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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】物品仕分システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20240115BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
B65G47/46
G06K7/10 276
G06K7/10 128
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019238414
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107260
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】392024909
【氏名又は名称】ホクショー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 喜朗
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-191226(JP,A)
【文献】特開2018-041365(JP,A)
【文献】特開2006-238261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のRFタグが設けられた物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送された前記物品の複数の前記RFタグからの応答信号を取得するRFIDリーダと、
前記応答信号が示すタグIDを取得する仕分判断部と、を備え、
前記仕分判断部は、取得した前記タグIDの個数と、その前記タグIDの組み合わせと、に基づいて、前記物品の仕分けを判断し
前記RFIDリーダは、一定周期で探索電波を発信し、
前記RFタグは、前記探索電波を受信すると前記応答信号を発信し、
前記搬送部では、前記RFIDリーダが前記応答信号を受信する受信エリアが設定され、
前記RFIDリーダは、前記搬送部の搬送路に対して発信した前記探索電波の前記受信エリアでの反射波に対して前記RFタグが前記応答信号を発信させることのできる強度で前記探索電波を発信し、
前記受信エリアは、前記搬送部の搬送路へ向けて前記探索電波を発信する位置関係とされて前記RFIDリーダが配置されるとともに、前記搬送路が電波吸収枠に覆われて構成され、
前記電波吸収枠は、前記探索電波や前記応答信号を吸収する部材で形成され、
前記RFIDリーダは、発信する前記探索電波の指向角度が、前記探索電波が前記電波吸収枠における前記物品の出入口から直接外に出ることのない大きさとされ、
前記電波吸収枠は、内方において、指向角度に従って拡がる前記探索電波に対する少なくとも1回目の前記反射波を前記搬送路に進行させる大きさとされていることを特徴とする物品仕分システム。
【請求項2】
記RFIDリーダは、前記応答信号の電波強度も併せて取得し
記仕分判断部は、前記RFIDリーダが受信した前記応答信号の電波強度の時間的変化に基づいて、前記応答信号が前記受信エリアを通った前記物品に設けられた前記RFタグからのものであるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の物品仕分システム。
【請求項3】
前記仕分判断部は、前記搬送部において、前記物品が前記受信エリアを通り過ぎて解析ポイントに到達すると、前記RFIDリーダが受信した前記応答信号が前記受信エリアを通った前記物品に設けられた前記RFタグからのものであるか否かの判断を開始することを特徴とする請求項2に記載の物品仕分システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品を識別する物品仕分システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFタグを用いて物品を仕分ける物品仕分システムが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
その物品仕分システムは、物品にRFタグを取り付け、そのRFタグに記憶されたタグIDをRFIDリーダで読み取り、そのタグIDに基づいて物品を仕分けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-3091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、物品では、様々な商品が一組にされている場合がある。このような物品は、組み合わせに応じて仕分けることが求められ、組み合わせ毎に異なるRFタグを取り付けるのが困難な場合がある。このため、上記の物品仕分システムは、このような物品を仕分けることが困難となってしまう。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、様々な商品が一組にされた物品を、RFタグを用いて仕分けることのできる物品仕分システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本開示の物品仕分システムは、複数のRFタグが設けられた物品を搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送された前記物品の複数の前記RFタグからの応答信号を取得するRFIDリーダと、前記応答信号が示すタグIDを取得する仕分判断部と、を備え、前記仕分判断部は、取得した前記タグIDの個数と、その前記タグIDの組み合わせと、に基づいて、前記物品の仕分けを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本開示の物品仕分システムは、様々な商品が一組にされた物品を、RFタグを用いて仕分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る物品仕分システムの構成を模式的に示す説明図である。
