(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】ノズル外面洗浄を行う飲料抽出装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/60 20060101AFI20240115BHJP
A47J 31/46 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
A47J31/60
A47J31/46
(21)【出願番号】P 2019561298
(86)(22)【出願日】2018-05-09
(86)【国際出願番号】 NL2018050307
(87)【国際公開番号】W WO2018208156
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-28
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】デシング,ヤコブス ペトルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】スタンダール,コーエン
(72)【発明者】
【氏名】ディース,ヘンドリック ヨハン
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-533623(JP,A)
【文献】特表2005-523850(JP,A)
【文献】特開2008-192047(JP,A)
【文献】国際公開第2014/154376(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0027315(US,A1)
【文献】特開2016-078938(JP,A)
【文献】米国特許第05865221(US,A)
【文献】特開2012-144269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を飲料容器に吐出するための少なくとも1つの飲料出口ノズルを有する飲料を調製するための装置であって、前記装置は、前記飲料出口ノズルの外面を洗浄するための洗浄構造体を備え、
前記洗浄構造体は、前記飲料出口ノズルに対して移動可能に配置されており、前記洗浄構造体は、前記飲料出口ノズルが前記飲料を前記飲料容器に吐出することが可能であるアイドル位置と、前記飲料出口ノズルを洗浄することが可能である動作位置との間で移動可能であり、
前記装置は、少なくとも1つの側壁を有するハウジングを含み、前記洗浄構造体は
、前記ハウジング内である前記アイドル位置から前記側壁内の開口部を介して前記動作位置に移動可能である、
ことを特徴とする、飲料調製装置。
【請求項2】
前記洗浄構造体は、前記飲料出口ノズルから吐出された洗浄液を受け入れるように配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記洗浄構造体は、前記飲料出口ノズルの近傍に設けられた洗浄出口ノズルから吐出され
た洗浄液を受け入れるように配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記洗浄構造体は、流体案内構造体を含み、前記流体案内構造体は、吐出された洗浄液を前記
飲料出口ノズルの前記外面に沿って導くように前記
飲料出口ノズルに配置されるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記洗浄構造体及び、前記
飲料出口ノズルの外部は、両者間に洗浄流体ダクトを画定する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記流体案内構造体は、前記飲料出口ノズルを収容するためのノズル容器を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記ノズル容器の底部に整流構造体を更に備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記流体案内構造体は、前記飲料出口ノズルの前記外面に沿った移動の後に前記洗浄液を受け入れるように配置された少なくとも1つの洗浄液回収入口を更に備える、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記流体案内構造体は、前記飲料出口ノズルの前記外面に沿った移動の後に前記洗浄液を受け入れるように配置された少なくとも1つの洗浄液回収入口を更に備え、前記洗浄液回収入口は、前記ノズル容器に隣接して設けられる、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの洗浄液回収入口は、前記ノズル容器の周りに環状に等間隔に分散された多数の
