(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】構造変更部を備える一体型光学自動車両部品
(51)【国際特許分類】
F21S 41/275 20180101AFI20240115BHJP
F21S 41/265 20180101ALI20240115BHJP
F21S 41/26 20180101ALI20240115BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240115BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20240115BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20240115BHJP
F21S 45/70 20180101ALI20240115BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20240115BHJP
F21W 102/145 20180101ALN20240115BHJP
F21W 102/20 20180101ALN20240115BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240115BHJP
【FI】
F21S41/275
F21S41/265
F21S41/26
F21S41/143
F21S41/151
F21S41/663
F21S45/70
G02B5/00 B
F21W102:145
F21W102:20
F21Y115:10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019162699
(22)【出願日】2019-09-06
【審査請求日】2022-08-03
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ルノー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、イェルク
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ、グラテカプ
(72)【発明者】
【氏名】イブ、グロムフェルド
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0076721(US,A1)
【文献】特開2016-212962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/275
F21S 41/265
F21S 41/26
F21S 41/143
F21S 41/151
F21S 41/663
F21S 45/70
G02B 5/00
F21W 102/145
F21W 102/20
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐複数の入射屈折界面(111、121、131;80、81、82、84)及び/又は複数の出射屈折界面(122、132)と、
‐2つの隣り合う入射屈折界面(80、81、82、83)の間の少なくとも1つの接合部(90、91、92、93)及び/又は2つの隣り合う出射屈折界面(122、132)の間の少なくとも1つの接合部(6)と、
を備える一体型光
学部品(100;200)において、
2つの隣り合う入射屈折界面(80、81、82、83)の間の前記接合部(90、91、92、93)及び/又は2つの隣り合う出射屈折界面(122、132)の間の前記接合部(6)は、光を吸収し得る及び/又は散乱させ得る少なくとも1つの構造変更部(7、73;70、71、72)を有する、
ことを特徴とする一体型光学部品(100;200)。
【請求項2】
前記隣り合う入射屈折界面(80、81、82、84)の間の前記接合部(90、91、92、93)のみが、前記構造変更部(70、71、72)を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の一体型光学部品(200)。
【請求項3】
前記隣り合う出射屈折界面(122、132)の間の前記接合部(6)のみが、前記構造変更部(7、73)を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の一体型光学部品(100)。
【請求項4】
2つの隣り合う屈折界面(122、132)の間の前記単数又は複数の接合部(6)は、前記屈折界面の分離線を形成し、前記構造変更部(7、73)は当該分離線(6)に沿って配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちの一項に記載の一体型光学部品(100)。
【請求項5】
前記分離線(6)に沿って配置された前記構造変更部(7、73)は、前記
一体型光学部品(100)の材料内に深さ方向に延びる、
ことを特徴とする請求項4に記載の一体型光学部品(100)。
【請求項6】
前記入射屈折界面(80、81、82、83、84)及び/又は前記出射屈折界面は互いに離間しており、間隙(90、91、92、93)が前記隣り合う入射屈折界面(80、81、82、83、84)及び/又は前記隣り合う出射屈折界面を分離し、前記間隙(90、91、92、93)は壁(90a、90b、90c)を備え、前記壁(90a、90b、90c)は、前記間隙(90、91、92、93)が分離する前記
入射屈折界面と前記出射屈折界面
との間の前記接合部を共に形成する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちの一項に記載の一体型光学部品(200)。
【請求項7】