図2】物品仕分システムにおける受信エリアの構成を模式的に示す説明図である。
図3】受信エリアを物品が搬送される様子を示す図2と同様の説明図である。
図4】受信した応答信号の強度の時間的変化を示すグラフであり、縦軸に応答信号の強度を示し、横軸に受信した時間を示している。
図5】複数の応答信号を受信して、それぞれの最大値を検出した様子を示す図4と同様のグラフである。
図6】物品仕分システムの制御部で実行される仕分処理(仕分方法)を示すフローチャートである。
図7】出荷予定データの一例を示す説明図である。
図8】搬送された複数の物品の各RFタグが有するタグIDの一例を示す説明図である。
図9図8に示す複数の物品が仕分けされた様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る物品仕分システムの一例としての実施例1の物品仕分システム10について、図1から図9を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0011】
物品仕分システム10は、RFID(Radio Frequency Identification)を用いて物品51を仕分ける。このため、物品仕分システム10で仕分けられる物品51には、RFIDを利用する複数のRFタグ52が設けられている。実施例1の物品51は、複数の商品が1つに包装されたもので、それぞれの商品に個別にRFタグ52が取り付けられている。RFタグ52は、実施例1ではパッシブ型とされており、アンテナとICチップとを有する。アンテナは、後述する識別制御機構12のRFIDリーダ32からの探索電波Rsを受信できるとともに、応答信号Srを発信できる。ICチップは、受信した探索電波Rsにより電力を発生する電源回路、タグID53を書き込むための記憶回路、応答信号Srを発信するための無線処理回路、タグID53をデータとして取り扱う制御回路等を備える。
【0012】
そのタグID53は、取り付けられた商品の品種を示すものであり、商品の情報等を有している。このため、タグID53は、いずれの物品51であるか、すなわちいずれの商品と組み合わされたものであるかに拘わらず、同一の商品であれば等しいものとなる。また、応答信号Srは、タグID53を信号化したもので、RFIDリーダ32での受信が可能とされている。
【0013】
物品仕分システム10は、図1に示すように、搬送仕分装置11と識別制御機構12とを備える。物品仕分システム10は、搬送仕分装置11が搬送する物品51の仕分け先を識別制御機構12で識別し、その識別に応じて搬送仕分装置11が物品51を仕分ける。搬送仕分装置11は、搬送部21と仕分部22とを有する。
【0014】
搬送部21は、物品51を仕分部22へと搬送するもので、搬送する物品51を載せる搬送路23を有する。この搬送路23は、図2に示すように、複数のローラを移送方向に並べて設けたローラコンベヤや、環状のベルトを移送方向に回転可能に設けたベルトコンベヤや、コンベヤチェーンに連続的に板状部材(スラット)を取り付けたスラットコンベヤ等で構成することができ、実施例1ではベルトコンベヤとしている。搬送部21は、識別制御機構12が搬送路23上の物品51を識別するための受信エリア24を設けている(図1図2参照)。
【0015】
受信エリア24は、搬送部21の搬送路23が、電波吸収枠25で覆われることで構成されている。その電波吸収枠25は、識別制御機構12の後述するRFIDリーダ32からの探索電波RsやRFタグ52からの応答信号Srを吸収する部材で形成されており、それらの周辺への進行を抑制する。電波吸収枠25は、搬送路23による物品51の搬送を妨げることを防止しつつ、搬送方向Dtの所定の範囲に亘って搬送路23を覆うものとされ、実施例1では、搬送方向Dtにおいて1700(mm)の長さ寸法で搬送路23を覆うものとしている。
【0016】
仕分部22は、図1に示すように、搬送部21から搬送された物品51を複数に仕分けるもので、物品51を搬送する仕分搬送路26と、そこに接続された複数の搬出口27と、を有する。すなわち、仕分部22は、仕分搬送路26から各搬出口27に分岐されている。仕分搬送路26は、複数のローラを移送方向に並べて設けたローラコンベヤや、環状のベルトを移送方向に回転可能に設けたベルトコンベヤや、コンベヤチェーンに連続的に板状部材(スラット)を取り付けたスラットコンベヤ等で構成することができ、実施例1ではスラットコンベヤとしている。仕分部22は、仕分搬送路26における分岐箇所に仕分駆動部が設けられており、識別制御機構12(その後述する駆動部44を介する制御部42)の制御下で仕分搬送路26上の物品51の搬送に合わせて仕分駆動部を駆動することで、物品51を仕分け先に応じた搬出口27から排出する。
【0017】
識別制御機構12は、搬送される物品51をRFタグ52に基づいて仕分けるように搬送仕分装置11を駆動制御する。この識別制御機構12は、進入検知部31とRFIDリーダ32とが仕分判断部33に接続されて構成されている。
【0018】
進入検知部31は、搬送仕分装置11の搬送部21により搬送されている物品51が、受信エリア24すなわち電波吸収枠25で覆われた箇所へと進入することを検知する。実施例1の進入検知部31は、搬送路23を挟んで投光器と受光器とを設け、搬送路23上を搬送された物品51により光が遮られることを検知する非接触の光電センサとされている。また、実施例1の進入検知部31は、搬送方向Dtにおいて、物品51が受信エリア24よりも手前の所定の位置(図3の符号Pd参照)に到達したか否かを検知する。なお、進入検知部31は、物品51が受信エリア24へと進入することを検知するものであれば、搬送される物品51にヒンジレバーを接触させて検知するリミットスイッチを用いてもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0019】