洗浄液回収入口を更に備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
一方では前記装置のハウジング及び
前記飲料出口ノズルの出口開口部から離間した前記飲料出口ノズルの前記外面の一部のうちの少なくとも1つと、他方では前記流体案内構造体との間
で流体密封を提供するように構成された密封モジュールを更に備える、請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記洗浄構造体は、
前記飲料出口ノズル
の洗浄中に前記飲料出口ノズルの前記外部から離間されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記洗浄構造体が前記ハウジング内の前記アイドル位置に位置するときに前記開口部を覆うための可動カバー部材を含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主要な態様及び様々な実施形態は、飲料を調製するための装置の分野、特にその洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーマシンのような、飲料を調製するための装置は、完全に自動化された方法で飲料を提供する。完全自動操作は、特定の時間量、特定の飲料吐出量、又はこれらの組み合わせの後の定期的な装置洗浄を含む。洗浄中、洗浄液は、装置のダクトシステムを通して分配される。洗浄液は、例えば、蒸気、加熱水、噴霧された加熱水、洗剤若しくは石鹸を含む水、又はこれらの組み合わせであってもよい。洗浄液は、一般に、飲料が通常吐出される装置のノズルを介して吐出されるが、洗浄液のための他の吐出口も同様に提供することができる。ノズルを通した洗浄液の吐出によりノズルの内側は洗浄されるが、大気に晒されるノズルの外側が洗浄液に触れず、多くの場合、見落とされ、したがって洗浄されない。ノズルの外側は、ミルクその他の飲料に関連する成分、並びに大気中にありノズルの外側が晒されている他の細菌、汚れ、及びバクテリアで汚染されることがある。ミルクは、微生物の増殖、つまり微生物による汚染の源であり、飲料マシンにおける微生物汚染の既知の最大の源のうちの1つである。これらの理由から、注出ノズルの外側は、飲料マシンの最も汚れた非衛生的な部位のうちの1つと見なされる。
【発明の概要】
【0003】
飲料が通常吐出されるノズルを通して洗浄液を吐出する間、内部ダクトシステムを十分に洗浄することができる。しかしながら、ノズルの外側は洗浄されず、ミルク、砂糖、飲料の他の成分、又はこれらの組み合わせで汚染されたままであり得る。このような汚染の主な原因は、飲料調製中、ノズルからの飲料の流れが周囲の空気中で乱流を引き起こし、分配された飲料の若干の飲料液滴が、カップ/容器に到達する前にノズルに向かって引き戻されることである。このような飲料液滴は、ノズルの外側に接触し、それによってそれを汚染する。飲料成分を含有する液滴は、ノズルの外側に留まり最終的にノズルの外側で乾燥し、又はノズルからの他の汚染物質を伴ってノズルの外側から下方の飲料カップ/容器内に落下することがある。そのため、汚染物質が新鮮な飲料に入る。加えて、一部の人は、飲料を調製する際に、カップ及び飲料をノズルと接触させる。したがって、ノズルの外面の適切な洗浄が必要である。この考察では、飲料を飲料容器に吐出するための少なくとも1つの飲料出口ノズルを含む飲料の調製のための装置が提供され、この装置は、飲料出口ノズルの外面を洗浄するための洗浄構造体を含むことを特徴とする。
【0004】
このような洗浄構造体は、飲料出口ノズルの外面から飲料の残渣及び成分を除去する。このようにして、飲料間の交差汚染が防止され、微生物汚染が低減される。このことは、カプチーノ中のスープ残留物は美味でなく、糖尿病患者用のブラックコーヒーには砂糖は通常歓迎されず、また、乳糖不耐症の人は紅茶の中にミルク残留物を欲しないため、重要である。上述の理由から、既存のコーヒーマシンでは、各飲料又は単一原材料が専用ノズルを通して吐出されるか否かにかかわらず、かかる問題が生じる場合がある。飲料を調製する人が、カップ内の飲料がノズルの外側と接触する程にカップを高く持ち上げる場合にも、ノズルの更なる汚染が発生する。本発明による装置は上述の問題に取り組む。
【0005】
