(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】光電変換装置及び撮像システム
(51)【国際特許分類】
H04N 25/78 20230101AFI20240115BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20240115BHJP
H04N 25/10 20230101ALI20240115BHJP
【FI】
H04N25/78
H04N25/76
H04N25/10
(21)【出願番号】P 2019187903
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 知也
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006880(JP,A)
【文献】特開2016-092662(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132822(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/78
H04N 25/76
H04N 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の列をなすように配された複数の画素と、
前記複数の列に対応して設けられた複数の比較回路と、
前記複数の比較回路を制御する制御回路と、を有し、
前記複数の比較回路は、
第1の色に感度を有する第1の画素に接続された第1の比較回路と、
前記第1の比較回路の隣の列に配され、前記第1の色と異なる第2の色に感度を有する第2の画素に接続された第2の比較回路と、
前記第2の比較回路の隣の列に配され、前記第1の色に感度を有する第3の画素に接続された第3の比較回路と、を含み、
前記第1の画素及び前記第3の画素の分光感度は、前記第2の画素の分光感度よりも高く、
前記複数の比較回路の各々は、対応する列の画素から出力される画素信号と、時間の経過に応じてレベルが変化する参照信号と、を比較し、前記画素信号と前記参照信号との差が閾値よりも小さい場合と大きい場合とで異なるレベルを示す比較信号を出力するように構成され、
前記制御回路は、前記第1の比較回路、前記第3の比較回路、前記第2の比較回路の順序で前記閾値が段階的に変化するように、前記複数の比較回路の前記閾値を制御するように構成されて
おり、
前記複数の比較回路の前記閾値を設定する際に前記参照信号の電圧レベルを変化する方向は、前記画素信号をアナログデジタル変換する際に前記参照信号の電圧レベルを変化する方向と同じである
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記複数の比較回路の各々は、前記画素信号を受ける第1の入力ノードと第1の出力ノードとを接続する第1のリセットスイッチ、及び、前記参照信号を受ける第2の入力ノードと第2の出力ノードとを接続する第2のリセットスイッチを有し、
前記制御回路は、前記第1のリセットスイッチ及び前記第2のリセットスイッチをオンからオフへ切り替えるタイミングによって、前記複数の比較回路の前記閾値を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記複数の比較回路の各々は、前記画素信号を受ける第1の入力ノードと第1の出力ノードとを接続する第1のリセットスイッチ、及び、前記参照信号を受ける第2の入力ノードと第2の出力ノードとを接続する第2のリセットスイッチを有し、
前記制御回路は、前記第1の比較回路、前記第3の比較回路、前記第2の比較回路の順に、前記第1のリセットスイッチ及び前記第2のリセットスイッチをオンからオフへ切り替えるタイミングを遅らせることによって、前記複数の比較回路の前記閾値を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記複数の比較回路の各々は、前記画素信号を受ける第1の入力ノードと第1の出力ノードとを接続する第1のリセットスイッチ、及び、前記参照信号を受ける第2の入力ノードと第2の出力ノードとを接続する第2のリセットスイッチを有し、
前記閾値は、前記第1のリセットスイッチ及び前記第2のリセットスイッチがオンからオフへ切り替わった時における、前記第1の入力ノードと前記第2の入力ノードとの電位差である
ことを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記複数の比較回路は、前記第3の比較回路の隣の列に配され、前記第2の色に感度を有する第4の画素に接続された第4の比較回路を更に有し、
前記制御回路は、前記第1の比較回路、前記第3の比較回路、前記第2の比較回路、前記第4の比較回路の順序で前記閾値が段階的に変化するように、前記複数の比較回路の前記閾値を制御するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記複数の列に対応して設けられた複数のメモリを更に有し、
前記複数のメモリの各々は、対応する列の比較回路から出力される前記比較信号のレベルが変化するタイミングに応じたカウント値を、前記画素信号のデジタルデータとして保持する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記第1の比較回路、前記第3の比較回路、前記第2の比較回路の順序で前記閾値が段階的に減少するように、前記複数の比較回路の前記閾値を制御するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記第2の比較回路の閾値と前記第3の比較回路の閾値との差は、前記第1の比較回路の閾値と前記第3の比較回路の閾値との差よりも大きい
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記制御回路から前記第1の比較回路及び前記第3の比較回路に制御信号を供給する配線と、前記制御回路から前記第2の比較回路に制御信号を供給する配線と、が異なっている
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記参照信号は、前記複数の比較回路に入力される共通の信号である
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記第1の画素と前記第2の画素とは、隣り合う行の隣り合う列に配されている
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記第1の画素は、R画素であり、
前記第2の画素は、B画素である
ことを特徴とする請求項11記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記第1の画素と前記第2の画素とは、隣り合う行の同じ列に配されている
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記第1の画素と前記第2の画素とは、同じ行の隣り合う列に配されている
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記第1の画素は、G画素であり、
前記第2の画素は、R画素である
ことを特徴とする請求項13又は14記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記第1の画素は、G画素であり、
前記第2の画素は、B画素である
ことを特徴とする請求項13又は14記載の光電変換装置。
【請求項17】
前記制御回路から前記第1の比較回路にリセット信号を供給する第1のリセット信号線と、前記制御回路から前記第2の比較回路にリセット信号を供給する第2のリセット信号線と、前記制御回路から前記第3の比較回路にリセット信号を供給する第3のリセット信号線と、を更に有する
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置から出力される信号を処理する信号処理部と
を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項19】
移動体であって、
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置からの信号に基づく視差画像から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段と
を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置及び撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSイメージセンサなどの光電変換装置の中には、画素信号をアナログデジタル(AD)変換して出力するものがある。これら光電変換装置は、画素列毎に設けられた複数の比較回路の各々が画素信号と参照信号とを比較し、比較信号を出力する。比較信号が出力されたタイミングでカウンタのデジタル値をメモリに取り込むことで、画素信号のAD変換が可能となる。このような比較回路は、回路内のオフセット成分をクランプし、オフセットキャンセルを行うリセット機能備えている。これにより、比較回路における比較精度を高めることができる。