少なくとも1つの構造変更部(70、71、72)は、前記隣り合う入射屈折界面(80、81、82、83、84)の間における、及び/又は、前記隣り合う出射屈折界面の間における、前記間隙(90、91、92、93)に作製され、
前記構造変更部(70、72)は、前記間隙(933)の底部に配置される、
ことを特徴とする請求項6に記載の一体型光学部品(200)。
【請求項8】
少なくとも1つの構造変更部(70、71、72)は、前記隣り合う入射屈折界面(80、81、82、83、84)の間の前記間隙に作製され、
前記構造変更部(71)は、前記隣り合う入射屈折界面に可能な限り近接して配置される、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の一体型光学部品(200)。
【請求項9】
少なくとも1つの構造変更部は、前記隣り合う出射屈折界面の間の前記間隙に作製され、
前記構造変更部は、前記隣り合う出射屈折界面に可能な限り近接して配置される、
ことを特徴とする請求項6乃至8のうちの一項に記載の一体型光学部品。
【請求項10】
2つの隣り合う入射屈折界面(80、81、82、83、84)の間の前記接合部(90、91、92、93)及び/又は2つの隣り合う出射屈折界面の間の前記接合部は、総接合部面積(ST)と称される総面積を有し、
前記構造変更部(70、71、72)は、当該接合部の前記総面積(ST)を部分的に占める、
ことを特徴とする請求項6乃至9のうちの一項に記載の一体型光学部品(200)。
【請求項11】
前記構造変更部(7、73)は、レーザーによって作製される、
ことを特徴とする請求項1乃至10のうちの一項に記載の一体型光学部品(100)。
【請求項12】
前記構造変更部(70、71、72)は、粒状化加工によって作製される、
ことを特徴とする請求項6乃至10のうちの一項に記載の一体型光学部品(200)。
【請求項13】
前記構造変更部は、反射性、吸収性及び/又は散乱性コーティングを施すことによって作製される、
ことを特徴とする請求項6乃至10のうちの一項に記載の一体型光学部品(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両用照明装置に搭載されることが意図された光学部品に関する。特に、本発明は、単数又は複数の光源によって発光される光線を伝搬させるように、前記単数又は複数の光源の前方に配置される光学部品に関する。より詳細には、本発明は、複数の入射屈折界面及び/又は複数の出射屈折界面を備える光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のように、光学モジュールはピクセルビームを生成可能であり、ピクセルビームの投射により、既に存在するピクセルで構成される画像(像/イメージ)が形成される。前記ピクセルは、少なくとも1つの水平方向及び/又は鉛直方向の列に編成され、各ピクセルは選択的に起動され得る。
【0003】
アダプティブ機能を組み込んだ照明及び信号ビームを形成するように、このような光学モジュールは、主たる照明及び信号ビームを生成可能な第2光学モジュールに追加して使用される。
【0004】
一例として、ロービームの場合、追加の照明機能、すなわち動的ベンディングライト(DBL)を生成するように、ロービームの下部セグメントでピクセルビームがオンにされる。この機能により、車両が走行して曲がろうとしている、又は進入しようとしている角の内側を照明することができる。
【0005】
別の例において、アダプティブドライビングビーム(ADB)を生成するように、ハイビームのセグメントでピクセルビームがオンにされる。この目的は、対向車のドライバーが眩しさを感じないようにしつつ、自車両のドライバーにより良好な視認性を提供することである。
【0006】
簡潔に言えば、ピクセルビームを生成可能な光学モジュールは、選択的に起動可能な複数の基本光源であって基本光源のマトリックスアレイに配置される基本光源と、前記マトリックスアレイの前方に配置され、光ビームを前方に投射する光学部品と、を備える。
【0007】
光学部品は、全体として平行方向に配置された光ガイドと、ガイド毎に1つの入射屈折界面及び/又は1つの出口と、を備えている。ガイドの個数は、基本光源の個数に対応している。或いは、ガイドの個数は、基本光源の個数より多い。
【0008】
一般的に、基本光源は発光ダイオード(LED)であり得る。
【0009】
各光ガイドについて、光の入射面を形成するように入射屈折界面が前記ガイドの一端に配置される。光線は、この入射屈折界面を通過してガイドに入射する。各入射屈折界面は、1つの基本光源に対面配置される。
【0010】
出口は、ガイドの他端に配置され、光線の出口を形成する。
【0011】
ガイドの出口は、ピクセルビームを形成するように、単数又は複数の投射光学系によって画像化される。
【0012】
この場合、ピクセルは、光ガイドの出口に対応する。
【0013】
しかしながら、光ガイドを備えた光学部品の現在の構成では、寄生光線が存在することが知られている。
【0014】
本発明の文脈において、寄生光線とは、第1入射屈折界面に対面配置された第1光源によって出力された光線であるのに、前記第1入射屈折界面の両隣に配置されたガイドに至る光線を意味する。次いで、このような光線は、意図されていないガイドを通って伝搬する。
【0015】
第1光ガイド内で伝搬するが、当該第1光ガイドの両隣に配置された別の光ガイドの出射屈折界面を通って出射する光線も、寄生光線とみなされる。
【0016】
寄生光線は、光学モジュールによって投射された画像で認識され得る。具体的には、ピクセルの外縁部は、寄生光線のために期待される形状を有さず、ビームは必要以上の輝度の発光領域を含むため、ピクセルビームの品質が低下する。
【発明の概要】
