(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】撮像装置および撮像装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 25/57 20230101AFI20240115BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20240115BHJP
【FI】
H04N25/57
H04N25/76
(21)【出願番号】P 2019137960
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖浩
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-303010(JP,A)
【文献】特開2016-058885(JP,A)
【文献】特開2009-296423(JP,A)
【文献】特開平06-311422(JP,A)
【文献】特開平08-220584(JP,A)
【文献】特開平08-242393(JP,A)
【文献】特開2016-129397(JP,A)
【文献】特開2017-204699(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102821247(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/57
H04N 23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学像を画像信号に変換する光電変換手段と、
露出センサにより出力される、前記画像信号とは異なる輝度に基づいて、適正露出を示す露出値を取得する取得手段と、
前記取得された露出値に基づいて、第1の増幅率と第2の増幅率を設定する増幅率制御手段と、
前記画像信号を前記第1の増幅率で増幅する第1の増幅手段と、
前記画像信号を前記第2の増幅率で増幅する第2の増幅手段と
を有
し、
前記増幅率制御手段は、前記光学像を第1の測光モードで測光した露出値と前記光学像を第2の測光モードで測光した露出値が異なる場合には、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が異なるように前記第1の増幅率と前記第2の増幅率を設定し、
前記増幅率制御手段は、前記光学像を前記第1の測光モードで測光した露出値と前記光学像を前記第2の測光モードで測光した露出値が同じ場合には、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が同じになるように前記第1の増幅率と前記第2の増幅率を設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の増幅手段により増幅された画像信号をアナログからデジタルに変換する第1のアナログデジタル変換手段と、
前記第2の増幅手段により増幅された画像信号をアナログからデジタルに変換する第2のアナログデジタル変換手段とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1のアナログデジタル変換手段により変換されたデジタルの画像信号と前記第2のアナログデジタル変換手段により変換されたデジタルの画像信号を合成する合成手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記増幅率制御手段は、第1の場合には、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が異なるように前記第1の増幅率と前記第2の増幅率を設定し、第2の場合には、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が同じになるように前記第1の増幅率と前記第2の増幅率を設定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記増幅率制御手段は、第1の場合には、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が異なるように前記第1の増幅率と前記第2の増幅率を設定し、第2の場合には、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が同じになるように前記第1の増幅率と前記第2の増幅率を設定し、
前記合成手段は、前記第1の場合には、前記第1のアナログデジタル変換手段により変換されたデジタルの画像信号と前記第2のアナログデジタル変換手段により変換されたデジタルの画像信号を合成し、前記第2の場合には、前記第1のアナログデジタル変換手段により変換されたデジタルの画像信号と前記第2のアナログデジタル変換手段により変換されたデジタルの画像信号を平均化することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記露出センサにより出力される前記輝度に基づいて適正露出を示す露出値を取得し、前記光電変換手段により変換された画像信号に基づいて露出値を取得することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記合成手段は、