【0003】
特許文献1には、比較回路のリセットを指示する信号を、タイミングが異なる複数のリセット信号に分けることで、これら複数のリセット信号に応じた複数のオフセットレベルをクランプすることが開示されている。特許文献2には、配線間にシールド配線を設けることで、これら複数のリセット信号のキックバックノイズを低減し、低ノイズ化を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-096670号公報
【文献】特開2018-006880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、複数のリセット信号によってリセットを指示するタイミングに関する検討は十分になされていなかった。比較回路のリセット動作について本発明者が鋭意検討を行ったところ、リセットを指示するタイミングによっては、あるリセット信号の変動が他のリセット信号に伝搬し、AD変換データが本来の値から変化することが初めて明らかとなった。
【0006】
本発明の目的は、比較精度の高い比較回路を備えた光電変換装置及び撮像システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、複数の列をなすように配された複数の画素と、前記複数の列に対応して設けられた複数の比較回路と、前記複数の比較回路を制御する制御回路と、を有し、前記複数の比較回路は、第1の色に感度を有する第1の画素に接続された第1の比較回路と、前記第1の比較回路の隣の列に配され、前記第1の色と異なる第2の色に感度を有する第2の画素に接続された第2の比較回路と、前記第2の比較回路の隣の列に配され、前記第1の色に感度を有する第3の画素に接続された第3の比較回路と、を含み、前記第1の画素及び前記第3の画素の分光感度は、前記第2の画素の分光感度よりも高く、前記複数の比較回路の各々は、対応する列の画素から出力される画素信号と、時間の経過に応じてレベルが変化する参照信号と、を比較し、前記画素信号と前記参照信号との差が閾値よりも小さい場合と大きい場合とで異なるレベルを示す比較信号を出力するように構成され、前記制御回路は、前記第1の比較回路、前記第3の比較回路、前記第2の比較回路の順序で前記閾値が段階的に変化するように、前記複数の比較回路の前記閾値を制御するように構成されており、前記複数の比較回路の前記閾値を設定する際に前記参照信号の電圧レベルを変化する方向は、前記画素信号をアナログデジタル変換する際に前記参照信号の電圧レベルを変化する方向と同じである光電変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、比較精度の高い比較回路を備えた光電変換装置を実現することができる。これにより、混色による影響を抑制し、画質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による光電変換装置における比較回路の構成例を示す回路図である。
【
図3】参考例による光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図5】本発明の第2実施形態による光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図6】本発明の第3実施形態による光電変換装置における比較回路の構成例を示す回路図である。
【
図7】本発明の第4実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第4実施形態による光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図9】本発明の第5実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図10】本発明の第6実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第7実施形態による撮像システム及び移動体の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本実施形態による光電変換装置の概略構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【0011】
本実施形態による光電変換装置100は、
図1に示すように、画素領域10と、垂直走査回路20と、AD変換回路部30A,30Bと、水平走査回路50A,50Bと、タイミング発生回路60と、を有する。また、本実施形態による光電変換装置100は、参照信号発生回路36A,36Bと、カウンタ44A,44Bと、を更に有する。AD変換回路部30A、参照信号発生回路36A、カウンタ44A及び水平走査回路50Aは、一組の読み出し回路部を構成する。AD変換回路部30B、参照信号発生回路36B、カウンタ44B及び水平走査回路50Bは、他の一組の読み出し回路部を構成する。画素領域10は、これら2つの読み出し回路部の間に配されている。
【0012】
画素領域10には、複数の行及び複数の列に渡って行列状に配された複数の画素12が設けられている。各々の画素12は、フォトダイオード等の光電変換素子からなる光電変換部を含み、入射光の光量に応じた画素信号を出力する。画素領域10に配される画素アレイの行数及び列数は、特に限定されるものではない。また、画素領域10には、入射光の光量に応じた画素信号を出力する有効画素のほか、光電変換部が遮光されたオプティカルブラック画素や、信号を出力しないダミー画素などが配置されていてもよい。
【0013】
画素領域10に配される各画素12は、所定の分光感度特性を有するカラーフィルタを備えている。
図1には、複数の画素12を、カラーフィルタの色パターンの配列の一つであるベイヤー配列に従って配置した例を示している。ベイヤー配列では、緑のカラーフィルタを備えた画素(G画素)12と、赤のカラーフィルタを備えた画素(R画素)12と、青のカラーフィルタを備えた画素(B画素)12とが、2:1:1の比率で配置される。ここで、R画素は赤色の波長域の光に感度を有する画素であり、G画素は緑色の波長域の光に感度を有する画素であり、B画素は青色の波長域の光に感度を有する画素である。一般的に、これら色画素の分光感度は、G画素、R画素、B画素の順に高い。
【0014】
ベイヤー配列では、R画素とG画素とが交互に配される行と、G画素とB画素とが交互に配される行とが、交互に配置される。ここでは便宜上、R画素と同じ行に配されるG画素をGr画素と表記し、B画素と同じ行に配されるG画素をGb画素と表記するものとする。また、本実施形態では、同じ行の連続する4つの画素を1つの単位として取り扱う関係上、色を表す記号であるGr,Gb,R,Bに、1,2の番号を付記した符号を用いて各画素12を区別するものとする。すなわち、画素領域10は、
図1に示すように、R1画素、Gr1画素、R2画素、Gr2画素、…、が配される行と、Gb1画素、B1画素、Gb2画素、B2画素、…、が配される行と、を有する。
【0015】
画素領域10の画素アレイの各行には、第1の方向(
図1において横方向)に延在して、制御線14が配されている。制御線14の各々は、第1の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。制御線14の延在する第1の方向は、行方向或いは水平方向と呼ぶことがある。制御線14は、垂直走査回路20に接続されている。
【0016】
画素領域10の画素アレイの各列には、第1の方向と交差する第2の方向(
図1において縦方向)に延在して、出力線16A及び出力線16Bが配されている。画素領域10を構成する複数の画素12は、出力線16Aに接続された画素12と、出力線16Bに接続された画素12と、に分けられる。
図1に示す構成例では、画素領域10を構成する画素アレイの各行及び各列において、出力線16Aに接続された画素12と、出力線16Bに接続された画素12とは、交互に配置されている。
【0017】
具体的には、出力線16Aの各々は、第2の方向に並ぶ画素12のうち、R画素又はGb画素に接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。出力線16Bの各々は、第2の方向に並ぶ画素12のうち、Gr画素又はB画素に接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。出力線16A,16Bの延在する第2の方向は、列方向或いは垂直方向と呼ぶことがある。出力線16Aは、AD変換回路部30Aに接続されている。また、出力線16Bは、AD変換回路部30Bに接続されている。
【0018】
垂直走査回路20は、画素12から信号を読み出す際に画素12内の読み出し回路を駆動するための制御信号を、画素アレイの各行に設けられた制御線14を介して画素12に供給する制御回路部である。垂直走査回路20は、シフトレジスタやアドレスデコーダを用いて構成され得る。垂直走査回路20は、制御線14を介して供給する制御信号によって画素領域10の画素12を行単位で駆動する。行単位で画素12から読み出された各列の画素信号は、出力線16Aを介してAD変換回路部30Aに入力され、或いは、出力線16Bを介してAD変換回路部30Bに入力される。
【0019】