【0017】
したがって、本発明が解決しようとする技術的問題は、良質の照明を達成するより正確なピクセルビームを提供することである。
【0018】
この目的のために、本発明の第1の主題は、
‐複数の入射屈折界面及び/又は複数の出射屈折界面と、
‐2つの隣り合う入射屈折界面の間の少なくとも1つの接合部及び/又は2つの隣り合う出射屈折界面の間の少なくとも1つの接合部と、
を備える一体型光学車両部品である。
【0019】
本発明によれば、2つの隣り合う入射屈折界面の間の前記接合部及び/又は2つの隣り合う出射屈折界面の間の前記接合部は、光を吸収し得る及び/又は散乱させ得る少なくとも1つの構造変更部を有する。
【0020】
このように、構造変更部は、寄生光線を散乱させる及び/又は吸収するバリアの役割を果たす。特に、構造変更部により、第1入射屈折界面に対面配置された第1基本光源の光線は、当該第1入射屈折界面と隣の入射屈折界面との間の接合部で吸収される、又は散乱する。したがって、第1光源から出力された光線であって、傍らのガイドを通って伝搬し得る光線は、はるかに少ない。
【0021】
光ガイドの後に出射屈折界面が続く場合、第1光源の下流に配置された出射屈折界面は、第1出射屈折界面と称される。また、第1ガイドの傍らに配置された第2光ガイドの下流に配置された出射屈折界面は、第2出射屈折界面と称される。
【0022】
入射屈折界面と同様に、第1出射屈折界面と第2出射屈折界面との間の接合部に存在する構造変更部によって、第1光ガイドを通って伝搬する光線は、前記接合部で吸収される、又は散乱する。
【0023】
入射屈折界面の場合及び出射屈折界面の場合の両方において、隣り合う屈折界面の間の接合部の構造変更部により、光学部品によって形成される寄生光線の画像の光強度が減少し得る、又は、隣の光ガイドに先行する出射屈折界面による寄生光線の画像の形成が防止され得る。
【0024】
したがって、構造変更部により、ピクセルに過剰な光強度をもたらすリスクが減少する。したがって、本光学部品を搭載する照明装置は、承認時にペナルティを受けることがない。
【0025】
したがって、本発明による光学部品により、前記部品を搭載した光学モジュールは、規制条件を遵守しつつ、クリアで正確な光ビームを生成する。
【0026】
本発明による光学部品は、選択的に以下の単数又は複数の特徴を有し得る。
‐前記隣り合う入射屈折界面の間の前記接合部のみが、前記構造変更部を有する。光学部品の特定のモデルにおいて、寄生光線は、隣り合う入射屈折界面の間の接合部で存在しやすい。したがって、ピクセルの正確性は、構造変更部を前記接合部に導入して寄生光線を防止する又は散乱させることで向上する。
‐前記隣り合う出射屈折界面の間の前記接合部のみが、前記構造変更部を有する。したがって、光学部品の特定のモデルにおいて、寄生光線は出射屈折界面で存在しやすい。このため、構造変更部を、隣の出射屈折界面に向かって光線が逸脱する可能性が最も高い場所に作製する。
‐2つの隣り合う屈折界面の間の前記単数又は複数の接合部は、前記屈折界面の分離線を形成し、前記構造変更部は当該分離線に沿って配置される。ここで、本発明の実施形態が適用される入射屈折界面及び/又は出射屈折界面の一実施形態が重要である。
‐前記段落において、前記分離線に沿って配置された前記構造変更部は、前記光学部品の材料内に深さ方向に延びる。したがって、構造変更部の有効性が、光学部品の深さにおいて更に向上する。
‐前記入射屈折界面及び/又は前記出射屈折界面は互いに離間しており、間隙が前記隣り合う入射屈折界面及び/又は前記隣り合う出射屈折界面を分離し、前記間隙は壁を備え、前記壁は、前記間隙が分離する前記屈折界面の間の前記接合部を共に形成する。ここで、本発明の実施形態が適用され得る入射屈折界面及び/又は出射屈折界面の別の実施形態が重要である。
‐前記段落において、少なくとも1つの構造変更部は、前記隣り合う入射屈折界面の間の前記間隙に、及び/又は前記隣り合う出射屈折界面の間に作製され、また、前記構造変更部は、前記間隙の底部に配置される。出願人は、隣り合う屈折界面が間隙によって分離されている構成において、寄生光線が間隙の底部を通過して隣のガイドに入射することに気付いた。したがって、寄生光線を減少させるように、構造変更部を間隙の底部に作製する。
‐少なくとも1つの構造変更部は、前記隣り合う入射屈折界面の間の前記間隙に作製され、また、前記構造変更部は、前記隣り合う入射屈折界面に可能な限り近接して配置される。出願人は、光線が、入射屈折界面に近接して配置された間隙の一部を通過することにより隣のガイド内で伝搬する傾向があることにも気づいた。
‐少なくとも1つの構造変更部は、前記隣り合う出射屈折界面の間の前記間隙に作製され、また、前記構造変更部は、前記隣り合う出射屈折界面に可能な限り近接して配置される。
‐2つの隣り合う入射屈折界面の間の前記接合部及び/又は2つの隣り合う出射屈折界面の間の前記接合部は、総接合部面積と称される総面積を有し、また、前記構造変更部は、当該接合部の前記総面積を部分的に占める。一例として、接合部が間隙の壁から構成される場合、接合部の総面積は、これらの壁の面積である。したがって、これらの壁の面積の一部が構造的に変更されて、接触時に寄生光線を散乱させる、及び/又は吸収する。
‐前記構造変更部は、レーザーによって作製される。一例として、レーザーは、YAGレーザー又はファイバーレーザーである。この場合、光学部品は、レーザーに適合する材料で、すなわち、レーザーの励起下で変質して光線を散乱させる及び/又は吸収する材料から構成されなければならない。
‐前記構造変更部は、粒状化加工によって作製される。一例として、光学部品は、ポリマーから作製され、粒状化加工は、光学部品の成形ステップ中に実施され得る。
‐前記構造変更部は、反射性、吸収性及び/又は散乱性コーティングを施すことによって作製される。