RFIDリーダ32は、一定周期で連続的に探索電波Rsを発信する。また、RFIDリーダ32は、RFタグ52からの応答信号Srを受信することができ、その応答信号Srを仕分判断部33(その後述する解析処理部41)へと出力する。このとき、RFIDリーダ32は、応答信号Srの電波強度も併せて読み取ることができ、この電波強度も併せて仕分判断部33(解析処理部41)へと出力する。実施例1のRFIDリーダ32は、進入検知部31が受信エリア24に物品51が進入することを検知すると、一定周期で連続的に探索電波Rsの発信を開始するとともに、応答信号Srの受信を開始する。そして、RFIDリーダ32は、進入検知部31が進入を検知してから、所定の時間が経過する、または、検知してから搬送部21からの搬送路23の動作のためのパルス信号のカウントが所定の値に到達すると、探索電波Rsの発信および応答信号Srの受信を停止する。なお、RFIDリーダ32は、搬送部21で物品51を搬送している間は、進入検知部31での検知に拘わらず探索電波Rsの発信および応答信号Srの受信を継続してもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0020】
実施例1のRFIDリーダ32は、図2に示すように、受信エリア24の中央、すなわち電波吸収枠25で覆われた箇所の搬送方向Dtでの中央位置で、搬送路23の下方に設けられている。また、RFIDリーダ32は、構内無線局型のもの(構内無線局としての申請が必要なもの)としており、発信する探索電波Rsの電波出力(空中線電力)を1(W)としている。さらに、RFIDリーダ32は、発信する探索電波Rsの指向角度(半値角度)を、その探索電波Rsが電波吸収枠25における物品51の出入口から直接外に出ることのない大きさとしており、実施例1では60度としている。そして、RFIDリーダ32は、探索電波Rsを発信する周期であるサンプリング周期を30(ms/回)、すなわち30(ms)に探索電波Rsを1回発信するものとしている。
【0021】
この受信エリア24では、搬送方向Dtでの中央位置のRFIDリーダ32から探索電波Rsが発信される。実施例1のRFIDリーダ32は、鉛直方向で、探索電波Rsの発信箇所から搬送路23までの間隔を230(mm)としている。探索電波Rsは、搬送路23を通過して上方へと進行し、搬送路23を覆う電波吸収枠25の天井壁25aで一部が吸収されるとともに、他部が反射された反射波Rrとなって再び搬送路23へ向けて進行する。このため、受信エリア24では、搬送路23上において、RFタグ52が、探索電波Rsおよび反射波Rrを受信することで応答信号Srを発信できることとなる。このことから、受信エリア24では、搬送路23上の探索電波Rsと反射波Rrとが照射される領域が、主に、RFタグ52がRFIDリーダ32からの探索電波Rs(反射波Rrも含む)を受信でき、十分な強度の応答信号Srを発信できる受信領域Ar(黒く色を付けた箇所)となる。換言すると、RFIDリーダ32は、指向角度を60度とした上で、探索電波Rsに加えて天井壁25aでの反射波RrでもRFタグ52が十分な強度の応答信号Srを発信可能とするように、探索電波Rsの電波出力を設定している。なお、RFタグ52は、受信領域Arの前後であっても探索電波Rs(反射波Rr)を受信できる場合もある。この受信領域Arは、実施例1では搬送方向Dtで1300(mm)としている。
【0022】
仕分判断部33は、RFIDリーダ32が受信した応答信号Srのうち、受信エリア24を通った物品51に設けられたRFタグ52からの応答信号Srが示すタグID53を取得する。そして、仕分判断部33は、取得したタグID53の個数とその組み合わせに基づいて、搬送仕分装置11による物品51の仕分けを可能とする。仕分判断部33は、解析処理部41と制御部42とデータ管理部43と駆動部44と表示部45とを有する。
【0023】
解析処理部41は、RFIDリーダ32が受信した応答信号Srのうち、受信エリア24を通った物品51に設けられたRFタグ52からの応答信号Srが示すタグID53を特定する特定処理を行い、その特定したタグID53を制御部42に送信する。解析処理部41は、特定処理のために、RFIDリーダ32から応答信号Srとその電波強度とを受信する。解析処理部41は、特定処理として、応答信号Srの強度の時間的変化に基づいて、受信した応答信号Srが受信エリア24を通過した物品51に設けられたRFタグ52からのものであるか否かを判断する(通過判断処理)。また、解析処理部41は、特定処理として、通過した物品51のRFタグ52からのものであると判断すると、応答信号Srを解析して商品のタグID53を含むタグID53を取得する(取得処理)。このように、解析処理部41は、通過判断処理と取得処理とからなる特定処理を行うことで、受信エリア24を通過した物品51として特定したタグID53を取得する。実施例1の解析処理部41は、複数のRFタグ52が取り付けられた物品51を仕分けの対象としているので、特定処理により単一の物品51に対して複数のタグID53を取得することとなる。この通過判断処理と取得処理とは、後に詳細に説明する。
【0024】
解析処理部41は、物品51が解析ポイントPa(図3参照)に到達すると、上記のタグID53の特定処理を開始する。解析ポイントPaは、搬送部21の搬送方向Dtにおいて、物品51が受信エリア24を通り過ぎた位置、すなわち受信エリア24の外方に設定されている。実施例1の解析ポイントPaは、搬送方向Dtで読取ポイントPrから1575(mm)の位置としている。その読取ポイントPrは、搬送方向DtにおいてRFIDリーダ32が設けられた位置であり、搬送される物品51のRFタグ52がRFIDリーダ32に最も接近する位置となる。この物品51の解析ポイントPaへの到達は、進入検知部31が物品51の進入を検知してから、所定の時間が経過したことや搬送部21からの搬送路23の動作のためのパルス信号のカウントが所定の値に到達したこと等で判断できる。
【0025】