参照信号発生回路36A,36Bは、AD変換に使用する参照信号、例えばランプ信号を発生する回路である。ランプ信号とは、時間の経過とともにレベルが所定値から徐々に変化(増加又は減少)する信号である。
【0020】
AD変換回路部30Aは、画素領域10の画素アレイの各列に対応して設けられた複数の比較回路32及び複数のメモリ42を有する。各列に配された比較回路32とメモリ42とが列AD変換回路部を構成する。各列の比較回路32の入力端子には、対応する列の出力線16Aと、参照信号発生回路36Aと、が接続されている。参照信号発生回路36Aは、参照信号線を介して各列の比較回路32に参照信号を供給する。各列のメモリ42の入力端子には、対応する列の比較回路32の出力端子と、カウンタ44Aと、水平走査回路50Aと、が接続されている。
【0021】
水平走査回路50Aは、AD変換回路部30Aの各列のメモリ42に記憶された画素信号を出力するための制御信号を、各列のメモリ42に列毎に順次供給する制御回路部である。画素領域10の各列に対応して設けられた水平走査回路50Aの制御線は、対応する列のメモリ42に接続されている。各列のメモリ42は、水平走査回路50Aの対応する列の制御線を介して制御信号を受信すると、保持する画素信号を出力線46Aに出力する。
【0022】
同様に、AD変換回路部30Bは、画素領域10の画素アレイの各列に対応して設けられた複数の比較回路32及び複数のメモリ42を有する。各列に配された比較回路32とメモリ42とが列AD変換回路部を構成する。各列の比較回路32の入力端子には、対応する列の出力線16Bと、参照信号発生回路36Bと、が接続されている。参照信号発生回路36Bは、参照信号線を介して各列の比較回路32に参照信号を供給する。各列のメモリ42の入力端子には、対応する列の比較回路32の出力端子と、カウンタ44Bと、水平走査回路50Bと、が接続されている。
【0023】
また、水平走査回路50Bは、AD変換回路部30Bの各列のメモリ42に記憶された画素信号を出力するための制御信号を、各列のメモリ42に列毎に順次供給する制御回路部である。画素領域10の各列に対応して設けられた水平走査回路50Bの制御線は、対応する列のメモリ42に接続されている。各列のメモリ42は、水平走査回路50Bの対応する列の制御線を介して制御信号を受信すると、保持する画素信号を出力線46Bに出力する。
【0024】
タイミング発生回路60は、垂直走査回路20、比較回路32、参照信号発生回路36A,36B、カウンタ44A,44B、水平走査回路50A,50Bに、それらの動作やそのタイミングを制御する制御信号を供給するための制御回路部である。これら制御信号の少なくとも一部は、光電変換装置100の外部から供給するようにしてもよい。
【0025】
なお、
図1に示す制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4は、タイミング発生回路60から比較回路32へと供給される比較回路32のリセット信号である。制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4は、別々のリセット信号線を介して、所定の列の比較回路32へと供給される。AD変換回路部30Aに供給される制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4と、AD変換回路部30Bに供給される制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4とは、別々の制御信号でもよい。
【0026】
次に、本実施形態による光電変換装置の動作の概略について、
図1を用いて説明する。
画素領域10を構成する複数の画素12の各々は、フォトダイオード等の光電変換素子を含み、アナログ信号である画素信号を、出力線16A又は出力線16Bに出力する。画素12が出力する画素信号には、入射光量に応じた信号量に対応する信号と、雑音量に対応する信号(基準信号、リセット信号)と、が含まれる。画素12からの画素信号の出力は、タイミング発生回路60による制御のもと、垂直走査回路20から制御線14を介して供給される制御信号により、行単位で行われる。画素12から出力線16Aに出力された画素信号は、AD変換回路部30Aに入力される。また、画素12から出力線16Bに出力された画素信号は、AD変換回路部30Bに入力される。
【0027】
隣り合う2行に属する画素12を同時に駆動することで、各列の出力線16Aには、R画素の画素信号又はB画素の画素信号が同時に出力される。また、各列の出力線16Bには、Gr画素の画素信号又はGb画素の画素信号が同時に出力される。
【0028】
画素12から出力線16Aを介してAD変換回路部30Aに入力される画素信号は、対応する列の比較回路32に入力される。比較回路32は、画素信号の信号レベルと参照信号発生回路36Aから供給される参照信号の信号レベルとを比較する比較動作を行い、画素信号の信号レベルとランプ信号の信号レベルとの大小関係が反転したタイミングでラッチ信号を出力する。メモリ42には、カウンタ44Aから供給されるカウント信号と、比較回路32の出力信号とが入力される。メモリ42は、比較回路32からラッチ信号を受信したタイミングにおいてカウント信号が示しているカウント値を、画素信号のデジタルデータとして記憶する。
【0029】
水平走査回路50Aは、タイミング発生回路60による制御のもと、AD変換回路部30Aのメモリ42に、列ごとに順次、制御信号を出力する。水平走査回路50Aから制御信号を受信したメモリ42は、画素信号をAD変換したデジタルデータを、出力線46Aに出力する。
【0030】
同様に、画素12から出力線16Bを介してAD変換回路部30Bに入力される画素信号は、対応する列の比較回路32に入力される。比較回路32は、画素信号の信号レベルと参照信号発生回路36Bから供給される参照信号の信号レベルとを比較する比較動作を行い、画素信号の信号レベルとランプ信号の信号レベルとの大小関係が反転したタイミングでラッチ信号を出力する。メモリ42には、カウンタ44Bから供給されるカウント信号と、比較回路32の出力信号とが入力される。メモリ42は、比較回路32からラッチ信号を受信したタイミングにおいてカウント信号が示しているカウント値を、画素信号のデジタルデータとして記憶する。
【0031】
また、水平走査回路50Bは、タイミング発生回路60による制御のもと、AD変換回路部30Bのメモリ42に、列ごとに順次、制御信号を出力する。水平走査回路50Bから制御信号を受信したメモリ42は、画素信号をAD変換したデジタルデータを、出力線46Bに出力する。
【0032】
このように本実施形態による光電変換装置100は、R画素及びB画素の画素信号に対してはAD変換回路部30AでAD変換処理を行い、Gr画素及びGb画素の画素信号に対してはAD変換回路部30BでAD変換処理を行うように構成されている。
【0033】
次に、本実施形態による光電変換装置における比較回路32の構成例について、
図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態による光電変換装置における比較回路の構成例を示す回路図である。ここでは、AD変換回路部30Aを構成する比較回路32を例にして説明するが、AD変換回路部30Bを構成する比較回路32についても同様である。
図2には、画素アレイを構成する複数の列のうち、連続する4列に対応して設けられた4つの比較回路32を示している。
【0034】
画素アレイの各列に対応して設けられた比較回路32の各々は、
図2に示すように、差動対回路34と、入力容量C1,C2と、トランジスタM1,M2と、を有する。差動対回路34は、-側入力端子と、+側入力端子と、これらに対応する2つの出力端子(+側出力端子及び-側出力端子)と、を有する。差動対回路34の-側入力端子が例えば第1の入力ノードであり、差動対回路34の+側入力端子が例えば第2の入力ノードである。また、差動対回路34の+側出力端子が例えば第1の出力ノードであり、差動対回路34の-側出力端子が例えば第2の出力ノードである。
【0035】
差動対回路34の-側入力端子には、入力容量C1を介して出力線16Aが接続されている。差動対回路34の+側入力端子には、入力容量C2を介して例えば参照信号線38が接続されている。差動対回路34の-側入力端子と+側出力端子との間には、これらの間の接続状態(導通、非導通)を制御するトランジスタM1が設けられている。差動対回路34の+側入力端子と-側出力端子との間には、これらの間の接続状態(導通、非導通)を制御するトランジスタM2が設けられている。差動対回路34の+側出力端子には、対応する列のメモリ42が接続されている。
【0036】
差動対回路34の-側入力端子には、対応する列の画素12から、出力線16A及び入力容量C1を介して、画素信号PIXが入力される。ここでは説明の便宜上、
図2において左側の比較回路32から順番に、画素信号PIX1,PIX2,PIX3,PIX4がそれぞれ入力されるものとする。例えば、
図1の画素領域10における第1行目から画素信号を読み出した場合、画素信号PIX1,PIX3はR画素の出力に基づく信号であり、画素信号PIX2,PIX4はB画素の出力に基づく信号である。差動対回路34の+側入力端子には、参照信号発生回路36Aから、参照信号線38及び入力容量C2を介して、参照信号VRAMPが入力される。