【0027】
特に明記しない限り、「前(方)」、「後(方)」、「下(方)」、「上(方)」、「頂部」、「底部」、「側(方)」、「右(方)」、「左(方)」という用語は、対応する光学部品から出射する光の方向を指す。特に明記しない限り、「上流」及び「下流」という用語は、これらが関連する物体における光の伝播方向を指す。
【0028】
更に、「水平(方向)」、「鉛直(方向)」、又は「横(手)(方向)」という用語は、光学部品が車両に装着されることが意図された配向に関して定義される。特に、本件出願において、「鉛直(方向)」という用語は、地平線の平面に対して垂直な配向を指し、「水平(方向)」という用語は、地平線の平面に平行な配向を指す。
【0029】
本発明の他の特徴及び利点は、理解のために添付図面を参照しつつ以下の非限定的な例としての詳細な説明を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1実施形態による一体型光学部品の斜視図であって、光学部品の前面を示す図。
【
図2】
図1の光学部品の別の斜視図であって、光学部品の後面を示す図。
【
図3】
図1の光学部品の前面の一部P(破線の枠で囲まれている)の詳細を示す正面図であって、光学部品の構造変更部を示す図。
【
図4】
図3に示す平面H1における概略断面図であって、種々の光源から出力される光線の光路を示す図。
【
図5】
図1の光学部品のガイド出口の画像を投射する投射システムによって生成された2つのピクセルからなる画像であって、前記部品は構造変更部を備えず、前記画像は
図1の光学部品を有する光学モジュールの前方に25メートルの距離を置いたアイソラックス曲線の形態にある図。
【
図6】
図4に示す平面H2における概略断面図であって、構造変更部を備える
図1の光学部部品の水平方向セグメントを示す断面図。
【
図7】
図3の光学部部品のガイド出口の画像を投射する投射システムによって生成された2つのピクセルからなる画像であって、前記部品は構造変更部を備え、前記画像は
図3の光学部品を有する光学モジュールの前方に25メートルの距離を置いたアイソラックス曲線の形態にある図。
【
図8】隣り合う入射屈折境界面の間に間隙を有する一体型光学部品の水平方向セグメントの概略図であって、前記光学部品は構造変更部を備えない図。
【
図9】
図8の光学部品によって生成された発光のストリップの画像、寄生光線によって照明された領域、及び光強度の対応する変化曲線を示す図。
【
図10】入射屈折界面の間に間隙を有する一体型光学部品の水平方向セグメントの概略図であって、前記間隙は本発明の第2実施形態による構造変更部を備えている図。
【
図11】
図10の光学部品によって生成された発光のストリップの画像、寄生光線によって照明された領域、及び光強度の対応する変化曲線を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び
図2を参照すると、第1実施形態による光学部品100は、光学素子の3つの列、すなわち、光学素子の第1列11、第2列12、及び第3列13を備えている。各列は、並置された光ガイド及びレンズを備えている。
【0032】
以下の説明において、第1列11の光学素子を第1光学素子11とも称する。第2列12の光学素子を第2光学素子12とも称する。同様に、第3列13の光学素子を第3光学素子13とも称する。
【0033】
これら3列の光学素子の列11、12及び13で構成される光学部品100は、単独部品として製造されるため、「一体型光学部品」という名称とする。
【0034】
光学素子の第1列11は、第1光ガイド110及び第1レンズ115を備える。
【0035】
各第1光ガイド110は、入射面及び出口を備える。入射面は、第1入射屈折界面を形成する。
【0036】
第1レンズ115は、第1光ガイド110の出口を覆うように側方に延びる。また、第1レンズ115は、第1光ガイド110の出口が、前記第1レンズ115の焦点面と同一平面になるように配置される。
【0037】
第1レンズ115は、曲面116を有する。図示例において、曲面116は前方に向かって凸であるとともに、第1光学素子11の第1出射屈折界面112を形成するように配置されている。選択的に、湾曲面116は、第1光学素子11によって生成されたビームを分散させるように、球体セグメントの形状を有していてもよい、すなわち、前方に向かって水平方向及び鉛直方向に湾曲していてもよい。
【0038】
第1入射屈折界面111は、第1入射屈折界面111の横手方向の列113を形成するように互いに接触して配置される。
【0039】
図示例において、第1光ガイド110と第1レンズ115とは、一部品をなしている。ここで、光ガイドは、レンズ115の第1入射屈折界面111と出射屈折界面との間で互いに分離しないことに留意されたい。
【0040】
第2列において、各光学素子12は、第2レンズ125が後続する第2ガイド120を備えている。第2ガイド120は、光学部品100の光軸Lに沿って長手方向に後方から前方に延びる。各第2ガイド120は、入射面及び出口を備える。入射面は、第2入射屈折界面121を形成する。
【0041】
第1の光学素子11とは異なり、第2光学素子12は、ガイド毎に1つのレンズを備えている。また、各第レンズ125は、曲面126を備えている。
【0042】
各第2レンズ125は対応する第2ガイド120の下流に配置され、これにより、前記ガイドの出口は、前記レンズの焦点面にある。第2レンズ125の曲面126は、第2出射屈折界面122を形成するように前方に向けられている。
【0043】
第2出射屈折境界面122は、並んで接触配置されている。
【0044】
光学素子の第3列13は、光学素子の第1列11と同一の構成を有する。