前記光学像を第1の測光モードで測光した露出値と前記光学像を第2の測光モードで測光した露出値が異なる場合には、前記第1のアナログデジタル変換手段により変換されたデジタルの画像信号と前記第2のアナログデジタル変換手段により変換されたデジタルの画像信号を合成し、
前記光学像を前記第1の測光モードで測光した露出値と前記光学像を前記第2の測光モードで測光した露出値が同じ場合には、前記第1のアナログデジタル変換手段により変換されたデジタルの画像信号と前記第2のアナログデジタル変換手段により変換されたデジタルの画像信号を平均化することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記取得手段は、前記露出センサにより検出された輝度を基に、前記第1の測光モードで測光した露出値を取得し、前記光電変換手段により変換された画像信号を基に、前記第2の測光モードで測光した露出値を取得することを特徴とする請求項
1~7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記増幅率制御手段は、前記光学像を第1の測光モードで測光した露出値と前記光学像を第2の測光モードで測光した露出値が異なる場合には、前記第1の測光モードで測光した露出値と前記第2の測光モードで測光した露出値との差を基に、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が異なるように設定することを特徴とする請求項
1~8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
光学像を画像信号に変換する
光電変換ステップと、
露出センサにより出力される、前記画像信号とは異なる輝度に基づいて、適正露出を示す露出値を取得する
取得ステップと、
前記取得された露出値に基づいて、第1の増幅率と第2の増幅率を設定する
増幅率制御ステップと、
前記画像信号を前記第1の増幅率で増幅し、前記画像信号を前記第2の増幅率で増幅する
増幅ステップと
を有
し、
前記増幅率制御ステップにおいて、前記光学像を第1の測光モードで測光した露出値と前記光学像を第2の測光モードで測光した露出値が異なる場合には、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が異なるように前記第1の増幅率と前記第2の増幅率を設定し、
前記増幅率制御ステップにおいて、前記光学像を前記第1の測光モードで測光した露出値と前記光学像を前記第2の測光モードで測光した露出値が同じ場合には、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が同じになるように前記第1の増幅率と前記第2の増幅率を設定することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置は、S/N比の改善が重要である。一般的な撮像装置は、1つの光電変換素子に対して1つの増幅回路を有し、光電変換素子で生じた電気信号の増幅を行う。これに対し、S/N比の改善のため、光電変換素子で生じた電気信号を2つの増幅回路により増幅する撮像装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。このような撮像装置は、輝度に応じて、増幅した2つの電気信号を選択し、1枚の画像を生成することで、S/N比を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-129397号公報
【文献】米国特許出願公開第2010/0177225号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および特許文献2は、電気信号の増幅率が撮影前に予め設定されている。そのため、例えば、屋外撮影のように、シーンの輝度分布が目まぐるしく変化する場合、特許文献1および特許文献2は、予め設定した増幅率を用いると、S/N比の改善効果が一部の輝度範囲に留まり、十分な効果が得られないという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、十分なS/N比の改善効果を得ることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、撮像装置は、光学像を画像信号に変換する光電変換手段と、露出センサにより出力される、前記画像信号とは異なる輝度に基づいて、適正露出を示す露出値を取得する取得手段と、前記取得された露出値に基づいて、第1の増幅率と第2の増幅率を設定する増幅率制御手段と、前記画像信号を前記第1の増幅率で増幅する第1の増幅手段と、前記画像信号を前記第2の増幅率で増幅する第2の増幅手段とを有し、前記増幅率制御手段は、前記光学像を第1の測光モードで測光した露出値と前記光学像を第2の測光モードで測光した露出値が異なる場合には、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が異なるように前記第1の増幅率と前記第2の増幅率を設定し、前記増幅率制御手段は、前記光学像を前記第1の測光モードで測光した露出値と前記光学像を前記第2の測光モードで測光した露出値が同じ場合には、前記第1の増幅率と前記第2の増幅率が同じになるように前記第1の増幅率と前記第2の増幅率を設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、十分なS/N比の改善効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態による撮像装置の構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態による撮像装置の制御方法を示すフローチャートである。