【0037】
各比較回路32のトランジスタM1,M2は、共通の制御信号ΦCRESにより制御される。ここでは、
図2において左側の比較回路32から順番に、制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4がそれぞれ供給されるものとする。制御信号ΦCRESがHighレベルとなりトランジスタM1,M2がオンすることで、比較回路32の閾値電圧は、そのときに出力されている画素信号PIXと参照信号VRAMPとの間の電位差に相当する電圧にリセットされる。より具体的には、トランジスタM1,M2がオンからオフに切り替わった時における、画素信号PIXと参照信号VRAMPとの間の電位差に相当する電圧に、比較回路32の閾値電圧がリセットされる。これにより、各列の比較回路32に、制御信号CRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4のタイミングに応じて異なるオフセットレベル(閾値電圧)を設定することができる。このように、トランジスタM1,M2は、それぞれ、リセットスイッチを構成している。
【0038】
このようにして比較回路32の閾値電圧を設定する動作を、比較回路32のリセット或いはオートゼロと称する。比較回路32の閾値電圧は制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4のタイミングによって決まることから、制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4が比較回路32の閾値電圧をリセットすると言える。
【0039】
なお、比較回路32の閾値電圧とは、比較回路32から出力される比較信号のレベルが変化するときの、画素信号の信号レベルと参照信号の信号レベルとの差に相当する電圧である。すなわち、比較回路32は、画素信号の信号レベルと参照信号の信号レベルとの差が閾値電圧よりも小さい場合と大きい場合とにおいて、異なるレベルを示す比較信号を出力する。
【0040】
次に、本実施形態による光電変換装置におけるAD変換回路部30Aの動作について、
図3及び
図4を用いてより詳細に説明する。
【0041】
まず、本実施形態による光電変換装置の駆動方法を説明する前に、参考例による光電変換装置の駆動方法について、
図3を用いて説明する。
図3は、参考例による光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【0042】
図3には、参照信号VRAMP、制御信号ΦRAMP_RES,ΦRAMP_EN,ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4の信号レベルを示している。制御信号ΦRAMP_RESは、タイミング発生回路60から参照信号発生回路36へと供給される参照信号発生回路36のリセット信号である。制御信号ΦRAMP_RESがHighレベルになると、参照信号発生回路36はリセット状態となり、参照信号発生回路36の出力は基準レベルとなる。また、制御信号ΦRAMP_ENは、参照信号VRAMPに対するイネーブル信号であり、制御信号ΦRAMP_ENがHighレベルのとき、参照信号VRAMPの信号レベルは時間の経過とともに変化する。
【0043】
時刻t1よりも前の初期状態において、制御信号ΦRAMP_RESはHighレベルとなっており、制御信号ΦRAMP_EN,ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4はLowレベルとなっている。参照信号VRAMPは、Highレベルの制御信号ΦRAMP_RESに応じて基準電圧レベルとなっている。
【0044】
まず、時刻t1において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_RESをHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、参照信号発生回路36のリセット状態が解除される。
【0045】
また、同じく時刻t1において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをLowレベルからHighレベルへと制御する。これにより、参照信号VRAMPの電圧レベルは、時間の経過とともに基準電圧レベルから徐々に変化(減少)する。
【0046】
次いで、時刻t2において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、参照信号VRAMPの電圧レベルは変化しなくなり、参照信号VRAMPは基準レベルよりも低い第1の電圧のレベルで一定となる。
【0047】
また、同じく時刻t2において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4をLowレベルからHighレベルへと制御する。これにより、比較回路32のトランジスタM1,M2がオンになり、入力端子と出力端子とが短絡されることで、比較回路32がリセット状態となる。
【0048】
次いで、時刻t3において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦCRES1をHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、制御信号ΦCRES1が供給される列の比較回路32に、オフセットレベルとして第1の電圧レベルがクランプされる。このとき、出力線16Aには雑音量に対応する画素信号PIXが出力されており、制御信号ΦCRES1が供給される列の比較回路32の閾値電圧は、画素信号PIX1のレベルと第1の電圧レベルとの間の電位差に相当する電圧にリセットされる。
【0049】
次いで、時刻t4において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをLowレベルからHighレベルへと制御する。これにより、参照信号VRAMPの電圧レベルは、時間の経過とともに第1の電圧レベルから徐々に変化(減少)する。
【0050】
次いで、時刻t5において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、参照信号VRAMPの電圧レベルは変化しなくなり、参照信号VRAMPは第1の電圧レベルよりも低い第2の電圧レベルで一定となる。
【0051】
次いで、時刻t6において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦCRES2をHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、制御信号ΦCRES2が供給される列の比較回路32に、オフセットレベルとして第2の電圧レベルがクランプされる。このとき、出力線16Aには雑音量に対応する画素信号PIXが出力されており、制御信号ΦCRES2が供給される列の比較回路32の閾値電圧は、画素信号PIX2のレベルと第2の電圧レベルとの間の電位差に相当する電圧にリセットされる。
【0052】
次いで、時刻t7において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをLowレベルからHighレベルへと制御する。これにより、参照信号VRAMPの電圧レベルは、時間の経過とともに第2の電圧レベルから徐々に変化(減少)する。
【0053】
次いで、時刻t8において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、参照信号VRAMPの電圧レベルは変化しなくなり、参照信号VRAMPは第2の電圧レベルよりも低い第3の電圧レベルで一定となる。
【0054】
次いで、時刻t9において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦCRES3をHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、制御信号ΦCRES3が供給される列の比較回路32に、オフセットレベルとして第3の電圧レベルがクランプされる。このとき、出力線16Aには雑音量に対応する画素信号PIXが出力されており、制御信号ΦCRES3が供給される列の比較回路32の閾値電圧は、画素信号PIX3のレベルと第3の電圧レベルとの間の電位差に相当する電圧にリセットされる。
【0055】
次いで、時刻t10において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをLowレベルからHighレベルへと制御する。これにより、参照信号VRAMPの電圧レベルは、時間の経過とともに第3の電圧レベルから徐々に変化(減少)する。
【0056】
次いで、時刻t11において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、参照信号VRAMPの電圧レベルは変化しなくなり、参照信号VRAMPは第3の電圧レベルよりも低い第4の電圧レベルで一定となる。
【0057】