制御部42は、駆動部44に接続されており、その駆動部44に駆動制御信号を送信することで搬送部21と仕分部22との動作を制御する。また、制御部42は、解析処理部41に接続されており、特定された複数のタグID53を解析処理部41から取得する。制御部42は、データ管理部43に接続されており、各タグID53を取得すると、その各タグID53にデータ管理部43に送って、物品51の搬出口27を問い合わせる。制御部42は、データ管理部43から問い合わせの結果となる仕分情報Isを受け取ることができる。制御部42は、受け取った仕分情報Isに応じて駆動部44を駆動制御する。
【0026】
データ管理部43は、出荷予定データを含む様々なデータを管理している。その出荷予定データは、様々な物品51を出荷先D毎に仕分けるためのデータである。実施例1の出荷予定データは、出荷先D毎に、複数のタグID53の個数と、それらのタグID53の組み合わせと、が決められている(図7参照)。データ管理部43は、制御部42から複数のタグID53が送られると、その複数のタグID53の個数およびその複数のタグID53の組み合わせを出荷予定データと照合して、物品51毎に出荷先Dを判断する。そして、データ管理部43は、判断した出荷先Dに合致する搬出口27を示す仕分情報Isを制御部42に送る。
【0027】
駆動部44は、仕分情報Isを受け取った制御部42から、その仕分情報Isに応じた駆動制御信号が送られることで、その駆動制御信号に応じて仕分部22を駆動させる。すなわち、駆動部44は、搬送部21で搬送した物品51を、送られた仕分情報Isに応じた搬出口27へと搬送するように、仕分部22を駆動させる。このとき、駆動部44は、進入検知部31が物品51の進入を検知した時点(図3の符号Pd参照)を基準として、対応する搬出口27に到達するタイミングに合わせて仕分部22を駆動することで、各物品51を指定された搬出口27に搬出させる。
【0028】
表示部45は、制御部42の制御下で、解析処理部41が通過判断処理に用いた応答信号Srの強度の時間的変化を示すグラフを表示する(図5参照)。これにより、RFタグ52毎に応答信号Srの受信の様子を確認できるので、物品51の種類(包装)による受信の状態の偏りや、商品の種類(タグID53)による受信の状態の偏り等の傾向を認識させることができる。このため、偏りがあるものに対しては、物品51における各商品の包装の仕方の改善や、RFタグ52の取り付け方や配置等の改善に役立てることができる。
【0029】
ここで、制御部42は、仕分けした物品51の履歴や、取得したタグID53の履歴を、それぞれカウントして、仕分実績データや取得ID実績データとして記憶するものとしてもよい。この仕分実績データは、物品仕分システム10に搬入された各物品51の個数と合わせて記憶することで、適切に仕分けできた確率としての仕分成功率を求めることができる。また、取得ID実績データは、物品仕分システム10に搬入された各物品51における各商品の個数と合わせて記憶することで、適切に取得できた確率としての取得成功率を求めることができる。
【0030】
また、表示部45は、上記のグラフに加えて、判別した物品51の履歴である仕分実績データや、取得したタグID53の履歴である取得ID実績データを、併せて表示してもよい。この場合、物品51の仕分けの動作が適切に行われていることを確認できる。加えて、表示部45は、仕分成功率や取得成功率を合わせて表示してもよい。この場合、物品51の種類(出荷先D)による仕分けの可否の偏りや、商品の種類(タグID53)による読み取りの可否に偏り等の傾向を認識させることができる。このため、偏りがあるものに対しては、物品51における各商品の包装の仕方の改善や、RFタグ52の取り付け方や配置等の改善に役立てることができる。
【0031】
次に、特定処理における通過判断処理について説明する。受信エリア24では、上記のように受信領域Arが形成されている。この受信領域Arでは、搬送路23上において、RFIDリーダ32からの探索電波Rsの強度が、RFIDリーダ32が設けられた読取ポイントPrで最も強くなるとともに、離れるに従って弱くなっていく。そして、RFタグ52は、パッシブ型であることから、探索電波Rsの強度の変化に合わせて発信する応答信号Srの強度も変化する。このため、受信エリア24では、搬送路23上を搬送されるRFタグ52からの応答信号Srが、搬送方向Dtにおいて、受信領域Arに近付くと発生し(受信可能となり)、読取ポイントPrに近付くに連れて強度が大きくなる。そして、受信エリア24では、応答信号Srが、搬送方向Dtにおいて、読取ポイントPrで強度が最大となり、読取ポイントPrから離れるに連れて強度が小さくなり、受信領域Arから遠ざかると受信できなくなる。
【0032】
この様子を、図3および図4に模式的に示す。その図3は、物品51が搬送部21により、搬送路23上を時刻t1での位置P1から時刻t7での位置P7へと搬送される様子を示している。また、図4は、位置P1から位置P7に物品51が移動した際の、RFIDリーダ32で受信したRFタグ52からの応答信号Srの強度が変化する様子を示しており、横軸において右側に行くほど早い時間としている。すなわち、図4は、RFIDリーダ32が応答信号Srを受信する度にその強度を記述し、その記述位置を時間の変化に合わせて左側へと変化させており、左端が最新情報を示している。換言すると、図4は、記録紙が右方向に移動し、左端でペン等により応答信号Srの強度を記入している場合と同様の表示となる。
【0033】
物品51が、図3に示すように、搬送部21により、搬送路23上を位置P1から位置P7へと搬送されると、そこに設けられたRFタグ52からの応答信号SrをRFIDリーダ32で受信した際の強度が、一例として図4に示すように変化する。すなわち、RFIDリーダ32は、物品51が位置P1であると、RFタグ52が受信領域Arの外なので、応答信号Srを受信できない。RFIDリーダ32は、物品51が位置P2の近傍に移動すると応答信号Srの受信が可能となり、位置P3を経て位置P4へと移動すると、受信する応答信号Srの強度が大きくなっていく。RFIDリーダ32は、物品51が位置P4となると、受信する応答信号Srの強度が最大となり、位置P5を経て位置P6へと移動すると、受信する応答信号Srの強度が小さくなっていく。そして、RFIDリーダ32は、物品51が位置P6の近傍を通り過ぎて物品51が解析ポイントPaに到達する位置P7に至るまでは、応答信号Srを受信できなくなる。