【
図3】第2の実施形態による撮像装置の構成例を示す図である。
【
図4】第2の実施形態による撮像装置の制御方法を示すフローチャートである。
【
図6】増幅率決定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、本発明を好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例にすぎず、本発明は図示された構成に必ずしも限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による撮像装置120の構成例を示す図である。撮像装置120は、撮像部100と、デジタル信号処理回路107と、記録回路112と、記録媒体113と、撮像制御部114と、増幅率制御回路115と、RAM116と、システム制御部117と、ROM118と、操作部119を有する。
【0011】
撮像部100は、光学系101と、光電変換素子102と、フローティングディフュージョン(FD)103と、アナログ信号処理回路106とを有する。アナログ信号処理回路106は、プログラマブルゲインアンプ(PGA)104a,104bと、アナログデジタル変換回路(AD変換回路)105a,105bとを有する。デジタル信号処理回路107は、画像処理回路108と、増幅率決定回路110とを有する。
【0012】
撮像部100は、被写体の光学像を画像に変換する。光学系101は、レンズおよび絞りを含む。光電変換素子102は、被写体の光学像を電荷に変換する。FD103は、光電変換素子102により変換された電荷を電圧に変換する。光電変換素子102とFD103は、光電変換部であり、光学像を画像信号(電圧)に変換する。
【0013】
アナログ信号処理回路106は、FD103により変換された画像信号に対して信号処理を行う。PGA104aは、増幅部であり、FD103により変換された画像信号を増幅率Gaで増幅する。PGA104bは、増幅部であり、FD103により変換された画像信号を増幅率Gbで増幅する。AD変換回路105aは、アナログデジタル変換部であり、PGA104aにより増幅された画像信号をアナログからデジタルに変換し、画像を出力する。AD変換回路105bは、アナログデジタル変換部であり、PGA104bにより増幅された画像信号をアナログからデジタルに変換し、画像を出力する。
【0014】
画像処理回路108は、合成部であり、AD変換回路105aが出力する画像と、AD変換回路105bが出力する画像に対して、現像処理および合成処理を行い、画像を出力する。増幅率決定回路110は、ユーザからの指示に基づき、FD103の静電容量と、PGA104aの増幅率Gaと、PGA104bの増幅率Gbを決定する。この詳細については後述する。
【0015】
記録回路112は、画像処理回路108が出力する画像を記録媒体113に記録する。記録媒体113は、例えば、メモリカードまたはハードディスクドライブ等であり、画像を保存する。
【0016】
システム制御部117は、撮像装置120の各構成要素を制御する。ROM118は、システム制御部117が実行するプログラム、および、制御パラメータ等の制御データを記憶する不揮発性メモリである。RAM116は、システム制御部117が制御する際のワークエリアとして使用される揮発性メモリである。
【0017】
撮像制御部114は、システム制御部117の制御に応じて、撮像部100を制御する。増幅率制御回路115は、増幅率制御部であり、FD103の静電容量と、PGA104aの増幅率Gaと、PGA104bの増幅率Gbの設定を変更することで、画像信号(電圧)の増幅率を制御する。操作部119は、ユーザやレリーズ等の外部接続機器からの指示を入力する。
【0018】
図2は、第1の実施形態による撮像装置120の制御方法を示すフローチャートである。まず、ステップS201では、システム制御部117は、操作部119の操作に応じて、撮影モードを設定する。例えば、システム制御部117は、操作部119のユーザ操作に応じて、ダイナミックレンジ優先モード、または、低ノイズ優先モードを、撮影モードとして設定する。
【0019】
次に、ステップS202では、システム制御部117は、ステップS201で設定された撮影モードがダイナミックレンジ優先モードであるか否かを判定する。システム制御部117は、撮影モードがダイナミックレンジ優先モードである場合には、ステップS204に進み、撮影モードがダイナミックレンジ優先モードでない場合には、ステップS203に進む。
【0020】
