(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】発泡性アルコール飲料
(51)【国際特許分類】
C12G 3/04 20190101AFI20240115BHJP
A23L 5/41 20160101ALI20240115BHJP
A23L 29/281 20160101ALI20240115BHJP
【FI】
C12G3/04
A23L5/41
A23L29/281
(21)【出願番号】P 2019188800
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】大橋巧弥
(72)【発明者】
【氏名】馬場麻里
(72)【発明者】
【氏名】柴田大輔
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-000050(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148213(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103555504(CN,A)
【文献】特開平03-262472(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102181331(CN,A)
【文献】特開2016-029891(JP,A)
【文献】特開2000-270818(JP,A)
【文献】特開平10-191954(JP,A)
【文献】特開2004-290024(JP,A)
【文献】国際公開第2007/139181(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/005593(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00- 2/84
C12C 1/00-13/10
C12G 1/00- 3/08
C12H 1/00- 6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドとビール酵母発酵液とを含有する、3.0°EBC以下の色度を有する発泡性アルコール飲料。
【請求項2】
ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドの濃度が0.1~10g/Lである、請求項1に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項3】
ホップ又はホップ加工品を含有する、請求項1又は2に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項4】
イソα酸を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項5】
ビール様発泡性飲料である、請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項6】
さらに、アルギン酸エステル、コラーゲンペプチド、及び大豆由来食物繊維からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項7】
ビール酵母発酵液の苦味価が5~40BUであり、かつ、NIBEM値が100秒以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項8】
ビール酵母発酵液が、3.0mg/100ml以下のアミノ態窒素の濃度を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項9】
(a)炭素源を含有し、3.0mg/100ml以下のアミノ態窒素の濃度を有する発酵前液を準備する工程;及び
(b)ビール酵母を用いて発酵前液をアルコール発酵させてビール酵母発酵液を得る工程を含み、
さらに、
工程(b)の前に、発酵前液にホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを添加する工程;及び/又は、
工程(b)の後に、ビール酵母発酵液にホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを添加する工程を含む、
ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドとビール酵母発酵液とを含有する、3.0°EBC以下の色度を有する発泡性アルコール飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発泡性アルコール飲料に関し、特に発泡性醸造酒を含む飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