【0034】
ここで、RFIDリーダ32は、物品51が受信エリア24を通過する間、設定されたサンプリング周期で探索電波Rsを連続して発信しており、それを受けたRFタグ52から発信された応答信号Srを連続して受信する。このため、応答信号Srは、受信した強度の変化を時系列で並べることで、図4に示すようなグラフとなる。解析処理部41は、RFIDリーダ32から送られた複数の応答信号Sr(そのそれぞれのグラフ)を、物品51が解析ポイントPaに到達するまでの間、データとして一定期間蓄積する。
【0035】
解析処理部41は、通過判断処理において、上記の特性を利用して、物品51が受信エリア24を通過する間に最大値を検出できた応答信号Srが、その通過している物品51に設けられたRFタグ52から発信された応答信号Srであると判断する。この物品51が受信エリア24を通過する間は、進入検知部31が物品51の受信エリア24への進入を検知した時点から、所定の時間が経過するまでの間、または、搬送部21からの搬送路23の動作のためのパルス信号のカウントが所定の値に到達するまでの間とすることができる。
【0036】
ここで、識別制御機構12は、図3に示すように、受信エリア24の外方に解析ポイントPaを設定している。このため、識別制御機構12は、RFタグ52が受信エリア24の外に出てから解析ポイントPaに至るまでの間に、RFIDリーダ32が応答信号Srを受信できない領域(以下では、クワイエットゾーンZqという)を設けることができる。このため、識別制御機構12は、受信エリア24を通過した物品51のRFタグ52からの応答信号Srの強度の時間的変化を示すグラフを、クワイエットゾーンZqで途切れ(終息)させることができる。これにより、解析処理部41は、通過判断処理において、最大値の検出の終了時点を明確にできるとともに他の応答信号Srとの混線を抑制できるので、応答信号Srが受信エリア24を通過したRFタグ52からのものであるか否かを適切に判断できる。
【0037】
解析処理部41は、上記のように通過判断処理を行うので、持ち運びされる等により識別制御機構12の近くを他の物品51が移動されても、そのRFタグ52が受信エリア24を通過していないものと判断できる。これは、対象とする物品51が受信エリア24を通過するタイミングに合わせて、識別制御機構12の近くを移動される他の物品51からの応答信号Srの最大値を検出できることは稀と考えられることによる。
【0038】
また、解析処理部41は、識別制御機構12の近くに保管されている物品51のRFタグ52から発信された応答信号Srを、そのRFタグ52が受信エリア24を通過していないものと判断できる。これは、次のことによる。このような応答信号Srは、RFIDリーダ32に対する距離が変化しないので、強度の時間的な変化が殆どなくなるもしくは少なくなる。この場合、解析処理部41は、応答信号Srの最大値の検出が困難となるので、そのRFタグ52が受信エリア24を通過していないものと判断できることとなる。
【0039】
さらに、解析処理部41は、先に受信エリア24を通過した物品51のRFタグ52から発信された応答信号Srを、RFIDリーダ32が受信した場合であっても、そのRFタグ52が受信エリア24を通過していないものと判断できる。その一例としての応答信号Sr1を図4に示す。応答信号Sr1は、先に受信エリア24を通過しているので、時刻t1よりも前に最大値が発生している。この場合、解析処理部41は、受信した応答信号Sr1が、先の判断で最大値を検出して先に受信エリア24を通過したRFタグ52であると判断しているので、今回の受信エリア24を通過したRFタグ52であると判断することはない。
【0040】
加えて、解析処理部41は、対象としている物品51よりも後に受信エリア24を通過する物品51のRFタグ52から発信された応答信号Srを、RFIDリーダ32が受信した場合であっても、そのRFタグ52が受信エリア24を通過していないものと判断できる。その一例としての応答信号Sr2を図4に示す。応答信号Sr2は、後に受信エリア24を通過するので、時刻t7よりも後に最大値が発生している。この場合、解析処理部41は、受信した応答信号Sr2が、対象とする物品51が受信エリア24を通過する間に、最大値を検出できないので、今回の受信エリア24を通過したRFタグ52であると判断することはない。
【0041】
なお、解析処理部41は、RFIDリーダ32が受信した応答信号Srの強度が所定値に満たない場合や、応答信号Srを受信した時間間隔が所定値に満たない場合には、受信エリア24を通過したか否かの判断の対象から除外するものとしてもよい。すなわち、解析処理部41は、応答信号Srの強度や時間間隔の閾値を設けて、それらの閾値に満たない場合には受信エリア24を通過していないものと判断してもよい。このようにすると、識別制御機構12の近くを移動される他の物品51からの応答信号Srの強度は小さくなると考えられるので、解析処理部41は、そのような他の物品51が受信エリア24を通過していないものと適切に判断できる。
【0042】
また、解析処理部41は、応答信号Srの強度の変化の度合い(傾き)の閾値を用いて、変化(増減)の割合が小さい場合には、受信エリア24を通過していないものと判断してもよい。このような応答信号Srの強度の変化の度合いが小さいものは、電波の反射等による外乱である可能性が高い。このため、解析処理部41は、増減の割合が小さい応答信号Srを除外して適切に通過判断処理を行うことができる。
【0043】
解析処理部41は、特定処理において、通過判断処理により、受信エリア24を通過したRFタグ52から送信されたものであると判断した応答信号Srに対して取得処理を行う。すなわち、解析処理部41は、取得処理において、通過判断処理により通過したと判断した応答信号Srを解析することで、その応答信号Srが示すタグID53を取得する。この応答信号Srの解析によるタグID53の取得は、従来と同様である。これにより、解析処理部41は、受信エリア24を通過した物品51に含まれる商品のタグID53を取得できる。
