるインフォームドコンセントが、各患者から得られた。
【0285】
クエン酸塩を含有しているチューブに収集された血液 2.7mLは、収集から15分以内に、1,500×gで15分間の遠心分離によって血球から無細胞血漿を分離することによって処理された。上澄みの血漿を新しいチューブに移した。チューブを-70℃に保った。RNAの抽出へと進めるために、次いで、血漿チューブを13,000×gで2分間遠心分離にかけて、血小板をペレット化し除去した。上澄みの血小板非含有血漿を新しいチューブに移し、液体窒素中で凍結させ、-80℃で保存した。
【0286】
クエン酸の添加された血漿中の全RNAの抽出及びmiRNAの定量
miRNAの保存された全RNAを、400μlの血小板非含有の血漿から、miRNeasy抽出キット(miRNeasy血清/血漿キット(カタログ番号217184))によって及び製造業者の説明書に従って1:5の血漿/QIAzol比を使用して抽出した。合成スパイクイン線虫(C.elegans)miR-39を、RNA抽出プロセスの内部対照として、RNA抽出前に試料[3.125fmol]に加えた。18μlの溶出緩衝液中で溶出を行なった。
【0287】
成熟miRNAの発現は、Taqman miRNA qRT-PCRアッセイ:TaqManマイクロRNA逆転写キット(参照番号:4366596、アプライドバイオシステムズ社、カールズバッド、CA州)、TaqManマイクロRNAアッセイ20X(参照番号:4440887、アプライドバイオシステムズ社)、及びTaqManユニバーサルマスターミックスII(参照番号:4440040、アプライドバイオシステムズ社)を使用して製造業者の説明書に従って検出された。
【0288】
逆転写は、GeneAmp(登録商標)PCRシステム9700サーマルサイクラー(参照番号:200005、アプライドバイオシステムズ社)を使用して、16℃で30分間、その後、42℃で30分間及び85℃で5分間、その後、4℃で保持するというサイクリング条件で実施された。逆転写は、RNA試料を保存するために4つのmiRNA特異的逆プライマーを用いて多重化された。定量PCRは、CFX96(商標)リアルタイムシステム(C1000Touch(商標)サーマルサイクラー、バイオラッド社)を使用して、95℃で10分間、その後、95℃で15秒間及び60℃で60秒間を計50サイクル、並びに30℃で30秒間のサイクリング条件で実施された。
【0289】
関心対象の候補のmiRNAに対する特異的なプライマーの配列は、以下の表2に従って選択された。
【0290】
【0291】
アルゴリズムの作成に使用されたデータは、Cqの形式であった。Cqの測定モードは回帰であった。
【0292】
血清中の全RNAの抽出及びmiRNAの定量
miRNAの保存された血清中の全RNAを、100μlの血清から、miRVanaParis抽出キット(AM1556、アンビオン社)によって製造業者の説明書に従って抽出した。合成スパイクイン線虫(C.elegance)のmiR-39を、RNA抽出プロセスの内部対照として、RNA抽出前に試料[3.125fmol](MSY0000010、キアゲン社)に加えた。100μlの溶出緩衝液中で溶出を行なった。
【0293】
成熟miRNAの発現は、Taqman miRNA qRT-PCRアッセイ:TaqManマイクロRNA逆転写キット(参照番号:4366596、アプライドバイオシステムズ社、カールズバッド、CA州)、TaqManマイクロRNAアッセイ20X(参照番号:4440887、アプライドバイオシステムズ社)、及びTaqManユニバーサルマスターミックスII(参照番号:4440040、アプライドバイオシステムズ社)を使用して製造業者の説明書に従って検出された。
【0294】
逆転写は、GeneAmp(登録商標)PCRシステム9700サーマルサイクラー(参照番号:200005、アプライドバイオシステムズ社)を使用して、16℃で30分間、その後、42℃で30分間及び85℃で5分間、その後、4℃で保持するというサイクリング条件で実施された。逆転写は、貴重なRNA試料を保存するために4つのmiRNA特異的逆プライマーを用いて多重化された。