ステップS203では、増幅率決定回路110は、FD103の静電容量と、PGA104aの増幅率Gaと、PGA104bの増幅率Gbを決定する。具体的には、増幅率決定回路110は、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbが同じになるように、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbを決定する。例えば、PGA104aに設定可能な増幅率GaとPGA104bに設定可能な増幅率Gbが「1」、「2」、「4」または「8」である場合、増幅率決定回路110は、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbの両方を「4」に決定する。その後、増幅率決定回路110は、ステップS205に進む。
【0021】
ステップS204では、増幅率決定回路110は、FD103の静電容量と、PGA104aの増幅率Gaと、PGA104bの増幅率Gbを決定する。具体的には、増幅率決定回路110は、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbが異なるように、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbを決定する。例えば、PGA104aに設定可能な増幅率GaとPGA104bに設定可能な増幅率Gbが「1」、「2」、「4」または「8」である。その場合、増幅率決定回路110は、PGA104aの増幅率Gaを「1」に決定し、PGA104bの増幅率Gbを「8」に決定する。その後、増幅率決定回路110は、ステップS205に進む。
【0022】
ステップS205では、増幅率制御回路115は、ステップS203またはS204で決定された静電容量と増幅率GaおよびGbを基に、撮像部100に対して、FD103の静電容量と、PGA104aの増幅率Gaと、PGA104bの増幅率Gbを設定する。増幅率制御回路115は、増幅率Gaまたは増幅率Gbの設定を変更することができる。
【0023】
次に、ステップS206では、撮像制御部114は、操作部119の操作に応じて、撮像部100に対して撮影動作を開始させる。まず、撮像制御部114は、光学系101のレンズと絞りを駆動して、被写体の光学像を光電変換素子102上に結像させる。光電変換素子102は、撮像制御部114の制御により、露光時間が制御され、光学像を電荷に変換し、電荷をFD103へ転送する。FD103は、電荷を電圧に変換する。PGA104aは、FD103により変換された電圧を増幅率Gaで増幅する。PGA104bは、FD103により変換された電圧を増幅率Gbで増幅する。AD変換回路105aは、PGA104aにより増幅された電圧をアナログからデジタルに変換し、画像を出力する。AD変換回路105bは、PGA104bにより増幅された電圧をアナログからデジタルに変換し、画像を出力する。画像処理回路108は、AD変換回路105aが出力する画像とAD変換回路105bが出力する画像に対して、現像処理を行った後に、合成処理を行う。合成処理については後述する。
【0024】
次に、ステップS207では、画像処理回路108は、合成処理した画像を記録回路112に出力する。記録回路112は、その画像を記録媒体113に適したデータフォーマットの画像に変換し、記録媒体113へ記録する。
【0025】
ここで、ステップS206で行われる画像の合成処理について説明する。画像処理回路108は、増幅率GaおよびGbに応じて、異なる方法で合成処理を行う。
【0026】
増幅率GaおよびGbが異なる場合には、AD変換回路105aおよび105bが出力する2つの画像は、ダイナックレンジが異なり、一部の輝度領域が重複する。その場合、画像処理回路108は、AD変換回路105aおよび105bが出力する2つの画像の輝度範囲が重複する画素については、AD変換回路105aおよび105bが出力する2つの画像のうちの画質の良い画素を選択する。例えば、画像処理回路108は、増幅率GaおよびGbのうちの高い増幅率に対応する画像の画素を、画質の良い画素として選択する。また、画像処理回路108は、AD変換回路105aおよび105bが出力する2つの画像の輝度範囲が重複しない明るい画素については、増幅率GaおよびGbのうちの低い増幅率に対応する画像の画素を選択する。ダイナミックレンジ優先モードでは、画像処理回路108は、AD変換回路105aおよび105bが出力する2つの画像の合成処理により、ダイナミックレンジが広い画像を生成することができる。
【0027】
増幅率GaおよびGbが同じ場合には、画像処理回路108は、AD変換回路105aおよび105bが出力する2つの画像に対して、同じ位置の画素同士で画素値の平均化処理を行う。低ノイズ優先モードでは、画像処理回路108は、平均化処理を行うことにより、画像のノイズを低減し、S/N比が改善した画像を得ることができる。
【0028】
第1の実施形態によれば、撮像装置120は、ユーザの意図に基づいて、ダイナミックレンジを優先した画像、または、S/N比の改善を優先した画像を生成することができる。
【0029】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態による撮像装置120の構成例を示す図である。
図3の撮像装置120は、
図1の撮像装置120に対して、露出取得部109および露出センサ111を追加したものである。また本実施形態における撮像装置120は、露出を自動で行う機能を有するものとする。以下、第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。