次いで、時刻t12において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦCRES4をHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、制御信号ΦCRES4が供給される列の比較回路32に、オフセットレベルとして第4の電圧レベルがクランプされる。このとき、出力線16Aには雑音量に対応する画素信号PIXが出力されており、制御信号ΦCRES4が供給される列の比較回路32の閾値電圧は、画素信号PIX4のレベルと第4の電圧レベルとの間の電位差に相当する電圧にリセットされる。
【0058】
次いで、時刻t13において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_RESをLowレベルからHighレベルへと制御する。これにより、参照信号発生回路36はリセット状態となり、参照信号の電圧レベルは基準レベルに戻る。
【0059】
次いで、時刻t14において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_RESをHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、参照信号発生回路36のリセット状態が解除される。
【0060】
また、同じく時刻t14において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをLowレベルからHighレベルへと制御する。これにより、参照信号VRAMPの電圧レベルは、時間の経過とともに基準レベルから徐々に変化(減少)する。
【0061】
時刻t14から時刻t15までの期間は、雑音量に対応する画素信号PIX1,PIX2,PIX3,PIX4に対するAD変換を行う期間である。
【0062】
参照信号VRAMPの電圧レベルが第1の電圧レベルに達すると、画素信号PIX1のレベルと参照信号VRAMPとの間の電位差は、当該列の比較回路32の閾値電圧となり、比較回路32の出力信号のレベルが反転する。当該列のメモリ42は、比較回路32の出力信号のレベルが反転したタイミングにおいてカウンタ44Aから受信しているカウント信号に応じたカウント値を、画素信号PIX1のデジタルデータとして保持する。
【0063】
参照信号VRAMPの電圧レベルが更に減少して第2の電圧レベルに達すると、画素信号PIX2のレベルと参照信号VRAMPとの間の電位差は、当該列の比較回路32の閾値電圧となり、比較回路32の出力信号のレベルが反転する。当該列のメモリ42は、比較回路32の出力信号のレベルが反転したタイミングにおいてカウンタ44Aから受信しているカウント信号に応じたカウント値を、画素信号PIX2のデジタルデータとして保持する。
【0064】
参照信号VRAMPの電圧レベルが更に減少して第3の電圧レベルに達すると、画素信号PIX3のレベルと参照信号VRAMPとの間の電位差は、当該列の比較回路32の閾値電圧となり、比較回路32の出力信号のレベルが反転する。当該列のメモリ42は、比較回路32の出力信号のレベルが反転したタイミングにおいてカウンタ44Aから受信しているカウント信号に応じたカウント値を、画素信号PIX3のデジタルデータとして保持する。
【0065】
参照信号VRAMPの電圧レベルが更に減少して第4の電圧レベルに達すると、画素信号PIX4のレベルと参照信号VRAMPとの間の電位差は、当該列の比較回路32の閾値電圧となり、比較回路32の出力信号のレベルが反転する。当該列のメモリ42は、比較回路32の出力信号のレベルが反転したタイミングにおいてカウンタ44Aから受信しているカウント信号に応じたカウント値を、画素信号PIX4のデジタルデータとして保持する。
【0066】
次いで、時刻t15において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをHighレベルからLowレベルへと制御し、制御信号ΦRAMP_RESをLowレベルからHighレベルへと制御する。これにより、参照信号発生回路36はリセット状態となり、参照信号の電圧レベルは基準レベルに戻る。
【0067】
次いで、時刻t16において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_RESをHighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、参照信号発生回路36のリセット状態が解除される。
【0068】
また、同じく時刻t16において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをLowレベルからHighレベルへと制御する。これにより、参照信号VRAMPの電圧レベルは、時間の経過とともに基準レベルから徐々に変化(減少)する。
【0069】
時刻t16から時刻t17までの期間は、入射光量に応じた信号量に対応する画素信号PIX1,PIX2,PIX3,PIX4に対するAD変換を行う期間である。このときに参照信号発生回路36Aから供給される参照信号VRAMPは、光信号振幅に対応したランプ信号とする。
【0070】
次いで、時刻t17において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦRAMP_ENをHighレベルからLowレベルへと制御し、制御信号ΦRAMP_RESをLowレベルからHighレベルへと制御する。これにより、参照信号発生回路36はリセット状態となり、参照信号の電圧レベルは基準レベルに戻る。
【0071】
このようにして
図3のタイミング図に従った駆動を行うことにより、複数のオフセットレベルを生成して比較回路32に保持することができ、総ての比較回路32の出力が一斉に反転するのを抑制することができる。その結果、比較回路32の出力の一斉反転に伴うIRドロップや電流変動に起因するノイズを低減し、ひいては画質を向上することができる。
【0072】
しかしながら、参考例による駆動方法においては、AD変換を行う順序に起因して混色が発生し、画質が低下することがあった。
【0073】
参考例による駆動方法では、時刻t14から時刻t15の期間において、雑音量に対応する画素信号PIX1,PIX2,PIX3,PIX4のAD変換を、この順序で行っている。この順序を
図1の画素配列に対応させると、AD変換回路部30Aでは、R1画素、B1画素、R2画素、B2画素、の順序で画素信号PIXのAD変換が行われることになる。
【0074】
これらのうち、B1画素の画素信号のAD変換の後、R2画素の画素信号のAD変換を行う際に、キックバックノイズが発生することがある。キックバックノイズとは、比較回路32の出力の一斉反転に起因するノイズである。すなわち、B1画素に対応する列の比較回路32の出力が一斉反転する際、IRドロップなどによる電位変動が生じ得る。その際、比較回路32の出力部と容量結合されている箇所に瞬時的な電位変動が起き、他の信号線の信号レベルに影響を与える。このキックバックノイズが共通配線を介して影響を与えることにより、次にAD変換が行われるR2画素のAD変換データが本来の値から変化することがある。この影響により、画像の一部が赤色に色付いてしまい、画質劣化が発生する。
【0075】
なお、R1画素の画素信号のAD変換の後にB1画素の画素信号のAD変換を行う際や、R2画素の画素信号のAD変換の後にB2画素の画素信号のAD変換を行う際にも、キックバックノイズは発生し得る。この場合、画像の一部が青色に色付く画質劣化が発生する可能性はあるが、一般的に青色の色付きは視認性が低いため、画質への影響は相対的に小さい。
【0076】
次に、本実施形態による光電変換装置の駆動方法について、
図4を用いて説明する。なお、ここでは参考例による光電変換装置の駆動方法と異なる点を中心に説明を行い、参考例による光電変換装置の駆動方法と同様の点については適宜説明を省略し或いは簡潔にする。
図4は、本実施形態による光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
図4には、
図3と同様、参照信号VRAMP、制御信号ΦRAMP_RES,ΦRAMP_EN,ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4の信号レベルを示している。
【0077】
本実施形態による光電変換装置の駆動方法は、制御信号ΦCRES2,ΦCRES3をHighレベルからLowレベルに遷移するタイミングが異なるほかは、参考例による光電変換装置の駆動方法と同様である。
【0078】
すなわち、時刻t6において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦCRES2ではなく、制御信号ΦCRES3を、HighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、制御信号ΦCRES3が供給される列の比較回路32に、オフセットレベルとして第2の電圧レベルがクランプされる。このとき、出力線16Aには雑音量に対応する画素信号PIXが出力されており、制御信号ΦCRES3が供給される列の比較回路32の閾値電圧は、画素信号PIX3のレベルと第2の電圧レベルとの間の電位差に相当する電圧にリセットされる。
【0079】