【0044】
ここで、実施例1の物品51は、上記のように複数の商品が1つに包装されて構成され、商品毎にRFタグ52が取り付けられている。このため、解析処理部41は、RFIDリーダ32が受信した複数の応答信号Srに対して、個別に上記した通過判断処理と取得処理とからなる特定処理を行うことで、単一の物品51に対して複数のタグID53を取得する。この一例を図5に示す。図5は、5つの商品を含むものとされて5つのRFタグ52が取り付けられた物品51が受信エリア24を通過した際の、一例としての5つの応答信号Srを示すグラフを示している。解析処理部41は、通過判断処理において、5つの応答信号Srにおける最大値Mpをそれぞれ検出できており、取得処理において各応答信号Srを解析することで5つのタグID53を取得する。これにより、制御部42が、5つのタグID53に基づいて物品51を仕分けることが可能となる。
【0045】
次に、物品仕分システム10において、複数の物品51を仕分けする一例としての仕分処理(仕分方法)について、図6を用いて説明する。この仕分処理は、記憶部または内蔵する内部メモリに記憶されたプログラムに基づいて、制御部42が実行する。以下では、この図6のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。図6のフローチャートは、物品仕分システム10が起動されて、制御部42の制御下で搬送部21が搬送路23の移動を開始することにより開始される。図6のフローチャートは、搬送部21により搬送される1つの物品51の識別を終えるまでの処理を示しており、搬送部21を駆動させている間は各物品51に対して繰り返し行われる。
【0046】
ステップS1では、物品51が受信エリア24に入るか否かを判断し、YESの場合はステップS2へ進み、NOの場合はステップS1を繰り返す。ステップS1では、進入検知部31により物品51が検知されたか否か、すなわち搬送路23上において受信エリア24よりも手前の所定の位置(図3の符号Pd参照)に物品51が到達したか否かを判断する。
【0047】
ステップS2では、探索電波Rsの発信を開始して、ステップS3へ進む。ステップS2では、RFIDリーダ32が、一定周期で連続的な探索電波Rsの発信を開始する。
【0048】
ステップS3では、応答信号Srを受信して、ステップS4へ進む。ステップS3では、RFIDリーダ32が、探索電波Rsを受信したRFタグ52からの応答信号Srを受信する。RFIDリーダ32は、受信した応答信号Srを解析処理部41へと出力する。
【0049】
ステップS4では、物品51が解析ポイントPaに到達したか否かを判断し、YESの場合はステップS5へ進み、NOの場合はステップS4を繰り返す。ステップS4では、進入検知部31が進入を検知(ステップS1)してから、所定の時間が経過したこと、またはパルス信号のカウントが所定の数に到達したこと等で、解析ポイントPaに到達したと判断する。
【0050】
ステップS5では、受信エリア24を通過した応答信号Srを選択して、ステップS6へ進む。ステップS5では、解析処理部41が、RFIDリーダ32から送信された応答信号Srの強度の時間的変化に基づいて、受信した応答信号Srが受信エリア24を通過した物品51に設けられたRFタグ52からのものであるか否かを判断し(通過判断処理)、通過した応答信号Srのみを選択する。
【0051】
ステップS6では、通過した各応答信号SrのタグID53を取得して、ステップS7へ進む。ステップS6では、解析処理部41が、ステップS5で受信エリア24を通過したRFタグ52からのものであると判断した各応答信号Srを解析して、その各応答信号Srが示すタグID53を取得する(取得処理)。このため、ステップS6では、ステップS5と協働して、通過したRFタグ52からのタグID53の個数と、そのタグID53と、を取得できる。このことから、ステップS5とステップS6とは、受信エリア24を通過した物品51のタグID53を特定する特定処理となる。解析処理部41は、この特定した複数のタグID53を制御部42に送信する。
【0052】
ステップS7では、物品51を照合して、ステップS8へ進む。ステップS7では、ステップS6で特定したタグID53の個数とそれぞれのタグID53とをデータ管理部43に送信し、データ管理部43が、その個数およびタグID53の組み合わせを出荷予定データと照合する。
【0053】
ステップS8では、仕分情報Isを受け取り、ステップS9へ進む。ステップS8では、データ管理部43から、出荷予定データとの照合によるタグID53の個数および組み合わせに基づく物品51の出荷先Dを示す仕分情報Isを受け取る。
【0054】
ステップS9では、仕分部22を駆動させて、この仕分処理を終了する。ステップS9では、駆動部44が、送られた仕分情報Isに応じた搬出口27へと搬送部21から搬送された物品51を搬送するように、進入検知部31が物品51の進入を検知した時点からタイミングを計って仕分部22を駆動させる。
【0055】
この物品仕分システム10は、搬送部21により物品51が搬送されると、その搬送に合わせて複数の応答信号Srを取得し、その取得した応答信号Srのうち受信エリア24を通過した物品51に設けられたRFタグ52からの応答信号Srのみを選択する(S1からS5)。また、物品仕分システム10は、選択したタグID53(応答信号Sr)の個数とタグID53の組み合わせに基づいて、物品51の仕分け先(仕分情報Is)を受け取る(S6からS8)。そして、物品仕分システム10は、受け取った仕分け先に応じて仕分部22を駆動させることで(S9)、取り付けられたRFタグ52の組み合わせ、すなわち1つに包装された商品の組み合わせに対応された搬出口27へと物品51を搬送することで、物品51を仕分ける。この仕分処理は、上記のように搬送部21が駆動されている間は各物品51に対して繰り返し行われるので、複数の物品51を対応された搬出口27へと次々と搬送させることができ、複数の物品51を連続して仕分けることができる。
