(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20240115BHJP
H01H 21/00 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H01H21/00 310Z
H01H21/00 330A
(21)【出願番号】P 2020000975
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】中尾 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢朗
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-235973(JP,A)
【文献】特開2004-119144(JP,A)
【文献】特開2012-175549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H13/00-13/88
19/00-21/88
H04M1/02-1/23
9/00-9/10
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの前面にボタン窓が開設されているとともに、
使用者が押し込み操作する操作部を有するボタンが、前記ボタン窓を介して前記操作部を前記本体ケースの前方へ突出させた状態で前記本体ケースに内蔵されたインターホン機器であって、
前記ボタンが、
前記操作部を有する操作部材と、
前記本体ケース内に固定され、前記操作部材を前記本体ケース内で保持する保持部材と、
前記操作部材と前記保持部材との間に介在される弾性部材と
を備えているとともに、
前記保持部材が、所定方向へ長い板状に成形されており、長手方向での一端を前記本体ケース内面にネジ止めし、他端を前記本体ケース内面と前記保持部材の後方に配される基板とにより前後から挟持して固定されることを特徴とするインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばインターホン親機等の押し込み操作されるボタンを有するインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばインターホン親機等のインターホン機器には、本体ケースの前面に、使用者が押し込み操作可能なボタンが設けられている。そして、そのようなインターホン機器にあっては、本体ケース内におけるボタンの後方となる位置に、ボタンによってON/OFF操作されるスイッチを搭載した基板が設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、インターホン機器の小型化や薄型化が図られており、基板に関しても小型のものが採用されることになる。その結果、従来ではボタンの後方を略全て覆うように基板が存在していたところ、ボタンと基板とが前後で略重ならないようなものが出てきている。そして、そのようにボタンと基板とが前後で略重ならないとなると、一部(ボタンを本体ケースに対して保持する保持部等)が破損しているボタンを押し込み操作したような場合に、従来では基板が壁となって、ボタンの本体ケース内への落ち込みが抑制されていたところ、基板が壁となり得ず、ボタンが本体ケース内へ落ち込んでしまうという問題が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、基板の小型化に伴い、ボタンと基板とが前後で略重なっていなかったとしても、ボタンの一部が破損した際、ボタンが本体ケース内へ落ち込みにくいインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、本体ケースの前面にボタン窓が開設されているとともに、使用者が押し込み操作する操作部を有するボタンが、ボタン窓を介して操作部を本体ケースの前方へ突出させた状態で本体ケースに内蔵されたインターホン機器であって、ボタンが、操作部を有する操作部材と、本体ケース内に固定され、操作部材を本体ケース内で保持する保持部材と、操作部材と保持部材との間に介在される弾性部材とを備えているとともに、保持部材が、所定方向へ長い板状に成形されており、長手方向での一端を本体ケース内面にネジ止めし、他端を本体ケース内面と保持部材の後方に配される基板とにより前後から挟持して固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ボタンが、操作部を有する操作部材と、本体ケース内に固定され、操作部材を本体ケース内で保持する保持部材と、操作部材と保持部材との間に介在される弾性部材とを備えている。すなわち、操作部を有する操作部材を直接本体ケースに保持させるのではなく、操作部材と保持部材との2つの部材に分け、保持部材を介して保持させるようにしているため、従来破損していた箇所がそもそも破損しづらい。
また、保持部材が、所定方向へ長い板状に成形されており、長手方向での一端を本体ケース内面にネジ止めし、他端を本体ケース内面と保持部材の後方に配される基板とにより前後から挟持して固定されるため、ボタンにおける他端側さえ後方に基板が位置していれば、従来のようにボタンの破損時に基板が壁として機能しないような状況にあっても、ボタンの本体ケース内への落ち込みを効果的に抑制することができる。加えて、保持部材の固定に係る構成の簡素化を図ることができ、インターホン機器の小型化や薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】インターホン親機を前面側から示した説明図である。