また、時刻t9において、タイミング発生回路60は、制御信号ΦCRES3ではなく、制御信号ΦCRES2を、HighレベルからLowレベルへと制御する。これにより、制御信号ΦCRES2が供給される列の比較回路32に、オフセットレベルとして第3の電圧レベルがクランプされる。このとき、出力線16Aには雑音量に対応する画素信号PIXが出力されており、制御信号ΦCRES2が供給される列の比較回路32の閾値電圧は、画素信号PIX2のレベルと第3の電圧レベルとの間の電位差に相当する電圧にリセットされる。
【0080】
これにより、比較回路32の閾値電圧は、画素信号PIX1が供給される比較回路32、画素信号PIX3が供給される比較回路32、画素信号PIX2が供給される比較回路32、画素信号PIX4が供給される比較回路32の順序で段階的に変化する。
【0081】
その結果、時刻t14から時刻t15の期間における雑音量に対応する画素信号PIXのAD変換は、画素信号PIX1,PIX3,PIX2,PIX4の順序で行われる。この順序を
図1の画素配列に対応させると、AD変換回路部30Aでは、R1画素、R2画素、B1画素、B2画素、の順序で画素信号PIXのAD変換が行われることになる。
【0082】
つまり、参考例による駆動方法では、R画素の画素信号のAD変換の後にB画素の画素信号のAD変換を行う回数が2回、B画素の画素信号のAD変換の後にR画素の画素信号のAD変換を行う回数が1回である。これに対し、本実施形態による駆動方法では、R画素の画素信号のAD変換の後にB画素の画素信号のAD変換を行う回数が1回、B画素の画素信号のAD変換の後にR画素の画素信号のAD変換を行う回数が0回である。
【0083】
すなわち、本実施形態の駆動方法は、オフセットレベルを4値に分けたときに混色の影響が最小になる駆動方法となる。また、本実施形態の駆動方法では、R画素の画素信号のAD変換の後にB画素の画素信号のAD変換を行うように構成することで、分光感度の高い画素に対する混色の影響を低減し、混色が目立たないようにている。したがって、本実施形態の駆動方法によれば、混色による影響を抑制し、画質を向上することができる。
【0084】
なお、本実施形態ではオフセットレベルを4値としたが、同様の方法により4値以上のオフセットレベルを保持することも可能である。例えば、オフセットレベルを6値に設定し、R画素、R画素、R画素、B画素、B画素、B画素の順番で画素信号のAD変換を行うように構成することができる。
【0085】
このように、本実施形態によれば、比較精度の高い比較回路を備えた光電変換装置及びその駆動方法を実現することができる。これにより、混色による影響を抑制し、画質を向上することができる。
【0086】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による光電変換装置及びその駆動方法について、
図5を用いて説明する。第1実施形態による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図5は、本実施形態による光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【0087】
本実施形態では、第1実施形態による光電変換装置の他の駆動方法を説明する。
本実施形態の駆動方法は、
図5に示すように、制御信号ΦRAMP_ENがHighレベルとなる時刻t7から時刻t8までの期間の長さが異なるほかは、
図4に示す第1実施形態の駆動方法と同様である。
【0088】
すなわち、本実施形態においては、制御信号ΦRAMP_ENがHighレベルとなる時刻t7から時刻t8までの期間の長さが、時刻t4から時刻t5までの期間の長さ及び時刻t10から時刻t11までの期間の長さよりも長くなっている。
【0089】
時刻t7から時刻t8までの期間は、参照信号VRAMPの電圧レベルを第2の電圧レベルから第3の電圧レベルに遷移する期間である。この期間を長くすることにより、第2の電圧レベルと第3の電圧レベルとの電位差は大きくなる。したがって、時刻t14から時刻t15までの期間において画素信号PIXをAD変換する際に、画素信号PIX3をAD変換するタイミングと画素信号PIX2をAD変換するタイミングとの間の時間差を、第1実施形態の場合よりも大きくすることができる。
【0090】
ここで、R画素の画素信号PIX3のAD変換の際に発生するキックバックノイズは、時間の経過とともに収束していく。したがって、画素信号PIX3をAD変換するタイミングと画素信号PIX2をAD変換するタイミングとの間の時間差を大きくすることにより、B画素の画素信号PIX2のAD変換を行う際におけるR画素起因のキックバックノイズを低減することができる。したがって、本実施形態の駆動方法によれば、混色による影響を更に抑制し、画質を向上することができる。
【0091】
このように、本実施形態によれば、比較精度の高い比較回路を備えた光電変換装置及びその駆動方法を実現することができる。これにより、混色による影響を抑制し、画質を向上することができる。
【0092】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による光電変換装置及びその駆動方法について、
図6を用いて説明する。第1及び第2実施形態による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図6は、本実施形態による光電変換装置における比較回路の構成例を示す回路図である。
【0093】
本実施形態による光電変換装置は、
図6に示すように、比較回路32の回路構成が、第1実施形態による光電変換装置とは異なっている。
【0094】
すなわち、本実施形態による光電変換装置の比較回路32は、
図6に示すように、トランジスタM1,M2及び入力容量C1,C2に加え、トランジスタM3,M4,M5,M6,M7,M8を更に有している。トランジスタM3~M8が、
図2における差動対回路34に対応している。
図6には、PMOS入力の差動対回路で構成される比較回路32を示している。この場合、トランジスタM1,M2,M7,M8はN型MOSトランジスタで構成され、トランジスタM3,M4,M5,M6はP型MOSトランジスタで構成される。なお、比較回路32は、NMOS入力の差動対回路で構成することもできる。
【0095】
トランジスタM5は画素信号PIXが入力される側の入力トランジスタであり、トランジスタM6は参照信号VRAMPが入力される側の入力トランジスタである。トランジスタM5のドレインが比較回路32の出力端子outとなる。
【0096】
トランジスタM3,M4は、差動対回路のテール電流源を構成している。すなわち、差動対回路のテール電流源は、電流源用のトランジスタM3とゲート接地トランジスタM4の2段階で構成されている。トランジスタM3のソースは、電源ノードに接続されている。トランジスタM3のドレインは、トランジスタM4のソースに接続されている。トランジスタM4のドレインは、トランジスタM5のソース及びトランジスタM6のソースに接続されている。トランジスタM3のゲートには、バッファ回路70を介して制御信号ΦCBIASが供給される。また、トランジスタM4のゲートには、バッファ回路80を介して制御信号ΦCGATEが供給される。
【0097】
トランジスタM5のドレインは、トランジスタM7のドレインに接続されている。トランジスタM6のドレインは、トランジスタM7のゲート並びにトランジスタM8のドレイン及びゲートに接続されている。トランジスタM7のソース及びトランジスタM8のソースは、基準電圧(接地)ノードに接続されている。
【0098】
トランジスタM1は、
図2における-側入力端子に対応するトランジスタM5のゲートと、+側出力端子に対応するトランジスタM5のドレインとの間に接続される。トランジスタM2は、
図2における+側入力端子に対応するトランジスタM6のゲートと、-側出力端子に対応するトランジスタM6のドレインとの間に接続される。
【0099】
一般的な光電変換装置では、制御信号ΦCBIASを各列の比較回路32に供給する配線及び制御信号ΦCGATEを各列の比較回路32に供給する配線は、総ての列に共通の配線とするのが通常である。
【0100】
一方、本実施形態による光電変換装置では、制御信号ΦCBIASを供給する配線及び制御信号ΦCGATEを供給する配線をそれぞれ2本ずつ設け、これら2つの配線を、R画素用の信号配線と、B画素用の信号配線とに振り分けている。
【0101】
具体的には、バッファ回路70に接続して、行方向(列走査方向)に配された2本の配線72,74を設けている。そして、配線72は、R画素に対応する列(画素信号PIX1が出力される列及び画素信号PIX3が出力される列に対応)の比較回路32に接続している。また、配線74は、B画素に対応する列(画素信号PIX2が出力される列及び画素信号PIX4が出力される列に対応)の比較回路32に接続している。
【0102】
また、バッファ回路80に接続して、行方向(列走査方向)に配された2本の配線82,84を設けている。そして、配線82は、R画素に対応する列(画素信号PIX1が出力される列及び画素信号PIX3が出力される列に対応)の比較回路32に接続している。配線84は、B画素に対応する列(画素信号PIX2が出力される列及び画素信号PIX4が出力される列に対応)の比較回路32に接続している。
【0103】