【0056】
次に、図7から図9を用いて、複数の物品51の仕分けの一例を説明する。データ管理部43が照合する出荷予定データは、図7に示すように、物品51の出荷先D毎に仕分けるものとされており、タグID53の個数、および各タグID53の組み合わせに基づいて、いずれかの搬出口27が対応されていることを示す。この図7の例では、出荷先Dとして符号DAからDCが設定されており、出荷先Dに拘わらずタグID53の個数は3つとしている。なお、タグID53の個数は、出荷先D毎に異なるものとしてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0057】
また、図7の例では、タグID53として、タグID53の符号を用いて53Aから53Dの4種類が用意されており、出荷先DAが53A、53B、53Cの組み合わせとされて、搬出口27Aが対応されている。同様に、出荷先DBが53B、53C、53Dの組み合わせとされて、搬出口27Bが対応され、出荷先DCが53A、53C、53Dの組み合わせとされて、搬出口27Cが対応されている。そして、図7の例では、仕分けできない物品51に搬出口27Dが対応されている。
【0058】
これに対して、図8に示す物品51Aから物品51Fが搬送部21により搬送されたものとする。物品51Aは、53A、53B、53CのタグID53を有する3つのRFタグ52が、物品51Bは、53B、53C、53DのタグID53を有する3つのRFタグ52が、それぞれ取り付けられている。また、物品51Cは、53A、53B、53CのタグID53を有する3つのRFタグ52が、物品51Dは、53A、53C、53DのタグID53を有する3つのRFタグ52が、それぞれ取り付けられている。そして、物品51Eは、53A、53B、53CのタグID53を有する3つのRFタグ52が取り付けられているが、3つめの53CのタグID53を含むRFタグ52からの応答信号Srを適切に受信できなかったものとする。加えて、物品51Fは、53A、53BのタグID53を有する2つのRFタグ52が取り付けられている。すなわち、物品51Fは、商品が2つしか包装されていない、もしくは包装された3つの商品のうちのいずれか1つにRFタグ52が取り付けられていないものとされている。
【0059】
物品仕分システム10は、図8に示す物品51Aから物品51Fが搬送されると、それぞれに対して上記の仕分処理(図6のフローチャート)を行うことで、図7の出荷予定データに応じた各搬出口27(27Aから27D)へと搬送される。詳細には、図9に示すように、搬出口27Aに物品51Aおよび物品51Cが、搬出口27Bに物品51Bが、搬出口27Cに物品51Dが、搬出口27Dに物品51Eおよび物品51Fが、それぞれ搬送されることで、物品51Aから物品51Fがそれぞれ仕分けられる。このため、物品仕分システム10は、複数のRFタグ52からのタグID53の個数と、そのタグID53と、に基づいて、物品51Aから物品51Dを適切に仕分けることができる。
【0060】
そして、物品仕分システム10は、搬出口27Dに搬送された物品51Eおよび物品51Fの各RFタグ52からの応答信号Srの特定処理の結果や、各RFタグ52の取り付けられた様子等を確認することで、物品51Eおよび物品51Fが仕分けできなかった理由を把握できる。この例では、物品51Eに対しては、53CのタグID53を含むRFタグ52からの応答信号Srが適切に受信できなかった理由の解明に役立つ。また、この例では、物品51Fに対しては、2つのRFタグ52しかなかった理由の解明に役立つ。
【0061】
ここで、比較例の物品仕分システムの問題点について説明する。比較例の物品仕分システムは、物品仕分システム10と同様の構成であるが、RFIDリーダおよび受信エリアの設定が実施例1の物品仕分システム10とが異なるものとされている。比較例の物品仕分システムは、RFIDリーダにおいて、特定小電力型のもの(特別な免許や登録が必要ないもの)としており、発信する探索電波の電波出力(空中線電力)を250(mW)としている。また、比較例の物品仕分システムは、RFIDリーダが、発信する探索電波の指向角度(半値角度)を120度とし、その探索電波のサンプリング周期を60(ms/回)としている。そして、比較例の物品仕分システムは、受信エリア24を搬送方向で800(mm)とし、解析ポイントを搬送方向で読取ポイントから1016(mm)の位置としている。これにより、比較例の物品仕分システムは、クワイエットゾーンを設けていない。
【0062】
このため、比較例の物品仕分システムは、解析処理部において、実施例1と同様の特定処理を行っても、物品に取り付けられた複数のRFタグからの応答信号を適切に受信できないことがある。これは、物品では複数のRFタグが重なりあうこと等により、各RFタグからの応答信号が干渉して応答信号が弱まることが原因と考えられる。そこで、RFIDリーダからの探索電波の電波出力を高くすることで、各応答信号の適切な受信を可能とすることが考えられる。しかしながら、探索電波の電波出力を高くすると、高くする前よりも遠くまで探索電波が影響を及ぼすので、受信エリアを通過していないRFタグからの応答信号を受信してしまったり不測のノイズを発生させたりする虞がある。
【0063】
これに対し、本開示の物品仕分システム10は、探索電波Rsの電波出力を1(W)とするとともに探索電波Rsの指向角度を60度としている。このため、物品仕分システム10は、従来と比較して、探索電波Rsの電波出力を高くして複数のRFタグ52からの応答信号Srの適切な受信を可能としつつ、電波出力を高くすることによる周囲への影響を抑制できる。加えて、物品仕分システム10は、受信エリア24において、搬送部21の搬送路23を電波吸収枠25で覆うものとしているので、探索電波Rsの周囲への影響を適切に抑制できる。特に、物品仕分システム10は、RFIDリーダ32において、発信する探索電波Rsの指向角度(半値角度)を、その探索電波Rsが電波吸収枠25における物品51の出入口から直接外に出ることのない大きさ(60度)としているので、探索電波Rsの周囲への影響をより適切に抑制できる。