【0045】
各第3光学素子13は、第3光ガイド130及び第3レンズ135を備える。
【0046】
各第3光ガイド13は、第3入射屈折界面131を形成する入射面と、対応する第3レンズ135の焦点面に配置された出口と、を備える。
【0047】
各第3レンズ135に関し、これは、第3出射屈折界面132を形成するように前方に向けられた湾曲面132を備えている。
【0048】
第3入射屈折境界面131は、第3入射屈折界面の横手方向の列133を形成するように互いに接触して配置される。同様に、第3出射屈折界面132は、第3出射屈折界面の横手方向の列134を形成するように互いに接触して配置される。
【0049】
いずれの列でも、入射屈折界面は光学部品100の後面15で見ることができ、出射屈折界面は光学部品100の前面14で見ることができる。
【0050】
第1光学素子11の特殊な点は、第1入射屈折界面111の列113と第1出射屈折界面112とを2つの異なるレベル(高さ)において有するように、第1光ガイド110が鉛直方向に延びていることである。ここで、第1入射屈折界面112の列113は、第1出射屈折界面112の上方に配置されている。
【0051】
また、第3光学素子13は、鉛直方向に延びる第3光ガイド130を備える。第3入射屈折界面131の列133と、第3出射屈折界面132の列134とは、2つの異なるレベルにある。ここで、第3入射屈折界面131の列133は、第3出射屈折界面132の列134の下方に配置されている。
【0052】
第2光学素子120のそれぞれについて、入射屈折界面121は、出射屈折境界面122と同じレベルにある。
【0053】
一体型光学部品100は、ここでは複数の基本光源3から構成される発光手段の前方に配置される。一例として、基本光源3は、発光ダイオード(LEDとも称される)である。
【0054】
図示例において、基本光源3は、複数の横手方向の列に配置されている。基本光源の列の本数は、光ガイドの列の本数に対応する。ここでは、その本数は3である。
【0055】
光学部品100は、入射屈折界面111、121、131の各列113、123、133が基本光源3の列に対面配置されるように、発光手段に対して位置決めされる。
【0056】
より正確には、
図4に示すように、各第1入射屈折界面111は、基本光源の第1列31のうちの1つの基本光源3の真正面に位置している。同様に、各第2入射屈折界面121は、基本光源の第2列32のうちの1つの基本光源3の真正面に位置している。最後に、各第3入射屈折界面131は、基本光源の第3列33のうちの1つの基本光源3の真正面に位置している。
【0057】
読解を容易とするように、光源の第1列の一部を形成する基本光源を、第1基本光源310とも称する。第2列及び第3列の基本光源についても同様であり、それぞれ符号320及び330を付す。
【0058】
図4は、光学部品100の基本光源310、320及び330から出力される光線の光路を詳細に示す。
【0059】
第1基本光源310に関して、各第1光源310は、第1入射屈折界面111を介して光学部品に入射する第1光線R1を発光する。
【0060】
次いで、第1光線R1は、第1入射屈折界面111に対面配置された第1反射面311で反射する。ここで、第1反射面311は、第1光線R1をコリメートし、それらを第2反射面312に向けて方向付けるように構成されている。反射した第1光線R1は、第2反射面312で反射した後、第1出射屈折界面112に向かって長手方向に方向付けられる。第1出射屈折界面112は、第1ビーム315を形成するように、第1光線R1を前方に投射する。
【0061】
第1ビーム315は、投射システム(図示せず)によって投射される。第1単一ビーム315の画像(像/イメージ)は、第1光源310の画像に対応する形状を有する、一例として、第1ビーム315の画像は、底部ロービーム部分を形成する。
【0062】
第2光源320は、、例えば、光学部品100に入射するように第2入射屈折界面121を通過する第2光線R2を発光する。第2入射屈折界面121は、簡潔性を期して概略的に平面で表されているが、第2光源320の方向においてレリーフを形成するように、有利にはわずかに凸状である。
【0063】
光学部品100内に入射すると、第2光線R2は、第2出射屈折界面122に到達するまで全反射により伝搬する。第2出射屈折界面122は、第2単一ビーム325を形成するように、第2光線R2を前方に投射する。
【0064】
第2単一ビーム325は、投射システム(図示せず)によって投射される。第2単一ビーム325の画像はピクセルを含み、ピクセルの形状は第2出射屈折界面122の形状に対応する。
【0065】
第3光源330は、第3入射屈折界面131を経由して光学部品に入射する第3光線R3を発光する。次いで、第3光線R3は、第3入射屈折界面133と実質的に同じレベルに配置された第3反射面313によって反射する。
【0066】
次いで、反射した第3光線R3は、上方に方向付けられ、そしてここでは光線R3を第3出射屈折界面132に向けて導く第4反射面314に方向付けられる。第3出射屈折界面132は、第3単一ビーム335を形成するように、第3光線R3を前方に投射する。
【0067】
ここで、光学素子12及び13の第2及び第3列は、ピクセルビームを生成するように配置されている。ピクセルビームは複数の単一ビームを含み、各単一ビームは1つの光学素子と連動する1つの基本光源によって生成される。単一ビームの画像は、1つのピクセルで構成される。
【0068】
図5は、第2光源320を使用して、且つ第2光学素子12を使用してそれぞれ生成された2つの単一ピクセルビーム325の第1画像I1を、一例として概略的に示す。第1画像I1は、第2ビームを25m離れたスクリーンに投射することによって得られる。