醸造酒の一種であるビールは麦芽、ホップ及び水などを原料として、ビール酵母を使用してこれらを発酵させて得られる飲料である。ビールは、麦芽香気、発酵香気及び酸味、ホップ香気及び苦味、適度なアルコール刺激を有し、嗜好性に優れた飲料である。しかしながら、近年、消費者に「重たさ・満腹感」といったイメージを持たれる傾向にあるビールの香気を好まない消費者も存在し、ビールの中でも香気が少ないものに対する需要が増大する傾向にある。さらに近年、ビールや発泡酒等のビール様発泡性飲料において、利用するシチュエーションや嗜好に応じて消費者が各種選択できるように、様々なバリエーションをそろえることが望まれている。このように、ビールや発泡酒等のビール様発泡性飲料として、又はこれらの代わりとして、より味わいを軽くすっきりさせた発泡性アルコール飲料の種類の選択肢を増やすことが求められている。
また、健康志向の観点から、低カロリーや低糖質のビール様発泡性飲料に対する需要も高まっている。例えば、麦芽等の原料の使用量を抑えることによって、ビール様発泡性飲料のカロリーや糖質含有量を低減させることができる。また、アルコール濃度を低減させたローアルコールビールに対する需要も拡大している。
【0003】
ここで、ビールや発泡酒等のビール様発泡性飲料において、他のアルコール飲料にない大きな特徴は、ビール酵母の発酵による複雑な味わいと、きめ細かな泡である。そして、軽い味わいのビールや発泡酒等のビール様発泡性飲料であっても、ホップに由来する苦味刺激やその香味は、ビールらしい爽快感をもたらすものとして、軽視できるものではない。そして、泡に関しては麦芽、ホップ等から得られるタンパク質やポリフェノール等による物質が独特な構造をとり発生、及び維持される独自の性能でありその他の酒類において同様の泡を形成することは通常の製造方法では難しい。ビールやビール様発泡性飲料における泡には、フタとしての役割があり、泡があることによって、飲料中の炭酸ガスや風味が抜けるのを防ぐことができる。また、泡があることによって、ビールやビール様発泡性飲料の液体部分と空気との接触を防ぎ、酸化を防いでおいしさをキープすることもできる。したがって、ビール及びビール様発泡性飲料において、泡は長時間保たれている方が望ましい。
このような状況において、例えば、特許文献1には、未発酵のビールテイストアルコール飲料の起泡成分として、キラヤサポニン、アルギン酸類、大豆多糖、加工デンプン及び小麦ペプチド等を使用する技術が開示されている。ただし、ビールテイストアルコール飲料に使用される特許文献1の起泡成分には、ビールテイストアルコール飲料に対して着色性を有するものや香気を付与するものが含まれている。
【0004】
また、特許文献2においては、醸造酒における風味の改良を目的に、ホエイを発酵材料として使用して、透明感に優れたミルク風味の新しいタイプの発酵アルコール飲料を提供することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-63726号公報
【文献】特開2016-144410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ビール以外のアルコール飲料、特に泡を有しない醸造酒や蒸留酒、レディートゥードリンク(RTD)においてビール様泡を付与させることは今までその重要性が低いこともあり検討されることは少なかった。しかしながら、利用するシチュエーションや嗜好に応じて消費者が各種選択できるように、様々なバリエーションをそろえることが求められる中で、既存の製法以外でビールの機能を有したアルコール飲料が開発される可能性が考えられる。
ここで、ビールらしい泡をアルコール飲料に付与する方法はこれまでに存在するものの、それら方法の多くは製造中に原料由来、もしくはメイラード反応、白濁などにより、飲料に色や濁りが発生するという現象がみられる。一般的な、高い麦芽香気及び発酵香気を有し、かつ、琥珀色の外観のビール様発泡性飲料であれば、従来の起泡成分のように着色性成分であっても問題がない。しかしながら、ビールやビール様発泡性飲料の色や濁りは、重たい味や満腹感をより強く想起させる可能性があることから、薄色を有するビール様発泡性飲料においては、従来の起泡成分は適さない可能性がある。
そこで、本発明は、薄色かつ軽い飲み心地を有する発泡性アルコール飲料において、嗜好性を損なわずに、改善された泡特性を有し、液面に泡を維持できる時間を延ばすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決すべく種々の検討を行い、発泡性醸造酒(ビールやビール様発泡性飲料を含む)、もしくは当該発泡性醸造酒を一部含んだアルコール飲料にホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを一定量添加することで、着色を抑えつつビールらしい泡を付与できることを発見した。これまで、ミルク感を有する発酵アルコール飲料を製造するためにホエイを利用することは知られていたが、発泡性醸造酒の泡の改善目的でホエイを利用することは知られていない。さらに、本発明者らは、ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドとホップ又はホップ加工品(イソα酸を含む)等とを発泡性醸造酒に添加することで、さらに泡特性を改善できることも見出した。