【
図2】後ケースが取り外された状態にあるインターホン親機を後面側から示した説明図である。
【
図3】基板が取り外された状態にあるインターホン親機を後面側から示した説明図である。
【
図4】分解状態にあるインターホン親機を前面側から示した斜視説明図である。
【
図5】分解状態にあるインターホン親機を後面側から示した斜視説明図である。
【
図6】分解状態にある報知ボタンを示した斜視説明図であり、(a)は前側から、(b)は後側から夫々示している。
【
図7】インターホン親機における報知ボタン部分の水平断面を下方から示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン親機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、インターホン親機1を前面側から示した説明図である。
図2は、後ケース9が取り外された状態にあるインターホン親機1を後面側から示した説明図である。
図3は、基板3が取り外された状態にあるインターホン親機1を後面側から示した説明図である。
図4は、分解状態にあるインターホン親機1を前面側から示した斜視説明図である。
図5は、分解状態にあるインターホン親機1を後面側から示した斜視説明図である。
図6は、分解状態にある報知ボタン8を示した斜視説明図であり、(a)は前側から、(b)は後側から夫々示している。
図7は、インターホン親機1における報知ボタン8部分の水平断面を下方から示した説明図である。
【0011】
インターホン親機1は、前側に配置される前ケース2及び後側に配置される後ケース9とを組み付けてなる本体ケースを有しており、本体ケースの前面には、インターホン子機(図示せず)で撮像された映像等を表示するための表示部4、及びインターホン子機との間で通話するための通話部5が設けられている。また、本体ケースの前面には、インターホン子機からの呼び出しに応答するための応答ボタン6を始めとして、インターホン親機1の設定に使用する設定ボタン7、7や火災報知時に使用する報知ボタン8、8等、使用者が押し込み操作可能な各種ボタンが設けられている。
【0012】
ここで、本発明の要部となる報知ボタン8、及び報知ボタン8の取付構造について詳細に説明する。
報知ボタン8は、本体ケースの前面における表示部4の下方に設けられており、使用者に直接操作される操作部材11、操作部材11を保持する保持部材12、及び操作部材11と保持部材12との間に設置される弾性部材13を備えてなる。
【0013】
操作部材11は、前方へ膨出する操作部21と、操作部21から側方へ延設された遊挿部22と、操作部21における遊挿部22とは逆側に隣設された被係合部23とを有する合成樹脂製の部材である。操作部21は、正面視が左右方向へ長い矩形状に成形されており、前面が使用者により押し込み操作される操作面となっている。また、操作部21の後面で、左右方向における一方側の端部(長手方向における一方側の端部)には、基板3上に搭載されているスイッチ50をON/OFF操作するための操作突起24が後方へ突設されている。さらに、操作部21の後面で略中央となる箇所には、報知ボタン8の組み立て時に弾性部材13の前面に当接する当接リブ25が後方へ突設されている。
【0014】
遊挿部22は、操作部21における操作突起24が設けられている側の端部とは左右方向で反対側の端部から側方へ延設されている。そして、該遊挿部22には、前後方向へ貫通しており、報知ボタン8(特に保持部材12)を前ケース2の後面にネジ止めするための固定ネジ40を遊挿可能な遊挿孔が設けられている。被係合部23は、操作部21における操作突起24が設けられている側の端部から後方へ延設された舌状部であって、その内面(操作部21側の面)には、保持部材12の係合突起30が係合可能な係合凹部26が設けられている。
【0015】
保持部材12は、操作部材11と同じく左右方向へ長い矩形板状に成形された弾性を有する合成樹脂製部材であって、上辺及び下辺に沿って前方へ起立する収容壁27が夫々設けられており、上下の収容壁27、27間に操作部材11を収容可能となっている。また、保持部材12の前面において、操作部材11を収容した際に当接リブ25と対向する位置には、弾性部材13を設置可能な設置部28が設けられている。さらに、保持部材12の左右方向における一方側の端部には、操作突起24を挿通可能な操作窓29が穿設されているとともに、操作部材11を収容した際に係合凹部26に係合可能な係合突起30が、上下の収容壁27、27を超えて更に側方へ突設されている。加えて、保持部材12の左右方向における他方側の端部には、保持部材12を前ケース2の後面にネジ止めするためのネジ孔を有する固定部31が設けられている。
【0016】
一方、前ケース2には、操作部材11の操作部21と略同形状とされたボタン窓41、41が開設されている。また、各ボタン窓41の左右方向で外側となる位置には、固定ネジ40をねじ込むことで、報知ボタン8をネジ止めするための固定ボス42が後方へ突設されている。
【0017】