【0064】
また、物品仕分システム10は、探索電波Rsのサンプリング周期を30(ms/回)としている。このため、物品仕分システム10は、従来と比較して、各RFタグ52からの応答信号Srの分解能を高めることができるので、応答信号Srの変化の様子をより適切に把握することができ、より適切に最大値を検出できる。
【0065】
さらに、物品仕分システム10は、受信エリア24を搬送方向Dtで1300(mm)とし、解析ポイントPaを搬送方向Dtで読取ポイントPrから1575(mm)の位置としており、RFタグ52が受信エリア24の外に出てから解析ポイントPaに至るまでの間にクワイエットゾーンZqを設けている。このため、物品仕分システム10は、応答信号Srの強度の時間的変化を示すグラフにおける最大値の検出の終了時点を明確にできるとともに他の応答信号Srとの混線を抑制できるので、応答信号Srが受信エリア24を通過したRFタグ52からのものであるか否かを適切に判断できる。
【0066】
ついで、物品仕分システム10は、探索電波Rsに加えて天井壁25aでの反射波RrでもRFタグ52が十分な強度の応答信号Srを発信可能とするように、探索電波Rsの電波出力を設定している。このため、物品仕分システム10は、RFIDリーダ32の指向角度を60度としても、受信エリア24を確保することができ、応答信号Srの受信の可能性を高めることができる。
【0067】
本開示に係る物品仕分システムの一実施例の物品仕分システム10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0068】
物品仕分システム10は、仕分判断部33が、取得したタグID53の個数と、そのタグID53の組み合わせと、に基づいて、物品51の仕分けを判断する。このため、物品仕分システム10は、複数の商品が1つに包装された物品51に対して、組み合わせに応じてRFタグ52を付け替えなくても、商品毎にRFタグ52を取り付けるだけで、この物品51を仕分けることができる。
【0069】
また、物品仕分システム10は、RFIDリーダ32が一定周期で探索電波Rsを発信し、RFタグ52が探索電波Rsを受信すると応答信号Srを発信し、RFIDリーダ32が応答信号Srの電波強度も併せて取得する。また、物品仕分システム10は、搬送部21において、RFIDリーダ32が応答信号Srを受信する受信エリア24が設定され、仕分判断部33が、RFIDリーダ32が受信した応答信号Srの電波強度の時間的変化に基づいて、応答信号Srが受信エリア24を通った物品51に設けられたRFタグ52からのものであるか否かを判断する。このため、物品仕分システム10は、対象とする物品51の仕分けに適した複数のタグID53のみを取得することができ、物品51を適切に仕分けることができる。
【0070】
さらに、物品仕分システム10は、RFIDリーダ32が、搬送部21の搬送路23に対して発信した探索電波Rsの受信エリア24での反射波Rrに対してRFタグ52が応答信号Srを発信させることのできる強度で探索電波Rsを発信する。このため、物品仕分システム10は、RFIDリーダ32の指向角度を狭くしても、受信エリア24を確保することができ、応答信号Srの受信の可能性を高めることができる。
【0071】
物品仕分システム10は、受信エリア24が、搬送路23へ向けて探索電波Rsを発信する位置関係とされてRFIDリーダ32が配置されるとともに、RFIDリーダ32とは反対側で搬送路23が電波吸収枠25に覆われて構成されている。このため、物品仕分システム10は、探索電波Rsの周囲への影響をより適切に抑制しつつ、複数のタグID53を取得できる。
【0072】
物品仕分システム10は、仕分判断部33が、搬送部21において、物品51が受信エリア24を通り過ぎて解析ポイントPaに到達すると、RFIDリーダ32が受信した応答信号Srが受信エリア24を通った物品51に設けられたRFタグ52からのものであるか否かの判断を開始する。このため、物品仕分システム10は、RFタグ52が受信エリア24の外に出てから解析ポイントPaに至るまでの間にクワイエットゾーンZqを設けることができ、最大値の検出の終了時点を明確にできるとともに他の応答信号Srとの混線を抑制できる。
【0073】
したがって、本開示に係る物品仕分システムとしての実施例1の物品仕分システム10は、様々な商品が一組にされた物品51を、RFタグ52を用いて仕分けることができる。
【0074】
以上、本開示の物品仕分システムを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0075】
例えば、実施例1では、物品51を、複数の商品が1つに包装されたもので、それぞれの商品に個別にRFタグ52が取り付けられている。しかしながら、仕分けの対象とする物品51は、複数のRFタグ52が設けられているものであって、そのタグID53の個数と各タグID53の組み合わせとで仕分けることができるものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0076】
また、実施例1では、RFIDリーダ32が、搬送部21の搬送路23に対して発信した探索電波Rsの受信エリア24での反射波Rrに対してRFタグ52が応答信号Srを発信させることのできる強度で探索電波Rsを発信している。しかしながら、RFIDリーダ32は、発信する探索電波Rsの強度は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【符号の説明】
【0077】
10 物品仕分システム 21 搬送部 23 搬送路 24 受信エリア 25 電波吸収枠 32 RFIDリーダ 33 仕分判断部 51 物品 52 RFタグ 53 タグID Pa 解析ポイント Rr 反射波 Rs 探索電波 Sr 応答信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9