【0030】
露出センサ111は、例えば、CMOSセンサなどのイメージセンサであり、画素値を基に、被写体の光学像の明るさ(輝度)を検出する。露出センサ111は、撮影用イメージセンサに比べて、少ない画素数を有するイメージセンサでよいが、撮影用イメージセンサより多い画素数を有していてもよい。露出センサ111は、各画素の輝度データ(輝度分布)を出力する。
【0031】
露出取得部109は、露出センサ111が出力する輝度データ、または、撮像部100が出力する画像を基に、適正露出に関する値として、自動露出の露出値(EV値)を取得する。増幅率決定回路110は、露出取得部109により取得されたEV値を基に、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbを決定する。
【0032】
図4は、第2の実施形態による撮像装置120の制御方法を示すフローチャートである。まず、ステップS401では、システム制御部117は、操作部119のユーザ操作に応じて、撮像部100の測光モードと、露出センサ111の測光モードを設定する。測光モードは、例えば、中央重点測光モード、評価測光モード、およびスポット測光モードなどを有する。
【0033】
中央重点測光モードは、
図5に示すように、画像中央の明るさ(輝度)の重みを最も大きくし、周囲へ離れるほど、明るさの重みを小さくし、画像の明るさを計算するモードである。評価測光モードは、画像全体の明るさを平均し、画像の明るさを計算するモードである。スポット測光モードは、フォーカスポイント等の特定領域の重みを大きくし、画像の明るさを計算するモードである。
【0034】
例えば、システム制御部117は、撮像部100の測光モードを中央重点測光モードに設定し、露出センサ111の測光モードを評価測光モードに設定する。
【0035】
次に、ステップS402では、システム制御部117は、操作部119のシャッタボタンが半押しされると、撮像部100に対して、プレ撮影を指示する。プレ撮影は、後述のステップS206の撮影の直前に行う撮影である。増幅率決定回路110は、プレ撮影を基に、FD103の静電容量とPGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbを決定する。増幅率制御回路115は、増幅率決定回路110により決定されたFD103の静電容量と増幅率Gaと増幅率Gbに基づき、撮像部100に対して、FD103の静電容量と、PGA104aの増幅率Gaと、PGA104bの増幅率Gbを設定する。ステップS402の詳細は、
図6を参照しながら後述する。
【0036】
次に、ステップS206では、撮像装置120は、操作部119のシャッタボタンが全押しされると、
図2のステップS206と同様の処理を行う。次に、ステップS207では、撮像装置120は、
図2のステップS207と同様の処理を行う。
【0037】
図6は、
図4のステップS402の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップS601では、増幅率制御回路115は、撮像部100に対して、FD103の静電容量の初期値と、PGA104aの増幅率Gaの初期値と、PGA104bの増幅率Gbの初期値を設定する。例えば、PGA104aに設定可能な増幅率GaとPGA104bに設定可能な増幅率Gbが「1」、「2」、「4」または「8」である。その場合、増幅率制御回路115は、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbの両方の初期値として「2」を設定する。
【0038】
次に、ステップS602では、システム制御部117は、操作部119のシャッタボタンが半押しされるまで待機し、操作部119のシャッタボタンが半押しされた場合には、ステップS603に進む。
【0039】
次に、ステップS603では、露出取得部109は、ステップS401で設定された露出センサ111の測光モードに基づいて、露出センサ111が出力する輝度データを用いて、自動露出のEV値を取得する。露出センサ111の測光モードは評価測光モードに設定されているので、露出取得部109は、露出センサ111が出力する各画素の輝度データの平均値を基にEV値を取得する。露出取得部109は、
図7に示すテーブル700を保持する。テーブル700は、輝度データの平均値701と、EV値702と、増幅率703との対応関係を示す。露出取得部109は、テーブル700を参照し、露出センサ111が出力する各画素の輝度データの平均値701を基にEV値702を取得する。このEV値702は、光学像を評価測光モードで測光した露出値である。
【0040】
次に、ステップS604では、撮像制御部114は、撮像部100に対して、プレ撮影を開始させる。撮像部100は、AD変換回路105aおよび/または105bの画像をRGBデータとして出力する。RGBデータは、赤(R)、緑(G)および青(B)のデータである。露出取得部109は、ステップS401で設定された露出センサ111の測光モードに基づいて、撮像部100が出力する画像のRGBデータを用いて、自動露出のEV値を取得する。撮像部100の測光モードは中央重点測光モードに設定されているので、露出取得部109は、まず、次式により、撮像部100が出力する画像の各画素のRGBデータから各画素の輝度データYを計算する。ここで、Rは、RGBデータのうちの赤のデータであり、Gは、RGBデータのうちの緑のデータであり、Bは、RGBデータのうちの青のデータである。なお、輝度データYの計算方法は、次式に限定されない。