本発明者らは、これらの発見に基づいて、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドとビール酵母発酵液とを含有する、3.0°EBC以下の色度を有する発泡性アルコール飲料。
〔2〕ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドの濃度が0.1~10g/Lである、前記〔1〕に記載の発泡性アルコール飲料。
〔3〕ホップ又はホップ加工品を含有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の発泡性アルコール飲料。
〔4〕イソα酸を含有する、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
〔5〕ビール様発泡性飲料である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
〔6〕さらに、アルギン酸エステル、コラーゲンペプチド、及び大豆由来食物繊維からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含有する、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
〔7〕ビール酵母発酵液の苦味価が5~40BUであり、かつ、NIBEM値が100秒以上である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
〔8〕ビール酵母発酵液が、3.0mg/100ml以下のアミノ態窒素の濃度を有する、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
〔9〕(a)炭素源を含有し、3.0mg/100ml以下のアミノ態窒素の濃度を有する発酵前液を準備する工程;及び
(b)ビール酵母を用いて発酵前液をアルコール発酵させてビール酵母発酵液を得る工程を含み、
さらに、
工程(b)の前に、発酵前液にホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを添加する工程;及び/又は、
工程(b)の後に、ビール酵母発酵液にホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを添加する工程を含む、
ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドとビール酵母発酵液とを含有する、3.0°EBC以下の色度を有する発泡性アルコール飲料の製造方法。
〔10〕ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを含む、発泡性アルコール飲料用泡改善剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、醸造酒にホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを添加することにより、嗜好性を担保しつつ、改善された泡特性を有する発泡性アルコール飲料を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発泡性アルコール飲料>
本発明の発泡性アルコール飲料は、炭酸ガスを含有し、酵母による発酵工程、特にビール酵母による発酵工程を経て製造されるアルコール飲料を意味する。本発明の発泡性アルコール飲料では、ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを一定量含有する。当該発泡性アルコール飲料におけるホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドの濃度は、0.1~10g/Lであることが好ましく、0.5~10g/Lであることがより好ましい。ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドの濃度が10g/Lを超えると、特有の乳臭が付与され、発泡性アルコール飲料の風味を損なう恐れがあり、当該濃度が0.1g/L未満であると、好ましい泡を得られない恐れがある。
ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドは、本発明で用いられる濃度においては、発泡性アルコール飲料に含まれた場合においてほぼ無色となる。ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを含有することで、アルコール飲料をグラスに注いだ際に、ビールと同様の量、キメ細かさ及び泡持ちを示す泡が形成されやすくなる。これは、発泡性アルコール飲料をグラスに注いだ際に、液体から遊離した炭酸ガスの周囲をホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドが取り囲み、気泡の膜の表面にタンパク質が並ぶことで、泡が壊れにくくなるためであると考えられる。本発明においては、ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを発泡性アルコール飲料用泡改善剤として使用することで、当該飲料における泡特性を改善することができる。ここでいう泡特性とは、例えば、アルコール飲料をグラスに注いだ際の泡のキメ細かさ、及び泡持ち等をいう。泡持ちとは、液面に形成された泡が消えずに長時間維持されることをいう。