本発明の一実施形態では、洗浄構造体は、飲料出口ノズルから吐出された洗浄液を受け入れるように配置されている。コーヒーマシン及び他の飲料処理装置の内部ダクトは、一般に、内部ダクトを通る洗浄液の流れを提供することによって洗浄される。このような場合、洗浄液は飲料吐出ノズルを通して吐出され、この特定の実施形態では、吐出された洗浄液は、飲料吐出ノズルの外部を洗浄するために使用される。
【0006】
本発明の別の実施形態では、洗浄構造体は、飲料出口ノズルの近傍に設けられた洗浄出口ノズルから吐出される洗浄液を受け入れるように配置されている。この実施形態の利点は、装置の内部ダクトには適さないが、ノズルの外部を洗浄するのに非常に効果的である専用洗浄液をノズルの外部表面の洗浄に使用できることである。
【0007】
本発明の更なる実施形態では、洗浄構造体は、ノズルに配置される場合、吐出された洗浄液をノズルの外面に沿って導くように構成された流体案内構造体を備える。本実施形態の利点は、洗浄液が吐出される吐出口が小さくてもよく、飲料吐出ノズルの外部のより大きな表面が、導かれた流体によって洗浄されることである。
【0008】
本発明の更に別の実施形態では、流体案内構造体は、飲料出口ノズルを収容するためのノズル容器を備える。これにより、ノズルは周りを囲まれて洗浄液を導くことができる。
【0009】
本発明の更なる実施形態は、ノズル容器の底部に整流構造体を備える。これにより、ノズル外部に沿った洗浄液の流れの最適な形成が可能になる。
【0010】
本発明の更に別の実施形態では、流体案内構造体は、洗浄液を飲料出口ノズルの外面に沿った移動の後に受け入れるように配置された少なくとも1つの洗浄液回収入口を更に備える。これにより、洗浄流体の周囲において、制御されない漏出又は他の吐出を防止する。
【0011】
本発明の更なる実施形態では、密封モジュールは、一方では装置のハウジング及び出口開口部から離間した飲料出口ノズルの外面の一部のうちの少なくとも1つと、他方では流体案内構造体との間で実質的に流体密封を提供するように構成されており、したがって、密封モジュールは、流体案内構造体の少なくとも一部を形成する。
【0012】
これにより、流体案内構造体、ノズル吐出洗浄流体、及びノズル外部からなる空間が形成することができ、それによって装置の周囲へ制御されずに吐出されることなく、洗浄液を効率的に導くことができる。
【0013】
本発明の別の実施形態では、装置は、少なくとも1つの側壁を有するハウジングを含み、洗浄構造体は、実質的にハウジング内であるアイドル位置から側壁内の開口部を介して動作位置に移動可能であり、装置は、好ましくは、洗浄構造体がハウジング内のアイドル位置に位置するときに開口部を覆うための可動カバー部材を含む。このようにして、洗浄モジュールは都合よく保存される。
【0014】
本発明の更なる実施形態では、洗浄構造体は、第1の接続アーム及び第2の接続アームを介して懸架アームに接続されており、第1の接続アームは、近位端付近では上部枢動点を介して懸架アームの上部に枢動可能に接続されており、第1の接続アームの遠位端付近では近位枢動点を介して洗浄構造体の近位端に枢動可能に接続されており、第2の接続アームは、近位端付近では下部枢動点を介して懸架アームの下部に枢動可能に接続されており、第2の接続アームの遠位端付近では遠位枢動点を介して洗浄構造体の遠位端に枢動可能に接続されている。この実施形態は、洗浄モジュールの効率的な駆動運動を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下の図面を参照して、本発明の様々な実施形態を単に例として説明する。
【
図6A】洗浄モジュールが動作位置にある洗浄モジュール移動システムを示す。
【
図6B】前記洗浄モジュールがアイドル位置にある前記洗浄モジュール移動システムを示す、
【
図7】アイドル位置にある洗浄モジュール移動システムの詳細図を示す。
【
図8A】アイドル位置から動作位置に移動する第1の工程における洗浄モジュール移動システムを示す。
【
図8B】アイドル位置から動作位置に移動する第2の工程における洗浄モジュール移動システムを示す。
【
図8C】アイドル位置から動作位置に移動する第3の工程における洗浄モジュール移動システムを示す。
【
図8D】前記洗浄モジュール移動システムが動作位置にあることを示す。
【
