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  • 特許-プレート積層コア型熱交換器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】プレート積層コア型熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20240115BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
F28F3/08 301Z
H01L23/46 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020013146
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021119318
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】文後 卓也
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/235069(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/189924(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0246204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
F28F 3/00
H01L 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ多数のスリット(3)が穿設された平坦な複数の第1プレート(1)と第2のプレート(2)を有し、各プレート(1,2)が互いに接触して積層されると共に、隣接する各プレート(1,2)の各スリット(3)が平面方向に位置ずれされたコア(4)と、
そのコア(4)の外周を被嵌し、前記コア(4)の両端に流体のマニホールド部(7)を有するケーシング(6)と、を具備し、
それらの各部品間が一体にろう付固定されて、
流体(15)が各プレート(1,2)の各スリット(3)内を前記プレートの積層方向に蛇行しつつ全体として平面方向に流通する流通路(5)を有するプレート積層コア型熱交換器において、
前記流体(15)の流通方向に直交する方向における前記各プレート(1,2)の端部(8)には複数の切欠き(9)が設けられると共に、前記コア(4)の隣接する各プレート(1,2)の各切欠き(9)が位置ずれされており、
前記ケーシング(6)を構成する周壁部(6a)に前記各プレート(1,2)の端部(8)が当接されており、各切欠き(9)と前記周壁部(6a)との間に端部流通路(12)が形成されていることを特徴とするプレート積層コア型熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載のプレート積層コア型熱交換器において、
前記ケーシング(6)の周壁部(6a)の内面には、前記各プレート(1,2)の端部(8)が当接する位置に、一対の突条(10)が前記ケーシング(6)の内側に向けて離間して突設されており、
前記各プレート(1,2)の端部(8)には、前記一対の突条(10)の間に当接する突出部(8a)が形成され、その突出部(8a)に前記切欠き(9)が形成されているプレート積層コア型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の熱交換対象物との間で伝熱を行う熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、半導体素子等の熱交換対象物を冷却する熱交換器の一例として、スリットを多数穿設した複数のプレートを積層すると共に、その外周をケーシングで被嵌するものが提案されている。
その熱交換対象物は、ケーシングの外表面に配置され、ケーシング内を流通する流体との間に熱交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/131240
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような熱交換器の内部に配置されたコアは、各プレート同士を仮固定する手段が外周に形成されているため、その外周は平端ではなく異形に形成されることが多い。すると、その異形部分の外周近傍には、図6に示す如く、流体が流通できない部分が生じる。
そのため、異形部分の近傍では伝熱性能が低下し、異形部分の近傍に配置された熱交換対象物との熱交換を効果的に行うことができない場合がある。
そこで本発明は、簡単な構造で、上記問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、それぞれ多数のスリット3が穿設された平坦な複数の第1プレート1と第2のプレート2を有し、各プレート1,2が互いに接触して積層されると共に、隣接する各プレート1,2の各スリット3が平面方向に位置ずれされたコア4と、
そのコア4の外周を被嵌し、前記コア4の両端に流体のマニホールド部7を有するケーシング6と、を具備し、
それらの各部品間が一体にろう付固定されて、
流体15が各プレート1,2の各スリット3内を前記プレートの積層方向に蛇行しつつ全体として平面方向に流通する流通路5を有するプレート積層コア型熱交換器において、
前記各プレート1,2の端部8には複数の切欠き9が設けられると共に、
前記コア4の隣接する各プレート1,2の各切欠き9が位置ずれされており、
前記ケーシング6を構成する周壁部6aに前記各プレート1,2の端部8が当接されており、各切欠き9と前記周壁部6aとの間に端部流通路12が形成されていることを特徴とするプレート積層コア型熱交換器である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のプレート積層コア型熱交換器において、
前記ケーシング6の周壁部6aの内面には、前記各プレート1,2の端部8が当接する位置に、一対の突条10が前記ケーシング6の内側に向けて離間して突設されており、
前記各プレート1,2の端部8には、前記一対の突条10の間に当接する突出部8aが形成され、その突出部8aに前記切欠き9が形成されているプレート積層コア型熱交換器である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、コア4を形成する第1プレート1と第2プレート2の端部8に複数の切欠き9が設けられると共に、隣接する各プレート1,2の各切欠き9が位置ずれされており、端部8がケーシング6の周壁部6aの内面に当接し、各切欠き9と周壁部6aとの間に端部流通路12が形成されている熱交換器である。