【0069】
第1画像I1は、鉛直方向の縦軸V及び水平方向の横軸Hからなる直交座標系Rにおいてスクリーンに投射される。鉛直軸Vは道路上の鉛直軸に対応し、水平軸Hは水平線を表す。
【0070】
ここで、第1画像I1は、矩形形状の2つのピクセル4を含む。
【0071】
出願人は、ピクセル4の全体形状が、特に各ピクセル4の2つの側縁部41において欠陥を有することに気付いた。具体的には、各ピクセル4について、2つの側縁部41は期待通りの直線でない。各側縁部41は湾曲部分43を含み、これに、ピクセル4の下縁部44に接合する傾斜線42が続く。これは、ピクセル4が横方向突出部を含む不規則な台形形状を有することを意味する。
【0072】
この不規則な形状は、ピクセルビームに不利な影響を及ぼす。具体的には、ピクセル4は互いに隣り合って配置されている。したがって、
図5に示すピクセルの場合、横方向に突出する湾曲部分43が、隣接するピクセルの横方向に突出する湾曲部分43に重なる。
【0073】
したがって、これにより、各ピクセル4の内部の光強度より高い光強度を有する重複領域Sが形成される。このため、不均一な光の分布を有する光ビームとなり、光ビームの品質が低下する。
【0074】
出願人は、ピクセルの形成不良は寄生光線を原因とするものであると突き止めた。具体的には、光学素子の所定の列において、ある光ガイドを通って伝搬する光線のごく一部が、その隣のガイドに、これらガイドの2つの出射屈折界面の間の接合部において入射する場合がある。このような「失われた」又は「寄生性」の光線は、隣の光ガイドの出射屈折界面を経由して出射する。このような寄生光線は、隣りの光ガイドが形成するピクセルを不規則なものとする。この影響は、各光ガイド及びその左右に隣接する光ガイドに及び得る。光学素子の各列についても同様である。
【0075】
この問題を解決するために、本発明の一例によれば、出願人は、光線があるガイドから別のガイドに漏れ出て当該別のガイドの出射屈折界面に到達する恐れがある場合に、出射屈折界面同士の接合部における構造変更を提案する。
【0076】
本発明によれば、本例において、2つの隣接する出射屈折界面122又は132の間の接合部6は、前記屈折界面同士の分離線6を形成してもよい。分離線6を、
図1の光学部品100の前面14に示す。
【0077】
本例において、構造変更は、分離線6の材料を加熱して、材料の性質を変更することからなる。
【0078】
図示例において、光学部品100は、ポリカーボネート(PC)から形成されているので、2つの隣り合う出射屈折界面122又は132の間の接合部6は、当該材料から形成される。
【0079】
ポリカーボネートは、その透明性で知られている。したがって、2つの隣り合う出射屈折界面の間の接合部6は、最初は透明である。
【0080】
高温の熱源を使用して、接合部6を材料の組成が変化するまで加熱する。ここでは、接合部6の透明度が黒色に近い不透明で暗い外観に変わるまで加熱する。
【0081】
このようにして、接合部6は、全ての光線が接触することを阻止する不透明なバリアを形成する新たな性質を有する。
【0082】
この処理は、接合部の黒化とも称される。この処理において、最初はガスが漏れて接合部の表面が燃焼する。その後、接合部が透明色から黒色に変化する。
【0083】
図示例において、処理は、光学素子の第2及び第3列の出射屈折界面の全ての接合部に適用される。ここで、光学部品の第2及び第3出射屈折界面122、132が同じ幅方向寸法を有すると仮定すると、隣り合う出射屈折界面の間の接合部6は整列する。
【0084】
したがって、熱源を直線状に通過させるだけで、光学素子の第2及び第3列の出射屈折界面の全ての接合部の性質が変換するされる。
【0085】
一例として、使用される熱源は、特に1064nmの波長のイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザー源である。1050nm乃至1070nmの波長のファイバーレーザー光源も使用可能である。
【0086】
第2及び第3出射屈折界面122又は132の間の接合部6の構造変更は、
図3の暗線によって表されている。
【0087】
特に、
図6に、第2出射屈折界面122の間の接合部6の構造変更部7を示す。ここで、構造変更部7は、2つの隣り合う出射屈折界面122の間の接合部6において作製されている。
【0088】
接合部6の処理持続時間は、ここでは材料の黒色への変換部である構造変更部7が、光学部品100の材料内に深さ方向に延び、材料内に不透明な壁73が形成されるようなものとする。ここで、不透明な壁73は、接合部6から長手方向Lにおいて延びている。長手方向Lにおける壁73の範囲は、接合部6の処理持続時間に依存する。
【0089】
したがって、この不透明な壁73は、単数又は複数のガイドに伝搬する意図されない傾向を有する寄生光線Rpを吸収する。構造変更部により、ビームの投射画像の品質が大幅に向上する。
【0090】
図7は、ピクセル5を示す第2画像I2を示す。ピクセル5は、2つの隣り合う屈折界面122の間の接合部6が
図6に示すような構造変更部7を含む第2出射屈折界面122を使用して生成されている。これらのピクセルは、まっすぐな側縁部51を持つ矩形形状を有しており、並置されたピクセル5同士の重なりが回避されている。
【0091】
したがって、これらの単一ピクセルビームから生じるピクセルビームは、均一な光強度分布を有する。このような均一な光強度分布は、ユーザに対してより良好な視覚的快適性をもたらす品質ビームを表わす象徴である。
【0092】
上述のような構造変更部は、第1列113の第1入射屈折界面111に適用可能である。具体的には、第1入射屈折界面111は、互いに接触して配置されている。分離線を、2つの隣り合う第1入射屈折界面111の間に配置する。換言すれば、この分離線は、2つの隣り合う第1入射屈折界面111同士を分離する接合部を形成している。