なお、本発明において使用されるホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドについては、pH3.0~4.5で溶解性を有するものであればその分子量や成分等に特に制限はなく、汎用品を用いることができる。
【0011】
また、本発明の発泡性アルコール飲料は、色度が3.0°EBC以下、好ましくは、2.0°EBC以下、より好ましくは1.0°EBC以下である。本発明の発泡性アルコール飲料は、このような色度を有することにより、消費者に対しすっきりとした見た目となり、かつ、軽い飲み心地や雑味の少なさを想起させることができる。また、本発明の発泡性アルコール飲料においては、色度を3.0°EBC以下に設定するために、麦芽を原料としてほとんど含まない飲料であることが好ましい。ここで、色度は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica-EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる。°EBCとは、ビールの分析での色度の単位であり、ビールの色の濃淡を数値(EBC色度の9つのガラスディスクを持ったコンパレーターにより目視で測定する、若しくは波長430nmでの吸光度を基に算出する。)であらわしたものである。
本発明の発泡性アルコール飲料の製造で使用されるビール酵母は、特に種類が限定されるものではなく、上面発酵酵母と下面発酵酵母、いずれも使用できる。具体的には、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)や、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)などを使用することができる。
【0012】
本発明の発泡性アルコール飲料は、エタノールを1%(v/v)以上含有しているものを意味し、1~10%(v/v)であることが好ましく、2~7%(v/v)であることがより好ましい。また、「発泡性(アルコール)飲料」とは、炭酸ガスを含有する飲料を指し、飲料が含有する炭酸ガスは、発酵時に生成されたものであっても、あとから吹込(カーボネーション)によって追加されたものであってもよい。本発明における発泡性アルコール飲料の炭酸ガスの含有量は特に限定されないが、例えば、1ガスボリューム以上であり、より好ましくは2ガスボリューム以上であることが好ましい。
また、本発明の発泡性アルコール飲料は、原料にホップ又はホップ加工品を含んだ状態でビール酵母による発酵工程を経て製造されることが好ましい。原料として用いるホップとしては、生ホップであってもよく、乾燥ホップであってもよく、ホップペレットであってもよい。また、原料として用いるホップ加工品としては、ホップから苦味成分を抽出したホップエキスであってもよい。また、イソ化ホップエキス、テトラハイドロイソフムロン、ヘキサハイドロイソフムロン等のホップ中の苦味成分をイソ化させた成分を含むホップ加工品であってもよい。原料としてホップ又はホップ加工品を用いることにより、イソα酸を含む発泡性飲料を製造できる。また、ホップに含まれるポリフェノールやイソα酸が、泡を取り囲むタンパク質同士を補強することで、気泡の構造が安定すると考えられる。また、本発明の発泡性アルコール飲料において、イソα酸を例えばイソ化ホップとして発酵工程後に別途添加してもよい。本発明の発泡性アルコール飲料において、イソα酸は、例えば5~40mg/L含まれているのが好ましく、10~30mg/L含まれているのがより好ましい。
【0013】
また、本発明の発泡性アルコール飲料は、さらにアルギン酸エステルを含有していてもよい。アルギン酸エステルとは、天然多糖類であるアルギン酸にプロピレングリコールがエステル結合した誘導体をいう。アルギン酸エステルの化合物名は、「アルギン酸プロピレングリコールエステル」である。アルギン酸エステルは、アルコール飲料中の濃度が3~15mg/100mlになる量で含有させることが好ましい。アルギン酸エステルの含有量が3mg/100ml未満であると、泡特性(例えば泡のキメ細かさ、及び泡持ちの向上)への寄与が不十分になる恐れがあり、15mg/100mlを超えると飲料にとろみが発生する恐れがある。当該アルギン酸エステルの含有量は、好ましくは5~13mg/100ml、より好ましくは7~11mg/100mlである。
【0014】