図9】閉鎖フラップを有するハウジング内の洗浄モジュール移動システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、コーヒーマシン900などの飲料を提供するための装置を示す。コーヒーマシン900は、飲料容器としてのカップ940内にコーヒーを吐出するための2つの飲料出口ノズル910を備える。2つの飲料出口ノズル910はハウジング920に設けられ、ハウジング920には、ミルク若しくは砂糖を入れた、又は入れないあらゆる種類のコーヒー、並びに紅茶、スープ及び他の温かい又は冷たい飲料、又はそれらの組み合わせを抽出するための抽出区画が収容されている。ユーザは、ユーザインターフェース930によって、カップ940内に分配される飲料を選択することができる。ユーザインターフェース930は、ボタン、ノブ、タッチスクリーン、又は他の制御手段を含んでもよい。この実施形態では、2つの飲料出口ノズル910は、ハウジング920に設けられた凹部に設けられている。あるいは、コーヒーマシン900は、カップ940をその下に置くことができる1つ以上の飲料出口ノズル910を収容するための突出部、張り出し部、又は別の部分を備えてもよい。
【0017】
図2は、コーヒーマシン900のハウジング920から突出する飲料出口ノズル910を更に詳細に示す。ノズル910は、コーヒーマシン900に含まれる洗浄モジュール100内に設けられたノズル容器120内に収容される。この実施形態では、ノズル容器は、洗浄モジュール100の洗浄ハウジング110内の止まり穴として提供される。ノズル容器120は、ノズル910の外寸よりも大きい内寸を有する。
【0018】
好ましい実施形態では、ノズル910はノズル容器120と同様に円形の断面を有し、ノズル910の外径は、ノズル容器120の内径よりわずかに小さい。直径の差は、好ましくは3~6ミリメートルであり、特に好ましくは5ミリメートルである。ノズル910並びにノズル容器120は、円形以外の形状を有してもよいことに留意されたい。
【0019】
ノズル910及びノズル容器120の両方が、平面A-A’において同じ断面形状を有することが好ましいが、必要とはされない。最重要であるのは、ノズル910がノズル容器120内に収容されている場合、ノズル910の外面と容器120の内面との間で1つ以上の流路が利用可能であることである。これは、単一の流路、例えば、ノズル910の外面の周囲の全てでもよく、又はノズル910の外面が容器120と接する場所の間の複数の流路であってもよい。
【0020】
図2に示される、ノズル910に対する洗浄モジュール100の位置では、流体は、ノズル910の出口から、容器120の底部に沿って、直前に議論したような流路を通過することができる。流路を通過している間、流体はノズル910の外面と接触している。流体が洗浄液であることにより、ノズル910の外面を洗浄することができる。蒸気、加熱された霧化水、石鹸又は洗剤などの洗浄剤を含む水、液体若しくは気化された有機性剤、その他、又はこれらの組み合わせなどの様々な洗浄流体を使用してもよい。使用される洗浄液は、飲料中に残留しコーヒーマシン900の使用者に有害であり得る残留物をノズル910上又はその内部に残さないことが好ましい。
【0021】
洗浄液は、ノズル容器120から出た後、洗浄モジュール100を離れて、利用可能スペース及び流体特性に応じて、流体が流れることのできる任意の方向に向かう。これは、流体が、人にとって短期的又は長期的に有害であり得る場合に問題となり得る。1つの例は、蒸気又は熱湯を洗浄流体として使用することであり、ノズル容器120からの蒸気を任意の方向に逃がすことにより、コーヒーマシン900の隣に立っている人に害を及ぼすことがある。したがって、洗浄流体の効率的な除去が望まれ、その目的のため、ノズル容器120から流出する洗浄液を回収するために、洗浄液回収入口130が洗浄モジュール100内に設けられる。
【0022】
回収入口130は、好ましくは、洗浄モジュール100のハウジング110内に設けられるが、ハウジングの外部に設けられてもよい。回収入口130がハウジング110内に設けられる場合、ハウジング110は洗浄液回収チャネル132を備え、洗浄液回収チャネル132は、回収した洗浄液をリザーバ(図示せず)に導くためのダクトに接続され得る洗浄液回収出口134につながる。リザーバ内の使用済み洗浄液は、後に除去されてもよく、又は後続の洗浄のために再使用してもよい。
【0023】
洗浄液としての液体は、洗浄モジュール100のハウジング110の上側に沿って回収入口130に流れ得る一方、蒸気又は他の霧若しくはガスがコーヒーマシン900の周囲環境に向かって流れることがあり、その場合、依然として誰に対しても有害であり得る。ノズル容器120から回収入口130に向かって流れる洗浄液の誘導を改善するために、好ましくは弾性のスペーサ140が、ノズル容器120及び回収入口130の周囲に設けられる。