そして、上述したような構成を有する報知ボタン8の本体ケースへの取り付けについて説明すると、まず操作部材11の操作部21がボタン窓41を介して前ケース2の前方へ突出するように、前ケース2の後面側に操作部材11を配置する。この配置に際しては、左右どちらの操作部材11においても、被係合部23側が左右方向で内側に、遊挿部22側が左右方向で外側に位置するような姿勢とする。次に、弾性部材13を保持部材12の設置部28に設置した後、係合突起30を係合凹部26に係合させながら、操作突起24を操作窓29内に位置させつつ収容壁27、27間に操作部材11を収容させて、操作部材11の後側から保持部材12を組み付ける。最後に、固定ネジ40により保持部材12の固定部31を前ケース2の固定ボス42にネジ止めすれば、報知ボタン8の取り付けは完了となる。なお、各報知ボタン8における被係合部23側の端部はネジ止め等されていないものの、報知ボタン8、8の後方に基板3を設置することで、被係合部23側の端部も、前ケース2内面と基板3前面とにより前後から挟持される格好で固定されることになる(
図7)。
【0018】
上述したようにして取り付けられた各報知ボタン8では、操作部21が押し込み操作されると、弾性部材13が変形して操作部材11が後方へ移動し、操作突起24によりスイッチ50が操作される。一方、操作部21に対する押し込み方向への負荷が解除されると、弾性部材13の弾性力によって操作部材11は押し込み操作前の位置まで復帰する。
【0019】
また、上述したようにして取り付けられた報知ボタン8、8の後方に、インターホン親機1の主たる動作(たとえばインターホン子機との間での通話動作や映像の送受信動作等)を制御する基板3が設置されることになるが、当該基板3は、インターホン親機1の薄型化を実現すべく出来る限り小型に成形されている。そして、本実施例に係る基板3では、報知ボタン8、8の後方となる箇所が大きく切り欠かれており、各報知ボタン8の左右方向で内側半分程度にしか基板3は位置していない。したがって、従来のように報知ボタン8の操作部が直接本体ケースに保持されているような構造であると、当該保持部が破損等した際に、後方に基板3が位置していないが故、報知ボタン8が本体ケース内に落ち込んでしまうことになる。しかしながら、本実施例に係る構造では、報知ボタン8の本体ケースへの保持に係り、操作部材11を保持部材12に保持させるという構成を採用しており、操作部材11を本体ケースに直接保持させていないため、そもそも保持部(固定部31等)が破損しづらい構造になっている。その上、たとえ保持部が破損したとしても、左右方向で内側の端部が前ケース2内面と基板3前面とにより前後から挟持されている保持部材12によって、操作部材11は支えられているため、報知ボタン8の本体ケース内への落ち込みも抑制することができる。
【0020】
以上のような構成を有するインターホン親機1によれば、報知ボタン8が、操作部21を有する操作部材11と、前ケース2の後面に固定され、操作部材11を本体ケース内で保持する保持部材12と、操作部材11と保持部材12との間に介在される弾性部材13とを備えている。すなわち、従来のように操作部材11を本体ケースに直接保持させるのではなく、操作部材11と保持部材12との2つの部材に分け、保持部材12を介して保持させるように構成しているため、そもそも報知ボタン8の保持部が破損しづらい。
【0021】
また、保持部材12が、左右方向へ長い矩形板状に成形されており、左右方向で外側の端部を前ケース2の後面にネジ止めするとともに、左右方向で内側の端部を前ケース2の後面と保持部材12の後方に配される基板3とにより前後から挟持して固定されるため、報知ボタン8における左右方向で内側の端部の後方にさえ基板3が位置していれば、従来のようにボタンの破損時に基板3が壁として機能しないような状況にあっても、報知ボタン8の本体ケース内への落ち込みを効果的に抑制することができる。加えて、保持部材12の固定に係る構成の簡素化を図ることができ、インターホン親機1の小型化や薄型化を図ることができる。
【0022】
なお、本発明に係るインターホン機器は、インターホン機器の全体的な構成は勿論、ボタンに係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0023】
たとえば,上記実施形態では、本発明を報知ボタンについて採用しているが、応答ボタンを始めとして、他のボタンについても好適に採用可能であることは言うまでもない。
また、上記実施形態では、左右方向へ長いボタンについて説明しているが、上下方向若しくは傾斜方向へ長いボタンとして成形することも可能である。
さらに、ボタンにおける長手方向でのどちら側の端部をネジ止めするかについても適宜設計変更可能であって、上記実施形態のものにおいて、左右方向で内側の端部をネジ止めし、外側の端部を前後から挟持するように構成することは可能である。
加えて、上記実施形態ではインターホン親機について説明しているが、本発明は、押し込み操作するボタンさえ備えていれば、インターホン子機や集合玄関機等の他のインターホン機器についても好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1・・インターホン親機、2・・前ケース(本体ケース)、3・・基板、8・・報知ボタン(ボタン)、11・・操作部材、12・・保持部材、13・・弾性部材、21・・操作部、31・・固定部、40・・固定ネジ、42・・固定ボス。