また、本発明の発泡性アルコール飲料は、さらにコラーゲンペプチドを含有していてもよい。コラーゲンペプチドは、天然コラーゲンを加熱してほぐしてゼラチンを得て、ゼラチンを酵素などで分解した物質をいう。コラーゲンペプチドは水に溶けやすく、食品や化粧品分野で広く利用されている。コラーゲンペプチドは、アルコール飲料中の濃度が40~120mg/100mlになる量で含有させることが好ましい。コラーゲンペプチドの含有量が40mg/100ml未満であると泡特性(例えば泡のキメ細かさ、及び泡持ちの向上)への寄与が不十分になる恐れがあり、120mg/100mlを超えると飲料に生臭さが発生する恐れがある。当該コラーゲンペプチドの含有量は、好ましくは50~100mg/100ml、より好ましくは60~80mg/100mlである。
【0015】
また、本発明の発泡性アルコール飲料は、大豆由来食物繊維を含有していてもよい。大豆由来食物繊維は、例えば、豆腐、豆乳、及び分離大豆タンパク質の製造時に副産物として得られるおからや、脱脂大豆粕(ミール)を原料とし、水系の溶液中、好ましくは大豆タンパク質の等電点近辺の弱酸性域及び高温で抽出し、固液分離により食物繊維の水系溶液を得る方法で製造された物質を挙げることができる。大豆由来食物繊維は、アルコール飲料中の濃度が20~400mg/100mlになる量で含有させることが好ましい。大豆由来食物繊維の含有量が20mg/100ml未満であると泡特性(例えば泡のキメ細かさ、及び泡持ちの向上)への寄与が不十分になる恐れがあり、400mg/100mlを超えると飲料に生臭さが発生する恐れがある。当該大豆由来食物繊維の含有量は、好ましくは30~300mg/100ml、より好ましくは50~200mg/100mlである。
【0016】
アルギン酸エステル、コラーゲンペプチド及び大豆由来食物繊維は、本発明で用いられる濃度においては、アルコール飲料にした時に限りなく無色となる。これらの成分をホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドと併用することで、アルコール飲料をグラスに注いだ際に、ビールと同様の量、キメ細かさ及び泡持ちを示す泡が形成されやすくなる。
【0017】
本発明の発泡性アルコール飲料は、苦味価が5~40BUであることが好ましく、10~30BUであることがより好ましい。ここで、本発明において、苦味価(BU)とは、イソフムロンを主成分とするホップ由来物質群により与えられる苦味の指標であり、ビール様発泡性飲料をはじめとする飲料の苦味価は、例えばEBC法(ビール酒造組合:BCOJビール分析法、8.15(2004))により測定することができる。具体的には、サンプルに酸を加えた後イソオクタンで抽出し、遠心分離処理後に得られたイソオクタン層の、純粋なイソオクタンを対照に測定した275nmにおける吸光度に定数(50)を乗じた値である。
【0018】
本発明の発泡性アルコール飲料は、NIBEM値が、100秒以上であることが好ましく、150秒以上であることがより好ましい。ここで、本発明において、NIBEM値とは、注がれた泡の崩壊速度を電気伝導度で測定したものであり、ビール等の泡持ち評価に一般的に用いられているものである。ビール様発泡性飲料のNIBEM値は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica-EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる。
【0019】
本発明においては、「ビール様発泡性飲料」とは、製品名称・表示にかかわらず、香味上ビールを想起させる飲料を意味する。つまり、ビールらしさを有する発泡性飲料(ビール様発泡性飲料)とは、発泡性飲料のうち、アルコール含有量、麦芽及びホップの使用の有無、発酵の有無に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た香味及びテクスチャーを有し、高い止渇感・ドリンカビリティーを有する飲料を意味する。ビール様発泡性飲料としては、具体的には、ビール、麦芽を原料とする発泡酒、麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料、ローアルコール発泡性飲料等が挙げられる。その他、麦芽や麦芽以外を原料とし、発酵工程を経て製造された飲料を、アルコール含有蒸留液と混和して得られたリキュール類であってもよい。アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、例えば、原料用アルコールであってもよく、スピリッツ、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等の蒸留酒等を用いることができる。
本発明の発泡性アルコール飲料には、さらに必要に応じて、甘味料、酸味料、ビタミン類、アミノ酸、水溶性食物繊維、香料、安定化剤、乳化剤及び消泡剤等の、アルコール飲料の分野で通常用いられている添加剤を用いてもよい。
本発明の発泡性アルコール飲料において、ビール酵母発酵液と蒸留酒とを含む場合、ビール酵母発酵液と蒸留酒との混合割合は、目的とする香味を考慮して適宜調節でき、例えば、アルコール濃度を等しく調整した状態の体積比で、1/9~9/1、好ましくは2/8~8/2、より好ましくは4/6~6/4とすることができる。
但し、上記の蒸留酒や添加剤はビール酵母発酵液の香味及び外観に影響を与えないことが好ましい。