【0024】
ノズル910がノズル容器120によって収容されるように洗浄モジュール100が移動される間、スペーサ140は、ノズル910の出口端がノズル容器120の底部に接触しないようにすることができ、したがって、ノズル910の出口端が閉鎖されないようにすることができる。
【0025】
これは、洗浄モジュール100がノズル910に対して好ましい洗浄位置にある場合に、スペーサ140がコーヒーマシン900のハウジング920に当接することによって行われる。この問題に対処するために、別の、代替的又は追加的な手段が講じられてもよい。更に、特にスペーサ140が弾性である場合、スペーサ140は、ハウジング920と、ノズル容器120及び回収入口130が設けられた洗浄ハウジング110との間の空間を密封するように配置することができる。
【0026】
好ましい実施形態では、弾性スペーサ140は、この空間内の圧力が増加すると、弾性スペーサ140の密封が改善されるように配置することができる。このような好ましい実施形態では、弾性スペーサ140の少なくとも一部は、ノズル910が位置する部分に対して、すなわちハウジング920に対して90°超の角度で洗浄ハウジング上に配置される。本構成において、ハウジング920、スペーサ140、及び洗浄ハウジング110によって画定される空間内の圧力が増加すると、スペーサがハウジング920に押し付けられて、より幅広のシールを提供することになる。
【0027】
密封はスペーサとハウジング920との間に提供されるものとして議論されているが、密封は洗浄ハウジング110とノズル910との間にも提供してもよい。この実施形態では、スペーサ140は、ノズル910と洗浄ハウジング110の上部との間の空間を、少なくともノズル910の出口近傍においてノズル910の外部を含むように密封する。
【0028】
図3は、等角投影図における洗浄モジュール100を示す。
図3に示される実施形態では、洗浄モジュール100は、4つのノズルを有するコーヒーマシン900のために配置される。各ノズルは、成分又は飲料の交差汚染を低減するために、特定の飲料又は特定の原材料に専用であってもよい。この実施形態では、ノズル容器120は、洗浄ハウジング110内の止まり穴として提供される円形形状を有する。回収入口130は、ノズル容器120の周辺部に沿って分散され、好ましくは、ノズル容器120の周りに環状に等間隔に分散される。各ノズル容器120の周りに、円形、矩形、楕円形、長円形、他の形状、又はこれらの組み合わせを有する、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の回収入口130を設けてもよい。弾性スペーサ140は、ノズル容器120及び回収入口130の周りのリングとして提供される。
【0029】
図4は、
図2に概略的に示されるような配列の等角投影図を示す。
図4に示される構成では、コーヒーマシン900は、ハウジング920内に設けられた2つのノズル910を有し、洗浄モジュール100は、ノズル出口の近傍でノズル910の外面を洗浄するためのノズル910を受け入れるための2つのノズル容器を備える。洗浄液回収チャネル132は、使用済み洗浄液の敏速な除去を確実にするために、回収開口部130に対して幅広に提供される。
【0030】
図5は、洗浄ハウジング110の下部洗浄ハウジング部分112の等角投影図を示す。
図5は、ノズル容器120から洗浄液回収出口134までの範囲の洗浄液回収チャネル132を示す。また、
図5では、ノズル容器120の底部にある整流構造体122も見ることができる。整流構造体122は、ノズル容器120の底部からノズル容器120の外周部までの範囲の湾曲した隆起部を含む。隆起部は、二等辺三角形、直角三角形、又は任意の他の三角形の形状を有する三角形の断面を有してもよい。形状が直角三角形の形状である場合、実質的に垂直な壁は、曲線の凹面又は凸側のいずれかに向けられてもよい。代替的に又は追加的に、螺旋構造は、容器120の壁に設けてもよい。
【0031】
洗浄モジュール100は、ノズル容器120によって受け入れられるノズル910として論じられている。そのような構成は、ノズル910の外面を洗浄するのに有利であるが、ノズル910からカップ940内への飲料の吐出を妨げる。したがって、洗浄モジュール100は、好ましくはノズル910に対して移動可能である。別の実施形態では、ノズル910が洗浄モジュール100に対して移動可能であり、更に別の実施形態では、洗浄モジュール100及びノズル910は共に、
図2及び
図4に示された位置から
図2及び
図4に示された位置まで移動可能である。