Y=0.2126×R+0.587×G+0.114×B
【0041】
次に、露出取得部109は、その各画素の輝度データYに対して
図7に示す重みを乗算し、
図7のテーブル700を参照し、その乗算結果の平均値701からEV値702を取得する。このEV値702は、光学像を中央重点測光モードで測光した露出値である。
【0042】
次に、ステップS605では、増幅率決定回路110は、ステップS603で取得された露出センサ111のEV値と、ステップS604で取得された撮像部100のEV値とに差があるか否かを判定する。増幅率決定回路110は、EV値に差がある場合には、ステップS606に進み、EV値に差がない場合には、ステップS607に進む。すなわち、増幅率決定回路110は、ステップS603およびS604で取得されたEV値が異なる場合には、ステップS606に進み、ステップS603およびS604で取得されたEV値が同じである場合には、ステップS607に進む。
【0043】
ステップS606では、増幅率決定回路110は、FD103の静電容量と、PGA104aの増幅率Gaと、PGA104bの増幅率Gbを決定する。具体的には、増幅率決定回路110は、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbが異なるように、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbを決定する。例えば、増幅率決定回路110は、
図8に示すテーブル800を保持する。テーブル800は、EV値の差801と、増幅率の差802との対応関係を示す。EV値の差801は、ステップS603で取得されたEV値とステップS604で取得されたEV値との差である。増幅率の差802は、増幅率GaおよびGbの差である。増幅率決定回路110は、テーブル800を参照し、ステップS603で取得されたEV値とステップS604で取得されたEV値との差801を基に、増幅率の差802を取得する。増幅率決定回路110は、増幅率GaおよびGbの差が増幅率の差802になるように、PGA104aの増幅率GaおよびPGA104bの増幅率Gbを決定する。
【0044】
例えば、増幅率決定回路110は、ステップS601の増幅率Gaの初期値を、PGA104aの増幅率Gaとして決定する。また、増幅率決定回路110は、ステップS601の増幅率Gbの初期値に対して増幅率の差802を乗算した増幅率を、PGA104bの増幅率Gbとして決定する。なお、増幅率決定回路110は、乗算の結果、増幅率Gbが設定可能な最大値を超えてしまう場合には、その設定可能な最大値をPGA104bの増幅率Gbとして決定する。その後、増幅率決定回路110は、ステップS608に進む。
【0045】
ステップS607では、増幅率決定回路110は、FD103の静電容量と、PGA104aの増幅率Gaと、PGA104bの増幅率Gbを決定する。具体的には、増幅率決定回路110は、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbが同じになるように、PGA104aの増幅率GaとPGA104bの増幅率Gbを決定する。例えば、増幅率決定回路110は、ステップS603で取得された露出センサ111のEV値を基に、同じ値の増幅率GaおよびGbを決定する。その後、増幅率決定回路110は、ステップS608に進む。
【0046】
ステップS608では、増幅率制御回路115は、ステップS606またはS607で決定された静電容量と増幅率GaおよびGbを基に、撮像部100に対して、FD103の静電容量と、PGA104aの増幅率Gaと、PGA104bの増幅率Gbを設定する。
【0047】
図4のステップS206では、増幅率GaおよびGbが異なる場合には、画像処理回路108は、AD変換回路105aおよび105bが出力する2つの画像の合成により、ダイナミックレンジが広い画像を生成することができる。増幅率GaおよびGbが同じ場合には、画像処理回路108は、AD変換回路105aおよび105bが出力する2つの画像の平均化処理により、画像のノイズを低減し、S/N比が改善した画像を得ることができる。撮像装置120は、ユーザの意図に基づいて、主被写体のS/N比が高い画像を生成することができる。
【0048】
なお第2の実施形態においては、自動露出を行う機能を有する撮像装置を例に説明したが、必ずしも自動露出機能が備わっている必要はない。少なくともシーンの輝度に基づいて適正露出を取得できる撮像装置であれば、第2の実施形態と同様の効果を実現できる。
【0049】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
102 光電変換素子、103 FD、104a PGA、104b PGA、105a AD変換回路、105b AD変換回路、108 画像処理回路、109 露出取得部、115 増幅率制御回路