【0295】
定量PCRは、CFX96(商標)リアルタイムシステム(C1000Touch(商標)サーマルサイクラー、バイオラッド社)を使用して、95℃で10分間、その後、95℃で15秒間及び60℃で60秒間を計50サイクル、並びに30℃で30秒間のサイクリング条件で実施された。
【0296】
関心対象のmiRNAに対する特異的プライマーの配列は、以下の表に従って選択された:
【表5】
【0297】
合成hsa-miRNA(インテグレーテッドDNAテクノロジーズ社)を3.125fmol/mLに希釈し、5μLを、血清試料から抽出されたRNAと同時に逆転写のために使用した。生成物を連続希釈し、全ての試料(標準物質及び血清由来RNA)にPCRを実施した。標準曲線を二通り作成し、これを使用してCqデータ(コピー数/μL)を変換した。Cq測定モードは回帰であった。アルゴリズムの作成に使用されたデータはLog10(コピー数/血清のμL)の形式であった。
【0298】
【0299】
統計分析
目的及び定義
これらの分析の目的は、処置される予定のNASH患者の同定に関連し得るバイオマーカーを発見することであった。処置される予定の患者(TBT)(to be treated)は、試験の異なる部分に応じて異なって定義された。
【0300】
本発明の第一の態様によると、TBTは、
-脂肪化スコア≧1、
-肝細胞の風船様腫大スコア≧1、
-小葉内炎症スコア≧1、
-NAS(NAFLD活動性スコア)≧4(NASは、脂肪化スコアと肝細胞の風船様腫大スコアと小葉内炎症スコアの合計として定義される)、
-線維化ステージ≧2(例えば線維化ステージは2、3、又は4、特に2又は3である)
として定義される。
【0301】
本発明の第二の態様によると、TBTは、
-脂肪化スコア≧1、
-肝細胞の風船様腫大スコア≧1、
-小葉内炎症スコア≧1、
-NAS(NAFLD活動性スコア)≧4(NASは、脂肪化スコアと肝細胞の風船様腫大スコアと小葉内炎症スコアの合計として定義される)、
-線維化ステージ≧1(例えば線維化ステージは1、2、3、又は4である)
として定義される。
【0302】
本発明の第三の態様によると、TBTは、
-脂肪化スコア≧1、
-肝細胞の風船様腫大スコア≧1、
-小葉内炎症スコア≧1、
-NAS(NAFLD活動性スコア)≧4(NASは、脂肪化スコアと肝細胞の風船様腫大スコアと小葉内炎症スコアの合計として定義される)、
-線維化ステージ=1b、1c、2、3、又は4
として定義される。
【0303】
他の患者は、処置される予定がない(NTBT)と記載された。分析のために、TBT患者は反応変数1と分類され、NTBTは反応変数0と分類された。上記に示されているように、説明変数は、人口統計学的記録(年齢、性別、人種)、地域に関する記録(治験中心施設、国、大陸)、又は医療(糖尿病)記録がある限りにおいて、血液試料中(血液検査、生化学検査、凝固、肝マーカー、循環しているmiRNA)又は尿試料中(ディップスティック、沈渣)で測定された多種多様なバイオマーカーを包含した。
【0304】
データセットの管理
この試験に使用されるデータセットは、Golden-505試験から得られ、最初は274人の患者及び121個の変数から構成された。データセット管理は、以下の工程を含んでいた:
1.miRNAの測定を行なわなかった患者の除去
2.10個を超える欠落値を有する変数の除去
3.極値を有する患者及び欠落値の残っている28人の患者の除去
【0305】
212人の患者に対して実施された血清に関する方法を除く本発明の全ての方法のための216人の患者、及び説明変数間の共線性を試験するために使用された112個の変数を有するデータセットが得られた。
【0306】
共線性の試験