【0032】
図6Aは、コーヒーマシン900に含まれる洗浄モジュール移動システム600内に吊り下げられた洗浄モジュール100を示す。
図6Aに示される配列では、洗浄モジュール100は、ノズル910(
図6Aには明確化のため示されていない)の外面を洗浄するように配置された動作状態にある。
【0033】
洗浄モジュール移動システム600は、コーヒーマシン900内に、好ましくは、懸架継手612を介して枢動可能に懸架される懸架アーム610を備える。懸架アーム610には、第1の接続アーム620及び第2のアーム630が接続される。第1の接続アーム620及び第2の接続アーム630は、次に、洗浄モジュール100に接続される。
【0034】
第1の接続アーム620は、上側継手614を介して懸架アーム610に枢動可能に接続され、遠位継手104を介して洗浄モジュール100に枢動可能に接続される。第2の接続アーム630は、下側継手616を介して懸架アーム610に枢動可能に接続され、近位継手106を介して洗浄モジュール100に枢動可能に接続される。下側継手は、好ましくは、上側継手に対してわずかに近位に設けられる。
【0035】
様々な継手の相互間及び接続アームの長さに対する位置は、
図6Aに示される接続アームのいずれか1つがそこから遠位の位置まで移動される場合、洗浄モジュールは動作位置から遠位のアイドル位置へと移動し、洗浄モジュールが傾けられるように、位置決めされる。これを
図6Bに示す。
【0036】
示されるように、洗浄モジュールの移動は、接続アームの一方又は両方を駆動することによって実行することができる。
図6A及び
図6Bに示される実施形態では、第1の接続アーム620は、連結ピン又は爪642を介して第1の接続アームに接続されたカムホイール640によって駆動される。
【0037】
爪642は、緩やかな歯止めとされ、第1の接続アーム620及びカムホイール640のいずれに対しても固定されない。これは、爪642が、第1の接続アーム620及びカムホイール640の両方に設けられた穴又は凹部において自由に回転可能であることを意味する。あるいは、爪642は、第1の接続アーム及びカムホイール640の一方又は両方に固定的に接続されている。第1の接続アーム620を駆動するために、カムホイール640は、特に、電気モータ及びステッパモータのような駆動ユニットによって回転可能に駆動される。
【0038】
懸架アーム610は、コーヒーマシン900に懸架継手612を介して枢動可能に接続されていることが示されているが、懸架アーム610は、また、コーヒーマシンに固定的に接続してもよい。したがって、懸架アーム610は旋回しないことが
図6A及び
図6Bによって示されている。懸架アーム610が旋回する代替実施形態では、カムホイール640による駆動による懸架アーム610の旋回運動は、様々な継手間の距離によって決定される。
【0039】
図7は洗浄モジュール移動システム600のより詳細な図を提供し、その機能は、
図8A、
図8B、
図8C、及び
図8Dと関連して更に詳細に考察される。
【0040】
図7は、アイドル位置にある洗浄モジュール100を示し、懸架アーム610は
図6Aに示される位置に対して下向きに傾けられている。
図7は、また、2つのノズル910を示す。
図7では、カムホイール610は、カムホイール610をコーヒーマシン900に含まれる電気モータに接続するためのカムシャフト644と共に示されている。
図7は、更に洗浄液回収出口134を示す。洗浄液回収出口134は洗浄モジュール100と共に移動するので、洗浄液回収出口134は、管又はホースのような可撓性ダクトによって、リザーバ又はシステム出口に接続されることが好ましい。
【0041】
図8Aは、
図7に示される位置に対してわずかに反時計回りに回転した位置にあるカムホイール640を示す。カムホイール640に固定され、第1の接続アーム520内の凹部に設けられた爪642を介して、第1の接続アーム520は反時計回りにわずかに旋回し、洗浄モジュール100は、アイドル位置から離れ動作位置に向かってわずかに移動される。
【0042】
図8Bに示される位置で、カムホイール640は反時計回りに更に回転され、洗浄モジュール100はほぼ水平位置にあり、ノズル容器120はノズル910に近づいている。
図8Cに示す位置で、ノズル容器120及びスペーサ140の開口部は、ノズル910と整列する。これは、この実施形態では、洗浄モジュール100が水平位置にあることを意味する。更に、
図8Cに示される位置では、ノズル910は、ノズル容器によってまだ受け入れられていない。
【0043】