このように構成することで、キックバックノイズの伝搬経路となりうる制御線をR画素用の配線とB画素用の配線とに分けることができ、R画素とB画素との間の混色が更に生じにくくなる。このような構成は、混色の抑制のみならず、スミア等のストリーキングに対しても低減効果が見込まれる。
【0104】
このように、本実施形態によれば、比較精度の高い比較回路を備えた光電変換装置及びその駆動方法を実現することができる。これにより、混色による影響を抑制し、画質を向上することができる。
【0105】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による光電変換装置及びその駆動方法について、
図7及び
図8を用いて説明する。第1乃至第3実施形態による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図7は、本実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
図8は、本実施形態による光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【0106】
本実施形態による光電変換装置は、制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4で制御される比較回路32が、第1乃至第3実施形態による光電変換装置とは異なっている。
【0107】
すなわち、本実施形態による光電変換装置では、
図7に示すように、R1画素及びR2画素は、出力線16Aを介して、AD変換回路部30Aの比較回路32に接続されている。Gb1画素及びGb2画素は、出力線16Bを介して、AD変換回路部30Aの比較回路32に接続されている。B1画素及びB2画素は、出力線16Aを介して、AD変換回路部30Bの比較回路32に接続されている。Gr1画素及びGr2画素は、出力線16Bを介して、AD変換回路部30Bの比較回路32に接続されている。AD変換回路部30A,30Bの各々において、出力線16Aに接続される比較回路32と出力線16Bに接続される比較回路32とは交互に配されている。
【0108】
AD変換回路部30Aにおいて、制御信号ΦCRES1により制御される比較回路32に接続される画素12は、R1画素である。AD変換回路部30Aにおいて、制御信号ΦCRES2により制御される比較回路32に接続される画素12は、Gb1画素である。AD変換回路部30Aにおいて、制御信号ΦCRES3により制御される比較回路32に接続される画素12は、R2画素である。AD変換回路部30Aにおいて、制御信号ΦCRES4により制御される比較回路32に接続される画素12は、Gb2画素である。
【0109】
また、AD変換回路部30Bにおいて、制御信号ΦCRES1により制御される比較回路32に接続される画素12は、B1画素である。AD変換回路部30Bにおいて、制御信号ΦCRES2により制御される比較回路32に接続される画素12は、Gr1画素である。AD変換回路部30Bにおいて、制御信号ΦCRES3により制御される比較回路32に接続される画素12は、B2画素である。AD変換回路部30Bにおいて、制御信号ΦCRES4により制御される比較回路32に接続される画素12は、Gr2画素である。
【0110】
なお、AD変換回路部30Aに供給される制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4と、AD変換回路部30Bに供給される制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4とは、同じでもよいし、異なってもよい。
【0111】
次に、本実施形態による光電変換装置の動作について、
図8を用いて説明する。ここでは、AD変換回路部30Aを例にして説明するが、AD変換回路部30Bについても同様である。
図8には、
図3と同様、参照信号VRAMP、制御信号ΦRAMP_RES,ΦRAMP_EN,ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4の信号レベルを示している。
【0112】
ここで、R1画素は、画素信号PIX1を、制御信号ΦCRES1により制御される比較回路32に出力するものとする。Gb1画素は、画素信号PIX2を、制御信号ΦCRES2により制御される比較回路32に出力するものとする。R2画素は、画素信号PIX3を、制御信号ΦCRES3により制御される比較回路32に出力するものとする。Gb2画素は、画素信号PIX4を、制御信号ΦCRES4により制御される比較回路32に出力するものとする。
【0113】
Gb1画素及びGb2画素は、R1画素及びR2画素よりも分光感度が高い。したがって、Gb1画素の画素信号PIX2及びGb2画素の画素信号PIX4のリセットレベルAD変換は、R1画素の画素信号PIX1及びR2画素の画素信号PIX3のリセットレベルのAD変換よりも先に行うことが望ましい。具体的には、例えば
図8に示すように、画素信号PIX2,PIX4,PIX1,PIX3の順序でリセットレベルのAD変換を行うことができる。この順序を
図7の画素配列に対応させると、AD変換回路部30Aでは、Gb1画素、Gb2画素、R1画素、R2画素、の順序で画素信号PIXのAD変換が行われることになる。このような順序で駆動することにより、第1実施形態と同様、分光感度の高い画素に対する混色の影響を低減し、混色を目立たなくすることができる。
【0114】
AD変換回路部30Bにおいては、B1画素及びB2画素よりも分光感度が高いGr1画素及びGr2画素の画素信号のリセットレベルのAD変換を、B1画素及びB2画素の画素信号のリセットレベルのAD変換よりも先に行うように構成すればよい。
【0115】
このように、本実施形態によれば、比較精度の高い比較回路を備えた光電変換装置及びその駆動方法を実現することができる。これにより、混色による影響を抑制し、画質を向上することができる。
【0116】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による光電変換装置及びその駆動方法について、
図9を用いて説明する。第1乃至第4実施形態による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図9は、本実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【0117】
本実施形態による光電変換装置は、制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4で制御される比較回路32が、第1乃至第4実施形態による光電変換装置とは異なっている。
【0118】
すなわち、本実施形態による光電変換装置では、
図9に示すように、R1画素、R2画素、Gr1画素及びGr2画素は、出力線16Aを介して、AD変換回路部30Aの比較回路32に接続されている。B1画素、B2画素、Gb1画素及びGb2画素は、出力線16Bを介して、AD変換回路部30Bの比較回路32に接続されている。
【0119】
AD変換回路部30Aにおいて、制御信号ΦCRES1により制御される比較回路32に接続される画素12は、R1画素である。AD変換回路部30Aにおいて、制御信号ΦCRES2により制御される比較回路32に接続される画素12は、Gr1画素である。AD変換回路部30Aにおいて、制御信号ΦCRES3により制御される比較回路32に接続される画素12は、R2画素である。AD変換回路部30Aにおいて、制御信号ΦCRES4により制御される比較回路32に接続される画素12は、Gr2画素である。
【0120】
また、AD変換回路部30Bにおいて、制御信号ΦCRES1により制御される比較回路32に接続される画素12は、Gb1画素である。AD変換回路部30Bにおいて、制御信号ΦCRES2により制御される比較回路32に接続される画素12は、B1画素である。AD変換回路部30Bにおいて、制御信号ΦCRES3により制御される比較回路32に接続される画素12は、Gb2画素である。AD変換回路部30Bにおいて、制御信号ΦCRES4により制御される比較回路32に接続される画素12は、B2画素である。
【0121】
なお、AD変換回路部30Aに供給される制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4と、AD変換回路部30Bに供給される制御信号ΦCRES1,ΦCRES2,ΦCRES3,ΦCRES4とは、同じでもよいし、異なってもよい。
【0122】
次に、本実施形態による光電変換装置の動作について、
図8を参照して説明する。ここでは、AD変換回路部30Aを例にして説明するが、AD変換回路部30Bについても同様である。
【0123】
ここで、R1画素は、画素信号PIX1を、制御信号ΦCRES1により制御される比較回路32に出力するものとする。Gr1画素は、画素信号PIX2を、制御信号ΦCRES2により制御される比較回路32に出力するものとする。R2画素は、画素信号PIX3を、制御信号ΦCRES3により制御される比較回路32に出力するものとする。Gr2画素は、画素信号PIX4を、制御信号ΦCRES4により制御される比較回路32に出力するものとする。
【0124】