【0093】
図8は、隣り合う入射屈折界面の間に間隙を有する光学部品201を部分的に示す。ここで、光学部品200は、並置された光学素子2の列23を含む。
【0094】
各光学素子2は、光ガイド20を含む。各光ガイドは、入射屈折界面80を形成する入射面を含む。各入射屈折界面80は、対応する基本光源24の真正面に配置され、これにより、当該光源によって発光した光線の大部分は、入射屈折界面80を通過し、次いで光ガイド20を通って伝搬する。
【0095】
図8の矢印Lで示すように、光は、光学部品201の光軸Lに沿って後方から前方に伝搬する。
【0096】
本発明によれば、本例のように、入射屈折界面80は互いに離間しており、間隙90が隣り合う入射屈折界面80を分離している。間隙90は、壁を備えている。これらの壁は、間隙90が分離する入射屈折界面80の間の接合部90を共に形成する。
【0097】
ここで、間隙90は、右側壁90a、左側壁90b、及び底壁90cを含む3つの壁を備えている。
【0098】
底壁90cは、光の伝搬方向に対して垂直である。
【0099】
ここで、側壁90a及び90cは、間隙の主軸Iに対して鏡面対称性を有する。ここで、間隙の主軸Iは、底壁90cの中央を通るとともに、光の伝搬方向に対して平行である。また、これらの側壁は、この主軸Iに対してわずかに反対方向に傾斜している。
【0100】
図8において、1つの光源24のみが示されている。この光源24は、光ガイド21が続く第1入射屈折界面81に対面配置されている。第1入射屈折界面81は、その隣の入射屈折界面82から、第1間隙91によって離間している。隣の入射屈折界面82は、第2入射屈折界面82とも称される。
【0101】
この第1間隙91は、底壁913を第1入射屈折界面81に接続する右側壁911と、底壁913を第2入射屈折界面82に接続する左側壁912とを備える。
【0102】
この構造は、同じ列の他の間隙について繰り返される。
【0103】
このように設計された光学部品201は、寄生光線の存在をもたらすことがある。
【0104】
具体的には、第1入射屈折界面81の前方に配置された光源24、すなわち
図8に示す光源の例において、この光源24の光線のごく一部が、間隙を通過することで第1光ガイド21に近接した隣のガイドらを通って伝搬する場合がある。
【0105】
図8は、寄生光線の想定される1つの光路を概略的に示している。
【0106】
光源24から発する寄生光線は、最初に、第2入射屈折界面82に近接した位置において第1間隙91の左側壁912と接触するように進行する。次いで、寄生光線は、第1光ガイド21の左隣の第2光ガイド22に屈折を介して入射する。
【0107】
次いで、寄生光線は、第2光ガイド22の内部を横方向の伝搬方向Tにおいて伝搬し、次に第2間隙92の右側壁921に方向付けられる。
【0108】
ここで、第2間隙92は、第2入射屈折界面82と第2ガイド22の左隣の第3ガイド23の入射屈折界面との間に配置されるものである。この入射屈折界面は、第3入射屈折界面83とも称される。
【0109】
寄生光線は、第2光ガイド22から出射することにより第2間隙92を通過した後、第2間隙92の左側壁932を通過することで第3光ガイド23に入射する。この側壁は、第3ガイド23の右側壁をも形成している。
【0110】
第3光ガイド23において、寄生光線は横方向に伝搬し続ける。寄生光線は、第3間隙93の右側壁931であって、第3入射屈折界面83と第4光ガイド24の第3入射屈折界面84との間に配置された右側壁931を通過することで第3光ガイド23から出射する。
【0111】
ここで、寄生光線は、第3間隙93の底部933の壁と接触し、屈折により光学部品201の内部に入射する。底部933の壁が照明されているかのように全てが発生する。したがって、底部933の照明された壁の画像が、光学部品の投射システムによって無限に投射される。
【0112】
上記の説明は、基本光源から出力される特定の光線が、これに対応付けられた光ガイドに入射せずに、屈折により隣の光ガイドらを通って、これらのガイドの入射屈折界面を分離する間隙を通過することで伝搬する可能性があることを示す。したがって、これらの光線は、寄生光線と呼ばれる。
【0113】
寄生光線の伝搬により、光学部品によって生成される光線に欠陥が生じることがある。このような欠陥を特に
図9に示す。これは、既に照明されている領域における余分な明るさの部分、又はオフにすべき領域をわずかに照明する部分に対応する。
【0114】
具体的には、
図9は、
図8に示す基本光源及び光学部品によって生成されたビームの画像を示す。この画像は、第3画像I3とも称される。
【0115】
第3画像I3は、光学部品201を含む発光モジュールから、例えば25メートルの距離を置き、且つ前記モジュールの真正面に位置する鉛直方向スクリーンで取得される。
【0116】
画像I3は、鉛直方向の縦軸V及び水平方向の横軸Hからなる直交座標系Rにおいてスクリーンに投射される。鉛直軸Vは道路上の鉛直軸に対応し、水平軸Hは水平線を表す。
【0117】
図9は、ビームの画像の下方に、座標系Rの水平軸に沿った光強度の変化の曲線Cも示す。
【0118】
ビームの画像I3は、欠陥を有する矩形形状のピクセル25、ここでは3本の細い光のラインを含むことが理解されるであろう。
【0119】
光のラインは、発光モジュールにより投光される寄生光線によって形成される。
【0120】
具体的には、寄生光線は、隣のガイドらを通って伝搬し、隣のガイドに属するピクセルが存在する場所に単数又は複数の光線を形成するように、投射光学系によって画像化される。
【0121】