ノズル容器120によるノズル910の受け入れは、
図8Dに示されるように、カムホイールの更なる回転によって実行される。カムホイール640が更に回転することにより、第1の接続アーム620は、懸架アーム610が持ち上げられるように駆動される。懸架アーム610が持ち上げられている間、ほぼ垂直位置にある第1の接続アーム610は、ノズル910がノズル容器120によって受け入れられるように、洗浄モジュール100を持ち上げる。好ましくは、カムホイール640は、懸架アーム610に接続されたロックプレート614に当接するロックピン646を備える。ロックピン646がロックプレート614に当接すると、カムホイール640は駆動されず、カムホイール640が時計回りに回転することが防止される。
【0044】
図9は、洗浄モジュール移動システム600及び洗浄モジュール100がコーヒーマシン内に吊り下げられたコーヒーマシンの側面図を示す。洗浄モジュール100は、アイドル位置に設けられている。ハウジング920の輪郭は、破線で概略的に定められている。洗浄モジュール100は、アイドル位置では少なくとも部分的にハウジング920内に収容される。動作位置に移動するとき、洗浄モジュール100は、少なくとも部分的にハウジング920から出る。これは、洗浄モジュールが移動可能な開口部をハウジング920が備えていることを意味する。
【0045】
衛生上及び審美上の目的のために、ハウジング920は、少なくとも洗浄モジュールがアイドル位置にあるときには閉鎖されている。この目的のため、閉鎖フラップ960は、洗浄モジュールがハウジング920の内外に移動する開口部を閉鎖するためのコーヒーマシン900を備えている。
図9に示される実施形態では、洗浄モジュールがアイドル位置にある場合、洗浄モジュール100がそれに接続された閉鎖フラップ960と共に開口部を閉鎖するように、閉鎖フラップ960は洗浄モジュール100に接続される。別の実施形態では、閉鎖フラップ960は、独立して移動するように配置され、好ましくは独立した駆動モジュールによって駆動される。任意選択的に、複数の閉鎖フラップが提供されてもよい。
【0046】
これまでに、洗浄ノズル910の外側を洗浄するための洗浄モジュールは、流体案内構造体を備えたものが開示されている。外部を洗浄するためのブラシと協働して、噴霧をスプレーする複数のノズルを備えた洗浄構造を提供することも考えられる。代替的に又は追加的に、ノズルの外部から残留物をこすり落とすためのこすり落としツールを提供してもよい。
【0047】
上記の説明では、層、領域、又は基材などの要素が他の要素の「上に」又は「上の方に」あると称される場合、他の要素上に直接要素が存在するか、又は介在要素も存在し得ることが理解されるであろう。また、上記の説明で与えられた値は、例として与えられており、他の値が可能であり、かつ/又は目指す値であってよいことが理解されるであろう。
【0048】
更に、本発明はまた、本明細書に記載される実施形態で規定されるものよりも少ない構成要素で具現化されてもよく、その場合1つの構成要素は、複数の機能を果たす。同様に、本発明は、図に示されるものよりも多くの要素を使用して具現化されてもよく、提供される実施形態において1つの構成要素によって実行される機能は、複数の構成要素の上に分散される。
【0049】
なお、図面は、非限定例として与えられる本発明の実施形態の、概略的な表現に過ぎない。明瞭性及び簡潔な説明を目的として、本明細書では同じ又は別個の実施形態の一部として特徴を説明しているが、本発明の範囲には、説明した特徴の全て又は一部の組み合わせを有する実施形態が含まれ得ることが理解されよう。
【0050】
単語「~を備える/~を含む(comprising)」は、請求項に列挙されているもの以外の特徴又はステップの存在を除外するものではない。更に、単語「1つの(「a」及び「an」)は、「ただ1つ(only one)に限定するものと解釈されず、「少なくとも1つ(at least one)」を意味するために使用され、複数を除外しない。
【0051】
当業者は、本明細書に開示される様々なパラメータ及びその値が修正されてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、開示及び/又は特許請求される様々な実施形態を組み合わせることができることを容易に理解するであろう。
【0052】
特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲を限定せず、特許請求の範囲の読みやすさを高めるために単に挿入されることが定められる。