【0020】
<ビール酵母発酵液>
本発明におけるビール酵母発酵液は、アミノ態窒素の濃度が3.0mg/100ml以下、好ましくは2.0mg/100ml以下であり、より好ましくは1.0mg/100ml以下に制限されることが好ましい。後述するように、当該ビール酵母発酵液は、窒素源がほぼ存在しない原料を発酵させて得られるため、硫黄臭等の不快な香気が抑制され、軽く爽やかな香気を有する。ビール酵母発酵液は、エタノールを1~10%(v/v)、好ましくは2~8%(v/v)、より好ましくは4~6%(v/v)含む。ビール酵母発酵液は、不快な香気が抑制され、醸造由来の深い味わいや飲み応えを有している。
また、ビール酵母発酵液は3.0°EBC以下、好ましくは2.0°EBC以下、より好ましくは1.0°EBC以下の色度を有する。色度は、上述したEBC(European Brewery Convention)のAnalytica-EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる。
【0021】
<製造方法>
本発明の発泡性アルコール飲料を製造するには、下記条件を充足する発酵前液を使用することが好ましい。
≪(a)発酵前液を準備する工程≫
(炭素源)
本発明におけるビール酵母発酵液の製造に使用する発酵前液は、炭素源を含有する。本明細書において炭素源とは、アルコール発酵を行う際に、酵母が摂取する炭水化物をいう。炭素源は、一般に、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース及びマルトトリオース等の単糖類、二糖類及び三糖類である。好ましい炭素源は、グルコース、マルトース及びスクロースである。より好ましい炭素源はスクロースである。使用する炭素源の種類は単一でも複数でもよい。
発酵前液は、炭素源の他にも炭水化物を含有してよい。発酵前液が含有してよい炭水化物としては、例えば、四糖類以上の多糖類、オリゴ糖、デンプン分解物、及び食物繊維等が挙げられる。これらの炭水化物はアルコール発酵を行う際に酵母に摂取されず、アルコール発酵後にも発酵液中に残存し、発酵液のボディ感及び/又は飲みごたえを増強する。
発酵前液に含まれる炭素源の量は、得られるアルコール飲料のエタノール濃度を考慮して適宜決定される。例えば、発酵前液に含まれる炭素源の量は、2~20%(w/v)、好ましくは4~16%(w/v)であり、より好ましくは8~12%(w/v)に設定する。
【0022】
(アミノ態窒素)
本発明におけるビール酵母発酵液の製造に使用する発酵前液は、アミノ態窒素の濃度が3.0mg/100ml以下に制限されることが好ましい。発酵前液のアミノ態窒素濃度が3.0~10mg/100mlの場合、不快な硫黄臭が発生しやすくなる。発酵前液のアミノ態窒素濃度は、好ましくは2.0mg/100ml未満であり、より好ましくは1.0mg/100ml以下である。発酵前液はアミノ態窒素を含有しなくてもよい。
発酵前液に使用しうるアミノ酸は、具体的には、小麦、麦芽、トウモロシ、馬鈴薯、米、大豆等のデンプン質原料に含まれるもの、酵母エキス含まれるもの、タンパク質の酵素分解物に含まれるもの等が挙げられる。
発酵前液の原料としては、例えば、水溶性炭水化物の水溶液を用いる。水溶性炭水化物の具体例には、糖類、デンプン分解物、及び食物繊維等が挙げられる。香味を付与又は改善することを目的として、アミノ酸及びタンパク質を実質的に含有しないスパイス類、ハーブ類、及び果物等も原料に使用してよい。
(作業)
飲用水に上記水溶性炭水化物を溶解し、要すれば、アミノ酸含有原料を添加する。その際に、炭素源及びアミノ態窒素の濃度が上記条件を充足するように、使用する原料の種類及び量を調節する。
得られた水溶液は、ビールを製造する際に通常行われる方法及び条件に従って、煮沸する。例えば、水溶液を煮沸釜に移し、ホップを加えて煮沸する。ホップは、煮沸開始から煮沸終了前であればどの段階で混合してもよい。煮沸した水溶液を、ワールプールと呼ばれる沈殿槽に移し、煮沸により生じたホップ粕や不溶物等を除去した後、プレートクーラーにより適切な発酵温度まで冷却する。上記煮沸の操作により、発酵前液が得られる。また、この際、ホップ加工品を適宜添加してもよい。
【0023】
≪(b)発酵前液をアルコール発酵させてビール酵母発酵液を得る工程≫
発酵前液を、発酵させる。発酵の操作は常法に従って行えばよい。例えば、冷却した糖化液にビール酵母を接種して、発酵タンクに移し、発酵を行う。発酵前液に摂取する酵母の種類は目的とする香味を考慮して選択する。
発酵前液に接種する酵母の量は発酵条件等により調整するが、発酵前液1ml当たり5×106~50×106個、好ましくは10×106~45×106個、より好ましくは15×106~40×106個の範囲から選択される。
発酵温度は発酵条件等により調整するが、0~25℃、好ましくは5~20℃、より好ましくは10~15℃の範囲から選択される。得られるビール酵母発酵液の香気は発酵温度が高いほど増加する。発酵温度が25℃を越えると、使用する酵母の種類に依存して発酵が正常に進行しない場合がある。