この構造により、熱交換器の端部に流体15を流通させることができるため、熱交換器の端部まで伝熱部を拡張することができ、熱交換対象物17が熱交換器の端部に配置された場合の伝熱性能を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、ケーシング6の周壁部6aの内面には、一対の突条10の間にコア4の位置決め部11が形成されており、各プレート1,2の端部8に位置決め部11に当接する突出部8aが形成され、その突出部8aに切欠き9が形成されているものである。
この構造により、コア4をケーシング6内に位置決めしつつ、その位置決めの部分に簡単な構造で端部流通路12を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の熱交換器に収納されるコア4の要部斜視図。
図2】同熱交換器の分解斜視図。
図3】同熱交換器の要部平面図。
図4】同熱交換器の端部流通路12を示す説明図であり、図3のIV-IV矢視断面図。
図5】同熱交換器の流通路5を示す説明図であり、図3のV-V矢視断面図。
図6】従来型熱交換器のコア4の端部の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面に基づいて本発明の各実施の形態につき説明する。
図1は、熱交換器に収納されるコア4の要部斜視図であり、図2は同熱交換器の分解斜視図である。図3は同熱交換器の要部平面図であり、図4は同熱交換器の端部流通路12を示す説明図(図3のIV-IV矢視断面図)であり、図5は同熱交換器の流通路5を示す説明図(図3のV-V矢視断面図)である。
なお、図1及び図3は一方のコア4の端部のみが記載されており、他方の端部も同一形状に形成されるため、記載を省略している。
【0011】
この熱交換器は、図1に記載の如く、それぞれ多数のスリット3が穿設された平坦な第1プレート1と第2プレート2とが交互に積層されてコア4を構成する。
この例では、各プレート1、2には、互いに平行に並列して配置された縦リブ3aと、隣接する縦リブ3a間を複数の個所で連結する横リブ3bとを有し、それらのリブ3a,3b間に同一形状の長方形の小孔からなるスリット3が穿設されている。
積層方向に隣接する各プレート1,2の縦リブ3aは整合して接触し、各プレート1,2のスリット3は、図5に記載のように、流体15の流通方向に平面的に位置ずれしている。即ち、一方のプレートのスリット3内に、他方のプレートの横リブ3bが位置する。これにより、流通路5が形成され、その流通路5に流体15が流通する。
【0012】
このようなコア4は、図2に示す如く、その外周にケーシング6が被嵌される。ケーシング6は、底部6bとその底部6bの外周縁から立ち上がる周壁部6aとからなる皿状のカッププレート6cと、そのカッププレート6cの開口を閉塞する蓋6dとを有する。
ケーシング6のカッププレート6cの底部6bにコア4が配置され、そのコア4の両端に流体15のマニホールド部7が対向して形成されている。
コア4とケーシング6は一体的にろう付固定されている。
コア4の積層方向の上端及び下端に位置するプレートには爪13を突設し、それが各プレートの凹部14に嵌着されて、コア4が仮固定されている。
【0013】
カッププレート6cには、図2に記載の如く、流体15の出入口となる一対のパイプ16が取付られている。
流体15は一方のパイプ16からケーシング6内に供給され、流体15の流通方向の上流側のマニホールド部7へ導かれる。流体15は、上流側のマニホールド部7からコア4の各流通路5を流通し、下流側のマニホールド部7へ導かれる。このとき、流体15はプレートの積層方向に蛇行しながら、各流通路5を直線的に流通する。
そして、流通路5を流通する流体15によって、ケーシング6の蓋6dに接合された熱交換対象物17から生じる熱を冷却する。
【0014】
図2及び図3に示す如く、ケーシング6の周壁部6aの内面には、一対の突条10の間にコア4の位置決め部11が形成されている。また、各プレート1,2の異形に形成された端部8には、位置決め部11に当接する突出部8aが形成されている。
その突出部8aには、図1及び図4に示す如く、複数の切欠き9と端部リブ9aが交互に設けられると共に、積層方向に隣接する各プレート1,2の各切欠き9が位置ずれしている。即ち、一方のプレートの切欠き9内に、他方のプレートの端部リブ9aが位置する。
図1に示すように、コア4の端部8の側面は、端部リブ9aが千鳥状に配置された状態になる。この端部8がケーシング6の位置決め部11の内面に当接しており、各切欠き9とケーシング6の周壁部6aの当接部分との間に端部流通路12が形成される。
【0015】
図4に記載のように、流体15が上流側のマニホールド部7からコア4の端部流通路12に流通し、下流側のマニホールド部7へ導かれる。このとき、流体15はプレートの積層方向に蛇行して端部流通路12を流通する。
上述のような構成により、図6に記載のような従来型コアでは流体15を流通させることができなかった異形の端部8の近傍に流体の流通路を確保することができる。そして、その分だけ流路形成範囲を拡大することができ、熱交換対象物17との熱交換を促進できる。
【0016】
上記実施例は、熱交換対象物17を発熱体として、そこから生じる熱を冷却するものとして紹介したが、それに限らず、流体を温熱流体として、熱交換対象物17に熱を加えることもできる。
また、この実施例は、本発明を実施するのに最適な形態であるが、コア4の端部8の形状、ケーシング6の突条10の形成の有無、スリット3、各リブ3a,3b,9a、の形状、パイプ16の取付位置等は実施例に限定されるものではない。
例えば、ケーシング6の周壁部6aに設けられる突条10は形成しなくともよい。その場合、コア4の端部8に突出部8aを設けない設計に変更することもできる。ケーシング6の周壁部6aに、コア4の端部8に設けた切欠き9と端部リブ9aが当接できる状態にあれば、端部流通路12が形成できる。
【符号の説明】
【0017】
1 第1プレート
2 第2プレート
3 スリット
3a 縦リブ
3b 横リブ
4 コア
5 流通路
【0018】
6 ケーシング
6a 周壁部
6b 底部
6c カッププレート
6d 蓋
7 マニホールド部
【0019】
8 端部
8a 突出部
9 切欠き
9a 端部リブ
10 突条
11 位置決め部
12 端部流通路
13 爪
14 凹部
【0020】
15 流体
16 パイプ
17 熱交換対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6