量的変数間のピアソン相関を2つずつ計算した。2つの変数が、血漿中miRNAを使用した分析において0.7を超える相関、又は血清中miRNAを使用した分析では0.6を超える相関を提示した場合に、患者のTBTを規定する反応変数に関するその平均差の単変量検定を実施した。選択された変数はより有意であった。
【0307】
共線変数及び選択された変数を表3から表8に提示する。
【0308】
これらの変数は患者の定義に依存し、したがって、患者のカテゴリー毎に変化を受け易い。
【0309】
メディアンモデル
メディアンモデリングプロセスは、TBT/NTBT患者の2/3に相当する訓練セット及びTBT/NTBT患者の残りの1/3に相当する検証セットのデータセットのサンプリングから始まる。このサンプリングは100万回無作為に行なわれ、訓練セットと検証セットとの間に同質性を示す試料(2つのセット間の全ての説明変数において有意差は全くない)を、分析のために保持する。各訓練セットにおける説明変数(バイオマーカー)に関連した反応変数(TBT/NTBT患者を規定する)のロジスティック一般化線形モデルをコンピューター計算する。各訓練セットモデルについて変数の後退選択を実施し、最も低い赤池情報量基準(AIC)によって最適なモデルが発見される。それ故、全ての説明変数は、各訓練セットについてモデル係数を有する。メディアンアルゴリズムは、ゼロとは異なる係数の中央値を示す変数及びそれらの対応する係数を使用して作成される。このアルゴリズムは各検証セットにおいて検証され(ROC、AUC、最適な閾値、全体的な正確度、感度、特異性、陽性反応適中度、及び陰性反応適中度の計算)、最適な閾値の中央値が得られる。ブートストラップモデルとの比較のために、メディアンモデルはまた、検証のために全データセットにも適用される。
【0310】
ブートストラップモデル
ブートストラップモデリングプロセスにおいて、説明変数(バイオマーカー)に関連した反応変数(TBT/NTBT患者を規定する)のロジスティック一般化線形モデルを、全データセットに由来する全ての患者に関してコンピューター計算する。変数の後退選択が実施され、最適なアルゴリズムはAICを使用して選択される。次いで、この最適なアルゴリズムからの変数係数の有意性を、1000個のブートストラップ試料を使用してアルゴリズムを行なうことによって試験する。ゼロを除外した95%の信頼区間を示す係数を有意と判断する。次いで、アルゴリズムを、ROC、AUC、最適な閾値、全体的な正確度、感度、特異性、陽性反応適中度、及び陰性反応適中度を計算することによって検証する。
【0311】
他のNASHスコアリング法との比較
NASHスコアを確立するための方法は、以前に文献に記載されていた:
-NAFLD線維化スコア(Angulo指数)(Angulo et al, 2007)、
-ELF(Guha et al, 2008)(ELF明細シートhttp://www.healthcare.siemens.com/clinical-specialities/liver-disease/elf-test-now-availも参照)、
-フィブロテスト(Ratziu et al, 2006)、
-フィブロメーター(Cales et al, 2009)、
-FLI(Bedogni et al, 2006)、
-線維化スコア又はステアトテスト(SteatoTest)(Poynard et al, 2005)。
【0312】
本発明者らはこのようにして、多くのこれらの以前の方法を使用して本発明のNASHスコアを評価した。
【0313】
本発明の様々なモデルのスコアと他のスコアとの間の比較、及び本発明の様々なモデルのスコアと個々の変数との間の比較を、表9~13に提示する。
【0314】
本明細書に提示されたデータは、NASH患者又はNASH患者候補の同定、NASHの活動性、ステージ又は重症度の決定の正確度の見事な改善を示す。この知見は最も重要であり、患者の管理効率を改善するための価値あるツールであるだろう。
【0315】
【0316】
【0317】
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
【0326】
【配列表】