発酵期間は発酵条件に依存して変化するが、1~20日、好ましくは2~10日、より好ましくは3~6日の範囲から選択される。
さらに、熟成工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させる。次いで濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより酵母等を除去して、ビール酵母発酵液が得られる。発酵前液に含まれるアミノ態窒素は酵母によって資化されるため、ビール酵母発酵液中のアミノ態窒素濃度が発酵前液中のアミノ態窒素濃度を上回ることはない。アミノ態窒素濃度は例えば、ニンヒドリン法(ビール酒造組合:BCOJビール分析法、8.18(2004))により測定することができる。
【0024】
≪ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを添加する工程≫
本発明の発泡性アルコール飲料を製造するためには、上記工程(b)の前に、発酵前液にホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを添加するか、工程(b)の後に、ビール酵母発酵液にホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを添加することが必要である。ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドの添加量は、上述した発泡性アルコール飲料におけるホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドの含有量となるように適宜調整できる。発酵前液において、ホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを含有させて発酵させても、泡特性に関する効果は得られるが、調整のしやすさの観点から、ビール酵母発酵液にホエイタンパク質及び/又はホエイペプチドを添加するのがより好ましい。
≪その他の工程≫
本発明の発泡性アルコール飲料の製造工程においては、適宜、ホップ加工品やイソα酸、アルギン酸エステル、コラーゲンペプチド、大豆由来食物繊維を添加してもよい。添加する時点は特に限定されないが、調整のしやすさの観点から、得られたビール酵母発酵液にこれらの成分を適宜添加するのがより好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試験方法]
以下の対照例で得られたビール酵母発酵液(以下、基準品(コントロール)とも呼ぶ)と各実施例/各比較例で得られた発泡性アルコール飲料(以下、試験品とも呼ぶ)を20℃に冷却して試験した。
≪泡持ちの評価≫
基準品及び試験品を、NIBEM-Tを用いた泡持ち測定法(日本醸造協会誌第103巻、第11号、p872-874)で使用する標準グラス(内径60mm、高さ120mm)に注いだ。グラスの上部に生成した泡の起泡状態を、よく訓練されたビール専門パネリスト4名により目視で評価した。
≪色度の評価≫
EBC(European Brewery Convention)のAnalytica-EBC標準法により測定した。
≪ミルク感の評価≫
各試験品の香味に関し、よく訓練されたビール専門パネリスト4名が、コントロールと比較した際のミルク感の強弱を評価した。そして、パネリスト4名の評点の平均を算出した。評価基準は以下の通り、5段階評価とした。
(ミルク感)
5:大変強い
4:強い
3:やや強い
2:やや弱い
1:弱い
【0026】
[対照例]
飲用水にショ糖を添加することにより、12%(w/w)のエキス(糖分)濃度を有する糖液を作製した。得られた糖液に所定量のホップを添加した後、煮沸した。次いで、糖液を沈降槽に移して沈殿物を分離、除去した後、約8℃に冷却し、得られた液体を発酵前液とした。200L容の発酵槽に当該発酵前液を添加し、30×106個/mlになるように下面発酵ビール酵母を接種し、10℃で7日間、アルコール発酵させた。得られたビール酵母発酵液は16BUの苦味価及び5%のアルコール濃度を有していた。また、得られたビール酵母発酵液のアミノ態窒素濃度をニンヒドリン法(ビール酒造組合:BCOJビール分析法、8.18(2004))により測定したところ、0.1mg/100mlであった。
この得られたビール酵母発酵液を、基準品(コントロール)とした。
【0027】
[実施例1~5]
対照例の基準品(ビール酵母発酵液)に対して、表1に示す各濃度(それぞれ、0.1g/L、0.5g/L、2.5g/L、5g/L、10g/L)になるようにホエイタンパク質(AGROPUR社製)を添加して、各実施例1~5に係る発泡性アルコール飲料(試験品)を完成させた。結果を表1に示す。
【0028】
[参考例]
対照例の基準品(ビール酵母発酵液)に対して、表1に示す濃度(20g/L)になるようにホエイタンパク質(AGROPUR社製)を添加して、参考例に係る発泡性アルコール飲料(試験品)を完成させた。結果を表1に示す。
[比較例1]