Gr1画素及びGr2画素は、R1画素及びR2画素よりも分光感度が高い。したがって、Gr1画素の画素信号PIX2及びGr2画素の画素信号PIX4のリセットレベルAD変換は、R1画素の画素信号PIX1及びR2画素の画素信号PIX3のリセットレベルのAD変換よりも先に行うことが望ましい。具体的には、第4実施形態と同様、例えば
図8に示すように、画素信号PIX2,PIX4,PIX1,PIX3の順序でリセットレベルのAD変換を行うことができる。この順序を
図9の画素配列に対応させると、AD変換回路部30Aでは、Gr1画素、Gr2画素、R1画素、R2画素、の順序で画素信号PIXのAD変換が行われることになる。このような順序で駆動することにより、第1実施形態と同様、分光感度の高い画素に対する混色の影響を低減し、混色を目立たなくすることができる。
【0125】
AD変換回路部30Bにおいては、B1画素及びB2画素よりも分光感度が高いGb1画素及びGb2画素の画素信号のリセットレベルのAD変換を、B1画素及びB2画素の画素信号のリセットレベルのAD変換よりも先に行うように構成すればよい。
【0126】
このように、本実施形態によれば、比較精度の高い比較回路を備えた光電変換装置及びその駆動方法を実現することができる。これにより、混色による影響を抑制し、画質を向上することができる。
【0127】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による撮像システムについて、
図10を用いて説明する。
図10は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
【0128】
上記第1乃至第5実施形態で述べた光電変換装置100は、種々の撮像システムに適用可能である。適用可能な撮像システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、撮像システムに含まれる。
図10には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0129】
図10に例示した撮像システム200は、撮像装置201、被写体の光学像を撮像装置201に結像させるレンズ202、レンズ202を通過する光量を可変にするための絞り204、レンズ202の保護のためのバリア206を有する。レンズ202及び絞り204は、撮像装置201に光を集光する光学系である。撮像装置201は、第1乃至第5実施形態のいずれかで説明した光電変換装置100であって、レンズ202により結像された光学像を画像データに変換する。
【0130】
撮像システム200は、また、撮像装置201より出力される出力信号の処理を行う信号処理部208を有する。信号処理部208は、撮像装置201が出力するデジタル信号から画像データの生成を行う。また、信号処理部208は必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。撮像装置201は、信号処理部208で処理されるデジタル信号を生成するAD変換部を備えうる。AD変換部は、撮像装置201の光電変換部が形成された半導体層(半導体基板)に形成されていてもよいし、撮像装置201の光電変換部が形成された半導体層とは別の半導体基板に形成されていてもよい。また、信号処理部208が撮像装置201と同一の半導体基板に形成されていてもよい。
【0131】
撮像システム200は、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部210、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)212を有する。更に撮像システム200は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体214、記録媒体214に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)216を有する。なお、記録媒体214は、撮像システム200に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0132】
更に撮像システム200は、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部218、撮像装置201と信号処理部208に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部220を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、撮像システム200は少なくとも撮像装置201と、撮像装置201から出力された出力信号を処理する信号処理部208とを有すればよい。
【0133】
撮像装置201は、撮像信号を信号処理部208に出力する。信号処理部208は、撮像装置201から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部208は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
【0134】
このように、本実施形態によれば、第1乃至第5実施形態による光電変換装置を適用した撮像システムを実現することができる。
【0135】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による撮像システム及び移動体について、
図11を用いて説明する。
図11は、本実施形態による撮像システム及び移動体の構成を示す図である。
【0136】
図11(a)は、車載カメラに関する撮像システムの一例を示したものである。撮像システム300は、撮像装置310を有する。撮像装置310は、上記第1乃至第5実施形態のいずれかに記載の光電変換装置100である。撮像システム300は、撮像装置310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部312と、撮像システム300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部314を有する。また、撮像システム300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部318と、を有する。ここで、視差取得部314や距離取得部316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0137】
撮像システム300は車両情報取得装置320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU330が接続されている。また、撮像システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置340とも接続されている。例えば、衝突判定部318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0138】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム300で撮像する。
図11(b)に、車両前方(撮像範囲350)を撮像する場合の撮像システムを示した。車両情報取得装置320が、撮像システム300ないしは撮像装置310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0139】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0140】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0141】
また、上記実施形態では、画素アレイの各列にそれぞれ2本ずつの出力線を配し、これら出力線を別々のAD変換回路部に接続した例を説明したが、画素アレイの各列にそれぞれ1本ずつの出力線を配し、総ての出力線を1つのAD変換回路部に接続してもよい。
【0142】
また、上記実施形態では、カラーフィルタ配列としてベイヤー配列を示したが、カラーフィルタ配列はベイヤー配列に限定されるものではない。また、カラーフィルタ配列は、RGB配列のみならず、シアン色のCFを備えたC画素と、マゼンダ色のCFを備えたM画素と、黄色のCFを備えたY画素と、W画素とを含むCMYW配列のカラーフィルタであってもよい。また、画素領域10を構成する複数の画素12は、これら色画素のほか、入射光を色分離せず直接検出する画素(ホワイト画素)や、赤外線検出用の画素を含んでもよい。
【0143】
また、上記第6及び第7実施形態に示した撮像システムは、本発明の光電変換装置を適用しうる撮像システム例を示したものであり、本発明の光電変換装置を適用可能な撮像システムは
図10及び
図11に示した構成に限定されるものではない。
【0144】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0145】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0146】
10…画素領域
12…画素
14…制御線
16…出力線
20…垂直走査回路
30A,30B…AD変換回路部
32…比較回路
36A,36B…参照信号発生回路
42…メモリ
44A,44B…カウンタ
50A,50B…水平走査回路
60…タイミング発生回路
100…光電変換装置