隣のガイド、ここでは第2、第3及び第4光ガイド22、23、24に属するピクセル27を、
図9において破線の長方形で示す。
【0122】
したがって、単数又は複数の光のライン26は、隣のガイドのピクセル27の光強度に光強度を追加する。
【0123】
隣のガイドのピクセル27が、光強度が制限値を下回らなければならない場所に配置されている場合、単数又は複数の光のラインの存在は望ましくない。なぜならば、それには、光強度が増加して規制値を超えるリスク、及び/又は視覚的な不快感を発生させるリスクがあるからである。
【0124】
このような状況が発生する確率は、単数又は複数の光のラインの光強度が増加するにつれて増加する。図示例において、画像の光強度の変化の曲線Cは、光線が非常に高い光強度を有することを示す。したがって、光のライン26は、隣のガイドらに属するピクセルに余剰の光強度を与える。したがって、光のライン26とピクセル27との重なりがある場所で測定された光強度の値は、視覚的な不快感を発生させる、又は更には設定された規制値を超えるリスクを発生させる。
【0125】
更に、これらの光線の存在により、隣の光ガイドらによって形成されたピクセルが完全にオフになることが阻まれる。具体的には、隣のガイドら、ここでは第2、第3及び第4の光ガイド22、23、24の真正面に配置された光源をオフにすると、対応するピクセルもオフになる。しかしながら、第1光ガイド21に対面配置された光源24がオンのままである場合、寄生光線が残る。したがって、光のライン26は、オフにされた隣のガイドらのピクセルの位置でオンのままである。したがって、対向車のドライバーに眩しさを与える可能性のある残留光があり続けるかもしれない。
【0126】
本例におけるこれらの問題を解決するために、出願人は、本発明の一実施形態による、入射屈折界面同士の接合部における構造変更を提案する。
【0127】
ここで、隣り合う入射屈折界面81、82、83、84の間の間隙90、91、92、93の構造を変更することが重要である。より正確には、
図10に示すように、間隙の少なくとも1つの壁に局所的に粒状化加工部(グレイニング加工部)70を作製する。
【0128】
換言すれば、間隙を形成する壁が総面積STを有する場合、粒状化加工部は、この総面積STを部分的に占める。
【0129】
図10に示すように、粒状化加工部70は、第1間隙91の左側壁912において、第2入射屈折界面82に可能な限り近接して形成され得る。ここで、それは、破線で囲まれた四角で示す第1粒状化加工領域71である。
【0130】
粒状化加工領域71の長手方向範囲は、光ガイドの構成及び入射屈折界面の構成に依存する。
【0131】
第1粒状化加工領域71と同様の粒状化加工領域が、第1実施形態の図示された光学部品100の第2列123の入射屈折界面121を分離する間隙に作製され得ることに留意されたい。
【0132】
図10の実施形態において、第3間隙93の底部933の壁に配置された第2粒状化加工領域72も存在し得る。
【0133】
粒状化加工部は、巧妙に選択された位置で、例えば、底部の壁又は側壁において、可能な限り入射屈折界面に近接した位置で作製される。なぜならば、寄生光線は、このような位置を辿ることが非常に多いからである。
【0134】
光学部品の構成に応じて、粒状化加工部は、寄生光線が通過する他の位置で局所的に作製され得る。
【0135】
当然ながら、全ての基本光源の規制光線を効果的に散乱させるように、間隙に粒状化加工部を同一に作製してもよい。
【0136】
一例として、各間隙は、底部の壁に、及び入射屈折界面に近接した側壁の一部に、粒状化加工部を有し得る。
【0137】
図11は、得られたピクセルビームに対して構造変更部によって達成された有利な技術的効果を示す。
【0138】
図11は、
図10に示す基本光源及び光学部品200によって生成されたビームの画像I4を示す。この画像は、第4画像I4とも称される。
【0139】
画像I4は、
図9の条件と同じ条件において取得される。画像I4は、
図9の座標系と同一の座標系で示される。
【0140】
図11において、画像I4は、基本光源24に対応するピクセル25と、寄生光線に対応する光のストリップ46とを有する。
【0141】
対照的に、
図9とは異なり、寄生光線による光のストリップ46は、
図9の光のラインの光強度より低い光強度を持つ、より広範な形状を有している。
【0142】
具体的には、間隙に粒状化加工領域71及び72が存在するため、寄生光線はこれらの領域との接触時に散乱する。これにより、これらの光のストリップ46が分散し、ストリップの光強度が顕著に減少する。
【0143】
したがって、構造変更部70、71、72を有する光学部品201から出力される光のストリップ46は、隣のガイドに対応するピクセル27の強度に、低い又は無視可能な強度しか追加しない。したがって、光のストリップ46とピクセル27との重なりがある場所で測定される光強度の値は、視覚的快適性を改善し、及び/又は規制により設定された値を超えるリスクを低減する。
【0144】
当然ながら、隣り合う入射屈折界面及び/又は隣り合う出射屈折界面の間の接合部を異なった態様で変更することが可能である。
【0145】
例えば、
図8を参照して例として挙げた構成において、粒状化加工領域を有する代わりに、反射性、吸収性及び/又は散乱性コーティングを、隣り合う入射屈折界面の間の接合部に適用してもよい。
【0146】
コーティングは、接合部を形成する壁の総面積を部分的に占有してもよい。コーティングは、寄生光線の伝搬経路、特に底部の壁、側壁及び入射屈折界面に近接した位置に配置され得る。例えば、コーティングは、上述の例の粒状化加工領域71、72と同じ場所に配置され得る。
【0147】
反射コーティングの場合、これは間隙の全ての側壁に、又は更には底部に適用され得る。