対照例の基準品(ビール酵母発酵液)に対して、1.2g/Lの濃度になるようにコラーゲンペプチド(新田ゼラチン株式会社製)を添加し、かつ、0.15g/Lの濃度になるようにアルギン酸エステル(株式会社キミカ製)を添加して、比較例1に係る試験品を完成させた。結果を表1に示す。
[比較例2]
対照例の基準品(ビール酵母発酵液)に対して、2.4g/Lの濃度になるようにコラーゲンペプチド(新田ゼラチン株式会社製)を添加し、かつ、0.3g/Lの濃度になるようにアルギン酸エステル(株式会社キミカ製)を添加して、比較例2に係る試験品を完成させた。結果を表1に示す。
【0029】
【0030】
表1の結果から、ホエイタンパク質をビール酵母発酵液に0.1~10g/Lの濃度になるよう添加することにより、着色を抑え、嗜好性を担保しつつ泡特性が向上することが示された。一方、ホエイタンパク質をビール酵母発酵液に20g/Lの濃度になるように添加すると、泡持ちは向上するものの、ミルク感が強くなりうることが示された。またアルギン酸エステル及びコラーゲンペプチドを用いる方法は泡持ち向上に効果はあるものの、実施例1~5と比べ泡特性の向上効果は低かった。
【0031】
[実施例6~10]
対照例の基準品(ビール酵母発酵液)に対して、表2に示す各濃度(それぞれ、0.1g/L、0.5g/L、2.5g/L、5g/L、10g/L)になるようにホエイタンパク質(AGROPUR社製)を添加し、さらに、コラーゲンペプチド(新田ゼラチン株式会社製)を1.2g/Lずつ及びアルギン酸エステル(株式会社キミカ製)を0.15g/Lずつ添加し、各実施例6~10に係る試験品を完成させた。結果を表2に示す。
【0032】
【0033】
表2の結果から、ホエイタンパク質に、さらにコラーゲンペプチド及びアルギン酸エステルを添加することにより、NIBEM値が増加した。より具体的に説明すると、実施例1と6、実施例2と7、実施例3と8、実施例4と9、実施例5と10、をそれぞれ比較した場合、コラーゲンペプチド及びアルギン酸エステル添加区(すなわち、実施例6~10)の方が、高いNIBEM値を有していた。よって、泡特性がより向上することが示された。
【0034】
[実施例11~15]
対照例の基準品(ビール酵母発酵液)に対して、表3に示す各濃度(それぞれ、0.1g/L、0.5g/L、2.5g/L、5g/L、10g/L)になるようにホエイタンパク質(AGROPUR社製)を添加し、さらに、イソ化ホップ(ホップシュタイナー社製)を30mg/Lずつ添加し、各実施例11~15に係る試験品を完成させた。結果を表3に示す。
[比較例3~5]
対照例の基準品(ビール酵母発酵液)に対して、表3に示す各濃度(それぞれ、30mg/L、60mg/L、120mg/L)になるようにイソ化ホップ(ホップシュタイナー社製)を添加し、各比較例3~5に係る試験品を完成させた。結果を表3に示す。
【0035】
【0036】
表3の結果から、イソ化ホップの添加のみでは泡持ち効果の向上はほとんど見られなかったが、ホエイタンパク質と共に添加することで、着色の抑制、嗜好性の担保及び泡特性の向上を同時に達成した。一方、実施例1と11、実施例2と12、実施例3と13、実施例4と14、実施例5と15、をそれぞれ比較した場合、イソ化ホップ添加区(すなわち、実施例11~15)の方が、高いNIBEM値を有していた。よって、泡特性がより向上することが示された。
【0037】
[実施例16~20]
対照例の基準品(ビール酵母発酵液)に対して、表4に示す各濃度(それぞれ、0.1g/L、0.5g/L、2.5g/L、5g/L、10g/L)になるようにホエイタンパク質(AGROPUR社製)を添加し、さらに、大豆食物繊維(不二製油株式会社製)を0.03g/Lずつ添加し、各実施例16~20に係る試験品を完成させた。結果を表4に示す。
[比較例6~8]
対照例の基準品(ビール酵母発酵液)に対して、表4に示す各濃度(それぞれ、0.03mg/L、0.1g/L、0.2mg/L)になるように大豆食物繊維(不二製油株式会社製)を添加し、各比較例6~8に係る試験品を完成させた。結果を表4に示す。
[比較例9]
対照例の基準品(ビール酵母発酵液)に対して、表4に示す濃度になるように、コラーゲンペプチド(新田ゼラチン株式会社製)(1.2g/L)、アルギン酸エステル(株式会社キミカ製)(0.15g/L)、大豆食物繊維(不二製油株式会社製)(0.03g/L)、及びイソ化ホップ(ホップシュタイナー社製)(30mg/L)を添加し、比較例9に係る試験品を完成させた。結果を表4に示す。
【0038】
【0039】
表4の結果から、大豆食物繊維の添加のみでは泡持ち効果の向上はほとんど見られなかったが、ホエイタンパク質と共に添加することで、着色の抑制、嗜好性の担保及び泡特性の向上を同時に達成した。一方、ホエイタンパク質を添加せずにコラーゲンペプチド、アルギン酸エステル及び大豆食物繊維を添加した場合、泡持ち効果の向上は限定的だった。なお、実施例1と16、実施例2と17、実施例3と18、実施例4と19、実施例5と20、をそれぞれ比較した場合、大豆食物繊維添加区(すなわち、実施例16~20)の方が、高いNIBEM値を有していた。よって、泡特性がより向上することが示された。